説明

蒸米方法とその装置

【課題】
蒸米作用中に蒸気がそのまま蒸米タンクから作業場へ放出しないようにする。
【解決手段】
据付け台(F)に支持された蒸米タンク(24)と、そのタンク(24)の包囲ジャケット(17)と、蒸米タンク(24)の真上位置まで延長配管された蒸気供給路(P)と、その蒸気供給路(P)の昇降作動機構(L)と、同じく蒸気供給路(P)の出口部から蒸米タンク(24)の内部に向かって垂下する蒸気噴出管路(50)と、その噴出管路(50)の中途高さ位置に付属一体化された包囲ジャケット密閉用天蓋(53)と、その天蓋(53)に連通接続された給水シャワースタンド(W)とを備え、蒸米タンクから浮上する蒸気を給水シャワースタンドへ排気・導入させて、その内部での給水シャワーにより復水化する一方、天蓋に結露する水滴を蒸米タンクと包囲ジャケットとの相互間隙から下方へ排出するように定めた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は赤飯や各種おこわ、搗き餅、米菓などを製造すべく、その原料となる米の単位量を自動機械的に効率良く、しかも高品質な仕上がり状態に蒸す方法と、そのための好適な装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の業務用蒸米方法とその装置について、本出願人は先に特公昭63−65330号を提案し、その実施事業化により相当の成果を収めることができた。
【0003】
そして、これでは蒸気送入管路(P)の蒸気噴出孔(29)がタンク(T)内のもち米(M)中へ埋没するように、その蒸気送入管路(P)をタンク(T)内へ進出作動させるようになっている点、そのタンク(T)の底面が打ち水(所謂ビックリ水)の落下可能なメッシュ板(14)から形成されている点、更には上記タンク(T)を据付けフレーム(F)から離脱させ、別な場所へ移動した後、上下反転状に回動操作することによって、そのタンク(T)から蒸し上がり状態のもち米(M)を取り出すことができるようになっている点で、本発明に最も近似する公知技術であると考えられる。
【特許文献1】特公昭63−65330号公報
【特許文献2】特公昭63−12576号公報
【特許文献3】実公昭55−37056号公報
【特許文献4】実公昭54−29339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特公昭63−65330号発明の第1〜6図に開示された基本実施例の構成では、蒸気送入管路(P)が上方からタンク(T)の内部へ進出作動されるようになっている関係上、もち米(M)の蒸し作用中にタンク(T)の上部開口(13)を、開閉蓋によって密閉することができず、そのタンク(T)の内部から蒸気がそのまま放出されることになる。
【0005】
そうすると、その蒸米装置の据え付けられた作業場の温度と湿度が上昇し、夏期での作業環境が悪化する一方、冬期では壁面や窓の結露を生じるほか、その作業場に各種食品が保管されているような場合、これの変色や腐敗などを招来することにもなる。
【0006】
他方、第7〜10図に開示された変形実施例の構成では、蒸気送入管路(P)が横方向からタンク(T)の内部へ進出作動されるようになっている関係上、もち米(M)の蒸し作用中にタンク(T)の上部開口(13)を、開閉蓋によって密閉することは可能であるが、その密閉状態のもとで蒸し作用を行なうと、蒸気が水滴となって開閉蓋に結露し、その水滴がもち米(M)上へ落下するため、米粒の原形をとどめないベト付いた蒸し上がり状態と化し、食感上優れた高品質の蒸米を得ることができない。
【0007】
別な上記特許文献について念のため言えば、特公昭63−12576号発明の場合図示省略されているとしても、個室(S1)〜(S8)の天井窓(12)に蒸気排出口が設けられており、又実公昭55−37056号考案では再蒸煮室(7)に蒸気排出用の小孔(17)が開口分布されており、更に実公昭54−29339号考案では排気管(18)がタンク(1)の再加温室(8)から導出配管されており、これらから何れも余剰の蒸気がそのまま放出されるようになっているため、上記特公昭63−65330号発明の基本実施例と同様の問題を生じるのである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はこのような課題の改良を企図しており、その目的を達成するために、請求項1では蒸米方法として、一定単位量の米が収容された蒸米タンクの包囲ジャケットを作業床に据え付けて、その蒸米タンクの真上位置まで配管した蒸気供給路を下降作動させることにより、その蒸気供給路の出口部から一体的に垂下した蒸気噴出管路を、上記蒸米タンク内の米中へ差し込み没入させると共に、その蒸気噴出管路の中途高さ位置に付属する天蓋を、同じく蒸米タンクとその包囲ジャケットの密閉状態に保って、蒸米作用を行ない、
【0009】
その蒸米作用中に蒸米タンクから浮上する蒸気は、上記天蓋との連通接続状態にある給水シャワースタンドの内部へ導入させて、その内部での給水シャワーにより復水化した上、そのシャワースタンドから排水する一方、同じく蒸米作用中に天蓋へ結露する水滴は、その天蓋から上記蒸米タンクと包囲ジャケットとの内外相互間隙を通じて下方へ排水し、
【0010】
蒸米作用の終了後、上記蒸気供給路の蒸気噴出管路と天蓋を蒸米タンクからの退避状態に上昇作動させて、その開放した蒸米タンクから蒸米を取り出すことを特徴とする。
【0011】
又、請求項2では上記請求項1に従属する構成として、ボイラーなどの蒸気供給源から蒸気噴出管路に至る蒸気供給路の中途部を、口径が大中小に相違する第1〜3分岐管から成る並列回路として形作り、
【0012】
その各分岐管に設置した第1〜3電磁弁を、上記口径の選択的な組み合わせとして電気的に開閉制御することにより、蒸米タンクへの蒸気供給量を増減調整することを特徴とする。
【0013】
他方、請求項3では蒸米装置として、作業床への据付け台に支持された漏斗型の蒸米タンク用包囲ジャケットと、その内部へ一定の水滴排出路を確保する同芯状態に設置された断面U字型の蒸米タンクと、その蒸米タンクの真上位置まで延長配管された蒸気供給路と、その蒸気供給路の出口部から上記蒸米タンクの内部に向かって一体的に垂下された蒸気噴出管路と、上記蒸米タンクと包囲ジャケットを開閉すべく、その蒸気噴出管路の中途高さ位置へ付属的に吊持された天蓋と、その天蓋に連通接続された給水シャワースタンドとを備え、
【0014】
上記蒸気供給路の下降作動により、その蒸気噴出管路を蒸米タンク内の米中へ差し込み没入させると共に、上記天蓋を蒸米タンクとその包囲ジャケットへ密閉させた状態での蒸米作用中に、その蒸米タンクから浮上する蒸気を給水シャワースタンドへ導入して、その内部での給水シャワーにより復水化する一方、同じく天蓋に結露する水滴を上記水滴排出路から下方へ排水すると共に、
【0015】
蒸米作用の終了後には上記蒸気供給路の上昇作動により、その蒸気噴出管路とこれに付属の天蓋を蒸米タンクから抜き出し退避させて、その開放した蒸米タンクから蒸米を取り出すように定めたことを特徴とする。
【0016】
請求項4では上記請求項3に従属する構成として、蒸米タンクの開口上縁部から外向き一体的に張り出す水平な取付フランジと、その包囲ジャケットの開口上縁部付近から対応的な内向き一体的に張り出す水平なタンク受け止めフランジとを、複数のボルトにより着脱自在に締結して、上記包囲ジャケットを上方から円錐笠型の天蓋によって密閉すると共に、
【0017】
上記蒸米タンク側の取付フランジに付与した多数の水滴逃し切欠と、その包囲ジャケット側のタンク受け止めフランジに開口分布する多数の水滴逃し孔とを合致連通させて、
【0018】
蒸米作用中に天蓋へ結露した水滴が上記水滴逃し切欠と水滴逃し孔並びに水滴排出路を通じて、上記包囲ジャケットの下端部から排水されるように定めたことを特徴とする。
【0019】
同じく請求項3に従属する請求項5では、天蓋を円錐笠型として、その中心部から上向きに隆起する蒸気集中排出塔を、作業床に据え立てられた排水シャワースタンドの中途高さ位置へ、余裕がある一定長さの排気用フレキシブルホースによって連通接続する一方、
【0020】
蒸米タンク用包囲ジャケットの開口上縁部と弾圧的に密着し得るパッキングを、上記天蓋の開口下縁部へ嵌め付けたことを特徴とする。
【0021】
又、請求項6ではやはり請求項3に従属する構成として、蒸米タンクの包囲ジャケットを台車フレームへ、向かい合う一対の水平な回動支軸により一定角度だけ転倒作動できる枢着状態に搭載させて、
【0022】
そのタンク台車として据付け台の枠内へカセット式の抜き差し交換自在に差し込み装填し、その正規な装填状態がタンク台車用定位置検知センサーによって検知されない限り、蒸米作用を開始できないように定めたことを特徴とする。
【0023】
請求項7では上記請求項3に従属する構成として、ボイラーなどの蒸気供給源に接続使用される蒸気供給路を、据付け台から蒸米タンクの包囲ジャケットよりも背高く一体的に垂立する蒸気供給量制御ボックスへ一旦導通配管した後、余裕がある一定長さの蒸気用フレキシブルホースを経て、引き続きその制御ボックスの真上位置を水平に横断しつつ、上記包囲ジャケットの垂直中心線上まで延長させ、その出口部から蒸気噴出管路を蒸米タンクの内部に向かって一体的に垂下させると共に、
【0024】
上記蒸気供給路が蒸気供給量制御ボックスの真上位置を水平に横断する中途部を、剛性な断熱用カバーケースにより被覆して、そのカバーケースを昇降作動機構により上記制御ボックスへ昇降自在に支持させたことを特徴とする。
【0025】
請求項8では同じく請求項3に従属する構成として、蒸気噴出管路を蒸気供給路の出口部に連通接続されるアダプターと、蒸米タンク内の米中へ差し込み没入される蒸気噴出ノズルと、そのアダプターと蒸気噴出ノズルとの上下相互間へ、クランプを介して着脱自在に継ぎ足し一本化される接手管とから形作ると共に、
【0026】
円錐笠型に造形された天蓋の中心部から上向きに隆起する蒸気集中排出塔を、上記蒸気噴出管路の接手管へ差し込み套嵌状態に溶接一体化したことを特徴とする。
【0027】
更に、請求項9ではやはり請求項3に従属する構成として、給水シャワースタンドを作業床への据立て板から一体的に垂立する金属管として、その上端部の蓋板に連通接続された給水管路の中途部と、上記金属管の中途高さ位置とを別な給水用フレキシブルホースによって連通接続し、
【0028】
上記給水管路の出口部と給水用フレキシブルホースの出口部へ、各々水噴出ノズルを設置すると共に、
【0029】
その水噴出ノズルの上下相互間を占める上記金属管の中途高さ位置と、蒸米タンクの包囲ジャケットを密閉する天蓋とを、余裕がある一定長さの排気用フレキシブルホースによって連通接続したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
請求項1の上記構成によれば、蒸米タンクとその包囲ジャケットを天蓋での密閉状態に保った蒸米作用中、蒸米タンクから浮上する蒸気が天蓋から給水シャワースタンドへ排気・導入されて、その内部での給水シャワーを受け、復水となって排水されるようになっているため、蒸気がそのまま蒸米タンクから作業場へ放出するおそれはなく、その作業環境の悪化や同じ作業場にある各種の食品、食品機械などに与える悪影響を予防できる効果がある。
【0031】
他方、蒸米作用中に天蓋へ結露する水滴は、その天蓋から蒸米タンクと包囲ジャケットとの内外相互間隙(水滴排出路)を通じて、包囲ジャケットの下端部から排水されるようになっているため、蒸米上へ落下するおそれがなく、その結果ベト付きのない食感に優れた高品質の仕上がり状態を得ることができる。
【0032】
又、請求項2の構成を採用するならば、蒸気供給路の中途部に並列する第1〜3分岐管を第1〜3電磁弁により、その大中小に相違する口径の選択的な組み合わせから成る数種として開閉制御し、蒸米タンクへの蒸気供給量をその米の収容量や品種、第1、2次的な蒸し作用工程などの諸条件に応じて、常に最もふさわしく増減調整できる効果がある。
【0033】
他方、請求項3の上記構成を備えた蒸米装置によれば、蒸気供給路が蒸米タンクの真上位置まで延長配管されており、その出口部から蒸米タンクの内部を指向して一体的に垂下する蒸気噴出管路の中途高さ位置に、上記蒸米タンクとその包囲ジャケットの密閉可能な天蓋が付属的に吊持されているため、上記蒸気供給路を昇降作動させることにより、蒸米作用とその仕上がった蒸米の取り出しを効率良く行なえ、極めて合理的な蒸米装置として提供できるのである。
【0034】
同じく蒸米装置として請求項4の構成を採用するならば、容量の異なる蒸米タンクをその包囲ジャケットへ、着脱・交換自在に便利良く締結使用できるにも拘らず、これらの密閉状態にある天蓋へ蒸米作用中に結露する水滴を、その天蓋の円錐笠型とも相俟って、蒸米タンク側の水滴逃し切欠と包囲タンク側の水滴逃し孔並びに水滴排出路から下方へ、自づと円滑・確実に排水させることができ、蒸米のベト付き状態をますます確実に防止し得る効果がある。
【0035】
又、請求項5の構成を採用するならば、蒸米作用中に蒸米タンクから浮上する蒸気を、円錐笠型天蓋の中心部に隆起する蒸気集中排出塔へ自づとすばやく集中させて、その蒸気集中排出塔から給水シャワースタンドの内部へ、円滑に排気・導入させることができるほか、包囲ジャケットの開口上縁部へ密着するパッキングにより、その包囲ジャケットの内部へ容量の異なる蒸米タンクが設置されるも、これらを同じ天蓋により支障なく密閉し得る効果もある。
【0036】
特に、請求項6の構成を採用するならば、蒸米タンクの包囲ジャケットが搭載されたタンク台車を、据付け台の枠内へカセット式の抜き差し交換自在に装填使用できるため、蒸米の作業効率が著しく向上し、量産効果に優れるばかりでなく、タンク台車を蒸米装置から離れた希望の場所まで手押し移動して、その蒸米タンク用包囲ジャケットを転倒作動させることにより、その蒸米タンクから仕上がった蒸米を洩れなく安楽に取り出せる利便性もある。
【0037】
請求項7の構成を採用するならば、蒸気供給量の制御ボックスを据付け台から蒸米タンクの包囲ジャケットよりも背高く一体的に垂立させる一方、蒸気供給路がその制御ボックスの真上位置を水平に横断する中途部を、剛性な断熱用カバーケースにより被覆して、その剛性なカバーケースを昇降作動機構により、上記制御ボックスへ昇降自在に支持させてあるため、その制御ボックスを言わば支持フレームとして兼用しつつ、蒸気供給路の蒸気噴出管路を蒸米タンクに対して、常に安定良く昇降作動させることができ、その際蒸気用フレキシブルホースの余裕がある一定長さにより、その昇降作動に支障を与えるおそれはなく、蒸気供給路の配管合理性にも優れる。
【0038】
更に、請求項8の構成を採用するならば、蒸気供給路の接手管を取りはずすことにより、これに付属している天蓋の清掃や、その接手管と別個な蒸気噴出ノズルの清掃、交換などを便利良く行なえる効果がある。
【0039】
請求項9の構成を採用するならば、蒸米タンク用包囲ジャケットの天蓋から給水シャワースタンドの内部へ排気・導入された蒸気に対して、その水噴出ノズルの何れか一方又は双方から給水を噴出させることにより、蒸気をすばやく確実に復水化することができ、排気量の多少にも容易に対応し得る効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、図面に基いて本発明を詳述すると、図1、2はその蒸米装置の概略全体を示しており、これは作業床への剛性な据付け台(F)と、その据付け台(F)の枠内へ前方から抜き差し交換自在に装填使用されるカセット式のタンク台車(T)と、同じく据付け台(F)の片サイド部へ固定状態に搭載された蒸気供給量の制御ボックス(B)と、その制御ボックス(B)に支持された蒸米タンク用の天蓋昇降作動機構(L)と、上記タンク台車(T)と隣接する周辺部へ、その据付け台(F)と別個に据え立て使用される給水シャワースタンド(W)とから成る。
【0041】
先ず、据付け台(F)の具体的構成について言えば、これは図3〜6のような短かい左サイドフレーム(1)と、これよりも長く広幅な平盤状の右サイドフレーム(2)並びにその両サイドフレーム(1)(2)を連結した後フレーム(3)とから、前向き開口する平面視のほぼ門字型に枠組み一体化されており、その後フレーム(3)に沿っては後述する蒸米タンク用包囲ジャケットからの排水樋(4)も付属設置されている。
【0042】
(5)は上記据付け台(F)を形作る両サイドフレーム(1)(2)の向かい合う内側面に貼り付けられた左右一対の平行な合成樹脂製スライドガイド板であり、タンク台車(T)における後述する台車フレームの下枠が図7、8のように、その両スライドガイド板(5)に沿って据付け台(F)の枠内へ、前方から正しく円滑に差し込み又は引き抜き操作されるようになっている。
【0043】
(6)は上記据付け台(F)の後フレーム(3)に前向きとして取り付けられた左右一対の台車フレーム用受け止めストッパー、(7)は同じく左サイドフレーム(1)の前端部へ上方から取り付け固定されたペダル支持ブラケット、(8)はその支持ブラケット(7)へ回動自在に枢着されたロックペダルであり、これを図10、11のようにタンク台車(T)における台車フレームのサイド支柱へ、前方から遮断状態に係止させることによって、そのタンク台車(T)が蒸米作用中に据付け台(F)の枠内から前方へ抜け出すことを防ぐ。
【0044】
(9)は上記制御ボックス(B)の中途高さ位置から据付け台(F)の枠内に向かって一体的に張り出されたセンサーブラケットであり、これに取り付けられたタンク台車用定位置検知センサー(近接スイッチ)(10)が、タンク台車(T)におけ台車フレームのサイド支柱と接触することによって、そのタンク台車(T)が上記据付け台(F)の枠内へ正規に差し込み装填されたことを検知する。その検知されない限り、蒸米装置を運転できず、蒸米作用が開始されないようになっている
【0045】
次に、タンク台車(T)の具体的構成を説明すると、これを抽出した図12〜15において、(11)は上記据付け台(F)の枠内と対応する一定幅に枠組み一体化された台車フレームであり、その水平な下枠(12)には合計4個のキャスター(13)が軸支されている一方、同じく水平な上枠(14)から斜め上向きに延長する前端部をハンドルバー(15)として、作業床を手押し移動させることができる。(16)はその上枠(14)と下枠(12)とを連結一体化する左右一対づつのサイド支柱である。
【0046】
(17)は上記台車フレーム(11)の枠内に納まる大きさの蒸米タンク用包囲ジャケットであって、図16〜18のような上面が開口する漏斗型をなし、その下端部には排水管路(18)が連通状態に接合一体化されている。(19)(20)は上記排水管路(18)に設置された蒸気トラップと復水ドレン、(21)は同じく打ち水排出用の手動開閉弁(ボールバルブ)であり、その打ち水(所謂ビックリ水)をすばやく抜き出すことに役立つ。
【0047】
(22)は同じく蒸米タンク用包囲ジャケット(17)の開口上縁部付近から内向き一体的に張り出す水平なタンク受け止めフランジ、(23)はこれに開口分布された多数の水滴逃し孔、(24)は上記包囲ジャケット(17)と別個な断面U字型の蒸米タンクであり、その開口上縁部から図19、20のような外向き一体的に張り出す水平の取付フランジ(25)が、包囲ジャケット(17)の上記タンク受け止めフランジ(22)へ上方から複数のボルト(26)により、図7のような包囲ジャケット(17)との同芯状態として着脱自在に締結されるようになっている。(27)はその蒸米タンク(24)の取付フランジ(25)に付与された多数の水滴逃し切欠であり、上記タンク受け止めフランジ(22)の水滴逃し孔(23)と合致連通する。
【0048】
上記蒸米タンク(24)が例えば2斗用の標準サイズ又は大型サイズであると仮定した場合、これより小型サイズ(例えば5升用)の蒸米タンク(24a)も別に用意しておき、これから図21、22のような外向き一体的に長く張り出す水平な取付フランジ(25)を上記と同様にして、包囲ジャケット(17)のタンク受け止めフランジ(22)へ図23のように、複数のボルト(26)により互換的に締結使用できるように関係設定することが好ましい。
【0049】
何れにしても、上記蒸米タンク(24)とその包囲ジャケット(17)との内外相互間隙は水滴排出路(S)として確保されているほか、蒸米タンク(24)の下面にはもち米やうるち米などの米(M)を捕捉しつつも、水のみを自然に落下させ得る多数の水抜き孔(28)が開口分布されているのである。
【0050】
このような上面開口型の蒸米タンク(24)を内蔵した状態にある包囲ジャケット(17)は、上記台車フレーム(11)の就中上枠(14)へ転倒作動可能に枢着されており、仕上がった蒸米をその蒸米タンク(24)から軽快に、且つ洩れなく取り出すことができるようになっている。
【0051】
図24〜26はそのためのタンク転倒作動機構(R)を示しており、(29)は上記包囲ジャケット(17)の垂直中心線(Y−Y)から一定距離(E)だけ後方へ偏心した位置において、その胴面の上部から一体的に張り出された左右一対の水平な回動支軸であり、何れも上記台車フレーム(11)の上枠(14)へ軸受メタル(30)によって支持されている。
【0052】
しかも、その台車フレーム(11)を形作る上枠(14)の左右何れか一方(図例では前方から見て左側)には、ギヤボックス(31)が受け座(32)を介して固定支持されていると共に、これと対応位置する同じ一方(左側)の上記回動支軸(29)が、そのギヤボックス(31)の内部まで張り出し延長されている。
【0053】
(33)はその回動支軸(29)の延長先端部に嵌め付け一体化されたウォームホイール、(34)はこれと噛合するウォーム、(35)はその水平なウォーム軸であって、ギヤボックス(31)内の下部へ上記回動支軸(29)との直交状態に軸受けされており、これには従動スプロケット(36)も一体回転し得るように嵌め付けられている。
【0054】
他方、同じくギヤボックス(31)の上部には上記ウォーム軸(35)と平行なハンドル軸(37)が軸受けされており、これに嵌め付け一体化された原動スプロケット(38)と、上記従属スプロケット(36)との対応する上下相互間には、無端な伝動チェン(39)が巻き掛けられている。
【0055】
そのため、上記ハンドル軸(37)がギヤボックス(31)から後方へ張り出し露呈する先端部に嵌め付け一体化された回動ハンドル(40)を、作業者が回動操作することによって、上記蒸米タンク(24)の包囲ジャケット(17)を図13の鎖線で示す如く、その回動支軸(29)の水平な軸線(X−X)廻りに転倒させることができ、その一定角度(α)だけ斜め下向く蒸米タンク(24)から仕上がり状態の蒸米を便利良く取り出せるのである。
【0056】
先に一言した蒸気供給量の制御ボックス(B)は、据付け台(F)における平盤状の右サイドフレーム(2)から蒸米タンク(24)の包囲ジャケット(17)よりも背高く垂立しており、その前面に操作パネル(41)が設置されている。(42)は同じく制御ボックス(B)の上面に据え立てられた自動運転状況の表示ランプであり、その発光色と点滅によって、蒸米装置の自動運転状況を知らせる。
【0057】
(P)は蒸米タンク(24)への蒸気供給路を総称している。これは図27、28や図33のように上記制御ボックス(B)の内部へ一旦導通配管された後、引き続き余裕がある一定長さの蒸気用フレキシブルホース(43)を経て、その制御ボックス(B)の真上位置を水平に横断し、上記包囲ジャケット(17)の垂直中心線(Y−Y)上まで延長されており、その終端の出口部が蒸米タンク(24)の内部を指向する位置関係にある。
【0058】
(44)はこのような蒸気供給路(P)における始端の入口部に設置された手動開閉弁(ボールバルブ)であり、その入口部がボイラーなどの蒸気供給源へ接続使用されることになる。(45a)(45b)(45c)は上記制御ボックス(B)の内部に位置する蒸気供給路(P)の中途部を、バイパス管(45d)も含む並列回路として形作る第1〜3分岐管であり、その口径の大中小に相違するオリフィス(図示省略)が、対応的な第1〜3電磁弁(46a)(46b)(46c)によって各々開閉制御されるようになっている。(46d)は上記バイパス管(45d)の手動開閉弁(ボールバルブ)を示している。
【0059】
つまり、第1〜3分岐管(45a)(45b)(45c)の蒸気用電磁弁(46a)(46b)(46c)をそのオリフィスの選択的な組み合わせから成る数種として、電気的に開閉制御することにより、蒸米タンク(24)への蒸気供給量をその米(M)の収容量や品種、第1、2次的な蒸し作用工程、その他の諸条件に応じて、適当に増減調整できるようになっているのである。
【0060】
又、上記制御ボックス(B)の真上位置を水平に横断する蒸気供給路(P)の中途部は、剛性な断熱用カバーケース(47)によって被覆されている。(48)はそのカバーケース(47)と上記フレキシブルホース(43)との相互間において、蒸気供給路(P)に介挿設置されたセパレーター(気水分離器)、(49)はそのセパレーター(48)からの排水用となる手動開閉弁(ボールバルブ)を示している。
【0061】
更に、(50)は上記カバーケース(47)から蒸米タンク(24)の内部を指向する位置にある蒸気供給路(P)の出口部へ、アダプター(51)を介して連通接続された蒸気噴出管路であって、図7や図29から明白なように、上記包囲ジャケット(17)の垂直中心線(Y−Y)上に沿い蒸米タンク(24)の内部まで垂下しており、その約下半部が蒸気噴出ノズル(52)として、ここには米(M)の中へ没入する蒸気噴出孔の多数が、放射対称型に開口分布されている。
【0062】
しかも、同じく蒸気噴出管路(50)が蒸米タンク(24)から露出する中途高さ位置には、その蒸米タンク(24)の包囲ジャケット(17)を上方から密閉できる天蓋(53)が付属一体化されている。茲に、天蓋(53)は円錐笠型に造形されており、その中心部から上向きに隆起する蒸気集中排出塔(54)が、蒸気噴出管路(50)をその吊持用の芯管として、これへの差し込み套嵌状態に溶接一体化されている。(55)はその蒸気集中排出塔(54)から張り出す蒸気排出用口金である。
【0063】
その場合、天蓋(53)が溶接一体化された蒸気噴出管路(50)の中途高さ位置を図29のように、その約下半部の蒸気噴出ノズル(52)と別個な短かい接手管(56)として、上記アダプター(51)と蒸気噴出ノズル(52)へ各々クランプ(57)(58)の上下一対により、着脱自在に継ぎ足し一本化することが好ましい。そうすれば、上記天蓋(53)と蒸気噴出ノズル(52)の清掃や交換などを便利良く行なえるからである。
【0064】
何れにしても、上記包囲ジャケット(17)の開口上縁部と対応する天蓋(53)の開口下縁部には、その包囲ジャケット(17)の開口上縁部と弾圧的に密着するパッキング(59)が嵌め付けられている。
【0065】
その結果、図33の作用図に示す如く、蒸米タンク(24)から浮上する蒸気は円錐笠型の天蓋(53)に沿って、その中心部の蒸気集中排出塔(54)へ自づと集中排気されることになる一方、天蓋(53)に結露する水滴がその天蓋(53)の開口下縁部へ逆に分散され、蒸米タンク(24)側の上記水滴逃し切欠(27)と包囲ジャケット(17)側の水滴逃し孔(23)を経て、その蒸米タンク(24)と包囲ジャケット(17)との内外相互間に確保された水滴排出路(S)を、自づと落下することになり、蒸し作用中の米(M)上へ落下するおそれはない。
【0066】
(60)は天蓋(53)の開口下縁部から上記蒸気供給量制御ボックス(B)の存在する横方向へ、一体的に張り出された水平な支持ステーであり、これと対応する上記カバーケース(47)の中途部から一体的に垂下されたハンガーロッド(61)の下端部へ、着脱自在に螺合締結されている。
【0067】
そのため、天蓋(53)を一層安定良く確固に支持することができるほか、例えば清掃後の天蓋(53)が付属している蒸気噴出管路(50)を、上記蒸気供給路(P)の出口部へ接続する際、その作業をハンガーロッド(61)による吊り下げ状態のもとで、軽快にすばやく行なえる利点もある。そのハンガーロッド(61)による天蓋(53)の吊り下げ高さは、調整することができる。
【0068】
次に、蒸米タンク用の天蓋昇降作動機構(L)を詳述すると、その構成の明らかな図30、31において、(62)は上記蒸気供給量制御ボックス(B)の内部へ蒸気供給路(P)の配管と干渉しないように据え付け固定された剛性な台枠、(63)は同じく制御ボックス(B)の内部から上面のロッド導出口(64)を貫通して、背高く垂立された前後一対の平行な昇降ロッドであり、これらは上下一対の連結ピース(65)(66)を介して、一体的に昇降運動し得るように組み付けられている。
【0069】
そして、その蒸気供給量制御ボックス(B)の上面から導出された両昇降ロッド(63)の上側連結ピース(65)が、上記蒸気供給路(P)を被覆する断熱用カバーケース(47)の下面へ取り付け固定されて、そのカバーケース(47)を安定良く支持している。(67)は上記ロッド導出口(64)の蓋板であって、制御ボックス(B)の上面に取り付け固定されており、これからは両昇降ロッド(63)の軸受メタル(68)が内向き一体的に垂下している。
【0070】
(69)は上記昇降ロッド(63)の前後相互間に垂立する1本のボールネジであり、その上端部がロッド導出口(64)の蓋板(67)へボールベアリング(70)を介して支持されている一方、同じく下端部に延長するストレートな入力軸(71)が上記台枠(62)へ、やはりボールベアリング(72)によって支持されている。(73)はその下側ボールベアリング(72)のケース受け止めベースである。
【0071】
又、(74)は上記ボールネジ(69)の下端部付近に螺合締結されたフランジ付きナットであり、そのナット(74)のフランジ部が昇降ロッド(63)の下側連結ピース(66)へ組み付け一体化されている。しかも、その下側連結ピース(66)はボールネジ(69)との遊合状態に保たれている。そのため、ボールネジ(69)が回転駆動された場合、上記昇降ロッド(63)はナット(74)と一緒に昇降運動のみを行ない、回転するおそれがない。
【0072】
(75)は上記昇降ロッド(63)における下側連結ピース(66)の上縁部へ係止し得る上限リミットスイッチ、(76)は同じく下側連結ピース(66)の下縁部へ係止し得る下限リミットスイッチであり、その上限リミットスイッチ(75)が蒸気供給量制御ボックス(B)内の中途高さ位置を横架する固定バー(77)へ、支持ブラケット(78)を介して取り付けられているに比し、下限リミットスイッチ(76)は上記下側ボールベアリング(72)のケース受け止めベース(73)から、一体的に起立する別な支持ブラケット(79)へ取り付けられている。
【0073】
茲に、上限リミットスイッチ(75)と下限リミットスイッチ(76)は上記カバーケース(47)の昇降ストローク(H)を一定に規制しており、そのカバーケース(47)から垂下する上記蒸気噴出管路(50)の就中蒸気噴出ノズル(52)を、蒸米タンク(24)の内部から上方へ抜き出し退避させ得る程度の寸法として関係設定されている。
【0074】
上記ボールネジ(69)の下端部に延長するストレートな入力軸(71)は、台枠(62)の内部へ差し込み垂下された状態にあって、ここには径大な従動タイミングプーリー(80)が嵌め付け一体化されている。(81)はそのタイミングプーリー(80)と入力軸(71)との嵌合面に介挿設置されたトルクリミッターであり、過負荷を受けた時にはスリップさせるようになっている。
【0075】
(82)は上記ボールネジ(69)を回転駆動するブレーキ付きの可逆モーターであって、やはり台枠(62)へ据え付け固定されており、その台枠(62)の内部へ差し込み垂下された出力軸(83)には、径小な原動タイミングプーリー(84)が嵌め付け一体化されている。(85)はその原動タイミングプーリー(84)と上記従動タイミングプーリー(80)との並列する前後相互間へ巻き掛けられた無端な伝動タイミングベルトである。
【0076】
そのため、上記ボールネジ(69)が可逆モーター(82)により回転駆動されると、蒸気供給路(P)のカバーケース(47)が昇降ロッド(63)を介して、図1、7や図30の鎖線で示す如く一定の昇降ストローク(H)だけ上昇され、そのカバーケース(47)から垂下した状態にある蒸気噴出管路(50)の就中蒸気噴出ノズル(52)を、蒸米タンク(24)の内部から上方へ抜き出し退避させることができ、これに付属している天蓋(53)も一緒に上昇して、その蒸米タンク(24)を開放することになる。
【0077】
その結果、蒸米タンク(24)が搭載されたタンク台車(T)を、上記据付け台(F)の枠内から前方へ引き抜いて、作業床の希望場所まで自由に手押し移動した後、上記タンク転倒作動機構(R)の回動ハンドル(40)を回動操作して、その蒸米タンク(24)を図13の鎖線で示す如く、一定角度(α)だけ斜め下向きに転倒させることにより、仕上がり状態の蒸米を便利良く取り出すことができる。
【0078】
他方、上記蒸米タンク(24)へ米(M)の一定単位量を収容させ、これと相前後して、そのタンク台車(T)を据付け台(F)の枠内へ正しく差し込みロックした上、同じくボールネジ(69)をそのモーター(82)により逆方向へ回転駆動して、上記カバーケース(47)を一定の昇降ストローク(H)だけ下降させれば、これから垂下する蒸気噴出管路(50)の蒸気噴出ノズル(52)が、図7や図29に示す如く、蒸米タンク(24)の内部へ自づと正しく差し込まれることになり、併せてその蒸米タンク(24)の包囲ジャケット(17)は天蓋(53)によって密閉状態に保たれるため、蒸し作用中に蒸米タンク(24)から外部へ蒸気がそのまま放出するおそれはない。
【0079】
更に、先の給水シャワースタンド(W)を詳述すると、これは図32に抽出するような作業床への据立て板(86)を備えた一定な背丈の金属管から成り、その上端部が着脱自在の蓋板(87)によって密閉されている。(88)はそのための気密用パッキング、(89)は据立て板(86)と別個な揚げ底蓋であり、これに沿う排水用口金(90)が横向きに張り出し形成されている。
【0080】
(91)は上記シャワースタンド(W)の蓋板(87)へ上方から差し込み固定状態に連通接続された給水管路であり、その入口部が水道の蛇口やその他の給水源へ接続使用されることになる。(92)は同じく給水管路(91)の出口部に取り付けられた水噴出ノズルであり、シャワースタンド(W)の内部に向かって垂下している。
【0081】
(93)は上記給水管路(91)の入口側に介挿設置された給水用電磁弁であり、電気的に開閉制御されることとなる。(94)は同じく出口側に並列設置された手動開閉弁(ボールバルブ)を示している。
【0082】
又、上記シャワースタンド(W)の中途高さ位置からは、給水用口金(95)が斜め上向きに張り出されており、ここには手動開閉弁(ボールバルブ)(96)を備えたブッシュ(97)が接続一体化されている。(98)はそのブッシュ(97)の出口部に取り付けられた水噴出ノズルであり、これもシャワースタンド(W)の内部を指向している。
【0083】
そして、同じくブッシュ(97)の入口部は上記給水管路(91)における電磁弁(93)と手動開閉弁(94)との相互間へ、別な給水用フレキシブルホース(99)を介して連通接続されており、上記水噴出ノズル(92)(98)の何れか一方又は双方からシャワースタンド(W)の内部へ、水をシャワー又はスプレーとして噴出できるようになっている。
【0084】
(100)はこのような両水噴出ノズル(92)(98)の上下相互間を占める上記シャワースタンド(W)の中途高さ位置から、やはり斜め上向きに張り出された蒸気用口金であり、余裕がある一定長さの排気用フレキシブルホース(101)を介して、上記蒸米タンク用天蓋(53)における蒸気集中排出塔(54)の蒸気排出用口金(55)と連通接続されている。
【0085】
つまり、上記蒸米タンク(24)から排出される蒸気を、シャワースタンド(W)の内部へ導入して、上記水噴出ノズル(92)(98)からの水と混合することにより、その蒸気を復水化した上、シャワースタンド(W)の上記排水用口金(90)から排水するようになっているのである。その結果、蒸気がそのまま蒸米装置の据え付け作業場に放出するおそれはない。
【0086】
上記構成を備えた本発明の蒸米装置により、米菓の原料となるうるち米や赤飯となるもち米を蒸すに当っては、その米(M)を蒸米タンク(24)へ収容させ、これと相前後して、その蒸米タンク(24)が搭載されたタンク台車(T)を据付け台(F)の枠内へ、前方から正確に差し込み装填したロック状態において、上記天蓋昇降作動機構(L)の可逆モーター(82)を回転駆動し、蒸気供給路(P)のカバーケース(47)を下降させることにより、これから垂下している蒸気噴出管路(50)の蒸気噴出ノズル(52)を、上記蒸米タンク(24)の内部へ差し込むと共に、その蒸米タンク(24)の包囲ジャケット(17)を天蓋(53)によって密閉状態に保つ。
【0087】
そして、図33の矢印で示す如く、上記米(M)の品種や収容量などに応じた調整量の蒸気を、その蒸気供給路(P)から蒸米タンク(24)へ供給して、その米(M)の中へ噴出させることにより、所要時間だけ第1次的に蒸し作用し、一旦天蓋(53)を開放することにより、人為的に打ち水(所謂ビックリ水)を投与した後、引き続き所要時間だけ第2次的に蒸し作用すれば良い。
【0088】
上記米(M)が蒸し上がったならば、その蒸米タンク(24)に対する蒸気の供給を停止する一方、上記天蓋昇降作動機構(L)のモーター(82)を逆方向へ回転駆動して、蒸気供給路(P)のカバーケース(47)を上昇させることにより、その蒸気噴出管路(50)の蒸気噴出ノズル(52)を蒸米タンク(24)から上方へ抜き出し退避させると共に、これと一緒に天蓋(53)も上昇させて、その蒸米タンク(24)を開放する。
【0089】
その結果、上記タンク台車(T)を据付け台(F)の枠内から引き抜いて、蒸米装置から離れた希望の場所まで手押し移動後、上記タンク転倒作動機構(R)の回動ハンドル(40)を回動操作することにより、その一定角度(α)だけ斜め下向きに転倒させた蒸米タンク(24)から、上記蒸米をすばやく安楽に取り出すことができる。
【0090】
但し、カセット式のタンク台車(T)を省略して、蒸米タンク(24)とその包囲ジャケット(17)をその台車フレーム(11)に代る据付け台(F)上へ、やはりタンク転倒作動機構(R)によって一定角度(α)だけ転倒させ得るように枢着する一方、上記蒸気供給路(P)のカバーケース(47)における昇降ストローク(H)を大きく確保することにより、その据付け台(F)上での言わば固定式として、蒸米タンク(24)から仕上がった蒸米を取り出せるように定めてもさしつかえない。又、別個独立する給水シャワースタンド(W)の据立て板(86)を省略して、そのシャワースタンド(W)を上記据付け台(F)から直接一体的に垂立させても良い。
【0091】
何れにしても、上記米(M)の第1、2次的な蒸し作用中において、その蒸米タンク(24)から浮上する蒸気は、天蓋(53)の中心部をなす蒸気集中排出塔(54)に自づと集中し、そこから給水シャワースタンド(W)の内部へ、図33の矢印で示す如く排気され、水噴出ノズル(92)(98)からの給水シャワーを受けることにより、その復水となってシャワースタンド(W)から排水されるのである。
【0092】
他方、上記天蓋(53)に結露する水滴は同図の矢印で示す如く、その天蓋(53)の開口下縁部へ自づと分散されて、蒸米タンク(24)と包囲ジャケット(17)との内外相互間に確保された水滴排出路(S)を落下し、その包囲ジャケット(17)の下端部に付属する排水管路(18)から排水されることになる。
【0093】
その結果、蒸米装置の据え付けられた作業場へ、蒸気がそのまま放出するおそれはなく、これを必らずや復水として、一括に排水処理することができ、その蒸気の温度と湿度による作業環境の悪化はもとより、同じ作業場に保管中の各種食品や同じ作業場に据え付け使用されている別な食品機械などに与える悪影響も防止し得るのである。
【0094】
尚、図34は上記第1、2次的な蒸し作用時間やその途中での水切り作用時間を、予じめタイマーにより設定した自動運転モードと、所謂バッチ式の手動運転モードとの切り替え可能な電気制御回路を示しており、(102)は電源スイッチ、(103)は上記制御ボックス(B)の冷却ファンである。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明に係る蒸米装置の概略全体を示す正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】据付け台を抽出して示す正面図である。
【図4】図3の平面図である。
【図5】図3の背面図である。
【図6】図3の左側面図である。
【図7】蒸米タンクとその天蓋を破断して示す図1に対応する正面図である。
【図8】図7の平面図である。
【図9】図7の右側面図である。
【図10】図7の一部を抽出して示す拡大図である。
【図11】図10の平面図である。
【図12】タンク台車を抽出して示す正面図である。
【図13】図12の側面図である。
【図14】図13の平面図である。
【図15】蒸米タンク用包囲ジャケットの排水管路を示す平面図である。
【図16】同じく包囲ジャケットを抽出して示す正面図である。
【図17】図16の側面図である。
【図18】図16の平面図である。
【図19】蒸米タンクを抽出して示す正面図である。
【図20】図19の平面図である。
【図21】互換使用可能な小型サイズの蒸米タンクを示す図19に対応する正面図である。
【図22】図21の平面図である。
【図23】その小型サイズの蒸米タンクを包囲ジャケットに取り付けた状態の断面図である。
【図24】タンク転倒作動機構を抽出して示す正面図である。
【図25】図24の側面図である。
【図26】図25の平面図である。
【図27】蒸気供給路の一部を図7から抽出して示す正面図である。
【図28】蒸気供給路の別な一部を図7から抽出して示す正面図である。
【図29】図7の蒸米タンクと天蓋を抽出して示す拡大図である。
【図30】天蓋昇降作動機構を抽出して示す正面図である。
【図31】図30の部分拡大図である。
【図32】給水シャワースタンドを抽出して示す正面図である。
【図33】蒸米作用の説明図である。
【図34】蒸米装置の電気制御回路図である。
【符号の説明】
【0096】
(5)・スライドガイド板
(6)・受け止めストッパー
(8)・ロックペダル
(10)・タンク台車用定位置検知センサー
(11)・台車フレーム
(15)・ハンドルバー
(17)・蒸米タンク用包囲ジャケット
(18)・排水管路
(22)・タンク受け止めフランジ
(23)・水滴逃し孔
(24)(24a)・蒸米タンク
(25)・取付フランジ
(26)・ボルト
(27)・水滴逃し切欠
(28)・水抜き孔
(29)・回動支軸
(31)・ギヤボックス
(33)・ウォームホイール
(34)・ウォーム
(35)・ウォーム軸
(36)・従動スプロケット
(37)・ハンドル軸
(38)・原動スプロケット
(39)・伝動チェン
(40)・回動ハンドル
(41)・操作パネル
(43)・蒸気用フレキシブルホース
(45a)(45b)(45c)・第1〜3分岐管
(46a)(46b)(46c)・蒸気用電磁弁
(47)・断熱用カバーケース
(48)・セパレーター
(50)・蒸気噴出管路
(51)・アダプター
(52)・蒸気噴出ノズル
(53)・天蓋
(54)・蒸気集中排出塔
(56)・接手管
(61)・ハンガーロッド
(62)・台枠
(63)・昇降ロッド
(64)・ロッド導出口
(65)(66)・連結ピース
(67)・蓋板
(69)・ボールネジ
(71)・入力軸
(74)・フランジ付きナット
(75)・上限リミットスイッチ
(76)・下限リミットスイッチ
(80)・従動タイミングプーリー
(81)・トルクリミッター
(82)・可逆モーター
(83)・出力軸
(84)・原動タイミングプーリー
(85)・タイミングベルト
(86)・据立て板
(91)・給水管路
(92)(98)・水噴出ノズル
(93)・給水用電磁弁
(99)・給水用フレキシブルホース
(101)・排気用フレキシブルホース
(B)・制御ボックス
(F)・据付け台
(H)・昇降ストローク
(L)・天蓋昇降作動機構
(M)・米
(P)・蒸気供給路
(R)・タンク転倒作動機構
(S)・水滴排出路
(T)・タンク台車
(W)・給水シャワースタンド
(α)・転倒傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定単位量の米(M)が収容された蒸米タンク(24)の包囲ジャケット(17)を作業床に据え付けて、その蒸米タンク(24)の真上位置まで配管した蒸気供給路(P)を下降作動させることにより、その蒸気供給路(P)の出口部から一体的に垂下した蒸気噴出管路(50)を、上記蒸米タンク(24)内の米(M)中へ差し込み没入させると共に、その蒸気噴出管路(50)の中途高さ位置に付属する天蓋(53)を、同じく蒸米タンク(24)とその包囲ジャケット(17)の密閉状態に保って、蒸米作用を行ない、
その蒸米作用中に蒸米タンク(24)から浮上する蒸気は、上記天蓋(53)との連通接続状態にある給水シャワースタンド(W)の内部へ導入させて、その内部での給水シャワーにより復水化した上、そのシャワースタンド(W)から排水する一方、同じく蒸米作用中に天蓋(53)へ結露する水滴は、その天蓋(53)から上記蒸米タンク(24)と包囲ジャケット(17)との内外相互間隙を通じて下方へ排水し、
蒸米作用の終了後、上記蒸気供給路(P)の蒸気噴出管路(50)と天蓋(53)を蒸米タンク(24)からの退避状態に上昇作動させて、その開放した蒸米タンク(24)から蒸米を取り出すことを特徴とする蒸米方法。
【請求項2】
ボイラーなどの蒸気供給源から蒸気噴出管路(50)に至る蒸気供給路(P)の中途部を、口径が大中小に相違する第1〜3分岐管(45a)(45b)(45c)から成る並列回路として形作り、
その各分岐管(45a)(45b)(45c)に設置した第1〜3電磁弁(46a)(46b)(46c)を、上記口径の選択的な組み合わせとして電気的に開閉制御することにより、蒸米タンク(24)への蒸気供給量を増減調整することを特徴とする請求項1記載の蒸米方法。
【請求項3】
作業床への据付け台(F)に支持された漏斗型の蒸米タンク用包囲ジャケット(17)と、その内部へ一定の水滴排出路(S)を確保する同芯状態に設置された断面U字型の蒸米タンク(24)と、その蒸米タンク(24)の真上位置まで延長配管された蒸気供給路(P)と、その蒸気供給路(P)の出口部から上記蒸米タンク(24)の内部に向かって一体的に垂下された蒸気噴出管路(50)と、上記蒸米タンク(24)と包囲ジャケット(17)を開閉すべく、その蒸気噴出管路(50)の中途高さ位置へ付属的に吊持された天蓋(53)と、その天蓋(53)に連通接続された給水シャワースタンド(W)とを備え、
上記蒸気供給路(P)の下降作動により、その蒸気噴出管路(50)を蒸米タンク(24)内の米(M)中へ差し込み没入させると共に、上記天蓋(53)を蒸米タンク(24)とその包囲ジャケット(17)へ密閉させた状態での蒸米作用中に、その蒸米タンク(24)から浮上する蒸気を給水シャワースタンド(W)へ導入して、その内部での給水シャワーにより復水化する一方、同じく天蓋(53)に結露する水滴を上記水滴排出路(S)から下方へ排水すると共に、
蒸米作用の終了後には上記蒸気供給路(P)の上昇作動により、その蒸気噴出管路(50)とこれに付属の天蓋(53)を蒸米タンク(24)から抜き出し退避させて、その開放した蒸米タンク(24)から蒸米を取り出すように定めたことを特徴とする蒸米装置。
【請求項4】
蒸米タンク(24)の開口上縁部から外向き一体的に張り出す水平な取付フランジ(25)と、その包囲ジャケット(17)の開口上縁部付近から対応的な内向き一体的に張り出す水平なタンク受け止めフランジ(22)とを、複数のボルト(26)により着脱自在に締結して、上記包囲ジャケット(17)を上方から円錐笠型の天蓋(53)によって密閉すると共に、
上記蒸米タンク(24)側の取付フランジ(25)に付与した多数の水滴逃し切欠(27)と、その包囲ジャケット(17)側のタンク受け止めフランジ(22)に開口分布する多数の水滴逃し孔(23)とを合致連通させて、
蒸米作用中に天蓋(53)へ結露した水滴が上記水滴逃し切欠(27)と水滴逃し孔(23)並びに水滴排出路(S)を通じて、上記包囲ジャケット(17)の下端部から排水されるように定めたことを特徴とする請求項3記載の蒸米装置。
【請求項5】
天蓋(53)を円錐笠型として、その中心部から上向きに隆起する蒸気集中排出塔(54)を、作業床に据え立てられた排水シャワースタンド(W)の中途高さ位置へ、余裕がある一定長さの排気用フレキシブルホース(101)によって連通接続する一方、
蒸米タンク用包囲ジャケット(17)の開口上縁部と弾圧的に密着し得るパッキング(59)を、上記天蓋(53)の開口下縁部へ嵌め付けたことを特徴とする請求項3記載の蒸米装置。
【請求項6】
蒸米タンク(24)の包囲ジャケット(17)を台車フレーム(11)へ、向かい合う一対の水平な回動支軸(29)により一定角度(α)だけ転倒作動できる枢着状態に搭載させて、
そのタンク台車(T)として据付け台(F)の枠内へカセット式の抜き差し交換自在に差し込み装填し、その正規な装填状態がタンク台車用定位置検知センサー(10)によって検知されない限り、蒸米作用を開始できないように定めたことを特徴とする請求項3記載の蒸米装置。
【請求項7】
ボイラーなどの蒸気供給源に接続使用される蒸気供給路(P)を、据付け台(F)から蒸米タンク(24)の包囲ジャケット(17)よりも背高く一体的に垂立する蒸気供給量制御ボックス(B)へ一旦導通配管した後、余裕がある一定長さの蒸気用フレキシブルホース(43)を経て、引き続きその制御ボックス(B)の真上位置を水平に横断しつつ、上記包囲ジャケット(17)の垂直中心線(Y−Y)上まで延長させ、その出口部から蒸気噴出管路(50)を蒸米タンク(24)の内部に向かって一体的に垂下させると共に、
上記蒸気供給路(P)が蒸気供給量制御ボックス(B)の真上位置を水平に横断する中途部を、剛性な断熱用カバーケース(47)により被覆して、そのカバーケース(47)を昇降作動機構(L)により上記制御ボックス(B)へ昇降自在に支持させたことを特徴とする請求項3記載の蒸米装置。
【請求項8】
蒸気噴出管路(50)を蒸気供給路(P)の出口部に連通接続されるアダプター(51)と、蒸米タンク(24)内の米(M)中へ差し込み没入される蒸気噴出ノズル(52)と、そのアダプター(51)と蒸気噴出ノズル(52)との上下相互間へ、クランプ(57)(58)を介して着脱自在に継ぎ足し一本化される接手管(56)とから形作ると共に、
円錐笠型に造形された天蓋(53)の中心部から上向きに隆起する蒸気集中排出塔(54)を、上記蒸気噴出管路(50)の接手管(56)へ差し込み套嵌状態に溶接一体化したことを特徴とする請求項3記載の蒸米装置。
【請求項9】
給水シャワースタンド(W)を作業床への据立て板(86)から一体的に垂立する金属管として、その上端部の蓋板(87)に連通接続された給水管路(91)の中途部と、上記金属管の中途高さ位置とを別な給水用フレキシブルホース(99)によって連通接続し、
上記給水管路(91)の出口部と給水用フレキシブルホース(99)の出口部へ、各々水噴出ノズル(92)(98)を設置すると共に、
その水噴出ノズル(92)(98)の上下相互間を占める上記金属管の中途高さ位置と、蒸米タンク(24)の包囲ジャケット(17)を密閉する天蓋(53)とを、余裕がある一定長さの排気用フレキシブルホース(101)によって連通接続したことを特徴とする請求項3記載の蒸米装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2006−101817(P2006−101817A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−295615(P2004−295615)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000247247)有限会社ナカイ (22)
【Fターム(参考)】