説明

虚血仲介中枢神経系障害又は損傷の治療のための低体温状態下で投与されるシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤の組成物

中枢神経系への減少した血流の治療のための方法及び組成物が提供される。上記方法は卒中、外傷性脳及び脊髄損傷を含む虚血仲介中枢神経系損傷を有する患者において改善された神経学的機能を提供するために患者に低体温状態を適用すると共にシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤を有する組成物を患者に投与することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は中枢神経系への減少された血流の治療のための組成物及び方法を提供する。より詳細には、本発明は改善された神経学的機能を提供するための低体温状態下で投与されるシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤を含む組成物の患者への投与を含む、虚血性卒中及び外傷性脳損傷を含む、虚血仲介中枢神経系障害又は損傷の治療又は予防のための組み合わせ治療に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
虚血性卒中を含む虚血仲介中枢神経系損傷の発生率における連続した増大はよりよい治療策についての継続する要求があるというやむにやまれぬ証拠を提供する。例えば、卒中は米国及び欧州の国々において一貫して毎年第二の又は第三の死亡原因及び成人における障害の第一の発生源である。さらに、卒中を有する患者のおよそ10%が重篤に障害を負うことになり、しばしば付添い介護を必要とする。
【0003】
虚血仲介中枢神経系損傷の根底にある病理は複雑である。一般的に述べると、脳の灰白質への通常の灌流量は60〜70mL/脳組織100g/分である。中枢神経系細胞の死は典型的に、血流がある値(約8〜10mL/脳組織100g/分)未満に落ちたときにのみ起こり、一方で、わずかにそれより高い値では組織は生きたままであるが機能することはできない。例えば、ほとんどの卒中は、血流が徹底的に減少されたために細胞が通常回復することができない細胞死の核領域(梗塞)において最高潮に達する。この閾値は大脳血流が通常の20%以下であるときに起こるように見える。神経保護剤なしでは、80〜100%虚血に直面する神経細胞は数分以内に不可逆的に損傷を受けるであろう。上記虚血核の周囲は大脳血流が通常の20〜50%である「虚血周縁部」又は「遷移領域」と呼ばれる他の組織領域である。この領域内の細胞は危険にさらされているが、まだ不可逆的には損傷を受けていない。したがって急性卒中において、影響を受けた中心核脳組織は死ぬことがあるが、一方で、より周辺の組織は上記脳組織が受ける血液量に因り、はじめの発作後何年も生き続ける。
【0004】
大脳虚血からの脳損傷の予防において完全に有効であることが証明された薬物療法はない。介入は上記虚血周縁部を救うこと及びその大きさを減少させることに方向付けられている。血流の回復は上記周縁部内の組織を救うための第一段階である。それゆえ、上記周縁部内及び上記虚血核内両方の灌流を回復させるための閉塞された脈管の折りよい再疎通は使用される1の治療選択である。部分的な再疎通もまた上記周縁部の大きさを著しく減少させる。さらに、静脈内組織プラスミノゲン活性化因子及び他の血栓崩壊剤は、それらが症状開始の数時間以内に投与される場合、臨床利益を有することが示されている。しかしながら、この狭い時間枠を超えると、有益な効果の見込みは減少され、及び血栓崩壊剤に関連する出血性合併症が過剰になり、それらの治療的価値をひどく傷つける。明らかに、虚血仲介中枢神経系損傷後の改善された治療プログラムについての継続する要求がある。
【0005】
上記虚血周縁部における損傷は異種の分子事件カスケードに関係するので、専門家は現在、治療は単一の「特効薬」で行われるようにはならないであろうと考えている。その代わりとして、上記分子カスケードの異なる成分を処置する化合物の組み合わせが最も有効な方法になりそうである。(Zebrack, J. et al, (2002) Prog. Cardiovasc. Nurs 17(4):174−185)。そのために、虚血誘導ニューロン損傷に関係する1の前炎症性仲介物質はシクロオキシゲナーゼ−2である。前臨床の証拠は、シクロオキシゲナーゼ−2が神経変性に寄与することを示唆する。シクロオキシゲナーゼ−2の薬理学的阻害は虚血のげっ歯類モデルにおいて神経保護をもたらす(Nakayama et al., (1998) PNAS 95:10954−10959)。重要なことに、シクロオキシゲナーゼ−2阻害は伝える所によれば、虚血6時間後に投与されるとき梗塞の大きさを減少させる(Nogawa et al., (1997) J. Neurosci. 17:2746−55)。この延長された時間過程は非常に異常であり、及びシクロオキシゲナーゼ−2は、ほとんどの場合症状の開始数時間後まで病院に到着しない急性卒中患者の治療において有益でありうるという原理を提供する。トランスジェニックマウスにおける最近のデータは、シクロオキシゲナーゼ−2が虚血性脳損傷に寄与するというさらなる前臨床の証拠を提供する。シクロオキシゲナーゼ−2ノックアウトマウスは、病巣虚血にかけられたとき、梗塞の大きさにおいて遺伝子量に依存する減少を示す(Iadecola et al., (2001) PNAS 98:1294−1299)。他の研究は、シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤での治療がウサギにおいて可逆性脊髄虚血により誘導された行動欠陥の改善をもたらすことを示した(Lapchak et al., (2001) Stroke 32(5):1220−1230)。
【0006】
虚血仲介中枢神経系損傷を制限することにおける低体温の使用を支持する圧倒的な実験及び臨床データもまたある。低体温はグルタミン酸放出、遊離ラヂカル機構、虚血脱分極、及びキナーゼ反応を減少させることにより;血液脳関門及び細胞骨格を保護することにより;及び炎症機構を抑制することによりその神経保護効果を発揮すると考えられる。例として、いくつかの動物卒中モデルは低体温が最終梗塞体積を減少させ、行動結果を改善すること、及び脳が永久的な損傷前に虚血に耐えうる期間を延長し、それにより「治療枠」を延長することを示した(例えば、 Yanamoto et al. (1996) Brain Res. 718:207−211;及びHuh et al. (2000) J. Neurosurg. 92:91−99を参照のこと)。さらに、また軽い低体温は再灌流損傷において役割を果たすことが知られる酸素遊離ラヂカルの虚血後生成及び炎症性応答を抑制するという実験的証拠もある(例えば、Ishikawa et al. (1999) Stroke 30:1679−1686;及びKawai et al. (2000) Stroke 32:1982−1989を参照のこと)。
【発明の開示】
【0007】
発明の要約
本発明のいくつかの局面のうち、患者における虚血仲介中枢神経系障害の治療方法が提供される。上記方法はシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤を有する組成物を患者に投与することを含み、ここで、上記組成物は低体温状態下で投与される。
1の態様において、上記シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤はクロメンクラスの化合物のメンバーである。例えば、上記クロメン化合物は式:
【化1】

{式中:
nは0、1、2、3又は4である整数である;
GはO、S又はNRaである;
aはアルキルである;
1はH又はアリールである;
2はカルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルフォニルアミノカルボニル又はアルコキシカルボニルである;
3はアルキルチオ、ニトロ及びアルキルスルフォニルから選ばれる1以上のラヂカルで場合により置換されるハロアルキル、アルキル、アラルキル、シクロアルキル又はアリールである;及び
それぞれのR4は独立にH、ハロ、アルキル、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アラルキルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールアルキルアミノ、ニトロ、アミノ、アミノスルフォニル、アルキルアミノスルフォニル、アリールアミノスルフォニル、ヘテロアリールアミノスルフォニル、アラルキルアミノスルフォニル、ヘテロアラルキルアミノスルフォニル、ヘテロシクロスルフォニル、アルキルスルフォニル、ヒドロキシアリールカルボニル、ニトロアリール、場合により置換されるアリール、場合により置換されるヘテロアリール、アラルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アリールカルボニル、アミノカルボニル又はアルキルカルボニルである;又はここで、R4はそれが結合される炭素原子及び環Eの残余と共にナフチルラヂカルを形成する}
の化合物でありうる。
【0008】
他の態様において、上記シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤はベンゼンスルフォンアミド又はメチルスルフォニルベンゼンクラスの化合物のメンバーである。例えば、上記ベンゼンスルフォンアミド又はメチルスルフォニルベンゼン化合物は式:
【化2】

{式中:
Aは部分的に不飽和の又は不飽和のヘテロシクリル又は部分的に不飽和の又は不飽和の炭素環状環である;
1はヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル又はアリールであり、ここで、R1はアルキル、ハロアルキル、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ニトロ、アルコキシアルキル、アルキルスルフィニル、ハロ、アルコキシ及びアルキルチオから選ばれる1以上のラヂカルで置換可能な位置で場合により置換される;
2はメチル又はアミノである;及び
3はH、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、オキソ、シアノ、カルボキシル、シアノアルキル、ヘテロシクリルオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、シクロアルキル、アリール、ハロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルケニル、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、アシル、アルキルチオアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アラルケニル、アルコキシアルキル、アリールチオアルキル、アリールオキシアルキル、アラルキルチオアルキル、アラルコキシアルキル、アルコキシアラルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アルキルアミノカルボニル、N−アリールアミノカルボニル、N−アルキル−N−アリールアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルアルキル、カルボキシアルキル、アルキルアミノ、N−アリールアミノ、N−アラルキルアミノ、N−アルキル−N−アラルキルアミノ、N−アルキル−N−アリールアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、N−アリールアミノアルキル、N−アラルキルアミノアルキル、N−アルキル−N−アラルキルアミノアルキル、N−アルキル−N−アリールアミノアルキル、アリールオキシ、アラルコキシ、アリールチオ、アラルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルフォニル、アミノスルフォニル、アルキルアミノスルフォニル、N−アリールアミノスルフォニル、アリールスルフォニル又はN−アルキル−N−アリールアミノスルフォニルである}
の化合物でありうる。
【0009】
また他の態様において、上記シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤はセレコキシブ、ロフェコキシブ、ヴァルデコキシブ、エトリコキシブ、パレコキシブ、デラコキシブ又はルミラコキシブである。
【0010】
また他の態様において、上記低体温状態は虚血仲介中枢神経系損傷の開始後約5時間以内に患者に適用され、ここで、上記低体温状態は患者の核体温を約32〜約35℃まで下げることを含む。
本発明の他の局面は以下により詳細に示される。
【0011】
略語及び定義
上記用語「アシル」は有機酸からのヒドロキシルの除去後の残基により提供されるラヂカルである。上記アシルラヂカルの例はアルカノイル及びアロイルラヂカルを含む。上記低級アルカノイルラヂカルの例はフォルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ヴァレリル、イソヴァレリル、ピヴァロイル、ヘキサノイル、及びトリフルオロアセチルを含む。
上記用語「アルケニル」は2〜約20炭素原子又は好ましくは2〜約12炭素原子の少なくとも1の炭素−炭素二重結合を有する直鎖の又は有枝鎖のラヂカルである。より好ましいアルケニルラヂカルは2〜約6炭素原子を有する「低級アルケニル」ラヂカルである。アルケニルラヂカルの例はエテニル、アリル、プロペニル、ブテニル及び4−メチルブテニルを含む。
【0012】
上記用語「アルケニル」及び「低級アルケニル」はまた「シス」及び「トランス」配向又はあるいは、「E」及び「Z」配向を有するラヂカルである。上記用語「シクロアルキル」は3〜12炭素原子を有する飽和炭素環状ラヂカルである。より好ましいシクロアルキルラヂカルは3〜約8炭素原子を有する「低級シクロアルキル」ラヂカルである。上記ラヂカルの例はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルを含む。
【0013】
上記用語「アルコキシ」及び「アルキルオキシ」はそれぞれ1〜約10炭素原子のアルキル部分を有する直鎖の又は有枝鎖のオキシを含むラヂカルである。より好ましいアルコキシラヂカルは1〜6炭素原子を有する「低級アルコキシ」ラヂカルである。上記ラヂカルの例はメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ及び第三−ブトキシを含む。
【0014】
上記用語「アルコキシアルキル」はアルキルラヂカルに結合される1以上のアルコキシラヂカルを有する、すなわち、モノアルコキシアルキル及びヂアルコキシアルキルラヂカルを形成する、アルキルラヂカルである。上記「アルコキシ」ラヂカルはフルオロ、クロロ又はブロモの如き1以上のハロ原子でさらに置換され、ハロアルコキシラヂカルを提供しうる。より好ましいハロアルコキシラヂカルは1〜6炭素原子及び1以上のハロラヂカルを有する「低級ハロアルコキシ」ラヂカルである。上記ラヂカルの例はフルオロメトキシ、クロロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、フルオロエトキシ及びフルオロプロポキシを含む。
【0015】
上記用語「アルコキシカルボニル」は、カルボニルラヂカルに酸素原子を介して結合される、上記に定義されるアルコキシラヂカルを含むラヂカルである。より好ましいものは1〜6炭素を有するアルキル部分を有する「低級アルコキシカルボニル」ラヂカルである。上記低級アルコキシカルボニル(エステル)ラヂカルの例は置換される又は置換されないメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル及びヘキシルオキシカルボニルを含む。
【0016】
単独で又は「ハロアルキル」、「アルキルスルフォニル」、「アルコキシアルキル」及び「ヒドロキシアルキル」の如き他の用語内で使用される場合、上記用語「アルキル」は1〜約20炭素原子又は好ましくは1〜約12炭素原子を有する直鎖の、環状の又は有枝鎖のラヂカルである。より好ましいアルキルラヂカルは1〜約10炭素原子を有する「低級アルキル」ラヂカルである。最も好ましいものは1〜約6炭素原子を有する低級アルキルラヂカルである。上記ラヂカルの例はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第二−ブチル、第三−ブチル、ペンチル、イソ−アミル、ヘキシル等を含む。
【0017】
上記用語「アルキルアミノ」は1又は2のアルキルラヂカルで置換されているアミノ基である。好ましいものは1〜6炭素原子を有するアルキル部分を有する「低級N−アルキルアミノ」ラヂカルである。好適な低級アルキルアミノはN−メチルアミノ、N−エチルアミノ、N,N−ヂメチルアミノ、N,N−ヂエチルアミノ等の如きモノ又はヂアルキルアミノでありうる。
【0018】
上記用語「アルキルアミノアルキル」はアミノアルキルラヂカルに結合される1以上のアルキルラヂカルを有するラヂカルである。
上記用語「アルキルアミノカルボニル」はアミノ窒素原子上で1又は2のアルキルラヂカルで置換されているアミノカルボニル基である。好ましいものは「N−アルキルアミノカルボニル」、「N,N−ヂアルキルアミノカルボニル」ラヂカルである。より好ましいものは上記に定義される低級アルキル部分を有する「低級N−アルキルアミノカルボニル」、「低級N,N−ヂアルキルアミノカルボニル」ラヂカルである。
【0019】
上記用語「アルキルカルボニル」、「アリールカルボニル」及び「アラルキルカルボニル」はカルボニルラヂカルに結合される、上記に定義されるアルキル、アリール及びアラルキルラヂカルを有するラヂカルを含む。上記ラヂカルの例は置換される又は置換されないメチルカルボニル、エチルカルボニル、フェニルカルボニル及びベンジルカルボニルを含む。
【0020】
上記用語「アルキルチオ」は二価硫黄原子に結合される1〜約10炭素原子の直鎖の又は有枝鎖のアルキルラヂカルを含むラヂカルである。より好ましいアルキルチオラヂカルは1〜6炭素原子のアルキルラヂカルを有する「低級アルキルチオ」ラヂカルである。上記低級アルキルチオラヂカルの例はメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ及びヘキシルチオである。
【0021】
上記用語「アルキルチオアルキル」は1〜約10炭素原子のアルキルラヂカルに二価硫黄原子をとおして結合されるアルキルチオラヂカルを含むラヂカルである。より好ましいアルキルチオアルキルラヂカルは1〜6炭素原子のアルキルラヂカルを有する「低級アルキルチオアルキル」ラヂカルである。上記低級アルキルチオアルキルラヂカルの例はメチルチオメチルを含む。
【0022】
上記用語「アルキルスルフィニル」は、二価−S(=O)−ラヂカルに結合される、1〜10炭素原子の、直鎖の又は有枝鎖のアルキルラヂカルを含むラヂカルである。より好ましいアルキルスルフィニルラヂカルは1〜6炭素原子のアルキルラヂカルを有する「低級アルキルスルフィニル」ラヂカルである。上記低級アルキルスルフィニルラヂカルの例はメチルスルフィニル、エチルスルフィニル、ブチルスルフィニル及びヘキシルスルフィニルを含む。
【0023】
上記用語「アルキニル」は2〜約20炭素原子又は好ましくは2〜約12炭素原子を有する直鎖の又は有枝鎖のラヂカルである。より好ましいアルキニルラヂカルは2〜約10炭素原子を有する「低級アルキニル」ラヂカルである。最も好ましいものは2〜約6炭素原子を有する低級アルキニルラヂカルである。上記ラヂカルの例はプロパルギル、ブチニル等を含む。
【0024】
上記用語「アミノアルキル」は1以上のアミノラヂカルで置換されるアルキルラヂカルである。より好ましいものは「低級アミノアルキル」ラヂカルである。上記ラヂカルの例はアミノメチル、アミノエチル等を含む。
【0025】
上記用語「アミノカルボニル」は式−C(=O)NH2のアミド基である。
上記用語「アラルコキシ」は他のラヂカルに酸素原子をとおして結合されるアラルキルラヂカルである。
上記用語「アラルコキシアルキル」はアルキルラヂカルに酸素原子をとおして結合されるアラルコキシラヂカルである。
【0026】
上記用語「アラルキル」はベンジル、ヂフェニルメチル、トリフェニルメチル、フェニルエチル、及びヂフェニルエチルの如きアリール置換アルキルラヂカルである。前記アラルキルにおけるアリールはハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル及びハロアルコキシでさらに置換されうる。上記用語ベンジル及びフェニルメチルは相互変換可能である。
【0027】
上記用語「アラルキルアミノ」は他のラヂカルにアミノ窒素原子をとおして結合されるアラルキルラヂカルである。上記用語「N−アリールアミノアルキル」及び「N−アリール−N−アルキル−アミノアルキル」はそれぞれ、1のアリールラヂカル又は1のアリール及び1のアルキルラヂカルで置換されている、及びアルキルラヂカルに結合されるアミノ基を有するアミノ基である。上記ラヂカルの例はN−フェニルアミノメチル及びN−フェニル−N−メチルアミノメチルを含む。
【0028】
上記用語「アラルキルチオ」は硫黄原子に結合されるアラルキルラヂカルである。
上記用語「アラルキルチオアルキル」はアルキルラヂカルに硫黄原子をとおして結合されるアラルキルチオラヂカルである。
上記用語「アロイル」は上記に定義されるカルボニルラヂカルを有するアリールラヂカルである。アロイルの例はベンゾイル、ナフトイル等を含み、及び前記アロイルにおけるアリールはさらに置換されうる。
【0029】
上記用語「アリール」は、単独で又は組み合わせで、1、2又は3の環を含む炭素環状芳香系であり、ここで、上記環はペンダント様式で共に結合されうる又は融合されうる。上記用語「アリール」はフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダン及びビフェニルの如き芳香族ラヂカルを含む。アリール基はまたアルキル、アルコキシアルキル、アルキルアミノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アルコキシ、アラルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、ハロ、ニトロ、アルキルアミノ、アシル、シアノ、カルボキシ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル及びアラルコキシカルボニルから独立に選ばれる1以上の置換基で置換可能な位置で置換されうる。
【0030】
上記用語「アリールアミノ」はN−フェニルアミノの如き、1又は2のアリールラヂカルで置換されているアミノ基である。上記「アリールアミノ」ラヂカルは上記ラヂカルのアリール環部分上でさらに置換されうる。
上記用語「アリールオキシアルキル」は二価酸素原子をとおしてアルキルラヂカルに結合されるアリールラヂカルを有するラヂカルである。
上記用語「アリールチオアルキル」は二価硫黄原子をとおしてアルキルラヂカルに結合されるアリールラヂカルを有するラヂカルである。
【0031】
上記用語「カルボニル」は、単独で使用されるか又は「アルコキシカルボニル」の如き他の用語と共に使用されるかどうかに関わらず、−(C=O)−である。
上記用語「カルボキシ」又は「カルボキシル」は、単独で使用されるか又は「カルボキシアルキル」の如き他の用語と共に使用されるかどうかに関わらず、−CO2Hである。
上記用語「カルボキシアルキル」はカルボキシラヂカルで置換されるアルキルラヂカルである。より好ましいものは上記に定義される低級アルキルラヂカルである「低級カルボキシアルキル」であり、及びハロで上記アルキルラヂカル上でさらに置換されうる。上記低級カルボキシアルキルラヂカルの例はカルボキシメチル、カルボキシエチル及びカルボキシプロピルを含む。
【0032】
上記用語「シクロアルケニル」は3〜12炭素原子を有する部分的に不飽和の炭素環状ラヂカルである。より好ましいシクロアルケニルラヂカルは4〜約8炭素原子を有する「低級シクロアルケニル」ラヂカルである。上記ラヂカルの例はシクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタヂエニル、及びシクロヘキセニルを含む。
【0033】
上記用語「シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤」はシクロオキシゲナーゼ−1にまさってシクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害することができる化合物である。典型的に、それは約0.2マイクロモーラー未満のシクロオキシゲナーゼ−2 IC50を有し、及びまた少なくとも約5の、より典型的には少なくとも約50の、及びさらにより典型的には少なくとも約100のシクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)IC50対シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)IC50の選択率を有する化合物を含む。さらに、本明細書中に示されるシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤は約1マイクロモーラー超の、及びより好ましくは10マイクロモーラー超のシクロオキシゲナーゼ−1 IC50を有する。上記用語「シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤」はまたその異性体、医薬として許容される塩、エステル又はプロドラッグをも含む。本方法において使用されるアラキドン酸代謝におけるシクロオキシゲナーゼ経路の阻害剤はさまざまな機構をとおして酵素活性を阻害しうる。例として、及び非限定的に、本明細書中に示される方法において使用される阻害剤は上記酵素の基質としてはたらくことにより直接的に酵素活性をブロックしうる。
【0034】
上記用語「ハロ」はフッ素、塩素、臭素又はヨー素の如きハロゲンである。
上記用語「ハロアルキル」はアルキル炭素原子のうちの1以上が上記に定義されるハロで置換されるラヂカルである。特に含まれるものはモノハロアルキル、ヂハロアルキル及びポリハロアルキルラヂカルである。1の例として、モノハロアルキルラヂカルは上記ラヂカル内にヨード、ブロモ、クロロ又はフルオロ原子のいずれかを有しうる。ヂハロ及びポリハロアルキルラヂカルは2以上の同じハロ原子又は異なるハロラヂカルの組み合わせを有しうる。「低級ハロアルキル」は1〜6炭素原子を有するラヂカルである。ハロアルキルラヂカルの例はフルオロメチル、ヂフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ヂクロロメチル、トリクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ヂフルオロクロロメチル、ヂクロロフルオロメチル、ヂフルオロエチル、ヂフルオロプロピル、ヂクロロエチル及びヂクロロプロピルを含む。
【0035】
上記用語「ヘテロアリール」は不飽和ヘテロシクリルラヂカルである。「ヘテロアリール」ラヂカルとも呼ばれる不飽和ヘテロシクリルラヂカルの例は1〜4窒素原子を含む不飽和の3〜6員ヘテロモノ環状基、例えば、ピローリル、ピローリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリヂル、ピリミヂル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル(例えば、4H−1,2,4−トリアゾリル、1H−1,2,3−トリアゾリル、2H−1,2,3−トリアゾリル等)、テトラゾリル(例えば、1H−テトラゾリル、2H−テトラゾリル等)等;1〜5窒素原子を含む不飽和縮合ヘテロシクリル基、例えば、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロピリダジニル(例えば、テトラゾロ[1,5−b]ピリダジニル等)等;酸素原子を含む不飽和3〜6員ヘテロモノ環状基、例えば、ピラニル、フリール等;硫黄原子を含む不飽和3〜6員ヘテロモノ環状基、例えば、チエニル等;1〜2酸素原子及び1〜3窒素原子を含む不飽和3〜6員ヘテロモノ環状基、例えば、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサヂアゾリル(例えば、1,2,4−オキサヂアゾリル、1,3,4−オキサヂアゾリル、1,2,5−オキサヂアゾリル等)等;1〜2酸素原子及び1〜3窒素原子を含む不飽和縮合ヘテロシクリル基(例えば、ベンゾキサゾリル、ベンゾキサヂアゾリル等);1〜2硫黄原子及び1〜3窒素原子を含む不飽和3〜6員ヘテロモノ環状基、例えば、チアゾリル、チアヂアゾリル(例えば、1,2,4−チアヂアゾリル、1,3,4−チアヂアゾリル、1,2,5−チアヂアゾリル等)等;1〜2硫黄原子及び1〜3窒素原子を含む不飽和縮合ヘテロシクリル基(例えば、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアヂアゾリル等)等を含む。上記用語はまたヘテロシクリルラヂカルがアリールラヂカルと融合されるラヂカルをも含む。上記融合二環状ラヂカルの例はベンゾフラン、ベンゾチオフェン等を含む。前記「ヘテロシクリル基」はアルキル、ヒドロキシル、ハロ、アルコキシ、オキソ、アミノ及びアルキルアミノの如き1〜3の置換基を有しうる。
【0036】
上記用語「ヘテロシクリル」は飽和の、部分的に不飽和の及び不飽和のヘテロ原子を含む環形ラヂカルであり、ここで、上記へテロ原子は窒素、硫黄及び酸素から選ばれうる。飽和ヘテロシクリルラヂカルの例は1〜4窒素原子を含む飽和3〜6員ヘテロモノ環状基(例えば、ピローリヂニル、イミダゾリヂニル、ピペリヂノ、ピペラジニル等);1〜2酸素原子及び1〜3窒素原子を含む飽和3〜6員ヘテロモノ環状基(例えば、モルフォリニル等);1〜2硫黄原子及び1〜3窒素原子を含む飽和3〜6員ヘテロモノ環状基(例えば、チアゾリヂニル等)を含む。部分的に不飽和のヘテロシクリルラヂカルの例はヂヒドロチオフェン、ヂヒドロピラン、ヂヒドロフラン及びヂヒドロチアゾールを含む。
【0037】
上記用語「ヘテロシクリルアルキル」は、ピローリヂニルメチルの如き飽和の及び部分的に不飽和のヘテロシクリル−置換アルキルラヂカル、及びピリヂルメチル、キノリルメチル、チエニルメチル、フリールエチル、及びキノリルエチルの如きヘテロアリール−置換アルキルラヂカルである。前記ヘテロアラルキルにおけるヘテロアリールはハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル及びハロアルコキシでさらに置換されうる。
【0038】
上記用語「ヒドリド」は単一の水素原子(H)である。このヒドリドラヂカルは、例えば、酸素原子に結合され、ヒドロキシルラヂカルを形成しうる又は2のヒドリドラヂカルは炭素原子に結合され、メチレン(−CH2−)ラヂカルを形成しうる。
上記用語「ヒドロキシアルキル」はそのうちの1が1以上のヒドロキシルラヂカルで置換されうる1〜約10炭素原子を有する直鎖の又は有枝鎖のアルキルラヂカルである。より好ましいヒドロキシアルキルラヂカルは1〜6炭素原子及び1以上のヒドロキシルラヂカルを有する「低級ヒドロキシアルキル」ラヂカルである。上記ラヂカルの例はヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル及びヒドロキシヘキシルを含む。
【0039】
上記用語「医薬として許容される」は、修飾された名詞が医薬製品における使用のために適切であることを意味するよう本明細書中で形容詞的に使用される;すなわち、「医薬として許容される」物質は、必ずしもそれ自体区別できる治療利益を提供しないが、比較的安全及び/又は非毒性である。医薬として許容される陽イオンは金属イオン及び有機イオンを含む。より好ましい金属イオンは、非限定的に、適切なアルカリ金属塩、アルカリ土壌金属塩及び他の生理学的に許容される金属イオンを含む。例示的なイオンはそれらの通常の原子価のアルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛を含む。好ましい有機イオンは、一部には、トリメチルアミン、ヂエチルアミン、N,N’−ヂベンジルエチレンヂアミン、クロロプロカイン、コリン、ヂエタノールアミン、エチレンヂアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)及びプロカインを含む、プロトン化第三アミン及び第四アンモニウム陽イオンを含む。例示的な医薬として許容される酸は、非限定的に、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、メタンスルフォン酸、酢酸、蟻酸、酒石酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、イソクエン酸、琥珀酸、乳酸、グルコン酸、グルクロン酸、ピルヴィン酸、オキサロ酢酸、フマル酸、プロピオン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸等を含む。
【0040】
上記用語「プロドラッグ」は患者の体内で代謝又は単純化学プロセスにより治療用化合物に変換されうる化学化合物をいう。例えば、COX−2阻害剤のプロドラッグのクラスは本明細書中に援用する米国特許第5,932,598号中に示される。
【0041】
処置目的のための上記用語「患者」は虚血仲介中枢神経系障害又は損傷についての処置を必要とする又は虚血仲介中枢神経系障害又は損傷を発展する危険性のあるヒト又は動物患者を含む。上記患者は家畜種、研究動物種、動物園動物又はペット動物でありうる。1の態様において、上記患者は哺乳類である。他の態様において、上記哺乳類はヒトである。
【0042】
上記用語「スルフォニル」は、単独で使用されるか又はアルキルスルフォニルの如き他の用語に結合されて使用されるかどうかに関わらず、二価ラヂカル−SO2−である。「アルキルスルフォニル」はスルフォニルラヂカルに結合されるアルキルラヂカルであり、ここで、アルキルは上記に定義される。より好ましいアルキルスルフォニルラヂカルは1〜6炭素原子を有する「低級アルキルスルフォニル」ラヂカルである。上記低級アルキルスルフォニルラヂカルの例はメチルスルフォニル、エチルスルフォニル及びプロピルスルフォニルを含む。上記「アルキルスルフォニル」ラヂカルは、フルオロ、クロロ又はブロモの如き1以上のハロ原子でさらに置換され、ハロアルキルスルフォニルラヂカルを提供しうる。上記用語「スルファミル」、「アミノスルフォニル」及び「スルフォンアミヂル」はNH22S−である。
【0043】
上記句「治療的に有効な」は処置なしに対して障害の重篤さ及び発病頻度における改善の目標を達成するであろうシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤の量を限定するよう意図される。
【0044】
上記用語「血栓事件」又は「血栓塞栓事件」は、非限定的に、ステント及び移植血栓症を含む動脈血栓症、心臓血栓症、冠状動脈血栓症、心臓弁血栓症、肺血栓症及び静脈血栓症を含む。心臓血栓症は心臓における血栓症である。肺血栓症は肺における血栓症である。動脈血栓症は動脈における血栓症である。冠状動脈血栓症は冠状動脈における閉塞性血栓の発展であり、しばしば突然死又は心筋梗塞を引き起こす。静脈血栓症は静脈における血栓症である。心臓弁血栓症は心臓弁における血栓症である。ステント血栓症は血管ステントから生ずる及び/又はその付近に位置される血栓症である。移植血栓症は移植された移植片、詳細には血管移植片から生ずる及び/又はその付近に位置される血栓症である。本明細書中で使用される血栓事件は局所血栓事件及び体内のどこかで起こる遠位血栓事件(例えば、例えば塞栓卒中の如き血栓塞栓事件)の両方を含むと意味される。
【0045】
上記用語「治療する(処置する)」又は「治療(処置)」は、本明細書中で使用されるとき、中枢神経系損傷を有することが知られる患者への上記組み合わせ治療の投与を含む。他の局面において、それはまた臨床的に明らかな中枢神経系損傷全体の開始の予防又は中枢神経系損傷の前臨床的に明らかな段階の開始の予防のいずれかを含む。この定義は予防処置を含む。
【0046】
上記用語「血管閉塞事件」は血管、ステント又は血管移植片の(狭くなることを含む)部分的な閉塞又は完全な閉塞を含む。血管閉塞事件は血栓又は血栓塞栓事件、及びそれらが引き起こす血管閉塞障害又は状態を含むと意図する。したがって、血管閉塞事件は血栓又は血栓塞栓事件から部分的な又は全体的な脈管閉塞をもたらす全ての血管閉塞障害を含むと意図される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
好ましい態様の説明
本発明は低体温状態下での治療的に有効な量のCOX−2選択的阻害剤の患者への投与を含む組み合わせ治療を提供する。上記組み合わせ治療は卒中を含むいくつかの異なる虚血仲介中枢神経系状態を治療するために使用されうる。組み合わせ治療の一部として投与されるとき、低体温状態下で投与されるCOX−2選択的阻害剤はいずれかの治療単独の投与と比較して高められた治療選択を提供する。
【0048】
シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤
いくつかの好適なシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤又はその異性体、医薬として許容される塩、エステル又はプロドラッグは本発明に係る組成物において使用されうる。1の態様において、上記シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤は、例えば、シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤メロキシカムでありうる。
【化3】

【0049】
さらに他の態様において、上記シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤はシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤、6−[[5−(4−クロロベンゾイル)−1,4−ヂメチル−1H−ピロール−2−イル]メチル]−3(2H)−ピリダジノン、式B−2(CAS登録番号179382−91−3)である。
【化4】

【0050】
また他の態様において、上記シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤は置換されるベンゾピラン又は置換されるベンゾピランアナログ、及びさらにより典型的には、置換されるベンゾチオピラン、ヂヒドロキノリン、ヂヒドロナフタレンであるクロメン化合物又は以下に示される式Iを有する及び、例として及び非限定的に、表1中に開示される構造を有する化合物である。さらに、本発明に係る方法の実施において有用なベンゾピランシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤はそれらを全体として本明細書中に援用する米国特許第6,034,256号及び第6,077,850号中に示される。
【0051】
他の態様において、上記シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤は式I:
【化5】

{式中:
nは0、1、2、3又は4である整数である;
GはO、S又はNRaである;
aはアルキルである;
1はH又はアルキルである;
2はカルボキシル、低級アルキル、低級アラルキル、アミノカルボニル、アルキルスルフォニルアミノカルボニル又はアルコキシカルボニルである;
3はアルキルチオ、ニトロ及びアルキルスルフォニルから成る群から選ばれる1以上のラヂカルで場合により置換されるハロアルキル、アルキル、アラルキル、シクロアルキル又はアリールである;及び
それぞれのR4は独立にH、ハロ、アルキル、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アラルキルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールアルキルアミノ、ニトロ、アミノ、アミノスルフォニル、アルキルアミノスルフォニル、アリールアミノスルフォニル、ヘテロアリールアミノスルフォニル、アラルキルアミノスルフォニル、ヘテロアラルキルアミノスルフォニル、ヘテロシクロスルフォニル、アルキルスルフォニル、ヒドロキシアリールカルボニル、ニトロアリール、場合により置換されるアリール、場合により置換されるヘテロアリール、アラルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アリールカルボニル、アミノカルボニル又はアルキルカルボニルである;又はR4はそれが結合される炭素原子及び環Eの残余と共にナフチルラヂカルを形成する}
により示されるクロメン化合物である。
【0052】
上記シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤はまた式(I)の化合物でありうる、及びここで:
nは0、1、2、3又は4である整数である;
GはO、S又はNRaである;
aはアルキルである;
1はHである;
2はカルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルフォニルアミノカルボニル又はアルコキシカルボニルである;
3はアルキルチオ、ニトロ及びアルキルスルフォニルから成る群から選ばれる1以上のラヂカルで場合により置換されるハロアルキル、アルキル、アラルキル、シクロアルキル又はアリールである;及び
それぞれのR4は独立にヒドリド、ハロ、アルキル、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アラルキルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールアルキルアミノ、ニトロ、アミノ、アミノスルフォニル、アルキルアミノスルフォニル、アリールアミノスルフォニル、ヘテロアリールアミノスルフォニル、アラルキルアミノスルフォニル、ヘテロアラルキルアミノスルフォニル、ヘテロシクロスルフォニル、アルキルスルフォニル、場合により置換されるアリール、場合により置換されるヘテロアリール、アラルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アリールカルボニル、アミノカルボニル又はアルキルカルボニルである;又はここで、R4はそれが結合される炭素原子及び環Eの残余と共にナフチルラヂカルを形成する。
【0053】
さらなる態様において、上記シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤はまた式(I)の化合物でありうる、及びここで:
nは0、1、2、3又は4である整数である;
Gは酸素又は硫黄である;
1はHである;
2はカルボキシル、低級アルキル、低級アラルキル又は低級アルコキシカルボニルである;
3は低級ハロアルキル、低級シクロアルキル又はフェニルである;及び
それぞれのR4は独立にH、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルキル、低級ハロアルコキシ、低級アルキルアミノ、ニトロ、アミノ、アミノスルフォニル、低級アルキルアミノスルフォニル、5−員ヘテロアリールアルキルアミノスルフォニル、6−員ヘテロアリールアルキルアミノスルフォニル、低級アラルキルアミノスルフォニル、5−員の窒素を含むヘテロシクロスルフォニル、6−員の窒素を含むヘテロシクロスルフォニル、低級アルキルスルフォニル、場合により置換されるフェニル、低級アラルキルカルボニル又は低級アルキルカルボニルである;又はR4はそれが結合される炭素原子及び環Eの残余と共にナフチルラヂカルを形成する。
【0054】
上記シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤はまた式(I)の化合物でありうる、及びここで:
nは0、1、2、3又は4である整数である;
Gは酸素又は硫黄である;
1はHである;
2はカルボキシルである;
3は低級ハロアルキルである;及び
それぞれのR4は独立にH、ハロ、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級ハロアルコキシ、低級アルキルアミノ、アミノ、アミノスルフォニル、低級アルキルアミノスルフォニル、5−員ヘテロアリールアルキルアミノスルフォニル、6−員ヘテロアリールアルキルアミノスルフォニル、低級アラルキルアミノスルフォニル、低級アルキルスルフォニル、6−員の窒素を含むヘテロシクロスルフォニル、場合により置換されるフェニル、低級アラルキルカルボニル又は低級アルキルカルボニルである;又はここで、R4はそれが結合される炭素原子及び環Eの残余と共にナフチルラヂカルを形成する。
【0055】
上記シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤はまた式(I)の化合物でありうる、及びここで:
nは0、1、2、3又は4である整数である;
Gは酸素又は硫黄である;
1はHである;
2はカルボキシルである;
3はフルオロメチル、クロロメチル、ヂクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ヂフルオロエチル、ヂフルオロプロピル、ヂクロロエチル、ヂクロロプロピル、ヂフルオロメチル又はトリフルオロメチルである;及び
それぞれのR4は独立にH、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、メチル、エチル、イソプロピル、第三−ブチル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、第三ブチルオキシ、トリフルオロメチル、ヂフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、N,N−ヂメチルアミノ、N,N−ヂエチルアミノ、N−フェニルメチルアミノスルフォニル、N−フェニルエチルアミノスルフォニル、N−(2−フリールメチル)アミノスルフォニル、ニトロ、N,N−ヂメチルアミノスルフォニル、アミノスルフォニル、N−メチルアミノスルフォニル、N−エチルスルフォニル、2,2−ヂメチルエチルアミノスルフォニル、N,N−ヂメチルアミノスルフォニル、N−(2−メチルプロピル)アミノスルフォニル、N−モルフォリノスルフォニル、メチルスルフォニル、ベンジルカルボニル、2,2−ヂメチルプロピルカルボニル、フェニルアセチル又はフェニルである;又はここで、R4はそれが結合される炭素原子及び環Eの残余と共にナフチルラヂカルを形成する。
【0056】
上記シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤はまた式(I)の化合物でありうる、及びここで:
nは0、1、2、3又は4である整数である;
Gは酸素又は硫黄である;
1はHである;
2はカルボキシルである;
3はトリフルオロメチル又はペンタフルオロエチルである;及び
それぞれのR4は独立にH、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、メチル、エチル、イソプロピル、第三−ブチル、メトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、N−フェニルメチルアミノスルフォニル、N−フェニルエチルアミノスルフォニル、N−(2−フリールメチル)アミノスルフォニル、N,N−ヂメチルアミノスルフォニル、N−メチルアミノスルフォニル、N−(2,2−ヂメチルエチル)アミノスルフォニル、ヂメチルアミノスルフォニル、2−メチルプロピルアミノスルフォニル、N−モルフォリノスルフォニル、メチルスルフォニル、ベンジルカルボニル又はフェニルである;又はここで、R4はそれが結合される炭素原子及び環Eの残余と共にナフチルラヂカルを形成する。
【0057】
また他の態様において、本発明に係る方法(単数又は複数)に関連して使用されるシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤はまた式(I)の構造を有する化合物でありうる、及びここで:
nは4である;
GはO又はSである;
1はHである;
2はCO2Hである;
3は低級ハロアルキルである;
9に対応する第一のR4はヒドリド又はハロである;
10に対応する第二のR4はH、ハロ、低級アルキル、低級ハロアルコキシ、低級アルコキシ、低級アラルキルカルボニル、低級ヂアルキルアミノスルフォニル、低級アルキルアミノスルフォニル、低級アラルキルアミノスルフォニル、低級へテロアラルキルアミノスルフォニル、5−員の窒素を含むヘテロシクロスルフォニル又は6−員の窒素を含むヘテロシクロスルフォニルである;
11に対応する第三のR4はH、低級アルキル、ハロ、低級アルコキシ又はアリールである;及び
12に対応する第四のR4はH、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ又はアリールである;
ここで、式(I)は式(Ia):
【化6】

により示される。
【0058】
本発明に係る方法(単数又は複数)に関連して使用されるシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤はまた式(Ia)の構造を有する化合物でありうる、及びここで:
GはO又はSである;
3はトリフルオロメチル又はペンタフルオロエチルである;
9はH、クロロ又はフルオロである;
10はH、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、メチル、第三−ブチル、トリフルオロメトキシ、メトキシ、ベンジルカルボニル、ヂメチルアミノスルフォニル、イソプロピルアミノスルフォニル、メチルアミノスルフォニル、ベンジルアミノスルフォニル、フェニルエチルアミノスルフォニル、メチルプロピルアミノスルフォニル、メチルスルフォニル又はモルフォリノスルフォニルである;
11はH、メチル、エチル、イソプロピル、第三−ブチル、クロロ、メトキシ、ヂエチルアミノ又はフェニルである;及び
12はH、クロロ、ブロモ、フルオロ、メチル、エチル、第三−ブチル、メトキシ又はフェニルである。
【0059】
例示的なクロメンシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤の例は以下の表1中に示される。
【0060】
表1
態様としてのクロメンシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤の例
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

【0064】
さらなる態様において、上記シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤は式IIの一般構造:
【化7】

{式中:
Aは部分的に不飽和の又は不飽和のヘテロシクリル環又は部分的に不飽和の又は不飽和の炭素環状環である;
1はヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル又はアリールであり、ここで、R1はアルキル、ハロアルキル、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ニトロ、アルコキシアルキル、アルキルスルフィニル、ハロ、アルコキシ及びアルキルチオから選ばれる1以上のラヂカルで置換可能な位置で場合により置換される;
2はメチル又はアミノである;及び
3はH、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、オキソ、シアノ、カルボキシル、シアノアルキル、ヘテロシクリルオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、シクロアルキル、アリール、ハロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルケニル、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、アシル、アルキルチオアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アラルケニル、アルコキシアルキル、アリールチオアルキル、アリールオキシアルキル、アラルキルチオアルキル、アラルコキシアルキル、アルコキシアラルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アルキルアミノカルボニル、N−アリールアミノカルボニル、N−アルキル−N−アリールアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルアルキル、カルボキシアルキル、アルキルアミノ、N−アリールアミノ、N−アラルキルアミノ、N−アルキル−N−アラルキルアミノ、N−アルキル−N−アリールアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、N−アリールアミノアルキル、N−アラルキルアミノアルキル、N−アルキル−N−アラルキルアミノアルキル、N−アルキル−N−アリールアミノアルキル、アリールオキシ、アラルコキシ、アリールチオ、アラルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルフォニル、アミノスルフォニル、アルキルアミノスルフォニル、N−アリールアミノスルフォニル、アリールスルフォニル又はN−アルキル−N−アリールアミノスルフォニルである}
により示される三環状シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤のクラスから選ばれる。
【0065】
他の態様において、上記式IIにより示されるシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤はセレコキシブ(B−18;米国特許第5,466,823号;CAS番号169590−42−5)、ヴァルデコキシブ(B−19;米国特許第5,633,272号;CAS番号181695−72−7)、デラコキシブ(B−20;米国特許第5,521,207号;CAS番号169590−41−4)、ロフェコキシブ(B−21;CAS番号162011−90−7)、エトリコキシブ(MK−663;B−22;PCT公開公報WO 98/03484)、チルマコキシブ(JTE−522;B−23;CAS番号180200−68−4)、及びシミコキシブ(UR−8880;B23a;CAS番号265114−23−6)から成る、表2中に例示される化合物の群から選ばれる。
【0066】
表2
態様としての三環状シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤の例
【0067】
【表4】

【0068】
【表5】

【0069】
また他の態様において、上記シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤はセレコキシブ、ロフェコキシブ又はエトリコキシブである。
【0070】
また他の態様において、上記シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤は、三環状シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤ヴァルデコキシブ、B−19の治療的に有効なプロドラッグであるパレコキシブ(B−24;米国特許第5,932,598号、CAS番号198470−84−7)であり、シクロオキシゲナーゼ阻害剤の源として有益に使用されうる(本明細書中に援用する米国第5,932,598号)。
【化8】

【0071】
パレコキシブの1の形態はパレコキシブナトリウムである。
本発明の他の態様において、(本明細書中に援用する)国際公開公報番号WO 00/24719中に以前に示されている式B−25を有する化合物は有益に使用されうる他の三環状シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤である。
【化9】

【0072】
本発明に係る方法(単数又は複数)に関連して有用な他のシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤はB−26として以下に示される構造を有するN−(2−シクロヘキシルオキシニトロフェニル)−メタンスルフォンアミド(NS−398)である。
【化10】

【0073】
またさらなる態様において、本発明に係る方法(単数又は複数)に関連して使用されるシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤は式(III)の一般構造:
【化11】

{式中:
16はメチル又はエチルである;
17はクロロ又はフルオロである;
18は水素又はフルオロである;
19は水素、フルオロ、クロロ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ又はヒドロキシである;
20は水素又はフルオロである;及び
21はクロロ、フルオロ、トリフルオロメチル又はメチルであり、しかしながら、ここで、R16がエチルであり、及びR19がHであるときR17、R18、R20及びR21のそれぞれはフルオロでない}
により示されるフェニル酢酸誘導体シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤のクラスから選ばれうる。
【0074】
本発明に係る方法(単数又は複数)に関連して使用される他のフェニル酢酸誘導体シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤はCOX189(ルミラコキシブ;B−211)の名称を有する及び式(III)中に示される構造を有する化合物であり、ここで:
16はエチルである;
17及びR19はクロロである;
18及びR20は水素である;及び
21はメチルである。
【0075】
また他の態様において、上記シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤は式(IV):
【化12】

{式中:
XはO又はSである;
Jは炭素環又はヘテロ環である;
22はNHSO2CH3又はFである;
23はH、NO2又はFである;及び
24はH、NHSO2CH3又は(SO2CH3)C64である}
により示される。
【0076】
他の態様にしたがって、本発明に係る方法(単数又は複数)において使用されるシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤は構造式(V):
【化13】

{式中:
T及びMは独立にフェニル、ナフチル、5〜6員を含む及び1〜4のヘテロ原子を有するヘテロ環に由来するラヂカル又は3〜7炭素原子を有する飽和炭化水素環に由来するラヂカルである;
25、R26、R27、及びR28は独立に水素、ハロゲン、1〜6炭素原子を有する低級アルキルラヂカル、1〜6炭素原子を有する低級ハロアルキルラヂカル又はフェニル、ナフチル、チエニル、フリール及びピリヂルから成る群から選ばれる芳香族ラヂカルである;又は
25及びR26はそれらが結合される炭素原子と共に、カルボニル又は3〜7炭素原子を有する飽和炭化水素環を形成する;又は
27及びR28はそれらが結合される炭素原子と共に、カルボニル又は3〜7炭素原子を有する飽和炭化水素環を形成する;
1、Q2、L1又はL2は独立に水素、ハロゲン、1〜6炭素原子を有する低級アルキル、トリフルオロメチル、1〜6炭素原子を有する低級メトキシ、アルキルスルフィニル又はアルキルスルフォニルである;及びQ1、Q2、L1又はL2のうちの少なくとも1はパラ位であり、及びnが0、1又は2であり及びRが1〜6炭素原子を有する低級アルキルラヂカル又は1〜6炭素原子を有する低級ハロアルキルラヂカルである−S(O)n−R又は−SO2NH2である;又はQ1及びQ2は共にメチレンヂオキシを形成する;又はL1及びL2は共にメチレンヂオキシを形成する}
を有する。
【0077】
他の態様において、式(V)の構造を有する化合物N−(2−シクロヘキシルオキシニトロフェニル)メタンスルフォンアミド、及び(E)−4−[(4−メチルフェニル)(テトラヒドロ−2−オキソ−3−フラニリデン)メチル]ベンゼンスルフォンアミドはシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤として使用される。
【0078】
さらなる態様において、その構造が以下の表3中に示される、本発明に係る方法(単数又は複数)に関連して使用されるシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤に有用な化合物は、非限定的に:
6−クロロ−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−27);
6−クロロ−7−メチル−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−28);
8−(1−メチルエチル)−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−29);
6−クロロ−8−(1−メチルエチル)−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−30);
2−トリフルオロメチル−3H−ナフト[2,1−b]ピラン−3−カルボン酸(B−31);
7−(1,1−ヂメチルエチル)−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−32);
6−ブロモ−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−33);
【0079】
8−クロロ−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−34);
6−トリフルオロメトキシ−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−35);
5,7−ヂクロロ−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−36);
8−フェニル−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−37);
7,8−ヂメチル−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−38);
6,8−ビス(ヂメチルエチル)−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−39);
7−(1−メチルエチル)−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−40);
7−フェニル−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−41);
6−クロロ−7−エチル−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−42);
6−クロロ−8−エチル−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−43);
6−クロロ−7−フェニル−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−44);
【0080】
6,7−ヂクロロ−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−45);
6,8−ヂクロロ−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−46);
6−クロロ−8−メチル−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−47);
8−クロロ−6−メチル−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−48);
8−クロロ−6−メトキシ−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−49);
6−ブロモ−8−クロロ−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−50);
8−ブロモ−6−フルオロ−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−51);
8−ブロモ−6−メチル−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−52);
8−ブロモ−5−フルオロ−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−53);
6−クロロ−8−フルオロ−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−54);
6−ブロモ−8−メトキシ−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−55);
6−[[(フェニルメチル)アミノ]スルフォニル]−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−56);
【0081】
6−[(ヂメチルアミノ)スルフォニル]−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−57);
6−[(メチルアミノ)スルフォニル]−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−58);
6−[(4−モルフォリノ)スルフォニル]−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−59);
6−[(1,1−ヂメチルエチル)アミノスルフォニル]−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−60);
6−[(2−メチルプロピル)アミノスルフォニル]−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−61);
6−メチルスルフォニル−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−62);
8−クロロ−6−[[(フェニルメチル)アミノ]スルフォニル]−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−63);
6−フェニルアセチル−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−64);
6,8−ヂブロモ−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−65);
8−クロロ−5,6−ヂメチル−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−66);
6,8−ヂクロロ−(S)−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−67);
6−ベンジルスルフォニル−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−68);
【0082】
6−[[N−(2−フリールメチル)アミノ]スルフォニル]−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−69);
6−[[N−(2−フェニルエチル)アミノ]スルフォニル]−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−70);
6−ヨード−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−71);
7−(1,1−ヂメチルエチル)−2−ペンタフルオロエチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−72);
6−クロロ−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾチオピラン−3−カルボン酸(B−73);
3−[(3−クロロ−フェニル)−(4−メタンスルフォニル−フェニル)−メチレン]−ヂヒドロ−フラン−2−オン(B−74);
8−アセチル−3−(4−フルオロフェニル)−2−(4−メチルスルフォニル)フェニル−イミダゾ(1,2−a)ピリヂン(B−75);
5,5−ヂメチル−4−(4−メチルスルフォニル)フェニル−3−フェニル−2−(5H)−フラノン(B−76);
5−(4−フルオロフェニル)−1−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−3−(トリフルオロメチル)ピラゾール(B−77);
4−(4−フルオロフェニル)−5−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−1−フェニル−3−(トリフルオロメチル)ピラゾール(B−78);
4−(5−(4−クロロフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゼンスルフォンアミド(B−79);
4−(3,5−ビス(4−メチルフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゼンスルフォンアミド(B−80);
4−(5−(4−クロロフェニル)−3−フェニル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゼンスルフォンアミド(B−81);
【0083】
4−(3,5−ビス(4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゼンスルフォンアミド(B−82);
4−(5−(4−クロロフェニル)−3−(4−メチルフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゼンスルフォンアミド(B−83);
4−(5−(4−クロロフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゼンスルフォンアミド(B−84);
4−(5−(4−クロロフェニル)−3−(5−クロロ−2−チエニル)−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゼンスルフォンアミド(B−85);
4−(4−クロロ−3,5−ヂフェニル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゼンスルフォンアミド(B−86);
4−[5−(4−クロロフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−87);
4−[5−フェニル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−88);
4−[5−(4−フルオロフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−89);
4−[5−(4−メトキシフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−90);
4−[5−(4−クロロフェニル)−3−(ヂフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−91);
4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−92);
4−[4−クロロ−5−(4−クロロフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−93);
4−[3−(ヂフルオロメチル)−5−(4−メチルフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−94);
【0084】
4−[3−(ヂフルオロメチル)−5−フェニル−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−95);
4−[3−(ヂフルオロメチル)−5−(4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−96);
4−[3−シアノ−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−97);
4−[3−(ヂフルオロメチル)−5−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−98);
4−[5−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−99);
4−[4−クロロ−5−フェニル−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−100);
4−[5−(4−クロロフェニル)−3−(ヒドロキシメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−101);
4−[5−(4−(N,N−ヂメチルアミノ)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−102);
5−(4−フルオロフェニル)−6−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]スピロ[2.4]ヘプト−5−エン(B−103);
4−[6−(4−フルオロフェニル)スピロ[2.4]ヘプト−5−エン−5−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−104);
6−(4−フルオロフェニル)−7−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]スピロ[3.4]オクト−6−エン(B−105);
5−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)−6−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]スピロ[2.4]ヘプト−5−エン(B−106);
【0085】
4−[6−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)スピロ[2.4]ヘプト−5−エン−5−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−107);
5−(3,5−ヂクロロ−4−メトキシフェニル)−6−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]スピロ[2.4]ヘプト−5−エン(B−108);
5−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]スピロ[2.4]ヘプト−5−エン(B−109);
4−[6−(3,4−ヂクロロフェニル)スピロ[2.4]ヘプト−5−エン−5−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−110);
2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−(4−フルオロフェニル)−5−(4−メチルスルフォニルフェニル)チアゾール(B−111);
2−(2−クロロフェニル)−4−(4−フルオロフェニル)−5−(4−メチルスルフォニルフェニル)チアゾール(B−112);
5−(4−フルオロフェニル)−4−(4−メチルスルフォニルフェニル)−2−メチルチアゾール(B−113);
4−(4−フルオロフェニル)−5−(4−メチルスルフォニルフェニル)−2−トリフルオロメチルチアゾール(B−114);
4−(4−フロオロフェニル)−5−(4−メチルスルフォニルフェニル)−2−(2−チエニル)チアゾール(B−115);
4−(4−フロオロフェニル)−5−(4−メチルスルフォニルフェニル)−2−ベンジルアミノチアゾール(B−116);
4−(4−フロオロフェニル)−5−(4−メチルスルフォニルフェニル)−2−(1−プロピルアミノ)チアゾール(B−117);
2−[(3,5−ヂクロロフェノキシ)メチル]−4−(4−フルオロフェニル)−5−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]チアゾール(B−118);
5−(4−フルオロフェニル)−4−(4−メチルスルフォニルフェニル)−2−トリフルオロメチルチアゾール(B−119);
【0086】
1−メチルスルフォニル−4−[1,1−ヂメチル−4−(4−フルオロフェニル)シクロペンタ−2,4−ヂエン−3−イル]ベンゼン(B−120);
4−[4−(4−フルオロフェニル)−1,1−ヂメチルシクロペンタ−2,4−ヂエン−3−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−121);
5−(4−フルオロフェニル)−6−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]スピロ[2.4]ヘプタ−4,6−ヂエン(B−122);
4−[6−(4−フルオロフェニル)スピロ[2.4]ヘプタ−4,6−ヂエン−5−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−123);
6−(4−フルオロフェニル)−2−メトキシ−5−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−ピリヂン−3−カルボニトリル(B−124);
2−ブロモ−6−(4−フルオロフェニル)−5−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−ピリヂン−3−カルボニトリル(B−125);
6−(4−フルオロフェニル)−5−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−2−フェニル−ピリヂン−3−カルボニトリル(B−126);
4−[2−(4−メチルピリヂン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−127);
4−[2−(5−メチルピリヂン−3−イル)−4−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−128);
4−[2−(2−メチルピリヂン−3−イル)−4−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−129);
3−[1−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−4−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール−2−イル]ピリヂン(B−130);
2−[1−[4−(メチルスルフォニル)フェニル−4−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール−2−イル]ピリヂン(B−131);
2−メチル−4−[1−[4−(メチルスルフォニル)フェニル−4−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール−2−イル]ピリヂン(B−132);
【0087】
2−メチル−6−[1−[4−(メチルスルフォニル)フェニル−4−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール−2−イル]ピリヂン(B−133);
4−[2−(6−メチルピリヂン−3−イル)−4−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−134);
2−(3,4−ヂフルオロフェニル)−1−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−4−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール(B−135);
4−[2−(4−メチルフェニル)−4−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−136);
2−(4−クロロフェニル)−1−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−4−メチル−1H−イミダゾール(B−137);
2−(4−クロロフェニル)−1−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−4−フェニル−1H−イミダゾール(B−138);
2−(4−クロロフェニル)−4−(4−フルオロフェニル)−1−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−1H−イミダゾール(B−139);
2−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−1−[4−(メチルスルフォニル)フェニル−4−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール(B−140);
1−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−2−フェニル−4−トリフルオロメチル−1H−イミダゾール(B−141);
2−(4−メチルフェニル)−1−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−4−トリフルオロメチル−1H−イミダゾール(B−142);
4−[2−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−4−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−143);
2−(3−フルオロ−5−メチルフェニル)−1−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−4−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール(B−144);
【0088】
4−[2−(3−フルオロ−5−メチルフェニル)−4−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−145);
2−(3−メチルフェニル)−1−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−4−トリフルオロメチル−1H−イミダゾール(B−146);
4−[2−(3−メチルフェニル)−4−トリフルオロメチル−1H−イミダゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−147);
1−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−2−(3−クロロフェニル)−4−トリフルオロメチル−1H−イミダゾール(B−148);
4−[2−(3−クロロフェニル)−4−トリフルオロメチル−1H−イミダゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−149);
4−[2−フェニル−4−トリフルオロメチル−1H−イミダゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−150);
4−[2−(4−メトキシ−3−クロロフェニル)−4−トリフルオロメチル−1H−イミダゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−151);
1−アリル−4−(4−フルオロフェニル)−3−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール(B−152);
4−[1−エチル−4−(4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−153);
N−フェニル−[4−(4−フルオロフェニル)−3−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセトアミド(B−154);
エチル[4−(4−フルオロフェニル)−3−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]酢酸塩(B−155);
4−(4−フルオロフェニル)−3−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−1−(2−フェニルエチル)−1H−ピラゾール(B−156);
【0089】
4−(4−フルオロフェニル)−3−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−1−(2−フェニルエチル)−5−(トリフルオロメチル)ピラゾール(B−157);
1−エチル−4−(4−フルオロフェニル)−3−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール(B−158);
5−(4−フルオロフェニル)−4−(4−メチルスルフォニルフェニル)−2−トリフルオロメチル−1H−イミダゾール(B−159);
4−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−5−(2−チオフェニル)−2−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール(B−160);
5−(4−フロオロフェニル)−2−メトキシ−4−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−6−(トリフルオロメチル)ピリヂン(B−161);
2−エトキシ−5−(4−フルオロフェニル)−4−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−6−(トリフルオロメチル)ピリヂン(B−162);
5−(4−フルオロフェニル)−4−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−2−(2−プロピニルオキシ)−6−(トリフルオロメチル)ピリヂン(B−163);
2−ブロモ−5−(4−フルオロフェニル)−4−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−6−(トリフルオロメチル)ピリヂン(B−164);
4−[2−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)−4,5−ヂフルオロフェニル]ベンゼンスルフォンアミド(B−165);
1−(4−フルオロフェニル)−2−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]ベンゼン(B−166);
5−ヂフルオロメチル−4−(4−メチルスルフォニルフェニル)−3−フェニルイソキサゾール(B−167);
4−[3−エチル−5−フェニルイソキサゾール−4−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−168);
【0090】
4−[5−ヂフルオロメチル−3−フェニルイソキサゾール−4−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−169);
4−[5−ヒドロキシメチル−3−フェニルイソキサゾール−4−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−170);
4−[5−メチル−3−フェニル−イソキサゾール−4−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−171);
1−[2−(4−フルオロフェニル)シクロペンテン−1−イル]−4−(メチルスルフォニル)ベンゼン(B−172);
1−[2−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)シクロペンテン−1−イル]−4−(メチルスルフォニル)ベンゼン(B−173);
1−[2−(4−クロロフェニル)シクロペンテン−1−イル]−4−(メチルスルフォニル)ベンゼン(B−174);
1−[2−(2,4−ヂクロロフェニル)シクロペンテン−1−イル]−4−(メチルスルフォニル)ベンゼン(B−175);
1−[2−(4−トリフルオロメチルフェニル)シクロペンテン−1−イル]−4−(メチルスルフォニル)ベンゼン(B−176);
1−[2−(4−メチルチオフェニル)シクロペンテン−1−イル]−4−(メチルスルフォニル)ベンゼン(B−177);
1−[2−(4−フルオロフェニル)−4,4−ヂメチルシクロペンテン−1−イル]−4−(メチルスルフォニル)ベンゼン(B−178);
4−[2−(4−フルオロフェニル)−4,4−ヂメチルシクロペンテン−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−179);
1−[2−(4−クロロフェニル)−4,4−ヂメチルシクロペンテン−1−イル]−4−(メチルスルフォニル)ベンゼン(B−180);
4−[2−(4−クロロフェニル)−4,4−ヂメチルシクロペンテン−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−181);
【0091】
4−[2−(4−フルオロフェニル)シクロペンテン−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−182);
4−[2−(4−クロロフェニル)シクロペンテン−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−183);
1−[2−(4−メトキシフェニル)シクロペンテン−1−イル]−4−(メチルスルフォニル)ベンゼン(B−184);
1−[2−(2,3−ヂフルオロフェニル)シクロペンテン−1−イル]−4−(メチルスルフォニル)ベンゼン(B−185);
4−[2−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)シクロペンテン−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−186);
1−[2−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)シクロペンテン−1−イル]−4−(メチルスルフォニル)ベンゼン(B−187);
4−[2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)シクロペンテン−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−188);
4−[2−(2−メチルピリヂン−5−イル)シクロペンテン−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−189);
エチル2−[4−(4−フルオロフェニル)−5−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]オキサゾール−2−イル]−2−ベンジル−酢酸塩(B−190);
2−[4−(4−フルオロフェニル)−5−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]オキサゾール−2−イル]酢酸(B−191);
2−(第三−ブチル)−4−(4−フルオロフェニル)−5−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]オキサゾール(B−192);
4−(4−フルオロフェニル)−5−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−2−フェニルオキサゾール(B−193);
4−(4−フルオロフェニル)−2−メチル−5−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]オキサゾール(B−194);
【0092】
4−[5−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−2−トリフルオロメチル−4−オキサゾリル]ベンゼンスルフォンアミド(B−195);
6−クロロ−7−(1,1−ヂメチルエチル)−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−196);
6−クロロ−8−メチル−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸(B−197);
5,5−ヂメチル−3−(3−フルオロフェニル)−4−メチルスルフォニル−2(5H)−フラノン(B−198);
6−クロロ−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾチオピラン−3−カルボン酸(B−199);
4−[5−(4−クロロフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−200);
4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−201);
4−[5−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−3−(ヂフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−202);
3−[1−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−4−トリフルオロメチル−1H−イミダゾール−2−イル]ピリヂン(B−203);
2−メチル−5−[1−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−4−トリフルオロメチル−1H−イミダゾール−2−イル]ピリヂン(B−204);
4−[2−(5−メチルピリヂン−3−イル)−4−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−205);
4−[5−メチル−3−フェニルイソキサゾール−4−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−206);
4−[5−ヒドロキシメチル−3−フェニルイソキサゾール−4−イル]ベンゼンスルフォンアミド(B−207);
【0093】
[2−トリフルオロメチル−5−(3,4−ヂフルオロフェニル)−4−オキサゾリル]ベンゼンスルフォンアミド(B−208);
4−[2−メチル−4−フェニル−5−オキサゾリル]ベンゼンスルフォンアミド(B−209);
4−[5−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)−2−トリフルオロメチル−4−オキサゾリル]ベンゼンスルフォンアミド(B−210);
[2−(2−クロロ−6−フルオロ−フェニルアミノ)−5−メチル−フェニル]酢酸又はCOX189(ルミラコキシブ;B−211);
N−(4−ニトロ−2−フェノキシ−フェニル)メタンスルフォンアミド又はニメスリド(B−212);
N−[6−(2,4−ヂフルオロ−フェノキシ)−1−オキソ−インダン−5−イル]メタンスルフォンアミド又はフロスリド(B−213);
N−[6−(2,4−ヂフルオロ−フェニルスルファニル)−1−オキソ−1H−インデン−5−イル]メタンスルフォンアミドナトリウム塩(B−214);
N−[5−(4−フルオロ−フェニルスルファニル)−チオフェン−2−イル]−メタンスルフォンアミド(B−215);
3−(3,4−ヂフルオロ−フェノキシ)−4−(4−メタンスルフォニル−フェニル)−5−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−5H−フラン−2−オン(B−216);
(5Z)−2−アミノ−5−[[3,5−ビス(1,1−ヂメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチレン]−4(5H)−チアゾロン(B−217);
CS−502(B−218);
LAS−34475(B−219);
LAS−34555(B−220);
S−33516(B−211);
【0094】
SD−8381(B−222);
L−783003(B−223);
N−[3−(フォルミルアミノ)−4−オキソ−6−フェノキシ−4H−1−ベンゾピラン−7−イル]メタンスルフォンアミド(B−224);
D−1367(B−225);
L−748731(B−226);
(6aR,10aR)−3−(1,1−ヂメチルヘプチル)−6a,7,10,10a−テトラヒドロ−1−ヒドロキシ−6,6−ヂメチル−6H−ヂベンゾ[b,d]ピラン−9−カルボン酸(B−227);
CGP−28238(B−228);
4−[[3,5−ビス(1,1−ヂメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチレン]ヂヒドロ−2−メチル−2H−1,2−オキサジン−3(4H)−オン(B−229);
GR−253035(B−230);
6−ヂオキソ−9H−プリン−8−イル−桂皮酸(B−231);
S−2474(B−232);
4−[4−(メチル)スルフォニル)フェニル]−3−フェニル−2(5H)−フラノン;
4−(5−メチル−3−フェニル−4−イソキサゾリル);
2−(6−メチルピリド−3−イル)−3−(4−メチルスルフォニルフェニル)−5−クロロピリヂン;
【0095】
4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル];
N−[[4−(5−メチル−3−フェニル−4−イソキサゾリル)フェニル]スルフォニル];
4−[5−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−3−ヂフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルフォンアミド;
(S)−6,8−ヂクロロ−2−(トリフルオロメチル)−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸;
2−(3,4−ヂフルオロフェニル)−4−(3−ヒドロキシ−3−メチルブトキシ)−5−[4−(メチルスルフォニル)フェニル]−3(2H)−ピリダジノン;
2−トリフルオロメチル−3H−ナフト[2,1−b]ピラン−3−カルボン酸;
6−クロロ−7−(1,1−ヂメチルエチル)−2−トリフルオロメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸;及び
[2−(2,4−ヂクロロ−6−エチル−3,5−ヂメチル−フェニルアミノ)−5−プロピル−フェニル]酢酸
を含む。
【0096】
表3
態様としてのシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤の例
【0097】
【表6】

【0098】
【表7】

【0099】
【表8】

【0100】
【表9】

【0101】
【表10】

【0102】
【表11】

【0103】
【表12】

【0104】
【表13】

【0105】
【表14】

【0106】
【表15】

【0107】
【表16】

【0108】
【表17】

【0109】
【表18】

【0110】
【表19】

【0111】
【表20】

【0112】
【表21】

【0113】
【表22】

【0114】
【表23】

【0115】
【表24】

【0116】
【表25】

【0117】
【表26】

【0118】
【表27】

【0119】
【表28】

【0120】
【表29】

【0121】
【表30】

【0122】
【表31】

【0123】
【表32】

【0124】
【表33】

【0125】
【表34】

【0126】
【表35】

【0127】
【表36】

【0128】
【表37】

【0129】
【表38】

【0130】
【表39】

【0131】
【表40】

【0132】
【表41】

【0133】
【表42】

【0134】
【表43】

【0135】
【表44】

【0136】
【表45】

【0137】
【表46】

【0138】
【表47】

【0139】
【表48】

【0140】
【表49】

【0141】
【表50】

【0142】
【表51】

【0143】
【表52】

【0144】
【表53】

【0145】
【表54】

【0146】
【表55】

【0147】
【表56】

【0148】
【表57】

【0149】
【表58】

【0150】
【表59】

【0151】
【表60】

【0152】
【表61】

【0153】
【表62】

【0154】
【表63】

【0155】
【表64】

【0156】
【表65】

【0157】
【表66】

【0158】
【表67】

【0159】
【表68】

【0160】
【表69】

【0161】
【表70】

【0162】
【表71】

【0163】
本発明において使用されるシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤は互変異性、幾何異性又は立体異性形で存在しうる。一般的に述べると、互変異性、幾何異性又は立体異性形の好適なシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤は100μM以下の濃度で存在するとき約25%、より典型的には約50%、及びさらにより典型的には約75%以上シクロオキシゲナーゼ−2活性を阻害する化合物である。本発明はシス−及びトランス−幾何異性体、E−及びZ−幾何異性体、R−及びS−エナンチオマー、ヂアステレオマー、d−異性体、l−異性体、それらのラセミ混合物及びそれらの他の混合物を含む全ての上記化合物を企図する。上記互変異性、幾何異性又は立体異性形の医薬として許容される塩もまた本発明に含まれる。上記用語「シス」及び「トランス」は、本明細書中で使用されるとき、二重結合により結合される2の炭素原子が上記二重結合の同じ側上に(「シス」)又は上記二重結合の反対側上に(「トランス」)水素原子をそれぞれ有するであろう、幾何異性の形態をいう。示される化合物のいくつかはアルケニル基を含み、及びシス及びトランス又は「E」及び「Z」幾何異性形の両方を含むことが意味される。さらに、示される化合物のいくつかは1以上の立体中心を含み、及びR、S、及び混合物又は存在するそれぞれの立体中心についてのR及びS形を含むことが意味される。
【0164】
本発明において利用されるシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤は遊離塩基又はその医薬として許容される酸添加塩の形態で存在しうる。上記用語「医薬として許容される塩」はアルカリ金属塩を形成するために及び遊離酸又は遊離塩基の添加塩を形成するために通常使用される塩である。上記塩の性質は、それが医薬として許容されるものであるという条件で、変化しうる。本発明に係る方法における使用のために好適な化合物の医薬として許容される酸添加塩は無機酸から又は有機酸から調製されうる。上記無機酸の例は塩酸、臭化水素酸、ヨー化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸及びリン酸である。適切な有機酸は脂肪族、環状脂肪族、芳香族、アル脂肪族、ヘテロ環状、有機酸のカルボン酸及びスルフォン酸クラスから選ばれうる、及びその例は蟻酸、酢酸、プロピオン酸、琥珀酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルヴィン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルフォン酸、エタンスルフォン酸、ベンゼンスルフォン酸、パントテン酸、2−ヒドロキシエタンスルフォン酸、トルエンスルフォン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルフォン酸、ステアリン酸、アルゲン酸、ヒドロキシブチル酸、サリチル酸、ガラクタル酸及びガラクツロン酸である。本発明に係る方法における使用に好適な化合物の医薬として許容される塩基添加塩はアルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛から作出される金属塩又はN,N’−ヂベンジルエチレンヂアミン、クロロプロカイン、コリン、ヂエタノールアミン、エチレンヂアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)及びプロカインから作出される有機塩を含む。これらの塩の全ては、例えば、適切な酸又は塩基を本明細書中に示されるいずれかの式の化合物と反応させることにより対応する化合物から慣用の方法により調製されうる。
【0165】
本発明に係るシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤は医薬組成物に調合され、及び治療的に有効な用量をデリバリーするであろういくつかの異なる方法により投与されうる。上記組成物は所望のように慣用の非毒性の医薬として許容される担体、補助剤、及び媒体を含む投与量単位調剤で、経口で、非経口で、吸入スプレイにより、皮内に、経皮で又は局所に投与されうる。局所投与はまた経皮パッチ又はイオン導入装置の如き経皮投与の使用をも含みうる。本明細書中で使用されるとき上記用語非経口は皮下、静脈内、筋内又は胸骨内注入又は注入技術を含む。薬物の調合は、例えば、Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania (1975)、及びLiberman, H. A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N. Y.(1980)中で議論される。
【0166】
注入可能調製物、例えば、滅菌注入可能水性又は油性懸濁物は好適な分散又は浸潤剤及び懸濁剤を用いて既知の分野にしたがって調合されうる。上記滅菌注入可能調製物はまた非毒性の非経口で許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌注入可能溶液又は懸濁物でありうる。使用されうる許容可能な媒体及び溶媒には水、Ringer’s溶液、及び等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌不揮発性油は溶媒又は懸濁媒体として慣用のように使用される。この目的のために、合成モノ−又はヂグリセリドを含む、いかなるマイルドな不揮発性油も使用されうる。さらに、オレイン酸の如き脂肪酸は注入可能物の調製において有用である。ヂメチルアセトアミド、イオン性及び非イオン性洗剤を含む界面活性剤、及びポリエチレングリコールは使用されうる。上記に議論されるものの如き溶媒及び浸潤剤の混合物もまた有用である。
【0167】
本明細書中で議論される化合物の直腸投与のための坐剤は上記活性剤を、通常の温度では固体であるが、直腸温度では液体であり、及びそれゆえ直腸内で融解し、及び上記薬物を放出するであろうココアバター、合成モノ−、ヂ−又はトリグリセリド、脂肪酸又はポリエチレングリコールの如き好適な非刺激性賦形剤と混合することにより調製されうる。
【0168】
経口投与のための固体投与形態はカプセル、錠剤、ピル、粉末、及び顆粒を含みうる。上記固体投与形態において、上記化合物は示される投与経路に適切な1以上の補助剤と通常混合される。経口的に投与される場合、上記化合物はラクトース、スクロース、デンプン粉末、アルカン酸のセルロースエステル、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸及び硫酸のナトリウム及びカルシウム塩、ゼラチン、アカシアゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリヴィニルピローリドン、及び/又はポリヴィニルアルコールと混合され、及びその後便利な投与のために錠剤化され又はカプセル化されうる。上記カプセル又は錠剤はヒドロキシプロピルメチルセルロース中の活性化合物の分散物で提供されうる制御された放出調剤を含みうる。カプセル、錠剤、及びピルの場合、上記投与形態はまたクエン酸ナトリウム又は炭酸若しくは重炭酸マグネシウム若しくはカルシウムの如き緩衝剤をも含みうる。錠剤及びピルは腸溶性コーティングでさらに調製されうる。
【0169】
治療目的のために、非経口投与のための調剤は水性又は非水性等張滅菌注入溶液又は懸濁物の形態でありうる。これらの溶液及び懸濁物は経口投与のための調剤における使用について挙げられる1以上の担体又は希釈剤を有する滅菌粉末又は顆粒から調製されうる。上記化合物は水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、トウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、及び/又はさまざまな緩衝液中に溶解されうる。他の補助剤及び投与様式は医薬分野においてよく及び広く知られる。
【0170】
経口投与のための液体投与形態は水の如き本分野において通常使用される不活性希釈剤を含む、医薬として許容されるエマルジョン、溶液、懸濁物、シロップ、及びエリキシル剤を含みうる。上記組成物はまた浸潤剤、乳化及び懸濁剤、及び甘味、香味、及び香剤の如き補助剤をも含みうる。
【0171】
上記シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤の単一の投与量を作出するために担体物質と混合されうる活性成分の量は患者及び特定の投与様式に因り変化するであろう。一般的に、上記医薬組成物は約0.1〜2000mgの範囲内の、より典型的には約0.5〜約500mgの範囲内の、及びさらにより典型的には約1〜200mgのシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤を含みうる。約0.01〜100mg/体重kgの又はより典型的には約0.1〜約50mg/体重kgの及びさらにより典型的には約1〜20mg/体重kgの毎日の用量は適切でありうる。上記毎日の用量は一般的に1日当たり1〜約4用量で投与される。
【0172】
1の態様において、上記シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤がロフェコキシブを含むとき、使用される量が約0.15〜約1.0mg/日・kg、及びさらにより典型的には約0.18〜約0.4mg/日・kgの範囲内であることは典型的である。
また他の態様において、上記シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤がエトリコキシブを含むとき、使用される量が約0.5〜約5mg/日・kg、及びさらにより典型的には約0.8〜約4mg/日・kgの範囲内であることは典型的である。
【0173】
さらに、上記シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤がセレコキシブを含むとき、使用される量が約1〜約20mg/日・kg、さらにより典型的には約1.4〜約8.6mg/日・kg、及びさらにより典型的には約2〜約3mg/日・kgの範囲内であることは典型的である。
【0174】
上記シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤がヴァルデコキシブを含むとき、使用される量が約0.1〜約5mg/日・kg、及びさらにより典型的には約0.8〜約4mg/日・kgの範囲内であることは典型的である。
【0175】
さらなる態様において、上記シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤がパレコキシブを含むとき、使用される量が約0.1〜約5mg/日・kg、及びさらにより典型的には約1〜約3mg/日・kgの範囲内であることは典型的である。
【0176】
当業者は、投与量はまたGoodman & Goldman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, Ninth Edition (1996), Appendix II, pp.1707−1711からの及びGoodman & Goldman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, Tenth Edition (2001), Appendix II, pp.475−493からのガイダンスで決定されうることを理解するであろう。
【0177】
低体温状態
シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤を含む組成物を投与することに加えて、本発明の1の局面はまた本分野において一般的に知られる好適な方法により患者に低体温状態を適用することをも含む。この様式において、中枢神経系は虚血の結果としての梗塞から脳又は脊髄組織を保護するために冷却される。一般的に述べると、低体温は患者における通常より低い体温状態、すなわち、患者の体温における減少又は体温の低下である。例として、患者がヒトであるとき、通常の体温は約37℃である。技術的には、ヒトが37℃より低い体温を有するとき、低体温状態が存在する。しかしながら本分野において周知のように、低体温は一般的に核体温減少の程度に基づいた値に分類される。軽い低体温において、ヒト患者の核体温は約32℃超である。核体温が約28〜約32℃であるとき、ヒト患者における中程度の低体温が存在する。重篤な低体温において、ヒト患者の核体温は約20〜約28℃である。患者が約20℃未満の核体温を有するとき、ヒト患者における根深い低体温が存在する。
【0178】
典型的に、本発明のほとんどの態様において、ヒト患者は約28〜約36℃の温度を有する軽い〜中程度の低体温を経験するであろう。この態様の1の代替において、ヒト患者の温度は約31〜約35℃であろう。この態様のまた他の代替において、ヒト患者の温度は約31.5〜約34.5℃であろう。この態様のまたさらなる代替において、ヒト患者の温度は約32〜約33℃であろう。
【0179】
本発明は体全体の低体温又は体の一部の低体温のいずれかの使用を含む。体全体の低体温が使用されるとき、患者の核体温は本分野において一般的に知られる又は本明細書中にさらに示される方法を介してモニターされ及び所望の温度に維持されうる。体の一部の低体温が使用されるとき、脳又は脊髄の温度は本分野において一般的に知られる又は本明細書中にさらに示される方法を介してモニターされ及び所望の温度に維持されうる。体全体の低体温又は体の一部の低体温のいずれかと同時に、患者は低体温のための震え又は不快を避ける又は減少させるために麻酔されうる又は薬物又は他の治療を受けうる。低体温処置の間の震え又は不快を最小にするために投与されうる薬物の例は、それを全体として本明細書中に援用するPCT国際出願第PCT/US00/20321中に示される。震えを避けるために使用される特定の薬物はメペリヂン、ブスピロム、デクスメデトミヂン及びそれらの組み合わせを含みうる。代替において、抗震え薬を投与することが望ましくない場合、患者の体温は典型的に約35〜約35.5℃である、正常体温未満であるが、震えの閾値超に維持されうる。
【0180】
一般的に述べると、患者の正常体温から所望の低体温への冷却速度は冷却手順中に使用される方法、患者の健康状態及び処置される状態に因り変化しうる及び変化するであろう。1の態様において、冷却速度は約0.1〜約6℃/時間である。代替の態様において、冷却速度は約0.25〜約3.0℃/時間である。また他の代替の態様において、冷却速度は約0.5〜約2.0℃/時間である。他の代替の態様において、冷却速度は約0.75〜約1.5℃/時間である。
【0181】
多数の方法が低体温状態を誘導するために患者の体温を減少させる又は低下させるために使用されうる。本発明の1の局面は患者において低体温状態を誘導するための表面冷却の使用を含む。1の態様において、表面冷却は中枢神経系、すなわち、脳又は脊髄における低体温状態を達成するために患者の体全体の外側を低体温にかけることを含む。表面冷却において使用される典型的な方法又は装置は冷却毛布又は覆いの使用、患者を氷中に浸すこと、心肺バイパス機械の使用をとおして患者の血液を冷却すること、氷で冷やされた胃の洗浄及び室温の吸い込まれた気体を含む。
【0182】
例として、上記表面冷却方法が冷却毛布の使用であるとき、軽い〜中程度の低体温状態は容易に達成されうる。1の態様において、患者は、Aquamatic K−Thermia EC600の如き又はそれらを全体として本明細書中に援用する米国特許第5,304,213号、第6,606,754号、及び第6,547,811号中に詳述されるような好適な冷却毛布上に位置されうる。はじめの冷却のために、上記毛布は約3〜4℃の温度で自動モードに設定されうる。氷水及び体全体のアルコールマッサージは標的低体温に達するのに必要とされる時間を短縮するために同時に投与されうる。所望の核体温が達成された後、患者は所望の温度に設定された2の冷却毛布の間にはさまれうる。典型的に、患者の核体温は30分〜1時間毎のようにしばしばモニターされ、及び上記冷却毛布温度設定は所望の核体温を維持するよう合わせられる。それらを全体として本明細書中に援用する米国特許第5,304,213号、第6,606,754号、及び第6,547,811号中に示される方法の如き、冷却毛布の使用を用いるいくつかの他の方法は本分野において知られ、及び患者における低体温の達成における使用に好適である。
【0183】
さらなる例として、使用される表面冷却方法は強制空気法でありうる。この方法において、(Bair Hugger Model 600 Polar Airの如き)ファンはフィルターをとおして部屋の空気を吸い込み、及び上記空気を特定の温度まで冷却し、及びその後患者を覆う毛布へホース又はいくつかの他の装置を介して上記冷却された空気をデリバリーする。したがって、この方法は対流の原理に基づいて患者の体の表面を冷却する。所望の核体温が達成された後、患者は所望の温度に設定された2の冷却毛布の間にはさまれうる。典型的に、上記患者の核体温は30分〜1時間毎のようにしばしばモニターされ、及び上記冷却毛布温度設定は所望の核体温を維持するよう合わせられる。
【0184】
他の態様において、表面冷却は脳又は脊髄の如き中枢神経系の標的領域を冷却するよう選択的に適用されうる。いくつかの異なる装置は中枢神経系の選択領域を表面冷却するために使用されうる。例えば、冷却ヘルメットは脳の温度を選択的に減少させるために使用されうる。他の例では、氷が標的領域において低体温を選択的に誘導するために患者の頭部又は脊髄のいずれかに直接的に適用されうる。
【0185】
本発明の他の局面は患者において体全体の低体温状態を作出するための血管内冷却の使用を含む。それらの全てをそれらを全体として本明細書中に援用する米国特許第6,126,684号、第6,460,544号、及び第6,497,721号中に開示される装置の如き、いくつかの異なる型の血管内熱交換装置がこの方法において利用されうる。一般的に述べると、この方法の1の態様において、熱交換カセット及びコントローラーにつなげられた中心静脈カテーテルが大腿静脈に挿入される。上記装置は上記カテーテルを通して、塩水又は他の好適な媒体を循環させることにより患者において所望の温度を維持する。上記コントローラーは所望の温度及び温度変化速度に設定される。冷滅菌塩水は上記カテーテルを通して連続的に循環され、それにより向流熱交換の方法により血液に熱を加える又は血液から熱を除去する。上記熱交換は塩水の血液との直接の接触なしに達成される。この交換が起こるとき、上記塩水は上記カテーテルから上記カセットに戻され、上記カセットは第二の熱交換表面及び上記カテーテル及び上記カセットの間の塩水循環を駆動するポンプヘッドを含む。この節中に詳述される態様の如き血管内冷却の使用をとおして、標的温度は約1時間で達成されうる。
【0186】
あるいは、血管内冷却は脳又は脊髄の体の一部の冷却を作出するために使用されうる。この態様の1の代替において、(それを全体として本明細書中に援用する)米国特許第6,558,412号中に示されるものの如き方法及び装置が利用されうる。簡単に述べると、この態様において、体の一部の冷却は器官(すなわち、脳又は脊髄)の給送動脈に冷却カテーテルを置くことにより達成される。上記冷却カテーテルはフレオンの如き圧縮された及び濃縮された冷媒の気化及び膨張に基づく。上記カテーテル中で、シャフト又は胴部分は、気化、膨張、及び冷却が起こりうる遠位熱移動エレメントへ液体冷媒を運ぶ。−2℃超の温度への上記カテーテルの先の冷却は、上記カテーテルの先から遠位に位置される器官へ流れ込む血液の冷却、及び結果としての標的器官の冷却をもたらす。例えば、上記カテーテルは脳を冷却するために内頸動脈中に置かれうる。
【0187】
この態様のまたさらなる代替において、(それを全体として本明細書中に援用する)米国出願公開公報第20020198579号中に示されるものの如き装置及び方法が脳又は脊髄の体の一部の冷却を作出するために使用されうる。この態様の1の代替において、柔軟なカテーテルは脳脊髄液、及びその後脳を冷却するために大脳側脳室に挿入される。上記カテーテルは典型的に、脳脊髄液の排出を許容するための穴をまた有する遠位熱伝導エレメントを有する3の内腔を有する。最も内側の内腔は上記カテーテルの先で最も外側の内腔とつなげられ、及び冷却液の循環を許容する。中間の内腔は遠位末端に、脳脊髄液の排出及び脳室吻合術と同様の頭蓋内圧モニタリングを許容する穴を有する。上記カテーテルの設置への後頭部アプローチは熱交換のためのより大きな表面領域を有するより長いカテーテルを許容するために典型的に利用される。選択的な脊髄冷却のために、上記に示されるカテーテルの他の態様において、より長い遠位熱伝導エレメントを有するカテーテルは脊髄の周りの冷却を許容するために腰硬膜下又は硬膜外空間に挿入される。このカテーテルは脳脊髄液の排出のための内腔を有しうる又は有しない。
【0188】
本発明のまた他の局面は患者において低体温を誘導するための視床下部加熱の使用を含む。体温の制御において最も重要な脳領域が視床下部の中及び近辺であることは本分野において周知である。視床下部温度における小さな変化は体温を正常に回復させるようはたらく生理学的応答を引き起こすであろうこともまた周知である。この原理を利用して、この態様は体全体の冷却を誘導するために視床下部に熱を適用することを含む。この態様の1の代替において、蝶形骨洞への熱の適用は視床下部を温め、及び生理学的冷却応答を引き起こすであろう。鼻道、洞若しくは視床下部又はこれらの組み合わせの加温の正確なパラメーターは、当業者により理解されるであろうように変化しうるが、加温方法を提供すること、約38〜約50℃に視床下部若しくは洞若しくは鼻道又はこれらの組み合わせを温めるための加温方法を適用することを必然的に含むであろう。この方法はそれを全体として本明細書中に援用する米国特許第6,156,057号中に非常に詳細に示される。
【0189】
典型的に、低体温状態及びシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤は虚血損傷の程度を減少させるために中枢神経系への血流における減少後可能な限りすぐに患者に投与される。典型的に、低体温状態及びシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤は中枢神経系への血流の減少後10日以内に及びより典型的には24時間以内に投与される。また他の態様においては、低体温状態及びシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤は中枢神経系への血流における減少約1〜約12時間後に投与される。他の態様においては、低体温状態及びシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤は中枢神経系への血流における減少後約6時間未満で投与される。また他の態様においては、低体温状態及びシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤は中枢神経系への血流における減少後約4時間未満で投与される。またさらなる態様においては、低体温状態及びシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤は中枢神経系への血流における減少後約2時間未満で投与される。
【0190】
典型的な態様においては、低体温状態は血流における減少の開始後約6〜約72時間、及びより典型的には血流における減少の開始後約24〜約48時間投与される。低体温状態が終えられたとき、患者は所望の温度が達成されるまで約0.05〜約2.5℃/時間の徐々のゆっくりとした再加温を受ける。代替の態様においては、上記再加温速度は約0.1〜約1.5℃/時間である。また他の態様においては、上記再加温速度は約0.1〜約1.0℃/時間である。他の代替の態様においては、上記再加温速度は約0.1〜約0.5℃/時間である。本分野において一般的に知られるいかなる好適な方法も再加温プロセス中に使用されうる。
【0191】
さらに、低体温状態の投与に関連したシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤の投与のタイミングはまた患者毎に変化しうる。1の態様においては、シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤及び低体温状態は実質的に同時に投与されうる、及びこのことは両方の処置がおよそ同じ時間に患者に投与されうることを意味する。例えば、シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤は低体温状態の開始と同じ日に始まり、及び低体温状態の終わり後の期間まで延びる連続した期間中に投与される。あるいは、シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤及び低体温状態は連続して投与されうる、及びこのことはそれらが別々の処置中の別々の時間に投与されることを意味する。1の態様において、例えば、シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤は低体温状態の投与前に始まり、及び低体温状態の投与後に終わる連続した期間中に投与される。さらに、本発明の実施においてさまざまな投与時間及び方法を混合することが可能であり、及びおそらく所望されうることが当業者に明らかであろう。
【0192】
血管閉塞の診断
本発明の1の局面は血管閉塞事件についての治療又は予防の必要のある患者を診断することを含む。血管閉塞を診断するためのいくつかの好適な方法は本発明の実施において使用されうる。1の上記方法において、超音波が使用されうる。この方法は超音波(高頻度音波)の使用で腕及び脚における主な動脈及び静脈中の血流を調べる。1の態様において、上記試験は「聞く」ための可聴周波計測を使用し及び血流を計測するDoppler(商標) ultrasonographyを混合し、及び超音波検査を二重にすることができ、それは視覚画像を提供する。代替の態様において、上記試験は多頻度超音波又は多頻度頭蓋横断Doppler(商標)(MTCD)超音波を利用しうる。
【0193】
使用されうる他の方法は投影されうる化合物の患者への注入を含む。この態様の1の代替において、少量の放射活性物質が患者に注入され、及びその後磁気共鳴直接血栓投影(MRDTI)の如き、障害物を検出するための血流モニタリングに頼る標準技術が血管閉塞を投影するために利用されうる。代替の態様において、ThromboView(商標)(Agenix Limitedから商業的に入手可能)は放射性標識に結合された血餅結合モノクローナル抗体を使用する。本明細書中に同定される方法に加えて、血管閉塞事件の診断のための本分野において知られるいくつかの他の好適な方法が利用されうる。
【0194】
処置されるべき適応症
典型的に、治療的に有効な量のシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤を含む組成物及び低体温状態の適用はいくつかの虚血仲介中枢神経系障害又は損傷を治療するために使用されうる。
【0195】
いくつかの局面において、本発明は細胞への血流における減少に応答した損傷を避けるための中枢神経系細胞の処置方法を提供する。典型的に、避けられうる損傷の重篤さは大部分は細胞への血流における減少の程度及び減少の期間に因るであろう。例として、ヒトにおける脳の灰白質への通常の灌流量は約60〜70mL/脳組織100g/分である。中枢神経系細胞の死は典型的に、血流が約8〜10mL/脳組織100g/分未満に落ちたとき起こり、一方で、わずかにそれより高い値(すなわち、20〜35mL/脳組織100g/分)では上記組織は生きたままであるが、機能することはできない。1の態様において、アポトーシスの又は壊死の細胞死が避けられうる。またさらなる態様においては、細胞毒性浮腫又は中枢神経系組織無酸素血症の如き虚血仲介損傷が避けられうる。それぞれの態様において、中枢神経系細胞は脊髄細胞又は脳細胞でありうる。
【0196】
他の局面は中枢神経系虚血状態を治療するために患者に上記組成物を投与すること及び低体温状態を適用することを含む。いくつかの中枢神経系虚血状態は本発明に係る方法により治療されうる。1の態様において、上記虚血状態は、アポトーシスの又は壊死の細胞死、細胞毒性浮腫又は中枢神経系組織無酸素血症の如き、いずれの型の虚血中枢神経系損傷をももたらす卒中である。上記卒中は脳のいずれの領域にも影響しうる又は卒中の発生をもたらすことが通常知られるいずれの病因によっても引き起こされうる。この態様の1の代替において、上記卒中は脳幹卒中である。一般的に述べると、脳幹卒中は、呼吸、血圧、及び心拍の如き不随意の生命維持機能を制御する脳幹を襲う。この態様の他の代替において、上記卒中は小脳卒中である。典型的に、小脳卒中は、平衡及び協調を制御する脳の小脳領域に影響する。また他の態様において、上記卒中は塞栓卒中である。一般用語では、塞栓卒中は脳のいずれの領域にも影響し、及び典型的に血管閉塞による動脈の妨害から生じうる。また他の代替において、上記卒中は出血性卒中でありうる。塞栓卒中のように、出血性卒中は脳のいずれの領域にも影響し、及び典型的に脳内又は脳周囲の出血(出血すること)により特徴付けられる破裂した血管から生じうる。さらなる態様において、上記卒中は血栓卒中である。典型的に、血栓卒中は蓄積された堆積物による血管の妨害から生ずる。
【0197】
他の態様において、上記虚血状態は、中枢神経系外の患者の体の一部で起こるが、それでも中枢神経系への血流における減少を引き起こす障害から生じうる。これらの障害は、非限定的に、末梢血管障害、心房細動、静脈血栓症、肺の塞栓、心筋梗塞、一過性脳虚血発作、不安定なアンギナ又は鎌状赤血球貧血を含みうる。さらに、上記中枢神経系虚血状態は外科的手順を受けている患者の結果として起こりうる。例として、上記患者は心臓手術、冠状動脈バイパス手術、肺手術、脊髄手術、脳手術、血管手術、腹部手術又は器官移植手術を受けうる。上記器官移植手術は、心臓、肺、膵臓又は肝臓移植手術を含みうる。さらに、上記中枢神経系虚血状態は中枢神経系外の患者の体の一部への外傷又は傷害の結果として起こりうる。例として、上記外傷又は傷害は患者の体内の血液の総体積を顕著に減少させる程度の出血を引き起こしうる。この減少された総体積のために、中枢神経系への血流量は同時に減少される。さらなる例として、上記外傷又は傷害はまた中枢神経系への血流を制限する血管閉塞の形成をもたらしうる。
【0198】
もちろん、上記方法は状態の原因に関係なく中枢神経系虚血状態を治療するために使用されうることが企図される。1の態様において、上記虚血状態は血管閉塞から生ずる。上記血管閉塞はいずれの型の閉塞でもありうるが、典型的には大脳血栓症又は大脳塞栓症である。さらなる態様において、上記虚血状態は出血から生じうる。上記出血はいずれの型の出血でもありうるが、一般的には大脳出血又はクモ膜下出血である。また他の態様において、上記虚血状態は脈管が狭くなることから生じうる。一般的に述べると、上記脈管は血管痙攣中に起こるような血管収縮の結果として又は動脈硬化症のために狭くなりうる。また他の態様において、上記虚血状態は脳又は脊髄への傷害から生ずる。
【0199】
また他の局面において、上記方法は中枢神経系虚血状態後の虚血核の梗塞の大きさを減少させるために投与される。さらに、上記方法はまた中枢神経系虚血状態後の虚血周縁部又は遷移領域の大きさを減少させるために有益に投与されうる。
【0200】
さらなる局面において、本発明は血管閉塞事件の危険性のある患者のための処置を提供する。これらの患者は以前の血管閉塞事件を有したことがある又は有したことがない。本発明は血管閉塞事件前の、血管閉塞事件時の及び血管閉塞事件後の患者の処置を含む。したがって、本明細書中で使用されるとき、患者の「処置」は予防の及び治療の処置の両方を含むと意図され、及び血管閉塞事件の症状又は発生を全て制限するために又は消去するために使用されうる。
【0201】
シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤及び低体温状態の適用に加えて、本発明に係る方法はまた中枢神経系への血流における減少の効果を改善する他の剤をも含みうる。1の態様において、上記剤はヘパリンの如き血栓阻害剤及びワラフィンの如きFactor Xa阻害剤を含む抗凝固薬である。他の態様において、上記剤は組織プラスミノゲン活性化因子又はウロキナーゼの如き血栓崩壊剤である。さらなる態様において、上記剤はGP IIb/IIIa阻害剤の如き抗血小板阻害剤である。さらなる剤は、非限定的に、HMG−CoA合成酵素阻害剤;スクワレンエポキシダーゼ阻害剤;スクワレン合成酵素阻害剤(スクワレン合成酵素阻害剤としても知られる)、アシル−コエンザイムA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤;プロブコール;ニコチン酸;クロフィブレート、フェノフィブレート、及びジェムフィブリゾールの如きフィブレート;コレステロール吸収阻害剤;胆汁酸分離剤;LDL(低比重リポタンパク質)受容体誘導物質;ビタミンB6(ピリドキシンとしても知られる)及びHCl塩の如きその医薬として許容される塩;ビタミンB12(シアノコバラミンとしても知られる);β−アドレナリン性受容体ブロッカー;葉酸又はナトリウム塩及びメチルグルカミン塩の如きその医薬として許容される塩又はエステル;及びビタミンC及びEの如き抗酸化ビタミン及びベータカロテンを含む。
【0202】
さらなる局面において、上記方法は外傷性脳又は脊髄損傷後の中枢神経系細胞損傷を後退させる又は少なくするために使用されうる。外傷性脳又は脊髄損傷は、例えば、物体からの頭部又は背中への強打;ミサイル、銃弾、及び榴散弾からの貫通する傷害;転倒;骨の破片による結果としての貫通での頭蓋骨骨折;及び突然の加速又は減速傷害を含む広くさまざまな原因から生じうる。本発明に係る方法はその原因に関係なく外傷性損傷を治療するために有益に利用されうる。
【実施例】
【0203】
実施例
以下の実施例において、組み合わせ治療はCOX−2選択的阻害剤を含む組成物の投与との組み合わせの低体温状態の適用を含む。上記組み合わせ治療の有効性はプラセボ処置、COX−2阻害剤の投与のみ又は低体温状態の適用のみの如きコントロール処置に比較して評価されうる。
【0204】
例として、組み合わせ治療は低体温状態の適用及びセレコキシブ、低体温状態の適用及びヴァルデコキシブ、低体温状態の適用及びロフェコキシブ又は低体温状態の適用及びパレコキシブを含みうる。これらは単にいくつかの例であり、及び本発明に係るCOX−2阻害剤のいずれかを伴う低体温状態は組み合わせ治療として試験されうることが留意されるべきである。特定の治療組み合わせ中のCOX−2阻害剤の投与量及び低体温状態の適用において使用されるパラメーターは上記研究を行う熟練者により容易に決定されうる。上記研究処置の長さは特定の研究により変化するであろう、及びまた当業者により決定されうる。例として、上記組み合わせ治療は12週間投与されうる。上記低体温状態及びCOX−2阻害剤は本明細書中に詳述されるいずれの様式又は本分野において一般的に知られるいずれの様式によっても投与されうる。
【0205】
実施例1−in vitroでのCOX−1及びCOX−2活性の評価
本発明における使用のために好適なCOX−2阻害剤は以下の活性分析にしたがってin vitroで試験されるときIC50値により計測されるように、COX−2にまさってCOX−1の選択的阻害を示す。
【0206】
組換えCOXバキュロウイルスの調製
組換えCOX−1及びCOX−2はGierse et al, [J. Biochem., 305, 479−84(1995)]により示されるように調製される。ヒト若しくはマウスCOX−1又はヒト若しくはマウスCOX−2のコード領域を含む2.0kb断片をD. R. O’Reilly et al(Baculovirus Expression Vectors: A Laboratory Manual (1992))の方法と同様の様式で、バキュロウイルストランスファーベクターpVL1393(Invitrogen)のBamH1部位にクローニングし、COX−1及びCOX−2についてのバキュロウイルストランスファーベクターを作出する。組換えバキュロウイルスを、4μgのバキュロウイルストランスファーベクターDNAをリン酸カルシウム法により200ngの直線化したバキュロウイルスプラスミドDNAと共にSF9昆虫細胞(2×108)にトランスフェクトすることにより単離する。M. D. Summers and G. E. Smith, A Manual of Methods for Baculovirus Vectors and Insect Cell Culture Procedures, Texas Agric. Exp. Station Bull. 1555(1987)を参照のこと。組換えウイルスを3ラウンドのプラーク精製により精製し、及びウイルスの高タイター(107〜108pfu/mL)ストックを調製する。ラージスケール生成のために、SF9昆虫細胞を10リットルの発酵器(0.5×106/mL)中で、感染の多重度が0.1になるように上記組換えバキュロウイルスストックに感染させる。72時間後、上記細胞を遠心分離し、及び上記細胞ペレットを1% 3−[(3−コールアミドプロピル)−ヂメチルアンモニオ]−1−プロパンスルフォネート(CHAPS)を含むTris/Sucrose(50mM:25%,pH8.0)中でホモジェナイズする。上記ホモジェネートを10,000×Gで30分間遠心分離し、及び生ずる上清をCOX活性について分析されるまで−80℃で貯蔵する。
【0207】
COX−1及びCOX−2活性についての分析
COX活性を放出されたプロスタグランヂンを検出するためにELISAを用いて、形成されたPGE2/タンパク質μg/時間として分析する。適切なCOX酵素を含むCHAPS−可溶化昆虫細胞膜をエピネフリン、フェノール、及びヘムを含むリン酸カリウム緩衝液(50mM,pH8.0)中でインキュベートし、及びアラキドン酸(10μM)を添加する。化合物をアラキドン酸の添加前に上記酵素と共に10〜20分間プレインキュベートする。上記アラキドン酸及び上記酵素の間の反応を37℃で10分間の後、40μlの反応混合物を160μl ELISA緩衝液及び25μMインドメタシンに移すことにより停止させる。形成されたPGE2を標準のELISA技術(Cayman Chemical)により計測する。
【0208】
COX−1及びCOX−2活性についての速い分析
COX活性を放出されたプロスタグランヂンを検出するためにELISAを用いて、形成されたPGE2/タンパク質μg/時間として分析する。適切なCOX酵素を含むCHAPS−可溶化昆虫細胞膜をリン酸カリウム緩衝液(0.05Mリン酸カリウム,pH7.5,2μMフェノール,1μMヘム,300μMエピネフリン)中でインキュベートし、及び20μlの100μMアラキドン酸(10μM)を添加する。化合物をアラキドン酸の添加前に上記酵素と共に25℃で10分間プレインキュベートする。上記アラキドン酸及び上記酵素の間の反応を37℃で2分間の後、40μlの反応混合物を160μl ELISA緩衝液及び25μMインドメタシンに移すことにより停止させる。非選択的COX−2/COX−1阻害剤であるインドメタシンはポジティブコントロールとして利用されうる。形成されたPGE2を典型的にいくつかの商業的供給源から入手可能なPGE2特異的抗体を利用して標準のELISA技術により計測する。
【0209】
試験されるべきそれぞれの化合物はそれぞれの特定の化合物のCOX−1及びCOX−2阻害効果を決定するためのバイオアッセイ試験のために2mlのヂメチルスルフォキシド(DMSO)中に個々に溶解されうる。有効性は典型的にPGE2生成の50%阻害をもたらす化合物g/溶媒mlとして表されるIC50値により表される。COX−2の選択的阻害はCOX−1/COX−2のIC50の割合により決定されうる。
【0210】
例として、第一のスクリーニングは10μg/mlの濃度でCOX−2を阻害する特定の化合物を決定するために行われうる。上記化合物はその後3の異なる濃度(例えば、10μg/ml、3.3μg/ml及び1.1μg/ml)でのCOX−2阻害の程度を決定するために確認分析にかけられうる。このスクリーニング後、化合物はそれから10μg/mlの濃度でCOX−1を阻害するそれらの能力について試験されうる。この分析で、コントロールに比較したCOX阻害の割合が決定されることができ、より高い割合はより大きな程度のCOX阻害を示す。さらに、COX−1及びCOX−2についてのIC50値もまた試験される化合物について決定されうる。それぞれの化合物の選択性はその後上記に示されるようにCOX−1/COX−2のIC50の割合により決定されうる。
【0211】
実施例2−血小板凝固及び血小板活性化マーカーの計測方法
以下の研究はヒト患者又はマウスの如き研究動物モデルにおいて行われうる。ヒト患者を含む臨床研究の開始前に、上記研究は適切なHuman Subjects Committeeにより承認されるべきであり、及び患者は参加前に上記研究について説明を受け及び成文の同意を与えるべきである。
【0212】
血小板活性化は本分野において使用可能ないくつかの試験により決定されうる。いくつかの上記試験は以下に示される。処置の有効性を決定するために、血小板活性化の状態が、上記組み合わせ処置の投与前及び処置中一週間に一回のように、研究中のいくつかの時点で評価される。血液サンプリングの例示的な手順及び血小板凝固をモニターするために使用されうる分析は以下に列挙される。
【0213】
血小板凝固研究
【0214】
血液サンプルを19ゲージの針を介して肘前静脈から2のプラスティック管に回収する。自由に流動する血液のそれぞれのサンプルを針及びVacutainerフードを用いていずれの静脈内カテーテルにも遠位の新鮮な静脈穿刺部位をとおして7ccのvacutainer管(1はCTAD(ヂピリダモール)を有し、及び他方は3.8%クエン酸三ナトリウムを有する)に回収する。血液が他の研究のために同時に回収される場合、上記血小板サンプルは最初ではなく、2番目又は3番目に得られることが好ましい。上記血小板サンプルのみが回収される場合、はじめの2〜3ccの血液は排出され、及びその後上記vacutainer管が満たされる。上記管が15秒以内に満ちる場合上記静脈穿刺は十分である。全ての回収は熟練者により行われる。
【0215】
それぞれの患者についての血液サンプルが2のVacutainer管に回収された後、それらは抗凝固薬の完全な混合を確実にするために3〜5回即座に、しかし穏やかに反転される。管は振られない。過剰の抗凝固薬は血小板機能を変えうるので、上記Vacutainer管は最大容積まで満たされる。可能な限り乱れを最小限にするよう注意が払われる。底まで噴射する代わりに、上記Vacutainer中で針を斜めにし血液を管の側面につたわせることのような小さな段階が顕著な改善をもたらしうる。これらの管は室温で保たれ、及び上記サンプルを調製する責任のある研究室の者に直接渡される。上記Vacutainer管はいつなんどきも冷蔵されない。
【0216】
クエン酸三ナトリウム(3.8%)及び全血を1:9の割合で即座に混合し、及びその後1200gで2.5分間遠心分離し、血小板を豊富に含む血漿(PRP)を得、それを血小板凝固研究のための1時間以内の使用のために室温で保つ。血小板カウントをCoulter Counter ZM(Coulter Co., Hialeah, Fla.)でそれぞれのPRPサンプルにおいて決定する。血小板数を同一源の血小板に乏しい血漿で凝固のために3.50×108/mlに合わせる。PRP及び全血凝固試験を同時に行う。全血を0.5ml PBSで1:1に希釈し、及びその後穏やかにかきまぜて混合する。攪拌棒を伴うキュベットをインキュベーションウェル内に置き、及び37℃まで5分間温める。その後上記サンプルを分析ウェルに移す。電極を上記サンプルキュベット内に置く。血小板凝固を5μM ADP、1μg/mlコラーゲン、及び0.75mMアラキドン酸で刺激する。全てのアゴニストは、例えば、Chronolog Corporation(Hawertown, Pa.)から得られる。血小板凝固研究はChrono−Log Whole Blood Lumi−Aggregometer(model 560−Ca)を用いて行われる。血小板凝固力は血漿サンプルについての記録時間の終わりに血小板に乏しい血漿をリファレンスとして用いたベースラインからの光透過率変化の割合として又は全血サンプルについての電気インピーダンスにおける変化として表される。凝固曲線は4分間記録され、及びAggrolink(商標)ソフトウェアを用いて国際的に確立された標準にしたがって分析される。
【0217】
患者への低体温状態の適用を伴うCOX−2阻害剤の組み合わせ治療を受ける患者の凝固曲線はその後前記組み合わせ治療の有効性を決定するためにコントロール処置を受ける患者の凝固曲線と比較されうる。
【0218】
洗浄血小板フローサイトメトリー
静脈血(8ml)を2mlの酸−クエン酸−デキストロース(ACD)(1000ml蒸留水中7.3gクエン酸、22.0gクエン酸ナトリウム×2H2O及び24.5グルコース)を含むプラスティック管中に回収し、及びよく混合する。上記血液−ACD混合物を1000r.p.m.で室温で10分間遠心分離する。上記血小板を豊富に含む血漿(PRP)の上部2/3をその後回収し、及びACDの添加によりpH=6.5に合わせる。上記PRPをその後3000r.p.m.で10分間遠心分離する。上記上清を除去し、及び上記血小板ペレットを4ccの洗浄緩衝液(10mM Tris/HCl、0.15M NaCl、20mM EDTA、pH=7.4)中に穏やかに再懸濁する。血小板を上記洗浄緩衝液中で、及びTBS(10mM Tris、0.15M NaCl、pH=7.4)中で洗浄する。全ての細胞をその後適切な数の管に分ける。例として、9の異なる表面マーカーが本明細書中に示されるように評価される場合、洗浄された血小板を含む9管が暗室で+4℃で30分間5μl蛍光イソチオシアネート(FITC)−結合抗体とインキュベートされ、及び1管は染色されないままであり及びネガティブコントロールとしてはたらくように、上記細胞は10管に分けられるべきである。上記細胞上の以下の抗原の発現は血小板活性化に関連するので、表面抗原発現はCD9(p24);CD41a(IIb/IIIa、aIIbb3);CD42b(Ib);CD61(IIIa)(DAKO Corporation, Carpinteria, Calif.);CD49b(VLA−2又はa2b1);CD62p(P−セレクチン);CD31(PECAM−1);CD41b(IIb);及びCD51/CD61(ヴィトロネクチン受容体、avb3)(PharMingen, San Diego Calif.)の如きモノクローナルマウス抗ヒト抗体で計測される。インキュベーション後、上記細胞をTBSで洗浄し、及び0.25mlの1%パラフォルムアルデヒド中に再懸濁する。サンプルを+4℃の冷蔵庫中で貯蔵し、及びBecton Dickinson FACScanフローサイトメーター上で15mwのレーザー出力、488nmでの励起、及び530+−30nmでの発光検出で分析する。データは回収され、及びリストモードで貯蔵され、及びその後CELLQuest(商標)ソフトウェアを用いて分析されうる。FACS手順は、例えば、Gurbel, P. A. et al., J Amer Coll Cardiol 31:1466−1473(1998);Serebruany, V. L. et al., Am Heart J 136:398−405(1998);Gurbel, P. A. et al., Coron Artery Dis 9:451−456(1998)及びSerebruany, V. L. et al., Arterioscl Thromb Vasc Biol 19:153−158(1999)中に詳細に示される。
【0219】
患者への低体温状態の適用を伴うCOX−2阻害剤の組み合わせ治療を受ける患者から単離された血小板の抗体染色はその後血小板に対する上記組み合わせ治療の効果を決定するためにコントロール処置を受ける患者から単離された血小板の染色に比較されうる。
【0220】
全血フローサイトメトリー
4ccの血液を2ccの酸−クエン酸−デキストロース(ACD、前の実施例を参照のこと)を含む管内に回収し、及びよく混合する。緩衝液、TBS(10mM Tris、0.15M NaCl、pH7.4)及び続く蛍光イソチオシアネート(FITC)結合モノクローナル抗体(PharMingen, San Diego, Calif., USA、及びDAKO, Calif., USA)を冷蔵庫から取り出し、及びそれらの使用前に室温(RT)で温める。使用されうる抗体の非限定的な例はCD41(IIb/IIIa)、CD31(PECAM−1)、CD62p(P−セレクチン)、及びCD51/61(ヴィトロネクチン受容体)を含む。それぞれの患者について、6の琥珀色管(1.25ml)及び1のEppendorf管(1.5ml)を得、及び適切に印をつける。450μlのTBS緩衝液を標識されたEppendorf管にピペットで移す。患者の全血管を混合するために穏やかに2回反転し、及び50μlの全血を適切に標識されたEppendorf管にピペットで移す。上記Eppendorf管に蓋をし、及び希釈された全血を上記Eppendorf管を穏やかに2回反転することにより混合し、続いて50μlの希釈された全血をそれぞれの琥珀色管にピペットで移す。5μlの適切な抗体を対応する琥珀色管の底にピペットで移す。上記管をアルミニウムフォイルで覆い、及び4℃で30分間インキュベートする。インキュベーション後、400μlの2%緩衝パラフォルムアルデヒドを添加する。上記琥珀色管を蓋でしっかりと閉め、及びフローサイトメトリー分析まで4℃の冷蔵庫中で貯蔵する。上記サンプルをBecton Dickinson FACScanフローサイトメーター上で分析する。これらのデータをリストモードファイルに回収し、及びその後分析する。上記に挙げられるように、患者への低体温状態の適用を伴うCOX−2阻害剤の組み合わせ治療を受ける患者から単離された血小板の抗体染色はその後コントロール処置を受ける患者から単離された血小板の染色と比較されうる。
【0221】
ELISA
酵素結合免疫吸着分析(ELISA)を標準の技術にしたがって及び本明細書中に示されるように使用する。エイコサノイド代謝物は血小板凝固を決定するために使用されうる。上記代謝物は、エイコサノイドが生理学的条件下で短い半減期を有するという事実のために分析される。トロンボキサンA2の安定な崩壊生成物であるトロンボキサンB2(TXB2)、及びプロスタサイクリンの安定な分解生成物である6keto−PGF1アルファが試験されうる。トロンボキサンB2はTXA2の安定な加水分解生成物であり、及びトロンビン及びコラーゲンの如きさまざまな剤により誘導される血小板凝固に続いて生成される。6keto−プロスタグランヂンF1アルファは不安定なPGI2(プロスタサイクリン)の安定な加水分解生成物である。プロスタサイクリンは血小板凝固を阻害し、及び血管拡張を誘導する。したがって、プロスタサイクリン生成の定量は6keto−PGF1の値を決定することにより成されうる。上記代謝物は−4℃に維持される血小板に乏しい血漿(PPP)中で計測されうる。また、血漿サンプルはまたエタノールで抽出され、及びその後、例えば、標準技術にしたがうTiterZymes(商標)酵素免疫分析(PerSeptive Diagnostics, Inc., Cambridge, Mass., USA)を用いた最終的なプロスタグランヂン決定まで−80℃で貯蔵されうる。TXB2及び6keto−PGF1を計測するためのELISAキットはまた商業的に入手可能である。
【0222】
患者への低体温状態の適用を伴うCOX−2阻害剤の組み合わせ治療を受ける患者及びコントロール治療を受ける患者の血漿におけるTXB2及び6keto−PGF1の量は上記組み合わせ治療の有効性を決定するために比較されうる。
【0223】
DADE BEHRING血小板機能分析器、PFA−100(商標)で計測される閉塞時間
PFA−100(商標)は血小板機能障害の検出のためのin vitro系として使用されうる。それは抗凝固全血における血小板機能の定量的な計測を提供する。上記システムはマイクロプロセッサーで制御された器械及び生物学的に活性な膜を含む使い捨て試験カートリッヂを含む。上記器械はキャピラリー及び膜に切り分けられた微細な開口部を通してサンプルリザーヴァーから一定真空下で血液サンプルを吸引する。上記膜はコラーゲン及びエピネフリン又はアデノシン5’−二リン酸で覆われる。これらの生化学刺激の存在、及び標準化された流動条件下で作出される高いシア速度は血小板結合、活性化、及び凝固をもたらし、上記開口部で安定な血小板プラグをゆっくりと構築する。上記開口部の完全な閉塞を得るために必要とされる時間は「閉塞時間」として報告され、それは通常1〜3分間に及ぶ。
【0224】
PFA−100(商標)試験カートリッヂ中の膜は生物学的成分の支持マトリックスとしてはたらき、及び上記開口部の設置を許容する。上記膜は0.45μmの平均孔サイズを有する標準のニトロセルロースろ過膜である。上記膜の血液の入り口側は2μgの原線維のI型ウマ腱コラーゲン及び10μgのエピネフリン重酒石酸塩又は50μgのアデノシン5’−二リン酸(ADP)で覆われた。これらの剤は上記血液サンプルが上記開口部を通るとき血小板に制御された刺激を提供する。上記コラーゲン表面はまた血小板堆積及び結合のためのよく定義されたマトリックスとしてはたらいた。
【0225】
PFA−100(商標)試験の原理はKratzer and Born(Kratzer, et al., Haemostasis 15:357−362(1985))により示されるものと非常に同様である。上記試験は3.8%の3.2%クエン酸ナトリウム抗凝固薬中に回収された全血サンプルを利用する。全血サンプルはキャピラリーを通してカップへ吸引され、そこでそれはコーティングされた膜と接触することになり、及びその後開口部を通る。上記コーティング中に存在するコラーゲン及びエピネフリン又はADPによる刺激、及び上記開口部でのシアストレスに応答して、血小板は上記開口部の周辺領域で開始してコラーゲン表面上に接着し、及び凝固する。上記計測の過程中、安定な血小板プラグが形成し、それは最終的に上記開口部を閉塞する。上記開口部の完全な閉塞を得るために必要とされる時間は「閉塞時間」として定義され、及び上記サンプル中の血小板機能の表示である。したがって、「閉塞時間」は上記組み合わせ治療の有効性を評価するために、患者への低体温状態の適用を伴うCOX−2阻害剤の組み合わせ治療を受ける患者及びコントロール治療を受ける患者の間で比較されうる。
【0226】
実施例3−永久病巣大脳虚血
ラット中大脳動脈閉塞(MCAO)モデルは本分野において周知であり、及び卒中における神経保護薬有効性の評価において有用である。例として、Turski et al.(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 95, pp.10960−10965, Sept. 1998)中に示されるMCAOモデルについての方法及び材料が大脳虚血処置のための上記に示される組み合わせ治療を試験するために改変されうる。
【0227】
永久中大脳動脈閉塞は、例えば、例えばLippert et al., Eur. J. Pharmacol., 253, pp.207−213, 1994中に以前に示されるようにハロタンで麻酔されたFisher 344 ラット(260〜290グラム)において微小双極性永久共凝集の方法により確立されうる。患者への低体温状態の適用を伴うCOX−2阻害剤の組み合わせ治療の有効性及び上記処置の治療枠を決定するために、上記組み合わせ治療は、例えば、静脈内にMCAO1、2、4、5、6、7、12又は24時間後に始まって6時間にわたり投与されうる。異なる用量、投与経路、及び投与時間がまた容易に試験されうることが留意されるべきである。さらに、上記実験は、例えば、1群のMCAO誘導ラットにプラセボを投与することにより適切に制御されるべきである。上記組み合わせ治療の有効性を評価するために、脳内の梗塞の大きさは進歩した像分析の方法により、例えば、MCAO7日後に、立体的解析学的に見積もられうる。
【0228】
さらに、病巣大脳再灌流虚血に対する神経保護活性の評価は、ハロタンで麻酔され、及び総頸動脈及び右中大脳動脈の一過性の閉塞(CCA/MCAO)に90分間かけられたWistarラット(250〜300グラム)で行われうる。CCAsは脈管の周りに置かれたシラスティック糸の方法により閉塞されうる、及びMCAはマイクロマニピュレータに接続されたスチールフックの方法により閉塞されうる。血流停止はMCAの顕微鏡調査又はレーザードップラーフローメトリーにより実証されうる。異なる用量の組み合わせ治療はその後、例えば、再灌流の開始後即座に開始して6時間又は例えば、再灌流の開始後2時間にわたり投与されうる。以前に挙げられるように、脳内の梗塞の大きさは、例えば、像分析の方法によりCCA/MCAO7日後に立体的解析学的に見積もられうる。
【0229】
上記に挙げられる手順の全ては使用される薬物の組み合わせ、研究の長さ、選択される患者の如き因子に因り、特定の研究のために改変されうることが留意されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
虚血仲介中枢神経系障害の治療方法であって:
虚血仲介中枢神経系障害のための治療の必要のある患者を診断すること;
シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤又はその異性体、医薬として許容される塩、エステル若しくはプロドラッグを上記患者に投与すること;及び
上記患者に低体温状態を適用すること
を含む前記方法。
【請求項2】
前記シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤はクロメン化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記クロメン化合物はベンゾピラン又は置換されるベンゾピランアナログである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤はベンゼンスルフォンアミド又はメチルスルフォニルベンゼンである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤はフェニル酢酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤はセレコキシブ、シミコキシブ、ロフェコキシブ、ヴァルデコキシブ、エトリコキシブ、パレコキシブ、デラコキシブ、及びルミラコキシブから成る群から選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記患者はヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ヒトの体温は約28〜約36℃である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ヒトの体温は約31.5〜約34.5℃である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ヒトの体温は約32〜約33℃である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記低体温状態は表面冷却装置の使用を通して患者に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記表面冷却装置は冷却覆い、冷却毛布、氷、及び強制空気ファンから成る群から選ばれる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記低体温状態は血管内冷却装置の使用を通して患者に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記虚血仲介障害は卒中から生ずる、請求項1〜13のいずれか1に記載の方法。
【請求項15】
前記虚血仲介障害は中枢神経系への外傷性損傷から生ずる、請求項1〜13のいずれか1に記載の方法。

【公表番号】特表2007−511468(P2007−511468A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534194(P2006−534194)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/032515
【国際公開番号】WO2005/037193
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(303050964)ファルマシア コーポレイション (18)
【Fターム(参考)】