蒸気流量計および差圧発信器
【課題】配管を流れる蒸気が止まり、導圧管に溜まった水の自重を原因とした負圧が発生し、差圧ΔPが生じたとしても、流量の計測結果や差圧の検出結果に誤認が生じないようにする。
【解決手段】差圧発信器3は、静圧ΔPと飽和蒸気表JHとから蒸気の密度ρを求め、差圧ΔPと密度ρから蒸気の質量流量qmを演算し、出力する。配管を流れる蒸気が止まると、静圧Pが低下する。この静圧Pの低下に着目し、静圧Pが閾値Pthを下回った場合、差圧ΔPと密度ρから算出される質量流量qmの出力をカットし、質量流量qm=0を出力する。
【解決手段】差圧発信器3は、静圧ΔPと飽和蒸気表JHとから蒸気の密度ρを求め、差圧ΔPと密度ρから蒸気の質量流量qmを演算し、出力する。配管を流れる蒸気が止まると、静圧Pが低下する。この静圧Pの低下に着目し、静圧Pが閾値Pthを下回った場合、差圧ΔPと密度ρから算出される質量流量qmの出力をカットし、質量流量qm=0を出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配管を流れる蒸気の流量を計測する蒸気流量計およびこの蒸気流量計に用いて好適な差圧発信器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、石油化学や化学工業など各種プラントでは、蒸気が流れる配管に蒸気流量計を設置し、その配管を流れる蒸気の流量を計測するようにしている。この蒸気流量計は、オリフィス,楕円スロート、ベンチュリ管などの絞り部(差圧発生手段)と差圧発信器とを組み合わせて構成される。
【0003】
〔従来例1〕
図8に絞り部と差圧発信器とを組み合わせて構成された従来の蒸気流量計の一例を示す(例えば、特許文献1参照)。この蒸気流量計では、蒸気が流れる配管100に絞り部101を設け、配管(水平配管)100の下方に差圧発信器102を設置し、絞り部101によって発生する高圧側の蒸気圧力P1を導圧管103を介して差圧発信器102の受圧部102Aへ送り、また絞り部101によって発生する低圧側の蒸気圧力P2を導圧管104を介して差圧発信器102の受圧部102Aへ送り、高圧側の蒸気圧力P1と低圧側の蒸気圧力P2との差圧ΔPを検出し、この検出した差圧ΔPに基づいて配管100を流れる蒸気の流量を計測する。
【0004】
この蒸気流量計において、差圧発信器102における受圧部102Aは、円柱状のダイアフラムベース102A1と、このダイアフラムベース102A1の両側面に備えられた受圧ダイアフラム102A2,102A3と、この受圧ダイアフラム102A2,102A3の外側を囲むフランジカバー102A4と、受圧ダイアフラム102A2,102A3とダイアフラムベース102A1との間に封入された圧力伝達油(封入液)107A5とを有している。ダイアフラムベース102A1、受圧ダイアフラム102A2,102A3およびフランジカバー102A4はステンレス製とされている。
【0005】
この蒸気流量計において、導圧管103,104を介する蒸気圧力P1およびP2は、受圧部102Aの受圧ダイアフラム102A2,102A3に加えられ、圧力伝達油102A5を介して差圧センサチップ(図示せず)に伝達され、この差圧センサチップによって蒸気圧力P1とP2との差圧ΔPが検出される。そして、この差圧ΔPに基づいて、計測部102Bにおいて、配管100を流れる蒸気の流量が計測される。
【0006】
この蒸気流量計では、高温の蒸気が受圧ダイアフラム102A2,102A3に直接触れると、受圧ダイアフラム102A2,102A3において水素透過現象が生じる虞がある。ここでいう水素透過現象とは、受圧ダイアフラム102A2,102A3が長期間高温高圧の蒸気にさらされることで水素が受圧ダイアフラム102A2,102A3の内部を熱拡散現象により移動し、ダイアフラムベース102A1側の圧力伝達油102A5に溶け込む現象である。この水素透過現象によって水素が圧力伝達油102A5に溶け込むと、例えばプラント停止時などにおいて受圧ダイアフラム102A2,102A3に圧力が印加されなくなった場合、圧力伝達油102A5内で高圧によって圧縮されていた水素が急に膨張し、受圧ダイアフラム102A2,102A3を変形させる虞がある。
【0007】
そこで、この蒸気流量計では、差圧発信器102を絞り部101よりも下方に位置させ、タンクT1,T2を設けて導圧管103,104内に水を溜め、この導圧管103,104内に溜められた水を受圧ダイアフラム102A2,102A3に接するものとしている。また、導圧管103,104内に溜められた水に錆などの異物が混入し堆積する虞があるので、定期的に、コック105,106を操作することによって導圧管103,104に溜められた水をパージし、タンクT1,T2より水を補給するようにしている。
【0008】
〔従来例2〕
図8に示した蒸気流量計では、プラント稼働前に、導圧管103,104に水を供給する必要がある。また、定期的に、導圧管103,104に溜められた水をパージし、水を補給する必要がある。そこで、このような手間をなくすため、本出願人は、特許文献2に示されるようなセルフウォータシール構造を採用した蒸気流量計を提案した。図9にその基本構造を示す。
【0009】
このセルフウォータシール構造を採用した蒸気流量計では、配管100の上方に差圧発信器107を設置し、絞り部101によって発生する高圧側の蒸気圧力P1を導圧管108を介して差圧発信器107の受圧部107Aへ送り、また絞り部101によって発生する低圧側の蒸気圧力P2を導圧管109を介して差圧発信器107の受圧部107Aへ送り、高圧側の蒸気圧力P1と低圧側の蒸気圧力P2との差圧ΔPを検出し、この検出した差圧ΔPに基づいて配管100を流れる蒸気の流量を計測する。
【0010】
この蒸気流量計では、差圧発信器107を配管100の上方に設置させ、フランジカバー107A4の上方から受圧部107Aへ蒸気を導くようにしているので、導圧管108,109を介して送られてきた蒸気が受圧部107Aにおいて冷却されて液化し、受圧ダイアフラム107A2,107A3とフランジカバー107A4との間に形成されるウォータポケット(封液部)107A6,107A7に飽和水(封止水)となって溜まる。
【0011】
この場合、受圧ダイアフラム107A2,107A3には、ウォータポケット107A6,107A7に溜められた飽和水を介して蒸気圧力P1およびP2が加えられる。そして、この受圧ダイアフラム107A2,107A3に加えられた蒸気圧力P1およびP2が圧力伝達油107A5を介して差圧センサチップ(図示せず)に伝達され、この差圧センサチップによって蒸気圧力P1とP2との差圧ΔPが検出される。
【0012】
また、受圧ダイアフラム107A2に加えられた蒸気圧力P1が圧力伝達油107A5を介して圧力センサチップ(図示せず)に伝達され、この圧力センサチップによって蒸気圧力P1と基準圧力P0との差として、配管100内の静圧Pが検出される。
【0013】
そして、計測部107Bにおいて、圧力センサチップによって検出された静圧Pと圧力基準の飽和蒸気表とから蒸気の密度ρが求められ、この蒸気の密度ρと差圧センサチップによって検出された差圧ΔPとから配管100を流れる蒸気の質量流量qmが算出される。
【0014】
この蒸気流量計では、配管100に蒸気が流れると、ウォータポケット107A6,107A7に自動的に飽和水が溜まるので、プラント稼働前に水を補給することなく、受圧ダイアフラム107A2,107A3を蒸気から保護することができる。また、受圧部107Aが配管100の上方に位置しているので、ウォータポケット107A6,107A7に溜められた飽和水に錆などの異物が混入して堆積する虞がなく、長期間にわたって正確な流量の計測が可能となる。また、蒸気を流している間、飽和水の液位は保たれるので、水の補給や定期的なパージも必要としない。
【0015】
なお、配管100内の静圧Pを検出するのではなく、配管100を流れる蒸気の温度Tを検出し、この検出した温度Tと温度基準の飽和蒸気表とから蒸気の密度ρを求め、この求めた蒸気の密度ρと検出された差圧ΔPとから配管100を流れる蒸気の質量流量qmを算出する方式もある。
【0016】
【特許文献1】特開平5−322607号公報
【特許文献2】特開2006−78230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上述したセルフウォータシール構造を採用した蒸気流量計では、例えば、絞り部101の上流側にボイラーやバルブがあり、このボイラーを止めたり、バルブを閉めたりして、配管100内の蒸気の流れが止まると、導圧管108や109の管路の途中に水が溜まり、この溜まった水の自重を原因とした負圧が発生し、差圧ΔPが0とならないことがある。
【0018】
この差圧ΔPが生じるメカニズムについて説明する。ボイラーを止めたり、バルブを閉めたりして、配管100内の蒸気の流れが止まると、蒸気が冷えて液化した水が導圧管108,109の内壁面を伝って配管方向へ流れて行く。ここで、導圧管108,109の内壁面を伝って配管方向へ流れる水は、圧力の変化や配管のちょっとした段差などでその管路の途中に詰まり易い。
【0019】
例えば、図10(a)に示すように、導圧管109の内壁面を伝って配管方向へ流れる水が段差部109aに達し、段差部109aを塞ぐことがある。このような状態が生じると、熱伝導のよい導圧管109から熱が放出されるので、段差部109aを塞いだ水が冷やされ、更にこの水に蒸気が集まって液化し、水の層が厚くなって行く(図10(b)参照)。
【0020】
これにより、導圧管109内の蒸気が水の層で上下に分断され、導圧管109の上側の管路内の蒸気の温度が下がってその管路内の圧力が小さくなると、段差部109aに溜まった水の層が吸い上げられる(図10(c)参照)。そして、導圧管109の上側の管路内の蒸気の温度と下側の管路内の蒸気の温度が平衡状態となると、吸い上げられた水の層が自重で下がり(図10(d)参照)、導圧管109の上側の管路内の圧力を負圧とする。
【0021】
導圧管108側でも同様にして、導圧管108の途中に水の層が生じることがあり、その水の層で分断される導圧管108の上側の管路内の圧力を負圧とする。この場合、導圧管108の管路の途中に生じた水の層と導圧管109の管路の途中に生じた水の層とは、同じ長さとなるとは限らない。これにより、配管100内に蒸気が流れが止まっても差圧ΔPが0とならず、蒸気が流れていると誤認させるような計測結果が出力されてしまう。
【0022】
なお、上述した例では、セルフウォータシール構造を採用して蒸気の流量を計測する蒸気流量計を例にとって説明したが、セルフウォータシール構造を採用して差圧を検出する差圧計においても同様の問題が生じる虞がある。
【0023】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、配管を流れる蒸気が止まり、導圧管の管路の途中に溜まった水の自重を原因とした負圧が発生したとしても、流量の計測結果や差圧の検出結果に誤認が生じる虞がない蒸気流量計および差圧発信器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
このような目的を達成するために本発明は、配管を流れる蒸気に差圧を発生させる差圧発生手段と、この差圧発生手段によって発生する高圧側の蒸気圧力および低圧側の蒸気圧力を受圧部にそれぞれ導く第1および第2の導圧管と、第1の導圧管と受圧部の受圧面との間に位置し第1の導圧管に導かれて冷却液化された蒸気が溜められる第1の封液部と、第2の導圧管と受圧部の受圧面との間に位置し第2の導圧管に導かれて冷却液化された蒸気が溜められる第2の封液部と、第1の封液部を介して受圧部に与えられる高圧側の蒸気圧力と第2の封液部を介して受圧部に与えられる低圧側の蒸気圧力との差圧を検出する差圧検出手段と、この差圧検出手段によって検出される差圧に基づいて配管を流れる蒸気の流量を計測しその流量の計測結果を出力する流量計測手段とを備えた蒸気流量計において、配管内の蒸気の状態を検出する蒸気状態検出手段と、この蒸気状態検出手段によって検出される蒸気の状態に基づいて流量計測手段からの流量の計測結果の出力をカットする出力カット手段とを設けたものである。
【0025】
この発明によれば、配管を流れる蒸気の状態に基づいて、流量計測手段からの流量の計測結果の出力がカットされる。例えば、本発明では、配管内の蒸気の状態として配管内の静圧を検出し、この検出される静圧が所定の閾値を下回った場合に流量計測手段からの流量の計測結果の出力をカットしたり、配管内の蒸気の状態として配管内の蒸気の温度を検出し、この検出される温度が所定の閾値を下回った場合に流量計測手段からの流量の計測結果の出力をカットしたりする。
【0026】
受圧部が配管よりも上方に位置するセルフウォータシール構造を採用した蒸気流量計では、上流側のボイラーを止めたり、バルブを閉めたりして、配管内の蒸気の流れが止まると、導圧管の管路の途中にに溜まった水の自重を原因とした負圧が発生し、差圧ΔPが0とならず、流量の計測結果に誤認が生じる虞がある。この場合、配管内の蒸気の流れが止まることによって、配管内の静圧が低下したり、配管内の蒸気の温度が低下したりする。本発明では、このような配管内の蒸気の状態の変化に着目し、配管内の静圧が所定の閾値を下回った場合に流量の計測結果の出力をカットしたり、配管内の蒸気の温度が所定の閾値を下回った場合に流量の計測結果の出力をカットしたりする。
【0027】
なお、蒸気の流量を質量流量として計測する蒸気流量計では、蒸気の密度を求めるために配管内の静圧を検出する手段を備えていたり、配管内の温度を検出する手段を備えていたりする。この場合、その配管内の静圧を検出する手段や配管内の温度を検出する手段を利用し、配管内の静圧が所定の閾値を下回った場合に流量の計測結果の出力をカットしたり、配管内の蒸気の温度が所定の閾値を下回った場合に流量の計測結果の出力をカットしたりすることができる。
【0028】
また、本発明は、配管を流れる蒸気に差圧を発生させる差圧発生手段と、この差圧発生手段によって発生する高圧側の蒸気圧力および低圧側の蒸気圧力を受圧部にそれぞれ導く第1および第2の導圧管と、第1の導圧管と受圧部の受圧面との間に位置し第1の導圧管に導かれて冷却液化された蒸気が溜められる第1の封液部と、第2の導圧管と受圧部の受圧面との間に位置し第2の導圧管に導かれて冷却液化された蒸気が溜められる第2の封液部とを備えた差圧発生構造に対して付設される差圧発信器としても提供することができる。
【0029】
この場合、その差圧発信器には、第1の封液部を介して受圧部に与えられる高圧側の蒸気圧力と第2の封液部を介して受圧部に与えられる低圧側の蒸気圧力との差圧を検出する差圧検出手段と、この差圧検出手段によって検出される差圧に基づいて配管を流れる蒸気の流量を計測しその流量の計測結果を出力する流量計測手段と、配管内の蒸気の状態に基づいて流量計測手段からの流量の計測結果の出力をカットする出力カット手段とを設ける。
【0030】
なお、この差圧発信器では、配管内の蒸気の状態に基づいて流量の計測結果の出力をカットするが、配管内の蒸気の状態は配管内の静圧であったり、配管内の温度であったりする。この場合、配管側で静圧や温度を検出する場合も考えられ、すなわち配管側に設けられた静圧センサや温度センサからの信号を差圧発信器に取り込むことも考えられ、配管内の蒸気の状態を検出する手段を差圧発信器に必ずしも内蔵させなくてもよい。
【0031】
また、本発明において、差圧発信器は、必ずしも流量計測機能を備えた構成としなくてもよい。例えば、第1の封液部を介して受圧部に与えられる高圧側の蒸気圧力と第2の封液部を介して受圧部に与えられる低圧側の蒸気圧力との差圧を検出しその差圧の検出結果を出力する差圧検出手段と、配管内の蒸気の状態に基づいて差圧検出手段からの差圧の検出結果の出力をカットする出力カット手段とを設け、差圧発生構造と組み合わせて差圧計として用いるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、セルフウォータシール構造を採用した蒸気流量計において、配管内の蒸気の状態を検出し、この蒸気の状態に基づいて流量の計測結果の出力をカットするようにしたので、例えば、配管内の静圧が所定の閾値を下回った場合に流量の計測結果の出力をカットしたり、配管内の蒸気の温度が所定の閾値を下回った場合に流量の計測結果の出力をカットしたりするようにして、配管を流れる蒸気が止まり、導圧管の管路の途中に溜まった水の自重を原因とした負圧が発生したとしても、流量の計測結果に誤認が生じる虞がないようにすることが可能となる。
【0033】
また、セルフウォータシール構造を採用した差圧発生構造に対して付設される差圧発信器において、配管内の蒸気の状態に基づいて流量の計測結果の出力をカットするようにしたので、例えば、配管内の静圧が所定の閾値を下回った場合に流量の計測結果の出力をカットしたり、配管内の蒸気の温度が所定の閾値を下回った場合に流量の計測結果の出力をカットしたりするようにして、配管を流れる蒸気が止まり、導圧管の管路の途中に溜まった水の自重を原因とした負圧が発生しても、流量の計測結果に誤認が生じる虞がないようにすることが可能となる。
【0034】
また、セルフウォータシール構造を採用した差圧発生構造に対して付設される差圧発信器において、配管内の蒸気の状態に基づいて差圧の検出結果の出力をカットするようにしたので、例えば、配管内の静圧が所定の閾値を下回った場合に差圧の検出結果の出力をカットしたり、配管内の蒸気の温度が所定の閾値を下回った場合に差圧の計測結果の出力をカットしたりするようにして、配管を流れる蒸気が止まり、導圧管の管路の途中に溜まった水の自重を原因とした負圧が発生したとしても、差圧の検出結果に誤認が生じる虞がないようにすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。図1はこの発明に係る蒸気流量計の一実施の形態の要部を示す図である。この蒸気流量計1は差圧発生構造2と差圧発信器3とを組み合わせて構成されている。図1において、差圧発生構造2についてはその構造を断面図で示し、差圧発信器3については受圧部4内の構造のみを断面図で示している。
【0036】
差圧発生構造2は、絞り部2aが形成された計測管路部2−1と、この計測管路部2−1の上方に設けられたセルフウォータシール構造部2−2とから構成され、計測管路部2−1は蒸気が流れる配管100の途中に設置される。本実施の形態において、絞り部2aは楕円スロートとされており、この絞り部2aを蒸気が通過する際に高圧側の蒸気圧力P1と低圧側の蒸気圧力P2が発生する。楕円スロートは、流体の隆線に沿った絞り構造を持つことで、キャビテーションが少なく、低流量まで安定して差圧を発生させることができる。また、絞り構造自体が整流作用を持つため、短い上流直管長を実現することができる。
【0037】
また、計測管路部2−1には、絞り部2aによって発生する高圧側の蒸気圧力P1をセルフウォータシール構造部2−2へ導く導圧路2bと、絞り部2aによって発生する低圧側の蒸気圧力P2をセルフウォータシール構造部2−2へ導く導圧路2cとが形成されている。導圧路2bおよび2cは絞り部2aを通過する蒸気の流れ方向に対して垂直な方向へ延びた通路とされている。
【0038】
セルフウォータシール構造部2−2には、計測管路部2−1の導圧路2bから導かれる蒸気圧力P1を受圧部4に導く導圧路2dと、計測管路部2−1の導圧路2cから導かれる蒸気圧力P2を受圧部4に導く導圧路2eとが形成されている。導圧路2dおよび2eは、導圧路2bおよび2cが蒸気の流れ方向に対して垂直な方向へ延びた通路であるのに対し、やや外側に傾斜させた通路とされている。また、その通路の上端が「く」の字状に折り曲げられ、受圧部4におけるダイアフラムの収容部2jの外壁を貫通し、その収容部2jの内部空間と連通されている。
【0039】
なお、計測管路部2−1とセルフウォータシール構造2−2との結合部には、導圧路2bと導圧路2dとの間にOリング2hが設けられ、導圧路2cと導圧路2eとの間にOリング2iが設けられ、導圧路2bと導圧路2dとによって第1の導圧管2Aが形成され、導圧路2cと導圧路2eとによって第2の導圧管2Bが形成されている。
【0040】
差圧発信器3は、受圧部4の構成要素として、円柱状のダイアフラムベース3aと、このダイアフラムベース3aの両側面に備えられた受圧ダイアフラム3b,3cと、ダイアフラムベース3aと受圧ダイアフラム3b,3cとの間に封入された圧力伝達油3dとを備えており、これらの構成要素がダイアフラム3eとしてセルフウォータシール構造部2−2の収容部2jに配置されている。このダイアフラム3eの収容部2jへの配置により、収容部2jの内壁面と受圧ダイアフラム3b,3cとの間にウォータポケット2fおよび2gが形成されている。
【0041】
また、差圧発信器3は、図2にその要部の構成を示すように、CPU3−1と、ROM3−2と、RAM3−3−3と、ディスプレイ3−4と、差圧センサチップ3−5と、圧力センサチップ3−6と、インタフェース3−7〜3−10とを備えている。
【0042】
この差圧発信器3において、差圧センサチップ3−5は、受圧部4からの圧力伝達油3dを介する蒸気圧力P1およびP2の伝達を受けて、この蒸気圧力P1とP2との差圧ΔPを検出する。また、圧力センサチップ3−6は、受圧部4からの圧力伝達油3dを介する蒸気圧力P1の伝達を受けて、この蒸気圧力P1と基準圧力P0との差を配管100内の静圧Pとして検出する。
【0043】
なお、この実施の形態では、蒸気圧力P1と基準圧力P0との差として静圧Pを検出するようにしているが、基準圧力P0を使用せずに、蒸気圧力P1を静圧Pとして検出するようにしてもよい。また、静圧Pを検出する箇所は、必ずしも絞り部2aの上流側でなくてもよく、下流側であっても構わない。
【0044】
CPU3−1は、差圧センサチップ3−5からの差圧ΔPおよび圧力センサチップ3−6からの静圧Pを入力とし、RAM3−3にアクセスしながら、ROM3−2に格納されているプログラムに従って動作する。ROM3−2には、本実施の形態特有のプログラムとして、流量計測プログラムが格納されている。
【0045】
以下、図3に示すフローチャートを参照しながら、ROM3−2に格納された流量計測プログラムに従うCPU3−1の処理動作について説明する。なお、この図3に示したフローチャートは所定の周期で繰り返し実行される。
【0046】
〔蒸気が流れている場合〕
配管100に蒸気が流れている場合、導圧管2A,2Bを介して送られてきた蒸気が受圧部4におけるダイアフラムの収容部2jなどにより冷却されて液化し、受圧ダイアフラム3b,3cと収容部2jの内壁面との間に形成されているウォータポケット2f,2gに飽和水(封止水)となって溜まる。なお、図1に点線で示すラインL1は、封止水の液位(喫水線)を示す。また、収容部2jの外壁面には、蒸気の冷却を速めるための放熱フィン2kが形成されている。
【0047】
この場合、受圧ダイアフラム3b,3cには、ウォータポケット2f,2gに溜められた飽和水を介して蒸気圧力P1およびP2が加えられる。そして、この受圧ダイアフラム3b,3cに加えられた蒸気圧力P1およびP2が圧力伝達油3dを介して差圧センサチップ3−5に伝達され、この差圧センサチップ3−5によって蒸気圧力P1とP2との差圧ΔPが検出される。
【0048】
また、受圧ダイアフラム3bに加えられた蒸気圧力P1が圧力伝達油3dを介して圧力センサチップ3−6に伝達され、この圧力センサチップ3−6によって蒸気圧力P1と基準圧力P0との差として、配管100内の静圧Pが検出される。
【0049】
CPU3−1は、差圧センサチップ3−5によって検出される差圧ΔPと圧力センサチップ3−6によって検出される静圧Pを取り込み(図3:ステップS101,S102)、静圧Pが閾値Pth以上であるか否かをチェックする(ステップS103)。この閾値Pthは、配管100を蒸気が流れているか否かを判断するためのものであり、適切な値としてROM3−2内に予め設定されている。
【0050】
この例では、配管100に蒸気が流れているので、静圧Pは閾値Pth以上となる。静圧Pが閾値Pth以上であることを確認すると(ステップS103のYES)、CPU3−1は、静圧Pと圧力基準の飽和蒸気表とから蒸気の密度ρを求める。なお、ここで使用する圧力基準の飽和蒸気表は、飽和蒸気表JHとしてROM3−2に予め設定されている。
【0051】
そして、CPU3−1は、ステップS101で取り込んだ差圧ΔPとステップS104で求めた蒸気の密度ρとから、配管100を流れる蒸気の質量流量qmを算出する(ステップS105)。この蒸気の質量流量qmの算出に際しては、JISZ8762の規定に従って、下記の算出式((1)式)を用いる。なお、この算出式において、Cは流出係数、βは絞り直径比、εは圧縮(膨張)係数、dは絞り機構の穴直径である。
qm=〔C/(1−β4)1/2〕・ε・π/4・d2・(2ΔP・ρ)1/2 ・・・・(1)
【0052】
そして、CPU3−1は、この算出した蒸気の質量流量qmを出力する(ステップS106)。すなわち、この蒸気の質量流量qmをインタフェース3−7を介してディスプレイ3−4へ送り、ディスプレイ3−4の画面上に表示させる。また、インタフェース3−8を介して、外部の装置へ出力する。
【0053】
なお、図3に示したフローチャートでは処理ステップとして示していないが、CPU3−1は、静圧Pと飽和蒸気表JHとから蒸気の温度Tを求め、この温度Tや静圧Pについてもディスプレイ3−4に表示させたり、外部の装置へ出力したりする。また、質量流量qmと密度ρとから蒸気の体積流量を求め、ディスプレイ3−4に表示させたり、外部の装置へ出力したりする。
【0054】
〔蒸気の流れが停止した場合〕
例えば、絞り部2aの上流側にボイラーやバルブがあり、このボイラーを止めたり、バルブを閉めたりして、配管100内の蒸気の流れが止まったとする。この場合、従来例2でも説明したように、導圧管2Aや2Bの管路の途中に水が溜まり、この溜まった水の自重を原因とした負圧が発生し、差圧ΔPが0とならないことがある。
【0055】
この場合、配管100内の蒸気の流れが止まることによって、配管100内の静圧が低下する。本実施の形態では、この静圧の低下に着目する。CPU3−1は、配管100内の蒸気の流れが止まり、圧力センサチップ3−6によって検出される静圧Pが閾値Pthを下回ると(ステップS103のNO)、差圧ΔPと密度ρとからの質量流量qmの算出処理には進まず、強制的に質量流量qmを0として出力する(ステップS107)。すなわち、静圧Pが閾値Pthを下回った場合、配管100内の蒸気の流れが止まったと判断し、差圧ΔPと密度ρとから算出される質量流量qmの出力をカットし、その時に予想される質量流量qm=0を強制的に出力する。
【0056】
これにより、配管100を流れる蒸気が止まり、導圧管2Aや2Bの管路の途中に溜まった水の自重を原因とした負圧が発生し、差圧ΔPが生じたとしても、この差圧ΔPと密度ρとから算出される質量流量qmが出力されることがなく、流量の計測結果に誤認が生じないものとなる。
【0057】
なお、この例では、静圧Pが閾値Pthを下回った場合、差圧ΔPと密度ρとからの質量流量qmの算出処理を行わないようにしたが、差圧ΔPと密度ρとからの質量流量qmの算出処理は行い、この算出された質量流量qmの出力を中断させ、強制的に質量流量qm=0を出力するようにしてもよい。また、必ずしも質量流量qmを0として出力するようにしなくてもよく、例えば蒸気の流れが停止していることをメッセージによって知らせたりするなどしてもよい。
【0058】
図4にこの実施の形態における差圧発信器3の機能ブロック図を示す。差圧発信器3は、絞り部2aによって発生する高圧側の蒸気圧力P1と低圧側の蒸気圧力P2との差圧ΔPを検出する差圧検出部3Aと、絞り部2aによって発生する高圧側の蒸気圧力P1と基準圧力P0との差を静圧Pとして検出する静圧検出部3Bと、圧力基準の飽和蒸気表JHを記憶する飽和蒸気表記憶部3Cと、静圧検出部3Bによって検出される静圧Pと飽和蒸気表記憶部3Cに記憶されている飽和蒸気表JHとから蒸気の密度ρを求める密度算出部3Dと、差圧検出部3Aによって検出される差圧ΔPと密度算出部3dによって求められた密度ρとから蒸気の質量流量qmを算出する質量流量演算部3Eと、静圧検出部3Bによって検出される静圧Pと予め定められている閾値Pthとを比較し、静圧Pが閾値Pthを下回った場合に質量流量演算部3Eにおいて算出される質量流量qmの出力をカットし、強制的に質量流量qm=0を出力させる出力カット部3Fとを備えている。この機能ブロック図において、差圧検出部3Aは差圧センサチップ3−5の機能により実現され、静圧検出部3Bは圧力センサチップ3−6の機能により実現され、密度算出部3D、質量流量演算部3Eおよび出力カット部3FはCPU3−1の処理機能として実現される。
【0059】
なお、上述した実施の形態では、絞り部2aによって発生する高圧側の蒸気圧力P1と基準圧力P0との差を静圧Pとして検出し、この検出した静圧Pから圧力基準の飽和蒸気表JHから密度ρを算出するようにしたが、図5にその機能ブロック図を示すように、例えば、配管100側に温度センサ(図示せず)を設けて蒸気の温度Tを検出するものとし、この検出した温度Tと予め定められている温度基準の飽和蒸気表JH’とから蒸気の密度ρを求め、この求めた蒸気の密度ρと差圧ΔPとから蒸気の質量流量qm算出するようにしてもよい。この場合、出力カット部3Fでは、蒸気の温度Tと予め定められている閾値Tthとを比較し、蒸気の温度Tが閾値Tthを下回った場合に、質量流量演算部3Eにおいて算出される質量流量qmの出力をカットし、強制的に質量流量qm=0を出力させるようにする。
【0060】
また、上述した実施の形態では、差圧発信器3を流量計測機能を備えた構成としたが、流量計測機能を備えない構成とし、差圧発生構造2と組み合わせて差圧計として用いるようにしてもよい。図6にこの場合の差圧発信器3の機能ブロック図を示す。この構成では、出力カット部3Fにおいて、静圧Pと閾値Pthとを比較し、静圧Pが閾値Pthを下回った場合に、差圧検出部3Aからの差圧ΔPの検出値の出力をカットし、強制的に差圧ΔP=0を出力させるようにする。
【0061】
また、流量計測機能を備えない構成とする場合、図7にその機能ブロック図を示すように、配管100内の蒸気の温度Tを検出するものとし、この検出した蒸気の温度Tと閾値Tthとを比較し、蒸気の温度Tが閾値Tthを下回った場合に、差圧検出部3Aからの差圧ΔPの検出値の出力をカットし、強制的に差圧ΔP=0を出力させるようにしてもよい。
【0062】
また、上述した実施の形態では、絞り部2aを楕円スロートとしたが、オリフィスやベンチュリ管などとしてもよいことは言うまでもない。
また、上述した実施の形態では、配管100内の蒸気の状態として配管100内の静圧Pや配管100内の蒸気の温度Tを検出するようにしたが、配管100内の蒸気の流れが停止したことを検出することができればよく、ボイラの停止状態やバルブの閉止状態を検出するようにしたりしてもよい。
【0063】
また、上述した実施の形態では、受圧部4が配管100よりも上方に位置するセルフウォータシール構造を例にとって説明したが、受圧部4が配管100よりも下方に位置するセルフウォータシール構造の場合にも、上述と同様にして、配管100内の蒸気の状態に基づいて流量の計測結果の出力をカットしたり、差圧の検出結果の出力をカットしたりすることができる。
【0064】
受圧部4を配管100よりも下方に位置させたセルフウォータシール構造の場合、ウォータポケット2f,2g内の封止水の液位のバランスが崩れて差圧が生じる状態が発生することがある。例えば、測定の終了時に、配管100内部に蒸気を一気に流して終了するという場合があり、その時、管内の急減圧により封止水の気化が発生し、ウォータポケット2f,2g内の封止水の液位のバランスが崩れ、差圧が生じることがある。
【0065】
このように、受圧部4を配管100よりも下方に位置させたセルフウォータシール構造の場合、何らかの影響によりウォータポケット2f,2g内の封止水の液位に差異が生じ、それによる静圧差の発生が起こり得る。このような場合にも、本発明を適用することによって、流量の計測結果や差圧の検出結果に誤認が生じないようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る蒸気流量計の一実施の形態の要部を示す構造図である。
【図2】この蒸気流量計に用いる差圧発信器の要部を示すブロック図である。
【図3】この差圧発信器におけるCPUが実行する流量計測プログラムに従う処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】この差圧発信器の要部の機能ブロック図である。
【図5】配管内の蒸気の温度を検出して算出される質量流量の出力をカットするようにした差圧発信器の構成例を示す機能ブロック図である。
【図6】配管内の静圧を検出して差圧の検出値の出力をカットするようにした差圧発信器の構成例を示す機能ブロック図である。
【図7】配管内の蒸気の温度を検出して差圧の検出値の出力をカットするようにした差圧発信器の構成例を示す機能ブロック図である。
【図8】絞り部と差圧発信器とを組み合わせて構成された従来の蒸気流量計の一例(従来例1)を示す図である。
【図9】セルフウォータシール構造を採用した従来の蒸気流量計の一例(従来例2)を示す図である。
【図10】セルフウォータシール構造を採用した蒸気流量計における蒸気の流れが止まった場合の問題を説明する図である。
【符号の説明】
【0067】
1…蒸気流量計、2…差圧発生構造、2−1…計測管路部、2−2…セルフウォータシール構造部、2a…絞り部、2b〜2e…導圧路、2f,2g…ウォーターポケット、2h,2i…Oリング、2j…収容部、2k…放熱フィン、2A…第1の導圧管、2B…第2の導圧管、3…差圧発信器、3a…ダイアフラムベース、3b,3c…受圧ダイアフラム、3d…圧力伝達油、3e…ダイアフラム、3−1…CPU、3−2…ROM、3−3…RAM、3−4…ディスプレイ、3−5…差圧センサチップ、3−6…圧力センサチップ、3−7〜3−10…インタフェース、3A…差圧検出部、3B…静圧検出部、3C…飽和蒸気表記憶部、3D…密度算出部、3E…質量流量演算部、3F…出力カット部、JH,JH’…飽和蒸気表、100…配管。
【技術分野】
【0001】
この発明は、配管を流れる蒸気の流量を計測する蒸気流量計およびこの蒸気流量計に用いて好適な差圧発信器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、石油化学や化学工業など各種プラントでは、蒸気が流れる配管に蒸気流量計を設置し、その配管を流れる蒸気の流量を計測するようにしている。この蒸気流量計は、オリフィス,楕円スロート、ベンチュリ管などの絞り部(差圧発生手段)と差圧発信器とを組み合わせて構成される。
【0003】
〔従来例1〕
図8に絞り部と差圧発信器とを組み合わせて構成された従来の蒸気流量計の一例を示す(例えば、特許文献1参照)。この蒸気流量計では、蒸気が流れる配管100に絞り部101を設け、配管(水平配管)100の下方に差圧発信器102を設置し、絞り部101によって発生する高圧側の蒸気圧力P1を導圧管103を介して差圧発信器102の受圧部102Aへ送り、また絞り部101によって発生する低圧側の蒸気圧力P2を導圧管104を介して差圧発信器102の受圧部102Aへ送り、高圧側の蒸気圧力P1と低圧側の蒸気圧力P2との差圧ΔPを検出し、この検出した差圧ΔPに基づいて配管100を流れる蒸気の流量を計測する。
【0004】
この蒸気流量計において、差圧発信器102における受圧部102Aは、円柱状のダイアフラムベース102A1と、このダイアフラムベース102A1の両側面に備えられた受圧ダイアフラム102A2,102A3と、この受圧ダイアフラム102A2,102A3の外側を囲むフランジカバー102A4と、受圧ダイアフラム102A2,102A3とダイアフラムベース102A1との間に封入された圧力伝達油(封入液)107A5とを有している。ダイアフラムベース102A1、受圧ダイアフラム102A2,102A3およびフランジカバー102A4はステンレス製とされている。
【0005】
この蒸気流量計において、導圧管103,104を介する蒸気圧力P1およびP2は、受圧部102Aの受圧ダイアフラム102A2,102A3に加えられ、圧力伝達油102A5を介して差圧センサチップ(図示せず)に伝達され、この差圧センサチップによって蒸気圧力P1とP2との差圧ΔPが検出される。そして、この差圧ΔPに基づいて、計測部102Bにおいて、配管100を流れる蒸気の流量が計測される。
【0006】
この蒸気流量計では、高温の蒸気が受圧ダイアフラム102A2,102A3に直接触れると、受圧ダイアフラム102A2,102A3において水素透過現象が生じる虞がある。ここでいう水素透過現象とは、受圧ダイアフラム102A2,102A3が長期間高温高圧の蒸気にさらされることで水素が受圧ダイアフラム102A2,102A3の内部を熱拡散現象により移動し、ダイアフラムベース102A1側の圧力伝達油102A5に溶け込む現象である。この水素透過現象によって水素が圧力伝達油102A5に溶け込むと、例えばプラント停止時などにおいて受圧ダイアフラム102A2,102A3に圧力が印加されなくなった場合、圧力伝達油102A5内で高圧によって圧縮されていた水素が急に膨張し、受圧ダイアフラム102A2,102A3を変形させる虞がある。
【0007】
そこで、この蒸気流量計では、差圧発信器102を絞り部101よりも下方に位置させ、タンクT1,T2を設けて導圧管103,104内に水を溜め、この導圧管103,104内に溜められた水を受圧ダイアフラム102A2,102A3に接するものとしている。また、導圧管103,104内に溜められた水に錆などの異物が混入し堆積する虞があるので、定期的に、コック105,106を操作することによって導圧管103,104に溜められた水をパージし、タンクT1,T2より水を補給するようにしている。
【0008】
〔従来例2〕
図8に示した蒸気流量計では、プラント稼働前に、導圧管103,104に水を供給する必要がある。また、定期的に、導圧管103,104に溜められた水をパージし、水を補給する必要がある。そこで、このような手間をなくすため、本出願人は、特許文献2に示されるようなセルフウォータシール構造を採用した蒸気流量計を提案した。図9にその基本構造を示す。
【0009】
このセルフウォータシール構造を採用した蒸気流量計では、配管100の上方に差圧発信器107を設置し、絞り部101によって発生する高圧側の蒸気圧力P1を導圧管108を介して差圧発信器107の受圧部107Aへ送り、また絞り部101によって発生する低圧側の蒸気圧力P2を導圧管109を介して差圧発信器107の受圧部107Aへ送り、高圧側の蒸気圧力P1と低圧側の蒸気圧力P2との差圧ΔPを検出し、この検出した差圧ΔPに基づいて配管100を流れる蒸気の流量を計測する。
【0010】
この蒸気流量計では、差圧発信器107を配管100の上方に設置させ、フランジカバー107A4の上方から受圧部107Aへ蒸気を導くようにしているので、導圧管108,109を介して送られてきた蒸気が受圧部107Aにおいて冷却されて液化し、受圧ダイアフラム107A2,107A3とフランジカバー107A4との間に形成されるウォータポケット(封液部)107A6,107A7に飽和水(封止水)となって溜まる。
【0011】
この場合、受圧ダイアフラム107A2,107A3には、ウォータポケット107A6,107A7に溜められた飽和水を介して蒸気圧力P1およびP2が加えられる。そして、この受圧ダイアフラム107A2,107A3に加えられた蒸気圧力P1およびP2が圧力伝達油107A5を介して差圧センサチップ(図示せず)に伝達され、この差圧センサチップによって蒸気圧力P1とP2との差圧ΔPが検出される。
【0012】
また、受圧ダイアフラム107A2に加えられた蒸気圧力P1が圧力伝達油107A5を介して圧力センサチップ(図示せず)に伝達され、この圧力センサチップによって蒸気圧力P1と基準圧力P0との差として、配管100内の静圧Pが検出される。
【0013】
そして、計測部107Bにおいて、圧力センサチップによって検出された静圧Pと圧力基準の飽和蒸気表とから蒸気の密度ρが求められ、この蒸気の密度ρと差圧センサチップによって検出された差圧ΔPとから配管100を流れる蒸気の質量流量qmが算出される。
【0014】
この蒸気流量計では、配管100に蒸気が流れると、ウォータポケット107A6,107A7に自動的に飽和水が溜まるので、プラント稼働前に水を補給することなく、受圧ダイアフラム107A2,107A3を蒸気から保護することができる。また、受圧部107Aが配管100の上方に位置しているので、ウォータポケット107A6,107A7に溜められた飽和水に錆などの異物が混入して堆積する虞がなく、長期間にわたって正確な流量の計測が可能となる。また、蒸気を流している間、飽和水の液位は保たれるので、水の補給や定期的なパージも必要としない。
【0015】
なお、配管100内の静圧Pを検出するのではなく、配管100を流れる蒸気の温度Tを検出し、この検出した温度Tと温度基準の飽和蒸気表とから蒸気の密度ρを求め、この求めた蒸気の密度ρと検出された差圧ΔPとから配管100を流れる蒸気の質量流量qmを算出する方式もある。
【0016】
【特許文献1】特開平5−322607号公報
【特許文献2】特開2006−78230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上述したセルフウォータシール構造を採用した蒸気流量計では、例えば、絞り部101の上流側にボイラーやバルブがあり、このボイラーを止めたり、バルブを閉めたりして、配管100内の蒸気の流れが止まると、導圧管108や109の管路の途中に水が溜まり、この溜まった水の自重を原因とした負圧が発生し、差圧ΔPが0とならないことがある。
【0018】
この差圧ΔPが生じるメカニズムについて説明する。ボイラーを止めたり、バルブを閉めたりして、配管100内の蒸気の流れが止まると、蒸気が冷えて液化した水が導圧管108,109の内壁面を伝って配管方向へ流れて行く。ここで、導圧管108,109の内壁面を伝って配管方向へ流れる水は、圧力の変化や配管のちょっとした段差などでその管路の途中に詰まり易い。
【0019】
例えば、図10(a)に示すように、導圧管109の内壁面を伝って配管方向へ流れる水が段差部109aに達し、段差部109aを塞ぐことがある。このような状態が生じると、熱伝導のよい導圧管109から熱が放出されるので、段差部109aを塞いだ水が冷やされ、更にこの水に蒸気が集まって液化し、水の層が厚くなって行く(図10(b)参照)。
【0020】
これにより、導圧管109内の蒸気が水の層で上下に分断され、導圧管109の上側の管路内の蒸気の温度が下がってその管路内の圧力が小さくなると、段差部109aに溜まった水の層が吸い上げられる(図10(c)参照)。そして、導圧管109の上側の管路内の蒸気の温度と下側の管路内の蒸気の温度が平衡状態となると、吸い上げられた水の層が自重で下がり(図10(d)参照)、導圧管109の上側の管路内の圧力を負圧とする。
【0021】
導圧管108側でも同様にして、導圧管108の途中に水の層が生じることがあり、その水の層で分断される導圧管108の上側の管路内の圧力を負圧とする。この場合、導圧管108の管路の途中に生じた水の層と導圧管109の管路の途中に生じた水の層とは、同じ長さとなるとは限らない。これにより、配管100内に蒸気が流れが止まっても差圧ΔPが0とならず、蒸気が流れていると誤認させるような計測結果が出力されてしまう。
【0022】
なお、上述した例では、セルフウォータシール構造を採用して蒸気の流量を計測する蒸気流量計を例にとって説明したが、セルフウォータシール構造を採用して差圧を検出する差圧計においても同様の問題が生じる虞がある。
【0023】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、配管を流れる蒸気が止まり、導圧管の管路の途中に溜まった水の自重を原因とした負圧が発生したとしても、流量の計測結果や差圧の検出結果に誤認が生じる虞がない蒸気流量計および差圧発信器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
このような目的を達成するために本発明は、配管を流れる蒸気に差圧を発生させる差圧発生手段と、この差圧発生手段によって発生する高圧側の蒸気圧力および低圧側の蒸気圧力を受圧部にそれぞれ導く第1および第2の導圧管と、第1の導圧管と受圧部の受圧面との間に位置し第1の導圧管に導かれて冷却液化された蒸気が溜められる第1の封液部と、第2の導圧管と受圧部の受圧面との間に位置し第2の導圧管に導かれて冷却液化された蒸気が溜められる第2の封液部と、第1の封液部を介して受圧部に与えられる高圧側の蒸気圧力と第2の封液部を介して受圧部に与えられる低圧側の蒸気圧力との差圧を検出する差圧検出手段と、この差圧検出手段によって検出される差圧に基づいて配管を流れる蒸気の流量を計測しその流量の計測結果を出力する流量計測手段とを備えた蒸気流量計において、配管内の蒸気の状態を検出する蒸気状態検出手段と、この蒸気状態検出手段によって検出される蒸気の状態に基づいて流量計測手段からの流量の計測結果の出力をカットする出力カット手段とを設けたものである。
【0025】
この発明によれば、配管を流れる蒸気の状態に基づいて、流量計測手段からの流量の計測結果の出力がカットされる。例えば、本発明では、配管内の蒸気の状態として配管内の静圧を検出し、この検出される静圧が所定の閾値を下回った場合に流量計測手段からの流量の計測結果の出力をカットしたり、配管内の蒸気の状態として配管内の蒸気の温度を検出し、この検出される温度が所定の閾値を下回った場合に流量計測手段からの流量の計測結果の出力をカットしたりする。
【0026】
受圧部が配管よりも上方に位置するセルフウォータシール構造を採用した蒸気流量計では、上流側のボイラーを止めたり、バルブを閉めたりして、配管内の蒸気の流れが止まると、導圧管の管路の途中にに溜まった水の自重を原因とした負圧が発生し、差圧ΔPが0とならず、流量の計測結果に誤認が生じる虞がある。この場合、配管内の蒸気の流れが止まることによって、配管内の静圧が低下したり、配管内の蒸気の温度が低下したりする。本発明では、このような配管内の蒸気の状態の変化に着目し、配管内の静圧が所定の閾値を下回った場合に流量の計測結果の出力をカットしたり、配管内の蒸気の温度が所定の閾値を下回った場合に流量の計測結果の出力をカットしたりする。
【0027】
なお、蒸気の流量を質量流量として計測する蒸気流量計では、蒸気の密度を求めるために配管内の静圧を検出する手段を備えていたり、配管内の温度を検出する手段を備えていたりする。この場合、その配管内の静圧を検出する手段や配管内の温度を検出する手段を利用し、配管内の静圧が所定の閾値を下回った場合に流量の計測結果の出力をカットしたり、配管内の蒸気の温度が所定の閾値を下回った場合に流量の計測結果の出力をカットしたりすることができる。
【0028】
また、本発明は、配管を流れる蒸気に差圧を発生させる差圧発生手段と、この差圧発生手段によって発生する高圧側の蒸気圧力および低圧側の蒸気圧力を受圧部にそれぞれ導く第1および第2の導圧管と、第1の導圧管と受圧部の受圧面との間に位置し第1の導圧管に導かれて冷却液化された蒸気が溜められる第1の封液部と、第2の導圧管と受圧部の受圧面との間に位置し第2の導圧管に導かれて冷却液化された蒸気が溜められる第2の封液部とを備えた差圧発生構造に対して付設される差圧発信器としても提供することができる。
【0029】
この場合、その差圧発信器には、第1の封液部を介して受圧部に与えられる高圧側の蒸気圧力と第2の封液部を介して受圧部に与えられる低圧側の蒸気圧力との差圧を検出する差圧検出手段と、この差圧検出手段によって検出される差圧に基づいて配管を流れる蒸気の流量を計測しその流量の計測結果を出力する流量計測手段と、配管内の蒸気の状態に基づいて流量計測手段からの流量の計測結果の出力をカットする出力カット手段とを設ける。
【0030】
なお、この差圧発信器では、配管内の蒸気の状態に基づいて流量の計測結果の出力をカットするが、配管内の蒸気の状態は配管内の静圧であったり、配管内の温度であったりする。この場合、配管側で静圧や温度を検出する場合も考えられ、すなわち配管側に設けられた静圧センサや温度センサからの信号を差圧発信器に取り込むことも考えられ、配管内の蒸気の状態を検出する手段を差圧発信器に必ずしも内蔵させなくてもよい。
【0031】
また、本発明において、差圧発信器は、必ずしも流量計測機能を備えた構成としなくてもよい。例えば、第1の封液部を介して受圧部に与えられる高圧側の蒸気圧力と第2の封液部を介して受圧部に与えられる低圧側の蒸気圧力との差圧を検出しその差圧の検出結果を出力する差圧検出手段と、配管内の蒸気の状態に基づいて差圧検出手段からの差圧の検出結果の出力をカットする出力カット手段とを設け、差圧発生構造と組み合わせて差圧計として用いるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、セルフウォータシール構造を採用した蒸気流量計において、配管内の蒸気の状態を検出し、この蒸気の状態に基づいて流量の計測結果の出力をカットするようにしたので、例えば、配管内の静圧が所定の閾値を下回った場合に流量の計測結果の出力をカットしたり、配管内の蒸気の温度が所定の閾値を下回った場合に流量の計測結果の出力をカットしたりするようにして、配管を流れる蒸気が止まり、導圧管の管路の途中に溜まった水の自重を原因とした負圧が発生したとしても、流量の計測結果に誤認が生じる虞がないようにすることが可能となる。
【0033】
また、セルフウォータシール構造を採用した差圧発生構造に対して付設される差圧発信器において、配管内の蒸気の状態に基づいて流量の計測結果の出力をカットするようにしたので、例えば、配管内の静圧が所定の閾値を下回った場合に流量の計測結果の出力をカットしたり、配管内の蒸気の温度が所定の閾値を下回った場合に流量の計測結果の出力をカットしたりするようにして、配管を流れる蒸気が止まり、導圧管の管路の途中に溜まった水の自重を原因とした負圧が発生しても、流量の計測結果に誤認が生じる虞がないようにすることが可能となる。
【0034】
また、セルフウォータシール構造を採用した差圧発生構造に対して付設される差圧発信器において、配管内の蒸気の状態に基づいて差圧の検出結果の出力をカットするようにしたので、例えば、配管内の静圧が所定の閾値を下回った場合に差圧の検出結果の出力をカットしたり、配管内の蒸気の温度が所定の閾値を下回った場合に差圧の計測結果の出力をカットしたりするようにして、配管を流れる蒸気が止まり、導圧管の管路の途中に溜まった水の自重を原因とした負圧が発生したとしても、差圧の検出結果に誤認が生じる虞がないようにすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。図1はこの発明に係る蒸気流量計の一実施の形態の要部を示す図である。この蒸気流量計1は差圧発生構造2と差圧発信器3とを組み合わせて構成されている。図1において、差圧発生構造2についてはその構造を断面図で示し、差圧発信器3については受圧部4内の構造のみを断面図で示している。
【0036】
差圧発生構造2は、絞り部2aが形成された計測管路部2−1と、この計測管路部2−1の上方に設けられたセルフウォータシール構造部2−2とから構成され、計測管路部2−1は蒸気が流れる配管100の途中に設置される。本実施の形態において、絞り部2aは楕円スロートとされており、この絞り部2aを蒸気が通過する際に高圧側の蒸気圧力P1と低圧側の蒸気圧力P2が発生する。楕円スロートは、流体の隆線に沿った絞り構造を持つことで、キャビテーションが少なく、低流量まで安定して差圧を発生させることができる。また、絞り構造自体が整流作用を持つため、短い上流直管長を実現することができる。
【0037】
また、計測管路部2−1には、絞り部2aによって発生する高圧側の蒸気圧力P1をセルフウォータシール構造部2−2へ導く導圧路2bと、絞り部2aによって発生する低圧側の蒸気圧力P2をセルフウォータシール構造部2−2へ導く導圧路2cとが形成されている。導圧路2bおよび2cは絞り部2aを通過する蒸気の流れ方向に対して垂直な方向へ延びた通路とされている。
【0038】
セルフウォータシール構造部2−2には、計測管路部2−1の導圧路2bから導かれる蒸気圧力P1を受圧部4に導く導圧路2dと、計測管路部2−1の導圧路2cから導かれる蒸気圧力P2を受圧部4に導く導圧路2eとが形成されている。導圧路2dおよび2eは、導圧路2bおよび2cが蒸気の流れ方向に対して垂直な方向へ延びた通路であるのに対し、やや外側に傾斜させた通路とされている。また、その通路の上端が「く」の字状に折り曲げられ、受圧部4におけるダイアフラムの収容部2jの外壁を貫通し、その収容部2jの内部空間と連通されている。
【0039】
なお、計測管路部2−1とセルフウォータシール構造2−2との結合部には、導圧路2bと導圧路2dとの間にOリング2hが設けられ、導圧路2cと導圧路2eとの間にOリング2iが設けられ、導圧路2bと導圧路2dとによって第1の導圧管2Aが形成され、導圧路2cと導圧路2eとによって第2の導圧管2Bが形成されている。
【0040】
差圧発信器3は、受圧部4の構成要素として、円柱状のダイアフラムベース3aと、このダイアフラムベース3aの両側面に備えられた受圧ダイアフラム3b,3cと、ダイアフラムベース3aと受圧ダイアフラム3b,3cとの間に封入された圧力伝達油3dとを備えており、これらの構成要素がダイアフラム3eとしてセルフウォータシール構造部2−2の収容部2jに配置されている。このダイアフラム3eの収容部2jへの配置により、収容部2jの内壁面と受圧ダイアフラム3b,3cとの間にウォータポケット2fおよび2gが形成されている。
【0041】
また、差圧発信器3は、図2にその要部の構成を示すように、CPU3−1と、ROM3−2と、RAM3−3−3と、ディスプレイ3−4と、差圧センサチップ3−5と、圧力センサチップ3−6と、インタフェース3−7〜3−10とを備えている。
【0042】
この差圧発信器3において、差圧センサチップ3−5は、受圧部4からの圧力伝達油3dを介する蒸気圧力P1およびP2の伝達を受けて、この蒸気圧力P1とP2との差圧ΔPを検出する。また、圧力センサチップ3−6は、受圧部4からの圧力伝達油3dを介する蒸気圧力P1の伝達を受けて、この蒸気圧力P1と基準圧力P0との差を配管100内の静圧Pとして検出する。
【0043】
なお、この実施の形態では、蒸気圧力P1と基準圧力P0との差として静圧Pを検出するようにしているが、基準圧力P0を使用せずに、蒸気圧力P1を静圧Pとして検出するようにしてもよい。また、静圧Pを検出する箇所は、必ずしも絞り部2aの上流側でなくてもよく、下流側であっても構わない。
【0044】
CPU3−1は、差圧センサチップ3−5からの差圧ΔPおよび圧力センサチップ3−6からの静圧Pを入力とし、RAM3−3にアクセスしながら、ROM3−2に格納されているプログラムに従って動作する。ROM3−2には、本実施の形態特有のプログラムとして、流量計測プログラムが格納されている。
【0045】
以下、図3に示すフローチャートを参照しながら、ROM3−2に格納された流量計測プログラムに従うCPU3−1の処理動作について説明する。なお、この図3に示したフローチャートは所定の周期で繰り返し実行される。
【0046】
〔蒸気が流れている場合〕
配管100に蒸気が流れている場合、導圧管2A,2Bを介して送られてきた蒸気が受圧部4におけるダイアフラムの収容部2jなどにより冷却されて液化し、受圧ダイアフラム3b,3cと収容部2jの内壁面との間に形成されているウォータポケット2f,2gに飽和水(封止水)となって溜まる。なお、図1に点線で示すラインL1は、封止水の液位(喫水線)を示す。また、収容部2jの外壁面には、蒸気の冷却を速めるための放熱フィン2kが形成されている。
【0047】
この場合、受圧ダイアフラム3b,3cには、ウォータポケット2f,2gに溜められた飽和水を介して蒸気圧力P1およびP2が加えられる。そして、この受圧ダイアフラム3b,3cに加えられた蒸気圧力P1およびP2が圧力伝達油3dを介して差圧センサチップ3−5に伝達され、この差圧センサチップ3−5によって蒸気圧力P1とP2との差圧ΔPが検出される。
【0048】
また、受圧ダイアフラム3bに加えられた蒸気圧力P1が圧力伝達油3dを介して圧力センサチップ3−6に伝達され、この圧力センサチップ3−6によって蒸気圧力P1と基準圧力P0との差として、配管100内の静圧Pが検出される。
【0049】
CPU3−1は、差圧センサチップ3−5によって検出される差圧ΔPと圧力センサチップ3−6によって検出される静圧Pを取り込み(図3:ステップS101,S102)、静圧Pが閾値Pth以上であるか否かをチェックする(ステップS103)。この閾値Pthは、配管100を蒸気が流れているか否かを判断するためのものであり、適切な値としてROM3−2内に予め設定されている。
【0050】
この例では、配管100に蒸気が流れているので、静圧Pは閾値Pth以上となる。静圧Pが閾値Pth以上であることを確認すると(ステップS103のYES)、CPU3−1は、静圧Pと圧力基準の飽和蒸気表とから蒸気の密度ρを求める。なお、ここで使用する圧力基準の飽和蒸気表は、飽和蒸気表JHとしてROM3−2に予め設定されている。
【0051】
そして、CPU3−1は、ステップS101で取り込んだ差圧ΔPとステップS104で求めた蒸気の密度ρとから、配管100を流れる蒸気の質量流量qmを算出する(ステップS105)。この蒸気の質量流量qmの算出に際しては、JISZ8762の規定に従って、下記の算出式((1)式)を用いる。なお、この算出式において、Cは流出係数、βは絞り直径比、εは圧縮(膨張)係数、dは絞り機構の穴直径である。
qm=〔C/(1−β4)1/2〕・ε・π/4・d2・(2ΔP・ρ)1/2 ・・・・(1)
【0052】
そして、CPU3−1は、この算出した蒸気の質量流量qmを出力する(ステップS106)。すなわち、この蒸気の質量流量qmをインタフェース3−7を介してディスプレイ3−4へ送り、ディスプレイ3−4の画面上に表示させる。また、インタフェース3−8を介して、外部の装置へ出力する。
【0053】
なお、図3に示したフローチャートでは処理ステップとして示していないが、CPU3−1は、静圧Pと飽和蒸気表JHとから蒸気の温度Tを求め、この温度Tや静圧Pについてもディスプレイ3−4に表示させたり、外部の装置へ出力したりする。また、質量流量qmと密度ρとから蒸気の体積流量を求め、ディスプレイ3−4に表示させたり、外部の装置へ出力したりする。
【0054】
〔蒸気の流れが停止した場合〕
例えば、絞り部2aの上流側にボイラーやバルブがあり、このボイラーを止めたり、バルブを閉めたりして、配管100内の蒸気の流れが止まったとする。この場合、従来例2でも説明したように、導圧管2Aや2Bの管路の途中に水が溜まり、この溜まった水の自重を原因とした負圧が発生し、差圧ΔPが0とならないことがある。
【0055】
この場合、配管100内の蒸気の流れが止まることによって、配管100内の静圧が低下する。本実施の形態では、この静圧の低下に着目する。CPU3−1は、配管100内の蒸気の流れが止まり、圧力センサチップ3−6によって検出される静圧Pが閾値Pthを下回ると(ステップS103のNO)、差圧ΔPと密度ρとからの質量流量qmの算出処理には進まず、強制的に質量流量qmを0として出力する(ステップS107)。すなわち、静圧Pが閾値Pthを下回った場合、配管100内の蒸気の流れが止まったと判断し、差圧ΔPと密度ρとから算出される質量流量qmの出力をカットし、その時に予想される質量流量qm=0を強制的に出力する。
【0056】
これにより、配管100を流れる蒸気が止まり、導圧管2Aや2Bの管路の途中に溜まった水の自重を原因とした負圧が発生し、差圧ΔPが生じたとしても、この差圧ΔPと密度ρとから算出される質量流量qmが出力されることがなく、流量の計測結果に誤認が生じないものとなる。
【0057】
なお、この例では、静圧Pが閾値Pthを下回った場合、差圧ΔPと密度ρとからの質量流量qmの算出処理を行わないようにしたが、差圧ΔPと密度ρとからの質量流量qmの算出処理は行い、この算出された質量流量qmの出力を中断させ、強制的に質量流量qm=0を出力するようにしてもよい。また、必ずしも質量流量qmを0として出力するようにしなくてもよく、例えば蒸気の流れが停止していることをメッセージによって知らせたりするなどしてもよい。
【0058】
図4にこの実施の形態における差圧発信器3の機能ブロック図を示す。差圧発信器3は、絞り部2aによって発生する高圧側の蒸気圧力P1と低圧側の蒸気圧力P2との差圧ΔPを検出する差圧検出部3Aと、絞り部2aによって発生する高圧側の蒸気圧力P1と基準圧力P0との差を静圧Pとして検出する静圧検出部3Bと、圧力基準の飽和蒸気表JHを記憶する飽和蒸気表記憶部3Cと、静圧検出部3Bによって検出される静圧Pと飽和蒸気表記憶部3Cに記憶されている飽和蒸気表JHとから蒸気の密度ρを求める密度算出部3Dと、差圧検出部3Aによって検出される差圧ΔPと密度算出部3dによって求められた密度ρとから蒸気の質量流量qmを算出する質量流量演算部3Eと、静圧検出部3Bによって検出される静圧Pと予め定められている閾値Pthとを比較し、静圧Pが閾値Pthを下回った場合に質量流量演算部3Eにおいて算出される質量流量qmの出力をカットし、強制的に質量流量qm=0を出力させる出力カット部3Fとを備えている。この機能ブロック図において、差圧検出部3Aは差圧センサチップ3−5の機能により実現され、静圧検出部3Bは圧力センサチップ3−6の機能により実現され、密度算出部3D、質量流量演算部3Eおよび出力カット部3FはCPU3−1の処理機能として実現される。
【0059】
なお、上述した実施の形態では、絞り部2aによって発生する高圧側の蒸気圧力P1と基準圧力P0との差を静圧Pとして検出し、この検出した静圧Pから圧力基準の飽和蒸気表JHから密度ρを算出するようにしたが、図5にその機能ブロック図を示すように、例えば、配管100側に温度センサ(図示せず)を設けて蒸気の温度Tを検出するものとし、この検出した温度Tと予め定められている温度基準の飽和蒸気表JH’とから蒸気の密度ρを求め、この求めた蒸気の密度ρと差圧ΔPとから蒸気の質量流量qm算出するようにしてもよい。この場合、出力カット部3Fでは、蒸気の温度Tと予め定められている閾値Tthとを比較し、蒸気の温度Tが閾値Tthを下回った場合に、質量流量演算部3Eにおいて算出される質量流量qmの出力をカットし、強制的に質量流量qm=0を出力させるようにする。
【0060】
また、上述した実施の形態では、差圧発信器3を流量計測機能を備えた構成としたが、流量計測機能を備えない構成とし、差圧発生構造2と組み合わせて差圧計として用いるようにしてもよい。図6にこの場合の差圧発信器3の機能ブロック図を示す。この構成では、出力カット部3Fにおいて、静圧Pと閾値Pthとを比較し、静圧Pが閾値Pthを下回った場合に、差圧検出部3Aからの差圧ΔPの検出値の出力をカットし、強制的に差圧ΔP=0を出力させるようにする。
【0061】
また、流量計測機能を備えない構成とする場合、図7にその機能ブロック図を示すように、配管100内の蒸気の温度Tを検出するものとし、この検出した蒸気の温度Tと閾値Tthとを比較し、蒸気の温度Tが閾値Tthを下回った場合に、差圧検出部3Aからの差圧ΔPの検出値の出力をカットし、強制的に差圧ΔP=0を出力させるようにしてもよい。
【0062】
また、上述した実施の形態では、絞り部2aを楕円スロートとしたが、オリフィスやベンチュリ管などとしてもよいことは言うまでもない。
また、上述した実施の形態では、配管100内の蒸気の状態として配管100内の静圧Pや配管100内の蒸気の温度Tを検出するようにしたが、配管100内の蒸気の流れが停止したことを検出することができればよく、ボイラの停止状態やバルブの閉止状態を検出するようにしたりしてもよい。
【0063】
また、上述した実施の形態では、受圧部4が配管100よりも上方に位置するセルフウォータシール構造を例にとって説明したが、受圧部4が配管100よりも下方に位置するセルフウォータシール構造の場合にも、上述と同様にして、配管100内の蒸気の状態に基づいて流量の計測結果の出力をカットしたり、差圧の検出結果の出力をカットしたりすることができる。
【0064】
受圧部4を配管100よりも下方に位置させたセルフウォータシール構造の場合、ウォータポケット2f,2g内の封止水の液位のバランスが崩れて差圧が生じる状態が発生することがある。例えば、測定の終了時に、配管100内部に蒸気を一気に流して終了するという場合があり、その時、管内の急減圧により封止水の気化が発生し、ウォータポケット2f,2g内の封止水の液位のバランスが崩れ、差圧が生じることがある。
【0065】
このように、受圧部4を配管100よりも下方に位置させたセルフウォータシール構造の場合、何らかの影響によりウォータポケット2f,2g内の封止水の液位に差異が生じ、それによる静圧差の発生が起こり得る。このような場合にも、本発明を適用することによって、流量の計測結果や差圧の検出結果に誤認が生じないようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る蒸気流量計の一実施の形態の要部を示す構造図である。
【図2】この蒸気流量計に用いる差圧発信器の要部を示すブロック図である。
【図3】この差圧発信器におけるCPUが実行する流量計測プログラムに従う処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】この差圧発信器の要部の機能ブロック図である。
【図5】配管内の蒸気の温度を検出して算出される質量流量の出力をカットするようにした差圧発信器の構成例を示す機能ブロック図である。
【図6】配管内の静圧を検出して差圧の検出値の出力をカットするようにした差圧発信器の構成例を示す機能ブロック図である。
【図7】配管内の蒸気の温度を検出して差圧の検出値の出力をカットするようにした差圧発信器の構成例を示す機能ブロック図である。
【図8】絞り部と差圧発信器とを組み合わせて構成された従来の蒸気流量計の一例(従来例1)を示す図である。
【図9】セルフウォータシール構造を採用した従来の蒸気流量計の一例(従来例2)を示す図である。
【図10】セルフウォータシール構造を採用した蒸気流量計における蒸気の流れが止まった場合の問題を説明する図である。
【符号の説明】
【0067】
1…蒸気流量計、2…差圧発生構造、2−1…計測管路部、2−2…セルフウォータシール構造部、2a…絞り部、2b〜2e…導圧路、2f,2g…ウォーターポケット、2h,2i…Oリング、2j…収容部、2k…放熱フィン、2A…第1の導圧管、2B…第2の導圧管、3…差圧発信器、3a…ダイアフラムベース、3b,3c…受圧ダイアフラム、3d…圧力伝達油、3e…ダイアフラム、3−1…CPU、3−2…ROM、3−3…RAM、3−4…ディスプレイ、3−5…差圧センサチップ、3−6…圧力センサチップ、3−7〜3−10…インタフェース、3A…差圧検出部、3B…静圧検出部、3C…飽和蒸気表記憶部、3D…密度算出部、3E…質量流量演算部、3F…出力カット部、JH,JH’…飽和蒸気表、100…配管。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管を流れる蒸気に差圧を発生させる差圧発生手段と、
この差圧発生手段によって発生する高圧側の蒸気圧力および低圧側の蒸気圧力を受圧部にそれぞれ導く第1および第2の導圧管と、
前記第1の導圧管と前記受圧部の受圧面との間に位置し前記第1の導圧管に導かれて冷却液化された蒸気が溜められる第1の封液部と、
前記第2の導圧管と前記受圧部の受圧面との間に位置し前記第2の導圧管に導かれて冷却液化された蒸気が溜められる第2の封液部と、
前記第1の封液部を介して前記受圧部に与えられる前記高圧側の蒸気圧力と前記第2の封液部を介して前記受圧部に与えられる前記低圧側の蒸気圧力との差圧を検出する差圧検出手段と、
この差圧検出手段によって検出される差圧に基づいて前記配管を流れる蒸気の流量を計測しその流量の計測結果を出力する流量計測手段とを備えた蒸気流量計において、
前記配管内の蒸気の状態を検出する蒸気状態検出手段と、
この蒸気状態検出手段によって検出される蒸気の状態に基づいて前記流量計測手段からの流量の計測結果の出力をカットする出力カット手段と
を備えることを特徴とする蒸気流量計。
【請求項2】
請求項1に記載された蒸気流量計において、
前記蒸気状態検出手段は、
前記配管内の蒸気の状態として前記配管内の静圧を検出し、
前記出力カット手段は、
前記蒸気状態検出手段によって検出される静圧が所定の閾値を下回った場合に前記流量計測手段からの流量の計測結果の出力をカットする
ことを特徴とする蒸気流量計。
【請求項3】
請求項1に記載された蒸気流量計において、
前記蒸気状態検出手段は、
前記配管内の蒸気の状態として前記配管内の蒸気の温度を検出し、
前記出力カット手段は、
前記蒸気状態検出手段によって検出される温度が所定の閾値を下回った場合に前記流量計測手段からの流量の計測結果の出力をカットする
ことを特徴とする蒸気流量計。
【請求項4】
配管を流れる蒸気に差圧を発生させる差圧発生手段と、この差圧発生手段によって発生する高圧側の蒸気圧力および低圧側の蒸気圧力を受圧部にそれぞれ導く第1および第2の導圧管と、前記第1の導圧管と前記受圧部の受圧面との間に位置し前記第1の導圧管に導かれて冷却液化された蒸気が溜められる第1の封液部と、前記第2の導圧管と前記受圧部の受圧面との間に位置し前記第2の導圧管に導かれて冷却液化された蒸気が溜められる第2の封液部とを備えた差圧発生構造に対して付設される差圧発信器であって、
前記第1の封液部を介して前記受圧部に与えられる前記高圧側の蒸気圧力と前記第2の封液部を介して前記受圧部に与えられる前記低圧側の蒸気圧力との差圧を検出する差圧検出手段と、
この差圧検出手段によって検出される差圧に基づいて前記配管を流れる蒸気の流量を計測しその流量の計測結果を出力する流量計測手段と、
前記配管内の蒸気の状態に基づいて前記流量計測手段からの流量の計測結果の出力をカットする出力カット手段と
を備えることを特徴とする差圧発信器。
【請求項5】
配管を流れる蒸気に差圧を発生させる差圧発生手段と、この差圧発生手段によって発生する高圧側の蒸気圧力および低圧側の蒸気圧力を受圧部にそれぞれ導く第1および第2の導圧管と、前記第1の導圧管と前記受圧部の受圧面との間に位置し前記第1の導圧管に導かれて冷却液化された蒸気が溜められる第1の封液部と、前記第2の導圧管と前記受圧部の受圧面との間に位置し前記第2の導圧管に導かれて冷却液化された蒸気が溜められる第2の封液部とを備えた差圧発生構造に対して付設される差圧発信器であって、
前記第1の封液部を介して前記受圧部に与えられる前記高圧側の蒸気圧力と前記第2の封液部を介して前記受圧部に与えられる前記低圧側の蒸気圧力との差圧を検出しその差圧の検出結果を出力する差圧検出手段と、
前記配管内の蒸気の状態に基づいて前記差圧検出手段からの差圧の検出結果の出力をカットする出力カット手段と
を備えることを特徴とする差圧発信器。
【請求項1】
配管を流れる蒸気に差圧を発生させる差圧発生手段と、
この差圧発生手段によって発生する高圧側の蒸気圧力および低圧側の蒸気圧力を受圧部にそれぞれ導く第1および第2の導圧管と、
前記第1の導圧管と前記受圧部の受圧面との間に位置し前記第1の導圧管に導かれて冷却液化された蒸気が溜められる第1の封液部と、
前記第2の導圧管と前記受圧部の受圧面との間に位置し前記第2の導圧管に導かれて冷却液化された蒸気が溜められる第2の封液部と、
前記第1の封液部を介して前記受圧部に与えられる前記高圧側の蒸気圧力と前記第2の封液部を介して前記受圧部に与えられる前記低圧側の蒸気圧力との差圧を検出する差圧検出手段と、
この差圧検出手段によって検出される差圧に基づいて前記配管を流れる蒸気の流量を計測しその流量の計測結果を出力する流量計測手段とを備えた蒸気流量計において、
前記配管内の蒸気の状態を検出する蒸気状態検出手段と、
この蒸気状態検出手段によって検出される蒸気の状態に基づいて前記流量計測手段からの流量の計測結果の出力をカットする出力カット手段と
を備えることを特徴とする蒸気流量計。
【請求項2】
請求項1に記載された蒸気流量計において、
前記蒸気状態検出手段は、
前記配管内の蒸気の状態として前記配管内の静圧を検出し、
前記出力カット手段は、
前記蒸気状態検出手段によって検出される静圧が所定の閾値を下回った場合に前記流量計測手段からの流量の計測結果の出力をカットする
ことを特徴とする蒸気流量計。
【請求項3】
請求項1に記載された蒸気流量計において、
前記蒸気状態検出手段は、
前記配管内の蒸気の状態として前記配管内の蒸気の温度を検出し、
前記出力カット手段は、
前記蒸気状態検出手段によって検出される温度が所定の閾値を下回った場合に前記流量計測手段からの流量の計測結果の出力をカットする
ことを特徴とする蒸気流量計。
【請求項4】
配管を流れる蒸気に差圧を発生させる差圧発生手段と、この差圧発生手段によって発生する高圧側の蒸気圧力および低圧側の蒸気圧力を受圧部にそれぞれ導く第1および第2の導圧管と、前記第1の導圧管と前記受圧部の受圧面との間に位置し前記第1の導圧管に導かれて冷却液化された蒸気が溜められる第1の封液部と、前記第2の導圧管と前記受圧部の受圧面との間に位置し前記第2の導圧管に導かれて冷却液化された蒸気が溜められる第2の封液部とを備えた差圧発生構造に対して付設される差圧発信器であって、
前記第1の封液部を介して前記受圧部に与えられる前記高圧側の蒸気圧力と前記第2の封液部を介して前記受圧部に与えられる前記低圧側の蒸気圧力との差圧を検出する差圧検出手段と、
この差圧検出手段によって検出される差圧に基づいて前記配管を流れる蒸気の流量を計測しその流量の計測結果を出力する流量計測手段と、
前記配管内の蒸気の状態に基づいて前記流量計測手段からの流量の計測結果の出力をカットする出力カット手段と
を備えることを特徴とする差圧発信器。
【請求項5】
配管を流れる蒸気に差圧を発生させる差圧発生手段と、この差圧発生手段によって発生する高圧側の蒸気圧力および低圧側の蒸気圧力を受圧部にそれぞれ導く第1および第2の導圧管と、前記第1の導圧管と前記受圧部の受圧面との間に位置し前記第1の導圧管に導かれて冷却液化された蒸気が溜められる第1の封液部と、前記第2の導圧管と前記受圧部の受圧面との間に位置し前記第2の導圧管に導かれて冷却液化された蒸気が溜められる第2の封液部とを備えた差圧発生構造に対して付設される差圧発信器であって、
前記第1の封液部を介して前記受圧部に与えられる前記高圧側の蒸気圧力と前記第2の封液部を介して前記受圧部に与えられる前記低圧側の蒸気圧力との差圧を検出しその差圧の検出結果を出力する差圧検出手段と、
前記配管内の蒸気の状態に基づいて前記差圧検出手段からの差圧の検出結果の出力をカットする出力カット手段と
を備えることを特徴とする差圧発信器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−160054(P2010−160054A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2470(P2009−2470)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
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