説明

血漿カリクレインを阻害するためのアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミン

本発明は、一般式I
P4−P3−P2−P1 (I)
(式中、P4は、モノ置換もしくはポリ置換もしくは非置換ベンジルスルホニル基であり、P3は、D配置のモノ置換もしくはポリ置換もしくは非置換、天然もしくは非天然α−アミノ酸またはα−イミノ酸であり、P2は、L配置のモノ置換もしくはポリ置換もしくは非置換、天然もしくは非天然α−アミノ酸またはα−イミノ酸であり、P1は、モノ置換もしくはポリ置換もしくは非置換4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミン基である)
で表されるアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンの、血漿カリクレイン(PK)、第XIa因子および第XIIa因子を阻害するための、特に合成表面での凝固の活性化を阻害するための、および抗凝固薬/抗血栓薬としての全身的投与のための、特に血栓塞栓性現象を防ぐ目的のために合成表面での凝固の活性化を防止するための使用。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、一般式P4−P3−P2−P1(I)(式中、P4は、モノ置換もしくはポリ置換もしくは非置換ベンジルスルホニル基であり、P3は、D配置のモノ置換もしくはポリ置換もしくは非置換、天然もしくは非天然α−アミノ酸またはα−イミノ酸であり、P2は、L配置のモノ置換もしくはポリ置換もしくは非置換、天然もしくは非天然α−アミノ酸またはα−イミノ酸であり、P1は、モノ置換もしくはポリ置換もしくは非置換4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミン基である)で表されるアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンの、血漿カリクレイン(PK)を阻害するための使用に関する。これに関連して、新規なPK阻害剤は、血栓塞栓性現象を防ぐために、合成表面での凝固の活性化防止のため、および抗凝固薬/抗血栓薬としての全身的投与のため、特に合成表面での凝固の活性化防止のために用いられる。
【0002】
本発明はさらに、それら自体新規なアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンに関し、好ましいのは、特に、P2またはP4にリンカー基を有するものであり、これらのリンカー基は、好ましくは、特に、オリゴ−またはポリアルキレングリコールである。
【0003】
本発明はまた、上記アシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンの、第XIa因子および第XIIa因子を阻害するための使用に関する。トロンビンおよびプロトロンビンを阻害するために上記化合物を使用することも本発明の文脈内で説明する。
【0004】
PKは、いくつかの生理学的物質が知られている多官能性チロシン様セリンプロテアーゼである。すなわち、PKは、たんぱく分解性開裂によって、血管作動性ペプチドブラジキニンを高分子量キニノーゲンから解き放ち、プロテアーゼ凝固第XII因子、プロウロキナーゼ、プラスミノゲンおよびPro−MMP3を活性化する。従って、PK/キニン系は様々な症状、例えば、血栓塞栓状態、播種性静脈内凝固、敗血症性ショック、アレルギー、胃切除後症候群、関節炎およびARDS(成人の呼吸窮迫症候群)において重要な役割を演じていると思われる(Tada等, Biol. Pharm. Bull 24, 520-524, 2001)。
【0005】
凝固第XII因子が活性化し、これによってそれが第XIIa因子へ変換する結果、PKは固有の凝固カスケードの活性化に特別な役割を演じる。腺外血液循環に存在する血液が合成表面と、例えば血液透析でまたは酸素発生器の使用で接触すると、固有の凝固カスケードは活性化することができる。第XII因子が、特に負に帯電した表面および合成表面に結合した結果、固有の凝固カスケードは、自己活性化によってまたは微量のPKによって誘発される(Kapkan, Prog. Hemostasis Thromb. 4,127-175, 1978)。活性化第XII因子(F XIIa)は血漿プレカリクレインのPKへの変換を触媒し、これは、正のフィードバックの意味で、第XIIa因子のさらなる形成をもたらす(Griffin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75, 1998-2002, 1978)。固有の凝固カスケードの初期段階における第XIIa因子およびPKの重要性と一致して、これらの酵素の阻害剤もまた凝固阻害効果を有するはずである。固有凝固の活性化におけるこの初期段階の間、第XIIa因子は第XI因子を活性化し、これによって後者を第XIa因子に変換する。
【0006】
ヘパリンタイプの抗凝固剤薬、ビタミンKアンタゴニストまたはヒルジンは、固有および非固有凝固カスケードの阻害剤として用いられ、従って、上記症状、例えば血栓塞栓状態、播種性静脈内凝固、敗血症性ショック、アレルギー、胃切除後症候群、関節炎およびARDS(成人の呼吸窮迫症候群)の予防および治療に用いられる。しかしながら、現在の抗凝固薬は、例えば、特異性が低い、出血合併症が生じる、半減期が短いまたは経口利用に不適切等の理由で、「理想的な」抗血栓薬の全ての要件を満たしていないため、凝固プロテアーゼトロンビンおよび第Xa因子の小分子阻害剤を用いる代替法の開発が試みられている。固有凝固経路における初期酵素である第VIIa因子は、阻害剤を開発する目的の様々な方法において研究されている別の標的酵素である(RobinsonおよびSaiah, Ann. Rep. Med. Chem. 37, 85-94, 2002)。しかしながら、トロンビンおよびF Xaの阻害剤、または非固有凝固カスケードの特定の阻害剤としてのF VIIaの阻害剤は、例えば、血液と合成表面との接触によって、誘導される固有凝固カスケードの活性化にどのような阻害効果ももたない。
【0007】
帯電した表面で活性化した後に固有凝固を始める第XIIa因子およびPK2つの酵素因子の阻害剤を調べる取り組みはいくつかあるのみである。グアニジノアルキルカルボン酸誘導体FOV(Isobe, Blood & Vessel 12, 135-138, 1981)、ロイペプチン、トロンビン阻害剤Na−ダンシル−L−アルギニン−4−エチルピペリジド(Ratnoff, blood 57, 55-58, 1981)および各種トリペプチド(エステルおよびアミド)(Fareed等,Ann. N. York Acad. Sci. 370, 765-784, 1981; SilverbergおよびKaplan, Blood 60, 64-70, 1982 )は、第XIIa因子における阻害効果がある程度あることが報告されている。Nα−置換4−アミジノフェニル−α−アミノ酪酸のアミドはより活性な阻害剤であることが報告されている(Sturzebecher等, Zentralbl. Pharm. Pharmakother. Lab. Diagn. 122, 240-241, 1983)。
【0008】
が約50μMであるペンタミジンおよび関連化合物は、活性なPK阻害剤であることが分かった(Ashgar等, Biochim. Biophy.s Acta 438, 250-264, 1976)。ω−アミノ−およびω−グアニジノアルキルカルボン酸のエステルもミクロモルK値を有するPK阻害剤であることが報告されている(MuramatuおよびFuji, Biochim. Biophys. Acta 242, 203-208, 1971; MuramatuおよびFuji, Biochim. Biophys. Acta 268, 221-224, 1072; Ohno等, Thromb. Res. 19, 579-588, 1980; Muramatu等, Hoppe-Seyler’s Z. Physiol. Chem. 363, 203-211, 1982; Satoh等, Chem. Pharm. Bull. 33, 647-654, 1985; Teno等, Chem. Pharm. Bull. 39, 2930-2936, 1991)。アルギニンまたはフェニルアラニンから誘導される最初の高度に選択性の拮抗阻害剤は岡本等によって開発され(Thromb. Res. Suppl. VIII, 131-141, 1988)、PKを約1μMのK値で阻害する。岡田のグループは、拮抗PK阻害剤の開発に関するいくつかの研究を公開しており、トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボニル−Phe−4−カルボキシメチルアニリドから誘導される最も活性な化合物は阻害定数が約0.5μMである(岡田等, Biopolymers 51, 41-50, 1999; 岡田等, Bioorg. Med. Chem. Lett. 10, 2217-2221 2000; 津田等, Chem Pharm. Bull. 49, 1457-1463, 2001)。上記PK阻害剤に共通する特徴は比較的高いK値である。WO00/41531には、阻害定数が約1nMであり、P1基として4−アミジノアニリンを有する、有力なPK阻害剤が記載されている。しかしながら、WO00/41531に記載のこれらの阻害剤は合成表面に共有結合するのには適していない。PK阻害剤はまたWO94/29336にも記載されている。本発明の化合物と比較したときの本質的な相違は、WO94/29336に記載の化合物が決定的なベンジルスルホニル基(P4)を含まないことである。さらに、WO94/29336には、化合物の例えば合成表面への結合について何も記載がない。
【0009】
現在まで、P1基としてアルギナル(例えば、アダマンチルオキシカルボニル−D−Phe−Phe−アルギナル、K12nM、Garrett等, J. Pept. Res. 52, 60-71, 1998)またはアルギニルトリフルオロメチルケトン(例えば、アダマンチルオキシカルボニル−D−t−ブチルグリシン−Phe−Arg−CF、K2nM、Garrett等, Bioorg. Med. Chem. Lett. 9, 301-306, 1999)を有するいくつかの遷移状態−類似PK阻害剤も報告されている。トロンビン阻害剤として初めに開発されたボロアルギニン誘導体DuP714(Ac−D−Phe−Pro−ボロアルギニン)もPK(K1.6nM)の強力な阻害剤であることが見出された(Kettner等, J. Biol. Chem. 265, 18289-18297)。しかしながら、これらの遷移状態−類似プロテアーゼ阻害剤は、複雑な合成によってのみ得ることができ、ラセミ化する傾向があり、そして非常に非特異的な阻害剤であるという欠点を有する。
【0010】
PKはまた、様々なクロロメチルケトンによって非可逆的に阻害される。H−Ala−Phe−ArgCHClおよびH−Pro−Phe−ArgCHClは最も反応性の化合物であると報告されている(KettnerおよびShaw, Biochemistry 17, 4778-4784, 1978)。しかしながら、ペプチジルクロロメチルケトンは、生体内で数分間安定しているにすぎないため、研究目的のために適しているだけである(Lawson等, Folia Haematol. (ライプチヒ)109, 52-60, 1982; Collen等, J. Lab. Clin. Med. 99, 76-83, 1982)。
【0011】
従って、本発明は、治療用途に安定しており、高度の活性および特異性で血漿カリクレインを阻害し、そして合成表面に結合した後または非経口、腸用もしくは局所投与、特に静脈内もしくは皮下投与後、凝固抑制効果を有する活性化合物を提供する目的に基づく。
【0012】
意外なことに、一般式P4−P3−P2−P1(I)(式中、P4は、モノ置換もしくはポリ置換もしくは非置換ベンジルスルホニル基であり、P3は、D配置のモノ置換もしくはポリ置換もしくは非置換、天然もしくは非天然α−アミノ酸またはα−イミノ酸であり、P2は、L配置のモノ置換もしくはポリ置換もしくは非置換、天然もしくは非天然α−アミノ酸またはα−イミノ酸であり、P1は、モノ置換もしくはポリ置換もしくは非置換4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミン基である)(SchechterおよびBerger, Biochem. Biophys. Res. Comm. 27, 157-162の定義に従う)で表されるアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンが、非常に効率的に血漿カリクレインを不活性化し、合成表面へ結合した後でも凝固抑制効果を有し、そして非経口、腸用もしくは局所、特に静脈内もしくは皮下使用が可能であることを見出した。
【0013】
本発明のアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミン誘導体の特有な利点は、結果として、合成表面に結合した後でも高い活性でPKを不活性化する能力である。従って、本発明の化合物は高度に活性な、そして特に、結合性血漿カリクレイン阻害剤の新規なグループを構成する。
【0014】
本発明の意味する合成表面は、例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アリールエーテルスルホン)、再生セルロース、キュプロファン、ヘモファン、ポリ(スルホン)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(カーボネート)、ポリ(アミド)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチレン−コ−ビニルアルコール)、あるいは、特に腺外循環において、血液と接触する透析器、酸素発生器、カテーテルまたは膜のような装置および/またはそれらの装置に付属するホース系および/またはエアートラップに用いられる別の材料で構成されている表面であり、表面材料は、適切な場合、阻害剤の共有結合を可能にするために、官能基、例えばアミノ基、アミノアルキル基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、ヒドロキシル基またはヒドロキシアルキル基で変性されている。
【0015】
好ましい態様では、置換されるP4、P3、P2および/またはP1における置換基は、水素、および/または、ハロゲン、好ましくはフッ素、塩素および/または臭素、および/または1〜6個、好ましくは1〜3個の炭素原子を有する置換もしくは非置換、分枝もしくは線状アルキル基、特にメチル、または1〜10個の炭素原子を有する置換もしくは非置換、分枝もしくは線状アラルキル基(ここで、置換された分枝もしくは線状アルキル基またはアラルキル基の置換基は、好ましくはハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、アミジノ、グアニジノおよび/またはカルボキシル基であり、適切な場合、低級アルキル基、特にメチルまたはエチルでエステル化されている)、および/またはヒドロキシル、アミノ、シアノ、アミジノ、グアニジノ、メチルオキシカルボニル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、アミノメチルまたはグルタリルもしくはスクシニルアミドメチル基、および/または低級アルキル基、特にメチルまたはエチルで適切にエステル化されている場合は、オキシアルキルカルボニル、カルボキシル、カルボキシメチルまたはカルボキシエチル基(適切な場合、低級アルキル基、特にメチルまたはエチルで適切にエステル化されている)、あるいは非置換アミドまたはアルキルまたはアリール基で置換されたアミドとして存在する、オキシアルキルカルボニル、カルボキシル、カルボキシメチルまたはカルボキシエチル基である。
【0016】
特に断りがなければ、本発明では常に、アルキル基は1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、アリール基は6〜10個の炭素原子を有し、アラルキル基は6〜12個の炭素原子を有するものを意味する。
【0017】
本発明では低級アルキル基は、1〜6個、好ましくは1〜3個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。
リンカー基はP4またはP2にさらに結合することができ、リンカー基は上記置換基の1つによってP4へ結合しても、または特に−NH−または−CO−基によって、P2の官能基へ直接結合してもよい。
【0018】
本発明の意味するリンカー基は、P4またはP2によってアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンに共有結合するための少なくとも1つの官能基を示し、そしてさらに、合成表面へ同時に共有結合するための、またはアシル化4−アミジノ−もしくは4−グアニジノベンジルアミンの第2分子へ同時結合するための、いずれかの少なくとも1つの第2官能基を示す、および/または相互作用によって合成表面に非共有結合することができるオリゴ−またはポリアルキレングリコール基を示す化学構造であると定義される。
【0019】
従って、本発明のリンカー基は、好ましくは、アルキル、アリールまたはアラルキル骨格構造を有するジカルボン酸、アミノカルボン酸、ジアミン、ジスルホン酸またはアミノスルホン酸であり、ここで、アルキル骨格構造は1〜12個、特に2〜6個の炭素原子を有し、アリール骨格構造は6〜10個の炭素原子を有し、特にフェニルであり、そしてアラルキル骨格構造は6〜12個の炭素原子を有し、特にベンジルである、あるいは2〜12個、特に2〜6個の炭素原子を有するアミノアルキルまたはカルボキシアルキル基であり;P4またはP2におけるリンカー基はオリゴ−またはポリアルキレングリコール鎖であり、特にポリ−もしくはオリゴエチレン−またはポリ−もしくはオリゴプロピレングリコール鎖であり、オリゴ−またはポリアルキレングリコールは官能基、特に、少なくとも両端が置換または非置換アミノ、カルボキシルおよび/またはメルカプト基である官能基を有し、あるいはオリゴ−またはポリアルキレングリコールは官能基、特に、少なくとも1端が置換または非置換アミノ、カルボキシル、および/またはメルカプト基である官能基を有し、他方の末端においてCHで変性されている。
【0020】
リンカー基がP4に結合しているとき、リンカー基は、好ましくは−NH−基、1〜6個の炭素原子を有する−NH−アルキル(特にメチル)基、−CO−基、2〜6個の炭素原子を有する−CO−アルキル基、特に−CO−メチル基、1〜6個の炭素原子を有する−CO−O−アルキル(特にメチル)基、−S−基、1〜6個の炭素原子を有する−S−アルキル(特にメチル)基、1〜6個の炭素原子を有する−O−アルキル(特にメチル)基、−SO−基、1〜6個の炭素原子を有する−SO−アルキル(特にメチル)基によってP4に結合している。
【0021】
P4に結合している代わりに、リンカー基はP2に結合してもよく、P2は、好ましくは、リシンまたは側鎖に1〜5個の炭素原子を有するその同族体、特にオルニチン、ホモリシン、α,γ−ジアミノ酪酸、α,β−ジアミノプロピオン酸、α−ジアミノグリシン、あるいはグルタミン酸または側鎖に1〜5個の炭素原子を有するその同族体、特にアスパラギン酸、グルタミン酸またはホモグルタミン酸、あるいはシステインまたはホモシステイン、あるいはセリンまたはトレオニンである。
【0022】
本発明の好ましい態様では、P4に結合しているリンカー基は、P4に結合するために置換基と一緒になって、一般式U−Z−Y−X−(II)を表し、式中、Uは、HN−、HOOC−(CH−CO−NH−、HOOC−、HN−(CH−NH−CO−またはHS−基であり、Zは−(CH−であり、ここで、n=1〜10、特にn=1〜5である、あるいはZは、一般式−(CH−[O−CH−CHO−(CH−(NH−CO−CH−O−CH−または−(CH−[O−CH(CH)−CHO−(CH−(NH−CO−CH−O−CH−のオリゴ−またはポリアルキレングリコールであり、ここで、d=1、2、3または4、v=1〜1000の整数、好ましくは1〜50、特に2〜10、m=0、1、2、3または4、そしてk=0または1である、あるいはUはCH−O−基であり、Zは、一般式−(CH−[O−CH−CHO−(CH−(NH−CO−CH−O−CH−または−(CH−[O−CH(CH)−CHO−(CH−(NH−CO−CH−O−CH−のオリゴ−またはポリアルキレングリコールであり、ここで、d=1、2、3または4、v=1〜1000の整数、好ましくは1〜50、特に2〜10、m=0、1、2、3または4、そしてk=0または1である;Yは、−CO−NH−基、−NH−CO−基、−SO−NH−基、−NH−SO−基、−S−S−基または−S−基であり、あるいはUおよびZが存在しなければ、HN−基、HOOC−基、HS−基、HO−基またはハロゲノアルキル基であり;Xは、−(CH−であり、ここで、n=0、1、2、3または4、特にn=1であり、あるいは酸素によるベンジル基への結合を有する−(CH−O−基であり、n=0、1、2、3または4である。Xが存在するならば、ベンジル基へのリンカー基の結合はXからであり、あるいはXが存在しないならば、Yからである。
【0023】
リンカー基がP4に結合しているならば、P2は、グリシン、アラニン、プロリン、ホモプロリンまたはアゼチジンカルボン酸である。
別の好ましい態様では、リンカー基はP2に結合し、P2は一般式III
【0024】
【化1】

【0025】
[式中、q=1、2、3、4または5であり、Dは式
U−Z−Y− (IV)
(式中、U、ZおよびYは式IIにおけるのと同じ意味を有する)
である]
を表す。
【0026】
特に好ましい態様では、アシル化アミジノ−またはグアニジノベンジルアミドは一般式VまたはVI
【0027】
【化2】

【0028】
を表し、ここで、式中、m=1〜3、q=0または1、特に0であり、R、R、Rおよび/またはRは、水素、および/またはハロゲン、好ましくはフッ素、塩素および/または臭素、および/または1〜6個、好ましくは1〜3個の炭素原子を有する置換もしくは非置換、分枝もしくは線状アルキル基、特にメチルであり、置換、分枝または線状アルキル基の置換基は、好ましくは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、アミジノ、グアニジノおよび/またはカルボキシル基であり、適切ならば、低級アルキル基、特にメチルまたはエチルでエステル化されている、および/またはヒドロキシル、アミノ、シアノ、アミジノ、グアニジノ、メチルオキシカルボニル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、アミノメチルまたはグルタリルまたはスクシニルアミドメチル基、および/または、適切な場合、低級アルキル基、特にメチルもしくはエチルでエステル化されている、または、非置換アミドまたはアルキルもしくはアリール基で置換されているアミドとして存在する、オキシアルキルカルボニル、カルボキシル、カルボキシメチルもしくはカルボキシエチル基である。
【0029】
本発明において、ヒドロキシル基、アミノ基およびアルコキシカルボニル基、特に2〜10個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル基は、基Rとして特に好ましい。
および/またはRはさらにリンカー基でもよく、上記置換基の1つによって、特に−NH−または−CO基によって、P4に結合しているか、あるいはP2の官能基に直接結合しており、リンカー基は、好ましくは、アルキル、アリールまたはアラルキル骨格構造を有するジカルボン酸、アミノカルボン酸、ジアミン、ジスルホン酸またはアミノスルホン酸であり、ここで、アルキル骨格構造は1〜12個、特に2〜6個の炭素原子を有し、アリール骨格構造は6〜10個の炭素原子を有し、特にフェニルであり、そしてアラルキル骨格構造は6〜12個の炭素原子を有し、特にベンジルである、あるいは2〜12個、特に2〜6個の炭素原子を有するアミノアルキルまたはカルボキシアルキル基であり;P4またはP2におけるリンカー基はオリゴ−またはポリアルキレングリコール鎖、特にポリ−もしくはオリゴエチレンまたはポリ−もしくはオリゴプロピレングリコール鎖であり、オリゴ−またはポリアルキレングリコールは官能基、特に、少なくとも両端が置換または非置換アミノ、カルボキシルおよび/またはメルカプト基である官能基を有し、あるいはオリゴ−またはポリアルキレングリコールは官能基、特に、少なくとも1端が置換または非置換アミノ、カルボキシル、および/またはメルカプト基である官能基を有し、他方の末端において1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、特にCH、で変性されており、および/またはRはさらに上記定義どおりの式(II)を表し、P2はRと共に上記定義どおりの式(III)および(IV)を表す。
【0030】
一般式IIで表されるP4におけるリンカー基を有する一般式Iで表されるアシル化アミジノ−またはグアニジノベンジルアミンの他の好ましい代表的態様は、好ましくは、次の構造:
【0031】
【化3】

【0032】
で表され、ここで、式中、n=1〜10、m=1〜3およびq=0または1、特に0であり、RおよびRは、上記の意味を有する。HN−またはHOOC−のような第2官能基の存在によって、上に挙げた物質はP4への結合と同時に合成表面に共有結合することができる。
【0033】
一般式IIで表されるP4におけるリンカー基を有する一般式Iで表されるアシル化アミジノ−またはグアニジノベンジルアミンの他の好ましい代表的態様は、好ましくは、次の構造:
【0034】
【化4】

【0035】
【化5】

【0036】
【化6】

【0037】
で表され、ここで、式中、p=0、1、2または3、q=0または1、特に0であり、n=1〜1000およびm=1〜3であり、RおよびRは、それぞれの場合において上記の意味を有する。第2官能基がないため、上に挙げた物質はP4への共有結合は別にして、合成表面へもっぱら非共有結合する。これはリンカー基のオリゴ−またはポリアルキレン基が合成表面と相互作用することによって生じる。
【0038】
本発明において、リンカー基、特にオリゴ−またはポリアルキレングリコール基を含むリンカー基と合成表面との相互作用は、例えば水仲介水素結合、疎水性相互作用またはファンデルワールスの相互作用による、このリンカー基と合成表面との非共有相互作用を意味する。
【0039】
本発明において、式Iの2つの分子がオリゴ−またはポリアルキレングリコール基に結合している物質は、二重阻害剤−官能化オリゴ−またはポリアルキレングリコールと呼ぶ。
【0040】
一端において純粋なモノメチルエーテルとして存在する、そして、従って、共有結合に適さない、オリゴ−またはポリアルキレン誘導体の別の利点は、全身的投与後の循環における半減期が延長されることにある。
【0041】
一般式IIIおよびIVで表されるP2におけるリンカー基を有する一般式Iで表されるアシル化アミジノ−またはグアニジノベンジルアミンの好ましい代表的態様は、好ましくは、次の構造:
【0042】
【化7】

【0043】
(式中、n=0〜5、好ましくは1または2)
または
【0044】
【化8】

【0045】
(式中、n=0〜11)
または
【0046】
【化9】

【0047】
(式中、n=1〜6)
または
【0048】
【化10】

【0049】
(式中、n=0〜3およびm=0〜1000)
または
【0050】
【化11】

【0051】
(式中、n=0〜1000)
または
【0052】
【化12】

【0053】
(式中、n=1〜3およびm=0〜1000)
(いずれの場合も、q=0または1、特に0であり、RおよびRは上記の意味を有する)
の1つで表される。第2官能基が存在するため、上に挙げた物質はP2への結合と同時に合成表面にまたは一般式Iの第2分子へ共有結合することができる。
【0054】
一般式IIIおよびIVで表されるP2におけるリンカー基を有する一般式Iで表されるアシル化アミジノ−またはグアニジノベンジルアミンの別の好ましい代表的態様は、次の構造:
【0055】
【化13】

【0056】
(式中、n=0〜4およびm=10〜1000)
または
【0057】
【化14】

【0058】
(式中、n=1〜4、p=2〜4およびm=1〜1000)
または
【0059】
【化15】

【0060】
または
【0061】
【化16】

【0062】
(式中、n=1〜3およびm=10〜1000)
(ここで、q=0または1、特に0であり、RおよびRは、いずれの場合も、請求項8に記載の意味を有する)
の1つで表される。第2官能基がないため、上に挙げた物質はP2における共有結合は別にして、合成表面へもっぱら非共有結合する。これは、リンカー基のオリゴ−またはポリアルキレングリコール基が、例えば水素結合、疎水性相互作用またはファンデルワールスの相互作用の基づいて、合成表面と相互作用することによって生じる。本発明において、式Iの2つの分子が1つのオリゴ−またはポリアルキレングリコール基に結合している物質は、二重阻害剤−官能化オリゴ−またはポリアルキレングリコールと呼ぶ。
【0063】
一端において純粋なモノメチルエーテルとして存在する、そして、従って、共有結合に適さない、これらオリゴ−またはポリアルキレン誘導体の別の利点は、リンカー基がP4に結合している誘導体の場合と同様に、全身的投与後の循環における半減期が延長されることにある。
【0064】
合成表面への結合がP2によって生じるとき、P4における置換基は、特に、H、ハロゲン、アミノ基、ヒドロキシル基、または1〜6個の炭素原子を有する線状もしくは分枝アルキル基である。
【0065】
一般式IIで表されるP4におけるリンカー基を有する一般式Iのアシル化アミジノ−またはグアニジノベンジルアミンの特に好ましい態様は、次の構造
【0066】
【化17】

【0067】
で表され、ここで、位置P3におけるD−Chaは、特に、さらにD−PheまたはD−Ser(tBu)であり、P4におけるグルタリルはスクシニルでもよい。この化合物は合成表面への同時共有結合に適している。
【0068】
一般式IIIおよびIVで表されるP2におけるリンカー基を有する一般式Iで表されるアシル化アミジノ−またはグアニジノベンジルアミンの別の特に好ましい態様は、好ましくは、次の構造:
【0069】
【化18】

【0070】
で表され、ここで、位置P3におけるD−Ser(tBu)は、特に、D−ChaまたはD−Pheでもよく、P2におけるスクシニルはグルタリルでもよい。この化合物は合成表面への同時共有結合に適している。
【0071】
一般式IIIおよびIVで表されるP2におけるリンカー基を有する一般式Iで表されるアシル化アミジノ−またはグアニジノベンジルアミンの別の特に好ましい態様は、好ましくは、次の構造:
【0072】
【化19】

【0073】
で表され、ここで、位置P3におけるD−Chaは、特に、D−PheまたはD−Ser(tBu)でもでもよい。これらの化合物は合成表面への同時共有結合または一般式Iの第2分子への共有結合に適している。
【0074】
PKを高い活性および選択性で阻害するアシル化アミジノ−またはグアニジノベンジルアミンのさらに可能性のある代表的態様は、一般式Iにおいて、P4が基Rを有し、P3がD−Ser、D−Ser(tBu)、D−PheまたはD−Chaであり、そしてP2が天然または非天然アミノ酸Aaaであり、ここで、Rは、H−、4−、3−もしくは2−、好ましくは4−もしくは3−COOH、4−、3−もしくは2−、好ましくは4−もしくは3−COOMe、4−、3−もしくは2−、好ましくは4−もしくは3−AMe、4−、3−もしくは2−、好ましくは4−もしくは3−グルタリル−AMe、または4−、3−もしくは2−、好ましくは4−もしくは3−CNであり、AaaはGly、Ala、Pro、Asp、Glu、Gln、hGlu、Dap、Dap(Z)、Lys、Lys(Z)、Arg、Thr、Thr(Bzl)、Ser、Ser(Bzl)、hSer、hSer(Bzl)、PheまたはhPheである化合物である。
【0075】
これに関連して、特に好ましいのは、P3がD−Serであるとき、Aaaが好ましくは、Gln、Dap、Dap(Z)、Lys、Lys(Z)、Ser(Bzl)、hSer、PheもしくはhPhe、特にLys(Z)であり、RがHであり、またはAaaがAlaもしくはSerであるとき、RがHOOC−である;
あるいは、P3がD−Ser(tBu)であるとき、AaaがPro、Gln、Dap、Dap(Z)、Lys、Lys(Z)、Arg、Thr、Thr(Bzl)、Ser(Bzl)、hSer(Bzl)、PheもしくはhPhe、特にPro、Gln、Lys、Lys(Z)、hSer(Bzl)、PheもしくはhPheであり、そしてRがHであり、またはAaaがGlyもしくはAlaであるとき、RがHOOC−であり、またはAaaがProであるとき、RはCN−である;
あるいは、P3がD−Chaであるとき、AaaがLysもしくはGluであり、そしてRがHであり、またはAaaがProであるとき、Rがグルタリル−AMeであり、特に、Aaaが−NH−CH−[CH−CH−CO−NH−(CH−[O−(CH−CH−NH]−CO−であるとき、RがHである
アシル化アミノベンジルアミンである。
【0076】
一般に、本発明のアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミン誘導体は塩の形、特に鉱酸、例えば硫酸または塩酸の塩、あるいは適当な有機酸、例えば酢酸、ギ酸、メチルスルホン酸、コハク酸、マレイン酸またはトリフルオロ酢酸の塩、特に塩酸塩、硫酸塩または酢酸塩の形で存在する。
【0077】
本発明の別の好ましい態様は、アシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンに結合しているリンカー基のHN基が、ジカルボン酸無水物、好ましくはコハク酸またはグルタル酸の無水物と反応して、HOOC−基を形成する反応、あるいはアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンに結合しているリンカー基のHOOC基がジアミンと反応してHN基を形成する反応である。これらの反応は本技術分野における当業者に公知の標準的な方法を用いて実施される。
【0078】
N基のHOOC−基へのおよびHOOC−基のHN基への変換反応は、一般式Iの化合物の合成表面へのまたは一般式Iの第2分子への結合の機会を広げることを可能にする。
【0079】
本発明の特に好ましい態様では、P4またはP2に共有結合しているリンカー基は、第2官能基、特に置換もしくは非置換アミノ、カルボキシルおよび/またはメルカプト基の存在下で、合成表面に同時共有結合することができるか、あるいはリンカー基がオリゴ−またはポリアルキレングリコールであるならば、式Iの第2分子に共有結合して二重阻害剤−官能化オリゴ−またはポリアルキレングリコール末端を形成する。
【0080】
本発明の好ましい態様では、アシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミン誘導体が結合することができる合成表面は、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アリールエーテルスルホン)、再生セルロース、キュプロファン、ヘモファン、ポリ(スルホン)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(カーボネート)、ポリ(アミド)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチレン−コ−ビニルアルコール)、あるいは表面が血液と接触する透析器、酸素発生器、カテーテルまたは膜のような装置および/またはそれらの装置に付属するホース系および/またはエアートラップに用いられる別の材料で構成され、表面材料は、P4またはP2へ結合したリンカー基によって一般式Iの分子が共有結合するために、適切ならば、官能基、例えばアミノ基、アミノアルキル基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、ヒドロキシル基またはヒドロキシアルキル基で変性され、アルキル基は1〜10個、特に1〜6個の炭素原子を有する。
【0081】
本発明の別の好ましい態様では、アシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミン誘導体は、例えば、透析器、酸素発生器、カテーテルおよび/または膜のような装置の表面で、血液が凝固するのを防ぐために、これらの装置の合成表面に結合される。
【0082】
アシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミン誘導体の結合は、P4の置換基に結合しているおよび/または、適切ならば、一般式IのP2の側鎖に直接結合している、上記リンカー基の1つによって合成表面を共有または非共有被覆することによって行われるのが好ましい。
【0083】
本発明において、装置とは、血液と接触する装置およびその構成要素を意味する。
本発明の別の好ましい態様は、本発明の1種以上のアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミン誘導体を、心筋梗塞、脳卒中、塞栓症、例えば股関節手術および/または膝関節交換後の深脚静脈血栓症、血管形成術、特に経皮経管冠動脈形成術(PTCA)の結果としての不安定アンギナまたは合併症を予防および/または治療する抗凝固および/または抗血栓薬として用いるための薬剤製造に用いることである。
【0084】
本発明において、抗凝固薬とは、血液凝固を妨げるどのような物質も意味する。本発明において、抗血栓薬とは、血栓症予防に用いられる物質を意味する。本発明において血管形成術とは、血管の拡張、特にバルーンカテーテルのようなカテーテルを用いることを意味する。
【0085】
別の態様は、1種以上の上記アシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンの、播種性静脈内凝固、敗血症性ショック、アレルギー、胃切除後症候群、関節炎およびARDS(成人の呼吸窮迫症候群)を予防および/または治療する抗凝固および/または抗血栓薬として用いるための薬剤製造への使用である。
【0086】
本発明の好ましい態様では、アシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミン誘導体は、非経口使用形での、特に動脈内、静脈内、筋肉内または皮下の形での、腸用形での、特に経口または直腸用の、または局所使用形の、特に皮膚治療薬としての、血漿カリクレインおよび/または第XIIa因子および/または第XIa因子を阻害するための薬剤製造に用いられる。これについては、静脈内または皮下使用形が好ましい。例えば、血漿カリクレインの阻害が好ましい。
【0087】
本発明のアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミン誘導体は、特に、血漿カリクレインを阻害するための薬剤の製造に用いることができ、この薬剤は、錠剤、糖衣錠、カプセル、ペレット、座薬、溶液、特に注射または注入溶液、点眼液、点鼻液、点耳薬、ジュース、カプセル、エマルジョンまたは懸濁液、丸薬、棒状薬、エーロゾル、粉剤、ペースト、クリーム、軟膏の形である。
【0088】
本発明の阻害剤の他に、薬剤はさらに、薬学的に適した補助物質および/または添加剤を含んでいてもよい。例えば薬剤の安定化および/または保存に役立つ適当な補助物質および/または添加剤は、本技術分野における当業者によく知られている(例えば、Sucker等, (1991) Pharmazeutische Technologie [Pharmaceutical Technology], 第2版, Georg Thieme Verlag, シュツットガルト)。それらは例えば、生理学的塩化ナトリウム溶液、リンガーグルコース、リンガーラクテート、無機質除去水、安定剤、酸化防止剤、錯生成剤、抗菌化合物、たんぱく分解酵素阻害剤および/または不活性ガスである。
【0089】
本発明の別の態様は、Rが、特に、HO−であり、そしてRおよびRがオリゴ−またはポリアルキレン基ではない一般式VまたはVIのアシル化アミジノベンジルアミンの、活性化合物が経口投与用のプロドラッグの形で存在する上記抗凝固および/または抗血栓薬として用いるための薬剤製造への使用である。
【0090】
本発明において、プロドラッグとは、相当する薬学的に活性な物質の薬学的に不活性な誘導体として存在し、経口投与後、自然にまたは酵素によって生体内変化が生じて、薬学的に活性な物質が放出される、一般式Iのアシル化アミジノ−またはグアニジノベンジルアミンを意味する。
【0091】
記載のアシル化アミジノ−またはグアニジノベンジルアミンの、血漿カリクレインの阻害への好ましい使用の他に、それらは、他のトリプシン様セリンプロテアーゼ、例えばトロンビン、第XIIa因子、第XIa因子、第Xa因子、第IXa因子、第VIIa因子、ウロキナーゼ、トリプターゼおよびプラスミン、並びに補体系のトリプシン様セリンプロテアーゼの阻害にも用いることができる。
【0092】
本発明はまた、一般式P4−P3−P2−P1(I)のアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンに関し、この物質は、P4および/またはP2で上記リンカー基によって合成表面へ共有または非共有結合している。物質は、好ましくは、アミドもしくはスルホンアミド結合、ジスルフィドブリッジまたはメルカプト基のアルキル化によって、特にアミド結合によって、合成表面へ共有結合している。この物質は、好ましくは合成表面と相互作用するオリゴ−またはポリアルキレングリコール基、特にオリゴ−もしくはポリエチレングリコール基によって、合成表面へ非共有結合する。
【0093】
本発明はまた、表面が本発明のアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンで共有または非共有被覆されている合成表面に関する。本発明はまた、本発明のアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンで共有または非共有被覆されている合成表面を含む、透析器、酸素発生器、カテーテルまたは膜、および付属するホース系および/またはエアートラップのような装置に関する。
【0094】
本発明のアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンは本技術分野における当業者に公知の方法を用いて合成される。例えば、本技術分野における当業者に公知の方法を用いて、商業的に入手しうる4−シアノベンジルアミン(昭和電工、日本)からBoc−保護4−(アセチルオキサミジノ)が得られる。別の可能性は、4−シアノベンジルアミンをBoc−またはZ−保護P2アミノ酸に直接結合し、そしてこの段階でシアノ基をアセチルオキサミジンに変換することである。Boc−保護基を除いた後、標準的なカップリング法を用いて、BocをN−末端保護基として用いて他のアミノ酸に結合する。P3アミノ酸はまた、N−アリールまたはN−アラルキルスルホニル保護アミノ酸として直接結合することもできる。たいていの中間体は十分に結晶化し、この方法で容易に精製することができる。阻害剤は最終段階で、好ましくは分取逆相HPLCによって、最後に精製される。
【0095】
以下の記載において、代表的態様および表で本発明をさらに詳しく説明するが、それは本発明を制限するものではない。
【0096】
使用省略形
Aaa アミノ酸
Ac アセチル
AcOH 酢酸
CNA アセトニトリル
Amba アミジノベンジルアミン
AMe アミノメチル
ARDS 成人の呼吸窮迫症候群
Boc t−ブチルオキシカルボニル
Bzl ベンジル
Bzls ベンジルスルホニル
Can カナバニン
Cha シクロヘキシルアラニン
IBCC イソブチルクロロカ−ボネート
CNBzls シアノベンジルスルホニル
Dab α,γ−ジアミノ酪酸
Dap α,β−ジアミノプロピオン酸
Dap(Z) ベンジルオキシカルボニル−α,γ−ジアミノ酪酸
DCM ジクロロメタン
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
D−Ser D−セリン、相当する他のアミノ酸
D−Ser(tBu) D−(t−ブチルセリン)
F XIa 第XIa因子
F XIIa 第XIIa因子
Glut グルタリル
GuMe グアニジノメチレン
hAla(4−Pyr) ホモ−4−ピリジルアラニン
【0097】
【化20】

【0098】
hGlu ベータ−ホモグルタミン酸
【0099】
【化21】

【0100】
hPhe ホモフェニルアラニン
【0101】
【化22】

【0102】
hSer ベータ−ホモセリン
【0103】
【化23】

【0104】
hTyr ホモチロシン
【0105】
【化24】

【0106】
n.d. 測定せず
PEG ポリエチレングリコール
Phe フェニルアラニン
PK 血漿カリクレイン
Pro−MMP 3 Pro−マトリックスメタロプロテアーゼ 3
PyBop ベンゾトリアゾール−1−イル−N−オキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
RT 室温
Ser(Blz) セリン(ベンジル)
Suc スクシニル
TFA トリフルオロ酢酸
Tfa トリフルオロアセチル
Z ベンジルオキシカルボニル
【0107】
分析法:
分析HPLC: Shimdazu LC-10Aシステム、 カラム:Phenomenex Luna C18、5μm(250×4mm)、 溶媒A:水中の0.1%TFA;B:ACN中の0.1%B、 勾配:60分で10%B〜70%B、 1ml/分 流量、 220nmで検出。
【0108】
分取HPLC: Shimdazu LC-8Aシステム、 カラム:Phenomenex Luna C18、5μm(250×30mm)、 溶媒A:水中の0.1%TFA;B:ACN中の0.1%B、 勾配:120分で10%B〜55%B、 10ml/分 流量、 220nmで検出。
【0109】
質量分析法: 質量スペクトルは、フライト時間測定検出器およびマトリックスとしてのα−シアノヒドロキシ桂皮酸を用いるか、あるいはフィニガン社(ドイツ、ブレーメン)ESI−MS LCQを用いて、クラトス社(英国、マンチェスター)のKompactプローブで測定した。
【0110】
代表的態様1:
3−(グルタリルアミドメチル)ベンジルスルホニル−D−Cha−Pro−4−アミジノベンジルアミド×TFAの合成
【0111】
【化25】

【0112】
1a) 3−(シアノ)ベンジルスルホン酸ナトリウム塩
30g(153mmol)の臭化3−シアノベンジル(アルドリッチ社)を150mlの水に懸濁し、21.2g(168.3mmol)のNaSOを加えた後、8時間還流沸騰させた。混合物を熱い状態で濾過し、水を真空中である程度蒸発させた。混合物を結晶化のために一晩冷蔵庫で貯蔵し、その後、結晶を吸引濾過し、再び水から再結晶した。結晶を吸引濾過し、真空乾燥した。
収量:17.1g(78mmol)、HPLC:18.2%B
【0113】
1b) 塩化3−(シアノ)ベンジルスルホニル
5g(22.83mmol)の3−シアノベンジルスルホン酸ナトリウム塩を約20mlの塩化ホスホリルで湿らせ、その後、5.2g(25.11mmol)のPClを加え、氷で冷却しながら混合物を15分間攪拌した。次に、混合物を80℃で4時間加熱した。その後、混合物を氷上に注ぎ、30分間激しく攪拌したところ、生成物が白色固体として氷の上に沈降した。氷が部分的に溶けた後、混合物をフリットに通して濾過し、残った生成物/氷混合物を水で数回洗浄した。残った結晶を真空乾燥し、合成の次の段階に直接用いた。
収量:3.4g(15.8mmol)
【0114】
1c) 3−(シアノ)ベンジルスルホニル−D−Cha−OH
3.775g(22mmol)のH−D−Cha−OHを100mlの乾燥DCMに懸濁し、その後、6.316g(50mmol)の塩化トリメチルシリルおよび8.7ml(50mmol)のDIEAを加えた。1時間還流沸騰させ、氷浴中で冷却した。30分以内に5g(23.18mmol)の塩化3−シアノベンジルスルホニルおよび5ml(28.75mmol)のDIEAを加えた。氷で冷却しながら、混合物をさらに30分間攪拌し、次いで室温でさらに3時間攪拌した。溶媒を真空除去し、その後、残留物を水(1N NaOHでpH8.5〜9にした)に溶解し、この溶液を酢酸エチルで抽出(2×)した。次に、酢酸エチル相をアルカリ性水(pH9、NaOH)で再度抽出した。合わせたアルカリ性水を次にHClの濃縮溶液で酸性(pH約3)にし、酢酸エチルで抽出(3×)した。合わせた酢酸エチル相を、各場合3回、KHSOの5%溶液、そしてNaClの飽和溶液で洗浄し、次にNaSOで乾燥した。溶媒を真空除去した。
収量:冷蔵庫内で徐々に結晶化する油状物6.99g、HPLC:53.9%B
【0115】
1d) H−Pro−4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミド×HBr
75mlのHBr溶液(酢酸中33%濃度)を、室温で、5gのZ−Pro−4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミド(WO02/059065に記載のように合成した)に加えた。時々振とうしながら、混合物を1時間放置した。その後、エーテルを混合物に加え、沈殿生成物を吸引濾過し、フリット上でエーテルで数回洗浄した。生成物を真空乾燥した。
収量:4.3g(11.16mmol)、HPLC:18.3%B
【0116】
1e) 3−(シアノ)ベンジルスルホニル−D−Cha−Pro−4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミド
2.5g(7.13mmol)の3−シアノベンジルスルホニル−D−Cha−OHおよび2.74ml(7.13mmol)のH−Pro−4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミド×HBrを50mlのDMFに溶解した。氷で冷却しながら、3.71g(7.13mmol)のPyBopおよび3.7mlのDIEAを加えた。氷で冷却しながら、混合物を30分間攪拌し、次いで室温でさらに3時間攪拌した。溶媒を真空除去し、その後、混合物を酢酸エチルに取り、この溶液を、各場合3回、5%KHSO、NaCl−飽和水、NaHCOの飽和溶液、そして再度NaCl−飽和水で洗浄した。酢酸エチル相をNaSOで乾燥し、溶媒を真空除去した。粗生成物はさらに精製することなく、合成の次の段階に用いた。
収量:3.3gの油状物、53.77%BでのHPLC
MS: 理論値578.27(単一同位体)、実験値579.4[M+H]
【0117】
1f) 3−(アミノメチル)ベンジルスルホニル−D−Cha−Pro−4−(アミジノ)ベンジルアミド×2HCl
1gの3−シアノベンジルスルホニル−D−Cha−Pro−4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミド粗生成物を500mlの酢酸に溶解し、その後、150mlの1N HClを加えた。その後、200mgの触媒(10%パラジウム担持活性炭)を加え、混合物を15時間、50℃にて水素で水素添加した。触媒を濾去し、溶媒を真空蒸発させた。トルエンを残留物に加え、溶媒を真空除去した。この手順をさらに2回繰り返した。残留物を少量のメタノールに溶解し、そして生成物を、エーテルを加えることによって沈殿させ、吸引濾過した。生成物をエーテルで洗浄し、真空乾燥した。粗生成物はさらに精製することなく、合成の次の段階に用いた。
収量:0.8g、34.28%BでのHPLC
MS: 理論値582.30(単一同位体)、実験値583.5[M+H]
【0118】
1g) 3−(グルタリルアミノメチル)ベンジルスルホニル−D−Cha−Pro−4−(アミジノ)ベンジルアミド×TFA
DMF5ml中の無水グルタル酸38mg(約0.33mmol)およびDIEA 115μl(0.66mmol)を、氷で冷却しながら、200mg(約0.3mmol)の3−(アミノメチル)ベンジルスルホニル−D−Cha−Pro−4−(アミジノ)ベンジルアミド×2HCl粗生成物に加えた。氷で冷却しながら、混合物を30分間攪拌し、次いで室温でさらに3時間攪拌した。溶媒を真空除去し、粗生成物を分取逆相HPLCによって精製した。
収量:125mg、40.1%BでのHPLC
MS: 理論値696.33(単一同位体)、実験値697.8[M+H]
【0119】
代表的態様2:
ベンジルスルホニル−D−Ser(tBu)−Lys(スクシニル)−4−Amba×TFAの合成
【0120】
【化26】

【0121】
2a) Boc−Lys(Tfa)−4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミド
5g(14.61mmol)のBoc−Lys(Tfa)−OHを100mlのTHFに溶解し、その後、1.767ml(16.10mmol)のNMMおよび1.899ml(14.61mmol)のIBCCを−15℃で加えた。混合物を−15℃で10分間攪拌した後、3.74g(15.33mmol)の4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミン×HCl(WO01/96286 A2)および再び1.767ml(16.10mmol)のNMMを加えた。混合物を、−15℃でさらに1時間、次いで室温で一晩攪拌した。溶媒を真空除去し、混合物を酢酸エチルに取り、この溶液を、各場合3回、5%KHSO、NaCl−飽和水、NaHCOの飽和溶液、そして再度NaCl−飽和水で洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒を真空除去し、粗生成物を酢酸エチルから結晶化した。
収量:6.82g(12.83mmol)の白色結晶、HPLC:43.87%B
MS: 理論値578.27(単一同位体)、実験値579.4[M+H]
【0122】
2b) H−Lys(Tfa)−4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミド×HCl
5g(9.41mmol)のBoc−Lys(Tfa)−4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミドを少量の氷酢酸に溶解し、その後、氷酢酸中の1N HCl 100mlを加えた。混合物を室温で45分間放置した後、溶媒の一部を蒸発させ、ジエチルエーテルを加えることによって生成物を沈殿させ、吸引濾過し、再度ジエチルエーテルで洗浄した。生成物を真空乾燥した。
収量:4.65g(10.78mmol)の白色固体、HPLC:25.52%B
【0123】
2c) Bzls−D−Ser(tBu)−Lys(Tfa)−4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミド
1.93g(6.107mmol)のBzls−D−Ser(tBu)−OHおよび3g(6.412mmol)のH−Lys(Tfa)−4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミド×HClを30mlのアセトニトリルに溶解し、その後、3.337g(6.412mmol)のPyBopおよび3.187ml(18.32mmol)のDIEAを0℃で加えた。混合物を30分間0℃で、さらに室温で4時間攪拌した。溶媒を真空除去し、残留物を酢酸エチルに取り、この溶液を、各場合3回、5%KHSO、NaCl−飽和水、NaHCOの飽和溶液、そして再度NaCl−飽和水で洗浄し、次いでNaSOで乾燥した。溶媒を真空除去した。わずかに黄色の非晶質粗生成物が残った。この生成物はさらに精製することなく、合成の次の段階に用いた。
収量:5.88g(粗生成物)、HPLC:52.93%B
【0124】
2d) Bzls−D−Ser(tBu)−Lys(Tfa)−4−(アミジノ)ベンジルアミド×アセテート
5.88gの Bzls−D−Ser(tBu)−Lys(Tfa)−4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミド(粗生成物)を150mlの90%酢酸に溶解し、その後、500mgの触媒(10%Pd/C)を加えた。混合物を6時間、室温および標準圧にて水素で水素添加した。触媒を濾去し、溶媒を部分的に蒸発させ、ジエチルエーテルを加えることによって生成物をその後沈殿させ、吸引濾過し、再度ジエチルエーテルで洗浄した。白色結晶沈殿を真空乾燥した。
収量:4.36g(5.962mmol)、HPLC:43.50%B
【0125】
2e) Bzls−D−Ser(tBu)−Lys−4−(アミジノ)ベンジルアミド×2TFA
氷で冷却しながら、沈殿の1M水溶液5mlを、0.2gのBzls−D−Ser(tBu)−Lys(Tfa)−4−(アミジノ)ベンジルアミド×アセテート粗生成物に加え、混合物を3時間攪拌した。その後、溶媒を真空蒸発させ、残留物を分取逆相HPLCによって精製した。
収量:72mg、HPLC:30.9%B
MS: 理論値574.29(単一同位体)、実験値575.7[M+H]
【0126】
2f) Bzls−D−Ser(tBu)−Lys(スクシニル)−4−(アミジノ)ベンジルアミド×TFA
氷で冷却しながら、2mlのDMF、7.8mg(0.078mmol)の無水コハク酸および27.1μl(0.156mmol)のDIEAを、60mg(0.075mmol)のBzls−D−Ser(tBu)−Lys−4−(アミジノ)ベンジルアミド×2TFAに加えた。混合物を氷で冷却しながらさらに30分間、次いで室温で3時間攪拌した。溶媒を真空除去し、生成物を分取逆相HPLCによって精製した。
収量:41mg、HPLC:35.8%B
MS: 理論値674.31(単一同位体)、実験値675.9[M+H]
【0127】
代表的態様3:
ベンジルスルホニル−D−Cha−Lys(CO−CH−O−CH−CO−NH−CH−CH−ヘキサエチレングリコール−CH−CH−NH)−4−Amba×2TFAの合成
【0128】
【化27】

【0129】
3a) ベンジルスルホニル−D−Cha−OH
6g(35.1mmol)のH−D−Cha−OHを120mlの乾燥DCMに懸濁し、その後、9.75ml(77.2mmol)の塩化トリメチルシリルおよび13.4ml(77.2mmol)のDIEAを加えた。混合物を1時間還流沸騰させ、そして氷浴中で冷却した。30分以内に、7.02g(36.85mmol)の塩化ベンジルスルホニルおよび7.83ml(45mmol)のDIEAを加えた。氷で冷却しながら、混合物をさらに30分間攪拌し、次いで室温でさらに3時間攪拌した。溶媒を真空除去し、残留物を水(1N NaOHでpH8.5〜9にした)に溶解し、この溶液を酢酸エチルで抽出(2×)した。次に、アルカリ性水性相を次にHClの濃縮溶液で酸性(pH約3)にし、酢酸エチルで抽出(3×)した。合わせた酢酸エチル相を、各場合3回、KHSOの5%溶液、そしてNaClの飽和溶液で洗浄し、次にNaSOで乾燥した。溶媒を真空除去した。
収量:9.2gの油状物(冷蔵庫内で徐々に結晶化する)、HPLC:55.8%B
【0130】
3b) Boc−Lys(Z)−4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミド
4.41g(11.59mmol)のBoc−Lys(Z)−OHを125mlのDMFに溶解し、その後、1.275ml(11.59mmol)のNMMおよび1.506ml(11.59 mmol)のIBCCを−15℃で加えた。混合物を−15℃で10分間攪拌し、その後、2.97g(12.17mmol)の4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミン×HCl(WO01/96286 A2に記載のように製造した)および再度1.34ml(12.17mmol)のNMMを加えた。混合物を−15℃でさらに1時間、そして室温で一晩攪拌した。溶媒を真空除去し、混合物を酢酸エチルに取り、次に、この溶液を、各場合3回、5%KHSO、そしてNaCl飽和水、NaHCOの飽和溶液、そして再度NaCl飽和水で洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒を真空除去し、残った非晶質物質を真空乾燥した。
収量:5.2g、HPLC:51.12%B
【0131】
3c) H−Lys(Z)−4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミド×HCl
氷酢酸中の100mlの1N HClを、5gのBoc−Lys(Z)−4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミドに加えた。混合物を室温で45分間放置した後、溶媒を一部蒸発させ、ジエチルエーテルを加えることによって生成物を沈殿させ、吸引濾過し、再度ジエチルエーテルで洗浄した。生成物を真空乾燥した。
収量:4.2g(8.3mmol)の白色固体、HPLC:33.81%B
【0132】
3d) Bzls−D−Cha−Lys(Z)−4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミド
2g(6.146mmol)のBzls−D−Cha−OHおよび3.13g(6.146mmol)のH−Lys(Z)−4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミド×HClを50mlのDMFに溶解し、その後、3.198g(6.146mmol)のPyBopおよび3.2ml(18.43mmol)のDIEAを0℃で加えた。混合物を0℃で30分間攪拌し、次いで室温でさらに5時間攪拌した。溶媒を真空除去し、残留物を酢酸エチルに取り、この溶液を、各場合3回、5%KHSO、NaCl−飽和水、NaHCOの飽和溶液、そして再度NaCl−飽和水で洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒を真空除去した。粗生成物はさらに精製することなく、合成の次の段階に用いた。
収量:3.7g(粗生成物)、HPLC:61.84%B
【0133】
3e) Bzls−D−Cha−Lys−4−(アミジノ)ベンジルアミド×2HBr
3.5gのBzls−D−Cha−Lys(Z)−4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミド(粗生成物)を175mlの90%酢酸に溶解し、その後、400mgの触媒(10%Pd/C)を加えた。混合物を6時間、室温および標準圧にて水素で水素添加した。触媒を濾去し、溶媒を蒸発させ、トルエンを残留物に加え、溶媒を真空中で再度蒸発させた。50mlの臭化水素溶液(酢酸中の33%濃度)を残留物に加え、混合物を時々振とうした。1時間後、ジエチルエーテルを加えることによって生成物を沈殿させ、吸引濾過し、ジエチルエーテルで数回洗浄した。得られた固体(かすかに黄色)を真空乾燥した。粗生成物は合成の次の段階に用いた。
収量:2.3gの粗生成物、HPLC:34.77%B
粗生成物の一部は分取逆相HPCLによって精製した。
MS: 理論値584.31(単一同位体)、実験値585.4[M+H]
【0134】
3f) Bzls−D−Cha−Lys−(CO−CH−O−CH−CO−NH−CH−CH−ヘキサエチレングリコール−CH−CH−NH−Boc)−4−(アミジノ)ベンジルアミド×HBr
0.318g(約0.427mmol)のBzls−D−Cha−Lys−4−(アミジノ)ベンジルアミド×2HBr粗生成物および250mg(0.4275mmol)のO−(N−Boc−2−アミノエチル)−O´−(N−ジグリコリル)−2−アミノエチル)−ヘキサエチレングリコール(ノババイオケム社、オーダー番号:01−63−0102)を10mlのDMFに溶解した。氷で冷却しながら、0.222g(0.4275mmol)のPyBopおよび149μl(0.855mmol)のDIEAを加えた。氷で冷却しながら、混合物を15分間攪拌し、そして室温でさらに4時間攪拌した。その後、溶媒を真空除去し、残留物を約350mlの酢酸エチルおよび75mlのNaHCO飽和溶液に取った。酢酸エチル相を、NaHCO飽和溶液で1回、次に、NaClの飽和溶液で2回洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒を真空除去して、黄色油状物を得た。これはさらに精製することなく、合成の次の段階に用いた。
収量:446mg、HPLC:47.03%B
化合物の一部は分取逆相HPCLによって精製した。
【0135】
3g) Bzls−D−Cha−Lys−(CO−CH−O−CH−CO−NH−CH−CH−ヘキサエチレングリコール−CH−CH−NH)−4−(アミジノ)ベンジルアミド×2TFA
酢酸中の1N HCl10mlを、400mgの化合物3f(Bzls−D−Cha−Lys−(CO−CH−O−CH−CO−NH−CH−CH−ヘキサエチレングリコール−CH−CH−NH−Boc)−4−(アミジノ)ベンジルアミド×粗生成物)に加えた。室温で1時間後、ジエチルエーテルを加えることによって生成物を沈殿させ、吸引濾過し、分取HPLCによって精製した。
収量:210mg、HPLC:37.2%B
MS: 理論値1050.57(単一同位体)、実験値1051.6[M+H]
【0136】
代表的態様4:
ベンジルスルホニル−D−Cha−Glu(NH−[CH−[O−CH−CH−O−[CH−NH)−4−Amba×2TFAの合成
【0137】
【化28】

【0138】
4a) Boc−Glu(OBzl)−4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミド
3.37g(10mmol)のBoc−Glu(OBzl)−OHを100mlのDMFに溶解し、その後、1.1ml(10mmol)のNMMおよび1.3ml(10mmol)のIBCCを加えた。混合物を−15℃で8分間攪拌し、その後、2.44g(10mmol)の4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミン×HCl(WO01/96286 A2)および再び1.1ml(10mmol)のNMMを加えた。混合物を、−15℃でさらに1時間、次いで室温で一晩攪拌した。溶媒を真空除去し、混合物を酢酸エチルに取り、この溶液を、各場合3回、5%KHSO、NaCl−飽和水、NaHCOの飽和溶液、そして再度NaCl−飽和水で洗浄し、NaSOで乾燥した。溶媒を真空除去し、化合物を酢酸エチルから結晶化した。
収量:3.8g(7.2mmol)、HPLC:52.34%B
【0139】
4b) H−Glu(OBzl)−4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミド×HCl
氷酢酸中の1N HCl 80mlを3g(6mmol)のBoc−Glu(OBzl)−4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミドに加えた。混合物を室温で45分間放置した後、溶媒の一部を蒸発させ、ジエチルエーテルを加えることによって生成物を沈殿させ、吸引濾過し、再度ジエチルエーテルで洗浄した。生成物を真空乾燥した。
収量:2.5g(5.4mmol)の白色固体、HPLC:31.07%B
【0140】
4c) Bzls−D−Cha−Glu(OBzl)−4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミド
0.84g(2.59mmol)のBzls−D−Cha−OHおよび1.2g(2.59mmol)のH−Glu(OBzl)−4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミド×HClを40mlのDMFに溶解し、その後、1.35g(2.59mmol)のPyBopおよび1.35ml(7.77mmol)のDIEAを0℃で加えた。混合物を0℃で30分間攪拌し、室温でさらに4時間攪拌した。溶媒を真空除去し、その後、残留物を酢酸エチルに取り、この溶液を、各場合3回、5%KHSO、NaCl−飽和水、NaHCOの飽和溶液、そして再度NaCl−飽和水で洗浄し、その後、NaSOで乾燥した。溶媒を真空除去した。
収量:1.35g(油状物)、HPLC:63.16%B
【0141】
4d) Bzls−D−Cha−Glu−4−(アミジノ)ベンジルアミド×HCl
1.2gのBzls−D−Cha−Glu(OBzl)−4−(アセチルオキサミジノ)ベンジルアミドを200mlの90%酢酸に溶解し、その後、200mgの触媒(10%Pd/C)を加えた。混合物を24時間、45℃および標準圧にて水素で水素添加した。触媒を濾去し、溶媒を蒸発させ、トルエンを残留物に加え、溶媒を再度真空中で蒸発させた。残留物を氷酢酸中の1N HCl溶液25mlに溶解し、ジエチルエーテルを加えることによって生成物を沈殿させ、吸引濾過し、ジエチルエーテルで数回洗浄した。得られた固体を真空乾燥した。
収量:0.82g、HPLC:40.55%B
粗生成物の一部は分取逆相HPCLによって精製した。
MS: 理論値585.26(単一同位体)、実験値586.5[M+H]
【0142】
4e) Bzls−D−Cha−Glu(NH−[CH−[O−CH−CH−O−[CH−NH−Boc)−4−(アミジノ)ベンジルアミド×HCl
0.4g(0.643mmol)のBzls−D−Cha−Glu−4−(アミジノ)ベンジルアミド×HClおよび0.216g(0.675mmol)のBoc−NH−(CH−(O−CH−CH−O−(CH−NH(クアンタ・バイオデザイン社、オハイオ州、ポウエル)を10mlのDMFに溶解し、その後、0.335g(0.643mmol)のPyBopおよび224μl(1.29mmol)のDIEAを0℃で加えた。混合物を0℃で30分間攪拌し、室温でさらに6時間攪拌した。溶媒を真空除去し、残留物を酢酸エチルとNaHCOの飽和溶液との混合物に取った。混合物を分液漏斗中で振とうし、アルカリ性相を分離した。酢酸エチル相を再度NaHCOの飽和溶液で洗浄した。酢酸エチルを真空除去し、残留物ははさらに精製することなく、合成の次の段階に用いた。
収量:0.35g(油状物)、HPLC:49.17%B
【0143】
4f) Bzls−D−Cha−Glu(NH−[CH−[O−CH−CH−O−[CH−NH)−4−(アミジノ)ベンジルアミド×2TFA
氷酢酸中の20mlの1N HClを、化合物4eの粗生成物(Bzls−D−Cha−Glu(NH−[CH−[O−CH−CH−O−[CH−NH−Boc)−4−(アミジノ)ベンジルアミド×HCl)に加えた。混合物を45分間放置した後、ジエチルエーテルを加えることによって生成物を沈殿させ、吸引濾過した。、得られた固体は分取逆相HPLCによって精製し、生成物を凍結乾燥した。
収量:0.21gの凍結乾燥物、HPLC:36.33%B
MS: 理論値787.43(単一同位体)、実験値788.5[M+H]
【0144】
代表的態様5:
阻害定数(μMでのK値)の測定
個々の酵素に対する阻害効果は、すでに報告されている方法と類似の方法で測定した(Sturzebecher等, J. Med. Chem. 40, 3091-3099, 1997)。
【0145】
PKの阻害の測定を以下に詳記する。200μlのトリス緩衝液(0.05M、0.154M NaCl、5%エタノール、pH8.0;阻害剤を含む)、50μlの基質(HO中のBzl−Pro−Phe−Arg−pNA)および25μlのPKを25℃でインキュベートした。3分後、25μlの酢酸(50%)を加えることによって反応を停止し、マイクロプレートリーダー(Labsystems iEMS Reader MF)を用いて、405nmでの吸収を測定した。K値は、線形回帰によって、そしてコンピュータープログラムを用いて、Dixon(Biochem. J. 55, 170-171, 1953)に従って測定した。K値は少なくとも3つの測定の平均である。
【0146】
第XIa因子および第XIIa因子の阻害を同様な方法で測定した。ヒト第XIa因子(ヘモクロム・ダイアグノスティカ社、ドイツ、エッセン)の阻害定数を測定するとき、H−D−Lys(Z)−Pro−Arg−pNA(Chromozym PCa、ロシュ・ダイアグノスティクス社、ドイツ、マンハイム)を基質として用いた。
【0147】
H−D−HHT−Gly−Arg−pNA(Chromozym XII、ロシュ・ダイアグノスティクス社、ドイツ、マンハイム)は、ヒト第XIIa因子(ヘモクロム・ダイアグノスティカ社、ドイツ、エッセン)の阻害定数の測定に基質として用いた。
【0148】
表1: PK、第XIIa因子、第XIa因子およびトロンビンの(R)−ベンジルスルホニル−D−Ser−Aaa−4−Amba型の化合物による阻害
【0149】
【表1】

【0150】
表2: PK、第XIIa因子、第XIa因子およびトロンビンの(R)−ベンジルスルホニル−D−Ser(tBu)−Aaa−4−Amba型の化合物による阻害
【0151】
【表2】

【0152】
表3: PK、第XIIa因子、第XIa因子およびトロンビンの(R)−ベンジルスルホニル−D−Cha−Aaa−4−Amba型の化合物による阻害
【0153】
【表3】

【0154】
μMでのPEG−結合化合物の阻害定数:
阻害剤番号58:
【0155】
【化29】

【0156】
PK 0.059;F XIIa 2.0、F XIa 0.23、トロンビン 0.0080
阻害剤番号59:
【0157】
【化30】

【0158】
PK 0.015;F XIIa 0.98、F XIa 0.040、トロンビン 0.015
【0159】
表4: PK、第XIIa因子、第XIa因子およびトロンビンの(4−R)−ベンジルスルホニル−P3−Aaa−4−Amba型の化合物による阻害((4−R)は、ベンジルスルホニル基のフェニル環上の表4における基Rの4位置を示す)
【0160】
【表4】

【0161】
阻害剤番号87:
【0162】
【化31】

【0163】
μMでのK値:PK 0.42;F XIIa 0.16、F XIa 0.33、トロンビン 3.6
阻害剤番号88:
【0164】
【化32】

【0165】
μMでのK値:PK 0.22;F XIIa 21、F XIa 0.4、トロンビン 1.2
阻害剤番号89:
【0166】
【化33】

【0167】
μMでのK値:PK 0.19;F XIIa 79、トロンビン 1.72
PEG5000は、平均分子量が5000ダルトンのポリエチレングリコールを示す。
【0168】
代表的態様6:
ヒルジン−抗凝固血漿におけるプロトロンビンの活性化の防止
健康なボランティアドナーからの静脈血液を、取り出した直後に、ヒルジン溶液(2000ATU/ml、0.9%NaCl溶液)に10:1の比率で混合し、この混合物を250×gで10分間遠心分離した。950μlの血漿を20μlの阻害剤溶液(5または0.5mM)と混合し、37℃で5時間、ポリプロピレン管内でインキュベートした。30μlのカオリン(PTT試薬、1:1000で希釈、ロシュ・ダイアグノスティクス社、ドイツ、ペンズベルグ)を合成表面での活性化を高めるために加えた。
【0169】
サンドイッチ原理による酵素免疫検定法(Enzygnost-F 1+2、ダデベーリング社、ドイツ、マルブルグ)をプロトロンビンフラグメントF 1+2の測定に用いた。プロトロンビンフラグメントはF 1+2に対する固定抗体に結合する。プロトロンビンに対するペルオキシダーゼコンジュゲート抗体は第二段階で結合し、結合酵素活性は色素形成によって測定される。プロトロンビンフラグメントF 1+2の濃度は検量線から確定した。
【0170】
表5: 加えたカオリンの存在下でのポリプロピレン管内におけるプロトリンビンの活性化への各種化合物の影響。カオリンの存在下、5時間後に検出されたプロトロンビンフラグメントF 1+2(nM)の量は、100%に設定した。
【0171】
【表5】

【0172】
代表的態様7:
合成表面変性モデルとしてのアフィニティークロマトグラフィーへのPK阻害剤の使用
アフィニティークロマトグラフィー用の材料は、阻害剤ベンジルスルホニル−D−Ser−Lys−4−AmbaをCH−セファロース4B(ファーマシア社)へ結合することによって製造した。このために、16gの膨潤CH−セファロース4Bを全て65mlのMES緩衝液(0.1M、pH4.75)にまず懸濁し、その後、阻害剤(2mlの緩衝液中の50mg)を加えた。2.837gのN−シクロヘキシル−N´−(2−モルホリノ−エチル)カルボジイミドメト−p−トルエンスルホネート(アクロス・オーガニックス社)を混合物に加え(混合物中の0.1Mに相当する)、全体を室温で24時間インキュベートした。次に、セファロースをMES緩衝液および水で洗浄し、トリス緩衝液(0.05M、0.75M NaClを含む、pH7.5)で平衡させた。カラム(1.4×19cm)に詰め、平衡させた後、100μgのPK(ヘモクロム・ダイアグノスティクス社、ドイツ、エッセン)を1μlのバッファーに入れて投入した。次に、カラムをまずトリス緩衝液で、次いで3M NaCl溶液で洗浄した。PKは溶出していない。41%の活性PKは次のベンズアミジン勾配(0.1〜2.5M)によって溶出された。
【0173】
同等の結果は、下記の阻害剤を共有結合したアフィニティークロマトグラフィーを使用したときに得ることができる。
【0174】
【化34】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
P4−P3−P2−P1 (I)
(式中、P4は、モノ置換もしくはポリ置換もしくは非置換ベンジルスルホニル基であり、P3は、D配置のモノ置換もしくはポリ置換もしくは非置換、天然もしくは非天然α−アミノ酸またはα−イミノ酸であり、P2は、L配置のモノ置換もしくはポリ置換もしくは非置換、天然もしくは非天然α−アミノ酸またはα−イミノ酸であり、P1は、モノ置換もしくはポリ置換もしくは非置換4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミン基である)
で表されるアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンの、血漿カリクレインおよび/または第XIa因子および/または第XIIa因子を阻害するための使用。
【請求項2】
血漿カリクレインを阻害するための、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
置換P4、P3、P2および/またはP1における置換基が
(a)水素、および/または
(b)ハロゲン、好ましくはフッ素、塩素および/または臭素、および/または
(c)1〜6個、好ましくは1〜3個の炭素原子を有する置換もしくは非置換、分枝もしくは線状アルキル基、特にメチル、または1〜10個の炭素原子を有する置換もしくは非置換、分枝もしくは線状アラルキル基、ここで、低級アルキル基、特にメチルまたはエチルで適切にエステル化されている場合は、置換された分枝もしくは線状アルキル基またはアラルキル基の置換基は、好ましくはハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、アミジノ、グアニジノおよび/またはカルボキシル基である、
(d)ヒドロキシル、アミノ、シアノ、アミジノ、グアニジノ、メチルオキシカルボニル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、アミノメチルまたはグルタリルまたはスクシニルアミドメチル基、および/または低級アルキル基、特にメチルまたはエチルで適切にエステル化されている場合は、オキシアルキルカルボニル、カルボキシル、カルボキシメチルまたはカルボキシエチル基、あるいは非置換アミドまたはアルキルまたはアリール基で置換されたアミドとして存在する、オキシアルキルカルボニル、カルボキシル、カルボキシメチルまたはカルボキシエチル基
であることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
リンカー基がまたP4またはP2に結合し、リンカー基が、請求項3で定義したとおりの置換基によって、特に−NH−または−CO−基によって、P4に結合しているか、あるいはP2の官能基に直接結合し、リンカー基は、好ましくは、アルキル、アリールまたはアラルキル骨格構造を有するジカルボン酸、アミノカルボン酸、ジアミン、ジスルホン酸またはアミノスルホン酸であり、ここで、アルキル骨格構造は1〜12個、特に2〜6個の炭素原子を有し、アリール骨格構造は6〜10個の炭素原子を有し、特にフェニルであり、そしてアラルキル骨格構造は6〜12個の炭素原子を有し、特にベンジルである、あるいは2〜12個、特に2〜6個の炭素原子を有するアミノアルキルまたはカルボキシアルキル基であり、P4またはP2におけるリンカー基はオリゴ−またはポリアルキレングリコール鎖であり、特にポリ−もしくはオリゴエチレン−またはポリ−もしくはオリゴプロピレングリコール鎖であり、オリゴ−またはポリアルキレングリコールは官能基、特に、少なくとも両端が置換または非置換アミノ、カルボキシルおよび/またはメルカプト基である官能基を有し、あるいはオリゴ−またはポリアルキレングリコールは官能基、特に、少なくとも1端で置換または非置換アミノ、カルボキシル、および/またはメルカプト基である官能基を有し、他方の末端において1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、特にメチル、で変性されており、リンカー基が置換基によってP4に結合しているとき、置換基は好ましくは−NH−基、1〜6個の炭素原子を有する−NH−アルキル基、−CO−基、2〜6個の炭素原子を有する−CO−アルキル基、特に−CO−メチル基、1〜6個の炭素原子を有する−CO−O−アルキル基、特にメチル基、−S−基、1〜6個の炭素原子を有する−S−アルキル基、特にメチル基、1〜6個の炭素原子を有する−O−アルキル基、特にメチル基、−SO−基、1〜6個の炭素原子を有する−SO−アルキル基、特にメチル基、であり、リンカー基がP2に結合しているとき、P2は、好ましくは、
(a)リシンまたは側鎖に1〜5個の炭素原子を有するその同族体、特にオルニチン、ホモリシン、α,γ−ジアミノ酪酸、α,β−ジアミノプロピオン酸またはα−ジアミノグリシン、あるいは
(b)グルタミン酸または側鎖に1〜5個の炭素原子を有するその同族体、特にアスパラギン酸、グルタミン酸またはホモグルタミン酸、あるいは
(c)システインまたはホモシステイン、あるいは
(d)セリンまたはトレオニン
であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
リンカー基がP4に結合するために置換基と一緒になって、一般式II
U−Z−Y−X− (II)
(式中、
Uは、HN−、HOOC−(CH−CO−NH−、HOOC−、HN−(CH−NH−CO−またはHS−基であり、Zは−(CH−であり、n=1〜10、特にn=1〜5であるか、あるいはZは、一般式−(CH−[O−CH−CHO−(CH−(NH−CO−CH−O−CH−または−(CH−[O−CH(CH)−CHO−(CH−(NH−CO−CH−O−CH−のオリゴ−またはポリアルキレングリコールであり、d=1、2、3または4、v=1〜1000の整数、好ましくは1〜50、特に2〜10、m=0、1、2、3または4、そしてk=0または1であり、あるいは
UはCH−O−基であり、Zは、一般式−(CH−[O−CH−CHO−(CH−(NH−CO−CH−O−CH−または−(CH−[O−CH(CH)−CHO−(CH−(NH−CO−CH−O−CH−のオリゴ−またはポリアルキレングリコールであり、d=1、2、3または4、v=1〜1000の整数、好ましくは1〜50、特に2〜10、m=0、1、2、3または4、そしてk=0または1であり;
Yは、−CO−NH−基、−NH−CO−基、−SO−NH−基、−NH−SO−基、−S−S−基または−S−基であり、UおよびZが存在しなければ、HN−基、HOOC−基、HS−基、HO−基またはハロゲノアルキル基であり;
Xは、−(CH−であり、n=0、1、2、3または4、特にn=1であるか、あるいは酸素によるベンジル基への結合を有する−(CH−O−基であり、n=0、1、2、3または4であり;
ベンジル基のフェニル環へのリンカー基の結合は、Xが存在するならば、Xから生じ、あるいはXが存在しないならば、Yから生じる)
を表す、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
リンカー基がP4に結合しているならば、P2は、グリシン、アラニン、セリン、プロリン、ホモプロリンまたはアゼチジンカルボン酸であることを特徴とする、請求項4または5に記載の使用。
【請求項7】
リンカー基がP2に結合し、P2が式III
【化1】

[式中、q=1、2、3、4または5であり、Dは式IV
U−Z−Y− (IV)
(式中、U、ZおよびYは請求項5に記載の式IIにおけるのと同じ意味を有する)
である]
を表すことを特徴とする、請求項4に記載の使用。
【請求項8】
アシル化アミジノ−またはグアニジノベンジルアミンが一般式VまたはVI
【化2】

(式中、
m=1〜3、q=0または1、特に0であり、
、R、Rおよび/またはRは、
(a)水素、および/または
(b)ハロゲン、好ましくはフッ素、塩素および/または臭素、および/または
(c)1〜6個、好ましくは1〜3個の炭素原子を有する置換もしくは非置換、分枝もしくは線状アルキル基、特にメチル、ここで、置換、分枝または線状アルキル基の置換基は、好ましくは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、アミジノ、グアニジノおよび/またはカルボキシル基であり、適切ならば、低級アルキル基、特にメチルまたはエチルでエステル化される、および/または
(d)ヒドロキシル、アミノ、シアノ、アミジノ、グアニジノ、メチルオキシカルボニル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、アミノメチルまたはグルタリルまたはスクシニルアミドメチル基、および/または、適切な場合、低級アルキル基、特にメチルもしくはエチルでエステル化されているオキシアルキルカルボニル、カルボキシル、カルボキシメチルもしくはカルボキシエチル基、または、非置換アミドまたはアルキルもしくはアリール基で置換されているアミドとして存在するオキシアルキルカルボニル、カルボキシル、カルボキシメチルまたはカルボキシエチル基
であり、および/または
および/またはRはリンカー基でもよく、リンカー基は請求項3で定義したとおりの置換基によって、特に−NH−または−CO基によって、P4に結合しているか、あるいはP2の官能基に直接結合しており、リンカー基は、好ましくは、アルキル、アリールまたはアラルキル骨格構造を有するジカルボン酸、アミノカルボン酸、ジアミン、ジスルホン酸またはアミノスルホン酸であり、ここで、アルキル骨格構造は1〜12個、特に2〜6個の炭素原子を有し、アリール骨格構造は6〜10個の炭素原子を有し、特にフェニルであり、そしてアラルキル骨格構造は6〜12個の炭素原子を有し、特にベンジルである、あるいは2〜12個、特に2〜6個の炭素原子を有するアミノアルキルまたはカルボキシアルキル基であり、P4またはP2におけるリンカー基はオリゴ−またはポリアルキレングリコール鎖、特にポリ−もしくはオリゴエチレンまたはポリ−もしくはオリゴプロピレングリコール鎖であり、オリゴ−またはポリアルキレングリコールは官能基、特に、少なくとも両端が置換または非置換アミノ、カルボキシルおよび/またはメルカプト基である官能基を有し、あるいはオリゴ−またはポリアルキレングリコールは官能基、特に、少なくとも1端が置換または非置換アミノ、カルボキシル、および/またはメルカプト基である官能基を有し、他方の末端においてCHで変性されている。
は請求項5で定義したとおりの式(II)を表し、P2はRと共に請求項7で定義したとおりの式(III)および(IV)を表し、
は特に好ましくはヒドロキシル、アミノおよびアルコキシカルボニルである)
で表されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
請求項5で定義したとおりの式IIのP4にリンカー基を有する一般式Iで表される化合物が、次の構造:
【化3】

(式中、n=1〜10、m=1〜3およびq=0または1、特に0であり、R、RおよびRは、請求項8に記載の意味を有する)
の1つを表すことを特徴とする、請求項1〜6または8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
請求項5で定義したとおりの一般式IIで表されるP4におけるリンカー基を有する一般式Iの化合物が、次の構造:
【化4】

(式中、n=1〜1000、m=1〜3、r=0〜3およびq=0または1、特に0であり、R、RおよびRは、請求項8に記載の意味を有する)
の1つを表すことを特徴とする、請求項1〜6または8の少なくとも1項に記載の使用。
【請求項11】
請求項5で定義したとおりの一般式IIで表されるP4におけるリンカー基を有する一般式Iの化合物が、次の構造:
【化5】

または
【化6】

(式中、p=0、1、2または3、q=0または1、特に0であり、n=1〜1000およびm=1〜3であり、R、RおよびRは、請求項8に記載の意味を有する)
の1つを表すことを特徴とする、請求項1〜6または8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
請求項7で定義したとおりの一般式IIIおよびIVで表されるP2におけるリンカー基を有する一般式Iで表される化合物が、次の構造:
【化7】

(式中、n=0〜5、好ましくは1または2)
または
【化8】

(式中、n=0〜11)
または
【化9】

(式中、n=1〜6)
または
【化10】

(式中、n=0〜3およびm=0〜1000)
または
【化11】

(式中、n=0〜1000)
または
【化12】

(式中、n=1〜3およびm=0〜1000)
(いずれの場合も、q=0または1、特に0であり、RおよびRは、請求項8に記載の意味を有する)
の1つを表すことを特徴とする、請求項1、2、3、4、7または8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
請求項7で定義したとおりの一般式IIIおよびIVで表されるP2におけるリンカー基を有する一般式Iで表される化合物が、次の構造:
【化13】

(式中、n=0〜4およびm=10〜1000)
または
【化14】

(式中、n=1〜4、p=2〜4およびm=1〜1000)
または
【化15】

または
【化16】

(式中、n=1〜3およびm=10〜1000)
(ここで、q=0または1、特に0であり、RおよびRは、いずれの場合も、請求項8に記載の意味を有する)
の1つを表すことを特徴とする、請求項1、2、3、4、7または8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
P4における置換基がH、ハロゲン、アミノ基、ヒドロキシル基、または1〜6個の炭素原子を有する線状もしくは分枝アルキル基であることを特徴とする、合成表面への結合がP2によって行われる、請求項1、2、3、4、7、8、12または13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
請求項5で定義したとおりの一般式IIで表されるP4におけるリンカー基を有する一般式Iの化合物が次の構造
【化17】

を表し、ここで、位置P3におけるD−Chaは、特に、さらにD−PheまたはD−Ser(tBu)でもよく、P4におけるグルタリルはスクシニルでもよいことを特徴とする、請求項4〜6または8〜11のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
一般式Iの化合物が次の構造
【化18】

を表し、ここで、位置P3におけるD−Ser(tBu)は、特に、D−ChaまたはD−Pheでもよく、P2におけるスクシニルはグルタリルでもよいことを特徴とする、請求項1、2、3、4、8、12または14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項17】
一般式Iの化合物が、次の構造:
【化19】

の1つを表し、ここで、位置P3におけるD−Chaは、特に、D−PheまたはD−Ser(tBu)でもよいことを特徴とする、請求項1、2、3、4、7、8、12または14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項18】
一般式Iにおいて、P4が芳香族基に基Rを有し、P3がD−Ser、D−Ser(tBu)、D−PheまたはD−Chaであり、そしてP2が天然または非天然アミノ酸Aaaであり、ここで、Rは、H−、4−、3−もしくは2−、好ましくは4−もしくは3−COOH、4−、3−もしくは2−、好ましくは4−もしくは3−COOMe、4−、3−もしくは2−、好ましくは4−もしくは3−AMe、4−、3−もしくは2−、好ましくは4−もしくは3−グルタリル−AMe、または4−、3−もしくは2−、好ましくは4−もしくは3−CNであり、AaaはGly、Ala、Pro、Asp、Glu、Gln、hGlu、Dap、Dap(Z)、Lys、Lys(Z)、Arg、Thr、Thr(Bzl)、Ser、Ser(Bzl)、hSer、hSer(Bzl)、PheまたはhPheであることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の使用。
【請求項19】
P3がD−Serであるとき、Aaaが好ましくは、Gln、Dap、Dap(Z)、Lys、Lys(Z)、Ser(Bzl)、hSer、PheもしくはhPhe、特にLys(Z)であり、RがHであるか、またはAaaがAlaもしくはSerであるとき、RがHOOC−である;
あるいは、P3がD−Ser(tBu)であるとき、AaaがPro、Gln、Dap、Dap(Z)、Lys、Lys(Z)、Arg、Thr、Thr(Bzl)、Ser(Bzl)、hSer(Bzl)、PheもしくはhPhe、特にPro、Gln、Lys、Lys(Z)、hSer(Bzl)、PheもしくはhPheであり、そしてRがHであるか、またはAaaがGlyもしくはAlaであるとき、RがHOOC−であるか、またはAaaがProであるとき、RはCN−である;
あるいは、P3がD−Chaであるとき、AaaがLysもしくはGluであり、そしてRがHであるか、またはAaaがProであるとき、Rがグルタリル−AMeであり、特に、Aaaが−NH−CH−[CH−CH−CO−NH−(CH−[O−(CH−CH−NH]−CO−であるとき、RがHである
ことを特徴とする、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
アシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンが塩の形、特に鉱酸、例えば硫酸または塩酸の塩として、あるいは適当な有機酸、例えば酢酸、ギ酸、メチルスルホン酸、コハク酸、マレイン酸またはトリフルオロ酢酸の塩、特に塩酸塩、硫酸塩または酢酸塩として存在することを特徴とする、請求項1〜19のいずれか1項に記載の使用。
【請求項21】
アシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンに結合しているリンカー基のHN基が、ジカルボン酸無水物、好ましくはコハク酸またはグルタル酸の無水物と反応して、HOOC基を形成することができ、あるいはアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンに結合しているリンカー基のHOOC−基がジアミンと反応してHN基を保持することができることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか1項に記載の使用。
【請求項22】
P4またはP2に共有結合しているリンカー基が、第2官能基、特に置換もしくは非置換アミノ、カルボキシルおよび/またはメルカプト基の存在下で、合成表面に共有結合しているか、あるいはリンカー基がオリゴ−またはポリアルキレングリコールであるならば、式Iの第2分子に共有結合していることを特徴とする、請求項1〜10、12または14〜17のいずれか1項に記載の使用。
【請求項23】
P4またはP2に共有結合しているリンカー基が、P4またはP2に結合していない端で、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、特にメチルで、または式Iの第2分子で、変性することができるオリゴ−またはポリアルキレングリコールであり、リンカー基はそれとの相互作用によって合成表面に非共有結合することができることを特徴とする、請求項1〜8、11、13または14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項24】
合成表面が、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アリールエーテルスルホン)、再生セルロース、キュプロファン、ヘモファン、ポリ(スルホン)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(カーボネート)、ポリ(アミド)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチレン−コ−ビニルアルコール)、あるいは表面が血液と接触する透析器、酸素発生器、カテーテルまたは膜のような装置および/またはそれらの装置に付属するホース系および/またはエアートラップに用いられる別の材料で構成され、表面材料は、P4またはP2へ結合したリンカー基によって式Iの分子が共有結合するために、官能基、例えばアミノ基、アミノアルキル基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、ヒドロキシル基またはヒドロキシアルキル基で任意に変性されていることを特徴とする、請求項22または23に記載の使用。
【請求項25】
例えば、透析器、酸素発生器、カテーテルまたは膜のような装置および/またはそれらの装置に付属するホース系および/またはエアートラップの、合成表面で血液が凝固するのを妨げる、請求項1〜24のいずれか1項に記載の使用。
【請求項26】
請求項4〜23のいずれか1項で定義したとおりのリンカー基により合成表面を共有または非共有被覆することによって、合成表面で血液が凝固するのを妨げる、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
請求項1〜23のいずれか1項で定義したとおりのアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンの、心筋梗塞、脳卒中、塞栓症、例えば股関節手術および/または膝関節交換後の深脚静脈血栓症、血管形成術、特に経皮経管冠動脈形成術(PTCA)の結果としての不安定アンギナまたは合併症を予防および/または治療する抗凝固および/または抗血栓薬として用いるための薬剤製造への使用。
【請求項28】
請求項1〜23のいずれか1項で定義したとおりのアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンの、播種性静脈内凝固、敗血症性ショック、アレルギー、胃切除後症候群、関節炎およびARDS(成人の呼吸窮迫症候群)を予防および/または治療する抗凝固および/または抗血栓薬として用いるための薬剤製造への使用。
【請求項29】
請求項1〜22のいずれか1項で定義したとおりのアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンの、非経口使用形での、特に動脈内、静脈内、筋肉内または皮下の形での、腸用形での、特に経口または直腸使用用の、または局所使用形の、特に皮膚治療薬としての、血漿カリクレインおよび/または第XIIa因子および/または第XIa因子を阻害するための薬剤製造への使用。
【請求項30】
血漿カリクレインを阻害するための請求項29に記載の使用。
【請求項31】
請求項1〜21のいずれか1項で定義したとおりのアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンの、特に錠剤、糖衣錠、カプセル、ペレット、座薬、溶液、特に注射または注入溶液、点眼液、点鼻液、ジュース、カプセル、エマルジョンまたは懸濁液、丸薬、棒状薬、エーロゾル、粉剤、ペースト、クリーム、軟膏の形の、血漿カリクレインおよび/または第XIIa因子および/または第XIa因子を阻害するための薬剤製造への使用。
【請求項32】
血漿カリクレインを阻害するための請求項31に記載の使用。
【請求項33】
が、特に、HOであり、そしてRおよびRがオリゴ−またはポリアルキレン基ではない請求項8で定義したとおりの一般式VまたはVIで表されるアシル化アミジノベンジルアミンの、活性化合物が経口投与用のプロドラッグの形で存在する請求項27〜32のいずれか1項で定義したとおりの抗凝固および/または抗血栓薬として用いるための薬剤製造への使用。
【請求項34】
アシル化アミジノ−またはグアニジノベンジルアミン、特に請求項4〜23で定義したとおりのP4〜P2にリンカー基を有する一般式Iのアシル化アミジノ−またはグアニジノベンジルアミンが、トロンビン、第XIIa因子、第XIa因子、第Xa因子、第IXa因子、第VIIa因子、ウロキナーゼ、トリプターゼおよびプラスミンのような他のトリプシン様セリンプロテアーゼ並びに補体系のトリプシン様セリンプロテアーゼを阻害するために用いられることを特徴とする、請求項1〜33のいずれか1項に記載の使用。
【請求項35】
リンカー基がやはりP4またはP2に結合しており、リンカー基は請求項3で定義したとおりの置換基によって、特に−NH−または−CO−基によって、P4に結合しているかあるいはP2の官能基に直接結合しており、リンカー基は、好ましくは、アルキル、アリールまたはアラルキル骨格構造を有するジカルボン酸、アミノカルボン酸、ジアミン、ジスルホン酸またはアミノスルホン酸であり、ここで、アルキル骨格構造は1〜12個、特に2〜6個の炭素原子を有し、アリール骨格構造は6〜10個の炭素原子を有し、特にフェニルであり、そしてアラルキル骨格構造は6〜12個の炭素原子を有し、特にベンジルである、あるいは2〜12個、特に2〜6個の炭素原子を有するアミノアルキルまたはカルボキシアルキル基であり、P4またはP2におけるリンカー基はオリゴ−またはポリアルキレングリコール鎖であり、特にポリ−もしくはオリゴエチレン−またはポリ−もしくはオリゴプロピレングリコール鎖であり、オリゴ−またはポリアルキレングリコールは官能基、特に、少なくとも両端が置換または非置換アミノ、カルボキシルおよび/またはメルカプト基である官能基を有し、あるいはオリゴ−またはポリアルキレングリコールは官能基、特に、少なくとも1端が置換または非置換アミノ、カルボキシル、および/またはメルカプト基である官能基を有し他方の末端においてCHで変性されており、リンカー基が置換基によってP4に結合しているとき、置換基は好ましくは−NH−基、1〜6個の炭素原子を有する−NH−アルキル基、−CO−基、2〜6個の炭素原子を有する−CO−アルキル基、特に−CO−メチル基、1〜6個の炭素原子を有する−CO−O−アルキル基、特にメチル基、−S−基、1〜6個の炭素原子を有する−S−アルキル基、特にメチル基、1〜6個の炭素原子を有する−O−アルキル基、特にメチル基、−SO−基、1〜6個の炭素原子を有する−SO−アルキル基、特にメチル基、であり、リンカー基がP2に結合しているとき、P2は、好ましくは、
(a)リシンまたは側鎖に1〜5個の炭素原子を有するその同族体、特にオルニチン、ホモリシン、α,γ−ジアミノ酪酸、α,β−ジアミノプロピオン酸またはα−ジアミノグリシン、あるいは
(b)グルタミン酸または側鎖に1〜5個の炭素原子を有するその同族体、特にアスパラギン酸、グルタミン酸またはホモグルタミン酸、あるいは
(c)システインまたはホモシステイン、あるいは
(d)セリンまたはトレオニン
であることを特徴とする、一般式I
P4−P3−P2−P1 (I)
(式中、P4は、モノ置換もしくはポリ置換もしくは非置換ベンジルスルホニル基であり、P3は、D配置のモノ置換もしくはポリ置換もしくは非置換、天然もしくは非天然α−アミノ酸またはα−イミノ酸であり、P2は、L配置のモノ置換もしくはポリ置換もしくは非置換、天然もしくは非天然α−アミノ酸またはα−イミノ酸であり、P1は、モノ置換もしくはポリ置換もしくは非置換4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミド基である)で表されるアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミン。
【請求項36】
P4またはP2におけるリンカー基がオリゴ−またはポリアルキレングリコール鎖であり、特にポリ−もしくはオリゴエチレン−またはポリ−もしくはオリゴプロピレングリコール鎖であり、オリゴ−またはポリアルキレングリコールは官能基、特に、少なくとも両端が置換または非置換アミノ、カルボキシルおよび/またはメルカプト基である官能基を有し、あるいはオリゴ−またはポリアルキレングリコールは官能基、特に、少なくとも1端が置換または非置換アミノ、カルボキシル、および/またはメルカプト基である官能基を有し、他方の末端において1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、特にメチル、で変性されていることを特徴とする、請求項35に記載のアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミン。
【請求項37】
請求項8で定義したとおりの一般式VまたはVIを示すことを特徴とする、請求項35または36に記載のアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミン:
【化20】

(式中、
m=1〜3、q=0または1、特に0であり、
、R、Rおよび/またはRは、
(a)水素、および/または
(b)ハロゲン、好ましくはフッ素、塩素および/または臭素、および/または
(c)1〜6個、好ましくは1〜3個の炭素原子を有する置換もしくは非置換、分枝もしくは線状アルキル基、特にメチル、ここで、置換、分枝または線状アルキル基またはアラルキル基の置換基は、好ましくは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、アミジノ、グアニジノおよび/またはカルボキシル基であり、適切ならば、低級アルキル基、特にメチルまたはエチルでエステル化される、および/または
(d)ヒドロキシル、アミノ、シアノ、アミジノ、グアニジノ、メチルオキシカルボニル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、アミノメチルまたはグルタリルまたはスクシニルアミドメチル基、および/または、適切な場合、低級アルキル基、特にメチルもしくはエチルでエステル化されているオキシアルキルカルボニル、カルボキシル、カルボキシメチルもしくはカルボキシエチル基、または、非置換アミドまたはアルキルもしくはアリール基で置換されているアミドとして存在するオキシアルキルカルボニル、カルボキシル、カルボキシメチルまたはカルボキシエチル基
であり、および/または
および/またはRはリンカー基でもよく、リンカー基は請求項2で定義したとおりの置換基によって、特に−NH−または−CO基によって、P4に結合しているか、あるいはP2の官能基に直接結合しており、リンカー基は、好ましくは、アルキル、アリールまたはアラルキル骨格構造を有するジカルボン酸、アミノカルボン酸、ジアミン、ジスルホン酸またはアミノスルホン酸であり、ここで、アルキル骨格構造は1〜12個、特に2〜6個の炭素原子を有し、アリール骨格構造は6〜10個の炭素原子を有し、特にフェニルであり、そしてアラルキル骨格構造は6〜12個の炭素原子を有し、特にベンジルである、あるいは2〜12個、特に2〜6個の炭素原子を有するアミノアルキルまたはカルボキシアルキル基であり、P4またはP2におけるリンカー基はオリゴ−またはポリアルキレングリコール鎖、特にポリ−もしくはオリゴエチレンまたはポリ−もしくはオリゴプロピレングリコール鎖であり、オリゴ−またはポリアルキレングリコールは官能基、特に、少なくとも両端が置換または非置換アミノ、カルボキシルおよび/またはメルカプト基である官能基を有し、あるいはオリゴ−またはポリアルキレングリコールは官能基、特に、少なくとも1端が置換または非置換アミノ、カルボキシル、および/またはメルカプト基である官能基を有し、他方の末端において1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、特にメチル、で変性されており、および/または
は請求項5で定義したとおりの式(II)を表し、P2はRと共に請求項7で定義したとおりの式(III)および(IV)を表し、
は特に好ましくはヒドロキシル、アミノおよびアルコキシカルボニルである)。
【請求項38】
P4のリンカー基を示し、請求項9、10、11または15で定義したとおりの構造を示すことを特徴とする、請求項35〜37のいずれか1項に記載のアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミン。
【請求項39】
P2のリンカー基を示し、請求項12、13または17で定義したとおりの構造を示すことを特徴とする、請求項35〜37のいずれか1項に記載のアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミン。
【請求項40】
アシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンが合成表面に共有結合または非共有結合していることを特徴とする、一般式I
P4−P3−P2−P1 (I)
(式中、P1、P2、P3およびP4は請求項1〜23に記載の意味を有する)
で表されるアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミン。
【請求項41】
アシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンが、アミドもしくはスルホンアミド結合、ジスルフィドブリッジまたはメルカプト基のアルキル化によって、特にアミド結合によって、合成表面に共有結合していることを特徴とする、請求項40に記載のアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミン。
【請求項42】
アシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンがオリゴ−またはポリアルキレングリコール基、特にオリゴ−またはポリエチレングリコール基、の相互作用によって合成表面に非共有結合していることを特徴とする、請求項40に記載のアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミン。
【請求項43】
表面が、請求項35〜39のいずれか1項に記載のアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンで、あるいは請求項1〜23の少なくとも1項で定義したとおりのアシル化4−アミジノ−または4−グアニジノベンジルアミンで、共有または非共有被覆されていることを特徴とする、合成表面。
【請求項44】
請求項43に記載の合成表面を含む装置。
【請求項45】
装置が、透析器、酸素発生器、カテーテルまたは膜であることを特徴とする、請求項44に記載の装置。

【公表番号】特表2006−516277(P2006−516277A)
【公表日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500572(P2006−500572)
【出願日】平成16年1月15日(2004.1.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000247
【国際公開番号】WO2004/062657
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(505269685)キュラサイト・ケミストリー・ゲーエムベーハー (3)
【Fターム(参考)】