説明

血管内温度制御カテーテル

非直線の熱交換要素(14)を有する血管内熱交換カテーテル(10)が、開示されている。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、患者の体温を制御するのに使用できる血管内カテーテルに関するものである。
【0002】
(発明の背景)
血管内カテーテルは、患者の体温を制御するために導入されている。通常は、生理食塩水のような冷却液が、血管内熱交換カテーテルを通って循環される。該カテーテルは、患者の容体に合わせて血液を冷やしたり熱したりするために、患者の血流内に配置される。冷却液は、コンピューター制御熱交換器によって加温又は冷却される。該熱交換器は、患者の体外にあり、カテーテルと流体連通している。
【0003】
例えば、血管内熱交換カテーテルは、脳卒中、くも膜下出血、脳内出血、心不全、急性心筋梗塞のような、神経及び心臓の病気に苦しんでいる患者の、有害な熱に、有効に対抗するために使用でき、又は、そのような患者に低体温療法を導入するために使用できる。更に、そのようなカテーテルは、例えば、心臓手術後の患者を再び暖めるために、又は、別の理由で、使用できる。血管内カテーテルは、より正確な温度制御を実現でき、また、医療関係者の一部にとってより便利であるので、外から冷却及び加温を行う方法に利点を与える。
【0004】
ここに参照として組み入れられている以下に示す全ての米国特許は、種々の血管内カテーテル/システム/方法を、開示している。6,419,643、6,416,533、6,409,747、6,405,080、6,393,320、6,368,304、6,338,727、6,299,599、6,290,717、6,287,326、6,165,207、6,149,670、6,146,411、6,126,684、6,306,161、6,264,679、6,231,594、6,149,676、6,149,673、6,110,168、5,989,238、5,879,329、5,837,003、6,383,210、6,379,378、6,364,899、6,325,818、6,312,452、6,261,312、6,254,626、6,251,130、6,251,129、6,245,095、6,238,428、6,235,048、6,231,595、6,224,624、6,149,677、6,096,068、6,042,559。
【0005】
患者の体温をできるだけ速やかに所望の値に変えることが、時々望まれるので、本発明は、比較的大きな冷却能力及び/又は加温能力を有する血管内熱交換器を提供する必要性を認識している。
【0006】
熱交換カテーテルは、本体と、本体内の冷却液供給内腔と、本体内の冷却液戻り内腔と、を備えている。熱交換要素は、血液が熱交換要素を流れ過ぎることができるように、内腔に連通し且つ患者の血管内に配置できるよう構成されている。冷却液は、閉ループで本体を通って循環される。一実施形態では、熱交換要素は、少なくとも、冷却液がカテーテルを通って流れる場合の、長手方向に離れた多数のリンク、を有しており、各リンクは、その隣のリンクに面しており且つ当該隣のリンクと長手方向に重なっており、「鷲の爪」の形態とみなすことができるものを構築している。
【0007】
好ましい非限定的実施形態では、リンクは、互いに順番に長手方向に存在している。好ましい各リンクは、カテーテルの長軸に対して平行に方向付けられた真っ直ぐなホロートップを備えている。また、好ましい各リンクは、それぞれのトップと一体に作られ且つトップの両端から下向きに伸びている、2つのホローレッグを、備えている。レッグは、それぞれの連結部に連結され又はそれぞれの連結部と一体に形成されており、各連結部は、一方のリンクのレッグを他方のリンクのレッグに連結している。好ましくは、各リンクの少なくとも一部は、隣のリンクのそれぞれの部分に重なっており、そこから横方向に離れており、その結果、長手方向のスペースが1つおきのリンクの間に構築されている。
【0008】
他の態様では、熱交換カテーテルは、冷却液を運搬するための手段を備えることができる。熱伝達手段が、冷却液を運搬するための手段に連結されている。熱伝達手段は、熱を人の血液と交換するための非直線で非らせんのリンク手段を備えている。
【0009】
本発明の、構成及び作用の両方に関する詳細は、添付の図面を参照して最も良く理解できる。図において、同様の符号は、同様の部分を示している。
【0010】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
初めに、図1に示すように、血管内熱交換カテーテルは、概ね符号10で示されており、管状本体12と、熱交換要素を構築する末端部14と、を備えている。限定するものではないが生理食塩水のような冷却液が、閉ループでカテーテル10を通って、及び、熱交換器16から冷却液供給管及び冷却液戻り管18、20を通って、循環して、患者を暖めたり冷やしたりするために、要望通りに冷却液を加熱したり冷却したりする。カテーテル10は、Heperin(登録商標)のような抗血液凝固物質で被覆できる生体適合性材料でできている。本発明の熱交換要素の原理は、例えば、金属組織にも同様に当てはまるが、好ましくは、カテーテル本体12は、可撓性プラスチックでできており、膨張可能及び収縮可能な医療バルーン材料でできた熱交換要素14を備えている。
【0011】
どんな場合でも、カテーテル10は、血液の流れを阻害することなく及び冷却液を血流へ入らせることなく、患者の血流内に適合する大きさを有している。カテーテル10が血流内に配置され且つ冷却液が血液の熱交換を行うためにカテーテルを通って循環されると、血液は、以下に示される熱交換要素の実質的に全ての露出面の周りを流れることができる。好ましい実施形態では、カテーテル10は、静脈系内、好ましくは、頸静脈又は鎖骨下静脈又は大腿静脈を通る、上大静脈又は下大静脈内に、配置されるよう構成されている。それほど好ましくはないが、カテーテル10は、動脈系内に配置してもよい。
【0012】
カテーテル10の、好ましい非限的用途は、心不全、急性心筋梗塞、脳卒中、脳損傷を患っている患者、又は、動脈瘤手術を受けている患者に、緩やかな又は適度な低体温療法を導入すること、を含んでいる。また、カテーテル10は、そのような患者だけでなく、例えば心臓バイパス手術のような手術後の患者を再び暖めることにも、使用できる。
【0013】
図2及び図3に示すように、好ましいカテーテル本体12は、冷却液供給内腔22と、冷却液戻り内腔24と、1つ以上の(明確にするために2つだけが示されている)注入又は薬剤送達内腔26、28と、を備えている。内腔26、28は、患者の血流内に薬物を注入したり患者から血液を引き出したりサンプリングしたりするための放出ポート30、32で、それぞれ終わっている。ポート30、32は、共に閉じた位置に示されているが、それらは互いに長手方向に離れていてもよく、又は、カテーテル本体の管の側に位置していてもよい。
【0014】
図2及び図3に示されるように、好ましい熱交換要素14は、カテーテル本体12の供給内腔22に連結した冷却液供給管34と、カテーテル本体12の戻り内腔24に連結した冷却液戻り管36と、を備えている。供給管34は、長手方向に離れた多数のリンク38へ冷却液を運ぶ。多数のリンク38は、熱交換要素14の末端40で終わっている。また、供給管34は、冷却液戻り管36を備えている。冷却液戻り管36は、末端40から冷却液戻り内腔24へ、比較的真っ直ぐな形態で伸びている。しかしながら、リンク38を冷却液戻り管に形成してもよいこと、又は、そのカテーテル内腔から熱交換要素の末端へ真っ直ぐに伸びた供給管を備えた冷却液戻り管のみに、リンクを形成してもよいこと、は当然である。
【0015】
冷却液がカテーテルを通って流れる時、すなわち、リンクが膨張する時、リンク38は、図2及び図3に示される形状を呈する。
【0016】
図2に示される実施形態では、リンクは、長手方向に順々に存在しており、長手方向に方向付けられている。すなわち、各リンク38の真っ直ぐなホロートップ42は、カテーテル10の長軸44に対して平行に方向付けられている。また、各リンク38は、2つのホローレッグ46、48を備えている。2つのホローレッグ46、48は、トップ42と一体に作られ且つトップ42の両端から下向きに伸びている。レッグ46、48の両端は、連結部50、52に連結され又は連結部50、52と一体に作られている。各連結部50、52は、一方のリンク38のレッグを他方のリンクのレッグに図に示すように連結して、熱交換要素14を構築している。「トップ」、「上方」、「下方」のような相対配向の言葉が、開示の都合上で使用されているが、加熱したり冷却したりする間のカテーテルの配置に関する方向付けを必ずしも示すものではないことは、当然である。しかしながら、「末端」及び「基端」は、カテーテルが患者に使用可能に配置される場合のカテーテルに関するものである。
【0017】
図2及び図3に関連して、当然ながら、冷却液は、リンク38を通って、概ね基端から末端の方向へ流れる。また、各リンク38は、向かい合っており、その隣のリンクと長手方向に重なっている。すなわち、各リンク38のトップ42は、隣のリンクのトップと幾らか重なっており、そこから横方向に離れている。したがって、1つおきのリンクの間には長手方向のスペースがある。トップ42を隣のリンクのトップ42まで伸びているレッグ/連結部組合体に連結するレッグ/連結部組合体は、冷却液を僅かに末端から基端の方向へ運ぶよう、方向付けして構成できる。この構成によれば、リンクは鷲の爪の形態を構築するよう構成される。
【0018】
ここに詳細に示され且つ述べられている特殊な血管内温度制御カテーテルは、本発明の上述した目的を完全に達成できるものであるが、当然ながら、それは、現在のところ、本発明の好ましい実施形態であり、すなわち、本発明によって広く意図される主題の代表例である。また、当然ながら、本発明の範囲は、当業者にとって明らかであると思われる他の実施形態も包含するものであり、したがって、本発明の範囲は、添付の請求の範囲以外のものによって限定されるものではない。添付の請求の範囲において、要素を単数で表現していることは、明白に述べていない限りは、「1つ及び1つだけ」を意味するものではなく、むしろ「1つ以上」を意味するものである。当業者にとって公知の又は公知となった上述の好ましい実施形態の要素と、構成及び作用が均等である全ての要素は、言及することによってここに明確に組み込まれ、本発明の請求の範囲によって包含されるものである。更に、装置又は方法が本発明によって解決されようとする全ての問題に対処することは、必要ではなく、また、装置又は方法が本発明の請求の範囲によって包含されることも、必要ではない。しかも、この開示における、非要素、部品、又は、方法の工程は、要素、部品、又は、方法の工程が明らかに請求の範囲に列挙されているかどうかに関わらず、公衆に示されるためのものである。ここで請求の範囲に無い要素は、その要素が「手段」という語句を用いて明確に述べられていない限りは、又は、その要素が方法クレームの場合において「行為」の代わりに「工程」として述べられていない限りは、米国特許法112条第6段落の規定に従って解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】熱交換器システムに使用可能に係合している本発明のカテーテルの概略図である。
【図2】熱交換要素の斜視図であり、カテーテル本体と、切り欠き部を有する熱交換要素と、が示されている。
【図3】熱交換要素の側面図であり、明確にするために切り欠き部が示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換カテーテル(10)であって、
本体(12)と、
本体(12)内の、少なくとも1つの冷却液供給内腔(22)及び少なくとも1つの冷却液戻り内腔(24)と、
少なくとも1つの熱交換要素(14)と、を備えており、
熱交換要素(14)は、血液が熱交換要素(14)を流れ過ぎることができるように、内腔(22、24)に連通し且つ患者の血管内に配置できるよう構成されており、
冷却液は、閉ループで本体(12)を通って循環され、熱交換要素(14)は、少なくとも、冷却液がカテーテル(10)を通って流れる場合の、長手方向に離れた多数のリンク(38)、を有しており、各リンク(38)は、その隣のリンク(38)に面しており且つ当該隣のリンク(38)と長手方向に重なっていることを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
リンク(38)が、互いに順々に長手方向に存在している、請求項1記載のカテーテル。
【請求項3】
各リンク(38)が、カテーテル(10)の長軸に対して平行に方向付けられた真っ直ぐなホロートップ(42)を備えている、請求項1記載のカテーテル。
【請求項4】
各リンク(38)が、それぞれのトップ(42)と一体に作られ且つトップ(42)の両端から下向きに伸びている、2つのホローレッグ(46)を、備えている、請求項3記載のカテーテル。
【請求項5】
レッグ(46)が、それぞれの連結部(50)に連結され又はそれぞれの連結部(50)と一体に形成されており、各連結部(50)が、一方のリンク(38)のレッグ(46)を他方のリンク(38)のレッグ(46)に連結している、請求項4記載のカテーテル。
【請求項6】
各リンク(38)の少なくとも一部が、隣のリンク(38)のそれぞれの部分に重なっており、そこから横方向に離れており、長手方向のスペースが1つおきのリンク(38)の間に構築されている、請求項1記載のカテーテル。
【請求項7】
リンク(38)のトップ(42)を隣のリンク(38)のトップ(42)へ伸びているレッグ/連結部組合体に連結するレッグ/連結部組合体が、冷却液が少なくとも1つのレッグ/連結部組合体を通って末端から基端の方向へ流れるように、方向付けられて構成されている、請求項5記載のカテーテル。
【請求項8】
本体(12)が、少なくとも1つの薬物送達内腔(26又は28)を備えて形成されている、請求項1記載のカテーテル。
【請求項9】
本体(12)が、2つの薬物送達内腔(26、28)を有している、請求項8記載のカテーテル。
【請求項10】
熱交換カテーテル(10)であって、
本体(12)と、
本体(12)内の、少なくとも1つの冷却液供給内腔(22)及び少なくとも1つの冷却液戻り内腔(24)と、
少なくとも1つの熱交換要素(14)と、を備えており、
熱交換要素(14)は、血液が熱交換要素(14)を流れ過ぎることができるように、内腔に連通し且つ患者の血管内に配置できるよう構成されており、
冷却液は、閉ループで本体(12)を通って循環され、熱交換要素(14)は、少なくとも、冷却液がカテーテル(10)を通って流れる場合の、長手方向に離れた多数のリンク(38)、を有しており、各リンク(38)は、鷲の爪の形態を構築するよう構成されていることを特徴とするカテーテル。
【請求項11】
熱交換カテーテル(10)であって、
冷却液を運搬するための手段(12)と、
冷却液を運搬するための手段に連結した熱伝達手段(14)と、を備えており、
熱伝達手段が、熱を人の血液と交換するための非直線で非らせんのリンク手段を備えていることを特徴とするカテーテル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−501689(P2007−501689A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536521(P2006−536521)
【出願日】平成16年1月12日(2004.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/000546
【国際公開番号】WO2004/069304
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(501251714)オルシウス・コーポレイション (4)
【氏名又は名称原語表記】ALSIUS CORPORATION
【Fターム(参考)】