蓄電装置
【課題】蓄電要素を支持する集電体の耐振動性能を向上させる。
【解決手段】装置筐体BCの外方側に電極端子TMが配置され、装置筐体BCの内方側に、蓄電要素3と、その蓄電要素と前記電極端子との間の通電経路を構成する集電体4,6とが配置され、集電体4,6は、板材により形成されて、蓄電要素3との接続位置で蓄電要素3を支持し、電極端子TMへの接続位置側位置して装置筐体BCの内壁面と略平行姿勢となる取り付け部において装置筐体BCの内壁面に固定されている蓄電装置において、集電体4,6の前記取り付け部に壁体4b,6bが形成され、壁体4b,6bの形成位置は、蓄電要素3によって集電体4,6の固定位置に作用する力のモーメントの方向視で、少なくとも装置筐体BCへの固定位置を含む範囲に設定されている。
【解決手段】装置筐体BCの外方側に電極端子TMが配置され、装置筐体BCの内方側に、蓄電要素3と、その蓄電要素と前記電極端子との間の通電経路を構成する集電体4,6とが配置され、集電体4,6は、板材により形成されて、蓄電要素3との接続位置で蓄電要素3を支持し、電極端子TMへの接続位置側位置して装置筐体BCの内壁面と略平行姿勢となる取り付け部において装置筐体BCの内壁面に固定されている蓄電装置において、集電体4,6の前記取り付け部に壁体4b,6bが形成され、壁体4b,6bの形成位置は、蓄電要素3によって集電体4,6の固定位置に作用する力のモーメントの方向視で、少なくとも装置筐体BCへの固定位置を含む範囲に設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置筐体の外方側に電極端子が配置され、前記装置筐体の内方側に、蓄電要素と、その蓄電要素と前記電極端子との間の通電経路を構成する集電体とが配置され、前記集電体は、板材により形成されて、前記蓄電要素との接続位置で前記蓄電要素を支持し、前記電極端子への接続位置側に位置して前記装置筐体の内壁面と略平行姿勢となる取り付け部において前記装置筐体の内壁面に固定されている蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる蓄電装置は、蓄電要素を装置筐体内に収納し、その蓄電要素から引き出した電気配線を、装置筐体外方側に備えた電極端子に接続している。
この通電経路を構成する集電体は、電気配線として機能するだけでなく、蓄電要素を支持する構造部材としての機能をも有している。
集電体の構成態様としては種々の構成が考えられるが、下記特許文献1に記載のように集電体の一端側を装置筐体に固定し、他端側で蓄電要素を支持する構成とする場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−105075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、箔状の極板を多層に積層して構成されるため比較的に重量物となる蓄電要素を、板状部材で形成される集電体で支持する構成であるため、蓄電装置に対して、強い振動が長時間に亘って加わる場合や、極めて強い衝撃が加わるような場合、蓄電要素の相対変位によって集電体が変形し、集電体における装置筐体への固定位置に過大な力がかかってしまう。
このような過大な力によって、集電体が損傷してしまう可能性がある。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、蓄電要素を支持する集電体の耐振動性能を向上させる点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の第1の発明は、装置筐体の外方側に電極端子が配置され、前記装置筐体の内方側に、蓄電要素と、その蓄電要素と前記電極端子との間の通電経路を構成する集電体とが配置され、前記集電体は、板材により形成されて、前記蓄電要素との接続位置で前記蓄電要素を支持し、前記電極端子への接続位置側に位置して前記装置筐体の内壁面と略平行姿勢となる取り付け部において前記装置筐体の内壁面に固定されている蓄電装置において、前記集電体の前記取り付け部に壁体が形成され、前記壁体の形成位置は、前記蓄電要素によって前記集電体の固定位置に作用する力のモーメントの方向視で、少なくとも前記装置筐体への固定位置を含む範囲に設定されている。
【0006】
すなわち、装置筐体への集電体の固定箇所においては、集電体は装置筐体の内壁面と略平行姿勢となっているのであるが、その略平行姿勢となっている部分に壁体を形成して補強する。壁体の形成位置は、蓄電要素によって集電体の固定位置に作用する力のモーメントの方向視(力学上の定義によるベクトルとしてのモーメントの方向視)で、少なくとも装置筐体への固定位置を含む範囲に設定しているので、蓄電要素によって作用する上記モーメントによる変形を抑制する。
装置筐体への固定位置の少なくとも一部を含む範囲で壁体が形成されていれば、モーメントによる集電体の変形を抑制することができる。その中でも特に、蓄電要素の支持位置から最も近い固定位置にモーメントが集中しやすいため、そのモーメントの方向視で、蓄電要素の支持位置から最も近い固定位置を含む範囲に壁体を形成することが望ましい。より望ましくは、上記固定位置全体を含む範囲に壁体を形成すると良い。
【0007】
又、本出願の第2の発明は、上記第1の発明の構成に加えて、前記蓄電要素は、表裏の扁平面を繋ぐ側面が外方側に凸の湾曲形状を有する湾曲側面となる扁平形状に形成され、前記湾曲側面が、前記集電体における前記装置筐体への固定位置を向く姿勢で前記装置筐体に収納され、前記壁体の先端位置は、前記装置筐体への前記集電体の固定位置と前記蓄電要素との接近離間方向において、前記蓄電要素の前記湾曲側面における、前記集電体の前記取り付け部に最も近い部分よりも前記扁平面の存在側に突出している。
【0008】
上述のように集電体に上記壁体を形成して集電体の固定位置を補強する構成とする場合において、装置筐体内においてその壁体が存在するためのスペースが必要となる。
この壁体の存在スペースの確保に、蓄電要素の形状を利用している。
蓄電要素は、例えば、箔状の極板を巻芯周りに多数回巻回することで多層に積層する構成が良く知られているが、このように巻回したものを、装置筐体の形状に適合させる等のために扁平形状とするとき、扁平面に連なる側面は、外方側に凸の湾曲形状となる。又、箔状の極板を扁平形状に巻回する構成以外にも、種々の理由により、蓄電要素において表裏の扁平面を繋ぐ側面が外方側に凸の湾曲形状となる場合がある。
この湾曲側面が、集電体における装置筐体への取り付け位置を向く姿勢で蓄電要素を装置筐体内に収納する構成では、その湾曲側面にデッドスペースが発生し易く、そのデッドスペースを利用して集電体の壁体を配置するのである。
【0009】
又、本出願の第3の発明は、上記第2の発明の構成に加えて、電気的絶縁材料にて形成される板状のシール部材が、前記装置筐体の内壁面と前記集電体との間に位置すると共に、前記集電体の前記壁体における、前記装置筐体の内壁面側から前記蓄電要素の前記湾曲側面の存在側へ回り込む状態で配置されている。
すなわち、集電体の装置筐体への取り付け箇所を、電気的絶縁材料で形成したシール部材にて気密封止する構成とする場合において、そのシール部材の形状を、壁体における装置筐体側の面から、蓄電要素側の面へと回り込む形状として、シール部材の延出部分を壁体と蓄電要素の湾曲側面との間に位置させる。
これによって、近接配置される壁体と蓄電要素の湾曲側面との間の電気的な絶縁を確保できる。
【0010】
又、本出願の第4の発明は、上記第1〜第3のいずれかの発明の構成に加えて、前記集電体は、前記装置筐体を貫通する取り付け部材にて前記装置筐体の内壁面に固定され、前記装置筐体における前記取り付け部材の貫通箇所に、気密封止のためのシール部材が配置されている。
すなわち、集電体の装置筐体への固定態様としては、リベット等の取り付け部材を、装置筐体を貫通する状態で配置して、集電体を固定する形態する場合が多い。
そのような場合、取り付け部材の貫通箇所にシール部材を配置して気密封止とする。
このような構成においては、集電体における装置筐体への固定位置に、蓄電要素による過度なモーメントが作用すると、シール部材が損傷してシール不良が発生してしまう可能性がある。
このため、集電体に壁体を形成して上記モーメントによる変形を抑制することで、シール不良の発生を防止することができる。
【0011】
本出願の第5の発明は、上記第1〜第4のいずれかの発明の構成に加えて、前記集電体は、前記取り付け部を含む第1姿勢部分と前記蓄電要素の支持位置を含む第2姿勢部分とが略直交するL字状に形成され、前記集電体の前記壁体は、前記装置筐体への固定位置から前記第1姿勢部分と前記第2姿勢部分との接続箇所に向かう方向に沿って形成されている。
蓄電要素と電極端子との間の通電経路を構成する部材としての機能と、装置筐体内において蓄電要素を支持する部材としての機能とを併せ持つ集電体の配置形態として、上記取り付け部を含む第1姿勢部分と蓄電要素の支持位置を含む第2姿勢部分とが略直交するL字状に形成することで、電極端子の配置自由度を確保しながら、装置筐体内における集電体の設置スペースを小さくすることができる。
このような構成において、集電体の壁体を、装置筐体への固定位置から第1姿勢部分と第2姿勢部分との接続箇所に向かう方向に沿って形成することで、蓄電要素からの力のモーメントによる変形を十分に抑制することができる。
【0012】
本出願の第6の発明は、上記第5の発明に構成に加えて、前記集電体の前記壁体は、前記装置筐体への固定位置から前記第1姿勢部分と前記第2姿勢部分との接続箇所にまで延出している。
すなわち、上記第1姿勢部分のうち、蓄電要素の相対変位によって変形し易い部分の略全体に壁体を形成することになり、蓄電要素の相対変位による集電体の変形を一層抑制することができる。
【0013】
又、本出願の第7の発明は、上記第1〜第6のいずれかの発明の構成に加えて、前記集電体の前記壁体は、前記装置筐体への固定位置を囲む状態で、前記集電体の両端部を屈曲形成して構成されている。
すなわち、上記壁体を形成するについて、板状部材で形成される集電体の端部を屈曲形成するだけで上記壁体を形成することができ、又、集電体の固定位置を壁体で囲む状態で補強するので、集電体の変形をより一層抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
上記第1の発明によれば、集電体における装置筐体への固定位置付近に壁体を形成することで、蓄電要素の相対変位による集電体の変形を抑制することができ、蓄電要素を支持する集電体の耐振動性能を可及的に向上できるものとなった。
又、上記第2の発明によれば、装置筐体内のデッドスペースを利用して上記壁体を配置するので、蓄電装置の体積エネルギー効率の低下を可及的に抑制することができる。
又、上記第3の発明によれば、集電体の装置筐体への取り付け部分を気密封止するシール部材を、集電体の壁体と蓄電要素の湾曲側面との間の電気的な絶縁にも利用することで、構成部品を有効に活用して、蓄電装置の機能向上を図ることができる。
又、上記第4の発明によれば、リベット等の取り付け部材を、装置筐体を貫通する状態で配置して、集電体を固定する場合において、その貫通箇所を気密封止するシール部材のシール不良を抑制することができる。
【0015】
又、上記第5の発明によれば、集電体を、上記取り付け部を含む第1姿勢部分と蓄電要素の支持位置を含む第2姿勢部分とが略直交するL字状に形成する場合において、蓄電要素からの力のモーメントによる変形を十分に抑制することができる。
又、上記第6の発明によれば、集電体の上記第1姿勢部分のうち、蓄電要素の相対変位によって変形し易い部分の略全体に壁体を形成して、蓄電要素の相対変位による集電体の変形を一層抑制することができる。
又、上記第7の発明によれば、集電体の両端部を屈曲形成するだけの簡素な構成で、集電体の変形をより一層抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる二次電池の外観斜視図
【図2】本発明の第1実施形態にかかる二次電池の内部構成を示す斜視図
【図3】本発明の第1実施形態にかかる二次電池の内部構成を示す正面図
【図4】本発明の第1実施形態にかかる正面視による要部拡大断面図
【図5】本発明の第1実施形態にかかる要部部品の斜視図
【図6】本発明の第1実施形態にかかる側面視による要部拡大断面図
【図7】本発明の第2実施形態にかかる二次電池の内部構成を示す斜視図
【図8】本発明の第2実施形態にかかる要部部品の斜視図
【図9】本発明の第2実施形態にかかる側面視による要部拡大断面図
【図10】本発明のその他の実施形態にかかる要部部品の斜視図
【図11】本発明のその他の実施形態にかかる二次電池の内部構成を示す斜視図
【図12】本発明のその他の実施形態にかかる二次電池の内部構成を示す正面図
【図13】本発明のその他の実施形態にかかる二次電池の内部構成を示す斜視図
【図14】本発明のその他の実施形態にかかる正面視による要部拡大断面図
【図15】本発明のその他の実施形態にかかる側面視による要部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の蓄電装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
以下の第1実施形態及び第2実施形態の各実施形態では、いずれも、蓄電装置である電池として二次電池の1例である非水電解液二次電池(より具体的にはリチウムイオン電池)を例示して説明する。
【0018】
〔第1実施形態〕
本第1実施形態の非水電解液二次電池RBは、図1及び図2の斜視図並びに図3の正面図に示すように、金属製の缶体1と金属製の蓋部2とを備える装置筐体BC(以下において、単に「筐体BC」と称する)を有している。
缶体1は、扁平な有底筒状(より具体的には有底矩形筒状)に形成され、それの扁平面と直交する1側面を開放面としている。蓋部2は、略平板状で短冊状の長方形に形成されており、缶体1の開放面を覆う姿勢で配置されて、缶体1と溶接されている。
扁平な有底矩形筒状の缶体1と缶体1の開放面を覆う短冊形状の蓋部2とによって、筐体BCは全体として扁平な直方体形状を有している。尚、図2は、完成した二次電池RB(図1に示すもの)から缶体1を除いて、筐体BC内部の構成を下方側からの斜視図として図示している。又、図3においても、缶体1及び後述の蓄電要素3を2点鎖線で示して、筐体BCの内部を透視した形態で示している。
【0019】
筐体BCの内方側には、図2及び図3に示す蓄電要素3と集電体4,6とが電解液に浸される状態で収納配置されている。
本第1実施形態及び後述の第2実施形態は、いずれも、蓄電装置として二次電池RBを例示しているので、蓄電要素3を、電池において一般的に使用される「発電要素3」と称する。
発電要素3は、長尺帯状の箔状正極板と長尺帯状の箔状負極板とを長尺帯状のセパレータを挟んで巻芯周りに扁平形状に巻回することで、箔状正極板と箔状負極板とを積層したもので、箔状正極板と箔状負極板とからなる一対の電極板の夫々に活物質を表裏両面に塗布して構成されている。
【0020】
箔状正極板及び箔状負極板には、横幅方向の一端側に活物質を塗布しない未塗工部3a,3bを形成しており、その未塗工部3a,3bを、横幅方向で互いに逆側に突出させる配置して巻回している。
上記のように、巻回型の発電要素3を扁平形状に構成することで、発電要素3の外形形状は、図2において2点鎖線で示すように、筐体BCの扁平面と平行姿勢の一対の扁平面を有すると共に、箔状正極板等の巻回軸の周方向において、発電要素3の表裏一対の扁平面を繋ぐ側面が外方側に凸の湾曲形状を有する湾曲側面3cとなっている。
発電要素3が筐体BCに収納された状態では、箔状正極板等の巻回軸芯が蓋部2の長手方向と平行で、且つ、発電要素3の扁平面と筐体BCの扁平面とが平行となっており、上記湾曲側面3cの一方は、集電体4,6における筐体BCへの固定位置を向く姿勢となっている。
【0021】
正極側の集電体4と負極側の集電体6とは、いずれも金属製の板材を加工して同一形状に形成されているが、正極側の集電体4はアルミニウム製であり、負極側の集電体6は銅製である。
図5にも示すように、集電体4,6の概略的な形状は、蓋部2の長手方向に長く蓋部2に沿う姿勢の第1姿勢部分HPと、缶体1の高さ方向に長く缶体1の縦壁(扁平面と直交する縦壁)に沿う姿勢の第2姿勢部分VPとの略L字状に形成されている。後述のように、上記第1姿勢部分HPにおける蓋部2の内壁面と平行姿勢の部分が、蓋部2への取り付け部となっており、上記第2姿勢部分VPが発電要素3の支持部分となっている。
集電体4,6は、所定形状に切断された金属板を曲げ加工することにより構成されており、詳細には、上記第2姿勢部分VPにおいては、更に起立姿勢に屈曲形成された接続部4a,6aが備えられ、上記第1姿勢部分HPにおいては、蓋部2と平行姿勢となっている上記取り付け部の板面から直角に起立する姿勢で屈曲形成された壁体4b,6bが備えられている。
【0022】
集電体4,6は、上記接続部4a,6aにおいて、発電要素3の未塗工部3a,3bと接合され、この接続位置で発電要素3を支持している。集電体4,6が、正面視で筐体BCの左右両端部に分かれて配置されている関係で、箔状正極板の未塗工部3aと箔状負極板の未塗工部3bとは、幅方向で逆側に位置している。
正極側の集電体4の接続部4aが、側面視で渦巻き状に巻回されている箔状正極板の未塗工部3aの存在空間に入り込み、負極側の集電体6の接続部6aが、側面視で渦巻き状に巻回されている箔状負極板の未塗工部3bの存在空間に入り込んで、束ねられた未塗工部3a,3bが、夫々、接続部4a,6aと接合されている。
【0023】
集電体4,6の上記第1姿勢部分HPは、発電要素3を支持する上記第2姿勢部分VPに対して、筐体BC外方側に配置される電極端子TMとの接続位置側に位置しており、筐体BCの内壁面となる蓋部2の下面と平行姿勢で配置されている。
その第1姿勢部分HPにおける、上記第2姿勢部分VPとの接続箇所と反対側の端部付近において、集電体4,6が蓋部2に対して固定されている。
上記電極端子TMは金属製の蓋部2に取り付けられており、正極の電極端子TMである金属製の端子ボルト5と、負極側の電極端子TMである金属製の端子ボルト7とによって構成されている。
【0024】
集電体4,6は、これらの端子ボルト5,7とリベット型の取り付け部材MEにより電気的に接続され、また、その取り付け部材MEによって蓋部2に固定されている。
本第1実施形態では、この取り付け部材MEは、リベット部5a,7aとして、端子ボルト5,7の頭部側に一体形成されており、このリベット部5a,7aも含めて、正極側の端子ボルト5と負極側の端子ボルト7とは同一形状であり、構成する金属材料のみが異なる。正極側の端子ボルト5はアルミニウム製であり、負極側の端子ボルト7は銅製である。
【0025】
集電体4,6の固定位置の構造を、正極側の端子ボルト5の周辺部を拡大断面図として示す図4を参照して詳細に説明すると、正極側では、集電体4の上記第1姿勢部分HPと上記第2姿勢部分との接続箇所を蓋部2の長手方向一端側に位置させ、上記第1姿勢部分HPの長手方向と蓋部2の長手方向とを一致させる向きに配置した集電体4と蓋部2とで樹脂製の下部ガスケット10を挟み込み、更に、蓋部2の反対側の面に樹脂製の上部ガスケット9を取り付け、上部ガスケット9,蓋部2,下部ガスケット10及び集電体4に対してリベット部5aを貫通させ、そのリベット部5aの筐体BC内方側端部をかしめる。これによって、集電体4の蓋部2への固定と、端子ボルト5に対する電気配線とを行う。
上部ガスケット9及び下部ガスケット10は、リベット部5a及び集電体4と蓋部2との間の電気的な絶縁と気密シールを確保するためのシール部材SEであり、上部ガスケット9は、蓋部2におけるリベット部5aの貫通箇所に入り込む状態で配置されている。
【0026】
負極側の構成も同様であり、樹脂製の上部ガスケット11,蓋部2,樹脂製の下部ガスケット12及び集電体6を正極側と対称配置として、これらに対してリベット部7aを貫通させ、そのリベット部7aの筐体BC内方側端部をかしめることで、集電体6の蓋部2への固定と、端子ボルト7に対する電気配線とを行う(図2及び図3参照)。上部ガスケット11及び下部ガスケット12は、正極側の上部ガスケット9及び下部ガスケット10と同様に、リベット部7a及び集電体6と蓋部2との間の電気的な絶縁と気密シールを確保するためのシール部材SEである。
上記の構成で各部材を連結することで、集電体4,6と端子ボルト5,7とがリベット部5a,7aを経て電気的に接続され、集電体4,6は、端子ボルト5,7と発電要素3との間の通電経路を構成している。
【0027】
集電体4,6に形成されている壁体4b,6bは、上記のようにリベット部5a,7aにて蓋部2に固定される集電体4,6を補強するために備えられている。
壁体4b,6bは、集電体4,6の第1姿勢部分HPの幅方向両端部において、それの長手方向と平行に、リベット部5a,7aによる筐体BCへの固定位置から第1姿勢部分HPと第2姿勢部分VPとの接続箇所(L字の角部)に向かう方向に沿って形成され、リベット部5a,7aによる筐体BCへの固定位置を両側から囲む状態で配置されている。
【0028】
集電体4,6は、上述のように接続部4a,6aにおいて発電要素3の未塗工部3a,3bと接続されて、発電要素3と接続する電気配線であると共に、発電要素3を支持する支持構造部材でもあり、リベット部5a,7aによる集電体4,6の蓋部2への固定位置には、発電要素3の荷重による力のモーメントが作用する。
このため、集電体4,6における蓋部2への取り付け位置の形状が平板形状のみであると、二次電池RBに強い振動等が長時間継続して作用すると、蓋部2への集電体4,6の固定位置付近を損傷してしまう可能性もある。
【0029】
発電要素3の荷重により集電体4,6の固定位置に作用する力のモーメントは、力学上の定義で蓋部2の短辺方向を向くベクトルであり、このベクトルの方向視で、壁体4b,6bの形成位置は、少なくとも筐体BCへの固定位置を含み、集電体4,6の蓋部2への固定位置の全体を覆う範囲に設定されているので、壁体4b,6bの突っ張りによって、蓋部2への集電体4,6の取り付け位置の変形が抑制される。
上記壁体4b,6bの先端位置は、図1におけるA−A’断面図である図6において正極側を示すように、点Bで示す上記湾曲側面3cの頂部の両側脇の空間に入り込む状態で延出しており、筐体BCへの集電体4,6の固定位置と発電要素3との接近離間方向(図6における上下方向)においては、発電要素3の上記湾曲側面3cにおける、集電体4,6における蓋部2と略平行姿勢の部分(上記取り付け部)に最も近い部分(図6において点Bで示す上記湾曲側面3cの頂部)よりも発電要素3の扁平面の存在側に突出し、上記湾曲側面3cの頂部(点B)よりも下方側に位置している。
【0030】
正極側の下部ガスケット10と負極側の下部ガスケット12とについても、板状の電気的絶縁材料によって同一形状に形成されたものが対象に配置されており、その形状を図5に示す。
下部ガスケット10,12は、蓋部2に沿う平板状の平坦部10a,12aと、その平坦部10a,12aから略垂直に起立する板状の起立部10b,12bとを有し、平坦部10a,12aには、端子ボルト5,7のリベット部5aを貫通させる貫通孔10c,12cが形成されている。
平坦部10a,12aは、集電体4,6の上記第1姿勢部分HPにおける蓋部2と略平行姿勢となっている部分の形状と略同一形状であり、集電体4,6の上面の略全体に亘って、蓋部2の筐体内方側の面と集電体4,6との間に位置して、両者の電気的な絶縁を確実なものとしている。
起立部10b,12bは、図2に示すように、集電体4,6の壁体4b,6bにおける缶体1の内壁面側の面全体に被さる状態で配置されるものであり、図1におけるA−A’断面図である図6に示すように、正極側においては、下部ガスケット10の起立部10bが、集電体4の壁体4bと缶体1の内壁面との間に位置して、壁体4bと缶体1との間の電気的な絶縁を確保している。
負極側も同様の構成であり、下部ガスケット12の起立部12bが、集電体6の壁体6bと缶体1の内壁面との間に位置して、壁体6bと缶体1との間の電気的な絶縁を確保している。
【0031】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本第2実施形態は、上記第1実施形態と、シール部材SEである下部ガスケット10,12の形状だけが異なるもので、下部ガスケット10,12が電気的絶縁材料である板状の樹脂にて形成される点や、それ以外の、筐体BC,筐体BC内に配置される集電体4,6及び発電要素3等の各部の構成についても、上記第1実施形態の構成と共通である。
本第2実施形態においても正極側の下部ガスケット10と負極側の下部ガスケット12とは同一形状であり、図8に示すように、上記第1実施形態と同様に、平坦部10a,12aから起立姿勢で起立部10b,12bが形成されている。
上記平坦部10a,12aは、蓋部2の内壁面と集電体4,6との間に位置し、起立部10b,12bは、集電体4,6の壁体4b,6bにおける缶体1の内壁面側に回り込んで、壁体4b,6bにおける缶体1の内壁面側を向く面を覆っている。
本第2実施形態の下部ガスケット10,12が上記第1実施形態におけるものと異なる点は、起立部10b,12bの先端側が更に延出して、壁体4b,6bにおける発電要素3の上記湾曲面側へ回り込み、平坦部10a,12a側に折り返されて折り返し部10d,12dが形成される形状となっている点である。
【0032】
上記折り返し部10d,12dは、図8に示すように、下部ガスケット10,12を集電体4,6における第1姿勢部分HPに差し込んだ状態で、上記第1実施形態の図2と対応する図7、及び、上記第1実施形態の図6と対応する図9に示すように、起立部10b,12bと共に、集電体4,6の壁体4b,6bを挟み込む状態となっている。
これによって、折り返し部10d,12dは、壁体4b,6bと発電要素3の外周面との間に入り込んで、両者の電気的な絶縁を確保している。
【0033】
〔その他の実施形態〕
以下、本発明のその他の実施形態を列記する。
(1)上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、集電体4,6の壁体4b,6bは、正面視で、リベット部5a,7aによる集電体4,6の蓋部2への取り付け位置を覆う範囲に形成しているが、図10に示すように、壁体4b,6bの形成範囲を更に拡げて、集電体4,6における筐体BCへの固定位置から、上記第1姿勢部分HPと上記第2姿勢部分VPとの接続箇所まで延出する範囲で形成しても良い。
更には、壁体4b,6bの端縁と集電体4,6における第2姿勢部分VPとの間を、適宜の部材を介して溶接等によって固定する構成とするか、あるいは、第1姿勢部分HP,第2姿勢部分VP及び第2姿勢部分VPと連なった状態の壁体4b,6bを、金型等によって一体形成する構成としても良い。
【0034】
(2)上記第1実施形態及び上記第2実施形態にでは、集電体4,6の壁体4b,6bを板状の集電体4,6を屈曲させて形成しているが、壁体4b,6bを集電体4,6とは別部材として、集電体4,6に溶接等によって固定する構成としても良い。
(3)上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、壁体4b,6bを、集電体4,6の蓋部2への取り付け位置を挟んで、両側に一対に配置する構成としているが、必ずしも両側に配置する必要はなく、いずれか一方のみでも良い。
(4)上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、蓄電装置として、電池、特に非水電解液二次電池RBを例示して説明しているが、非水電解液二次電池以外の二次電池や、一次電池、更には、いわゆるキャパシタ等にも本発明を適用できる。
【0035】
(5)上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、発電要素3の荷重により集電体4,6の固定位置に作用する力のモーメントが蓋部2の短辺方向を向くベクトルとなるように、集電体4,6の形状や配置が設定されている場合を例示しているが、上記モーメントが蓋部2の長辺方向を向くベクトルとなる場合にも本発明を適用できる。
具体的な形状等の例としては、上記第1実施形態における図2と対応する図11、及び、上記第1実施形態における図3と対応する図12に示すような配置構成がある。
図11及び図12に示す二次電池RBと上記第1実施形態の二次電池RBとは、主として、集電体の形状が異なる。
【0036】
図11に示す集電体21,22は、上記第1実施形態等に示す集電体4,6が、筐体BCの扁平面に直交する短辺側の側面に沿って取り回されているのに対して、上記第1実施形態等における第2姿勢部分VPに相当する縦姿勢の部分が、缶体1の扁平面に沿う姿勢で配置されている。
図11及び図12に示す構成では、蓋部2や缶体1の形状は上記第1実施形態と基本的に同様の構成で良く、蓋部2において、端子ボルト5,7のリベット部5a,7aを貫通させる貫通孔の形成位置が若干異なる程度である。
端子ボルト5,7や上部ガスケット9,11も上記第1実施形態と同一構成であり、下部ガスケット10,12については、集電体21,22の形状に合わせるために若干上記第1実施形態と形状が異なるものの、基本的な機能は上記第1実施形態と共通である。
図11及び図12に示す正極側の集電体21と負極側の集電体22とは、同一形状に形成したものを、蓋部2の中心に対して点対称に配置しており、材質のみ異なる。
【0037】
集電体21,22は、蓋部2の内壁面と平行姿勢となっている取り付け部MTにおける缶体1の扁平面側の端縁から縦姿勢部分が下方側に延出し、その縦姿勢部分の途中箇所から、発電要素3の未塗工部3a,3b側に階段状に屈曲形成されている。この階段状に屈曲形成した部分において、未塗工部3a,3bと溶接され、発電要素3を支持している。
図11及び図12に示す例のように、上記モーメントが蓋部2の長辺方向を向くベクトルとなる場合にも、集電体21,22における蓋部2への取り付け位置の形状が平板形状のみであると、二次電池RBに強い振動等が長時間継続して作用すると、蓋部2への集電体21,22の固定位置付近を損傷してしまう可能性もある。
このため、集電体21,22の取り付け部MTにおける、蓋部2の長手方向の両端に、取り付け部MTの端縁から起立する姿勢で、壁体21a,22aを形成している。
壁体21a,22aの形成範囲は、蓋部2の長手方向視で、リベット部5a,7aによる集電体21,22の固定位置を含む範囲としている。
【0038】
(6)上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、端子ボルト5,7の頭部側に単一のリベット部5a,7aを一体形成して、そのリベット部5a,7aをかしめることで、集電体4,6を蓋部2に固定しているが、1つの集電体4,6の固定箇所が複数箇所であっても良い。
例えば、上記第1実施形態の図2と対応する図13、及び、上記第1実施形態の図4と対応する図14に示すように、端子ボルト5,7の頭部側に、夫々2個のリベット部5a,7aを形成し、1つの集電体4,6を2箇所で蓋部2に固定する構成としても良い。
【0039】
このように1つの集電体4,6を複数箇所で固定する場合においても、発電要素3の支持位置(接続部4a,6aの位置)から最も近い固定位置、すなわち、蓋部2の長手方向端部側寄りの固定位置にモーメントが集中し易く、又、その蓋部2の長手方向端部側寄りの固定位置の中でも、発電要素3の支持位置に最も近い部位にモーメントが集中し易い。
このため、壁体4b,6bの形成位置は、上記モーメントのベクトルの方向視で、上記の発電要素3の支持位置に最も近い部位、あるいは、蓋部2の長手方向端部側寄りの固定位置を含む範囲に設定することが望ましく、より望ましくは、図13及び図14に示すように、複数の固定位置全てを含む範囲に設定すると良い。
【0040】
(7)上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、集電体4,6を筐体BCに固定するための取り付け部材MEとしてリベット部5a,7aを例示しているが、取り付け部材MEの具体構成は種々に変更可能であり、例えば、ボルトによって集電体4,6を筐体BCに固定する構成としても良い。
(8)上記第2実施形態では、下部ガスケット10,12の形状を、起立部10b,12bの先端側が更に延出して、壁体4b,6bにおける発電要素3の上記湾曲面側へ回り込み、平坦部10a,12a側に折り返されて折り返し部10d,12dが形成される形状としているが、その状態から、リベット部5a,7aを覆う位置まで下部ガスケット10,12の折り返し部10d,12dを更に延長する構成としても良い。
このように構成することで、振動等によって発電要素3と上記取り付け部が接触した場合でも、上記取り付け部の破損を防止できるとともに、両者の電気的な絶縁を確保できる。
【0041】
(9)上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、集電体4,6の第1姿勢部分HPにおいて、蓋部2と平行姿勢となっている上記取り付け部の板面から直角に起立する姿勢で壁体4b,6bを形成する場合を例示しているが、壁体4b,6bの形成姿勢は種々に変更可能である。
例えば、上記第1実施形態における図6と対応する図15(a)に示すように、壁体4b,6bが、リベット部5a,7aの存在側に傾斜した姿勢で第1姿勢部分HPにおける上記取り付け部から起立する形状としても良いし、同じく上記第1実施形態における図6と対応する図15(b)に示すように、第1姿勢部分HPにおける上記取り付け部から起立させた後、先端側を上記取り付け部側に巻き込む形状に形成しても良い。
【符号の説明】
【0042】
3 蓄電要素
4,6,21,22 集電体
3c 湾曲側面
4b,6b,21a,22a 壁体
BC 装置筐体
HP 第1姿勢部分
SE シール部材
TM 電極端子
VP 第2姿勢部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置筐体の外方側に電極端子が配置され、前記装置筐体の内方側に、蓄電要素と、その蓄電要素と前記電極端子との間の通電経路を構成する集電体とが配置され、前記集電体は、板材により形成されて、前記蓄電要素との接続位置で前記蓄電要素を支持し、前記電極端子への接続位置側に位置して前記装置筐体の内壁面と略平行姿勢となる取り付け部において前記装置筐体の内壁面に固定されている蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる蓄電装置は、蓄電要素を装置筐体内に収納し、その蓄電要素から引き出した電気配線を、装置筐体外方側に備えた電極端子に接続している。
この通電経路を構成する集電体は、電気配線として機能するだけでなく、蓄電要素を支持する構造部材としての機能をも有している。
集電体の構成態様としては種々の構成が考えられるが、下記特許文献1に記載のように集電体の一端側を装置筐体に固定し、他端側で蓄電要素を支持する構成とする場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−105075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、箔状の極板を多層に積層して構成されるため比較的に重量物となる蓄電要素を、板状部材で形成される集電体で支持する構成であるため、蓄電装置に対して、強い振動が長時間に亘って加わる場合や、極めて強い衝撃が加わるような場合、蓄電要素の相対変位によって集電体が変形し、集電体における装置筐体への固定位置に過大な力がかかってしまう。
このような過大な力によって、集電体が損傷してしまう可能性がある。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、蓄電要素を支持する集電体の耐振動性能を向上させる点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の第1の発明は、装置筐体の外方側に電極端子が配置され、前記装置筐体の内方側に、蓄電要素と、その蓄電要素と前記電極端子との間の通電経路を構成する集電体とが配置され、前記集電体は、板材により形成されて、前記蓄電要素との接続位置で前記蓄電要素を支持し、前記電極端子への接続位置側に位置して前記装置筐体の内壁面と略平行姿勢となる取り付け部において前記装置筐体の内壁面に固定されている蓄電装置において、前記集電体の前記取り付け部に壁体が形成され、前記壁体の形成位置は、前記蓄電要素によって前記集電体の固定位置に作用する力のモーメントの方向視で、少なくとも前記装置筐体への固定位置を含む範囲に設定されている。
【0006】
すなわち、装置筐体への集電体の固定箇所においては、集電体は装置筐体の内壁面と略平行姿勢となっているのであるが、その略平行姿勢となっている部分に壁体を形成して補強する。壁体の形成位置は、蓄電要素によって集電体の固定位置に作用する力のモーメントの方向視(力学上の定義によるベクトルとしてのモーメントの方向視)で、少なくとも装置筐体への固定位置を含む範囲に設定しているので、蓄電要素によって作用する上記モーメントによる変形を抑制する。
装置筐体への固定位置の少なくとも一部を含む範囲で壁体が形成されていれば、モーメントによる集電体の変形を抑制することができる。その中でも特に、蓄電要素の支持位置から最も近い固定位置にモーメントが集中しやすいため、そのモーメントの方向視で、蓄電要素の支持位置から最も近い固定位置を含む範囲に壁体を形成することが望ましい。より望ましくは、上記固定位置全体を含む範囲に壁体を形成すると良い。
【0007】
又、本出願の第2の発明は、上記第1の発明の構成に加えて、前記蓄電要素は、表裏の扁平面を繋ぐ側面が外方側に凸の湾曲形状を有する湾曲側面となる扁平形状に形成され、前記湾曲側面が、前記集電体における前記装置筐体への固定位置を向く姿勢で前記装置筐体に収納され、前記壁体の先端位置は、前記装置筐体への前記集電体の固定位置と前記蓄電要素との接近離間方向において、前記蓄電要素の前記湾曲側面における、前記集電体の前記取り付け部に最も近い部分よりも前記扁平面の存在側に突出している。
【0008】
上述のように集電体に上記壁体を形成して集電体の固定位置を補強する構成とする場合において、装置筐体内においてその壁体が存在するためのスペースが必要となる。
この壁体の存在スペースの確保に、蓄電要素の形状を利用している。
蓄電要素は、例えば、箔状の極板を巻芯周りに多数回巻回することで多層に積層する構成が良く知られているが、このように巻回したものを、装置筐体の形状に適合させる等のために扁平形状とするとき、扁平面に連なる側面は、外方側に凸の湾曲形状となる。又、箔状の極板を扁平形状に巻回する構成以外にも、種々の理由により、蓄電要素において表裏の扁平面を繋ぐ側面が外方側に凸の湾曲形状となる場合がある。
この湾曲側面が、集電体における装置筐体への取り付け位置を向く姿勢で蓄電要素を装置筐体内に収納する構成では、その湾曲側面にデッドスペースが発生し易く、そのデッドスペースを利用して集電体の壁体を配置するのである。
【0009】
又、本出願の第3の発明は、上記第2の発明の構成に加えて、電気的絶縁材料にて形成される板状のシール部材が、前記装置筐体の内壁面と前記集電体との間に位置すると共に、前記集電体の前記壁体における、前記装置筐体の内壁面側から前記蓄電要素の前記湾曲側面の存在側へ回り込む状態で配置されている。
すなわち、集電体の装置筐体への取り付け箇所を、電気的絶縁材料で形成したシール部材にて気密封止する構成とする場合において、そのシール部材の形状を、壁体における装置筐体側の面から、蓄電要素側の面へと回り込む形状として、シール部材の延出部分を壁体と蓄電要素の湾曲側面との間に位置させる。
これによって、近接配置される壁体と蓄電要素の湾曲側面との間の電気的な絶縁を確保できる。
【0010】
又、本出願の第4の発明は、上記第1〜第3のいずれかの発明の構成に加えて、前記集電体は、前記装置筐体を貫通する取り付け部材にて前記装置筐体の内壁面に固定され、前記装置筐体における前記取り付け部材の貫通箇所に、気密封止のためのシール部材が配置されている。
すなわち、集電体の装置筐体への固定態様としては、リベット等の取り付け部材を、装置筐体を貫通する状態で配置して、集電体を固定する形態する場合が多い。
そのような場合、取り付け部材の貫通箇所にシール部材を配置して気密封止とする。
このような構成においては、集電体における装置筐体への固定位置に、蓄電要素による過度なモーメントが作用すると、シール部材が損傷してシール不良が発生してしまう可能性がある。
このため、集電体に壁体を形成して上記モーメントによる変形を抑制することで、シール不良の発生を防止することができる。
【0011】
本出願の第5の発明は、上記第1〜第4のいずれかの発明の構成に加えて、前記集電体は、前記取り付け部を含む第1姿勢部分と前記蓄電要素の支持位置を含む第2姿勢部分とが略直交するL字状に形成され、前記集電体の前記壁体は、前記装置筐体への固定位置から前記第1姿勢部分と前記第2姿勢部分との接続箇所に向かう方向に沿って形成されている。
蓄電要素と電極端子との間の通電経路を構成する部材としての機能と、装置筐体内において蓄電要素を支持する部材としての機能とを併せ持つ集電体の配置形態として、上記取り付け部を含む第1姿勢部分と蓄電要素の支持位置を含む第2姿勢部分とが略直交するL字状に形成することで、電極端子の配置自由度を確保しながら、装置筐体内における集電体の設置スペースを小さくすることができる。
このような構成において、集電体の壁体を、装置筐体への固定位置から第1姿勢部分と第2姿勢部分との接続箇所に向かう方向に沿って形成することで、蓄電要素からの力のモーメントによる変形を十分に抑制することができる。
【0012】
本出願の第6の発明は、上記第5の発明に構成に加えて、前記集電体の前記壁体は、前記装置筐体への固定位置から前記第1姿勢部分と前記第2姿勢部分との接続箇所にまで延出している。
すなわち、上記第1姿勢部分のうち、蓄電要素の相対変位によって変形し易い部分の略全体に壁体を形成することになり、蓄電要素の相対変位による集電体の変形を一層抑制することができる。
【0013】
又、本出願の第7の発明は、上記第1〜第6のいずれかの発明の構成に加えて、前記集電体の前記壁体は、前記装置筐体への固定位置を囲む状態で、前記集電体の両端部を屈曲形成して構成されている。
すなわち、上記壁体を形成するについて、板状部材で形成される集電体の端部を屈曲形成するだけで上記壁体を形成することができ、又、集電体の固定位置を壁体で囲む状態で補強するので、集電体の変形をより一層抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
上記第1の発明によれば、集電体における装置筐体への固定位置付近に壁体を形成することで、蓄電要素の相対変位による集電体の変形を抑制することができ、蓄電要素を支持する集電体の耐振動性能を可及的に向上できるものとなった。
又、上記第2の発明によれば、装置筐体内のデッドスペースを利用して上記壁体を配置するので、蓄電装置の体積エネルギー効率の低下を可及的に抑制することができる。
又、上記第3の発明によれば、集電体の装置筐体への取り付け部分を気密封止するシール部材を、集電体の壁体と蓄電要素の湾曲側面との間の電気的な絶縁にも利用することで、構成部品を有効に活用して、蓄電装置の機能向上を図ることができる。
又、上記第4の発明によれば、リベット等の取り付け部材を、装置筐体を貫通する状態で配置して、集電体を固定する場合において、その貫通箇所を気密封止するシール部材のシール不良を抑制することができる。
【0015】
又、上記第5の発明によれば、集電体を、上記取り付け部を含む第1姿勢部分と蓄電要素の支持位置を含む第2姿勢部分とが略直交するL字状に形成する場合において、蓄電要素からの力のモーメントによる変形を十分に抑制することができる。
又、上記第6の発明によれば、集電体の上記第1姿勢部分のうち、蓄電要素の相対変位によって変形し易い部分の略全体に壁体を形成して、蓄電要素の相対変位による集電体の変形を一層抑制することができる。
又、上記第7の発明によれば、集電体の両端部を屈曲形成するだけの簡素な構成で、集電体の変形をより一層抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる二次電池の外観斜視図
【図2】本発明の第1実施形態にかかる二次電池の内部構成を示す斜視図
【図3】本発明の第1実施形態にかかる二次電池の内部構成を示す正面図
【図4】本発明の第1実施形態にかかる正面視による要部拡大断面図
【図5】本発明の第1実施形態にかかる要部部品の斜視図
【図6】本発明の第1実施形態にかかる側面視による要部拡大断面図
【図7】本発明の第2実施形態にかかる二次電池の内部構成を示す斜視図
【図8】本発明の第2実施形態にかかる要部部品の斜視図
【図9】本発明の第2実施形態にかかる側面視による要部拡大断面図
【図10】本発明のその他の実施形態にかかる要部部品の斜視図
【図11】本発明のその他の実施形態にかかる二次電池の内部構成を示す斜視図
【図12】本発明のその他の実施形態にかかる二次電池の内部構成を示す正面図
【図13】本発明のその他の実施形態にかかる二次電池の内部構成を示す斜視図
【図14】本発明のその他の実施形態にかかる正面視による要部拡大断面図
【図15】本発明のその他の実施形態にかかる側面視による要部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の蓄電装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
以下の第1実施形態及び第2実施形態の各実施形態では、いずれも、蓄電装置である電池として二次電池の1例である非水電解液二次電池(より具体的にはリチウムイオン電池)を例示して説明する。
【0018】
〔第1実施形態〕
本第1実施形態の非水電解液二次電池RBは、図1及び図2の斜視図並びに図3の正面図に示すように、金属製の缶体1と金属製の蓋部2とを備える装置筐体BC(以下において、単に「筐体BC」と称する)を有している。
缶体1は、扁平な有底筒状(より具体的には有底矩形筒状)に形成され、それの扁平面と直交する1側面を開放面としている。蓋部2は、略平板状で短冊状の長方形に形成されており、缶体1の開放面を覆う姿勢で配置されて、缶体1と溶接されている。
扁平な有底矩形筒状の缶体1と缶体1の開放面を覆う短冊形状の蓋部2とによって、筐体BCは全体として扁平な直方体形状を有している。尚、図2は、完成した二次電池RB(図1に示すもの)から缶体1を除いて、筐体BC内部の構成を下方側からの斜視図として図示している。又、図3においても、缶体1及び後述の蓄電要素3を2点鎖線で示して、筐体BCの内部を透視した形態で示している。
【0019】
筐体BCの内方側には、図2及び図3に示す蓄電要素3と集電体4,6とが電解液に浸される状態で収納配置されている。
本第1実施形態及び後述の第2実施形態は、いずれも、蓄電装置として二次電池RBを例示しているので、蓄電要素3を、電池において一般的に使用される「発電要素3」と称する。
発電要素3は、長尺帯状の箔状正極板と長尺帯状の箔状負極板とを長尺帯状のセパレータを挟んで巻芯周りに扁平形状に巻回することで、箔状正極板と箔状負極板とを積層したもので、箔状正極板と箔状負極板とからなる一対の電極板の夫々に活物質を表裏両面に塗布して構成されている。
【0020】
箔状正極板及び箔状負極板には、横幅方向の一端側に活物質を塗布しない未塗工部3a,3bを形成しており、その未塗工部3a,3bを、横幅方向で互いに逆側に突出させる配置して巻回している。
上記のように、巻回型の発電要素3を扁平形状に構成することで、発電要素3の外形形状は、図2において2点鎖線で示すように、筐体BCの扁平面と平行姿勢の一対の扁平面を有すると共に、箔状正極板等の巻回軸の周方向において、発電要素3の表裏一対の扁平面を繋ぐ側面が外方側に凸の湾曲形状を有する湾曲側面3cとなっている。
発電要素3が筐体BCに収納された状態では、箔状正極板等の巻回軸芯が蓋部2の長手方向と平行で、且つ、発電要素3の扁平面と筐体BCの扁平面とが平行となっており、上記湾曲側面3cの一方は、集電体4,6における筐体BCへの固定位置を向く姿勢となっている。
【0021】
正極側の集電体4と負極側の集電体6とは、いずれも金属製の板材を加工して同一形状に形成されているが、正極側の集電体4はアルミニウム製であり、負極側の集電体6は銅製である。
図5にも示すように、集電体4,6の概略的な形状は、蓋部2の長手方向に長く蓋部2に沿う姿勢の第1姿勢部分HPと、缶体1の高さ方向に長く缶体1の縦壁(扁平面と直交する縦壁)に沿う姿勢の第2姿勢部分VPとの略L字状に形成されている。後述のように、上記第1姿勢部分HPにおける蓋部2の内壁面と平行姿勢の部分が、蓋部2への取り付け部となっており、上記第2姿勢部分VPが発電要素3の支持部分となっている。
集電体4,6は、所定形状に切断された金属板を曲げ加工することにより構成されており、詳細には、上記第2姿勢部分VPにおいては、更に起立姿勢に屈曲形成された接続部4a,6aが備えられ、上記第1姿勢部分HPにおいては、蓋部2と平行姿勢となっている上記取り付け部の板面から直角に起立する姿勢で屈曲形成された壁体4b,6bが備えられている。
【0022】
集電体4,6は、上記接続部4a,6aにおいて、発電要素3の未塗工部3a,3bと接合され、この接続位置で発電要素3を支持している。集電体4,6が、正面視で筐体BCの左右両端部に分かれて配置されている関係で、箔状正極板の未塗工部3aと箔状負極板の未塗工部3bとは、幅方向で逆側に位置している。
正極側の集電体4の接続部4aが、側面視で渦巻き状に巻回されている箔状正極板の未塗工部3aの存在空間に入り込み、負極側の集電体6の接続部6aが、側面視で渦巻き状に巻回されている箔状負極板の未塗工部3bの存在空間に入り込んで、束ねられた未塗工部3a,3bが、夫々、接続部4a,6aと接合されている。
【0023】
集電体4,6の上記第1姿勢部分HPは、発電要素3を支持する上記第2姿勢部分VPに対して、筐体BC外方側に配置される電極端子TMとの接続位置側に位置しており、筐体BCの内壁面となる蓋部2の下面と平行姿勢で配置されている。
その第1姿勢部分HPにおける、上記第2姿勢部分VPとの接続箇所と反対側の端部付近において、集電体4,6が蓋部2に対して固定されている。
上記電極端子TMは金属製の蓋部2に取り付けられており、正極の電極端子TMである金属製の端子ボルト5と、負極側の電極端子TMである金属製の端子ボルト7とによって構成されている。
【0024】
集電体4,6は、これらの端子ボルト5,7とリベット型の取り付け部材MEにより電気的に接続され、また、その取り付け部材MEによって蓋部2に固定されている。
本第1実施形態では、この取り付け部材MEは、リベット部5a,7aとして、端子ボルト5,7の頭部側に一体形成されており、このリベット部5a,7aも含めて、正極側の端子ボルト5と負極側の端子ボルト7とは同一形状であり、構成する金属材料のみが異なる。正極側の端子ボルト5はアルミニウム製であり、負極側の端子ボルト7は銅製である。
【0025】
集電体4,6の固定位置の構造を、正極側の端子ボルト5の周辺部を拡大断面図として示す図4を参照して詳細に説明すると、正極側では、集電体4の上記第1姿勢部分HPと上記第2姿勢部分との接続箇所を蓋部2の長手方向一端側に位置させ、上記第1姿勢部分HPの長手方向と蓋部2の長手方向とを一致させる向きに配置した集電体4と蓋部2とで樹脂製の下部ガスケット10を挟み込み、更に、蓋部2の反対側の面に樹脂製の上部ガスケット9を取り付け、上部ガスケット9,蓋部2,下部ガスケット10及び集電体4に対してリベット部5aを貫通させ、そのリベット部5aの筐体BC内方側端部をかしめる。これによって、集電体4の蓋部2への固定と、端子ボルト5に対する電気配線とを行う。
上部ガスケット9及び下部ガスケット10は、リベット部5a及び集電体4と蓋部2との間の電気的な絶縁と気密シールを確保するためのシール部材SEであり、上部ガスケット9は、蓋部2におけるリベット部5aの貫通箇所に入り込む状態で配置されている。
【0026】
負極側の構成も同様であり、樹脂製の上部ガスケット11,蓋部2,樹脂製の下部ガスケット12及び集電体6を正極側と対称配置として、これらに対してリベット部7aを貫通させ、そのリベット部7aの筐体BC内方側端部をかしめることで、集電体6の蓋部2への固定と、端子ボルト7に対する電気配線とを行う(図2及び図3参照)。上部ガスケット11及び下部ガスケット12は、正極側の上部ガスケット9及び下部ガスケット10と同様に、リベット部7a及び集電体6と蓋部2との間の電気的な絶縁と気密シールを確保するためのシール部材SEである。
上記の構成で各部材を連結することで、集電体4,6と端子ボルト5,7とがリベット部5a,7aを経て電気的に接続され、集電体4,6は、端子ボルト5,7と発電要素3との間の通電経路を構成している。
【0027】
集電体4,6に形成されている壁体4b,6bは、上記のようにリベット部5a,7aにて蓋部2に固定される集電体4,6を補強するために備えられている。
壁体4b,6bは、集電体4,6の第1姿勢部分HPの幅方向両端部において、それの長手方向と平行に、リベット部5a,7aによる筐体BCへの固定位置から第1姿勢部分HPと第2姿勢部分VPとの接続箇所(L字の角部)に向かう方向に沿って形成され、リベット部5a,7aによる筐体BCへの固定位置を両側から囲む状態で配置されている。
【0028】
集電体4,6は、上述のように接続部4a,6aにおいて発電要素3の未塗工部3a,3bと接続されて、発電要素3と接続する電気配線であると共に、発電要素3を支持する支持構造部材でもあり、リベット部5a,7aによる集電体4,6の蓋部2への固定位置には、発電要素3の荷重による力のモーメントが作用する。
このため、集電体4,6における蓋部2への取り付け位置の形状が平板形状のみであると、二次電池RBに強い振動等が長時間継続して作用すると、蓋部2への集電体4,6の固定位置付近を損傷してしまう可能性もある。
【0029】
発電要素3の荷重により集電体4,6の固定位置に作用する力のモーメントは、力学上の定義で蓋部2の短辺方向を向くベクトルであり、このベクトルの方向視で、壁体4b,6bの形成位置は、少なくとも筐体BCへの固定位置を含み、集電体4,6の蓋部2への固定位置の全体を覆う範囲に設定されているので、壁体4b,6bの突っ張りによって、蓋部2への集電体4,6の取り付け位置の変形が抑制される。
上記壁体4b,6bの先端位置は、図1におけるA−A’断面図である図6において正極側を示すように、点Bで示す上記湾曲側面3cの頂部の両側脇の空間に入り込む状態で延出しており、筐体BCへの集電体4,6の固定位置と発電要素3との接近離間方向(図6における上下方向)においては、発電要素3の上記湾曲側面3cにおける、集電体4,6における蓋部2と略平行姿勢の部分(上記取り付け部)に最も近い部分(図6において点Bで示す上記湾曲側面3cの頂部)よりも発電要素3の扁平面の存在側に突出し、上記湾曲側面3cの頂部(点B)よりも下方側に位置している。
【0030】
正極側の下部ガスケット10と負極側の下部ガスケット12とについても、板状の電気的絶縁材料によって同一形状に形成されたものが対象に配置されており、その形状を図5に示す。
下部ガスケット10,12は、蓋部2に沿う平板状の平坦部10a,12aと、その平坦部10a,12aから略垂直に起立する板状の起立部10b,12bとを有し、平坦部10a,12aには、端子ボルト5,7のリベット部5aを貫通させる貫通孔10c,12cが形成されている。
平坦部10a,12aは、集電体4,6の上記第1姿勢部分HPにおける蓋部2と略平行姿勢となっている部分の形状と略同一形状であり、集電体4,6の上面の略全体に亘って、蓋部2の筐体内方側の面と集電体4,6との間に位置して、両者の電気的な絶縁を確実なものとしている。
起立部10b,12bは、図2に示すように、集電体4,6の壁体4b,6bにおける缶体1の内壁面側の面全体に被さる状態で配置されるものであり、図1におけるA−A’断面図である図6に示すように、正極側においては、下部ガスケット10の起立部10bが、集電体4の壁体4bと缶体1の内壁面との間に位置して、壁体4bと缶体1との間の電気的な絶縁を確保している。
負極側も同様の構成であり、下部ガスケット12の起立部12bが、集電体6の壁体6bと缶体1の内壁面との間に位置して、壁体6bと缶体1との間の電気的な絶縁を確保している。
【0031】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本第2実施形態は、上記第1実施形態と、シール部材SEである下部ガスケット10,12の形状だけが異なるもので、下部ガスケット10,12が電気的絶縁材料である板状の樹脂にて形成される点や、それ以外の、筐体BC,筐体BC内に配置される集電体4,6及び発電要素3等の各部の構成についても、上記第1実施形態の構成と共通である。
本第2実施形態においても正極側の下部ガスケット10と負極側の下部ガスケット12とは同一形状であり、図8に示すように、上記第1実施形態と同様に、平坦部10a,12aから起立姿勢で起立部10b,12bが形成されている。
上記平坦部10a,12aは、蓋部2の内壁面と集電体4,6との間に位置し、起立部10b,12bは、集電体4,6の壁体4b,6bにおける缶体1の内壁面側に回り込んで、壁体4b,6bにおける缶体1の内壁面側を向く面を覆っている。
本第2実施形態の下部ガスケット10,12が上記第1実施形態におけるものと異なる点は、起立部10b,12bの先端側が更に延出して、壁体4b,6bにおける発電要素3の上記湾曲面側へ回り込み、平坦部10a,12a側に折り返されて折り返し部10d,12dが形成される形状となっている点である。
【0032】
上記折り返し部10d,12dは、図8に示すように、下部ガスケット10,12を集電体4,6における第1姿勢部分HPに差し込んだ状態で、上記第1実施形態の図2と対応する図7、及び、上記第1実施形態の図6と対応する図9に示すように、起立部10b,12bと共に、集電体4,6の壁体4b,6bを挟み込む状態となっている。
これによって、折り返し部10d,12dは、壁体4b,6bと発電要素3の外周面との間に入り込んで、両者の電気的な絶縁を確保している。
【0033】
〔その他の実施形態〕
以下、本発明のその他の実施形態を列記する。
(1)上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、集電体4,6の壁体4b,6bは、正面視で、リベット部5a,7aによる集電体4,6の蓋部2への取り付け位置を覆う範囲に形成しているが、図10に示すように、壁体4b,6bの形成範囲を更に拡げて、集電体4,6における筐体BCへの固定位置から、上記第1姿勢部分HPと上記第2姿勢部分VPとの接続箇所まで延出する範囲で形成しても良い。
更には、壁体4b,6bの端縁と集電体4,6における第2姿勢部分VPとの間を、適宜の部材を介して溶接等によって固定する構成とするか、あるいは、第1姿勢部分HP,第2姿勢部分VP及び第2姿勢部分VPと連なった状態の壁体4b,6bを、金型等によって一体形成する構成としても良い。
【0034】
(2)上記第1実施形態及び上記第2実施形態にでは、集電体4,6の壁体4b,6bを板状の集電体4,6を屈曲させて形成しているが、壁体4b,6bを集電体4,6とは別部材として、集電体4,6に溶接等によって固定する構成としても良い。
(3)上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、壁体4b,6bを、集電体4,6の蓋部2への取り付け位置を挟んで、両側に一対に配置する構成としているが、必ずしも両側に配置する必要はなく、いずれか一方のみでも良い。
(4)上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、蓄電装置として、電池、特に非水電解液二次電池RBを例示して説明しているが、非水電解液二次電池以外の二次電池や、一次電池、更には、いわゆるキャパシタ等にも本発明を適用できる。
【0035】
(5)上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、発電要素3の荷重により集電体4,6の固定位置に作用する力のモーメントが蓋部2の短辺方向を向くベクトルとなるように、集電体4,6の形状や配置が設定されている場合を例示しているが、上記モーメントが蓋部2の長辺方向を向くベクトルとなる場合にも本発明を適用できる。
具体的な形状等の例としては、上記第1実施形態における図2と対応する図11、及び、上記第1実施形態における図3と対応する図12に示すような配置構成がある。
図11及び図12に示す二次電池RBと上記第1実施形態の二次電池RBとは、主として、集電体の形状が異なる。
【0036】
図11に示す集電体21,22は、上記第1実施形態等に示す集電体4,6が、筐体BCの扁平面に直交する短辺側の側面に沿って取り回されているのに対して、上記第1実施形態等における第2姿勢部分VPに相当する縦姿勢の部分が、缶体1の扁平面に沿う姿勢で配置されている。
図11及び図12に示す構成では、蓋部2や缶体1の形状は上記第1実施形態と基本的に同様の構成で良く、蓋部2において、端子ボルト5,7のリベット部5a,7aを貫通させる貫通孔の形成位置が若干異なる程度である。
端子ボルト5,7や上部ガスケット9,11も上記第1実施形態と同一構成であり、下部ガスケット10,12については、集電体21,22の形状に合わせるために若干上記第1実施形態と形状が異なるものの、基本的な機能は上記第1実施形態と共通である。
図11及び図12に示す正極側の集電体21と負極側の集電体22とは、同一形状に形成したものを、蓋部2の中心に対して点対称に配置しており、材質のみ異なる。
【0037】
集電体21,22は、蓋部2の内壁面と平行姿勢となっている取り付け部MTにおける缶体1の扁平面側の端縁から縦姿勢部分が下方側に延出し、その縦姿勢部分の途中箇所から、発電要素3の未塗工部3a,3b側に階段状に屈曲形成されている。この階段状に屈曲形成した部分において、未塗工部3a,3bと溶接され、発電要素3を支持している。
図11及び図12に示す例のように、上記モーメントが蓋部2の長辺方向を向くベクトルとなる場合にも、集電体21,22における蓋部2への取り付け位置の形状が平板形状のみであると、二次電池RBに強い振動等が長時間継続して作用すると、蓋部2への集電体21,22の固定位置付近を損傷してしまう可能性もある。
このため、集電体21,22の取り付け部MTにおける、蓋部2の長手方向の両端に、取り付け部MTの端縁から起立する姿勢で、壁体21a,22aを形成している。
壁体21a,22aの形成範囲は、蓋部2の長手方向視で、リベット部5a,7aによる集電体21,22の固定位置を含む範囲としている。
【0038】
(6)上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、端子ボルト5,7の頭部側に単一のリベット部5a,7aを一体形成して、そのリベット部5a,7aをかしめることで、集電体4,6を蓋部2に固定しているが、1つの集電体4,6の固定箇所が複数箇所であっても良い。
例えば、上記第1実施形態の図2と対応する図13、及び、上記第1実施形態の図4と対応する図14に示すように、端子ボルト5,7の頭部側に、夫々2個のリベット部5a,7aを形成し、1つの集電体4,6を2箇所で蓋部2に固定する構成としても良い。
【0039】
このように1つの集電体4,6を複数箇所で固定する場合においても、発電要素3の支持位置(接続部4a,6aの位置)から最も近い固定位置、すなわち、蓋部2の長手方向端部側寄りの固定位置にモーメントが集中し易く、又、その蓋部2の長手方向端部側寄りの固定位置の中でも、発電要素3の支持位置に最も近い部位にモーメントが集中し易い。
このため、壁体4b,6bの形成位置は、上記モーメントのベクトルの方向視で、上記の発電要素3の支持位置に最も近い部位、あるいは、蓋部2の長手方向端部側寄りの固定位置を含む範囲に設定することが望ましく、より望ましくは、図13及び図14に示すように、複数の固定位置全てを含む範囲に設定すると良い。
【0040】
(7)上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、集電体4,6を筐体BCに固定するための取り付け部材MEとしてリベット部5a,7aを例示しているが、取り付け部材MEの具体構成は種々に変更可能であり、例えば、ボルトによって集電体4,6を筐体BCに固定する構成としても良い。
(8)上記第2実施形態では、下部ガスケット10,12の形状を、起立部10b,12bの先端側が更に延出して、壁体4b,6bにおける発電要素3の上記湾曲面側へ回り込み、平坦部10a,12a側に折り返されて折り返し部10d,12dが形成される形状としているが、その状態から、リベット部5a,7aを覆う位置まで下部ガスケット10,12の折り返し部10d,12dを更に延長する構成としても良い。
このように構成することで、振動等によって発電要素3と上記取り付け部が接触した場合でも、上記取り付け部の破損を防止できるとともに、両者の電気的な絶縁を確保できる。
【0041】
(9)上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、集電体4,6の第1姿勢部分HPにおいて、蓋部2と平行姿勢となっている上記取り付け部の板面から直角に起立する姿勢で壁体4b,6bを形成する場合を例示しているが、壁体4b,6bの形成姿勢は種々に変更可能である。
例えば、上記第1実施形態における図6と対応する図15(a)に示すように、壁体4b,6bが、リベット部5a,7aの存在側に傾斜した姿勢で第1姿勢部分HPにおける上記取り付け部から起立する形状としても良いし、同じく上記第1実施形態における図6と対応する図15(b)に示すように、第1姿勢部分HPにおける上記取り付け部から起立させた後、先端側を上記取り付け部側に巻き込む形状に形成しても良い。
【符号の説明】
【0042】
3 蓄電要素
4,6,21,22 集電体
3c 湾曲側面
4b,6b,21a,22a 壁体
BC 装置筐体
HP 第1姿勢部分
SE シール部材
TM 電極端子
VP 第2姿勢部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置筐体の外方側に電極端子が配置され、前記装置筐体の内方側に、蓄電要素と、その蓄電要素と前記電極端子との間の通電経路を構成する集電体とが配置され、
前記集電体は、板材により形成されて、前記蓄電要素との接続位置で前記蓄電要素を支持し、前記電極端子への接続位置側に位置して前記装置筐体の内壁面と略平行姿勢となる取り付け部において前記装置筐体の内壁面に固定されている蓄電装置であって、
前記集電体の前記取り付け部に壁体が形成され、
前記壁体の形成位置は、前記蓄電要素によって前記集電体の固定位置に作用する力のモーメントの方向視で、少なくとも前記装置筐体への固定位置を含む範囲に設定されている蓄電装置。
【請求項2】
前記蓄電要素は、表裏の扁平面を繋ぐ側面が外方側に凸の湾曲形状を有する湾曲側面となる扁平形状に形成され、
前記湾曲側面が、前記集電体における前記装置筐体への固定位置を向く姿勢で前記装置筐体に収納され、
前記壁体の先端位置は、前記装置筐体への前記集電体の固定位置と前記蓄電要素との接近離間方向において、前記蓄電要素の前記湾曲側面における、前記集電体の前記取り付け部に最も近い部分よりも前記扁平面の存在側に突出している請求項1記載の蓄電装置。
【請求項3】
電気的絶縁材料にて形成される板状のシール部材が、前記装置筐体の内壁面と前記集電体との間に位置すると共に、前記集電体の前記壁体における、前記装置筐体の内壁面側から前記蓄電要素の前記湾曲側面の存在側へ回り込む状態で配置されている請求項2記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記集電体は、前記装置筐体を貫通する取り付け部材にて前記装置筐体の内壁面に固定され、
前記装置筐体における前記取り付け部材の貫通箇所に、気密封止のためのシール部材が配置されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記集電体は、前記取り付け部を含む第1姿勢部分と前記蓄電要素の支持位置を含む第2姿勢部分とが略直交するL字状に形成され、
前記集電体の前記壁体は、前記装置筐体への固定位置から前記第1姿勢部分と前記第2姿勢部分との接続箇所に向かう方向に沿って形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記集電体の前記壁体は、前記装置筐体への固定位置から前記第1姿勢部分と前記第2姿勢部分との接続箇所にまで延出している請求項5記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記集電体の前記壁体は、前記装置筐体への固定位置を囲む状態で、前記集電体の両端部を屈曲形成して構成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項1】
装置筐体の外方側に電極端子が配置され、前記装置筐体の内方側に、蓄電要素と、その蓄電要素と前記電極端子との間の通電経路を構成する集電体とが配置され、
前記集電体は、板材により形成されて、前記蓄電要素との接続位置で前記蓄電要素を支持し、前記電極端子への接続位置側に位置して前記装置筐体の内壁面と略平行姿勢となる取り付け部において前記装置筐体の内壁面に固定されている蓄電装置であって、
前記集電体の前記取り付け部に壁体が形成され、
前記壁体の形成位置は、前記蓄電要素によって前記集電体の固定位置に作用する力のモーメントの方向視で、少なくとも前記装置筐体への固定位置を含む範囲に設定されている蓄電装置。
【請求項2】
前記蓄電要素は、表裏の扁平面を繋ぐ側面が外方側に凸の湾曲形状を有する湾曲側面となる扁平形状に形成され、
前記湾曲側面が、前記集電体における前記装置筐体への固定位置を向く姿勢で前記装置筐体に収納され、
前記壁体の先端位置は、前記装置筐体への前記集電体の固定位置と前記蓄電要素との接近離間方向において、前記蓄電要素の前記湾曲側面における、前記集電体の前記取り付け部に最も近い部分よりも前記扁平面の存在側に突出している請求項1記載の蓄電装置。
【請求項3】
電気的絶縁材料にて形成される板状のシール部材が、前記装置筐体の内壁面と前記集電体との間に位置すると共に、前記集電体の前記壁体における、前記装置筐体の内壁面側から前記蓄電要素の前記湾曲側面の存在側へ回り込む状態で配置されている請求項2記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記集電体は、前記装置筐体を貫通する取り付け部材にて前記装置筐体の内壁面に固定され、
前記装置筐体における前記取り付け部材の貫通箇所に、気密封止のためのシール部材が配置されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記集電体は、前記取り付け部を含む第1姿勢部分と前記蓄電要素の支持位置を含む第2姿勢部分とが略直交するL字状に形成され、
前記集電体の前記壁体は、前記装置筐体への固定位置から前記第1姿勢部分と前記第2姿勢部分との接続箇所に向かう方向に沿って形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記集電体の前記壁体は、前記装置筐体への固定位置から前記第1姿勢部分と前記第2姿勢部分との接続箇所にまで延出している請求項5記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記集電体の前記壁体は、前記装置筐体への固定位置を囲む状態で、前記集電体の両端部を屈曲形成して構成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−77464(P2013−77464A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217061(P2011−217061)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】
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