説明

衝撃吸収パッドの製造方法、および衝撃吸収パッド

【課題】下型内に配置した補強部材の裏面側への発泡樹脂原料の流入を防止して、外観不良等の品質低下を取り除くことのできる、衝撃吸収パッド及びその製造方法を提供する。
【解決手段】成形金型1の下型2内に、プレート状の本体部分11を有する補強部材10を配置させて補強部材10の前記本体部分11の表面11a上に発泡樹脂原料を注入し、上型3と下型2との型締めで前記発泡樹脂原料を発泡させて、補強部材10に樹脂発泡体20を一体にする衝撃吸収パッドの製造において、補強部材10の本体裏面11bに、発泡樹脂材料からなるシール部材13を少なくとも該裏面11bの周縁に設け、前記本体裏面11bに設けたシール部材13が下型2の底面2aに接触させたままで補強部材10を下型2内に配置した後、本体部分11と下型底面2aとの間での、シール部材13の圧縮変形下で、前記本体部分11の表面11a側に発泡樹脂原料を注入して発泡成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、成形金型の下型内に、プレート状の本体部分を有する補強部材を配置するとともに、前記本体部分の表面側に注入した液体状の発泡樹脂原料を、上型と下型との型締め姿勢で発泡させて、補強部材の本体部分の表面側に、樹脂発泡体を一体形成してなる、車両のドアパネル等に用いて好適な衝撃吸収パッドを製造する方法および、衝撃吸収パッドに関するものであり、とくに、発泡樹脂原料の発泡成形に際し、下型内に配置した補強部材の本体部分の裏面側への、発泡樹脂原料の流れ込みを防止して、製造する衝撃吸収パッドの品質の低下を防止する技術を提案するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のドアパネルの内側に配設されて、車両の側面衝突時等の、乗員への衝撃を緩和するべく機能する衝撃吸収パッドは、プレート状の本体部分を有する、ポリプロピレン等の合成樹脂製の補強部材に、硬質ポリウレタンフォーム等の樹脂発泡体を一体的に設けて構成することができる。
【0003】
このような衝撃吸収パッドを製造するに当っては、たとえば、図6に示すような、平面視で長方形状をなす本体部分121の短辺側の周縁に、該本体部分121の表面121aから立ち上がるとともに外側に折れ曲がって延びる取付け部分122を設けてなる補強部材120を用いる場合がある。
補強部材120の前記取付け部分122は、製造した衝撃吸収パッドを、車両のドアトリム等に取り付けるためのものであるが、本体部分121の表面121a側で発泡樹脂原料を発泡してなる樹脂発泡体を挟み込んで、該樹脂発泡体を補強部材120に一体的に固定するべくも機能する。
【0004】
そして、かかる補強部材120を用いて衝撃吸収パッドを製造するには、図7(a)に示すように、上型101と下型102とからなる成形金型100の下型102内に、たとえば、その下型102の成形面に倣った形状の離型フィルム110を介して、前記補強部材120を配置するとともに、補強部材120の本体部分121の表面121a上に、液体状の発泡樹脂原料を注入し、しかる後、図7(b)に示すように、上型101と下型102との型締め姿勢で、発泡樹脂原料を発泡させて、補強部材120の本体部分121の表面121a側に、樹脂発泡体130を一体形成することにより行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、下型102内に配置する補強部材120が、単なる平板形状ではなく、たとえば、図6に示すような、本体部分121の裏面121bの一部を曲面としたり、本体部分121に取付け部分122を設けたこと等によって複雑な形状を有する場合は、補強部材120の寸法誤差を許容して、補強部材120を金型100内に確実に配置するため、また、製造した衝撃吸収パッドで、発泡成形の終了後に時間の経過に伴って収縮する樹脂発泡体130を、補強部材120の寸法に整合させるため、金型内部のキャビティの、とくに上下方向の寸法を、補強部材120の同方向の寸法よりも若干大きくする必要があることから、下型102内に配置した補強部材120の本体部分121と、下型底面との間には僅かな隙間が形成されることになる。
【0006】
そのため、先に述べたような、衝撃吸収パッドの製造方法では、成形金型100の下型102内に補強部材120を配置して、本体部分121の表面121a側に、発泡樹脂原料を注入した際に、液体状の発泡樹脂原料が、本体部分121の側縁から回り込んで、本体部分121の裏面121b側に進入することがあり、この状態で発泡成形すると、製造された衝撃吸収パッドで、本体部分121の裏面121bの一部に、発泡樹脂材料が付着して、製品パッドの外観不良を招くという問題があった。
またこの場合は、補強部材120の裏面121b側に付着した発泡樹脂材料の除去が必要となって、製造コストが嵩む他、樹脂発泡体130の一部を構成するべき発泡樹脂材料が、補強部材120の裏面121bに付着することに起因する、表面121a側の樹脂発泡体130の体積の不足によって、製品パッドの性能品質を十分に担保することができないという問題もある。
【0007】
なおここで、上記の製造方法で、補強部材120を下型102内に配置するに際し、本体部分121の裏面121b側への、発泡樹脂原料の進入が生じないほどに、補強部材120を下型成形面に緊密に嵌合させて、本体部分121と下型底面との間への隙間の形成を防止することは、所定のライン速度の生産方式の下では困難であった。
【0008】
このような、発泡成形時の、本体部分121の裏面121b側への発泡樹脂原料の回り込みに対処するべく、図8に示すように、下型102と離型フィルム110との間で、下型底面に、ゴム材料からなるシール部材103を、下型102内に配置される補強部材120の本体部分裏面121bの周縁に沿って一周させて設けたときは、補強部材120を下型102内に配置した後に、上型101と下型102との型締め状態で、補強部材120の取付け部分122を、上型101とゴムシール部材103との間に挟み込んで拘束することで、本体部分裏面121bの周縁をゴムシール部材103に押し当てることにより、ゴムシール部材103のシール機能に基いて、発泡樹脂原料の、本体部分121の裏面121b側への進入を防止できると考えられる。
【0009】
しかるに、適用車両に応じて設計される補強部材120が、十分な強度を発揮し得ない形状、厚み等である場合は、ゴムシール部材103に押圧される補強部材120の本体部分121が、図に破線で示す如く変形することから、シール部材103を配設してなお、本体部分121の側縁から、該本体部分121の裏面121b側への発泡樹脂原料の進入が生じることになる。
この一方で、強度の小さい補強部材120であっても有効にシールするべく、ゴムシール部材103を、硬度の小さいゴム材料で形成すると、成形金型100の使用に伴い、ゴムシール部材103の熱劣化が生じて、ゴムシール部材103によるシール機能を、長期間にわたって十分に発揮させることができない。
【0010】
また、補強部材の形状によっては、発泡樹脂原料の注入および発泡成形に際して、補強部材を上型で拘束できないことがあり、この場合、本体部分121の裏面121bがゴムシール部材103に十分に押圧されないことから、ゴムシール部材103が圧縮変形せず、そのシール機能を有効に発揮させることができないので、ゴムシール部材103を用いるこの方法では、製品パッドの品質低下のおそれを十分に取り除くことができなかった。
【0011】
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、発泡樹脂原料の発泡成形に際し、下型内に配置した補強部材の本体部分の裏面側への、発泡樹脂原料の進入を有効に防止して、製造される衝撃吸収パッドの、外観不良等の品質低下のおそれを十分に取り除くことのできる、衝撃吸収パッドの製造方法および、衝撃吸収パッドを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の、衝撃吸収パッドの製造方法は、上型および下型からなる成形金型の下型内に、プレート状の本体部分を有する補強部材を配置するとともに、補強部材の前記本体部分の表面上に発泡樹脂原料を注入し、上型と下型との型締め姿勢で、前記発泡樹脂原料を発泡させて、補強部材に、樹脂発泡体を一体に形成してなる衝撃吸収パッドを製造するに当り、補強部材の本体部分の裏面に、発泡樹脂材料からなるシール部材を、少なくとも、該裏面の周縁を覆って予め設け、前記本体部分の裏面に設けたシール部材が、下型の底面に、直接的または、離型フィルム等を介して間接的に接触する姿勢で、補強部材を下型内に配置した後、本体部分と下型底面との間での、シール部材の圧縮変形下で、前記本体部分の表面側に発泡樹脂原料を注入して、該発泡樹脂原料を発泡成形するにある。
【0013】
また、この発明の衝撃吸収パッドは、補強部材の、プレート状の本体部分の裏面に、発泡樹脂材料からなるシール部材を、少なくとも、該裏面の周縁部分を覆って設け、前記本体部分の表面側に、樹脂発泡体を一体に形成してなるものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明の、衝撃吸収パッドの製造方法によれば、成形金型の下型内に配置した補強部材の本体部分裏面の、少なくとも周縁部分に設けた、発泡樹脂材料からなる軟らかいシール部材が、圧縮変形状態で、本体部分の裏面と下型底面との間の空間を有効にシールするので、補強部材の本体部分の表面側に、発泡樹脂原料を注入するに際しての、本体部分の裏面側への発泡樹脂材料の回り込みを、該シール部材をもって効果的に阻止することができる。
この結果として、補強部材を、たとえば、上述したような、本体部分に取付け部分を設けた複雑な形状とした場合であっても、製造した衝撃吸収パッドの、補強部材の本体部分の裏面側に、発泡樹脂材料が固着することがなく、製品パッドの外観不良や、性能品質の低下を有効に防止することができる。
【0015】
またここでは、シール部材を、ゴム材料に比して十分に軟らかい発泡樹脂材料で形成したことから、下型内への発泡樹脂原料の注入に際し、上型で拘束できないような形状の補強部材であっても、軟らかい発泡樹脂製のシール部材が圧縮変形して、本体部分の裏面側への発泡樹脂材料の回り込みを有効に防止することができる。
【0016】
しかも、この製造方法では、補強部材の本体部分の表面側に注入されて、本体部分の裏面への回り込みを阻止された発泡樹脂原料が、発泡樹脂材料からなるシール部材に含浸されることになるので、製品パッドで、シール部材と補強部材との境界部分が、樹脂発泡体の一部で覆われることになって、製品パッドの良好な外観を確保することができる。
また、この製造方法では、本体部分の裏面側への発泡樹脂原料の流入を防止するシール部材を、成形金型の下型ではなく、補強部材それ自体に設けることから、衝撃吸収パッドを製造する度に、新たなシール部材によって、補強部材の本体部分の裏面側がシールされることになるので、繰返しの発泡成形に伴うシール部材の劣化という問題は生じない。
【0017】
そして、この発明の衝撃吸収パッドによれば、上述したような製造方法によって製造することで、外観不良や、性能品質の低下のおそれを十分確実に取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の製造方法を示す縦断面工程図である。
【図2】図1に示す製造方法の実施に用いる補強部材を、シール部材を配設した状態で示す裏面側斜視図である。
【図3】図1に示す製造方法によって製造した衝撃吸収パッドの裏面側斜視図である。
【図4】補強部材へのシール部材の他の配設例を示す裏面側斜視図および、その斜視図のA−A線に沿う要部拡大断面図である。
【図5】補強部材へのシール部材のさらに他の配設例を示す裏面側斜視図および、その斜視図のB−B線に沿う要部拡大断面図である。
【図6】従来の、衝撃吸収パッドの製造方法の実施に用いる補強部材を示す斜視図である。
【図7】従来の、衝撃吸収パッドの製造方法を示す縦断面工程図である。
【図8】従来の製造方法の問題点を誇張して示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照しつつ、この発明の実施の形態について説明する。
図1に示すところにおいて、図中1は、衝撃吸収パッドの製造に用いる成形金型を、また、10は、成形金型1の内部に配置した補強部材を、そして、20は、成形金型1の内部で発泡樹脂原料を発泡させてなる樹脂発泡体をそれぞれ示す。
【0020】
ここで、成形金型1は、図に示すところでは、断面が略チャンネル状の成形面を有する下型2と、型締め姿勢で下型2に嵌まり込む上型3とからなるものであり、下型2と上型3との型締め姿勢では、それらの間に成形キャビティ4が画成される。
なお図1に示すところでは、発泡成形後の成形品の容易な取り出しを実現するため、下型2に、たとえば真空成形法によって、下型2の成形面に倣った形状に成形した離型フィルム5を設けているが、この離型フィルム5は、この発明に必須の構成ではない。
【0021】
ここにおいて、補強部材10は、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、ABS樹脂その他の合成樹脂材料にて形成することができるが、生産コストの観点からは、補強部材10をポリプロピレン製とすることが好ましい。
またここでは、補強部材10として、図2に斜視図で例示するように、平面視で長方形状をなす本体部分11の、一方の長辺寄りの部分を、図の上方側となる裏面11b側に盛り上げて塑性変形させ、また、本体部分11の短辺側の周縁に、該本体部分11の、図の下方側となる表面11aから立ち上がるとともに外側に折れ曲がって延びるそれぞれの取付け部分12を設けてなるものを用いている。
【0022】
そしてまた、金型1の成形キャビティ4内で発泡樹脂原料を発泡成形してなる樹脂発泡体20は、たとえば、ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物とを主成分とする硬質ポリウレタンフォームからなるものとすることができ、さらにこれに、触媒、発泡剤、整泡材、難燃剤等の助剤を含むものとすることもできる。
【0023】
ここにおいて、衝撃吸収パッドを製造するに当っては、補強部材10を下型2内に配置するに先立って、はじめに、補強部材10の本体部分11の、下型2内への配置姿勢で下型2の底面2a側に向く裏面11bに、図2に示すように、発泡樹脂材料からなるストリップ状部材を、裏面11bの周縁に沿って一周させて予め貼着すること等によって、シール部材13を設けておく。
この場合、シール部材13は、図2に示すように、補強部材10の本体部分11の裏面11bの、少なくとも周縁を覆って設ける必要があるが、一部を周縁の内側に入り込ませて設けることもでき、たとえば、図示は省略するが、シート状の部材を、裏面11bの全体を覆って貼着させることで、シール部材を設けることもできる。
【0024】
次いで、型開きした成形金型1の下型2内に、図1(a)に示すように、上述した補強部材10を、本体部分11の裏面11bに設けたシール部材13を下型2の底面2aに接触させた状態で配置して、本体部分11の表面11a側に、液体状の発泡樹脂原料を注入する。
【0025】
そしてここでは、図1(b)に示すように、上型3と下型2を型締め状態で、補強部材10の取付け部分12を、上型3と下型2との間に挟みこんで下型2側に押し付けることにより、本体部分11の裏面11bの周縁を覆って設けたシール部材13を、たとえば、下型2の成形面上に配設した離型フィルム5を介して、下型底面2aに押し当てて、本体部分11と下型底面2aとの間で、シール部材13を圧縮変形させる。
【0026】
このとき、本体部分11の裏面11bの周縁に設けた、圧縮下のシール部材13が、本体部分11の表面11a側の側縁から回り込んで流動する発泡樹脂原料の、裏面11b側への進入を防止するべく機能するので、発泡樹脂原料の発泡成形が終了するまでの間は、シール部材13によって取り囲まれた、本体部分裏面11bと離型フィルム5との間の空間に、発泡樹脂原料が存在しない状態が確実に維持されることになる。
なおこの発明では、シール部材13を、ゴム材料に比して軟らかい発泡樹脂材料にて形成したことにより、補強部材10が、十分な強度を発揮し得ない形状、厚み等であっても、本体部分裏面11b側への樹脂発泡原料の回り込みを招くおそれのある、補強部材10の大きな変形は生じない。
【0027】
しかる後は、図1(b)に示すように、成形金型1の型締めの下、注入した発泡樹脂原料を発泡・膨張させて成形・固化させ、それによって、補強部材10の本体部分11の表面11a側に樹脂発泡体20が一体形成された衝撃吸収パッドを、たとえば、離型フィルム5の下面側への、加圧空気の吹き込み等に基く離型作用によって、型開きした成形金型1から取り出す。
【0028】
このようにして製造した衝撃吸収パッド30では、発泡成形時の、シール部材13による上述したようなシール機能に基き、本体部分11の裏面11bに発泡樹脂材料が付着することがないので、上記の製造方法によれば、図3に示すように、製品パッド30の外観不良や、性能品質の低下を有効に防止することができる。
しかも、この製造方法では、上述した発泡成形工程の際に、本体部分11の側縁に達した発泡樹脂原料が、本体部分11の裏面11bの、発泡樹脂材料からなるシール部材13に浸み込んだ状態で固化するので、製品パッド30で、補強部材10とシール部材13との境界部分が、樹脂発泡体20の一部によって覆われることになって、製品パッドの外観を十分良好なものとすることができる。
【0029】
なおここで、シール部材13は、たとえば、軟質ポリウレタンフォームからなるスラブウレタンで形成することが、下型2内に補強部材12を配置した際に、シール部材13の圧縮変形に基くシール機能をより効果的に発揮させる上で好ましい。
また同様の観点から、シール部材13の厚みは、1mm〜3mm、なかでも1mm〜2mmとすることが好ましく、そして、シール部材13の硬さは、50N〜150N、とくに70N〜120Nとすることが好ましい。ここでいう「硬さ」は、JIS K6401に規定されるものであって、とくに、25%圧縮時の硬さを意味する。
【0030】
ところで、補強部材の強度を高めるために、補強部材を下型2内に配置するに先立って、補強部材の、本体部分の裏面の周縁部分に予め、図4に示すように、該周縁部分の全周にわたって裏面41b側から突出する凸部42を形成することがあり、この場合は、シール部材43を、凸部42を覆って設けることが好ましい。
このような補強部材40に樹脂発泡体を一体化させる場合は、成形金型で、本体部分裏面41bの凸部42に対応させて下型成形面に設けた溝部分が、金型キャビティの、高さの低い箇所に位置することになるが、上述したように、シール部材43を、凸部42を覆って設けることにより、発泡成形工程で、発泡樹脂原料が、まだ粘度の低い状態で本体部分裏面41b側に流れ込むおそれがある場合に、そのような発泡樹脂原料が溜まり易い前記溝部分に、シール部材43が位置することになるので、発泡樹脂原料の、本体部分41の裏面41bへの回り込み、ひいては、製品パッドの外観不良等をより有効に防止することができる。
【0031】
一方、このように、シール部材43を、凸部42を覆って貼り付けるには若干の習練が必要であり、また、発泡成形工程で、発泡樹脂原料が反応して粘度がある程度高くなった後に、発泡樹脂原料が本体部分の裏面に到達する場合は、シール部材の配設位置がそれほど問題とはならないので、シール部材を容易に貼り付けるとの観点からは、図5に示すように、補強部材50の、本体部分裏面51bの周縁部分に全周にわたって設けた凸部52の外周側に、その凸部52の周囲を取り囲んで、シール部材53を設けることが好ましい。
【0032】
なおこの場合、補強部材50を下型2内に配置した際に、シール部材53が、本体部分裏面51bと下型底面2aとの間で圧縮された状態で、凸部52が、下型底面2aに接するか、または、凸部52と下型底面3との間に多少クリアランスが生じるように、シール部材53の厚みTおよび、凸部52の突出高さHのそれぞれを選択することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 成形金型
2 上型
3 下型
3a 下型底面
4 成形キャビティ
5 離型フィルム
10,40,50 補強部材
11,41,51 本体部分
11a,41a,51a 表面
11b,41b,51b 裏面
12 取付け部分
42,52 凸部
13,43,53 シール部材
20 樹脂発泡体
30 製品パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上型および下型からなる成形金型の下型内に、プレート状の本体部分を有する補強部材を配置するとともに、補強部材の前記本体部分の表面上に発泡樹脂原料を注入し、上型と下型との型締め姿勢で、前記発泡樹脂原料を発泡させて、補強部材に、樹脂発泡体を一体に形成してなる衝撃吸収パッドを製造するに当り、
補強部材の本体部分の裏面に、発泡樹脂材料からなるシール部材を、少なくとも、該裏面の周縁を覆って予め設け、
前記本体部分の裏面に設けたシール部材が、下型の底面に接触する姿勢で、補強部材を下型内に配置した後、本体部分と下型底面との間での、シール部材の圧縮変形下で、前記本体部分の表面側に発泡樹脂原料を注入して、該発泡樹脂原料を発泡成形する、衝撃吸収パッドの製造方法。
【請求項2】
補強部材の、プレート状の本体部分の裏面に、発泡樹脂材料からなるシール部材を、少なくとも、該裏面の周縁を覆って設け、補強部材の前記本体部分の表面側に、樹脂発泡体を一体に形成してなる衝撃吸収パッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−236285(P2012−236285A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105231(P2011−105231)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】