説明

蓄電装置及び蓄電システム

【課題】容易に浸水しないようにした蓄電池を備えた蓄電装置及び蓄電システムを得る。
【解決手段】箱体10が床部材58の下方に位置する床下空間11のベタ基礎56の基礎面56A上に載置されているため、箱体10を水平に支持することができ、安定した状態で箱体10を保持することができる。そして、フレーム14及び下箱15に上箱16を被せることで、下箱15で構成される収容空間13を一定の圧力で保持することができる。このため、収容空間13内へ容易に水が浸入しないようにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池を備えた蓄電装置及び蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電池による蓄電システムを用いた住宅では、蓄電池の収納スペースとして、住宅のデッドスペースが有効利用される。例えば、特許文献1では、床下のスペースを蓄電池の設置場所として利用する技術が開示されている。床下は、自然換気によって換気されているため、風通しがよくまた比較的周囲温度が低く、蓄電池の放熱や冷却、発生・漏出するガスの排出を効率よく行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−100645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、洪水になった場合、例え床下浸水のレベルであっても、蓄電池が浸水或いは水没してしまう。この場合、蓄電池及び関連電気関係がショートし、破損してしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、容易に浸水しないようにした蓄電池を備えた蓄電装置及び蓄電システムを供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の蓄電装置は、箱体内に設けられた収容空間内に蓄電池が収容され、当該箱体の下部に開口が設けられ、前記開口よりも高い位置に前記蓄電池の底面の位置が設定されている。
【0007】
請求項1に記載の蓄電装置では、蓄電池の底面の位置を箱体の開口よりも高い位置となるように設定しているため、洪水時に、箱体の下部が浸水した場合でも、蓄電池は浸水しないで済む。また、箱体の下部に設けられた開口が水没すると、箱体内は閉塞された空間となる。このため、箱体内では圧力が高まり、箱体内への水の浸入が抑制される。一方、通常時には、箱体の下部に開口を設けることで、箱体内へ空気を通過させことができ、収容空間内の蓄電池を冷却することができる。
【0008】
請求項2に記載の蓄電装置は、請求項1に記載の蓄電装置において、前記箱体が、前記収容空間を形成する下箱と、前記下箱を内部に保持するフレームと、前記フレームを上方から覆った状態で、当該フレームの下部が露出して前記開口を設ける上箱と、を含んで構成されている。
【0009】
請求項2に記載の蓄電装置では、箱体が、蓄電池が収容される収容空間を形成する下箱を備えている。下箱はフレームの内部に保持されており、フレームは上箱によって上方から覆われるようになっている。上箱がフレームを覆った状態では、フレームの下部が露出して開口が設けられる。
【0010】
上箱によって、フレーム及び下箱が覆われるようにすることで、下箱の収容空間を一定の圧力で保持することができ、下箱の収容空間の気密性が概ね確保される。したがって、収容空間内へ容易に水が浸入しないようにすることができる。また、蓄電池の種類によっては、蓄電時にガスが発生する場合があるが、箱体の下部に開口を設けることで、当該開口を通じて、収容空間内を換気することができる。
【0011】
請求項3に記載の蓄電装置は、請求項2に記載の蓄電装置において、前記フレームが建物の基礎上に設けられ、前記下箱の底面と前記建物の基礎面との間に隙間が設けられている。
【0012】
請求項3に記載の蓄電装置では、フレームが建物の基礎上に設けられ、建物の基礎面と下箱の底面との間に隙間を設けることで、換気が行われる。このため、下箱で構成された収容空間内の蓄電池を冷却することができる。これにより、蓄電池の温度変動を低減させ、蓄電池の性能を安定させることができる。
【0013】
請求項4に記載の蓄電装置は、請求項1〜3の何れか1項に記載の蓄電装置において、前記収容空間内へ大気を導入する大気導入装置が設けられている。
【0014】
請求項4に記載の蓄電装置では、大気導入装置を設け、収容空間内へ大気を導入するようにすることで、収容空間内の圧力を維持することができる。これにより、収容空間内へ容易に水が浸入しないようにすることができる。また、大気導入装置の稼働により、収容空間内の圧力が高くなると、箱体の開口を通じて、収容空間内の空気が外部へ排出される。このため、収容空間内の蓄電池を積極的に冷却することができると共に、収容空間内を積極的に換気することができる。
【0015】
請求項5に記載の蓄電装置は、請求項4に記載の蓄電装置において、大気を取り込む取り込み位置が前記上箱の上面よりも高い位置に設けられている。
【0016】
請求項5に記載の蓄電装置では、大気を取り込む取り込み位置を上箱の上面よりも高い位置に設けることで、仮に上箱が水没しても、収容空間内へ水が浸入しないようにすることができる。
【0017】
請求項6に記載の蓄電装置は、請求項1〜5の何れか1項に記載の蓄電装置において、前記収容空間内に、ガスを発生させるガス発生装置が設けられている。
【0018】
請求項6に記載の蓄電装置では、収容空間内にガス発生装置を設け、収容空間内にガスを発生させ収容空間内の圧力を高くするようにすることで、収容空間内へ水が浸入しないようにすることができる。
【0019】
請求項7に記載の蓄電装置は、請求項4〜6の何れか1項に記載の蓄電装置において、前記収容空間内に、当該収容空間内の圧力を測定する圧力センサが設けられている。
【0020】
上箱の下端部が浸水した場合、収容空間内の圧力が高くなるため、請求項7に記載の蓄電装置では、収容空間内の圧力を測定する圧力センサを設けたので、収容空間内の圧力変動が検知される。したがって、収容空間内の圧力が高くなると、大気導入装置やガス発生装置を稼働させるようにして、収容空間内の圧力を高め、収容空間内へ水が浸入しないようにすることができる。
【0021】
請求項8に記載の蓄電装置は、請求項6又は7に記載の蓄電装置において、前記収容空間内に、当該収容空間内の温度を測定する温度センサが設けられると共に、前記ガス発生装置内のガスが消化剤である。
【0022】
請求項8に記載の蓄電装置では、収容空間内の温度を測定する温度センサを収容空間内に設けることで、火災発生時などにおいて、収容空間内の温度異常を検知することができると共に、この場合において、ガス発生装置を稼働させ、消化剤を噴出させることで、収容空間内を消火及び冷却することができる。
【0023】
請求項9に記載の蓄電装置は、請求項2〜8の何れか1項に記載の蓄電装置において、前記上箱が建物の床部材の裏面に固定され、前記床部材を取り外すと前記蓄電池が露出する。
【0024】
請求項9に記載の蓄電装置では、上箱を建物の床部材の裏面に固定し、床部材を取り外すと蓄電池が露出するようにするようにすることで、蓄電池をメンテナンスする際に、床部材を取り外した後、床下から箱体を取出し、当該箱体を開放させて蓄電池を露出させる場合と比較して、作業性が良い。
【0025】
請求項10に記載の蓄電システムは、請求項1〜9の何れか1項に記載の蓄電装置を構成する箱体が屋外に配置され、前記箱体の上箱に太陽光発電装置を備え、前記太陽光発電装置によって得られた電力を前記蓄電装置へ供給する。
【0026】
請求項10に記載の蓄電システムでは、箱体が屋外に配置されている。そして、箱体の上箱の表面に太陽光発電装置を備えることで、当該太陽光発電装置によって得られた電力を用いて蓄電池を蓄電することができ、系統電力による蓄電と比較して、経済的である。
【0027】
請求項11に記載の蓄電システムは、請求項10に記載の蓄電システムにおいて、前記上箱の内壁が断熱部材で覆われている。
【0028】
請求項11に記載の蓄電システムでは、上箱の内壁を断熱部材で覆うことで、太陽光による熱が上箱を通じて収容空間内へ伝達されないようにすることができる。なお、収容空間内の蓄電池は、箱体の下箱を介して冷却される。したがって、収容空間内の温度が上昇しないようにすることができ、また、蓄電池の性能を安定させることができる。
【0029】
請求項12に記載の蓄電システムは、請求項1〜11の何れか1項に記載の蓄電装置を構成する蓄電池を蓄電又は前記蓄電池からの電力を供給するための接続配線部が、蓄電池の上方に設けられている。
【0030】
請求項12に記載の蓄電システムでは、蓄電池を蓄電又は蓄電池からの電力を供給するための接続配線部を、蓄電池の上方に設けることで、蓄電池の上面が浸水しなければ、当該接続配線部は浸水することはない。
【0031】
請求項13に記載の蓄電システムは、請求項1〜11の何れか1項に記載の蓄電装置を蓄電又は前記蓄電池からの電力を供給する蓄電/供給用プラグを介して、前記蓄電装置からハイブリッド車又は電気自動車等に搭載された車両用蓄電池へ蓄電、もしくは前記車両蓄電池から前記蓄電装置へ蓄電可能としている。
【0032】
請求項13に記載の蓄電システムでは、蓄電/供給用プラグを介して、蓄電装置からハイブリッド車又は電気自動車等に搭載された車両用蓄電池へ蓄電、もしくは車両蓄電池から蓄電装置への蓄電を可能とすることで、余剰電力が互いに融通することができ、経済的である。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように、請求項1に記載の蓄電装置によれば、蓄電池が容易に浸水しないようにすることができる。
【0034】
請求項2に記載の蓄電装置によれば、簡単な構成で蓄電池が容易に浸水しないようにすることができる。
【0035】
請求項3に記載の蓄電装置によれば、蓄電池の寿命を長くすることができる。
【0036】
請求項4に記載の蓄電装置によれば、蓄電池が容易に浸水しないようにすることができ、しかも蓄電池の性能を良好に維持することができる。
【0037】
請求項5に記載の蓄電装置によれば、上箱が水没しても、蓄電池が浸水しないようにすることができる。
【0038】
請求項6に記載の蓄電装置によれば、蓄電池の浸水を効果的に防止することができる。
【0039】
請求項7に記載の蓄電装置によれば、上箱の下端部が浸水すると、圧力センサによってすぐに検知される。
【0040】
請求項8に記載の蓄電装置によれば、箱体内の温度が上昇すると、温度センサによってすぐに検知され、収容空間内を消火及び冷却することができる。
【0041】
請求項9に記載の蓄電装置によれば、蓄電池のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0042】
請求項10に記載の蓄電装置によれば、昼間は電気料金が高いため、太陽光発電装置によって蓄電池を蓄電することで経済的である。
【0043】
請求項11に記載の蓄電装置によれば、電力損失を小さくすることができる。
【0044】
請求項12に記載の蓄電システムによれば、接続配線部が浸水によりショートするのを防止することができる。
【0045】
請求項13に記載の蓄電システムによれば、車両用蓄電池も含め、時間帯に応じて電力を蓄電又は放電して互いに使い分けることができ、さらに経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態に係る蓄電装置を構成する箱体の構成を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る蓄電装置を構成する蓄電池及び箱体を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る蓄電システムの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の別の実施の形態に係る蓄電装置を構成する箱体を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る蓄電装置を構成する箱体の変形例(1)を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る蓄電装置を構成する箱体の変形例(2)を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る蓄電装置を構成する箱体の変形例(3)を示す断面図である。
【図8】(A)、(B)は、本発明の実施の形態に係る蓄電装置を構成する箱体の変形例(4)を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。まず、本発明の実施形態に係る蓄電装置について説明を行う。
【0048】
(蓄電装置の構成)
【0049】
図1に示されるように、蓄電装置25は、箱体10を備えており、当該箱体10内に蓄電池12(図2参照、なお、図1では蓄電池の図示を省略している)が収容されている。箱体10は、下箱15とフレーム14と上箱16とを含んで構成されており、フレーム14の内部に下箱15が保持可能とされ、下箱15がフレーム14の内部に保持された状態で、当該フレーム14が上箱16で覆われるようになっている。
【0050】
下箱15は、蓄電池12を収容する収容空間13を有しており、下箱15の底面には、複数の蓄電池12を載置する載置台28が配置されている。載置台28は簀の子状を成しており、複数の矩形状の載置片30が互いに隙間を設けて下箱15の長手方向に沿うようにして平行に配列され、載置片30の長手方向の両端側には、矩形状の脚片32が載置片30の配列方向に沿って架け渡されている。
【0051】
このように、蓄電池12を載置する載置台28を簀の子状とすることで、載置台28を構成する載置片30と載置片30の間に設けられた隙間及び脚片32によって下箱15の底面との間に設けられた隙間を通じて、蓄電池12の蓄電・放電時に発生する熱を放熱させることができる。このため、蓄電池12の温度変動を低減させ、蓄電池の性能を安定させることができる。したがって、蓄電池12の寿命を長くすることができる。
【0052】
一方、フレーム14は、上枠18と下枠20とが、上下に平行に配置されており、上枠18と下枠20の角部がそれぞれ柱材22で連結され、直方体の骨組を成している。また、フレーム14の上枠18の幅方向に沿って配置された梁材18Aの内面には、その両端側にピン24が設けられている。下箱15の幅方向に沿った上端部には、略L字状のフック26が固定されており、ピン24に引っ掛け可能とされている。このピン24にフック26を引っ掛けることで、下箱15はフレーム14に吊り下げられた状態でフレーム14の内部に保持されることとなる。
【0053】
なお、ここでは、フック26をピン24に引っ掛けて、下箱15をフレーム14に吊り下げるようにしたが、これに限るものではない。例えば、図示はしないが、ワイヤを用いて下箱15をフレーム14に吊り下げるようにしても良い。
【0054】
図2に示されるように、収容空間13内には複数の蓄電池12が収容されているが、これらによって蓄電部36(図3参照)が構成されている。蓄電池12としては、例えば、鉛蓄電池、リチウムイオン蓄電池、ニッケル水素蓄電池といった蓄電池が適用可能であるが、ニッケルカドミウム蓄電池等の他の蓄電池であってもよく、また、これらの蓄電池12に代えて燃料電池(固体高分子型燃料電池)を用いても良い。
【0055】
ちなみに、鉛蓄電池、ニッケル水素蓄電池は、40℃程度までの発生熱で制御されており、又リチウムイオン蓄電池は60℃程度までの発生熱で制御されている。そして、燃料電池は60〜70℃程度までの発生熱で制御されている。
【0056】
蓄電池12の蓄電容量は、蓄電池12が設置される箇所ごとに負荷の大きさに応じて異なる設定とされている。すなわち、蓄電容量が大きい蓄電池12もあれば、蓄電容量が中程度の蓄電池12もあり、更に蓄電容量が小さい蓄電池12もある。上記蓄電池12の蓄電容量の変更の仕方には二種類あり、一つは同一容量の蓄電池12を必要個数繋いで蓄電容量を整数倍で増加させていく手法であり、他の一つは要求される蓄電容量を単体で賄うことができる蓄電池12を予め用意して設置する手法である。
【0057】
前者の場合には、蓄電容量が異なる複数種類の蓄電池12を予め用意する必要がないため、結線作業を廃止でき、その分コスト削減を図ることができる。一方、後者の場合には、単体の蓄電池12で必要な蓄電容量を賄うので、蓄電池12を複数個繋いで大容量化する場合に比べて設置スペースの削減を図ることができる。いずれを選択するかは、確保できる蓄電池収容部の大きさや費用等を勘案して決定される。
【0058】
蓄電池12の上方には、後述するが、図3に示す系統電源42、蓄電池12及び電気機器48が電気的に接続され、蓄電池12と共に蓄電部36を構成する電力供給制御装置38及びこれらを接続するための配線コード(図示省略)が収納された回路ボックス(接続配線部)40が配置されている。
【0059】
回路ボックス40は、平面視でフレーム14の上枠18の内側に収容可能とされており、フレーム14の上枠18の幅方向に沿った回路ボックス40の側壁には、上枠18の幅方向の長さよりも長く設定されると共に、その両端部に位置する取付部50Aを屈曲させ当該取付部50Aが上枠18の長手方向に沿って配置された梁材18Bと面接触する一対の保持片50が固定されている。
【0060】
取付部50Aには、穴部51が形成されており、図示しないボルトが挿通可能とされている。フレーム14の上枠18の梁材18Bには、ネジ孔54が設けられており、このネジ孔54にボルトがねじ込まれて取付部50Aが固定され、保持片50を介して回路ボックス40がフレーム14の上部に固定される。この状態で、回路ボックス40と蓄電池12の間には、隙間H2が設けられるようになっており、この隙間H2によって双方の放熱が成される。
【0061】
ここで、回路ボックス40にはコンセント(蓄電/供給用プラグ)41(図1参照)が設けられており、プラグインハイブリッド車の電源プラグが接続可能とされ(所謂プラグイン)、蓄電池12と車両用蓄電池46との間で、蓄電又は電力供給を可能としている。
【0062】
なお、ここでは、コンセント41を回路ボックス40に設けるようにしたが、このコンセント41を上箱16の表面側に露出させるようにしても良い。これによると、上箱16を取り外さなくても電源プラグを直接コンセント41に接続させることができるため、便利である。
【0063】
このように、下箱15及び回路ボックス40が取付けられたフレーム14を上方から上箱16が覆っている。ここで、フレーム14の高さは上箱16よりも高く設定されており、上箱16がフレーム14に被さった状態で、上箱16の下端部(位置P)は、フレーム14内の下箱15の下面(位置Q)よりも下方に位置して下箱15を覆うと共に、上箱16の下端部からは柱材22の下部(下枠20も含む)が露出する長さとされている。
【0064】
フレーム14は、図1に示されるように、上枠18、下枠20及び柱材22で構成されているため、上枠18の内側、下枠20の内側、及び隣り合う柱材22と柱材22の間は互いに連通し開放された空間23となっている。このため、上箱16の下端部とフレーム14の下枠20との間に設けられた隙間が空間23と連通する開口35となる。
【0065】
そして、以上のように構成された箱体10が、建物の床下空間11のベタ基礎(基礎)56上に載置されている。つまり、このベタ基礎56の基礎面56Aにはフレーム14が載置され、当該フレーム14を介して、上箱16及び下箱15は、基礎面56Aから浮き上がった状態で配置される。
【0066】
(蓄電装置及び蓄電装置を用いた蓄電システムの作用・効果)
【0067】
まず、蓄電システムの作用・効果について説明する。
【0068】
図3に示されるように、蓄電部36には、電力供給制御装置38が設けられている。この電力供給制御装置38は、電力を交流から直流へ変換したり、直流から交流へ変換する機能を備えている。このため、電力供給制御装置38は、例えば、系統電源42から供給された電力を交流から直流へ変換して住宅用の蓄電池12へ供給することによって当該蓄電池12を蓄電したり、建物に設けられた太陽電池72等の独立電源から受電された電力や蓄電池12に蓄電された電力を直流から交流へ変換して電気機器(自然冷媒ヒートポンプ給湯器やエアコン等)48や車両用蓄電池46(エンジンとモータを動力源として備えたハイブリッド自動車や電気自動車等に用いられる蓄電池)に供給したり等の電力の供給制御を行う。なお、電気機器48の中には、LED照明などの直流負荷も含まれる。このような直流負荷への接続では、電力がそのまま供給される場合もある。
【0069】
また、電力供給制御装置38には、系統電源42、蓄電池12及び電気機器48が電気的に接続されており、これらを接続するための配線コード(図示省略)と共に、電力供給制御装置38は回路ボックス(接続配線部)40内に収納されている。この回路ボックス40にはコンセント(蓄電/供給用プラグ)41が設けられており、プラグインハイブリッド車の電源プラグが接続可能とされ(所謂プラグイン)、蓄電池12と車両用蓄電池46との間で、蓄電又は供給を可能としている。
【0070】
このような蓄電システム52によれば、系統電源42から受電することにより、或いは太陽電池72等の独立電源から受電することにより蓄電池12が蓄電される。そして、蓄電池12に蓄電された電力は必要に応じて、建物内外で使用する電気機器48又は車両用蓄電池46等の負荷に給電される。
【0071】
つまり、この蓄電システム52は、蓄電池12を使い、建物で使用する電気を蓄電及び給電する省エネ技術の一種である。例えば、この蓄電システム52を用いた場合、昼間は太陽電池72で得られた電力等を蓄電池12に蓄えると共に夜間は料金が安い深夜電力を蓄電池12に蓄え、昼間の料金が高い時間帯に蓄電池12で蓄電した電力を放電して利用するといった使い方ができる。つまり、時間帯に応じて電力を蓄電又は放電して互いに使い分けることができ、経済的である。
【0072】
次に、本発明の実施の形態に係る蓄電装置の作用・効果について説明する。
【0073】
本実施形態では、図2に示されるように、蓄電装置25について、箱体10が床部材58の下方に位置する床下空間11のベタ基礎56の基礎面56A上に載置されている。このため、箱体10を水平に支持することができ、安定した状態で箱体10を保持することができる。そして、フレーム14及び下箱15に上箱16を被せることで、下箱15で構成される収容空間13を一定の圧力で保持することができ、下箱15の収容空間13の気密性が概ね確保される。したがって、簡単な構成で収容空間13内へ容易に水が浸入しないようにすることができる。
【0074】
また、フレーム14の高さは上箱16よりも高く設定されており、上箱16がフレーム14に被さった状態で、上箱16の下端部(位置P)は、フレーム14内の下箱15の下面(位置Q)よりも下方に位置して下箱15を覆うと共に、上箱16を浮かせて上箱16の下端部から柱材22の下部(下枠20も含む)を露出させるようにして、上箱16の下端部とフレーム14の下枠20との間に開口35を設けている。
【0075】
つまり、上箱16及び下箱15は、建物のベタ基礎56の基礎面56Aから浮き上がった状態で、基礎面56Aよりも高い位置に配置される。このため、洪水時に、ベタ基礎56の基礎面56Aやフレーム14の下部が浸水した場合でも、蓄電池12は浸水しないで済む。また、上箱16の下端部が水没すると、上箱16内は閉塞された空間となる。このため、上箱16内では圧力が高まり、上箱16内への水の浸入が抑制される。
【0076】
一方、前述のように、下箱15をベタ基礎56の基礎面56Aから浮き上がらせると共に、上箱16の下端部とフレーム14の下枠20との間に開口35を設けることで、通常時には、下箱15の下方で空気を通過可能としている。これにより、下箱15の収容空間13内に収容された蓄電池12を冷却することができる。
【0077】
また、下箱15の上端部とフレーム14の上枠18の下面との間には、隙間H1が設けられており、上箱16の下端部とフレーム14の下枠20との間には、開口35が設けられている。このため、開口35及び隙間H1を通じて、下箱15の収容空間13と大気とは連通可能となる。蓄電池12の種類によっては、蓄電時にガスが発生する場合があるが、収容空間13を大気と連通させることで、収容空間13内を換気することができる。
【0078】
また、箱体10内に蓄電池12及び回路ボックス40が収容され、回路ボックス40は蓄電池12の上方に配置されている。このため、蓄電池12の上面が浸水していなければ、回路ボックス40は浸水することはない。つまり、これにより、回路ボックス40内の接続配線が浸水によりショートする危険水位を上げることができる。
【0079】
なお、ここでは、蓄電池12を収容するため下箱15を用いたが、ベタ基礎56の基礎面56Aから浮き上がった状態で蓄電池12が配置され、蓄電池12の収容空間13を一定の圧力で保持することができれば良いため、この下箱15は必ずしも必要ではない。つまり、下箱15を取り除き、直接載置台28をフレーム14に吊り下げるようにしても良い。また、載置台28に代えて、図示はしないが、グレーチングなどを用いても良い。この場合、下箱15が無い分、蓄電池12の放熱及び収容空間内の換気についてはより効果的である。
【0080】
また、ここでは、箱体10を床下空間11に配置している。このため、蓄電池12のメンテナンスを考慮して、図4に示されるように、床部材58の一部を取り外し可能とし、箱体10の上箱16の上面と当該床部材58の裏面を一対の角柱状の固定部材59を介して互いに固定させるようにしても良い。
【0081】
これによると、床部材58の一部を取り外すと、固定部材59を介して、床部材58と共に上箱16がフレーム14から取り外され、蓄電池12が露出することとなる。このため、蓄電池12をメンテナンスする際に、例えば、床部材58を取り外した後、床下空間11から箱体10を取出し、当該箱体10を開放させて蓄電池12を露出させる場合と比較して、作業性が良い。したがって、蓄電池12のメンテナンスを容易に行うことができる。なお、床部材58の裏面に箱体10の上箱16を固定させることができれば良いため、これに限るものではない。例えば、固定部材59を上箱16の外壁に固定させ、床部材58の裏面に固定させるようにしても良い。
【0082】
(その他の実施形態)
【0083】
(1)上記の実施形態では、図2に示されるように、フレーム14及び下箱15に上箱16を被せることで、下箱15で構成される収容空間13内の圧力を一定に保持するというものであったが、これ以外にも、図5で示す変形例(1)に示されるように、箱体10の内部に、吸気ファン(大気導入装置)60を設けて、フレーム14の上枠18の下面と下箱15の上端部との間に設けられた隙間H1を通じて、収容空間13内へ積極的に大気を導入させるようにしても良い。
【0084】
具体的には、U字状のダクト64を用い、上箱16の外壁の上下にホルダー62を設けてダクト64の一端側を固定し、上箱16の下端部でダクト64をUターンさせてダクト64の他端側をフレーム14の柱材22に沿って配置する。そして、ダクト64の一端部は、上箱16の上面よりも高い位置となるように設定し、ダクト64の他端部の近傍には、吸気ファン60を設ける。
【0085】
この吸気ファン60の稼働により、ダクト64の一端部から吸引された大気は、ダクト64の他端部からフレーム14の上枠18の下面と下箱15の上端部との間の隙間H1を通じて、収容空間13内へ導入される。収容空間13内へ導入された大気は、収容空間13内を流動し、上箱16の下端部から排出される。
【0086】
これにより、収容空間13内の蓄電池12を積極的に冷却することができ、また、収容空間13内を積極的に換気することができる。このため、蓄電池12の性能を良好に維持することができる。また、吸気ファン60の稼働により、収容空間13内の圧力を一定に保持することができるため、収容空間13内へ容易に水が浸入しないようにすることができる。さらに、ダクト64の一端部を上箱16の上面よりも高い位置となるように設定しているため、仮に上箱16が水没したとしても、収容空間13内には水が浸入しないようにすることができる。なお、この吸気ファン60を図3に示す電気機器48として供給制御装置38と電気的に接続させても良い。
【0087】
(2)また、これ以外にも、図6で示す変形例(2)に示されるように、収容空間13の内部に、ガス発生装置66を設けても良い。具体的には、窒素又は二酸化炭素などガスが充填されたガス発生装置66を蓄電池12と共に載置台28に載置し、フレーム14の上枠18の下面には収容空間13内の圧力を測定する圧力センサ68を配設する。なお、この圧力センサ68は上箱16の天井面や内壁に設けても良い。
【0088】
この圧力センサ68とガス発生装置66とは、図示しない制御装置を介して連動しており、圧力センサ68によって検知された収容空間13内の圧力が、予め設定された圧力よりも高くなると、制御装置を介して、ガス発生装置66に設けられた開閉弁が開放され、ガス発生装置66内のガスが噴出されるようにする。
【0089】
上箱16の下端部から水が浸入しようとした場合、収容空間13内の圧力が高くなるため、これによって、ガス発生装置66内のガスを噴出させ、収容空間13内の圧力をさらに高くし、収容空間13内へ水が浸入しないようにして、蓄電池12が浸水しないようにすることができる。
【0090】
ここでは、収容空間13内で発生させるガスが、窒素又は二酸化炭素等の消火剤である。このため、圧力センサ68以外に温度センサ70を配設しても良い。これによると、温度センサ70によって検知された収容空間13内の温度が、火災発生時など収容空間13内の温度異常により予め設定された温度よりも高くなると、制御装置を介して、ガス発生装置66に設けられた開閉弁が開放され、ガス発生装置66内のガスが噴出する。なお、収容空間13内の圧力が高くなれば良いため、収容空間13内で発生させるガスは消火剤でなくても良い。
【0091】
(3)また、上記の実施形態では、箱体10を床下空間11に設けるようにしたが、箱体10は必ずしも床下空間11に限るものではなく、例えば、床下空間11以外の建物のデッドスペースに設けても良い。さらに、箱体10を屋外に設けても良い。
【0092】
屋外に設ける場合、例えば、図7で示す変形例(3)に示されるように、上箱16の表面に、太陽電池73を配設する。この場合、太陽の日射量を増大させるため、水平面に対して太陽へ向けて傾斜させた状態で配置される。また、上箱16の天井、内壁には、断熱部材74を貼着させる。これにより、太陽光による熱が箱体10内へ伝達されないようにして、箱体10内の温度が上昇しないようにする。
【0093】
なお、この太陽電池73については、上述の太陽電池72の効果と同様である。そして、建物の屋根に太陽電池72を設け、さらに蓄電池12を収容する箱体10に太陽電池73を設けて、太陽電池72、73で受電するようにしても良い。また、建物の屋根に設ける太陽電池72に代えて箱体10に太陽電池73を設けても良い。
【0094】
(4)また、これ以外にも、図8(A)、(B)で示す変形例(4)に示されるように、建物76の一階部分に設けられた掃き出し窓78の外に箱体10を設けても良い。ここで、防水立ち上がりを確保するため地盤80上に土台82を設け、当該土台82に箱体10を載置する。
【0095】
この状態で、箱体10の上面が掃き出し窓78の敷居よりも低くなるようにし、また、箱体10は約980Nの荷重を受けても変形しない強度とする。これにより、箱体10上に人が乗ることができ、掃き出し窓78から屋外へ出るときに、当該箱体10を階段代わりに用いることができる。
【符号の説明】
【0096】
10 箱体
12 蓄電池
13 収容空間
14 フレーム(箱体)
15 下箱(箱体)
16 上箱(箱体)
25 蓄電装置
40 回路ボックス(接続配線部)
41 コンセント(蓄電/供給用プラグ)
46 車両用蓄電池
52 蓄電システム
56 ベタ基礎(基礎)
58 床部材
60 吸気ファン(大気導入装置)
66 ガス発生装置
68 圧力センサ
70 温度センサ
73 太陽電池(太陽光発電装置)
74 断熱部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体内に設けられた収容空間内に蓄電池が収容され、当該箱体の下部に開口が設けられ、前記開口よりも高い位置に前記蓄電池の底面の位置が設定された蓄電装置。
【請求項2】
前記箱体が、
前記収容空間を形成する下箱と、
前記下箱を内部に保持するフレームと、
前記フレームを上方から覆った状態で、当該フレームの下部が露出して前記開口を設ける上箱と、
を含んで構成された請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記フレームが建物の基礎上に設けられ、前記下箱の底面と前記建物の基礎面との間に隙間が設けられた請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記収容空間内へ大気を導入する大気導入装置が設けられた請求項1〜3の何れか1項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
大気を取り込む取り込み位置が前記上箱の上面よりも高い位置に設けられた請求項4に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記収容空間内に、ガスを発生させるガス発生装置が設けられた請求項1〜5の何れか1項に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記収容空間内に、当該収容空間内の圧力を測定する圧力センサが設けられた請求項4〜6の何れか1項に記載の蓄電装置。
【請求項8】
前記収容空間内に、当該収容空間内の温度を測定する温度センサが設けられると共に、前記ガス発生装置内のガスが消化剤である請求項6又は7に記載の蓄電装置。
【請求項9】
前記上箱が建物の床部材の裏面に固定され、前記床部材を取り外すと前記蓄電池が露出する請求項2〜8の何れか1項に記載の蓄電装置。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載の蓄電装置を構成する箱体が屋外に配置され、前記箱体の上箱に太陽光発電装置を備え、前記太陽光発電装置によって得られた電力を前記蓄電装置へ供給する蓄電システム。
【請求項11】
前記上箱の内壁が断熱部材で覆われている請求項10に記載の蓄電システム。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか1項に記載の蓄電装置を蓄電又は前記蓄電装置からの電力を供給するための接続配線部が、当該蓄電装置を構成する蓄電池の上方に設けられた蓄電システム。
【請求項13】
請求項1〜11の何れか1項に記載の蓄電装置を蓄電又は前記蓄電池からの電力を供給する蓄電/供給用プラグを介して、前記蓄電装置からハイブリッド車又は電気自動車等に搭載された車両用蓄電池へ蓄電、もしくは前記車両蓄電池から前記蓄電装置へ蓄電可能とする蓄電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−150976(P2011−150976A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13225(P2010−13225)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】