説明

衝撃吸収体及び衝突被害軽減装置

【課題】剛性分布を自在に変化させることが可能な衝撃吸収体を提供する。衝突により車両、乗員、及び歩行者の各々が受ける被害を適切に軽減することができる衝突被害軽減装置を提供する。
【解決手段】衝突前に、歩行者の頭部48が車両に衝突する位置で、衝撃吸収体10の表面近傍に配置された複数の立方格子(単位領域)34のトラス構造を崩壊させて、剛性を低下させる。これにより、衝撃吸収体10の剛領域46中に、柔領域44が形成される。頭部48は剛性が低下した柔領域44に衝突する。柔領域44の剛性が低下しているので、頭部48が柔領域44から受ける接触反力は小さいものとなり、歩行者の衝突被害を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃吸収体及び衝突被害軽減装置に係り、特に、剛性分布が変化する衝撃吸収体と、該衝撃吸収体を車両外板に用いて衝突による被害を軽減する衝突被害軽減装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の衝突安全構造は、衝突時に客室空間を確保し、乗員の安全を図ることを主眼として設計されていた。客室空間を確保するためには、車体の変形により衝突エネルギーを吸収する必要がある。例えば、前面衝突であれば、フロントボディが壊れて衝突エネルギーを吸収し、乗員への衝撃が緩和される。しかしながら、ボディの強度を低下させただけでは、吸収される衝突エネルギーも小さくなってしまう。このため、車両同士の衝突や建物や壁への衝突などを考慮して目標となるエネルギー吸収量を設定し、設定された衝突エネルギーに応じてボディの強度を確保している。その一方で、ボディの強度(剛性)が高いと、歩行者と車両との衝突において接触反力により歩行者が受ける被害が大きなものとなる。
【0003】
このため、車両の外板を構成する部材(衝撃吸収体)については、衝突エネルギーを効率よく吸収するための材質や断面構造が種々提案されている(特許文献1乃至4等)。例えば、特許文献1に記載された衝撃吸収材では、合成樹脂中に硬化促進剤を内包するマイクロカプセルが埋め込まれており、衝突時の変形によりマイクロカプセルが破砕して硬化反応が進行し、衝撃吸収材の強度が増加する。この衝撃吸収材を外板に用いた車両では、衝突後に外板の強度が増加して衝撃を吸収することにより、初期衝撃値と外板の変形とを少なくすることができ、衝撃を緩和することができる。
【0004】
また、特許文献2に記載された衝撃吸収材は、複数の小室を有する格子状のリブを備え、一部の小室に発泡体や液状体が充填されている。この衝撃吸収材では、リブの座屈変形により衝突エネルギーが吸収されると共に、小室に充填された発泡体や液状体により衝突エネルギーが吸収されるので、衝突エネルギーを効果的に吸収することができる。
【0005】
また、特許文献3に記載された車両の前部構造は、車両の両側に設置され車両長さ方向に延びた一対の箱型梁を備えている。箱型梁は複数の輪郭部材が互いに接合されて構成されており、後部の接合部には爆発物が所定間隔で設置されている。この車両の前部構造では、前部衝突か否か等、衝突状況が判断され、判断された衝突状況に応じて、所定距離の変形が生じた後に爆発物が起爆されて接合部が破壊され、箱型梁の剛性が低下する。これにより最適なエネルギー吸収を達成している。
【0006】
また、特許文献4に記載された乗り物の安全装置は、加圧可能な複数の室を有する剛性可変部材を含むフロントフレームを備えている。この安全装置では、センサにより乗り物に関する物理量を検知して、検知信号から車両状態を判定し、車両状態に応じてフロントフレームの変形を最適化するための剛性を算出し、室内を加圧することにより剛性可変部材の剛性を増加させている。
【特許文献1】特開2005−68288号公報
【特許文献2】特開平11−139341号公報
【特許文献3】特表2001−504061号公報
【特許文献4】特開2002−137761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の衝撃吸収技術では、衝突物の速度、重さ、方向等、衝突相手に応じて適切な剛性分布を備えた衝撃吸収体を提供することができない、という問題がある。これでは、車両に用いても、衝突により車両、乗員、及び歩行者の各々が受ける被害を適切に軽減することはできない。
【0008】
特許文献1、2に記載された技術では、目標となるエネルギー吸収量を設定し、設定された衝突エネルギーに応じて材質や断面構造が選択されており、衝突物の速度、重さ、方向等に応じて剛性分布を変化させることはできない。
【0009】
特許文献3に記載された技術では、衝突状況に応じて箱型梁の剛性を低下させているが、ここで判断されるのは、前部衝突か否かといった簡単な事項であり、衝突物の速度、重さ、方向等を予測するものではない。また、変形進行方向に沿って剛性を低下させているに過ぎず、衝突物の速度、重さ、方向等に応じて剛性分布を変化させるものではない。
【0010】
特許文献4に記載された安全装置は、フロントフレームに含まれる一部の部材(剛性可変部材)の剛性を高くしているに過ぎず、フロントフレーム全体の剛性分布を最適化するものではない。また、衝突の発生は予見しているが、衝突物の速度、重さ、方向等に応じて剛性分布を変化させるものではない。
【0011】
即ち、従来、衝突物の速度、重さ、方向が予め測定、予測することができる場合であっても、衝突位置に設置された衝撃吸収体の剛性分布をそれに応じて変化させるような試みはなされていない。
【0012】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたものであり、本発明の目的は、剛性分布を自在に変化させることが可能な衝撃吸収体を提供することにある。また、本発明の他の目的は、衝突により車両、乗員、及び歩行者の各々が受ける被害を適切に軽減することができる衝突被害軽減装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明の衝撃吸収体は、各々独立に剛性を低下させることが可能な複数の構成単位と、衝突被害を低減するための剛性分布が得られるように前記複数の構成単位の剛性を構成単位毎に低下させる剛性低下手段と、を備えたことを特徴としている。
【0014】
また、上記目的を達成するために本発明の衝突被害軽減装置は、各々独立に剛性を低下させることが可能な複数の構成単位と、前記複数の構成単位の剛性を構成単位毎に低下させる剛性低下手段とを備え、車両の外表面に配設された衝撃吸収体と、自車両との衝突が予測される衝突物の自車両における衝突部位を推定する推定手段と、推定された衝突部位における衝突被害を低減するための剛性分布を予測する予測手段と、予測された剛性分布が得られるように前記衝撃吸収体の前記剛性低下手段を駆動する駆動手段と、を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明の衝撃吸収体によれば、衝撃吸収体の剛性分布を自在に変化させることができる。また、本発明の衝突被害軽減装置によれば、衝突前に、車両表面に配設された衝撃吸収体の剛性分布を衝突被害が低減されるように変化させることで、衝突により車両、乗員、及び歩行者の各々が受ける被害を適切に軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0017】
(衝突被害軽減装置の全体構成)
図1は本発明の実施の形態に係る衝突被害軽減装置の構成を示すブロック図である。 この衝突被害軽減装置は、車両に搭載されて使用される。図1に示すように、衝突被害軽減装置は、歩行者、他車両等が車体に衝突した時に発生する衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収体10を備えている。衝撃吸収体10は、外板として車両の外表面に配設されている。また、衝撃吸収体10は、後述するとおり、各々独立に剛性を低下させることが可能な複数の構成単位と、これらの構成単位の剛性を構成単位毎に低下させる剛性低下手段12とを備えている。
【0018】
また、衝突被害軽減装置は、歩行者、他車両等の衝突物を検知するカメラ14、レーダ16等の検知手段と、検知手段の出力データに基づいて制御信号を生成する制御部18と、制御信号に基づいて衝撃吸収体10の剛性低下手段12を駆動する駆動部20とを備えている。制御部18は、衝突物が衝突する部位を推定する衝突部位推定手段22と、衝突被害を低減するための剛性分布を予測する予測手段24とを備えている。
【0019】
図2は衝突被害軽減処理の手順を示すフローチャートである。
上記の衝突被害軽減装置では、カメラ14、レーダ16等の出力データは、制御部18に常時入力されている。まず、ステップ100で、カメラ14、レーダ16等の検知手段により衝突物が捉えられ、衝突の危険性が検知される。衝突の危険性が検知されると、次のステップ102で、衝突物の速度、重さ、方向が計測される。次のステップ104で、衝突部位推定手段22により、計測された衝突物の速度、重さ、方向から自車両における衝突部位が推定される。例えば、歩行者と車両との衝突時には、跳ね上げられた歩行者が落下して、歩行者の頭部が車両に衝突する位置(例えば、ボンネットの中央部等)が推定される。
【0020】
衝突位置が推定されると、次のステップ106で、剛性分布予測手段24により、計測された衝突物の速度、重さ、方向から衝突位置での衝撃吸収体10の最適な剛性分布が推定される。ここでは、構造最適化理論を用いて衝突エネルギーを低減させる構造を計算する。最適な剛性分布が推定されると、ステップ108で、検知手段からの入力データにより、衝突が回避できたか否かが判断される。衝突が回避できた場合は、ここでルーチンを終了する。
【0021】
衝突が回避できない場合には、更にステップ110に進み、ステップ110で、駆動部20に最適な剛性分布を実現するための制御信号が出力される。駆動部20は、入力された制御信号に基づいて衝撃吸収体10の剛性低下手段12を駆動し、複数の構成単位からなる衝撃吸収体10の剛性を部分的に低下させて、最適な剛性分布を実現する。
【0022】
(衝撃吸収体の構造)
図3は衝撃吸収体の積層構造を示す概略斜視図であり、図4は衝撃吸収体の分解斜視図である。この衝撃吸収体10は、長さdの複数の梁26が格子状に接合された格子枠28を複数備えている。複数の格子枠28は格子間隔dだけ離間させて積層され、対向する上下の格子点が長さdの梁30で各々接合されて、骨組み体32が形成されている。この骨組み体32により、衝撃吸収体10は複数の単位領域34に区分されている。単位領域34の各々は一辺の長さがdの立方体である。また、骨組み体32は一対の保護板36、38で挟持されている。
【0023】
この例では、6×6の格子が形成された6個の格子枠28乃至28が積層されており、対向する上下の格子点が梁30で各々接合されて、骨組み体32が形成されている。この骨組み体32により、衝撃吸収体10は125個の単位領域34に区分されている。これらは衝撃吸収体10の部分構造を示すものであり、例えばボンネット、バンパ、フェンダーといった衝撃吸収機能が要求される車両の外装部材の表面を覆うように、表面積の大きな衝撃吸収体10が配置されるか、複数の衝撃吸収体10が部位ごとに配置される。
【0024】
骨組み体32を構成する梁26、30は、汎用樹脂であるポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS樹脂等の材料で作製されている。また、保護板36、38も、同様に、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂等の汎用樹脂で作製されている。
【0025】
図5は衝撃吸収体の単位領域を拡大した部分拡大図である。外板の面方向に平行に配置された8本の梁26と、積層方向に平行に配置された4本の梁30とで立方格子が構成されている。立方格子の各梁は頂点A乃至Hで接合されている。単位領域34はこの立方格子で囲まれた領域である。各々の単位領域34の内部には、略球状の接合部40が設けられている。接合部40は立方格子の中心点Iの近傍に配置される。この接合部40は補強梁42により立方格子の各頂点A乃至Hの各々と接合され、三角形を単位とした構造骨組み(トラス構造)が形成されている。
【0026】
トラス構造を形成することで、曲げ剛性に比べて剛性の高い軸剛性を効果的に利用できるため変形が小さくなる。即ち、補強梁42が無い場合と比べると、立方格子(単位領域)の剛性が高くなるのである。これにより、衝撃吸収体10の静的荷重に対する強度が維持される。接合部40は、樹脂等の溶融可能な材料で構成されており、内部にはニクロム線等の電熱線が埋め込まれている。この電熱線に電流を印加して発熱させると、接合部40が加熱溶融されて瞬時にトラス構造が崩壊する。トラス構造が崩壊することで、単位領域34の剛性が低下する。
【0027】
接合部40は、汎用樹脂であるポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS樹脂等の材料で作製されている。また、補強梁42も、同様に、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS樹脂等の汎用樹脂で作製されている。
【0028】
接合部40は単位領域34毎に設置されている。接合部40に埋め込まれた電熱線は、単位領域34毎に独立に駆動できるように配線されている。これにより、衝撃吸収体10中の任意の単位領域34のトラス構造を崩壊させて剛性を低下させ、所望の剛性分布を備えた衝撃吸収体10を瞬時に生成することができる。
【0029】
(衝撃吸収体の剛性分布変化)
図6(A)及び(B)は衝撃吸収体の剛性分布の変化の様子を表す図である。
上述した歩行者の頭部が車両に衝突する例では、軽重量物の衝突であるため衝撃吸収体10の剛性が高いと、歩行者が受ける接触反力が大きくなってしまう。従って、図6(A)に示すように、衝突前に、落下の軌跡(矢印A)から衝突位置を推定し、歩行者の頭部48が車両に衝突する位置で、衝撃吸収体10の表面近傍に配置された複数の立方格子(単位領域)34のトラス構造を崩壊させて、剛性を低下させる。これにより、衝撃吸収体10の剛領域46中に、柔領域44が形成される。図6(B)に示すように、頭部48は剛性が低下した柔領域44に衝突する。柔領域44の剛性が低下しているので、頭部48が柔領域44から受ける接触反力は小さいものとなり、歩行者の衝突被害を低減することができる。
【0030】
(衝撃エネルギーの吸収)
図7(A)乃至(C)は衝突エネルギー吸収の様子を示す図である。上記では衝撃吸収体10の複数の単位領域34は3次元状に配置されているが、このモデルでは複数の単位領域34は一列に配置されている。図7(A)に示すように、衝撃吸収体10の一方の端部は壁50に固定されており、衝突物52は単位領域34の配列方向(矢印B方向)に沿って、衝撃吸収体10の他方の端部に接近している。このような衝突物を検知すると、衝突物の速度、重さ、方向を計測し、衝突物52が衝突する部位を推定すると共に、衝突被害を低減するための剛性分布を予測する。この場合には、右側半分の単位領域34の剛性を低下させた剛性分布が最適構造である。そこで、衝突前に、図7(B)に示すように、最適な剛性分布を実現する。衝撃吸収体10の剛領域46中に柔領域44が形成される。衝突後は、図7(C)に示すように、柔領域44の単位領域34が変形して衝撃エネルギーが吸収される。また、壁50側から見れば、柔領域44が緩衝領域となって、破壊を免れることができる。
【0031】
上記モデルにおける衝撃吸収体10と衝突物52との間で生じる接触反力の経時変化を図8に示す。点線は、剛性分布を変化させる前の衝撃吸収体10に衝突物52に衝突させた場合の接触反力の経時変化を示す。実線は、剛性分布を変化させた後の衝撃吸収体10に衝突物52に衝突させた場合の接触反力の経時変化を示す。このグラフから分かるように、衝撃吸収体10の剛領域46中に柔領域44を形成することで、衝突初期の接触反力(ピーク荷重)を大幅に低減することができる。
【0032】
以上説明した通り、本実施の形態では、衝撃吸収体中の任意の単位領域のトラス構造を崩壊させて剛性を低下させ、所望の剛性分布を備えた衝撃吸収体を瞬時に生成することができる。また、この衝撃吸収体を用いることで、衝突の危険性が検知された場合に、即座に衝突物の速度、重さ、方向を計測し、衝突部位を推定すると共に衝突部位での衝撃吸収体の最適な剛性分布を推定し、衝撃吸収体の剛性を部分的に低下させて、最適な剛性分布を備えた衝撃吸収体を瞬時に生成することができる。
【0033】
例えば、他車両等の重い物体が衝突する場合、歩行者や自転車等の軽い物体が衝突する場合の各々に応じて、衝突エネルギー吸収に適した剛性分布を生成することができる。また、どの方向からの衝突にも対応することができる。これにより、衝突により車両、乗員、及び歩行者の各々が受ける被害を適切に軽減することができる。
【0034】
なお、上記の実施の形態では、衝撃吸収体10の表面に柔領域44を形成する例について説明したが、図9に示すように、衝撃吸収体10の内部に柔領域44を形成することもできる。また、図9に示すように、剛領域46を梁に見立てて、衝撃吸収体10の内部に疑似トラス構造を形成することもできる。
【0035】
また、上記の実施の形態では、崩壊可能なトラス構造を有する立方格子を単位領域としたが、独立に剛性を低下させることが可能な構成単位であればよく、他の構造とすることもできる。例えば、樹脂ブロックの内部に起爆剤、化学反応剤を配置し、これらの薬剤によりブロック内部を樹脂を瞬時に破壊、軟化、発泡、又は膨張させて、樹脂ブロックの剛性を低下させることが可能なユニットセルを、単位領域とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態に係る衝突被害軽減装置の構成を示すブロック図である。
【図2】衝突被害軽減処理のルーチンを示すフローチャートである。
【図3】衝撃吸収体の積層構造を示す概略斜視図である。
【図4】衝撃吸収体の分解斜視図である。
【図5】衝撃吸収体の単位領域を拡大した部分拡大図である。
【図6】(A)及び(B)は衝撃吸収体の剛性分布の変化の様子を表す図である。
【図7】(A)乃至(C)は衝突エネルギー吸収の様子を示す図である。
【図8】接触反力の時間的変化の様子を示す図である。
【図9】衝撃吸収体の剛性分布の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
10 衝撃吸収体
12 剛性低下手段
14 カメラ
16 レーダ
18 制御部
20 駆動部
22 衝突部位推定手段
24 剛性分布予測手段
26 梁
28 格子枠
30 梁
32 骨組み体
34 単位領域
36、38 保護板
40 接合部
42 補強梁
44 柔領域
46 剛領域
48 頭部
50 壁
52 衝突物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々独立に剛性を低下させることが可能な複数の構成単位と、
衝突被害を低減するための剛性分布が得られるように前記複数の構成単位の剛性を構成単位毎に低下させる剛性低下手段と、
を備えた衝撃吸収体。
【請求項2】
複数の梁が立方体状に接合された複数の格子枠を備え、前記複数の格子枠が格子間隔で離間されて積層され、前記複数の格子枠の対向する上下の格子点が梁で各々接合された骨組み体と、該骨組み体内の複数の立方格子の内部に各々配置された複数の接合部と、該接合部と該接合部が配置された立方格子の各頂部とを各々結合する複数の補強梁と、を有する衝撃吸収部と、
衝突被害を低減するための剛性分布が得られるように、加熱により前記接合部を溶融崩壊させて、前記衝撃吸収部の前記複数の立方格子の剛性を立方格子毎に低下させる剛性低下手段と、
を備えた衝撃吸収体。
【請求項3】
前記複数の立方格子が3次元状に配置された請求項2に記載の衝撃吸収体。
【請求項4】
前記衝撃吸収部を挟み込む一対の樹脂板を更に備えた請求項2又は3に記載の衝撃吸収体。
【請求項5】
前記剛性分布は、剛性が維持される剛領域と剛性が低下される柔領域との分布である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の衝撃吸収体。
【請求項6】
各々独立に剛性を低下させることが可能な複数の構成単位と、前記複数の構成単位の剛性を構成単位毎に低下させる剛性低下手段とを備え、車両の外表面に配設された衝撃吸収体と、
自車両との衝突が予測される衝突物の自車両における衝突部位を推定する推定手段と、
推定された衝突部位における衝突被害を低減するための剛性分布を予測する予測手段と、
予測された剛性分布が得られるように前記衝撃吸収体の前記剛性低下手段を駆動する駆動手段と、
を備えた衝突被害軽減装置。
【請求項7】
複数の梁が立方体状に接合された複数の格子枠を備え、前記複数の格子枠が格子間隔で離間されて積層され、前記複数の格子枠の対向する上下の格子点が梁で各々接合された骨組み体と、該骨組み体内の複数の立方格子の内部に各々配置された複数の接合部と、該接合部と該接合部が配置された立方格子の各頂部とを各々結合する複数の補強梁と、を有する衝撃吸収部と、加熱により前記接合部を溶融崩壊させて、前記衝撃吸収部の前記複数の立方格子の剛性を立方格子毎に低下させる剛性低下手段と、を備え、車両の外表面に配設された衝撃吸収体と、
自車両との衝突が予測される衝突物の自車両における衝突部位を推定する推定手段と、
推定された衝突部位における衝突被害を低減するための剛性分布を予測する予測手段と、
予測された剛性分布が得られるように前記衝撃吸収体の前記剛性変更手段を駆動する駆動手段と、
を備えた衝突被害軽減装置。
【請求項8】
前記推定手段は、自車両との衝突が予測される衝突物を検知する検知手段を含み、該検知手段が前記衝突物を検知した場合に、前記衝突物の自車両における衝突部位を推定する請求項6又は7に記載の衝突被害軽減装置。
【請求項9】
前記予測手段は、前記衝突物が歩行者である場合に、衝突時に前記歩行者が受ける接触反力が低減されるように、前記衝突部位における剛性分布を予測する請求項6乃至8のいずれか1項に記載の衝突被害軽減装置。
【請求項10】
前記予測手段は、前記自車両と前記障害との衝突エネルギーが低減されるように、前記衝突部位における剛性分布を予測する請求項6乃至9のいずれか1項に記載の衝突被害軽減装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−18852(P2008−18852A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−192634(P2006−192634)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】