説明

薬剤容器用の輸送コンテナ

薬剤容器(112)、とりわけ注射器本体(114)を滅菌輸送するための再利用可能なコンテナ(110)が提案される。このコンテナ(110)は外側ケース(116)および殺菌可能な内部(118、124)を含み、内部(118、124)はコンテナ(110)の環境から細菌上隔離される。内部(118、124)は、複数の薬剤容器(112)を保管する少なくとも1つのネスト(128)を収容するための、少なくとも1つのホルダ(126)を有する。このネスト(128)は取り外しできる形でホルダ(126)に収容され得る。コンテナ(110)は、ネスト(128)を取り除くためまたはネスト(128)を内部(118、124)に取り入れるための少なくとも1つのコンテナドア(170)、およびコンテナ(110)を滅菌空間(180)に結合するための少なくとも1つのロック(176)をさらに含む。このロックは(176)は、滅菌空間に結合した後、実質的に無菌状態を中断することなく、コンテナドア(170)を開放できるような方法で構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滅菌した薬剤容器を輸送するための再利用可能な容器に関する。本発明はさらに、薬剤容器の滅菌輸送のための輸送システム、および薬剤容器を少なくとも1つの薬剤媒体により充填する方法に関する。こういった種類の容器、輸送システムおよび方法はとりわけ、例えば薬剤や診断用薬などの薬剤容器を製造および/またはボトリングする分野において用いられる。しかしながら原則問題として、本発明はあらゆる種類の低細菌または滅菌容器の輸送を必要とする他の分野、例えばファインケミカルの分野または食品産業の分野においても使用できる。
【背景技術】
【0002】
滅菌状態下での容器の輸送は、自然科学および科学技術の多くの領域において重要である。上述のように、医療品(例えば医薬品、医薬組成物の調製品、診断用薬、診断用薬を含有する調製品および/または薬剤媒体)が適切な容器に注がれるような薬剤の製造またはボトリングが、例として挙げられる。さらなる適用領域は、生物サンプルの処理または操作である。さらなる領域は、少なくとも細菌総数が少ないことを要求する食料品産業である。薬剤の製造が以下に記載されるが、可能性のある本発明のさらなる実施を制限しない。
【0003】
医薬産業において、とりわけすぐ使用できる注射器(ready-to-use syringe)として公知である充填された使い捨ての注射器を製造するために、衛生状態、つまり少なくともほぼ無菌の状態の下で、多くのボトリング技術が用いられる。原則問題として、ここではライン式充填技術として知られるものとトレイ式充填技術として知られるものとの間に区別を設けるが、他のボトリング技術も用いられ得る。本発明はとりわけトレイ式充填技術に関するが、例えばライン式充填技術などの他のボトリング技術にも用いることができる。
【0004】
トレイ式充填技術においては、空の、最初は滅菌されていない注射器本体(すぐに充填できる注射器として公知)が、梱包業者の工場で、従来プラスック物質によって製造されているトレイとして公知のものへ組み込まれる。このトレイはこの場合、通常、高くなった端部を有する上向きに開放するシェル(shell)として具体化される。これらのトレイは内部にプラスチック材料のラック(ネストとも呼ばれる)を備え、その部分にあらかじめ清浄され、端部が閉鎖した注射器本体が、端部が下方向に懸架する状態で挿入される。ラックおよび注射器本体を備えるトレイはその後一般的に、遊離した、またはトレイ(シェルタイプ)に溶接される複数の箔層により被覆または閉鎖され、続いて一般的に、エチレン・オキシド、また適当であるならば他の方法を用いて殺菌される。多重の被覆または閉鎖は、殺菌後の微生物汚染を防ぐ。このような方法でトレイに梱包された滅菌注射器本体は、その後医薬品製造業者および/またはボトリング工場へと運ばれる。そこではトレイが、衛生無菌室で注射器本体を充填し、状態を操作するために開放され、注射器本体は一般的にトレイおよびラックと共に、特別なボトリング機械(トレイ式充填機械)へと持ち込まれる。そこで注射器は、充填され充填後閉鎖されるが、一般的にトレイ、ラックまたはネストの中にある状態のままである。充填され、閉鎖された注射器はその後、「デネスティング(de-nesting)」として公知の工程の間に、通常機械によって取り除かれ、さらに処理される。トレイおよびラックは保護箔と同様に置き去られ、これらはすべて一般的に再利用されず、相当な廃棄物を構成する。
【0005】
この種の従来のボトリング技術を記載する文書の一例は、DE4419475A1である。この文書はとりわけトレイ式充填技術に関する方法を記載するので、実行できるボトリング工程およびトレイ式充填技術のさらなる詳細については、この文書に参照がなされる。DE4419475A1は、例えばトレイ式充填技術でトレイとして用いられ得るような保管箱の被覆物を取り除く方法を開示する。
【0006】
しかしながら、DE4419475A1はすでに、公知技術の欠点をいくらか明らかにする。ゆえに以前用いられていた、複数の保護箔を備える溶接されたトレイは、大変費用がかかる。例えばDE4419475A1に記載される装置のような特別な装置が、殺菌された注射器本体の外装を開けるため、およびトレイからネストを取り除くために使用されなくてはならない。
【0007】
さらに、まだ充填されていない注射器本体(適切であるならば他の最初の包装材料)を備えるトレイは、多くの保管空間を占める。また、特別なボトリング機械(トレイ式充填機)は、トレイ内でボトリングステーションに到達する注射器本体を充填するために、特別に設計されることを要求される。
【0008】
前述の方法のさらなる欠点は、ますます重要になってきていることであるが、この方法では多量の廃棄物が生じるということである。ゆえに、注射器本体またはトレイを除去した後に廃棄される使い捨ての外装材は、一般的に使用されることなく廃棄される貴重な原料である。これは大規模なボトリング作業において、相当な費用の要因を構成するだけでなく、相当な環境問題も引き起こす。
【0009】
US2003/0235511は、薬品蒸気を用いて殺菌を行う方法を記載する。この方法は、吸引ポンプおよび蒸発器に接続される殺菌チャンバを用いる。殺菌される物質は、トレイまたはコンテナに挿入される。トレイまたはコンテナはその後、殺菌する蒸気に透過できる透過性の材料に覆われる。ゆえにこの方法も、多量の廃棄物と関わり、大規模な使用のためには包装材を取り除く高価な装置が要求されるという前述の欠点を露呈する。
【0010】
ボトリング技術の大規模な実施においてさらに重要な点は、方法の可逆性である。例えばボトリング装置は、ライン式充填またはトレイ式充填におけるものとすると、例えば技術的な故障のために簡単に中断されるものでなければならない。その後ボトリング装置は充填される容器を、用いられる輸送コンテナへとすぐに戻し、その結果汚染されていく容器およびこのために要求されている高価な装置なしに、一時的にそれらを輸送コンテナで保管することができるべきである。上記のDE4419475またはUS2003/0235511の方法はこれらの要件を満たさず、この方法におけるように高価な包装材が、コンテナへと戻す間に新たに要求されるだろう。
【0011】
DE1017454Aは液体、とりわけミルクの滅菌包装のための方法を提案し、ここであらかじめ殺菌された包装材料は、カートリッジの形状で閉鎖コンテナにおいて無菌キャビンへと供給される。この場合、カートリッジの閉鎖した除去端部は、全ての面が閉鎖した別々の殺菌可能な結合空間を通して、包装材料のための滅菌キャビンに対し開放する、同様に最初は閉鎖している入口へと結合される。一例として上記の文書は、カップの中に別のカップが配置され得るカップ状の包装材料が、どのようにしてカートリッジ内に収容されるかを記載する。しかしながらこの方法は、ボトリング工程が中断された場合に前述の一時的な保管を確実に行うことにも適していない。なぜならカートリッジに収容する上記の工程は、多くの場合除去が可逆になることを可能にしないからである。加えて、上記のカートリッジはミルクの容器には適しているが、通常1つのものの中に別のものを配置することができない傷つきやすいガラス容器の場合に、損傷、さらには破損による汚れを導く可能性がある。
【発明の概要】
【0012】
ゆえに本発明の目的は、当該技術で公知である装置および方法の欠点を回避する装置および方法を提供することである。とりわけ本発明は、輸送中に実質的に漂わされる滅菌空気なしに、第1滅菌空間から第2滅菌空間へと薬剤容器を滅菌輸送することを可能にし、同時に輸送間に作り出される廃棄物を少なくとも大いに減少させることを意図している。この場合原則問題として、滅菌状態においても可逆であるような輸送の構成が可能であるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】注射器本体の滅菌輸送をする本発明によるコンテナの概略的な断面図である。
【図2A】注射器本体を収容する多様なネストの内の2つの代表的な実施形態を示す。
【図2B】注射器本体を収容する多様なネストの内の2つの代表的な実施形態を示す。
【図3】コンテナが滅菌ロックに結合される本発明による輸送システムの詳細を描く断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この目的は、独立請求項の特徴を有する本発明によって達成される。本発明の有利な発展は従属請求項に列挙される。請求の範囲の全ての用語は、参照によって本発明の明細書の内容に組み込まれる。
【0015】
本発明の基本的な考えは、ボトリングラインにおいて薬剤容器に費用のかかる殺菌を施すことを不要にしたいが、一方で再利用できるコンテナを用いることによってボトリング場所における無菌状態を確実にしなければならないというジレンマを解決することにある。コンテナの再利用は、例えば輸送の間機械的負荷に耐え得る幾重もの殺菌可能な物質を、適切に選択した結果として可能になり、使い捨ての包装材により生み出される廃棄物を防ぐ。
【0016】
それゆえ薬剤容器、とりわけ注射器本体を滅菌輸送するための再利用できるコンテナが提案される。薬剤容器は例えば、固体および/または気体および/または液体の成分を収容するのに適した注射器本体、アンプル、薬瓶、ビン、ガラスまたは同様の容器を含み得る。前述のように、「薬剤」という用語はこれに関して、診断用媒体および少なくとも1つの医学的効果を引き起こす活性物質を有する媒体の両方を含む。しかしながら本発明、とりわけ提案されるコンテナは、原則問題として薬剤容器に制限されない。
【0017】
このコンテナは、内部が殺菌可能である少なくとも1つの外側ケースを含む。「殺菌可能」という用語はこの場合、コンテナが少なくとも1つの一般的な殺菌方法に対して少なくとも広範囲の抵抗を示すという事実をいう。とりわけこの抵抗は、熱風および/または過熱蒸気による熱殺菌(例えば、所定の最低温度、例えば80℃よりも高い温度まで)への抵抗である場合がある。例えば、一般的な熱風殺菌は180℃から340℃の範囲における温度へさらすことを含む。代替的または付加的に、この抵抗は光線源(例えば電磁光線源、とりわけ紫外線、および/または例えばガンマ光線源のような放射能源)による無菌に対する少なくとも広範囲の抵抗、または例えばエチレン・オキシド、過酸化水素、ホルムアルデヒドなどの気体または他の液体媒体による殺菌に適切な化学物質への抵抗である場合もある。好適には、この少なくとも部分的な抵抗は、コンテナ(つまり外側ケースおよび/または例えば内部コンテナのようなコンテナの内部に収容される構成要素)の変化(例えば表面、形状または物質の変化)を生じることなくこの種の細菌サイクルの大多数が利用できるような方法で構成される。
【0018】
内部はコンテナの環境から細菌上隔離される。この隔離を引き起こすために、コンテナは例えば適切なシーリングエレメント、例えばゴム製のシール装置などを有し、これは原則として細菌の不純物がコンテナに浸入することを妨げる。「原則として」という用語はこれに関連して、細菌の不純物が浸入することを妨げる従来の基準に対応する最適化をいうのであり、これは実地および薬剤容器の輸送および保管(例えば数時間から数ヶ月、変動する環境条件(例えば温度、空気圧)および機械的負荷の下で)のために要求される従来の条件下において必要とされる、所定の期間に渡って細菌の不純物が内部に全く浸入しないことを示す。
【0019】
内部は、複数の薬剤容器を保管する少なくとも1つのネストを収容する、少なくとも1つのホルダを有する。前述のように、このネストは例えば「ネスト本体(nest body)」とも称される平面板から構成することができる。実質的に平面的に構成され得るネスト本体は、その後薬剤容器を組み込むため、例えば吊るすために複数の開口部を有する。これらの開口部は例えば通常のマトリックス状、直線配列または六角形に配置され、とりわけ小型に配置される。このネストは、例えば前記した種類の殺菌に抵抗力のある1つ以上の材料により作られ、例えば適当なプラスチック材料(例えばフッ素化プラスチック材料、とりわけポリテトラフルオロエチレンまたはPTFE)および/または金属、セラミック、複合材料などによって作られる。コンテナが、滅菌された薬剤容器がとりわけ効果的な方法で、好適には数百から数千の量で輸送されるように、この種のネストを多量に収容できるような方法で構成されることが特に好ましい。したがって少なくとも1つのホルダは、少なくとも1つのネスト、例えばレール、ヒンジ、窪みなどに適合するホルダを含み、これはネストまたは薬剤容器の安全性(例えば実質的に振動がなく、かつすべりを防止する)かつ好適には可逆の輸送を確実にする。とりわけホルダは、ネストがホルダから取り外し可能(例えば伸縮自在および/または可変長)なように取り付けられるような方法で構成されるべきである。
【0020】
滅菌状態下でのネストの輸送は、原則問題としてネストの包装が不要であり、とりわけ細菌が浸入しない包装(microbially tight casing)が不要である。したがって、コンテナを用いる方法は包装を使用することなく、好適に実行される。このような包装は、前述した廃棄物の減少、さらに可能な限り簡単な工業生産という視点から望ましくない。
【0021】
コンテナはさらに、ネストを取り除くためおよび/または内部に組み込むために、少なくとも1つのコンテナドアを有する。このコンテナドアは、原則問題として多数の既知の方法で構成でき、例えば折れ戸や引き戸などとして構成される。この場合、ドアは例えば適切なシーリングエレメントによって、ドアが閉鎖した際内部がコンテナの外部環境から細菌上隔離されているような方法で構成される。このコンテナドアはコンテナの上側および/または、好適にはコンテナの横壁(例えば、立方形コンテナの端面)に設置されることが特に好ましい。このコンテナドアはとりわけ旋回ドア、詳細には外側に開放する旋回ドアであって、とりわけバルクヘッドとすることができる。
【0022】
付加的にコンテナは、コンテナを滅菌空間に連結させる少なくとも1つのロックを含む。「ロック」という用語はこの場合、コンテナと滅菌空間との安定した機械的接続を可能にする全ての所望の連結機構をいう。この例は差込クロージャ(bayonet closure)を含むが、他の種類のロックも可能であり、例えば対応するロックフック、スライド、折り蓋などを備えるロックでもよい。当業者は原則問題として、他の技術領域からこの種類のロックに精通している。しかしながら、本発明によればコンテナのロックは、滅菌空間に連結した後に少なくとも実質的に無菌状態が中断されることなくコンテナドアを開放することが可能であるような方法で構成される。このコンテナドアの開放は、とりわけ滅菌空間から行われる。「少なくとも実質的に無菌状態が中断されることなく」という用語はこの場合、とりわけロックが、連結された際にコンテナドアによってコンテナを囲む外側の領域(滅菌空間の外側に位置づけられる)から細菌上遮断されるという事実をいう。このためロックは、例えば再び少なくとも1つの封(seal)を含む場合があり、例として金属リングまたは金属フレーム、プラスチック材料のリングまたはプラスチック材料のフレームを用いるシール、またはゴムリングまたはゴムフレームを用いるシールが挙げられる。この場合、他の種類のシールも原則的には可能である。言うまでもなく、「少なくとも実質的に無菌状態が中断されることなく」という用語は、コンテナドアと滅菌空間との間で、コンテナを滅菌空間に結合した後に形成される、容積内(好適には少ない)に収容される微生物が含有され得る可能性を除外しない。この容積内は、適切であるならばコンテナドアが開放されおよび/または空にされる前に付加的に殺菌され、空にすることは例えば、適切な排出装置による排出によってなされる。これは、場合によって、コンテナと滅菌空間の間の輸送の間、無菌状態を確実にする。
【0023】
ゆえに前述のコンテナは、薬剤容器の滅菌空間への輸送が、好適にはトレイおよび複数の保護箔なしで行われるような方法で用いられ得る。薬剤容器はゆえに、例えば供給業者の工場で清浄され、要求されるように前もって処理することができる(例えばキャップによって注射器先端で閉鎖される)。薬剤容器はまた付加的に、ネストへ組み込まれる前または前もって薄い保護箔によって端部で閉鎖されるので、全ての種類の浮遊粒子の浸入から付加的な保護を行うことを可能にする。
【0024】
薬剤容器、とりわけ注射器本体は、コンテナに組み込まれる前に清浄および/または殺菌できるし、コンテナの内部に組み込まれた後に殺菌することもできる。内部自体も、内容物がコンテナに組み込まれる前に清浄および/または殺菌され得る。
【0025】
コンテナの内部は、大きさおよび薬剤容器によるが、好適には数百以上の薬剤容器を含み、ゆえに一般的に多数のトレイに取って代わる。閉鎖したコンテナは、内容物と共に内部を殺菌され、容器の製造業者から医薬品製造者に至るまでの業者から、薬剤媒介物を充填するためにボトリング工場へと移され得る。医薬品製造者の敷地またはボトリング工場で、コンテナは例えば滅菌空間へ運ばれ、そこで滅菌空間のロック(以下「滅菌ロック」と称する)と連結される。その後、コンテナは自動的、半自動的または手動によって開放され、コンテナの内部は、コンテナの内部およびその内容物の滅菌状態が少なくとも大部分が保証されたまま維持されるような方法で、その内容物と共に滅菌空間に向かってさらされる。
【0026】
コンテナの内容物、つまりネストおよび薬剤容器は異なる方法で取り除かれ、例えば薬剤容器をネストから取り除くことによって、ネストは全体的または部分的にコンテナの内部に残る。代わりに、ネストは薬剤容器と一緒に、コンテナまたは内部コンテナから取り除かれることもある。さらにネストは完全に取り除かれることなく、薬剤容器と一緒にコンテナまたは内部コンテナから伸ばされることもある。さらに別の手段では、コンテナは、少なくとも1つのネストを収容するためにホルダが収容されている内部に、内部コンテナを有する。他の実施形態でもそうであるが、とりわけこの方法では、ネストが例えば個別の、例えば細菌が浸入しない包装を含まないことが特に有利である。コンテナドアはその後、内部コンテナをコンテナの内部から可逆に取り除くことができるような方法で構成されるべきである。この場合、内部コンテナはネストおよびそこに含有される薬剤容器と共に取り除かれ、例えば滅菌空間へと運ばれる。
【0027】
ネストが、空の薬剤容器と共にコンテナまたはその内部コンテナから取り除かれると、ネストはボトリングラインへと運ばれ得る。このため、ネストが個々の細菌が浸入しない包装を有さないことが特に有利である。適切な成形品は、ネストが、従来のライン式充填ボトリング機械として公知のもので処理されることを可能にする。ライン式充填ボトリング機械は一般的な薬剤製造技術である。ゆえにオペレータ自身のトレイ式充填ボトリング機械は一般的には要求されないが、原則問題として使用することもできる。
【0028】
適切であるならば付加的なシール(例えば、粒子または他の不純物が浸入することを防ぐ上記の薄い保護箔など)を取り除いた後、薬剤容器は充填され、その後プラグや他のクロージャなどの一般技術を用いて閉じられる。このように充填され閉鎖された薬剤容器はその後、例えば一般的な「デネスティング技術(de-nesting technique)」によってネストから取り除かれる。
【0029】
ネストをボトリングラインまでまたはその上に供給する代わりに、空の薬剤容器がボトリングラインに入る前にネストから取り除かれ、個体または群でボトリングラインに置かれることも可能である。この代替法は、とりわけネスト内の薬剤容器が幾何学的に配置されていて、付加的な複合機械を用いずに、ネストが従来のボトリングラインで注射器本体と共に処理されることができない場合に特に有利である。またこれらの代替法においても、ネストが例えば個別の、とりわけ細菌が浸入しない包装を含まないことが特に有利である。
【0030】
空のネストはその後コンテナまたは内部コンテナへと戻され、内部コンテナはその後、例えばもう一度コンテナに組み込まれる。このため、ネストがあらかじめ取り除かれた同一のコンテナおよび/または内部コンテナか、内部コンテナを備える第2のコンテナが使用される。この時点における滅菌という観点からの要求は、充填されていない薬剤容器を運搬する時点ほど厳しくない。空のネストを備え、任意に内部コンテナを備えるコンテナは、好適には衛生的な無菌室状態を維持している間に、適切な方法で滅菌空間から締め出されるか、ロックから切り離される。コンテナはその後薬剤容器の製造業者へと送り返され、そこで(必要であれば清浄後)再び空の薬剤容器を取り付けられる。
【0031】
とりわけボトリング工程が中断する場合に、ネストは滅菌状態を維持したまま、好適には一時的に滅菌空間からコンテナおよび/または内部コンテナへと戻される。ネストはこの場合、まだ充填されていない容器、例えば注射器本体を含有するが、少なくとも部分的に充填された注射器本体もまた含有する。このような方法で備え付けられたコンテナは、好適には一時的に閉鎖され、滅菌空間から切り離される場合もある。コンテナは、切り離された場合、適切であれば後で再度ロックにドッキングされ、ネストを取り除きボトリング工程を継続するため、またはネストからまだ空である容器、およびすでに充填されたとりわけ注射器本体のような容器を取り除くために開放される。コンテナおよび/または内部コンテナからのネストの除去、および代替的なネストからの注射器本体の除去の可逆性は、上記全ての自動または半自動の除去技術において、ネスト内に注射器本体を収容するために開口部を適切に配置することを要求する。完全な可逆性は一般的に、ネストまたは個々の注射器本体のどちらもが、個々の包装を有さないことを前提とする。したがってネストが、付加的な包装、とりわけ個々の密閉包装なしに、コンテナ、とりわけ内部コンテナへ組み込まれることが好ましい。提案される技術においては、生み出される直接的な廃棄物は適切な場合、好ましくは開放する空の薬剤容器を一時的に保護するための薄い保護箔のみである。
【0032】
上記コンテナは様々な方法で有利に構成でき、下に記述する有利な発展は個別に、または組み合わせて実施され得る。
【0033】
第1の好適な構造は、ロックそのものに関する。ゆえにロックは例えば、コンテナドア外側の外装に接続し、少なくとも部分的にコンテナドアを囲む第1のロック部分を含む。滅菌空間の滅菌ロックへの結合、とりわけ滅菌空間のドアを囲む第1の滅菌ロック部分への結合は、この第1のロック部分を用いて結合され得る。さらにコンテナは、コンテナドアに接続する少なくとも1つの第2のロック部分を含むことができる。この第2のロック部分は、滅菌空間のドアに接続する第2の滅菌ロック部分に結合され得る。この種の二重結合は例えば核工学の分野から周知であって、例えば「ラ・カレーヌ社製の」ロックと称される。この種のラ・カレーヌ社製のロックは、第1のロック部分および第2のロック部分が例えばそれぞれ同時に合わせ部品に接続されるので、結合が効果的かつ無菌状態が中断されることなく行われることを可能にする。滅菌空間のドアおよびコンテナドアは、それぞれが接続されている第2のロック部分を結合した結果、同時に開放され得る。この結合技術は、コンテナおよび/または内部コンテナの取り外しに関して起こり得る上記の逆転、例えば薬剤のボトリング工程が中断する場合などに、とりわけ有利である。
【0034】
さらに有利なコンテナの構造は、その内部に関して現れる。すなわち、すくなくとも1つの内部は例えば、上述のように、内部の中に収容され得る内部コンテナを含む。この内部コンテナは、好適には取り外し可能な内部コンテナとして構成され、このために、例えば内部コンテナを可逆に収容する装置が提供され得る。外部コンテナのように、内部コンテナも長方形、多角形、円形または同様の幾何学的な形状をしているか、または対応する角取りを伴って構成される。使用され得る材料に関しては、参照は上記の材料になされるので、例えば金属(例えば純度の高い鋼)、セラミック、ガラス、プラスチック材料(とりわけポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素化されたプラスチック)および/またはこの種の材料の合成物が、外部コンテナおよび内部コンテナの両方に使用できる。とりわけ、外側コンテナの材料のような材料は、材料が使用、輸送、保管および複数の清浄および/または殺菌サイクルの間に生じる機械的負荷に耐え得るような方法で選択される。とりわけ、コンテナまたは内部コンテナの材料およびデザインは、コンテナの内側の細菌の清潔度を確実にするような方法で構成される。このため、材料は例えば、冷蔵庫から既知であるような、細菌消毒を生じさせる添加剤も含む場合がある。ゆえに、例えばプラスチック材料または金属表面の中および/または上に取り付けられ得る抗菌性物質で製造されたものが使用できる。
【0035】
とりわけ流体媒体(例えば上記の気体、蒸気または液体)などによる改良された殺菌を確実にするために、内部コンテナは開放する内部コンテナとして構成され、とりわけ殺菌を行う流体媒体が中を流れるような内部コンテナとして構成される。このために、内部コンテナは例えば適切な機械的安定性を示すかもしれないが、例えば殺菌媒体が内部に浸入および/または流動できるか、または内部に作用できるような対応する開口部を有し得る。
【0036】
薬剤容器は、例えば容器の製造業者の工場で、例えば第2の滅菌空間において殺菌され得る。しかしながら代替的または付加的に、殺菌は、例えば上述の殺菌媒体によってコンテナ内部で直接行うことも可能である。このためとりわけコンテナ、例えば外部コンテナは、少なくとも1つの流体の消毒または殺菌媒体を内部の中または外に導入および/または排出するために、少なくとも1つの接続開口部を有する。接続開口部はとりわけ、例えば適当なバルブで閉じられるように構成され、特に少なくとも1つの引込口(例えば標準フランジを備える引込口)を有する。このような方法で、コンテナの内部を清浄および/または殺菌する適当な殺菌媒体(例えば気体または加熱蒸気)は導入され、再び排出される。
【0037】
例えば殺菌中および/またはその後の輸送中の、コンテナの内部における空気調整の改良を可能にするために、1つ以上の換気装置がコンテナ内部に付加的に提供され得る。
【0038】
さらにコンテナは、殺菌または消毒に効果を与える目的に加えて、放射線源を内部の中へと組み込む目的で、少なくとも1つの開口部を有し、好適には再び閉鎖できる(例えば適当なバルブによって)開口部である。前述のように、この放射線源は例えば強烈な光源(例えば紫外線源)、それとは異なって構成される電磁光線源、放射性光線源(例えばアルファ、ベータまたはガンマ源、またはこの種の光線源の組み合わせ)を含む。コンテナは、この光線源が一時のみ開口部を通してこのコンテナに導かれるように、またはコンテナが内部または薬剤容器を消毒および/または殺菌するためにこの種の光線源を完全かつ完全に含めるような方法で、構成され得る。前述の可能性に対して代替的または付加的に、内部を加熱および/または冷却する少なくとも1つの温度管理装置をさらに備えたコンテナを構成することも可能である。適当な放射加熱器および/またはそれとは異なって構成される加熱手段は、例えばこの目的のために提供され、加熱は例えば熱消毒が行われるまで行われる。
【0039】
さらに、コンテナまたはその内部は、例えば耐圧および/または耐真空の分離によって、外側の領域から完全に隔離される。しかしながら上記にように、実質的に必要とされることは細菌の遮断を確実に行うことのみである。このためコンテナはさらに、内部の中で循環する空気を濾過するためおよび/または内部に浸入する流体媒体、とりわけ気体を濾過するために、例えば少なくとも1つの細菌フィルタを有し得る。
【0040】
記載される構造の1つで描かれるコンテナはとりわけ、例えば薬剤容器の製造業者から製薬業者および/またはボトリング工場への輸送に適しているべきである。このため、コンテナは例えば複数のロール、とりわけ制動手段を備えるロールを有し得る。「ロール」という用語はこの場合、原則として前進動作を容易にするあらゆる所望の種類の装置を言及し、つまりこのようなロールに加えてホイール、ギアホイール、ランナーまたはレールなども含む。これらの装置、とりわけ複数のロールに加えて、コンテナは任意にコンテナに安定して装着する複数の支持足を有することも可能であり、例えばコンテナに安定して装着する回転しない足の形状である。これは、重いコンテナを保管する間にコンテナにかかる負荷を解放でき、例えば偶発的にコンテナが転がることを防ぐことができる。支持足は例えば可変長の支持足として構成され、これは固定保管の間に地面に接触する。
【0041】
記載されたコンテナが大量に、個々または結合して輸送されることが特に好ましい。このため、提案されるコンテナは例えば、複数のコンテナが積み重ねられるような方法で構成される外側が成形加工された特徴を有し得る。例えばコンテナはそれに応じて、支持足および/または隣接するロール、とりわけ上向きに隣接するコンテナが適合するような、対応する窪みを有する場合がある。このようにして、個々または結合したコンテナの安全な積み付けまたは安全な保管、輸送、前方への動きおよび操作を、確実に行うことができる。代替的または付加的に、コンテナはさらに輸送手段を結合するための、少なくとも1つの外部から接触可能な継手を有することができ、例えばフック、クレーン・フックまたは輸送フックなどである。この種の継手は例えばラグまたはより複雑な継手を含む。
【0042】
前述のように、コンテナは内部コンテナを有することができる。ネストを可逆に収容するために、水平または垂直に設置されるレールまたは類似する適切な装置は、コンテナの内部の中に備えられ、適切であるならば内部コンテナに備えられる。基本的な包装体として働く薬剤容器は、その後ネストに収容され得る。コンテナの内部はさらに、前述のように、取り外し可能な内部コンテナを可逆に収容する装置を有することができる。原則的に内部コンテナは、例えばコンテナの外側の包装材と同じ材料で製造することができるが、異なる要件に対応する異なる材料で製造することも可能である。接続開口部、換気装置、放射線源を取り込むための開口部、放射線源そのもの、温度管理装置、フィルタを備える上記の構造、およびコンテナ全体に関して記載されるその他の構造もまた、内部コンテナに特に適用され得る。内部コンテナはとりわけ、ネストを収容するためのレールまたは他の適切な装置を有する。内部コンテナ、外部コンテナおよびネストはとりわけ、清浄、薬剤容器の取り付け、殺菌、薬剤製造者またはボトリング業者への輸送、取り外しおよび返送というサイクルを、複数回から多数回確実に行うような方法で設計されるべきである。このようにして、記載される技術は異なるボトリングシステム(例えばライン式充填機、トレイ式充填機)が、すぐにボトリングできる基本的な容器に供給されることを可能にし、記載されたコンテナの高い順応性を可能にする。
【0043】
記載された構造の1つ以上におけるコンテナに加えて、輸送システムは薬剤容器の滅菌空間への滅菌輸送のためにさらに提案される。輸送システムは、上述の構造の1つ以上に基づく少なくとも1つのコンテナ、および少なくとも1つの滅菌空間を有する。「滅菌空間」という用語はこの場合、外装に対して広がる細菌のない部分が強化された、少なくとも部分的に封鎖または遮断された場所を指す。これは例えば適切なロック、細菌フィルタ、殺菌手段などによって達成される。滅菌空間はとりわけ、接触可能な滅菌空間として構成され得る。滅菌空間は、滅菌ロックを備えた少なくとも1つの滅菌空間の壁を有し、滅菌ロックはコンテナのロックと結合され得る。滅菌空間は例えば、少なくとも1つの薬剤媒体を薬剤容器へとボトリングするために、少なくとも1つのボトリングラインを有することができる。
【0044】
記載された構造の1つにおけるコンテナおよび輸送システムに加えて、本発明はさらに少なくとも1つの薬剤媒体で、薬剤容器を充填する方法を提案する。この方法はとりわけ注射器本体の充填に用いることができるが、他の充填媒体および/または他の種類の容器も充填され得る。とりわけこの方法は、1つまたはそれ以上の上記の代表的な実施形態に基づく少なくとも1つのコンテナを用いて実行され得るので、参照は主として前述の定義および記載になされる。本発明の方法は、以下に記載される方法手順を含む。手順は、好適には示された方法で実行されるが、強制的なものではない。さらに1つまたはそれ以上の記載された方法手順は繰り返し行うことも可能であって、同様に同時および/または時間的な重複を伴って行うこともできる。記載された方法手順に加えて、この方法は記載されていない手順をさらに有する場合もある。
【0045】
第1の方法手順では、複数の薬剤容器が製造される。例えばこれらの容器は、例えば注射器本体のようなガラス容器により構成され得る。ガラスに加えて他の材料も使用でき、例えばセラミック、プラスチック材料、紙または複合材料なども使用できる。
【0046】
さらなる方法手順では、薬剤容器が殺菌される。この殺菌は例えば、前述した種類の殺菌媒体(例えば流体の殺菌媒体であって、殺菌液体および/または気体および/または過熱蒸気など)によって行うことができる。代替的または付加的に、熱殺菌の方法も用いられ、放射性の放熱による殺菌または他の種類の放熱による殺菌、とりわけUV放熱のような電磁放熱などの種類も実行でき、蒸気消毒も一般的である。前述のようにこの殺菌は、直接薬剤容器の製造業者の工場でおよび/または薬剤容器がネストおよび/またはコンテナに組み込まれた後に行うことができる。
【0047】
さらに他の方法手順において薬剤容器は、複数の薬剤容器を保管するための少なくとも1つのネストに導かれる。このネストは、殺菌可能な内部を備える外側の包装およびコンテナドアを有する再利用可能なコンテナへと挿入される。内部はコンテナの環境から細菌上隔離され、少なくとも1つ、好適には数多くのネストを収容する少なくとも1つのホルダを有する。前述のように、殺菌は薬剤容器を備えるネストを内部に収容した後に行うこともできる。
【0048】
その後さらなる方法手順では、このような方法で充填されるコンテナが滅菌空間に持ち込まれ、少なくとも1つのロックを通して滅菌空間に結合される。滅菌空間の構造に関して、参照は例えば前述の記載になされる。この場合ロックは滅菌空間に結合した後に、少なくとも実質的に無菌状態が中断されることなく滅菌空間のドアを開放できるような方法で構成される。
【0049】
この結合の後、ネストはコンテナドアを通して滅菌空間へと輸送される。そこで、少なくとも1つの薬剤媒体が容器へと挿入される。この場合、例えば薬剤容器が連続的に充填されるライン式充填装置が使用され得る。代替的または付加的に、ネストに位置づけられる全ての薬剤容器または複数の薬剤容器が同時に充填されるか、薬剤容器が個別に充填されるトレイ式充填装置も使用され得る。
【0050】
充填の後、空または少なくとも空のネストを取り付けられたコンテナは、再び滅菌空間から分離され、例えば薬剤容器の製造業者および/または例えばトレイ供給業者などの供給業者へと戻される。
【0051】
前述のように、この方法はボトリング工程が中断された場合にも用いられるよう構成される。つまりこの方法が任意に、少なくとも1つのネストおよび/またはネストを有するまたは有さない少なくとも1つの内部コンテナが、コンテナに戻されるような方法で構成されることが特に好ましい。少なくとも1つのネストはこの場合、空であるか、少なくとも部分的に薬剤容器が取り付けられたものである。この場合、容器はまだ充填されていないか、一部分のみすでに充填されている。充填されたおよび充填されていない容器の返却は、例えば同時に行うことも可能である。コンテナはその後選択的に閉鎖されつつも、内部および中に位置づけられる容器の無菌および/または衛生状態を維持し、滅菌空間から任意に分離され、とりわけ切り離される。前述のように、薬剤容器のコンテナへの返却は、ボトリング工程の中断の間に行われる。しかしながら、この種の返却は他の状況においても有利である。ボトリング工程の中断および返却を引き起こす他の出来事が終了した後、コンテナは再び滅菌空間へと任意に再結合、とりわけ再びドッキングされ、薬剤容器が滅菌空間へと再び輸送され、ボトリング工程のために滅菌空間へと任意に再供給されるように、滅菌空間に向かって再び開放される。この方法の変異形においても、薬剤容器の少なくともいくつかはコンテナへと任意に返却され、少なくとも1つのネストが個別の密閉包装を全く有さないことが特に好ましい。
【0052】
さらなる詳細および特徴は、従属請求項と関連する代表的な好適な実施形態に関する以下の記載から明らかになる。この点についてそれぞれの特徴は、個別にまたは組み合わせて実施される。本発明は代表的な実施形態に限定されない。代表的な実施形態は図面において概略的に記載される。個々の図面における参照番号は、この場合同一もしくは機能的に等しい要素、または機能面で相互に相応する要素を示す。
【0053】
図1は非常に概略化された、薬剤容器112の滅菌輸送を行う本発明による再利用可能なコンテナ110の代表的な実施形態の横からの断面図である。薬剤容器112はこの代表的な実施形態において注射器本体114として構成されるが、他の種類のコンテナを使用する可能性を制限しない。
【0054】
コンテナ110は外側ケース116を有し、外側ケース116はこの代表的な実施形態では1重の壁を有する外側ケース116として構成される。しかしながら、例えば2重または複数の壁を有する構成も可能である。外側ケースは、例えば上記の材料の1つまたはそれ以上で製造され、輸送中の機械的負荷(例えば複数のコンテナ110の積み重ね)に耐えるように、とりわけ寸法安定性を確実にすることを意図される。さらに外側ケース116は、激しい清浄工程、適切であれば消毒または殺菌工程に耐えられるべきである。
【0055】
外側ケース116は殺菌可能な内部118を含む。内部コンテナ122を収容するための装置120は、この内部118に収容される。これらの装置120は例えばレール、あり継ぎ誘導装置、固定装置、スレッド、ドッキングステーションなどを含む。
【0056】
内部コンテナ122は、図1による単純な代表的な実施形態においては、単に非常に概略化された形状で描かれている。この場合内部コンテナ122は、この代表的な実施形態においては単純な立方形のコンテナとして構成され、例えば同様に、コンテナ110と関連する同様の材料で製造される。内部コンテナ122もまた、薬剤容器112を搭載している間でも寸法安定性を確実にしなければならない。例えば、内部コンテナ122は高級鋼で作られる。
【0057】
内部コンテナ122はゆえに、コンテナ110の内部118に収容される。内部コンテナ122は要素に内部124を有し、そこではネスト128を収容するためのホルダ126が設置される。これらのホルダ126も同様に様々な種類のホルダを含み、例えば内部コンテナ122を積み込む開口部130を通してネスト128を挿入するためのレールを含む。
【0058】
ネスト128は注射器本体114を収容する役割を果たす。図2Aおよび2Bは、この種のネスト128の代表的な実施形態による平面図である。ネスト128はそれぞれ、平たい構造のネスト本体132を有する。ネスト本体132は再利用できるネスト本体として構成でき、したがって複数の清浄および消毒工程にも耐えられる寸法的に安定した材料からなり、例えばプラスチック材料(例えばフッ素化したプラスチック材料)および/または金属、セラミックなどである。それぞれのネスト本体132は注射器本体114を収容するために多数の開口部134を有する。これらの開口部134は記載される代表的な実施形態では、ネスト本体132の中にある円形の穴として構成される。この場合図2Aは、112個の開口部134が、六方形の配置で、長方形に連続的に配置されるようなネスト128の代表的な実施形態を描く。他の全ての列はこの場合、前の列から開口部の半分の距離ずつ動かされる。このようにして、ネストの空間128の最適な利用を確実にすることが可能である。
【0059】
図2Bは一方で、開口部134が一列に並んで配置されるネスト128を示す。
【0060】
図2Aおよび2Bに示される代表的な実施形態は、ネスト128の存在し得る多数の代表的な実施形態の2つのみを示す。それぞれのコンテナ110またはそれぞれの内部コンテナ122は、例えばそれぞれのコンテナ110が数百から千を超える注射器本体114で充填されるように、好適にはこの種のネスト128を多数収容する。ネスト128の形状はとりわけ、搭載されるボトリング設備に適合され、例えば図2Bに基づいた一列に並ぶ配置は、連続的な設備(好適にはライン式充填機として既知のもの)に適しており、図2Aに基づいた配置は充填される注射器本体114の2次元の位置決めを行う設備に適している。この場合、設備は例えば、注射器本体114が充填される前にネスト128から取り除かれるように構成でき、また代替的または付加的に、充填はネスト128の中でも行うことができる。
【0061】
ネスト128の構成により、無菌状態におけるネスト128の除去および/または注射器114のネスト128からの除去が、薬剤のボトリング工程の間に反転し得るような方法で、注射器114の空間的および時間的にオーダーされた操作が確実にされる。この場合、すでに充填された注射器本体114は、再びオーダーされた形式でネスト128に戻され、ネスト128はコンテナ110および/または内部コンテナ122の外側または内側に位置づけられ得る。まだ空である注射器本体114および/または少なくとも部分的にすでに充填された注射器114がこのように戻された後、コンテナ110は再び閉鎖され、選択的さらには一時的に滅菌ロック184から分離された後に再び結合され、その後前述のようにコンテナ110を空にする作業が続けられる一方で、無菌状態を保持する。
【0062】
さらに、開口部130の形状は薬剤容器112の種類またはボトリング設備の特定の特徴にも適合できるので、連続する穴の代わりに例えば図2Bのネストボディ132の端に溝を提供することも可能であって、ここに注射器本体114が横向きに吊るされ得る。この溝は除去を容易にすることができる。多数の可能な構造が考えられる。とりわけ、ホルダ126はネストボディ132の特定の形状にも適合され得る。
【0063】
図1において部分的および概略的に示されるように、開口部134に挿入される注射器本体114および薬剤容器112はそれぞれ、上端が付加的な保護箔136によって閉鎖され得る。しかしながら、これは義務的なものではない。さらに、注射器本体114は下端がキャップ138によって閉鎖される場合もあり、キャップも同様に図1において象徴的に示される。
【0064】
薬剤容器112および注射器本体114はそれぞれ、例えば製造業者の工場で直接、または製造後のさらなる工程または工程の一部において、清浄および消毒または殺菌され得る。代替的または付加的に、消毒または殺菌はコンテナ110の内部118において全体的または部分的に行われるか、または殺菌または消毒された状態がコンテナ110の内部118において維持され得る。このために、コンテナ110はこの種の消毒または殺菌を促進または達成できる様々な手段を有する。これらの手段は全て任意にものであって、あらゆる所望の方法において組み合わせることができ、様々な実施形態を含む。
【0065】
ゆえに、図1に記載されるコンテナ110は例えば、後面に引込口140を有する。この代表的な実施形態では、例えば引込口140を閉鎖するためのバルブ142が備えられている引込口140は、とりわけ内部118へ少なくとも1つの消毒媒体および/または殺菌媒体を導入および/または排出する役割を果たす。この殺菌媒体が通り抜けて内部118へと入れるような、付加的な開口部も提供され得る。内部コンテナ122もまた、相当する引込口および/または開口部を備えられ、これらは殺菌媒体(例えばエチレンオキシド)が導入されることを可能にする。しかしながら、図1に示される代表的な実施形態においては、内部コンテナ122は後面および上側に複数の開口部144をもつ、より単純な構成を有する。これらの開口部144は流体の殺菌媒体が内部コンテナ122を通って流れることを可能にする。
【0066】
さらに、この代表的な実施形態においては、コンテナ110は換気装置146を有する。この換気装置146は、例えば輸送の間および/または殺菌工程の間に、コンテナ110の内部118における内部の空気、または内部コンテナ122の内部124における内部の空気の混合を確実に行う。図1に記載される代表的な実施形態においては、換気装置146は外側ケース116にのみ提供される。しかしながら、代替的または付加的に、さらなる換気装置146が例えば内部コンテナ122に提供され得る。
【0067】
さらに、図1に記載される代表的な実施形態においては、コンテナ110は任意に細菌フィルタ148を有する。図1に記載される代表的な実施形態においては、フィルタ148はコンテナ110にある開口部150に接続される。この開口部150は例えば、閉鎖可能な開口部として構成される。細菌フィルタ148は、コンテナ110内部の無菌空気を確保する。図1に示される任意のフィルタ148の配置のかわりに、またはその配置に加えて、フィルタ148は例えば内部コンテナ122の上にも配置され得る。さらに、代替的または付加的にフィルタ148は、コンテナ110の内部118および/またはコンテナ122の内部124において、例えば換気装置146のような循環装置を提供され得る。ゆえに循環する気体または空気のみがコンテナ110の内部に入り込み、コンテナ110の外部環境からの気体は、コンテナ110の内部に浸入できない。
【0068】
図1に示される代表的な実施形態では、コンテナ110および/または内部コンテナ122は、コンテナ110内部の無菌状態を確保するさらなる任意の装置として、放射線源152を有する。例えば電磁的および/または放射性の放射線源152からなる光線源152は、図1に示される代表的な実施形態においては、コンテナ110にしっかりと結合される。しかしながら代替的または付加的に、消毒または殺菌工程のためにこの種の光線源152を一時的に導入できる開口部を、コンテナ110または内部コンテナ122において提供することも可能である。
【0069】
コンテナ110中の無菌状態を維持または確保するさらなる任意の手段として、図1に示される代表的な実施形態では温度管理装置154が提供される。示される代表的な実施形態においては、この温度管理装置154は外側ケース116に備えられるが、代替的または付加的に、内部コンテナ122の内部124にも備えられ得る。温度管理装置154はここでは単純な加熱コイルとして描かれるが、他の種類の温度管理装置もまた提供され得る。温度管理装置は好適には、無菌であることを確実にするために、コンテナ110または内部コンテナ122の内部118および/または124における空気の温度を上昇させる。しかしながら代替的または付加的に、例えば細菌による不純物の拡散および/または増殖を防ぐための、冷却装置も考えられる。この場合、内部118および124はそれぞれ、結露を避けるために例えば窒素またはアルゴンなどの、水分のない不活性気体が充填される。
【0070】
図1に描かれる代表的な実施形態では、コンテナ110はさらに任意にコントローラ156を有する。このコントローラ156は例えば、コンテナ110の無菌状態を維持する上記の装置のための電源機構を含み、例えばバッテリーおよび/またはアキュムレータなどを含む。代替的または付加的に、例えば輸送手段および/または薬剤容器112、114の製造業者の工場において、相当する電源機構に接続される外部の電源機構のために、端子を提供することも可能である。代替的または付加的にコントローラ156は、コンテナ110の無菌状態を維持または確保する上記の装置を作動させるための、コントロール・エレメントを含み、例えばスイッチ、マイクロプロセッサ、外部コントローラを接続するためのインターフェース、入力および出力手段を含む(例えばディスプレイ、キー、選択エレメントなど)。コントローラ156の構造は、とりわけコンテナ110の手段という特定の構造に適合され得る。
【0071】
コンテナ110はさらに、コンテナ110の単純な輸送を可能にする複数の手段を有する。ゆえに、固定および制動装置160を装着され得るロール158が、図1に示される代表的な実施形態ではとりわけ提供される。さらに、ロール158に加えて、ロール158への負荷が分散され、コンテナ110が固定されることを確実にするために、コンテナ110の動かない状態での保管の間に伸張される任意の支持足162が提供される(例えばネジ山、可変長な装置などによって)。輸送を単純化するために、コンテナ110はさらに輸送ラグ164を含み、これは図1に描かれる代表的な実施形態では単純なグリップとして構成される。しかしながら、代替的または付加的に、輸送手段の結合のための継手を多数提供することも可能であって、例えば輸送フックを結合するための継手などである。
【0072】
さらに図1に描かれる代表的な実施形態では、コンテナ110は、複数のコンテナが積み重ねられることを可能にする外側が成形加工された側面166が備えられている。図1に描かれる代表的な実施形態において、これらの外側が成形加工された側面166はコンテナ110のカバー上で、とりわけ窪み168を有し、そこに積み重ねられたコンテナ110のロール158、固定および制動装置160および支持足162が収容され得る(図1では図示せず)。このようにして、積み重ねられたコンテナ110の安定性は増大し、コンテナ110はよりしっかりと梱包される。
【0073】
コンテナ110の内部118および124を、それぞれコンテナ110の環境から細菌上隔離するために、コンテナ110は付加的にコンテナの開口部172を閉鎖するコンテナドア170を有する。図1に示される代表的な実施形態では、このコンテナの開口部172はコンテナ110の端面に配置され、内部コンテナ122がこのコンテナの開口部172を通してコンテナ110の内部118へと挿入され得るような方法で設計される。図1に示される代表的な実施形態の代替的なものとして、コンテナ110は複数の内部コンテナ122を収容することもでき、この場合好ましくはこの種の内部コンテナ122を収容するための複数の装置120が、この代表的な実施形態において提供され得る。
【0074】
コンテナドア170は図1において非常に概略化された形式で描かれ、例えば単純な回転式のクロージャ、フックなどのクロージャ機構174を有する。とりわけ用いられるコンテナドア170は、例えばバルクヘッドである。
【0075】
図1に描かれる代表的な実施形態において、コンテナドア170およびコンテナの開口部172はそれぞれ、コンテナを滅菌空間へ結合するためのロック176によって囲まれる。このロック176は、結合されると、コンテナ110を囲む領域からの空気が内部118および124のそれぞれに浸入できない状態のまま、コンテナドア170が開放されるような方法で構成される。コンテナドア170が開放されると、滅菌空間の内部または滅菌空間のロック(図1では図示せず)からの空気のみがコンテナ110に浸入できる。
【0076】
コンテナ110のロック176の構造には、様々な可能性が考えられ、図1では差込クロージャの可能性が非常に概略化されて示される。結合に関して、ロック176は可動な、例えば回転式および/または旋回式および/または柔軟な(例えば管状の)部品も含む。
【0077】
図3は、ロック176のなし得る構成を描く、非常に概略化された断面図である。この図は、例えば図1の代表的な実施形態によるコンテナ110、および接触可能な滅菌空間180を有する輸送システム178を概略的に示す。図3に示される状況において、コンテナ110はこの場合、ロック176を通して滅菌空間の壁182に結合された滅菌ロック184へと接続される。この滅菌ロック184は、とりわけコンテナドア170の寸法に適合され得る滅菌空間の開口部186を囲むことができる。このようにして、コンテナ110が結合されると、コンテナドア170は例えば、コンテナ110の内部118で滅菌された内部の空気の無菌状態を中断することなく、滅菌空間180の外へと開放され得る。
【0078】
滅菌ロック184は滅菌空間のドア188を有する。結合されていない段階においてこの滅菌空間のドア188は、結合機構190を用いて滅菌空間の開口部186を閉鎖し、結合機構は図3において単に非常に概略化された形状で描かれる。図3に描かれるロック原理では、コンテナ110のロック176は、コンテナドア170の外側にあるコンテナ110の外側ケース116に接続され、例えば環状にコンテナドア170を囲む第1のロック部分192を有する。この第1のロック部分192は例えば周状の突起として構成され、適切であれば裂け目を備えられ、第1の滅菌ロック部分194への結合を可能にする。この第1の滅菌ロック部分194は実質的に、滅菌空間の開口部186を環状に囲み、結合された場合、コンテナ110の滅菌空間180および内部118の細菌隔離を確実にする。第1のロック部分192および第1の滅菌ロック部分194は、例えば差込クロージャの形状で相互に結びつき、例えばそれら2つの第1ロック部分192、194の一方または両方は、結合および取り外しを可能にするために回転できるように構成され得る。
【0079】
第1のロック部分192および第1の滅菌ロック部分194が結合されると、一般的には無菌ではない中間空間が、コンテナドア170と滅菌空間のドア188との間に形成され得る。ここでも滅菌状態の最低水準を確実にするために、ロック176および/または滅菌ロック184は例えば、この中間空間が最小限の量になるような方法で構成され得る。代替的または付加的に、この中間空間を殺菌するための殺菌手段が、例えばコンテナドア170および/または滅菌空間のドア188が開放される前に提供されることも可能である。このため、例えば再び殺菌媒体、加熱手段、放射線源などを組み込むための引込口を提供することも可能であって、ここで前述の図1に関する記述を参照することができる。代替的または付加的に、この中間空間が後に、例えば滅菌空間180からの滅菌気体および/または滅菌不活性気体によって充填されるために少しの間排気され得るように、真空引込口もまた提供され得る。同様の方法で、例えばコンテナ110内の引込口140も、コンテナ110の内部118または内部コンテナ122の内部124を排気するためおよび/または内部を滅菌不活性気体および/または滅菌気体によって充填するために用いられ得る。
【0080】
コンテナ110の結合の間にコンテナドア170および滅菌空間のドア188の間の中間空間を殺菌するという上記の可能性の代わりに、またはそれに加えて、図3はコンテナドア170および滅菌空間のドア188との間の中間空間が、これら2つのドア170、188が互いに直接結合することによって、ほとんど完全になくなる実施形態を描く。この直接的な結合はとりわけ、ドア170、188が別個に、例えば逐次的に開放されなくてもよいようにし、同時に開放されることを可能にする。このためロック176はとりわけ、第1のロック部分192に加えて、コンテナドア170の外側に配置される第2のロック部分196を有することができる。この第2のロック部分196もまた、例えば周状の突起の形状でコンテナドア170の外側に構成されることができ、例えば差込クロージャの一部として構成される。
【0081】
同様に、滅菌ロック184は、滅菌空間のドア188の外側に第2の滅菌ロック部分198を含む。この第2の滅菌ロック部分198は例えば、第2のロック部分196の突起の後部とかみ合うことが可能なので、第2のロック部分196と結合する。例えばこの結合は、上述のように、差込クロージャを有することもできる。
【0082】
この場合結合機構は、第1のロック部分192が第1の滅菌ロック部分194に結合されると(例えば回転運動を受けて)、第2のロック部分196が同時に第2の滅菌ロック部分198に結合されるような方法で構成され得る。結果として一方で、2つのドア170、188の間の中間空間は、好適には最小まで減少され、2つのドア170、188は例えば回転して固定されるような方法で、機械的に確実に接続される。これは滅菌空間のドア188およびコンテナドア170が、例えば滅菌空間180から、同時に開放および/または閉鎖されることを可能にする。このためコンテナドア170は例えば、コンテナドア170に結合される滅菌空間のドア188を、回転させることによって開閉され得る差込クロージャ200を有する。したがって、第2のロック部分196と第2の滅菌ロック部分198との結合は、細菌の遮蔽ではなく、単なる機械的な結合を提供するべきであるので、この結合は機械的な要件のみを満たさなければならず、無菌という点では特定の要件を満たす必要はない。
【0083】
あらかじめ殺菌された薬剤容器112はゆえに、図3に示される輸送システム178を用いてボトリング工場へと運ばれる。その後薬剤容器112は、滅菌空間180が結合されると、直接的にまたはネスト128と共に、コンテナ110から取り除かれる。任意の内部コンテナ122の完全な除去もまた可能であり、好ましい。その後薬剤容器112は滅菌空間180内で充填され得る。もはや必要でなくなる内部コンテナ122および/またはネスト128は、その後コンテナ110へと戻され、ドア170、188は閉鎖され、ロック176は取り外される。続いてコンテナ110は例えば、そこで再利用されるため、および例えば薬剤容器112を再度充填されるために、薬剤容器112の製造業者へと戻され得る。記載される輸送システム178は、手動で薬剤容器112をコンテナ110から取り除くことに加えて、例えば半自動的または自動的な取り外しも可能であるので、相当に効率化および高速化され得る。さらに、生み出される廃棄物は相当に減少し、付加的な封(例えば溶接)を取り除く費用を重大に減少させることが可能である。
【符号の説明】
【0084】
110 コンテナ
112 薬剤容器
114 注射器本体
116 外側ケース
118 コンテナの内部
120 内部コンテナを収容するための装置
122 内部コンテナ
124 内部コンテナの内部
126 ネストを収容するためのホルダ
128 ネスト
130 内部コンテナを取り付けるための開口部
132 ネスト本体
134 注射器本体を収容するための開口部
136 保護箔
138 キャップ
140 引込口
142 バルブ
144 殺菌のための開口部
146 換気装置
148 フィルタ
150 コンテナ内の開口部
152 放射線源
154 温度管理装置
156 コントローラ
158 ロール
160 固定および制動装置
162 支持足
164 輸送ラグ
166 外側が成形加工された側面
168 窪み
170 コンテナドア
172 コンテナ開口部
174 クロージャ機構
176 ロック
178 輸送システム
180 滅菌空間
182 滅菌空間の壁
184 滅菌ロック
186 滅菌空間の開口部
188 滅菌空間のドア
190 結合機構
192 第1のロック部分
194 第1の滅菌ロック部分
196 第2のロック部分
198 第2の滅菌ロック部分
200 コンテナドアの差込クロージャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側ケース(116)および殺菌可能な内部(118、124)を含む、薬剤容器(112)、とりわけ注射器本体(114)を滅菌輸送する再利用可能なコンテナ(110)であって、前記内部(118、124)が前記コンテナ(110)の環境から細菌上隔離され、前記内部(118、124)が複数の薬剤容器(112)を保管する少なくとも1つのネスト(128)を収容するための、少なくとも1つのホルダ(126)を有し、前記ネスト(128)が取り外し可能に前記ホルダ(126)に収容され、前記コンテナ(110)がさらに、前記ネスト(128)を取り除くためまたは前記ネスト(128)を前記内部(118、124)へ組み込むための少なくとも1つのコンテナドア(170)および前記コンテナ(110)を滅菌空間(180)へ結合するための少なくとも1つのロック(176)を有し、該ロック(176)が、前記滅菌空間に結合されると、実質的に無菌状態を中断することなくコンテナドア(170)を開放できるように構成されてなる再利用可能なコンテナ。
【請求項2】
前記ロック(176)が、前記コンテナドア(170)の外側で、前記外側ケース(116)に接続される少なくとも1つの第1のロック部分(192)を有し、該第1のロック部分(192)が、少なくとも部分的に前記コンテナドア(170)を囲む請求項1記載のコンテナ(110)。
【請求項3】
前記ロック(176)が、前記コンテナドア(170)の外側で前記外側ケース(116)に接続される少なくとも1つの第1のロック部分(192)および前記コンテナドア(170)に接続される少なくとも1つの第2のロック部分(196)を有し、前記第1のロック部分(192)が滅菌空間のドア(188)を囲む第1の滅菌ロック部分(194)に結合することが可能であり、前記第2のロック部分(196)が、前記滅菌空間のドア(188)に接続される第2の滅菌ロック部分(198)に結合され得る請求項1または2記載のコンテナ(110)。
【請求項4】
前記ロック(176)が少なくとも1つの差込クロージャを有する請求項1〜3のいずれかに記載のコンテナ(110)。
【請求項5】
前記コンテナドア(170)が、前記コンテナ(110)の上側および/または横壁に配置される少なくとも1つの旋回ドア、とりわけバルクヘッドを含む請求項1〜4のいずれかに記載のコンテナ(110)。
【請求項6】
前記コンテナ(110)が、
前記内部(118、124)に収容され得る少なくとも1つの内部コンテナ(122)をさらに含み、前記ネスト(128)を収容するための前記ホルダ(126)が少なくとも部分的に前記内部コンテナ(122)内に収容され、前記内部コンテナ(122)および前記コンテナドア(170)が、前記内部コンテナ(122)が前記内部(118、124)から可逆に取り除かれ得るように構成されてなる請求項1〜5のいずれかに記載のコンテナ(110)。
【請求項7】
前記内部コンテナ(122)が、開放した内部コンテナ(122)として、とりわけ流体の殺菌媒体を流すことが可能な内部コンテナ(122)として構成される請求項1〜6のいずれかに記載のコンテナ(110)。
【請求項8】
前記ネスト(128)を収容するための前記ホルダ(126)が、前記ネスト(128)を挿入するための少なくとも1つのレールを含む請求項1〜7のいずれかに記載のコンテナ(110)。
【請求項9】
複数の薬剤容器(112)を保管する複数のネスト(128)をさらに含む請求項1〜8のいずれかに記載のコンテナ(110)。
【請求項10】
前記ネスト(128)が少なくとも1つの実質的に平面的なネストボディ(132)を含み、該実質的に平面的なネストボディ(132)が、前記薬剤容器(112)を収容するための複数の開口部(134)を有する請求項1〜9のいずれかに記載のコンテナ(110)。
【請求項11】
前記ネスト(128)が、付加的な包装、とりわけ個々の密閉包装なしに、前記コンテナ(110)、とりわけ前記内部コンテナ(122)へと導入される請求項9または10記載のコンテナ(110)。
【請求項12】
前記コンテナ(110)が、少なくとも1つの流体の消毒媒体および/または殺菌媒体を、前記内部(118、124)へ、または前記内部(118、124)から取り込みおよび/または排出するために、少なくとも1つの接続開口部、とりわけ引込口(140)を含む請求項1〜11のいずれかに記載のコンテナ(110)。
【請求項13】
前記内部(118、124)の空気を少なくとも部分的に混合するための、少なくとも1つの換気装置(146)をさらに含む請求項1〜12のいずれかに記載のコンテナ(110)。
【請求項14】
放射線源(152)を前記内部(118、124)へと導くための、少なくとも1つの開口部をさらに含む請求項1〜13のいずれかに記載のコンテナ(110)。
【請求項15】
前記内部(118、124)を消毒および/または殺菌する放射性光線源および/または電磁光線源を発するための、少なくとも1つの放射線源(152)をさらに含む請求項1〜14のいずれかに記載のコンテナ(110)。
【請求項16】
前記内部(118、124)を加熱および/または冷却するための、少なくとも1つの温度管理装置(154)をさらに含む請求項1〜15のいずれかに記載のコンテナ(110)。
【請求項17】
前記内部(118、124)内で循環する空気を濾過するためおよび/または前記内部(118、124)を消毒する流体媒体、とりわけ空気を濾過するための、少なくとも1つの細菌フィルタ(148)をさらに含む請求項1〜16のいずれかに記載のコンテナ(110)。
【請求項18】
前記コンテナ(110)を輸送するための、複数のロール(158)、とりわけ制動手段(160)を備えるロール(158)をさらに含む請求項1〜17のいずれかに記載のコンテナ(110)。
【請求項19】
前記コンテナ(110)を静止して固定するための、複数の支持足(162)をさらに含む請求項1〜18のいずれかに記載のコンテナ(110)。
【請求項20】
前記コンテナ(110)が、複数のコンテナ(110)が積み重ねられるような方法で構成される外側が成形加工された側面(166)を有する請求項1〜19のいずれかに記載のコンテナ(110)。
【請求項21】
前記コンテナ(110)が、輸送手段、とりわけ輸送フックを結合するための、少なくとも1つの外部から接触可能な継手(164)をさらに有する請求項1〜20のいずれかに記載のコンテナ(110)。
【請求項22】
前記コンテナ(110)が、寸法安定性のよい方法で構成され、少なくとも金属、とりわけ高級鋼、セラミック、ガラス、プラスチック物質、とりわけフッ素化プラスチック、複合材料の少なくとも1つを含む請求項1〜21のいずれかに記載のコンテナ(110)。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれかに記載のコンテナ(110)を少なくとも1つ含み、少なくとも1つの滅菌空間(180)、とりわけ接触可能な滅菌空間(180)をさらに含み、前記滅菌空間(180)が滅菌ロック(184)を備える滅菌空間の壁(182)を含み、前記滅菌ロック(184)が前記コンテナ(110)のロック(176)に結合され得る、薬剤容器(112)を滅菌空間(180)へ滅菌輸送するための輸送システム(178)。
【請求項24】
前記滅菌空間(180)が、少なくとも1つの薬剤媒体を薬剤容器(112)へとボトリングするための、少なくとも1つのボトリングラインをさらに有する請求項23記載の輸送システム(178)。
【請求項25】
とりわけコンテナ(110)に関する請求項1〜22のいずれかに記載の少なくとも1つのコンテナ(110)を用いて、少なくとも1つの薬剤媒体を備える薬剤容器(112)、とりわけ注射器本体(114)を充填するための方法であって、
複数の薬剤容器(112)が製造される工程と、
前記薬剤容器(112)が殺菌される工程と、
前記薬剤容器(112)が、複数の薬剤容器(112)を保管するための少なくとも1つのネスト(128)に取り入れられる工程と、
再利用可能なコンテナ(110)であって、前記コンテナ(110)が外側ケース(116)、殺菌可能な内部(118、124)およびコンテナドア(170)を備え、前記内部(118、124)が前記コンテナ(110)の環境から細菌上隔離され、前記内部(118、124)が、前記ネスト(128)を収容するための少なくとも1つのホルダ(126)を有するコンテナに、前記ネスト(128)が取り入れられる工程と、
前記コンテナ(110)が滅菌空間(180)へと持ち込まれ、前記滅菌空間(180)に結合した後、実質的に無菌状態を中断することなく、前記滅菌空間(180)から前記コンテナドア(170)を開放できるような方法で構成され得る少なくとも1つのロック(176)を通して前記滅菌空間(180)に結合される工程と、
前記ネスト(128)および/または前記薬剤容器(112)が、前記コンテナドア(170)を通して前記滅菌空間(180)へと輸送される工程と、
前記少なくとも1つの薬剤媒体が前記薬剤容器(112)へと取り入れられる工程と
を含む方法。
【請求項26】
前記薬剤媒体が、ライン式充填装置またはトレイ式充填装置によって取り入れられる請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記コンテナ(110)が続いて前記滅菌空間(180)から取り外され、前記薬剤容器(112)の製造場所および/または供給業者へと戻される請求項25または26記載の方法。
【請求項28】
薬剤容器(112)が少なくとも部分的に充填された少なくとも1つのネスト(128)および/または少なくとも1つのネスト(128)を備える少なくとも1つの内部コンテナ(122)が、前記コンテナ(110)へと戻される方法に関する請求項25〜27のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−515116(P2011−515116A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−546227(P2010−546227)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065690
【国際公開番号】WO2009/100787
【国際公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】