説明

血管アクセスデバイスの血液のシールおよび露出防止

患者の脈管構造にアクセスするための血管外システムは、内面を有するカテーテル、カテーテル内に配置される針、および/または、少なくとも1つの毛細空間を定めると共に該少なくとも1つの毛細空間を囲む可撓性シールを含むニードルキャップを含む。可撓性シールは、カテーテルの内面に係合することができる。血管外システムからの液体にさらされることを制御する方法は、流路に隣接して位置付けられる吸収材料を提供することを含むので、流路に対して外側に位置付けられた流体は吸収材料によって保持される。吸収材料は、液体にさらされることが望まれていない如何なる血管外システムの中にも、組み込まれることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、カテーテルアセンブリと、カテーテルアセンブリと共に用いられるデバイスとを含む血管アクセスデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、血管アクセスデバイスは、患者の脈管系と流体連通するために用いられる。例えば、カテーテルは、生理食塩水、様々な薬、全ての経静脈栄養のような流体を患者へ注入したり、患者から血液を抜いたり、あるいは、患者の脈管系の様々なパラメーターを監視したりするために用いられる。
【0003】
よくあるタイプの静脈内(IV)カテーテルは、針を覆う周囲のIVカテーテルである。その名前が示すように、針を覆うカテーテルは、鋭い末端の先端部を有する導入針を覆うように取り付けられる。カテーテルの末端部の少なくとも内面は、カテーテルの後方への剥離を防止するように、針の外面にしっかりと係合するので、血管の中へのカテーテルの挿入を容易にする。カテーテルおよび導入針は、患者の皮膚から離れるように上を向いた針の斜面を有する導入針の末端の先端部がカテーテルの末端の先端部を越えて延びるように、組み立てられている。カテーテルおよび導入針は、患者の皮膚を通して、血管の中へ、浅い角度で概して差し込まれる。
【発明の概要】
【0004】
血管における針および/またはカテーテルの適切な配置を確認するためには、臨床家は、概して、アクセスの確認を探し求める。この確認は、カテーテルアダプタの良好な漏れに頼っているかもしれない。一旦、血管の中へのカテーテルの適切な配置が確認されると、臨床家は、導入針およびカテーテルの末端の血管を覆う患者の皮膚を押し下げることによって、血管に圧力を加えることができる。この指圧は、体内の管を塞ぎ、導入針およびカテーテルを通して流れる血液をさらに最小限に抑える。これは、利用できる時間がない、困難な静脈あるいは経験不足のような種々の理由のために必ずしも可能であるとは限らない。幾つかの他の状況では、臨床家は、カテーテルアダプタに付加的な静脈アクセス確認を必要とするかもしれず、その理由のために、そのアダプタの中への血流を許容する。
【0005】
そして、臨床家は、カテーテルから導入針を引き抜くことができる。導入針は、針先端部を覆う針先端部シールドあるいはニードルキャップの中へ引っ込められ、思いがけない針の突き刺しを防止することができる。概して、針先端部シールドは、ハウジング、スリーブ、あるいは、針が患者から引き抜かれるとき、針先端部が針先端部のシールド内部に閉じ込められ/とらえられるように設計された他の同様のデバイスを含む。針先端部シールドの目的は、針の突き刺しに由来する予期しない血液にさらされること、および針先端部上にまたは中に集められた血液にさらされることから臨床家を防ぐことである。
【0006】
血液が針先端部シールドに移動するデバイスにおいて、針先端部シールドのオペレーターは、針先端部シールドがカテーテルアダプタから取り除かれるとき、血液にさらされ得る。したがって、様々なシステムや方法は、カテーテルのような他の血管アクセスデバイスに接続される針先端部シールドを提供し、針先端部シールドの中に、上に、あるいは周りに含まれる血液にさらされることやそれによる汚染を最小限にし、および/または、カテーテルアダプタ内部で少なくとも針先端部シールドのところまで血液のフラッシュバックを提供することが必要とされる。
【0007】
本発明は、目下利用可能な血管外システムおよび方法によって十分に未だ解決されていない、当該分野における問題および必要性に対して作り上げられている。したがって、これらのシステムおよび方法は、針先端部シールドの中に、上に、あるいは周りに含まれる血液にさらされることやそれによる汚染を最小限にし、および/または、カテーテルアダプタ内部で少なくとも針先端部シールドのところまで血液のフラッシュバックを提供することを可能な、より効率的な血管外システムおよび方法を提供するように、構築されている。
【0008】
患者の脈管構造にアクセスするための血管外システムは、内面を有するカテーテル、カテーテル内部に配置された針、および/または、少なくとも1つの毛細空間を定めると共に少なくとも1つの毛細空間を囲む可撓性シールを含むニードルキャップを含むことができる。可撓性シールは、カテーテルアダプタの内面に係合することができる。血管外システムは、また、ニードルハブ、ニードルキャップをニードルハブに固定するホイル、ニードルハブに固定された流れ制御プラグ、および/または、流れ制御プラグに固定された孔プラグを含むことができる。
【0009】
針は、針先端部を含むことができ、針は、針とカテーテルとの間にノッチを定めることができる。血液は、針のノッチから、針先端部をシールドするための機構が収められたニードルキャップのクリップハウスまで、血管外システムの全長に沿って流れることができる。製品を通して制御された空気/血液の流れ、特に、針と針が延びるニードルキャップの孔との間の空間として定められたニードルキャップの孔を通しての制御された空気/血液の流れは、制御された血流(ときどき「フラッシュバック」と称される。)のチャンバーを定めることができる。血管外システムは、血管外システムの全長に沿う血流空間を定めることができ、血流空間は、システムの作動の間、制御された血流を提供するために形成されることができる。
【0010】
ニードルキャップがカテーテルから取り除かれるとき、毛管力を生み出すことができる任意の構造であり得る少なくとも1つの毛細空間は、血液を受け入れて保持することができる。ニードルキャップは、針が延び得るポートを定めることができ、そして、システムは、また、針が延び得る孔周りに等しく間隔をおいて配置された少なくとも3つおよび/または少なくとも6つの毛細空間を含むことができる。毛細空間は、針が延び得る孔周りのリボルバー形配列に等しく間隔をおいて配置されることができる。
【0011】
可撓性シールは管の外面にシール面を有する管を含むことができる。可撓性シールは、管の内面内部に形成された少なくとも1つのプリーツを含むことができる。可撓性シールは、プリーツ付きのスカート、延長管、スリット入りスカート、エラストマーのO−リングおよび/または隔壁を含むことができる。隔壁は、カテーテルアダプタの内面内に形成されることができ、ニードルキャップがカテーテルアダプタと係合するとき、ニードルキャップの一部分を囲むことができる。
【0012】
血管外システムを製造する方法は、内面を有するカテーテルアダプタを提供すること、カテーテルアダプタ内に針を配置すること、ニードルキャップを提供すること、ニードルキャップ内に少なくとも1つの毛細空間を形成すること、少なくとも1つの毛細空間を囲む可撓性シールを形成すること、および/または、カテーテルの内面を可撓性シールと係合することを含むことができる。この方法は、また、ニードルハブを提供すること、つなぎ部材を提供すること、ホイルでニードルキャップをニードルハブに固定すること、ニードルキャップを通るニードルポートを提供すること、ニードルポートを通じて針を差し込みこれによって針とニードルポートとの間のニードルキャップ孔を提供することを含むことができる。
【0013】
針は針先端部を含むことができ、この方法は、また、針とカテーテルとの間の針にノッチを形成すること、および、流体が流れ得る血管外システムを貫く通路を形成することを含むことができる。この方法は、また、通路を通じての流体の流れを制御すること、および/または、ニードルキャップ孔内部にフラッシュバックチャンバーを形成することを含むことができる。この方法は、また、ニードルキャップがカテーテルから取り除かれるとき、血液を受け入れて保持するように少なくとも1つの毛細空間を形成すること、針が延び得るポート周りに等しく間隔をおいて配置された少なくとも3つの毛細空間を形成すること、および/または、針が延び得るポート周りにリボルバー形フォーメーションに等しく間隔をおいて配置された少なくとも6つの毛細空間を形成することを含むことができる。これは1つの実施形態を説明するが、毛管力を発生することができる構造の任意の組み合わせは、本発明の範囲内に考慮に入れられるべきである。
【0014】
可撓性シールを形成することは、管の外面にシール面を有する管を形成すること、管の外面内に少なくとも1つのプリーツを形成すること、および/または、プリーツ付きのスカート、スリット入りスカート、延長管、エラストマーのO−リングおよび/または隔壁あるいは他の可撓性材料の内の少なくとも1つを形成することを含むことができる。
【0015】
患者の脈管構造にアクセスするための血管外システムは、カテーテルアダプタ、針、および、ニードルキャップを含むことができる。カテーテルアダプタは、内面を有することができる。針は、カテーテルアダプタ内に配置されることができる。ニードルキャップは、ニードルキャップ内に血液を保持するための少なくとも1つの手段を定めることができる。ニードルキャップは、ニードルキャップ内に血液を保持するための少なくとも1つの手段をシールするための少なくとも1つの手段を含むことができる。シールするための手段は、カテーテルアダプタの内面と連絡することができる。
【0016】
本発明のこれらのおよび他の特徴および利点は、本発明の特定の実施形態に組み入れられ、以下の説明および添付された特許請求の範囲からより十分に明らかになるだろう、あるいは、以下に記載されているように本発明の実践によって理解されることができる。本発明は、全ての有利な特徴およびここで説明された全ての利点が本発明の全ての実施形態に組み込まれることを必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】使用前の形態における血管外システムの斜視図を含む。
【図2】クリップハウジングの拡大図を含む展開されたニードルキャップを有する図1の血管外システムの斜視図である。
【図3】使用前の形態における図1の血管外システムの断面図である。
【図3A】カテーテルアダプタ、針およびニードルクリップ間の境界を詳しく表した血管外デバイスの部分断面図である。
【図4】ニードルキャップの斜視図である。
【図5】ニードルキャップの断面である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の上記および他の特徴および利点が得られる様式が容易に理解されるように、簡単に上で説明された本発明のより詳細な説明が、添付図面に示された具体的な実施形態を参照することにより、提供されるだろう。これら図面は本発明の代表的な実施形態のみを表現し、それ故、本発明の範囲を限定するようにみなされるべきではない。
【0019】
本発明の現在、好ましい実施形態が、図を参照して最も理解されるだろう。同様の参照数字は、同一のあるいは機能上同様の要素を指し示す。本発明の構成要素は、ここで概して説明されかつ図に示されるように、とても様々な異なる構成に配置され、かつ、設計され得ることが容易に理解されるだろう。したがって、以下のより詳細な説明は、図に表されているが、請求される本発明の範囲を限定することを目的としておらず、本発明の現在の好ましい実施形態の単に代表に過ぎない。
【0020】
図1を参照して、斜視図は、挿入前の血管外デバイス10の例を示す。この例で血管外システム10は全部示されるカテーテルアセンブリ12を含む。カテーテルアセンブリ12は図2に関連してより詳細に説明されるであろう多数のコンポーネントのパーツを含む。
【0021】
さて図2を参照して、斜視図は、カテーテルアダプタ18の他のコンポーネントから分離された後の、展開されたニードルアセンブリ20を示す。カテーテルアセンブリ12はカテーテルアダプタ18やカテーテル14のような協働要素を含む。カテーテルアダプタ18はカテーテル14の挿入の間にニードルアセンブリ20と協働し、そして、ニードルアセンブリ20が除かれた後に他の機能を提供するように構成されることができる。
【0022】
図2の分解図はさらに血管外デバイス10がニードルアセンブリ20を含むことを示す。ニードルアセンブリ20は様々なサブコンポーネントを含み、それらの幾つかの例が図2に示されている。ニードルアセンブリ20は患者の脈管系に挿入されて、そして患者の脈管系へのカテーテル14の挿入を容易にするように構成された針22を含む。さらに、ニードルアセンブリ20はニードルキャップ24、ニードルハブ26、そしてニードルキャップ24とニードルハブ26との間に延在するつなぎ部材(tether)28を含むことができる。図1と図2とを比較することによって理解され得るように、ニードルキャップ24とつなぎ部材28とは、ニードルアセンブリ20が使用前の形態にあるとき、ニードルハブ26の中に少なくとも実質的に嵌まるように構成されることができる。ニードルアセンブリ20は、望ましい機能性をニードルアセンブリ20に提供するために、追加のパーツやコンポーネントを含むことができる。同様に、カテーテルアダプタ18は血管外システム10とその意図される利用との形態によって追加のあるいは代わりのパーツやサブコンポーネンツを含むことができる。
【0023】
例えば、ニードルハブ26はニードルアセンブリ20が用いられる血管外システム10の意図される用法による様々な形態で与えられることができる。1つの実施形態では、ニードルハブ26はニードルハブ26上のユーザグリップを改善したり、ニードルアセンブリ20を操作するためのユーザの能力を改善したり、および/または、ニードルハブ26および/またはニードルアセンブリ20へ他の機能を提供したりするための特徴を有することができる。別の実施形態では、ニードルキャップ24とニードルハブ26とは、ニードルキャップ24の少なくとも実態部分がニードルキャップ24の展開の前にニードルハブ26内部に配置されることを可能にするように構成されることができる。さらに、ニードルアセンブリ20がカテーテルアダプタ18から引き離されるとき、ニードルキャップ24がニードルハブ26から分離されて、そして図2の展開位置に引っ張られるように、ニードルキャップ24をカテーテルアダプタ18に選択的に結合するように構成された要素をニードルキャップ24は与えられることができる。さらに、一旦、ニードルキャップ24が展開状態に配置されると、針22に対するニードルキャップ24の移動を制御または制限するロックアウト機構をニードルキャップ24は含むことができる。
【0024】
血管外システム10の幾つかの使用法では、ニードルアセンブリ20がカテーテルアダプタ18から分離された後、患者の血液のいくらかの量はニードルアセンブリ20の上に、特に針22の先端部に残ることができる。ニードルキャップ24のいくつかの形態では、ニードルキャップ24は、シールド、リザーバ、キャップ、あるいは、この血液をこぼす可能性および/またはユーザが無意識にこの血液に触れる可能性を最小限にするように構成された他の特徴を含むことができる。ニードルキャップ24に組み入れられることができる変化や特徴のこのリストから明らかなように、ニードルキャップ24の多くの形態が、本開示の範囲内にあり、そしてそれらの幾つかはここに記述された1つ以上の特徴を含むことができる。
【0025】
例えば、本発明の好ましい実施形態はシールド5とシールドハウジングカバーとを含むニードルキャップ24を備える。シールド58は、ニードルアセンブリ20がカテーテルアダプタ18から分離された後、針22がニードルキャップ24を越えて再び現れることを防止するために提供されるV形のメタルクリップあるいは同様な機械構造物であることができる。シールドハウジングカバーはシールド58を囲むことができ、これにより、患者の中へのカテーテル13の挿入の間、および、カテーテルアダプタ18からニードルアセンブリ20の取り外しの後、ニードルキャップ24に入ることができる全流体の封じ込めを提供する。本発明のニードルキャップ24は、前孔、ニードル入口孔、および、毛細管システムを含むようにさらに修正され、以下に詳細に説明される(図3から5参照)。
【0026】
まだ図2を参照して、ニードルアセンブリ20のつなぎ部材28は、ニードルキャップ24をニードルハブ26につないだその展開状態で示されている。つなぎ部材28は初めにニードルハブ26内に折り畳まれ、そして次にニードルキャップ24とつなぎ部材28が展開されるときに広げられて針22に沿って伸ばされるように示されている。つなぎ部材28が、針通路を形成するように折り畳まれたつなぎ部材28の各パネルを貫く孔を含むことができるが、そのような通路は必要とされない。例えば、つなぎ部材28は折り畳まれるか、あるいは、ニードル22の通路を必要としないで、ニードルハブ26の中に圧縮されるように構成されることができる。付加的にあるいは代わりに、針22とつなぎ部材28との間の他の適当な関係が実装されてもよい。つなぎ部材28は望ましい強さ、無菌、他の特性を与えるために従来の材料から作られることができる。つなぎ部材28は、ニードルキャップ24が針22の末端から除かれるようにニードルアセンブリ20から分離されるのを防止するよう選択された最大展開長さを有するように構成されてもよい。
【0027】
ニードルキャップ24の中に、上に、および/または周りに制御された血流あるいはフラッシュバックが延びる血管外システム10において、針先端部44がニードルキャップ24の中に回収され、そしてニードルキャップ24がカテーテルアダプタ18から外されるとき、ユーザがニードルキャップ24からの血液に触れることができる。したがって、ニードルキャップ24がカテーテルアダプタ18から外されるとき、ニードルキャップ24から血液がこぼれることを避けるために、ニードルキャップ24内の、上の、および/または周りの特徴および要素が望まれる。
【0028】
図3及び3Aを参照すると、針22、カテーテル13、ニードルキャップ24およびニードルアッセンブリ20を示す血管外システム10の断面図が示されている。断面は、血管外システム10の部分内での血液および空気の流れ方向66を明らかにする。ある特定の血管外システム10では、血液が針先端部44と針22の管状空隙の中に入る。このようなカテーテルアセンブリに制御された血流(フラッシュバック)を与えるために、ノッチ70が針22の側部に形成され、カテーテル13のような血管外システム10内の別の構造物によってノッチ70にて針22が囲まれる。ノッチ70は、かなりの血液が針22の内部の管状空隙を抜け、そして、針22の外径とカテーテル13のような他のデバイスの内径との間を移動することを可能にする手段を提供する。そして、オペレーターは、カテーテル13、および/または、血管外システム10内部の如何なる半透明材料の如何なるデバイスを通った血液の流れを視覚化することができる。
【0029】
先立って説明したように、ニードルキャップ24は最終的にはカテーテルアダプタ18から取り除かれるので、ニードルキャップ24の中の、上の、および/または周りの血液がこぼれ、並びに、血管外システムのオペレーターに潜在的に悪影響を及ぼしおよび/または害する機会を提供する。したがって、ニードルキャップ24を通って移動する血液が通る空間であるニードルキャップの前孔72を備えるニードルキャップ24の部分は、カテーテルアダプタ18からの離脱後のニードルキャップ24から血液がこぼれることを防止するために修正されおよび/または規制されなければならない。ニードルキャップ24がカテーテルアダプタ18から離れた後、ニードルキャップ24と接することになる血液を、表面張力によって保持するために、毛細管74がニードルキャップ24のこの部分内部に形成されることができる。
【0030】
図3Aを参照して、血管外システム10内のカテーテルアダプタ18に固定された、ニードルキャップ24の毛細管74の拡大図が示される。毛細管74は、シール面76によって取り囲まれ、シール面76は、血液がシール面76とカテーテルアダプタ18との間から漏れないことを保障するために、カテーテルアダプタ18と接するようになる。したがって、血液は、カテーテルアダプタ18の内部から、毛細管74や、針22とニードルキャップ24内のニードルポート82の内面との間の前孔72の中へ、移動するだろう。血液がカテーテルアダプタ18を通ってニードルキャップ24の中へ移動するので、毛管現象のプロセスは毛細管74の中へ血液を引き込むだろう。
【0031】
毛細管74は、思いがけない露出が望ましくない血液または他の液体に思いがけずにさらされることを妨げることにおいて、有益な如何なる材料および/または有益な材料の如何なる構成を含むことができる。例えば、示されているように、毛細管74はニードルキャップ24の材料内に形づくられた管を備える。しかしながら、別の実施形態において、毛細管74は、毛管特性を有する繊維状材料の構成を備え、繊維状材料は、カテーテルアセンブリ18からのニードルキャップ24の分離のときに繊維状材料がニードルキャップ24および/またはカテーテルアダプタ18内に含まれない如何なる残余の液体をも吸収および/または保持するように位置付けられる。付加的な実施形態は、流体を吸収および/または保持することを可能にする他の毛管状材料の使用を意図し、それにより、液体に思いがけずにさらされることを妨げる。
【0032】
図4を参照して、ニードルキャップ24の斜視図が示される。ニードルキャップ24は前孔74を囲む6つのリボルバー形穴または毛細管74を含み、それを通して、血液はニードルキャップ24を通してそしてクリップハウジング50の中に移動するであろう。毛細管74は、言い換えると、シール面76を有する管80によって囲まれた各々である。シール面76を有する管80は、カテーテルアダプタ18との境界を形成する。シール面76は、カテーテルアダプタ18の内面とシール面76との間に空気または血液が移動しないことを保障するために、カテーテルアダプタ18の内面をシールすることができる滑らかな面であり得る。
【0033】
シール面76とカテーテルアダプタ18の内面との間の最低可能離脱力での適合を保障するために、シール面76に向かう管80の面内に様々なプリーツ78が形成され得る。プリーツ78は、カテーテルアダプタ18の内面がシール面76に圧力を及ぼすときに管80が前穴72に向かって曲がりおよび/または圧縮されることを可能にするために、管80におけるシール面76に向かい合う面内部の材料の欠如である。プリーツ78が圧縮され、そしてカテーテルアダプタ18の内面がシール面76に対してシールされた後、管80の自然力は、プリーツ78を開けるようにそれ自体を偏らせるだろう。
【0034】
図5はニードルキャップ24とその構成要素を例証する。図5で示したニードルキャップ24はここで説明した特徴の幾つかまたは全てを含む。
【0035】
図5はニードルキャップ24の断面側面図を示し、ニードルキャップ24は複数の毛細管74と前孔72とを有する管80を含むノーズまたは特徴を備える。ニードルキャップ24は円筒状シール面76を含み、シール面76はニードルキャップ24と前孔72内の針22の外径との間を流れる全ての空気や血液をカテーテルアダプタ18の内面に対してシールし、そして押し込める。ニードルキャップ24の中の小さいキャビティ、リボルバー形穴および/または毛細管74は、カテーテルアダプタ18からの針22の除去の間、ニードルキャップ24を汚し得る如何なる血液をも、毛管現象によって、保持する。血液保持を提供することによって、ニードルキャップ24は、このような装置がカテーテルアダプタあるいは同様な血管外システムから取り除かれたとき、制御されていない血液露出で苦しむ以前の装置の固有の問題を解決する。
【0036】
ニードルキャップ24は、さらに、ニードル入口ポート48が位置を定められた後方延長部52を備える。ニードル入口ポート48は、ニードルキャップ24の後方延長部52を貫通する通路を提供し、それを通じて針22は延在することができる。針22とニードル入口ポート48との間の空間を定める後孔92は、患者の中へのカテーテル13の挿入の間、および/または、カテーテルアダプタ18からのニードルキャップ24の取り外しの間、クリップハウジング50を出る空気および/または血液のための流路を提供する。
【0037】
さて概して図1から5まで参照して、ニードルキャップ24は、上で説明されたものに比べて、血管外システム10に対する付加的な利益を与える。例えば、ニードルキャップ24が毛細管74の結果として血液の流出および/または露出を制限するので、血管外システム10はニードルキャップ24までおよび越える血液のフラッシュバックを与えることができる。上で説明された実施形態において、ニードルキャップ24の管80とカテーテルアダプタ18との間にシールされた係合を与え、そして、1対の孔72、92を与えることで、空気および/または血液が、全血管外システム10を通して流れることが可能になる。空気と血液がニードルキャップ24を超えて移動することを可能にすることによって、ニードルキャップ24とカテーテルアダプタ12との間にそうでなければ存在するであろう真空は存在しない、そして、ニードルキャップ24がカテーテルアダプタ18から取り除かれるとき、カテーテルアダプタ18の内部の管状空隙に及ぼされる吸引力は制限される。吸引力の欠如は、ニードルキャップ24がカテーテルアダプタ18から取り除かれるとき、血液がカテーテルアダプタ18から吸引されることをもたらすポンプ効果として説明され得る、他のデバイスで生じる問題を回避する。他のデバイスでのこのポンプ効果または吸引効果は、ニードルキャップの除去の間の付加的な血液の流出および汚染をもたらす。
【0038】
上で説明されたようなニードルキャップ24のデザインは、以前のデバイスを越える付加的な利益をまた含む。例えば、シール面76およびプリーツ78を含む管80は、カテーテルアダプタ18の中への弱い挿入力およびそこからの弱い取外力を必要とする。管80はカテーテルアダプタ18の内面に対して最小の挿入力でシールすることができるので、カテーテルアダプタ18の内面と管80のシール面76との間のシールを通して血液および/または空気がカテーテルアダプタ18から逃れることは皆無かそれに近い。さらに、管80はシール面76に向かう面にプリーツ78を含むので、ニードルキャップ24は、カテーテルアダプタ18の隣接する内面から最小の力で取り除かれることができる。カテーテルアダプタ18から最小の力でニードルキャップ24を取り除くことは、カテーテルアダプタ18からのニードルキャップ24のより滑らかで唐突でない分離を提供するだろう、そしてさもなければ付加的な血液の流出や露出をもたらすだろう。
【0039】
さらに、ニードルキャップ24をカテーテルアダプタ18から分離することは分離力があまりにも大きい場合、2つの手を必要とするかもしれない。血管外システム10の臨床家またはオペレーターはカテーテルアダプタ18からのニードルキャップ24の除去の間、患者の脈管構造を塞ぐために彼らの他方の手を必要とすることができるので、ここで説明されたシステムによって提供されるようなより低い分離力は有利である。より低い分離力は、伝統的なニードルキャップによって予め提供されない、プリーツ78および/または可撓性のあるシール面を提供することができる如何なる他の特徴を用いて、可撓性のあるシール面を提供することによって可能とされる。
【0040】
ここで説明されたシステムによって提供されたより低い分離力は、ニードルキャップ24がカテーテルアダプタ18から取り除かれるとき、オペレーターおよび臨床家が患者の脈管構造を塞ぐことを可能にするので、カテーテルアダプタ18から、ニードルキャップ24の中へ、上へ、および/または周りへさもなければ流れるであろう、如何なる血液をも最小限にするかまたは排除する。カテーテルアダプタ18から、ニードルキャップ24の中へ、上へ、および/または周りへ逃れる如何なる血液も、毛細管74と関係したときの血液の表面張力の結果として、ニードルキャップ24の毛細管74によって吸収され、そして、毛細管74によって保持される。したがって、毛細管74は、カテーテルアダプタ18からの分離後、そして安全コンテナ内部に最終的に処理するまで、ニードルキャップ24内部に血液を恒久的に維持することができる構造を提供する。
【0041】
前孔72および後孔92は、針先端部44および/またはカテーテル13がカテーテルアセンブリ12の操作の間、患者の脈管構造内に適切に位置付けられたか、および、そのままであるかどうかに関して、オペレーターまたは臨床家に情報を与えるために、制御された速度で、好ましくはニードルキャップ24の半透明の材料を通して、血液の流れを提供するように好ましくは形成される。これは、臨床家が、カテーテルアダプタ内の血液をみることを可能にし、血流が血管の中でどれぐらい強いかについて、オペレーターまたは臨床家に情報を与える。強い血流速度は、針先端部44および/またはカテーテル13の適切な位置をまた示す。
【0042】
管あるいはプリーツのあるスカート80は、ニードルキャップ24の不可欠な部分として設計されることができ、そして、カテーテルアダプタ18への圧入によってシールを生み出す薄く柔軟なプリーツのあるシリンダから成り立つことができる。肉薄でプリーツのある構造物80は、小さな力だけが、スカートからカテーテルアダプタ18上にもたらされることを保障し、言い換えると、上で説明されたように、低い力がニードルキャップ24からカテーテルアダプタ18を分離するために必要とされることを保障する。このシールおよび低分離力は、あらゆる成形過程のバリエーションに依存しないとても頑丈なシール機能をもたらす。そして、成功したシールはカテーテルアダプタ18と取り付けられたニードルキャップ24との残りを通じて流れるように空気および血液を押し、カテーテル13の挿入および固定のために、あるいは、カテーテルアダプタ18の血管アクセスデバイスの他の操作のために、より多くの時間をオペレーターや臨床家に提供する。前孔72および後孔92の制御された容積は、すでに言及したように、カテーテルアダプタ18や取り付けられたニードルキャップ24を通じての空気/血液の流れおよび空気/血液の流速を最適化するように調整されることができる。
【0043】
例えば、血管外デバイス10を通じての血流速度は、針22とニードルポート82との間の空間が増やされ、それによって前孔72の容積を増やすように、前孔72の径を増やすことによって増加されることができる。加えて、後孔92の径は増やされることができ、それによって、血管外デバイス10内部の背圧減少をもたらすクリップハウジング50へのより大きな放出を提供し、そこでの血液/空気の流れを増やすことが可能になる。漏れと放出との間のよいバランスを確立するために、前孔72の大きさと針サイズ(外径)に対するそれの長さとの間の最適関係が作り上げられている。この関係は、血管適応(フラッシュバック)のための望ましい性能を可能にするが、それにしても、通常の挿入時間内での血液の漏れを防止する。
【0044】
かなりの代わりの実施形態は、カテーテル12とニードルキャップ45との間の圧入シールを提供するために、プリーツのあるスカートあるいは管80を取り替えることができる。例えば、中実コーンがカテーテルアダプタ18の中へドッキングされてもよい。様々な深さおよび長さおよび数のプリーツを有するスリット入りスカートは、採用されることができる。O−リングのようなニードルキャップの管80上のエラストマーリングが用いられることができる。カテーテルアダプタ18とニードルキャップ24との間のシールが、引き伸ばされた管80によって提供されることができる。さらに、隔壁が、カテーテルアダプタ18の内部体積内に提供されることができる。
【0045】
毛細管74は、各毛細管がニードルキャップ24内の前孔72を囲むリボルバータイプの位置に配置される必要がない。毛細管74あるいは他の毛細管スペースの数多くのサイズおよび/または位置は、毛管現象を通じて血液を受け入れ、表面張力を通じて血液を保持するために提供されることができる。回転方向に配置された毛細管74の実施形態は、ニードルキャップ24内に血液を均一に引き付け、分配し、そして保持することを保障するために、望ましいかもしれない。そのような均一な保持は、ニードルキャップ24の除去および取り扱いの間、ニードルキャップ24から血液がこぼれることをもたらす力がいずれの方向に及ぼされてもよいので、望ましいかもしれない。毛細管74のリボルバー形位置は、多方向位置である。毛細管の様々な要素および特徴は、最大加速度に至るまでにはね散らすことを防止するように、血液の最適保持を成し遂げるために、調整されることができる。例えば、既に説明されたように、毛細管74は、血管外システム10の使用中、液体に望まれていないのにさらされることを防止することに関して利点がある如何なる材料および/または吸い上げおよび/または吸収特性を有する材料の組み合わせを含むことができる。
【0046】
本発明は、ここで概して説明されたおよび以下で請求されるような構造、方法、あるいは他の本質的な特性から逸脱することなしに、他の特有の形態に具体化されることができる。説明された実施形態は、全ての点で、実例としてのみ考慮されるべきであり、限定的でない。それ故、本発明の範囲は、前述の説明ではなく、添付された特許請求の範囲によって表される。特許請求の範囲の趣旨および等価の範囲内に入る全ての変更がそれらの範囲内に包含されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管外システムから液体にさらされることを制御するためのデバイスであって、
該血管外システムの流路に隣接して位置付けられた吸収材料を備え、
該液体が該流路を通して流れるとき、該吸収材料は、該流路に対して外部に位置付けられた液体の任意の部分を保持することを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記吸収材料は、少なくとも1つの毛細空間を備えることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記吸収材料は、毛管現象によって前記液体を保持する能力がある繊維状材料を備えることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記吸収材料は、吸着特性および吸収特性の内の少なくとも一方を備えることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記デバイスは、血管外システムの中へ組み込まれ、
内面を有するカテーテルアダプタと、
該カテーテル内に配置された針と、
前記カテーテルアダプタの前記内面に係合する可撓性シールを含むニードルキャップと、
ニードルハブと
を備え、
前記吸収材料は前記ニードルキャップの部分を区画形成することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記ニードルキャップの前記部分は複数の毛細空間を備え、
該複数の毛細空間は、前記可撓性シールが前記カテーテルアダプタの前記内面に係合するとき、該複数の毛細空間の開いた部分が前記カテーテルアダプタの前記内面に隣接して位置付けられるように、円形パターンに配置されていることを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
そのポートは、直径を有する内面を備え、
該直径は、空気および液体が制御された流速で前記針と前記ポートの前記内面との間の孔を通して流れるように該孔を与えるべく選択されていることを特徴とする請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記針は針先端部を含み、
該針は、該針と該カテーテルとの間にノッチを定め、血液は、該血管外システムの全長に沿って、該針のノッチから該ニードルキャップを通して、流れることができることを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
少なくとも1つの毛細空間は、該ニードルキャップが該カテーテルアダプタから取り除かれるとき、該液体を受け入れ保持することを特徴とする請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記可撓性シールは管を含み、該管は該管の外面にシール面を有することを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項11】
前記可撓性シールは、該管の内面内部に形成された少なくとも1つのプリーツを含むことを特徴とする請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記可撓性シールは、プリーツ付きのスカート、延長管、スリット入りスカート、エラストマーのO−リングおよび隔壁の内の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
血管外システムから液体にさらされることを制御する方法であって、
内面を有するカテーテルアダプタを提供することと、
該カテーテルアダプタ内に針を配置することと、
ニードルキャップを提供することと、
吸収材料を備えるように該ニードルキャップの部分を変更することと、
該吸収材料を備える該ニードルキャップの該部分を囲む可撓性シールを形成することと、
該吸収材料が該カテーテルアダプタの該内面に隣接して位置付けられるように該カテーテルアダプタの該内面を該可撓性シールと係合させることと、
を備え、
該カテーテルアダプタからの該ニードルキャップの取り外しのときに、該カテーテルアダプタおよび該ニードルキャップ内に含まれない液体の任意の部分が該吸収材料によって収容されることを特徴とする方法。
【請求項14】
前記吸収材料は、少なくとも1つの毛細空間を備えることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記吸収材料は、毛管現象によって前記液体を保持する能力がある繊維状材料を備えることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記吸収材料は、吸着特性および吸収特性の内の少なくとも一方を備えることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
該ニードルキャップからの該カテーテルアダプタの分離前に、該カテーテルアダプタと該ニードルキャップとの内部に該液体が含まれるように、前記可撓性シールは該液体が該カテーテルアダプタの内面と該可撓性シールとの間の境界を通ることを防止することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記可撓性シールは管を含み、該管は、該管の外面にシール面を有することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記可撓性シールは、プリーツ付きのスカート、延長管、スリット入りスカート、エラストマーのO−リングおよび隔壁の内の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
血管外システムから液体にさらされることを制御するためのシステムであって、
該血管外システムの流路手段に隣接して位置付けられた吸収手段を備え、
該液体が該流路手段を通して流れるとき、該吸収手段は該流路手段に対して外部に位置付けられた該液体の任意の部分を保持することを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−510039(P2010−510039A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538514(P2009−538514)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/085421
【国際公開番号】WO2008/064332
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】