説明

蓋材

【課題】熱湯を注いで調理するカップラーメンやトレー焼きそばなどを収容する、発泡スチロール製などのカップ状又はトレー状の容器30に被せて、周辺部22を熱融着する円形状又は角を丸めた長方形状の蓋材20であって、蓋材20を中央付近まで剥がして外側に折曲げて、容器30を途中まで開蓋した状態で熱湯を注ぐ時に、外側に折曲げた蓋材20が元の形状に戻る恐れがないために、容器30が閉蓋して熱湯が注ぎ難いなどの問題がないアルミレス蓋材を提供する。
【解決手段】本発明は、少なくとも紙材料層5と樹脂フィルム層6とイージーピール層7とを積層して成る、つまみ21を有する円形状又は角を丸めた長方形状の蓋材20において、蓋材20を構成する紙材料層5の表面側に、発泡インキ層3を設けたアルミレス蓋材である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱湯を注いで調理するカップラーメンやトレー焼きそばなどを収容する、発泡スチロール製などのカップ状又はトレー状の容器30に被せて、周辺部22を熱融着する円形状又は角を丸めた長方形状の蓋材20であって、蓋材20を中央付近まで剥がして熱湯を注ぐ時に、容器30が閉蓋して熱湯が注ぎ難いなどの問題がない蓋材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、熱湯を注いで調理するカップラーメンやトレー焼きそばなどを収容する、発泡スチロール製などのカップ状又はトレー状の容器30に被せて、周辺部22を熱融着する円形状又は角を丸めた長方形状の、例えば図3に示すような、適宜の紙材料層5と適宜の樹脂フィルム層6と7〜9μm程度のアルミニウム箔9と適宜のイージーピール層7とを、適宜の接着剤層8又は適宜の接着性樹脂層8を介するなどして積層して成る蓋材20が、一般に広く用いられているものであって、蓋材20を中央付近まで剥がして外側に折曲げて、容器30を途中まで開蓋した状態で熱湯を注ぐ時に、この7〜9μm程度のアルミニウム箔9に、与えられた形状をそのまま保持する性質( デットホールド性と言う )があるために、蓋材20の紙材料層5と樹脂フィルム層6とイージーピール層7との、元の形状に戻ろうとする性質( 形状記憶性と言う )を抑えて、外側に折曲げた蓋材20が元の形状に戻る恐れがないために、容器30が閉蓋して熱湯が注ぎ難いなどの問題はなかった。
【0003】
また従来から、熱湯を注いで調理するカップラーメンやトレー焼きそばなどを収容する、発泡スチロール製などのカップ状又はトレー状の容器30に被せて、周辺部22を熱融着する円形状又は角を丸めた長方形状の蓋材20であって、廃棄時の処理処分や食品類の金属探知などが難しいとの理由で、前述した7〜9μm程度のアルミニウム箔9を積層していない蓋材が、強く望まれて用いられている。
【0004】
すなわち、例えば図4に示すような、上質紙や片面アート紙などの、表面に美麗な印刷をした紙材料層5と、ポリエステルや延伸ナイロンやセラミック蒸着付のポリエステル、延伸ポリプロピレンなどの、強度や各種バリアー性などが優れた樹脂フィルム層6と、エチレンーメタアクリル酸共重合体(EMAA)やエチレンー酢酸ビニル共重合体(EVA )やポリエチレンとポリブテンとのブレンド樹脂などの、密封性などが優れている上に、熱融着した後に容易に剥がすことができるイージーピール層7とを、ウレタン系などの接着剤層8又は低密度ポリエチレンなどの接着性樹脂層8を介して積層して成る、つまみ21を有する円形状又は角を丸めた長方形状のアルミニウム箔を積層していない蓋材である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが従来の、図4に示す蓋材については、円形状又は角を丸めた長方形状の蓋材20のつまみ21に指を掛けて、やゝ強く引張るだけで、簡単にカップ状又はトレー状の容器30を開蓋することができる、廃棄時の処理処分や食品類の金属探知などが容易な蓋材であるものの、蓋材20を中央付近まで剥がして外側に折曲げて、容器30を途中まで開蓋した状態で熱湯を注ぐ時に、蓋材20の紙材料層5が、熱湯から発生する蒸気の影響を受けて元の形状に戻ろうとするために、また蓋材20の樹脂フィルム層6とイージーピール層7とに、元の形状に戻ろうとする性質があるために、外側に折曲げた蓋材20が元の形状に戻ることが多くて、容器30が閉蓋して熱湯が注ぎ難いなどの問題があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、熱湯を注いで調理するカップラーメンやトレー焼きそばなどを収容する、発泡スチロール製などのカップ状又はトレー状の容器30に被せて、周辺部22を熱融着する円形状又は角を丸めた長方形状の蓋材20であって、蓋材20を中央付近まで剥がして外側に折曲げて、容器30を途中まで開蓋した状態で熱湯を注ぐ時に、外側に折曲げた蓋材20が元の形状に戻る恐れがないために、容器30が閉蓋して熱湯が注ぎ難いなどの問題がないアルミニウム箔を積層していない蓋材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の蓋材は、図1A、Bに示すように、少なくとも紙材料層5と樹脂フィルム層6とイージーピール層7とを積層して成る、つまみ21を有する円形状又は角を丸めた長方形状( 図1Aでは円形状 )の蓋材20において、蓋材20を構成する紙材料層5の表面側に、図1Cに示す発泡層3を設けたことを特徴とする蓋材である。
【0008】
本願の発明者らは、蓋材20の周辺部22を熱融着する工程などで、紙材料層5の表面側に設けた発泡層3を加熱して発泡させた時に、この発泡層3が、厚さ方向に大きく膨張すると同時に、水平方向に僅かに収縮することを知見して、本願の蓋材の発明に至ったものである。
【0009】
すなわち、本発明の蓋材においては、少なくとも紙材料層5と樹脂フィルム層6とイージーピール層7とを積層して成る、前述した図4に示す蓋材と同様の、熱湯を注いで調理するカップラーメンやトレー焼きそばなどを収容する、発泡スチロール製などのカップ状又はトレー状の容器30に被せて、周辺部22を熱融着する、つまみ21を有する円形状又は角を丸めた長方形状の蓋材20において、蓋材20を構成する紙材料層5の表面側に、発泡層3を設けたことによって、蓋材20の周辺部22を熱融着する工程などで、紙材料層5の表面側に設けた発泡層3を加熱して発泡させた時に、この発泡層3が、厚さ方向に大きく膨張すると同時に、水平方向に僅かに収縮するために、この蓋材20を構成する紙材料層5に、発泡層3側に凹カールする性質を付与することができるものであって、
蓋材20を中央付近まで剥がして外側に折曲げて、容器30を途中まで開蓋した状態で熱湯を注ぐ時に、蓋材20の紙材料層5が、熱湯から発生する蒸気の影響を受けて元の形状に戻ろうとしても、また蓋材20の樹脂フィルム層6とイージーピール層7とに、元の形状に戻ろうとする性質があったとしても、蓋材20を構成する紙材料層5に、発泡層3側に凹カールする性質を付与したことによって、外側に折曲げた蓋材20が元の形状に戻る恐れがないために、容器30が閉蓋して熱湯が注ぎ難いなどの問題がないアルミニウム箔を積層していない蓋材を提供することができる。
【0010】
しかも、本発明の蓋材においては、蓋材20の周辺部22を熱融着する工程などで、紙材料層5の表面側に設けた発泡層3を加熱して発泡させることによって、容器30に周辺部22を熱融着する前の蓋材20は、発泡層3側に凹カールする性質を付与していないために、また容器30に周辺部22を熱融着した後の、発泡層3側に凹カールする性質を付与した蓋材20は、容器30に周辺部22を強固に熱融着しているために、それぞれ発泡層3側に凹カールする恐れがないものであって、後述する蓋材20の周辺を切断して除去する工程などに支障がない、また容器30に蓋材20の周辺部22を熱融着する工程などに支障がない、さらに蓋材20を熱融着した後の容器30の保管流通などに支障がない、それぞれの取扱いが容易な蓋材を提供することができる。
【0011】
加えて、本発明の蓋材は、前述した発泡層3を設けた紙材料層5の内面側に、図1Cに示すように、遮光顔料層4を設けたことを特徴とする蓋材である。
【0012】
本発明の蓋材においては、少なくとも紙材料層5と樹脂フィルム層6とイージーピール層7とを積層して成る、前述した図4に示す蓋材と同様の、つまみ21を有する円形状又は角を丸めた長方形状の蓋材20において、前述した発泡層3を設けた紙材料層5の内面側に、例えば白色インキと黒色インキとから成る遮光顔料層4を設けたことによって、前述した上質紙や片面アート紙などの、表面に美麗な印刷をした紙材料層5の遮光性を補って、熱湯を注いで調理するカップラーメンやトレー焼きそばなどの、油分などの紫外線による酸化変質を防止することができる、品質保存性が優れた蓋材を提供することができる。なお、発泡層3は、発泡性インキであっても、発泡性樹脂液(発泡性塗料)であっても、いずれでもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の蓋材における、蓋材20を構成する紙材料層5の表面側に、発泡層3を設ける方法については、蓋材20の周辺部22を200℃程度で熱融着する工程などで、同時に紙材料層5の表面側に設けた発泡層3を加熱して発泡させることができる、通常の150℃程度で発泡する、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、アクリル等の熱可塑性樹脂から成る外殻(セル)と、例えばブタン、メタンなどの炭化水素等の揮発性薬品から成る核とによる熱発泡性マイクロカプセルであって、また例えば、炭酸水素ナトリウム(重曹)などの熱分解性発泡剤であって、顔料とビヒクルとから成る通常の印刷インキに、この熱発泡性マイクロカプセル又は熱分解性発泡剤を、厚さ方向に2〜10倍に膨張するように混練した発泡インキ(例えば、SS発泡インキ;東洋インキ製造(株)製、ニューダイフォーム;大日精化(株)製)を用いて、蓋材20を構成する紙材料層5の表面側に、図1Cに示す3g(dry)/m程度の発泡層3を、シルクスクリーン印刷方法や樹脂グラビア印刷方法などで、全面に又は印刷絵柄に合せて設けることができる。
【0014】
【実施例】
図1A、Bは、本発明の実施例における、蓋材の平面図、断面説明図であって、図1Cは、蓋材20を構成する紙材料層5の断面図である。
また図2A、Bは、本発明の実施例における、蓋材を、容器30に熱融着した状態と中央付近まで剥がした状態とを示す断面図である。
【0015】
本実施例の蓋材は、紙材料層5と樹脂フィルム層6とイージーピール層7とを積層して成る、つまみ21を有する円形状の蓋材20において、蓋材20を構成する紙材料層5の表面側に、図1Cに示す発泡層3を設けて、この発泡層3を設けた紙材料層5の内面側に、遮光顔料層4を設けた蓋材である。
【0016】
すなわち、130g/mの片面アート紙の、蓋材20を構成する紙材料層5の表面側に、通常の印刷インキに、通常の150℃程度で発泡する熱発泡性マイクロカプセルを、厚さ方向に約6倍に膨張するように混練した発泡インキを用いて、美麗な絵柄をグラビア印刷して、図1Cに示す3g(dry)/m程度の発泡層3を設けた紙材料層5を用意した。
【0017】
次に、内面側に、各3g(dry)/mの白色インキと黒色インキとから成る遮光顔料層4を樹脂グラビア印刷方法で設けた、図1Cに示す発泡層3を設けた紙材料層5と、セラミック蒸着付のポリエステル12μmの、強度や各種バリアー性などが優れた樹脂フィルム層6と、エチレンー酢酸ビニル共重合体(EVA )30μmの、密封性などが優れている上に、熱融着した後に容易に剥がすことができるイージーピール層7とを、図1Bに示すように、5g/mのウレタン系の接着剤層8と低密度ポリエチレン15μmの接着性樹脂層8とを介して、通常のドライラミネート方法と通常の熱押出しラミネート方法とで積層した後に、周辺を打抜刃で切断して除去して、図1Aに示すつまみ21を有する100mmφの円形状の蓋材20を作製した。
【0018】
続いて、図1Aに示す100mmφの円形状の蓋材20を、図2Aに示すように、熱湯を注いで調理するカップラーメンを収容した、発泡スチロール製の外径が100mmφのカップ状の容器30に被せて、この容器30のフランジ31に蓋材20の周辺部22を、200℃で1.0秒間熱融着すると同時に、図1Cに示す発泡層3を設けた紙材料層5を、表面温度が180℃になるように加熱して発泡させたところ、この発泡層3が、厚さ方向に約6倍に膨張するとともに、水平方向に0.5〜2%程度収縮することが認められて、この蓋材20を構成する紙材料層5に、発泡層3側に凹カールする性質を付与することができた。
【0019】
本実施例の蓋材においては、130g/mの片面アート紙の、蓋材20を構成する紙材料層5の表面側に、通常の印刷インキに熱発泡性マイクロカプセルを混練した発泡インキを用いてシルクスクリーン印刷して、図1Cに示す発泡層3を設けた紙材料層5を用いたことによって、図2Bに示すように、蓋材20を中央付近まで剥がして外側に折曲げて、容器30を途中まで開蓋した状態で熱湯を注ぐ時に、蓋材20の紙材料層5が、熱湯から発生する蒸気の影響を受けて元の形状に戻ろうとしても、また蓋材20の樹脂フィルム層6とイージーピール層7とに、元の形状に戻ろうとする性質があったとしても、この蓋材20を構成する紙材料層5に、発泡層3側に凹カールする性質を付与したために、外側に折曲げた蓋材20が元の形状に戻る恐れがない、容器30が閉蓋して熱湯が注ぎ難いなどの問題がない蓋材を得ることができた。
【0020】
しかも、本実施例の蓋材においては、カップ状の容器30のフランジ31に蓋材20の周辺部22を熱融着すると同時に、図1Cに示す発泡層3を設けた紙材料層5を加熱して発泡させたことによって、容器30に周辺部22を熱融着する前の蓋材20は、発泡層3側に凹カールする性質を付与していないために、また容器30に周辺部22を熱融着した後の、発泡層3側に凹カールする性質を付与した蓋材20は、容器30に周辺部22を強固に熱融着しているために、それぞれ発泡層3側に凹カールする恐れがない、取扱いが容易な蓋材を得ることができた。
【0021】
加えて、本実施例の蓋材においては、図1Cに示す発泡層3を設けた紙材料層5の内面側に、各3g(dry)/mの白色インキと黒色インキとから成る遮光顔料層4を設けたことによって、前述した130g/mの片面アート紙の遮光性を補って、熱湯を注いで調理するカップラーメンの、油分などの紫外線による酸化変質を防止することができる、品質保存性が優れた蓋材を得ることができた。
【0022】
【発明の効果】
以上、実施例ほかに示すとおり、本発明の蓋材においては、熱湯を注いで調理するカップラーメンやトレー焼きそばなどを収容する、発泡スチロール製などのカップ状又はトレー状の容器30に被せて、周辺部22を熱融着する円形状又は角を丸めた長方形状の蓋材20であって、蓋材20を中央付近まで剥がして外側に折曲げて、容器30を途中まで開蓋した状態で熱湯を注ぐ時に、蓋材20を構成する紙材料層5に、発泡層3側に凹カールする性質を付与したことによって、外側に折曲げた蓋材20が元の形状に戻る恐れがないために、容器30が閉蓋して熱湯が注ぎ難いなどの問題がない蓋材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1Aは本発明の実施例における蓋材の平面図、Bは断面説明図であって、図1Cは蓋材20を構成する紙材料層5の断面図である。
【図2】図2Aは本発明の実施例における蓋材を容器30に熱融着した状態、Bは中央付近まで剥がした状態を示す断面図である。
【図3】従来のアルミニウム箔9を積層した蓋材20の断面説明図である。
【図4】従来の蓋材の断面説明図である。
【符号の説明】
3…発泡層 4…遮光顔料層 5…紙材料層 6…樹脂フィルム層
7…イージーピール層 8…接着剤層、接着性樹脂層 9…アルミニウム箔
20…蓋材 21…つまみ 22…周辺部
30…容器 31…フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも紙材料層5と樹脂フィルム層6とイージーピール層7とを積層して成る、つまみ21を有する蓋材20において、蓋材20を構成する紙材料層5の表面側に、発泡層3を設けたことを特徴とする蓋材。
【請求項2】
請求項1に記載の蓋材において、発泡層3を設けた紙材料層5の内面側に、遮光顔料層4を設けたことを特徴とする蓋材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2004−359326(P2004−359326A)
【公開日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−163250(P2003−163250)
【出願日】平成15年6月9日(2003.6.9)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】