説明

薄基板搬送用ローラ組及びそれを用いたケミカル処理方法

薄基板16を搬送するためのローラ組であって、それぞれ上下二つのローラシャフト10に固定された上ローラ12と下ローラ18とを備え、前記上ローラと下ローラのそれぞれが同一の線速度で時計回り方向と逆時計回り方向に沿って相対回転することで、薄基板を一方向に向かって搬送するローラ組である。前記上ローラは、固定ローラと該固定ローラにその外周面を囲むように固定された弾性片とを備える。上記薄基板搬送用ローラ組を用いてケミカル処理を施す方法であって、具体的に、一組又は一組以上のローラ組を用いて、前記薄基板を一方向に沿って連続移動させることによって、溶液で前記薄基板に対して連続ウェットケミカル処理を施す方法である。連続ウェットケミカル処理を施すために、上ローラは、如何なる状況においても、例え薄基板が下ローラから脱離されても安定に移動させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラ組及びそれを用いたケミカル処理方法に関し、特に、薄基板転送用ローラ組、及びそれを用いて薄基板の表面に対し連続ウェットケミカル処理を施す方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子製造工業において、薄基板の表面にウェットケミカル処理を施すことは、通常の工業操作工程である。ウェットケミカル処理とは、化学溶液を用いて薄基板の表面に対して、エッチング、薄膜の堆積、洗浄などを施す作業工程を指す。例えば、プリント基板の製造工程における電子配線の設定と、基板の洗浄工程が、ウェットケミカル処理工程である。同様に、太陽電池の生産工程において半導体シリコン基板のテクスチャ形成と洗浄工程も、ウェットケミカル処理工程である。
【0003】
初期の電子製造工業において、通常、間歇操作の方法によって薄基板の表面にウェットケミカル処理を施す。間歇ウェットケミカル処理方法とは、薄基板を各種のホルダーに固定したり、或いは薄基板を各種の載置ケースに入れた後、ホルダー又は載置ケースを垂直に化学溶液槽の化学溶液中に浸漬して、薄基板の表面にウェットケミカル処理を施すことをいう。間歇ウェットケミカル処理は、薄基板と化学溶液とが相対静止していることを特徴としている。
【0004】
薄基板と化学溶液とが相対静止しているので、薄基板の表面の全体において化学溶液の濃度の均一性を確保するのは困難であり、特に、薄基板の面積が比較的大きい場合、又は薄基板同士間の距離が比較的小さい場合に、上記の不均一性がさらに顕著になる。従って、間歇ウェットケミカル表面処理には、欠点として、薄基板表面の化学溶液濃度の均一性を制御し難い問題がある。通常、薄基板の周囲と中心との間、及び薄基板の上面と下面との間に、化学溶液濃度の差が生じることによって、薄基板に対しウェットケミカル表面処理を行う際の品質に悪影響を与える。
【0005】
間歇ウェットケミカル表面処理には、二つ目の欠点として、同様に相対静止していることによって起因する、薄基板の表面における温度の均一性を制御し難い問題がある。薄基板のウェットケミカル処理時の温度が室温よりも高い又は低い場合に、上記の温度の不均一性は更に顕著になる。特に、薄基板の表面において発生するケミカル反応が放熱反応又は吸熱反応である場合、温度の不均一性によって薄基板の表面におけるウエットケミカル反応が正常に行えない恐れがある。
【0006】
又、間歇ウェットケミカル表面処理のもう一つの欠点として、薄基板を各種のホルダーと載置ケースに装着、又は薄基板を各種のホルダーと載置ケースから取り外すことが、比較的困難である。通常、このような脱着は、非常に複雑な手工作業を要しており、大量の人手が必要である上、作業中に薄基板が破損し易いので生産コストの増加を引き起している。
【0007】
上記のような間歇ウェットケミカル表面処理の多くの欠点を克服するために、連続ウェットケミカル表面処理の技術が開発されている。
【0008】
初期の連続ウェットケミカル表面処理の技術においては、固定された上下のローラ組を用いて、薄基板を水平に搬送し、連続に各種の化学溶液槽を通過させることで、薄基板の表面に連続ウェットケミカル処理を施す目的を達成していた。薄基板の表面に連続ウェットケミカル処理を施す技術の主要な利点として、薄基板の表面における濃度と温度を非常に均一に制御できることである。連続ウェットケミカル処理の過程において、薄基板は、上下一対のローラによって移動させられることによって、その表面と化学溶液とが相対移動することで、薄基板の表面における化学溶液の濃度と温度の均一性が確保されている。
【0009】
連続ウェットケミカル表面処理技術のもう一つの利点として、間歇ウェットケミカル表面処理で薄基板を各種のホルダー又は載置ケースに装着する作業や、薄基板を各種のホルダー又は載置ケースから取り外す作業を省略することができる。連続ウェットケミカル表面処理の過程において、薄基板を直接連続ウェットケミカル処理装置に水平になるよう放置し、連続ウェットケミカル処理装置の下ローラによって薄基板を各化学溶液槽内に連続搬送し、各種のウェットケミカル表面処理を施すことができる。連続ウェットケミカル処理装置の応用は、半導体工業の連続生産及び自動化に欠かせない条件を提供している。
【0010】
半導体工業の継続発展に伴い、使用される薄基板は、厚さが薄く、面積が大きく、材質が軟らかくなる傾向が強い。例えば、半導体太陽電池工業において、太陽電池製造用のシリコンウエハの厚さは、通常200μm以下である。又、半導体プリント基板工業において、既に、フレキシブル高分子材料を半導体プリント基板の材料として使用し始めている。
【0011】
但し、従来の連続ウェットケミカル処理設備において、上下のローラ組は固定式の構造であり、即ち、一つ又は一つ以上のローラは、一本のローラシャフトに固定される。上下のローラは、それぞれに上下のローラシャフトに固定される。必要に応じて、上下のローラは対称、または非対称となっている。このような固定式ローラ構造の欠点として、各上下のローラ間の距離の一致性を確保することは困難である。換言すると、各上下のローラ間の圧力の一致性を確保することは困難である。そのため、このような固定式の上下のローラによって薄基板を搬送する際に、上下のローラが同時に薄基板と接触されず搬送を実現できなくなるか、或は上下のローラの間の距離が小さすぎて、薄基板に加わる圧力が過大になるため、破損を引き起す事態が発生する。従って、従来の固定式ローラ構造は、既に現代半導体工業の要求を満たせなくなった。
【0012】
特許番号US6971505号の米国特許文献には、上記課題を解決するためのローラ組設計案が開示されている。当該設計案では、伝統の方法における上下のローラの双方とも固定式である構造が変更され、上ローラが上下方向及び左右方向に移動自在な浮動ローラとされている。このような構造によれば、上ローラが一定の範囲内に移動自在であるので、薄基板を搬送する際の薄基板に加わる圧力が一定レベルに確保されている。実際、このような構造において、薄基板に加わる圧力は当該浮動上ローラ自身の重力であるため、当該浮動上ローラの構造によれば、薄基板が上下のローラ組間で受ける圧力を有効に制御することができ、そして当該ローラ組の機械的破損を引き起すことはなく、当該ローラ組によって薄基板を連続搬送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第6971505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記浮動上ローラの構造によって、薄基板に加わる圧力が一定であることは確保されたが、その前後左右に移動自在とした構造は、操作上の不具合を引き起す原因にもなる。まず、浮動上ローラは前後方向に移動可能であるので、薄基板の上下の二つの表面のそれぞれに、異なる方向からの力を受ける状況が多く、これにより薄基板の移動中に、当該薄基板が左右方向に揺動されることによって、破損される恐れがある。
【0015】
浮動上ローラのもう一つの問題として、薄基板の下面が浮動ローラの重力よりも大きい力を受ける際、例えば、下面が洗い流される際、或は気流で吹き乾かされる際、薄基板が上方へ浮かんで下ローラから離脱する可能性がある。そして、薄基板が下ローラから離脱した場合、浮動上ローラから受けた力の方向が不確定であるので、この場合、薄基板が前方へ進めなくなったり、後方へ退けたりして、薄基板が破損される恐れがある。
【0016】
従って、当該浮動上ローラの構造は固定式ローラの欠点を解決するには不十分である。
【0017】
上記の問題に鑑みて、本発明の一つの目的として、上ローラが常に下ローラと同一の線速度を保持することができるローラ組を提供することである。
【0018】
本発明のもう一つの目的として、上ローラが薄基板の上面に対して一定の圧力を加えることによって、薄基板と下ローラとを接触させる薄基板搬送用ローラ組を提供することである。
【0019】
本発明のもう一つの目的として、薄基板と下ローラとが接触しない場合においても、上ローラによって薄基板を安定的に移動させることができる薄基板搬送用ローラ組を提供することである。
【0020】
本発明のもう一つの目的として、上記ローラ組を用いて薄基板に対しケミカル処理を施す方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記の目的を達成するために、本発明は、それぞれ上下二つのローラシャフトに固定された上ローラと下ローラとを備え、前記上下二つのローラシャフトが各自の主動駆動軸によって駆動されることにより、上ローラと下ローラのそれぞれが同一の線速度で時計回り方向と逆時計回り方向に沿って相対回転することで、上ローラと下ローラとの間を通過する薄基板が、このローラ組の作用によって一定方向に向かって移動する、薄基板搬送用ローラ組を提供する。
【0022】
前記上ローラは、固定ローラと、当該固定ローラの外周面を囲むように固定された弾性片とを備え、前記固定ローラの断面は円形又は多辺形であり、前記弾性片の一端又は両端が固定ローラに固定され、前記上ローラと下ローラの幅は、薄基板の幅よりも小さい或いは大きく、前記上ローラと下ローラとは、金属、金属酸化物、金属合金、半導体材料又は高分子材料で製造され、前記下ローラは、固定ローラと、当該固定ローラにその外周面を囲むように固定された弾性片とからなり、或は、前記下ローラは、その表面にOリングを装着したり、パターンを形成したりすることで、薄基板との摩擦力を増加するように構成される。
【0023】
一方、本発明は、上記薄基板搬送用ローラ組を用いてケミカル処理を施す方法を提供する。具体的に、一組又は一組以上のローラ組を用いて、前記薄基板を一方向に沿って連続移動させることによって、溶液を使って前記薄基板に対して連続ウェットケミカル処理を施すようになっている。前記溶液は水又は化学溶液である。前記連続ウェットケミカル処理には、薄基板に対して、表面エッチング、表面堆積、表面洗浄、表面パターン設定、水洗又は吹き乾かしを施すステップが含まれている。
【0024】
本発明に係るローラ組及びそれを用いたケミカル処理方法は、固定式ローラが有する安定性の特徴を保留した上で、弾性片の構造によって上ローラが如何なる状況においても薄基板に一定の力を加えるようにされ、これにより、薄基板は如何なる場合、例えば下ローラから脱離された場合においても、安定的に移動させられることができ、連続ウェットケミカル処理を順調に施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る薄基板搬送用ローラ組の第1実施例において、上ローラの弾性片の一端が非円形の断面を有する固定ローラに固定されたことを示す概略図である。
【図2】薄基板が下ローラと図1に示された上ローラにおける弾性片との協同作用によって一方向へ移動されることを示す概略図である。
【図3】図1に示された複数の上ローラがシャフトに装着されたことを示す概略図である。
【図4】本発明に係る薄基板搬送用ローラ組の第2実施例において、上ローラの弾性片の両端が円形の断面を有する固定ローラに固定されたことを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明に係る薄基板搬送用ローラ組の第1実施例において、上ローラの弾性片の一端が非円形の断面を有する固定ローラに固定されたことを示す概略図である。
【0028】
図1に示すように、本発明のローラ組では、上ローラは固定ローラ12と弾性片14とを備え、固定ローラ12が多辺形の断面を有し、固定ローラ12の周辺には、複数の弾性片14が固定されている。固定ローラ12の中心には、当該上ローラを搬送シャフトに固定するための小孔10(図3を参照)が設けられている。当該上ローラ及びそれと対応する下ローラは、各自のシャフトの駆動によって、同一の線速度でそれぞれ時計回り方向と逆時計回り方向に沿って回転することができる。
【0029】
図1に示すように、弾性片14は、その一端が固定ローラ12に固定されるとともに、他端が上下方向に移動自在とするように構成されている。当該構造の利点として、弾性片14により薄基板に加わる圧力は、比較的大きい範囲の恒圧区域を有しているので、比較的大きい範囲内で下ローラ又は薄基板自体の平面度のばらつきを許容する。当該構造のもう一つの利点として、弾性片14と薄基板との接触面積を大きくすることができ、薄基板、特にフレキシブル薄基板を安定的に移動させることが可能である。
【0030】
図2は、薄基板が下ローラと図1に示された上ローラにおける弾性片との協同作用によって一方向へ移動されることを示す概略図である。
【0031】
図2に示されたように、薄基板16が下ローラ18と上ローラとの間を通過する際に、弾性片14の一端が上下移動自在であり、且つ作用力が一定に保持されているので、上ローラの固定ローラ12と下ローラ18との間の距離が変化しても、本発明の弾性片14が依然として一定の圧力で薄基板16に押し付けられ、これにより、薄基板16が常に安定的に下ローラと上ローラとの間を通過することが保証されている。
【0032】
実際の応用では、一組又は一組以上のローラ組を用いて、前記薄基板16が一方向に沿って連続移動するように搬送され、これによって、水又は化学溶液で前記薄基板に対し連続ウェットケミカル処理を施すようになっている。前記連続ウェットケミカル処理には、薄基板16に対して、表面エッチング、表面堆積、表面洗浄、表面パターン設定、水洗又は吹き乾かし等を施す処理ステップを含む。
【0033】
上ローラと下ローラとの間の距離が一定に保持された場合、弾性片14により薄基板16に加わる圧力が一定であるため、本発明のローラ組によって、固定ローラにおける問題が完全に克服されている。即ち、上ローラと下ローラとの間の距離が異なっていても、本発明のローラ組も弾性片14によって、薄基板に与えられた力を一定に保証することができる。
【0034】
本実施例の変形例として、弾性片14は、固定ローラ12の周辺に固定された本体からその自由端に向かって厚さがだんだん薄くなるように構成されても良い。このような構造によって、薄基板に加わる圧力が次第に変化する効果を奏することができる。
【0035】
例えば、薄基板16にケミカル処理を施す際に、噴射と吹き乾かしは不可欠のステップである。この二つの作業ステップにおいて、薄基板16の上面と下面に受ける圧力が随時に変化する可能性があり、即ち、薄基板16の下面で受けた圧力が上面で受けた圧力よりも大きくなる可能性がある。この場合、薄基板16が下ローラ18から離脱するように浮き上がり、薄基板16の移動が不安定になるか、或いは破損される可能性がある。
【0036】
これに対して、本発明はこのような可能性を完全に無くしている。これは、弾性片14の固定端から自由端に向かってその厚さが薄くなるように構成すれば、弾性片14により薄基板16に加わる圧力は、薄基板16の浮き上がりに伴って増大し、薄基板16のさらなる浮き上がりを阻止する効果を奏することができるからである。一方、薄基板16に加わる圧力はその浮き上がりに伴って増大するので、薄基板16が下ローラ18から離脱した場合においても、上ローラの弾性片14からの大きい圧力を受けているので、薄基板16が上ローラの駆動によって安定に移動することができる。従って、本発明に係るローラ組は、背景技術における前記浮動上ローラの欠点を完全に克服することができる。
【0037】
又、下ローラ18は、その表面にOリングを装着したり、パターンを形成したりすることで、薄基板との摩擦力を増加するように構成されても良い。そして、下ローラ18は、固定ローラと当該固定ローラの周辺に固定された弾性片により構成されても良い。
【0038】
図3は、図1に示された複数の上ローラがシャフトに装着されたことを示す概略図である。この図に示すように、複数の上ローラは、固定ローラ12の中心に設けられている小孔を介して、シャフト20に固定されている。
【0039】
図4は、本発明に係る薄基板搬送用ローラ組の第2実施例において、上ローラの弾性片の両端が円形の断面を有する固定ローラに固定されたことを示す概略図である。
【0040】
図4に示すように、第2実施例において、本発明のローラ組における上ローラの弾性片24は、両端とも固定ローラ22に固定されるように構成されている。このような構造の利点として、弾性片24の両端がともに固定ローラ22に固定されたので、位置決め精度が高くなり、かつ薄基板の表面の不平滑によって弾性片24が固定ローラ22の回動中に変位し、固定ローラ回動中の弾性片24の変位によって弾性片24と下ローラとが同一の垂直線に位置せず、薄基板が破損する事態を回避できる。このような構造は、特に、弾性片24の幅が非常に狭いことが要求される場合、例えば弾性片24の幅が3mmよりも小さい場合に、適合である。
【0041】
本発明のローラ組における上ローラの固定ローラ12又は22自体は、下ローラ18又は薄基板16と接触しないので、固定ローラ12又は22が必ずしも円形の断面を有するとは限らない。各種の弾性片14又は24の各状況における具体応用によっては、上ローラの固定ローラ12又は22の外周形状を任意に変更することができる。例えば、図1の固定ローラ12の断面形状は多辺形になっている。このような特徴によって、本発明のローラ組はより広い応用領域に適用することができる。
【0042】
補足すると、弾性片14又は24の形状は、図3に示された薄い直方体に限られるものではなく、その使用状況によって、異なる形状に形成されても良い。
【0043】
又、具体の使用状況によって、本発明のローラ組の幅を任意に変更することができる。例えば、フレキシブル薄基板にウェットケミカル処理を施す際に、当該薄基板の安定移動と弾性片による破損の減少のために、弾性片14はより幅広く設定することができ、例えば薄基板の幅を超えても良い。一方、薄基板の表面に均一のウェットケミカル処理を施すためには、弾性片14の幅を狭く設定しても良い。
【0044】
弾性片14製造用の材料は、異なる使用状況によっていろいろ選択することができる。例えば、強腐食性の化学溶液が入っている化学溶液槽の場合、耐腐食性の高いフッ素系高分子材料で製造することができる。一部の電気メッキ用化学溶液槽においては、弾性片14と薄基板との良好な電気的接触のために、金属、例えばステンレスで弾性片14を製造することができる。
【0045】
以上、本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は、上記の特定した実施例に限られるものではなく、本発明の思想及び実質を逸脱しない前提で、当業者は本発明を元にして各種の変更や変形を行うことができ、これらの変更や変形も本発明の特許請求の範囲により請求される範囲内に属する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ上下二つのローラシャフトに固定された上ローラと下ローラとを備え、
前記上下二つのローラシャフトが各自の主動駆動軸に駆動されることにより、上ローラと下ローラのそれぞれが同一の線速度で時計回り方向と逆時計回り方向に沿って相対回転することで、上ローラと下ローラとの間を通過する薄基板が、このローラ組の作用によって一方向に向かって移動することを特徴とする薄基板搬送用ローラ組。
【請求項2】
前記上ローラは、固定ローラ12と、該固定ローラ12にその外周面を囲むように固定された複数の弾性片14とを備えることを特徴とする請求項1に記載の薄基板搬送用ローラ組。
【請求項3】
前記固定ローラ12の断面形状は、円形又は多辺形であることを特徴とする請求項2に記載の薄基板搬送用ローラ組。
【請求項4】
前記弾性片14の一端又は両端は、固定ローラ12に固定されていることを特徴とする請求項2に記載の薄基板搬送用ローラ組。
【請求項5】
前記上ローラと下ローラの幅と、薄基板の幅とが異なっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の薄基板搬送用ローラ組。
【請求項6】
前記上ローラと下ローラは、金属、金属酸化物、金属合金、半導体材料又は高分子材料で製造されることを特徴とする請求項1又は2に記載の薄基板搬送用ローラ組。
【請求項7】
前記下ローラは、固定ローラと、該固定ローラにその外周面を囲むように固定された弾性片とからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の薄基板搬送用ローラ組。
【請求項8】
前記下ローラの表面には、薄基板との摩擦力を増加させるため、Oリングが装着され、あるいはパターンが形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の薄基板搬送用ローラ組。
【請求項9】
請求項1に記載の薄基板搬送用ローラ組を用いてケミカル処理を施す方法であって、一組又は一組以上のローラ組を用いて、前記薄基板を一方向に沿って連続移動させるとともに、溶液を使って前記薄基板に対して連続ウェットケミカル処理を施すことを特徴とするケミカル処理方法。
【請求項10】
前記上ローラは、固定ローラ12と、該固定ローラ12にその外周面を囲むように固定された複数の弾性片14とを備えることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記固定ローラ12の断面形状は、円形又は多辺形であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記弾性片14の一端又は両端は、固定ローラ12に固定されていることを特徴とする請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記上ローラと下ローラの幅と、薄基板の幅とが異なっていることを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
【請求項14】
前記ローラ組と薄基板とは、金属、金属酸化物、金属合金、半導体材料又は高分子材料で製造されることを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
【請求項15】
前記下ローラは、固定ローラと、該固定ローラにその外周面を囲むように固定された弾性片とからなることを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
【請求項16】
前記下ローラの表面には、薄基板との摩擦力を増加させるため、Oリングが装着され、あるいはパターンが形成されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
【請求項17】
前記溶液は、水又は化学溶液であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記連続ウェットケミカル処理は、薄基板に対して、表面エッチング、表面堆積、表面洗浄、表面パターン設定、水洗又は吹き乾かしを施すステップを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−504862(P2011−504862A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535197(P2010−535197)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【国際出願番号】PCT/CN2008/000241
【国際公開番号】WO2009/070946
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(510150248)ウシ サンテック パワー カンパニー,リミティド (2)
【Fターム(参考)】