説明

蛇行修正方法、蛇行修正装置、両面粘着テープの製造方法及び両面粘着テープの製造装置

【課題】本発明は、長尺状のシートの蛇行を修正することができる蛇行修正方法を提供する。
【解決手段】 本発明の蛇行修正方法は、塗布乾燥層1c、1dが形成されている長尺状の中間シート1の蛇行を修正する蛇行修正方法であって、乾燥炉4内に中間シート1を挟んだ両側位置にガス供給部材5を配設し、このガス供給部材5からガスを中間シート1に向かって吹き付けると共に、蛇行検知手段6によって中間シート1の幅方向における適正移行位置Bからのずれを検出し、この検出されたずれに基づいてガス供給部材5を変位させて、ガス供給部材5から放出されたガスが中間シート1の表面において中間シート1が適正移行位置Bに修正、移動される方向に気流を生じさせて中間シート1を適正移行位置Bに復帰するように移動させて蛇行を修正することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛇行修正方法、蛇行修正装置、両面粘着テープの製造方法及び両面粘着テープの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基材シートの両面に粘着剤層が積層一体化されてなる両面粘着テープ、基材シートの両面に磁性層が積層一体化されてなる磁気テープ、又は、基材シートの両面に電極層が積層一体化されてなる電極シートを製造する場合、両面粘着テープ、磁気テープ又は電極シートを構成する基材シートを連続的に巻き出し、この基材シートの両面に粘着剤層、磁性層又は電極層を形成する塗布組成物を塗布した後、基材シートを乾燥炉に供給して基材シートの両面に熱風などのガスを吹き付けて乾燥させることによって製造されている。
【0003】
しかしながら、巻きだされた基材シートはそれ自体が有している巻き癖の他、乾燥炉内におけるガスの影響や、乾燥炉内での基材シートの張り具合や、基材シートをガイドしているガイドロールの軸芯のずれなどの影響を受けて基材シートがその幅方向に蛇行してしまい、乾燥炉から排出された基材シートに対して行われる処理を正確に行うことができないという問題点がある。
【0004】
そこで、特許文献1には、長尺体をガイド部材によって所定方向へ案内するに際し、このガイド部材と前記長尺体との間の摩擦係数が小さい場合には、前記長尺体が前記ガイド部材の中心軸線に沿う方向で正規の位置から外れようとするときに、この外れる方向にある前記ガイド部材の一端部を長尺体案内方向の上流側に、前記の外れた方向とは反対側にある前記ガイド部材の他端部を長尺体案内方向の下流側に夫々向けるように、前記ガイド部材を回転させて位置調整する、長尺体案内方向の修正方法が開示されている。
【0005】
上記長尺体案内方向の修正方法は、長尺体の蛇行方向に対応してガイド部材を回転させて位置調整し、ガイド部材と長尺体との間に生じる摩擦力を利用して長尺体の蛇行を修正している。
【0006】
しかしながら、上述のように、長尺体の蛇行を長尺体とガイド部材との間に生じる摩擦力を利用していることから、長尺体の両面に形成した磁性層に傷が付く虞れがあり、更に、長尺体の両面に形成した層が粘着剤層である場合には、ガイド部材に粘着剤層が貼着してしまうことから、上記長尺体案内方向の修正方法自体を用いることができないという問題点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−271162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、長尺状のシートの両面に塗布組成物を塗布して形成された塗布層を傷付けることなく乾燥させながらシートの蛇行を修正することができる蛇行修正方法及びこの蛇行修正方法を用いた両面粘着テープの製造方法、並びに、蛇行修正装置及びこの蛇行修正装置を用いた両面粘着テープの製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の蛇行修正方法は、両面に塗布組成物が塗布されて塗布層が形成されている長尺状の中間シートを乾燥炉内に移行、供給して上記中間シートの両面にガスを吹き付けることによって上記塗布層を乾燥させて塗布乾燥層とされた上で上記乾燥炉から排出された上記中間シートの蛇行を修正する蛇行修正方法であって、上記乾燥炉内に上記中間シートを挟んだ両側位置にガス供給部材を配設し、このガス供給部材からガスを上記中間シートに向かって吹き付けると共に、上記ガス供給部材における上記中間シートの移行方向の下流側に配設した蛇行検知手段によって上記中間シートの幅方向における適正移行位置からのずれを検出し、この検出されたずれに基づいて上記ガス供給部材を変位させて、上記ガス供給部材から放出されたガスが上記中間シートの表面において上記中間シートが適正移行位置に修正、移動される方向に気流を生じさせて上記中間シートを適正移行位置に復帰するように移動させて蛇行を修正することを特徴とする。
【0010】
又、本発明の両面粘着テープの製造方法は、上記蛇行修正方法を用いて乾燥炉から排出された中間シートを一対の貼合ロールに供給すると共にこれらの貼合ロール間に基材シートを供給して上記中間シートの一面に形成された塗布乾燥層上に基材シートを積層一体化させると共に上記中間シートの他面に形成された塗布乾燥層を剥離除去して積層シートを製造し、この積層シートを巡回させて再度、上記一対の貼合ロール間に供給して、後続して上記貼合ロール間に供給される中間シートの他面に形成された塗布乾燥層を上記積層シートの基材シートに転写一体化させた上で上記貼合ロールから両面粘着テープとして排出することを特徴とする。
【0011】
更に、本発明の蛇行修正装置は、中間シートを巻き出すための中間シート巻き出しロールと、この中間シートの一面に塗布組成物を塗布するための第一塗布装置と、上記中間シートの他面に塗布組成物を塗布するための第二塗布装置と、両面に塗布組成物が塗布されて塗布層が形成されてなる中間シートの塗布層を乾燥させるための乾燥炉と、この乾燥炉内において上記中間シートを挟んだ両側位置に配設されたガス供給部材と、このガス供給部材における上記中間シートの移行方向の下流側に配設され且つ上記中間シートの幅方向における適正移行位置からのずれを検出する蛇行検知手段と、この蛇行検知手段で検出されたずれに基づいて上記ガス供給部材を変位させて、上記ガス供給部材から放出されたガスが上記中間シートの表面において上記中間シートが適正移行位置に修正、移動される方向に気流を生じさせて上記中間シートを適正移行位置に復帰するように移動させる制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0012】
そして、本発明の両面粘着テープの製造装置は、上記蛇行修正装置と、基材シートを巻き出すための基材シート巻き出しロールと、上記蛇行修正装置の乾燥炉から排出されて中間シートの一面の塗布層を乾燥させて形成された塗布乾燥層上に上記基材シートを積層一体化させ且つ上記中間シートの他面の塗布層を乾燥させて形成された塗布乾燥層を剥離除去して積層シートを排出すると共にこの排出された積層シートが供給されて、この積層シートの基材シート上に上記中間シートの他面の塗布乾燥層を転写一体化させるための貼合ロールとを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の蛇行修正方法は、上述の構成を有しており、蛇行検出手段によって検出された中間シートの幅方向におけるずれを乾燥炉内に配設したガス供給部材を変位させることによって、ガス供給部材から放出された熱風などのガスが上記中間シートの表面において上記中間シートが適正移行位置に修正、移動される方向に気流を生じさせるようにし、このガスの気流によって中間シートを蛇行方向とは逆の方向に移動させて適正移行位置に復帰するようにして、中間シートの両面に形成された塗布層に接触することなく中間シートの蛇行を修正していることから、中間シートの両面に形成された塗布層及びこの塗布層を乾燥させて得られる塗布乾燥層が傷付くようなことはなく、高品質な塗布乾燥層が積層一体化されてなる中間シートを得ることができる。
【0014】
そして、上記蛇行修正方法において、ガス供給部材を構成している筐体における中間シートの対向面に形成されたガス吹出口からガスを上記中間シートに対して吹き付けると共に、上記ガス供給部材を変位させることによって、中間シートの幅方向の何れか一方の端部とこの端部に対向するガス供給部材の筐体との隙間を、中間シートの幅方向の他方の端部とこの端部に対向するガス供給部材の筐体との隙間に対して相対的に狭くして、上記中間シートとこの中間シートに対向するガス供給部材の筐体との隙間が狭い端部方向から広い端部方向に向かって流れる気流を生じさせている場合には、ガス供給部材を変位させることによって、ガス供給部材の筐体と中間シートとの間に形成された空間内において、中間シートを蛇行状態から適正移行位置に復帰させる方向に作用するガスの気流を生じさせており、ガス供給部材の変位という簡単な操作でもって中間シートの蛇行をより容易に修正することができる。
【0015】
更に、上記蛇行修正方法において、ガス供給部材のガス吹出口は中間シートの幅方向に延びるスリット状に形成されており、上記中間シートにその幅方向の全長に亘ってガスを吹き付けている場合には、ガス供給部材の筐体と中間シートとの間に形成された空間内において、中間シートを蛇行状態から適正移行位置に復帰させる方向に作用するガスの気流を中間シートの全幅に亘って発生させることができ、中間シートの蛇行をより容易に且つ正確に行うことができる。
【0016】
そして、上記蛇行修正方法において、ガス供給部材の筐体における中間シートに対向する面を上記中間シートの表面に対して相対的に傾斜させるように変位させている場合には、ガス供給部材の筐体の変位を容易に且つ高精度に行うことができ、中間シートの蛇行をより容易に且つ正確に行うことができる。
【0017】
又、上記蛇行修正方法において、塗布組成物が粘着剤溶液である場合には、中間シートの両面に形成された塗布層を乾燥させて形成された塗布乾燥層は粘着性を有しているものの、上述のように、本発明の蛇行修正方法は、中間シートに非接触状態にて中間シートの蛇行の修正を行うことができ、よって、両面に粘着性を有する塗布乾燥層を有する中間シートであっても、その蛇行を確実に修正することができる。
【0018】
更に、上記蛇行修正方法において、中間シートの両面に離型処理が施されている場合には、蛇行修正方法にて蛇行が修正された中間シートをその後の工程に蛇行のない状態にて移行させて両面粘着テープの製造などを精度良く円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の蛇行修正装置を含む両面粘着テープの製造装置を示した模式側面図である。
【図2】ガス供給部材の一例を示した斜視図である。
【図3】蛇行した中間シートと適正移行位置との位置関係を示した模式平面図である。
【図4】ガス供給部材を変位させた状態を示した模式図である。
【図5】ガス供給部材を変位させた状態を示した模式図である。
【図6】ガス供給部材を変位させた状態を示した模式図である。
【図7】ガス供給部材を変位させた状態を示した模式図である。
【図8】貼合ロール間に供給された中間シート及び積層シートの状態を示した模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に本発明の実施例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。先ず、本発明の蛇行修正方法で用いられる蛇行修正装置Aについて説明する。
【0021】
図1に示したように、蛇行修正装置Aは、巻回状態の長尺状の中間シート1を連続的に巻き出すための中間シート巻き出しロール1aと、この中間シート1の一面に塗布組成物を塗布するための第一塗布装置2と、上記中間シート1の他面に塗布組成物を塗布するための第二塗布装置3と、両面に塗布組成物が塗布されて塗布層が形成されてなる中間シート1の塗布層を乾燥させるための乾燥炉4と、この乾燥炉4内において上記中間シート1を挟んだ両側位置に配設されたガス供給部材5と、このガス供給部材5における上記中間シート1の中間シート1の移行方向の下流側に配設され且つ上記中間シートの幅方向における適正移行位置からのずれを検出する蛇行検知手段6と、この蛇行検知手段6で検出されたずれに基づいて上記ガス供給部材を変位させて、上記ガス供給部材から放出されたガスが上記中間シートの表面において上記中間シートが適正移行位置に修正、移動される方向に気流を生じさせて上記中間シートを適正移行位置に復帰するように移動させる制御手段(図示せず)とを備えている。
【0022】
そして、中間シート巻き出しロール1aの中間シート1の移行下流側には順次、上記中間シート1の一面に塗布組成物を塗布するための第一塗布装置2、及び、中間シート1の他面に塗布組成物を塗布するための第二塗布装置3が配設されている。なお、中間シート1としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートシートなどの合成樹脂シート、紙、不織布、金属箔などの長尺体が用いられ、必要に応じて、中間シート1の両面には離型処理などの表面処理が施されていてもよい
【0023】
第一塗布装置2及び第二塗布装置3としては、汎用の塗布装置が用いられ、例えば、ダイコーター、ロールコーター、ディップコーターなどと称されている塗布装置を用いることができる。なお、第一塗布装置2と、第二塗布装置3とは同一であっても相違してもよい。
【0024】
又、中間シート1の表面に塗布される塗布組成物としては、特に限定されず、例えば、水に粘着剤を分散させてなる水性粘着剤溶液、有機溶剤に粘着剤を溶解させてなる油性粘着剤溶液などの粘着剤溶液、磁性塗料、金属スラリーなどが挙げられ、本発明は、中間シートに非接触状態にて中間シートの蛇行を修正することができ、塗布乾燥層が粘着剤から形成されて粘着性を有する場合であっても好適に用いることができ、その点において、粘着剤溶液が好ましい。
【0025】
そして、第二塗布装置3の中間シート1の移行下流側には乾燥炉4が配設されている。この乾燥炉4には中間シート1の導入口41と、中間シート1を排出するための導出口42とが形成されており、導入口41から中間シート1が連続的に導入され、乾燥炉4内に導入された中間シート1は、乾燥炉4内において空中に浮いた状態にて非接触状態にて好ましくは水平方向に移行されて乾燥炉4の導出口42から連続的に排出されるように構成されている。
【0026】
更に、乾燥炉4には複数のガス供給部材5が配設されている。このガス供給部材5は、図2に示したように、略直方体形状に形成された筐体51における中間シート1に対向する面51aとは反対側の面52には全面的にガス導入口52aが多数、貫設されており、このガス導入口52aから筐体51内に、中間シート1に吹き付けるためのガスが供給可能に構成されている。なお、上記ガスとしては、熱風、窒素ガスなどが挙げられる。
【0027】
そして、ガス供給部材5の筐体51における中間シート1に対向する長方形状の略平坦な面51aの長辺縁部のそれぞれには、筐体51内に供給されて中間シート1に吹き付けるためのガスを吹き出すためのスリット状のガス吹出口51b、51bが長辺縁部51c、51cに平行に形成されており、これらガス吹出口51b、51bの全体から面51aに対して垂直方向にガスが略均一に吹き出すように構成されている。なお、スリット状のガス吹出口51bはその長さが中間シート1の幅方向の長さよりも好ましくは長い長さとなるように構成されており、中間シート1が適正移行位置Bに位置していない場合において、ガス供給部材5が如何なる姿勢にあっても、ガス吹出口51bから吹き出したガスが中間シート1にその幅方向の全長に亘って吹き付けられるように構成されている。スリット状のガス吹出口51bはその長さが中間シート1の幅方向の長さよりも短い長さであってもよい。
【0028】
このように構成されたガス供給部材5が、乾燥炉4内において、乾燥炉4内を空中に浮いた状態にて移行している中間シート1を中央にして両側(図面1において上下側)に(上下)交互に配設されている。なお、中間シート1の両側に配設されたガス供給部材5は、そのスリット状のガス吹出口51b、51bが中間シート1に対向し且つスリット状のガス吹出口51b、51bがその長さ方向を中間シート1の幅方向に指向させた状態に配設されており、スリット状のガス吹出口51b、51bから吹き出されたガスが中間シート1の幅方向の全長に亘って吹き付けられるように構成されている。
【0029】
そして、乾燥炉4内に配設されたガス供給部材5は、常態において、中間シート1に対向する面51aの長辺縁部51cが中間シート1の表面に対して平行状態となるように配設されており、この状態を以下の説明では「初期状態」という。
【0030】
乾燥炉4内に配設されたガス供給部材5のうち、中間シート1の移行方向の下流側から数えて少なくとも二つのガス供給部材5a、5b、即ち、中間シート1を挟んで図1において下側に位置しているガス供給部材5のうちの最下流側に位置しているガス供給部材5aと、即ち、中間シート1を挟んで図1において上側に位置しているガス供給部材5のうちの最下流側に位置しているガス供給部材5bとは、後述する制御手段による制御によって、中間シート1に対向する面51aの長辺縁部51cが中間シート1の表面に対して相対的に傾斜するように変位可能に構成されている。
【0031】
なお、上記では、中間シート1の移行方向の下流側から数えて少なくとも二つのガス供給部材5a、5bが後述する制御手段による制御によって変位可能に構成されているとしたが、中間シート1を挟んで図1において上側に位置しているガス供給部材5のうちの少なくとも一つのガス供給部材5と、中間シート1を挟んで図1において下側に位置しているガス供給部材5のうちの少なくとも一つのガス供給部材5が後述する制御手段による制御によって、中間シート1に対向する面51aの長辺縁部が中間シート1の表面に対して相対的に傾斜するように変位可能に構成されておればよい。
【0032】
そして、乾燥炉4の導出口42における中間シート1の移行方向の下流側直近部には蛇行検知手段6が配設されている。この蛇行検知手段6は、中間シート1の適正移行位置Bから中間シート1が蛇行によってずれているか否かを検出し、好ましくは、中間シート1が蛇行によってずれていることを検出した場合には中間シート1の幅方向の何れの方向にどの程度ずれているかを検出する。なお、中間シート1の適正移行位置Bとは、中間シート1が移行すると予め設定された基準位置と、この基準位置から中間シート1が幅方向に所定の許容範囲内においてずれた許容位置の双方を含み、許容位置は設定されても設定されなくてもよい。
【0033】
蛇行検知手段6としては汎用の検知手段が用いられ、中間シート1の適正移行位置Bから中間シート1が蛇行によってずれているか否かを検出することができればよく、例えば、図3に示したように、(1)中間シート1の適正移行位置Bの何れか一方の端縁を適正位置B1として予め記憶させておく一方、移行する中間シート1の端縁1bの位置を連続的に検知し、この検知した中間シート1の端縁1bと、中間シート1の端縁の適正位置B1との差を連続的に算出し、この差から中間シート1がその適正移行位置Bから幅方向の何れの方向にどれだけずれているかを検知するセンサー、(2)中間シート1の適正移行位置Bにおける双方の端縁を適正位置B1、B1として予め記憶させておく一方、移行する中間シート1の両端縁1b、1bの適正位置B1、B1に対する相対位置を連続的に検知し、中間シート1が適正移行位置Bから中間シート1の幅方向の何れの方向にずれているかを検知するセンサーなどが挙げられる。
【0034】
上述の蛇行検知手段6にて検知された検知結果は、図示しない制御手段に信号として送信され、この制御手段は、中間シート1が適正移行位置Bに位置していない場合には、中間シート1が適正移行位置Bに復帰するように、ガス供給部材5a、5bにおける中間シート1に対向する面51aの長辺縁部51cが中間シート1の表面に対して傾斜するようにガス供給部材5a、5bを変位、調整する一方、中間シート1が適正移行位置Bに位置している場合において、ガス供給部材5a、5bが初期状態にないときはガス供給部材5a、5bを初期状態に復帰させる方向に変位させ、又、ガス供給部材5a、5bが初期状態にあるときはガス供給部材5a、5bをその状態に維持する。
【0035】
次に、中間シート1が適正移行位置Bに位置していない場合におけるガス供給部材5a、5bの制御要領を具体的に説明する。図3に示したように、中間シート1が適正移行位置Bに対して相対的に図3において上方から見て左側に蛇行した場合を例にして説明する。
【0036】
先ず、蛇行検知手段6に適正移行位置Bの何れか一方の端縁を適正位置B1として予め記憶させておく。そして、蛇行検知手段6は、乾燥炉4から排出された中間シート1の端縁1bの位置を検出すると共にこの検知した中間シート1の端縁1bと適正位置B1との差を算出して、中間シート1が適正移行位置Bよりも上方から見て左側にずれていることを検知する。
【0037】
この蛇行検知手段6において検知された検知結果は図示しない制御手段に信号として送信される。この信号を受信した制御手段は、図4、5に示したように、乾燥炉4内において、中間シート1の下方向に位置するガス供給部材5、5・・・のうちの最下流位置にあるガス供給部材5a、及び、中間シート1の上方向に位置するガス供給部材5、5・・・のうちの最下流位置にあるガス供給部材5bを傾斜させる。
【0038】
具体的には、ガス供給部材5bにおける中間シート1に対向する面51aにおいて中間シート1が適正移行位置Bに対してずれている方向(図3、4においては左側)の縁部と、この縁部に対向する中間シート1の表面との間の隙間C1が狭くなる一方、ガス供給部材5bにおける中間シート1に対向する面51aにおいて中間シート1が適正移行位置Bに対してずれている方向とは反対側(図3、4においては右側)の縁部と、この縁部に対向する中間シート1の表面との間の隙間C2が広くなるように、ガス供給部材5bは制御手段によって傾斜させられる(図4参照)。
【0039】
同様に、ガス供給部材5aにおける中間シート1に対向する面51aにおいて中間シート1が適正移行位置Bに対してずれている方向(図3、5においては左側)の縁部と、この縁部に対向する中間シート1の表面との間の隙間C1が狭くなる一方、ガス供給部材5aにおける中間シート1に対向する面51aにおいて中間シート1が適正移行位置Bに対してずれている方向とは反対側(図3、5においては右側)の縁部と、この縁部に対向する中間シート1の表面との間の隙間C2が広くなるように、ガス供給部材5aは制御手段によって傾斜させられる(図5参照)。
【0040】
そして、ガス供給部材5a、5bのスリット状のガス吹出口51b、51bからはガスが中間シート1に向かって放出されているが、上述のように、中間シート1が適正移行位置Bに対してずれている方向(図3〜5においては左側)におけるガス供給部材5a、5bの縁部と、この縁部に対向する中間シート1の表面との間の隙間C1が狭くなっている一方、ガス供給部材5a、5bにおける中間シート1に対向する面51aにおいて中間シート1が適正移行位置Bに対してずれている方向とは反対側(図3〜5においては右側)の縁部と、この縁部に対向する中間シート1の表面との間の隙間C2が広くなっていることから、図4、5に示したように、ガス供給部材5a、5bから吹き出されたガスは、狭い間隔の隙間C1からよりも、広い間隔の隙間C2から抜けるために、ガス供給部材5a、5bと中間シート1との間に形成された空間部Cにおいて、ガス供給部材5a、5bから放出されたガスは、狭い間隔の隙間C1側から広い間隔の隙間C2側に向かって流れ、狭い間隔の隙間C1側から広い間隔の隙間C2側に向かうガスの気流が生じる。
【0041】
すると、ガス供給部材5a、5bから吹き出されたガスによって、中間シート1に、狭い間隔の隙間C1側から広い間隔の隙間C2側に向かって移動させる力が生じ、中間シート1は、図4及び図5において右側に向かって移動させられて適正移行位置Bに修正させられる。
【0042】
そして、中間シート1が適正移行位置Bに復帰すると、蛇行検知手段6が上述の要領で中間シート1が適正移行位置Bにあることを検知して検知結果を制御手段に電気信号として送信し、制御手段は、ガス供給部材5a、5bを変位させて初期状態に復帰させる。この状態では、ガス供給部材5a、5bと中間シート1との間に形成された空間部Cにおいて、ガス供給部材5a、5bから吹き出されたガスが上述のように一定方向に気流を生じさせるようなことはなく、中間シート1にはその幅方向に中間シート1を変位させようとする力は加わらず、中間シート1はその状態で移行する。
【0043】
又、中間シート1が図6及び図7に示したように適正移行位置Bに対して相対的に右側にずれた場合には、上述とは反対方向にガス供給部材5a、5bが変位させられる。具体的には、ガス供給部材5bにおける中間シート1に対向する面51aにおいて中間シート1が適正移行位置Bに対してずれている方向(図6においては右側)の縁部と、この縁部に対向する中間シート1の表面との間の隙間C1が狭くなる一方、ガス供給部材5bにおける中間シート1に対向する面51aにおいて中間シート1が適正移行位置Bに対してずれている方向とは反対側(図6においては左側)の縁部と、この縁部に対向する中間シート1の表面との間の隙間C2が広くなるように、ガス供給部材5bは制御手段によって傾斜させられる(図6参照)。
【0044】
同様に、ガス供給部材5aにおける中間シート1に対向する面51aにおいて中間シート1が適正移行位置Bに対してずれている方向(図7においては右側)の縁部と、この縁部に対向する中間シート1の表面との間の隙間C1が狭くなる一方、ガス供給部材5aにおける中間シート1に対向する面51aにおいて中間シート1が適正移行位置Bに対してずれている方向とは反対側(図7においては左側)の縁部と、この縁部に対向する中間シート1の表面との間の隙間C2が広くなるように、ガス供給部材5aは制御手段によって傾斜させられる(図7参照)。
【0045】
そして、上述と同様に、ガス供給部材5a、5bから吹き出されたガスによって、中間シート1に、狭い間隔の隙間C1側から広い間隔の隙間C2側に向かって移動させる力が生じ、中間シート1は、図6及び図7において左側に向かって移動させられて適正移行位置Bに修正させられる。
【0046】
中間シート1が適正移行位置Bに復帰すると、蛇行検知手段6が上述の要領で中間シート1が適正移行位置Bにあることを検知して検知結果を制御手段に電気信号として送信し、制御手段は、ガス供給部材5a、5bを変位させて初期状態に復帰させる。
【0047】
上記では、中間シート1が適正移行位置Bに復帰すると、ガス供給部材5a、5bを初期状態に復帰させることを説明したが、ガス供給部材5a、5bの初期状態への復帰は瞬時に行われるものではなく、ガス供給部材5a、5bは、所定の時間をかけて初期状態に復帰するので、ガス供給部材5a、5bが傾斜された状態から初期状態に復帰する途上において、中間シート1が再度、蛇行して中間シート1が適正移行位置Bに位置していない状態となることがある。このような場合には、中間シート1の移行状態を蛇行検知手段6が直ちに検知し、この検知結果が制御手段に信号として送信され、制御手段によって中間シート1を適正移行位置Bに復帰させる方向にガス供給部材5a、5bが変位させられて傾斜した状態となり、上述の要領でもって中間シート1は適正移行位置Bに復帰させられる。一方、ガス供給部材5a、5bを傾斜させた状態から初期状態に復帰させる途上において、中間シート1に蛇行が生じず、中間シート1が適正移行位置Bにて継続的に移行している場合にはガス供給部材5a、5bは初期状態に復帰した時点でその状態を維持する。
【0048】
上述のように、中間シート1は、その移行状態に蛇行(ずれ)が生じた場合にはガス供給部材5a、5bを所定方向に傾斜させることによって、ガス供給部材5a、5bとこれに対向する中間シート1との間の空間部Cにおいて、ガス供給部材5a、5bから吹き出されるガスに中間シート1を適正移行位置Bに復帰させる方向の気流を生じさせ、この気流によって中間シート1の蛇行を修正しており、中間シート1に接触することなく、中間シート1を適正移行位置Bにて移行させることができ、中間シート1を後続する工程に正確に供給することができると共に、中間シート1の表面に形成された塗布層及びこれを乾燥させて形成された塗布乾燥層が粘着性を有している場合にあっても好適に適用することができる。
【0049】
なお、上述した蛇行修正装置では、内部に複数のガス供給部材5が配設された乾燥炉4とこの乾燥炉4の下流側に配設された蛇行検知手段6をそれぞれ一つずつ備えてなる場合を説明したが、内部に複数のガス供給部材5が配設された乾燥炉4とこの乾燥炉4の下流側に配設された蛇行検知手段6を一組の乾燥検知装置とし、この乾燥検知装置を複数、直列的に配列し、中間シート1を上流側の乾燥検知装置から下流側の乾燥検知装置に順次、供給可能に構成してもよい。
【0050】
更に、図1の装置では、本発明の蛇行修正装置Aに後続して、両面粘着テープを製造するためのラミネート装置Iが付加されて全体として両面粘着テープの製造装置Hを構成している。
【0051】
図1において、7aは、基材シート7を巻き出すための基材シート巻き出しロールである。基材シート7としては、特に限定されず、例えば、両面粘着テープの基材として汎用されている長尺状の不織布、紙、発泡シート、ポリエチレンテレフタレートシートやポリエチレンシートなどの合成樹脂シートが挙げられる。
【0052】
そして、乾燥炉4の導出口42の下流側には、上下に所定間隔を存して一対の貼合ロール81、82が配設されている。この一対の貼合ロール81、82間において、乾燥炉4から排出されて両面に塗布乾燥層1c、1dが積層されてなる中間シート1は、その一面に積層された塗布乾燥層1c上に上記基材シート7が連続的に積層一体化されると共に、他面に積層された塗布乾燥層1dが後述の要領で中間シート1から剥離、除去されて積層シートEが貼合ロール81、82から連続的に排出されるように構成されている。
【0053】
この積層シートEは、第一ロール83、第二ロール84、第三ロール85及び第四ロール86を介して巡回し、貼合ロール81、82間に供給される。積層シートEは、その基材シート7が中間シート1の他面に積層された塗布乾燥層1dに対向するようにして貼合ロール81、82に供給されるように構成されており、積層シートEの基材シート7上に、中間シート1の塗布乾燥層1dを転写し積層一体化させることによって両面粘着テープFを連続的に貼合ロール81、82間から連続的に排出するように構成していると共に、中間シート1から塗布乾燥層1dを剥離、除去して積層シートEを連続的に製造するように構成している。なお、製造された両面粘着テープFは連続的に巻回ロールGに巻き取られる(図8参照)。
【0054】
次に、上記両面粘着テープの製造装置Hを用いて両面粘着テープFを製造する要領について説明する。先ず、両面に離型処理が施されている中間シート1を中間シート巻き出しロール1aから連続的に巻き出す。
【0055】
そして、中間シート1の一面に粘着剤組成物として粘着剤溶液を第一塗布装置2を用いて塗布し、中間シート1の一面に粘着剤溶液からなる塗布層を積層する。次に、中間シート1を下流に向かって移行させて中間シート1の他面に粘着剤組成物として粘着剤溶液を第二塗布装置3を用いて塗布し、中間シート1の他面に粘着剤溶液からなる塗布層を積層する。
【0056】
しかる後、両面に塗布層が積層された中間シート1を乾燥炉4内にその導入口41から連続的に水平方向に供給し、中間シート1を乾燥炉4内において空中に浮いた状態にてガス供給部材及びその他の部材と非接触状態にて水平方向に移行させる。そして、乾燥炉4内に配設されているガス供給部材5のガス吹出口51bからガスを吹き出して、このガスを中間シート1の表面に吹き付けて中間シート1の両面に積層している塗布層を乾燥させる。なお、中間シート1は、ガス供給部材5からのガスの吹き付けによってsin曲線のように湾曲しながら乾燥炉4内を移行する。
【0057】
中間シート1は、乾燥炉4内において、中間シート1自体が有する巻き癖や乾燥炉4内での加熱による柔軟性の増大などに起因して幅方向に蛇行し易くなる。中間シート1は、乾燥炉4内を移行しながら塗布層が乾燥された上で乾燥炉4の導出口42から連続的に排出される。
【0058】
そして、乾燥炉4から排出された中間シート1は、乾燥炉4の導出口42の下流側近傍部に排出された蛇行検知手段6によって適正移行位置Bからずれているか否か、更に、中間シート1が適正移行位置Bからずれている場合には何れの方向にずれているかが検知され、この検知結果は図示しない制御手段に電気信号として送信され、この信号に基づいて制御手段が乾燥炉4内に配設されたガス供給部材5、5・・・のうちの最下流側から数えて二つのガス供給部材5a、5bの姿勢を制御する。なお、明細書では、ガス供給部材5a、5b以外の残余のガス供給部材5は変位することなく初期状態の姿勢を維持するように構成されている場合を説明しているが、全てのガス供給部材5が制御手段によってその姿勢が変位するように制御されてもよい。
【0059】
例えば、中間シート1が適正移行位置Bに対して相対的に図3において上方から見て左側に蛇行した場合には、ガス供給部材5bにおける中間シート1に対向する面51aにおいて中間シート1が適正移行位置Bに対してずれている方向(図3、4においては左側)の縁部と、この縁部に対向する中間シート1の表面との間の隙間C1が狭くなると共に、ガス供給部材5bにおける中間シート1に対向する面51aにおいて中間シート1が適正移行位置Bに対してずれている方向とは反対側(図3、4においては右側)の縁部と、この縁部に対向する中間シート1の表面との間の隙間C2が広くなるように、制御手段によってガス供給部材5bを変位させてガス供給部材5bの姿勢を傾斜させる(図4参照)。
【0060】
同様に、ガス供給部材5aにおける中間シート1に対向する面51aにおいて中間シート1が適正移行位置Bに対してずれている方向(図3、5においては左側)の縁部と、この縁部に対向する中間シート1の表面との間の隙間C1が狭くなると共に、ガス供給部材5aにおける中間シート1に対向する面51aにおいて中間シート1が適正移行位置Bに対してずれている方向とは反対側(図3、5においては右側)の縁部と、この縁部に対向する中間シート1の表面との間の隙間C2が広くなるように、制御手段によってガス供給部材5bを変位させてガス供給部材5bの姿勢を傾斜させる(図5参照)。
【0061】
すると、ガス供給部材5a、5bと中間シート1との間に形成された空間部Cにて、狭い間隔の隙間C1側から広い間隔の隙間C2側に向かってガスが流れ、狭い間隔の隙間C1側から広い間隔の隙間C2側に向かうガスの気流が生じ、このガスの気流によって、中間シート1に、狭い間隔の隙間C1側から広い間隔の隙間C2側に向かって移動させる力が加わり、中間シート1は、図4及び図5において右側に向かって移動させられて適正移行位置Bに修正させられる。なお、中間シート1が適正移行位置Bに対して相対的に図3において上方から見て右側に蛇行した場合には、ガス供給部材5a、5bは、その姿勢が上述と逆の方向に傾斜させられるように変位させられる。
【0062】
そして、中間シート1が適正移行位置Bに復帰すると、蛇行検知手段6が上述の要領で中間シート1が適正移行位置Bにあることを検知して検知結果を制御手段に電気信号として送信し、制御手段は、ガス供給部材5a、5bを変位させて初期状態に復帰させ、中間シート1をその幅方向に移動させようとする力が加わらないようにして中間シート1をその状態にて下流に向かって移行させる。
【0063】
上述のように、中間シート1の移行状態を蛇行検知手段によって常に検知し、この検知結果に基づいて制御手段がガス供給部材5a、5bの姿勢を制御し、ガス供給部材5a、5bと中間シート1との間に形成された空間部Cにて、中間シート1を適正移行位置Bに復帰させる方向のガスの気流を生じさせており、よって、中間シート1は、乾燥炉4の導出口42を通じて排出された状態においては適正移行位置Bに概ね位置した状態にて下流側に向かって移行される。
【0064】
次に、乾燥炉4の導出口42から連続的に排出された中間シート1は連続的に一対の貼合ロール81、82間に供給される。なお、中間シート1の両面には粘着剤溶液からなる塗布層が乾燥されて形成された塗布乾燥層(粘着剤層)1c、1dが積層されている。これと同時に、基材シート巻き出しロール7aからも基材シート7が巻き出されて貼合ロール81、82間に供給される。なお、基材シート7の両面には離型処理は施されていないか、或いは、基材シート7からの塗布乾燥層1c、1dの剥離強度が、中間シート1からの塗布乾燥層1c、1dの剥離強度よりも強くなるように、基材シート7の両面に離型処理が施されている。
【0065】
そして、一対の貼合ロール81、82間において、中間シート1の一面に積層された塗布乾燥層1c上に基材シート7が連続的に積層一体化されると共に、中間シート1の他面に積層された塗布乾燥層1dが剥離、除去されて貼合ロール81、82間から連続的に排出されて積層シートEが連続的に製造される。
【0066】
上述した中間シート1の他面に積層された塗布乾燥層1dの剥離、除去は、この中間シート1に先行して貼合ロール81、82間に供給された中間シート1から上述と同様の要領で作製された積層シートEを第一〜第四ロール83〜86を介して巡回させて、基材シート7が中間シート1の塗布乾燥層1dに対向した状態となるように貼合ロール81、82間に戻し、この貼合ロール81、82間に戻された積層シートEの基材シート上に中間シート1の他面に積層された塗布乾燥層1dを転写させて積層一体化させることによって行われている。
【0067】
つまり、基材シート7の表面には離型処理が施されていない一方、中間シート1の表面には離型処理が施されているか、又は、基材シート7からの塗布乾燥層1c、1dの剥離強度が、中間シート1からの塗布乾燥層1c、1dの剥離強度よりも強くなるように、基材シート7の両面に離型処理が施されているので、中間シート1の他面に積層された塗布乾燥層1dは、積層シートEの基材シート7上に重ね合わせられた後、中間シート1と積層シートEとを互いに離間する方向に貼合ロール81、82間から排出することによって、中間シート1の他面に積層された塗布乾燥層1dが基材シート7上に容易に転写されて基材シート7に積層一体化された状態となって中間シート1の他面から塗布乾燥層1dが剥離、除去され、その結果、基材シート7の両面に塗布乾燥層(粘着剤層)1c、1dが積層一体化され且つ塗布乾燥層1c上に剥離可能に中間シート1が積層されてなる両面粘着テープFを連続的に製造することができ、この両面粘着テープFは連続的に巻回ロールGに巻き取られる。
【0068】
以上の如く、両面に塗布乾燥層1c、1dが積層されてなる中間シート1は乾燥炉4から排出された後に貼合ロール81、82間に連続的に供給されて、基材シート7の積層と塗布乾燥層1dの剥離、除去が行われるが、中間シート1は上述の蛇行修正装置Aによって正確な位置に調整された上で一対の貼合ロール81、82間に供給されるので、中間シート1の塗布乾燥層1c上への基材シート7の積層一体化を正確に行えると共に、積層シートEへの転写による中間シート1の塗布乾燥層1dの剥離、除去を正確に行うことができる。
【0069】
しかも、中間シート1の両面に形成された塗布乾燥層1c、1dは粘着剤層を構成しており、粘着性を有しているが、上述の通り、中間シート1の蛇行修正をガス供給部材5a、5bの姿勢を変位させてガスの気流の流れ方向を制御することによって行っており、塗布乾燥層1c、1dに接触することなく中間シート1の蛇行を修正している。よって、中間シート1の両面に形成された塗布乾燥層1c、1dの粘着性を損なうことなく、中間シート1の蛇行を精度良く修正することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 中間シート
1a 中間シート巻き出しロール
1c 塗布乾燥層
1d 塗布乾燥層
2 第一塗布装置
3 第二塗布装置
4 乾燥炉
5、5a、5b ガス供給部材
51 筐体
51b ガス吹出口
51c 長辺縁部
6 蛇行検知手段
7 基材シート
7a 基材シート巻き出しロール
81、82 貼合ロール
A 蛇行修正装置
B 適正移行位置
C 空間部
C1 隙間
C2 隙間
E 積層シート
F 両面粘着テープ
G 巻回ロール
H 製造装置
I ラミネート装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面に塗布組成物が塗布されて塗布層が形成されている長尺状の中間シートを乾燥炉内に移行、供給して上記中間シートの両面にガスを吹き付けることによって上記塗布層を乾燥させて塗布乾燥層とされた上で上記乾燥炉から排出された上記中間シートの蛇行を修正する蛇行修正方法であって、上記乾燥炉内に上記中間シートを挟んだ両側位置にガス供給部材を配設し、このガス供給部材からガスを上記中間シートに向かって吹き付けると共に、上記ガス供給部材における上記中間シートの移行方向の下流側に配設した蛇行検知手段によって上記中間シートの幅方向における適正移行位置からのずれを検出し、この検出されたずれに基づいて上記ガス供給部材を変位させて、上記ガス供給部材から放出されたガスが上記中間シートの表面において上記中間シートが適正移行位置に修正、移動される方向に気流を生じさせて上記中間シートを適正移行位置に復帰するように移動させて蛇行を修正することを特徴とする蛇行修正方法。
【請求項2】
ガス供給部材を構成している筐体における中間シートの対向面に形成されたガス吹出口からガスを上記中間シートに対して吹き付けると共に、上記ガス供給部材を変位させることによって、中間シートの幅方向の何れか一方の端部とこの端部に対向するガス供給部材の筐体との隙間を、中間シートの幅方向の他方の端部とこの端部に対向するガス供給部材の筐体との隙間に対して相対的に狭くして、上記中間シートとこの中間シートに対向するガス供給部材の筐体との隙間が狭い端部方向から広い端部方向に向かって流れる気流を生じさせていることを特徴とする請求項1に記載の蛇行修正方法。
【請求項3】
ガス供給部材のガス吹出口は中間シートの幅方向に延びるスリット状に形成されており、上記中間シートにその幅方向の全長に亘ってガスを吹き付けていることを特徴とする請求項2に記載の蛇行修正方法。
【請求項4】
ガス供給部材の筐体における中間シートに対向する面を上記中間シートの表面に対して相対的に傾斜させるように変位させていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の蛇行修正方法。
【請求項5】
塗布組成物が粘着剤溶液であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の蛇行修正方法。
【請求項6】
中間シートの両面に離型処理が施されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の蛇行修正方法。
【請求項7】
請求項6に記載の蛇行修正方法を用いて乾燥炉から排出された中間シートを一対の貼合ロールに供給すると共にこれらの貼合ロール間に基材シートを供給して上記中間シートの一面に形成された塗布乾燥層上に基材シートを積層一体化させると共に上記中間シートの他面に形成された塗布乾燥層を剥離除去して積層シートを製造し、この積層シートを巡回させて再度、上記一対の貼合ロール間に供給して、後続して上記貼合ロール間に供給される中間シートの他面に形成された塗布乾燥層を上記積層シートの基材シートに転写一体化させた上で上記貼合ロールから両面粘着テープとして排出することを特徴とする両面粘着テープの製造方法。
【請求項8】
中間シートを巻き出すための中間シート巻き出しロールと、この中間シートの一面に塗布組成物を塗布するための第一塗布装置と、上記中間シートの他面に塗布組成物を塗布するための第二塗布装置と、両面に塗布組成物が塗布されて塗布層が形成されてなる中間シートの塗布層を乾燥させるための乾燥炉と、この乾燥炉内において上記中間シートを挟んだ両側位置に配設されたガス供給部材と、このガス供給部材における上記中間シートの移行方向の下流側に配設され且つ上記中間シートの幅方向における適正移行位置からのずれを検出する蛇行検知手段と、この蛇行検知手段で検出されたずれに基づいて上記ガス供給部材を変位させて、上記ガス供給部材から放出されたガスが上記中間シートの表面において上記中間シートが適正移行位置に修正、移動される方向に気流を生じさせて上記中間シートを適正移行位置に復帰するように移動させる制御手段とを備えていることを特徴とする蛇行修正装置。
【請求項9】
ガス供給部材を構成している筐体における中間シートに対向する面には、上記中間シートに吹き付けるガスが吹き出すスリット状のガス吹出口が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の蛇行修正装置。
【請求項10】
ガス供給部材は、その筐体における中間シートに対向する面が上記中間シートの表面に対して相対的に傾斜状態に変位可能に構成されていることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の蛇行修正装置。
【請求項11】
請求項8に記載の蛇行修正装置と、基材シートを巻き出すための基材シート巻き出しロールと、上記蛇行修正装置の乾燥炉から排出されて中間シートの一面の塗布層を乾燥させて形成された塗布乾燥層上に上記基材シートを積層一体化させ且つ上記中間シートの他面の塗布層を乾燥させて形成された塗布乾燥層を剥離除去して積層シートを排出すると共にこの排出された積層シートが供給されて、この積層シートの基材シート上に上記中間シートの他面の塗布乾燥層を転写一体化させるための貼合ロールとを備えていることを特徴とする両面粘着テープの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−153499(P2012−153499A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15127(P2011−15127)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】