説明

蓄電素子

【課題】抵抗値の増大を防止した集電部材を備える蓄電素子を提供する。
【解決手段】本発明の電池10は、正極板12と負極板13とをセパレータを介して巻回または積層してなる発電要素11と、発電要素11を収容するとともに、外部接続用の端子25を有するケース20と、正極板12および負極板13のいずれか一方の極板12,13と電気的に接続される一対の極板接続部43を有する集電部材40と、を備える。集電部材40において、一対の極板接続部43のうち少なくとも一方は、端子25に接続される端子接続部41に連なり、一対の極板接続部43は長尺状をなして互いに対向する位置に配置されるとともに、一対の極板接続部43の長辺同士が互いに連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、正極板と負極板とをセパレータを介して積層してなる蓄電要素と、電解液と、蓄電要素を電解液に浸した状態で収容するケースと、外部接続端子との接続部と極板に接続される集電部材と、を備える蓄電素子としては、例えば特許文献1に記載の電池などが知られている。
【0003】
この電池において、集電部材は、全体としてU字状をなしており、U字状部分の一部から上方へ延出された延出端が外部端子と接続されており、U字状部分が極板と接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−183332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような構成の集電部材を備える蓄電素子では、蓄電素子が大型になると、集電部材も大きくする必要が生じ、集電部材の極板との接続部と、外部接続端子との接続部との距離が長くなる。つまり、上記のような構成の集電部材では、蓄電素子の大型化に伴って電流経路が長くなるため、蓄電素子の抵抗値が増大するという問題があった。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、抵抗値の増大を防止した蓄電素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するものとして本発明は、正極板と負極板とをセパレータを介して積層してなる蓄電要素と、前記蓄電要素を収容するとともに、外部接続用の端子を有するケースと、前記正極板および前記負極板のいずれか一方の極板と電気的に接続される一対の極板接続部を有する集電部材と、を備え、前記集電部材において、前記一対の極板接続部のうち少なくとも一方は、前記端子に接続される端子接続部に連なり、前記一対の極板接続部は、長尺状をなして互いに対向する位置に配置されるとともに、前記一対の極板接続部の長辺同士が互いに連結されていることを特徴とする蓄電素子である。
【0008】
本発明において、一対の極板接続部は、その長辺同士が連結されているので、集電部材を流れる電流が一方の極板接続部から、連結した部分(連結部)を通って他方の極板接続部に流れる。したがって、本発明によれば、蓄電素子が大型化して極板接続部が大型化したとしても、これらの間は連結されているから、集電部材を流れる電流の電流経路の長さを短くすることができ、集電部材の抵抗値の増大を防止することができる。
【0009】
本発明は以下の構成としてもよい。
前記一対の極板接続部を連結する連結部は、複数箇所に設けられていてもよい。このような構成とすると、連結部が設けられた箇所で電流経路を短くすることができるので、抵抗値の増大を防止する効果が高まる。また、このような構成とすることで、極板接続部が拡きにくくなるので、集電部材を剛性が高く振動に強いものとすることができる。
【0010】
前記正極板および前記負極板のうち、少なくとも、前記集電部材と接続される極板には、活物質が塗布されていない未塗布部が設けられ、前記未塗布部が前記極板接続部に接合されていてもよい。
このような構成とすると、極板と集電部材との接合部の強度を向上させることができる。
【0011】
前記ケースは、開口を有し筒状をなす筒部と、前記開口を覆う蓋と、を備え、前記蓄電要素は前記正極板と前記負極板とを巻回してなり、前記蓄電要素は、当該蓄電要素の巻回軸を前記開口に対して垂直に配して収容されていてもよい。
このような構成とすると、極板(蓄電要素)を蓋と接合したのちに筒部に収容することが可能となり、蓄電素子組み立ての際の作業効率に優れる。また、蓄電素子内で発生したガスを開口方向に逃がしやすくすることができるうえに、開口から注液した電解液を蓄電要素に対して均等に浸透させることができる。
【0012】
前記一対の極板接続部のうち、一方は前記端子接続部に連なる第1極板接続部とされるとともに、他方は第2極板接続部とされ、前記端子接続部は、前記蓋に沿って配され、前記第1極板接続部および前記第2極板接続部は、前記蓋に対して交差する方向に配され、前記連結部には開口部が設けられていてもよい。
このような構成とすると蓄電素子内で発生したガスが連結部の開口部から蓋方向に移動しやすくなる。
【0013】
前記集電部材の前記開口部の直上には、蓄電素子内部の圧力が所定値以上となったときに開弁して蓄電素子内のガスを蓄電素子外に放出する安全弁が設けられていてもよい。
このような構成とすると、蓄電素子内のガスを効率よく放出することができ、蓄電素子の安全性を高めることができる。
【0014】
前記集電部材の前記開口部の直上には、前記ケース内に電解液を注液する注液口が設けられていてもよい。このような構成とすると、電解液が開口部を経て蓄電要素のほうへ移動しやすくなり、電解液を蓄電要素に対してより均等に浸透させることができる。
【0015】
前記第1極板接続部と前記端子接続部との間には、前記端子接続部から連なり前記端子接続部に重なるように配されて前記端子接続部を支持する支持部が設けられていてもよい。
このような構成とすると、抵抗値の上昇を抑えつつ端子接続部の強度を向上させることができる。
【0016】
前記端子は、前記端子接続部に固着されたリベット部を有し、前記支持部には、前記端子接続部に固着されたリベット部の端部を逃がす逃がし孔が形成されていてもよい。
このような構成とすると、集電部材が支持部を備えていても、その高さを低く抑えることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、抵抗値の増大を防止した蓄電素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1の電池(蓄電素子)の分解斜視図
【図2】電池の上面図
【図3】図2のX−X線における断面図
【図4】図2のY−Y線における断面図
【図5】図3の断面図のうち蓋と集電部材を示した断面図
【図6】図4の断面図のうち蓋と集電部材を示した断面図
【図7】集電部材の斜視図
【図8】集電部材の底面図
【図9】集電部材に曲げ加工を施す様子を示す説明図
【図10】図9の集電部材を図9の左側面側から示した図
【図11】発電要素(蓄電要素)の模式図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
本発明をリチウムイオン電池10(蓄電素子の一例)に適用した実施形態1を図1ないし図11によって説明する。以下の説明において図3および図4における上側を上とし下側を下とする。
【0020】
本発明の電池10は、正極板12と負極板13とをセパレータ(図示せず)を介して巻回してなる発電要素11(蓄電要素の一例)と、非水電解液と、この発電要素11を収容するケース20と、を備える。発電要素11の巻回軸は、ケース20上面(開口21A)に対して垂直に配される。ここで、ケース20は電池10の筐体であり、金属製または樹脂製の筒部21と、筒部21の上側の開口21Aを塞ぐ蓋板27(蓋の一例)と、筒部21の下側の開口21Bを覆う蓋部材22とからなる(図1を参照)。筒部21、蓋部材22、および蓋板27はそれぞれ別体である。
【0021】
本実施形態において、発電要素11を構成する正極板12および負極板13は、金属箔の上に各活物質材料を塗布することにより得られ、各極板12,13の幅方向における端部には、各活物質が塗布されていない部分である未塗布部12A,13Aが設けられている。発電要素11は、図11に示すように、正極板12と負極板13とを、間にセパレータを挟んで巻回した、いわゆる巻回型の発電要素11として構成されている。図4及び図11に示すように、発電要素11の上端部においては、負極板13の未塗布部13Aが上方(点線よりも上側)に延出され、発電要素11の下端部においては正極板12の未塗布部12Aが下方(点線よりも下側)に延出されている。
【0022】
正極板12を構成する金属箔としてはアルミニウム箔が用いられる。正極活物質としては、リチウムやマンガンなどを含むリチウム複合酸化物など、リチウムイオン電池の正極活物質として公知のものを用いることができる。
【0023】
負極板13を構成する金属箔としては、例えば銅箔などを用いることができ、負極活物質としては、リチウム金属、リチウムを吸臓・放出可能な物質であるリチウム−アルミニウム合金、リチウム−鉛合金、リチウム−錫合金などのリチウム合金、黒鉛、コークス、有機物焼成体などの炭素材料など、リチウムイオン電池の負極活物質として公知のものを用いることができる。
【0024】
セパレータとしては、例えば、ポリエチレン製微多孔膜など、リチウムイオン電池のセパレータとして公知のものを用いることができる。
【0025】
非水電解液としては、リチウムイオン電池の電解液(非水電解液)として公知のものを用いることができる。
【0026】
非水電解液の非水溶媒としては、具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル類、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン等の鎖状エーテル類、リン酸エチレンメチル、リン酸エチルエチレン等の環状リン酸エステル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等の鎖状リン酸エステル、これらの化合物のハロゲン化物などを使用することができる。これらの有機溶媒は、一種類だけを選択して使用してもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
非水電解液の溶質としては、LiClO、LiPF、LiBF等の無機リチウム塩や、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO 、LiN(CFCO)およびLiC(CFSO等の含フッ素有機リチウム塩等を挙げることができる。これらの溶質は、一種類だけを選択して使用してもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
ケース20の筒部21の上側の開口21Aには、図3および図4に示すように、上から順に、端子板24、絶縁性材料からなる外部絶縁板26、蓋板27、絶縁性材料からなる内部絶縁板30、絶縁部材33および負極集電部材40(集電部材の一例)が配されている。なお、筒部21の上側の開口21Aに配される部材は図1においては右下側に示されている。
【0029】
端子板24は、図1に示すように、銅製または銅合金製の金属板に、リベット端子25を突出形成したものであり、リベット端子25(以下、リベット部25という、「外部接続用の端子」の一例)の頭部25A(「リベット部の端部」の一例)は、図3に示すように、電池10内に配される負極集電部材40の端子接続孔42に嵌入されてかしめにより接続固定される。なお、図1においては、頭部25Aをかしめた状態のリベット部25を備える端子板24が示されているが、頭部25Aをかしめる前のリベット部25は円柱状である。
【0030】
外部絶縁板26には、端子板24に形成されたリベット部25を挿通するとともに、リベット部25の足部25Bを包囲する筒状の絶縁筒部26Aが設けられている。外部絶縁板26の上側面には、その外周縁に沿って突部26B(周縁突部26B)が設けられており、周縁突部26Bで囲まれた領域内に端子板24が嵌めこまれるようになっている。外部絶縁板26により、端子板24のリベット部25は蓋板27と絶縁される。
【0031】
蓋板27はアルミニウム製またはアルミニウム合金製である。蓋板27には、図1および図2に示すように、外部絶縁板26の絶縁筒部26Aを挿通可能な筒部挿通孔28と、電池10内に非水電解液を注液するための注液口29Bと、電池10内部の圧力が所定値以上となったときに開弁してガス等を電池外へ放出する安全弁29Aが設けられている。
【0032】
蓋板27の外周縁はケース20の上側の開口21Aと同形同大に設定されている。蓋板27の下側面における、蓋板27の外周縁よりも内側には、外周縁と略平行に、リブ27Aが突出形成されている。リブ27Aは、蓋板27をケース20の筒部21の上側の開口21Aに取り付けたときに、筒部21の内壁面21Cに沿って配される。
【0033】
内部絶縁板30は、図1に示すように、方形状をなし、蓋板27のリブ27Aの内側に嵌めこまれている。内部絶縁板30には、蓋板27の筒部挿通孔28と対応する位置に外部絶縁板26の絶縁筒部26Aを嵌めこみ可能な筒部挿入孔31が形成されている。内部絶縁板30の下側面においては、その外周縁に沿って突出形成され、負極集電部材40の端子接続部41(詳細は後述する)を嵌めこみ可能な周縁突部30Aが設けられている。内部絶縁板30により端子板24のリベット部25は蓋板27と絶縁される。
【0034】
絶縁部材33は、図1に示すように、合成樹脂などの絶縁性材料からなり、環状をなしている。絶縁部材33は発電要素11の外側に嵌めこまれて、負極集電部材40と筒部21の上端部を絶縁する部材である。
【0035】
負極集電部材40は、図7に示すように、1枚の銅製または銅合金製の金属板を断面S字状に折り曲げてなる。図1、図8、図9および図10には、端子接続部41を折り曲げる前の負極集電部材40を示しており、図3〜図7には折り曲げ加工を施した後の負極集電部材40を示している。
【0036】
負極集電部材40は、負極板13と接続される一対の極板接続部43と、一対の極板接続部43をつなぐ連結部45と、を有する。一対の極板接続部はそれぞれ、長尺状をなしており、その長辺同士が連結部45でつらなっている。
【0037】
一対の極板接続部43のうち、一方の極板接続部43は、端子板24のリベット部25に接続される端子接続部41に連なる第1極板接続部43Aとされ、他方の極板接続部43は連結部45により第1極板接続部43Aとつながっている第2極板接続部43Bとされる。
【0038】
第1極板接続部43Aと端子接続部41との間には、端子接続部41を支持する支持部44が設けられている。端子接続部41は上面視方形状をなしており、端子板24に設けられたリベット部25の頭部25Aが嵌入される端子接続孔42が設けられている。端子接続部41は、図5および図6に示すように、内部絶縁板30の周縁突部30Aに囲まれた領域に嵌めこまれ、蓋板27に沿って配されている。支持部44は、端子接続部41の下方に連なり、端子接続部41に対して略平行に重なるように配されている。支持部44には、リベット部25の頭部25Aが逃がされる逃がし孔44Aが形成されている。
【0039】
第1極板接続部43Aは、支持部44から連なり、支持部44および端子接続部41に対して略垂直に切り立っており、接触する位置に配される負極板13の未塗布部13Aに接合され、電気的に接続されている。
【0040】
第2極板接続部43Bは、第1極板接続部43Aと略平行に、対向する位置に配されている(図4、図6および図7を参照)。第1極板接続部43Aと、第2極板接続部43Bとは、蓋板27に対しては略垂直に配されている。第2極板接続部43Bは、第1極板接続部43Aと同様に、接触する位置に配される負極板13の未塗布部13Aと接合され、電気的に接続されている。
【0041】
第1極板接続部43Aと、第2極板接続部43Bとの間には、連結部45が設けられている。本実施形態において、連結部45は、図8に示すように、第2極板接続部43および第1極板接続部43Aの長辺の両端部にそれぞれ設けられている(合計2か所)。2つの連結部45の間は開口する開口部45Aである。開口部45Aは蓋板27の直下に配されている。つまり、本実施形態では、集電部材40の開口部45Aの直上には、注液口29Bおよび安全弁29Aが設けられた蓋板27が配されている。
【0042】
ケース20の筒部21の下側の開口21Bには、図3および図4に示すように、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の蓋部材22が配されている。この蓋部材22には凹部23が形成されている。蓋部材22の凹部23は、蓋部材22を筒部21の開口21Bに取り付けたときに、ケース20の内部方向に凹んだ形状をなしており、ケース20内に収容される正極板12と接合されるようになっている。なお、筒部21の下側の開口21Bに配される蓋部材22は、図1においては左上側に示されている。
【0043】
蓋部材22の凹部23には超音波溶接で用いる治具が入るようになっている。凹部23の、ケース20の内側方向に突出する突出面23Bのほぼ全域には、図4に示すように、正極板12の未塗布部12Aが接合される。凹部23の正極板12の未塗布部12Aが接合される部分を接合部23Aとする。蓋部材22の上面において、その外周縁22Aはフランジ状をなしており、このフランジ状の部分22Aが筒部21の下端に配されて接合されている。
【0044】
本実施形態の電池10は、1個で使用することもできるが、複数個を並べて接続することにより組電池として使用することもできる。本実施形態の電池10を複数個接続する際には、バスバーなどの接続部材(図示せず)を、正極集電体としての蓋部材22および蓋板27のリベット端子25(負極端子)に直接接続することが可能である。
【0045】
次に、本実施形態の電池10の製造方法について説明する。
銅製または銅合金製の金属板材を所定形状に打ちぬいて、図1、図9および図10に示すような形状となるように曲げ加工を施して、負極集電部材40を作製しておく。
【0046】
このようにして作製した負極集電部材40の、第1極板接続部43Aおよび第2極板接続部43Bを、発電要素11の上端に延出されている負極板13の未塗布部13Aの最内周部に挿入し、例えば超音波溶接により未塗布部13Aと接合する。
【0047】
ここで、発電要素11を作製する際には、正極活物質を塗布したアルミニウム箔からなる正極板12と負極活物質を塗布した銅箔からなる負極板13とを、間にセパレータを挟んで巻回する(図11を参照)。この際、正極板12および負極板13には、それぞれ幅方向の端部に活物質未塗布部を設けて巻回し、正極板12および負極板13の各活物質未塗布部が端部から突出するように発電要素11を作成する。
【0048】
次に、発電要素11の下端部において延出された正極板12と蓋部材22とを接合する。具体的には、蓋部材22の凹部23のうち、ケース20の内側方向に配される面を発電要素11の下端部11Aに配置し、凹部23内に超音波溶接の治具を入れて、正極板12と、蓋部材22の凹部23の突出面23Bとを接合する。
【0049】
負極集電部材40および蓋部材22を接合した発電要素11を、筒部21の下側の開口21Bから筒部21内に挿入する。蓋部材22を筒部21に溶接により接合する。
【0050】
筒部21に挿入した発電要素11の上端部に、絶縁部材33を負極集電部材40の外周に配されるように嵌めこみ装着する。
【0051】
次に負極集電部材40の端子接続部41を内部絶縁板30の下面に嵌めこむ。具体的には、負極集電部材40の端子接続部41を、内部絶縁板30の下面の周縁突部30Aに囲まれた領域に嵌めこむと、負極集電部材40の端子接続孔42と内部絶縁板30の筒部挿入孔31が重なる位置に配される。
【0052】
負極集電部材40の端子接続部41が嵌めこまれた内部絶縁板30を、内部絶縁板30の筒部挿入孔31を蓋板27の筒部挿通孔28と重なるように配置して、蓋板27の下側面のリブ27A内に嵌めこむ。そうすると蓋板27の筒部挿通孔28と内部絶縁板30の筒部挿入孔31と端子接続部41の端子接続孔42が重なる位置に配置される。
【0053】
負極集電部材40および内部絶縁板30を下方に取り付けた蓋板27の上面に、外部絶縁板26を載置し、蓋板27の筒部挿通孔28および内部絶縁板30の筒部挿入孔31に、外部絶縁板26の絶縁筒部26Aを挿通させる。次に、端子板24を外部絶縁板26の上面の周縁突部26Bで囲まれた領域に嵌めこむと、端子板24のリベット部25が、外部絶縁板26の絶縁筒部26Aと負極集電部材40の端子接続部41の端子接続孔42とに嵌入される。次に、リベット部25の頭部25Aをかしめることにより、リベット部25が端子接続部41に固着される。
【0054】
以上のようにして得られた端子板24、外部絶縁板26、内部絶縁板30、蓋板27が接続固定された負極集電部材40に、曲げ加工を施して、略S字状の形状にすると、蓋板27が筒部21の上側の開口21Aに嵌合可能な状態となる。
【0055】
次に、蓋板27を筒部21の上側の開口21Aに嵌めこみ溶接により接合する。その後、非水電解液を注液して注液口29Bを封口すると本実施形態の電池10が得られる。
【0056】
以下、本実施形態の作用および効果について説明する。
本実施形態において、長尺状をなす一対の極板接続部43A,43Bは対向する位置に配置され、極板接続部43A,43Bの長辺同士が連結部45によりつながっているので、負極集電部材40を流れる電流が一方の極板接続部43から連結部45を通って他方の極板接続部43に流れる。したがって、本実施形態によれば、電池10が大型化して極板接続部43が大型化したとしても、これらの間に設けられた連結部45により、負極集電部材40を流れる電流の電流経路の長さを短くすることができ、負極集電部材40の抵抗値の増大を防止することができる。
【0057】
特に、本実施形態においては、連結部45が2箇所に設けられているから、連結部45が設けられた箇所で電流経路を短くすることができるので、抵抗値の増大を防止する効果が高まる。また、このような構成とすることで、一対の極板接続部43A,43Bが拡きにくくなるので、負極集電部材40を剛性が高く振動に強いものとすることができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、発電要素11は、当該発電要素11の巻回軸をケース20の開口21Aに対して垂直に配して収容されているから、発電要素11を蓋部材22と接合したのちにケース20に収容することが可能となり、電池10組み立ての際の作業効率に優れる。また、電池10内で発生したガスを開口21A方向に逃がしやすくすることができるうえに、開口21Aから注液した電解液を発電要素11に対して均等に浸透させることができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、負極集電部材40と接続される負極板13には、活物質が塗布されていない未塗布部13Aが設けられ、この未塗布部13Aが極板接続部43に接合されているから、負極板13と負極集電部材40との接合部の強度を向上させることができる。
【0060】
また、本実施形態においては、一対の極板接続部43のうち、一方は端子接続部41が設けられた第1極板接続部43Aとされるとともに、他方は連結部45により第1極板接続部43Aとつながる第2極板接続部43Bとされ、端子接続部41は、蓋板27に沿って配され、第1極板接続部43Aおよび第2極板接続部43Bは、蓋板27に対して交差する方向に配され、連結部45には開口部45Aが設けられている。したがって、本実施形態によれば、電池10内で発生したガスが連結部45の開口部45Aから蓋板27方向に移動しやすくなる。
【0061】
また、本実施形態によれば、負極集電部材40の開口部45Aの直上には、電池10内部の圧力が所定値以上となったときに開弁して電池10内のガスを電池10外に放出する安全弁29Aが設けられているから、電池10内のガスを効率よく放出することができ、電池10の安全性を高めることができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、負極集電部材40の開口部45Aの直上には、ケース20内に電解液を注液する注液口29Bが設けられているから、電解液が開口部45Aを経て発電要素11のほうへ移動しやすくなり、電解液を発電要素11に対してより均等に浸透させることができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、第1極板接続部43Aと、端子接続部41との間には、端子接続部41から連なり端子接続部41に重なるように配されて端子接続部41を支持する支持部44が設けられているから、抵抗値の上昇を抑えつつ端子接続部41の強度を向上させることができる。
【0064】
さらに、本実施形態によれば、支持部44には、端子接続部41に固着されたリベット部25の頭部25Aを逃がす逃がし孔44Aが形成されているから、負極集電部材40が支持部44を備えていても、その高さを低く抑えることができる。
【0065】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、連結部が2箇所に設けられている集電部材を示したが、連結部は1箇所でもよいし、3か所以上に設けてもよい。
(2)上記実施形態では、負極集電部材を一対の極板接続部と、連結部とを有する構成としたが、正極集電部材を一対の極板接続部と連結部とを有する構成としてもよいし、正極集電部材および負極集電部材をともに、一対の極板接続部と連結部とを有する構成としてもよい。
(3)上記実施形態では、発電要素は正極板と負極板とを巻回してなり、発電要素の巻回軸が、ケースの開口に対して垂直に配されるものをしめしたが、発電要素の巻回軸が開口に対して平行に配されるものであってもよいし、発電要素は正極板と負極板とを巻回せずに重ねて積層した構成のものであってもよい。
(4)上記実施形態では、極板接続部に負極板の未塗布部が接合されているものを示したが、活物質が塗布されている部分が接合されていてもよい。
(5)上記実施形態では、蓋板(蓋)に対して略垂直に配される一対の極板接続部を示したが、一対の極板接続部はこのような構成に限定されない。第1極板接続部と第2極板接続部とは、蓋に対して略垂直に配されていなくてもよい。
(6)上記実施形態では、端子接続部を支持する支持部を有する集電部材を示したが、支持部を有さないものであってもよい。
(7)上記実施形態では支持部にリベット部の端部を逃がす逃がし孔を形成した構成を示したが、逃がし孔を形成しない支持部を備えるものであってもよい。また、外部接続用の端子はリベット端子以外の端子であってもよい。
(8)上記実施形態では、負極集電部材として、2つの連結部の間に開口部を有するものを示したが、開口部を有さないものであってもよい。
(9)上記実施形態では、負極集電部材の開口部の直上に注液口および安全弁を設けたが、注液口および安全弁を負極集電部材の開口部の直上ではない位置に設けてもよい。
(10)上記実施形態では、ケースに、筒部とは別体の蓋板および蓋部材を備えるものを示したが、ケースの筒部と蓋板および蓋部材のいずれか一方が一体であってもよい。
(11)上記実施形態ではケースの正極側の蓋(蓋部材)としてケースの内部方向に凹んだ凹部を形成したものを示したが、正極側の蓋は、平板状であってもよいし、ケースの外側方向に突出した凸部が形成されていてもよい。
(12)上記実施形態ではリチウムイオン電池に適用した例を示したが、本発明は、ニッケル水素電池などの二次電池などやコンデンサにも適用可能である。
(13)上記実施形態では、長円形状の開口を有するケースを備える電池を示したが、ケースの形状は角型であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
10...電池(蓄電素子)
11...発電要素(蓄電要素)
12...正極板
13...負極板
13A...未塗布部
20...ケース
21...筒部
21A,21B...開口
25...リベット部(端子)
25A...リベット部の頭部(リベット部の端部)
27...蓋板(蓋)
29A...安全弁
29B...注液口
40...負極集電部材(集電部材)
41...端子接続部
42...端子接続孔
43...極板接続部
43A...第1極板接続部
43B...第2極板接続部
44...支持部
44A...逃がし孔
45...連結部
45A...開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極板と負極板とをセパレータを介して積層してなる蓄電要素と、前記蓄電要素を収容するとともに、外部接続用の端子を有するケースと、前記正極板および前記負極板のいずれか一方の極板と電気的に接続される一対の極板接続部を有する集電部材と、を備え、
前記集電部材において、前記一対の極板接続部のうち少なくとも一方は、前記端子に接続される端子接続部に連なり、
前記一対の極板接続部は、長尺状をなして互いに対向する位置に配置されるとともに、前記一対の極板接続部の長辺同士が互いに連結されていることを特徴とする蓄電素子。
【請求項2】
前記一対の極板接続部を連結する連結部は、複数箇所に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項3】
前記正極板および前記負極板のうち、少なくとも、前記集電部材と接続される極板には、活物質が塗布されていない未塗布部が設けられ、
前記未塗布部が前記極板接続部に接合されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蓄電素子。
【請求項4】
前記ケースは、開口を有し筒状をなす筒部と、前記開口を覆う蓋と、を備え、
前記蓄電要素は前記正極板と前記負極板とを巻回してなり、前記蓄電要素は、当該蓄電要素の巻回軸を前記開口に対して垂直に配して収容されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の蓄電素子。
【請求項5】
前記一対の極板接続部のうち、一方は前記端子接続部に連なる第1極板接続部とされるとともに、他方は第2極板接続部とされ
前記端子接続部は、前記蓋に沿って配され、
前記第1極板接続部および前記第2極板接続部は、前記蓋に対して交差する方向に配され、
前記連結部には開口部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の蓄電素子。
【請求項6】
前記集電部材の前記開口部の直上には、蓄電素子内部圧力が所定値以上となったときに開弁して蓄電素子内のガスを蓄電素子外に放出する安全弁が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の蓄電素子。
【請求項7】
前記集電部材の前記開口部の直上には、前記ケース内に電解液を注液する注液口が設けられていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の蓄電素子。
【請求項8】
前記第1極板接続部と前記端子接続部との間には、前記端子接続部から連なり前記端子接続部に重なるように配されて前記端子接続部を支持する支持部が設けられていることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか一項に記載の蓄電素子。
【請求項9】
前記端子は、前記端子接続部に固着されたリベット部を有し、
前記第1極板接続部の前記支持部には、前記端子接続部に固着されたリベット部の端部を逃がす逃がし孔が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の蓄電素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−77496(P2013−77496A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217452(P2011−217452)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】