説明

蒸着装置及び有機EL装置の製造方法

【課題】発光層などの薄膜素子に損傷を与えることなく、成膜可能な蒸着装置を開発する。
【解決手段】
真空雰囲気に維持可能であってガラス基板8を設置可能な蒸着室2と、電子ビームを照射して薄膜材料15を蒸発させる蒸発装置3とを有し、蒸着室2にガラス基板8を設置し、蒸発装置3によって蒸発された薄膜材料15を蒸散させて前記ガラス基板8に所定成分の薄膜を蒸着する真空蒸着装置1において、蒸発装置3と蒸着室2との間に管路6があり、蒸発装置3で蒸発した薄膜材料15の気体が管路6を経て蒸着室2に導入される構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸着装置に関するものであり、特に電子ビーム蒸着装置に関するものである。本発明は、特に有機EL(Electro Luminesence)装置の製造に用いる蒸着装置として好適である。
【背景技術】
【0002】
近年、白熱灯や蛍光灯に変わる照明装置として有機EL装置が注目され、多くの研究がなされている。また、テレビに代表されるディスプレイ部材においても液晶方式やプラズマ方式に変わる方式として有機EL方式が注目されている。
【0003】
ここで、有機EL装置は、ガラス基板や透明樹脂フィルム等の基材に、有機EL素子を積層したものである。
また、有機EL素子は、一方又は双方が透光性を有する2つの電極を対向させ、この電極の間に有機化合物からなる発光層を積層したものである。有機EL素子は、電気的に励起された電子と正孔との再結合のエネルギーによって発光する。
有機EL装置は、自発光デバイスであるため、ディスプレイ材料として使用すると高コントラストの画像を得ることができる。また、発光層の材料を適宜選択することにより、種々の波長の光を発光することができる。また、白熱灯や蛍光灯に比べて厚さが極めて薄く、且つ面状に発光するので、設置場所の制約が少ない。
【0004】
有機EL装置の代表的な層構成は、図17の通りである。図17に示される有機EL装置200は、ボトムエミッション型と称される構成であり、ガラス基板201に、透明電極層202と、機能層203と、裏面電極層205が積層され、これらが封止部206によって封止されたものである。
また、機能層203は、複数の有機化合物の薄膜が積層されたものである。代表的な機能層203の層構成は、図18の通りであり、正孔注入層210、正孔輸送層211、発光層212、及び電子輸送層213を有している。
【0005】
有機EL装置200は、ガラス基板201上に、前記した層を順次成膜することによって製造される。
ここで、上記した各層の内、透明電極層202は、酸化インジウム錫(ITO)等の透明導電膜層であり、一般的にスパッタ法によって成膜される。
【0006】
機能層203は、前記した様に複数の有機化合物の薄膜が積層されたものであり、各薄膜はいずれも真空蒸着法によって成膜される。
ここで、前記透明電極層202上にそれと接して形成される前記正孔注入層210の材料としては、注入効率を高める目的のため、三酸化モリブデン(MoO3)等の酸化物が用いられる。一般的に積層膜は非晶質であることが好ましいことが知られている。従って、酸化物を非晶質で成膜するために、この正孔注入層は真空蒸着法で一般的に形成され、また、結晶化を抑制する観点から、有機化合物との共蒸着法で形成することが好ましいことが知られている。透明電極層202として陽極材料として一般的なITOを用いた場合には前記結晶化が促進される傾向にあることから、前記共蒸着法の有効性がさらに高まる。
【0007】
一方、このような有機EL装置において、その高輝度化のために通常高い電界を加えることで電流密度を高めることが行われている。しかし、電流密度を高めると発生する熱量が増大するため、機能層、即ち、有機発光層を構成する有機化合物そのものの劣化が促進されてしまうという問題がある。この問題を解決するため、つまり、電流密度を変えることなく発光輝度を上げるために、最近では有機発光層を含む発光ユニットを複数積層して直列に接続することで、素子の高輝度化を実現するMulti−PhotonEmission(MPE)法と称される方法が検討されている。
【0008】
このMPE法においては、発光ユニット間に電荷発生層を含むユニット間連結層(以下、連結層という。)を配置する必要がある。電界印加によりこの電荷発生層は、連結層の陰極側に配置される正孔輸送層に注入される正孔、及び連結層の陽極側に配置される電子輸送層に注入される電子を同時に生じさせる。この連結層の機能により、複数の発光ユニットは連結層を介してあたかも直列に接続されているかのように振る舞う。
前記電荷発生層として機能する材料としては、五酸化二バナジウム(V25)や、三酸化モリブデン(MoO3)、三酸化タングステン(WO3)等の金属酸化物を含有する電気絶縁性材料が提案されている。このような電荷発生層の材料においては材料の化学両論比が重要であり、作動中に組成比が崩れると不安定な電荷発生層は電荷発生層の機能が低下する場合があることが知られている。
また、前記連結層を構成し電子輸送層と接する連結層中の陽極側界面層としては、陽極側の発光ユニットへの電子注入効率が高いことが求められる。その材料としてはアルカリ金属、又はアルカリ土類金属の酸化物が使用可能であり、その酸化物中の金属イオンが電子供与性ドーパントとして作用する。しかしながら、例えば、炭酸リチウム(Li2CO3)のような金属酸化物の場合は、金属イオンが有機層に拡散し易く、素子が短寿命化することが懸念される。
裏面電極層205は、アルミニウム、銀等の金属薄膜であり、真空蒸着法によって成膜される。
【0009】
この様に、有機EL装置を製造する際には、真空蒸着法が多用される。ここで、真空蒸着法は、例えば、特許文献1に開示されたような真空蒸着装置を使用して成膜する技術である。
即ち、真空蒸着装置は、真空室と、薄膜材料を蒸発させる蒸発装置によって構成されるものである。真空室は、ガラス基板を設置することができるものである。
蒸発装置は電子ビーム等を利用した加熱装置と、薄膜材料を入れる坩堝とよって構成されている。
ここで、電子ビームを利用して薄膜材料を蒸発させる方法である真空蒸着法は、特に電子ビーム蒸着法と称されている。
電子ビーム蒸着法は、容器に薄膜材料を入れ、電子ビームを直接薄膜材料に照射し、瞬時に薄膜材料を蒸発させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−274370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
電子ビーム蒸着法は、前述したように容器に薄膜材料を収容し、電子ビームを直接薄膜材料に照射し瞬時に溶解・蒸発させるが、電子ビームが薄膜材料に照射された際に、2次電子、反跳電子、X線、熱線などの放射線が放出される。そのため、例えば、電子ビーム蒸着法を用いて、あらかじめ発光層等を成膜し、その上に他の所定の層を電子ビーム蒸着法により成膜する場合、放出された放射線の一部がすべて成膜された有機EL素子の層などに照射されて、発光層などに損傷を与えることがあり、このことが発光効率の低減、駆動電圧の上昇および素子寿命の低下などの素子性能低下の誘因となる場合が懸念される。
また、成膜中の薄膜にも損傷を与える虞がある。
【0012】
そこで、本発明は、上記した問題点を解決するものであり、すべて成膜された発光層などに損傷を与えることなく、成膜可能な蒸着装置を開発することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、真空雰囲気に維持可能であって基材を設置可能な蒸着室と、電子ビームを照射して薄膜材料を蒸発させる蒸発装置とを有し、蒸着室に基材を設置し、蒸発装置によって蒸発された薄膜材料を蒸散させて前記基材に所定成分の薄膜を蒸着する蒸着装置において、蒸発装置と蒸着室との間に狭窄部があり、蒸発装置で蒸発した薄膜材料の気体が狭窄部を経て蒸着室に導入されることを特徴とする蒸着装置である。
【0014】
かかる構成によれば、蒸発装置と蒸着室との間に狭窄部があり、蒸発装置で蒸発した薄膜材料の気体が狭窄部を経て蒸着室に導入されるため、基材に電子ビームによる2次電子、反跳電子、X線、熱線などの放射線の影響を与えることなく、薄膜を形成できる。即ち、発光層などの薄膜素子に損傷を与えることなく、成膜可能となる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、蒸発装置は真空雰囲気に維持可能な蒸発装置側筐体を有し、蒸発装置側筐体内に薄膜材料を置いて電子ビームを照射するものであり、蒸着室は蒸着室を構成する蒸着室用筐体を有し、蒸発装置側筐体と蒸着室用筐体とは別個の筐体であることを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置である。
【0016】
かかる構成によれば、蒸発装置側筐体と蒸着室用筐体とは別個の筐体であるため、基材に、電子ビームによる2次電子、反跳電子、X線、熱線などの放射線が直接衝突することがない。即ち、発光層などの薄膜素子に損傷を与えることなく、成膜可能となる。
【0017】
上記した発明において、蒸発装置と蒸着室との間に曲部があることが好ましい。(請求項3)
【0018】
上記した発明において、蒸発装置と蒸着室との間が管路で結ばれていることが好ましい。(請求項4)
【0019】
請求項5に記載の発明は、狭窄部を高温状態に維持する保温手段を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の蒸着装置である。
【0020】
かかる構成によれば、狭窄部を高温状態に維持する保温手段を有するため、蒸発した薄膜材料は、固化することなく、蒸着室まで通過することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、電子ビームを照射して薄膜材料を蒸発させる前記蒸発装置からなる第1蒸発装置と、抵抗加熱によって薄膜材料を蒸発させる第2蒸発装置を備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の蒸着装置である。
【0022】
かかる構成によれば、複数の蒸着装置を有するため、異なる薄膜材料を蒸着できる。例えば、共蒸着に適用できる。
【0023】
請求項7に記載の発明は、第1蒸発装置で蒸発した薄膜材料の気体と第2蒸発装置で蒸発した薄膜材料の気体とが一つの蒸着室内で蒸着されることを特徴とする請求項6に記載の蒸着装置である。
【0024】
かかる構成によれば、複数の薄膜材料が一つの蒸着室内で蒸着されるため、余分に蒸着室を設置する必要がない。また、異なる薄膜材料を同時に蒸着できる。
【0025】
上記した発明は、蒸着室内には第1蒸発装置で蒸発した薄膜材料の気体を放出する電子ビーム薄膜放出部と第2蒸発装置で蒸発した薄膜材料の気体を放出する抵抗加熱薄膜放出部を備えており、電子ビーム薄膜放出部はシャワープレートであり、抵抗加熱薄膜放出部はノズルであることが好ましい。(請求項8)
【0026】
請求項9に記載の発明は、前記ノズルの先端は前記シャワープレートより基板側に突出していることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の蒸着装置である。
【0027】
かかる構成によれば、ノズルより放出された薄膜材料がシャワープレートに付着することを防止できる。
【0028】
前記シャワープレート中央付近にノズルが挿通可能な開口を有しており、前記開口にノズルが挿通されていることが好ましい。(請求項10)
【0029】
請求項11に記載の発明は、基材はノズルに対向する部分以外の部分に設置されることを特徴とする請求項6乃至10のいずれかに記載の蒸着装置である。
【0030】
かかる構成によれば、ノズルから放出する薄膜材料の気体の温度がシャワープレートから放出する薄膜材料の気体の温度よりも高い場合でも、温度の違いによる影響を受けにくい。
【0031】
上記した発明は、蒸着室には基材を設置する基板設置部を有しており、基板設置台におけるノズルを投影した部分に対して集中的に冷却可能であることが好ましい。(請求項12)
【0032】
請求項13に記載の発明は、少なくとも基材上に第1電極層と、第2電極層とが積層され、第1電極層と第2電極層の間には少なくとも1層以上からなる機能層を有する有機EL装置の製造方法であって、機能層の一部又は全部を請求項1乃至12のいずれかに記載の蒸着装置を用いて製造することを特徴とする有機EL装置の製造方法である。
【0033】
かかる方法によれば、有機EL装置を効率良く製造できる。
【0034】
請求項14に記載の発明は、少なくとも基材上に第1電極層と、第2電極層とが積層され、第1電極層と第2電極層の間には少なくとも1層以上からなる機能層を有する有機EL装置の製造方法であって、機能層の一部又は全部は請求項6乃至12のいずれかに記載の蒸着装置を用いて共蒸着によって形成することを特徴とする有機EL装置の製造方法である。
なお、ここでいう共蒸着とは同一の蒸着室内で2つ以上の蒸着材料を用いて、共通の対象に同時に蒸着させる技術のことを表す。
【0035】
かかる方法によれば、共蒸着を用いる有機EL装置を効率良く製造できる。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係る構成を用いれば、蒸発装置と蒸着室との間に狭窄部があり、蒸発装置で蒸発した薄膜材料の気体が狭窄部を経て蒸着室に導入されるため、基材に電子ビームによる2次電子、反跳電子、X線、熱線などの放射線の影響を与えることなく、薄膜を形成できる。即ち、発光層などの薄膜素子に損傷を与えることなく、成膜可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1実施形態の真空蒸着装置の概念図である。
【図2】図1の真空蒸着装置で採用する薄膜材料放出部の斜視図である。
【図3】図1における真空蒸着装置の作動工程を示す説明図であり、(a)は初期状態、(b)は薄膜材料に電子ビームが照射された状態、(c)は流量調節弁を開状態に移動させ、基板搬送装置から基板が送り出される際の状態、(d)は薄膜材料をガラス基板に蒸着する際の状態である。
【図4】本発明の第2実施形態の真空蒸着装置の概念図である。
【図5】図4における薄膜材料放出部とガラス基板との斜視図である。
【図6】本発明の第3実施形態の蒸着室の概念図である。
【図7】図6における薄膜材料放出部と基板設置台との斜視図である。
【図8】図7における薄膜材料放出部のA−A方向の断面図である。
【図9】図7における基板設置台のB方向からの矢視図である。
【図10】本発明の第4実施形態における蒸発室の説明図である。
【図11】本発明の第5実施形態における蒸発室の説明図である。
【図12】本発明の薄膜材料放出部の他の実施形態を表す斜視図である。
【図13】本発明の薄膜材料放出部のさらに他の実施形態を表す斜視図である。
【図14】図11における薄膜材料放出部の他の実施形態を表す斜視図である。
【図15】本発明の第6実施形態の真空蒸着装置の概念図である。
【図16】本発明の第7実施形態の真空蒸着装置の概念図である。
【図17】有機EL装置の代表的な層構成を示す断面図である。
【図18】有機EL素子の代表的な層構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に、本発明の第1実施形態に係る真空蒸着装置(蒸着装置)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0039】
本発明の第1実施形態の真空蒸着装置1(蒸着装置)は、図1に示すように、蒸着室2と、管路6(狭窄部)と、蒸発装置3とを備えている。なお、真空蒸着装置1は、当業者の間で、インライン方式と称されるガラス基板8(基材)の移送方式を採用するものであり、基板搬送装置5によってガラス基板8を蒸着室2外から蒸着室2内に搬送し、同基板搬送装置5によってガラス基板8(基材)を蒸着室2内から蒸着室2外に搬送する真空蒸着装置である。
【0040】
蒸着室2は気密性を有するものであり、減圧手段7が備えられている。減圧手段7は蒸着室2内を真空状態に維持する部材であり、具体的には、ロータリーポンプやソープションポンプ等の粗引き用ポンプと、拡散ポンプやターボ分子ポンプやクライオポンプ等の本引き用ポンプとを組み合わせたものが採用される。なお、ここでいう真空状態とは、10-3Pa以下の真空度を有する状態を指す。真空度は低ければ低いほど好ましい。本実施形態の具体的な真空度は1×10-3〜1×10-9Paの範囲であり、1×10-5〜1×10-9Paの範囲が望ましい。
蒸着室2の一方の壁面には、基板搬入口10がある。また、基板搬入口10と対向する壁面に基板搬出口11が備えられている。
【0041】
基板搬送装置5は、蒸着室2に対してガラス基板8の出し入れを行い、蒸着室2内でガラス基板8を水平移動させる装置である。基板搬送装置5は、蒸着室2の中にあって、前記した基板搬入口10と基板搬出口11とを結ぶライン上に設置されている。
基板搬送装置5は、図示しない基板供給源からガラス基板8を搬送することができ、公知のコンベア等が採用されている。また、基板搬送装置5は、搬送速度を所望の速度に設定することができる。
なお、前記した基板搬入口10及び基板搬出口11は、ガラス基板8の搬送に合わせて開閉される。
【0042】
管路6(狭窄部)は配管25と保温手段14によって構成されている。配管25は耐熱性に優れる配管である。図1のように、配管25は蒸発装置3と薄膜材料放出部12とを接続している。配管25は、ほぼ直線状となっている。配管25の周りには保温手段14が配されており、保温手段14によって配管25が後述する薄膜材料15の沸点以上で加熱されている。
また、管路6の一部は蒸着室2内に入り込んでおり、その先端にある薄膜材料放出部12は蒸着室2の略中心線上にあり、垂直方向上方の開放部26に向かって配されている。従って、薄膜材料放出部12は、ガラス基板8側に向かって配設されている。
【0043】
薄膜材料放出部12は図2のように噴霧面が略長方形状をしており、長方形略状の噴霧孔17を有している。薄膜材料放出部12は蒸発した薄膜材料15を噴霧孔17から噴霧できる。
【0044】
図1に記載の保温手段14は配管25を加熱可能な部材である。具体的には電気ヒーターなどの抵抗加熱装置やハロゲンヒーターなどの赤外線加熱装置などが採用される。
【0045】
本実施形態では、図1のように、蒸発室22と薄膜材料放出部12の間の管路6には、流量調節弁16が介在されている。流量調節弁16は薄膜材料15の流量を調節できる絞り装置として機能するものである。具体的には、流量調節弁16は耐熱性を有した電磁バルブや電動バルブなどが採用されており、自動で開閉ができる。
【0046】
蒸発装置3は、蒸発室22(蒸発装置側筐体)を備えている。
【0047】
蒸発室22(蒸発装置側筐体)は、薄膜材料15を蒸発させる空間であり、蒸発室22内には、坩堝18と光源19と減圧手段20と保温手段21と遮断板23とを備えている。また、蒸発室22は、前記した配管25を介して蒸着室2と連通されており、蒸着室2(蒸着室用筐体)とは別個の筐体である。即ち、蒸発室22は、前記した様に蒸着室2と連通しており、真空雰囲気となる。
【0048】
坩堝18は薄膜材料15を収容する容器である。
【0049】
薄膜材料15は、例えば上記した有機EL素子の所望の薄膜材料である。
薄膜材料15の性状は、粉体やペレット状の固体や、半練り状の流動体、あるいは液体が採用可能である。即ち、薄膜材料15は、液状や粉末状、粒状の物質である。
【0050】
光源19は電子ビームが発生する部材であり、具体的には熱電子放射型電子銃や電界放射型電子銃やショットキー電子銃などが採用される。なお、光源19は電子ビーム照射のON−OFF切り替えができるものが望ましい。
【0051】
減圧手段20は蒸発室22内を真空状態に維持する部材であり、具体的には、上記の減圧手段7と同様のものが採用される。
【0052】
保温手段21は、蒸発室22内の坩堝18の設置位置より上方の空間を加熱する部材であり、上記の保温手段14と同様のものが採用される。
【0053】
遮断板23は電子ビームを遮蔽できる部材であり、金属やセラミックなどによって作製されている。遮断板23には部分的に貫通孔24が設けられており、貫通孔24には、発生した電子ビームを通過させることができる。
【0054】
本実施形態の真空蒸着装置1における組み立て構造について説明する。
【0055】
まず、蒸着室2について説明する。
図1のように、蒸着室2の角部には減圧手段7が配されている。また、基板搬送装置5の進行方向(図1の右方向)に対して、直交方向に管路6の一部は突設されている。また、配管25の周囲全体には保温手段14が配されている。配管25の端部には薄膜材料放出部12が配されている。
【0056】
基板搬送装置5は、管路6の薄膜材料放出部12の噴霧面から噴霧方向に所定の距離だけ離れた位置に配されている。
【0057】
基板搬送装置5内では、ガラス基板8は基板搬入口10から基板搬出口11に向かって搬送される。また、ガラス基板8の蒸着面が噴霧方向にほぼ直交するように固定されている。
【0058】
次に、管路6について説明する。
図1のように、配管25の一方の端部には、蒸発装置3に接続されている。
配管25の他方の端部側は一部蒸着室2内に挿通されており、配管25の周囲において、保温手段14が配されている。
配管25の周囲において、保温手段14が配されているため、配管25内側面に蒸発した薄膜材料15が固着することを抑制することができる。
【0059】
次に、蒸発装置3について説明する。
蒸発室22の上端部(図1の上側)には配管25が接続されており、蒸発室22の中央よりやや上方の位置には、坩堝18が配されている。なお、坩堝18には薄膜材料15が充填されている。蒸発室22の下端角部には、減圧手段20が配されている。また、坩堝18より上方に位置する蒸発室22の内側面には、保温手段21が配されている。
光源19は、光源19から発生した電子ビーム(EB)が偏向器(図示しない)と走査用コイル(図示しない)とにより、約270度偏向され、坩堝18に収容された薄膜材料15を衝撃加熱する位置に配設されている。なお、光源19と、坩堝18に収容された薄膜材料15との間には、光源19から発生し、偏向器(図示しない)により約270度偏向された電子ビームを薄膜材料15上に走査させるための走査用コイル(図示しない)が設けられている。
【0060】
本発明の真空蒸着装置1を用いた薄膜蒸着の手順をもって本発明をさらに具体的に説明する。以下、図3(a)〜(d)を用いて説明する。
【0061】
蒸着室2は、メンテナンスや故障時以外は減圧手段7を用いて、常に減圧し、ほぼ真空状態に保っている。
まず、蒸発室22の坩堝18内に薄膜材料15を充填し、密封する。その後、減圧手段20によって、蒸発室22内を減圧し、真空状態にする。次に、光源19から電子ビームを発生させ、偏向器(図示しない)と走査用コイル(図示しない)とによって、発生した電子ビームを偏向し、坩堝18内の薄膜材料15に電子ビームを照射させ薄膜材料15を加熱する。
なお、図3(a)に示すように、管路6の流量調節弁16は閉鎖されており、蒸着室2に蒸発した薄膜材料15が移動するのを防いでいる。
【0062】
次に、図3(b)に示すように、管路6内に蒸発した薄膜材料15が充満し、所定の時間が経過すると、管路6の流量調節弁16を開く。
【0063】
次に、ガラス基板8に薄膜を蒸着する蒸着過程が行う。図3(c)に示すように、基板搬入口10を開き、あらかじめ噴霧方向に対して適宜蒸着面を合わせて設置したガラス基板8が基板搬送装置5上に搬送される。目的の膜厚と噴霧量とを所定の方法にて計算し、基板搬送装置5の搬送速度を調節する。
【0064】
そうすると、図3(d)に示すように、基板搬送装置5の搬送速度に合わせて、ガラス基板8に蒸発した薄膜材料15が噴霧されていき、薄膜層が形成される。成膜後、ガラス基板8は蒸着室2から外部に搬送される。
【0065】
その後、この蒸着過程(図3(c)から図3(d))を繰り返し、基板搬送装置5により搬送されるガラス基板8に成膜していく。
【0066】
上記した実施形態では、ほぼ直線状の管路6を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、一部屈曲した管路を設けてよい。具体的には第2実施形態として以下に詳細に説明する。なお、第1実施形態と同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
【0067】
本発明の第2実施形態における真空蒸着装置30は、図4に示すように、インライン方式の真空蒸着装置である。
真空蒸着装置30は、蒸着室2と蒸発装置3と管路34とを備えている。なお、本実施形態の真空蒸着装置30は、ガラス基板8を縦置きして成膜を行うものである。即ち、基板搬送装置5は、紙面に対して垂直方向に設置されている。そして、ガラス基板8は、紙面に対して垂直方向に出し入れされる。
【0068】
管路34は配管31と保温手段32とによって構成されている。配管31は耐熱性に優れる配管であり、図4のように、配管31は蒸発室22側の端部付近が部分的に屈曲されている。即ち、配管31は屈曲した曲部33を有している。配管31は蒸発室22と薄膜材料放出部12とを接続している。配管31の周りには保温手段32が配されており、薄膜材料15の沸点以上で加熱されている。
【0069】
保温手段32は配管31を加熱可能な部材である。具体的には上記の保温手段14と同様のものが採用される。
【0070】
本実施形態の真空蒸着装置30における各部材について詳細に説明する。
【0071】
配管31について説明する。
図4のように、配管31の一方の端部には、蒸発装置3に接続されている。
配管31の他方の端部側は一部蒸着室2内に挿通されており、配管31の周囲には保温手段32が配されている。
配管31の周囲には、保温手段32が配されているため、管路6内側面に蒸発した薄膜材料15が固着することを抑制することができる。
【0072】
蒸着室2には、図5のように、基板搬送装置5が設けられており、ガラス基板8は、図5の矢印の様に、縦姿勢を保持して進行する。
薄膜材料放出部12は、蒸着室2内に設置されている。蒸着室2内においては、薄膜材料放出部12と基板搬送装置5との間にある程度の距離が存在する。
薄膜材料放出部12は、ガラス基板8に対向する方向を向いている。また、薄膜材料放出部12の長方形略状の噴霧孔37は、図5の様に上下方向に延びている。
【0073】
上記した実施形態では、蒸着源が1つであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、2以上の蒸着源を組み合わせて共蒸着を行っても良い。具体的には第3実施形態といて説明する。なお、前述の実施形態と同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
【0074】
本発明の第3実施形態における真空蒸着装置65は、蒸着室75と蒸発装置3(第1蒸発装置)と管路6とを備えている。
【0075】
蒸着室75内には、図6に示すように、第1実施形態の蒸着室2の構成に加えて、抵抗加熱蒸発装置76(第2蒸発装置)と蒸気配管80とが備えられている。また、蒸着室75内には基板設置台77(基板設置部)にガラス基板8が設置されて搬入される。
【0076】
抵抗加熱蒸発装置76(第2蒸発装置)は、公知の坩堝78と加熱手段79によって構成されている。抵抗加熱蒸発装置76の構造及び機能は、公知のそれと同一であり、坩堝78内に薄膜材料73を入れ、加熱手段79で薄膜材料73を溶融し、さらに気化させることができる。
薄膜材料73は、有機EL素子の所望の薄膜材料であり、例えば薄膜材料15の沸点よりも低い沸点の材料が採用される。具体例として、薄膜材料15に酸化物を採用した場合、薄膜材料73は有機化合物等が好適に採用できる。
薄膜材料73の性状は、粉体やペレット状の固体や、半練り状の流動体、あるいは液体が採用可能である。即ち、薄膜材料73は、液状や粉末状、粒状の物質である。
【0077】
蒸気配管80は、薄膜材料の蒸気が通過する通路として機能するものである。蒸気配管80の形状はほぼ直線の筒状体となっており、蒸気配管80の外周面には、保温手段86が取り付けられている。蒸気配管80は、流量調節弁87を有している。流量調節弁87は、蒸気量を調整可能である。蒸気配管80は蒸発装置3と薄膜材料放出部83とを接続している。
【0078】
薄膜材料放出部83は、図7に示すように、当業者の間で、エリアソースと称される原料供給方式を採用するものに改良を加えたものである。薄膜材料放出部83は、蒸発室22から供給される薄膜材料15を放出するEB薄膜材料放出部82(電子ビーム薄膜放出部)と抵抗加熱蒸発装置76から供給される薄膜材料73を放出するRH薄膜材料放出部81(抵抗加熱薄膜放出部)とを有している。
EB薄膜材料放出部82は断面形状が略円形の筒状体であり、当業者間でノズルと呼ばれるものである。EB薄膜材料放出部82は基板設置台77に対して直交方向に噴霧面が配されている。また、EB薄膜材料放出部82は管路6と接続されており、電子ビームによって蒸発した薄膜材料が通過する。EB薄膜材料放出部82は図8に示すようにRH薄膜材料放出部81の天面から高さHだけ上側に突出しており、RH薄膜材料放出部81への薄膜材料の付着を防止している。
【0079】
また、RH薄膜材料放出部81は、図7に示すように略直方体の箱状体であり、当業者間でシャワープレートと呼ばれるものである。RH薄膜材料放出部81は、中央付近にEB薄膜材料放出部82が挿通可能な開口74を有している。また、RH薄膜材料放出部81の薄膜材料73の放出面には、縦6列、横6列の合計36個の蒸散孔84が配置されている。蒸散孔84は略円形である。RH薄膜材料放出部81は、蒸気配管80に連通している。蒸散孔84は、ガラス基板8に対向している。
【0080】
基板設置台77(基板設置部)に目を移す。基板設置台77は、ガラス基板8を固定するための台である。図7に示すように、基板設置台77は、薄膜材料放出部83に対向して配置されている。また、固定されたガラス基板8は、基板設置台77の下面に位置している。
図7、9に示すように、基板設置台77は、4つの凹部67を有しており、凹部67にガラス基板8を嵌め、図示しない固定片でガラス基板8を固定している。凹部67はRH薄膜材料放出部81に対向する位置に配されており、EB薄膜材料放出部82に対向する位置には配されていない。
【0081】
図7に示すように、基板設置台77の中央付近には冷却手段68を備えている。冷却手段68は、RH薄膜材料放出部81の開口74を直交方向に投影した位置(投影部88)に配されている。即ち、EB薄膜材料放出部82を直交方向に投影した位置には配されていない。
【0082】
冷却手段68は、基板設置台77の投影部88を集中的に冷却するための部材であり、熱交換器である。
【0083】
詳述すると、坩堝78内に所望の薄膜材料を入れ、加熱手段79で薄膜材料を溶融し、さらに薄膜材料を気化する。
気化した薄膜材料は、坩堝78から蒸気配管80に入り、蒸気配管80を通って、蒸散孔84に至る。薄膜材料は、蒸散孔84からガラス基板8の成膜面85に向かって放出される。
【0084】
本実施形態では、蒸気配管80の外周面には保温手段86が取り付けられており、また、蒸散孔84の外周面には図示しない保温用電気ヒーターが取り付けられている。即ち、蒸気配管80および蒸散孔84内は相当の高温に維持されている。そのため坩堝78で気化した成膜材料は、気化状態を維持したままで蒸散孔84から放出される。
【0085】
本実施形態の蒸着装置65において、図7に示したように、基板設置台77は冷却手段68を内蔵している。
【0086】
すなわち、冷却手段68は、ガラス基板8の正面側である被成膜面85が蒸着されている間も、基板設置台77の投影部88を背面側から冷却し続けることができる。つまり、蒸着中に基板設置台77に過度な昇温が起こり、ガラス基板8が昇温し、温度分布が生じたり、薄膜が劣化したりすることを防止できる。
また、冷却手段68は蒸着時のガラス基板8の温度を100℃以下に維持可能である。蒸着時のガラス基板8の温度を70℃以下に維持可能であることが好ましい。蒸着時のガラス基板8の温度を50℃以下に維持可能であることがより好ましい。ガラス基板8の温度は被成膜面85全体が均一であることが好ましい。
【0087】
本発明の真空蒸着装置65を用いた薄膜蒸着の手順をもって本発明をさらに具体的に説明する。
【0088】
抵抗加熱蒸発装置76と蒸発装置3を同時に作動させ、ガラス基板8に蒸発した薄膜材料73と薄膜材料15を噴霧していき、薄膜層を形成する。成膜後、ガラス基板8は蒸着室2から外部に搬送される。
【0089】
ここで、真空蒸着装置65の採用方法としては、共蒸着可能な層であれば、限定されるものではないが、例えば有機EL装置であれば、特に上述したような、正孔注入層を作製する際や、MPE法を用いて電荷発生層を含むユニット間の連結層を作製する際に採用することが好ましい。
即ち、真空蒸着装置65を用いて正孔注入層を作製する際には、蒸発装置3に用いる薄膜材料15に三酸化モリブデン(MoO3)などの酸化物を、抵抗加熱蒸発装置76に用いる薄膜材料73に所望の有機化合物を採用することで、2次電子の影響や沸点の違いによる有機化合物の劣化も抑制できる。
また、真空蒸着装置65を用いて連結層を作製する際には、蒸発装置3に用いる薄膜材料15に五酸化二バナジウム(V25)や、三酸化モリブデン(MoO3)、三酸化タングステン(WO3)等の金属酸化物を含有する電気絶縁性材料などの酸化物を、抵抗加熱蒸発装置76に用いる薄膜材料73にアルカリ金属、又はアルカリ土類金属などの酸化物を採用することで、透明電極層側の発光層の2次電子の影響による劣化を抑制できる。
【0090】
上記した実施形態では、光源19から発生する電子ビームを偏向器(図示しない)と走査用コイル(図示しない)により約270度偏向し、薄膜材料15に照射したが、偏向角は限定されるものではない。例えば、偏向角を約180度とした図10(第4実施形態)が採用できる。
【0091】
上記した実施形態では、光源19から発生する電子ビームを偏向器(図示しない)と走査用コイル(図示しない)により偏向し、薄膜材料15に照射したが、偏向せず電子ビームを直接照射してもよい。例えば、図11(第5実施形態)が採用できる。図11を具体的に説明すると、図11における光源19は、光源19から発生した電子ビームが薄膜材料15に入射し、薄膜材料15を衝撃加熱する位置に配設されている。具体的には、光源19は、入射角10度〜75度の位置に配されており、入射角30度〜60度の位置が好ましい。
【0092】
上記した第1実施形態では、薄膜材料放出部12に図2のような長方形略状の噴霧孔17を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、図12のような先端が筒状のものを用いてもよい。また、図13のような複数の筒状の噴霧筒60を用いてもよいし、図14のような複数の円形の噴霧孔61を用いてもよい。
【0093】
上記した実施形態では、蒸着室2の下方端部にほぼ直線状の管路あるいは一部屈曲した管路を設けたが、屈曲箇所や管路の配設位置に限定されない。例えば、管路を複数箇所屈曲した図15(第6実施形態)や管路を側方端部に配設した図16(第7実施形態)などの配置でもよい。
【0094】
上記した実施形態では、蒸気配管80の形状がほぼ直線状の筒状体を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、蒸気配管80の形状は限定されない。例えば、管路と同様、屈曲していてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1、30、50 真空蒸着装置
2 蒸着室(蒸発室用筐体)
3 蒸発装置(第1蒸発装置)
6 管路(狭窄部)
8 ガラス基板(基材)
14、21、32 保温手段
22 蒸発室(蒸発装置側筐体)
33 曲部
74 開口
76 抵抗加熱蒸発装置(第2蒸発装置)
77 基板設置台(基板設置部)
81 RH薄膜材料放出部(抵抗加熱薄膜放出部)
82 EB薄膜材料放出部(電子ビーム薄膜放出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空雰囲気に維持可能であって基材を設置可能な蒸着室と、電子ビームを照射して薄膜材料を蒸発させる蒸発装置とを有し、蒸着室に基材を設置し、蒸発装置によって蒸発された薄膜材料を蒸散させて前記基材に所定成分の薄膜を蒸着する蒸着装置において、
蒸発装置と蒸着室との間に狭窄部があり、蒸発装置で蒸発した薄膜材料の気体が狭窄部を経て蒸着室に導入されることを特徴とする蒸着装置。
【請求項2】
蒸発装置は真空雰囲気に維持可能な蒸発装置側筐体を有し、蒸発装置側筐体内に薄膜材料を置いて電子ビームを照射するものであり、蒸着室は蒸着室を構成する蒸着室用筐体を有し、蒸発装置側筐体と蒸着室用筐体とは別個の筐体であることを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項3】
蒸発装置と蒸着室との間に曲部があることを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸着装置。
【請求項4】
蒸発装置と蒸着室との間が管路で結ばれていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の蒸着装置。
【請求項5】
狭窄部を高温状態に維持する保温手段を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の蒸着装置。
【請求項6】
電子ビームを照射して薄膜材料を蒸発させる前記蒸発装置からなる第1蒸発装置と、抵抗加熱によって薄膜材料を蒸発させる第2蒸発装置を備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の蒸着装置。
【請求項7】
第1蒸発装置で蒸発した薄膜材料の気体と第2蒸発装置で蒸発した薄膜材料の気体とが一つの蒸着室内で蒸着されることを特徴とする請求項6に記載の蒸着装置。
【請求項8】
蒸着室内には第1蒸発装置で蒸発した薄膜材料の気体を放出する電子ビーム薄膜放出部と第2蒸発装置で蒸発した薄膜材料の気体を放出する抵抗加熱薄膜放出部を備えており、電子ビーム薄膜放出部はシャワープレートであり、抵抗加熱薄膜放出部はノズルであることを特徴とする請求項6又は7に記載の蒸着装置。
【請求項9】
前記ノズルの先端は前記シャワープレートより基板側に突出していることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の蒸着装置。
【請求項10】
前記シャワープレート中央付近にノズルが挿通可能な開口を有しており、前記開口にノズルが挿通されていることを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の蒸着装置。
【請求項11】
基材はノズルに対向する部分以外の部分に設置されることを特徴とする請求項6乃至10のいずれかに記載の蒸着装置。
【請求項12】
蒸着室には基材を設置する基板設置部を有しており、基板設置台におけるノズルを投影した部分に対して集中的に冷却可能であることを特徴とする請求項6乃至11のいずれかに記載の蒸着装置。
【請求項13】
少なくとも基材上に第1電極層と、第2電極層とが積層され、第1電極層と第2電極層の間には少なくとも1層以上からなる機能層を有する有機EL装置の製造方法であって、
機能層の一部又は全部を請求項1乃至12のいずれかに記載の蒸着装置を用いて製造することを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【請求項14】
少なくとも基材上に第1電極層と、第2電極層とが積層され、第1電極層と第2電極層の間には少なくとも1層以上からなる機能層を有する有機EL装置の製造方法であって、
機能層の一部又は全部は請求項6乃至12のいずれかに記載の蒸着装置を用いて共蒸着によって形成することを特徴とする有機EL装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−97338(P2012−97338A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247738(P2010−247738)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】