薄いフィルムの形成法
【課題】 一定の食品フィルムの製造方法および装置を提供する。
【解決手段】 一定の食品フィルムを製造するための装置および方法であって、食品が流動性または可塑性を有する形態で表面上に施される第1ローラと、第1ローラから距離t1だけ離れて配置され、厚さt1の食品フィルムが第1ローラによって表面上に施される独立した第2ローラとを備えている。層状製品を製造するための装置および方法も、第2ローラ上のドクターブレードと、食品が集められる多数のキャビティを備えた回転式成形型とをさらに有する。
【解決手段】 一定の食品フィルムを製造するための装置および方法であって、食品が流動性または可塑性を有する形態で表面上に施される第1ローラと、第1ローラから距離t1だけ離れて配置され、厚さt1の食品フィルムが第1ローラによって表面上に施される独立した第2ローラとを備えている。層状製品を製造するための装置および方法も、第2ローラ上のドクターブレードと、食品が集められる多数のキャビティを備えた回転式成形型とをさらに有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人またはペット用の一定の薄い食品フィルムを連続的に製造するための方法および装置に関するものである。特に本発明は、かかるフィルムを、層状製品の製造に利用することにまで及ぶものである。本発明は特に、ヌガー、キャラメル、チョコレート、および砂糖のような菓子製品製造用フィルムのみでなく、肉製品、アイスクリーム、焼き菓子材料、ならびに装飾バターおよびスプレッドのような人の食品製造用フィルムの製造および利用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
層状製品、特に層状菓子製品は良く知られている。それらは一般に、いわゆる仕上げローラに供給されるチョコレートペーストによって形成され、この仕上げローラからフィルムが剥がされかつ適当な成形型に集められて所望の製品となる。チョコレートペーストがフィルムに伸ばされる仕上げローラの速度を調整することによって、フィルムを長いシートとして剥がすことが可能になる。剥がし箆の角度を変えることによって、フィルムは、ローラの幅に等しい長さの、さざなみ状の、部分的に圧縮された菓子製品バーとして集めることができる。バーの幅、すなわちローラから剥がされる量は、成形ローラのストップ・スタートによって機械的に調整することができる。次に、ローラが停止している間に、形成されたバーを取出し具が剥がし箆から取り除く。個々のバーの長さは、さらに小型の鋭い突起のような機械的手段によって剥がし箆に沿って個々の長さにフィルムが切断されることによって調節される。
【0003】
或る従来の実例では、かかる工程で用いられるチョコレートペーストは、脂肪分含有量が標準的なチョコレート製品よりも高い。このチョコレートの固形片は破砕機に供給されて練られてからフィルム形成用仕上げローラを通過してフィルムにされる。或る場合には、練ることに加えて、若干の水、シロップ、または水を加えるためのビヒクルをペーストに添加して、フィルムにすることができる軟らかさを生じさせることもある。しかしながら、この水がペースト全体に一様に分布されるように注意を払わなければならず、さもないと不揃いのフィルムとこれに伴う不揃いの製品ができてしまう。
【0004】
別の従来の実例では、温度調節されたチョコレートの固形片は破砕機に供給されて破砕された後に、フィルム形成用仕上げローラを通過する。この温度調節されたチョコレートの脂肪分含有量は前述の実例よりも低く、チョコレートをフィルムにすることが可能な状態に変えるための水の添加を必要としない。
【0005】
上記ペーストは仕上げローラ上で冷されて、さらに脂肪の結晶化が制御された態様で誘発され、これにより、剥がし箆によって単一体として剥がされる安定なフィルムが生成する。チョコレートはさらに冷やされて、所望の、さざなみ状の、部分的に圧縮された形に形成され、可塑化されたチョコレートが硬化されて固形製品となる。
【0006】
図1は、層状チョコレート製品の製造方法の一例を一般的な形で示す図である。固形チョコレートの砕片がペースト2に練られ、一連のローラ4,6,8に供給され、ここで可塑化されたチョコレートフィルム10が形成される。十分な時間の経過後に、成形されるべき適当な温度で比較的一様なフィルムに形成され、整列され、さもなければ層状製品に形成され、このフィルムは剥がし箆12を用いてローラ8の表面から剥がされる。層状製品14は剥がし箆12上で形成され、製品14をクーラ20に運ぶコンベア18上にいずれかの適当な手段16によって移される。
【0007】
層状チョコレート製品を製造する従来の方法には問題がある。チョコレートのフィルムをローラ上で形成する方法は信頼性がなく、フィルム厚さにバラツキが生じ、製品の重量が一定にならない。このような製品のバラツキにより、所望の基準に適合しない製品は不合格品とするために、製造された層状チョコレート製品を一つ一つ検査しなければならない。或る場合には、強度を増すためおよび美観上の理由のために、層状チョコレート製品が食品(通常はさらなるチョコレート)からなる追加のカバー層でコーティングされる。もし層状チョコレート製品の外表面に欠陥があると、追加のカバー層(例えばチョコレート)に対し平滑な外表面が要求される。このことは、効率が悪いのみでなく、層状チョコレートまたはその他の製品が生む利益を減少させる。さらに、フィルムを適当な長さに切断するために溝付きのドクターブレードを用いると、大量のチョコレートフィルムがローラを次々に回って再加工されることになり、これによって特性が変ったり、非効率の原因になったりする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、層状チョコレート製品の製造に関して上述した従来のシステムの問題点を克服し、かつ概して人およびペットの食品産業に解決策を提供することにある。特に本発明の目的は、後に層状食品の製造に用いられる、人またはペットの食品(例えば、チョコレート、ヌガー、キャラメル、タフィー、砂糖、クリーム、アイスクリーム、ウエハス用生地、肉製品、ペットフード等、またはこれらの組み合わせ)からなる一定のフィルムの製造方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、食品が液状または可塑性を有する形態で表面上に施される第1ローラと、この第1ローラから距離t1だけ離れて配置され、厚さt1の食品フィルムが上記第1ローラを用いて表面上に施される独立した第2ローラとを備えた、一定の食品フィルムの製造装置が提供される。随意的に、上記第2ローラからギャップt2だけ離れて配置された独立した第3ローラが設けられて、第2ローラ上の食品フィルムを平滑化する。
【0010】
この装置によって製造されたフィルムは、第2ローラの幅全体に亘って一様の厚さを有し、これにより、従来の3ローラ式製造機を用いて製造されたフィルムの不揃いに伴う問題を回避することができる。従来技術で用いられたような、潰されてペーストのようなものにされる固形片と対比して、流動体、好ましくは液体を供給すると、極めて一様なフィルムの製造が可能になる。これに加えて、本発明の装置は、さらに残存する固形片を潰すのに必要な高い圧力を必要としないので、ローラ間に圧力を加えることなく作動される。したがって、3個のローラ周りに高い圧力を維持することに伴う実質的なランニングコストが低減される。ランニングコストの低減のみでなく、より低い圧力により操業がより安全になり、かつ作業者にとって、より低い圧力におけるシステムの監視および維持はより容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
好ましい実施の形態においては、この装置がチョコレートからなる一定のフィルムの製造に用いられる。チョコレートは温度調節されたチョコレートが特に好ましく、これによって高品質製品の製造が可能になる。本発明の装置を用いると、全てのタイプのチョコレートを無修正の形態で用いることができる。液体を利用できるようにするためにチョコレートの脂肪分含有量を変えたり、液体に水を加えたりして使えるようにする必要もない。例えば28から30重量%の標準的な脂肪分含有量のものを用いて、制御された厚さを有する一定のフィルムを製造することができる。
【0012】
本実施の形態においては、第2ローラが第1ローラよりも低温であることが好ましい。二つのローラ間に温度差があると、液状のチョコレートを第1ローラから第2ローラへ効率的に移すことができる。第1ローラに施されるチョコレートの品質およびタイプにもよるが、第1ローラは、好ましくは10℃から55℃まで、より好ましくは20℃から40℃まで、さらに好ましくは32℃から38℃までの範囲内の温度に保たれるのがよい。例えば温度調節されたチョコレートは、内部温度が32℃未満に保たれなければならない。したがって、ローラの温度はこの値未満に保たれるのが好ましい。もしローラ上での滞留時間が極めて短ければ、チョコレートの内部温度を著しく高めることなしに、温度調節されたチョコレートに対し第2ローラへ移るのに必要な熱を提供して所望の温度に保つために、ローラの温度は上記値よりも僅かに高くてもよい。
【0013】
本実施の形態においては、第2ローラが、好ましくは−20℃から30℃まで、より好ましくは−15℃から5℃までの範囲内の温度に保たれるのがよい。正確な温度は、この第2ローラのサイズおよび寸法、ならびに回転速度、すなわち第2ローラ上のフィルムの滞留時間に左右される。第1ローラによって第2ローラ上に施される初めは液体のフィルムは、フィルムの形態で、または層状製品の形態で、またはさざなみ状製品の形態で剥がされるのが可能なように、十分に冷やされなければならない。上述のように、二つのローラ間の温度差により、液状チョコレートを第1ローラから第2ローラへ効率的に移すことができる。これに加えて、上述した好ましい温度範囲内において、液状チョコレートは第2ローラ上で先ず可塑化されたチョコレートフィルムになり、それから層状製品に形成される。
【0014】
随意的に第2ローラは、このローラの中心部を通過する冷媒液を用いて冷却される。しかしながら、このローラを冷却するためにいかなる手段を用いてもよい。
【0015】
上記第3ローラ(設けられた場合に)は、第2ローラからの移動量が最少になるような温度に保たれるのが好ましい。この第3ローラは、第2ローラ上のフィルムを簡単に平滑化する。好ましい実施の形態においては、第1および第3ローラが同一温度に保たれる。これによって、二つのローラに対して共通の加熱源を用いることが可能になり、必要な部品点数を低減することができる。
【0016】
好ましくはt1およびt2が0.01mmから20mmまで、より好ましくは0.1mmから10mmまで、さらに好ましくは0.2mmから0.8mmまでの範囲内にあるのがよい。好ましい実施の形態においては、第3ローラが第2ローラ上のフィルムを一定の厚さt1に平滑化するためにt1とt2とが等しい。チョコレートフィルムに関しては、好ましくはt1とt2が0.01mmから5mmまで、より好ましくは0.1mmから1mmの範囲内にあるのがよい。
【0017】
別の好ましい実施の形態においては、第3ローラには第2食品要素が供給され、この第2食品要素は、第1フィルムの上に第2フィルムとして、あるいは第1フィルム内に埋め込まれる混入物の形態で施される。この場合には、第2フィルムの厚さだけ、または混入物の最大直径だけt2をt1よりも大きくするのがよい。チョコレートフィルムに対する可能性ある第2食品要素の例は、クリーム(例えばプラリーヌ、コーヒー、ミント、ホワイト等)、砕いたナッツ(例えばアーモンド、ヘイゼルナッツ等)、発泡させた麦芽乳菓子からなる混入物、ビスケット片、果物片(例えばレーズン、スルタナ、カランツ)、キャラメル、ヌガー、トリュフ、ポテトチップ、メレンゲ片、さらなるチョコレート層(例えばミルクチョコレート上のホワイトチョコレート等)、アイスクリーム、またはこれらの組合せである。全ての場合に、第1および第3ローラは、用いられる食品および製造される製品の性質に応じてフィルムの厚さが変えられるように、第2ローラに対して容易に移動可能になっている。
【0018】
上述のように、チョコレートからなる第1フィルムに対して、第3ローラを用いて加えられる第2食品要素は、固形食品でも液状食品でもよい。例えば、ヌガー層の上に載せられる、またはチョコレートの上に直接載せられるキャラメル層であり、あるいは、チョコレート層内に埋め込まれる砕いたナッツ、または果物片またはビスケット片でもよい。第2食品要素は、要望に応じて第1層上に制御された態様で分布されて、最終製品における一定または不定の分布を生成させる。もしチョコレートフィルム内に固形混入物が多量に埋め込まれることが望ましい場合には、固形混入物の粒子サイズ分布は重要である。混入物の直径は好ましくは0.5mmから6mmまで、より好ましくは2mmから4mmまでの範囲内がよい。混入物は、フィルム内にほぼ完全に埋め込まれたものであっても、あるいはフィルムの上に層をなして、僅かな部分だけが埋め込まれたものであってもよい。
【0019】
勿論、チョコレートからなる第1フィルム上に二つ以上の食品要素を付加してもよい。例えば二つまたはそれ以上の付加的フィルムであるように、全てが互いに同一の形態であっても、例えば第2フィルムと混入物層というように、異なるものであってもよい。付加的食品要素は、いかなる適当な手段、例えばさらなるローラ、ホッパーによって付加してもよい。本発明の装置は、所望の製品を製造するためにローラを幾つ用いてもよい。これらローラは、各食品要素を付加する間の平滑化ローラであっても、別のフィルムまたは混入物を付加するものであっても、あるいは最終的食品要素の付加後の平滑化ローラであっても、全く平滑化ローラを必要としないものであってもよい。
【0020】
第1ローラは、回転軸とほぼ垂直な多数の溝をローラの表面に備えていることが好ましい。液状チョコレートはローラの外表面にのみ付着して、溝には付着しない。その結果、チョコレートが移されると、一連の並列フィルムが第2ローラ上に形成される。これらフィルムの幅は、この後生成される製品の長さによって決定される。その結果、第2ローラの幅全体に亘る単一のフィルムではなく、並列な多数のフィルムが第2ローラ上に存在するので、ドクターブレードは、従来のような溝付きのブレードに比して単純な平らなブレードとすることができる。フィルムはすでに、適当な長さに「切断」されていることになる。単純な平らなドクターブレードを用いる方が、溝付きのドクターブレードよりも費用が節約されることに加えて、この装置は、特性が変りかつ製品が一様でなくなる従来の方法における非効率性と、一部のチョコレートが再加工されてしまうことを回避することができる。溝内の液状チョコレートは単純に収集桶に流下して再利用される。
【0021】
別の好ましい実施の形態においては、この装置は砂糖製品、例えばキャンディの一定なフィルムの製造に用いられる。この実施の形態においても、第2ローラが第1ローラよりも低温であることが好ましい。前述と同様に、このローラ間の温度差は、砂糖シロップの第1ローラから第2ローラへの効率的な移動を可能にする。砂糖のタイプと用いられる溶液の濃度にもよるが、第1ローラは、好ましくは80℃から180℃まで、より好ましくは120℃から150℃まで、さらに好ましくは120℃から140℃までの範囲内の温度に保たれるのがよい。例えば、適当な粘度を備えた97%砂糖シロップ(すなわち水分は3%)は、好ましくは100℃から150℃まで、より好ましくは120℃から150℃まで、さらに好ましくは120℃から140℃までの範囲内の温度に保たれた第1ローラから効率的に第2ローラへ移される。しかしながら、適当な粘度を備えた95%砂糖シロップ(すなわち水分は5%)は、90℃から120℃まで、好ましくは100℃から110℃までの範囲内の温度に保たれた第1ローラから効率的に第2ローラへ移される。
【0022】
本実施の形態においては、第2ローラが好ましくは15℃から60℃まで、より好ましくは30℃から40℃までの範囲内の温度に保たれるのがよい。正確な温度は、砂糖溶液のフィルムとローラとの間の熱の移動を制御する多くの要因の組合せによって左右される。これら制御変数の中で主要なものは滞留時間であり、この滞留時間は、第2ローラの直径と回転速度、および第1ローラとドクターブレードとの相対位置によって影響を受ける。一方、第2ローラ上の砂糖溶液は、ドクターブレードによって剥がされて層状製品に形成されるのに十分な程度に硬化するのが好ましい。勿論、プラント内の熱エネルギーを最大限利用した熱源を用いた熱交換によって、第2ローラの少なくとも一部を加熱または冷却することが好ましい。
【0023】
あるいは、第1ローラの代わりにゲートを備えたホッパーを用いて、制御された厚さと幅とを有する砂糖シロップフィルムを第2ローラ上に生成させてもよい。
【0024】
第3ローラ(存在する場合に)は第2ローラよりも高い温度に保たれていることが好ましい。これにより、第2ローラから第3ローラへの砂糖溶液の移動量が最少になり、かつ第3ローラが第2ローラ上のフィルムを平滑化したり、第1フィルムの上にさらなるフィルムを施したりすることができる。
【0025】
一つの好ましい実施の形態においては、t1=t2であり、これによって第3ローラは磨きローラとして動作し、第2ローラ上のフィルムを平滑化する。別の実施の形態においてはt2>t1であり、第3ローラは第2ローラに対し第2の食品要素を第2フィルムの形態で、または固形混入物のセットとしての形態で供給する。勿論4個以上のローラを設けてもよく、第2ローラの周囲の「衛星」ローラはすべて第2ローラに対して周方向および半径方向に移動可能である。
【0026】
チョコレートの実施の形態に関する限りでは、第1ローラがその表面上に、このローラの回転軸にほぼ垂直な多数の狭い溝を備えているのが好ましい。これによって、第2ローラ上で並列なフィルムの組を生成させることが可能になり、溝付きのドクターブレードを必要としなくなる。
【0027】
別の好ましい実施の形態においては、この装置は、焼き菓子材料、例えば生地、またはパスタベースの一定のフィルムを製造するのに用いられる。本実施の形態においては、第2ローラを回るときに薄い焼き菓子が焼かれるように、第2ローラが第1ローラよりも高温である。ローラ間のこの温度差は、第1ローラから第2ローラへ液状の焼き菓子材料が効率的に移るのを可能にする。
【0028】
ここでも、これらローラの正確な温度は、焼き菓子材料が第1ローラと第2ローラとの間の熱の移動を制御する多くの要因の組合せによって左右される。これら制御変数の中で主要なものは滞留時間であり、この滞留時間は、第2ローラの直径と回転速度、および第1ローラとドクターブレードとの相対位置によって影響を受ける。一方、第2ローラ上の焼き菓子材料は、ドクターブレードによって剥がされて層状製品に形成されるのに十分な程度に焼かれるのが好ましい。勿論、プラント内の熱エネルギーを最大限利用した熱源を用いた熱交換によって、第2ローラの少なくとも一部を加熱することが好ましい。
【0029】
第3ローラ(存在する場合に)は第2ローラよりも低い温度に保たれていることが好ましい。これにより、第2ローラから第3ローラへの焼き菓子材料の移動量が最少になり、かつ第3ローラが第2ローラ上のフィルムを平滑化したり、第1フィルムの上にさらなるフィルムを施したりすることができる。好ましい実施の形態においては、第1および第3ローラの温度が等しく、これにより、双方のローラに対して同じ熱源を用いることができる。
【0030】
一つの好ましい実施の形態においては、t1=t2であり、これによって第3ローラは磨きローラとして動作し、第2ローラ上のフィルムを平滑化する。別の実施の形態においてはt2>t1であり、第3ローラは第2ローラに対し第2の食品を、第2フィルムの形態で、または固形混入物のセットとしての形態で供給する。勿論4個以上のローラを設けてもよく、第2ローラの周囲の「衛星」ローラはすべて第2ローラに対して周方向および半径方向に移動可能である。
【0031】
チョコレートと砂糖の実施の形態に関する限りでは、第1ローラがその表面上に、このローラの回転軸にほぼ垂直な多数の狭い溝を備えているのが好ましい。これによって、第2ローラ上で並列なフィルムの組を生成させることが可能になり、溝付きのドクターブレードを必要としなくなる。
【0032】
さらに別の実施の形態においては、この装置がペットフード製品からなる一定のフィルムの製造に用いられる。本実施の形態においては、第2ローラが第1ローラよりも低温であることが好ましい。ここでも双方のローラ間の温度差が、第1ローラから第2ローラへのペットフード材料の効率的な移動を可能にする。
【0033】
前述と同様に、これらローラの正確な温度は、第1ローラ上のペットフード材料のフィルムと第2ローラとの間の熱の移動を制御する多くの要因の組合せによって左右される。これら制御変数の中で主要なものは滞留時間であり、この滞留時間は、第2ローラの直径と回転速度、および第1ローラとドクターブレードとの相対位置によって影響を受ける。一方、第2ローラ上のペットフード材料は、ドクターブレードによって剥がされて層状製品に形成されるのに十分な程度に硬化するのが好ましい。プラント内の熱エネルギーを最大限利用した熱源を用いた熱交換によって、第2ローラの少なくとも一部を加熱または冷却することが好ましい。
【0034】
第3ローラの温度は、第2ローラから第3ローラへのペットフード材料の移動量が最少になるように選択され、これにより、第3ローラが第2ローラ上のフィルムを平滑化したり、第1フィルムの上にさらなるフィルムを施したりすることができる。好ましい実施の形態においては、第1および第3ローラの温度が等しく、これにより、双方のローラに対して同じ熱源を用いることができる。
【0035】
一つの好ましい実施の形態においては、t1=t2であり、これによって第3ローラは磨きローラとして動作し、第2ローラ上のフィルムを平滑化する。別の実施の形態においてはt2>t1であり、第3ローラは第2ローラに対し第2の食品を、第2フィルムの形態で、または固形混入物のセットとしての形態で供給する。勿論4個以上のローラを設けてもよく、第2ローラの周囲の「衛星」ローラはすべて第2ローラに対して周方向および半径方向に移動可能である。
【0036】
前述の実施の形態と同様に、第1ローラがその表面上に、このローラの回転軸にほぼ垂直な多数の狭い溝を備えているのが好ましい。これによって、第2ローラ上で並列なフィルムの組を生成させることが可能になり、溝付きのドクターブレードを必要としなくなる。
【0037】
本発明の装置の利点は、流体の特性を備えたいかなる材料にも適応できることである。流体材料に関しては、所望の製品によって脂肪と砂糖の含有量を変えることができる。本発明の装置は、装置の形式を実質的に変えることなく、幅広い範囲の脂肪と砂糖の含有量に適応するのに極めて融通性に富むものである。
【0038】
本発明の第2の態様によれば、食品が流動性または可塑性を有する形態で表面上に施される第1ローラと、この第1ローラから距離t1だけ離れて配置され、厚さt1の食品フィルムが上記第1ローラを用いて表面上に施される独立した第2ローラと、この第2ローラの表面から食品の薄いフィルムを剥がすための第2ローラ上のドクターブレードと、上記食品が集められる多数のキャビティを備えた回転式成形型とを備えた、層状食品の製造装置が提供される。随意的に、上記回転式成形型が、形成された層状製品を排出するのに必要な手段を備えている。この装置は、上記第2ローラからギャップt2だけ離れて配置された独立した第3ローラを随意的に備えていて、第2ローラ上の食品フィルムを平滑化する。この第3ローラは、第2ローラ上の第1層の上に第2食品要素の層を付加するための手段を随意的に備えている。フィルムとして、または固形混入物としてのさらなる層を付加するための第4またはそれ以上のローラを随意的に備えていてもよい。さらなる層または固形混入物を付加するためのさらなる適当な手段、例えばホッパーを備えていてもよい。この第2の層は、第2ローラ上の可塑化された第1層上に比較的一様な層を形成するために十分に流動性を備えていれば、いかなる食品材料であってもよい。
【0039】
食品からなる一定のフィルムを製造するための装置の利点が上述に説明されているが、すべての好ましい特徴がこの本発明の態様にも等しく適用される。層状製品の製造のための原料として、食品からなる一定のフィルムを用いることにより、従来の方法の多くの問題点を回避することができる。特に、一定のフィルムは、より一様な製品の製造を可能にする。製品の密度および形状の変動(従来品には時々見られた)は回避される。このことは、もし望むならば、製造された製品がより一様な外表面を備えることができることを意味し、この外表面によって、必要ならばより一様な厚さのコーティング材料が得られる。また製品が一様であることにより、層状製品が要求された基準を満足していることを保証するための人手による監視の必要性が低減される。この装置は、別の最終製品を製造するために、厚さの異なる食品フィルムの製造に用いることもできる。この装置はまた、単一製品の中で厚さに所定の変化を生じさせるのに用いることもできる。
【0040】
回転式成形型の温度は、用いられる食品に適合するように注意深く調節される。この成形型は加熱または冷却される。成形型内での冷却または加熱は、流体材料を、層状製品またはさざなみ状製品またはフィルム状製品に細工することができる可塑化された固形の形態に変換する手助けをする。例えば成形型は、材料を焼き、または冷却を通じて材料を結晶化し、あるいは加熱によって蛋白質を硬化させる。いずれの温度調節も、成形型の中心部を通過する液体を用いて行なうことが好ましい。成形型の温度調節を中心部で行なうことは、例えば所定の温度を有する一定のガス流を成形された製品の上から吹きつけるよりも安価かつ容易である。成形型の温度は、チョコレートに適用した場合、−25℃から20℃までの範囲内に保たれることが好ましく、それが第2ローラの温度に等しいことが好ましく、これにより、同じ温度調節液を双方の構成部品に通すのに用いることができる、しかしながら、もし双方の構成部品の温度が異なっていても、加熱または冷却の度合を変えることによって、同じ液を双方の構成部品に用いることができ、それでもシステム全体の負荷を低減することができる。勿論、二つの構成部品を個別に調節することも可能である。
【0041】
層状製品を回転式成形型(必要な場合)から排出させる手段は、吸引手段、重力落下手段、および物理的手段を含むいずれのものでもよい。この排出手段は、食品によって異なり、剥がされた層状製品の重量および密度、および成型型から排出される時点における製品の強度のような要素を考慮して選択される。例えば、重力のみを利用して製品を回転式成形型から確実に落下させるには重量も密度も十分でない場合がある。この場合には、物理的または吸引手段を用いて製品を排出させるのが適当である。採用可能な物理的手段は、物理的押し棒、袋状材料に対する送風を含むがこれに限定されるものではない。製品が重力のみを利用して回転式成形型から確実に落下させるのに十分な重量および密度を備えている場合もある。したがって、この場合には、いかなる付加的な排出手段も用いる必要がない。当然ながら、成形型の各1回転ごとに製品が排出されること、または成形型の次の1回転で、ドクターブレードが早くもさらなる食品フィルムを全キャビティに導入することが望ましい。
【0042】
成形型の条件も、層状にされる製品の材料によって左右される。例えば、チョコレートに関しては、成形型は製品をさらに硬化させるために、好ましくは−25℃から20℃まで、より好ましくは−15℃から10℃までの範囲内に冷却される。しかしながら焼き菓子材料に関しては、材料を焼くためにおそらく温度が高くなる。
【0043】
本発明は、一定な食品フィルムを生成させる方法にも広がり、この方法は、
(a)流動性または可塑性を有する食品を第1ローラに施し、
(b)この第1ローラから距離t1だけ離れて配置されかつ反対方向に回転する第2ローラに、流動性または可塑性を有する食品フィルムを移し、
(c)上記第2ローラから距離t2だけ離れて配置された第3ローラを用いて、第2ローラ上の食品フィルムを随意的に平滑化し、
(d)上記食品フィルムを、十分に可塑化されたフィルムの形態をとるように随意的に加熱または冷却することを含む。
【0044】
この方法はまた随意的に、第3ローラを用いて第2食品要素を上記フィルム上に施すことを含み、この第3ローラは、第2ローラ上の第1フィルムの上に第2フィルムを移動させる。この第2食品要素は、第1フィルムの上に比較的一様な層を形成することができるように十分に流動化されている限り、固体でも液体でもよい。この場合、第3ローラは第1ローラと同一方向でかつ第2ローラとは反対方向に回転する。この第3ローラが第2ローラの表面上のフィルムについた筋を平滑にする場合には、第3ローラは第2ローラと同一方向に回転する。勿論、本発明は、さらなる食品要素を付加したり、生成されたフィルムを平滑にしたりするために、第2ローラの周囲において多くの衛星ローラ(またはホッパー)を用いることにも広がる。
【0045】
本発明はまた、層状食品を形成する方法にも及び、この方法は、
(a)流動性または可塑性を有する食品を第1ローラに施し、
(b)該第1ローラから距離t1だけ離れて配置されかつ反対方向に回転する第2ローラに、流体状または可塑性を有する食品フィルムを移し、
(c)上記第2ローラから距離t2だけ離れて配置された第3ローラを用いて、第2ローラ上の食品フィルムを随意的に平滑化し、
(d)上記第2ローラ上の食品フィルムに対し、食品からなる第2層を随意的に付加し、
(e)上記食品フィルムを、十分に可塑化されたフィルムの形態をとるように随意的に加熱または冷却し、
(f)上記可塑化された食品フィルムを、ドクターブレードを用いて第2ローラから制御された態様で剥がし、
(g)上記可塑化された食品フィルムを回転式成形型内のキャビティ内に受容して、各キャビティ内でフィルムを所定のかつ制御された形にし、
(h)形成された層状製品を回転式成形型内の複数のキャビティから排出することを含む。
【0046】
前述した装置の好ましい特徴および利点は、この装置を作動させる方法にも等しく適用される。特に、第3ローラには随意的に、すでに第2ローラ上に形成されている第1食品要素のフィルムの上に比較的一様な層を形成することができるように十分に流動化された第2食品要素を供給することができる。この場合も、第3ローラは第1ローラと同一方向でかつ第2ローラとは反対方向に回転するが、この第3ローラが第2ローラの表面上のフィルムについた筋を平滑にする場合には、第3ローラは第2ローラと同一方向に回転する。
【0047】
本発明はまた、本発明の方法により製造された製品にも及ぶ。特に、本発明は、添付図面に示された層状食品の形成にも及ぶ。一つの特に好ましい実施の形態は、図10に示された渦構造である。これら多数の実施の形態は、製造方法の他の態様についても有益な作用を備えた付随効果を有する。特に、内側の層状体が型に入れられる前にチョコレートフィルムからなる外側層が存在する図7に示された実施の形態は、もし要望があれば、次なるコーティング工程において、より少量のまたはより多量のチョコレートを用いる結果となる。或る場合には、層状製品をコーティングする必要が全く無く、コーティングの有無にかかわらず、物理的に安定な製品を製造することができる。
【0048】
本発明の種々の態様のその他の特徴および利点は下記の詳細な説明から明らかになるであろう。本発明は、種々の態様で実施することができ、添付図面を参照して本発明を説明するために具体例によって多くの実施の形態を説明する。
【実施例】
【0049】
前述のように、図1は、従来の方法による、さざなみ状の、部分的に圧縮された菓子のバーを調製するためのシステムの一般的な構造を示す。このシステムの欠点のいくつかは、上述に記載されている。
【0050】
下記の実施の形態は特に、チョコレートを第1ローラから第2ローラへ移し、次いで層状菓子製品を形成することに関連するものであるが、本発明は、チョコレートを使用することのみに限定されるものではないことを認識すべきである。上述したように、本発明は、可塑化された固体からなる厚さが一定のフィルムに容易に形成されるべき液体または十分に流動性または可塑性を有する全ての人またはペット用の食品に適用可能である。それに加えて、第2ローラ上でフィルムに付加されるいかなる二次的食品要素も適宜固体または液体であってもよい。チョコレートフィルムのための可能性ある二次的食品要素の具体例は、クリーム(例えばプラリーヌ、コーヒー、ミント、ホワイト等)、砕いたナッツ(例えばアーモンド、ヘイゼルナッツ等)、発泡させた麦芽乳菓子からなる混入物、ビスケット片、果物片(例えばレーズン、スルタナ、カランツ)、キャラメル、ヌガー、トリュフ、ポテトチップ、メレンゲ片、さらなるチョコレート層(例えばミルクチョコレート上のホワイトチョコレート等)、アイスクリーム、またはこれらの組合せである。
【0051】
図2は、中心軸51の周りを矢印で示すように反時計方向に回転する第1ローラ50を示す。このローラに対して、温度調節された液状のチョコレート52が供給容器53から施される。本発明において、第1ローラ50に対する容器53からの供給方法は限定されない。いかなる適当な手段によってローラに対する一定の液体の供給を行なっても、本発明のフィルム製造に関する基本を形成することができる。液状のチョコレートは、ローラ50の外表面に付着し、第2ローラ60に向かって回転する。第2ローラは第1ローラよりも大径として示されているが、これは本発明の要件ではない。
【0052】
第2ローラ60は、第1ローラ50に対して反対方向に回転する。この場合、第2ローラは、図2に矢印で示すように中心軸61の周りを時計方向に回転する。二つのローラの相対位置を替えたとしても、勿論二つのローラは反対方向に回転することができる。図2における二つのローラの相対位置は、例示したに過ぎず、限定されない。形成されたフィルムが、適当な手段、例えばドクターブレードによって第2ローラから剥がされる位置に対する第1ローラの位置は、第2ローラ上に滞留する期間、したがってフィルムの冷却度合を制御する手段として調節される。この冷却度合は、ローラ60の回転速度、ローラ60の直径、およびローラ60の温度を制御することによっても調節することができる。もしローラ60上のフィルムに筋がついたときには、1個または複数の衛星ローラを用いることによって平らにならすことができる。
【0053】
第1ローラの表面(液状チョコレートでコーティングされている)が、領域65において第2ローラに接触すると、チョコレートは第1ローラから第2ローラへ移る。接触領域65を過ぎると、チョコレートは移され、かつ平らにならされて、第2ローラ60上で一定なチョコレートフィルムを形成する。二つのローラ外表面間のギャップはt1であり、したがって、厚さt1のフィルムが第2ローラ上に形成される。
【0054】
双方のローラ50,60は、図示しない温度制御手段によって温度を制御される。これらの温度制御手段は、各ローラの中心領域を通過する温度制御された液体であることが好ましい。第1ローラから第2ローラへの液状チョコレートの効率的な移転を可能にするために、第2ローラ60は第1ローラ50よりも低い温度に保たれる。選定される温度差は、移される食品と、第2ローラ上に形成されるフィルムに関する最終的な用途とに左右される。多くの場合、第2ローラは、液状チョコレートを可塑化された形態に冷やす温度に保たれ、その結果、チョコレートフィルムを容易に1個ずつ取り除けるようになる。上述のように、もしチョコレートの代わりの食品、例えば焼き菓子が採用された場合には、第2ローラは第1ローラよりも高い温度において、生地を焼いて適当に硬化した形態にする。
【0055】
図3に示されているように、このシステムはさらに、第1ローラ50よりも第2ローラ60の回転方向に寄った第2ローラの周縁に位置する第3の磨きローラ70を備えていてもよい。この磨きローラ70は、その中心軸71の周りを時計方向に(すなわち、第2ローラと同一方向に)回転する。この磨きローラ70の目的は、第2ローラ上のフィルムの材料表面についたいかなる筋も平らにならして厚さt2にすることである。この厚さは、フィルムが必要とされる平滑性と厚さに材料がなるように変更される。この磨きローラは第2ローラよりも高い温度に保たれて、チョコレートが第2ローラから磨きローラへ移るのを最少にしている。
【0056】
図4aに示された別の構成においては、第3ローラが、すでに第2ローラ60上にあるチョコレートフィルム上に第2の食品要素を施すのに用いられている。この第2の食品要素は、いかなる適当な食品(例えばクリーム、ヌガー、キャラメル、固形混入物、さらなるチョコレート等)でもよく、チョコレート層と同様の態様で第2ローラへ移される。この実施の形態においては、第3ローラが反時計方向(すなわち、第1ローラと同一方向)に回転して、第2の食品要素を第2ローラ60へ移すことができる。
【0057】
勿論、本発明は、最多で3個のローラを備えたものに限定されるものではなく、二つまたはそれ以上の構成要素からなるフィルムについた筋を平らにならしたり、さらなる構成要素を付加したりするために、さらに多くのローラを用いてもよい。さらに、固形の構成要素(例えばナッツ)を第3ローラの前または後に加えてもよい。これらの構成要素は、いずれかの適当な手段、例えば第2ローラの上方に配置されて固形物を制御された割合で放出するホッパーによって付加すればよい。図4b〜4fは、可能性あるシステムのさらなる、非限定的な実施の形態を示す。全ての衛星ローラは、相互に対して、かつ第2ローラに対して独立的に動く。これによって、厚さの異なるフィルムを製造することができ、かつ混入物の付加位置を変えることができる。したがって、システムの融通性が増大し、広い範囲の製品の製造が可能になる。これらの図において、符号75は固形混入物を第2ローラに供給するホッパーを示し、符号70aおよび71aはさらなるローラと回転軸を表している。
【0058】
並列に走行しかつ互いに接触している一連のフィルムもまた、第1ローラに対して液体(例えばチョコレート)を注意深く施すことによって、第1ローラから第2ローラへ移すことができる。具体例として、2種類またはそれ以上のタイプの異なるチョコレート(例えばプレーン、ホワイト、ミルク)を制御されたやり方(例えばノズル)で第1ローラへ供給すると、第1ローラ上に一連の並列フィルムが形成される。これらフィルムは次いで上述したメカニズムによって第2ローラへ移される。これにより、チョコレートのストリップと、例えば香料入りクリームまたはチョコレートのストリップとを交互に均等に施すことができる。
【0059】
図5は、層状菓子製品の製造装置を示し、この装置は、上述したチョコレートフィルムを製造するための、第1ローラ50と、第2ローラ60と、第3の磨きローラ70とを備えている。回転式成形型80が第2ローラ60の近傍に移動可能に配置されており、この成形型は、第2ローラからチョコレートが供給される多数のキャビティ82を備えている。チョコレートフィルムを第2ローラの表面から剥がすのは、第2ローラおよび成形型の双方に対して移動可能なドクターブレード90である。フィルムが第2ローラから剥がされると、一般に第2ローラに対して所定の速度で回転している成形型に供給される。第2ローラと回転式成形型との相対速度によって、チョコレートの各キャビティへの供給量が、したがって各製品の密度と重量とが制御される。
【0060】
第2ローラと、ドクターブレードと、ドクターブレード支持体と、回転式成形型との空間的配置は、製造される、層状、またはさざなみ状製品の幾何学的形状を変えるために調整することができる。特に、回転式成形型は、キャビティ内で異なる構造のものを製造しているときに、他の構成部品に対して移動させることができ、これにより、異なる層状、またはさざなみ状製品を生成させる(例えば図7〜図11参照)。例えば回転式成形型は、回転軸の周りで揺動運動を行なうことができ、これによりチョコレートフィルムが成形型のキャビティ内に所定の態様で案内されて、所望の形に形成される。0.1秒間から5秒間の範囲内にある、チョコレートフィルムを第2ローラから回転式成形型のキャビティ内へ移すための通常の所要時間中において、成形型は第2ローラに対して何回も動かされる。この動きは同一速度である必要は全くなく、構成部品全体の動きの制御は、電子的運動制御システムによって行なわれるのが好ましい。上記所要時間中における回転式成形型の動作の実際の作用は、チョコレートフィルムを受容するために次の空のキャビティが第2ローラに提供されるように第2ローラに対応して回転することである。
【0061】
第2ローラの周囲に設けられたドクターブレードの位置は、第2ローラ上におけるチョコレートフィルムの滞留時間の制御手段の一つとして変更される。このドクターブレードの位置もフィルムの物理的性質に影響を与えるので、所望の製品を製造するためには、構成部品の相対的位置の修正が必要になる。これに加えて、第2ローラと成形型の双方に対するドクターブレードおよび取出しベルトの取付け角度も動作中に変えることができる。これにより、チョコレートフィルムが回転式成形型に供給される位置におけるドクターブレードの角度が調節され、成形型の動きと連動されると、層状またはさざなみ状製品の幾何学的形状が影響を受ける。一旦動作位置が決定されると、ドクターブレードはその位置に固定される。
【0062】
製品85は、いずれかの適当な手段(例えば、重力手段、吸引手段、物理的手段)によって回転式成形型80から取出しベルト100上に排出される。そこから製品85は、調整トンネルを通過し、ここでさらに加熱または冷却されて層状製品に固化され、および/または所望の結晶構造を確保する。これに加えて、層状製品はコーティングマシーンに通されて、美観のためにさらなる材料、例えばチョコレートの層で覆われる。製品の硬化のためさらに冷却された後、層状製品は最終的に包装機に通されて、適当な包装が施される。図5には、取出しベルト100がローラ50,60,70と同一平面に示されているが、成形型に対していかなる角度も取り得る。したがって、取出しベルト100が形成型と直角に配置されて、下流における処理のために製品を紙面に向かう方向に取り出すようにしてもよい。
【0063】
各製品の長さは、第1ローラの外表面の溝を用いて調節されるのが好ましい。図6を参照すると、第1ローラ50にはこのローラの長手方向に沿って配置された多数の溝55が示されている。これら溝は比較的浅いが、液状チョコレートの付着を防止するためには十分に深い。したがって、チョコレートはローラの外周面にのみ付着して、互いに僅かなギャップを隔てて分離された多数のフィルムを形成する。この一組のフィルムは第2ローラに移され、次いで成形型内で製品にされる。製品の長さを調節するためのこのメカニズムの利点は、溝付きドクターブレードを備えた従来技術に比較して、第2ローラにチョコレートが残留せず、したがって再加工されないことである。
【0064】
上述したように、第2ローラ60、ドクターブレード90、回転式成形型80、および取出しベルト100の相互関係により層状製品の形成が制御される。異なる層状の形成を生じさせることもできる。特に、チョコレートフィルムが先ずキャビティ全体の輪郭に従う図7に示された構成が好ましい。この製品はいかなるコーティングをも付加する必要もなく、これにより製造工程が節約され、したがってコストと作業時間とが低減される。フィルムが次第に縮径される渦巻きを形成する別の好ましい製品が図10に示されている。この製品構造は、従来の方法を用いては不可能である。
【0065】
図5における成形型85にはほぼ半円形のキャビティ82が示されているが、他の形状の、例えば三角形のキャビティを用いてもよい。半円形キャビティと同様の原理が三角形キャビティにも同様に適用され、異なる層状製品が第2ローラ、ドクターブレード、ドクターブレード支持体、および回転式成形型の間の幾何学的関係を同時に変えることによって、異なる層状製品の製造が可能である。前述と同様に、他の構成部品に対する回転式成形型の位置は1秒ごとに何回も変えることができる。回転式成形型はその回転軸の周りで揺動運動をすることができ、図7に示されたような製品を製造する助けとなる。
【0066】
図12は、第2食品要素として多数の固形混入物86を含む層状製品85の概略図である。これら固形混入物は、例えば果物、ナッツ、ビスケット片、発泡させた麦芽乳菓子からなる混入物、ポテトチップ等である。上述したように、第1層がチョコレートの場合、第2食品要素は、クリーム、ヌガー、キャラメル、アイスクリーム、およびさらなるチョコレート層のみでなく固形混入物も含む。本発明においては、要望に応じて、いかなる異なるタイプの食品要素も選択され採用される。
【0067】
本発明の装置および方法は、簡単な形成時間の調節、フィルム厚および組合せの変更によって、密度の異なるチョコレート製品を製造する融通性を有する。
【0068】
以上、チョコレートを引用して本発明を例示したが、本発明はこの食品に限定されるものではない。前述したように、砂糖材料、キャラメル,肉製品、アイスクリーム,焼き菓子、およびペットフードを含む、かつこれらに限定されない種々のタイプの食品を本発明に利用することができる。作業条件は用いられる食品に応じて変るが、同じ一般的原理が適用される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】層状食品の製造のための従来のシステムの一例を一般的な形態で示す図である。
【図2】人またはペット用の食品からなる一定のフィルムを調製するための本発明による第1のシステムの概略図である。
【図3】人またはペット用の食品からなる一定のフィルムを調製するための本発明による第2のシステムの概略図である。
【図4a】第2層または二次的な構成要素を備えた人またはペット用の食品からなる一定のフィルムを調製するための本発明によるシステムの概略図である。
【図4b】付加的な層または構成要素を備えた一定のフィルムを調製するためのシステムの概略図である。
【図4c】付加的な層または構成要素を備えた一定のフィルムを調製するためのシステムの概略図である。
【図4d】付加的な層または構成要素を備えた一定のフィルムを調製するためのシステムの概略図である。
【図4e】付加的な層または構成要素を備えた一定のフィルムを調製するためのシステムの概略図である。
【図4f】付加的な層または構成要素を備えた一定のフィルムを調製するためのシステムの概略図である。
【図5】層状菓子製品を調製するためのシステムの概略図である。
【図6】本発明による第1ローラの概略図である。
【図7】本発明による層状製品の概略的断面図である。
【図8】本発明による層状製品の概略的断面図である。
【図9】本発明による層状製品の概略的断面図である。
【図10】本発明による層状製品の概略的断面図である。
【図11】本発明による層状製品の概略的断面図である。
【図12】本発明による層状製品の概略的断面図である。
【符号の説明】
【0070】
50 第1ローラ
60 第2ローラ
70 第3ローラ
75 ホッパー
80 回転式成形型
82 キャビティ
85 製品
90 ドクターブレード
100 取出しベルト
【技術分野】
【0001】
本発明は、人またはペット用の一定の薄い食品フィルムを連続的に製造するための方法および装置に関するものである。特に本発明は、かかるフィルムを、層状製品の製造に利用することにまで及ぶものである。本発明は特に、ヌガー、キャラメル、チョコレート、および砂糖のような菓子製品製造用フィルムのみでなく、肉製品、アイスクリーム、焼き菓子材料、ならびに装飾バターおよびスプレッドのような人の食品製造用フィルムの製造および利用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
層状製品、特に層状菓子製品は良く知られている。それらは一般に、いわゆる仕上げローラに供給されるチョコレートペーストによって形成され、この仕上げローラからフィルムが剥がされかつ適当な成形型に集められて所望の製品となる。チョコレートペーストがフィルムに伸ばされる仕上げローラの速度を調整することによって、フィルムを長いシートとして剥がすことが可能になる。剥がし箆の角度を変えることによって、フィルムは、ローラの幅に等しい長さの、さざなみ状の、部分的に圧縮された菓子製品バーとして集めることができる。バーの幅、すなわちローラから剥がされる量は、成形ローラのストップ・スタートによって機械的に調整することができる。次に、ローラが停止している間に、形成されたバーを取出し具が剥がし箆から取り除く。個々のバーの長さは、さらに小型の鋭い突起のような機械的手段によって剥がし箆に沿って個々の長さにフィルムが切断されることによって調節される。
【0003】
或る従来の実例では、かかる工程で用いられるチョコレートペーストは、脂肪分含有量が標準的なチョコレート製品よりも高い。このチョコレートの固形片は破砕機に供給されて練られてからフィルム形成用仕上げローラを通過してフィルムにされる。或る場合には、練ることに加えて、若干の水、シロップ、または水を加えるためのビヒクルをペーストに添加して、フィルムにすることができる軟らかさを生じさせることもある。しかしながら、この水がペースト全体に一様に分布されるように注意を払わなければならず、さもないと不揃いのフィルムとこれに伴う不揃いの製品ができてしまう。
【0004】
別の従来の実例では、温度調節されたチョコレートの固形片は破砕機に供給されて破砕された後に、フィルム形成用仕上げローラを通過する。この温度調節されたチョコレートの脂肪分含有量は前述の実例よりも低く、チョコレートをフィルムにすることが可能な状態に変えるための水の添加を必要としない。
【0005】
上記ペーストは仕上げローラ上で冷されて、さらに脂肪の結晶化が制御された態様で誘発され、これにより、剥がし箆によって単一体として剥がされる安定なフィルムが生成する。チョコレートはさらに冷やされて、所望の、さざなみ状の、部分的に圧縮された形に形成され、可塑化されたチョコレートが硬化されて固形製品となる。
【0006】
図1は、層状チョコレート製品の製造方法の一例を一般的な形で示す図である。固形チョコレートの砕片がペースト2に練られ、一連のローラ4,6,8に供給され、ここで可塑化されたチョコレートフィルム10が形成される。十分な時間の経過後に、成形されるべき適当な温度で比較的一様なフィルムに形成され、整列され、さもなければ層状製品に形成され、このフィルムは剥がし箆12を用いてローラ8の表面から剥がされる。層状製品14は剥がし箆12上で形成され、製品14をクーラ20に運ぶコンベア18上にいずれかの適当な手段16によって移される。
【0007】
層状チョコレート製品を製造する従来の方法には問題がある。チョコレートのフィルムをローラ上で形成する方法は信頼性がなく、フィルム厚さにバラツキが生じ、製品の重量が一定にならない。このような製品のバラツキにより、所望の基準に適合しない製品は不合格品とするために、製造された層状チョコレート製品を一つ一つ検査しなければならない。或る場合には、強度を増すためおよび美観上の理由のために、層状チョコレート製品が食品(通常はさらなるチョコレート)からなる追加のカバー層でコーティングされる。もし層状チョコレート製品の外表面に欠陥があると、追加のカバー層(例えばチョコレート)に対し平滑な外表面が要求される。このことは、効率が悪いのみでなく、層状チョコレートまたはその他の製品が生む利益を減少させる。さらに、フィルムを適当な長さに切断するために溝付きのドクターブレードを用いると、大量のチョコレートフィルムがローラを次々に回って再加工されることになり、これによって特性が変ったり、非効率の原因になったりする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、層状チョコレート製品の製造に関して上述した従来のシステムの問題点を克服し、かつ概して人およびペットの食品産業に解決策を提供することにある。特に本発明の目的は、後に層状食品の製造に用いられる、人またはペットの食品(例えば、チョコレート、ヌガー、キャラメル、タフィー、砂糖、クリーム、アイスクリーム、ウエハス用生地、肉製品、ペットフード等、またはこれらの組み合わせ)からなる一定のフィルムの製造方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、食品が液状または可塑性を有する形態で表面上に施される第1ローラと、この第1ローラから距離t1だけ離れて配置され、厚さt1の食品フィルムが上記第1ローラを用いて表面上に施される独立した第2ローラとを備えた、一定の食品フィルムの製造装置が提供される。随意的に、上記第2ローラからギャップt2だけ離れて配置された独立した第3ローラが設けられて、第2ローラ上の食品フィルムを平滑化する。
【0010】
この装置によって製造されたフィルムは、第2ローラの幅全体に亘って一様の厚さを有し、これにより、従来の3ローラ式製造機を用いて製造されたフィルムの不揃いに伴う問題を回避することができる。従来技術で用いられたような、潰されてペーストのようなものにされる固形片と対比して、流動体、好ましくは液体を供給すると、極めて一様なフィルムの製造が可能になる。これに加えて、本発明の装置は、さらに残存する固形片を潰すのに必要な高い圧力を必要としないので、ローラ間に圧力を加えることなく作動される。したがって、3個のローラ周りに高い圧力を維持することに伴う実質的なランニングコストが低減される。ランニングコストの低減のみでなく、より低い圧力により操業がより安全になり、かつ作業者にとって、より低い圧力におけるシステムの監視および維持はより容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
好ましい実施の形態においては、この装置がチョコレートからなる一定のフィルムの製造に用いられる。チョコレートは温度調節されたチョコレートが特に好ましく、これによって高品質製品の製造が可能になる。本発明の装置を用いると、全てのタイプのチョコレートを無修正の形態で用いることができる。液体を利用できるようにするためにチョコレートの脂肪分含有量を変えたり、液体に水を加えたりして使えるようにする必要もない。例えば28から30重量%の標準的な脂肪分含有量のものを用いて、制御された厚さを有する一定のフィルムを製造することができる。
【0012】
本実施の形態においては、第2ローラが第1ローラよりも低温であることが好ましい。二つのローラ間に温度差があると、液状のチョコレートを第1ローラから第2ローラへ効率的に移すことができる。第1ローラに施されるチョコレートの品質およびタイプにもよるが、第1ローラは、好ましくは10℃から55℃まで、より好ましくは20℃から40℃まで、さらに好ましくは32℃から38℃までの範囲内の温度に保たれるのがよい。例えば温度調節されたチョコレートは、内部温度が32℃未満に保たれなければならない。したがって、ローラの温度はこの値未満に保たれるのが好ましい。もしローラ上での滞留時間が極めて短ければ、チョコレートの内部温度を著しく高めることなしに、温度調節されたチョコレートに対し第2ローラへ移るのに必要な熱を提供して所望の温度に保つために、ローラの温度は上記値よりも僅かに高くてもよい。
【0013】
本実施の形態においては、第2ローラが、好ましくは−20℃から30℃まで、より好ましくは−15℃から5℃までの範囲内の温度に保たれるのがよい。正確な温度は、この第2ローラのサイズおよび寸法、ならびに回転速度、すなわち第2ローラ上のフィルムの滞留時間に左右される。第1ローラによって第2ローラ上に施される初めは液体のフィルムは、フィルムの形態で、または層状製品の形態で、またはさざなみ状製品の形態で剥がされるのが可能なように、十分に冷やされなければならない。上述のように、二つのローラ間の温度差により、液状チョコレートを第1ローラから第2ローラへ効率的に移すことができる。これに加えて、上述した好ましい温度範囲内において、液状チョコレートは第2ローラ上で先ず可塑化されたチョコレートフィルムになり、それから層状製品に形成される。
【0014】
随意的に第2ローラは、このローラの中心部を通過する冷媒液を用いて冷却される。しかしながら、このローラを冷却するためにいかなる手段を用いてもよい。
【0015】
上記第3ローラ(設けられた場合に)は、第2ローラからの移動量が最少になるような温度に保たれるのが好ましい。この第3ローラは、第2ローラ上のフィルムを簡単に平滑化する。好ましい実施の形態においては、第1および第3ローラが同一温度に保たれる。これによって、二つのローラに対して共通の加熱源を用いることが可能になり、必要な部品点数を低減することができる。
【0016】
好ましくはt1およびt2が0.01mmから20mmまで、より好ましくは0.1mmから10mmまで、さらに好ましくは0.2mmから0.8mmまでの範囲内にあるのがよい。好ましい実施の形態においては、第3ローラが第2ローラ上のフィルムを一定の厚さt1に平滑化するためにt1とt2とが等しい。チョコレートフィルムに関しては、好ましくはt1とt2が0.01mmから5mmまで、より好ましくは0.1mmから1mmの範囲内にあるのがよい。
【0017】
別の好ましい実施の形態においては、第3ローラには第2食品要素が供給され、この第2食品要素は、第1フィルムの上に第2フィルムとして、あるいは第1フィルム内に埋め込まれる混入物の形態で施される。この場合には、第2フィルムの厚さだけ、または混入物の最大直径だけt2をt1よりも大きくするのがよい。チョコレートフィルムに対する可能性ある第2食品要素の例は、クリーム(例えばプラリーヌ、コーヒー、ミント、ホワイト等)、砕いたナッツ(例えばアーモンド、ヘイゼルナッツ等)、発泡させた麦芽乳菓子からなる混入物、ビスケット片、果物片(例えばレーズン、スルタナ、カランツ)、キャラメル、ヌガー、トリュフ、ポテトチップ、メレンゲ片、さらなるチョコレート層(例えばミルクチョコレート上のホワイトチョコレート等)、アイスクリーム、またはこれらの組合せである。全ての場合に、第1および第3ローラは、用いられる食品および製造される製品の性質に応じてフィルムの厚さが変えられるように、第2ローラに対して容易に移動可能になっている。
【0018】
上述のように、チョコレートからなる第1フィルムに対して、第3ローラを用いて加えられる第2食品要素は、固形食品でも液状食品でもよい。例えば、ヌガー層の上に載せられる、またはチョコレートの上に直接載せられるキャラメル層であり、あるいは、チョコレート層内に埋め込まれる砕いたナッツ、または果物片またはビスケット片でもよい。第2食品要素は、要望に応じて第1層上に制御された態様で分布されて、最終製品における一定または不定の分布を生成させる。もしチョコレートフィルム内に固形混入物が多量に埋め込まれることが望ましい場合には、固形混入物の粒子サイズ分布は重要である。混入物の直径は好ましくは0.5mmから6mmまで、より好ましくは2mmから4mmまでの範囲内がよい。混入物は、フィルム内にほぼ完全に埋め込まれたものであっても、あるいはフィルムの上に層をなして、僅かな部分だけが埋め込まれたものであってもよい。
【0019】
勿論、チョコレートからなる第1フィルム上に二つ以上の食品要素を付加してもよい。例えば二つまたはそれ以上の付加的フィルムであるように、全てが互いに同一の形態であっても、例えば第2フィルムと混入物層というように、異なるものであってもよい。付加的食品要素は、いかなる適当な手段、例えばさらなるローラ、ホッパーによって付加してもよい。本発明の装置は、所望の製品を製造するためにローラを幾つ用いてもよい。これらローラは、各食品要素を付加する間の平滑化ローラであっても、別のフィルムまたは混入物を付加するものであっても、あるいは最終的食品要素の付加後の平滑化ローラであっても、全く平滑化ローラを必要としないものであってもよい。
【0020】
第1ローラは、回転軸とほぼ垂直な多数の溝をローラの表面に備えていることが好ましい。液状チョコレートはローラの外表面にのみ付着して、溝には付着しない。その結果、チョコレートが移されると、一連の並列フィルムが第2ローラ上に形成される。これらフィルムの幅は、この後生成される製品の長さによって決定される。その結果、第2ローラの幅全体に亘る単一のフィルムではなく、並列な多数のフィルムが第2ローラ上に存在するので、ドクターブレードは、従来のような溝付きのブレードに比して単純な平らなブレードとすることができる。フィルムはすでに、適当な長さに「切断」されていることになる。単純な平らなドクターブレードを用いる方が、溝付きのドクターブレードよりも費用が節約されることに加えて、この装置は、特性が変りかつ製品が一様でなくなる従来の方法における非効率性と、一部のチョコレートが再加工されてしまうことを回避することができる。溝内の液状チョコレートは単純に収集桶に流下して再利用される。
【0021】
別の好ましい実施の形態においては、この装置は砂糖製品、例えばキャンディの一定なフィルムの製造に用いられる。この実施の形態においても、第2ローラが第1ローラよりも低温であることが好ましい。前述と同様に、このローラ間の温度差は、砂糖シロップの第1ローラから第2ローラへの効率的な移動を可能にする。砂糖のタイプと用いられる溶液の濃度にもよるが、第1ローラは、好ましくは80℃から180℃まで、より好ましくは120℃から150℃まで、さらに好ましくは120℃から140℃までの範囲内の温度に保たれるのがよい。例えば、適当な粘度を備えた97%砂糖シロップ(すなわち水分は3%)は、好ましくは100℃から150℃まで、より好ましくは120℃から150℃まで、さらに好ましくは120℃から140℃までの範囲内の温度に保たれた第1ローラから効率的に第2ローラへ移される。しかしながら、適当な粘度を備えた95%砂糖シロップ(すなわち水分は5%)は、90℃から120℃まで、好ましくは100℃から110℃までの範囲内の温度に保たれた第1ローラから効率的に第2ローラへ移される。
【0022】
本実施の形態においては、第2ローラが好ましくは15℃から60℃まで、より好ましくは30℃から40℃までの範囲内の温度に保たれるのがよい。正確な温度は、砂糖溶液のフィルムとローラとの間の熱の移動を制御する多くの要因の組合せによって左右される。これら制御変数の中で主要なものは滞留時間であり、この滞留時間は、第2ローラの直径と回転速度、および第1ローラとドクターブレードとの相対位置によって影響を受ける。一方、第2ローラ上の砂糖溶液は、ドクターブレードによって剥がされて層状製品に形成されるのに十分な程度に硬化するのが好ましい。勿論、プラント内の熱エネルギーを最大限利用した熱源を用いた熱交換によって、第2ローラの少なくとも一部を加熱または冷却することが好ましい。
【0023】
あるいは、第1ローラの代わりにゲートを備えたホッパーを用いて、制御された厚さと幅とを有する砂糖シロップフィルムを第2ローラ上に生成させてもよい。
【0024】
第3ローラ(存在する場合に)は第2ローラよりも高い温度に保たれていることが好ましい。これにより、第2ローラから第3ローラへの砂糖溶液の移動量が最少になり、かつ第3ローラが第2ローラ上のフィルムを平滑化したり、第1フィルムの上にさらなるフィルムを施したりすることができる。
【0025】
一つの好ましい実施の形態においては、t1=t2であり、これによって第3ローラは磨きローラとして動作し、第2ローラ上のフィルムを平滑化する。別の実施の形態においてはt2>t1であり、第3ローラは第2ローラに対し第2の食品要素を第2フィルムの形態で、または固形混入物のセットとしての形態で供給する。勿論4個以上のローラを設けてもよく、第2ローラの周囲の「衛星」ローラはすべて第2ローラに対して周方向および半径方向に移動可能である。
【0026】
チョコレートの実施の形態に関する限りでは、第1ローラがその表面上に、このローラの回転軸にほぼ垂直な多数の狭い溝を備えているのが好ましい。これによって、第2ローラ上で並列なフィルムの組を生成させることが可能になり、溝付きのドクターブレードを必要としなくなる。
【0027】
別の好ましい実施の形態においては、この装置は、焼き菓子材料、例えば生地、またはパスタベースの一定のフィルムを製造するのに用いられる。本実施の形態においては、第2ローラを回るときに薄い焼き菓子が焼かれるように、第2ローラが第1ローラよりも高温である。ローラ間のこの温度差は、第1ローラから第2ローラへ液状の焼き菓子材料が効率的に移るのを可能にする。
【0028】
ここでも、これらローラの正確な温度は、焼き菓子材料が第1ローラと第2ローラとの間の熱の移動を制御する多くの要因の組合せによって左右される。これら制御変数の中で主要なものは滞留時間であり、この滞留時間は、第2ローラの直径と回転速度、および第1ローラとドクターブレードとの相対位置によって影響を受ける。一方、第2ローラ上の焼き菓子材料は、ドクターブレードによって剥がされて層状製品に形成されるのに十分な程度に焼かれるのが好ましい。勿論、プラント内の熱エネルギーを最大限利用した熱源を用いた熱交換によって、第2ローラの少なくとも一部を加熱することが好ましい。
【0029】
第3ローラ(存在する場合に)は第2ローラよりも低い温度に保たれていることが好ましい。これにより、第2ローラから第3ローラへの焼き菓子材料の移動量が最少になり、かつ第3ローラが第2ローラ上のフィルムを平滑化したり、第1フィルムの上にさらなるフィルムを施したりすることができる。好ましい実施の形態においては、第1および第3ローラの温度が等しく、これにより、双方のローラに対して同じ熱源を用いることができる。
【0030】
一つの好ましい実施の形態においては、t1=t2であり、これによって第3ローラは磨きローラとして動作し、第2ローラ上のフィルムを平滑化する。別の実施の形態においてはt2>t1であり、第3ローラは第2ローラに対し第2の食品を、第2フィルムの形態で、または固形混入物のセットとしての形態で供給する。勿論4個以上のローラを設けてもよく、第2ローラの周囲の「衛星」ローラはすべて第2ローラに対して周方向および半径方向に移動可能である。
【0031】
チョコレートと砂糖の実施の形態に関する限りでは、第1ローラがその表面上に、このローラの回転軸にほぼ垂直な多数の狭い溝を備えているのが好ましい。これによって、第2ローラ上で並列なフィルムの組を生成させることが可能になり、溝付きのドクターブレードを必要としなくなる。
【0032】
さらに別の実施の形態においては、この装置がペットフード製品からなる一定のフィルムの製造に用いられる。本実施の形態においては、第2ローラが第1ローラよりも低温であることが好ましい。ここでも双方のローラ間の温度差が、第1ローラから第2ローラへのペットフード材料の効率的な移動を可能にする。
【0033】
前述と同様に、これらローラの正確な温度は、第1ローラ上のペットフード材料のフィルムと第2ローラとの間の熱の移動を制御する多くの要因の組合せによって左右される。これら制御変数の中で主要なものは滞留時間であり、この滞留時間は、第2ローラの直径と回転速度、および第1ローラとドクターブレードとの相対位置によって影響を受ける。一方、第2ローラ上のペットフード材料は、ドクターブレードによって剥がされて層状製品に形成されるのに十分な程度に硬化するのが好ましい。プラント内の熱エネルギーを最大限利用した熱源を用いた熱交換によって、第2ローラの少なくとも一部を加熱または冷却することが好ましい。
【0034】
第3ローラの温度は、第2ローラから第3ローラへのペットフード材料の移動量が最少になるように選択され、これにより、第3ローラが第2ローラ上のフィルムを平滑化したり、第1フィルムの上にさらなるフィルムを施したりすることができる。好ましい実施の形態においては、第1および第3ローラの温度が等しく、これにより、双方のローラに対して同じ熱源を用いることができる。
【0035】
一つの好ましい実施の形態においては、t1=t2であり、これによって第3ローラは磨きローラとして動作し、第2ローラ上のフィルムを平滑化する。別の実施の形態においてはt2>t1であり、第3ローラは第2ローラに対し第2の食品を、第2フィルムの形態で、または固形混入物のセットとしての形態で供給する。勿論4個以上のローラを設けてもよく、第2ローラの周囲の「衛星」ローラはすべて第2ローラに対して周方向および半径方向に移動可能である。
【0036】
前述の実施の形態と同様に、第1ローラがその表面上に、このローラの回転軸にほぼ垂直な多数の狭い溝を備えているのが好ましい。これによって、第2ローラ上で並列なフィルムの組を生成させることが可能になり、溝付きのドクターブレードを必要としなくなる。
【0037】
本発明の装置の利点は、流体の特性を備えたいかなる材料にも適応できることである。流体材料に関しては、所望の製品によって脂肪と砂糖の含有量を変えることができる。本発明の装置は、装置の形式を実質的に変えることなく、幅広い範囲の脂肪と砂糖の含有量に適応するのに極めて融通性に富むものである。
【0038】
本発明の第2の態様によれば、食品が流動性または可塑性を有する形態で表面上に施される第1ローラと、この第1ローラから距離t1だけ離れて配置され、厚さt1の食品フィルムが上記第1ローラを用いて表面上に施される独立した第2ローラと、この第2ローラの表面から食品の薄いフィルムを剥がすための第2ローラ上のドクターブレードと、上記食品が集められる多数のキャビティを備えた回転式成形型とを備えた、層状食品の製造装置が提供される。随意的に、上記回転式成形型が、形成された層状製品を排出するのに必要な手段を備えている。この装置は、上記第2ローラからギャップt2だけ離れて配置された独立した第3ローラを随意的に備えていて、第2ローラ上の食品フィルムを平滑化する。この第3ローラは、第2ローラ上の第1層の上に第2食品要素の層を付加するための手段を随意的に備えている。フィルムとして、または固形混入物としてのさらなる層を付加するための第4またはそれ以上のローラを随意的に備えていてもよい。さらなる層または固形混入物を付加するためのさらなる適当な手段、例えばホッパーを備えていてもよい。この第2の層は、第2ローラ上の可塑化された第1層上に比較的一様な層を形成するために十分に流動性を備えていれば、いかなる食品材料であってもよい。
【0039】
食品からなる一定のフィルムを製造するための装置の利点が上述に説明されているが、すべての好ましい特徴がこの本発明の態様にも等しく適用される。層状製品の製造のための原料として、食品からなる一定のフィルムを用いることにより、従来の方法の多くの問題点を回避することができる。特に、一定のフィルムは、より一様な製品の製造を可能にする。製品の密度および形状の変動(従来品には時々見られた)は回避される。このことは、もし望むならば、製造された製品がより一様な外表面を備えることができることを意味し、この外表面によって、必要ならばより一様な厚さのコーティング材料が得られる。また製品が一様であることにより、層状製品が要求された基準を満足していることを保証するための人手による監視の必要性が低減される。この装置は、別の最終製品を製造するために、厚さの異なる食品フィルムの製造に用いることもできる。この装置はまた、単一製品の中で厚さに所定の変化を生じさせるのに用いることもできる。
【0040】
回転式成形型の温度は、用いられる食品に適合するように注意深く調節される。この成形型は加熱または冷却される。成形型内での冷却または加熱は、流体材料を、層状製品またはさざなみ状製品またはフィルム状製品に細工することができる可塑化された固形の形態に変換する手助けをする。例えば成形型は、材料を焼き、または冷却を通じて材料を結晶化し、あるいは加熱によって蛋白質を硬化させる。いずれの温度調節も、成形型の中心部を通過する液体を用いて行なうことが好ましい。成形型の温度調節を中心部で行なうことは、例えば所定の温度を有する一定のガス流を成形された製品の上から吹きつけるよりも安価かつ容易である。成形型の温度は、チョコレートに適用した場合、−25℃から20℃までの範囲内に保たれることが好ましく、それが第2ローラの温度に等しいことが好ましく、これにより、同じ温度調節液を双方の構成部品に通すのに用いることができる、しかしながら、もし双方の構成部品の温度が異なっていても、加熱または冷却の度合を変えることによって、同じ液を双方の構成部品に用いることができ、それでもシステム全体の負荷を低減することができる。勿論、二つの構成部品を個別に調節することも可能である。
【0041】
層状製品を回転式成形型(必要な場合)から排出させる手段は、吸引手段、重力落下手段、および物理的手段を含むいずれのものでもよい。この排出手段は、食品によって異なり、剥がされた層状製品の重量および密度、および成型型から排出される時点における製品の強度のような要素を考慮して選択される。例えば、重力のみを利用して製品を回転式成形型から確実に落下させるには重量も密度も十分でない場合がある。この場合には、物理的または吸引手段を用いて製品を排出させるのが適当である。採用可能な物理的手段は、物理的押し棒、袋状材料に対する送風を含むがこれに限定されるものではない。製品が重力のみを利用して回転式成形型から確実に落下させるのに十分な重量および密度を備えている場合もある。したがって、この場合には、いかなる付加的な排出手段も用いる必要がない。当然ながら、成形型の各1回転ごとに製品が排出されること、または成形型の次の1回転で、ドクターブレードが早くもさらなる食品フィルムを全キャビティに導入することが望ましい。
【0042】
成形型の条件も、層状にされる製品の材料によって左右される。例えば、チョコレートに関しては、成形型は製品をさらに硬化させるために、好ましくは−25℃から20℃まで、より好ましくは−15℃から10℃までの範囲内に冷却される。しかしながら焼き菓子材料に関しては、材料を焼くためにおそらく温度が高くなる。
【0043】
本発明は、一定な食品フィルムを生成させる方法にも広がり、この方法は、
(a)流動性または可塑性を有する食品を第1ローラに施し、
(b)この第1ローラから距離t1だけ離れて配置されかつ反対方向に回転する第2ローラに、流動性または可塑性を有する食品フィルムを移し、
(c)上記第2ローラから距離t2だけ離れて配置された第3ローラを用いて、第2ローラ上の食品フィルムを随意的に平滑化し、
(d)上記食品フィルムを、十分に可塑化されたフィルムの形態をとるように随意的に加熱または冷却することを含む。
【0044】
この方法はまた随意的に、第3ローラを用いて第2食品要素を上記フィルム上に施すことを含み、この第3ローラは、第2ローラ上の第1フィルムの上に第2フィルムを移動させる。この第2食品要素は、第1フィルムの上に比較的一様な層を形成することができるように十分に流動化されている限り、固体でも液体でもよい。この場合、第3ローラは第1ローラと同一方向でかつ第2ローラとは反対方向に回転する。この第3ローラが第2ローラの表面上のフィルムについた筋を平滑にする場合には、第3ローラは第2ローラと同一方向に回転する。勿論、本発明は、さらなる食品要素を付加したり、生成されたフィルムを平滑にしたりするために、第2ローラの周囲において多くの衛星ローラ(またはホッパー)を用いることにも広がる。
【0045】
本発明はまた、層状食品を形成する方法にも及び、この方法は、
(a)流動性または可塑性を有する食品を第1ローラに施し、
(b)該第1ローラから距離t1だけ離れて配置されかつ反対方向に回転する第2ローラに、流体状または可塑性を有する食品フィルムを移し、
(c)上記第2ローラから距離t2だけ離れて配置された第3ローラを用いて、第2ローラ上の食品フィルムを随意的に平滑化し、
(d)上記第2ローラ上の食品フィルムに対し、食品からなる第2層を随意的に付加し、
(e)上記食品フィルムを、十分に可塑化されたフィルムの形態をとるように随意的に加熱または冷却し、
(f)上記可塑化された食品フィルムを、ドクターブレードを用いて第2ローラから制御された態様で剥がし、
(g)上記可塑化された食品フィルムを回転式成形型内のキャビティ内に受容して、各キャビティ内でフィルムを所定のかつ制御された形にし、
(h)形成された層状製品を回転式成形型内の複数のキャビティから排出することを含む。
【0046】
前述した装置の好ましい特徴および利点は、この装置を作動させる方法にも等しく適用される。特に、第3ローラには随意的に、すでに第2ローラ上に形成されている第1食品要素のフィルムの上に比較的一様な層を形成することができるように十分に流動化された第2食品要素を供給することができる。この場合も、第3ローラは第1ローラと同一方向でかつ第2ローラとは反対方向に回転するが、この第3ローラが第2ローラの表面上のフィルムについた筋を平滑にする場合には、第3ローラは第2ローラと同一方向に回転する。
【0047】
本発明はまた、本発明の方法により製造された製品にも及ぶ。特に、本発明は、添付図面に示された層状食品の形成にも及ぶ。一つの特に好ましい実施の形態は、図10に示された渦構造である。これら多数の実施の形態は、製造方法の他の態様についても有益な作用を備えた付随効果を有する。特に、内側の層状体が型に入れられる前にチョコレートフィルムからなる外側層が存在する図7に示された実施の形態は、もし要望があれば、次なるコーティング工程において、より少量のまたはより多量のチョコレートを用いる結果となる。或る場合には、層状製品をコーティングする必要が全く無く、コーティングの有無にかかわらず、物理的に安定な製品を製造することができる。
【0048】
本発明の種々の態様のその他の特徴および利点は下記の詳細な説明から明らかになるであろう。本発明は、種々の態様で実施することができ、添付図面を参照して本発明を説明するために具体例によって多くの実施の形態を説明する。
【実施例】
【0049】
前述のように、図1は、従来の方法による、さざなみ状の、部分的に圧縮された菓子のバーを調製するためのシステムの一般的な構造を示す。このシステムの欠点のいくつかは、上述に記載されている。
【0050】
下記の実施の形態は特に、チョコレートを第1ローラから第2ローラへ移し、次いで層状菓子製品を形成することに関連するものであるが、本発明は、チョコレートを使用することのみに限定されるものではないことを認識すべきである。上述したように、本発明は、可塑化された固体からなる厚さが一定のフィルムに容易に形成されるべき液体または十分に流動性または可塑性を有する全ての人またはペット用の食品に適用可能である。それに加えて、第2ローラ上でフィルムに付加されるいかなる二次的食品要素も適宜固体または液体であってもよい。チョコレートフィルムのための可能性ある二次的食品要素の具体例は、クリーム(例えばプラリーヌ、コーヒー、ミント、ホワイト等)、砕いたナッツ(例えばアーモンド、ヘイゼルナッツ等)、発泡させた麦芽乳菓子からなる混入物、ビスケット片、果物片(例えばレーズン、スルタナ、カランツ)、キャラメル、ヌガー、トリュフ、ポテトチップ、メレンゲ片、さらなるチョコレート層(例えばミルクチョコレート上のホワイトチョコレート等)、アイスクリーム、またはこれらの組合せである。
【0051】
図2は、中心軸51の周りを矢印で示すように反時計方向に回転する第1ローラ50を示す。このローラに対して、温度調節された液状のチョコレート52が供給容器53から施される。本発明において、第1ローラ50に対する容器53からの供給方法は限定されない。いかなる適当な手段によってローラに対する一定の液体の供給を行なっても、本発明のフィルム製造に関する基本を形成することができる。液状のチョコレートは、ローラ50の外表面に付着し、第2ローラ60に向かって回転する。第2ローラは第1ローラよりも大径として示されているが、これは本発明の要件ではない。
【0052】
第2ローラ60は、第1ローラ50に対して反対方向に回転する。この場合、第2ローラは、図2に矢印で示すように中心軸61の周りを時計方向に回転する。二つのローラの相対位置を替えたとしても、勿論二つのローラは反対方向に回転することができる。図2における二つのローラの相対位置は、例示したに過ぎず、限定されない。形成されたフィルムが、適当な手段、例えばドクターブレードによって第2ローラから剥がされる位置に対する第1ローラの位置は、第2ローラ上に滞留する期間、したがってフィルムの冷却度合を制御する手段として調節される。この冷却度合は、ローラ60の回転速度、ローラ60の直径、およびローラ60の温度を制御することによっても調節することができる。もしローラ60上のフィルムに筋がついたときには、1個または複数の衛星ローラを用いることによって平らにならすことができる。
【0053】
第1ローラの表面(液状チョコレートでコーティングされている)が、領域65において第2ローラに接触すると、チョコレートは第1ローラから第2ローラへ移る。接触領域65を過ぎると、チョコレートは移され、かつ平らにならされて、第2ローラ60上で一定なチョコレートフィルムを形成する。二つのローラ外表面間のギャップはt1であり、したがって、厚さt1のフィルムが第2ローラ上に形成される。
【0054】
双方のローラ50,60は、図示しない温度制御手段によって温度を制御される。これらの温度制御手段は、各ローラの中心領域を通過する温度制御された液体であることが好ましい。第1ローラから第2ローラへの液状チョコレートの効率的な移転を可能にするために、第2ローラ60は第1ローラ50よりも低い温度に保たれる。選定される温度差は、移される食品と、第2ローラ上に形成されるフィルムに関する最終的な用途とに左右される。多くの場合、第2ローラは、液状チョコレートを可塑化された形態に冷やす温度に保たれ、その結果、チョコレートフィルムを容易に1個ずつ取り除けるようになる。上述のように、もしチョコレートの代わりの食品、例えば焼き菓子が採用された場合には、第2ローラは第1ローラよりも高い温度において、生地を焼いて適当に硬化した形態にする。
【0055】
図3に示されているように、このシステムはさらに、第1ローラ50よりも第2ローラ60の回転方向に寄った第2ローラの周縁に位置する第3の磨きローラ70を備えていてもよい。この磨きローラ70は、その中心軸71の周りを時計方向に(すなわち、第2ローラと同一方向に)回転する。この磨きローラ70の目的は、第2ローラ上のフィルムの材料表面についたいかなる筋も平らにならして厚さt2にすることである。この厚さは、フィルムが必要とされる平滑性と厚さに材料がなるように変更される。この磨きローラは第2ローラよりも高い温度に保たれて、チョコレートが第2ローラから磨きローラへ移るのを最少にしている。
【0056】
図4aに示された別の構成においては、第3ローラが、すでに第2ローラ60上にあるチョコレートフィルム上に第2の食品要素を施すのに用いられている。この第2の食品要素は、いかなる適当な食品(例えばクリーム、ヌガー、キャラメル、固形混入物、さらなるチョコレート等)でもよく、チョコレート層と同様の態様で第2ローラへ移される。この実施の形態においては、第3ローラが反時計方向(すなわち、第1ローラと同一方向)に回転して、第2の食品要素を第2ローラ60へ移すことができる。
【0057】
勿論、本発明は、最多で3個のローラを備えたものに限定されるものではなく、二つまたはそれ以上の構成要素からなるフィルムについた筋を平らにならしたり、さらなる構成要素を付加したりするために、さらに多くのローラを用いてもよい。さらに、固形の構成要素(例えばナッツ)を第3ローラの前または後に加えてもよい。これらの構成要素は、いずれかの適当な手段、例えば第2ローラの上方に配置されて固形物を制御された割合で放出するホッパーによって付加すればよい。図4b〜4fは、可能性あるシステムのさらなる、非限定的な実施の形態を示す。全ての衛星ローラは、相互に対して、かつ第2ローラに対して独立的に動く。これによって、厚さの異なるフィルムを製造することができ、かつ混入物の付加位置を変えることができる。したがって、システムの融通性が増大し、広い範囲の製品の製造が可能になる。これらの図において、符号75は固形混入物を第2ローラに供給するホッパーを示し、符号70aおよび71aはさらなるローラと回転軸を表している。
【0058】
並列に走行しかつ互いに接触している一連のフィルムもまた、第1ローラに対して液体(例えばチョコレート)を注意深く施すことによって、第1ローラから第2ローラへ移すことができる。具体例として、2種類またはそれ以上のタイプの異なるチョコレート(例えばプレーン、ホワイト、ミルク)を制御されたやり方(例えばノズル)で第1ローラへ供給すると、第1ローラ上に一連の並列フィルムが形成される。これらフィルムは次いで上述したメカニズムによって第2ローラへ移される。これにより、チョコレートのストリップと、例えば香料入りクリームまたはチョコレートのストリップとを交互に均等に施すことができる。
【0059】
図5は、層状菓子製品の製造装置を示し、この装置は、上述したチョコレートフィルムを製造するための、第1ローラ50と、第2ローラ60と、第3の磨きローラ70とを備えている。回転式成形型80が第2ローラ60の近傍に移動可能に配置されており、この成形型は、第2ローラからチョコレートが供給される多数のキャビティ82を備えている。チョコレートフィルムを第2ローラの表面から剥がすのは、第2ローラおよび成形型の双方に対して移動可能なドクターブレード90である。フィルムが第2ローラから剥がされると、一般に第2ローラに対して所定の速度で回転している成形型に供給される。第2ローラと回転式成形型との相対速度によって、チョコレートの各キャビティへの供給量が、したがって各製品の密度と重量とが制御される。
【0060】
第2ローラと、ドクターブレードと、ドクターブレード支持体と、回転式成形型との空間的配置は、製造される、層状、またはさざなみ状製品の幾何学的形状を変えるために調整することができる。特に、回転式成形型は、キャビティ内で異なる構造のものを製造しているときに、他の構成部品に対して移動させることができ、これにより、異なる層状、またはさざなみ状製品を生成させる(例えば図7〜図11参照)。例えば回転式成形型は、回転軸の周りで揺動運動を行なうことができ、これによりチョコレートフィルムが成形型のキャビティ内に所定の態様で案内されて、所望の形に形成される。0.1秒間から5秒間の範囲内にある、チョコレートフィルムを第2ローラから回転式成形型のキャビティ内へ移すための通常の所要時間中において、成形型は第2ローラに対して何回も動かされる。この動きは同一速度である必要は全くなく、構成部品全体の動きの制御は、電子的運動制御システムによって行なわれるのが好ましい。上記所要時間中における回転式成形型の動作の実際の作用は、チョコレートフィルムを受容するために次の空のキャビティが第2ローラに提供されるように第2ローラに対応して回転することである。
【0061】
第2ローラの周囲に設けられたドクターブレードの位置は、第2ローラ上におけるチョコレートフィルムの滞留時間の制御手段の一つとして変更される。このドクターブレードの位置もフィルムの物理的性質に影響を与えるので、所望の製品を製造するためには、構成部品の相対的位置の修正が必要になる。これに加えて、第2ローラと成形型の双方に対するドクターブレードおよび取出しベルトの取付け角度も動作中に変えることができる。これにより、チョコレートフィルムが回転式成形型に供給される位置におけるドクターブレードの角度が調節され、成形型の動きと連動されると、層状またはさざなみ状製品の幾何学的形状が影響を受ける。一旦動作位置が決定されると、ドクターブレードはその位置に固定される。
【0062】
製品85は、いずれかの適当な手段(例えば、重力手段、吸引手段、物理的手段)によって回転式成形型80から取出しベルト100上に排出される。そこから製品85は、調整トンネルを通過し、ここでさらに加熱または冷却されて層状製品に固化され、および/または所望の結晶構造を確保する。これに加えて、層状製品はコーティングマシーンに通されて、美観のためにさらなる材料、例えばチョコレートの層で覆われる。製品の硬化のためさらに冷却された後、層状製品は最終的に包装機に通されて、適当な包装が施される。図5には、取出しベルト100がローラ50,60,70と同一平面に示されているが、成形型に対していかなる角度も取り得る。したがって、取出しベルト100が形成型と直角に配置されて、下流における処理のために製品を紙面に向かう方向に取り出すようにしてもよい。
【0063】
各製品の長さは、第1ローラの外表面の溝を用いて調節されるのが好ましい。図6を参照すると、第1ローラ50にはこのローラの長手方向に沿って配置された多数の溝55が示されている。これら溝は比較的浅いが、液状チョコレートの付着を防止するためには十分に深い。したがって、チョコレートはローラの外周面にのみ付着して、互いに僅かなギャップを隔てて分離された多数のフィルムを形成する。この一組のフィルムは第2ローラに移され、次いで成形型内で製品にされる。製品の長さを調節するためのこのメカニズムの利点は、溝付きドクターブレードを備えた従来技術に比較して、第2ローラにチョコレートが残留せず、したがって再加工されないことである。
【0064】
上述したように、第2ローラ60、ドクターブレード90、回転式成形型80、および取出しベルト100の相互関係により層状製品の形成が制御される。異なる層状の形成を生じさせることもできる。特に、チョコレートフィルムが先ずキャビティ全体の輪郭に従う図7に示された構成が好ましい。この製品はいかなるコーティングをも付加する必要もなく、これにより製造工程が節約され、したがってコストと作業時間とが低減される。フィルムが次第に縮径される渦巻きを形成する別の好ましい製品が図10に示されている。この製品構造は、従来の方法を用いては不可能である。
【0065】
図5における成形型85にはほぼ半円形のキャビティ82が示されているが、他の形状の、例えば三角形のキャビティを用いてもよい。半円形キャビティと同様の原理が三角形キャビティにも同様に適用され、異なる層状製品が第2ローラ、ドクターブレード、ドクターブレード支持体、および回転式成形型の間の幾何学的関係を同時に変えることによって、異なる層状製品の製造が可能である。前述と同様に、他の構成部品に対する回転式成形型の位置は1秒ごとに何回も変えることができる。回転式成形型はその回転軸の周りで揺動運動をすることができ、図7に示されたような製品を製造する助けとなる。
【0066】
図12は、第2食品要素として多数の固形混入物86を含む層状製品85の概略図である。これら固形混入物は、例えば果物、ナッツ、ビスケット片、発泡させた麦芽乳菓子からなる混入物、ポテトチップ等である。上述したように、第1層がチョコレートの場合、第2食品要素は、クリーム、ヌガー、キャラメル、アイスクリーム、およびさらなるチョコレート層のみでなく固形混入物も含む。本発明においては、要望に応じて、いかなる異なるタイプの食品要素も選択され採用される。
【0067】
本発明の装置および方法は、簡単な形成時間の調節、フィルム厚および組合せの変更によって、密度の異なるチョコレート製品を製造する融通性を有する。
【0068】
以上、チョコレートを引用して本発明を例示したが、本発明はこの食品に限定されるものではない。前述したように、砂糖材料、キャラメル,肉製品、アイスクリーム,焼き菓子、およびペットフードを含む、かつこれらに限定されない種々のタイプの食品を本発明に利用することができる。作業条件は用いられる食品に応じて変るが、同じ一般的原理が適用される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】層状食品の製造のための従来のシステムの一例を一般的な形態で示す図である。
【図2】人またはペット用の食品からなる一定のフィルムを調製するための本発明による第1のシステムの概略図である。
【図3】人またはペット用の食品からなる一定のフィルムを調製するための本発明による第2のシステムの概略図である。
【図4a】第2層または二次的な構成要素を備えた人またはペット用の食品からなる一定のフィルムを調製するための本発明によるシステムの概略図である。
【図4b】付加的な層または構成要素を備えた一定のフィルムを調製するためのシステムの概略図である。
【図4c】付加的な層または構成要素を備えた一定のフィルムを調製するためのシステムの概略図である。
【図4d】付加的な層または構成要素を備えた一定のフィルムを調製するためのシステムの概略図である。
【図4e】付加的な層または構成要素を備えた一定のフィルムを調製するためのシステムの概略図である。
【図4f】付加的な層または構成要素を備えた一定のフィルムを調製するためのシステムの概略図である。
【図5】層状菓子製品を調製するためのシステムの概略図である。
【図6】本発明による第1ローラの概略図である。
【図7】本発明による層状製品の概略的断面図である。
【図8】本発明による層状製品の概略的断面図である。
【図9】本発明による層状製品の概略的断面図である。
【図10】本発明による層状製品の概略的断面図である。
【図11】本発明による層状製品の概略的断面図である。
【図12】本発明による層状製品の概略的断面図である。
【符号の説明】
【0070】
50 第1ローラ
60 第2ローラ
70 第3ローラ
75 ホッパー
80 回転式成形型
82 キャビティ
85 製品
90 ドクターブレード
100 取出しベルト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品が流動性または可塑性を有する形態で上に施される第1ローラと、該第1ローラから距離t1だけ離れて配置され、前記第1ローラを用いて厚さt1の食品フィルムが上に施される独立した第2ローラとを備えていることを特徴とする、一定の食品フィルムの製造装置。
【請求項2】
前記食品がチョコレートであることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記第2ローラが前記第1ローラよりも低温であることを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記第1ローラが、10℃から55℃まで、好ましくは20℃から40℃まで、さらに好ましくは32℃から38℃までの範囲内の温度に保たれることを特徴とする請求項2または3記載の装置。
【請求項5】
前記第2ローラが、−20℃から30℃まで、好ましくは−15℃から5℃までの範囲内の温度に保たれることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記第2ローラが、該第2ローラの中心部を通過する冷媒液を用いて冷却されることを特徴とする請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記第3ローラが、10℃から55℃まで、好ましくは20℃から38℃までの範囲内の温度に保たれることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記第1および第3ローラが等しい温度に保たれることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記食品が焼き菓子材料であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記食品が砂糖製品であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記食品がペットフード製品であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項12】
前記第1ローラが、該第1ローラの表面に、該第1ローラの回転軸にほぼ垂直な多数の溝を有することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
前記第2ローラからギャップt2だけ離れて配置されて、該第2ローラ上の前記食品フィルムを平滑化する独立した第3ローラをさらに備えていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
前記第3ローラが前記第2ローラよりも高温に保たれることを特徴とする請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記t1およびt2が0.01mmから20mmまで、好ましくは0.1mmから10mmまで、さらに好ましくは0.2mmから0.8mmまでの範囲内にあることを特徴とする請求項13または14記載の装置。
【請求項16】
前記t1およびt2が等しいことを特徴とする請求項13から15のいずれか1項記載の装置。
【請求項17】
前記第1フィルム上の第2フィルムとして前記第2ローラに施される第2食品要素が前記第3ローラに供給されることを特徴とする請求項13から16までのいずれか1項記載の装置。
【請求項18】
前記第2ローラの周りに、前記フィルムを磨くための、またはさらに別の食品要素を付加するためのさらに別の衛星ローラが存在することを特徴とする請求項1から17までのいずれか1項記載の装置。
【請求項19】
前記第1食品要素がチョコレートである場合に、前記第2以降の食品要素が、クリーム、砕いたナッツ、発泡させた麦芽乳菓子からなる混入物、ビスケット片、果物片、キャラメル、ヌガー、トリュフ、ポテトチップ、メレンゲ片、さらなるチョコレート層、アイスクリーム、またはこれらの組合せから選ばれることを特徴とする請求項17または18記載の装置。
【請求項20】
請求項1から19までのいずれか1項記載の一定の食品フィルムの製造装置と、前記第2ローラの表面から前記食品フィルムを剥がすための前記第2ローラ上のドクターブレードと、前記食品が集められる多数のキャビティを備えた回転式成形型とを備え、該成形型が、形成された層状製品を排出するための手段を随意的に備えていることを特徴とする、層状食品の製造装置。
【請求項21】
前記食品がチョコレートであることを特徴とする請求項20記載の装置。
【請求項22】
前記回転式成形型が冷却されていることを特徴とする請求項21記載の装置。
【請求項23】
前記冷却が、前記成形型の中心部を通過する冷媒液を用いて行なわれることを特徴とする請求項22記載の装置。
【請求項24】
前記回転式成形型が、−20℃から20℃まで、好ましくは−15℃から5℃までの範囲内の温度に保たれることを特徴とする請求項21から23のいずれか1項記載の装置。
【請求項25】
前記食品が、焼き菓子材料、砂糖製品、またはペットフード製品から選ばれることを特徴とする請求項20記載の装置。
【請求項26】
一定な食品フィルムをローラ上で生成させる方法であって、該方法が、
(a)食品を流動性または可塑性を有する形態で第1ローラに施し、
(b)該第1ローラから距離t1だけ離れて配置されかつ反対方向に回転する第2ローラに、流動性または可塑性を有する食品フィルムを移し、
(c)前記第2ローラから距離t2だけ離れて配置された第3ローラを用いて、前記第2ローラ上の前記食品フィルムを随意的に平滑化し、
(d)前記食品フィルムを、十分に可塑化されたフィルムの形態をとるように随意的に加熱または冷却する、
各工程を含むことを特徴とする前記方法。
【請求項27】
第2食品要素を前記第3ローラに施し、該第3ローラにより次いで前記第2ローラ上の第1フィルムの上に第2フィルムを移すことを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記第2のまたはさらに別の食品要素をホッパーを用いて付加することを特徴とする請求項26または27記載の方法。
【請求項29】
層状食品を形成する方法であって、該方法が
(a)食品を流動性または可塑性を有する形態で第1ローラに施し、
(b)該第1ローラから距離t1だけ離れて配置されかつ反対方向に回転する第2ローラに、流動性または可塑性を有する食品フィルムを移し、
(c)前記第2ローラから距離t2だけ離れて配置された第3ローラを用いて、前記第2ローラ上の前記食品フィルムを随意的に平滑化し、
(d)前記第2ローラ上の前記食品フィルムに対し、食品からなる第2層をいずれかの適当な手段によって随意的に付加し、
(e)前記食品フィルムを、十分に可塑化されたフィルムの形態をとるように随意的に加熱または冷却し、
(f)前記可塑化された食品フィルムを、ドクターブレードを用いて前記第2ローラから制御された態様で剥がし、
(g)前記可塑化された食品フィルムを回転式成形型内の複数のキャビティ内に受容して、該フィルムを各キャビティ内で所定の形にし、
(h)形成された層状製品を前記回転式成形型内のキャビティ内から排出する、
各工程を含むことを特徴とする前記方法。
【請求項30】
前記製品を、排出に先立って前記回転式成形型内で冷却することを特徴とする請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記第2のまたはさらに別の食品要素を、前記第2ローラの外周周辺の第3のまたはさらに別のローラを用いて付加することを特徴とする請求項29または30記載の方法。
【請求項32】
前記第2のまたはさらに別の食品要素を、一つまたは複数のホッパーを用いて付加することを特徴とする請求項29または30記載の方法。
【請求項33】
前記さらに別の食品要素を、さらに別のローラおよびホッパーによって付加することを特徴とする請求項29から32のいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
前記食品がチョコレートであり、前記層状製品が菓子製品であることを特徴とする請求項26から33のいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
前記食品が、焼き菓子材料、砂糖製品、およびペットフード製品であることを特徴とする請求項26から33のいずれか1項記載の方法。
【請求項36】
前記第1食品要素がチョコレートである場合に、いずれかの適当な手段によって付加される前記第2のまたはさらに別の食品要素が、クリーム、砕いたナッツ、発泡させた麦芽乳菓子からなる混入物、ビスケット片、果物片、キャラメル、ヌガー、トリュフ、ポテトチップ、メレンゲ片、さらなるチョコレート層、アイスクリーム、またはこれらの組合せから選ばれることを特徴とする請求項29から34のいずれか1項記載の方法。
【請求項37】
製品が層状またはさざなみ状製品からなる中心部の集団を取り囲む単一フィルムを備えていることを特徴とする層状菓子製品。
【請求項38】
複数の層が螺旋の形態を呈していることを特徴とする層状菓子製品。
【請求項39】
複数の層が中心点から花弁形状に外方へ延びていることを特徴とする層状菓子製品。
【請求項40】
製品内の隣接層が異なる食品要素で形成されていることを特徴とする層状菓子製品。
【請求項41】
製品内の隣接層が異なる色彩を有することを特徴とする請求項40記載の層状菓子製品。
【請求項42】
製品内の隣接層が異なる材料で形成されていることを特徴とする請求項40または41記載の層状菓子製品。
【請求項1】
食品が流動性または可塑性を有する形態で上に施される第1ローラと、該第1ローラから距離t1だけ離れて配置され、前記第1ローラを用いて厚さt1の食品フィルムが上に施される独立した第2ローラとを備えていることを特徴とする、一定の食品フィルムの製造装置。
【請求項2】
前記食品がチョコレートであることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記第2ローラが前記第1ローラよりも低温であることを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記第1ローラが、10℃から55℃まで、好ましくは20℃から40℃まで、さらに好ましくは32℃から38℃までの範囲内の温度に保たれることを特徴とする請求項2または3記載の装置。
【請求項5】
前記第2ローラが、−20℃から30℃まで、好ましくは−15℃から5℃までの範囲内の温度に保たれることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記第2ローラが、該第2ローラの中心部を通過する冷媒液を用いて冷却されることを特徴とする請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記第3ローラが、10℃から55℃まで、好ましくは20℃から38℃までの範囲内の温度に保たれることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記第1および第3ローラが等しい温度に保たれることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記食品が焼き菓子材料であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記食品が砂糖製品であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記食品がペットフード製品であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項12】
前記第1ローラが、該第1ローラの表面に、該第1ローラの回転軸にほぼ垂直な多数の溝を有することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
前記第2ローラからギャップt2だけ離れて配置されて、該第2ローラ上の前記食品フィルムを平滑化する独立した第3ローラをさらに備えていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
前記第3ローラが前記第2ローラよりも高温に保たれることを特徴とする請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記t1およびt2が0.01mmから20mmまで、好ましくは0.1mmから10mmまで、さらに好ましくは0.2mmから0.8mmまでの範囲内にあることを特徴とする請求項13または14記載の装置。
【請求項16】
前記t1およびt2が等しいことを特徴とする請求項13から15のいずれか1項記載の装置。
【請求項17】
前記第1フィルム上の第2フィルムとして前記第2ローラに施される第2食品要素が前記第3ローラに供給されることを特徴とする請求項13から16までのいずれか1項記載の装置。
【請求項18】
前記第2ローラの周りに、前記フィルムを磨くための、またはさらに別の食品要素を付加するためのさらに別の衛星ローラが存在することを特徴とする請求項1から17までのいずれか1項記載の装置。
【請求項19】
前記第1食品要素がチョコレートである場合に、前記第2以降の食品要素が、クリーム、砕いたナッツ、発泡させた麦芽乳菓子からなる混入物、ビスケット片、果物片、キャラメル、ヌガー、トリュフ、ポテトチップ、メレンゲ片、さらなるチョコレート層、アイスクリーム、またはこれらの組合せから選ばれることを特徴とする請求項17または18記載の装置。
【請求項20】
請求項1から19までのいずれか1項記載の一定の食品フィルムの製造装置と、前記第2ローラの表面から前記食品フィルムを剥がすための前記第2ローラ上のドクターブレードと、前記食品が集められる多数のキャビティを備えた回転式成形型とを備え、該成形型が、形成された層状製品を排出するための手段を随意的に備えていることを特徴とする、層状食品の製造装置。
【請求項21】
前記食品がチョコレートであることを特徴とする請求項20記載の装置。
【請求項22】
前記回転式成形型が冷却されていることを特徴とする請求項21記載の装置。
【請求項23】
前記冷却が、前記成形型の中心部を通過する冷媒液を用いて行なわれることを特徴とする請求項22記載の装置。
【請求項24】
前記回転式成形型が、−20℃から20℃まで、好ましくは−15℃から5℃までの範囲内の温度に保たれることを特徴とする請求項21から23のいずれか1項記載の装置。
【請求項25】
前記食品が、焼き菓子材料、砂糖製品、またはペットフード製品から選ばれることを特徴とする請求項20記載の装置。
【請求項26】
一定な食品フィルムをローラ上で生成させる方法であって、該方法が、
(a)食品を流動性または可塑性を有する形態で第1ローラに施し、
(b)該第1ローラから距離t1だけ離れて配置されかつ反対方向に回転する第2ローラに、流動性または可塑性を有する食品フィルムを移し、
(c)前記第2ローラから距離t2だけ離れて配置された第3ローラを用いて、前記第2ローラ上の前記食品フィルムを随意的に平滑化し、
(d)前記食品フィルムを、十分に可塑化されたフィルムの形態をとるように随意的に加熱または冷却する、
各工程を含むことを特徴とする前記方法。
【請求項27】
第2食品要素を前記第3ローラに施し、該第3ローラにより次いで前記第2ローラ上の第1フィルムの上に第2フィルムを移すことを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記第2のまたはさらに別の食品要素をホッパーを用いて付加することを特徴とする請求項26または27記載の方法。
【請求項29】
層状食品を形成する方法であって、該方法が
(a)食品を流動性または可塑性を有する形態で第1ローラに施し、
(b)該第1ローラから距離t1だけ離れて配置されかつ反対方向に回転する第2ローラに、流動性または可塑性を有する食品フィルムを移し、
(c)前記第2ローラから距離t2だけ離れて配置された第3ローラを用いて、前記第2ローラ上の前記食品フィルムを随意的に平滑化し、
(d)前記第2ローラ上の前記食品フィルムに対し、食品からなる第2層をいずれかの適当な手段によって随意的に付加し、
(e)前記食品フィルムを、十分に可塑化されたフィルムの形態をとるように随意的に加熱または冷却し、
(f)前記可塑化された食品フィルムを、ドクターブレードを用いて前記第2ローラから制御された態様で剥がし、
(g)前記可塑化された食品フィルムを回転式成形型内の複数のキャビティ内に受容して、該フィルムを各キャビティ内で所定の形にし、
(h)形成された層状製品を前記回転式成形型内のキャビティ内から排出する、
各工程を含むことを特徴とする前記方法。
【請求項30】
前記製品を、排出に先立って前記回転式成形型内で冷却することを特徴とする請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記第2のまたはさらに別の食品要素を、前記第2ローラの外周周辺の第3のまたはさらに別のローラを用いて付加することを特徴とする請求項29または30記載の方法。
【請求項32】
前記第2のまたはさらに別の食品要素を、一つまたは複数のホッパーを用いて付加することを特徴とする請求項29または30記載の方法。
【請求項33】
前記さらに別の食品要素を、さらに別のローラおよびホッパーによって付加することを特徴とする請求項29から32のいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
前記食品がチョコレートであり、前記層状製品が菓子製品であることを特徴とする請求項26から33のいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
前記食品が、焼き菓子材料、砂糖製品、およびペットフード製品であることを特徴とする請求項26から33のいずれか1項記載の方法。
【請求項36】
前記第1食品要素がチョコレートである場合に、いずれかの適当な手段によって付加される前記第2のまたはさらに別の食品要素が、クリーム、砕いたナッツ、発泡させた麦芽乳菓子からなる混入物、ビスケット片、果物片、キャラメル、ヌガー、トリュフ、ポテトチップ、メレンゲ片、さらなるチョコレート層、アイスクリーム、またはこれらの組合せから選ばれることを特徴とする請求項29から34のいずれか1項記載の方法。
【請求項37】
製品が層状またはさざなみ状製品からなる中心部の集団を取り囲む単一フィルムを備えていることを特徴とする層状菓子製品。
【請求項38】
複数の層が螺旋の形態を呈していることを特徴とする層状菓子製品。
【請求項39】
複数の層が中心点から花弁形状に外方へ延びていることを特徴とする層状菓子製品。
【請求項40】
製品内の隣接層が異なる食品要素で形成されていることを特徴とする層状菓子製品。
【請求項41】
製品内の隣接層が異なる色彩を有することを特徴とする請求項40記載の層状菓子製品。
【請求項42】
製品内の隣接層が異なる材料で形成されていることを特徴とする請求項40または41記載の層状菓子製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図4f】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図4f】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−167765(P2008−167765A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−60839(P2008−60839)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【分割の表示】特願2003−511646(P2003−511646)の分割
【原出願日】平成14年7月10日(2002.7.10)
【出願人】(500039968)マーズ ユー ケー リミテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【分割の表示】特願2003−511646(P2003−511646)の分割
【原出願日】平成14年7月10日(2002.7.10)
【出願人】(500039968)マーズ ユー ケー リミテッド (3)
【Fターム(参考)】
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