説明

蒸気加熱装置

【課題】 電磁弁から構成される給蒸操作弁のハンチングを防止して、安価で安定した温度制御を行うことのできる蒸気加熱装置の提供。
【解決手段】 被加熱物7が収容される処理槽1、給蒸操作弁15を介して処理槽1内へ蒸気供給する給蒸手段2、処理槽1内の圧力を目標値に維持するよう給蒸操作弁15の開閉を制御する制御手段9とを備える。制御手段9は、変更可能に設定される温度目標値を圧力目標値に換算し、その圧力目標値に処理槽1内を維持するように、圧力センサ6の検出信号に基づき電磁弁からなる給蒸操作弁15の開閉を制御する。また、制御手段9は、予め定められた複数の温度範囲のいずれに前記温度目標値が属するかにより、前記圧力目標値に維持する際の圧力の上限値と下限値との差を異ならせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加熱物が収容された処理槽内へ蒸気を供給して、前記被加熱物を加熱するための蒸気加熱装置に関するものである。特に、被調理物(食材または食品)を加熱調理するための蒸気調理装置としての蒸気加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示される蒸煮装置に代表される蒸気加熱装置は、処理槽内へ蒸気を供給して、処理槽内に収容した被加熱物の加熱を図る装置である。このような蒸気加熱装置において、処理槽内の温度調整は、従来、処理槽内の圧力を監視して、処理槽内への蒸気供給(給蒸)と、その供給された蒸気の凝縮を伴う放熱、場合によってはさらに処理槽内からの真空引きによって制御されている。この際、処理槽内への蒸気供給は、その蒸気導入管路に比例制御弁を設け、その開度を調整することが好ましいが、実際にはコスト的な制約から、電磁弁を用いて目標温度に対する上限値と下限値とを設定し、その上下限値間で開閉するオンオフ制御することが多い。
【特許文献1】特開平9−266856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、飽和蒸気温度と飽和蒸気圧力との関係は、同じ温度変化に対して、一定ではない。すなわち、同じ温度差でも、温度が低いほど圧力変化は小さくなり、温度が高いほど圧力変化は大きくなる。そのため、前記電磁弁をオンオフ制御するための上下限値間の差(制御ディファレンシャル)を一定としていると、特に低温域で電磁弁のハンチングが生じ易く、適切な制御がなされないおそれがあった。
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、ハンチングを防止した安定な温度制御を安価で行うことのできる蒸気加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、被加熱物が収容される処理槽と、給蒸操作弁を介して前記処理槽内へ蒸気供給する給蒸手段と、前記処理槽内の圧力もしくは温度または前記被加熱物の温度を目標値に維持するよう前記給蒸操作弁の開閉を制御する際、前記給蒸操作弁のハンチングの防止を図るハンチング防止手段とを備えることを特徴とする蒸気加熱装置である。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、給蒸操作弁を電磁弁またはモータバルブから構成しても、ハンチング防止手段により給蒸操作弁のハンチングを防止でき、安価で安定した温度制御を行うことができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記ハンチング防止手段は、前記目標値に維持する際の圧力または温度について、その上限値と下限値との差を前記目標値に応じて異ならせる手段であることを特徴とする請求項1に記載の蒸気加熱装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、目標値に応じて制御ディファレンシャルを変更することで、圧力または温度の維持制御を安価で安定して行うことができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記処理槽内を減圧する減圧手段と、減圧された前記処置槽内を復圧する復圧手段と、前記処理槽内の蒸気および/または凝縮水を外部へ排出する排出手段と、前記処理槽内の圧力を検出する圧力センサと、前記被加熱物の温度を検出する温度センサと、圧力または温度を前記目標値に維持するように、前記圧力センサまたは前記温度センサの検出信号に基づき前記給蒸操作弁の開閉を制御する制御手段とをさらに備え、この制御手段は、予め定められた複数の圧力範囲または温度範囲のいずれに前記目標値が属するかにより、前記目標値に維持する際の圧力または温度について、その上限値と下限値との差を異ならせる前記ハンチング防止手段を有することを特徴とする請求項2に記載の蒸気加熱装置である。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、予め定められた複数の圧力範囲または温度範囲のいずれに目標値が属するかにより、制御ディファレンシャルを変更することで、圧力または温度の維持制御を安価で安定して簡易に行うことができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記上限値と下限値との差は、圧力または温度が低くなる前記範囲ほど大きく設定されることを特徴とする請求項3に記載の蒸気加熱装置である。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、飽和蒸気温度と飽和蒸気圧力との関係を考慮して、特に低温域での給蒸操作弁のハンチングを防止することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記制御手段は、変更可能に設定される温度目標値を圧力目標値に換算し、その圧力目標値に前記処理槽内を維持するように、前記圧力センサの検出信号に基づき電磁弁からなる前記給蒸操作弁の開閉を制御するよう構成され、前記ハンチング防止手段は、予め定められた複数の温度範囲のいずれに前記温度目標値が属するかにより、前記圧力目標値に維持する際の圧力の上限値と下限値との差を異ならせることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の蒸気加熱装置である。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、目標値を温度で設定しながら、給蒸操作弁の開閉は処理槽内圧力に基づき制御することで、簡易で確実な制御が可能である。
【0015】
請求項6に記載の発明は、前記給蒸手段は、蒸気発生装置からの蒸気を前記処理槽内へ供給する蒸気導入管路と、この蒸気導入管路の中途に設けられる電磁弁からなる前記給蒸操作弁とを備え、前記ハンチング防止手段は、前記蒸気導入管路に前記電磁弁と順次に設けられるモータバルブを備え、前記電磁弁および前記モータバルブが同時に開閉制御されることを特徴とする請求項1に記載の蒸気加熱装置である。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、電磁弁とモータバルブの直列の組合せとし、これらを同時に開閉制御することで、モータバルブの作動時間分の遅れを利用して、給蒸操作弁のハンチングの防止を図ることができる。
【0017】
さらに、請求項7に記載の発明は、前記給蒸手段は、蒸気発生装置からの蒸気を前記処理槽内へ供給する蒸気導入管路と、この蒸気導入管路の中途に設けられる電磁弁からなる前記給蒸操作弁とを備え、この給蒸操作弁は、その閉鎖から所定時間内は開放不能とされつつ開閉制御されることを特徴とする請求項1に記載の蒸気加熱装置である。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、給蒸操作弁が一旦閉鎖後、再び開放されるまでの最小時間に制限を設けることで、給蒸操作弁のハンチングの防止を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の蒸気加熱装置によれば、安価で安定した温度制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
本発明は、処理槽内に収容された被加熱物を、蒸気により加熱する蒸気加熱装置である。この蒸気加熱装置は、被加熱物が収容される処理槽と、この処理槽内へ給蒸操作弁を介して蒸気供給する給蒸手段と、前記給蒸操作弁のハンチングの防止を図るハンチング防止手段とを備える。さらに、本実施形態では、処理槽内を減圧する減圧手段と、減圧された処理槽内を復圧する復圧手段と、処理槽内の蒸気やその凝縮水を外部へ排出する排出手段と、処理槽内の圧力を検出する圧力センサと、被加熱物の温度を検出する温度センサと、各センサの検出信号などに基づき前記各手段を制御する制御手段とを備える。
【0021】
ここで、前記被加熱物は、特に問わないが、たとえば食材または食品などの被調理物とされる。この場合、蒸気加熱装置は、蒸気調理装置ということができる。あるいは、前記被加熱物は、手術用メスなどの被滅菌物でもよい。この場合、蒸気加熱装置は、蒸気滅菌装置ということができる。
【0022】
処理槽は、被加熱物を収容可能に中空構造に形成され、典型的には略矩形のボックス状に形成された金属製の缶体である。この処理槽は、一側面へ開口して中空部を有し、その開口部は扉により開閉可能とされる。この扉が閉められた状態では、前記中空部は密閉される。但し、処理槽の構成はこれに限らず、上方へのみ開口する鍋状容器が、その上部開口部を蓋体にて開閉可能に閉じられる構成でもよい。
【0023】
給蒸手段は、処理槽内へボイラからの蒸気を供給する手段である。この蒸気は、一次ボイラからの蒸気を熱源とする二次ボイラ(リボイラ)にて純水または軟水を加熱して得られる清浄蒸気とするのがよい。これにより、配管内の錆や、防錆剤などのボイラ水処理薬品が、処理槽への蒸気に混入されるおそれがなく衛生的である。給蒸手段からの蒸気は、蒸気導入管路としての給蒸ラインを介して、処理槽内へ供給される。給蒸ラインの中途に設けた給蒸操作弁を開閉することで、処理槽内への蒸気供給の有無が切り替えられる。
【0024】
減圧手段は、処理槽内の空気や蒸気を真空引きすることで、処理槽内を減圧する手段である。減圧手段は、真空ポンプ、またはそれに代えてもしくはそれに加えて、蒸気エゼクタまたは水エゼクタなどを備える。減圧手段は、空気導出管路としての減圧ラインを介して、処理槽に接続される。減圧ラインの中途に設けた減圧操作弁を開閉することで、処理槽内からの真空引きの可否が切り替えられる。あるいは、真空ポンプなどの作動の有無を制御することで、処理槽内からの真空引きの可否が切り替えられる。
【0025】
減圧手段は、さらに熱交換器を備えるのが望ましい。この熱交換器は、処理槽内から吸引した空気中の蒸気を、冷却し凝縮させるものである。この冷却および凝縮作用をなすために、熱交換器には水が供給され、減圧ラインの冷却が図られる。減圧ライン中の蒸気を予め熱交換器で凝縮させておくことで、その後の真空ポンプの負荷を軽減して、減圧能力を高めることができる。
【0026】
復圧手段は、減圧手段により減圧された処理槽内を復圧する手段である。具体的には、減圧された処理槽内へ外気を導入して、処理槽内を大気圧まで復圧することができる。処理槽内への外気の導入は、衛生面を考慮して、フィルターを介して行うのが望ましい。フィルターを介した清浄空気は、空気導入管路としての復圧ラインを介して、処理槽内へ供給される。復圧ラインの中途に設けた復圧操作弁を開閉することで、処理槽内への外気導入の有無が切り替えられる。
【0027】
排出手段は、処理槽内の蒸気やその凝縮水を外部へ排出する手段である。この排出手段は、処理槽内から蒸気を排出する蒸気導出管路としての排蒸ラインと、スチームトラップを介して処理槽内の底部から凝縮水を排出する排水管路としての排水ラインとから構成される。ここで、前記排蒸ラインは、処理槽の底部に接続することで、蒸気に加えてその凝縮水も排出可能となる。
【0028】
処理槽からの排蒸ラインの中途には、排蒸操作弁が設けられる。また、処理槽からの排水ラインの中途には、排水操作弁が設けられる。この排蒸操作弁および/または排水操作弁を開閉することで、処理槽内からの蒸気および/または凝縮水の排出の有無が切り替えられる。
【0029】
ところで、前記減圧操作弁、前記復圧操作弁、前記排蒸操作弁は、開度調整可能に構成するのが好ましい。この場合、前記減圧手段による処理槽内の減圧、前記復圧手段による処理槽内の復圧、前記排出手段による処理槽外への排蒸について、その各能力が調整可能となる。また、エゼクタなどの減圧手段自体の減圧能力を調整してもよい。一方、前記給蒸操作弁についても、前記給蒸手段による処理槽内への給蒸能力を調整可能に、開度調整可能とするのが本来好ましいが、コスト面を考慮して本実施形態では、開放または閉鎖のいずれかを択一的に採る電磁弁が使用される。
【0030】
制御手段は、給蒸手段、減圧手段、復圧手段、および排出手段などを制御する手段である。逆にいうと、これら各手段は、制御手段により制御され、予め設定されたプログラムに従い、所定の運転工程が順次に実行される。その際、処理槽内の圧力を検出する圧力センサからの検出圧力や、処理槽内の被加熱物の温度を検出する温度センサからの検出温度や、経過時間を利用して制御される。
【0031】
典型的には、圧力センサの検出圧力に基づき給蒸操作弁の開閉を制御して、処理槽内の圧力ひいては温度を調整する。そして、処理槽内の圧力もしくは温度、または処理槽内の被加熱物の温度が目標値で設定時間を維持するか、被加熱物の温度が設定温度に達するなど、所望の終了条件が満たされると被加熱物の加熱処理を終了する。
【0032】
このような加熱処理中、制御手段は、処理槽内の圧力もしくは温度、または処理槽内の被加熱物の温度を目標値に維持するように、給蒸操作弁の開閉を制御可能である。この際、目標値に対する上限値と下限値とを設定し、その上下限値間で給蒸操作弁の開閉をオンオフ制御する。すなわち、上限値を上回れば給蒸操作弁を閉鎖する一方、下限値を下回れば給蒸操作弁を開放するように、圧力センサまたは温度センサの検出信号に基づき、電磁弁から構成される給蒸操作弁の開閉を制御する。
【0033】
ハンチング防止手段は、特に前記目標値への維持制御中、給蒸操作弁のハンチングの防止を図る手段である。このハンチング防止手段の具体的構成は、特に問わないが、たとえば次の三つ実施形態を挙げることができる。
【0034】
第一実施形態のハンチング防止手段は、目標値に維持する際の圧力または温度について、その上限値と下限値との差(制御ディファレンシャル)を前記目標値に応じて異ならせる手段である。この場合、ハンチング防止手段は、前記制御手段の一部を構成する。そして、ハンチング防止手段は、予め設定された計算式を用いて、温度目標値に対する上限値と下限値とを設定し、給蒸操作弁の開閉を制御する。その際、上限値と下限値との差は、目標値に応じて異なるように、上限値と下限値とを設定する。
【0035】
但し、予め定められた複数の圧力範囲または温度範囲のいずれに前記目標値が属するかにより、目標値に維持する際の圧力または温度について、その上限値と下限値との差を異ならせる構成とするのが簡易である。この場合、圧力範囲または温度範囲ごとに、制御ディファレンシャルが対応して予め設定されており、入力または選択された目標値に応じて、その目標値が属する圧力範囲または温度範囲の制御ディファレンシャルと、前記目標値とに基づいて、前記上限値と下限値とが決定される。
【0036】
いずれにしても、飽和蒸気温度と飽和蒸気圧力との関係を考慮して、上限値と下限値との差は、圧力または温度が低くなるほど大きく設定される。つまり、目標温度が高いときには制御ディファレンシャルを小さくし、目標温度が低いときには制御ディファレンシャルを大きくする。これにより、特に低温域での給蒸操作弁のハンチングの防止が図られる。
【0037】
第二実施形態のハンチング防止手段は、給蒸ラインに前記給蒸操作弁と順次に設けられるモータバルブを備え、給蒸操作弁およびモータバルブを同時に開閉制御する。この場合、給蒸操作弁を構成する電磁弁と直列に、モータバルブが配置されることで、両弁に同時に開放指令を出しても、電磁弁は直ちに開放されるが、モータバルブはその性質上、徐々に開放されることになる。そして、トータルとして、給蒸ラインは徐々に開放されることになる。このようなモータバルブの作動時間分の遅れを利用して、給蒸操作弁のハンチングを防止することができる。
【0038】
第三実施形態のハンチング防止手段は、電磁弁から構成される前記給蒸操作弁を、その閉鎖から所定時間内は開放不能としつつ開閉制御する。この場合、ハンチング防止手段は、前記制御手段の一部を構成し、給蒸操作弁が閉鎖されるとタイマーを始動して、その経過時間が所定時間内では給蒸操作弁の開放を阻止する。給蒸操作弁が一旦閉鎖後、再び開放されるまでの最小時間に制限を設けることで、給蒸操作弁のハンチングを防止することができる。
【0039】
上記構成の蒸気加熱装置の運転方法は、特に限定されるものではないが、典型的には空気排除工程の後、加熱工程がなされる。ここで、空気排除工程は、処理槽内に被加熱物を収容した状態で、処理槽内の空気を排出する工程である。また、加熱工程は、給蒸手段により処理槽内へ蒸気供給して、被加熱物を加熱する工程である。この際、処理槽内へ供給する蒸気により、処理槽内を大気圧より高圧としつつ被加熱物を加熱してもよいし、逆に、所望時に減圧手段を作動させることで大気圧より低圧としつつ被加熱物を加熱してもよい。
【0040】
この加熱工程においては、処理槽内の圧力もしくは温度、または処理槽内の被加熱物の温度を、目標値に維持するよう制御する。この際、前記目標値は、複数段階に変化させてもよい。このような処理中、ハンチング防止手段により、給蒸操作弁のハンチングの防止が図られる。
【実施例1】
【0041】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の蒸気加熱装置の実施例1を示す概略構成図であり、蒸気調理装置に適用した例を示している。この図に示すように、本実施例の蒸気加熱装置は、中空構造で開閉可能な処理槽1と、この処理槽1内へ蒸気を供給する給蒸手段2と、処理槽1内の空気や蒸気を外部へ吸引排出して処理槽1内を減圧する減圧手段3と、減圧下の処理槽1内へ外気を導入して復圧する復圧手段4と、処理槽1内の蒸気やその凝縮水を外部へ排出する排出手段5と、処理槽1内の圧力を計測する圧力センサ6と、処理槽1内に収容される被加熱物としての被調理物(食材または食品)7の温度を計測する温度センサ8と、これら各センサ6,8の出力などに基づき前記各手段2,3,4,5を制御する制御手段9とを備える。
【0042】
本実施例の処理槽1は、一側面へ開口して中空部を有する処理槽本体10と、この処理槽本体10の開口部を開閉する扉11とを備えた金属製の缶体である。このような構成であるから、扉11を閉じることで、処理槽本体10の中空部は密閉される。処理槽1内への被調理物7の収容は、処理槽1に出し入れされるワゴン(不図示)を介して行ってもよいし、図示例のように処理槽1内に棚板12を設けることで対応してもよい。また、被調理物7は、適宜の容器13に入れて、処理槽1内へ収容してもよい。このようにして処理槽1内に収容される被調理物7は、その温度を温度センサ8により計測される。本実施例では、温度センサ8は、被調理物7に差し込まれて、被調理物7の温度を検出する。
【0043】
処理槽1には、処理槽1内へ蒸気を供給可能に、給蒸手段2が接続される。本実施例の給蒸手段2は、不図示の一次ボイラと二次ボイラ(リボイラ)とを備え、一次ボイラからの蒸気を熱源として、二次ボイラにて軟水を蒸気に変え、そのようにして生成された清浄蒸気を処理槽1内へ供給する。一次ボイラは、通常の一般的なボイラから構成されるが、そのような一次ボイラによる蒸気には、配管内の錆や、防錆剤などのボイラ水処理薬品が混入するおそれが残る。ところが、処理槽1内へ供給される蒸気は、直接に被調理物7に接触し得るものである。そこで、二次ボイラにて軟水を蒸気に変えて清浄蒸気を生成し、この清浄蒸気を処理槽1内へ供給する。
【0044】
二次ボイラからの清浄蒸気は、給蒸ライン14を介して処理槽1内へ供給される。給蒸ライン14の中途には、給蒸操作弁15が設けられている。この給蒸操作弁15は、処理槽1内への給蒸の有無を切り替え可能な構成であれば足り、開度調整が不能で開放または閉鎖のいずれかの状態を採る電磁弁により構成される。この給蒸操作弁15を開閉操作することで、処理槽1内の圧力ひいては温度を調整できる。但し、処理槽1内の圧力調整は、給蒸操作弁15だけでなく減圧手段3を制御することによっても行うことができる。
【0045】
処理槽1には、処理槽1内の空気や蒸気を外部へ真空引きして、処理槽1内を減圧する減圧手段3が接続される。本実施例では、減圧ライン16を介して処理槽1には、減圧操作弁17、熱交換器18、逆止弁19、さらには水封式真空ポンプ20が順次に接続される。本実施例の減圧操作弁17は、比例制御弁またはモータバルブなどの開度調整可能な構成である。
【0046】
真空ポンプ20には、封水給水弁21を介して水が供給され、真空ポンプ20からの排水は、排水口(不図示)へ排出される。この封水給水弁21は、真空ポンプ20に連動して開かれる。また、熱交換器18にも、熱交給水弁22を介して冷却用の水が供給され、排水口へ排水される。熱交換器18に冷却水が供給されることで、減圧ライン16中の蒸気を冷却し凝縮させることができる。
【0047】
処理槽1には、減圧手段3にて減圧された後、復圧するための復圧手段4が接続されている。本実施例の復圧手段4は、処理槽1に接続された復圧ライン23が、除菌フィルター24を介して外気と連通可能に設けられている。この復圧ライン23の中途には、復圧操作弁25が開閉可能に設けられており、この復圧操作弁25の開放により、処理槽1内は大気圧に開放可能とされる。
【0048】
処理槽1には、処理槽1内の蒸気やその凝縮水を外部へ排出するための排出手段5が接続されている。この排出手段5は、処理槽1内の蒸気や空気を外部へ排出するための排蒸手段26と、処理槽1内に生じた凝縮水を外部へ排出するための排水手段27とに分けられる。
【0049】
排蒸手段26は、排蒸ライン28を介して処理槽1内の空気や蒸気を処理槽1外へ導出する手段である。排蒸ライン28の中途には、比例制御弁またはモータバルブなどの開度調整可能な排蒸操作弁29が設けられる。図示例では、処理槽1の下部に排蒸ライン28を接続しているが、これに代えてまたはこれに加えて、処理槽1の上部にも同様の排蒸ライン(不図示)を設けることができる。処理槽1の下部からの排蒸ライン28は、処理槽1内の下部に溜まる凝縮水を外部へ排出するためにも利用できる。
【0050】
一方、排水手段27は、スチームトラップ30を有する排水ライン31からなり、この排水ライン31を介して処理槽1内の底部に溜まる凝縮水は、処理槽1外へ排水可能とされる。そして、この排水ライン31の中途には、電磁弁から構成される排水操作弁32が設けられる。
【0051】
さらに、処理槽1には、圧力センサ6が設けられる。この圧力センサ6により、処理槽1内の圧力が検出される。但し、圧力センサ6に代えて、温度センサ(不図示)を利用することも可能である。圧力と温度とを換算することで、いずれのセンサでも利用できる。
【0052】
前記給蒸手段2、前記減圧手段3、前記復圧手段4、前記排出手段5などは、制御手段9により制御される。この制御手段9は、それが把握する経過時間や前記圧力センサ6および前記温度センサ8からの検出信号などに基づいて、前記各手段2,3,4,5を制御する制御器33である。具体的には、給蒸操作弁15、減圧操作弁17、真空ポンプ20、封水給水弁21、熱交給水弁22、復圧操作弁25、排蒸操作弁29、排水操作弁32、圧力センサ6および温度センサ8などは、制御器33に接続される。そして、制御器33は、所定の手順(プログラム)に従い、処理槽1内の被調理物7の加熱調理を行う。
【0053】
本実施例では、制御器33は、圧力センサ6の検出圧力に基づき、処理槽1内の圧力が目標値に維持されるように、給蒸操作弁15の開閉を制御可能である。ここで、目標値は、設定器34により変更可能に制御器33へ設定される。その際、圧力目標値として設定するよう構成してもよいし、温度目標値として設定するよう構成してもよい。温度目標値で設定する場合、制御器33は圧力に換算して処理する。いずれにしても、制御器33は、処理槽1内を圧力目標値に維持するために、その目標値に対する上限値と下限値とを設定する。
【0054】
その際、制御器33の一部として組み込まれたハンチング防止手段により、上限値と下限値との差(制御ディファレンシャル)が、目標値に応じて変更される。たとえば、三つの温度範囲に分けて制御ディファレンシャルを設定しておき、設定器34により設定される温度目標値とそれが属する制御ディファレンシャルとに基づいて、その目標値に維持する際の圧力目標値の上限値と下限値とが設定される。
【0055】
そして、制御器33は、上限値を上回れば給蒸操作弁15を閉鎖する一方、下限値を下回れば給蒸操作弁15を開放することで、処理槽1内の圧力を目標値に維持する。ところで、飽和蒸気温度と飽和蒸気圧力との関係を考慮して、圧力または温度が低くなる前記温度範囲ほど、制御ディファレンシャルは大きく設定される。その理由は、飽和蒸気温度−圧力特性曲線の圧力に対する温度の変化勾配が圧力が高くなるに従って小さくなる特性となっているので、圧力(温度)が低い領域と高い領域とで同じディファレンシャルに設定すると、圧力(温度)の低い領域では少しの圧力変動により給蒸操作弁が開閉してしまうことによる。この実施例1では、圧力または温度が低くなる前記温度範囲ほど、制御ディファレンシャルは大きく設定しているので、給蒸操作弁15のハンチングを防止しつつ、給蒸操作弁15の開閉が制御される。
【0056】
蒸気加熱装置の使用に際しては、加熱調理しようとする被調理物7を処理槽1内に収容し、処理槽1の扉11を閉じる。この初期状態では、給蒸操作弁15、減圧操作弁17、封水給水弁21、熱交給水弁22は閉じられ、真空ポンプ20は作動を停止した状態で、復圧操作弁25と排蒸操作弁29および排水操作弁32は開かれる。そして、この状態から、典型的には、空気排除工程と加熱工程とが順次に行われる。
【0057】
空気排除工程では、給蒸操作弁15、復圧操作弁25、排蒸操作弁29および排水操作弁32を閉じた状態で、減圧手段3を作動させる。但し、ここでは熱交換器18は機能させずに、真空ポンプ20のみを作動させて処理槽1内を減圧する。すなわち、熱交給水弁22を閉じた状態で、減圧操作弁17および封水給水弁21を開いて真空ポンプ20を作動させる。このようにして、処理槽1内の空気を減圧手段3により外部へ真空引きして、処理槽1内の空気を排除することで、後の加熱工程における被調理物7の加熱調理を効果的に行うことができる。
【0058】
このような処理槽1内からの空気排除は、圧力センサ6を利用することで、設定圧力まで行ってもよいし、あるいは設定時間だけ行うようにしてもよい。さらに、この空気排除工程は、給蒸操作弁15を開いた状態で処理槽1内へ蒸気供給して行うこともできる。また、この空気排除工程は、必要により省略することもできる。
【0059】
加熱工程では、処理槽1内へ蒸気供給して、処理槽1内の被調理物7を加熱調理する工程である。具体的には、減圧操作弁17、封水給水弁21、熱交給水弁22、復圧操作弁25、排蒸操作弁29を閉じると共に、真空ポンプ20の作動を停止した状態で、給蒸操作弁15を開いて処理槽1内へ蒸気供給する。この際、処理槽1内が大気圧を超える場合、排水操作弁32を開くことで、処理槽1内の底部から凝縮水を外部へ排出する。
【0060】
このようにして、処理槽1内が所望の設定圧力になるまで、給蒸手段2により処理槽1内へ蒸気供給される。そして、処理槽1内を設定圧力に保持するように、圧力センサ6の検出圧力に基づき給蒸手段2による処理槽1内への蒸気供給を調整して、処理槽1内の被調理物7の加熱調理が図られる。この加熱工程中、設定圧力を段階的に上下に変化させてもよい。
【0061】
ところで、処理槽1内へ蒸気供給して行う被調理物7の加熱調理は、大気圧下で行う無圧蒸煮と、大気圧を超える圧力で行う加圧蒸煮と、所望時に減圧手段3を作動させて大気圧未満の圧力で行う減圧蒸煮とがある。
【0062】
無圧蒸煮の場合、減圧操作弁17、封水給水弁21、熱交給水弁22、復圧操作弁25を閉じると共に、真空ポンプ20の作動を停止した状態で、給蒸操作弁15、排蒸操作弁29、排水操作弁32を開いて、処理槽1内へ蒸気を供給する。
【0063】
加圧蒸煮の場合、減圧操作弁17、封水給水弁21、熱交給水弁22、復圧操作弁25、排蒸操作弁29を閉じると共に、真空ポンプ20の作動を停止した状態で、給蒸操作弁15、排水操作弁32を開いて、処理槽1内へ蒸気を供給する。従って、加圧蒸煮の場合には、排水ライン31から自動的に凝縮水が外部へ排出される。
【0064】
減圧蒸煮の場合は、復圧操作弁25、排蒸操作弁29、排水操作弁32を閉じた状態で、給蒸操作弁15を開いて、処理槽1内へ蒸気を供給する。この際、処理槽1内が設定上限圧力を超えると、減圧手段3を作動させて、設定下限圧力まで処理槽1内を減圧する。すなわち、減圧操作弁17、封水給水弁21、熱交給水弁22を開いた状態で、真空ポンプ20を作動させて、設定下限圧力まで処理槽1内を減圧し、設定下限圧力になると、これら各弁17,21,22を閉じると共に真空ポンプ20の作動を停止する。
【0065】
いずれの場合も、基本的には、蒸気供給による処理槽1内の加圧要因と、供給された蒸気の凝縮による処理槽1内の減圧要因とがバランスを保つように、給蒸操作弁15を開閉制御して、処理槽1内の圧力を目標値に維持して加熱調理がなされる。但し、減圧蒸煮の場合には、設定上限圧力を超えると、上述のとおり減圧手段3を作動させる場合がある。このような圧力目標値での維持制御中には、前述したように、ハンチング防止手段により、給蒸操作弁15のハンチングが防止される。
【0066】
このようにして、加熱工程では、処理槽1内へ蒸気が供給されることで、処理槽1内に収容された被調理物7を加熱調理することができる。この際、上述したように、処理槽1内へ供給される蒸気は、二次ボイラにて軟水から生成された清浄蒸気である。従って、安全で安心の加熱調理を実現することができる。また、被調理物7の全周囲に清浄蒸気を行き渡らせることで、短時間で均一の加熱料理がなされる。
【0067】
加熱工程では、処理槽1内への蒸気供給により処理槽1内の圧力を調整することで、処理槽1内の温度を調整することができる。本実施例では、60℃から130℃の範囲にて、自由な温度に設定して加熱調理を可能としている。このようにして処理槽1の圧力を調整することで、飽和蒸気温度が調整される。
【0068】
そして、加熱工程の終了時には、給蒸操作弁15が閉じられる。その際、処理槽1内が大気圧を超える圧力であれば、排蒸操作弁29を開いて、処理槽1内が大気圧になるまで、排水および排蒸がなされる。一方、処理槽1内が大気圧未満であれば、減圧手段3および排出手段5を作動させず、かつ、給蒸操作弁15を閉じると共に復圧操作弁25を開いて、処理槽1内を大気圧まで復圧する。
【実施例2】
【0069】
図2は、本発明の蒸気加熱装置の実施例2を示す概略構成図であり、蒸気調理装置に適用した例を示している。本実施例2の蒸気加熱装置も、基本的には前記実施例1と同様の構成である。そこで、以下では、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0070】
前記実施例1では、温度目標値に応じて制御ディファレンシャルを変更することで、給蒸操作弁15のハンチングの防止を図る構成としたが、本実施例2では、これに代えてまたはこれに加えて、給蒸ライン14にモータバルブ35を設けることでハンチングを抑制する。すなわち、本実施例2では、給蒸ライン14には、電磁弁からなる給蒸操作弁15の他に、モータバルブ35が直列に接続されている。図示例では、ボイラ(不図示)の側から順に、モータバルブ35と給蒸操作弁15とを設けたが、給蒸操作弁15とモータバルブ35との順序は入替可能である。
【0071】
本実施例2の場合、制御器33は、給蒸操作弁15およびモータバルブ35を同時に開閉制御する。給蒸操作弁15を構成する電磁弁と直列に、モータバルブ35が配置されるが、両弁15,35に同時に開放指令を出しても、電磁弁15は直ちに開放されるものの、モータバルブ35はその性質上、徐々に開度を増すように開放されることになる。このようなモータバルブ35の作動時間分の遅れを利用して、給蒸操作弁15のハンチングの防止を図ることができる。
【0072】
本発明の蒸気加熱装置は、前記各実施例の構成に限らず適宜変更可能である。たとえば、前記各実施例では、減圧手段3として、熱交換器18と真空ポンプ20との組合せを用いたが、蒸気エゼクタ、水エゼクタ、缶体冷却(冷却水による処理槽壁の冷却)、または凝縮熱交換器などを、単独または組み合わせて利用してもよい。また、前記加熱工程後には、所望により、含浸工程または真空冷却工程を行ってもよい。
【0073】
また、処理槽1内を設定圧力に維持する際の給蒸操作弁15のハンチング防止手段も前記各実施例の構成に限定されない。たとえば、前記実施例1において、電磁弁から構成される給蒸操作弁15を、その閉鎖から所定時間内は開放不能としつつ開閉制御することで、給蒸操作弁15のハンチングの防止を図ってもよい。この場合、ハンチング防止手段は、前記制御器33の一部を構成し、給蒸操作弁15が閉鎖されるとタイマーを始動して、その経過時間が所定時間内では給蒸操作弁15の開放を制限する。給蒸操作弁15が一旦閉鎖後、再び開放されるまでの最小時間に制限を設けることで、給蒸操作弁15のハンチングの防止を図ることができる。
【0074】
さらに、前記各実施例では、処理槽1内の圧力を目標値に維持するように、圧力センサ6の検出圧力に基づき給蒸操作弁15を開閉制御したが、処理槽1内の温度を目標値に維持するように、処理槽1内の温度を検出する温度センサ(不図示)の検出温度に基づき、給蒸操作弁15を開閉制御してもよい。あるいは、処理槽1内に収容した被調理物7の温度を目標値に維持するように、被調理物7の温度を検出する温度センサ8の検出温度に基づき、給蒸操作弁15を開閉制御してもよい。
【0075】
また、前記各実施例では、食材や食品などの被調理物7を、処理槽1内に収容してその加熱調理を図る蒸気調理装置について説明したが、手術用メスなどの被滅菌物(不図示)を、処理槽1内に収容してその滅菌処理を図る蒸気滅菌装置にも同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の蒸気加熱装置の実施例1を示す概略構成図である。
【図2】本発明の蒸気加熱装置の実施例2を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0077】
1 処理槽
2 給蒸手段
3 減圧手段
4 復圧手段
5 排出手段
6 圧力センサ
7 被加熱物(被調理物)
8 温度センサ
9 制御手段
14 給蒸ライン(蒸気導入管路)
15 給蒸操作弁(電磁弁)
35 モータバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物が収容される処理槽と、
給蒸操作弁を介して前記処理槽内へ蒸気供給する給蒸手段と、
前記処理槽内の圧力もしくは温度または前記被加熱物の温度を目標値に維持するよう前記給蒸操作弁の開閉を制御する際、前記給蒸操作弁のハンチングの防止を図るハンチング防止手段と
を備えることを特徴とする蒸気加熱装置。
【請求項2】
前記ハンチング防止手段は、前記目標値に維持する際の圧力または温度について、その上限値と下限値との差を前記目標値に応じて異ならせる手段である
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸気加熱装置。
【請求項3】
前記処理槽内を減圧する減圧手段と、
減圧された前記処置槽内を復圧する復圧手段と、
前記処理槽内の蒸気および/または凝縮水を外部へ排出する排出手段と、
前記処理槽内の圧力を検出する圧力センサと、
前記被加熱物の温度を検出する温度センサと、
圧力または温度を前記目標値に維持するように、前記圧力センサまたは前記温度センサの検出信号に基づき前記給蒸操作弁の開閉を制御する制御手段とをさらに備え、
この制御手段は、予め定められた複数の圧力範囲または温度範囲のいずれに前記目標値が属するかにより、前記目標値に維持する際の圧力または温度について、その上限値と下限値との差を異ならせる前記ハンチング防止手段を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の蒸気加熱装置。
【請求項4】
前記上限値と下限値との差は、圧力または温度が低くなる前記範囲ほど大きく設定される
ことを特徴とする請求項3に記載の蒸気加熱装置。
【請求項5】
前記制御手段は、変更可能に設定される温度目標値を圧力目標値に換算し、その圧力目標値に前記処理槽内を維持するように、前記圧力センサの検出信号に基づき電磁弁からなる前記給蒸操作弁の開閉を制御するよう構成され、
前記ハンチング防止手段は、予め定められた複数の温度範囲のいずれに前記温度目標値が属するかにより、前記圧力目標値に維持する際の圧力の上限値と下限値との差を異ならせる
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の蒸気加熱装置。
【請求項6】
前記給蒸手段は、蒸気発生装置からの蒸気を前記処理槽内へ供給する蒸気導入管路と、この蒸気導入管路の中途に設けられる電磁弁からなる前記給蒸操作弁とを備え、
前記ハンチング防止手段は、前記蒸気導入管路に前記電磁弁と順次に設けられるモータバルブを備え、
前記電磁弁および前記モータバルブが同時に開閉制御される
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸気加熱装置。
【請求項7】
前記給蒸手段は、蒸気発生装置からの蒸気を前記処理槽内へ供給する蒸気導入管路と、この蒸気導入管路の中途に設けられる電磁弁からなる前記給蒸操作弁とを備え、
この給蒸操作弁は、その閉鎖から所定時間内は開放不能とされつつ開閉制御される
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸気加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−229379(P2007−229379A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−57948(P2006−57948)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】