説明

衛星ナビゲーション受信機の性能を高めるシステム及び方法

【課題】衛星ナビゲーション受信機の性能を高める。
【解決手段】GPS受信機102は、高精密(例えば、原子)クロック発生源106及び処理装置108を備える。処理装置は、複数の宇宙基地の衛星送信機からの複数の測定信号を受信処理し、クロック発生源を制御して精密周波数を生成させる。処理装置は、例えば5以上の測定信号が受信された場合、従来のRAIMを実施して周波数誤差をモデル化し、受信した測定信号が4以下の場合、3つの位置エラーを計算し、複数の現在のクロック位相オフセット値を推定し、3つの位置エラーに対するポスト更新測定誤差を画定し、該ポスト更新測定誤差を正規化し、モデル化された複数の周波数誤差の値の増大をモデル化し、3つの位置誤差値及びモデル化されたクロックエラーを使用して保全性をチェックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体としてナビゲーションシステムに関し、それに限られるものではないが、より詳細には、衛星ナビゲーション受信機、より正確には、受信機自動保全性監視(Receiver Autonomous Integrity Monitoring:RAIM)で増強されたGPS受信機の性能を高めるシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
精度の高いナビゲーションに適用するために航空機においてはグローバルポジショニングシステム(GPS)の利用が高まっており、これに伴い、保全性が非常に高度な正確なナビゲーション情報を提供できる装置が求められている。生命の安全に関する分野(例えば、精密アプローチ、着陸等)に適用されるナビゲーション情報が潜在的に不正確である場合には、ポジショニング誤差を発生させる前に識別しなければならない。斯かる場合、現在の航空安全基準ではRAIMを使用してGPSナビゲーションソリューションの保全性をチェックして、航空機が精密アプローチ及び/又はその他の安全に密接なナビゲーションに適用した機能を実行中に、航空システムの全体的安全性を保証しなければならない。この点に関しては、GPS受信機内のデジタル処理装置がソフトウェアに組み込まれたRAIMアルゴリズムを実行して、衛星の障害を検出するとともに、得られたGPSナビゲーションソリューションの保全性及び精度を高めることができる。特に、既存のRAIMアルゴリズムでは、保全性をチェックするのに多数のGPS衛星測定を使用すると共に、現在のRAIMの使用可能基準では、5機以上の衛星からの測定と、当該衛星の適切なジオメトリを使用することになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
RAIMを備えたGPSナビゲーションには上記のような利点があるものの、重大な問題も発生しており、RAIMを備えたGPSを使用して航空機が精密アプローチを試みると、衛星の利用可能性すなわち不適切なジオメトリが低減することによって測定信号が失われることでRAIMの作動が中断して、斯かる精密アプローチがしばしば中断させられることとなる。加えて、RAIMの性能は、GPS受信機の内部クロック誤差に付随する一定の計算に大幅に依存するものである。しかしながら、既存のGPS受信機の内部クロックは、かなり不正確である。例えば、GPS受信機の内部クロック誤差は、衛星の送信リンクマージンから生じ、また、衛星の送信リンクマージンは、それぞれの送信経路及びジオメトリから生じる。とにかく、既存の一群のGPS衛星が送信経路及びジオメトリ欠陥を有していることは良く知られていることであり、斯かる欠陥により、RAIMのカバー範囲内で前記のような中断がしばしば引き起こされることになる。従って、RAIMで増強された衛星ナビゲーション受信機の性能を高めることのできるシステム及び方法の必要性は差し迫ったものである。下記に詳細を記載するように、本発明は、このようなシステム及び方法を提供して、該システム及び方法により、上述したRAIMを使用した衛星ナビゲーション受信機に関する測定利用可能性の問題及びその他の関連問題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、衛星ナビゲーション受信機に精密周波数基準を組み込み、システムが衛星からの受信を継続維持しなければならない状態を低減することで、衛星ナビゲーション受信機、特に、それに限定されるものではないが、RAIMを備えたGPS受信機の性能を高めるシステム及び方法を提供するものである。本発明の好適な実施例によれば、衛星ナビゲーション受信機の性能を高めるシステムであって、GPS受信機と、該GPS受信機に組みこまれた高精密(例えば、原子)クロックとを備えたシステムが提供される。斯かる高精密クロックを使用することにより、クロック誤差及び既存のRAIM利用可能性の要件を満たすのに必要な衛星測定数を低減する。本実施例では、精密クロックをGPS受信機に組み込むことで、従来のシステムにおいて必要であった衛星測定数より少なくとも1つ少ない衛星測定数で、既存のRAIM利用可能性の要件を満たす性能を高めたシステムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
図面を参照すると、図1は衛星ナビゲーション受信機の性能を高める一例のシステム100のブロック図を示しており、該システムは、本発明の好適な実施例を実施するのに使用可能なものである。本実施例では、システム100は、GPS受信機102、GPS受信アンテナ104、及びGPS受信機102に接続された精密周波数発生器106を備えている。GPS受信機102に付随する処理装置108(例えば、マイクロプロセッサ)は、幾つかのアプリケーションの中でRAIMアルゴリズム110を実行する。本実施例では、精密周波数発生器106は、GPS受信機102に内蔵されたチップ−スケール原子クロック(CSAC)から構成される。従って、処理装置108は、従来の(かなり不正確な)内部周波数源/クロックを使用する従来のRAIMアルゴリズムを実行する代わりに、GPS受信機102内の精密内部クロック(106)を使用して精密クロックでアシストしたRAIMアルゴリズム(110)を実行して、RAIM利用可能性を拡大することができる。注目すべきは、本実施例では、システム100は、GPS受信機102を使用して構成されるが、本発明はこれに限定されるものではないことである。例えば、別の実施例では、異なる衛星ナビゲーション装置、例えば、GLONASS等(例えば、RAIM等のある形式の保全性監視アルゴリズムで強化した)に対応したナビゲーション受信機を使用して構成することもできる。
【0006】
システムの動作時には、アンテナ104が複数のGPS衛星(不図示)から信号を受信し、該信号が受信機102によって検出且つ処理されて適宜の測定信号(例えば、擬似範囲測定)を形成する。この時点で、下記の標準GPS位置更新式を考慮すると有益である。
(Δρ)*=(ρ)*−(ρ)*~=H(Δx)*+η (1)
但し、(ρ)*は(GPS受信機102から)衛星までの範囲測定のベクトル、(ρ)*=||(SV)*−(xk+1)*||は現在の推定位置(x)*及び衛星の位置(SV)*に基づいた該衛星までの推定範囲測定であり、(ρ)*~は推定範囲測定(ρ)*のベクトル、Hは現在の推定位置(x)*から衛星までの視線ベクトルからなり且つ最も右側の要素における「1」で強化されたマトリックスであり、(Δx)*は現在の推定位置(x)*に対する調整であり、範囲測定に対応するものであり、且つ、ηは観測測定ノイズである。
【0007】
次に、最小自乗解は以下のように計算できる。
(Δx)*=(HH)−1(H)(Δρ)*=K(Δρ)* (2)
GPS受信機102の現在位置は以下のように計算できる。
(xk+1)*
=(x)*+(Δx)* (3)
本実施例では、式(3)の要素(Δx)*は、状態ベクトル(x)*の推定におけるエラーを表し、該ベクトルは3つの位置エラー要素及び1つのGPS受信機102のクロックエラー要素を含む。
【0008】
次に、ポスト更新測定残余(PUMR)を画定する。5つ以上の衛星測定を利用できる場合(例えば、4次元問題を過剰規定する場合)、PUMRは利用可能な測定(例えば4つ)の最小自乗エラー解の残余エラーを表す。この解の最小自乗特性は、測定のいずれにも整合しないことを示すが、斯かる解は各測定のエラーを最小限のものにする。例えば、各衛星測定のエラーを最小限にすることは、図2を参照して視覚化(例えば、2次元で)することができる。なお、図2は、3つの衛星測定を使用して2次元解を導出する様子を示している。
【0009】
図2のグラフで示すように、「完全」解202はゼロに等しいPUMRを有する。「現実」解204は最小自乗エラー解(206)が測定の各々に対する解からの距離の自乗の合計を最小にする。従って、1つのSVのPUMRは(例えば、処理装置108により)下記のように計算することができる。
Δρ=ρ−(ρ)~ (4)
但し、(ρ)~はポスト更新位置/クロックエラー解が与えられている衛星iまでの推定擬似範囲測定である。次に、新たな位置測定を現在の測定(xk+1)*に基づいて(例えば、処理装置108により)更新することができる。従って、ポスト更新位置/クロック解に基づいた推定擬似範囲は、次のようになる。
(ρ)~=||(SV)*−(xk+1)*|| (5)
また、計算したPUMR(例えば、ポスト更新位置/クロック解に対応したポスト更新擬似範囲測定の残余)は次のように表すことができる。
(Δρ)*=[Δρ,Δρ,・・・,Δρ] (6)
(ただし、n行1列の行列)
【0010】
次に、カイ自乗変数(chi-squared variable)を(例えば、処理装置108により)形成することができる。本実施例では、カイ自乗変数は、N個の独立した(例えば、直交)単位−分散ランダム変数の合計として画定される。従って、関与する個々の残余を正規化することによって、1組のPUMRを操作合計してカイ自乗変数を形成することができる。独立した変数の数は、この解に関与する次数より大きな残余の数と等しくなる。例えば、5つの測定により1つの独立した残余を提供する(自由度が1)が、これは(一般に)最小自乗解では4つの要素(3つの位置要素及び1つのクロックエラー要素)が可解されるからである。このことは注目することは重要なことである。即ち、本発明のクロックアシストされたRAIMの原理によれば、3つの(位置)量のみが直接に解かれると共に、前に校正されたクロック情報(RAIMが利用可能な時に行なわれた校正)も使用される。従って、本発明では、(4つではなく)3つの未知数を解く方法が提供され、この方法では、4つの衛星のみが利用可能時には、(障害検出能力を実現する)1つの冗長度が提供される。また、正規化は、変数を単位−分散変数とするために必要なものである。従って、自由度がNの場合、カイ自乗変数は既知の確率分布関数を有する。この情報を使用して、それを超えるとカイ自乗変数がその要素の1つが障害であることを示す閾値を計算する。この閾値を選択して所定の障害警報率を提供する。カイ自乗変数は、通常の統計条件下においてのみ、当該時間のあるパーセント分の時間において閾値より大きくなる。斯かる時間のパーセント分の時間において、測定の中の1つにおける障害が誤って(例えば、処理装置108によって)表示され、また、実際に欠陥が発生していないのに閾値を超える。
【0011】
先に述べたように、真のカイ自乗変数を計算するのにPUMRを使用するためには、先述した1組のPUMRの分散を正規化するのが好ましい。5つ以上の測定値(標準RAIMア利用可能要件)を使用して、4次元GPS解(例えば、3つの位置エラーと1つのクロックエラー)を計算する場合、処理装置108は、各残余をその推定測定ノイズで割ることにより、正規化を達成できる。推定測定ノイズを、各衛星について同じとすることができ、又は、該ステイ測定ノイズを、観測した信号対ノイズ及び/又は仰角情報に基づいて(例えば、処理装置108によって)計算することができる。従って、カイ自乗変数を形成するのに必要な正規化式は次のように表すことができる。
=((Δρ)*)Rρ−1((Δρ)*) (7)
但し、Rρは擬似範囲測定の推定分散を表す。Rρは一般的な形式をとることができる一方で、5つ以上の想定を使用して4つの未知数(例えば、3つの位置未知数及び1つのクロック未知数)を決定する場合については、Rρを以下ように対角線形式で表すことができる。
【数1】

式(8)において、σは、衛星iからの擬似範囲測定に対する測定分散(1シグマ)である。従って、xに関する上記の式(7)は以下のように書き換えることができる。
=(Δρ/σ+Δρ/σ+・・・+Δρ/σ) (9)
全ての要素σが同じであるとすれば、式(9)は下記のように書き換えることができる。
=(Δρ+Δρ+・・・+Δρ)/σ (10)
【0012】
図3は、RAIMの一般化したカイ自乗変数の確率密度関数300を示しており、本発明の原理を説明するものである。図3において、領域302はT未満の値を有する正規化されたカイ自乗変数xの確率を表し、領域304はTを超える値を有するxの確率を表す。換言すれば、領域304は障害検出Ptdの確率を表す。従って、Tの値をPtdに対する一組の要件に基づいて選択することができる。例えば、システム要件で1時間当たりの障害警告がFの閾値レベルでなければならない場合、サンプル当たりの許容障害警告の数は下記の通りである。
F=(F/3600)/f (11)
但し、fはHzでの測定のサンプリング率である。従って、誤り検出の確率Tは、Fに対して選定した値に基づいたカイ自乗確率表から(例えば、ルックアップ検索で)決定することができる。各Δρの値が0とすると、1度に1つの値を除けば、式(10)は以下のように表すことができる。
=(0+0+・・・+Δρ/σ+0+・・・+0)=T (12)
次いで、Δ(ρ)*の対応する値を下記のように計算することができる(1対1)。
Δ(ρ)~=T・σ (13)
特定の衛星ジオメトリ条件Kに対しては、通常に発生する残余から得られる最大位置エラーは以下のように表すことができる。
(Δx)*=K(Δ(ρ)~)* (14)
但し、
(Δ(ρ)~)*=[0,0,・・・,Δ(ρ)~,・・・,0] (15)
(ただし、n行1列の行列)
従って、任意の所定の衛星ジオメトリ条件Kに対して、保護限界を決定することができ、該保護限界は使用されている複数の衛星の1つにおいて未検出の障害により導入される最大位置エラー(Δx)*と等しい。本実施例では、この保護限界は「RAIM保護限界」と称する。
【0013】
先に説明したように、GPSナビゲーション解の保全性をチェックするのに使用する従来のRAIM方法は、現在では5つ以上の衛星測定が可能である状況において使用される。しかしながら、本発明によれば、GPS受信機(例えば、受信機102)が周波数発振器/クロック発生器(例えば、原子クロック106)を含み、該周波数発振器/クロック発生器が十分に安定していてそのドリフトエラーを正確にモデル化できるなら、GPSナビゲーションのRAIMカバレージを4つの衛星しか利用できない状況まで拡張することができる。本実施例では、非常に精密な周波数源/クロック源(例えば、原子クロック106)をGPS受信機102に組み込んで、従来の(かなり不正確な)周波数源/内部クロック源の代わりに使用される。この点について、高精密な周波数内部クロックを使用して(例えば、RAIMで強化した)衛星ナビゲーション受信機の性能を高める方法を、図4に示す。
【0014】
図4は、衛星ナビゲーション受信機のRAIM利用可能性を拡張する方法400の一例を示しており、該方法は本発明の好適な実施例を実施するのに使用することができる。図1及び図4を参照すると、本実施例では、処理装置108が5つ以上の(例えば、GPS)衛星からの測定が利用できるか否かを決定する(ステップ402)。5つ以上の衛星測定が可能であれば、処理装置108はクロック位相オフセット及び周波数オフセットエラーパラメータをモデル化し(ステップ404)、斯かるパラメータがそれぞれc~及びc’~とする。しかしながら、(ステップ402において)4つの衛星測定しか利用できない場合、処理装置108は、標準の4つの未知数に代わりに3つの未知数のみ(例えば、位置エラー)を計算する(ステップ406)。この場合、この方法400では、3つの未知数(例えば、3つの位置エラー)が計算されていると共に4つの衛星測定が使用されていることから、依然としてRAIMと同様な保全性が提供される。しかしながら、この場合には、処理装置108が各測定時点における第4番目の未知数(クロックエラー)を計算する代わりに、処理装置108は、上記のクロックエラーモデルを使用して現在のクロック位相オフセット値を推定する(ステップ408)。この点に関し、3次元位置決めの場合には、以下の式を使用することができる。
(Δρ)*=(ρ)*−(ρ)*~=H(Δx)*+η (15)
但し、ρmは、GPS受信機102から当該衛星までの範囲測定のベクトルであり、
(ρ)*~=||(SV)*−(x)*||+c~+c’~・Δt (16)
で表される(ρ)*~は、衛星までの推定範囲測定であり、この推定範囲測定は、現在の推定位置((x)*)及びモデル化したクロックエラーパラメータc~及びc’~を使用する推定クロックエラーについて調整した衛星位置((SV)*)に基づくものである。
【0015】
次に、5未満(例えば、4)の測定及びモデル化したクロックエラーを使用してRAIM計算を行なうため、方法400において、現状についてPUMR(例えば、最小自乗解)を正規化する(ステップ410)。この場合、正規化マトリックスを下記のように表すことができる。
=((Δρ)*)(Rρ−1(Δρ)*) (17)
この式(17)は上記の式(12)に類似したものであるが、式(17)中の要素Rρは下記の形式を取ることがことなる。
【数2】

式(18)では、σがここでも衛星iからの擬似範囲測定に対する測定分散(1−シグマ)を表す。しかしながら、モデル化したクロックは、各要素(ρ)*~の値を不確実にするものであるから、クロック不確実性要素σが式(18)に示されている。尚、本実施例では、この場合、PUMRの正規化マトリックスが単純な対角線マトリックスではないことから、処理装置108は、式(18)に関して全マトリックス反転計算を実行する。また、本実施例では、σの値は当該のクロックエラー間隔中に増大するが、この要素はモデル化のためのものであって監視用のものではない。
【0016】
要約すると、5つ以上の測定が可能な時間間隔である場合には、その時間間隔において処理装置108がクロックエラー値を監視すると共に、クロック位相エラー及びクロック位相速度エラーの推定(モデル)を生成する(例えば、本情報が所望の場合には、処理装置108は、クロック位相加速エラーの推定を生成することもできる)。処理装置108は、これらのモデル化したパラメータを使用して推定範囲測定を計算し、斯かる推定範囲測定は、衛星測定利用可能性が低減した場合(例えば、5ではなく4つの衛星測定しか処理に利用できない場合)及びRAIM類似の(例えば、保全性チェック用)保護を使用すべきであるような場合に使用される。注目すべきは、この場合、知られているように、モデル化したクロックエラー値が時間の経過と共に増大することである。しかしながら、本発明によれば、クロックエラーのこの増大を、使用中の高精密周波数源(発振器)を使用して適宜にモデル化できる。従って、本実施例では、使用する高精密周波数源は原子クロックであり、該原子クロックの典型的な規定精度は10e−11である。従って、本実施例では(ステップ412で)、クロックの不確実性を以下の式で(例えば、処理装置108により)モデル化することができる。
σ=S・Δt (19)
この式において、パラメータSは特定のクロック安定性を表し、且つ、パラメータΔtは最期の実際のクロック値が監視されてからの経過時間を表す。計算された位置エラーデータ及びモデル化したクロックエラーデータは、処理装置108により使用されて、取得したナビゲーション解の、RAIMに類似した保全性チェックがなされる(ステップ414)。
【0017】
注目すべき重要な点は、本発明は衛星ナビゲーション受信機の性能を高めるためのフル機能システムであるとして説明してきたが、当業者であれば、本発明のプロセスを、コンピュータで読み取り可能な媒体の形式及び様々な形式で分散可能であり、また、本発明を、該分散を実施する上で実際に使用される特定のタイプの信号付帯媒体であるか否かに拘わらず、等しく適用できることは自明のことである。コンピュータで読み取り可能な媒体の例としてはフロッピーディスク、ハードディスクドライブ、RAM、CD−ROM、DVD−ROM等の記録可能なタイプの媒体及びデジタル及びアナログ通信リンク、有線又は無線通信リンク等の通信タイプの媒体が含まれ、該有線又は無線通信リンクは、例えば無線周波数及び光波送信等の通信形式を利用する。コンピュータで読み取り可能な媒体は、復号化されて衛星ナビゲーション受信機の性能を高める特定のシステムにおいて実際に使用される符号化された書式の形式をとっても良い。
【0018】
本発明を上記の如く説明してきたが、本発明の例示及び説明を目的に行なったものであって、本発明を上記に説明した形式に限定するためのものではない。本発明に対して多くの修正及び変更をなすことができることが当業者には自明のことである。上記の実施例は本発明の原理、実際の適用例及びその他の当業者に考えられる特定の使用目的に応じて本発明を様々な修正を施した様々な実施形態で実施することが可能であることを最もよく説明するために選択記載されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の好適な実施例を実施するために使用することができる、GPS受信機の性能を高めるためのシステムの一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の教示に従って、2次元解を導出するための3つの衛星測定を使用する例を示す図である。
【図3】本発明の好適な実施例のよる、一般化したカイ自乗変数の確率関数を示すグラフである。
【図4】本発明の好適な実施例を実施するために使用することができる、衛星ナビゲーション受信機の性能を高めるための方法例のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星ナビゲーション受信機の性能を高める方法において、該方法は、
複数の宇宙基地の衛星送信機からの複数の測定信号を受信処理するステップと、
精密周波数を生成するステップと、
所定数の測定信号が受信処理される場合、前記精密周波数に付随する第1の複数の周波数誤差をモデル化するステップと、
前記所定数未満の測定信号が受信処理される場合、前記精密周波数に付随する第2の複数の周波数誤差を推定するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、該方法はさらに、
複数の位置誤差値を算出するステップと、
複数の現在のクロック位相オフセット値を推定するステップと、
前記算出された複数の位置誤差値に付随するポスト更新測定誤差を画定するステップと、
該ポスト更新測定誤差を正規化するステップと、
前記モデル化された複数の周波数誤差の値の増大をモデル化するステップと
前記所定数未満の測定信号を受信処理する場合に、前記複数の位置誤差値、及び前記モデル化された第1の複数の周波数誤差の値におけるモデル化された増大分を出力するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記受信処理ステップが、衛星ナビゲーション受信機により実行されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記受信処理ステップが、GPS受信機により実行されることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−14938(P2008−14938A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−149295(P2007−149295)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】