説明

衝撃吸収構造体及びその製造方法

【課題】優れた衝撃吸収性を有する衝撃吸収構造体を提供する。
【解決手段】衝撃吸収構造体1は、凝固部材2と、焼結部材3とを備える。凝固部材2は、複数の無機粉末粒子が溶解され、凝固して形成される。焼結部材3は、複数の無機粉末粒子が焼結されて形成される。焼結部材3は凝固部材2と結合される。衝撃吸収構造体1は、凝固部材2と焼結部材3との複合構造体であるため、優れた衝撃吸収性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃吸収構造体及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、人工関節や骨プレートに代表される医用インプラントや、自動車、航空機及び船舶に代表される移動体等に利用される、衝撃吸収構造体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2005−329179号公報(特許文献1)及び特開平6−90971号公報(特許文献2)は、金属インプラントを開示する。これらの文献に開示される金属インプラントは、チタン合金に代表される金属からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−329179号公報
【特許文献2】特開平6−90971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インプラントは、生体内に埋め込まれ、生体内で長期間利用される。そのため、インプラントには、骨と類似の力学特性が要求される。具体的には、インプラントには、衝撃吸収性が求められる。さらに、インプラントには、骨と近似する低ヤング率と軽量性とが求められる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された金属インプラントは、中実(Solid)の金属材からなる。そのため、ヤング率が骨よりも大幅に大きい。たとえば、生体用金属であるTi−6Al−4V合金の中実材のヤング率は110GPa程度であるのに対して、骨(皮質骨)のヤング率は10〜30GPa程度である。さらに、中実材は降伏応力が高く、塑性変形しにくい。仮に塑性変形しても、中実材は加工硬化する。そのため、中実材の衝撃吸収性は低い。
【0006】
一方、特許文献2に開示される金属インプラントは、内部に中空を有する。そのため、中実の金属インプラントと比較して、ヤング率を低くすることができる。しかしながら、中空部を有する金属インプラントであっても、衝撃吸収性は低い。
【0007】
したがって、従前のインプラントよりも優れた衝撃吸収性を有する新たなインプラントが要求されている。
【0008】
優れた衝撃吸収性に対する要求は、インプラントに限られない。たとえば、自動車や、航空機、船舶、鉄道等に代表される移動体に利用される構造体に対しても、優れた衝撃吸収性が要求される。
【0009】
本発明の目的は、優れた衝撃吸収性を有する衝撃吸収構造体を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、優れた衝撃吸収性と、低ヤング率と、軽量性とを有する衝撃吸収構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0011】
本発明による衝撃吸収構造体は、凝固部材と、焼結部材とを備える。凝固部材は、複数の無機粉末粒子が溶解されて形成される。焼結部材は、複数の無機粉末粒子が焼結されて形成され、凝固部材と結合される。ここで、焼結部材は焼結により凝固部材と結合されてもよいし、燒結部材又は凝固部材の一部が溶解して、燒結部材が凝固部材と結合されてもよい。
【0012】
本発明による衝撃吸収構造体は、凝固部材及び焼結部材の複合構造体であるため、優れた衝撃吸収性を有する。
【0013】
好ましくは、焼結部材は、複数のネックと、隙間とを含む。複数のネックは、複数の無機粉末粒子の間に形成される。隙間は、複数の無機粉末粒子の間に形成される。
【0014】
ネック及び隙間が形成されるため、本発明による衝撃吸収構造体の応力−歪み曲線はプラトー領域を有する。そのため、本発明による衝撃吸収構造体は、優れた衝撃吸収性を有する。さらに、焼結部材は隙間を有し、中実材と比較して密度が低い。そのため、中実材と比較して、軽量性及び低ヤング率を有する。
【0015】
好ましくは、凝固部材は、凝固筺体を備える。焼結部材は、凝固筐体に収納され、凝固筐体と結合される。
【0016】
この場合、中実材と比較して、軽量でヤング率が低く、衝撃吸収性が高い。
【0017】
好ましくは、凝固部材はさらに、凝固壁と、複数の収納室とを含む。凝固壁は、凝固筐体内に形成される。複数の収納室は、凝固筐体内に配置され、凝固壁により区画される。衝撃吸収構造体はさらに、複数の焼結部材を備える。複数の焼結部材は、収納室に収納され、凝固筐体及び/又は凝固壁と結合される。
【0018】
この場合、衝撃吸収性がより向上する。
【0019】
好ましくは、積層造形法により複数の凝固部を順次積層して、複数の無機粉末粒子を収納する凝固部材が形成され、形成された凝固部材を炉内で無機粉末粒子の融点未満の焼結温度で加熱して焼結部材が形成される。
【0020】
本発明による衝撃吸収構造体では、積層造形法を利用して凝固部材が形成される。そのため、凝固部材の形状を自由に設定でき、同じ組成を有する中実材と比較して、軽量性、低いヤング率及び優れた衝撃吸収性が得られる。また、積層造形法により造形された凝固部材内には、複数の無機粉末粒子が収納されるため、焼結処理することにより容易に焼結部材を凝固部材内に形成できる。
【0021】
好ましくは、本発明による衝撃吸収構造体は、積層造形法により複数の衝撃吸収層を順次積層して製造される。各衝撃吸収層は、複数の無機粉末粒子からなる粉末層に第1電子ビームを照射して、粉末層の第1領域を溶解して形成される凝固部と、第1電子ビームよりも低いフルエンスを有する第2電子ビームを粉末層に照射して、粉末層の第1領域と異なる第2領域を焼結して形成される焼結部とを含む。
【0022】
この場合、積層造形法により凝固部材を形成しつつ、焼結部材も形成できる。そのため、積層造形法により形成された凝固部材を焼結処理しなくてよい。
【0023】
好ましくは、粉末粒子は金属からなる。また、好ましくは、凝固部材は、焼結部材と同じ組成を有する。さらに好ましくは、凝固部材及び焼結部材は、チタン合金からなる。さらに好ましくは、衝撃吸収構造体は、10〜50GPaのヤング率を有する。
【0024】
この場合、衝撃吸収構造体は、骨のヤング率に近いヤング率を有することができる。そのため、衝撃吸収構造体は、軽量性、衝撃吸収性及び低ヤング率を有する医用インプラントとして利用できる。
【0025】
本発明による衝撃吸収構造体の製造方法は、上述の衝撃吸収構造体の製造方法であって、複数の無機粉末粒子からなる粉末層を形成する工程と、粉末層に電子ビームを照射して無機粉末粒子を溶解し、凝固部を形成する工程と、凝固部が形成された粉末層上に複数の無機粉末粒子からなる新たな粉末層を積層する積層工程と、新たな粉末層に電子ビームを照射して新たな凝固部を形成する形成工程と、積層工程及び形成工程を繰り返し、積層された複数の凝固部からなり、複数の無機粉末粒子を収納する筺体状の凝固部材を形成する工程と、凝固部材を粉末層から取り出す工程と、無機粉末粒子の融点未満の焼結温度で、取り出された凝固部材を加熱し、焼結部材を形成する工程とを備える。
【0026】
本発明による衝撃吸収構造体の製造方法は、凝固部材の形状を自由に設計できる。さらに、凝固部材の設計及び焼結処理条件を調整することにより、所望のヤング率及び衝撃吸収性を有する衝撃吸収構造体を製造できる。
【0027】
本発明による衝撃吸収構造体の製造方法は、上述の衝撃吸収構造体の製造方法であって、複数の無機粉末粒子からなる粉末層を形成する工程と、粉末層内に第1電子ビームを照射して複数の無機粉末粒子を溶融し、凝固部を形成する工程と、粉末層に第1電子ビームよりも低いフルエンスを有する第2電子ビームを照射して複数の無機粉末粒子を焼結し、焼結部を形成する工程と、凝固部及び焼結部が形成された粉末層上に、新たな粉末層を積層する積層工程と、新たな粉末層で凝固部及び焼結部を形成する形成工程と、積層工程及び形成工程を繰り返し、積層された複数の凝固部からなる凝固部材と、積層された複数の焼結部からなる焼結部材とを含む衝撃吸収構造体を形成する工程とを備える。
【0028】
本発明による衝撃吸収構造体の製造方法は、凝固部材の設計及び焼結処理条件を調整することにより、所望のヤング率、軽量性及び衝撃吸収性を有する衝撃吸収構造体を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の実施の形態による衝撃吸収構造体の斜視図である。
【図2】図1に示した凝固部材の斜視図である。
【図3】図1中のIII−III線での断面図である。
【図4】図3中の領域500の拡大図である。
【図5】図1に示した衝撃吸収構造体を製造する積層造形装置の構成図である。
【図6】図1に示した衝撃吸収構造体の製造方法を示すフロー図である。
【図7】図6中のステップS6の工程を説明するための模式図である。
【図8】図6中のステップS8の工程を説明するための模式図である。
【図9】図6中のステップS11の工程を説明するための模式図である。
【図10】図6中で繰り返し実行される2回目以降のステップS6の工程を説明するための模式図である。
【図11】図6中で繰り返し実行される2回目以降のステップS8の工程を説明するための模式図である。
【図12】製造途中の凝固部材の鉛直方向の断面図である。
【図13】図6中のステップS12の工程を説明するための図である。
【図14】図6中の造形工程で製造された凝固部材の鉛直方向の断面図である。
【図15】図6に示す製造方法により製造された衝撃吸収構造体内の焼結部材のSEM(ScanningElectron Microscopy)画像である。
【図16】図15と関連する、焼結部材の他のSEM画像である。
【図17】図15及び図16と異なる、焼結部材の他のSEM画像である。
【図18】図17と関連する、焼結部材の他のSEM画像である。
【図19】本実施の形態による衝撃吸収構造体の応力−歪み曲線を示す図である。
【図20】図19と異なる、衝撃吸収構造体の応力−歪み曲線を示す図である。
【図21】図19及び図20と異なる、衝撃吸収構造体の応力−歪み曲線を示す図である。
【図22】図1と異なる構成の衝撃吸収構造体の斜視図である。
【図23】図1及び図22と異なる構成の衝撃吸収構造体の斜視図である。
【図24】第2の実施の形態による衝撃吸収構造体の斜視図である。
【図25】図24中のXXV−XXV線での断面図である。
【図26】図24に示す衝撃吸収構造体の製造方法を示すフロー図である。
【図27】図24に示す衝撃吸収構造体の応力−歪み曲線を示す図である。
【図28】図1,図22〜図25と異なる構成の衝撃吸収構造体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0031】
[第1の実施の形態]
[衝撃吸収構造体の構成]
図1は本実施の形態による衝撃吸収構造体の斜視図である。図1を参照して、衝撃吸収構造体1は、凝固部材2と複数の焼結部材3とを備える。
【0032】
凝固部材2は、複数の無機粉末粒子が溶解し、溶解後に凝固することにより形成される。無機粉末粒子は、無機物からなる粉末粒子である。無機粉末粒子はたとえば、金属や金属間化合物、セラミックス等である。金属は、純金属や合金である。好ましくは、無機粉末粒子は、金属である。
【0033】
図2に凝固部材2の斜視図を示す。凝固部材2は、凝固筐体20と、複数の凝固壁21とを含む。凝固筐体20は、複数の凝固壁22を有する。つまり、凝固壁22は、凝固筐体20の外壁に相当する。複数の凝固壁21は、凝固筐体20内に収納される。つまり、凝固壁21は、凝固筐体20内を区画する内壁に相当する。凝固筐体20は、複数の凝固壁21により区画された複数の収納室23を有する。
【0034】
図3は、図1中のIII−III線での断面図である。図3を参照して、衝撃吸収構造体1において、複数の焼結部材3の各々は、各収納室23に収納される。焼結部材3は、複数の無機粉末粒子が焼結されて形成される。焼結部材3は凝固部材2と同じ組成の無機粉末粒子から製造される。要するに、焼結部材3は凝固部材2と実質的に同じ組成を有する。
【0035】
図4は、図3中の領域500の拡大図である。図4を参照して、焼結部材3は、複数の無機粉末粒子31と、複数のネック32とを含む。複数のネック32は、複数の無機粉末粒子31の間に形成される。焼結処理時において、隣り合う無機粉末粒子31の一部が焼結により結合し、ネック32が形成される。このようなネック32の形成工程はネッキングと呼ばれる。
【0036】
ネック32はさらに、無機粉末粒子31と凝固壁22との間にも形成される。図3及び図4に示すとおり、ネック32により、焼結部材3は凝固部材2の凝固壁21及び22に結合される。ネック32は、原子拡散により形成される。
【0037】
図3及び図4では、焼結部材3はネック32により結合されている。しかしながら、焼結部材3は他の方法により結合されてもよい。たとえば、焼結部材3及び/又は凝固部材2の一部が溶解することにより、焼結部材3が凝固部材2と結合されてもよい。
【0038】
図3及び図4に示すとおり、焼結部材3には複数の隙間(空隙)33が形成される。複数の隙間33は、複数の無機粉末粒子31の間に形成される。燒結部材3の気孔率はたとえば、30〜82%である。
【0039】
[衝撃吸収構造体の製造方法]
上述の構成を備えた衝撃吸収構造体1は、ラピッドプロトタイピング法、より具体的には、積層造形法を利用して製造される。以下、衝撃吸収構造体1の製造方法の一例を説明する。
【0040】
[積層造形装置の構成]
図5は、衝撃吸収構造体1を製造するための積層造形装置の構成図である。図5を参照して、積層造形装置50は、照射装置51と、調整装置52と、造形室53と、制御装置60とを備える。
【0041】
照射装置51は、積層造形装置50の上部に配置される。照射装置51は、下方に向かって電子ビーム510を照射する。調整装置52は、照射装置51の下方に配置される。調整装置52は、制御装置60の指示に応じて、電子ビーム510を偏向する。これにより、電子ビーム510は所定の領域を照射できる。調整装置52はさらに、電子ビーム510の焦点や非点収差を補正する。これにより、電子ビーム510のフルエンス(単位面積当たりに与えるエネルギ量)が調整される。
【0042】
調整装置52は、非点収差コイル521と、焦点コイル522と、偏向コイル523とを備える。非点収差コイル521は、電子ビーム510の非点収差を補正する。焦点コイル522は、電子ビーム510の焦点を補正する。偏向コイル523は、電子ビーム510を偏向する。つまり、偏向コイル523は、電子ビーム510の照射方向を変更する。
【0043】
造形室53は、調整装置52の下方に配置される。造形室53内では、凝固部材2が形成される。造形室53は、図示しない真空ポンプと接続されている。凝固部材2が製造されるとき、造形室53内は真空に引かれる。
【0044】
造形室53は、一対の粉末供給装置54と、レーキ55と、造形テーブル56と、粉末収納室57と、ベースプレート58とを備える。
【0045】
粉末収納室57は、造形室53の下部中央に配置される。粉末収納室57は、上端に開口を有する筐体状であり、側壁571を有する。造形テーブル56は、粉末収納室57に収納され、上下方向に昇降可能に支持される。造形テーブル56は、図示しないモータにより昇降する。造形テーブル56上には、ベースプレート58が配置される。凝固部材2は、ベースプレート58上に形成される。ベースプレート58により、造形テーブル56上に凝固部材2が結合するのを防止できる。
【0046】
一対の粉末供給装置54は、粉末収納室57よりも上に配置され、かつ、積層造形装置50の上方から見たとき、粉末収納室57を挟んで配置される。粉末供給装置54は凝固部材2及び焼結部材3の原料となる複数の無機粉末粒子31を収納し、制御装置60の指示に応じて複数の無機粉末粒子31を排出する。
【0047】
レーキ55は、粉末収納室57の上端近傍に配置される。レーキ55は、図示しないモータにより水平方向に移動し、一対の粉末供給装置54間を往復する。レーキ55は、水平方向に移動することにより、粉末供給装置54から排出された無機粉末粒子31を粉末収納室57に供給する。粉末収納室57に堆積された複数の無機粉末粒子31により、造形テーブル56上に粉末層35が形成される。レーキ55は、水平方向に移動することにより、粉末層35の表面を平坦に整える。
【0048】
制御装置60は、図示しない中央演算処置装置(CPU)と、メモリと、ハードディスクドライブ(以下、HDDという)とを備える。HDDには、周知のCAD(Computer Aided Design)アプリケーションとCAM(Computer
Aided Manufacturing)アプリケーションとが格納される。制御装置60は、CADアプリケーションを利用して、衝撃吸収構造体1の3次元形状データを作成する。
【0049】
制御装置60はさらに、CAMアプリケーションを利用して、3次元データに基づいて、加工条件データを作成する。積層造形法では、電子ビーム510により形成される複数の凝固部が積層されて凝固部材2が形成される。加工条件データは、各凝固部が形成されるときの加工条件を含む。つまり、加工条件データは、凝固部ごとに作成される。
【0050】
制御装置60は、各加工条件データに基づいて電子ビーム510を制御して各凝固部を形成する。
【0051】
[製造プロセスの詳細]
図6は、衝撃吸収構造体1の製造方法の詳細を示すフロー図である。図6を参照して、初めに、積層造形法により凝固部材2が形成される(S100:造形工程)。続いて、焼結処理により焼結部材3が形成される(S200:焼結工程)。造形工程及び焼結工程を実施することにより、衝撃吸収構造体1が製造される。以下、製造プロセスの詳細を説明する。
【0052】
[造形工程(S100)]
造形工程(S100)において、制御装置60は初めに、CADアプリケーションを用いて衝撃吸収構造体1の3次元データを作成する(S1)。作成された3次元データは制御装置60内のメモリに格納される。続いて、制御装置60はCAMアプリケーションを用いて、3次元データに基づいて加工条件データを作成する(S2)。
【0053】
上述のとおり、加工条件データは、凝固部ごとに作成される。初めに、衝撃吸収構造体1を予め設定された積層数nmax(個)でスライスした場合を想定する。このとき、凝固部材2がスライスされて形成される複数の凝固部の各々の形状は、板状であったり、フレーム状であったり、格子状である。第n層(nは自然数であり、n=1〜nmax)の凝固部の加工条件データは次の方法で作成される。ここで、第1層は最下層であり、第nmax層は最上層である。
【0054】
制御装置60はまず、3次元データに基づいて、第n層における凝固部材2の断面形状データを作成する。続いて、制御装置60は、断面形状データに基づいて、加工条件データを作成する。加工条件データは、領域条件とフルエンス条件とを含む。制御装置60は、断面形状データに基づいて、電子ビームを照射する領域を決定し、領域条件として定義する。続いて、凝固部を形成するために必要なフルエンスに応じて、電子ビーム510の電流値、走査速度、走査間隔値、電子フォーカス値を決定し、フルエンス条件として定義する。フルエンスに関する情報は、無機粉末粒子の組成に対応して、制御装置60内のHDDに予め格納されている。以上の工程により、各層における加工条件データが作成される。作成された複数の加工条件データは、制御装置60内のメモリに格納される。
【0055】
続いて、真空ポンプを用いて、造形室53が真空に引かれる(S3)。造形室53内が真空になった後、造形テーブル56上に配置されたベースプレート58を予熱する(S4)。
【0056】
続いて、制御装置60は、カウンタnを「1」に設定し(S5)、第1層(最下層)の凝固部の作製を開始する(S6〜S8)。
【0057】
制御装置60はまず、粉末層35を形成する(S6)。制御装置60は、一対の粉末供給装置54に対して、複数の無機粉末粒子を排出するよう指示する。一対の粉末供給装置54は、制御装置60からの指示に応じて、複数の無機粉末粒子を排出する。このとき、レーキ55が水平方向に移動して、排出された無機粉末粒子を粉末収納室57に供給する。図7に示すとおり、無機粉末粒子はベースプレート58及び造形テーブル56上に堆積し、粉末層35が形成される。粉末供給装置54内の粉末粒子には、バインダ樹脂粒子は含まれない。そのため、粉末層35は実質的に複数の無機粉末粒子31からなる。レーキ55はさらに、粉末層35の表面上を水平に移動して、粉末層35を平坦に整える。その結果、図7に示すように、粉末層35の表面は平坦になる。
【0058】
次に、制御装置60は、積層造形法における周知の方法で、粉末層35を予熱する(S7)。照射装置51は、低フルエンスを有する電子ビーム510を粉末層35の表面に照射する。このとき、粉末層35は、焼結を生じない程度の温度に上昇する。
【0059】
次に、電子ビーム510により第1層の凝固部を形成する(S8)。制御装置60は、ステップS2で作成された複数の加工条件データのうち、第1層の加工条件データをメモリから読み出す。読み出された加工条件データに基づいて、制御装置60は電子ビーム510を制御する。制御装置60は、加工条件データ内の領域条件に基づいて調整装置52を制御して、粉末層35の所定の領域に電子ビーム510を照射する。制御装置60はさらに、加工条件データ内のフルエンス条件に基づいて照射装置51及び調整装置52を制御して、電子ビーム510のフルエンスを調整する。その結果、電子ビーム510が照射された領域内の無機粉末粒子が溶解して凝固し、図8に示すように第1層の凝固部SO1がベースプレート58上に形成される。粉末層35のうち、凝固部SO1以外の領域に配置された無機粉末粒子31は、溶解しておらず、焼結していない。
【0060】
第1層の凝固部SO1が形成された後、制御装置60は、カウンタがnmaxか否かを判断する(S9)。ここでは、カウンタn=1であるため(S9でNO)、制御装置60はカウンタnをインクリメントしてn+1=2とする(S10)。要するに、制御装置60は、第2層の凝固部SO2の作製を準備する。
【0061】
制御装置60は、造形テーブル56を積層ピッチΔhだけ降下する(S11)。その結果、図9に示すように、粉末層35の表面が、図7及び図8と比較して、Δhだけ低下する。
【0062】
ステップS11が完了した後、ステップS6に戻る。このとき、制御装置60は、凝固部SO1が形成された粉末層35上に、新たな粉末層35を形成する(S6:積層工程)。具体的には、制御装置60の指示に応じて、一対の粉末供給装置54は、再び無機粉末粒子を排出する。このとき、図10に示すように、レーキ55が水平に移動する。その結果、無機粉末粒子が粉末収納室57に供給され、厚さΔhを有する新たな粉末層35が形成される。新たな粉末層35の表面は、レーキ55により平坦に整えられる。
【0063】
続いて、制御装置60は、粉末層35を予熱し(S7)、第2層の凝固部SO2を形成する(S8:形成工程)。このとき、制御装置60は、第n層(ここではn=2)の加工条件データに基づいて、電子ビーム510を粉末層35に照射する。その結果、図11を参照して、電子ビーム510が照射された領域内の無機粉末粒子が溶解して凝固し、凝固部SO2が形成される。このとき、図11に示すとおり、凝固部SO2は凝固部SO1上に積層される。
【0064】
続いて、ステップS9に進み、n=nmaxとなるまで、つまり、最上層の凝固部SOnmaxが形成されるまで、制御装置60は、ステップS6〜ステップS11までの動作を繰り返す。要するに、制御装置60は、凝固部材2が完成するまで、積層工程(S6)と形成工程(S8)とを繰り返す。
【0065】
図12は、第k層(kは自然数、1<k<nmax)の凝固部SOkが形成された後の、製造途中の凝固部材2の鉛直方向の断面図である。図12を参照して、製造途中の凝固部材2は、凝固部SO1〜SOkが積層されて形成される。各凝固部SO1〜SOkは、板状又はフレーム状、格子状である。製造途中の凝固部材2は、凝固筐体20の底壁に相当する凝固壁22と、製造途中の複数の凝固壁210及び220が形成されている。凝固壁210は凝固壁21に対応し、凝固壁220は凝固壁22に対応する。
【0066】
製造途中の凝固部材2にはさらに、複数の無機粉末粒子31が収納される。要するに、凝固工程において、未溶解の無機粉末粒子31は、凝固部材2内に残存する。凝固部材2内に収納された未溶解の無機粉末粒子31は、焼結部材3の原料となる。
【0067】
ステップS6〜ステップS11を繰り返した結果、カウンタn=nmaxであるとき、つまり、最上層nmaxの凝固部SOnmaxが形成されたとき(S9でYES)、図13に示すように、凝固部材2が完成する。図14は、図13中の凝固部材2の鉛直方向の断面図である。図14を参照して、凝固部材2は、複数の収納室23を有する。そして、各収納室23には、複数の無機粉末粒子31が収納される。これらの無機粉末粒子31は、電子ビーム510による熱の影響をほぼ受けていない。そのため、無機粉末粒子31のほとんどは、未溶解であり、焼結されてもいない。つまり、粉末供給装置54から排出される無機粉末粒子31と実質的に同じ粒子形状を保っている。完成された凝固部材2は、粉末層35から取り出され(S12)、造形工程(S100)が完了する。
【0068】
[焼結工程(S200)]
続いて、焼結工程(S200)が実行され、焼結部材3が形成される(S200)。粉末層35から取り出された凝固部材2を焼結炉に装入する。そして、無機粉末粒子の融点未満の焼結温度にて、凝固部材2を加熱する。図14に示すとおり、凝固部材2は、各収納室23に複数の無機粉末粒子を収納する。そのため、焼結温度で加熱されることにより、同じ収納室23内の複数の無機粉末粒子は焼結されてネッキングし、複数のネック32が形成される。以上の工程により、各収納室23内に焼結部材3が形成される。焼結工程中において、焼結部材3は凝固部材2の各凝固壁21及び22に結合する。
【0069】
ネック32の数及び成長は、加熱時間及び/又は加熱温度に応じて調整できる。加熱時間が長ければ、ネック32は多数発生し、各ネック32は太る。そのため、加熱時間が長いほど、焼結部材3内のネック32は太り、無機粉末粒子31とネック32とが棒状又は板状に一体化する。同様に、加熱温度が高ければ、各ネック32は太り、無機粉末粒子31とネック32とが棒状又は板状に一体化する。この場合であっても、焼結部材3内には複数の隙間33が形成される。
【0070】
図15及び図16は上述の製造方法により製造された焼結部材3のSEM画像である。これらのSEM画像は以下の方法により得られた。無機粉末粒子31として、JIS T7401−2:2002に規定されるチタン 6−アルミニウム 4−バナジウム合金を使用した。使用された粉末粒子の粒径は45μm〜100μmであり、平均粒径は65μmであった。上述の造形工程(S100)により、図2に示す形状の凝固部材2を形成した。形成された凝固部材2内には、図14に示すように、複数の無機粉末粒子31が収納された。
【0071】
続いて、焼結工程(S200)を実施した。具体的には、複数の無機粉末粒子31が収納された凝固部材2を焼結炉に入れた。そして凝固部材2を920℃の焼結温度で100時間加熱し、衝撃吸収構造体1を製造した。製造された衝撃吸収構造体の断面をSEM観察し、図15及び図16のSEM画像を得た。
【0072】
図15を参照して、焼結部材3は、複数の無機粉末粒子31と、複数のネック32とを含んだ。複数のネック32は、隣り合う無機粉末粒子31の間に形成された。図16を参照して、ネック32はさらに、凝固壁21と無機粉末粒子31との間にも形成された。つまり、焼結部材3はネック32により、凝固部材2と結合された。また、複数の無機粉末粒子31の間には、複数の隙間33が形成された。なお、焼結部材3の気孔率は、59.8%であった。
【0073】
図17及び図18は、焼結炉における加熱時間を1000時間にして得られた衝撃吸収構造体1のSEM画像である。図17及び図18で得られた衝撃吸収構造体1は、焼結炉における加熱時間以外は図15及び図16と同じ条件で製造された。図17及び図18を参照して、焼結炉における加熱時間が長くなるほど、複数のネック32が形成され、かつ、各ネック32が成長した。
【0074】
以上の製造方法により製造される衝撃吸収構造体1の特徴について、以下に説明する。
【0075】
[衝撃吸収構造体1の特徴]
衝撃吸収構造体1は、凝固部材2と焼結部材3との複合構造体であり、優れた衝撃吸収性を有する。さらに、上述の製造方法により、製造される衝撃吸収構造体1のヤング率や降伏応力を制御することができる。
【0076】
図19は、種々の構造体の応力−歪み曲線を示す図である。図19に示す複数の曲線C1〜C4は、以下の方法により得られた。
【0077】
表1に示す4種類の圧縮試験体を準備した。
【表1】

【0078】
表1を参照して、試験体1は、図2に示す凝固部材2と同じ構成であり、各収納室23内には、無機粉末粒子31が収納されなかった。試験体2は、図14に示す凝固部材2と同じ構成であり、各収納室23内に複数の無機粉末粒子31が充填された。ただし、複数の無機粉末粒子31は、溶解も焼結もしていなかった。
【0079】
試験体3及び試験体4は衝撃吸収構造体1と同じ構成を有し、凝固部材2内に複数の焼結部材3が収納されていた。試験体3及び4はいずれも上述の製造方法により製造された。
【0080】
各試験体1〜4の凝固部材はいずれも、約10mm×10mm×10mmの立方体であった。各凝固壁21及び22の厚さは0.4〜0.6mmであり、隣り合う凝固壁21及び22の間の距離W(図2参照)は、いずれも2.5mmであった。
【0081】
試験体1〜試験体4の凝固部材2と焼結部材3の原料はいずれも、JIS T−7401−2:2002に規定されるチタン 6−アルミニウム 4−バナジウム合金からなる無機粉末粒子であった。試験体3及び試験体4の焼結温度はともに920℃であった。しかしながら、試験体3の加熱時間は100時間であったのに対して、試験体4の加熱時間は1000時間であった。
【0082】
準備された試験体1〜4を用いて、JIS H7902:2008に基づいて圧縮試験を行った。具体的には、インストロン型圧縮試験機を用いて、常温(25℃)の大気中において圧縮試験を実行し、図19に示す応力−歪み曲線を得た。このとき、各試験体1〜4の凝固壁21の延在方向(図1中の上下方向)を圧縮方向とした。
【0083】
図19を参照して、図中の縦軸は応力(MPa)、横軸は歪み(%)を示す。曲線C1は試験体1の応力−歪み曲線である。同様に、曲線C2は試験体2、曲線C3は試験体3、曲線C4は試験体4の応力−歪み曲線である。符号C1〜C4に記載されたE値は、各試験体1〜4のヤング率である。
【0084】
図19を参照して、試験体1(曲線C1)及び試験体2(曲線C2)は、塑性変形したものの、20%未満のひずみで破断した。これに対して、試験体3(曲線C3)及び4(曲線C4)では80%以上の歪みが生じても破断しなかった。さらに、曲線C3及びC4では、歪みが増加しても応力がほぼ一定となるプラトー領域P100を有した。
【0085】
プラトー領域P100では、応力の上昇が抑制される。つまり、プラトー領域を有する試験体3及び試験体4は、塑性変形途中で急激に応力が上昇することなく衝撃吸収エネルギを吸収することができる。したがって、衝撃吸収構造体1は優れた衝撃吸収性を有する。
【0086】
このような衝撃吸収性は、以下の理由によるものと推定される。弾性変形時、主として凝固部材2が圧縮応力を受ける。しかしながら、降伏点以降、凝固部材2が塑性変形を開始する。このとき、複数のネック32及びネック32周囲の無機粉末粒子31が、歪みの増大とともに順次塑性変形する。つまり、凝固部材2、ネック32及びネック32周囲の無機粉末粒子31が塑性変形するため、衝撃吸収構造体1は破断することなく、塑性変形し続ける。さらに、凝固部材2とともにネック32や無機粉末粒子31が塑性変形すると、隙間33が徐々に狭められるものの、隙間33の存在により急速な緻密化は抑制される。そのため、応力が急速に上昇することなく、所定の応力値を保ちながら塑性変形が進行する。塑性変形による焼結部材3の緻密化はゆっくりと進行する。そして、隙間33が実質的になくなる程度の大きな歪みまで、プラトー領域は保たれる。
【0087】
以上のメカニズムにより、衝撃吸収構造体1の応力−歪み曲線では、期間の長いプラトー領域が発生し、衝撃吸収構造体1が衝撃吸収性を有するものと推定される。
【0088】
衝撃吸収構造体1はさらに、焼結温度や焼結時間を調整することにより、衝撃吸収構造体1のヤング率(いわゆる、見かけのヤング率)や降伏応力、衝撃吸収エネルギが調整される。
【0089】
図19を参照して、試験体4は試験体3よりも焼結処理における加熱時間が長かった。そのため、試験体4の降伏応力及びヤング率は、試験体3の降伏応力及びヤング率よりも大きかった。さらに、曲線C3及びC4を比較して、試験体4の衝撃吸収エネルギは、試験体3よりも大きかった。加熱時間が長かったため、複数のネック32が形成され、かつ、各ネック32が成長したためと推定される。
【0090】
つまり、焼結処理における加熱時間に基づいて、衝撃吸収構造体1のヤング率、降伏応力及び衝撃吸収エネルギを調整できる。上述のとおり、加熱時間が長ければ、ネック32は多数発生し、各ネックは成長して太る。そのため、焼結部材3内の無機粉末粒子31間の結合が、より強固になる。ネック32の数及び成長を調整することにより、ヤング率、降伏応力及び衝撃吸収エネルギが調整される。
【0091】
図20は、衝撃吸収構造体1に対する焼結温度の影響を示す応力−歪み曲線である。図20の応力−歪み曲線のうち、曲線C5は、以下の方法で得られた。新たに試験体5を準備した。試験体5は試験体3と比較して、焼結温度が高かった。具体的には、焼結温度が1020℃であった。その他の製造条件は試験体3と同じであった。
【0092】
図20中の曲線C5及び曲線C3を比較して、試験体5の降伏応力は、試験体3よりも高かった。また、曲線C5に基づいて求められた試験体5のヤング率は45GPaであり、試験体3よりも高かった。さらに、試験体5の衝撃吸収エネルギは、試験体3よりも大きかった。焼結温度が高かったため、ネック32の形成及び成長が促進されたためと推定される。
【0093】
以上より、焼結処理における焼結温度及び加熱時間を調整することにより、衝撃吸収構造体1のヤング率、降伏応力及び衝撃吸収エネルギを調整できる。より具体的には、応力−歪み曲線の形状を変化させることができ、プラトー領域の期間を調整したり、所定の歪み量に対応する衝撃吸収エネルギ量を調整できる。
【0094】
さらに、互いに対向する凝固壁21及び22の間の距離W、つまり、収納室23の幅を調整すれば、衝撃吸収構造体1のヤング率、降伏応力及び衝撃吸収エネルギを調整できる。
【0095】
図21は、収納室23の幅(=距離W)の異なる複数の衝撃吸収構造体1の応力−歪み曲線である。図21中の曲線C6及び曲線C7は、以下の方法により得られた。試験体6及び試験体7を準備した。試験体6内の距離Wは10mmであり、試験体4の距離W(=2.5mm)よりも大きかった。一方、試験体7内の距離Wは1mmであり、試験体4の距離Wよりも小さかった。試験体6及び試験体7のその他の製造条件及び圧縮試験方法は、試験体4と同じであった。得られた曲線C6及び曲線C7に基づいて、試験体6及び試験体7のヤング率を求めた。試験体6のヤング率は15GPaであり、試験体7のヤング率は40GPaであった。
【0096】
図21中の曲線C4、C6及びC7を参照して、いずれの曲線でもプラトー領域P100が存在した。したがって、試験体4、6及び7はいずれも、衝撃吸収性を有した。また、試験体6は、試験体4よりも大きい距離Wを有していたため、試験体4よりも小さいヤング率を有し、試験体4よりも小さい衝撃吸収エネルギを有した。一方、試験体7は、試験体4よりも小さい距離Wを有したため、試験体4よりも大きいヤング率を有し、試験体4よりも大きい衝撃吸収エネルギを有した。
【0097】
以上より、焼結温度、加熱時間、凝固壁間の距離Wといった条件を調整することにより、衝撃吸収構造体1のヤング率、降伏応力及び衝撃吸収エネルギを調整することができる。これらの条件は、上述の製造方法により調整することができる。そのため、本実施の形態による製造方法は、製造される衝撃吸収構造体1のヤング率、降伏応力及び衝撃吸収エネルギを容易に調整できる。
【0098】
[衝撃吸収構造体の用途]
上述のとおり、衝撃吸収構造体1は、プラトー領域を含む応力−歪み曲線を有する。そして、製造条件を調整することにより、ヤング率や降伏応力、衝撃吸収エネルギを調整できる。そのため、衝撃吸収性が求められる種々の用途に利用できる。
【0099】
[医用インプラント]
本実施の形態による衝撃吸収構造体はたとえば、医用インプラントとして利用できる。図22及び図23は、人工股関節インプラントとして利用される衝撃吸収構造体の斜視図である。図22及び図23を参照して、衝撃吸収構造体100及び110はたとえば、大腿骨内に挿入され、使用される。衝撃吸収構造体100及び110は、衝撃吸収構造体1と同様に、凝固部材2と焼結部材3とを備える。凝固部材2は、長手方向を有する筒状の凝固筐体20(いわゆるステム部に相当)と、凝固筐体20内部に配置される複数の凝固壁21とを備える。図22中の凝固壁21は、凝固筐体20の長手方向に延び、凝固筐体20の幅方向に配列される。各凝固壁21の端は、他の凝固壁21又は凝固筐体20と結合される。図23中の凝固壁21は、凝固筐体20の長手方向に延びる第1の凝固壁211と、凝固筐体20の幅方向(図中の水平方向)に延びる第2の凝固壁212とを含む。各凝固壁21の端は、他の凝固壁21又は凝固筐体20と結合される。
【0100】
図22及び図23の凝固筐体20はさらに、複数の凝固壁21で区画された複数の収納室23を有する。各収納室23には、焼結部材3が収納される。焼結部材3は、複数のネック32により、各焼結部材3と対向して配置される複数の凝固壁21と結合される。
【0101】
衝撃吸収構造体100及び110は衝撃吸収構造体1と同じく、無機物からなる。好ましくは、凝固部材2及び焼結部材3は、同じ化学組成を有する。好ましくは、無機粉末粒子31は金属からなる。さらに好ましくは、凝固部材2及び焼結部材3は、チタン又はチタン合金からなる。ここで、チタン合金とは、チタンを50質量%以上含有する合金である。
【0102】
さらに好ましくは、衝撃吸収構造体100及び110を形成する無機粉末粒子31は、JIS T7401に規定されるチタン又はチタン合金からなる。より具体的には、凝固部材2及び焼結部材3はたとえば、JIS T7401−2:2002に規定されるチタン 6−アルミニウム 4−バナジウム合金、又は、JIS T7041−4:2009に規定されるチタン 15−ジルコニウム 4−ニオブ 4−タンタル合金からなる。
【0103】
衝撃吸収構造体100及び110は、衝撃吸収構造体1と同じ製造方法で製造される。造形工程(S100)により凝固部材2を製造するため、凝固部材2は種々の形状に製造できる。より具体的には、凝固筐体20を所望の3次元形状に製造できるし、凝固筐体20内の複数の凝固壁21も所望の形状に製造でき、所望の位置に配置することができる。
【0104】
好ましくは、衝撃吸収構造体100及び110は10GPa〜50GPaのヤング率を有する。この場合、衝撃吸収構造体100及び110は、骨のヤング率(10GPa〜30GPa)と同じまたは骨のヤング率に近いヤング率を有することができる。そのため、衝撃吸収構造体100は、骨と近似した力学特性を有することができる。上述のとおり、積層造形法を用いれば、造形工程(S100)において、凝固壁21の厚さや隣り合う凝固壁21間の距離Wを調整でき、衝撃吸収構造体100及び110のヤング率を調整できる。さらに、焼結工程(S200)における焼結温度及び加熱時間を調整すれば、衝撃吸収構造体100及び110のヤング率を調整できる。したがって、これらの製造条件を調整することにより、衝撃吸収構造体100及び110のヤング率を10GPa〜50GPaにすることができる。好ましくは、衝撃吸収構造体のヤング率は30〜50GPaである。
【0105】
以上のとおり、本実施の形態による衝撃吸収構造体は、骨と近似したヤング率を有することができる。さらに、図19〜図21に示すとおり、衝撃吸収構造体の圧縮応力−圧縮歪み曲線はプラトー領域を有するため、衝撃吸収構造体は衝撃吸収性も有する。そのため、本実施の形態による衝撃吸収構造体は、医用インプラントとしての使用に適する。
【0106】
[移動体への利用]
本実施の形態による衝撃吸収構造体はさらに、自動車や航空機、船舶、鉄道等の移動体にも利用できる。上述のとおり、衝撃吸収構造体1のヤング率、降伏応力及び衝撃吸収エネルギは造形工程(S100)及び焼結工程(S200)の製造条件に基づいて、適宜調整できる。そのため、衝撃吸収構造体は、利用される移動体の種類に応じたヤング率及び降伏応力を有し、かつ、プラトー領域を含む応力−歪み曲線を有することができる。衝撃吸収構造体内の焼結部材は隙間33を有するため、衝撃吸収構造体は中実材よりも軽い。
【0107】
[第2の実施の形態]
衝撃吸収構造体は、図1や図22、図23に示す構成に限定されない。図24は第2の実施の形態による衝撃吸収構造体150の斜視図である、図25は図24中のXXV−XXV線での断面図である。図24及び図25を参照して、衝撃吸収構造体150は、衝撃吸収構造体1及び100と同様に、凝固部材2と焼結部材3とを備える。凝固部材2は棒状であり、中実(Solid)である。焼結部材3は、凝固部材2の軸まわりに配置される。つまり、焼結部材3は、筒体状であって、内部に凝固部材2が挿入される。焼結部材3は、凝固部材2と結合される。
【0108】
衝撃吸収構造体150の製造方法の一例を以下に説明する。図26は、衝撃吸収構造体150の製造方法の一例を示すフロー図である。図26の製造方法は、図6の製造方法と比較して、新たにステップS201とステップS801とを含む。また、図26の製造方法は図6中のステップS200の焼結工程を含まない。図26中のその他のステップは、図6と同じである。
【0109】
第1の実施の形態による製造方法は、造形工程(S100)と焼結工程(S200)とを含む。これに対して、本実施の形態による製造方法は、焼結工程(S200)を含まない。つまり、本実施の形態による製造方法は、積層造形装置50内で凝固部材2と焼結部材3とを製造する。
【0110】
具体的には、積層造形装置50は、複数の凝固部SO1〜SOnmaxを形成するとともに、複数の焼結部SI1〜SInmaxを形成する。焼結部SInは凝固部SOnと同じ粉末層35で形成される。つまり、積層造形装置50は、新たな粉末層35が形成されたとき、新たな粉末層35に、凝固部SOn及び焼結部SInを含む衝撃吸収部Unを形成する。複数の衝撃吸収部U1〜Unmaxが積層されると、衝撃吸収構造体150が完成する。このとき、凝固部材2は、複数の凝固部SO1〜SOnmaxで構成され、焼結部材3は、複数の焼結部SI1〜SInmaxで構成される。以下、本実施の形態による製造方法を詳述する。
【0111】
図26を参照して、初めに、制御装置60は、衝撃吸収構造体150の3次元形状データを作成する(S1)。作成された3次元形状データは、凝固部材2の形状データと、焼結部材3の形状データとを含む。
【0112】
次に、制御装置60は、3次元形状データに基づいて、凝固部材2を形成する複数の凝固部SO1〜SOnmaxの加工条件データを作成する(S2)。制御装置60はさらに、焼結部材3を形成する複数の焼結部SI1〜SInmaxの加工条件データを作成する(S201)。制御装置60は、3次元データに基づいて、第n層における焼結部材3の断面形状データを作成する。続いて、制御装置60は、断面形状データに基づいて、加工条件データを作成する。加工条件データの設定方法は、ステップS2と同じである。ただし、焼結部SInを形成するときの電子ビーム510のフルエンスは、凝固部SOnを形成するときの電子ビーム510のフルエンスよりも小さくする。無機粉末粒子31を溶解させずに焼結させるためである。
【0113】
ステップS201で作製された焼結部SInの加工条件データは、制御装置60内のメモリに格納される。
【0114】
続いて、制御装置60は、ステップS3〜ステップS5の動作を実行し、さらに、粉末層35を形成する(ステップS6:積層工程)。そして、制御装置60は、第1層の衝撃吸収部U1を形成する(S7、S8及びS801:形成工程)。
【0115】
制御装置60はまず、粉末層35を予熱する(S7)。続いて、制御装置60は、凝固部SO1の加工条件データをメモリから読み出し、凝固部SO1を形成する(S8)。続いて、制御装置60は、焼結部SI1の加工条件データをメモリから読み出し、焼結部SI1を形成する(S801)。
【0116】
焼結部SI1は次のとおりに製造される。制御装置60は、加工条件データに基づいて、電子ビーム510を制御する。制御装置60は、加工条件データ内の領域条件に基づいて調整装置52を制御して、粉末層35の所定の領域に電子ビーム510を照射する。このとき、制御装置60は、加工条件データ内のフルエンス条件に基づいて、ステップS8で照射される電子ビームよりも低いフルエンスを有する電子ビームを照射する。電子ビーム510が照射された領域内の複数の無機粉末粒子は、融点未満の温度に上昇し、焼結される。その結果、焼結部SI1が形成される。焼結時、焼結部SI1は、隣接する凝固部SO1に結合される。
【0117】
以上の造形工程により、粉末層35に衝撃吸収部U1が形成される。以降、制御装置60は、第nmax層の衝撃吸収部Unmaxが形成されるまで(S9)、積層工程(S6)と形成工程(S7、S8及びS801)とを繰り返す。第nmax層の衝撃吸収部Unmaxが形成されたとき(S9でYES)、衝撃吸収構造体150が完成する。完成された衝撃吸収構造体150は、粉末層35から取り出される(S12)。
【0118】
なお、図26ではステップS8を先に実行し、その後ステップS801を実行しているが、ステップS801を先に実行し、ステップS8を後に実行してもよい。
【0119】
以上の製造方法により製造された衝撃吸収構造体150は、衝撃吸収構造体1と同様に、優れた衝撃吸収性を備える。
【0120】
図27は、衝撃吸収構造体150の応力−歪み曲線を示す図である。図27は、以下の方法により得られた。試験体8と試験体9とを準備した。試験体8及び9の形状は、5mm×5mm×8mmの直方体であった。試験体8の凝固部材2の形状は、1mm×1mm×8mmの直方体であり、試験体8の中心に配置された。
【0121】
試験体8は、図26に示す製造方法により製造された。試験体8は、図24及び図25に示す構成を有し、衝撃吸収構造体150に対応した。一方、試験体9は、無機粉末粒子を冷間プレスにより押し固めて製造された。試験体8及び試験体9ともに、原料となる無機粉末粒子は、JIS T7401−2:2002に規定されるチタン 6−アルミニウム 4−バナジウム合金であった。
【0122】
製造された試験体8及び9に対して、試験体1〜7と同じ方法で圧縮試験を実施し、図27に示す応力−歪み曲線を得た。
【0123】
図27を参照して、曲線C8が試験体8の応力−歪み曲線であり、曲線Cが試験体9の応力−歪み曲線である。試験体8のヤング率を図27に示す。試験体9は、無機粉末粒子を押し固めたのみであるため、非常に低い応力で降伏し、衝撃吸収性を示さなかった。一方、試験体8は、試験体9よりもヤング率E及び降伏応力が高かった。ただし、ヤング率は10GPaであり、骨のヤング率に近い値を示した。さらに、曲線C8はプラトー領域P100を有した。したがって、ステップS801を実施して凝固部材3を形成することにより、低ヤング率及び衝撃吸収性が得られた。
【0124】
以上の結果から、衝撃吸収構造体150は、衝撃吸収構造体1と同様に、衝撃吸収性を有する。また、衝撃吸収構造体150は、軽量であり、かつ、低ヤング率を有することができ、医用インプラントに適する。
【0125】
上述の第1及び第2の実施の形態による衝撃吸収構造体の形状は、図1、図22〜図25に限定されない。図28に衝撃吸収構造体の他の一例を示す。図28を参照して、衝撃吸収構造体160の凝固部材2は、互いに対向して配置される2枚の凝固壁250と、2枚の凝固壁250の間に配置される複数の凝固壁251とを含む。そして、凝固壁250と251には、複数の凝固部材3が収納される。以上のような形状の衝撃吸収構造体160は、図26に示す製造方法により製造できる。
【0126】
衝撃吸収構造体の凝固部材2の形状はさらに、図24及び図25に示す棒状であってもよいし、1枚の板状であってもよい。凝固部材2はさらに、複数の棒が組み合わさったフレーム状であってもよいし、格子状であってもよい。凝固部材2はさらに、球体状であってもよい。要するに、本実施の形態による衝撃吸収構造体は、形状が特に限定されない凝固部材2と、凝固部材2に結合する燒結部材3とを含んでいればよい。これらの衝撃吸収構造体は、図26に示す製造方法により製造できる。
【0127】
なお、衝撃吸収構造体1、100及び110は、図26に示す製造方法でも製造できる。
【0128】
図1や図22、図23に示すように、凝固部材2が凝固筐体20を含む場合、凝固筐体20の形状は特に限定されない。凝固筐体20は図1に示すように直方体であってもよいし、図22や図23に示すように、曲面を有してもよい。凝固筐体20は、積層造形法により形成されるため、形状は特に限定されない。
【0129】
凝固筐体20はさらに、完全に密閉されていなくてもよい。たとえば、凝固筐体20の外壁に相当する凝固壁22に1又は複数の貫通孔が形成されていてもよい。また、凝固筐体20の内壁に相当する凝固壁21に貫通孔が形成されてもよい。各凝固壁21及び22は、複数の棒が組み合わさった格子状であってもよい。
【0130】
上述の第1及び第2の実施の形態による製造方法では、電子ビーム510により無機粉末粒子31を溶解して凝固部材2を製造する。しかしながら、電子ビーム510に代えて、COレーザや、YAGレーザ、半導体レーザ等のレーザビームにより無機粉末粒子31を溶解してもよい。要するに、無機粉末粒子31はビームにより溶解され、凝固部材2が形成される。
【0131】
また、上述の第2の実施の形態による製造方法(図26)では、ステップS8よりも前にステップS801を実施し、ステップS801の後、ステップS8を実施してもよい。つまり、先に焼結部を形成し、その後凝固部を形成してもよい。この場合、焼結部材3は、処決部材3及び/又は凝固部材2の一部が溶解することにより、凝固部材2と結合する。
【0132】
第1及び第2の実施の形態で使用される複数の無機粉末粒子31は、化学組成の異なる複数種類の無機粉末粒子が混合されていてもよいし、互いに同じ化学組成を有してもよい。
【0133】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明による衝撃吸収構造体は、衝撃吸収性が要求される分野に利用可能である。特に、自動車や航空機、船舶、鉄道等の移動体や、医用インプラントに利用可能である。
【符号の説明】
【0135】
1,100,110,150,160 衝撃吸収構造体
2 凝固部材
3 焼結部材
20 凝固筐体
21,210,211,212,220,250 凝固壁
23 収納室
31 無機粉末粒子
32 ネック
33 隙間
35 粉末層
50 積層造形装置
SIn 焼結部
SOn 凝固部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無機粉末粒子が溶解されて形成される凝固部材と、
複数の前記無機粉末粒子が焼結されて形成され、前記凝固部材と結合される焼結部材とを備える、衝撃吸収構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の衝撃吸収構造体であって、
前記焼結部材は、
複数の前記無機粉末粒子の間に形成される複数のネックと、
複数の前記無機粉末粒子の間に形成される隙間とを含む、衝撃吸収構造体。
【請求項3】
請求項2に記載の衝撃吸収構造体であって、
前記凝固部材は、凝固筐体を備え、
前記焼結部材は、前記凝固筐体に収納され、前記凝固筐体と結合される、衝撃吸収構造体。
【請求項4】
請求項3に記載の衝撃吸収構造体であって、
前記凝固部材はさらに、
前記凝固筐体内に形成される凝固壁と、
前記凝固筐体内に配置され、前記凝固壁により区画される複数の収納室とを備え、
前記衝撃吸収構造体は、
前記収納室に収納され、前記凝固筐体及び/又は前記凝固壁と結合される、複数の前記焼結部材を備える、衝撃吸収構造体。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の衝撃吸収構造体であって、
積層造形法により複数の凝固部を順次積層して、複数の前記無機粉末粒子を収納する前記凝固部材が形成され、
形成された前記凝固部材を前記無機粉末粒子の融点未満の焼結温度で加熱して前記焼結部材が形成される、衝撃吸収構造体。
【請求項6】
請求項3又は請求項4に記載の衝撃吸収構造体であって、
積層造形法により複数の衝撃吸収部を順次積層して製造され、
前記各衝撃吸収部は、
複数の前記無機粉末粒子からなる粉末層に第1ビームを照射して、前記粉末層の第1領域を溶解して形成される凝固部と、
前記第1ビームよりも低いフルエンスを有する第2ビームを前記粉末層に照射して前記粉末層の第1領域と異なる第2領域を焼結して形成される焼結部とを含む、衝撃吸収構造体。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の衝撃吸収構造体であって、
前記無機粉末粒子は金属からなる、衝撃吸収構造体。
【請求項8】
請求項7に記載の衝撃吸収構造体であって、
前記凝固部材は、前記焼結部材と同じ組成を有する、衝撃吸収構造体。
【請求項9】
請求項8に記載の衝撃吸収構造体であって、
前記凝固部材及び焼結部材は、チタン合金からなる、衝撃吸収構造体。
【請求項10】
請求項9に記載の衝撃吸収構造体であってさらに、
10〜50GPaのヤング率を有する、衝撃吸収構造体。
【請求項11】
複数の無機粉末粒子が溶解されて形成される凝固部材と、複数の前記無機粉末粒子が焼結されて形成される焼結部材とを備える衝撃吸収構造体の製造方法であって、
複数の前記無機粉末粒子からなる粉末層を形成する工程と、
前記粉末層の所定領域にビームを照射して前記無機粉末粒子を溶解し、凝固部を形成する工程と、
前記凝固部が形成された前記粉末層上に前記複数の無機粉末粒子からなる新たな粉末層を積層する積層工程と、
前記新たな粉末層の所定領域にビームを照射して新たな凝固部を形成する形成工程と、
前記積層造形及び前記形成工程を繰り返して、積層された複数の前記凝固部からなり、複数の無機粉末粒子を収納する凝固部材を形成する工程と、
前記凝固部材を前記粉末層から取り出す工程と、
前記無機粉末粒子の融点未満の焼結温度で、取り出された前記凝固部材の加熱し、前記焼結部材を形成する工程とを備える、衝撃吸収構造体の製造方法。
【請求項12】
複数の無機粉末粒子が溶解されて形成される凝固部材と、複数の前記無機粉末粒子が焼結されて形成される焼結部材とを備える衝撃吸収構造体の製造方法であって、
複数の無機粉末粒子からなる粉末層を形成する工程と、
前記粉末層の第1領域に第1ビームを照射して複数の前記無機粉末粒子を溶融し、凝固部を形成する工程と、
前記粉末層の前記第1領域と異なる第2領域に前記第1ビームよりも低いフルエンスを有する第2ビームを照射して複数の前記無機粉末粒子を焼結し、焼結部を形成する工程と、
前記凝固部及び焼結部が形成された粉末層上に、新たな粉末層を積層する積層工程と、
前記新たな粉末層で前記凝固部及び前記焼結部を形成する形成工程と、
前記積層工程及び形成工程を繰り返し、積層された複数の凝固部からなる前記凝固部材と、積層された複数の焼結部からなる前記焼結部材とを含む前記衝撃吸収構造体を形成する工程とを備える、衝撃吸収構造体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2011−136083(P2011−136083A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298803(P2009−298803)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(508282465)ナカシマメディカル株式会社 (22)
【Fターム(参考)】