説明

血漿分離器及び血液分析装置

【課題】毛細管流路内に血球が入ることを抑制して、毛細管流路内において血球が壊れることを防止するとともに、毛細管流路内に血漿成分を導入し易くして血液から血漿成分を好適に分離することができる。
【解決手段】毛細管流路2Lにおける入口部分2L1を形成する凹凸構造212を有する第1基板21と、凹凸構造212との間で毛細管流路2Lにおける入口部分2L1を形成する第2基板22と、を備え、第1基板21の凹凸構造212の少なくとも開口部内面212mおよび第2基板22の凹凸構造212に対向する面22aに親水性処理が施されており、毛細管流路2Lにおける入口部分の断面において、親水性処理が施された部分Xの形状が、血球成分を通過させず血漿成分のみを毛細管現象により通過させるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液から血漿成分を分離するための血漿分離器及び当該血漿分離器を用いて血漿成分中の所定成分を測定することによって血液を分析する血液分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、血液から血漿成分を分離するものとして、例えば特許文献1に示すように、2枚の平板を所定距離の間隙を設けて重ね合わせることにより毛細管流路を形成するとともに、当該毛細管流路内に障害突起を設けることによって血球成分と血漿成分とを分離するものが考えられている。
【0003】
しかしながら、毛細管流路内に障害突起を設けて血球成分と血漿成分とを分離する発想では、毛細管流路内に血球成分が導入されてしまい、当該毛細管流路内で溶血し易く、血球成分と血漿成分とを十分に分離することができない恐れがある。また、障害突起の配置の仕方によって血球成分と血漿成分との分離性能が左右されてしまうだけでなく、毛細管流路内の障害突起における血球詰まりも考慮する必要がある。
【0004】
また、特許文献2に示すように、基板表面上に多数の突起を設けて、当該突起間の側周面で起こる毛細管現象を用いて血液から血漿成分を分離するものも考えられている。
【0005】
しかしながら、血液が多数の突起上を伝って流れてしまう恐れがあり、衛生上問題である。また、毛細管現象により血漿も多数の突起間を流れて、血球成分が溶血する恐れがあり、血球成分と血漿成分とを十分に分離することができないという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−183363号公報
【特許文献2】特表2008−547017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記の問題点を一挙に解決すべくなされたものであり、毛細管流路内に血球成分が入ることを抑制して、その毛細管流路内において血球成分が溶血することを防止するとともに、毛細管流路内に血漿成分を導入し易くして血液から血漿成分を好適に分離することができることをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る血漿分離器は、内部に形成された毛細管流路に血液を導入して、当該血液から血漿成分を分離する血漿分離器であって、表面上に前記毛細管流路における少なくとも入口部分を形成する凹凸構造を有する第1基板と、前記第1基板に密着して設けられ、前記凹凸構造との間で前記毛細管流路における入口部分を形成する第2基板と、を備え、前記第1基板の凹凸構造の少なくとも開口部内面および前記第2基板の前記凹凸構造に対向する面に親水性処理が施されており、前記第1基板および前記第2基板を密着させて前記毛細管流路における入口部分を形成した状態において、前記毛細管流路の入口部分の断面において、親水性処理が施された部分の形状が、血球成分を通過させず血漿成分を毛細管現象により通過させるものであることを特徴とする。なお、毛細管流路における入口部分とは、毛細管流路の開口から所定距離までの部分である。
【0009】
このようなものであれば、毛細管流路における入口部分の断面において親水性処理が施された部分の形状を血球成分が通過しない形状としているので、毛細管流路における入口部分で血球成分の流路への侵入を防止するとともに、血液から血漿成分を分離して毛細管流路内に導入させることができる。また、第1基板に概略矩形波状の凹凸構造を形成し、その第1基板に第2基板を密着させて毛細管流路における少なくとも入口部分を形成する構造において、第1基板の凹凸構造の少なくとも開口部内面および前記第2基板の前記凹凸構造に対向する面に親水性処理を施すだけで、毛細管流路に親水性を付加することができるので、血漿分離器の構成及び製造が簡単である。
【0010】
親水性処理としては、第1基板の凹凸構造の上部から酸素プラズマ又は紫外線を照射することが考えられる。このとき、凹凸構造の構成にも依るが、凹凸構造の開口部内面への親水性処理は比較的簡単であるが、照射条件の問題等から凹凸構造の底部内面への親水性処理は難しいという問題がある。一方で、凹凸構造全体を親水性処理すると、親水性が内面全体に亘り血球成分までも流路内に導入されてしまう恐れがある。これらを勘案して、凹凸構造への親水性処理の簡単化及び血球成分の流路侵入の防止を好適に実現するためには、前記凹凸構造の開口部内面が親水性であり、前記凹凸構造の底部内面が疎水性であることが望ましい。
【0011】
複数の毛細管現象に血液を簡単に導入し易くすると共に、各毛細管流路の入口部分で血球が堆積し、血漿成分の流れが妨げられないようにするためには、前記複数の毛細管流路に連通する血液供給部を有し、当該血液供給部の表面に親水性処理が施されていることが望ましい。
【0012】
また、本発明に係る血液分析装置は、内部に形成された複数の毛細管流路に血液を導入して、当該血液から血漿成分を分離する血漿分離器と、前記血漿分離器により分離された血漿成分に接触する測定用電極と、を具備し、前記血漿分離器が、表面上に前記毛細管流路における少なくとも入口部分を形成する断面概略矩形波状の凹凸構造を有する第1基板と、前記第1基板に密着して設けられ、前記凹凸構造との間で前記毛細管流路における入口部分を形成する第2基板と、を備え、前記第1基板の凹凸構造の少なくとも開口部内面および前記第2基板の前記凹凸構造に対向する面に親水性処理が施されており、前記第1基板および前記第2基板を密着させて前記毛細管流路における入口部分を形成した状態において、前記毛細管流路における入口部分の断面において、親水性処理が施された部分の形状が、血球成分を通過させず血漿成分を毛細管現象により通過させるものであり、前記測定用電極が、前記第2基板の前記凹凸構造に対向する面に埋設されて前記毛細管流路により分離された血漿成分に接触することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
このように構成した本発明によれば、毛細管流路内に血球成分が入ることを抑制して、その毛細管流路内において血球成分が溶血することを防止するとともに、毛細管流路内に血漿成分を導入し易くして血液から血漿成分を好適に分離することができることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に血液分析装置の模式的斜視図である。
【図2】同実施形態の血漿分離器の平面図である。
【図3】同実施形態の血漿分離器のA−A線断面図である。
【図4】同実施形態の血漿分離器のB−B線拡大断面図である。
【図5】変形実施形態に係る血液分析装置の模式図である。
【図6】変形実施形態に係る血漿分離器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明に係る血液分析装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
<装置構成>
本実施形態に係る血液分析装置100は、血液から血漿成分を分離して、当該血漿成分に含有される尿酸等の所定成分の濃度を測定するためのものであり、図1に示すように、血液から血漿成分を分離する血漿分離器2と、当該血漿分離器2により分離された血漿成分に接触して当該血漿成分を通電するための測定用電極3と、当該測定用電極3に電圧を印加して流れる電流値を測定することにより、血漿成分中に含まれる尿酸等の所定成分の濃度を算出するCPU及びメモリ等から構成される情報処理装置4と、を備えている。
【0017】
なお、血漿成分は、水分および血漿蛋白質等を含む成分であり、所定の大きさ(本実施形態では2μm)よりも小さい分離対象成分である。また、血球成分は、赤血球、白血球および血小板を含む成分であり、前記所定の大きさ(2μm)よりも大きい非分離対象成分である。
【0018】
血漿分離器2は、図2に示すように、内部に形成された毛細管流路2Lに血液を導入して、当該血液から血漿成分を分離するものであり、血液が滴下等により供給される血液供給部2Dと、当該血液供給部2Dに連通して設けられ、当該血液供給部2Dに供給された血液中の血漿成分を毛細管現象により内部に導入して血球成分と血漿成分を分離する毛細管流路2Lと、を有する。なお、本実施形態の毛細管流路2Lは、一端が血液供給部2Dに連通し、略直線状の流路が互いに並設された複数の毛細管小流路2L1と、当該複数の毛細管小流路2L1の他端に連通する毛細管大流路2L2とからなる。毛細管大流路2L2の他端は大気開放されている。図2において斜線部により示している部分は、分離過程における血漿成分を示している。なお、最終的には毛細管流路2L全長に亘り血漿成分が分離され、大量の血漿成分を採取することができる。
【0019】
血漿分離器2の具体的な構成としては、図2〜図4に示すように、表面上に毛細管流路2Lにおける少なくとも入口部分(本実施形態では複数の毛細管小流路2L1が毛細管流路2Lにおける入口部分である。)を形成する断面概略矩形波状の凹凸構造212を有する第1基板21と、第1基板21に密着して設けられ、凹凸構造212との間で前記毛細管流路2Lにおける入口部分(複数の毛細管小流路2L1)を形成する第2基板22と、を備えている。
【0020】
第1基板21は、成形が容易であり安価な合成樹脂である例えばPMMA等からなり、図2に示すように、概略矩形状をなす平板(例えば1cm角)であり、その表面上に前記血液供給部2Dを形成する凹部211と、複数の毛細管流路2L1を形成する断面概略矩形波状の凹凸構造212と、毛細管大流路2L2を形成するする凹部213と、を備えている。
【0021】
凹部211は、第1基板21の一端部において、血液供給部2Dが全ての毛細管小流路2L1に連通するように形成されており、本実施形態では、平面視において概略矩形状をなすものである。また、その凹部211の深さは後述する凹凸構造212の凹溝と同一であり、凹部211の底面と凹凸構造212の底面とは面一である。
【0022】
本実施形態の凹凸構造212は、毛細管流路2Lにおける入口部分である複数の毛細管小流路2L1を形成するものである。そして、凹凸構造212は略等断面形状をなし、その断面が概略矩形波形状をなすものである。つまり凹凸構造212は、断面概略コの字形状をなす複数の凹溝が並列されることにより構成されている。具体的な寸法としては、凹溝の幅が例えば2μmであり、例えば高さが9μmである。
【0023】
第2基板22は、第1基板と同様、例えばPMMA等からなり、図2に示すように、概略矩形状をなす平板であり、第1基板21の表面に形成された凹凸構造212を覆い、毛細管流路2Lを構成するものである。本実施形態の第2基板22は、第1基板21の表面上において、血液供給部2Dを形成する凹部211を覆わず、凹凸構造212及び凹部213を覆うものである。この第1基板21と第2基板22とは、圧着、超音波接合等により接合される。このとき、第1基板21および第2基板22の接合面には酸素プラズマ処理又は紫外線照射処理を施すことによって接合強度を向上させることができる。
【0024】
そして、第2基板22の凹凸構造212に対向する面22aには、測定センサ部である測定用電極3が埋め込まれている。
【0025】
この測定用電極3は、第2基板22の凹凸構造212に対向する面22a内に埋設されて毛細管小流路2L1により分離された血漿成分に接触するものである。本実施形態の測定用電極3は、図2等に示すように、例えばカーボン電極等の作用電極31と、例えば白金電極等の対電極32と、例えば銀/塩化銀電極等の参照電極33とからなる三電極方式のものである。いずれの電極31〜33も概略帯状に形成されており、図3及び図4に示すように、各電極31〜33の血漿接触面(下面)が、第2基板22の裏面(凹凸構造212に対向する面22a)と面一となるように埋め込まれている。また、各電極31〜33の先端は、毛細管小流路2L1の途中まで延びている。そして、他端が血漿分離器2から外部に延出されており、その他端部が外部接続端子(不図示)に接続され、その外部接続端子が情報処理装置4に接続される。
【0026】
しかして第1基板21及び第2基板22には、少なくとも毛細管小流路2L1の一部が親水性領域となるように、親水性処理が施されている。なお、親水性処理としては、酸素プラズマ処理または紫外線処理などである。
【0027】
第1基板21に関して言うと、図3および図4に示すように、その凹凸構造212の少なくとも開口部内面(図3等においては凹凸構造212の上部内面)212mに親水性処理が施されている。凹凸構造212の親水性処理が施される領域は、親水性処理の条件により決まるが、本実施形態では、凹凸構造212の開口部内面212m、具体的には、凹凸構造212の上部開口から所定位置まで(本実施形態では凹凸構造212の略上半分内面に)親水性処理が施されている。一方、凹凸構造212の底部内面(図3等においては凹凸構造212の下部内面)212n(開口部内面212m以外の部分、つまり凹凸構造の略下半分)は親水性処理が施されていないため疎水性である。
【0028】
一方、第2基板22に関して言うと、図3等に示すように、第1基板21および第2基板22を密着させる際に凹凸構造212に対向する面22a(第2基板22の裏面)の略全体に親水性処理が施されている。
【0029】
そして、第1基板21および第2基板22を密着させて毛細管小流路2L1を形成した状態において、各毛細管小流路2L1の断面における親水性処理が施された部分Xの形状が、血球成分を通過させず血漿成分のみを毛細管現象により通過させる形状となるようにしている。
【0030】
具体的には、毛細管小流路2L1の流路方向に直交する断面において、図4に示すように、凹凸構造212の開口部内面212mおよび第2基板22の裏面22aにより構成される概略下向きコの字状をなす部分が親水性領域Xとなる。なお、図4において、親水性領域Xは、太線で示した部分である。そして、概略下向きコの字状をなす親水性領域Xにより規定される仮想流路(断面概略矩形状をなす流路)の断面積が、血球成分を通過させず血漿成分のみを通過させる大きさとなるようにしている。赤血球に関して言うと、そのサイズは、直径約7μmで厚さ2μmの概略円板形状をなす。そして、仮想流路の断面積は、赤血球が溶血しない程度に変形しても通ることができない断面積としている。上述したとおり、凹凸構造212の開口部内面212mが、例えば上部開口端から3μmであるとすると、前記断面積は、6μmとなる。
【0031】
また、第1基板21により形成されている血液供給部2Dの表面にも親水性処理が施されている。つまり凹部211の内面にも、前記凹凸構造212等に施されたのと同様の親水性処理が施されている。これにより血液供給部2Dに血液を滴下させると、血液が血液供給部2Dにおいて幅方向に広がり、一部の毛細管小流路2L1の入口に血液が集中することなく万遍無く複数の毛細管小流路2L1に行き渡らせることができ、毛細管小流路2L1の入口において血液が詰まることを防止することができる。
【0032】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態に係る血液分析装置100によれば、毛細管流路2Lにおける入口部分(毛細管小流路2L1)の断面において親水性処理が施された部分Xの形状を血球成分が通過しない形状としているので、毛細管流路2Lにおける入口部分で血球成分の流路への侵入を防止するとともに、血液から血漿成分を分離して毛細管流路2L内に導入させることができる。また、第1基板21に概略矩形波状の凹凸構造212を形成し、その第1基板21に第2基板22を密着させて毛細管流路2Lにおける少なくとも入口部分を形成する構造において、第1基板21の凹凸構造212の少なくとも開口部内面212mおよび第2基板22の凹凸構造212に対向する面22aに親水性処理を施すだけで、毛細管流路2Lに親水性を付加することができるので、血漿分離器2の構成及び製造が簡単である。さらに、本実施形態の血漿分離器2によると、血液から血漿成分をほとんど(ほぼ100%)分離できるため、尿酸等の測定成分の測定精度を良くすることができる。
【0033】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、前記実施形態では、凹凸構造212の溝が深く、底部まで親水性処理を施さない態様について説明しているが、凹凸構造212の溝を浅くし、底部まで親水性処理を施す(つまり凹凸構造212全体に親水性処理を施す)ようにしても良い。このとき、凹凸構造212の凹溝の幅は例えば3μmで、深さは例えば3μmである。
【0034】
また、前記実施形態の親水性処理に関して言うと、酸素プラズマ及び紫外線の照射による親水性処理に加えて、例えば分子量3万以上のポリLリジン、アミン等を用いて表面修飾を行い、親水性を向上させるようにしても良い。これにより、血漿の分離速度を大きくすることができ、短時間で多くの血漿成分を得ることができ、分析精度を向上させるだけでなく、測定時間の短縮を可能にすることができる。つまり、血漿成分の分離に必要な時間を5〜10秒程度と短時間にすることができ、血漿成分量として約500ナノリットル(nl)程度得られることから、成分測定に充分な量の血漿成分を得ることができる。
【0035】
さらに、前記実施形態では、測定用電極3を第2基板22内に埋設させるとともに、その測定用電極3が毛細管小流路2L1の途中に位置するように構成されているが、図5に示すように、毛細管小流路2L1の下流に、第2基板22に埋設させて、或いは第2基板22に埋設させることなく第1基板21及び第2基板22により形成される空間内に配置するようにしても良い。
【0036】
その上、前記実施形態では、第2基板22が第1基板21の血液供給部2Dを覆わない構成にしているが、図6に示すように、第2基板22が第1基板21の血液供給部2Dを覆うように配置されると共に、当該第2基板22に血液供給部2Dに連通する血液通過孔221を形成するようにしても良い。このとき血液通過孔221を血液供給部2Dに行くに従って開口が窄まる形状とすることが考えられる。このように血液通過孔221の内面がテーパ形状となり、血液供給部2Dを可及的に小さくして複数の毛細管小流路2L1に血液を行き渡らせやすくしつつ、当該血液供給部2Dに血液を供給し易くすることができる。
【0037】
毛細管流路に関して言うと、前記実施形態では、一端が血液供給部に連通し、略直線状の流路が互いに並設された複数の毛細管小流路と、当該複数の毛細管小流路の他端に連通する毛細管大流路とからなるものであったが、一端が血液供給部に連通し、略直線状の流路が互いに並設された複数の毛細管小流路のみからなるものであっても良い。
【0038】
加えて、前記実施形態の測定センサ部は、3電極方式の測定用電極を用いているが、その他、作用電極及び対電極からなる2電極方式の測定用電極を用いても良いし、その他種々のセンサを用いても良い。
【0039】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0040】
100 ・・・血液分析装置
2 ・・・血漿分離器
3 ・・・測定用電極
4 ・・・情報処理装置
2L ・・・毛細管流路
2L1 ・・・毛細管流路の入口部分
21 ・・・第1基板
212 ・・・凹凸構造
212m・・・凹凸構造の開口部内面
212n・・・凹凸構造の底部内面
22 ・・・第2基板
22a ・・・凹凸構造212に対向する面
X ・・・毛細管流路における親水性処理が施された部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に形成された毛細管流路に血液を導入して、当該血液から血漿成分を分離する血漿分離器であって、
表面上に前記毛細管流路における少なくとも入口部分を形成する凹凸構造を有する第1基板と、
前記第1基板に密着して設けられ、前記凹凸構造との間で前記毛細管流路における入口部分を形成する第2基板と、を備え、
前記第1基板の凹凸構造の少なくとも開口部内面および前記第2基板の前記凹凸構造に対向する面に親水性処理が施されており、
前記第1基板および前記第2基板を密着させて前記毛細管流路における入口部分を形成した状態において、前記毛細管流路における入口部分の断面において、親水性処理が施された部分の形状が、血球成分を通過させず血漿成分を毛細管現象により通過させるものである血漿分離器。
【請求項2】
前記凹凸構造の開口部内面が親水性であり、前記凹凸構造の底部内面が疎水性である請求項1記載の血漿分離器。
【請求項3】
前記毛細管流路に連通する血液供給部を有し、当該血液供給部の表面に親水性処理が施されている請求項1又は2記載の血漿分離器。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載の血漿分離器と、
前記血漿分離器により分離された血漿成分に接触する測定用電極と、を具備し、
前記測定用電極が、前記第2基板の前記凹凸構造に対向する面に埋設されて前記毛細管流路により分離された血漿成分に接触する血液分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−95151(P2011−95151A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250471(P2009−250471)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、文部科学省、地域科学技術事業委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】