説明

蛇腹式テント

【課題】 ガレージや物置や温室等として用いられる蛇腹式テントに於て、組立部品化できて運搬したり保管したりし易い様にする。
【解決手段】 天井部5と支柱6を備えた複数の門型枠体2と、各門型枠体2を前後方向に伸縮可能に連結する伸縮手段3とを具有した蛇腹式テント1に於て、前記門型枠体2と伸縮手段3とを着脱可能に取付ける着脱手段4を設ける。門型枠体2は、天井部5と支柱6とが着脱可能で且つ旋回可能に嵌合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばガレージや物置や温室や通路等として用いられる蛇腹式テントの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の蛇腹式テントとしては、例えば天井部と支柱を備えた複数の門型枠体と、各門型枠体を前後方向に伸縮可能に連結する伸縮手段とを具有したものが知られている(特許文献1〜9参照)。
【0003】
【特許文献1】特開昭49−38418号公報
【特許文献2】実開昭51−158133号公報
【特許文献3】実公昭60−9340号公報
【特許文献4】実公昭61−36706号公報
【特許文献5】実公昭60−17472号公報
【特許文献6】実公平2−34369号公報
【特許文献7】実開平3−115778号公報
【特許文献8】実開平7−34168号公報
【特許文献9】特開平9−195586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の何れのものも、門型枠体と伸縮手段とが簡単に分離できない様に構成されていたので、容積と重量が非常に大きくなり、容易に運搬したり保管する事ができなかった。例えば門型枠体や伸縮手段という様に組立部品(アッセンブリ)化して運搬したり保管したりする事が難しかった。
【0005】
本発明は、叙上の問題点に鑑み、これを解消する為に創案されたもので、その課題とする処は、組立部品化できて運搬したり保管したりし易い様にした蛇腹式テントを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の蛇腹式テントは、基本的には、天井部と支柱を備えた複数の門型枠体と、各門型枠体を前後方向に伸縮可能に連結する伸縮手段とを具有した蛇腹式テントに於て、前記門型枠体と伸縮手段とを着脱可能に取付ける着脱手段を設けた事に特徴が存する。
【0007】
蛇腹式テントの膜体が外された後に、門型枠体と伸縮手段とが着脱手段に依り離脱されると、これらが分離されて各門型枠体や各伸縮手段毎に一纏めにされて所謂組立部品化される。従って、蛇腹式テント全体に比べて容積及び重量が小さくなるので、それだけ運搬したり保管したりし易くなる。
門型枠体と伸縮手段とが着脱手段に依り装着されると、これらが合体されてその外側に膜体が覆い被せられ、蛇腹式テントにされる。そして、蛇腹式テントの各門型枠体が伸縮手段に依り前後方向に伸縮されると、膜体も拡縮されて所定の空間が形成される。
【0008】
門型枠体は、天井部と支柱とが着脱可能で且つ旋回可能に嵌合されているのが好ましい。この様にすれば、天井部と支柱とが着脱可能であるので、門型枠体を天井部と支柱とに分離できる。天井部と支柱とが旋回可能に嵌合されているので、蛇腹式テントを平面に於て扇形に彎曲でき、直線だけでなく曲線の通路(空間)を形成する事ができる。
【0009】
伸縮手段は、各門型枠体の支柱間に配されて交点が枢軸に依り回転可能に枢結された複数のX型リンクと、各X型リンクの上端に回転可能に設けられた上枢軸と、各X型リンクの下端に回転可能に設けられた下枢軸と、上枢軸と下枢軸の何れか一方に設けられた環体と、各支柱の上下方向に沿って配されて環体が遊嵌される案内杆とを備えているのが好ましい。この様にすれば、環体と案内杆から成るスライド部分を極めて簡単に構成する事ができ、製作が容易でコストの低減を図る事ができる。蛇腹式テントを扇形に彎曲させる場合、環体と案内杆とが遊嵌されているので、これが容易に行える。
【0010】
着脱手段は、上枢軸と下枢軸の何れか他方に設けられた第一ブラケットと、案内杆に設けられた第二ブラケットと、両ブラケットを門型枠体の支柱に着脱可能に締結する締結具とを備えているのが好ましい。この様にすれば、ブラケットを二つにしたので、単一にした場合に比べてその全長を短くでき、それだけ重量を軽減できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に依れば、次の様な優れた効果を奏する事ができる。
(1) 天井部と支柱を備えた複数の門型枠体と、各門型枠体を前後方向に伸縮可能に連結する伸縮手段とを具有した蛇腹式テントに於て、前記門型枠体と伸縮手段とを着脱可能に取付ける着脱手段を設けたので、門型枠体と伸縮手段とを容易に分離する事ができ、これらを組立部品として個別に運搬したり保管したりする事ができる。
(2) 着脱手段を設けるだけであるので、構造が簡単でコストが余り掛からず、既存のものへも容易に適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の蛇腹式テントを示す正面図。図2は、図1の側面図。図3は、伸長状態を示す側面図。図4は、要部を拡大して示す正面図。図5は、扇形にした状態を示す平面図。図6は、分離状態を示す正面図である。
【0013】
蛇腹式テント1は、門型枠体2、伸縮手段3、着脱手段4とからその主要部が構成されている。
【0014】
門型枠体2は、天井部5と支柱6を備えて前後方向に配された複数のもので、この例では、天井部5と、これの両端から垂下された左右の支柱6と、これらの下部に設けられた車輪7とを備えて居り、七つのものが前後方向に配されている。
門型枠体2は、天井部5と支柱6とが着脱可能で且つ旋回可能に嵌合されている。
【0015】
天井部5は、最外端(前後方向に於ける最外端)に位置する前後のものが、丸パイプ製の弧状材8と、これらの下部同士を連結する角パイプ製の梁材9と、これらの中央同士を連結するパイプ製の縦材10と、梁材9の下側に付設されてこれと略同長のカーテンレール11とを備えていると共に、それ以外のものが、弧状材8だけで構成されている。
支柱6は、角パイプ製にしてあり、上部には、天井部5の下端部を受け止める為の受止具12と、天井部5の下端部を固定する為の固定具13とが設けられていると共に、下部には、矩形状の座板14が設けられている。受止具12は、支柱6の上部寄りの部分を貫通して穿設されたボルト穴と、これに挿通されるボルトと、これに螺合されるナットとを備えている。固定具13は、支柱6の上部内側(左右方向に於ける内側)に穿設されたボルト穴と、これに連通すべく支柱6に溶接されたナットと、これに螺合されてボルト穴を介して支柱6内に嵌合された天井部5の下端部に当合し得るボルトとを備えている。
車輪7は、支柱6の座板14の下部に設けられて居り、路面上を転動し得る旋回可能なキャスタにしてあり、最外端に位置する前後のものは、ブレーキ付きにしてある。
【0016】
而して、各門型枠体2の外側には、膜体(テントシート)15が覆い被せられると共に、カーテンレール11には、カーテン16が吊り下げられる。
【0017】
伸縮手段3は、各門型枠体2を前後方向に伸縮可能に連結するもので、この例では、各門型枠体2の支柱6間に配されて交点が枢軸17に依り回転可能に枢結された複数のX型リンク18と、各X型リンク18の上端に回転可能に設けられた上枢軸19と、各X型リンク18の下端に回転可能に設けられた下枢軸20と、上枢軸19と下枢軸20の何れか一方に設けられた環体21と、各支柱6の上下方向に沿って配されて環体21が遊嵌される案内杆22とを備えている。
【0018】
X型リンク18は、二つの丸パイプ製のリンクがX型にされてその交点が枢軸(ボルトと袋ナット)17に依り枢結されたものが左右に六つづつ設けられている。各リンクの両端部は、プレス加工に依り扁平にされている。
各X型リンク17の上端のうち最外端に位置する前後のものは、上枢軸(頭部なしボルトと袋ナット)19が回転可能に設けられていると共に、これ以外のものは、隣接するものどうしが重ねられて同一の上枢軸19に依り枢結されている。各X型リンク17の下端のうち最外端に位置する前後のものは、下枢軸(植付けボルトとカラーと袋ナット)20が回転可能に設けられていると共に、これ以外のものは、隣接するものどうしが重ねられて同一の下枢軸20に依り枢結されている。
環体21は、アイナットにしてあり、各X型リンク18の上端に設けられた上枢軸19(頭部なしボルト)に螺合して取付けられている。
案内杆22は、略コ型を呈し、丸棒を折曲して作製してある。
【0019】
着脱手段4は、門型枠体2と伸縮手段3とを着脱可能に取付けるもので、この例では、上枢軸19と下枢軸20の何れか他方に設けられた第一ブラケット23と、案内杆22に設けられた第二ブラケット24と、両ブラケット23,24を門型枠体2の支柱6に着脱可能に締結する締結具25とを備えている。
【0020】
第一ブラケット23は、短尺な板状を呈し、門型枠体2の支柱6の下側内面(左右方向に於ける内面)に位置されると共に、その内面には下枢軸(植付けボルト)20が溶接に依り植設されている。
第二ブラケット24は、案内杆22より長尺な板状を呈し、門型枠体2の支柱6の上側内面に位置されると共に、その内面には予め環体21が挿通された案内杆22の両端が溶接に依り固定されている。
締結具25は、第一ブラケット23及び第二ブラケット24に穿設された上下一対のボルト穴と、各支柱6の下部及び上部に螺設された夫々上下一対の螺孔と、各ボルト穴に挿通されてこれに対応する螺孔に螺合されるボルトとを備えている。
【0021】
蛇腹式テント1は、この他に、伸長状態を保つ為の伸長保持手段26を備えている。
伸長保持手段26は、この例では、最外端に位置する前後の門型枠体2の支柱6とこれに隣接する支柱6との間に介設されて居り、倒立略U型を呈する丸パイプ製の保持杆27と、支柱6の内面に溶接に依り設けられて保持杆27の両端が着脱可能に嵌合される丸パイプ製の受筒28とを備えている。
【0022】
次に、この様な構成に基づいてその作用を述解する。
図6に示す如く、膜体15とカーテン16が取り外された後に、門型枠体2と伸縮手段3とが着脱手段4に依り離脱されると、これらが分離される。つまり、着脱手段4の締結具(ボルト)25を外すと、門型枠体2の支柱6から第一ブラケット23と第二ブラケット24が外れるので、門型枠体2から左右の伸縮手段3が分離される。
加えて、門型枠体2の固定具(ボルト)13を緩めると、門型枠体2の天井部5と左右の支柱6とを分離する事ができる。
従って、蛇腹式テント1は、膜体15とカーテン16を除いた場合、門型枠体2の天井部5と、門型枠体2の左右の支柱6と、左右の伸縮手段3という様に分離されてこれらが夫々一纏めにされて所謂組立部品化される。
分離後の各組立部品は、容積及び重量が小さくなるので、それだけ運搬したり保管したりし易くなる。
【0023】
図1乃至図4に示す如く、門型枠体2と伸縮手段3とが着脱手段4に依り装着されると、これらが合体され、各門型枠体2の外側に膜体15が覆い被せられると共に、カーテンレール11にカーテン16が吊下げられて蛇腹式テント1にされる。
各門型枠体2が伸縮手段3に依り前後方向に伸縮されると、膜体15も拡縮されて所定の空間が形成される。この時、各門型枠体2は、車輪7を備えているので、伸縮移動が容易に行える。
【0024】
図5に示す如く、左右のうちの一方の伸縮手段3を短縮状態にすると共に、他方の伸縮手段3を伸長状態にすると、各門型枠体2を平面から見て扇形に彎曲させる事ができる。この時、門型枠体2の天井部5と支柱6とが旋回可能に嵌合されていると共に、伸縮手段3のX型リンク18が丸パイプにされてこれらが線接触する様にしてあり、然も、環体21と案内杆22とが遊嵌されて所謂スライド部分がルーズにしてあるので、前記彎曲が円滑に行われる。
【0025】
蛇腹式テント1は、車輪(キャスタ)8を備えているので、使用時には伸長させると共に、不使用時には収縮させて適宜の保管場所に移動する事ができる。
蛇腹式テント1は、膜体15やカーテン16を透明なものにすれば、温室として利用する事ができる。
【0026】
尚、門型枠体2は、先の例では、七つであったが、これに限らず、例えばこれ以外の複数でも良い。
伸縮手段3は、先の例では、環体21と案内杆22とから成るスライド部分を支柱6の上側に配置したが、これに限らず、例えば下側でも良い。
着脱手段4は、先の例では、第一ブラケット23と第二ブラケット24とに分けていたが、これに限らず、例えばこれらを一体に形成しても良い。
着脱手段4は、先の例では、ボルト等の締結具25を用いたが、これに限らず、例えばワンタッチで係脱できる係脱具を用いても良い。
車輪7は、先の例では、キャスタであったが、これに限らず、例えばレールに案内されてこの上を転動する軌道輪でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の蛇腹式テントを示す正面図。
【図2】図1の側面図。
【図3】伸長状態を示す側面図。
【図4】要部を拡大して示す正面図。
【図5】扇形にした状態を示す平面図。
【図6】分離状態を示す正面図。
【符号の説明】
【0028】
1…蛇腹式テント、2…門型枠体、3…伸縮手段、4…着脱手段、5…天井部、6…支柱、7…車輪、8…弧状材、9…梁材、10…縦材、11…カーテンレール、12…受止具、13…固定具、14…座板、15…膜体、16…カーテン、17…枢軸、18…X型リンク、19…上枢軸、20…下枢軸、21…環体、22…案内杆、23…第一ブラケット、24…第二ブラケット、25…締結具、26…伸長保持手段、27…保持杆、28…受筒。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井部と支柱を備えた複数の門型枠体と、各門型枠体を前後方向に伸縮可能に連結する伸縮手段とを具有した蛇腹式テントに於て、前記門型枠体と伸縮手段とを着脱可能に取付ける着脱手段を設けた事を特徴とする蛇腹式テント。
【請求項2】
門型枠体は、天井部と支柱とが着脱可能で且つ旋回可能に嵌合されている請求項1に記載の蛇腹式テント。
【請求項3】
伸縮手段は、各門型枠体の支柱間に配されて交点が枢軸に依り回転可能に枢結された複数のX型リンクと、各X型リンクの上端に回転可能に設けられた上枢軸と、各X型リンクの下端に回転可能に設けられた下枢軸と、上枢軸と下枢軸の何れか一方に設けられた環体と、各支柱の上下方向に沿って配されて環体が遊嵌される案内杆とを備えている請求項1に記載の蛇腹式テント。
【請求項4】
着脱手段は、上枢軸と下枢軸の何れか他方に設けられた第一ブラケットと、案内杆に設けられた第二ブラケットと、両ブラケットを門型枠体の支柱に着脱可能に締結する締結具とを備えている請求項1に記載の蛇腹式テント。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−56464(P2007−56464A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−239955(P2005−239955)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【出願人】(500094381)株式会社サンエープロテント (24)
【Fターム(参考)】