説明

蛍光キナクリドン

本発明は、式(I)で示される化合物、それらの製造方法、ならびに色変換媒体、固体色素レーザおよび電界発光装置中の蛍光トレーサとしての、インク、着色剤、着色プラスチック、コーティング、非衝撃型印字材料、色フィルタ、化粧品、高分子インク粒子、およびトナーを製造するためのそれらの使用に関する。本発明の組成物を含む発光装置は、電気エネルギー利用効率が高く、輝度も高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)
【0002】
【化23】

【0003】
で示される化合物、それらの製造方法、ならびに色変換媒体、固体色素レーザおよび電界発光装置中の蛍光トレーサとしての、インク、着色剤、着色プラスチック、コーティング、非衝撃型印字材料、色フィルタ、化粧品、高分子インク粒子、およびトナーを製造するためのそれらの使用に関する。本発明の組成物を含む発光装置は、電気エネルギー利用効率が高く、輝度も高い。
【0004】
US−B−6,280,859は、発光材料(例えばキナクリドン誘導体)、および該発光材料を採用した有機EL装置に関する。以下のキナクリドン誘導体が、例として挙げられる。
【0005】
【表2】

【0006】
EP−A−0939972は、場合により置換されたトリス−1,3,5−(アミノフェニル)ベンゼン化合物、発光材料およびキナクリドン誘導体を含有する正孔注入および/または正孔輸送ゾーンを含む電界発光素子を含む電界発光装置に関する。該キナクリドン誘導体は、基:−NAr1Ar2により置換されたキナクリドンではない。
【0007】
US2002/0038867A1は、特異的なクマリン誘導体および特異的なキナクリドン化合物を含む発光層と、特異的なテトラアリールジアミン誘導体を含む正孔注入層および/または正孔輸送層と、を含む有機EL装置に関する。該キナクリドン化合物は、基:−NAr1Ar2により置換されたキナクリドンではない。
【0008】
予期しないことに、電気エネルギー利用効率が高く輝度が高い発光装置が、特異的なキナクリドン化合物またはキナクリドンの特異的な配合物、および例えばジケトピロロピロール(DDP)化合物を特に発光物質として使用した場合に得られることが見出された。
【0009】
したがって、本発明は、式(I):
【0010】
【化24】

【0011】
〔式中、
1およびR2は、同一または異なっていてもよく、C1〜C25アルキル基(フッ素、塩素または臭素により置換されていてもよい)、アリル基(C1〜C4アルキルで1〜3回置換されていてもよい)、シクロアルキル基、シクロアルキル基(C1〜C4アルキル、ハロゲン、ニトロ、またはシアノで1〜3回置換されていてもよいフェニルにより1または2回縮合されていてもよい)、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、ハロアルケニル基、ハロアルキニル基、ケトン基、アルデヒド基、エステル基、カルバモイル基、ケトン基、シリル基、シロキサニル基、A3または−CR78−(CH2m−A3〔式中、
7およびR8は、互いに独立して、水素、C1〜C4アルキル、またはフェニル(C1〜C4アルキルで1〜3回置換されていてもよい)を表し、
3は、アリールまたはヘテロアリール、特にフェニルまたは1−もしくは2−ナフチル(C1〜C8アルキルおよび/またはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい)を表し、
mは、0、1、2、3または4を表す〕から選択され、
3、R3'、R6およびR6'は、互いに独立して、水素、ハロゲン、C1〜C18アルキル、ハロゲン置換されたC1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシ、C1〜C18アルキルチオ、シクロアルキル、場合により置換されたアリールもしくはアリールアルキルを表し、ここで、置換基は、アルコキシ、ハロゲンもしくはアルキルであり、
4およびR4'は、互いに独立して、R3、もしくは基:−NAr1Ar2であり、
5およびR5'は、互いに独立して、R3、もしくは基:−NAr3Ar4であるか、または
3'とR4'、ならびに/もしくはR3とR4は、一緒に、基:
【0012】
【化25】

【0013】
であるか、または
5'とR6'、ならびに/もしくはR5とR6は、一緒に、基:
【0014】
【化26】

【0015】
であり、ここで、
30、R31、R32およびR33は、互いに独立して、水素、C1〜C18アルキル、ハロゲン置換されたC1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシ、またはC1〜C28アルキルチオであり、
34、R35、R36およびR37は、互いに独立して、水素、C1〜C18アルキル、ハロゲン置換されたC1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシ、またはC1〜C28アルキルチオであり、
Ar1、Ar2、Ar3およびAr4は、互いに独立して、場合により置換されていてもよいアリール基、または場合により置換されていてもよいヘテロアリール基であるが、
ただし、基:R4、R4'、R5およびR5'の少なくとも1つが、基:−NAr1Ar2または−NAr3Ar4であること、ならびにR1=R2がC25であり、Ar1=Ar2=Ar3=Ar4が、
【0016】
【化28】

【0017】
である、式:
【0018】
【化27】

【0019】
で示される化合物、およびR1=R2がPhであり、Ar1=Ar2=Ar3=Ar4が、
【0020】
【化29】

【0021】
である、式:
【0022】
【化27】

【0023】
で示される化合物が除外されることを条件とする〕で示されるキナクリドン化合物に関する。
【0024】
好ましい実施形態において、本発明は、式(II):
【0025】
【化30】

【0026】
(式中、R1、R2、R3、R3'、R4、R4'、R6、R6'、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4は、先に定義したとおりである)で示される化合物に関する。
【0027】
Ar1、Ar2、Ar3およびAr4は、好ましくは、互いに独立して、基:−Ar5−X1−Ar6
【0028】
【化31】

【0029】
であるか、またはAr1とAr2、ならびに/もしくはAr3とAr4は、結合した窒素原子と一緒になって、5もしくは6員環複素環、例えば
【0030】
【化32】

【0031】
を形成しており、場合により置換されたフェニル基、例えば
【0032】
【化33】

【0033】
1もしくは2個で縮合されていてもよく、ここで、
1は、−C(X2)(X3)−、−O−、−S−、−SO2−、−C(=O)−、
【0034】
【化34】

【0035】
、−(Cx2x)−O−(Cy2y)−(式中、xおよびyのそれぞれは、0〜20の整数であるが、x+yが、0になる例はない)、炭素原子を少なくとも2個有する置換もしくは非置換のアルキレン基、炭素原子を少なくとも2個有する置換もしくは非置換のアルキリデン基、または炭素原子を少なくとも2個有する置換もしくは非置換の脂環基であり、
Ar5は、
【0036】
【化35】

【0037】
であり、
Ar6は、
【0038】
【化36】

【0039】
であり、
2およびX3は、互いに独立して、水素、C1〜C18アルキル、ハロゲン置換されたC1〜C18アルキル、またはフェニル(C1〜C8アルキルおよび/またはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい)を表し、
4は、C1〜C18アルキル、ハロゲン置換されたC1〜C18アルキル、またはフェニル(C1〜C8アルキルおよび/またはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい)を表し、
38、R39、R40、R41、R42、R43、R44およびR45は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシまたはフェニルを表す。
【0040】
式Iで示される化合物のうち、基:R4、R4'、R5およびR5'のうちの2つ、特に、R4とR4'、またはR5とR5'が、基:−NAr1Ar2または−NAr3Ar4であるものがより好ましく、R5およびR5'が、基:−NAr1Ar2または−NAr3Ar4である、式Iで示されるそれらの化合物が特に好ましく、−NAr1Ar2=−NAr3Ar4である、式Iで示されるそれらの化合物が最も好ましい。
【0041】
より好ましいのは、式(IIa):
【0042】
【化37】

【0043】
(式中、R1、R2、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4は、先に定義したとおりである)で示されるキナクリドン化合物である。基:−NAr1Ar2または−NAr3Ar4は、異なっていてもよいが、好ましくは同じ意義を有する。
【0044】
本発明の好ましい実施形態において、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4は、互いに独立して、基:
【0045】
【化38】

【0046】
(式中、R38、R39、R40およびR41は、先に定義したとおりである)であり、特に、フェニル、トリル、2−ナフチル、および1−ナフチルである。
【0047】
Ar1とAr2、ならびに/またはAr3とAr4が、結合する窒素原子と一緒になって、5または6員環複素環を形成している場合、式:
【0048】
【化39】

【0049】
(式中、R42、R43、R44およびR45は、先に定義したとおりである)で示される基が好ましく、特に、
【0050】
【化40】

【0051】
が好ましい。Ar1、Ar2、Ar3およびAr4が、互いに独立して、基:−Ar5−X1−Ar6である場合、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4の特に好ましい例は、基:
【0052】
【化41】

【0053】
(式中、R38は、水素またはC1〜C4アルキルである);
【0054】
【化42】

【0055】
である。
【0056】
1およびR2は、同一または異なっていてもよく、好ましくは、C1〜C18アルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル);C2〜C12シクロアルキル基、特にシクロヘキシル(C1〜C4アルキルまたはC1〜C4アルコキシで1〜3回置換されていてもよい);またはシクロアルキル基、特にシクロヘキシル(C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、ハロゲンおよびシアノで1〜3回置換されていてもよいフェニルで1または2回縮合されていてもよい)、特に
【0057】
【化43】

【0058】
(式中、R51、R52およびR53は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、ハロゲンおよびシアノである);C5〜C12シクロアルケニル基、特にシクロヘキセニル(C1〜C4アルキルまたはC1〜C4アルコキシで1〜3回置換されていてもよい);C6〜C14アリール基、特に、フェニル、ビフェニリル、1−もしくは2−ナフチル(C1〜C8アルキルまたはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい);または−CR78−(CH2m−A3(式中、R7およびR8は、水素またはC1〜C4アルキルを表し、A3は、C1〜C8アルキルまたはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい、フェニルまたは1−もしくは2−ナフチルを表し、mは、0または1を表す)、から選択される。
【0059】
より好ましくは、R1およびR2は、互いに独立して、C1〜C8アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチルおよび2−エチルヘキシル);
【0060】
【化44】

【0061】
;または−CR1112−A5〔式中、R11は、水素またはメチルであり、R12は、水素またはメチルであり、A5は、
【0062】
【化45】

【0063】
(式中、R5、R6およびR7は、互いに独立して、水素、C1〜C4アルキル、フェニル、またはハロゲンである)であり、基:
【0064】
【化46】

【0065】
(式中、R5、R6およびR7が水素であるか;R6がC1〜C4アルキルもしくはフェニルであり、R5およびR7が水素であるか;R5がC1〜C4アルキルであり、R6およびR7が水素であるか;またはR6が水素であり、R5およびR7がC1〜C4アルキルである)が、最も好ましい〕である。
【0066】
最も好ましい化合物を、以下に列挙する。
【0067】
【表3】

【0068】
本発明の更に好ましい実施形態は、ゲスト発色団およびホスト発色団を含む組成物であって、ゲスト発色団の吸収スペクトルがホスト発色団の蛍光発光スペクトルと重複しており、ここで、ホスト発色団が、500〜720、好ましくは520〜630nm、最も好ましくは540〜600nmにホトルミネセンス発光ピークを有するジケトピロロピロールであり、ゲスト発色団が、式Iで示される化合物である組成物に関する。
【0069】
そのようなジケトピロロピロール化合物は、例えば、EP−A−1087005、EP−A−1087006、WO03/002672、WO03/022848、WO03/064558、およびWO2004/090046に記載されている。
【0070】
この実施形態において、ホスト発色団は、好ましくは、式(III):
【0071】
【化47】

【0072】
〔式中、
13およびR14は、互いに独立して、C1〜C25アルキル(フッ素、塩素、または臭素により置換されていてもよい);C5〜C12シクロアルキル;C5〜C12シクロアルキル(C1〜C4アルキル、ハロゲン、ニトロまたはシアノで1〜3回置換されていてもよいフェニルにより1または2回縮合されていてもよい);シリル;A6;または−CR1112−(CH2m−A6〔式中、R11およびR12は、互いに独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ、もしくはC1〜C4アルキル(フッ素、塩素または臭素で置換されていてもよい)、またはフェニル(C1〜C4アルキルで1〜3回置換されていてもよい)を表し、A6は、フェニルまたは1−もしくは2−ナフチル(C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノで1〜3回置換されていてもよい);フェニル(C1〜C8アルキルまたはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい);NR2324(式中、R23およびR24は、水素、C1〜C25アルキル、C5〜C12シクロアルキルまたはC6〜C24アリールを表す)を表し、特に、フェニルまたは1−もしくは2−ナフチル(C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、ハロゲンまたはシアノで1〜3回置換されていてもよい);フェニル(C1〜C8アルキルまたはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい)を表し、mは、0、1、2、3または4を表す〕を表し、
4およびA5は、互いに独立して、
【0073】
【化48】

【0074】
〔式中、R25、R26およびR27は、互いに独立して、水素、C1〜C25アルキル、−CR1112−(CH2m−A6、シアノ、ハロゲン、−OR29、−S(O)p30、またはフェニル(C1〜C8アルキルまたはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい)を表し、ここで、R29は、C1〜C25アルキル、C5〜C12シクロアルキル、−CR1112−(CH2m−Ph、C6〜C24アリール、または飽和もしくは不飽和複素環基(環内原子を5〜7個含み、炭素原子と、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子1〜3個とからなる)を表し、R30は、C1〜C25アルキル、C5〜C12シクロアルキル、または−CR1112−(CH2m−Phを表し、R28は、C2〜C20ヘテロアリールまたはC6〜C24アリールを表し、pは、0、1、2または3を表し、mおよびnは、0、1、2、3または4を表す〕を表す〕により表されるジケトピロロピロール(DPP)である。
【0075】
13およびR14は、互いに独立して、好ましくは、C1〜C8アルキル、C5〜C12シクロアルキル(C1〜C8アルキルおよび/またはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい)、フェニルまたは1−もしくは2−ナフチル(C1〜C8アルキルおよび/またはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい)、あるいは−CR1112−(CH2m−A6(式中、R11およびR12は、水素を表し、A6は、C1〜C8アルキルおよび/またはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい、フェニルまたは1−もしくは2−ナフチルを表し、mは、0または1を表す)を表す。
【0076】
4およびA5は、互いに独立して、好ましくは、
【0077】
【化49】

【0078】
(式中、R25は、C1〜C8アルキル、フェニル、1−または2−ナフチルである)を表す。
【0079】
この実施形態において、ホスト発色団は、あるいは、WO2004/090046に記載された「複素環式」ジケトピロロピロール(DPP)であり、特に式(IV):
【0080】
【化50】

【0081】
〔式中、
53およびR54は、同一または異なっていてもよく、C1〜C25アルキル基(フッ素、塩素または臭素により置換されていてもよい)、アリル基(C1〜C4アルキルで1〜3回置換されていてもよい)、シクロアルキル基、シクロアルキル基(C1〜C4アルキル、ハロゲン、ニトロ、またはシアノで1〜3回置換されていてもよいフェニルにより1または2回縮合されていてもよい)、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、ハロアルケニル基、ハロアルキニル基、ケトン基、アルデヒド基、エステル基、カルバモイル基、ケトン基、シリル基、シロキサニル基、A8または−CR6061−(CH2m−A8〔式中、
60およびR61は、互いに独立して、水素、C1〜C4アルキル、またはフェニル(C1〜C4アルキルで1〜3回置換されていてもよい)を表し、
8は、アリールまたはヘテロアリール、特にフェニルまたは1−もしくは2−ナフチル(C1〜C8アルキルおよび/またはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい)を表し、
mは、0、1、2、3または4を表す〕から選択され、
6およびA7は、互いに独立して、
【0082】
【化51】

【0083】
〔式中、R55は、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C8アルコキシ基、または式:
【0084】
【化52】

【0085】
(式中、R57、R58およびR59は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキルまたはC1〜C8アルコキシを表す)で示される基であり、
56は、水素またはC1〜C8アルキルを表す〕から選択される〕により表されるジケトプロロピロール(DPP)である。
【0086】
好ましくはR53およびR54は、互いに独立して、C1〜C14アルキル、C5〜C12シクロアルキル、特にシクロヘキシル(C1〜C8アルキルおよび/またはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい)、C5〜C12シクロアルキル、特にシクロヘキシル(C1〜C4アルキル、ハロゲン、ニトロ、またはシアノで1〜3回置換されていてもよいフェニルにより1または2回縮合されていてもよい)、フェニルまたは1−もしくは2−ナフチル(C1〜C8アルキルおよび/またはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい)、あるいは−CR6061−(CH2m−A8(式中、R60およびR61は、水素を表し、A8は、C1〜C8アルキルおよび/またはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい、フェニルまたは1−もしくは2−ナフチルを表し、mは、0または1を表す)から選択される。
【0087】
ホスト発色団として特に好ましいのは、以下に列挙する、式IIIまたはIVにより表されるDPP化合物である。
【0088】
【表4】









【0089】
ゲスト発色団に対するホスト発色団の重量比は、一般に、50:50〜99.99:0.01、好ましくは90:10〜99.99:0.01、より好ましくは95:5〜99.9:0.1、最も好ましくは98:2〜99.9:0.1である。
【0090】
特に好ましい本発明のホスト/ゲスト組成物およびその誘導体は、ホストとして、
【0091】
【化53】

【0092】
、Alq3およびその誘導体、Znq2、Zn(OX)2、Zn(BTZ)2、BeBq2、Be(5Fla)2、Balq2、AlPh3、Zn(ODZ)2、Zn(TDZ)2、Zn(PhPy)2、Zn(BIZ)、Alpq3、Al(ODZ)3、Zn(NOD)2、Zn(Phq)2、またはZn(NOOD)2を、そしてゲストとして式Iで示されるキナクリドン化合物を含む。
【0093】
加えて、ホスト/ゲスト組成物は、場合により、別のドーパントとしての他の公知の蛍光化合物、例えば、ルブレンおよびペリレンなどの芳香族炭化水素の縮合誘導体;ピリジノチアジアゾール、ピラゾロピリジンおよびナフタリミド誘導体などの縮合複素環;Eu、IrまたはPt錯体などの希土類元素錯体;EP−A−1,253,151、JP2001 257077、JP2001 257078、およびJP2001 297881に開示された、亜鉛ポルフィリン、ローダミン、デアザフラビン誘導体、クマリン誘導体、フェノキサゾン、キナクリドン、ジシアノエテニルアレーン、またはピロメテン金属錯体を一緒に用いてもよい。
【0094】
式Iで示される化合物は、基:R4、R4'、R5およびR5'の少なくとも1つが、ハロゲン、好ましくは、ClまたはBrである、キナクリドン化合物(V):
【0095】
【化54】

【0096】
を、場合により、例えばWO99/47474に記載された触媒(例えば[(アリル)PdBr(P(iPr)3)])の存在下、(無水)有機溶媒(例えばo−オキシレン)および(無水)塩基(例えばナトリウムtert−ブトキシド)の存在下で、通常は100〜220℃の範囲の温度で求核剤:HNAr1Ar2と反応させることを含む方法により製造することができる。
【0097】
式Vで示される化合物は、式(VI):
【0098】
【化55】

【0099】
で示される化合物を、有機溶媒(例えば乾燥N−メチルピロリドン(NMP))中で、塩基(例えば水素化ナトリウム)の存在下、基:R4、R4'、R5およびR5'の少なくとも1つが、ハロゲン、好ましくは、IまたはBrであるハロゲン化合物:R1−Xと反応させることにより製造することができる。式VIで示される化合物は、市販されているが(例えば、C. I. Pigment Red 202またはC. I. Pigment Red 209)、または最先端技術で公知の手順により、もしくはその手順と同様に製造することができるが、例えばEP−A−933972を参照されたい。
【0100】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味する。
【0101】
1〜C25アルキルは、通常、直鎖状または分枝状の(可能な限り)、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、テトラコシル、またはペンタデシルであり、好ましくは、C1〜C8アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチルおよび2−エチルヘキシルであり、より好ましくは、C1〜C4アルキル、例えば、代表的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチルである。
【0102】
用語「ハロアルキル(またはハロゲン置換されたアルキル)、ハロアルケニルおよびハロアルキニル」は、上述のアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基をハロゲンで部分置換または全置換することにより得られる基、例えばトリフルオロメチルを意味する。「アルデヒド基、ケトン基、エステル基、カルバモイル基およびアミノ基」は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、または複素環基により置換されたものが挙げられ、該アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、および複素環基は、非置換または置換されていてもよい。用語「シリル基」は、式:−SiR626364(式中、R62、R63、およびR64は、互いに独立して、C1〜C8アルキル基(特にC1〜C4アルキル基)、C6〜C24アリール基、またはC7〜C12アラルキル基である)で示される基、例えばトリメチルシリル基を意味する。用語「シロキサニル基」は、式:−O−SiR626364(式中、R62、R63およびR64は、先に定義したとおりである)で示される基、例えばトリメチルシロキサニル基を意味する。
【0103】
1〜C8アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、2−ペントキシ、3−ペントキシ、2,2−ジメチルプロポキシ、n−ヘキソキシ、n−ヘプトキシ、n−オクトキシ、1,1,3,3−テトラメチルブトキシおよび2−エチルヘキソキシであり、好ましくはC1〜C4アルコキシ、例えば代表的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシである。用語「アルキルチオ基」は、エーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されていること以外はアルコキシ基と同じ基を意味する。
【0104】
用語「アリール基」は、代表的には、C6〜C24アリール、例えば、フェニル、ペンタレニル、インデニル、アズレニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニリル、as−インダセニル、s−インダセニル、アセナフチレニル、フェナントリル、テルフェニル、ピレニル、2−もしくは9−フルオレニル、フルオランテニル、アセフェナントリレニル、アセアントリレニル、トリフェニレニル、ピレニル、またはアントラセニルであり、好ましくはC6〜C12アリール、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルまたは4−ビフェニリルであり、非置換または置換されていてもよい。
【0105】
用語「アラルキル基」は、代表的にはC7〜C24アラルキル、例えば、ベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニルエチル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニルブチル、ω,ω−ジメチル−ω−フェニルブチル、ω−フェニルドデシル、ω−フェニルオクタデシル、ω−フェニルエイコシル、またはω−フェニルドコシルであり、好ましくはC7〜C18アラルキル、例えば、ベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニルエチル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニルブチル、ω,ω−ジメチル−ω−フェニルブチル、ω−フェニルドデシル、またはω−フェニルオクタデシルであり、特に好ましくはC7〜C12アラルキル、例えば、ベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニルエチル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニルブチルまたはω,ω−ジメチル−ω−フェニルブチルであり、ここで、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基は、両者とも非置換または置換されていてもよい。
【0106】
用語「アリールエーテル基」は、代表的には、C6〜C24アリールオキシ基、いわゆる−O−C6〜C24アリールであり、例えばフェノキシまたは4−メトキシフェニルである。用語「アリールチオエーテル基」は、代表的には、C6〜C24アリールチオ基、いわゆる−S−C6〜C24アリールであり、例えばフェニルチオまたは4−メトキシフェニルチオである。用語「カルバモイル基」は、代表的にはC1〜C18カルバモイル基、好ましくはC1〜C8カルバモイル基であり、非置換または置換されていてもよく、例えば、カルバモイル、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、n−ブチルカルバモイル、tert−ブチルカルバモイル、ジメチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルバモイルまたはピロリジノカルバモイルである。
【0107】
用語「シクロアルキル基」は、代表的には、C5〜C12シクロアルキル、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシルであり、好ましくは、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルであり、非置換または置換されていてもよい。用語「シクロアルケニル基」は、二重結合を1箇所以上含む不飽和脂肪族炭化水素基、例えば、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニルなどを意味し、非置換または置換されていてもよい。該シクロアルキル基、特にシクロヘキシル基は、C1〜C4アルキル、ハロゲンおよびシアノで1〜3回置換されていてもよいフェニルにより1または2回縮合されていてもよい。そのような縮合シクロヘキシル基の例は、
【0108】
【化56】

【0109】
特に、
【0110】
【化57】

【0111】
(式中、R51、R52、R53、R54、R55およびR56は、互いに独立して、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、ハロゲンおよびシアノであり、特に水素である)である。
【0112】
用語「ヘテロアリールまたは複素環基」は、環内原子が5〜7個で、窒素、酸素または硫黄が可能なヘテロ原子である環であり、代表的には、原子5〜18個と、共役π電子を少なくとも6個有する不飽和の複素環基、例えば、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ジベンゾ[b,d]チエニル、チアントレニル、フリル、フルフリル、2H−ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、フェノキシチエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ビピリジル、トリアジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、カルボリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾキサゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソキサゾリル、フラザニル、またはフェノキサジニルであり、好ましくは上述の単環式または二環式複素環基である。
【0113】
アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アリールアミノ基およびジアリール基における用語「アリール」および「アルキル」は、代表的には、それぞれ、C1〜C25アルキルおよびC6〜C24アリールである。
【0114】
上述の基は、C1〜C8アルキル、ヒドロキシル基、メルカプト基、C1〜C8アルコキシ、C1〜C8アルキルチオ、ハロゲン、ハロ−C1〜C8アルキル、シアノ基、アルデヒド基、ケトン基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、またはシロキサニル基により置換されていてもよい。
【0115】
本発明は、更に、陽極と陰極の間に本発明の式Iで示される化合物または組成物を有し、電気エネルギーの作用により発光する電界発光装置に関する。
【0116】
近年の有機電界発光装置の代表的構成は、
(i)陽極/正孔輸送層/電子輸送層/陰極(本発明の化合物または組成物を、正孔輸送化合物もしくは組成物のいずれかとして用い、それを活用して発光層および正孔輸送層を形成させるか、または電子輸送化合物もしくは組成物として用い、それを活用して発光層および電子輸送層を形成してもよい)
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極(該化合物または組成物が、構成において正孔輸送性または電子輸送性を示すかどうかに関わらず、それらが発光層を形成する)
(iii)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極、
(v)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極、
(vi)陽極/発光層/電子輸送層/陰極、
(vii)陽極/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極、
(viii)発光材料を単独で、または発光材料と、正孔輸送層、正孔ブロッキング層および/または電子輸送層のいずれかの材料との組合せを含む単層、ならびに
(ix)発光層が(viii)に定義した単層である、(ii)〜(vii)に記載された多層構造、
である。
【0117】
本発明の化合物および組成物は、原則として、いずれの有機層(例えば、正孔輸送層、発光層、または電子輸送層)に用いてもよいが、好ましくは、発光層中の発光材料として用いる。
【0118】
薄層型電界発光装置は、通常、主として電極対と、その間の少なくとも1層の電荷輸送層とからなる。通常、2層の電荷輸送層と、1層の正孔輸送層(陽極の隣り)と、電子輸送層(陰極の隣り)とが存在する。それらのうちのいずれか1層が、正孔輸送材料または電子輸送材料としての性質に応じて、発光材料としての無機または有機蛍光物質を含む。発光材料を正孔輸送層と電子輸送層の間の別の層として用いるのも一般的である。上述の装置構造において、正孔注入層が陽極と正孔輸送層との間に構成し、そして/または正孔阻止層が発光層と電子輸送層の間に構成することで、発光層中の正孔および電子密度が最大になり、電荷再結合の効率が大きくなり、発光が強くなる。
【0119】
該装置は、複数の方法で製造することができる。通常、真空蒸発を製造に利用する。好ましくは、室温に保持した、上記構成では陽極として作用する市販の酸化インジウムスズ(ITO)ガラス基板上に、上記順序で有機相を積層する。膜厚は、好ましくは1〜10,000nm、より好ましくは1〜5,000nm、より好ましくは1〜1,000nm、より好ましくは1〜500nmの範囲内である。陰極金属、例えば層が50〜200nmの範囲内のMg/Ag合金、二元的Li−AlまたはLiF−Al系を、有機層の上部に積層させる。蒸着時の真空は、好ましくは0.1333Pa(1×10-3トール)未満、より好ましくは1.333×10-3Pa(1×10-5トール)未満、より好ましくは1.333×10-4Pa(1×10-6トール)未満である。
【0120】
陽極としては、高い仕事関数を有する通常の陽極材料、例えば金属(金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、鉄、亜鉛、スズ、クロム、チタン、バナジウム、コバルト、ニッケル、鉛、マンガン、タングステンなど)、金属合金(例えば、マグネシウム/銅、マグネシウム/銀、マグネシウム/アルミニウム、アルミニウム/インジウムなど)、半導体(例えば、Si、Ge、GaAsなど)、金属酸化物(例えば酸化インジウムスズ(ITO)、ZnOなど)、金属化合物(例えばCuIなど)、そして更に、導電性ポリマー(例えば、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリパラフェニレンなど)、好ましくはITO、最も好ましくは基板としてのガラス上のITOを用いることができる。これらの電極材料のうち、金属、金属合金、金属酸化物、および金属化合物は、例えば、スパッタリング法により電極に変換することができる。金属または金属合金を電極の材料として用いる場合、真空蒸着法により電極を形成させることができる。金属または金属合金を、電極を形成させる材料として用いる場合、更に、化学めっき法により電極を形成させることができる(例えば、Handbook of Electrochemistry, pp 383-387, Maruzen, 1985を参照)。導電性ポリマーを用いる場合には、既に導電性コーティングを施した基板に、陽極酸化重合法で薄膜に形成させることにより、電極を製造することができる。基板上に形成させる電極の厚さは、特定の値に限定されないが、基板を発光板として用いる場合には、電極の厚さは好ましくは1nm〜300nmの範囲内、より好ましくは5〜200nmの範囲内にすることで、透過性が確保される。
【0121】
好ましい実施形態において、ITOを基板上で用い、ITO膜厚は10nm(100Å)〜1μ(10000Å)、好ましくは20nm(200Å)〜500nm(5000Å)の範囲内である。一般にITO薄膜のシート抵抗は、100Ω/cm2以下、好ましくは50Ω/cm2以下の範囲内で選択する。
【0122】
そのような陽極は、日本の製造メーカー(例えば、Geomatech Co. Ltd., Sanyo Vacuum Co. Ltd., Nippon Sheet Glass Co. Ltd.)から市販されている。
【0123】
基板として、導電性材料または電気的絶縁材料のいずれかを用いてもよい。導電性基板を用いる場合には、発光層または正孔輸送層をそこに直接形成させるが、電気的絶縁基板を用いる場合には、最初にそこに電極を形成させ、その後、発光層または正孔輸送層を重ね合わせる。
【0124】
基板は、透明、半透明または不透明のいずれであってもよい。しかし、基板を指示板(indicating plane)として用いる場合、基板は透明または半透明でなければならない。
【0125】
透明で電気的絶縁基板は、例えば、無機化合物(例えば、ガラス、水晶など)、有機ポリマー化合物(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリラート、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリカーボナート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタートなど)である。これらの基板それぞれに、上記の方法の一つで電極を設けることにより、基板を透明の導電性基板に変換することができる。
【0126】
半透明の電気的絶縁基板の例は、無機化合物(例えば、アルミナ、YSZ(イットリウム安定化ジルコニア)など、有機ポリマー化合物(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エポキシ樹脂など)である。これらの基板それぞれに、上記の方法の一つで電極を設けることにより、基板を半透明の導電性基板に変換することができる。
【0127】
不透明導電性基板の例は、金属(例えば、アルミニウム、インジウム、鉄、ニッケル、亜鉛、スズ、クロム、チタン、銅、銀、金、白金など)、様々な電気めっき金属、金属合金(例えば、ブロンズ、ステンレス鋼など)、半導体(例えば、Si、Ge、GaAsなど)、導電性ポリマー(例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリパラフェニレンなど)である。
【0128】
基板は、先に列挙した基板材料の一つを所望の寸法に形成させることにより得られる。基板が平滑面を有することが好ましい。粗面を有しているとしても、20μm以上の曲率を有し凹凸が少ないなら、実際の使用には問題が生じない。基板の厚さについては、十分な機械的強度が確保される限り制限はない。
【0129】
陰極として、低い仕事関数を有する通常の陰極材料、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、第13族元素、銀、銅、および合金、またはそれらの混合物(例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、フッ化リチウム(LiF)、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−銅合金、マグネシウム−アルミニウム合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム、アルミニウム−酸化アルミニウム合金、アルミニウム−リチウム合金、インジウム、カルシウム)、および導電性ポリマーなどのEP−A499011に例示された材料(例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアリニン、ポリアセチレンなど)、好ましくは、Mg/Ag合金、LiF−AlまたはLi−Al組成物を用いることができる。
【0130】
好ましい実施形態において、マグネシウム−銀合金、マグネシウムと銀との混合物、リチウム−アルミニウム合金、フッ化リチウム−アルミニウム合金、またはリチウムとアルミニウムとの混合物を、10nm(100Å)〜1μm(10000Å)、好ましくは20nm(200Å)〜500nm(5000Å)の範囲内の膜厚で用いてもよい。
【0131】
そのような陰極を、先に記載した公知の真空蒸着法により、前述の電子輸送層に蒸着してもよい。
【0132】
本発明の好ましい実施形態において、正孔輸送層と電子輸送層の間に発光層を用いてもよい。通常、正孔輸送層上に薄膜を形成させることにより、発光層を製造する。
【0133】
前記薄膜を形成させる方法としては、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、Langmuir-Blodgett(LB)法などがある。これらの方法のうち、真空蒸着法、スピンコート法、およびキャスト法が、操作の容易さおよび費用の面で特に好ましい。
【0134】
真空蒸着法により、組成物を用いた薄膜を形成させる場合、真空蒸着を実施する条件は、通常、該化合物の性質、形状および結晶状態に大きく依存する。しかし、最適条件は、通常、以下のとおりである:加熱ボートの温度:100〜400℃;基板の温度:−100〜350℃;圧力:1.33×104Pa(1×102トール)〜1.33×10-4Pa(1×10-6トール);および蒸着速度1pm〜6nm/秒。
【0135】
有機EL素子においては、発光層の厚さが、発光性を決定する因子の一つである。例えば、発光層が十分に厚くない場合、前記発光層をはさんだ2電極の間で容易に短絡が起こる可能性があり、それゆえEL発光は得られない。その一方で、発光層が極度に厚い場合、電気抵抗が高くなり、発光層の内部で大きな電位降下が起こるため、EL発光の限界電位が上昇する。したがって、有機発光層の厚さは、5nm〜5μmの範囲、好ましくは10nm〜500nmの範囲に限定される。
【0136】
スピンコート法、キャスト法、およびインクジェットプリント法を用いて発光層を形成させる場合、適切な有機溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシドなど)中に0.0001〜90重量%の濃度で組成物を溶解することにより調製した溶液を用いて、コーティングを実施してもよい。濃度が90重量%を超える場合、溶液は通常、非常に粘性になり、滑らかで均質な薄膜が形成されなくなる。その一方で、濃度が0.0001重量%未満であると、薄膜を形成させる効率が非常に低くなり、経済的でなくなる。したがって、組成物の好ましい濃度は、0.01〜80重量%の範囲内である。
【0137】
上記スピンコート法またはキャスト法を用いる場合、発光層を形成させる溶液にポリマー結合剤を添加することにより、得られた層の均質性および機械的強度を更に改善させることができる。原則として、組成物を溶解させる溶媒に可溶性であるなら、いずれのポリマー結合剤を用いてもよい。そのようなポリマー結合剤の例は、ポリカーボナート、ポリビニルアルコール、ポリメタクリラート、ポリメチルメタクリラート、ポリエステル、ポリビニルアセタート、エポキシ樹脂などである。しかし、ポリマー結合剤および組成物を構成する固形分が99重量%を超える場合、通常、溶液の流動性が非常に低くなり、均質性に優れた発光層を形成させることができない。その一方で、組成物の含量が、ポリマー結合剤よりも実質的に少ない場合、前記層の電気抵抗が非常に大きくなり、高電圧を加えなければ発光しない。したがって組成物に対するポリマー結合剤の好ましい比は、10:1〜1:50(重量)の範囲内で選択され、溶液中の両成分からなる固形分は、好ましくは0.01〜80重量%の範囲内であり、より好ましくは0.1〜60重量%の範囲内である。
【0138】
正孔輸送層としては、公知の有機正孔輸送化合物、例えば、ポリビニルカルバゾール:
【0139】
【化58】

【0140】
、J. Amer. Chem. Soc. 90 (1968) 3925に開示されたTPD化合物:
【0141】
【化59】

【0142】
(式中、Q1およびQ2は、それぞれ、水素原子またはメチル基を表す)、
J. Appl. Phys. 65(9) (1989) 3610に開示された化合物:
【0143】
【化60】

【0144】
スチルベンを基にした化合物:
【0145】
【化61】

【0146】
(式中、TおよびT1は、有機基を表す)、
ヒドラゾンを基にした化合物:
【0147】
【化62】

【0148】
(式中、Rx、RyおよびRzは、有機基を表す)、
などを用いてもよい。
【0149】
正孔輸送材料として用いられる化合物は、先に列挙した化合物に限定されない。正孔を輸送する性質を有する化合物(例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換されたカルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチルベニルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、アニリン誘導体のコポリマー、PEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))およびその誘導体、導電性オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、スチルベニルアミン化合物など)はいずれも、正孔輸送材料として用いることができる。
【0150】
特に、芳香族第三級アミン化合物、例えば、N,N,N',N'−テトラフェニル−4,4'−ジアミノビフェニル、N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(3−メチルフェニル)−4,4'−ジアミノビフェニル(TPD)、2,2'−ビス(ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、1,1'−ビス(4−ジ−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N'−ジフェニル−N,N'−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4'−ジアミノビフェニル、N,N,N',N'−テトラフェニル−4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ビス(ジフェニルアミノ)クアテルフェニル、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4'−[4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]スチルベン、4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4'−N,N−ジフェニルアミノスチルベン、N−フェニルカルバゾールなどが用いられる。
【0151】
その上、US−B−5,061,569に開示された4,4−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、およびEP−A508,562に開示された、トリフェニルアミンの3単位が窒素原子に結合した化合物(例えば4,4',4''−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンを用いてもよい。
【0152】
陽極上に正孔輸送材料を少なくとも1種含む有機薄膜を製造することにより、正孔輸送層を形成させることができる。正孔輸送層は、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェットプリント法、LB法などにより形成させることができる。これらの方法のうち、真空蒸着法、スピンコート法、およびキャスト法が、容易さおよび費用の面で特に好ましい。
【0153】
真空蒸着法を用いる場合、蒸着の条件は、発光層の形成で記載されたものと同様の手法で選択してもよい(先を参照)。正孔輸送材料を1種以上含む正孔輸送層を形成させることが望ましい場合、所望の化合物を用いた同時蒸発法(coevaporation method)を利用してもよい。
【0154】
スピンコート法またはキャスト法により正孔輸送層を形成させる場合、発光層の形成で記載した条件下で層を形成させてもよい(先を参照)。
【0155】
発光層を形成させる場合と同様に、結合剤、および少なくとも1種の正孔輸送材料を含む溶液を利用すれば、より滑らかでより均質な正孔輸送層を形成させることができる。そのような溶液を用いたコーティングは、発光層に関して記載したものと同様の手法で実施してもよい。少なくとも1種の正孔輸送材料を溶解させる溶媒に可溶性であるなら、いずれのポリマー結合剤を用いてもよい。適切なポリマー結合剤、および適切で好ましい濃度の例は、発光層に形成を記載した際に示している。
【0156】
正孔輸送層の厚さは、好ましくは0.5〜1000nm、好ましくは1〜100nm、より好ましくは2〜50nmの範囲内で選択する。
【0157】
正孔注入材料としては、公知の有機正孔輸送化合物、例えばJP64−7635に記載した、無金属フタロシアニン(H2Pc)、銅−フタロシアニン(Cu−Pc)およびそれらの誘導体などを用いてもよい。更に、該正孔輸送層よりも低いイオン化電位を有する、先の正孔輸送材料として定義した芳香族アミンの幾つかを用いてもよい。
【0158】
陽極層と正孔輸送層の間に、正孔注入材料を少なくとも1種含む有機薄膜を製造することにより、正孔注入層を形成させることができる。正孔注入層は、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などにより形成させることができる。層の厚さは、好ましくは5nm〜5μm、より好ましくは10nm〜100nmである。
【0159】
電子輸送材料は、高い電子注入効率(陰極から)および高い電子移動度を有していなければならない。以下の材料は、電子輸送材料の例示となり得る:トリス(8−ヒドロキシキノリナト)−アルミニウム(III)およびその誘導体、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリノラト)ベリリウム(II)およびその誘導体、オキサジアゾール誘導体(例えば2−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)およびその二量体系(例えば1,3−ビス(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾリル)ビフェニレンおよび1,3−ビス(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾリル)フェニレン)、ジオキサゾール誘導体、トリアゾール誘導体、クマリン誘導体、イミダゾピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体、またはAppl. Phys. Lett. 48(2) (1986) 183に開示されたペリレンテトラカルボン酸誘導体。
【0160】
正孔輸送層または発光層上に、電子輸送材料を少なくとも1種含む有機薄膜を製造させることにより、電子輸送層を形成させることができる。真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などにより、電子輸送層を形成させることができる。
【0161】
正孔阻止層のための正孔阻害材料が、電子輸送層から発光層への高い電子注入/輸送効率を有し、発光層よりも高いイオン化電位を有することで、発光層からの正孔の流出が防止され、ルミネセンス効率の降下が回避されることが好ましい。
【0162】
正孔阻害材料としては、公知の材料、例えば、Balq、TAZおよびフェナントロリン誘導体(例えばバソクプロイン(BCP))を用いることができる。
【0163】
【化63】

【0164】
電子輸送層と発光層の間に、正孔阻害材料を少なくとも1種の含む有機薄膜を製造することにより、正孔阻止層を形成させることができる。正孔阻止層は、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェットプリント法、LB法などにより形成させることができる。層の厚さは、好ましくは5nm〜2μmの範囲内、より好ましくは10nm〜100nmの範囲内で選択する。
【0165】
発光層または正孔輸送層を形成させる場合と同様に、結合剤および少なくとも1種の電子輸送材料を含む溶液を用いることにより、より滑らかでより均質な電子輸送層を形成させることができる。
【0166】
好ましくは電子輸送層の厚さは、0.5〜1000nm、好ましくは1〜100nm、より好ましくは2〜50nmの範囲内で選択する。
【0167】
好ましい実施形態において、ホスト発色団は、ホトルミネセンス発光ピーク500〜720nm、好ましくは520〜630nm、最も好ましくは540〜600nmを有するジケトピロロピロールである。ホスト発色団は、好ましくは式IIIで示されるジケトピロロピロールである。
【0168】
該発光組成物は、500〜780nm、好ましくは520〜750nm、より好ましくは540〜700nmの範囲内に蛍光発光最大を有する。更に、本発明の化合物は、好ましくは450〜600nmの範囲内に吸収最大を示す。
【0169】
発光組成物は、通常、1>蛍光量子収率(FQY)≧0.3(通気したトルエンまたはDMF中で測定)の範囲内のFQYを示す。更に、一般に本発明の組成物は、5000〜100000の範囲内のモル吸収係数を示す。
【0170】
本発明の別の実施形態は、本発明の化合物または組成物を当該技術分野で公知の方法により配合することにより、高分子量有機材料(通常、103〜107g/molの範囲内の分子量を有し、生体高分子および繊維などのプラスチック材料を含む)を着色する方法に関する。
【0171】
本発明の化合物および組成物は、
自宅、職場もしくは図画用の、例えば紙製品(例えば、ボールペン、フェルトペン、ファイバーペン、厚紙、木、(木製品用)着色剤、金属、インクパッド)の印刷工程(フレキソ印刷、スクリーン印刷、包装印刷、セキュリティインク印刷、凹版印刷もしくはオフセット印刷、印刷前段階、およびテキスタイル印刷)における印刷インク用のインク、または衝撃式印字法(衝撃圧力によるインクリボンを用いる)でのインクを製造するため、
高固形分(低溶媒)、水含有もしくは金属コーティング材料、または水性塗料用の着色配合剤として、工業もしくは商業用、織物装飾用、および工業用マーキング用、ローラーコーティングもしくは粉末コーティング用、または自動車の仕上げ用のコーティング材料の着色剤を製造するため、
コーティング、繊維、プラッタもしくはモールドキャリア用の着色プラスチックを製造するため、
デジタル印刷、昇華型熱転写印刷法、インクジェット印刷法、または熱転写印刷法のための非衝撃型印字材料を製造するため、
液晶ディスプレイ(LCD)もしくは電荷結合素子(CCD)用、または化粧品の製造用の色フィルタ(特に400〜700nmの範囲内の可視光用)を製造するため、あるいは
インク粒子、トナー、色素レーザ、乾燥コピートナー、液体コピートナー、または電子写真用トナー、および電界発光装置を製造するために、
例えば、EP−A−1087005のDPP化合物に関して記載されたとおり使用することができる。
【0172】
別の好ましい実施形態は、色変換媒体用の本発明の化合物および組成物の使用に関する。全色有機電界発光装置を実現するのに3種の主たる技術がある。
(i)電界発光により生成される3つの原色(青色、緑色および赤色)の使用、
(ii)電界発光青色と、緑色および赤色の蛍光とを吸収する色変換媒体(CCM)を通した、上記の電界発光青色または白色の、ホトルミネッセント緑色および赤色への変換、
(iii)色フィルタを通した、白色発光(white luminescent emission)の、青色、緑色および赤色への変換。
【0173】
本発明の化合物または組成物は、上記欄の(i)に加え、上述の技術(ii)のためのEL材料に有用である。これは、本発明の化合物または組成物が、強度のホトルミネッセンスおよび電界発光を示し得るためである。
【0174】
技術(ii)は、例えば、US−B−5,126,214から公知であり、ここで、約470〜480nmの最大波長を有するEL青色を、クマリン、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン、ピリジン、ローダミン6G、フェノキサゾンまたは他の着色剤を用いて、緑色および赤色に変換させる。
【0175】
本発明の化合物または組成物は、他の補正的電界発光を配合して白色発光を作り出す白色発光の素子として、上記欄(iii)のEL材料に有用である。これは、化合物または組成物が、強度のホトルミネッセンスおよび電界発光を示し得るためである。
【0176】
本発明の組成物により着色され得る高分子量の適切な有機材料の例は、EP−A−1087005に記載されている。
【0177】
特に塗料系、印刷インクまたはインクを製造するための、特に好ましい高分子量有機材料は、例えば、セルロースエーテルおよびエステル、例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロースおよび酪酸セルロース、天然樹脂または合成樹脂(重合または縮合樹脂)、例えば、アミノプラスト、特に、尿素/ホルムアルデヒドおよびメラミン/ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、フェノールプラスチック、ポリカーボナート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ABS、ASA、ポリフェニレンオキシド、加硫ゴム、カゼイン、シリコーンおよびシリコーン樹脂、ならびにそれらの互いの可能な混合物である。
【0178】
溶解形態の高分子量有機材料を、塗膜形成要素(例えば、煮亜麻仁油、ニトロセルロース、アルキド樹脂、フェノール樹脂、メラミン/ホルムアルデヒド、および尿素/ホルムアルデヒド樹脂、ならびにアルリル樹脂)として使用することも可能である。
【0179】
前記高分子量有機材料は、単独または混合物として、例えば、顆粒、プラスチック材料、溶融体、または溶液の形態で、特に、紡糸溶液、塗料系、コーティング材料、インクまたは印刷インクの製造用に得ることもできる。
【0180】
本発明の特に好ましい実施形態において、本発明の化合物または組成物は、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、および特にポリオレフィン(例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレン)の内部着色に、そして(粉末コーティング、インク、印刷インク、色フィルタおよびコーティングカラー)などの塗料系の製造に用いられる。
【0181】
塗料系のための好ましい結合剤の例は、アルキド/メラミン樹脂塗料、アクリル/メラミン樹脂塗料、酢酸セルロース/酪酸セルロース塗料、およびポリイソシアナートと架橋し得るアクリル樹脂に基づいた2パックシステムラッカー(two-pack system lacquers)である。
【0182】
こうして、本発明の別の実施形態は、
(a)本発明の式Iで示される化合物または組成物を、着色した高分子量有機材料の全重量に基づいて0.01〜50重量%、好ましくは0.01〜5重量%、特に好ましくは0.01〜2重量%、
(b)高分子量有機材料を、着色した高分子量有機材料の全重量に基づいて99.99〜50重量%、好ましくは99.99〜95重量%、特に好ましくは99.99〜98重量%、および
(c)場合により、慣用的添加剤(例えば、レオロジー改良剤、分散剤、充填剤、塗料助剤、乾燥剤、可塑剤、UV安定化剤、および/または別の顔料もしくは対応する前駆体)を効果的量(例えば、(a)〜(b)の全重量に基づいて0〜50重量%)、含む組成物に関する。
【0183】
異なる色調を得るために、式Iで示される本発明の蛍光化合物または本発明の組成物は、有利には、充填剤、透明および不透明の白色、有色および/または黒色顔料、ならびに慣用的光沢顔料の所望の量と混合して使用してもよい。
【0184】
塗料系、コーティング材料、色フィルタ、インクおよび印刷インクを製造するために、通常は、対応する高分子量有機材料(例えば、結合剤、合成樹脂、分散体など)と本発明の化合物または組成物とを、所望なら慣用される添加剤(例えば、分散剤、充填剤、塗料助剤、乾燥剤、可塑剤および/または別の顔料もしくは顔料前駆体)と一緒に、一般的溶媒または溶媒混合物に分散または溶解する。これは、各成分を単独で、または複数の成分を一緒に分散または溶解し、その後、全ての成分をまとめるか、またはそれぞれを一緒に一度に添加することにより実行してもよい。
【0185】
このため、本発明の更なる実施形態は、分散体を製造するための、本発明の化合物または組成物を用いた方法、および対応する分散体、ならびに本発明の組成物を含む、塗料系、コーティング材料、色フィルタ、インクおよび印刷インクに関する。
【0186】
特に好ましい実施形態は、例えば流体(例えば、滑剤、冷却系など)の漏れ検出用の蛍光トレーサを製造するための本発明の化合物もしくは組成物の使用、または本発明の組成物を含む蛍光トレーサもしくは滑剤に関する。
【0187】
高分子量有機材料の着色のために、場合によりマスタバッチの形態の、本発明の化合物または組成物を、ロールミル、混合装置、または粉砕装置を用いて、高分子量有機材料と混合する。一般に、着色材料は、続いて、従来法(例えば、カレンダー、圧縮成形、押出し、スプレッド、キャストまたは射出成形)により所望の最終的形態にする。
【0188】
ラッカー、コーティング材料および印刷インクを着色する場合、高分子量有機材料と本発明の化合物または組成物とを、単独で、または添加剤(例えば、充填剤、他の顔料、乾燥剤または可塑剤)と一緒に、一般に、一般的な有機溶媒または溶媒混合物に溶解または分散させる。この場合、各成分を別個に分散もしくは溶解するか、または2種以上を同時に分散もしくは溶解し、その後、成分の全てをひとまとめにするという手順を採用することができる。
【0189】
加えて本発明は、本発明の組成物の顔料分散体を彩色上効果的な量含むインクに関する。
【0190】
一般に、インクに対する顔料分散体の重量比は、インクの全重量に基づいて、0.001〜75重量%、好ましくは0.01〜50重量%の範囲内で選択する。
【0191】
色フィルタまたは着色した高分子量有機材料の製造および使用は、当該技術分野で公知であり、例えば、Displays 14/2, 1151 (1993)、 EP−A784085またはGB−A2,310,072に記載されている。
【0192】
例えば、本発明の組成物を含む顔料分散体を含み得るインク(特に印刷インク)、または例えば、本発明の組成物を含む顔料分散体を化学的、熱的または光分解により構成し得る高分子量有機材料(いわゆるレジスト)と混合することにより、製造し得るインク(特に印刷インク)を用いて、色フィルタをコーティングしてもよい。続く製造は、例えば、基板(例えばLCD(液晶ディスプレイ))に適用し、次に光構築(photostructuring)して現像することにより、EP−A654711と同様に実行してもよい。
【0193】
色フィルタの製造で特に好ましいのは、高分子用の非水性溶媒または分散媒体を有する本発明の化合物または組成物を含む顔料分散体である。
【0194】
その上、本発明は、本発明の化合物もしくは組成物を含有する顔料、または本発明の組成物で着色した高分子量有機材料を、彩色上効果的量含むトナーに関する。更に本発明は、好ましくは分散体の形態の本発明の組成物、または本発明の組成物で着色した高分子量有機材料を、彩色上効果的量含む着色剤、着色プラスチック、高分子インク粒子、または非衝撃型印字材料に関する。
【0195】
本発明の組成物を含む、本発明の顔料分散体の彩色上効果的量は、一般に、着色した材料の全重量に基づいて、0.0001〜99.99重量%、好ましくは0.001〜50重量%、特に好ましくは0.01〜50重量%を表す。
【0196】
本発明の組成物は、ポリアミドに配合する際に分解しないため、ポリアミドの着色に使用することができる。更にそれらは、特にプラスチックにおいて、ひときわ良好な耐光性、優れた熱安定性を示す。
【0197】
本発明の有機EL装置は、壁掛けテレビ装置のフラットパネルディスプレイ、平面発光装置、コピー機または印刷機の光源、液晶ディスプレイまたはカウンターの光源、ディスプレイ用看板および信号に採用し得るため、重要な工業的価値を有する。本発明の化合物または組成物を、有機EL装置、電子写真技術の光受容体、光電変換器、太陽電池、イメージセンサなどの分野で用いることができる。
【0198】
以下の実施例は、例示のみを目的とするものであり、本発明の範囲を限定するものではない。実施例において、他に断りがなければ、「部」は「重量部」を表し、「パーセント値」は「重量パーセント値」を表す。
【0199】
実施例1
2,9−ジクロロキナクリドン(Pigment Red 202)5.0g(13mmol)、NaH(60%アッセイ)1.53g(39mmol)、および乾燥N−メチルピロリドン(NMP)100mlを三ツ口フラスコに入れ、窒素下、80℃の撹拌機で15時間、激しく撹拌した。反応混合物を周囲温度に放冷し、1−ヨードヘキサン12g(60mmol)を添加して、反応混合物を15時間撹拌した。反応が完了した後、水100mlを添加した。反応混合物をろ過して、抽出物が無色になるまでメタノールで洗浄した。乾燥させた後、粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製して、QA−1 680mgを赤色粉末として得た。
【0200】
【化64】

【0201】
QA−1 0.33g(0.6mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド160mg(1.68mmol)およびジフェニルアミン0.53g(3.12mmol)を、o−キシレン10mlに添加した。懸濁液を撹拌して、真空を利用して脱気した。これに[(アリル)PdBr(P(iPr)3)]14mg(0.06mmol)を添加した。懸濁液を120℃に加熱し、この温度で2時間撹拌した。TLCでは、完全な変換が示された。紫色の混合物を周囲温度に冷却し、水に注いで、CH2Cl2で希釈した。水相をCH2Cl2で2回抽出した。ひとまとめにした有機相をNa2SO4で乾燥させ、ろ過して蒸発乾固した。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/CH2Cl2/MeOH 5:1:0.2)により精製した後、紫色の固体0.32g(65%)を得た。1H−NMRおよびMSにより、所望の化合物が純粋であることが示された。
【0202】
【表5】

【0203】
【化65】

【0204】
実施例2
QA−1 0.33g(0.6mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド160mg(1.68mmol)および4,4'−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン1.2g(3.12mmol)を、o−キシレン10mlに添加した。懸濁液を撹拌して、真空を利用して脱気した。これに[(アリル)PdBr(P(iPr)3)]7mg(0.03mmol)を添加した。懸濁液を120℃に加熱し、この温度で1時間撹拌した。TLCでは、出発原料が約30%残存することが示された。2回目の触媒7mgを添加して、反応混合物を120℃で更に1時間加熱し、その後、TLCでは完全な変換が示された。紫色の混合物を周囲温度に冷却し、水に注いで、CH2Cl2で希釈し、綿でろ過した。水相をCH2Cl2で2回抽出した。ひとまとめにした有機相をNa2SO4で乾燥させ、ろ過して蒸発乾固した。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/CH2Cl2/MeOH 5:1:0.2)により精製した後、紫色の固体0.24g(31%)を得た。1H−NMRおよびMSにより、所望の化合物が純粋であることが示された。
【0205】
【表6】

【0206】
【化66】

【0207】
実施例3
QA−1 0.33g(0.6mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド160mg(1.68mmol)および4,4'−ジメチルジフェニルアミン0.62g(3.12mmol)を、o−キシレン10mlに添加した。懸濁液を撹拌して、真空を利用して脱気した。これに[(アリル)PdBr(P(iPr)3)]14mg(0.06mmol)を添加した。懸濁液を120℃に加熱し、この温度で2時間撹拌した。TLCでは、完全な変換が示された。紫色の混合物を周囲温度に冷却し、水に注いで、CH2Cl2で希釈した。水相をCH2Cl2で2回抽出した。ひとまとめにした有機相をNa2SO4で乾燥させ、ろ過して蒸発乾固した。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/CH2Cl2/MeOH 5:1:0.2)により精製した後、紫色の固体0.35g(67%)を得た。1H−NMRおよびMSにより、所望の化合物が純粋であることが示された。
【表7】

【0208】
【化67】

【0209】
実施例4
QA−1 0.34g(0.62mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド170mg(1.73mmol)およびN−フェニルナフチルアミン0.54g(2.47mmol)を、o−キシレン10mlに添加した。懸濁液を撹拌して、真空を利用して脱気した。これに[(アリル)PdBr(P(iPr)3)]14mg(0.06mmol)を添加した。懸濁液を120℃に加熱し、この温度で2時間撹拌した。TLCでは、完全な変換が示された。紫色の混合物を周囲温度に冷却し、水に注いで、CH2Cl2で希釈した。水相をCH2Cl2で2回抽出した。ひとまとめにした有機相をNa2SO4で乾燥させ、ろ過して蒸発乾固した。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/CH2Cl2/MeOH 5:1:0.2)により精製した後、紫色の固体0.30g(53%)を得た。1H−NMRおよびMSにより、所望の化合物が純粋であることが示された。
【0210】
【表8】

【0211】
【化68】

【0212】
実施例5
a)Pigment Red 202 5.0g(13mmol)、NaH(60%アッセイ)1.56g(39mmol)、および乾燥NMP 50mlを三ツ口フラスコに入れ、窒素下、120℃の撹拌機で15時間、激しく撹拌した。反応混合物を周囲温度に放冷し、ヨードメチル5.5g(39mmol)を添加して、5時間撹拌した。反応が完了した後、水100mlを添加してろ過し、抽出物が無色になるまでメタノールで洗浄した。乾燥させた後、粗生成物を昇華により精製して、QA−7 2.7gを鮮やかな赤色粉末として得た。
【0213】
【化69】

【0214】
b)QA−6 0.49g(1.2mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド160mg(1.68mmol)およびジフェニルアミン0.53g(3.12mmol)を、o−キシレン10mlに添加した。懸濁液を撹拌して、真空を利用して脱気した。これに[(アリル)PdBr(P(iPr)3)]18mg(0.076mmol)を添加した。懸濁液を120℃に加熱し、この温度で2時間撹拌した。TLCでは、完全な変換が示された。紫色の混合物を周囲温度に冷却し、水に注いで、CH2Cl2で希釈した。水相をCH2Cl2で2回抽出した。ひとまとめにした有機相をNa2SO4で乾燥させ、ろ過して蒸発乾固した。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/CH2Cl2/MeOH 5:1:0.2)により精製した後、紫色の固体0.07g(9%)を得た。1H−NMRおよびMSにより、所望の化合物が純粋であることが示された。
【表9】

【0215】
【化70】

【0216】
実施例6
ITO透明導電性薄膜を最大で約150nmの厚さに蒸着したガラス基板(Geomatek Co.により製造。電子ビーム蒸着法により製造した製品)を、10×20nmの寸法に切断し、エッチングした。こうして得た基板を、15分間、洗剤水による超音波洗浄にかけ、その後、純水で洗浄した。続いて、基板を15分間、アセトンによる超音波洗浄にかけ、その後乾燥させた。基板を素子に形成させる直前に、こうして得た基板を30分間プラズマ処理し、真空蒸着装置に入れて、内圧が1×10-5Pa以下になるまで装置を排気した。その後、抵抗加熱法により、最初にCuPc(20nm)およびN,N'−ジフェニル−N,N'−(1−ナフチル)−1,1'−ジフェニル−4,4'−ジアミン(α−NPD)を、正孔輸送材料として、最大40nmの厚さに逐次、蒸着して、正孔輸送層を形成させた。続いて、H−2、式IIIで示されるDPP化合物およびQA−2を、蒸着速度の比(H−2:QA−2=99:約1)を制御することにより、発光層として最大30nmの厚さに共蒸着して、均質な発光層を形成させた。続いて、Alq3層を蒸着して、厚さ30nmを有する電子輸送/注入層を形成させた。加えて、LiFを厚さ0.5nmのAlq3層に蒸着した。その上部に、Mg−Ag合金(10:1)を蒸着して、厚さ150nmを有する陰極を形成させ、それにより寸法5×5nm2を有する素子を製造した。こうして得た発光素子の発光ピーク波長および発光強度を、表1に要約する。
【0217】
実施例7
実施例6の発光材料を表1に記載した発光材料に置き換えたこと以外は、実施例6を反復した。
【0218】
【表10】

【0219】
参照実施例1
以下の化合物(A−3;EP−A−1087006の実施例81)を、発光材料として用いたこと以外は、実施例8を反復した。最大発光は、5260Cd/m2であった。
【0220】
【化71】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


〔式中、
1およびR2は、同一または異なっていてもよく、C1〜C25アルキル基(フッ素、塩素または臭素により置換されていてもよい)、アリル基(C1〜C4アルキルで1〜3回置換されていてもよい)、シクロアルキル基、シクロアルキル基(C1〜C4アルキル、ハロゲン、ニトロ、またはシアノで1〜3回置換されていてもよいフェニルにより1または2回縮合されていてもよい)、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、ハロアルケニル基、ハロアルキニル基、ケトン基、アルデヒド基、エステル基、カルバモイル基、ケトン基、シリル基、シロキサニル基、A3または−CR78−(CH2m−A3〔式中、
7およびR8は、互いに独立して、水素、C1〜C4アルキル、またはフェニル(C1〜C4アルキルで1〜3回置換されていてもよい)を表し、
3は、アリールまたはヘテロアリール、特にフェニルまたは1−もしくは2−ナフチル(C1〜C8アルキルおよび/またはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい)を表し、
mは、0、1、2、3または4を表す〕から選択され、
3、R3'、R6およびR6'は、互いに独立して、水素、ハロゲン、C1〜C18アルキル、ハロゲン置換されたC1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシ、C1〜C18アルキルチオ、シクロアルキル、場合により置換されたアリールもしくはアリールアルキルを表し、ここで、置換基は、アルコキシ、ハロゲンもしくはアルキルであり、
4およびR4'は、互いに独立して、R3、もしくは基:−NAr1Ar2であり、
5およびR5'は、互いに独立して、R3、もしくは基:−NAr3Ar4であるか、または
3'とR4'、ならびに/もしくはR3とR4は、一緒に、基:
【化2】


であるか、または
5'とR6'、ならびに/もしくはR5とR6は、一緒に、基:
【化3】


であり、ここで、
30、R31、R32およびR33は、互いに独立して、水素、C1〜C18アルキル、ハロゲン置換されたC1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシ、またはC1〜C28アルキルチオであり、
34、R35、R36およびR37は、互いに独立して、水素、C1〜C18アルキル、ハロゲン置換されたC1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシ、またはC1〜C28アルキルチオであり、
Ar1、Ar2、Ar3およびAr4は、互いに独立して、場合により置換されていてもよいアリール基、または場合により置換されていてもよいヘテロアリール基であるが、ただし、基:R4、R4'、R5およびR5'の少なくとも1つが、基:−NAr1Ar2または−NAr3Ar4であること、ならびにR1=R2がC25であり、Ar1=Ar2=Ar3=Ar4が、
【化5】


である、式:
【化4】


で示される化合物、およびR1=R2がPhであり、Ar1=Ar2=Ar3=Ar4が、
【化6】


である、式:
【化4】


で示される化合物が除外されること、を条件とする〕で示される化合物。
【請求項2】
式(II):
【化7】


〔式中、
1、R2、R3、R3'、R4、R4'、R6およびR6'は、請求項1に定義したとおりであり、
Ar1、Ar2、Ar3およびAr4は、互いに独立して、基:−Ar5−X1−Ar6
【化8】


であるか、またはAr1とAr2、ならびに/もしくはAr3とAr4は、結合した窒素原子と一緒になって、5もしくは6員環複素環、例えば
【化9】


を形成しており、場合により置換されたフェニル基、例えば
【化10】


1もしくは2個で縮合されていてもよく、ここで、
1は、−C(X2)(X3)−、−O−、−S−、−SO2−、−C(=O)−、
【化11】


−(Cx2x)−O−(Cy2y)−(式中、xおよびyのそれぞれは、0〜20の整数であるが、x+yが、0になる例はない)、炭素原子を少なくとも2個有する置換もしくは非置換のアルキレン基、炭素原子を少なくとも2個有する置換もしくは非置換のアルキリデン基、または炭素原子を少なくとも2個有する置換もしくは非置換の脂環基であり、
Ar5は、
【化12】


であり、
Ar6は、
【化13】


であり、
2およびX3は、互いに独立して、水素、C1〜C18アルキル、ハロゲン置換されたC1〜C18アルキル、またはフェニル(C1〜C8アルキルおよび/またはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい)を表し、
4は、C1〜C18アルキル、ハロゲン置換されたC1〜C18アルキル、またはフェニル(C1〜C8アルキルおよび/またはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい)を表し、
38、R39、R40、R41、R42、R43、R44およびR45は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシまたはフェニルを表す〕で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Ar1、Ar2、Ar3およびAr4が、互いに独立して、基:
【化14】


(式中、R38は、水素またはC1〜C4アルキルである)、
【化15】


である、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
1およびR2が、同一または異なっていてもよく、C1〜C18アルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル及び2−エチルヘキシル、n−ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル);C5〜C12シクロアルキル基、特にシクロヘキシル(C1〜C4アルキルまたはC1〜C4アルコキシで1〜3回置換されていてもよい);シクロアルキル基、特にシクロヘキシル(C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、ハロゲンおよびシアノで1〜3回置換されていてもよいフェニルで1または2回縮合されていてもよい)、特に
【化16】


(式中、R51、R52およびR53は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、ハロゲンおよびシアノである);C5〜C12シクロアルケニル基、特にシクロヘキセニル(C1〜C4アルキルまたはC1〜C4アルコキシで1〜3回置換されていてもよい);C6〜C14アリール基、特に、フェニル、ビフェニリル、1−もしくは2−ナフチル(C1〜C8アルキルまたはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい);または−CR78−(CH2m−A3(式中、R7およびR8は、水素またはC1〜C4アルキルを表し、A3は、C1〜C8アルキルまたはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい、フェニルまたは1−もしくは2−ナフチルを表し、mは、0または1を表す)、から選択される、請求項1〜3のいずれか記載の化合物。
【請求項5】
【表1】


から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
ゲスト発色団およびホスト発色団を含む組成物であって、ゲスト発色団の吸収スペクトルがホスト発色団の蛍光発光スペクトルと重複しており、ここで、ホスト発色団が、500〜720、好ましくは520〜630nm、より好ましくは540〜600nmにホトルミネセンス発光ピークを有するジケトピロロピロールであり、ゲスト発色団が、請求項1〜5のいずれか記載の式Iで示される化合物である組成物。
【請求項7】
ホスト発色団が、式(III):
【化17】


〔式中、
13およびR14は、互いに独立して、C1〜C25アルキル(フッ素、塩素、または臭素により置換されていてもよい);C5〜C12シクロアルキル;C5〜C12シクロアルキル(C1〜C4アルキル、ハロゲン、ニトロまたはシアノで1〜3回置換されていてもよいフェニルにより1または2回縮合されていてもよい);シリル;A6;または−CR1112−(CH2m−A6〔式中、R11およびR12は、互いに独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ、もしくはC1〜C4アルキル(フッ素、塩素または臭素で置換されていてもよい)、またはフェニル(C1〜C4アルキルで1〜3回置換されていてもよい)を表し、A6は、フェニルまたは1−もしくは2−ナフチル(C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノで1〜3回置換されていてもよい);フェニル(C1〜C8アルキルまたはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい);NR2324(式中、R23およびR24は、水素、C1〜C25アルキル、C5〜C12シクロアルキルまたはC6〜C24アリールを表す)を表し、特に、フェニルまたは1−もしくは2−ナフチル(C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、ハロゲンまたはシアノで1〜3回置換されていてもよい);フェニル(C1〜C8アルキルまたはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい)を表し、mは、0、1、2、3または4を表す〕を表し、
4およびA5は、互いに独立して、
【化18】


〔式中、R25、R26およびR27は、互いに独立して、水素、C1〜C25アルキル、−CR1112−(CH2m−A6、シアノ、ハロゲン、−OR29、−S(O)p30、またはフェニル(C1〜C8アルキルまたはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい)を表し、ここで、R29は、C1〜C25アルキル、C5〜C12シクロアルキル、−CR1112−(CH2m−Ph、C6〜C24アリール、または飽和もしくは不飽和複素環基(環内原子を5〜7個含み、炭素原子と、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子1〜3個とからなる)を表し、R30は、C1〜C25アルキル、C5〜C12シクロアルキル、または−CR1112−(CH2m−Phを表し、R28は、C2〜C20ヘテロアリールまたはC6〜C24アリールを表し、pは、0、1、2または3を表し、mおよびnは、0、1、2、3または4を表す〕を表す〕により表されるジケトピロロピロール(DPP)である、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
13およびR14が、互いに独立して、C1〜C8アルキル、C5〜C12シクロアルキル(C1〜C8アルキルおよび/またはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい)、フェニルまたは1−もしくは2−ナフチル(C1〜C8アルキルおよび/またはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい)、あるいは−CR1112−(CH2m−A6(式中、R11およびR12は、水素またはC1〜C4アルキルを表し、A6は、C1〜C8アルキルおよび/またはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよいフェニルまたは1−もしくは2−ナフチルを表し、mは、0または1を表す)を表す、請求項6または7記載の組成物。
【請求項9】
4およびA5は、互いに独立して、
【化19】


(式中、R25は、C1〜C8アルキル、フェニル、1−または2−ナフチルである)を表す、請求項6〜8のいずれか記載の組成物。
【請求項10】
ホスト発色団が、式(IV):
【化20】


〔式中、
53およびR54は、同一または異なっていてもよく、C1〜C25アルキル基(フッ素、塩素または臭素により置換されていてもよい)、アリル基(C1〜C4アルキルで1〜3回置換されていてもよい)、シクロアルキル基、シクロアルキル基(C1〜C4アルキル、ハロゲン、ニトロ、またはシアノで1〜3回置換されていてもよいフェニルにより1または2回縮合されていてもよい)、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、ハロアルケニル基、ハロアルキニル基、ケトン基、アルデヒド基、エステル基、カルバモイル基、ケトン基、シリル基、シロキサニル基、A8または−CR6061−(CH2m−A8〔式中、
60およびR61は、互いに独立して、水素、C1〜C4アルキル、またはフェニル(C1〜C4アルキルで1〜3回置換されていてもよい)を表し、
8は、アリールまたはヘテロアリール、特にフェニルまたは1−もしくは2−ナフチル(C1〜C8アルキルおよび/またはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよい)を表し、
mは、0、1、2、3または4を表す〕から選択され、
6およびA7は、互いに独立して、
【化21】


〔式中、R55は、水素原子、C1〜C12アルキル基、C1〜C8アルコキシ基、または式:
【化22】


(式中、R57、R58およびR59は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキルまたはC1〜C8アルコキシを表す)で示される基であり、
56は、水素またはC1〜C8アルキルを表す〕から選択される〕により表されるジケトピロロピロールである、請求項6記載の組成物。
【請求項11】
請求項1〜5のいずれか記載の化合物、または請求項6〜10のいずれか記載の組成物を含むEL装置。
【請求項12】
(a)請求項1〜5のいずれか記載の化合物または請求項6〜10のいずれ記載の組成物を、着色した高分子量有機材料の全重量に基づいて0.01〜50重量%、
(b)高分子量有機材料を、着色した高分子量有機材料の全重量に基づいて99.99〜50重量%、および
(c)所望なら、慣用的な添加剤を効果的な量で、
含む組成物。
【請求項13】
色変換媒体、固体色素レーザ、ELレーザ、およびEL装置中で、蛍光トレーサとしての高分子有機材料を着色するための、請求項1〜5のいずれか記載の蛍光ジケトピロロピロールの使用、または請求項6〜10のいずれか記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2008−505240(P2008−505240A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519763(P2007−519763)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052841
【国際公開番号】WO2006/003090
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】