説明

蒸着装置、成膜方法

【課題】必要量の有機材料を正確に加熱蒸発させる。
【解決手段】蒸気発生装置20a〜20cを放出装置50に接続させて蒸気を供給する際には、他の蒸気発生装置20a〜20cは放出装置50から遮断するから、蒸気が混ざらない。成膜後は、蒸気発生装置20a〜20cを放出装置50から遮断しながら排気槽に接続する。排気槽内には冷却手段85a〜85cが配置され、排気槽に排出された蒸気は冷却手段85a〜85cに析出する。析出した蒸着材料39は回収して再利用が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蒸着装置と、それを用いた成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は近年最も注目される表示素子の一つであり、高輝度で応答速度が速いという優れた特性を有している。有機EL素子は、ガラス基板上に赤、緑、青の三色の異なる色で発色する発光領域が配置されている。発光領域は、アノード電極膜、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及びカソード電極膜がこの順序で積層されており、発光層中に添加された発色剤で、赤、緑、又は青に発色するようになっている。
ホール輸送層、発光層、電子輸送層等は一般に有機材料で構成されており、このような有機材料の膜の成膜には蒸着装置が広く用いられる。
【0003】
図5の符号203は、従来技術の蒸着装置であり、真空槽211の内部に蒸着容器212が配置されている。蒸着容器212は、容器本体221を有しており、該容器本体221の上部は、一乃至複数個の放出口224が形成された蓋部222で塞がれている。
【0004】
蒸着容器212の内部には、粉体の有機蒸着材料200が配置されている。
蒸着容器212の側面と底面にはヒータ223が配置されており、真空槽211内を真空排気し、ヒータ223が発熱すると蒸着容器212が昇温し、蒸着容器212内の有機蒸着材料200が加熱される。
有機蒸着材料200が蒸発温度以上の温度に加熱されると、蒸着容器212内に、有機材料蒸気が充満し、放出口224から真空槽211内に放出される。
【0005】
放出口224の上方にはホルダ210が配置されており、ホルダ210に基板205を保持させておけば、放出口224から放出された有機材料蒸気が基板205表面に到達し、ホール注入層やホール輸送層や発光層等の有機薄膜が形成される。
有機材料蒸気を放出させながら、基板205を一枚ずつ放出口224上を通過させれば、複数枚の基板205に逐次有機薄膜を形成することができる。
【0006】
しかし、複数枚の基板205に成膜するには、蒸着容器212内に多量の有機材料を配置する必要がある。実際の生産現場では、有機材料を250℃〜450℃に加熱しながら120時間以上連続して成膜処理を行うため、蒸着容器212内の有機蒸着材料200は長時間高温に曝されることになり、蒸着容器212中の水分と反応して変質したり、加熱による分解が進行する。その結果、初期状態に比べて有機蒸着材料200が劣化し、有機薄膜の膜質が悪くなる。
【0007】
また、1枚の基板に、複数種類の有機薄膜を成膜する場合は、1種類の有機薄膜の成膜が終了したら、成膜終了後の基板を、異なる有機蒸着材料200が収容された蒸着容器212上へ搬送する必要がある。
【0008】
基板を搬送する時には真空槽内に粉塵が発生し、搬送距離が長くなるほど粉塵の発生量が増える。その粉塵は有機薄膜に混入して汚染の原因となる。
このように、従来の蒸着装置では、膜質の良い有機薄膜を成膜することは困難であった。
【特許文献1】特開平10−140334号公報
【特許文献2】特開2006−307239号公報
【特許文献3】特開2007−70687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記課題を解決するためのものであり、その目的は、膜質の良い有機薄膜を成膜することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、内部で蒸着材料の蒸気を発生させる蒸気発生源と、前記蒸着材料の蒸気を成膜槽内部に放出する放出装置と、前記蒸気発生源の内部が前記放出装置の内部に接続された状態と、前記蒸気発生源の内部が前記放出装置の内部から遮断された状態とを切替える切替装置とを有する蒸着装置であって、真空槽と、前記真空槽に接続された真空排気系とを有し、前記切替装置は、前記蒸気発生源の内部を前記放出装置の内部から遮断しながら、前記蒸気発生源の内部を前記真空槽に接続できるように構成された蒸着装置である。
本発明は蒸着装置であって、前記蒸気発生源は複数の蒸気発生装置を有し、前記蒸気発生源の内部は前記各蒸気発生装置の内部であり、前記切替装置は、前記各蒸気発生装置の内部を、前記放出装置又は前記真空槽に個別に接続できるように構成された蒸着装置である。
本発明は蒸着装置であって、前記各蒸気発生装置は、前記蒸気発生装置の内部空間を構成する蒸発室と、前記蒸着材料が収容されるタンクと、前記蒸着材料を前記タンクから前記蒸発室に供給する供給装置と、前記蒸発室に供給された前記蒸着材料を加熱する加熱装置とを有し、前記蒸着材料は、前記供給装置により、当該供給装置に設定された量供給される蒸着装置である。
本発明は蒸着装置であって、前記成膜槽は前記真空槽から分離され、前記成膜槽には主真空排気系が接続され、前記放出装置は、前記蒸気を放出する1又は2以上の放出口を有し、前記放出装置の内部空間は、前記放出口を介して前記成膜槽の内部に接続された蒸着装置である。
本発明は蒸着装置であって、前記成膜槽は前記真空槽と同一であり、前記放出装置は、前記蒸気を放出する1又は2以上の放出口を有し、前記放出装置の内部空間は、前記放出口を介して前記真空槽の内部に接続され、前記切替装置は、前記蒸気発生源の内部空間を、前記真空槽の内部空間のうち、前記放出装置の外部空間に接続する蒸着装置である。
本発明は蒸着装置であって、前記真空槽に搬出入可能な冷却手段と、前記真空槽に搬入された前記冷却手段を冷却する冷却装置とを有する蒸着装置である。
本発明は、第一〜第三の蒸気発生装置に第一〜第三の色の蒸着材料を配置しておき、前記第一〜第三の蒸気発生装置の内部で、前記第一〜第三の色の蒸着材料の蒸気をそれぞれ発生させ、前記第一〜第三の色の前記蒸着材料の蒸気を、前記第一〜第三の蒸気発生装置から、放出装置に順番に移動させ、当該放出装置の放出口から成膜槽の内部に放出させ、前記成膜槽の内部に配置された基板の、第一〜第三の領域に、前記第一〜第三の色の前記蒸着材料の蒸気をそれぞれ到達させ、前記第一〜第三の色の着色層を形成する成膜方法であって、前記第一〜第三の蒸気発生装置と前記放出装置との間の、前記蒸気が移動する経路に切替装置を設けておき、前記第一の蒸気発生装置を前記放出装置に接続し、前記第一の領域に前記第一の色の着色層を形成した後、前記切替装置を切り替え、前記第一の蒸気発生装置を前記放出装置から遮断し、真空排気系に接続した状態で、前記第二の蒸気発生装置を前記放出装置に接続し、前記第二の色の前記蒸着材料の蒸気を、前記放出口から放出させる成膜方法である。
本発明は、前記第一〜第三の蒸気発生装置に、前記蒸着材料を配置するタンクと、前記蒸着材料の蒸気を発生させる蒸発室をそれぞれ設けておき、前記タンクに前記蒸着材料を収容しておき、前記タンクから前記蒸発室に蒸着材料を供給し、前記蒸発室内部で前記蒸着材料の蒸気を発生させる成膜方法であって、前記切替装置の切替は、予め設定された量の前記第一の蒸着材料を、第一の蒸発室に供給し、前記蒸発室内の有機材料が蒸発した後行う成膜方法である。
本発明は成膜方法であって、前記真空排気系と前記切替装置との間に真空槽を設けておき、 前記第一の蒸気発生装置の前記真空排気系への接続は、前記真空槽を介して前記真空排気系に接続し、前記真空槽に引き込まれた蒸気を、前記真空槽内部で冷却し、前記真空槽内部で前記蒸着材料を析出させる成膜方法である。
本発明は成膜方法であって、前記真空排気系として、前記成膜槽に接続された主真空排気系を用い、前記第一の蒸気発生装置の前記真空排気系への接続は、前記第一の蒸気発生装置を、前記成膜槽内部空間であって、前記放出装置の外部空間に接続し、前記成膜槽に引き込まれた蒸気を冷却して、前記成膜槽内部に析出させる成膜方法である。
【0011】
本発明は上記のように構成されており、選択した蒸気発生装置を放出装置に接続する時には、該蒸気発生装置は、他の蒸気発生装置と、排気槽と、他の真空排気系から遮断される。従って、選択した蒸気発生装置で発生した蒸気は、全て放出装置へ供給され、しかも、放出装置へ供給される蒸気に、他の蒸気発生装置で発生した蒸気が混ざらない。
【発明の効果】
【0012】
複数の蒸気発生装置が一つの放出装置に接続され、放出装置には異なる種類の有機材料の蒸気を供給することができる。従って、基板を放出装置上から移動させなくても、複数種類の有機薄膜を成膜することができる。蒸着材料は必要量だけが蒸気発生装置に供給され、多量の蒸着材料が一度に加熱されることがない。従来に比べて蒸着材料が劣化しにくく、粉塵発生量も少ないから、膜質の良い有機薄膜が得られる。選択した蒸気発生装置で発生した蒸気は、他の蒸気発生装置で発生した蒸気が混入することなく、放出装置から放出されるから、目的の材料だけで有機薄膜を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1の符号1は成膜装置(有機EL製造装置)の一例を示している。
成膜装置1は複数の蒸着装置10a〜10c、30bを有しており、ここでは、各蒸着装置10a〜10c、30bは搬送室2に接続され、蒸着装置10a〜10c、30bが接続された搬送室2には、搬入室3aと、搬出室3bと、処理室6と、スパッタ室7と、マスク収容室8とが接続されている。マスク収容室8内部には複数のマスクが収容されており、蒸着装置10a〜10c、30bやスパッタ室7内部に配置されたマスクと定期的に交換される。
【0014】
真空排気系9により、搬送室2内部と、蒸着装置10a〜10c、30bの内部と、処理室6内部と、スパッタ室7内部と、マスク収容室8内部と、搬入室3a内部と、搬出室3b内部に真空雰囲気が形成される。
【0015】
搬送室2の内部には搬送ロボット5が配置されている。表面上に下部電極が形成された基板は搬入室3aに搬入され、該基板は搬送ロボット5によって真空雰囲気中を搬入室3aから搬送室2へ搬入され、処理室6で加熱処理やクリーニング処理等の処理がされ、蒸着装置10a〜10c、30b内部で、電子注入層、電子輸送層、発光層、ホール輸送層、ホール注入層等の有機薄膜が形成され、スパッタ室7内部で上部電極が形成され、製造された有機EL素子は搬出室3bから外部に搬出されるようになっている。
【0016】
発光層は3色の着色層(例えば赤、緑、青)を複数ずつ有する。各色の着色層は異なる領域上にそれぞれ形成されており、有機EL素子はフルカラー表示が可能である。
着色層が形成される領域には下部電極がそれぞれ位置する。上部電極に通電した状態で、選択した下部電極に通電すれば、選択した下部電極と、上部電極の間に位置する着色層が発光する。所望の場所にある所望の色の着色層を発光させることで、所望の画像又は文字をフルカラー表示することができる。
【0017】
次に、発光層の成膜に用いられる本発明の蒸着装置10b、30bについて説明する。
図2は本発明第一例の蒸着装置10bの模式的な斜視図であり、図4は本発明第二例の蒸着装置30bの模式的な断面図である。第一、第二例の蒸着装置10b、30bの同じ部材には同じ符号を付して説明する。
【0018】
第一、第二例の蒸着装置10b、30bは、蒸気発生源12と、放出装置50と、切替装置70と、成膜槽11と、真空排気系89と、第一〜第三の冷却手段85a〜85cをそれぞれ有している。
放出装置50は放出口55が設けられており、少なくとも放出口55が設けられた部分が成膜槽11の内部に位置するよう配置されている。
【0019】
第一例の蒸着装置10bでは成膜槽11とは異なる真空槽82が設けられ、その真空槽82内部に第一〜第三の冷却手段85a〜85cが配置されており、後述するように、真空槽82の内部が残留ガスの排気槽となる。
【0020】
第二例の蒸着装置30bでは、成膜槽11の内部であって、放出装置50の外側の空間に第一〜第三の冷却手段85a〜85cが配置されており、放出装置50が配置されたものと同じ成膜槽11が残留ガスの排気槽となる。
【0021】
蒸気発生源12は複数の蒸気発生装置20a〜20c(第一〜第三の蒸気発生装置)を有しており、第一〜第三の色の蒸着材料39はそれぞれ別々の蒸気発生装置20a〜20cに収容される。第一〜第三の色の蒸着材料39を収容する蒸気発生装置20a〜20cをそれぞれ第一〜第三の蒸気発生装置20a〜20cとする。
【0022】
図3は第一〜第三の蒸気発生装置20a〜20cを説明するための断面図である。第一〜第三の蒸気発生装置20a〜20cは、異なる蒸着材料39が収容される以外は同じ構成を有しており、同じ部材には同じ符号を付して説明する。
各蒸気発生装置20a〜20cは、タンク(収容部)32と、供給装置31と、蒸発室21と、加熱装置25とをそれぞれ有している。タンク32は内部に蒸着材料39を収容可能になっている。
【0023】
供給装置31は一端がタンク32に接続され、他端が蒸発室に接続された導入管42と、導入管42に挿通された回転軸35と、回転軸35に接続された制御装置41を有している。回転軸35の導入管42に挿通された部分の周囲には突条36が設けられている。制御装置41で回転軸35をその中心軸線を中心として回転させると、タンク32に収容された蒸着材料39は、突条36間の溝を通って、タンク32から蒸発室21へ移動し、蒸発室21に蒸着材料39が供給される。回転軸35の回転量と、蒸着材料39の供給量との関係を求めておけば、その関係から、必要量の蒸着材料39を供給するのに必要な回転軸35の回転量が分かる。
【0024】
制御装置41には記憶装置(不図示)が設けられている。後述するように蒸着材料39の必要量を記憶装置に記憶させ、設定量とすると、制御装置41は設定量の蒸着材料39が供給されるように、回転軸35を回転させる。
【0025】
加熱装置25は、蒸発室21内部に配置された高温体22と、蒸発室21の周囲にまきまわされたコイル24とを有している。蒸発室21は銅やアモルファス合金等の低透磁率材料で構成され、高温体22はステンレス等の高抵抗導電材料で構成され、電源26からコイル24に交流電圧を印加すると、蒸発室21の内部に電磁場が形成され、高温体22が誘導加熱される。
【0026】
蒸発室21には真空排気系83(真空ポンプ)が接続されている。蒸発室21内部に真空雰囲気を形成しておき、蒸着材料39の蒸発温度以上分解温度未満の加熱温度に高温体22を加熱して、蒸着材料39を蒸発室21に供給すると、加熱した高温体22に蒸着材料39が接触し、蒸発室21の内部に蒸着材料39の蒸気が発生する。
【0027】
切替装置70は第一〜第三の蒸気発生装置20a〜20cの蒸発室21のうち、1又は2以上の蒸発室21内部空間をそれぞれ放出装置50に接続し、又は、全部の蒸発室21の内部空間を放出装置50から遮断するように構成されている。
【0028】
第一〜第三の蒸気発生装置20a〜20cの蒸発室は切替装置70を介して排気槽に接続されている。上述したように、第一例の蒸着装置10bでは成膜槽11とは異なる真空槽82が排気槽であり、第二例の蒸着装置30bでは成膜槽11の一部が排気槽である。
【0029】
切替装置70は第一〜第三の蒸気発生装置20a〜20cの蒸発室21のうち、1又は2以上の蒸発室21を排気槽に接続しながら、放出装置50から遮断するか、1又は2以上の蒸発室21を排気槽から遮断しながら、放出装置50に接続するか、全部の蒸発室21を排気槽と放出装置50の両方から遮断するように構成されている。
【0030】
第一〜第三の蒸気発生装置20a〜20cは第一〜第三の供給配管76a〜76cをそれぞれ介して切替装置70に接続されており、第一〜第三の供給配管76a〜76cには、別の供給配管76a〜76cに接続された蒸気発生装置20a〜20c内の蒸気は通らないようになっている。
【0031】
従って、第一〜第三の蒸気発生装置20a〜20cで発生した蒸気は、別々の供給配管76a〜76cを通って放出装置50へ供給される。
排気槽は第一〜第三の排出配管78a〜78cを介して切替装置70に接続されている。第一〜第三の排出配管78a〜78cの切替装置70と反対側の端部(排出口)は、排気槽の内部に位置する。
【0032】
第一例の蒸着装置10bでは排気槽(真空槽82)が成膜槽11で分離されている。第二例の蒸着装置30bでは排気槽と成膜槽11で構成されるが、排出口は排気槽の内部であって、放出装置50の外側に位置している。従って、第一例、第二例のいずれも、蒸気は放出装置50の外側の空間に排出される。
【0033】
上述した第一〜第三の冷却手段85a〜85cは、第一〜第三の排出配管78a〜78cの排出口とそれぞれ対面するよう配置されている。
第一〜第三の冷却手段85a〜85cにはそれぞれ冷却装置86が取り付けられている。冷却装置86で第一〜第三の冷却手段85a〜85cを蒸着材料39の蒸発温度未満に冷却しておき、第一〜第三の蒸気発生装置20a〜20cの蒸発室21を排気槽に接続すると、第一〜第三の冷却手段85a〜85cに蒸気が析出する。
【0034】
第一〜第三の冷却手段85a〜85cは排気槽から搬出入可能になっており、第一〜第三の冷却手段85a〜85cを排気槽から取り出せば、第一〜第三の冷却手段85a〜85cに析出した蒸着材料39を回収することができる。
【0035】
切替装置70は三方弁のようなバルブ71a〜71cを有している。第一〜第三の排出配管78a〜78cはバルブ71a〜71cを介して第一〜第三の供給配管76a〜76cにそれぞれ接続されており、第一〜第三の供給配管76a〜76cに流れる蒸気は、当該供給配管76a〜76cに接続された排出配管78a〜78cを通り、他の供給配管76a〜76cに接続された排出配管78a〜78cを通らない。
【0036】
即ち、蒸発室21で発生した蒸気が排気槽に排出されるまでの経路は、第一〜第三の蒸気発生装置20a〜20c毎に異なる。第一〜第三の冷却手段85a〜85cに析出する蒸着材料39には、他の色の蒸着材料39が混ざらないから、回収した蒸着材料39を再びタンク32に戻して再利用することができる。
【0037】
次に、本発明の発光層を形成する工程について説明する。
ここでは着色層は赤、緑、青の3色であり、赤、緑、青のうち、いずれか1色を第一の色、残りの二色のうち、一方の色を第二の色、他方の色を第三の色とする。
【0038】
蒸着材料39として、主成分の有機材料(ホスト)に、着色剤(ドーパント)が添加された、第一〜第三の色の蒸着材料39を用意する。第一〜第三の色の蒸着材料39を第一〜第三の蒸気発生装置20a〜20cのタンク32にそれぞれ収容し、タンク32の蓋34を閉めて、蒸着材料39が収容された空間を密閉しておく。
【0039】
第一〜第三の蒸気発生装置20a〜20cの蒸発室21及びタンク32と、成膜槽11(及び真空槽82)とを真空排気し、蒸発室21と、タンク32と、成膜槽11(及び真空槽82)と、放出装置50と、各配管76a〜76c、77、78a〜78cと、切替装置70の内部に所定の成膜圧力(例えば10-5Pa)の真空雰囲気を形成する。
【0040】
該真空雰囲気を維持しながら、各高温体22を、蒸着材料39の蒸発温度以上であって、蒸着材料39の分解温度未満の加熱温度(例えば200℃〜300℃)に加熱し、その加熱温度を維持しておく。
【0041】
形成すべき第一〜第三の色の着色層の膜厚は決められている。決められた膜厚の成膜に必要な第一〜第三の色の蒸着材料39の必要量をそれぞれ求めておき、第一〜第三の色の蒸着材料39の必要量を、第一〜第三の蒸気発生装置20a〜20cの制御装置41にそれぞれ設定しておく。
【0042】
第一の蒸気発生装置20aを排気槽から遮断しながら、放出装置50に接続し、第二、第三の蒸気発生装置20b、20cを放出装置50から遮断した状態で、必要量の第一の色の蒸着材料39を、加熱された高温体22に接触させ、第一の色の蒸着材料39の蒸気を蒸発室21内部に発生させる。第一の色の蒸着材料39の蒸気は、圧力差により、第一の蒸気発生装置20aの蒸発室21から放出装置50へ移動する。
【0043】
成膜槽11内部の放出装置50上方位置には基板ホルダ15が配置されている。
第一の蒸気発生装置20aを放出装置50に接続した状態で蒸着材料39を高温体22に接触させる前に、基板81を成膜槽11内部に搬入して基板ホルダ15に保持させ、アライメント手段60により、基板81の第一の色の着色層が形成されるべき領域と、マスク16の開口17とが対面するように位置合わせを行っておく。
【0044】
放出装置50へ移動し、放出口55から放出された蒸気は、開口17を通って基板81に到達し、基板81の決められた領域に第一の色の着色層が成長する。このとき、他の色の着色層を形成すべき領域は、マスク16の遮蔽部18で覆われているから、他の色の着色層を形成すべき領域には、第一の色の着色層は成長しない。
【0045】
上述したように、蒸発室21に配置された蒸着材料39の量は、決められた膜厚の成膜に必要な量である。
その蒸着材料39が全て蒸発するまで、成膜槽11を真空排気しながら、第一の蒸気発生装置20aを排気槽から遮断して放出装置50に接続した状態と、他の蒸気発生装置20b、20cを放出装置50から遮断した状態と、位置合わせされた基板81とマスク16を放出装置50上に位置させる状態を維持する。
【0046】
第一の蒸気発生装置20aを放出装置50に接続してから所定時間が経過するか、第一の蒸気発生装置20aの蒸発室21の内部圧力が、所定圧力以下になったら、蒸着材料39が全部蒸発し、成膜が終了したと判断する。
【0047】
成膜が終了した時には、基板81表面の決められた領域に、決められた膜厚の第一の色の着色層が形成される。
第一の色の着色層の成膜が終了したら、第一の蒸気発生装置20aを放出装置50から遮断しながら排気槽に接続して後述する排気処理を行い、第二の色の着色層を成膜する。
【0048】
第二の色の着色層の成膜が終了後は、第二の蒸気発生装置20bを放出装置50から遮断しながら排気槽に接続して排気処理を行い、第三の色の着色層を成膜する。第三の色の着色層を成膜後は、第三の蒸気発生装置20cを放出装置50から遮断しながら排気槽に接続して排気処理を行う。
【0049】
尚、第二、第三の色の着色層の成膜は、第一の色の着色層を形成した時と同様に、開口17が第二、第三の色の着色層を形成すべき領域と対面するように、基板81とマスク16を位置合わせをしてから、第二、第三の蒸気発生装置20b、20cを放出装置50に接続した状態で、予め求められた量の第二、第三の色の蒸着材料39を蒸発室21内でそれぞれ蒸発させる。
【0050】
位置合わせされた基板81とマスク16とを放出装置50上に位置させたまま、放出口55から蒸気を放出すれば、予め決められた領域に、決められた膜厚の第二、第三の色の着色層が成膜され、発光層が得られる。
発光層を形成する間、基板81はマスク16に対して相対的に移動するが、放出装置50上から取り外す必要がないので、基板81の移動距離が短く、発塵が少ない。
【0051】
発光層が形成された状態の基板81を基板ホルダ15から取り外して、成膜槽11から搬出し、発光層が形成される前の未処理の基板81を成膜槽11に搬入して基板ホルダ15に保持させ、上述した工程で第一〜第三の色の着色層の成膜を行う。
【0052】
各蒸発室21の内部と、各蒸発室21と放出装置50との間の経路には、前の基板81の成膜に用いた蒸気及びその分解物が残留している。経路のうち、切替装置70と蒸発室21の間の部分(供給配管76a〜76c)は、切替装置70と成膜槽11と間の部分に比べて長く、しかも、供給配管76a〜76cと蒸発室21は成膜槽11から遠いから、前に成膜した時の蒸気と、その分解物が残留しやすい。
【0053】
蒸気や分解物が残留すると、次の成膜に悪影響を与える虞があるから、蒸発室21に蒸着材料39を供給して着色層の成膜を開始する前に、第一〜第三の蒸気発生装置20a〜20cの排気処理を終了させておく。
【0054】
排気処理は、排気槽に予め第一〜第三の冷却手段85a〜85cを搬入し、第一〜第三の冷却手段85a〜85cを蒸着材料39の蒸発温度未満の冷却温度に冷却し、その冷却温度を維持しておく。
【0055】
排気槽を真空排気しながら、第一〜第三の蒸気発生装置20a〜20cを排気槽に接続し、第一〜第三の蒸気発生装置20a〜20cの内部空間(蒸発室21の内部空間)と、該内部空間と切替装置70との間の経路(供給配管76a〜76c)とを真空排気し、残留する蒸気を排気槽に排出して、第一〜第三の冷却手段85a〜85cに析出させる。
【0056】
ここでは、蒸発室21にガス供給系84が接続されている。第一〜第三の蒸気発生装置20a〜20cを排気槽に接続しながら、ガス供給系84から蒸発室21にN2ガスのようなパージガスを流せば、残留蒸気はパージガスで押し流されるから、残留蒸気の排出効率が上がる。
【0057】
第一〜第三の蒸気発生装置20a〜20cを排気槽に接続してから所定時間経過した時、又は蒸発室21が所定の圧力に達したら、残留蒸気が無くなり、排気処理が終了したと判断する。
【0058】
第一〜第三の蒸気発生装置20a〜20cは、排気処理が終了した後、蒸発室21に蒸着材料39を供給するまでの間、放出装置50から遮断しながら排気槽に接続したままにしてもよいし、排気槽と放出装置50の両方から遮断しておいてもよい。
【0059】
蒸発室21に蒸着材料39を供給する前に、蒸発室21に接続された真空排気系83を動作させ、蒸発室21内部に上述した成膜圧力を形成する。排気処理にパージガスを用いた場合、成膜圧力を形成する際に、パージガスが蒸発室21と、第一〜第三の供給配管76a〜76cから除去される。
【0060】
蒸発室21に蒸着材料39を供給する時には、蒸発室21と、蒸発室21と切替装置70との間の経路から、残留蒸気、残留蒸気の分解物及びパージガス等が除去されているから、分解物の混入がなく、かつ、決められた膜厚の着色層が形成される。
【0061】
第一〜第三の色の着色層の成膜と、第一〜第三の蒸気発生装置20a〜20cの排気処理と、基板81の交換とを繰り返せば、蒸発室21や配管(特に供給配管76a〜76c)のメンテナンス無しに、多数枚の基板81の成膜処理を連続して行うことができる。
【0062】
尚、第一〜第三の冷却手段85a〜85cに析出した蒸着材料39は再利用してもよいし、そのまま捨ててもよい。析出した蒸着材料39を再利用せずに捨てる場合には、第一〜第三の供給配管76a〜76cを通った蒸気を、同じ排出配管を通して排気槽へ排出させてもよい。
【0063】
高温体22を加熱する加熱手段も、誘導加熱手段に限定されない。高温体22にヒーターを取り付け、該ヒーターに通電し、熱伝導で高温体22を加熱することもできる。更に、蒸発室21にレーザー光が透過可能な窓部を設け、高温体22又は高温体22に配置された蒸着材料39にレーザー光を照射して、蒸着材料39を蒸発させてもよい。
【0064】
高温体22の形状も特に限定されないが、ここでは、高温体22は板状の加熱板22cと、加熱板22c表面に配置されたリング状の外周突部22bと、加熱板22c表面の外周突部22bのリング内側に配置された内側突部22aとを有している。供給装置31から落下した蒸着材料39は、内側突部22aと外周突部22bの間に配置される。
【0065】
本発明に用いる供給装置31は、決められた量の蒸着材料39を正確に蒸発室21に供給可能なものであれば特に限定されない。
蒸着材料39はホストとドーパントの混合物に限定されない。例えば、第一〜第三の蒸気発生装置20a〜20cに2つ以上のタンク32をそれぞれ設け、タンク32に蒸着材料39の成分(例えば、ホスト、着色剤、他のドーパント)をそれぞれ別々のタンク32に収容させておく。
【0066】
決められた組成、決められた膜厚の着色層の成膜に必要な量を各成分毎に求めておき、求めた量の各成分をタンク32から同じ蒸発室21又は異なる蒸発室21にそれぞれ供給し、蒸発室21内で加熱して蒸気を発生させる。
【0067】
各蒸発室21を同じ放出装置50に接続して、各成分の蒸気を同じ放出装置50の放出口55から放出させれば、基板81表面には、決められた組成、決められた膜厚の着色層が形成される。
【0068】
第一〜第三の色は赤、緑、青に限定されず、3原色であれば赤、黄、青であってもよい。また、着色層の色の数は3色に限定されず、2色以下であってもよいし、4色以上であってもよい。蒸気発生装置20a〜20cは少なくとも着色層の色の数と同じか、それ以上用意する。要するに本願発明の蒸着装置は、異なる色の着色層を、異なる領域に形成可能なものである。
着色層は、発光材料が含有された発光層を構成する場合に限定されず、発光層とは別に形成してもよい。
【0069】
本発明の蒸着装置10bは発光層だけでなく、ホール輸送層、ホール注入層、電子注入層、電子輸送層等、他の有機薄膜の成膜に用いることもできる。
ホール輸送層、ホール注入層、電子注入層、電子輸送層等、発光層以外の有機薄膜を成膜する際には、基板表面の成膜する領域を変える必要が無いから、基板81と放出装置50の間にマスク16を配置しなくてもよく、又はマスク16を配置する場合であっても、各層の成膜毎にマスク16を移動させる必要がない。
【0070】
1つの成膜槽11内部には、1又は複数の放出装置50を配置することができる。1つの成膜槽11内部に複数の放出装置50を配置する場合、各放出装置50から放出される蒸気が混合されないよう、放出装置50同士の距離を十分に離すか、成膜槽11内部に蒸気の流れを遮蔽する遮蔽板を設けることが望ましい。
【0071】
放出装置50と、基板ホルダ15のいずれか一方又は両方を揺動手段58に接続してもよい。蒸気を放出している間、基板81とマスク16を相対的に静止させた状態で、該基板81を放出装置50に対して、水平面内で往復移動又は円運動させれば、基板81表面に成長する有機薄膜の膜厚が均一になる。
【0072】
基板ホルダ15と放出装置50との相対的な往復移動の方向は特に限定されない。
例えば、放出装置50が、放出口55が設けられた放出容器51と、該放出容器51内部に配置された供給管52とを有し、該供給管52が所定間隔を空けて略平行に配置された複数本の分岐管を有する場合、基板81と放出装置50を、該分岐管と交差する方向に水平面内で相対的に移動させる。
【0073】
供給管52の噴出口53を、放出容器51の放出口55と対面しない位置に設ければ、噴出口53から噴出される蒸気は、放出容器51に充満してから放出口55から放出されるため、放出速度が安定する。具体的には、放出口55が放出容器51の天井に設けられている場合は、噴出口53は供給管52の放出容器51の底面又は側面と対向する部分に設ける。
【0074】
放出装置50(ここでは放出容器51)の放出口55が形成された面(前面)を、基板81よりも大面積にし、放出口55を前面に所定間隔を空けて分散配置しておけば、基板81を放出装置50上に位置させたまま、基板81表面全部に亘って薄膜を形成することができる。この方法によれば、基板81を搬送しながら成膜する必要がなく、成膜槽11内での基板81の移動距離が短くなるので、基板81の搬送によるダストの発生量が少ない。
蒸発室21を放出装置50に接続して蒸気を供給する際、蒸発室21にパージガス(例えばN2)を導入すれば、蒸気の供給効率が高くなる。
【0075】
尚、決められた膜厚を成膜するのに要する有機材料39の供給量は予備試験で求めておく。予備試験は、実際の成膜に用いるものと同じ有機材料39をタンク32に収容し、真空雰囲気の圧力、高温体22の加熱温度等の成膜条件を、実際の製造の時と成膜条件と同じにし、放出装置50上に基板81(マスク16使用するならばマスク16と基板81)とを配置したまま、有機材料39を蒸発室21に供給して蒸気を発生させ、該蒸気を放出口55から放出させて薄膜を形成する。有機材料39の落下量と、薄膜の膜厚との関係を求めれば、その関係から必要供給量が分かる。
【0076】
蒸気発生装置20a〜20cの設置場所は特に限定されず、蒸気発生装置20a〜20cの一部又は全部を、放出装置50と同じ成膜槽11内部に設置してもよい。
尚、蒸発室21を放出装置50に接続して蒸気を供給する時には、少なくとも蒸気が通る経路(供給配管76a〜76c、切替装置70、放出配管77、放出装置50)をヒーターで、蒸着材料39の蒸発温度以上分解温度未満に加熱すれば、該経路で蒸気が析出しない。
【0077】
放出装置50からの輻射熱でマスク16が加熱されると、熱膨張が起こり、成膜精度が下がるので、放出装置50とマスク16との間に断熱材(冷却板)67を配置し、ヒーター68を冷却板67で覆うことが望ましい。
【0078】
冷却板67の放出口55上の位置に、放出口55が露出する開口(蒸気放出口)を設けておき、該開口の大きさを、放出口55から放出される蒸気が接触しない程度に大きくすれば、蒸気が冷却板67に析出しない。
【0079】
蒸発室21を排気槽に接続して蒸気を排出する際には、少なくとも蒸気が排出される経路(供給配管76a〜76c、切替装置70、排出配管78a〜78c)を、蒸着材料39の蒸発温度以上分解温度未満に加熱すれば、該経路で蒸気が発生しない。その経路に加え、排気槽も蒸発温度以上分解温度未満に加熱しておけば、蒸着材料39は排気槽の壁面に析出せず、第一〜第三の冷却手段85a〜85cに析出するから、蒸着材料39の回収効率が上がる。
【0080】
第一〜第三の冷却手段85a〜85cの形状は特に限定されず、板状であってもよいし、容器状であってもよい。また、第一〜第三の冷却手段85a〜85cは一体であってもよいし、分離されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】成膜装置の一例を説明するための平面図
【図2】本発明第一例の蒸着装置の模式的な斜視図
【図3】本発明第一〜第三の蒸気発生装置を説明するための断面図
【図4】本発明第二例の蒸着装置の模式的な断面図
【図5】従来技術の蒸着装置を説明するための断面図
【符号の説明】
【0082】
9、89……真空排気系 10b……蒸着装置 11……成膜槽 12……蒸気発生源 20a〜20c……第一〜第三の蒸気発生装置 21……蒸発室 25……加熱装置 31……供給装置 42……導入管 32……タンク 39……蒸着材料 50……放出装置 70……切替装置 81……基板 82……真空槽 85a〜85c……第一〜第三の冷却手段 86……冷却装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部で蒸着材料の蒸気を発生させる蒸気発生源と、
前記蒸着材料の蒸気を成膜槽内部に放出する放出装置と、
前記蒸気発生源の内部が前記放出装置の内部に接続された状態と、前記蒸気発生源の内部が前記放出装置の内部から遮断された状態とを切替える切替装置とを有する蒸着装置であって、
真空槽と、前記真空槽に接続された真空排気系とを有し、
前記切替装置は、前記蒸気発生源の内部を前記放出装置の内部から遮断しながら、前記蒸気発生源の内部を前記真空槽に接続できるように構成された蒸着装置。
【請求項2】
前記蒸気発生源は複数の蒸気発生装置を有し、
前記蒸気発生源の内部は前記各蒸気発生装置の内部であり、
前記切替装置は、前記各蒸気発生装置の内部を、前記放出装置又は前記真空槽に個別に接続できるように構成された請求項1記載の蒸着装置。
【請求項3】
前記各蒸気発生装置は、前記蒸気発生装置の内部空間を構成する蒸発室と、
前記蒸着材料が収容されるタンクと、
前記蒸着材料を前記タンクから前記蒸発室に供給する供給装置と、
前記蒸発室に供給された前記蒸着材料を加熱する加熱装置とを有し、
前記蒸着材料は、前記供給装置により、当該供給装置に設定された量供給される請求項2記載の蒸着装置。
【請求項4】
前記成膜槽は前記真空槽から分離され、
前記成膜槽には主真空排気系が接続され、
前記放出装置は、前記蒸気を放出する1又は2以上の放出口を有し、
前記放出装置の内部空間は、前記放出口を介して前記成膜槽の内部に接続された請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の蒸着装置。
【請求項5】
前記成膜槽は前記真空槽と同一であり、
前記放出装置は、前記蒸気を放出する1又は2以上の放出口を有し、
前記放出装置の内部空間は、前記放出口を介して前記真空槽の内部に接続され、
前記切替装置は、前記蒸気発生源の内部空間を、前記真空槽の内部空間のうち、前記放出装置の外部空間に接続する請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の蒸着装置。
【請求項6】
前記真空槽に搬出入可能な冷却手段と、前記真空槽に搬入された前記冷却手段を冷却する冷却装置とを有する請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の蒸着装置。
【請求項7】
第一〜第三の蒸気発生装置に第一〜第三の色の蒸着材料を配置しておき、
前記第一〜第三の蒸気発生装置の内部で、前記第一〜第三の色の蒸着材料の蒸気をそれぞれ発生させ、
前記第一〜第三の色の前記蒸着材料の蒸気を、前記第一〜第三の蒸気発生装置から、放出装置に順番に移動させ、当該放出装置の放出口から成膜槽の内部に放出させ、
前記成膜槽の内部に配置された基板の、第一〜第三の領域に、前記第一〜第三の色の前記蒸着材料の蒸気をそれぞれ到達させ、前記第一〜第三の色の着色層を形成する成膜方法であって、
前記第一〜第三の蒸気発生装置と前記放出装置との間の、前記蒸気が移動する経路に切替装置を設けておき、
前記第一の蒸気発生装置を前記放出装置に接続し、前記第一の領域に前記第一の色の着色層を形成した後、
前記切替装置を切り替え、前記第一の蒸気発生装置を前記放出装置から遮断し、真空排気系に接続した状態で、
前記第二の蒸気発生装置を前記放出装置に接続し、前記第二の色の前記蒸着材料の蒸気を、前記放出口から放出させる成膜方法。
【請求項8】
前記第一〜第三の蒸気発生装置に、前記蒸着材料を配置するタンクと、前記蒸着材料の蒸気を発生させる蒸発室をそれぞれ設けておき、
前記タンクに前記蒸着材料を収容しておき、前記タンクから前記蒸発室に蒸着材料を供給し、前記蒸発室内部で前記蒸着材料の蒸気を発生させる請求項7記載の成膜方法であって、
前記切替装置の切替は、予め設定された量の前記第一の蒸着材料を、第一の蒸発室に供給し、前記蒸発室内の有機材料が蒸発した後行う請求項7記載の成膜方法。
【請求項9】
前記真空排気系と前記切替装置との間に真空槽を設けておき、
前記第一の蒸気発生装置の前記真空排気系への接続は、前記真空槽を介して前記真空排気系に接続し、前記真空槽に引き込まれた蒸気を、前記真空槽内部で冷却し、前記真空槽内部で前記蒸着材料を析出させる請求項7又は請求項8のいずれか1項記載の成膜方法。
【請求項10】
前記真空排気系として、前記成膜槽に接続された主真空排気系を用い、
前記第一の蒸気発生装置の前記真空排気系への接続は、前記第一の蒸気発生装置を、前記成膜槽内部空間であって、前記放出装置の外部空間に接続し、
前記成膜槽に引き込まれた蒸気を冷却して、前記成膜槽内部に析出させる請求項7又は請求項8のいずれか1項記載の成膜方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−87910(P2009−87910A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−280726(P2007−280726)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】