説明

蛇、特にジャララカの毒腺から分泌されたペプチド類、バソぺプチダーゼ阻害薬、EVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる薬学組成物の製造法、および用途開発のための関連製品および晩成退行性疾病での使用

本発明は、シクロデキストリン類またはそれらの誘導体に含まれるか、または一種以上の薬理学的活性剤または担体中に結合または包含されているバソペプチダーゼ阻害薬ペプチド類、EVASINペプチド類、およびそれらの構造的または立体配置的類似体からなる薬学組成物または関連製品を特徴とする。本発明の更なる特徴はリポソームおよび生分解性高分子およびそれらの混合物のような放出制御システム内で、選択的にシクロデキストリン類内に含まれているEVASIN類、それらの類似体および誘導体をマイクロカプセル化することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛇、特にジャララカ(Bothrops Jararaca)の毒腺から分泌されたペプチド類、バソぺプチダーゼ(vasopeptidase)阻害薬ペプチド類、EVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる薬学組成物の製造法、および用途開発のための関連製品および/または晩成退行性疾病に対する関連製品を特徴とする。
【0002】
本発明は、シクロデキストリン類またはそれらの誘導体に含まれるか、または一種以上の薬理学的活性剤および/または担体中に結合または包含されているバソペプチダーゼ阻害薬ペプチド類、EVASINペプチド類、およびそれらの構造的および/または立体配置的類似体からなる薬学組成物および/または関連製品を特徴とする。本発明の更なる特徴はリポソームおよび生分解性高分子およびそれらの混合物のような放出制御システム内で、選択的にシクロデキストリン類内に含まれているEVASIN類、それらの類似体および誘導体をマイクロカプセル化することである。
【0003】
本発明でクレームしている薬学組成物はシクロデキストリン類またはそれらの誘導体に含まれたEVASIN類またはその誘導体;単独に、混合物の形態で、または1種以上の薬理学的活性剤と結合された形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に結合または包含されているEVASIN類;リポソームおよび生分解性高分子および/またはそれらの混合物のような放出制御システム内に、選択的にシクロデキストリン内に含まれているか、または選択的にマイクロカプセル化されているEVASIN類からなる。
【0004】
また、本発明は晩成退行性疾病の研究および治療のための用途を有する、EVASIN類の他の生化学的作用機転を同定することも含む。
【0005】
EVASIN類(EVASIN7aを除く)およびそれらの類似体および誘導体の薬学組成物は、中性エンドペプチダーゼ(ミクロモル範囲のKi)およびアンギオテンシンI転換酵素(ナノモル範囲のKi)に対する特異的な阻害活性により特性決定される。これらの薬学組成物の更なる特徴は、シクロデキストリン類またはそれらの誘導体に含まれると、EVASIN類の生物学的利用能、作用効果持続時間および/または効能を増加にある。
【0006】
そのような薬学組成物は、経口または静脈内を介して提供された場合、シクロデキストリン類またはそれらの誘導体に含まれているEVASIN類の生物学的利用能、作用効果持続時間および/または効能を増加させる。
【背景技術】
【0007】
世界のほとんどの国で、大人の人口の15〜25%が高血圧を患っている。MacMahon,S.et.Al.Blood pressure,stroke,and coronary heart disease,Lancet 335:765−774,1990参照。血圧値が高くなるたびに心血官性疾患の発病可能性が高くなる。血圧が高ければ高いほど、卒中および冠状動脈性事象の危険度が高くなる。高血圧が冠状動脈性、大脳性および腎性血管疾病の主な危険因子であることを考えると、高血圧は大人において死亡および能力障害をもたらす主な原因である。
【0008】
世界的に心不全は60〜80歳の患者が入院するようになる主な原因である。その集団の年齢自体が発現率を高める一つの因子になるものの、25〜54歳のヒトのうち1%が心不全を患っている。高齢者で、この発現率はより高くなり、75歳を超えると10%に達する。Kannel,W.B.et.al.Changing epidemiological features of cardiac failure,Br.Hear J 1994;72(suppl):S3-S9参照。
【0009】
臨床上のプロフィルから分かるように、心不全は制限的な疾病である。すなわち、悪化すると、患者の生活の質は低下し、より深刻なケースでは、現在に至るまでも初年度の死亡率が60%を超える悪性疾病である。Oliveira, M.T.Caracteristicas clinicas e prognostico de pacientes com insuficencia cardiaca congestiva avancada,Faculdade de Medicina,USP 1999参照。産業化された社会で1500万名以上のヒトがその疾病を患っており、例えば米国だけを見ても、1973年から1990年までその数値が450%増加した。Kannel,W.B.et.El.Changing epidermiological features of cardiac failure,Br. Hear J 1994; 72(suppl3):S3−S9参照。
【0010】
高血圧は複雑な、多因子性の、広く蔓延する疾病で、幾つかの有害な悪影響および高い羅病率/死亡率にも係わっている。Kaplan N.M.Blood Pressure as a cardiovascular risk factor:prevention and treatment.JAMA.275:1571−1576,1996参照。より良く理解するために、一般集団および特定の集団におけるその制御の有効性を評価する、数多くの研究が行なわれてきた。薬物および/または関連危険因子(糖尿病、肥満、喫煙)を用いる薬剤学的介入を排除した血圧制御は、一般的に冠状動脈疾病に起因する死亡率を減少させるのに係る高血圧長期治療の利益を減らすだけでなく除去する場合もある。Wilson,P.W.et.al.Hypertension,the risk factors and the risk of cardiovascular disease.Raven Press.94−114参照。
【0011】
高血圧は心血官性動脈硬貨症の発病に寄与する主な因子である。The fifth Report of the Joint National Committe on detection,evaluation,and treatment of High Blood Pressure.National institute of Health (VJNC).Arch.intern.Med.153:154−181,1994参照。統計学によれば、四人の米国人のうち一人が高血圧患者であるか、または高血圧患者になり、478万名が心不全を患うことになると予測される。毎年4十万の新たなケースが診断され、8万ケースが入院し、その治療に178億USドルが費やされる。
【0012】
ブラジルでは、SUS(Unified Health System)のデータから、心不全は1997年に心臓疾病のうち入院の主な原因であったことが分かった。政府はその治療に1億5000万R$を費やしたが、その金額は健康費用の4.6%に相当する。Filho,Albanesi F.insuficiencia cardiaca no Brasil.Arq.Bras.Cardiol,71:561-562,1998参照。
【0013】
レニン−アンギオテンシン系(RAS)は、生理学的および病理学的状態下で、血圧、心血管恒常性および電解質平衡を調節する機能をする。Santos,R.A.S.;Campagnole−Santos,M.J.;Andrade,S.P.Angiotensin−(1−7):an update.Regulatory Peptides,91:45−62,2000参照。アンギオテンシンII(AngII)は、血圧上昇作用、副腎ステロイド合成刺激作用、増殖作用(線維芽細胞、血管平滑筋)および肥大作用(心筋細胞)を持つ、RASの主な効果器ペプチドである。その形成経路は、傍糸球体系(justaglomerular system)でのレニンの産生および肝臓によるアンギオテンシンの産生を含む。これらの物質は、アンギオテンシンがレニンにより加水分解される血流へ放出され、それによって形成されたAngIは、肺でアンギオテンシン転換酵素(ACE)の作用を受け、AngIIを産生し、続いてAngIIはその産生部位から離れた標的器官に作用する。Santos,R.A.S.;Campagnole−Santos,M.J.;Andrade,S.P.AngIotensIn−(1−7):an update.Regulatory Peptides,91:45−62,2000)参照。
【0014】
最近、循環AngIIを産生する系に加えて、異なる組織は局所的な作用により明らかに、RASを産生する独立的AngIIを含むということが分かった。この組織RAS成分は血管、子宮、膵臓の外分泌部、目、心臓、副腎皮質、睾丸、卵巣、脳下垂体前面および中間葉、松下体および脳の壁上で見られる。これらの組織SRAの作用は未だ明らかにされていない。Ardaillou,R.;Michel,J.B.The relative roles of circulating and tissue renin−angiotensin systems.Nephrol.Dial.Transplant.,14:283−286, 1999参照。RASの局所的な作用は、ペプチドを産生する細胞(内分泌および自己分泌作用)で、隣接した細胞(傍分泌作用)上で、または産生部位から離れた部位(内分泌の作用)で起こり得る。
【0015】
最近報告によると、RASの重要な抹消的および中央的作用は、AngIII[Ang−(2−8)]、AngIV[Ang−(3−8)]およびAng−(1−7)を含む、より短いアンギオテンシン性ペプチド配列により介される。AngI[Ang−(1−10)]およびAngII[Ang−(1−8)]は生体内変化過程を経て、生物学的に活性なアンギオテンシンペプチド類の“系統群”を産生することと考えられる。Santos,R.A.S.;Campagnole−Santos,M.J.;Andrade,S.P.Angiotensin−(1−7):an update.Regulatory Peptides,91:45−62,2000参照。
【0016】
Ang−(1−7)はAngIIと共に主なRAS効果器である。AngIIからの二つの重要な特徴的な分泌Ang−(1−7):第一は非常に特異的な生物学的作用を待ち、かつその形成経路はACEから独立的である。Santos,R.A.S.;Campagnole−Santos,M.J.;Andrade,S.P.Angiotensin−(1−7):an update.Regulatory Peptides,91:45−62,2000参照。EVASIN類はAngI濃度を増加させることによりAng−(1−7)を形成し、ACEを阻害することによってその代謝を低下させる傾向がある。
【0017】
高血圧治療の主な目的は、費用を下げるだけでなく、必要に応じて使用薬物および生活の質を変化させることにより標的臓器で損傷を防止することにある。The Fifth Report of The Joint National Committee on detection,evaluation,and treatment of High Blood Pressure.National institute of Health(VJNC).Arch.Intern.Med.153:154−181,1994).
【0018】
薬物治療は、3〜6ヶ月後生活様式の変化に対する無反応の場合および標的器官での損傷(左心室肥大、心筋虚血、卒中または高血圧網膜症)の場合に必要とされる。160mmHg以上の収縮期血圧または100mmHg以上の拡張期血圧を示す全ての患者には、他の因子が存在するか否かに係わらず、薬理学的治療を行なうべきである。Report the Canadian Hypertension Society.Consensus Conference.3.Pharmacological treatment of essential hypertension.xan.Med.Assoc.J.149(3):575−584,1993参照。
【0019】
しかしながら、70年代から80年代までの間に、抗高血圧薬は高血圧の治療において重要なツールとなった。Menard,J.Anthology of renin−angiotensin system:A one hundred reference approach to angiotensin II antagonist.J.Hypertension II (suppl):S3−S11,1993参照。最近40年間の薬理的な研究により、高血圧治療のための新たな部類の薬物、すなわち60年代の利尿薬、70年代のベータ遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬、アンジオテンシンII受容体の拮抗薬およびアンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害薬が現れた。
【0020】
利尿薬は三つのカテゴリに分けることができる:チアジド系ループおよびカリウム保留薬。チアジド類はクロロチアジドおよびハイドロクロロチアジドを含むが、これらは治療開示後第一日以内に血圧を約10〜15%減少させ、そのような減少は第二の細胞外体積の減少、利尿増加およびナトリウム排泄増加に係わる。次いで、6ヶ月後、血漿体積および心臓血液伯出量は正常値へ戻り、血圧減少は抹消血管抵抗の減少に係わる。Frolich,E.Current approaches in the treatment of hypertension,405−469参照。これらは単一治療法として用いられるが、黒人および高齢者(低容量の場合)において応答の改善が見られた。次のような副作用が現れた:インシュリンに対する抹消抵抗の増加、トリグリセライドの増加、LDLの増加、低カルシウム症、高尿酸血症。ルップ利尿薬のうちフロセミド、ブメタミドおよびトリアンテレンはチアジド系利尿薬に比べより高い有効性を持つ。これらは主にヘンレ係蹄の皮質および髄質部分に作用する。これらはチアジド系利尿薬と同じ副作用を示す。カリウム保持性利尿薬は弱い利尿作用を持つ薬物で、単独に用いられるのはまれである。これらの例として、アミロライド、トリアンテレンおよびスピロラクトンが挙げられる。
【0021】
アテノロールおよびナオロール(Naolol)を含むベータ遮断薬はベータ1およびベータ2として分類される。抗高血圧作用機転は、未だ完全に解明されていないが、ベータ遮断薬がシナプス前性のベータ受容体を阻害し、ノルアドレナリンの放出を防止するという証拠によって基本的に裏付けられる。その副作用としては、インシュリンに対する反応における変化、ハイポグルセミック(Hypoglucemic)昏睡の延長、トリグリセライドの増加および腎血流の減少によるクレアチニンの増加が挙げられる。
【0022】
カルシウムチャンネル遮断薬は少なくとも25年間用いられてきた。Frolich,E.D.Current Approaches in the Treatment of Hypertension,405−469,1994参照。これらは薬理学的作用にしたがって大きく二つのグルップ、すなわち刺激伝導に対する作用を増加させるもの(例えば、べラパミルおよびジルチアゼム)および優れた血管拡張作用を持つもの(例えば、ニフェジピンのようなジヒドロピリジン誘導体類)に分けることができる。Frolich,E.D.,Hypertension.Adult Clinical Cardiology Self Assessment Program(ACCSAP),6:3−19,1995参照。副作用として下肢の水腫および心急迫などがある。
【0023】
転換酵素阻害薬は主にアンジオテンシンIからアンジオテンシンIIへの転換を阻害することによって作用する。したがって、アンジオテンシンIIの血管収縮作用は必ず最小化される。予備研究結果、初めて臨床的に用いられた阻害薬であるテプロチド(EVASIN−9a)は静脈内へ投与される際に抗高血圧活性を有するが、経口で投与される際には不活性であるため、その用途は制限された。本発明者らはACEが多様な作用を持つ酵素であること、すなわち幾つかの基質に作用することができるということを発見した。アンギオテンシンIおよびブラジキニンに対しジペプチダーゼ(dipeptidase)として作用すること以外に、カリウム保持性利尿性ペプチドのペプチド鎖を分解することができるが、それは酵素が幾つかの組織に作用することができるということを意味する。またACEは循環する組織Ang−(1−7)の不活性化で重要な役割を果たす。その循環ペプチドの濃度はAngIIの濃度と類似し、ACE阻害後に増加する。そのような増加は、前駆体(AngI)の増加およびACE分解の減少に起因する可能性がある。Santos,R.A.S.;Campagnole−Santos,M.J.;Andrade,S.P.Angiotensin−(1−7):an update.Regulatory Peptides,91:45−62,2000参照。
【0024】
オマパットリラット(Omapatrilat)活性について言及する当該技術の説明は下記の特許で見られる。US200213307−A1(Kothari and Desai)、US2002004500−A1(WO200174348−A2,AU200187289‐A)、 Bristol−Myers Squibb Co(BRIM)and Reeves et al.;US6166227−A(WO200003981−A2,AU9948528−A)、Bristol−Myers Squibb Co(BRIM)and Godfrey et al.しかしながら、この血管ぺプチダーゼ阻害薬化合物およびそれらの類似物は中性エンドぺプチダーゼ(NEP)に対する高い阻害活性の結果として関連副作用(血管性水腫および咳)を示す。
【0025】
ACEIは、ACE阻害薬が高血圧患者の60〜70%で血圧を比較的に迅速に減少させるため、単独療法として投与されても優れた効果を示す。Ganong,W.Neuropeptides in cardiovascular control.J.Hypertens 2(suppl3):15−22,1984参照。それらは一般的に許容可能であるが、その使用によって副作用および逆反応を引き起こし、それらのうち幾つかは深刻であり、例えば血管神経性水腫、発疹および乾性咳(8〜10%)、Blood discrasiasおよび性交不能を含む。
【0026】
アンギオテンシンI転換酵素阻害薬またはバソぺプチダーゼ阻害薬は、腫瘍、急性心筋梗塞、卒中、左心室肥大、糖尿病性血管肥大、抹消虚血、狭心症、および心筋梗塞後心不全の進行およびアテローム性硬症、および 糖尿病および血管新生を含む数多くの疾病を治療および予防するために用いられてきたかまたは提案されてきた。Yasumaru M,Tsujis S,Tsujii M,irie T,Komori M,Kimura A,Nishida T,Kakiuchi Y,Kawai N,Murata H,Horimoto M,Sasaki Y,Hayashi N,Kawano S,Hori inhibition of angiotensin II activity enhanced the antitumor effect of cyclooxygenase−2 inhibitors via insulin−like growth factor I receptor pathway;Cancer Res.2003 Oct 15;63(20):6726−34;Kinuya S,Yokoyama K,Kawashima A, Hiramatsu T, Konishi S,Shuke N,Watanabe N,Takayama T,Michigishi T,Tonami N.Pharmacologic intervention with angiotensin II and kininase inhibitor enhanced efficacy of radioimmunotherapy in human colon cancer xenografts.J Nucl Med.2000 Jul;41(7):1244−9.;volpert Ov,Ward WF, Lingen MW,Chesler L,Solt DB,Johnson MD,Molteni A,Polverini PJ,Bouck NP.Captopril inhibits angiogenesis and shows the growth of experimental tumors in rats.J Clin Invest.1996 Aug 1;98(3):671−9.;Kowalski J,Herman ZS.Captopril augments antitumor activity of cyclophosphamide in mice.Pol J Pharmacol.1996 May−Jun;48(3):281−5.;Kowalski J, Belowski D,Madej A,Herman ZS.Effects of thiorphan, bestatin and captopril on the Lewis lung Ccarcinoma metstases in mice.Pol J pharmacol.1995 Sep−Oct;47(5):423‐7.; Kowalski J,Belowski D,Wielgus J,Gabryel B,Klin M,Herman ZS.Effect of captopril and thiorphan on the proliferation of human neoplastic cell lines and their influence on cytostatic activity of interferon alpha or cytotoxic activity of doxorubicin. Arch Immunol Ther Exp(Warsz).1995;43(1):47−50.しかしながら、退行性慢性疾病の治療および研究での使用に対し薬理学的に許容可能な担体または賦形剤と共に製剤化された、シクロデキシトリン中に含まれているかまたは含まれていないEVASINの薬学組成物をクレームするいかなる特許も当該技術分野では見当たらない。
【0027】
AngII拮抗薬を開発するための試みは70年代初から始まり、その時はAngII−類似体ペプチドの開発に集中していた。第一の拮抗薬はサララシン、1−サルコシン、8−イソロイシン・アンギオテンシンIIなどであった。しかしながら、それらは部分的なアゴニスト活性を持つため、臨床的に受け入れられなかった。1982年に、初めて二つのAT1受容体および非ペプチド系拮抗薬が開発され(S−8307およびS−8308)、これらは高度に特異的で、アゴニスト活性は持たないものの、AngII受容体に対する結合力が弱かった。強度を改善し、選択性を維持し、かつ薬物動力学的特性を得るために、これらの二つの親化合物の分子構造を幾つか変更させることによって、新たな、強力で高い特異性を持つ経口製品、すなわちロサルタンが開発された。その後、その他幾つかの非ペプチド拮抗薬、例えばカンデサルタン(Candesartan)、イルベサルタン(Irbesartan)、バルサルタン(Valsartan)、テルミサルタン(TelmIsartan)、エプロサルタン(Eprosartan)、タソサルタン(Tasosartan)およびゾラサルタン(Zolasartan)が開発された。本発明の薬学組成物および製剤は薬学的に許容可能な賦形剤と、EVASIN類および類似体との混合物を利用することを特徴とする。製剤は賦形剤またはそれらの混合物から製造され得る。賦形剤の例としては、水、食塩水、燐酸バッファ溶液、リンガー液、ブドウ糖、ハンクス液、生体適合性食塩水(ポリエチレングリコルを含むかあるいは含まない)が挙げられる。他の有用な製剤は増粘剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランを含む。賦形剤はまた少量の添加剤、例えば等張性および化学的安定性を増加させる物質またはブッファを含むことができる。バッファの例としては、燐酸塩バッファ、重炭酸塩バッファおよびとリスバッファがあり、防腐剤の例としては,チメロサール、メターまたはオルトークレゾール、ホルマリンおよびベンジルアルコールがある。標準製剤は液体または固体であり得る。したがって、非液体製剤において、賦形剤はデキストロース、ヒト血清アルブミン、防腐剤などを含んでも良く、投与する前に水または滅菌の食塩水を添加することができる。
【0028】
さらに本発明はEVASIN類またはその類似体および誘導体を含む放出制御システムの製造法を特徴とする。十分な放出制御システムには、シクロデキストリン類、生体適合性高分子類、生分解性高分子類、他の高分子基質、カプセル、マイクロカプセル、微小粒子、巨丸剤(丸薬)、浸透圧ポンプ、拡散装置、リポソーム、リポスペアーおよび経皮投与システムを含むが、これらに制限されない。本発明による他の放出制御組成物は、動物に投与された後、その部位で固体またはゲルを形成する液体を含む。
【0029】
US4598070(CA1215359、DK356684,EP135044,ES8506757,GR82322,JP60025967)。抗高血圧薬であるトリプデン(Tripudine)とシクロデキストリン類(α‐シクロデキストリン類およびβ‐シクロデキストリン類)との包接化合物が開発された。Mashiro,Kawahara et.al.(1986)参照。トリパミドは水中にわずかに溶解可能であるが、シクロデキストリン類を利用することにより溶解性化合物が得られる。本発明はまた幾つかの特徴的な技術、例えば示差走査熱量測定(DSC)およびX線回折を利用する。
【0030】
US4666705.De Crosta,Mark.T.et.al.(1987)は抗高血圧薬の放出制御に基づいた発明を報告した。ACE阻害薬(非ペプチド、活性部位指向性ACE阻害薬)であるカプトプリルは、迅速な吸収および2時間の半減期を持つため利用された。その放出を遅らせるために、この発明は高分子または共重合体と共にカプトプリルを含有する錠剤に基づく。使用された高分子はポーリビニルピローリドン(PVP)であり、使用された技術は乾式造粒法である。その結果、体で薬物の留置時間の増加(4〜16時間)が得られた。
【0031】
US5519012.Fecej−Temejoov,Darja et.al.(1996)は、メチル−(β―シクロデキシトリンおよびその他の誘導体、例えば(ヒドロキシル化β―シクロデキシトリン)と抗高血圧薬(すなわち1,4‐ジヒドロプリジン)との新たな包接化合物に基づいた発明をなした。
【0032】
US5728402.Chen,Chin−Ming et.al.(1998)はカプトプリルおよびヒドロゲルを含む内相、およびその他に胃内で不溶性である外相を含む薬学組成物によって薬物の放出制御に基づいた発明を開示している。この発明の目的は単独で投与された場合に、1時間である薬物吸収時間を増加させることにあった。
【0033】
US5834432(AU5990796,CA2221730,EP0828505,WO09639164,JP115073625).Rodgers,Katlen Elizabeth et.al.(1998)は傷の治療を促すためにAT2受容体を用いた。
【0034】
US6087386(WO9749392A1).Chen,Tzyy−Show H.et.al.(2000)はエナラプリル(ACE阻害薬)およびロサルタン(AII拮抗薬)を含む薬学組成物(それは、ロサルタンカリウム塩の層およびエナラプリルマレイン酸塩の更なる層からなる。)からなる発明を開示している。この発明の目的は薬理的作用を改善させ、吸収時間を増加させ、かつ副作用を減少させることにある。
【0035】
US6178349.Kieval,Robert S.et.al.(2001)は心血管疾病の治療のために、神経性刺激により薬物を放出させる装置を開発した。この装置は神経につながっている電極、移植可能なパルス発生器および投与されるべき薬物を含む貯蔵所を含む。使用する際に、電極および薬物の放出は神経を刺激し、続いて心血管系を制御できるようになる。
【0036】
薬物はその特徴、例えば体内分析、薬力学および溶解度を持つように化学的に修飾され得る。薬物の溶解度および安定性を増加させるために幾つかの方法(例えば、有機溶媒類、エマルジョン類、リポソーム類、pH調整剤、化学的変更、および適切なカプセル化剤、例えばシクロデキストリン類との薬物錯体化、生分解性高分子内へのマイクロカプセル化)が用いられてきた。
【0037】
シクロデキストリン類は、バシラスマセランス(Bacillus macerans)の作用によるでん粉分解生成物としてビロー(Viler)により1891年に始めて分離された。1904年に、シャルジンガー(Schardiger)はそれらが環状オリゴ糖であることを明らかにした。1948年に、フルデンベルグ(Frudenbergr)らは、シクロデキストリン類が(α1→4)結合により連結されているグルコース単位を含んでいることを報告した。1948年に、フルデンベルグらは、シクロデキストリン類が包接化合物または錯体を形成することができることを見出し、彼らによると、その錯体は純粋シクロデキストリン類の合成工程から製造される。1954年から、クレイマー(Cramer)らは他の化合物とのシクロデキストリン錯体を形成することについて体系的な研究を遂行した。1955年から1960年の間に、薬物との包接錯体の形成に関し初めて研究が行われた。これらの研究は日本、ハンガリー、フランス、イタリアおよび他の国で集中的に続けられてきた。
【0038】
シクロデキストリン類はでん粉の酵素的分解により得られる。その方法は次のような段階を含む:酵素生産および精製、でん粉の酵素的転換並びにシクロデキストリン類の回収および分離。かかる酵素はシクロデキストリンーグリコシルトランスペラーゼ(CGT)である。この酵素は幾つかの微生物から得られるが、主にバシラスマセランス(Bacillus macerans)、B.メガテリウム(B.megatherium)、B.ステレオテルモピルス(B.sterothermophilus)およびクレくブシエラニュウモニアエ(Klebsiella pneumoniae)に由来する。Korolkobas,A.inclusao molecular e cyclodextrinas:propriedades e aplicacoes terapeuticas.ENLACE Farmalab,2/91,Ano 5,vol.II,p.6−15参照。
【0039】
シクロデキストリン類は6個、7個または8個のグルコピラノース単位からなる環状オリゴ糖である。立体的相互作用の結果、シクロデキストリン類、CDは内部無極性空洞を有する切断型錘状体の環状構造物を形成する。それは、位置選択的に変更され得る化学的に安定した化合物を含む。シクロデキストリン類(ホスト)は幾つかの疎水性分子(ゲスト)と共に、空洞内それらを完全に或いは部分的に含む、錯体を形成する。CDは薬物、香水および芳香剤の可溶化およびカプセル化のために用いられてきた。Szejtli,J.,Chemical Reviews,(1998),98,1743−1753.Szejtli, J.,J.Mater.Chem.,(1997),7,575−587参照。詳しい毒性、突然変異誘発性、催奇形性に関する研究結果、それらは低い毒性を有するというのが判明された。Rajewski,R.A.,Stella,v.,J.Pharmaceutical Science,(1996),85,1142−1169参照。特にヒドロキシプロピルーシクロデキストリン類に関しては、Szejtli,J.Cyclodextrins:Properties and applications.Drug investig.,2(suppl.4):11−21,1990参照。赤血球に損傷を与える幾つかの高濃度の誘導体を除けば、それらの生成物は一般的に健康上危険をもたらすことはない。食料品の添加剤としてシクロデキストリン類を利用するのは多くの国(例えば、日本およびハンガリー)で正式に許可されている。フランスおよびデンマークの場合、もっと特定の用途に対し許可されている。このような特徴すべては、新しい用途の発見に対するきっかけになるということを意味する。
【0040】
シクロデキストリン類の他に、放出制御装置により体内で薬物の吸収速度を減少させるものとして生分解性高分子が用いられる。これらのシステムにおいて、数日、数ヶ月または数年間に渡って少量の制御可能な日用量の薬物を体内へ放出するように微粒子または超微粒子内へ薬物をカプセル化するために、薬物は高分子基質中に取り込まれている。
【0041】
放出制御システムに対し幾つかの高分子が既にテストされた。それらのうち幾つかはそれらの物理的特性の関数として分類される。例えば、弾性に関連してポリ(ウレタン)、優れた分離剤に関連してポリ(シロキサン)またはシリコーン、物理的強度の結果としてポリ(メチルーメタクリレート)、疎水性および抵抗性の結果としてポリ(ビニルアルコール)、硬度および不浸透性のためのポリ(エチレン)が挙げられる。Gilding,D.K.Biodegradable polymers.Biocompat.Clin.Implat.Mater.2:209−232,1981参照。
【0042】
それにもかかわらず、ヒトで利用するためには、材料は不純物がなく、かつ化学的に不活性でなければならない。放出システムに用いられる物質の幾つかは次のような化合物を含む:ポリ(2−ヒドロキシ−エチルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、乳酸系(PLA)およびグリコール酸系(PGA)高分子およびそれに相応する共重合体、(PLGA)およびポリ(無水物)、例えばセバス酸系(sebasic acid、PSA)高分子および疎水性高分子との共重合体。
【0043】
従来技術としてリポソームの製造に関する幾つかの特許が挙げられる。US特許4,552,803(Lenk);US特許4,310,506(Baldeschweiler);US特許4,235,871(Papahadjopoulos);US特許4,224,179(Schneider);US特許4,078,052(Papahadjopoulos); US特許4,394,372(Alfaiate);US特許4,308,166(Marchetti);US特許4,485,054(Mezei);およびUS特許4,508,703(Redziniak);Woodle and Papahadjopoulos, Methods Enzymol.171:193−215(1989)。
【0044】
単一膜リポソームは水の体積を含む単一膜を有する。Huang,Biochemitry 8:334−352(1969)参照。多重膜リポソームは幾つかの同心円状の膜を有する。Bangham et Col.,J.Mol.Biol.13:238−252(1965)参照。抗生物質、ホルモンおよび抗癌剤を含む多様な薬理的に活性な物質に対して、リポソーム系担体が提案されてきた。Medical applications of liposomes(D.D.Lasic,D.Papahadjopoulos Ed.),Elsevier Science B.v.,Holland,1998参照。
【0045】
その他のリポソームの製造法は既に当業界で知られている。例えば、Cullis et al.,Liposomes,From Biophysics to Therapeutics(M.Ostro,ed.),Marcel Dekker(New York),1987,pp.39−72;Woodle and Papahadjopoulos,Methods Enzymol.171:193−215(1989);Liposome technology(G.Gregoriadis ed.),CRC Press,Boca Raton,FL,1993参照。
【0046】
Banghamの製造法[J.Mol.Biol.13:238−252(1965)]は“通常の多重膜リポソーム”(MLVs)を生産する。“通常の”MLVsは水の区画で不等溶質分布を有し得、したがって区画の間に異なる浸透圧を示す。Lenkら(US特許4,522,803;US5,030,453;およびUS5,169,637)、Fountainら(US特許4,588,578)、Cullisら(US特許4,975,282)およびGregoriadisら(特許WO99/65465)は区画の間に実質的に等しい溶質分布を有する多重膜リポソームの製造法を開示している。異なる区画の間での等しい溶質分布は、より高い薬物カプセル効率およびより低い浸透圧差を意味し、結局これらのMLVsは通常のMLVに比べてより安定する。
【0047】
単一膜リポソームは、MLVsを音波処理(Paphadjopoulou et al.(1968)参照)または、ポリカルボネート膜を通じて圧出させることによって生産され得る。Cullisら(US特許5,008,050)およびLougheryら(US特許5,059,421)参照。良好な脂質は、例えば重合化または非重合化された形態の、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、コレステロール、ホスファチジン酸、スフィンゴリピド、脂肪酸、ステローる、ポスパチジルエタノールアミン、重合可能なホスホリピド、およびそれらの混合物を含む。
【0048】
本発明のリポソーム組成物は、小胞を変更し、器官または細胞に特異性を与えることにより特性決定される。リポソーム特異性はかかる解剖学的因子および機転に基づき分類される。解剖学的分類は選択性の水準、例えば器官特異性、細胞特異性、または生物特異性に基づく。機転の観点から見れば、特異性は手動的なものまたは能動的なものに分類され得る。
【0049】
手動的特異性は洞様毛細血管を含む器官内際網内皮系の細胞によって取り込まれる通常のリポソームの自然的な傾向を用いる。本発明のリポソームは、血流への除去速度の減少に起因し、改善された薬物担体として(LEE)方法(また“PEG−リポソーム”として知れている。)により立体的に確立された。Lasic and Martin,Stealth Liposomes,CRC Press,Inc.,Boca Raton,Fla.(1995)参照。LEEは、その表面が高分子により覆われたリポソームであり、その高分子は、リン脂質と共有接合されたポリエチレングリコール(PEG)であるのが好ましく、小胞二重層から親水性雲を生成する。このような立体障害はオプソニンによるリポソーム認知を遅らせ、LEEを従来のリポソームにより長く血流内に保持させる。Lasic and Martin,Sealth Liposomes,CRC Press,Inc.,Boca Raton,Fla.(1995);Woodle et Col.,Biochim.Biophys.Acta 1105:193−200(1992);Litzinger et Col.,Biochim.Biophys.Acta 1190:99−107(1997);Bedu Addo,et Col.,Pharm.Res.13:718−724(1996)参照。また、そのような立体障害は、幾つかの化学治療薬物および生物学的に活性なペプチドに示されるように、カプセル化された薬剤の薬理学的な有効性を増加させる。Lasic and Martin,Cautela Liposomes,CRC Press,inc.,Boca Raton,Fla.(1995);Allen T.M.in:Liposomes, New Systems,New Trends in their Application(F.Puisieux,P.Couvreur,J.Delattre,J.−P.Devissaguet Ed.),Editions de la Sante,Franca,1995,pp.125参照。
【0050】
この分野に関する研究の結果、異なる因子がLEEの循環半減期に影響を及ぼし、小胞直系は200nm未満で、PEGは5%の割合で約2,000Daの分子量を有するのが理想的である。Lasic and Martin,Cautela Liposomes,CRC Press,Inc.,Boca Raton,Fla.(1995);Woodle et Col.,Biochim.Biophys.Acta 1105:193−200(1992);Litzinger et Col.,Biochim.Biophys.Acta 1190:99−107(1994);Bedu Addo et Col.,Pharm.Res.13:718−724(1996)参照。
【0051】
能動的な標的化は、結合剤、例えばモノクロナール抗体、糖、糖脂質、たんぱく質、高分子による、または従来のリポソームが蓄積する部位とは異なる細胞および器官へこれらを標的化するリポソームの大きさおよび組成を変えることによる、リポソームの変更を含む。例えば、Remington’s Pharmaceutical Science,Gannaro,A.R.,ed.,Mack Publishing,18th edition,pp.1691−1693参照。
【0052】
ペプチドの効果を延長するためのリポソーム適用技術の例として、(吻側−腹外側骨髄(RVLM)で)一側性に微量注射されたAng−(1−7)(LAng)を含むリポソームの製造がある。血圧は、自由に動けるように放置したレット(undisturbed rat)で4日前に開示し、12日後終わるまで、10分ことに10秒間遠隔測定により測った。LAng微量注射により朝に有意の昇圧効果が現れ、それが5日間続いた。最も高いMBPは3日で測定され(114±4mmHg)、それは0日での測定値(100±3mmHg)と有意に異なっていた。予測した通り、LVazはMBPで有意に変化しなかった(3日で94±5mmHg vs 0日で90±5mmHg)。さらに、朝MBPは1日、2日、3日でLvaz群に比べてLang群で有意に高かった。朝MBPとは対照的に、夜MBPはLAng微量注射により有意の影響を受けなかった。以前の研究で、BRVLに対する、類似の容量(25〜50ng)の遊離型Ang−(1−7)の微量注射(カプセルかされていない)は約10分間15mmHgを増加させる。Fontes Ma,Pinge MC,Naves v,Campagnole Santos MJ,Lopes OU,Khosla MC,Santos RAS Cardiovascuar effect produced by microinjection of angiotensins and angiotensin into the ventrolateral medulla of freely moving rats.Brain Res.このような効果の短い持続時間はインビボでの高いたんぱく質代謝に起因する。Silva−Barcellos et Col.,Hypertention,38(6):1266−71(2001)参照。
【発明の開示】
【0053】
本発明は、毒またはジャララカの組織で見られる少なくとも21種類のブラジキニン増強ペプチド類(一般的にBPPまたはブラジキニン増強ペプチドと呼ばれる。)を利用することにより特徴付けられる。また、本発明は質量分析法により測定され、かつこのヘビ亜目の非毒腺組織で発現されるこれらの分子の親化合物のcDNAで推論されたアミノ配列を有する。これらをEVASIN類または内因性バソペプチド阻害薬と呼ぶ。
【0054】
【表1】

【0055】
これらのペプチドのうちほとんどは構造的モチーフC‐末端PX12PPを有する。ここで X1は任意のアミノ酸であり、X2は通常イソロイシン(I)であり、およびN‐末端アミノ酸は主にピログルタミン酸の残基により遮断されている(<E)。その合成ペプチドに対し、組み換えACEのCとN部位阻害薬としての、並びにレットでブラジキニンの降圧活性とモルモットから分離された回腸でブラジキニンの収縮作用の両方に対する賦活薬(potentiator)としての有効性を調べるためにテストを行なった。レットで血圧に対する降圧活性およびモルモットから分離された回腸でブラジキニン収縮作用の復活薬として、もっとも選択的かつ有効なのは5〜13アミノ酸残基を持つ500〜1700Daの分子量を有するものであった。活性分子は化学的に修飾されたため、定性的に類似の特性を持つ、異なるペプチドを産生する。
【0056】
本発明で製剤化される5〜13アミノ酸のオリゴペプチドであるEVASIN類は以下の通りである。
【表2】

ここで、Pは常にプローリンである。他は、三文字および一文字のコードとして表示されるL−またはD−アミノ酸および誘導体であり得る。
【表3】

<E1ピログルタミン酸はN−末端アミノ酸であり;
aa2はアミノ酸で、典型的に式IおよびIIに対してはW,SまたはKであり、式IV〜XIに対してはA,W,S,GまたはNであり;
aa3は典型的に式I〜IIIに対してはW,P,FまたはGであり、式IV〜XIに対してはA,P,G,WまたはRであり;
aa4はアミノ酸で、典型的に式I〜IIIに対してはP,AまたはRであり、式IV〜XIに対してはP,L,Q,A,RまたはWであり;
aa5はアミノ酸で、典型的に式IIおよびIIIに対してはG,RまたはIであり、式IV〜XIに対してはT,P,G,H,R,WまたはEであり;
aa6はアミノ酸で、典型的に式V、VII、VIIIおよびXIに対してはQ
,N,P,T,H,RまたはGであり;一般的に式IVに対してはI、A,TまたはYであり;
aa7はアミノ酸で、典型的に式VI、VIIIおよびIXに対してはP,N,Q,GまたはRであり、式V対してはI,A,TまたはYであり;
aa8はアミノ酸で、典型的に式VIIおよびIXに対してはQ,PまたはGであり、式VIに対してはI,A,TまたはYであり;
aa9はアミノ酸で、典型的に式VIIIに対してはP,Q,NまたはGであり、式VIIに対してはI,A,TまたはYであり;
aa10はアミノ酸で、典型的に式IXに対してはQおよびEであり、式VIIIに対してはI,A,TまたはYであり;
aa11は一般的に式IXに対してI,A,TまたはYである。
【0057】
本発明の更なる特徴は、次のような化学的変化により内皮細胞および血管平滑筋に対する作用として、並びにバソペプチダーゼ阻害薬として、血管病理学に係る異なる標的分子上に対するそれらの作用特異性および薬物動力学を改善させるために、全てのEVASIN類を変更する可能性である:
1)L−アミノ酸をD−アミノ酸に置き換え、逆β−ターン構造(“ヘアピン”)を導入させたり、またはα−置換アミノ酸の導入し(例えば、α−イソ酪酸の導入)ポリペプチド鎖軸をα−へリックスまたは延長構造またはβ−ターンにさせたりすることによる、局在的立体配置の変化。α−アミノ酸におけるN−メチル置換は、アミド結合の作用を制限し、水素ボンドの形成を除去し、ポリペプチド主鎖のねじれ角に影響を及ぼし、並びにシスペプチドボンドを形成させる。他の変更は、プロテアーゼの作用に対抗してそのボンドを保護するための、ペプチドボンドの非−アミドボンドへの置換である。
2)閉環による全体的な構造の変化は二次構造を安定化させる。システインまたは、チオール基を含むそのほかの有機化合物(それぞれβ,β−ジメチルぺニシリンアラニン(β,β−dImethylpenIcIllInalanIne)類似体を有する。)への置換に対し選択される二つのアミノ酸は、EVASIN配列の任意の残基またはそれらの類似体(二つ以上のポリペプチド鎖アミノ酸残基により互いに区別される。)であり得る。S−S結合は二つのチオール残基の間で形成しやすく、したがって環状ペプチドが形成される。閉環は、またカルボキシ基のないポリペプチドとアミノ基との間にラクタムボンドを形成することにより、或いはペプチド閉環を形成しやすい任意の他の化学的工程により得られる。
3)アミノ酸側鎖での変化(χ−“制約”)。α−アミノ酸側鎖のねじれ角を決定することにより、その結合部位にポリペプチドをより良く調整する幾何学的変化、たとえばチロシンをβ−メチル−2’,6’−ジメチルチロシン(TMT)へ置換すること(相互作用部位に対し優先的構造を定義することができる。)が可能となる。このような変化については、例えばVIctor J.Hruby publIshed In Nature,1,847−858,2002参照。
【0058】
本発明は、胃腸官(GIT)による分解を減らし、特に経口製剤のための生物学的システムでペプチドの生物学的利用能を高めるシクロデキストリン類およびそれらの誘導体を用いてオリゴペプチド類、EVASIN類の放出システムを得ることを特徴とする。さらに、例えば静脈内、筋肉内、局所、肺吸入、鼻腔内、口腔内、またはPLAおよびPLGAまたはこれらの混合物(これらに制限されるわけではない)として生分解性高分子を用いる遊離制御型ダイアポジティブ(dIaposItIve)としての数多くの投与形態がある。
【0059】
さらに、本発明はペプチドの生物学的利用能を高めるリポソームを利用する、オリゴペプチド類、EVASIN類の放出制御システムを特徴とする。リポソームはそのような分子で内部水相を含む小泡であり、例えば個体状態のリポソームを投与した後に薬物を徐々に放出するように薬物をカプセル化することもできる。
【0060】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体の中に含まれたオリゴペプチド類、EVASIN類またはそれらの構造的および/または立体配置的類似体をPLAまたはPLGAまたはそれらの混合物またはリポソームのような生分解性高分子内へマイクロカプセル化した適用例はいままで開示されたことがない。本発明は三つの異なる技術、すなわちオリゴペプチド類、EVASIN類およびそれらの類似体をシクロデキストリン類内へ分子的カプセル化する技術、および生分解性高分子またはリポソームおよび/またはそれらの混合物へのマイクロカプセル化技術、および製剤化する前と比べて経口組成物および製剤内でEVASIN類の生物学的利用能(bIodIsponIbIlIty)を高めることを特徴とする。ペプチドおよび/または非ペプチド系薬物および/または薬学組成物および/または製剤の開発のための分子モデルとしてEVASIN7a,10c,11e,12bおよびそれらの類似体および誘導体を利用することを特徴とする,EVASIN類およびそれらの構造的および/または立体位置的類似体の薬学組成物および/または製剤は今まで開示されたことがない。
【0061】
本発明の更なる特徴は、温血動物における高血圧、他の心血管疾病およびそれらの合併症(非制限的な例:急性心筋梗塞、卒中、左心不全、糖尿病性血管肥大、抹消虚血、狭心症、および心筋梗塞後心不全の進行およびアテローム性硬化症)、腫瘍、糖尿病、精子の運動性および精子形成の阻害、腎症、性的不能、胃腸および婦人科の障害、血管新生、髪の毛の喪失、血の疾病および血管形成術(血管形成術後再狭窄、血管内プロテアーゼ)の治療および研究において、リポソームおよびPLA、PLGA生分解性高分子および/またはそれらの混合物のような放出制御システム内に、選択的にマイクロカプセル化された、EVASIN類およびそれらの類似体および誘導体、およびシクロデキストリン類またはそれらの誘導体の封入および/または結合を特徴とするEVASIN類およびそれらの類似体および誘導体の薬学組成物および/または製剤の使用である。
【0062】
本明細書にクレームされた薬学組成物は、シクロデキストリン類またはそれらの誘導体に含まれたEVASIN類;薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体内に、単独に、または混合物の形態で、または一種以上の薬理学的活性剤と共に結合された形態で、包含または結合されているVASIN類、それらの類似体および誘導体;またはリポソームおよびPLA、PLGA性分解性高分子類および/またはそれらの混合物のような放出制御システム内にマイクロカプセル化された、選択的にシクロデキストリン内に含まれているEVASIN類またはそれらの類似体または誘導体からなる。
【0063】
また、本発明は慢性退行性疾病の治療および研究における用途を有するEVASIN類の、他の生化学的作用機転を同定することも含む。
【0064】
EVASIN類(EVASIN7aを除く)、およびそれらの類似体および誘導体の薬学組成物は中性エンドぺプチダーゼ(ミクロモル範囲のKi)およびアンギオテンシンI転換酵素(ナノモル範囲のKi)に対し特異的な阻害活性を示すことを特徴とする。これらの薬学組成物および製剤の更なる特徴は、シクロデキストリン類に含まれた際に(例えば、経口製剤として)、上記ペプチドの生物学的利用能、持続時間および/または有効性を増加させることにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
本発明は下記のような非制限的な実施例に基づいてより良く理解できるだろう。
【実施例1】
【0066】
合成、精製および特性決定、およびEVASIN類によるアンギオテンシンI転換酵素の触媒部位の選択的阻害を測定するための酵素分析
この実施例は、合成、精製、特徴付けおよびEVASIN類によるECAの部位C−またはN−末端選択的阻害について説明する。オリゴペプチドは当分野に知れている方法を用いて合成した。この技法BocはBarany,G.& Merrifield,R.B.(Gross,E.& Meinhofer,J.,Eds.)(1980),The Peptide:Analysis,Synthesis and Biology,Vol.II,1,Academic Press,New York.2−Stewart,J.M.& Young,J.D.(1984),Solid Phase Peptide Synthesis,Pierce Chemical Company,Rockfordに記載されているデータに基づく。
【0067】
オリゴペプチドは当分野の技術によって修飾された。そのような変化はVictor J.Hruby published in the journal Nature,1,847−858,2002に記載されている。
【0068】
合成EVASIN類をHPLCシステムで精製し、その得られた物質を質量分析法により分析した。
【0069】
精製において、使用された溶媒は任意のHPLC用溶媒であり、使用された水は、塩および有機化合物を保持させるカートリッジを備えたMilli−Qシステムでの蒸留およびろ過により得られた。
【0070】
精製から得られた分画に対し、精製後EVASIN類のモル質量に従い、質量分析を行った。
【0071】
50mMのHepesバッファ(pH6.8)、200mMのNaClおよび10μMのZnCl2で(25℃)、基質Mca−Ala−Ser−Asp−Lys−DpaOHを用い、組み換えACE阻害に対する酵素分析を行った。その反応は、蛍光光度計内でACEによる基質分解(S=Km,40μM)結果から得られた、λem=390nm(λex=340nm)での蛍光増加を測定することにより連続的にモニターされた。EVASIN類は、基質を追加する前に酵素によりプレインキュベートされた。
【0072】
表4はEVASIN類による、アンギオテンシンI転換酵素のC−およびN−末端触媒部位活性の阻害分析結果を示す。
【表4】

【0073】
EVASIN類によるACE阻害に対するKI値の結果はnMで表示された。ほとんどのEVASIN類はC−末端に対し選択的な阻害薬であった。たとえば、EVASIN−10cのKI値は0.5nMであったが、それはこのドメインに対し400倍選択的であることを示す。他のEVASINもN−末端部位に対し選択的な阻害を示したが、例えばEVASIN−12bを用いて得られたKI値はN−およびC−末端に対しそれぞれ5nMおよび150nMであった。
【0074】
当分野の技術によると、アンギオテンシンI転換酵素を遺伝子欠失させたマウスは不妊である。Esther CR Jr,Howard TE,Marino EM,Goddard Jm,Capecchi MR,Bernstein KE.Mice lacking angiotensin−converting enzyme have low blood pressure,renal pathology,and reduced male fertility.Lab Invest.1996 May;74(5):953−65参照。睾丸のACEはN−末端体性のACEに相当する。Ramaraj P,Kessler SP,Colmenares C,Sen GC Selective restoration of mqale fetility in mice lacking angiotensin−converting enzymes by sperm−specitic expression of the testicular isozyme.J Clin Invest.1998 Jul 15;102(2):371−8参照。EVASIN類、それらの類似体および誘導体の薬学組成物はオスの避妊薬として用いられる可能性を有する。したがって、本発明はまた、クロスボンドを持ち、シクロデキストリン類の有機−水性または固体溶液、またはアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシプロピルおよびアシル基からなるシクロデキストリン誘導体またはシクロデキストリン高分子類と、EVASIN類、それらの類似体の有機−水性または固体溶液との混合物をオスの避妊薬として使用することを特徴とする。一方、C−末端部位に選択性を持つEVASIN類は、N部位に選択的であるかまたは選択的ではない阻害薬とは異なる明確な特徴を示す場合もある。
【実施例2】
【0075】
EVASIN類により誘導されたNEP阻害を測定するための酵素分析
50mMのTris−HClバッファ、pH7.5、37℃で、基質Abz−RL−EDDnpを用い、組み換えNEP阻害に対し蛍光光度分析を行なった。反応は、蛍光光度計でNEPによる基質分解(Km=8.4μM)結果から得られた、λem=418nm(λex=318nm)での蛍光の増加を測定することによって、連続的にモニターされた。
【0076】
EVASIN類はそれほど強力なNEP阻害薬ではなかった。EVASIN類により誘導されたNEP阻害に対するKI値はμMで表示された。もっとも良い阻害薬の一つはEVASIN9aで、そのKi値は86μMであった。
【0077】
表5はEVASIN類の作用による中性エンドペプチダーゼ活性の阻害分析結果を示す。
【表5】

【0078】
阻害常数(Ki)値は、見掛け阻害常数(Ki(app))および基質Kmの割合によって測定された。(Salvesen and Nagase,1990).in:Proteolytic enzymes a pratical approach.,Beynon and Bond Eds Oxford University Press,England,87−88)参照。
【0079】
上記の結果は、NEPによるEVASIN類の低い親化性を示し、それは当該技術分野に関連するバソペプチダーゼ阻害薬(例えば、オマパチリラット)に比べて、血管性水腫および咳のような付帯的な効果の減少が可能であることを示唆する。
【実施例3】
【0080】
EVASINブラジキニン増強活性テスト−モルモットから分離された回腸での生物学的分析
ブラジキニンにより誘導された平滑筋収縮活性を用いる、合成ペプチドの増強活性をテストし、モルモットから分離された回腸試料を用いてUP値を測定した。UPは、ブラジキニンの単一容量の反応効果を等しい2回容量に変えられるEVASINの濃度(nmol/製剤のml)に相応する。
【0081】
メスのモルモットを用いた。分析を始まる前に、回腸をTyrode溶液中に保存した。次いで、回腸分画(1.5〜2.0cm)の一方の末端を結んで、毛細血管を用いる一定な酸素泡を備えた、かつ37℃のTyrode食塩水を含む、グラスカップの底に含まれたセミリングを作った。他の末端は既に検定用テコに固定させた。1gの張力を維持し、モルモットから分離された回腸の収縮を記録した。ブラジキニンに対するサンプルの増強効果を測定するために、モルモットから分離された回腸に対するブラジキニン効果のログー容量反応曲線をプロットした。ブラジキニンの活性は、モルモットから分離された回腸収縮を測定することにより決定され、標準ブラジキニン容量に対する組織反応の増加として示される。Shimuta et al.,Eur.J.Pharmacol.70(4),551−554(1981)参照。
【0082】
EVASIN類をそれぞれテストし、ブラジキニン単一容量を投与する前にスパイクした。使用時に脱イオン水を用いてサンプル希釈液を製造した。測定された反応はログ容量−効果曲線の線形部分上に補間され、したがって標準ブラジキニン容量に対する製剤反応の増加として増強活性を得た。TYRODE溶液:原液I20mL、母液II40mL、ジジフェニトラミン(Diphenydramine)溶液(1mg/mL)1ml、アトロピン溶液(1mg/mL)1mL、5.60mMのD−グリコースおよびH2O q.s.1L.この分析で用いられる全ての試薬は分析用試薬であった。
【0083】
全てのEVASINは、モルモットから分離された回腸でブラジキニンの収縮作用を増強させ、0.22〜30nmolの濃度でブラジキニンの収縮効果は2倍となった。
【実施例4】
【0084】
麻酔させたレットの血圧に対するEVASIN類の作用
ブラジキニンの降圧効果の増強活性を、麻酔させたレットでテストした。ペントバルビタールナトリウム(商品名:Hypnol Cristalia,50mg/kg,腹膜内)を用い正常血圧のオスのレット(KWY)を麻酔させ、36.5〜37.5℃の体温を維持するために制御温度ボード上に置いた。生理学的交換機につながっている多用途記録計を用いた。血圧値は、ベースライン血圧により制限された領域を積分し、それらと対照分析で得られた値を比較することによって求めた。インビボ分析で、麻酔されたレット血圧におけるブラジキニンの降圧効果に対するEVASIN類の増強活性を観察した。麻酔されたレット(n=5)の血圧に対するブラジキニンの増強効果を比較するために、二つのパラメタを測定した:
1)麻酔させたレットの血圧に対するブラジキニンの降圧活性の増強効果の強度:この値は、増強剤200nmolを注入した後得られた単一用量のブラジキニンにより増加された降圧百分率(%)として定義付けられる。2)増強効果の持続時間:単一用量のブラジキニンに対する増強効果を50%へ減少させるのに必要とされる時間。
【0085】
ブラジキニンの降圧効果は、静脈注射により麻酔させたレットにおいて定常濃度200nmol(EVASIN)/レットで、EVASIN類により40〜340%増強された。最初増強効果が50%へ減少するのに、持続時間が10分であるもの(最小持続時間)も見られたが、120分以上かかるものもあった。
【0086】
表6は、麻酔させたレットの血圧に対するブラジキニンの降圧効果のEVASIN類による増強を示す。
【表6】

【実施例5】
【0087】
β−シクロデキストリン類およびそれらの誘導体とEVASIN類およびそれらの類似体との包接化合物の製造
その実施例はHP−β−シクロデキストリン類とEVASIN5aとの包接化合物(それらに制限されるわけではない。)の特性決定について示す。その製剤は、水溶液でβ−シクロデキストリン類およびそれらの誘導体と、EVASIN類およびそれらの類似体とのモル比が1:1および1:2になるように製造された。その溶液混合物を絶えず攪拌してβ−シクロデキストリン類の完全な溶液を得た。次いで、その混合物を液体質素温度で冷凍させ、24時間凍結乾燥させた。そのようにして得られた固体の特性決定は、物理化学的分析技法により行われた。核磁気共鳴はホスト/ゲスト上に関連情報を提供する技術であった。
【0088】
その製剤は等しいモル比を持つシクロデキストリン類とペプチド類から製造された。下記の表はそのように製造された包接化合物について示す。それらのシステムに対し生物学的テストを行った。
【0089】
表7は生物学的なテストが行われたシクロデキストリン類とEVASIN類との包接化合物を示す。
【表7】

【0090】
溶液を製造し、HB−β―CDおよびペプチドのNMR1Hおよび13Cスペクトルのシミュレーションを行った後、HB−β−CD/BPP−5aの包接化合物、およびBPP−5a(単独)およびHB−β−CD(単独)に対するNMR−特徴決定を行った。シクロデキストリン類およびホスト分子BPP−5a; COSY,TOCSY,13C−DEPT135、HMQCの構造解明のための水素−1HNMR;化学的変位−δの変化分析;縦緩和−RMN T1およびNOESY試験(核オーバーハウザー効果分光法)の時間測定を行って封入を検証した。シクロデキストリン水素シグナルが重なる場合に、ホスト分子の水素だけをプローブとして用い、δおよびT1分析を行った。
【0091】
ペンタペプチドBPP−5aからRMNまでの構造を解明するために、specifics遊離型アミノ酸のRMN1Hスペクトルを基準物質として用いた。THE SADTLER STANDARD SPECTRA。Sadtler Research Laboratories.1972参照。分子の複雑さとそのスペクトルのために、一次元または二次元の多様なRNM技術、また400MHz分光計を用いることが必要であった。サンプルをD2O中に溶解させると、それらは溶媒の重水素原子へ変更され、水素核磁気共鳴でのスペクトルは、ヒドロキシ、アミダおよびアミナ基の作用下、および水素シグナルの不在下で、非常に単純になった。
【0092】
EVASIN−5aの相応するシミュレーションに基づき、純粋化合物の実際のスペクトルの分析結果は以下のようである。
1)NMR1HスペクトルおよびCOSYは4.8ppmで強いシグナルを示したが、これは重水素化溶媒で不純物“H2O”が存在するためであった。
2)“CH”基水素は水シグナルに隣接する。これらの水素はペプチド結合およびアミノ官能基との間をつなぐ。
3)“CH2”基は2.8〜3.7ppmの化学的変異に含まれる領域内に存在し、これらの基はペプチド結合に隣接する“CH”基に結合する。
4)約1.3〜2.5ppmで、幾つかの官能基に付属する“CH2”に関する多重線が見られる。
5)1.2ppmで、アミノ酸アラリン(Alaline)の分節のCH3基に関する二重線が見られる。COSYを用いると、4.6ppmでその基と“CH”とのスカラーカップリング(四重線)が見られる。
6)7.7〜7.1ppmの化学的変位に含まれた領域は芳香族基スピンシステム(アミノ酸トリプトファンの分節に相応する)に割り当てられた。
【0093】
HP−β―CDスペクトルは、シミュレートされたスペクトルに基づいても、相変わらず非常に複雑であり、割り当てにくいということを示した。しかしながら、一部のシグナルは以下のように割り当てることができる。
【0094】
3.3〜4.3ppmの化学的変位で、複雑な多重線は、ヒドロキシルに結合されている炭素の“CH”基に起因したものと見られる。1.1〜1.8ppmの化学的変位で、ヒドロキシプロピル基に関するシグナルが見られる。
【0095】
包接化合物のNMR分析に関して、純粋なEVASIN−5aに比べて、スペクトル線の明確な分離が観察され、また芳香族基領域内に2次的な化学的転移の変化が見られた(δ≒7.7−7.1)。これはHP−β−CDとこのペプチドの領域との相互作用を強く示唆する。この現象は、ペプチドの芳香族基の電子的分布において外乱(disturbance)を引き起こすことができるシクロデキストリン類の酸素原子C1−O1−C4の電子に起因する。この結果はHP−β―CD空洞への芳香族基のカプセル化が可能であることを示唆する。
【0096】
表4および5に示されたEVASIN−5aに関連して(T1の数値)、水素16および19だけが有意の変化を示し、この核のT1変化は各々の測定で得られた標準偏差より遥かに大きかった。その他の水素分析は、各々の測定の標準偏差に比べて疑わしいT1変化を示した。
【0097】
下記の表から、ホスト分子芳香族水素の緩和時間、T1の減少が観察された。このような変化は、シクロデキストリンの空洞内へホスト分子を封入した後の、遅い回転力学、対称的変化およびゲスト分子の運動性の減少を示唆する。
【0098】
表8は200MHzで測定された、純粋ペプチドBPP−5aの1Hでの幾つかの核の縦緩和時間値を示す。
【表8】

【0099】
表9は200MHzで測定された、システムHP−β−CD/BPP−5aの1Hでの幾つかの核の縦緩和時間ちを示す。
【表9】

【0100】
RMNデータに加えて、β−CDeBPP−5a/HP−β−CDのNOESY試験を用いてシクロデキストリンの空洞の内部でゲスト分子の空間配置を決定することができた。NOESY試験はBPP−5aに対しD8=650msを用いて行なわれた。これはHP−β−CDとBPP−5aとの空間的近接を示す、相互関連性を観察できるD8の特殊値であった。
【実施例6】
【0101】
非麻酔の高血圧レットの血圧に対するEVASIN類の効果
分析の一日前に、動物に大腿動脈および静脈のカニューレ挿入する手術を行なった。エテールでレットを麻酔させ、外科手術台上にその背面が置かれるように配置した。小さい皮膚切開片を製造し、大腿心血管バンチ(bunch)を位置決めするために筋系を分離した。心臓血管のパラメタを記録するために大腿動脈を介し腹大動脈へ、並びに薬物を投与するために大腿静脈を介し下大静脈へ、カニューレを挿入した。挿入後、カニューレを、手術糸(surgical line)を用いて結び、バンチにした。次いで、カニューレは、それらが外面化され、また縫合線を用いて固定される肩甲骨へ、トロケーター(trocater)により皮下に送られる。心臓血管のパラメタを記録するために動脈カニューレを、薬物を投与するために静脈カニューレを利用した。
【0102】
大腿動脈および静脈カニューレ挿入後1日に、血圧および心拍数を記録した。分析は自由運動可能な非麻酔動物で行なわれた。そのレットの動脈圧(PAP)、平均動脈圧(MAP)および心拍数(HR)は、データ収集システム(BIOPAC)を用いて、コンピューターによりモニターした。全ての実験から、データを収集した。
【0103】
薬物を投与する前に、レットのPBP、MBPおよびHRをモニターした。総容積0.2mLで(NaCl0.9%溶液)EVASIN類の丸薬を注射した後、得られた降圧効果および効果持続時間をモニターした。この分析で、各ペプチドの標準容量(70nmol/100g体重)をテストした。(n=4)EVASIN−10cは最も優れた降圧効果を有する強力なペプチドで、平均血圧を−29.5±9.50mmHg減少させ、次いでEVASIN−9aはMBPを−27.0±1.50mmHg減少させた。EVASIN−5aおよびEVASIN−7aはMBPを最大それぞれ−19.17±4.36mmHgおよび13.00±2.78mmHg減少させた。
【0104】
効果持続時間を比較した結果、EVASIN−7aは100分以上持続する降圧効果を示すペプチドであることが分かった。EVASIN−9aおよびEVASIN−10cはそれぞれ84分と94分で、両方は効果持続時間の観点から類似であった。EVASIN−5aの効果持続時間は短く、投与後そのMAPがベ−スラインへ戻るのに37分が掛かった。
【実施例7】
【0105】
意識のあるレットの血圧に対する、シクロデキストリン類内へカプセル化されたEVASIN類の効果
この実施例は高血圧のレットの血圧にEVASIN−5aとヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPβCD)との包接化合物の投与効果を説明する。分析の一日前に、動物に大腿動脈と静脈のカニューレ挿入術を行なった。エテールでレットを麻酔させ、外科手術台上にその背面が置かれるように配置した。小さい皮膚切開片を製造し、大腿心血管Bunchを配置するために筋系を分離した。心臓血管のパラメタを記録するために大腿動脈を介し腹大動脈へ、並びに薬物を投与するために大腿静脈を介し下大静脈へ、カニューレを挿入した。挿入後、カニューレを、手術糸を用いて結び、バンチにした。次いで、カニューレは、それらが外面化され、また縫合線を用いて固定される肩甲骨へ、トロカーターにより皮下に送られる。心臓血管のパラメタを記録するために動脈カニューレを、薬物の投与のために静脈カニューレを利用した。
【0106】
大腿動脈および静脈カニューレ挿入後1日に、血圧および心拍数を記録した。分析は自由運動可能な、意識のある動物で行なわれた。そのレットの動脈圧(PAP)、平均動脈圧(MAP)および心拍数(HR)は、データ収集システム(BIOPAC)を用いて、コンピューターによりモニターした。全ての実験から、データを収集した。
【0107】
薬物を投与する前に、レットのPBP、MBPおよびHRを60分間モニターした。総容積0.2mLで(NaCl0.9%溶液)EVASIN類の丸薬を注射した後、得られた降圧効果および効果持続時間をモニターした。この分析では、標準容量0.071nmol/100g(体重)、n=6を利用した。
【0108】
HPβCDに含まれたEVASIN−5aおよび遊離型EVASIN−5aを投与して得られた結果を比較した結果、最大の降圧効果において遊離型ペンタペプチドおよびカプセル化されたものとの間に差は見られなかった。(MAPはそれぞれ23±4.2mmHgおよび22±3.3mmHg減少した。)また、効果持続時間において、カプセル化されたEVASIN−5a(持続時間:140分)はその遊離型ペプチド(持続時間:38分)に比べ4倍近く増加したのが分かった。
【実施例8】
【0109】
異種の、高血圧のレットの血圧に対するEVASIN類の効果比較(SHRおよびTGR(mREN2)L27)
この実施例では、異なる種類の高血圧のレットの血圧に対するEVASIN5aの注入効果について説明する。
【0110】
分析の一日前に、動物に大腿動脈と静脈のカニューレ挿入術を行なった。エテールでレットを麻酔させ、外科手術台上にその背面が置かれるように配置した。小さい皮膚切開片を製造し、大腿心血管バンチを配置するために筋系を分離した。心臓血管のパラメタを記録するために大腿動脈を介し腹大動脈へ、並びに薬物を投与するために大腿静脈を介し下大静脈へ、カニューレを挿入した。挿入後、カニューレを、手術糸を用いて結び、バンチにした。次いで、カニューレは、それらが外面化され、また縫合線を用いて固定される肩甲骨へ、トロカーターにより皮下に送られる。心臓血管のパラメタを記録するために動脈カニューレを、薬物の投与のために静脈カニューレを利用した。
【0111】
大腿動脈および静脈カニューレ挿入後1日に、血圧および心拍数を記録した。分析は自由運動可能な、意識のある動物で行なわれた。そのレットの動脈圧(PAP)、平均動脈圧(MAP)および心拍数(HR)は、データ収集システム(BIOPAC)を用いて、コンピューターによりモニターされる。全ての実験から、データを収集した。
【0112】
薬物を投与する前に、レットのPBP、MBPおよびHRを60分間モニターした。0.9%NaCl溶液中に1時間当たり900μg/100g(体重)でEVASIN‐5aを注入する間、並びにその後、心臓血管パラメタを登録した。異種、すなわちSHRおよびTGR(mREN2)L27にEVASIN−5aを投与すると、MAPはそれぞれ28±2.7mmHgおよび34±0.9mmHg減少した。しかしながら、注入を中断すると、SHRでは6時間後、TGRではたった1時間後変化が見られた。そのような持続時間の差は、異なる程度のレニン−アンギオテンシン系活性を有する、EVASIN−5aの生化学的作用機転における重要な差を示唆する。
【実施例9】
【0113】
遠隔測定システムにより測定されたSHR血圧に対するEVASIN類の投与効果
遠隔測定システムは、収縮期血圧、拡張期血圧、平均血圧および心拍数を測定するために利用される。このようなモニターシステムは移植可能な無線周波数装置、受容版、マトリックス、およびデータ収集および分析用ソフトウェアを備えたコンピューターからなる。Braga,et al.,2002参照。
【0114】
オスのSHRレットを利用した。手術前24時間その動物に餌を与えなかった。そのレットを、2.5%の2,2,2−トリブロモエタノール(1mL/100g体重)により麻酔させ、外科手術台上にその背面が置かれるように配置し、レットの腹部をクリップし、ヨウ素化アルコールで無菌化した。中央腹部線に沿って約2cmの切開部を作り、長骨の二分支がよく見れるようにした。腸を除去し、腹部血管への完全なアクセスが出来るようにした。腹大動脈が大静脈から適切に分離かつ同定されるまで、綿棒およびガーゼを用い、血管層に沿って脂肪および結合組織を精密に除去した。食塩水で湿らせたコルドネット(cordonet)糸で大静脈を取り巻くことによって血流を止め、90°の角度で曲がった針(25x8)を用い小さい切断部を作った。次いで、ガイドはさみを用い、生体適合性ゲルを受容する、装置のポリエチレンカテーテルを動脈内へ挿入した。そのカテーテルの注入口を洗浄し、乾燥させ、極少量の組織接着剤を塗布した。接着剤上に、一枚の小さいセルロース紙を用いてカテーテルを大静脈内に固定させた。磁石で装置バッテリーを作動させ、AM無線(同調されていないもの)を用い、大静脈内カテーテルの位置に特有な音を記録した。腹部の筋系を縫合し、シリコンタブにより装置を固定させた。次いで、皮膚を縫合した。ヨウ素化アルコールおよび0.1mLのペンタバイオチック(pentabiotic)を筋肉内へ投与することによって無菌化した。動物を個別の檻に入れて、麻酔から完全に回復されるまで暖かい条件を維持させた。回復後、その動物を、12時間/12時間昼間/夜間サイクル(6:00a.m.から6:00p.m.までが昼間で、6:00p.m.から6:00a.m.までが夜間である。)で維持されかつ25℃に調節された遠隔測定室に置いた。その動物に水と餌は自由に与えられた。
【0115】
分析を行う前に、動物を個別の檻(15cmx12cmx6cm)に置き、遠隔測定プロットが血圧および心拍数の回復を示すまで、その状態を8日間維持させた。データは10分ことに10秒/24時間で標本抽出された。
【0116】
β−シクロデキストリン内にカプセル化されたEVASIN−7aおよびEVASIN−10cの経口投与から得られた結果は、両方のペプチドが任意の高血圧レットで降圧効果を奏すると言うことを示す。EVASIN−7aは9時間の持続時間を示し、5時間後MAPが最大20mmHg減少し、ペプチド投与後および5時間でそれぞれ8mmHg以内であった。EVASIN−10aの場合、作用持続時間は5時間であり、投与後2時間で最大減少値13mmHgを示した。
【実施例10】
【0117】
EVASIN類の生体内分布
マウスでクロラミンT方法にしたがって、125Iラベル付きEVASIN類を静脈投与した結果、これらのペプチドが腎臓に著しく集中されていることが分かった。例えば、125I−EVASIN−10cを静脈注射すると、15分後、このペプチドは肺および肝臓に比べて腎臓で2倍高い濃度(組織グラム当たり)で分布された。ほかの組織および血液で、その放射性ペプチドの濃度は有意に低かった。このような差はほかの組織に比べて腎臓で増加し、その濃度は30分後最高に至り、組織では早く下がるが、腎臓ではより遅く下がり、投与後3時間で最高濃度の約50%を維持した。このような分布プロフィールは、その放射性ペプチドを該ペプチドの濃度より10倍のモル濃度のカプトプリルと共に投与した際に、(カプトプリルなしで)放射性ペプチドにより得られる最高濃度を約30%減少させた。
【0118】
腎臓でのEVASIN類の体内分布および滞留時間の両方は、腎臓に対し良好な選択性を持ち、かつカプトプリルに比べてより長く、組織に対する結合状態を維持した。一方、EVASIN類の腎臓結合での30%減少はアンギオテンシン転換酵素に対するリガンドのためである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛇、特にジャララカ(Bothrops Jararaca)の毒腺から分泌されたペプチド類、バソぺプチダーゼ阻薬、EVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる薬学組成物であって、
a)5〜13のアミノ酸オリゴペプチド類
【表1】

ここで、Pは常にプローリンで、他は、三文字および一文字のコードとして表示されるL−またはD−アミノ酸および誘導体であり得、
【表2】

(E1ピログルタミン酸はN−末端アミノ酸であり;
aa2はアミノ酸で、典型的に式IおよびIIに対してはW,SまたはKであり、式IV〜XIに対してはA,W,S,GまたはNであり;
aa3は典型的に式I〜IIIに対してはW,P,FまたはGであり、式IV〜XIに対してはA,P,G,WまたはRであり;
aa4はアミノ酸で、典型的に式I〜IIIに対してはP,AまたはRであり、式IV〜XIに対してはP,L,Q,A,RまたはWであり;
aa5はアミノ酸で、典型的に式IIおよびIIIに対してはG,RまたはIであり、式IV〜XIに対してはT,P,G,H,R,WまたはEであり;
aa6はアミノ酸で、典型的に式V、VII、VIIIおよびXIに対してはQ,N,P,T,H,RまたはGであり;一般的に式IVに対してはI、A,TまたはYであり;
aa7はアミノ酸で、典型的に式VI、VIIIおよびIXに対してはP,N,Q,GまたはRであり、式V対してはI,A,TまたはYであり;
aa8はアミノ酸で、典型的に式VIIおよびIXに対してはQ,PまたはGであり、式VIに対してはI,A,TまたはYであり;
aa9はアミノ酸で、典型的に式VIIIに対してはP,Q,NまたはGであり、式VIIに対してはI,A,TまたはYであり;
aa10はアミノ酸で、典型的に式IXに対してはQおよびEであり、式VIIIに対してはI,A,TまたはYであり;
aa11は一般的に式IXに対してI,A,TまたはYである。);
b)シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に結合または包含されているか、または一種以上の薬理学的活性剤と結合されている、EVASIN類、それらの類似体または誘導体の包接化合物;
c)リポソームおよび生分解性高分子および/またはそれらの混合物のような放出制御システム内に、マイクロカプセル化されているかまたはされていない、シクロデキストリン類内に含まれているかまたは含まれていないEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなることを特徴とする薬学組成物。
【請求項2】
ペプチド類化合物および/または非ペプチドバソペプチダーゼ阻害薬に基づく薬物および/または製剤を開発するための分子モデルとしてEVASIN7a、10c,11e,12b、それらの類似体および誘導体を用いることを特徴とするEVASIN類、それらの類似体および誘導体の薬学化合物。
【請求項3】
ペプチド類化合物および/または非ペプチド・リガンド作用物質および膜に結合されているアンギオテンシン転換酵素の拮抗物質に基づく薬物および/または製剤を開発するための分子モデルとして、EVASIN7a、10c,11e,12b、それらの類似体および誘導体を用いることを特徴とする配列番号1乃至配列番号595のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる薬学組成物。
【請求項4】
中性エンドペプチダーゼ(ミクロモル範囲のKi)およびアンギオテンシンI転換酵素(ナノモル範囲のKi)に対し特異的な阻害活性を示すことを特徴とする請求項1または2記載のEVASIN類(EVASIN7aを除く)、それらの類似体および誘導体からなる薬学組成物。
【請求項5】
アンギオテンシンI転換酵素のN‐ドメインに比べ、C−末端ドメインに対し50倍乃至400倍より強力な選択的阻害活性を示すことを特徴とする請求項1または2記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる薬学組成物。
【請求項6】
アンギオテンシンI転換酵素のN‐ドメインに比べ、C−末端ドメインに対し50倍乃至400倍より強力に選択的に結合することを特徴とする請求項1または2記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる薬学組成物。
【請求項7】
アンギオテンシンI転換酵素および中性エンドペプチダーゼと類似の阻害活性を示すことを特徴とする請求項1または2記載のEVASIN−7a、その類似体および誘導体からなる薬学組成物。
【請求項8】
血管拡張活性および/または血管保護活性を示すことを特徴とするペプチド類化合物および/または非ペプチド化合物に基づく薬物および/または製剤を開発するための分子モデルとしてEVASIN7a、10c,11e,12b、それらの類似体および誘導体の使用。
【請求項9】
動脈高血圧およびその他の心血管疾病およびそれらの合併症の治療および研究を行うために、リポソームおよび生分解性高分子および/またはそれらの混合物のような放出制御システム内に、マイクロカプセル化されているかまたはされていない、シクロデキストリン類およびそれらの誘導体とEVASIN類、それらの類似体および誘導体との包接化合物または結合物を用いることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる薬学組成物。
【請求項10】
温血動物における急性心筋梗塞、左心室肥大、糖尿病性脈官障害、抹消虚血、狭心症、心筋梗塞後の進行性心不全、アテローム性硬症、腫瘍、糖尿病、精子の運動性、精子形成の阻害、腎症、性的不能、胃腸および婦人科の障害、血管新生、体毛の喪失、血の疾病、血管形成術(血管形成術後再狭窄、血管内プロテアーゼ)の治療および研究を行うために、リポソームおよび生分解性高分子および/またはそれらの混合物のような放出制御システム内に、マイクロカプセル化されているかまたはされていない、シクロデキストリン類およびそれらの誘導体とEVASIN類、それらの類似体および誘導体との包接化合物および結合物を用いることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる薬学組成物。
【請求項11】
アルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシプロピルおよびアシルからなる群から選択されるシクロデキストリン類またはそれらの誘導体またはクロスボンドを有するシクロデキストリン類またはシクロデキストリン高分子類の有機‐水性固体または溶液と、EVASIN類、それらの類似体および誘導体の溶液との、1:1または1:2(モル比)の混合物を特徴とする請求項1または2記載の薬学組成物。
【請求項12】
シクロデキストリン類または、リポソーム、生分解性高分子類、生分解性高分子の誘導体、またはそれらの混合物からなる他の放出制御システムを利用することを特徴とするEVASIN類、それらの類似体または誘導体からなる薬学組成物。
【請求項13】
請求項4記載の、中性エンドペプチダーゼおよびアンギオテンシンI転換酵素に対し特異的な阻害活性を有する薬物および/または製剤を開発するための分子モデルとして、 中性エンドペプチダーゼに対しより低い阻害活性を有し、咳および血管水腫のような二次的な効果の発生率がより低いことを特徴とする配列番号1乃至配列番号595のEVASIN類、それらの類似体および誘導体の使用。
【請求項14】
アルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシプロピルおよびアシルからなる群から選択されるシクロデキストリン類またはそれらの誘導体、またはクロスボンドを有するシクロデキストリン類またはシクロデキストリン高分子類の有機‐水性または固体溶液とEVASIN類、それらの類似体および誘導体の水性または固体溶液との混合物であることを特徴とする、動脈高血圧およびその他の心血管疾病およびそれらの合併症の治療および研究のための薬学組成物。
【請求項15】
アルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシプロピルおよびアシルからなる群から選択されるシクロデキストリン類またはそれらの誘導体、またはクロスボンドを有するシクロデキストリン類またはシクロデキストリン高分子類の有機‐水性または固体溶液と、 EVASIN類、それらの類似体および誘導体の水性または固体溶液との混合物であることを特徴とする、温血動物における急性心筋梗塞、左心室肥大、糖尿病性脈官障害、抹消虚血、狭心症、心筋梗塞後の進行性心不全、アテローム性硬症、腫瘍、糖尿病、精子の運動性、精子形成の阻害、腎症、性的不能、胃腸および婦人科の障害、血管新生、体毛の喪失、血の疾病、血管形成術(血管形成術後再狭窄、血管内プロテアーゼ)の治療および研究のための薬学組成物。
【請求項16】
アルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシプロピルおよびアシルからなる群から選択されるシクロデキストリン類またはそれらの誘導体、またはクロスボンドを有するシクロデキストリン類またはシクロデキストリン高分子類の有機‐水性または固体溶液と、 EVASIN類、それらの類似体および誘導体の水性または固体溶液との混合物であることを特徴とする、オスの避妊に使用するための薬学組成物。
【請求項17】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されている際に、EVASIN類、それらの類似体および誘導体の生物学的利用能が増加することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる薬学組成物。
【請求項18】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されている際に、EVASIN類、それらの類似体および誘導体の持続期間および/または有効性が増加することを特徴とする、請求項1または2記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる薬学組成物。
【請求項19】
高血圧の応急治療のために、ポリエチレングリコルを含有するかまたはしない、水、食塩水、バッファ溶液、リンガー液、ブドウ糖液、ハンクス液、生体適合性食塩水を含む薬学的に許容可能な賦形剤との混合物として用いられることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の経口用薬学組成物。
【請求項20】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されている際に、EVASIN類、それらの類似体および誘導体の生物学的利用能が増加することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる経口用薬学組成物。
【請求項21】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されている際に、EVASIN類、それらの類似体および誘導体の持続期間および/または有効性が増加することを特徴とする、請求項1または2記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる経口用薬学組成物。
【請求項22】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されている際に、EVASIN類、それらの類似体および誘導体の生物学的利用能が増加することを特徴とする、筋肉内、皮下、局所、吸入(肺、鼻腔内、口腔内)投与用の、または移植可能なまたは注射可能な装置としての請求項1から4のいずれか一項に記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる組成物および製剤。
【請求項23】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されているか、またはリポソームおよび生分解性高分子類および/またはそれらの混合物のような放出制御システム内にマイクロカプセル化されているかまたはされていない一種以上の他の薬理学的活性剤と混合または結合されている際に、EVASIN類、それらの類似体および誘導体の生物学的利用能が増加することを特徴とする、筋肉内、皮下、局所、吸入(肺、鼻腔内、口腔内)投与用の、または移植可能なまたは注射可能な装置としての請求項1から4のいずれか一項に記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる組成物および製剤。
【請求項24】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されている際に、EVASIN類、それらの類似体および誘導体の効果持続時間および/または有効性が増加することを特徴とする、筋肉内、皮下、局所、吸入(肺、鼻腔内、口腔内)投与用の、または移植可能なまたは注射可能な装置としての請求項1から4のいずれか一項に記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる組成物および製剤。
【請求項25】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されているか、またはリポソームおよび生分解性高分子類および/またはそれらの混合物のような放出制御システム内にマイクロカプセルか化されているかまたはされていない一種以上の他の薬理学的活性剤と混合または結合されている際に、動脈高血圧およびその他の心血管疾病およびそれらの合併症の治療および研究にEVASIN類、それらの類似体および誘導体を使用することを特徴とする、筋肉内、皮下、局所、吸入(肺、鼻腔内、口腔内)投与用の、または移植可能なまたは注射可能な装置としての、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物および製剤。
【請求項26】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されているか、またはリポソームおよび生分解性高分子類および/またはそれらの混合物のような放出制御システム内にマイクロカプセル化されているかまたはされていない一種以上の他の薬理学的活性剤と結合されている際に、温血動物における急性心筋梗塞、左心室肥大、糖尿病性脈官障害、抹消虚血、狭心症、心筋梗塞後の進行性心不全、アテローム性硬症、腫瘍、糖尿病、精子の運動性、精子形成の阻害、腎症、性的不能、胃腸および婦人科の障害、血管新生、体毛の喪失、血の疾病、血管形成術(血管形成術後再狭窄、血管内プロテアーゼ)の治療および研究にEVASIN類、それらの類似体および誘導体を使用することを特徴とする、筋肉内、皮下、局所、吸入(肺、鼻腔内、口腔内)投与用の、または移植可能なまたは注射可能な装置としての、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物および製剤。
【請求項27】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されているか、またはリポソームおよび生分解性高分子類および/またはそれらの混合物のような放出制御システム内にマイクロカプセル化されているかまたはされていない一種以上の他の薬理学的活性剤と結合されている際に、EVASIN類、それらの類似体および誘導体の生物学的利用能が増加することを特徴とする、筋肉内、皮下、局所、吸入(肺、鼻腔内、口腔内)投与用の、または移植可能なまたは注射可能な装置としての請求項1または2記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる薬学組成物。
【請求項28】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されている際に、EVASIN類、それらの類似体および誘導体の効果持続時間および/または有効性が増加することを特徴とする、筋肉内、皮下、局所、吸入(肺、鼻腔内、口腔内)投与用の、または移植可能なまたは注射可能な装置としての請求項1から4のいずれか一項に記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる薬学組成物。
【請求項29】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されているか、またはリポソームおよび生分解性高分子類および/またはそれらの混合物のような放出制御システム内にマイクロカプセル化されているかまたはされていない一種以上の他の薬理学的活性剤と結合されている際に、EVASIN類、それらの類似体および誘導体の効果持続時間および/または有効性が増加することを特徴とする、筋肉内、皮下、局所、吸入(肺、鼻腔内、口腔内)投与用の、または移植可能なまたは注射可能な装置としての、請求項1から4のいずれか一項に記載のEVASIN類、それらの構造的および立体配置的類似体からなる薬学組成物。
【請求項30】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されているか、またはリポソームおよび生分解性高分子類および/またはそれらの混合物のような放出制御システム内にマイクロカプセル化されているかまたはされていない一種以上の他の薬理学的活性剤と結合されている際に、EVASIN類、それらの類似体および誘導体を使用することを特徴とする、動脈高血圧およびその他の心血管疾病およびそれらの合併症の治療および研究に用いられる、筋肉内、皮下、局所、吸入(肺、鼻腔内、口腔内)投与用の、または移植可能なまたは注射可能な装置としての、請求項1から4のいずれか一項に記載の薬学組成物。
【請求項31】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されているか、またはリポソームおよび生分解性高分子類および/またはそれらの混合物のような放出制御システム内にマイクロカプセル化されているかまたはされていない一種以上の他の薬理学的活性剤と結合されている際に、EVASIN類、それらの類似体および誘導体を使用することを特徴とする、温血動物における急性心筋梗塞、左心室肥大、糖尿病性脈官障害、抹消虚血、狭心症、心筋梗塞後の進行性心不全、アテローム性硬症、腫瘍、糖尿病、精子の運動性、精子形成の阻害、腎症、性的不能、胃腸および婦人科の障害、血管新生、体毛の喪失、血の疾病、血管形成術(血管形成術後再狭窄、血管内プロテアーゼ)の治療および研究に用いられる、筋肉内、皮下、局所、吸入(肺、鼻腔内、口腔内)投与用の、または移植可能なまたは注射可能な装置としての、請求項1から4のいずれか一項に記載の薬学組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛇、特にジャララカ(Bothrops Jararaca)の毒腺から分泌されたペプチド類、バソぺプチダーゼ阻害薬、EVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる薬学組成物であって、
a)5〜13のアミノ酸オリゴペプチド類
配列番号1乃至配列番号103のEVASIN−5、
配列番号104乃至配列番号243のEVASIN−6、
配列番号244乃至配列番号325のEVASIN−7、
配列番号326乃至配列番号422および配列番号595のEVASIN−9、
配列番号423乃至配列番号516のEVASIN−10、
配列番号517乃至配列番号556のEVASIN−11、
配列番号557乃至配列番号589のEVASIN−12、
配列番号590乃至配列番号594のEVASIN−13;
b)シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に結合または包含されているか、または単独にまたは一種以上の薬理学的活性剤と結合されている、EVASIN類、それらの類似体または誘導体の包接化合物;
c)リポソームおよび生分解性高分子および/またはそれらの混合物のような放出制御システム内に、マイクロカプセル化されているかまたはされていない、シクロデキストリン類内に含まれているかまたは含まれていない配列番号1乃至配列番号595のEVASIN類、それらの類似体および誘導体;からなることを特徴とする薬学組成物。
【請求項2】
ペプチド類化合物および/または非ペプチドバソペプチダーゼ阻害薬に基づく薬物および/または製剤を開発するための分子モデルとして配列番号253のEVASIN7a、配列番号472のEVASIN−10c、配列番号555のEVASIN11e、配列番号557のEVASIN12b、それらの類似体および誘導体を用いることを特徴とするEVASIN類、それらの類似体および誘導体の薬学化合物。
【請求項3】
ペプチド類化合物および/または非ペプチド・リガンド作用物質および膜に結合されているアンギオテンシン転換酵素の拮抗物質に基づく薬物および/または製剤を開発するための分子モデルとして、配列番号253のEVASIN7a、配列番号472のEVASIN−10c、配列番号555のEVASIN11e、配列番号557のEVASIN12b、それらの類似体および誘導体を用いることを特徴とする配列番号1乃至配列番号595のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる薬学組成物。
【請求項4】
中性エンドペプチダーゼ(ミクロモル範囲のKi)およびアンギオテンシンI転換酵素(ナノモル範囲のKi)に対し特異的な阻害活性を示すことを特徴とする請求項1または2記載のEVASIN類(配列番号253のEVASIN7aを除く)、それらの類似体および誘導体からなる薬学組成物。
【請求項5】
アンギオテンシンI転換酵素のN‐ドメインに比べ、C−末端ドメインに対し50倍乃至400倍より強力な選択的阻害活性を示すことを特徴とする請求項1または2記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる薬学組成物。
【請求項6】
アンギオテンシンI転換酵素のN‐ドメインに比べ、C−末端ドメインに対し50倍乃至400倍より強力に選択的に結合することを特徴とする請求項1または2記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる薬学組成物。
【請求項7】
アンギオテンシンI転換酵素および中性エンドペプチダーゼと類似の阻害活性を示すことを特徴とする請求項1または2記載の配列番号253のEVASIN−7a、その類似体および誘導体からなる薬学組成物。
【請求項8】
血管拡張活性および/または血管保護活性を示すことを特徴とするペプチド類化合物および/または非ペプチド化合物に基づく薬物および/または製剤を開発するための分子モデルとして配列番号253のEVASIN7a、配列番号472のEVASIN−10c、配列番号555のEVASIN11e、配列番号557のEVASIN12b、それらの類似体および誘導体の使用。
【請求項9】
動脈高血圧およびその他の心血管疾病およびそれらの合併症の治療および研究を行うために、リポソームおよび生分解性高分子および/またはそれらの混合物のような放出制御システム内に、マイクロカプセル化されているかまたはされていない、シクロデキストリン類およびそれらの誘導体とEVASIN類、それらの類似体および誘導体との包接化合物または結合物を用いることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる薬学組成物。
【請求項10】
温血動物における急性心筋梗塞、左心室肥大、糖尿病性脈官障害、抹消虚血、狭心症、心筋梗塞後の進行性心不全、アテローム性硬症、腫瘍、糖尿病、精子の運動性、精子形成の阻害、腎症、性的不能、胃腸および婦人科の障害、血管新生、体毛の喪失、血の疾病、血管形成術(血管形成術後再狭窄、血管内プロテアーゼ)の治療および研究を行うために、リポソームおよび生分解性高分子および/またはそれらの混合物のような放出制御システム内に、マイクロカプセル化されているかまたはされていない、シクロデキストリン類およびそれらの誘導体とEVASIN類、それらの類似体および誘導体との包接化合物および結合物を用いることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる薬学組成物。
【請求項11】
アルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシプロピルおよびアシルからなる群から選択されるシクロデキストリン類またはそれらの誘導体またはクロスボンドを有するシクロデキストリン類またはシクロデキストリン高分子類の有機‐水性固体または溶液と、EVASIN類、それらの類似体および誘導体の溶液との、1:1または1:2(モル比)の混合物を特徴とする請求項1または2記載の薬学組成物。
【請求項12】
シクロデキストリン類または、リポソーム、生分解性高分子類、生分解性高分子の誘導体、またはそれらの混合物からなる他の放出制御システムを利用することを特徴とする配列番号1乃至配列番号595のEVASIN類、それらの類似体または誘導体からなる薬学組成物。
【請求項13】
請求項4記載の、中性エンドペプチダーゼおよびアンギオテンシンI転換酵素に対し特異的な阻害活性を有する薬物および/または製剤を開発するための分子モデルとして、 中性エンドペプチダーゼに対しより低い阻害活性を有し、咳および血管水腫のような二次的な効果の発生率がより低いことを特徴とする配列番号1乃至配列番号595のEVASIN類、それらの類似体および誘導体の使用。
【請求項14】
アルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシプロピルおよびアシルからなる群から選択されるシクロデキストリン類またはそれらの誘導体、またはクロスボンドを有するシクロデキストリン類またはシクロデキストリン高分子類の有機‐水性または固体溶液と、 配列番号1乃至配列番号595のEVASIN類、それらの類似体および誘導体の水性または固体溶液との混合物であることを特徴とする、動脈高血圧およびその他の心血管疾病およびそれらの合併症の治療および研究のための薬学組成物。
【請求項15】
アルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシプロピルおよびアシルからなる群から選択されるシクロデキストリン類またはそれらの誘導体、またはクロスボンドを有するシクロデキストリン類またはシクロデキストリン高分子類の有機‐水性または固体溶液と、 配列番号1乃至配列番号595のEVASIN類、それらの類似体および誘導体の水性または固体溶液との、1:1または1:2(モル比)の混合物であることを特徴とする、温血動物における急性心筋梗塞、左心室肥大、糖尿病性脈官障害、抹消虚血、狭心症、心筋梗塞後の進行性心不全、アテローム性硬症、腫瘍、糖尿病、精子の運動性、精子形成の阻害、腎症、性的不能、胃腸および婦人科の障害、血管新生、体毛の喪失、血の疾病、血管形成術(血管形成術後再狭窄、血管内プロテアーゼ)の治療および研究のための薬学組成物。
【請求項16】
アルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシプロピルおよびアシルからなる群から選択されるシクロデキストリン類またはそれらの誘導体、またはクロスボンドを有するシクロデキストリン類またはシクロデキストリン高分子類の有機‐水性または固体溶液と、 配列番号1乃至配列番号595のEVASIN類、それらの類似体および誘導体の水性または固体溶液との、1:1または1:2(モル比)の混合物であることを特徴とする、オスの避妊に使用するための薬学組成物。
【請求項17】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されている際に、EVASIN類、それらの類似体および誘導体の生物学的利用能が増加することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる薬学組成物。
【請求項18】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されている際に、EVASIN類、それらの類似体および誘導体の持続期間および/または有効性が増加することを特徴とする、請求項1または2記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる薬学組成物。
【請求項19】
高血圧の応急治療のために、ポリエチレングリコルを含有するかまたはしない、水、食塩水、バッファ溶液、リンガー液、ブドウ糖液、ハンクス液、生体適合性食塩水を含む薬学的に許容可能な賦形剤との混合物として用いられることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の経口用薬学組成物。
【請求項20】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されている際に、EVASIN類、それらの類似体および誘導体の生物学的利用能が増加することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる経口用薬学組成物。
【請求項21】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されている際に、EVASIN類、それらの類似体および誘導体の持続期間および/または有効性が増加することを特徴とする、請求項1または2記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる経口用薬学組成物。
【請求項22】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されている際に、EVASIN類、それらの類似体および誘導体の生物学的利用能が増加することを特徴とする、筋肉内、皮下、局所、吸入(肺、鼻腔内、口腔内)投与用の、または移植可能なまたは注射可能な装置としての請求項1から4のいずれか一項に記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる組成物および製剤。
【請求項23】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されているか、またはリポソームおよび生分解性高分子類および/またはそれらの混合物のような放出制御システム内にマイクロカプセル化されているかまたはされていない一種以上の他の薬理学的活性剤と混合または結合されている際に、EVASIN類、それらの類似体および誘導体の生物学的利用能が増加することを特徴とする、筋肉内、皮下、局所、吸入(肺、鼻腔内、口腔内)投与用の、または移植可能なまたは注射可能な装置としての請求項1から4のいずれか一項に記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる組成物および製剤。
【請求項24】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されている際に、EVASIN類、それらの類似体および誘導体の効果持続時間および/または有効性が増加することを特徴とする、筋肉内、皮下、局所、吸入(肺、鼻腔内、口腔内)投与用の、または移植可能なまたは注射可能な装置としての請求項1から4のいずれか一項に記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる組成物および製剤。
【請求項25】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されているか、またはリポソームおよび生分解性高分子類および/またはそれらの混合物のような放出制御システム内にマイクロカプセルか化されているかまたはされていない一種以上の他の薬理学的活性剤と混合または結合されている際に、動脈高血圧およびその他の心血管疾病およびそれらの合併症の治療および研究にEVASIN類、それらの類似体および誘導体を使用することを特徴とする、筋肉内、皮下、局所、吸入(肺、鼻腔内、口腔内)投与用の、または移植可能なまたは注射可能な装置としての、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物および製剤。
【請求項26】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されているか、またはリポソームおよび生分解性高分子類および/またはそれらの混合物のような放出制御システム内にマイクロカプセル化されているかまたはされていない一種以上の他の薬理学的活性剤と結合されている際に、温血動物における急性心筋梗塞、左心室肥大、糖尿病性脈官障害、抹消虚血、狭心症、心筋梗塞後の進行性心不全、アテローム性硬症、腫瘍、糖尿病、精子の運動性、精子形成の阻害、腎症、性的不能、胃腸および婦人科の障害、血管新生、体毛の喪失、血の疾病、血管形成術(血管形成術後再狭窄、血管内プロテアーゼ)の治療および研究にEVASIN類、それらの類似体および誘導体を使用することを特徴とする、筋肉内、皮下、局所、吸入(肺、鼻腔内、口腔内)投与用の、または移植可能なまたは注射可能な装置としての、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物および製剤。
【請求項27】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されているか、またはリポソームおよび生分解性高分子類および/またはそれらの混合物のような放出制御システム内にマイクロカプセル化されているかまたはされていない一種以上の他の薬理学的活性剤と結合されている際に、EVASIN類、それらの類似体および誘導体の生物学的利用能が増加することを特徴とする、筋肉内、皮下、局所、吸入(肺、鼻腔内、口腔内)投与用の、または移植可能なまたは注射可能な装置としての請求項1または2記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる薬学組成物。
【請求項28】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されている際に、EVASIN類、それらの類似体および誘導体の効果持続時間および/または有効性が増加することを特徴とする、筋肉内、皮下、局所、吸入(肺、鼻腔内、口腔内)投与用の、または移植可能なまたは注射可能な装置としての請求項1から4のいずれか一項に記載のEVASIN類、それらの類似体および誘導体からなる薬学組成物。
【請求項29】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されているか、またはリポソームおよび生分解性高分子類および/またはそれらの混合物のような放出制御システム内にマイクロカプセル化されているかまたはされていない一種以上の他の薬理学的活性剤と結合されている際に、EVASIN類、それらの類似体および誘導体の効果持続時間および/または有効性が増加することを特徴とする、筋肉内、皮下、局所、吸入(肺、鼻腔内、口腔内)投与用の、または移植可能なまたは注射可能な装置としての、請求項1から4のいずれか一項に記載のEVASIN類、それらの構造的および立体配置的類似体からなる薬学組成物。
【請求項30】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されているか、またはリポソームおよび生分解性高分子類および/またはそれらの混合物のような放出制御システム内にマイクロカプセル化されているかまたはされていない一種以上の他の薬理学的活性剤と結合されている際に、EVASIN類、それらの類似体および誘導体を使用することを特徴とする、動脈高血圧およびその他の心血管疾病およびそれらの合併症の治療および研究に用いられる、筋肉内、皮下、局所、吸入(肺、鼻腔内、口腔内)投与用の、または移植可能なまたは注射可能な装置としての、請求項1から4のいずれか一項に記載の薬学組成物。
【請求項31】
シクロデキストリン類またはそれらの誘導体内に含まれているか、または単独にまたは混合物の形態で、薬学的に許容可能な賦形剤および/または担体中に包含または結合されているか、またはリポソームおよび生分解性高分子類および/またはそれらの混合物のような放出制御システム内にマイクロカプセル化されているかまたはされていない一種以上の他の薬理学的活性剤と結合されている際に、EVASIN類、それらの類似体および誘導体を使用することを特徴とする、温血動物における急性心筋梗塞、左心室肥大、糖尿病性脈官障害、抹消虚血、狭心症、心筋梗塞後の進行性心不全、アテローム性硬症、腫瘍、糖尿病、精子の運動性、精子形成の阻害、腎症、性的不能、胃腸および婦人科の障害、血管新生、体毛の喪失、血の疾病、血管形成術(血管形成術後再狭窄、血管内プロテアーゼ)の治療および研究に用いられる、筋肉内、皮下、局所、吸入(肺、鼻腔内、口腔内)投与用の、または移植可能なまたは注射可能な装置としての、請求項1から4のいずれか一項に記載の薬学組成物。

【公表番号】特表2006−517520(P2006−517520A)
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−557689(P2004−557689)
【出願日】平成15年12月9日(2003.12.9)
【国際出願番号】PCT/BR2003/000192
【国際公開番号】WO2004/052273
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(503339487)バイオラブ サナス ファーマシューティカ リミターダ (1)
【Fターム(参考)】