説明

薄膜蒸着装置

【課題】薄膜蒸着装置を提供する。
【解決手段】大型基板量産工程に容易に適用でき、製造収率が向上した薄膜蒸着装置に係り、これを具現するために、基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、蒸着源;蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数個の第1スリットが形成される第1ノズル;蒸着源と対向するように配され、第1方向に沿って複数個の第2スリットが形成される第2ノズル;第1ノズルと第2ノズルとの間の空間を区画するように、第1方向に沿って配された複数個の遮断壁を具備する遮断壁アセンブリ;第2ノズルと基板との間隔を制御する間隔制御部材と、第2ノズルと基板との間のアラインを調節するアライン制御部材とのうち、少なくとも一つ;を含む薄膜蒸着装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜蒸着装置に係り、詳細には、大型基板量産工程に容易に適用され、製造収率が向上した薄膜蒸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置のうち、有機発光ディスプレイ(OLED)装置は、視野角が広く、かつコントラストにすぐれるだけではなく応答速度が速いという長所を有しており、次世代ディスプレイ装置として注目を集めている。
【0003】
一般的に、有機発光ディスプレイ装置は、アノードとカソードとからそれぞれ注入される正孔と電子とが発光層で結合されて発光する原理によって色相具現が可能な、アノードとカソードとの間に発光層を挿入した積層型の構造である。しかし、このような構造では高効率発光を得難いために、それぞれの電極と発光層との間に、電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層及び正孔注入層のような中間層を選択的に追加挿入して使用している。
【0004】
しかし、発光層や前記中間層のような有機薄膜の微細パターンを形成することが実質的に非常に困難であり、前記層によって、赤色、緑色及び青色の発光効率が異なるために、従来の薄膜蒸着装置では、大面積(5G以上のマザーガラス(mother-glass))に対するパターニングが不可能であり、満足すべきレベルの駆動電圧、電流密度、輝度、色純度、発光効率及び寿命などを有する大型有機発光ディスプレイ装置を製造できず、その改善が至急である。
【0005】
一方、有機発光ディスプレイ装置は、互いに対向した第1電極及び第2電極間に発光層及びこれを含む中間層を具備する。このとき、前記電極及び中間層は、さまざまな方法で形成されうるが、そのうちの1つの方法が蒸着である。蒸着方法を利用して有機発光ディスプレイ装置を製作するためには、薄膜などが形成される基板面に、形成される薄膜などのパターンと同じパターンを有するファインメタル・マスク(FMM:fine metal mask)を密着させ、薄膜などのための材料を蒸着して所定パターンの薄膜を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は製造が容易であり、かつ大型基板量産工程に容易に適用され、製造収率及び蒸着効率が向上し、ノズルと基板との間隔調節が容易な薄膜蒸着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、蒸着源;前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数個の第1スリットが形成される第1ノズル;前記蒸着源と対向するように配され、前記第1方向に沿って複数個の第2スリットが形成される第2ノズル;前記第1ノズルと前記第2ノズルとの間の空間を区画するように、前記第1方向に沿って配された複数個の遮断壁を具備する遮断壁アセンブリ;前記第2ノズルと前記基板との間隔を制御する間隔制御部材と、前記第2ノズルと前記基板との間のアラインを調節するアライン制御部材とのうち、少なくとも一つ;を含む薄膜蒸着装置を提供する。
【0008】
本発明において、前記間隔制御部材は、前記第2ノズルと前記基板との間隔が一定に維持されるように制御されうる。
本発明において、前記間隔制御部材は、前記基板に対する前記第2ノズルの位置を測定するセンサと、前記基板に対して前記第2ノズルを移動させるための駆動力を提供するアクチュエータとを含むことができる。
【0009】
ここで、前記基板上には、ポジショニング・マーク(positioning mark)が形成され、前記センサは、前記ポジショニング・マークを基準に、前記基板に対する前記第2ノズルの位置を測定できる。
ここで、前記基板上には、オープンマスクが配され、前記オープンマスクは、前記ポジショニング・マークと重畳されないように配されうる。
ここで、前記薄膜蒸着装置は、ベースフレームと、前記ベースフレーム上に配され、内部に前記第2ノズルが収容されるトレイとをさらに含むことができる。
【0010】
ここで、前記アクチュエータは、前記トレイに対して前記第2ノズルを移動させることによって、前記第2ノズルと前記基板との間隔を制御できる。
ここで、前記間隔制御部材は、前記第2ノズルの一端部と前記トレイとの間に配され、前記第2ノズルの一端部を前記トレイに対して移動させる第1アクチュエータと、前記一端部と対向する前記第2ノズルの他端部と前記トレイとの間に配され、前記第2ノズルの前記他端部を前記トレイに対して移動させる第2アクチュエータと、前記第2ノズルを前記第1方向を軸にして回転させる第3アクチュエータとを含むことができる。
【0011】
ここで、前記アクチュエータは、ピエゾモータ(piezoelectric motor)でありうる。
ここで、前記アクチュエータと前記センサは、前記第2ノズルと前記基板との間隔をリアルタイムでフィードバック制御できる。
本発明において、前記間隔制御部材は、前記第2ノズルの両端部に配され、前記基板と接するように配されるローラまたはボールでありうる。
【0012】
本発明において、前記アライン制御部材は、前記基板に対する前記第2ノズルの相対的の位置が一定に維持されるように制御されうる。
ここで、前記アライン制御部材は、前記基板に対する前記第2ノズルの位置を測定するセンサと、前記基板に対して前記第2ノズルを移動させるための駆動力を提供するアクチュエータとを含むことができる。
ここで、前記基板上には、ポジショニング・マークが形成され、前記センサは、前記ポジショニング・マークを基準に、前記基板に対する前記第2ノズルの相対的の位置を測定できる。
【0013】
ここで、前記基板上には、オープンマスクが配され、前記オープンマスクは、前記ポジショニング・マークと重畳されないように配されうる。
ここで、前記薄膜蒸着装置は、ベースフレームと、前記ベースフレーム上に配され、内部に前記第2ノズルが収容されるトレイとをさらに含むことができる。
ここで、前記アクチュエータは、前記ベースフレームに対して前記トレイを移動させることによって、前記第2ノズルと前記基板との間のアラインを調節できる。
【0014】
ここで、前記アライン制御部材は、前記トレイの一端部と前記ベースフレームとの間に配され、前記トレイを前記ベースフレームに対して直線移動させる第1アクチュエータと、前記一端部と当接する前記トレイの他端部と前記ベースフレームとの間に配され、前記トレイを前記ベースフレームに対して回転移動させる第2アクチュエータとを含む。
【0015】
ここで、前記アクチュエータは、ピエゾモータでありうる。
ここで、前記アクチュエータと前記センサは、前記第2ノズルと前記基板との間のアラインを、リアルタイムでフィードバック制御できる。
【0016】
本発明において、前記複数個の遮断壁それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直な方向に形成され、前記第1ノズルと前記第2ノズルとの間の空間を区画できる。
本発明において、前記複数個の遮断壁は、等間隔に配されうる。
本発明において、前記遮断壁と前記第2ノズルは、所定間隔をおいて離隔されるように形成されうる。
【0017】
本発明において、前記遮断壁アセンブリは、前記薄膜蒸着装置から分離自在に形成されうる。
本発明において、前記遮断壁アセンブリは、複数個の第1遮断壁を具備する第1遮断壁アセンブリと、複数個の第2遮断壁を具備する第2遮断壁アセンブリとを含むことができる。
ここで、前記複数個の第1遮断壁及び前記複数個の第2遮断壁それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直な第2方向に形成され、前記第1ノズルと前記第2ノズルとの間の空間を区画できる。
【0018】
ここで、前記複数個の第1遮断壁及び前記複数個の第2遮断壁それぞれは、互いに対応するように配されうる。
ここで、前記互いに対応する第1遮断壁及び第2遮断壁は、実質的に同じ平面上に位置するように配されうる。
本発明において、前記蒸着源で気化された蒸着物質は、前記第1ノズル及び前記第2ノズルを通過して前記基板に蒸着されうる。
本発明において、前記第2ノズルは、前記基板から所定間隔をおいて離隔されるように形成されうる。
【0019】
本発明において、前記蒸着源、前記第1ノズル、前記第2ノズル及び前記遮断壁アセンブリは、前記基板に対して相対的に移動自在に形成されうる。
ここで、前記蒸着源、前記第1ノズル、前記第2ノズル及び前記遮断壁アセンブリは、前記基板に対して相対的に移動しつつ、前記基板に蒸着物質を蒸着させることができる。
ここで、前記蒸着源、前記第1ノズル、前記第2ノズル及び前記遮断壁アセンブリは、前記基板と平行した面に沿って相対的に移動できる。
【0020】
他の側面による本発明は、基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、蒸着物質を放射する蒸着源;前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数個の第1スリットが形成される第1ノズル;前記第1ノズルと対向するように配され、前記第1方向に対して垂直な第2方向に沿って複数個の第2スリットが形成される第2ノズル;前記第2ノズルと前記基板との間隔を制御する間隔制御部材と、前記第2ノズルと前記基板との間のアラインを調節するアライン制御部材とのうち、少なくとも一つ;を含み、前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して、前記第1方向に沿って移動しつつ蒸着が行われ、前記蒸着源、前記第1ノズル及び前記第2ノズルは、一体に形成されることを特徴とする薄膜蒸着装置を提供する。
【0021】
本発明において、前記間隔制御部材は、前記第2ノズルと前記基板との間隔が一定に維持されるように制御できる。
本発明において、前記間隔制御部材は、前記基板に対する前記第2ノズルの位置を測定するセンサと、前記基板に対して前記第2ノズルを移動させるための駆動力を提供するアクチュエータとを含むことができる。
【0022】
ここで、前記基板上には、ポジショニング・マークが形成され、前記センサは、前記ポジショニング・マークを基準に、前記基板に対する前記第2ノズルの位置を測定できる。
ここで、前記基板上には、オープンマスクが配され、前記オープンマスクは、前記ポジショニング・マークと重畳されないように配されうる。
ここで、前記薄膜蒸着装置は、ベースフレームと、前記ベースフレーム上に配され、内部に前記第2ノズルが収容されるトレイとをさらに含むことができる。
ここで、前記アクチュエータは、前記トレイに対して前記第2ノズルを移動させることによって、前記第2ノズルと前記基板との間隔を制御できる。
【0023】
ここで、前記間隔制御部材は、前記第2ノズルの一端部と前記トレイとの間に配され、前記第2ノズルの一端部を前記トレイに対して移動させる第1アクチュエータと、前記一端部と対向する前記第2ノズルの他端部と前記トレイとの間に配され、前記第2ノズルの前記他端部を前記トレイに対して移動させる第2アクチュエータと、前記第2ノズルを前記第1方向を軸にして回転させる第3アクチュエータとを含むことができる。
ここで、前記アクチュエータは、ピエゾモータでありうる。
【0024】
ここで、前記アクチュエータと前記センサは、前記第2ノズルと前記基板との間隔をリアルタイムでフィードバック制御できる。
本発明において、前記間隔制御部材は、前記第2ノズルの両端部に配され、前記基板と接するように配されるローラまたはボールでありうる。
本発明において、前記アライン制御部材は、前記基板に対する前記第2ノズルの相対的の位置が一定に維持されるように制御できる。
ここで、前記アライン制御部材は、前記基板に対する前記第2ノズルの位置を測定するセンサと、前記基板に対して前記第2ノズルを移動させるための駆動力を提供するアクチュエータとを含むことができる。
【0025】
ここで、前記基板上には、ポジショニング・マークが形成され、前記センサは、前記ポジショニング・マークを基準に、前記基板に対する前記第2ノズルの相対的の位置を測定できる。
ここで、前記基板上には、オープンマスクが配され、前記オープンマスクは、前記ポジショニング・マークと重畳されないように配されうる。
【0026】
ここで、前記薄膜蒸着装置は、ベースフレームと、前記ベースフレーム上に配され、内部に前記第2ノズルが収容されるトレイとをさらに含むことができる。
ここで、前記アクチュエータは、前記ベースフレームに対して前記トレイを移動させることによって、前記第2ノズルと前記基板との間のアラインを調節できる。
【0027】
ここで、前記アライン制御部材は、前記トレイの一端部と前記ベースフレームとの間に配され、前記トレイを前記ベースフレームに対して直線移動させる第1アクチュエータと、前記一端部と当接する前記トレイの他端部と前記ベースフレームとの間に配され、前記トレイを前記ベースフレームに対して回転移動させる第2アクチュエータとを含む。
【0028】
ここで、前記アクチュエータは、ピエゾモータでありうる。
ここで、前記アクチュエータと前記センサは、前記第2ノズルと前記基板との間のアラインを、リアルタイムでフィードバック制御できる。
本発明において、前記蒸着源、前記第1ノズル及び前記第2ノズルは、連結部材によって結合され、一体に形成されうる。
【0029】
ここで、前記連結部材は、前記蒸着物質の移動経路をガイドできる。
ここで、前記連結部材は、前記蒸着源、前記第1ノズル及び前記第2ノズル間の空間を外部から密閉するように形成されうる。
【0030】
本発明において、前記薄膜蒸着装置は、前記基板と所定程度離隔されるように形成されうる。
本発明において、前記基板が、前記薄膜蒸着装置に対して、前記第1方向に沿って移動しつつ、前記基板上に前記蒸着物質が連続的に蒸着されうる。
本発明において、前記薄膜蒸着装置の前記第2ノズルは、前記基板より小さく形成されうる。
【0031】
本発明において、前記複数個の蒸着源ノズルは、所定角度チルトされるように形成されうる。
ここで、前記複数個の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された2列の蒸着源ノズルを含み、前記2列の蒸着源ノズルは、互いに対向する方向にチルトされうる。
ここで、前記複数個の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された2列の蒸着源ノズルを含み、前記2列の蒸着源ノズルのうち、第1側に配された蒸着源ノズルは、第2ノズルの第2側の端部を向くように配され、前記2列の蒸着源ノズルのうち、第2側に配された蒸着源ノズルは、第2ノズルの第1側の端部を向くように配されうる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の薄膜蒸着装置によれば、製造が容易であり、大型基板の量産工程に容易に適用でき、製造収率及び蒸着効率が向上し、ノズルと基板との間隔調節が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態による薄膜蒸着装置を概略的に図示した斜視図である。
【図2】図1の薄膜蒸着装置の概略的な側面図である。
【図3】図1の薄膜蒸着装置の概略的な平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係わる第2ノズルと第2ノズルフレームとの結合関係を概略的に示した図面である。
【図5A】本発明の第1実施形態に係わる薄膜蒸着装置で、蒸着物質が蒸着されている状態を概略的に示す図面である。
【図5B】図5Aのように、第1遮断壁及び第2遮断壁によって蒸着空間が分離された状態で発生する陰影(shadow)を示す図面である。
【図5C】蒸着空間が分離されていない状態で発生する陰影を示す図面である。
【図6】本発明の第1実施形態に係わる薄膜蒸着装置を示す側断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係わる薄膜蒸着装置の、間隔制御部材とアライン制御部材とを概略的に示す正面図である。
【図8】図7の薄膜蒸着装置で、間隔制御部材が第2ノズルと基板との間隔を一定に維持する方法を示す図面である。
【図9A】図7の薄膜蒸着装置で、アライン制御部材が第2ノズルと基板とのアラインを制御する方法を示す図面である。
【図9B】図7の薄膜蒸着装置で、アライン制御部材が第2ノズルと基板とのアラインを制御する方法を示す図面である。
【図10】本発明の第2実施形態に係わる薄膜蒸着装置を示す側断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係わる薄膜蒸着装置の、間隔制御部材とアライン制御部材とを概略的に示す正面図である。
【図12A】本発明の間隙制御部材の一具体例を示す図面である。
【図12B】本発明の間隙制御部材の他の具体例を示す図面である。
【図13】本発明の第3実施形態に係わる薄膜蒸着装置を示す側断面図である。
【図14】本発明の第4実施形態による薄膜蒸着装置を概略的に図示した斜視図である。
【図15】図14の薄膜蒸着装置の概略的な側面図である。
【図16】図14の薄膜蒸着装置の概略的な平面図である。
【図17】本発明の第5実施形態による薄膜蒸着装置を示す図面である。
【図18】本発明による薄膜蒸着装置で、蒸着源ノズルをチルトさせていないとき、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面である。
【図19】本発明による薄膜蒸着装置で、蒸着源ノズルをチルトさせたとき、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付された図面を参照しつつ、本発明の望ましい実施形態について、詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による薄膜蒸着装置を概略的に図示した斜視図であり、図2は、図1の薄膜蒸着装置の概略的な側断面図であり、図3は、図1の薄膜蒸着装置の概略的な平断面図である。
【0035】
図1、図2及び図3を参照すれば、本発明の第1実施形態に係わる薄膜蒸着装置100は、蒸着源110、第1ノズル120、遮断壁アセンブリ130、第2ノズル150、第2ノズルフレーム155及び基板160を含む。また、本発明の第1実施形態に係わる薄膜蒸着装置100は、間隔制御部材(図7参照)とアライン制御部材(図7参照)とをさらに含む。かような間隔制御部材とアライン制御部材とについては、図6以下で詳細に説明する。
【0036】
ここで、図1、図2及び図3には、説明の便宜のために、チャンバを図示していないが、図1ないし図3の全ての構成は、適切な真空度が維持されるチャンバ内に配されることが望ましい。これは、蒸着物質の直進性を確保するためである。
【0037】
詳細には、蒸着源110から放出された蒸着物質115を、第1ノズル120及び第2ノズル150を通過し、基板160に所望のパターンに蒸着させようとするならば、基本的に、チャンバ(図示せず)の内部は、FMM(fine metal mask)蒸着方法のような高真空状態を維持しなければならない。また、遮断壁131及び第2ノズル150の温度が、蒸着源110の温度より十分に低くなってこそ(約100゜以下)、第1ノズル120と第2ノズル150との間の空間を高真空状態に維持できる。このように、遮断壁アセンブリ130と第2ノズル150との温度が十分に低ければ、所望しない方向に放射される蒸着物質115は、いずれも遮断壁アセンブリ130面に吸着され、高真空を維持できるために、蒸着物質間の衝突が発生せず、蒸着物質の直進性を確保できるのである。このとき、遮断壁アセンブリ130は、高温の蒸着源110を向いており、蒸着源110と近いところは、最大167℃゜ほどに温度が上昇するために、必要な場合、部分冷却装置がさらに備わりうる。このために、遮断壁アセンブリ130には、冷却部材が形成されうる。
【0038】
このようなチャンバ(図示せず)内には、被蒸着体である基板160が配される。前記基板160は、平板表示装置用基板になりうるが、多数の平板表示装置を形成できるマザーガラス(mother glass)のような大面積基板が適用されうる。
チャンバ内で、前記基板160と対向する側には、蒸着物質115が収容及び加熱される蒸着源110が配される。前記蒸着源110内に収容されている蒸着物質115が気化されることによって、基板160に蒸着がなされる。詳細には、蒸着源110は、その内部に蒸着物質115が充填されるルツボ111と、ルツボ111を加熱させ、ルツボ111内部に充填された蒸着物質115をルツボ111の一側、詳細には、第1ノズル120側に蒸発させるためのヒータ112とを含む。
【0039】
蒸着源110の一側、詳細には、蒸着源110で基板160に向かう側には、第1ノズル120が配される。そして、第1ノズル120には、Y軸方向に沿って複数個の第1スリット121が形成される。ここで、前記複数個の第1スリット121は、等間隔に形成されうる。蒸着源110内で気化された蒸着物質115は、かような第1ノズル120を通過し、被蒸着体である基板160側に向かうのである。
【0040】
第1ノズル120の一側には、遮断壁アセンブリ130が備わる。前記遮断壁アセンブリ130は、複数個の遮断壁131と、遮断壁131外側に備わる遮断壁フレーム132とを含む。ここで、前記複数個の遮断壁131は、Y軸方向に沿って互いに平行に備わりうる。そして、前記複数個の遮断壁131は、等間隔に形成されうる。また、それぞれの遮断壁131は、図面で見たとき、XZ平面と平行に、換言すれば、Y軸方向に垂直になるように形成される。このように配された複数個の遮断壁131は、第1ノズル120と、後述する第2ノズル150との間の空間を区画する役割を行う。ここで、本発明の第1実施形態に係わる薄膜蒸着装置100は、前記遮断壁131によって、蒸着物質が噴射されるそれぞれの第1スリット121別に、蒸着空間が分離されることを一特徴とする。
【0041】
ここで、それぞれの遮断壁131は、互いに隣接している第1スリット121間に配されうる。これは言い換えれば、互いに隣接している遮断壁131間に、1つの第1スリット121が配されると見ることもできる。望ましくは、第1スリット121は、互いに隣接している遮断壁131間の真ん中に位置しうる。このように、遮断壁131が第1ノズル120と、後述する第2ノズル150との間の空間を区画することによって、1つの第1スリット121から排出される蒸着物質は、他の第1スリット121から排出された蒸着物質と混合されず、第2スリット151を通過して基板160に蒸着されるのである。換言すれば、遮断壁131は、第1スリット121を介して排出される蒸着物質を分散させないように、蒸着物質のY軸方向の移動経路をガイドする役割を行う。
【0042】
一方、前記複数個の遮断壁131の外側には、遮断壁フレーム132がさらに備わりうる。遮断壁フレーム132は、複数個の遮断壁131の上下面にそれぞれ備わり、複数個の遮断壁131の位置を支持するとともに、第1スリット121を介して排出される蒸着物質を分散させないように、蒸着物質のZ軸方向の移動経路をガイドする役割を行う。
一方、前記遮断壁アセンブリ130は、薄膜蒸着装置100から分離自在に形成されうる。詳細には、従来のFMM蒸着方法は、蒸着効率が低いちう問題点が存在した。ここで、蒸着効率というのは、蒸着源で気化された材料のうち、実際に基板に蒸着された材料の比率を意味するものであり、従来のFMM蒸着方法での蒸着効率は、32%ほどである。しかも、従来のFMM蒸着方法では、蒸着に使われなかった68%ほどの有機物が、蒸着器内部の各所に蒸着されるために、そのリサイクルが容易ではないという問題点が存在した。
【0043】
かような問題点を解決するために、本発明の第1実施形態に係わる薄膜蒸着装置100では、遮断壁アセンブリ130を利用して蒸着空間を外部空間と分離したので、基板160に蒸着されなかった蒸着物質は、ほとんど遮断壁アセンブリ130内に蒸着される。従って、長時間の蒸着後、遮断壁アセンブリ130に蒸着物質が多く溜まれば、遮断壁アセンブリ130を薄膜蒸着装置100から分離した後、別途の蒸着物質リサイクル装置に入れて蒸着物質を回収できる。かような構成を介し、蒸着物質リサイクル率を上げることによって、蒸着効率が向上し、製造コストが節減されるという効果を得ることができる。
【0044】
蒸着源110と基板160との間には、第2ノズル150及び第2ノズルフレーム155がさらに備わる。第2ノズルフレーム155は、ほぼ窓枠のような格子状に形成され、その内側に、第2ノズル150が結合される。ただし図面には、第2ノズル150と第2ノズルフレーム155とが別途の部材でもって形成され、互いに結合されうると図示されているが、本発明の思想は、これに制限されるものではなく、第2ノズル150と第2ノズルフレーム155は、一体に形成されもする。その場合、第2ノズル150と第2ノズルフレーム155とを合わせて、第2ノズルと呼ぶこともできる。
【0045】
そして、第2ノズル150には、Y軸方向に沿って複数個の第2スリット151が形成される。ここで、前記複数個の第2スリット151は、等間隔に形成されうる。蒸着源110内で気化された蒸着物質115は、第1ノズル120及び第2ノズル150を通過し、被蒸着体である基板160側に向かうのである。
【0046】
ここで、本発明の第1実施形態に係わる薄膜蒸着装置100は、第1スリット121の総個数より、第2スリット151の総個数がさらに多いことを一特徴とする。また、互いに隣接している2つの遮断壁131間に配された第1スリット121の個数より、第2スリット151の個数がさらに多いことを一特徴とする。
【0047】
すなわち、互いに隣接している2つの遮断壁131間には、一つまたはそれ以上の第1スリット121が配される。同時に、互いに隣接している2つの遮断壁131間には、複数個の第2スリット151が配される。そして、互いに隣接している2つの遮断壁131によって、第1ノズル120と第2ノズル150との間の空間が区画され、それぞれの第1スリット121別に、蒸着空間が分離される。従って、1つの第1スリット121から放射された蒸着物質は、ほぼ同じ蒸着空間にある第2スリット151を通過し、基板160に蒸着されるのである。
【0048】
一方、前記第2ノズル150は、従来のFMM、特にストライプタイプ(stripe type)のマスクの製造方法と同じ方法であるエッチングを介して製作されうる。この場合、既存FMM蒸着方法では、FMMサイズが基板サイズと同一に形成されなければならない。従って、基板サイズが増大するほど、FMMも大型化されなければならず、従ってFMM製作が容易ではなく、FMMを引き伸ばして精密なパターンにアラインするのも容易ではないという問題点が存在した。しかし、本発明の第1実施形態に係わる薄膜蒸着装置100の場合、薄膜蒸着装置100が、チャンバ(図示せず)内でZ軸方向に移動しつつ蒸着がなされる。換言すれば、薄膜蒸着装置100が、現在位置で蒸着を完了した場合、薄膜蒸着装置100または基板160を、Z軸方向に相対的に移動させ、連続的に蒸着を行う。従って、本発明の薄膜蒸着装置100では、従来のFMMに比べて、はるかに小さく第2ノズル150を設けることができる。すなわち、本発明の薄膜蒸着装置100の場合、第2ノズル150のY軸方向への幅、及び基板160のY軸方向への幅のみを同一に形成すれば、第2ノズル150のZ軸方向の長さは、基板160の長さより短く形成できるのである。このように、従来のFMMに比べて、はるかに小さく第2ノズル150を設けることができるために、本発明の第2ノズル150は、その製造が容易である。すなわち、第2ノズル150のエッチング作業や、その後の精密な引張(extension)及び溶接作業、移動及び洗浄の作業など、全ての工程で、小型の第2ノズル150が、FMM蒸着方法に比べて有利である。また、これは、ディスプレイ装置が大型化されるほど、さらに有利になる。
【0049】
一方、前述の遮断壁アセンブリ130と第2ノズル150は、互いに一定程度離隔されるように形成されうる。このように、遮断壁アセンブリ130と第2ノズル150とを互いに離隔させる理由は、次の通りである。
【0050】
まず、第2ノズル150と第2ノズルフレーム155は、基板160上で、精密な位置とギャップ(gap)とでアラインされなければならないという、いわば高精密制御が必要な部分である。従って、高精度が要求される部分の重さを軽くして制御を容易にするために、精度制御が不要であって重量のある蒸着源110、第1ノズル120及び遮断壁アセンブリ130を、第2ノズル150及び第2ノズルフレーム155から分離するのである。次に、高温状態の蒸着源110によって、遮断壁アセンブリ130の温度は、最大100℃以上に上昇するために、上昇した遮断壁アセンブリ130の温度が、第2ノズル150に伝導されないように、遮断壁アセンブリ130と第2ノズル150とを分離するのである。次に、本発明の薄膜蒸着装置100では、遮断壁アセンブリ130に付着した蒸着物質を主にリサイクルし、第2ノズル150に付着した蒸着物質は、リサイクルを行わないのである。従って、遮断壁アセンブリ130が第2ノズル150と分離されれば、蒸着物質のリサイクル作業が容易になる効果も得ることができる。併せて、基板160全体の膜均一度を確保するために、補正板(図示せず)をさらに具備できるが、遮断壁131が第2ノズル150と分離されれば、補正板(図示せず)を設けるのが非常に容易になる。最後に、1枚の基板を蒸着し、次の基板を蒸着する前の状態で、蒸着物質が第2ノズル150に蒸着されることを防止し、ノズル交替周期を長くするためには、仕切り(図示せず)がさらに備わりうる。このとき、仕切り(図示せず)は、遮断壁131と第2ノズル150との間に設けることが容易である。
【0051】
図4は、本発明の第1実施形態に係わる、第2ノズルと第2ノズルフレームとの結合関係を概略的に示した図面である。
図4を参照すれば、第2ノズルフレーム155は、ほぼ窓枠のような格子状に形成され、その内側に、複数個の第2スリット151が形成された第2ノズル150が結合される。ここで、本発明の第1実施形態に係わる薄膜蒸着装置100では、第2ノズル150と第2ノズルフレーム155とが結合するとき、第2ノズルフレーム155が、第2ノズル150に所定の引張力(tensile force)を付与できるように、第2ノズル150と第2ノズルフレーム155とが結合されることを一特徴とする。
【0052】
詳細には、第2ノズル150の精度は、第2ノズル150の製作誤差と、蒸着中の第2ノズル150の熱膨張による誤差とに分けて影響を受けうる。ここで、第2ノズル150の製作誤差を最小化するために、FMMをフレームに精密引張、溶接するときに使用するカウンタ・フォース(counter force)技術を適用できる。これについてさらに詳細に説明すれば、次の通りである。まず、図4に図示されているように、第2ノズル150に外側に向かう方向に張力を加え、第2ノズル150を引き伸ばす。次に、前記第2ノズル150に加えられる加圧力と対する方向、すなわち反対方向に、第2ノズルフレーム155に圧縮力を加え、第2ノズル150に加えられる外力と平衡をなさせる。次に、第2ノズルフレーム155に、第2ノズル150のエッジを溶接するなどの方法で、第2ノズルフレーム155に第2ノズル150を結合する。最後に、第2ノズル150と第2ノズルフレーム155とに、平衡をなすように作用する外力を除去すれば、第2ノズルフレーム155によって、第2ノズル150に引張力が加えられることになる。かような精密引張、圧縮、溶接技術を利用すれば、エッチング散布があっても、第2ノズル150製作誤差は、2μm以下に製作が可能である。
【0053】
一方、本発明の第1実施形態に係わる薄膜蒸着装置100では、第2ノズルフレーム155の温度を一定に維持することを一特徴とする。詳細には、本発明で第2ノズル150は、高温の蒸着源110を続けて向いているので、常に放射熱を受けるので、温度がある程度(ほぼ5〜15℃程度)上昇することになる。このように、第2ノズル150温度が上昇すれば、第2ノズル150が膨脹してパターン精度を下げてしまう。かような問題点を解決するために、本発明では、ストライプ・タイプ(stripe type)の第2ノズル150を使用するとともに、第2ノズル150の引張状態を左右する第2ノズルフレーム155の温度を均一にすることにより、第2ノズル150温度上昇によるパターン誤差を防止する。
【0054】
このようにすれば、第2ノズル150の水平方向(Y軸方向)の熱膨張(パターン誤差)は、第2ノズルフレーム155の温度によって決定されるために、第2ノズルフレーム155の温度さえ一定であるならば、第2ノズル150の温度が上がっても熱膨張によるパターン誤差問題は発生しない。一方、第2ノズル150の長さ方向(Z軸方向)への熱膨張は存在するが、これは、スキャン方向であるから、パターン精度とは関係がない。
【0055】
このとき、第2ノズルフレーム155は、真空状態で蒸着源110にからかなり離隔されているために放射熱を受けず、蒸着源110と連結されてもいないために、熱伝導度もく、第2ノズルフレーム155の温度が上昇する余地はほとんどない。もし、若干(1〜3℃)の温度上昇問題があったとしても、熱遮蔽板(thermal shield)または放熱フィンなどを使用すれば、容易に一定の温度を維持できる。これについては後述する。
【0056】
このように、第2ノズルフレーム155が第2ノズル150に所定の引張力を付与するとともに、第2ノズルフレーム155の温度を一定に維持させることによって、第2ノズル150の熱膨張問題と第2ノズル150のパターン精度問題とが分離され、第2ノズル150のパターン精度が向上するという効果を得ることができる。すなわち、前述のように、精密引張、圧縮、溶接技術を利用すれば、エッチング散布があっても、第2ノズル150の製作誤差は、2μm以下でありうる。また、第2ノズル150の温度上昇による熱膨張による誤差は、ストライプタイプの第2ノズル150に引張力を決定し、第2ノズルフレーム155の温度を一定にすることによって発生しない。従って、第2ノズル150の精度は、{第2ノズルの製作誤差(<2μm)+第2ノズル熱膨張誤差(〜0)<2μm}に製作可能であることが分かる。
【0057】
図5Aは、本発明の第1実施形態に係わる薄膜蒸着装置で、蒸着物質が蒸着されている状態を概略的に示す図面であり、図5Bは、図5Aのように、遮断壁によって蒸着空間が分離された状態で発生する陰影(shadow)を示す図面であり、図5Cは、蒸着空間が分離されていない状態で発生する陰影を示す図面である。
図5Aを参照すれば、蒸着源110で気化された蒸着物質は、第1ノズル120及び第2ノズル150を通過して基板160に蒸着される。このとき、第1ノズル120と第2ノズル150との間の空間は、遮断壁131によって区画されているので、第1ノズル120のそれぞれの第1スリット121から出てきた蒸着物質は、遮断壁131によって他の第1スリットから出てきた蒸着物質と混合されない。
【0058】
第1ノズル120と第2ノズル150との間の空間が、遮断壁アセンブリ130によって区画されている場合、図5Bに図示されているように、蒸着物質は、約55゜〜90゜の角度で第2ノズル150を通過して基板160に蒸着される。すなわち、遮断壁アセンブリ130のスリットのすぐ横を通過する蒸着物質の蒸着角度は、約55゜になり、スリットの中央部分を通過する蒸着物質の蒸着角度は、約90゜となる。このとき、基板160に生成される陰影領域の幅SHは、次の数式1によって決定される。
【0059】
[数1]
SH=s*d/h
ここで、sは、第2ノズルと基板との間の距離であり、dは、第1スリットの幅であり、hは、第1ノズルから第2ノズルまでの距離である。
【0060】
一方、第1ノズル121と第2ノズル151との間の空間が遮断壁によって区画されていない場合、図5Cに図示されているように、蒸着物質は、図5Bでよりもさらに広い範囲の多様な角度で第2ノズル150を通過することになる。すなわち、この場合、第2スリット151のすぐ横にある第1スリット121から放射された蒸着物質だけではなく、他の第1スリット121から放射された蒸着物質までも第2スリット151を介して基板160に蒸着されるので、基板160に形成された陰影領域SHの幅は、遮断板を具備した場合に比べてはるかに大きくなる。このとき、基板160に生成される陰影領域の幅SHは、次の数式2によって決定される。
【0061】
[数2]
SH=s*2d/h
【0062】
前記数式1と数式2とを比較してみたとき、d(第1スリットの幅)よりd(隣接する第1スリット間の間隔)が数〜数十倍以上はるかに大きく形成されるので、第1ノズル120と第2ノズル150との間の空間が遮断壁131によって区画されている場合、陰影がはるかに小さく形成されることが分かる。ここで、基板160に生成される陰影領域の幅SHを狭めるためには、(1)第1スリット間の間隔を狭めたり(d減少)、(3)第2ノズル150と基板160との間隔を狭めたり(s減少)、(3)第1ノズルから第2ノズルまでの幅を大きくしなければならない(h増大)。
【0063】
従って、遮断壁131を具備することによって、基板160に生成される陰影が小さくなり、従って、第2ノズル150を基板160から離隔させられるのである。
詳細には、本発明の第1実施形態に係わる薄膜蒸着装置100では、第2ノズル150は、基板160から一定程度離隔させて形成される。換言すれば、従来のFMM蒸着方法では、基板に陰影を生じさせないようにするために、基板にマスクを密着させて蒸着工程を進めた。しかし、このように基板にマスクを密着させる場合、基板とマスクとの接触による不良問題が発生するという問題点が存在した。かような問題点を解決するために、本発明の第1実施形態に係わる薄膜蒸着装置100では、第2ノズル150が被蒸着体である基板160と所定間隔をおいて離隔されるように配する。これは、遮断壁131を具備することによって、基板160に生成される陰影を小さくすることによって実現可能になる。
【0064】
かような本発明によって、基板とマスクとの接触による不良を防止する効果を得ることができる。また、工程で、基板とマスクとを密着させる時間が不要であるために、製造速度が速まるという効果を得ることができる。
以下、本発明の第1実施形態に係わる薄膜蒸着装置100の、第2ノズル150と基板160とのアライン精度及び間隔精度を満足させるためのアライン制御部材及び間隔制御部材について詳細に説明する。
【0065】
前述のように、本発明の第1実施形態に係わる薄膜蒸着装置100は、第2ノズル150が基板160から一定程度離隔されるように形成され、第2ノズル150が基板160に対して、Z軸方向に相対的に移動しつつ蒸着が行われることを特徴とする。ところで、このように、第2ノズル150が移動しつつ、精密な薄膜をパターニングするためには、第2ノズル150と基板160との位置精度が非常に重要である。また、第2ノズル150と基板160との間隔(gap)が変動すれば、パターン位置がずれるために、最大限一定の間隔(例えば、100μm)を維持しなければならない。このために、本発明の第1実施形態に係わる薄膜蒸着装置100は、間隔制御部材とアライン制御部材とを具備し、第2ノズル150と基板160との間隔を一定に維持するとともに、第2ノズル150と基板160とを精密にアラインさせることを一特徴とする。
【0066】
図6は、本発明の第1実施形態に係わる薄膜蒸着装置を示す側断面図である。そして、図7は、本発明の第1実施形態に係わる薄膜蒸着装置の、間隔制御部材とアライン制御部材とを概略的に示す正面図である。説明の便宜のために、図7には、図6に図示された薄膜蒸着装置の構成要素のうち、第2ノズル、第2ノズルフレーム及び基板を除外した残り構成要素は省略した。
【0067】
図6及び図7を参照すれば、本発明の第1実施形態に係わる薄膜蒸着装置100は、ベースフレーム171と、トレイ173と、オープンマスク175と、レール177と、間隔制御部材と、アライン制御部材とをさらに具備する。
基板160上には、蒸着物質が蒸着される蒸着領域161と、蒸着物質が蒸着されない非蒸着領域162とが存在する。また、基板160上には、第2ノズル150と基板160との一定の間隔維持、及び第2ノズル150と基板160との精密アラインの基準になるポジショニング・マーク(positioning mark)163が形成されている。図面には、ポジショニング・マーク163が、基板160上の左端部、中央部、羽緞部の三ヵ所に形成されていると図示されているが、本発明の思想はこれに制限されるものではない。
【0068】
一方、基板160上には、オープンマスク(open mask)175が配される。一般的に、大型基板160上には、いくつかの蒸着領域161が存在し、それぞれの蒸着領域160間には、蒸着物質が蒸着されてはならない非蒸着領域162が存在する。このとき、非蒸着領域162に蒸着物質を蒸着させないために、オープンマスク175を使用するが、一般的なオープンマスクを使用すれば、第2ノズル150と基板160との間隔調節と位置測定とが困難になる。従って、本発明の第1実施形態に係わる薄膜蒸着装置では、オープンマスク175で基板160が隠れない領域が、第2ノズル150の移動方向と同じZ軸方向に形成されるように配されることを一特徴とする。すなわち、基板160上でポジショニング・マーク163が形成されている部分は、オープンマスク175で隠れないようにオープンマスク175を配し、第2ノズル150と基板160との間隔調節と位置測定とを可能にするのである。
【0069】
蒸着対象である基板160の両側には、レール177が配される。
レール177には、ベースフレーム171が挟まれる。ベースフレーム171は、モータ(図示せず)が提供する駆動力によって、レール177に沿ってZ軸方向に上下動するようになる。かようなベースフレーム171上に、第2ノズル150と基板160との一定間隔維持、及び第2ノズル150と基板160との精密アラインと関連した全ての構成要素、すなわち、第2ノズル150、第2ノズルフレーム155、トレイ173、間隔制御部材及びアライン制御部材が配される。換言すれば、ベースフレーム171上にトレイ173が設けられ、トレイ173内に第2ノズルフレーム155が設けられる。また、トレイ173と第2ノズルフレーム155との間には、間隔制御部材が配され、ベースフレーム171とトレイ173との間には、アライン制御部材が配される。
【0070】
かようなベースフレーム171は、できる限り軽量に製造されなければならず、ベースフレーム171をZ軸方向に移動させる左右モータ(図示せず)は、前記ベースフレーム171上に配される全ての構成要素を駆動できるほどの駆動力を提供しなければならない。また、モータ(図示せず)は、真空でも使用可能でなければならず、左右移動速度が同一でなければならず、振動が十分に小さくなければならない。また、Z軸方向移動速度は、かなりの精度は要求されないが、できる限り一定速度で動かなければならず、移動中に揺れることは、最小化されなければならない。
【0071】
トレイ173は、ベースフレーム171上に配される。そして、トレイ173上には、第2ノズルフレーム155が着脱自在に配される。
詳細には、トレイ173は、第2ノズルフレーム155が装着された場合、第2ノズルフレーム155がY軸方向及びZ軸方向に動かないように固定する役割を行う。一方、トレイ173は、第2ノズルフレーム155が装着された場合、第2ノズルフレーム155が、トレイ173内でX軸方向には、一定程度移動自在に形成される。すなわち、X軸方向での、基板160と第2ノズル150との間隔制御は、トレイ173を基準に、第2ノズルフレーム155を移動させることによって行われるのである。
【0072】
一方、トレイ173は、後述する第1アライン調節アクチュエータ191と第2アライン調節アクチュエータ192とを利用し、ベースフレーム171に対して、Y軸方向及びZ軸方向に移動する。一方、トレイ173は、X軸方向には固定されていなければならない。すなわち、YZ平面上での、第2ノズル150と基板160との精密アラインは、ベースフレーム171を基準に、トレイ173を移動させることによって行われるのである。
【0073】
間隔制御部材は、第1間隔調節アクチュエータ181、第2間隔調節アクチュエータ182、第3間隔調節アクチュエータ183、及び間隔調節センサ185a,185b,185c,185dを含む。第1間隔調節アクチュエータ181、第2間隔調節アクチュエータ182、第3間隔調節アクチュエータ183は、トレイ173と第2ノズルフレーム155との間に設けられ、間隔調節センサ185a,185b,185c,185dは、第2ノズルフレーム155上に設けられうる。
【0074】
詳細には、アクチュエータは、電気、油圧、圧縮空気などを利用する駆動装置の総称であり、メカトロニクス分野では、ある種の制御機構を有する電気モータ、あるいは油圧や空気圧に作動するピストンまたはシリンダ機構などを意味する。
本発明で、第1間隔調節アクチュエータ181は、トレイ173の一側端、図面で見たときは、トレイ173の左側端と第2ノズルフレーム155との間に配され、第2ノズルフレーム155及び第2ノズルフレーム155に配された第2ノズル150と、基板160との間隔を制御する役割を行う。第2間隔調節アクチュエータ182は、トレイ173の他側端、図面で見たときは、トレイ173の右側端と第2ノズルフレーム155との間に配され、第2ノズルフレーム155及び第2ノズルフレーム155に配された第2ノズル150と、基板160との間隔を制御する役割を行う。第3間隔調節アクチュエータ183は、トレイ173の一端部、図面で見たときは、トレイ173の下端中央に配され、第2ノズルフレーム155及び第2ノズルフレーム155に配された第2ノズル150と、基板160との間隔を制御する役割を行う。
【0075】
ここで、前記第1間隔調節アクチュエータ181、第2間隔調節アクチュエータ182及び第3間隔調節アクチュエータ183としては、ピエゾモータ(piezoelectric motor)が使われている。ピエゾモータは。電場が加えられるときに発生するピエゾ材料の形状変化に基づく電気モータの一種であり、小型でありながらも、強い駆動力を出すことができるアクチュエータであって、多様に活用されている。
一方、間隔調節センサ185a,185b,185c,185dは、第2ノズルフレーム155の4つのコーナー部分に設けられうる。間隔調節センサ185a,185b,185c,185dは、第2ノズルフレーム155と基板160との間隔を測定する役割を行う。かような間隔調節センサ185a,185b,185c,185dは、レーザを利用し、第2ノズルフレーム155と基板160との間隔を測定できる。ここで、間隔調節センサ185a,185b,185c,185dは、基板160上のポジショニング・マーク163を利用し、第2ノズルフレーム155と基板160との間隔を測定できる。かような間隔制御部材が、第2ノズル150と基板160との間隔を調節する方法については、図8で詳細に説明する。
【0076】
アライン制御部材は、第1アライン調節アクチュエータ191、第2アライン調節アクチュエータ192、及びアライン調節センサ195a,195b,195c,195dを含む。第1アライン調節アクチュエータ191、第2アライン調節アクチュエータ192は、ベースフレーム171とトレイ173との間に設けられ、アライン調節センサ195a,195b,195c,195dは、第2ノズルフレーム155上に設けられうる。
【0077】
本発明で、第1アライン調節アクチュエータ191は、図面で見たとき、ベースフレーム171の左側端とトレイ173の左側端との間に配され、トレイ173及びトレイ173に配された第2ノズル150と基板160とのY軸方向アラインを制御する役割を行う。
一方、第2アライン調節アクチュエータ192は、図面で見たとき、ベースフレーム171の下端とトレイ173の下端との間、詳細には、ベースフレーム171の右側下端とトレイ173の右側下端との間に配され、基板160に対するトレイ173(及びトレイ173に配された第2ノズル150)の回転角を調節することによって、第2ノズル150と基板160とのアラインを制御する役割を行う。
【0078】
一方、アライン調節センサ195a,195b,195c,195dは、第2ノズルフレーム155の4つのコーナー部分に設けられうる。アライン調節センサ195a,195b,195c,195dは、第2ノズルフレーム155と基板160とが整列されているか否かを測定する役割を行う。かようなアライン調節センサ195a,195b,195c,195dは、レーザを利用し、第2ノズルフレーム155と基板160とのアラインいかんを測定できる。ここで、アライン調節センサ195a,195b,195c,195dは、基板160上のポジショニング・マーク163を利用し、第2ノズルフレーム155と基板160とのアラインいかんを測定できる。アライン制御部材が、第2ノズル150と基板160とをアラインする方法については、図9で詳細に説明する。
【0079】
以下、間隔制御部材が第2ノズル150と基板160との間隔を一定に維持するための方法について詳細に説明する。
【0080】
図8を参照すれば、前述のように、第2ノズル150と基板160との間隔制御のためには、基本的に3個のアクチュエータが必要である。
まず、第1間隔調節アクチュエータ181を駆動し、第2ノズルフレーム155を、トレイ173に対してX軸方向に、一定程度移動させることによって、第1間隔調節センサ185aと第3間隔調節センサ185cとで測定された第2ノズル150と基板160との間隔の平均値を、所望の値(例えば、100μm)にする。例えば、第1間隔調節センサ185aと第3間隔調節センサ185cとで測定した第2ノズル150と基板160との間隔の平均値が、所望の値より大きい場合、第1間隔調節アクチュエータ181は、第2ノズルフレーム155の第1間隔調節アクチュエータ181が設けられた部分が、基板160と近づくように、第2ノズルフレーム155を、トレイ173に対して移動させる。反対に、第1間隔調節センサ185aと第3間隔調節センサ185cとで測定した第2ノズル150と基板160との間隔の平均値が、所望の値より小さい場合、第1間隔調節アクチュエータ181は、第2ノズルフレーム155の第1間隔調節アクチュエータ181が設けられた部分が、基板160から遠ざかるように、第2ノズルフレーム155をトレイ173に対して移動させる。
【0081】
同じ方法で、第2間隔調節アクチュエータ182を駆動し、第2ノズルフレーム155を、トレイ173に対してX軸方向に、一定程度移動させることによって、第2間隔調節センサ185bと第4間隔調節センサ185dとで測定した第2ノズル150と基板160との間隔の平均値を、所望の値(例えば、100μm)にする。例えば、第2間隔調節センサ185bと第4間隔調節センサ185dとで測定した第2ノズル150と基板160との間隔の平均値が、所望の値より大きい場合、第2間隔調節アクチュエータ182は、第2ノズルフレーム155の第2間隔調節アクチュエータ182が設けられた部分が、基板160と近づくように、第2ノズルフレーム155を、トレイ173に対して移動させる。反対に、第2間隔調節センサ185bと第4間隔調節センサ185dとで測定した第2ノズル150と基板160との間隔の平均値が、所望の値より小さい場合、第2間隔調節アクチュエータ182は、第2ノズルフレーム155の第2間隔調節アクチュエータ182が設けられた部分が、基板160から遠ざかるように、トレイ173に対して第2ノズルフレーム155を移動させる。
【0082】
かような左右側の間隔制御は、第1間隔調節センサ185aと第3間隔調節センサ185cとで測定した値の平均値と、第2間隔調節センサ185bと第4間隔調節センサ185dとで測定した値の平均値とをそれぞれ制御したものであるために、第1間隔調節センサ185aで測定した値と第3間隔調節センサ185cで測定した値との差、及び第2間隔調節センサ185bで測定した値と、第4間隔調節センサ185dで測定した値との差を小さくするためには、第3間隔調節アクチュエータ183を駆動し、図8の矢印Aを軸に、第2ノズルフレーム155をトレイ173に対して一定程度回転させる。
【0083】
すなわち、第1間隔調節センサ185aと第2間隔調節センサ185bでの間隔測定値が、第3間隔調節センサ185cと第4間隔調節センサ185dとでの間隔測定値より大きければ、第3間隔調節アクチュエータ183を駆動させ、第2ノズルフレーム155の第3間隔調節アクチュエータ183が設けられた部分が基板160と近づくように、第2ノズルフレーム155を移動させる。
【0084】
反対に、第1間隔調節センサ185aと第2間隔調節センサ185bでの間隔測定値が、第3間隔調節センサ185cと第4間隔調節センサ185dとでの間隔測定値より小さければ、第3間隔調節アクチュエータ183を駆動させ、第2ノズルフレーム155の第3間隔調節アクチュエータ183が設けられた部分が基板160から遠ざかるように、第2ノズルフレーム155を移動させる。
このように、3個の間隔調節アクチュエータと、4個の間隔調節センサとを使用し、第2ノズル150と基板160との間隔を精密に制御することによって、パターン位置が一定に維持され、製品信頼性が向上する効果を得ることができる。
【0085】
また、基板がさらに大型化される場合、間隔調節アクチュエータと間隔調節センサとをさらに具備し、第2ノズル150と基板160との間隔を精密に制御することも可能である。
以下、アライン制御部材が、第2ノズル150と基板160とをアラインするための方法について詳細に説明する。
図9A及び図9Bを参照すれば、前述のように、第2ノズル150と基板160とを精密にアラインさせるためには、基本的に2個のアクチュエータが必要である。図9A及び図9Bでは、説明の便宜のために、第2ノズル150(図7)とオープンマスク175(図7)とを省略している。
【0086】
まず、図9Aを参照すれば、第1アライン調節センサ195a、第2アライン調節センサ195b、第3アライン調節センサ195c及び第4アライン調節センサ195dを利用し、基板160上のポジショニング・マーク163と、第2ノズルフレーム155のアラインマーク(図示せず)との相対的なY軸方向位置を測定する。このとき、基板160と第2ノズルフレーム155とのアラインが合わない場合、第1アライン調節アクチュエータ191を駆動し、トレイ173をY軸方向に一定程度移動させることによって、基板160と第2ノズルフレーム155とのY軸方向アラインを調節する。ここで、トレイ173をY軸方向に移動させる移動量は、前記4個のアライン調節センサ195a,195b,195c,195dそれぞれで測定した基板160上のポジショニング・マーク163と、第2ノズルフレーム155のアラインマーク(図示せず)との距離差値の平均値とすることができる。
【0087】
例えば、第2ノズルフレーム155が、基板160に対して右側に一定程度偏っている場合(図9Aの点線参照)、第1アライン調節アクチュエータ191が駆動され、基板160に対して、矢印B方向に第2ノズルフレーム155を一定程度移動させることによって、基板160と第2ノズルフレーム155とのY軸方向アラインを調節する。
一方、第2ノズル150が基板160に対して一定程度回転されているために、第2ノズル150と基板160とのアラインが合わない場合も存在しうる。この場合、第2ノズル150と基板160とのアラインを合せるために、第2ノズル150を一定程度回転させることも可能である。
【0088】
図9Bを参照すれば、第1アライン調節センサ195aと、第3アライン調節センサ195cとでそれぞれ測定した基板160上のポジショニング・マーク163と、第2ノズルフレーム155のアラインマーク(図示せず)との誤差値の差と、第2アライン調節センサ195bと第4アライン調節センサ195dとでそれぞれ測定した基板160上のポジショニング・マーク163と、第2ノズルフレーム155のアラインマーク(図示せず)との誤差値の差とがそれぞれ0になるように、第2アライン調節アクチュエータ192を駆動し、トレイ173を一定程度回転させることによって、基板160と第2ノズルフレーム155とのアラインを調節するのである。
【0089】
ここで、第2ノズルフレーム155が、ポジショニング・マーク163に対して、逆時計回り方向に傾いている場合(図9Bの点線参照)、第2アライン調節アクチュエータ192は、矢印C方向に、基板160に対して第2ノズルフレーム155を時計回り方向に回転させる。一方、第2ノズルフレーム155が、ポジショニング・マーク163に対して、時計回り方向に傾いている場合、第2アライン調節アクチュエータ192は、第2ノズルフレーム155を、逆時計回り方向に回転させる。
このように、2つのアライン調節アクチュエータと、4個のアライン調節センサとを使用し、第2ノズル150と基板160とのアラインを精密に制御することによって、第2ノズル150が移動しつつも、基板160上に精密な薄膜をパターニングできるようになるという効果を得ることができる。
【0090】
以下、本発明に係わる薄膜蒸着装置の第2実施形態について説明する。本発明の第2実施形態は、他の部分は第1実施形態と同一であり、間隔制御部材の構成が特徴的に異なる。従って、本実施形態では、第1実施形態と同じ引用符号を使用する構成要素については、その詳細な説明を省略する。
図10は、本発明の第2実施形態に係わる薄膜蒸着装置を示す側断面図である。そして、図11は、本発明の第2実施形態に係わる薄膜蒸着装置の、間隔制御部材とアライン制御部材とを概略的に示す正面図である。説明の便宜のために、図11には、図10に図示された薄膜蒸着装置の構成要素のうち、第2ノズル、第2ノズルフレーム及び基板を除外した残りの構成要素は省略してある。
【0091】
図10及び図11を参照すれば、本発明の第2実施形態に係わる薄膜蒸着装置100は、蒸着源110、第1ノズル120、遮断壁アセンブリ130、第2ノズル150、第2ノズルフレーム155、基板160及びアライン制御部材を含む。また、本発明の第2実施形態に係わる薄膜蒸着装置100は、間隔制御部材280をさらに含む。
【0092】
図12A、図12Bは、前記間隙制御部材280の具体的な形態を示す図面である。
図12Aに図示されているように、本発明の第2実施形態に係わる薄膜蒸着装置100の間隔制御部材280は、第2ノズルフレーム155の4つのコーナー部に付着されたローラ280aの形態で備わりうる。または、図12Bに図示されているように、本発明の第2実施形態に係わる薄膜蒸着装置100の間隔制御部材280は、第2ノズルフレーム155の4つのコーナー部に付着されたボール280bの形態で備わりもする。この場合、ローラ280a形態またはボール280b形態の間隔制御部材280の半径、軸(図示せず)の半径などは、非常に精密に加工されなければならない。また、ボール280b形態の間隔制御部材280を具備する場合、ボール280bと接触する部分もまた、非常に精密に加工されなければならない。
【0093】
このように、ローラ280a形態またはボール280bの形態で備わった本発明の第2実施形態に係わる間隔制御部材280は、アクチュエータとセンサとからなる本発明の第1実施形態での間隔制御部材に比べて、精度は、若干低下しうるが、その構成が簡単であり、製造が容易でありあり、オープンマスク175との干渉問題が発生しないという長所がある。換言すれば、本発明の第2実施形態では、間隔制御部材280が基板160を加圧する構造であるゆえに、オープンマスク175を間隔制御部材280の下方に設けることも可能である。従って、オープンマスク175の設置条件が非常に自由であるという長所を有する。
【0094】
以下、本発明に係わる薄膜蒸着装置の第3実施形態について説明する。本発明の第3実施形態は、他の部分は、第1実施形態と同一であり、遮断壁アセンブリの構成が特徴的に異なる。
図13は、本発明の第3実施形態による蒸着装置を概略的に図示した斜視図である。
図13を参照すれば、本発明の第3実施形態に係わる薄膜蒸着装置300は、蒸着源310、第1ノズル320、第1遮断壁アセンブリ330、第2遮断壁アセンブリ340、第2ノズル350、第2ノズルフレーム355及び基板360を含む。
【0095】
ここで、図13には、説明の便宜のためにチャンバを図示していないが、図13の全ての構成は、適切な真空度が維持されるチャンバ内に配されることが望ましい。これは、蒸着物質の直進性を確保するためである。
このようなチャンバ(図示せず)内には、被蒸着体である基板360が配される。そして、チャンバ(図示せず)内で、基板360と対向する側には、蒸着物質315が収容及び加熱される蒸着源310が配される。蒸着源310は、ルツボ311とヒータ312とを含む。
【0096】
蒸着源310の一側、詳細には蒸着源310で基板360に向かう側には、第1ノズル320が配される。そして、第1ノズル320には、Y軸方向に沿って複数個の第1スリット321が形成される。
第1ノズル320の一側には、第1遮断壁アセンブリ330が備わる。前記第1遮断壁アセンブリ330は、複数個の第1遮断壁331と、第1遮断壁331の外側に備わる第1遮断壁フレーム332とを含む。
【0097】
第1遮断壁アセンブリ330の一側には、第2遮断壁アセンブリ340が備わる。前記第2遮断壁アセンブリ340は、複数個の第2遮断壁341と、第2遮断壁341の外側に備わる第2遮断壁フレーム342とを含む。
そして、蒸着源310と基板360との間には、第2ノズル350及び第2ノズルフレーム355がさらに備わる。第2ノズルフレーム355は、ほぼ窓枠と同じ格子状に形成され、その内側に、第2ノズル350が結合される。そして、第2ノズル350には、Y軸方向に沿って複数個の第2スリット351が形成される。
【0098】
ここで、本発明の第3実施形態に係わる薄膜蒸着装置300は、遮断壁アセンブリが、第1遮断壁アセンブリ330と第2遮断壁アセンブリ340とに分離されていることを一特徴とする。
詳細には、前記複数個の第1遮断壁331は、Y軸方向に沿って互いに平行に備わりうる。そして、前記複数個の第1遮断壁331は、等間隔に形成されうる。また、それぞれの第1遮断壁331は、図面で見たとき、XZ平面と平行に、換言すれば、Y軸方向に垂直になるように形成される。
【0099】
また、前記複数個の第2遮断壁341は、Y軸方向に沿って互いに平行に備わりうる。そして、前記複数個の第2遮断壁341は、等間隔に形成されうる。また、それぞれの第2遮断壁341は、図面で見たとき、XZ平面と平行に、換言すれば、Y軸方向に垂直になるように形成される。
このように配された複数個の第1遮断壁331及び第2遮断壁341は、第1ノズル320と第2ノズル350との間の空間を区画する役割を行う。ここで、本発明の第3実施形態に係わる薄膜蒸着装置300は、前記第1遮断壁331及び第2遮断壁341によって、蒸着物質が噴射されるそれぞれの第1スリット321別に蒸着空間が分離されることを一特徴とする。
【0100】
ここで、それぞれの第2遮断壁341は、それぞれの第1遮断壁331と一対一に対応するように配されうる。換言すれば、それぞれの第2遮断壁341は、それぞれの第1遮断壁331とアラインされ、互いに平行に配されうる。すなわち、互いに対応する第1遮断壁331と第2遮断壁341は、互いに同じ平面上に位置するのである。このように、互いに平行に配された第1遮断壁331と第2遮断壁341とによって、第1ノズル320と、後述する第2ノズル350との間の空間が区画されることによって、1つの第1スリット321から排出される蒸着物質は、他の第1スリット321から排出された蒸着物質と混合されずに、第2スリット351を通過し、基板360に蒸着されるのである。換言すれば、第1遮断壁331及び第2遮断壁341は、第1スリット321を介して排出される蒸着物質を分散させないように、蒸着物質のY軸方向の移動経路をガイドする役割を行う。
【0101】
図面には、第1遮断壁331の厚みと第2遮断壁341のY軸方向の幅とが同じであると図示されているが、本発明の思想は、これに制限されるものではない。すなわち、第2ノズル350との精密なアラインが要求される第2遮断壁341は、相対的に薄く形成される一方、精密なアラインが要求されない第1遮断壁331は、相対的に厚く形成され、その製造を容易にすることも可能である。
【0102】
一方、図面には図示されていないが、本発明に第3実施形態に係わる薄膜蒸着装置300は、間隔制御部材とアライン制御部材とをさらに具備できる。本実施形態での間隔制御部材は、第1実施形態と同一に、アクチュエータとセンサとから構成されもし、または第2実施形態と同一に、ローラまたはボールで構成されることも可能である。また、本実施形態でのアライン制御部材は、第1実施形態及び第2実施形態と同一に、アクチュエータとセンサとから構成されることも可能である。かような間隔制御部材とアライン制御部材については、第1実施形態及び第2実施形態で詳述したので、本実施形態では、その詳細な説明は省略する。
以下、本発明に係わる薄膜蒸着装置の第4実施形態について説明する。本発明の第4実施形態は、遮断壁アセンブリを具備しないという点で、第1実施形態と特徴的に区別される。
【0103】
図14は、本発明の第4実施形態による薄膜蒸着装置を概略的に図示した斜視図であり、図15は、図14の薄膜蒸着装置の概略的な側面図であり、図16は、図14の薄膜蒸着装置の概略的な平面図である。
【0104】
図14、図15及び図16を参照すれば、本発明の第4実施形態に係わる薄膜蒸着装置900は、蒸着源910、第1ノズル920及び第2ノズル950を含む。
ここで、図14、図15及び図16には説明の便宜のためにチャンバを図示していないが、図14ないし図16の全ての構成は、適切な真空度が維持されるチャンバ内に配されることが望ましい。これは、蒸着物質の直進性を確保するためである。
【0105】
詳細には、蒸着源910から放出された蒸着物質915を、第1ノズル920及び第2ノズル950を通過させ、基板400に所望のパターンに蒸着させようとするならば、基本的にチャンバ(図示せず)内部は、FMM蒸着方法と同じ高真空状態を維持しなければならない。また第2ノズル950の温度が、蒸着源910温度より十分に低く(約100℃以下)なければならない。なぜならば、第2ノズル950の温度が十分に低くなってこそ、温度による第2ノズル950の熱膨張問題を最小化できるのである。
【0106】
このようなチャンバ(図示せず)内には、被蒸着体である基板400が配される。前記基板400は、平板表示装置用基板になりうるが、多数の平板表示装置を形成できるマザーガラスのような大面積基板が適用されうる。
ここで、本発明の第4実施形態では、基板400が薄膜蒸着装置900に対して、相対的に移動しつつ蒸着が進められることを一特徴とする。
詳細には、既存FMM蒸着方法では、FMMサイズが基板サイズと同一に形成されなければならない。従って、基板サイズが増大するほど、FMMも大型化されなければならず、これによって、FMM製作が容易ではなく、FMMを引き伸ばして精密なパターンにアラインするのも容易ではないという問題点が存在した。
【0107】
かような問題点を解決するために、本発明の第4実施形態に係わる薄膜蒸着装置900は、薄膜蒸着装置900と基板400とが互いに相対的に移動しつつ、蒸着がなされることを一特徴とする。換言すれば、薄膜蒸着装置900と対向するように配された基板400がZ軸方向に沿って移動しつつ、連続的に蒸着を行うことになる。すなわち、基板400が、図14の矢印A方向に移動しつつ、スキャニング方式で蒸着が行われるのである。ここで、図面には、基板400がチャンバ(図示せず)内でZ軸方向に移動しつつ蒸着がなされると図示されているが、本発明の思想は、これに制限されるものではなく、基板400は固定されており、薄膜蒸着装置900自体が、Z軸方向に移動しつつ蒸着を行うことも可能である。
【0108】
従って、本発明の薄膜蒸着装置900では、従来のFMMに比べて、はるかに小さく第2ノズル950を設けることができる。すなわち、本発明の薄膜蒸着装置900の場合、基板400がZ軸方向に沿って移動しつつ連続的に、すなわちスキャニング方式で蒸着を行うために、第2ノズル950のZ軸方向及びY軸方向の長さは基板400の長さよりはるかに小さく形成できるのである。このように、従来のFMMに比べて、はるかに小さく第2ノズル950を設けることができるために、本発明の第2ノズル950は、その製造が容易である。すなわち、第2ノズル950のエッチング作業でも、その後の精密引張及び溶接作業、移動及び洗浄作業など全ての工程で、小型の第2ノズル950が、FMM蒸着方法に比べて有利である。また、これはディスプレイ装置が大型化されるほど、さらに有利になる。
【0109】
このように、薄膜蒸着装置900と基板400とが、互いに相対的に移動しつつ蒸着がなされるためには、薄膜蒸着装置900と基板400とが一定程度離隔されているということが望ましい。これについては、後ほど技術する。
一方、チャンバ内で、前記基板400と対向する側には、蒸着物質915が収容及び加熱される蒸着源910が配される。前記蒸着源910内に収容されている蒸着物質915が気化されることによって、基板400に蒸着がなされる。
詳細には、蒸着源910は、その内部に蒸着物質915が充填されるルツボ911と、ルツボ911を加熱させ、ルツボ911内部に充填された蒸着物質915をルツボ911の一側、詳細には第1ノズル920側に蒸発させるためのヒータ912とを含む。
【0110】
蒸着源910の一側、詳細には、蒸着源910で基板400に向かう側には、第1ノズル920が配される。そして、第1ノズル920には、Z軸方向、すなわち基板400のスキャン方向に沿って複数個の第1スリット921が形成される。ここで、前記複数個の第1スリット921は、等間隔に形成されうる。蒸着源910内で気化された蒸着物質915は、かような第1ノズル920を通過し、被蒸着体である基板400側に向かうことになる。このように、第1ノズル920上に、Z軸方向、すなわち基板400のスキャン方向に沿って複数個の第1スリット921が形成される場合、第2ノズル950のそれぞれの第2スリット951を通過する蒸着物質によって形成されるパターンのサイズは、第1スリット921の1つのサイズにだけ影響を受けるので(すなわち、Y軸方向には、第1スリット921が一つだけ存在するわけである)、陰影が発生しなくなる。また、多数個の第1スリット921がスキャン方向に存在するので、個別の第1ノズル間のフラックス(flux)差が発生しても、その差が相殺され、蒸着均一度が一定に維持される効果を得ることができる。
【0111】
一方、蒸着源910と基板400との間には、第2ノズル950及び第2ノズルフレーム955がさらに備わる。第2ノズルフレーム955は、ほぼ窓枠と同じ形態で形成され、その内側に、第2ノズル950が結合される。そして、第2ノズル950には、Y軸方向に沿って複数個の第2スリット951が形成される。蒸着源910内で気化された蒸着物質915は、第1ノズル920及び第2ノズル950を通過し、被蒸着体である基板400側に向かうことになる。このとき、前記第2ノズル950は、従来のFMM、特にストライプ・タイプのマスクの製造方法と同じ方法であるエッチングを介して製作されうる。このとき、第1スリット921の総個数より、第2スリット951の総個数の方がさらに多く形成されうる。
【0112】
一方、前述の蒸着源910、これと結合された第1ノズル920及び第2ノズル950は、互いに一定程度離隔されるように形成され、蒸着源910、これと結合された第1ノズル920及び第2ノズル950は、連結部材935によって互いに連結されうる。すなわち、蒸着源910、第1ノズル920及び第2ノズル950が、連結部材935によって連結され、互いに一体に形成されうるのである。ここで、連結部材935は、第1スリット921を介して排出される蒸着物質を分散させないように、蒸着物質の移動経路をガイドできる。図面には、連結部材935が、蒸着源910、第1ノズル920及び第2ノズル950の左右方向にだけ形成され、蒸着物質のY軸方向だけをガイドすると図示されているが、これは、図示の便宜のためのものであり、本発明の思想は、これに制限されるものではなく、連結部材935が、ボックス形態の密閉型で形成され、蒸着物質のX軸方向及びZ軸方向の移動を同時にガイドすることもできる。
【0113】
前述のように、本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着装置900は、基板400に対して相対的に移動しつつ蒸着を行い、このように、薄膜蒸着装置900が基板400に対して相対的に移動するために、第2ノズル950は、基板400から一定程度離隔されるように形成される。
詳細には、従来のFMM蒸着方法では、基板に陰影を生じさせないようにするために、基板にマスクを密着させて蒸着工程を進めた。しかし、このように、基板にマスクを密着させる場合、基板とマスクとの接触による不良問題が発生するという問題点が存在した。また、マスクを基板に対して移動させられないために、マスクが基板と同じサイズに形成されなければならない。従って、ディスプレイ装置が大型化されることによって、マスクのサイズも大きくならなければならないが、かような大型マスクを形成するのが容易ではないという問題点が存在した。
【0114】
かような問題点を解決するために、本発明の一実施形態に係わる薄膜蒸着装置900では、第2ノズル950が被蒸着体である基板400と所定間隔をおいて離隔して配される。
かような本発明によって、マスクを基板より小さく形成した後、マスクを基板に対して移動させつつ蒸着を行うようにすることにより、マスク製作が容易になるという効果を得ることができる。また、基板とマスクとの接触による不良を防止する効果を得ることができる。また、工程で、基板とマスクとを密着させる時間が不要であるために、製造速度が向上するという効果を得ることができる。
【0115】
ここで、本発明の第4実施形態による薄膜蒸着装置900は、間隔制御部材とアライン制御部材とを具備し、第2ノズル950と基板400との間隔を一定に維持するとともに、第2ノズル950と基板400とが精密にアラインされることを一特徴とする。これについては、第1実施形態で詳細に説明したが、本実施形態では、その詳細な説明は省略する。
【0116】
以下、本発明に係わる薄膜蒸着装置の第5実施形態について説明する。本発明の第5実施形態は、第1ノズル920に形成された複数個の第1スリット921が所定角度チルトされて配されるという点で、前述の第4実施形態と区別される。
【0117】
図17は、本発明の第5実施形態による薄膜蒸着装置を示す図面である。図面を参照すれば、本発明の第5実施形態による薄膜蒸着装置は、蒸着源910、第1ノズル920及び第2ノズル950を含む。ここで、蒸着源910は、その内部に蒸着物質915が充填されるルツボ911と、ルツボ911を加熱させ、ルツボ911内部に充填された蒸着物質915を第1ノズル920側に蒸発させるためのヒータ912とを含む。一方、蒸着源910の一側には、第1ノズル920が配され、第1ノズル920には、Z軸方向に沿って、複数個の第1スリット921が形成される。一方、蒸着源910と基板400との間には、第2ノズル950及び第2ノズルフレーム955がさらに備わり、第2ノズル950には、Y軸方向に沿って、複数個の第2スリット951が形成される。そして、蒸着源910、第1ノズル920及び第2ノズル950は、連結部材935によって結合される。
本実施形態では、第1ノズル920に形成された複数個の第1スリット921が、所定角度チルトされて配されるという点で、前述の第4実施形態と区別される。詳細には、第1スリット921は、2列の第1スリット921a,921bからなり、前記2列の第1スリット921a,921bは、互いに交互に配される。このとき、第1スリット921a,921bは、XZ平面上で所定角度傾くようにチルトされて形成されうる。
【0118】
すなわち、本実施形態では、第1スリット921a,921bが所定角度チルトされて配される。ここで、第1列の第1スリット921aは、第2列の第1スリット921bを向くようにチルトされて、第2列の第1スリット921bは、第1列の第1スリット921aを向くようにチルトされうる。換言すれば、左側列に配された第1スリット921aは、第2ノズル950の右側の端部を向くように配され、右側列に配された第1スリット921bは、第2ノズル950の左側の端部を向くように配されうるのである。
【0119】
図18は、本発明による薄膜蒸着装置で、第1ノズルをチルトさせていないとき、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面であり、図19は、本発明による薄膜蒸着装置で、第1ノズルをチルトさせたとき、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面である。図18と図19とを比較すれば、第1スリットをチルトさせたとき、基板の両端部に成膜される蒸着膜の厚さが相対的に増大し、蒸着膜の均一度が上昇することが分かる。
【0120】
かような構成によって、基板の中央と終端部とでの成膜厚さ差が減少することになり、全体的な蒸着物質の厚さが均一になるように蒸着量を制御でき、さらには、材料利用効率が上昇するという効果を得ることができる。
ここで、本発明の第5実施形態による薄膜蒸着装置900は、間隔制御部材とアライン制御部材とを具備し、第2ノズル950と基板400との間隔を一定に維持するとともに、第2ノズル950と基板400とが精密にアラインされるようにすることを一特徴とする。これについては、第1実施形態で詳細に説明したので、本実施形態では、その詳細な説明は省略する。
【0121】
本発明は、図面に図示された実施形態を参考にして説明したが、それらは、例示的なものに過ぎず、本技術分野の当業者ならば、それらから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解することが可能であろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決まるものである。
【符号の説明】
【0122】
100 薄膜蒸着装置
110 蒸着源
111 ルツボ
112 ヒータ
115 蒸着物質
120 第1ノズル
121 第1スリット
130 遮断壁アセンブリ
131 遮断壁
132 遮断壁フレーム
150 第2ノズル
151 第2スリット
155 第2ノズルフレーム
160 基板
161 蒸着領域
162 非蒸着領域
163 ポジショニング・マーク
171 ベースフレーム
173 トレイ
175 オープンマスク
177 レール
181 第1間隙調節アクチュエータ
182 第2間隙調節アクチュエータ
183 第3間隙調節アクチュエータ
185a,185b,185c,185d 間隙調節センサ
191 第1アライン調節アクチュエータ
192 第2アライン間隙調節アクチュエータ
195a,195b,195c,195d アライン調節センサ
280 間隙制御部材
280a ローラ
280b ボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、
蒸着源と、
前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数個の第1スリットが形成される第1ノズルと、
前記蒸着源と対向するように配され、前記第1方向に沿って複数個の第2スリットが形成される第2ノズルと、
前記第1ノズルと前記第2ノズルとの間の空間を区画するように、前記第1方向に沿って配された複数個の遮断壁を具備する遮断壁アセンブリと、
前記第2ノズルと前記基板との間隔を制御する間隔制御部材と、前記第2ノズルと前記基板との間のアラインを調節するアライン制御部材とのうち、少なくとも一つと、を含む薄膜蒸着装置。
【請求項2】
前記間隔制御部材は、前記第2ノズルと前記基板との間隔が一定に維持されるように制御することを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項3】
前記間隔制御部材は、
前記基板に対する前記第2ノズルの位置を測定するセンサと、
前記基板に対して前記第2ノズルを移動させるための駆動力を提供するアクチュエータとを含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項4】
前記基板上には、ポジショニング・マークが形成され、前記センサは、前記ポジショニング・マークを基準に、前記基板に対する前記第2ノズルの位置を測定することを特徴とする請求項3に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項5】
前記基板上には、オープンマスクが配され、前記オープンマスクは、前記ポジショニング・マークと重畳されないように配されることを特徴とする請求項4に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項6】
前記薄膜蒸着装置は、
ベースフレームと、
前記ベースフレーム上に配され、内部に前記第2ノズルが収容されるトレイとをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項7】
前記アクチュエータは、前記トレイに対して前記第2ノズルを移動させることによって、前記第2ノズルと前記基板との間隔を制御することを特徴とする請求項6に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項8】
前記間隔制御部材は、
前記第2ノズルの一端部と前記トレイとの間に配され、前記第2ノズルの一端部を前記トレイに対して移動させる第1アクチュエータと、
前記一端部と対向する前記第2ノズルの他端部と前記トレイとの間に配され、前記第2ノズルの前記他端部を前記トレイに対して移動させる第2アクチュエータと、
前記第2ノズルを前記第1方向を軸にして回転させる第3アクチュエータとを含むことを特徴とする請求項6に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項9】
前記アクチュエータは、ピエゾモータであることを特徴とする請求項3に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項10】
前記アクチュエータと前記センサは、前記第2ノズルと前記基板との間隔をリアルタイムでフィードバック制御することを特徴とする請求項3に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項11】
前記間隔制御部材は、前記第2ノズルの両端部に配され、前記基板と接するように配されるローラまたはボールであることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項12】
前記アライン制御部材は、前記基板に対する前記第2ノズルの相対的な位置が一定に維持されるように制御することを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項13】
前記アライン制御部材は、
前記基板に対する前記第2ノズルの位置を測定するセンサと、
前記基板に対して前記第2ノズルを移動させるための駆動力を提供するアクチュエータとを含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項14】
前記基板上には、ポジショニング・マークが形成され、前記センサは、前記ポジショニング・マークを基準に、前記基板に対する前記第2ノズルの相対的な位置を測定することを特徴とする請求項13に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項15】
前記基板上には、オープンマスクが配され、前記オープンマスクは、前記ポジショニング・マークと重畳されないように配されることを特徴とする請求項14に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項16】
前記薄膜蒸着装置は、
ベースフレームと、
前記ベースフレーム上に配され、内部に前記第2ノズルが収容されるトレイとをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項17】
前記アクチュエータは、前記ベースフレームに対して前記トレイを移動させることによって、前記第2ノズルと前記基板との間のアラインを調節することを特徴とする請求項16に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項18】
前記アライン制御部材は、
前記トレイの一端部と前記ベースフレームとの間に配され、前記トレイを前記ベースフレームに対して直線移動させる第1アクチュエータと、
前記一端部と当接する前記トレイの他端部と前記ベースフレームとの間に配され、前記トレイを前記ベースフレームに対して回転移動させる第2アクチュエータとを含む請求項16に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項19】
前記アクチュエータは、ピエゾモータであることを特徴とする請求項13に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項20】
前記アクチュエータと前記センサは、前記第2ノズルと前記基板との間のアラインを、リアルタイムでフィードバック制御することを特徴とする請求項13に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項21】
前記複数個の遮断壁それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直な方向に形成され、前記第1ノズルと前記第2ノズルとの間の空間を区画することを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項22】
前記複数個の遮断壁は、等間隔に配されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項23】
前記遮断壁と前記第2ノズルは、所定間隔をおいて離隔されるように形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項24】
前記遮断壁アセンブリは、前記薄膜蒸着装置から分離自在に形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項25】
前記遮断壁アセンブリは、複数個の第1遮断壁を具備する第1遮断壁アセンブリと、複数個の第2遮断壁を具備する第2遮断壁アセンブリとを含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項26】
前記複数個の第1遮断壁及び前記複数個の第2遮断壁それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直な第2方向に形成され、前記第1ノズルと前記第2ノズルとの間の空間を区画することを特徴とする請求項25に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項27】
前記複数個の第1遮断壁及び前記複数個の第2遮断壁それぞれは、互いに対応するように配されることを特徴とする請求項25に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項28】
前記互いに対応する第1遮断壁及び第2遮断壁は、実質的に同じ平面上に位置するように配されることを特徴とする請求項27に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項29】
前記蒸着源で気化された蒸着物質は、前記第1ノズル及び前記第2ノズルを通過し、前記基板に蒸着されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項30】
前記第2ノズルは、前記基板から所定間隔をおいて離隔されるように形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項31】
前記蒸着源、前記第1ノズル、前記第2ノズル及び前記遮断壁アセンブリは、前記基板に対して相対的に移動自在に形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項32】
前記蒸着源、前記第1ノズル、前記第2ノズル及び前記遮断壁アセンブリは、前記基板に対して相対的に移動しつつ、前記基板に蒸着物質を蒸着することを特徴とする請求項31に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項33】
前記蒸着源、前記第1ノズル、前記第2ノズル及び前記遮断壁アセンブリは、前記基板と平行した面に沿って相対的に移動することを特徴とする請求項31に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項34】
基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、
蒸着物質を放射する蒸着源と、
前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数個の第1スリットが形成される第1ノズルと、
前記第1ノズルと対向するように配され、前記第1方向に対して垂直な第2方向に沿って複数個の第2スリットが形成される第2ノズルと、
前記第2ノズルと前記基板との間隔を制御する間隔制御部材と、前記第2ノズルと前記基板との間のアラインを調節するアライン制御部材とのうち、少なくとも一つとを含み、
前記基板が、前記薄膜蒸着装置に対して、前記第1方向に沿って移動しつつ蒸着が行われ、
前記蒸着源、前記第1ノズル及び前記第2ノズルは、一体に形成されることを特徴とする薄膜蒸着装置。
【請求項35】
前記間隔制御部材は、前記第2ノズルと前記基板との間隔が一定に維持されるように制御することを特徴とする請求項34に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項36】
前記間隔制御部材は、
前記基板に対する前記第2ノズルの位置を測定するセンサと、
前記基板に対して前記第2ノズルを移動させるための駆動力を提供するアクチュエータとを含むことを特徴とする請求項34に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項37】
前記基板上には、ポジショニング・マークが形成され、前記センサは、前記ポジショニング・マークを基準に、前記基板に対する前記第2ノズルの位置を測定することを特徴とする請求項36に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項38】
前記基板上には、オープンマスクが配され、前記オープンマスクは、前記ポジショニング・マークと重畳されないように配されることを特徴とする請求項37に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項39】
前記薄膜蒸着装置は、
ベースフレームと、
前記ベースフレーム上に配され、内部に前記第2ノズルが収容されるトレイををさらに含むことを特徴とする請求項36に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項40】
前記アクチュエータは、前記トレイに対して前記第2ノズルを移動させることによって、前記第2ノズルと前記基板との間隔を制御することを特徴とする請求項39に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項41】
前記間隔制御部材は、
前記第2ノズルの一端部と前記トレイとの間に配され、前記第2ノズルの一端部を前記トレイに対して移動させる第1アクチュエータと、
前記一端部と対向する前記第2ノズルの他端部と前記トレイとの間に配され、前記第2ノズルの前記他端部を前記トレイに対して移動させる第2アクチュエータと、
前記第2ノズルを前記第1方向を軸にして回転させる第3アクチュエータとを含むことを特徴とする請求項39に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項42】
前記アクチュエータは、ピエゾモータであることを特徴とする請求項36に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項43】
前記アクチュエータと前記センサは、前記第2ノズルと前記基板との間隔をリアルタイムでフィードバック制御することを特徴とする請求項36に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項44】
前記間隔制御部材は、前記第2ノズルの両端部に配され、前記基板と接するように配されるローラまたはボールであることを特徴とする請求項34に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項45】
前記アライン制御部材は、前記基板に対する前記第2ノズルの相対的な位置が一定に維持されるように制御することを特徴とする請求項34に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項46】
前記アライン制御部材は、
前記基板に対する前記第2ノズルの位置を測定するセンサと、
前記基板に対して前記第2ノズルを移動させるための駆動力を提供するアクチュエータとを含むことを特徴とする請求項34に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項47】
前記基板上には、ポジショニング・マークが形成され、前記センサは、前記ポジショニング・マークを基準に、前記基板に対する前記第2ノズルの相対的な位置を測定することを特徴とする請求項46に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項48】
前記基板上には、オープンマスクが配され、前記オープンマスクは、前記ポジショニング・マークと重畳されないように配されることを特徴とする請求項47に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項49】
前記薄膜蒸着装置は、
ベースフレームと、
前記ベースフレーム上に配され、内部に前記第2ノズルが収容されるトレイとをさらに含むことを特徴とする請求項46に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項50】
前記アクチュエータは、前記ベースフレームに対して前記トレイを移動させることによって、前記第2ノズルと前記基板との間のアラインを調節することを特徴とする請求項49に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項51】
前記アライン制御部材は、
前記トレイの一端部と前記ベースフレームとの間に配され、前記トレイを前記ベースフレームに対して直線移動させる第1アクチュエータと、
前記一端部と当接する前記トレイの他端部と前記ベースフレームとの間に配され、前記トレイを前記ベースフレームに対して回転移動させる第2アクチュエータとを含むことを特徴とする請求項49に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項52】
前記アクチュエータは、ピエゾモータであることを特徴とする請求項46に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項53】
前記アクチュエータと前記センサは、前記第2ノズルと前記基板との間のアラインを、リアルタイムでフィードバック制御することを特徴とする請求項46に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項54】
前記蒸着源、前記第1ノズル及び前記第2ノズルは、連結部材によって結合され、一体に形成されることを特徴とする請求項34に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項55】
前記連結部材は、前記蒸着物質の移動経路をガイドすることを特徴とする請求項54に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項56】
前記連結部材は、前記蒸着源、前記第1ノズル及び前記第2ノズルとの間の空間を外部から密閉するように形成されることを特徴とする請求項54に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項57】
前記薄膜蒸着装置は、前記基板と所定程度離隔されるように形成されることを特徴とする請求項34に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項58】
前記基板が、前記薄膜蒸着装置に対して、前記第1方向に沿って移動しつつ、前記基板上に前記蒸着物質が連続的に蒸着されることを特徴とする請求項34に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項59】
前記薄膜蒸着装置の前記第2ノズルは、前記基板より小さく形成されることを特徴とする請求項34に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項60】
前記複数個の第1スリットは、所定角度チルトされるように形成されることを特徴とする請求項34に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項61】
前記複数個の第1スリットは、前記第1方向に沿って形成された2列の第1スリットを含み、前記2列の第1スリットは、互いに対向する方向にチルトされていることを特徴とする請求項60に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項62】
前記複数個の第1スリットは、前記第1方向に沿って形成された2列の第1スリットを含み、
前記2列の第1スリットのうち、第1側に配された第1スリットは、第2ノズルの第2側端部を向くように配され、
前記2列の第1スリットのうち、第2側に配された第1スリットは、第2ノズルの第1側端部を向くように配されることを特徴とする請求項60に記載の薄膜蒸着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−270397(P2010−270397A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116507(P2010−116507)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【Fターム(参考)】