説明

衝突予測装置

【課題】自車の前方に検出されたターゲットの自車に対する相対位置に応じて、当該ターゲットが自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを予測し、自車とターゲットとの衝突可能性を適切に推定する衝突予測装置を提供する。
【解決手段】本発明の衝突予測装置は、自車の前方にターゲットを検出するターゲット検出手段と、ターゲットの自車に対する相対位置を算出する相対位置算出手段と、当該相対位置に基づいて、ターゲットが、自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを示す通過予測情報を設定する通過予測情報設定手段と、相対位置の変化を監視する相対位置監視手段と、相対位置の変化に基づいて、通過予測情報設定手段によって設定された通過予測情報を変更する通過予測情報変更手段と、通過予測情報に基づいて、自車とターゲットとの衝突可能性を推定する衝突可能性推定手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車と、当該自車が検出したターゲットとの衝突の危険性を予測する衝突予測装置に関し、より特定的には、自車の前方に検知されたターゲットが当該自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを予測し、自車とターゲットとの衝突可能性を推定する衝突予測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行車線を走行中の車両は、自車の前方にターゲットを検出し、自車とターゲットとの衝突を予測して、当該衝突の予測結果に基づいて自車とターゲットとの衝突を回避するプリクラッシュセーフティシステムを備えている。自車の前方に検出されたターゲットの自車に対する相対位置、および相対速度等に基づいて、自車とターゲットとの衝突を予測している。
【0003】
さらに、例えば、自車の走行車線の対向車線を走行する対向車両が、センターラインをはみ出して自車に衝突するような場合を想定し、自車と対向車両との衝突を予測する衝突予測装置が求められている。ここで、国および地域によって通行方向規制は様々であり、衝突予測装置は、自車と対向車両との衝突を予測する際、自車の走行車線が左側通行規制道路であるか、または右側通行規制道路であるかを示す通行方向規制情報を取得する必要がある。
【0004】
特許文献1には、自車の走行車線が左側通行規制道路であるか、または右側通行規制道路であるかを自動的に検出する方法が開示されている。より詳細には、特許文献1に記載の検出方法は、自車と、当該自車の走行車線の対向車線を走行する対向車両との横間隔を取得し、当該横間隔毎に何台の対向車両が検出されたかを示す度数分布を生成する。そして、当該度数分布の重心に基づいて、当該自車の走行車線が左側通行規制道路であるか、または右側通行規制道路であるかを自動的に検出している。換言すれば、特許文献1に記載の検出方法は、検出された対向車両の統計情報に基づいて、当該自車の走行車線が左側通行規制道路であるか、または右側通行規制道路であるかを自動的に検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−105864号公報
【特許文献2】特開2010−44461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の検出方法では、通行方向規制が異なる国および地域毎に、対向車両の統計情報を取得して、自車の走行車線が左側通行規制道路であるか、または右側通行規制道路であるかを判定する必要がある。換言すれば、通行方向規制が一定でない道路環境では、特許文献1に記載の検出方法では、自車の走行車線が左側通行規制道路であるか、または右側通行規制道路であるかを判定することは困難である。
【0007】
例えば、対向車両の交通量が少ない場合は、対向車両の統計情報を取得する時間がかかり、また、取得する対向車両の統計情報が少ない場合は、自車の走行車線が左側通行規制道路であるか、または右側通行規制道路であるかを示す通行方向規制情報を正確に判定できない。
【0008】
それ故に、本発明の目的は、自車の前方に検出されたターゲットの自車に対する相対位置に応じて、当該ターゲットが自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを示す通過予測情報を取得することによって、国および地域における通行方向規制の影響を受けないで正確な通過予測情報を取得し、自車とターゲットとの衝突可能性を適切に推定する衝突予測装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の衝突予測装置は、自車と、当該自車が検出したターゲットとの衝突の危険性を予測する衝突予測装置であって、自車の前方にターゲットを検出するターゲット検出手段と、ターゲット検出手段によって検出されたターゲットの自車に対する相対位置を算出する相対位置算出手段と、相対位置算出手段によって算出された相対位置に基づいて、ターゲットが、自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを示す通過予測情報を設定する通過予測情報設定手段と、相対位置の変化を監視する相対位置監視手段と、相対位置監視手段によって監視されている相対位置の変化に基づいて、通過予測情報設定手段によって設定された通過予測情報を変更する通過予測情報変更手段と、通過予測情報に基づいて、自車とターゲットとの衝突可能性を推定する衝突可能性推定手段とを備える。
かかる構成により、自車の前方に検出されたターゲットの自車に対する相対位置を監視し、当該相対位置の変化に応じて、当該ターゲットが自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを示す通過予測情報を変更するため、国および地域における通行方向規制の影響を受けないで正確な通過予測情報を取得することができ、自車とターゲットとの衝突可能性を適切に推定することができる。
さらに、衝突可能性推定手段は、自車の前方に検出されたターゲット毎の通過予測情報に基づいて、自車と当該ターゲットとの衝突可能性を推定するため、国および地域毎における通行方向規制を判定しなくてよい。つまり、国および地域における通行方向規制情報を取得するための統計情報を収集する必要がなく、その結果、統計情報を収集する時間を必要とせず、さらに、統計情報を蓄積するメモリ容量も必要としない。
【0010】
好ましい通過予測情報設定手段は、ターゲットが、自車を起点として自車の進行方向に延ばした基準線の左側に存在するか、または右側に存在するかを判定し、当該判定結果に基づいて、通過予測情報を設定し、通過予測情報変更手段は、相対位置監視手段によって監視されている相対位置の変化を示す相対位置軌跡が基準線を横断した場合、通過予測情報設定手段によって設定された通過予測情報を変更することを特徴とする。
かかる構成により、相対位置監視手段によって監視されている相対位置の変化を示す相対位置軌跡が、自車を起点として自車の進行方向に延ばした基準線を横断するか否かに基づいて、通過予測情報設定手段によって設定された通過予測情報を変更するため、国および地域における通行方向規制の影響を受けないで正確な通過予測情報を取得することができ、自車とターゲットとの衝突可能性を適切に推定することができる。
【0011】
また、典型的には、ターゲット検出手段は、自車に対向する車両をターゲットとして検出し、通過予測情報設定手段は、通過予測情報に基づいて、自車の走行車線が左側通行規制道路であるか、または右側通行規制道路であるかを示す通行方向規制情報を設定し、通過予測情報変更手段は、相対位置監視手段によって監視されている相対位置の変化に基づいて、通過予測情報設定手段によって設定された通行方向規制情報を変更することを特徴とする。
かかる構成により、自車に対向する車両をターゲットとして検出し、当該ターゲットの自車に対する相対位置を監視し、当該相対位置の変化に応じて、自車の走行車線が左側通行規制道路であるか、または右側通行規制道路であるかを示す通行方向規制情報を変更するため、国および地域における通行方向規制の影響を受けないで正確な通過予測情報を取得することができ、自車とターゲットとの衝突可能性を適切に推定することができる。
【0012】
また、好ましい衝突可能性推定手段は、通過予測情報に基づいて、自車とターゲットとの間に、自車の進行方向に沿った仮想の基準線である仮想センターラインを生成する仮想センターライン生成手段と、相対位置監視手段によって監視されている相対位置の変化に基づいて、ターゲットが仮想センターラインを超えて自車の走行車線に進入するか否かを判定する進入判定手段とを含み、進入判定手段によってターゲットが仮想センターラインを超えて自車の走行車線に進入すると判定された場合、自車とターゲットとの衝突可能性があると推定することを特徴とする。
かかる構成により、通過予測情報に基づいて、自車とターゲットとの間に、自車の進行方向に沿った仮想の基準線である仮想センターラインを生成するため、適正な位置に仮想センターラインを生成することができ、ターゲットが仮想センターラインを超えて自車の走行車線に進入するか否かを判定することによって、自車とターゲットとの衝突可能性を適切に推定することができる。
【0013】
さらに、好ましい仮想センターライン生成手段は、通過予測情報設定手段によって通過予測情報が設定された後、予め設定された所定のタイミングで、仮想センターラインを生成し、通過予測情報変更手段によって通過予測情報が変更された場合、当該変更された通過予測情報に基づいて、仮想センターラインを再生成することを特徴とする。
かかる構成により、通過予測情報変更手段によって通過予測情報が変更された場合、当該変更された通過予測情報に基づいて、仮想センターラインを再生成し、ターゲットが当該再生成された仮想センターラインを超えて自車の走行車線に進入するか否かを判定することによって、自車とターゲットとの衝突可能性を適切に推定することができる。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の通過予測装置は、自車が検出したターゲットが当該自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを予測する通過予測装置であって、自車の前方にターゲットを検出するターゲット検出手段と、ターゲット検出手段によって検出されたターゲットの自車に対する相対位置を算出する相対位置算出手段と、相対位置算出手段によって算出された相対位置に基づいて、ターゲットが、自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを示す通過予測情報を設定する通過予測情報設定手段と、相対位置の変化を監視する相対位置監視手段と、相対位置監視手段によって監視されている相対位置の変化に基づいて、通過予測情報設定手段によって設定された通過予測情報を変更する通過予測情報変更手段と、通過予測情報を通知する通過予測情報通知手段とを備える。
かかる構成により、自車の前方に検出されたターゲットの自車に対する相対位置を監視し、当該相対位置の変化に応じて、当該ターゲットが自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを示す通過予測情報を変更するため、国および地域における通行方向規制の影響を受けないで正確な通過予測情報を取得することができる。
さらに、通過予測情報通知手段は、自車の前方に検出されたターゲット毎の通過予測情報を通知するため、対向車両の統計情報を取得する必要がない。つまり、対向車両の交通量に影響されず、また、統計情報を格納するためのメモリ等も必要ない。
【0015】
好ましい通過予測情報設定手段は、ターゲットが、自車を起点として自車の進行方向に延ばした基準線の左側に存在するか、または右側に存在するかを判定し、当該判定結果に基づいて、通過予測情報を設定し、通過予測情報変更手段は、相対位置監視手段によって監視されている相対位置の変化を示す相対位置軌跡が基準線を横断した場合、通過予測情報設定手段によって設定された通過予測情報を変更することを特徴とする。
かかる構成により、相対位置監視手段によって監視されている相対位置の変化を示す相対位置軌跡が、自車を起点として自車の進行方向に延ばした基準線を横断するか否かに基づいて、通過予測情報設定手段によって設定された通過予測情報を変更するため、国および地域における通行方向規制の影響を受けないで正確な通過予測情報を取得することができる。
【0016】
また、典型的には、ターゲット検出手段は、自車に対向する車両をターゲットとして検出し、通過予測情報設定手段は、通過予測情報に基づいて、自車の走行車線が左側通行規制道路であるか、または右側通行規制道路であるかを示す通行方向規制情報を設定し、通過予測情報変更手段は、相対位置監視手段によって監視されている相対位置の変化に基づいて、通過予測情報設定手段によって設定された通行方向規制情報を変更することを特徴とする。
かかる構成により、自車に対向する車両をターゲットとして検出し、当該ターゲットの自車に対する相対位置を監視し、当該相対位置の変化に応じて、自車の走行車線が左側通行規制道路であるか、または右側通行規制道路であるかを示す通行方向規制情報を変更するため、国および地域における通行方向規制の影響を受けないで正確な通過予測情報を取得することができる。
【0017】
また、上記目的を達成するために、上述した本発明の衝突予測装置の各構成が行うそれぞれの処理は、一連の処理手順を与える衝突予測方法として捉えることができる。この方法は、一連の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムの形式で提供される。このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で、コンピュータに導入されてもよい。
【発明の効果】
【0018】
上述のように、本発明の衝突予測装置によれば、自車の前方に検出されたターゲットの自車に対する相対位置に応じて、当該ターゲットが自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを示す通過予測情報を取得するため、正確な通過予測情報を取得することができ、自車とターゲットとの衝突可能性を適切に推定することができる。
【0019】
また、本発明の衝突予測装置によれば、自車の前方に検出されたターゲットが自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを示す通過予測情報に基づいて、自車とターゲットとの衝突可能性を推定するため、国および地域毎における通行方向規制を判定しなくてよい。つまり、国および地域における通行方向規制情報を取得するための統計情報を収集する必要がなく、その結果、統計情報を収集する時間を必要とせず、さらに、統計情報を蓄積するメモリ容量も必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る衝突予測装置100を示す図
【図2】自車に搭載されたレーダセンサによってターゲットが検出される様子を示す図
【図3A】ターゲットの検出範囲を左前方および右前方の広範囲とするレーダセンサによってターゲットが検出される様子を示す図
【図3B】ターゲットの自車に対する相対位置が変化する様子を示す図
【図4A】自車の左前方にターゲットが検出される様子を示す図
【図4B】ターゲットの自車に対する相対位置が変化し、相対位置軌跡が基準線を横断する様子を示す図
【図5】自車と、自車の前方に検出したターゲットとの間に、仮想センターラインを生成する様子を示す図
【図6A】自車と、自車の前方に検出したターゲットとの間に、カーブ路に沿った仮想センターラインを生成する様子を示す図
【図6B】自車と、自車の前方に検出したターゲットとの間に生成した仮想センターラインを再生成しない様子を示す図
【図7A】自車と、自車の前方に検出したカーブ路におけるターゲットとの間に、仮想センターラインを生成する様子を示す図
【図7B】自車と、自車の前方に検出したターゲットとの間に生成した仮想センターラインを再生成する様子を示す図
【図8】本発明の一実施形態に係る衝突予測装置100の通過予測手段110が実行する通過予測方法200を示す図
【図9】本発明の一実施形態に係る衝突予測装置100の衝突可能性推定手段120が実行する衝突可能性推定方法300を示す図
【図10】ターゲットが自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを判定する基準となる基準線を、曲線で規定する場合を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る衝突予測装置100を示す図である。図1において、衝突予測装置100は、通過予測手段110と、衝突可能性推定手段120とを備える。さらに、通過予測手段110は、ターゲット検出手段111と、相対位置算出手段112と、通過予測情報設定手段113と、相対位置監視手段114と、通過予測情報変更手段115と、通過予測情報通知手段116とを備える。衝突可能性推定手段120は、仮想センターライン生成手段121と、進入判定手段122とを備える。なお、これらの手段における各機能は、典型的には、衝突予測ECU(Electronic Control Unit)によって制御される。
【0022】
通過予測手段110は、前方に検出したターゲットが自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを示す通過予測情報を取得し、当該通過予測情報を衝突可能性推定手段120に通知する。
【0023】
詳細には、ターゲット検出手段111は、自車の前方にターゲットを検出する。例えば、レーダセンサによって前方のターゲットを検出すればよい。図2は、自車に搭載されたレーダセンサによってターゲットが検出される様子を示す図である。図2において、自車に搭載されたレーダセンサの検出範囲A1において、自車の前方のターゲットである対向車両が検出されている。
【0024】
なお、図2では、自車の前方のターゲットを検出するためのレーダセンサが1つ搭載されているが、ターゲットの検出範囲を左前方および右前方の広範囲とするためのレーダセンサをさらに搭載してもよい。図3Aは、ターゲットの検出範囲を左前方および右前方の広範囲とするレーダセンサによってターゲットが検出される様子を示す図である。図3Aにおいて、自車に搭載されたレーダセンサの検出範囲A2において、自車の左前方のターゲットである対向車両が検出されている。
【0025】
相対位置算出手段112は、ターゲット検出手段111によって検出されたターゲットの自車に対する相対位置を算出する。具体的には、図2において、相対位置算出手段112は、自車位置P0を原点とし、ターゲット検出手段111によって検出されたターゲット位置P1の座標(初期座標)を算出すればよい。同様に、図3Aにおいて、相対位置算出手段112は、自車位置P0を原点とし、ターゲット検出手段111によって検出されたターゲット位置PL1の座標(初期座標)を算出すればよい。
【0026】
通過予測情報設定手段113は、相対位置算出手段112によって算出された相対位置に基づいて、ターゲットが、自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを示す通過予測情報を設定する。
【0027】
具体的には、図2において、通過予測情報設定手段113は、自車位置P0を起点として自車の進行方向に基準線BLを生成する。そして、通過予測情報設定手段113は、ターゲット検出手段111によって検出されたターゲット位置P1の座標(初期座標)が、当該基準線BLの左側に存在するか、または右側に存在するかを判定する。ここでは、ターゲット位置P1の座標(初期座標)が、基準線BLの左側に存在するため、通過予測情報設定手段113は、ターゲットが自車の左側を通過することを示す通過予測情報を設定する。
【0028】
同様に、図3Aにおいて、通過予測情報設定手段113は、自車位置P0を起点として自車の進行方向に基準線BLを生成する。そして、通過予測情報設定手段113は、ターゲット検出手段111によって検出されたターゲット位置PL1の座標(初期座標)が、当該基準線BLの左側に存在するか、または右側に存在するかを判定する。ここでは、ターゲット位置PL1の座標(初期座標)が、基準線BLの左側に存在するため、通過予測情報設定手段113は、ターゲットが自車の左側を通過することを示す通過予測情報を設定する。
【0029】
なお、図2および図3Aにおいて、基準線BLは直線としたが、これに限定されるものではない。例えば、ステアリングセンサ等によって自車の操舵角を検出し、自車がカーブ路を走行していると判定した場合は、基準線BLを当該カーブ路に沿った曲線として生成しても構わない。
【0030】
相対位置監視手段114は、相対位置算出手段112によって算出された相対位置の変化を監視する。具体的には、図3Aに示した自車とターゲットである対向車両とが走行して、当該ターゲットの自車に対する相対位置が変化する。図3Bは、ターゲットの自車に対する相対位置が変化する様子を示す図である。図3Bにおいて、図3Aに示したターゲット検出手段111によって検出されたターゲット位置PL1の座標(初期座標)が、自車とターゲットである対向車両とが走行することによって、自車位置P0を原点とし、ターゲット位置PL2の座標に変化する。相対位置監視手段114は、ターゲット位置の座標がPL1からPL2に変化する相対位置軌跡TLを監視している。
【0031】
通過予測情報変更手段115は、相対位置監視手段114によって監視されている相対位置の変化(相対位置軌跡TL)に基づいて、通過予測情報設定手段113によって設定された通過予測情報を変更する。
【0032】
先ず、図3Aおよび図3Bに示した場合について説明する。上述したように、図3Aおよび図3Bでは、ターゲット位置PL1の座標(初期座標)が、基準線BLの左側に存在するため、通過予測情報設定手段113は、ターゲットが自車の左側を通過することを示す通過予測情報を設定している。そして、図3Bに示した相対位置軌跡TLが基準線BLを横断したか否かを判定する。ここでは、相対位置軌跡TLが基準線BLを横断していないため、通過予測情報変更手段115は、通過予測情報設定手段113によって設定された通過予測情報を変更しない。
【0033】
次に、相対位置軌跡TLが基準線BLを横断する場合について説明する。図4Aは、自車の左前方にターゲットが検出される様子を示す図である。図4Aにおいて、図3Aと同様に、自車に搭載されたレーダセンサの検出範囲A2において、自車の左前方のターゲットである対向車両が検出されている。ここで、ターゲット位置PL1の座標(初期座標)が、基準線BLの左側に存在するため、通過予測情報設定手段113は、ターゲットが自車の左側を通過することを示す通過予測情報を設定している。
【0034】
図4Bは、ターゲットの自車に対する相対位置が変化し、相対位置軌跡が基準線を横断する様子を示す図である。図4Bにおいて、図4Aに示したターゲット検出手段111によって検出されたターゲット位置PL1の座標(初期座標)が、自車とターゲットである対向車両とが走行することによって、自車位置P0を原点とし、ターゲット位置PL2の座標に変化する。そして、図4Bに示した相対位置軌跡TLが基準線BLを横断したか否かを判定する。ここでは、相対位置軌跡TLが基準線BLを横断しているため、通過予測情報変更手段115は、通過予測情報設定手段113によって設定された通過予測情報を、ターゲットが自車の右側を通過することを示す通過予測情報に変更する。
【0035】
通過予測情報通知手段116は、通過予測情報設定手段113によって設定された通過予測情報、または通過予測情報変更手段115によって変更された通過予測情報を衝突可能性推定手段120に通知する。
【0036】
衝突可能性推定手段120は、通過予測情報通知手段116から通知された通過予測情報に基づいて、自車とターゲットとの衝突可能性を推定する。
【0037】
詳細には、仮想センターライン生成手段121は、通過予測情報通知手段116から通知された通過予測情報に基づいて、自車とターゲットとの間に、自車の進行方向に沿った仮想の基準線である仮想センターラインを生成する。図5は、自車と、自車の前方に検出したターゲットとの間に、仮想センターラインを生成する様子を示す図である。図5において、仮想センターライン生成手段121は、通過予測情報が通過予測情報通知手段116から通知された後、予め設定された所定のタイミングで、仮想センターラインCLを生成する。仮想センターラインCLは、自車と、自車の前方に検出したターゲットと衝突の可能性の判断基準となる仮想的なセンターラインである。例えば、仮想センターラインCLは、ターゲットが自車の左側を通過することを示す通過予測情報に基づいて、自車の車幅を考慮して自車位置P0から左側へ所定の距離を有する位置に、自車の進行方向に沿って生成される。
【0038】
なお、ここでは、仮想センターラインCLは直線としたが、これに限定されるものではない。例えば、ステアリングセンサ等によって自車の操舵角を検出し、自車がカーブ路を走行していると判定した場合は、仮想センターラインCLを当該カーブ路に沿った曲線として生成しても構わない。図6Aは、自車と、自車の前方に検出したターゲットとの間に、カーブ路に沿った仮想センターラインを生成する様子を示す図である。図6Aにおいて、仮想センターライン生成手段121は、自車の車幅を考慮して自車位置P0から左側へ所定の距離を有する位置に、カーブ路に沿った仮想センターラインCLを生成している。仮想センターラインの生成方法については、例えば、特許文献2に記載されている。
【0039】
そして、仮想センターライン生成手段121は、通過予測情報変更手段115によって通過予測情報が変更された場合、通過予測情報通知手段116から通知された変更された通過予測情報に基づいて、仮想センターラインを再生成する。換言すれば、仮想センターライン生成手段121は、通過予測情報変更手段115によって通過予測情報が変更されない場合、仮想センターラインを再生成しない。なお、仮想センターライン生成手段121が仮想センターラインを再生成するか否かは、例えば、自車とターゲットとが所定の距離に近接したタイミングで判定すればよい。
【0040】
図6Bは、自車と、自車の前方に検出したターゲットとの間に生成した仮想センターラインを再生成しない様子を示す図である。図6Bにおいて、ターゲット位置の座標がPL1からPL2に変化しているが、相対位置軌跡TLは基準線BLを横断していないため、通過予測情報変更手段115は、通過予測情報設定手段113によって設定された通過予測情報を変更しない。この場合、仮想センターライン生成手段121は、仮想センターラインを再生成せず、図6Aにおいて仮想センターライン生成手段121が生成した仮想センターラインCLを変更しない。
【0041】
一方、自車と、自車の前方に検出したターゲットとの間に生成した仮想センターラインを再生成する場合について説明する。図7Aは、自車と、自車の前方に検出したカーブ路におけるターゲットとの間に、仮想センターラインを生成する様子を示す図である。図7Aにおいて、仮想センターライン生成手段121は、自車の車幅を考慮して自車位置P0から左側へ所定の距離を有する位置に、仮想センターラインCL1を生成している。
【0042】
図7Bは、自車と、自車の前方に検出したターゲットとの間に生成した仮想センターラインを再生成する様子を示す図である。図7Bにおいて、ターゲット位置の座標がPL1からPL2に変化しており、相対位置軌跡TLは基準線BLを横断している。このため、通過予測情報変更手段115は、通過予測情報設定手段113によって設定された通過予測情報を変更し、通過予測情報通知手段116は、当該変更された通過予測情報を衝突可能性推定手段120に通知する。そして、仮想センターライン生成手段121は、仮想センターラインを再生成し、図7Aにおいて仮想センターライン生成手段121が生成した仮想センターラインCL1をCL2に変更する。具体的には、仮想センターライン生成手段121は、自車の車幅を考慮して自車位置P0から右側へ所定の距離を有する位置に、仮想センターラインCL2を生成する。
【0043】
進入判定手段122は、相対位置監視手段114によって監視されている相対位置の変化に基づいて、ターゲットが仮想センターラインを超えて自車の走行車線に進入するか否かを判定する。進入判定手段122によってターゲットが仮想センターラインを超えて自車の走行車線に進入すると判定された場合、衝突可能性推定手段120は、自車とターゲットとの衝突可能性があると推定する。
【0044】
次に、本発明の一実施形態に係る衝突予測装置100が実行する処理の流れについて説明する。
【0045】
図8は、本発明の一実施形態に係る衝突予測装置100の通過予測手段110が実行する通過予測方法200を示す図である。図8において、通過予測方法200は、ターゲット検出ステップS201と、相対位置算出ステップS202と、通過方向予測判定ステップS203と、左側通過予測情報設定ステップS204と、右側通過予測情報設定ステップS205と、ターゲット相対位置監視ステップS206と、通過方向変更判定ステップS207と、通過予測情報変更ステップS208とを含む。
【0046】
ターゲット検出ステップS201において、ターゲット検出手段111は、自車の前方にターゲットを検出する。ここでは、図4Aで示したように、自車に搭載されたレーダセンサの検出範囲A2において、自車の左前方のターゲットである対向車両が検出されるものとする。
【0047】
相対位置算出ステップS202において、相対位置算出手段112は、ターゲット検出ステップS201で検出されたターゲットの自車に対する相対位置を算出する。図4Aにおいて、相対位置算出手段112は、自車位置P0を原点とし、ターゲット検出手段111によって検出されたターゲット位置PL1の座標(初期座標)を算出する。
【0048】
通過方向予測判定ステップS203において、通過予測情報設定手段113は、相対位置算出ステップS202で算出されたターゲット位置の座標(初期座標)に基づいて、ターゲットが、自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを予測する。より詳細には、図4Aに示すように、通過予測情報設定手段113は、自車位置P0を起点として自車の進行方向に基準線BLを生成する。そして、ターゲット位置の座標(初期座標)が基準線BLの左側に存在する場合は、左側通過予測情報設定ステップS204に進む(通過方向予測判定ステップS203のYes)。一方、ターゲット位置の座標(初期座標)が基準線BLの右側に存在する場合は、右側通過予測情報設定ステップS205に進む(通過方向予測判定ステップS203のNo)。図4Aにおいて、ターゲット位置PL1の座標(初期座標)は、基準線BLの左側に存在するため、左側通過予測情報設定ステップS204に進む。
【0049】
通過方向予測判定ステップS203のYesの場合、左側通過予測情報設定ステップS204において、通過予測情報設定手段113は、ターゲットが自車の左側を通過することを示す通過予測情報を設定する。図4Aにおいて、ターゲット位置PL1の座標(初期座標)が、基準線BLの左側に存在するため、通過予測情報設定手段113は、ターゲットが自車の左側を通過することを示す通過予測情報を設定する。
【0050】
一方、通過方向予測判定ステップS203のNoの場合、右側通過予測情報設定ステップS205において、通過予測情報設定手段113は、ターゲットが自車の右側を通過することを示す通過予測情報を設定する。
【0051】
ターゲット相対位置監視ステップS206において、相対位置監視手段114は、相対位置算出ステップS202で算出された相対位置の変化を監視する。図4Bにおいて、図4Aに示したターゲット検出手段111によって検出されたターゲット位置PL1の座標(初期座標)が、自車とターゲットである対向車両とが走行することによって、自車位置P0を原点とし、ターゲット位置PL2の座標に変化する。相対位置監視手段114は、ターゲット位置の座標がPL1からPL2に変化する相対位置軌跡TLを監視している。具体的には、例えば、相対位置監視手段114は、レーザセンサを介して、所定の時間毎にターゲットを検出し、当該ターゲットの自車に対する相対位置を算出しながら、当該ターゲット位置の座標の変化を監視すればよい。
【0052】
通過方向変更判定ステップS207において、通過予測情報変更手段115は、ターゲット相対位置監視ステップS206で監視されている相対位置軌跡に基づいて、左側通過予測情報設定ステップS204または右側通過予測情報設定ステップS205で設定された通過予測情報を変更するか否かを判定する。より詳細には、図4Bに示すように、通過予測情報変更手段115は、ターゲット相対位置監視ステップS206で監視されている相対位置軌跡TLが基準線BLを横断したか否かを判定し、相対位置軌跡TLが基準線BLを横断する場合は、通過予測情報変更ステップS208に進む(通過方向変更判定ステップS207のYes)。一方、相対位置軌跡TLが基準線BLを横断しない場合は、通過予測方法200の処理を終了する(通過方向変更判定ステップS207のNo)。
【0053】
通過予測情報変更ステップS208において、通過予測情報変更手段115は、通過予測情報設定手段113によって設定された通過予測情報を変更する。具体的には、ここでは、図4Aおよび図4Bに示したように、左側通過予測情報設定ステップS204で設定されたターゲットが自車の左側を通過することを示す通過予測情報を、ターゲットが自車の右側を通過することを示す通過予測情報に変更する。
【0054】
上述のように、通過予測方法200によれば、自車の前方に検出されたターゲットの自車に対する相対位置に応じて、当該ターゲットが自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを示す正確な通過予測情報を取得することができる。
【0055】
図9は、本発明の一実施形態に係る衝突予測装置100の衝突可能性推定手段120が実行する衝突可能性推定方法300を示す図である。図9において、衝突可能性推定方法300は、仮想センターライン生成ステップS301と、通過予測情報変更判定ステップS302と、仮想センターライン再生成ステップS303と、仮想センターライン進入判定ステップS304と、衝突可能性推定ステップS305とを含む。
【0056】
仮想センターライン生成ステップS301において、仮想センターライン生成手段121は、通過予測方法200で取得された通過予測情報に基づいて、自車とターゲットとの間に、自車の進行方向に沿った仮想の基準線である仮想センターラインを生成する。ここでは、図7Aに示すように、仮想センターライン生成手段121は、左側通過予測情報設定ステップS204で設定されたターゲットが自車の左側を通過することを示す通過予測情報に基づいて、自車の車幅を考慮して自車位置P0から左側へ所定の距離を有する位置に、仮想センターラインCL1を生成している。
【0057】
なお、仮想センターライン生成ステップS301は、例えば、左側通過予測情報設定ステップS204、または右側通過予測情報設定ステップS205で通過予測情報が設定された後、予め設定された所定のタイミングで、当該通過予測情報に基づいて実行されてもよい。
【0058】
通過予測情報変更判定ステップS302において、仮想センターライン生成手段121は、通過予測情報変更ステップS208で通過予測情報が変更されたか否かを判定する。通過予測情報が変更されている場合は、仮想センターライン再生成ステップS303に進む(通過予測情報変更判定ステップS302のYes)。一方、通過予測情報が変更されていない場合は、仮想センターライン進入判定ステップS304に進む(通過予測情報変更判定ステップS302のNo)。ここでは、図7Bに示すように、ターゲット位置の座標がPL1からPL2に変化しており、相対位置軌跡TLは基準線BLを横断しているものとする。したがって、通過予測情報変更ステップS208で、ターゲットが自車の左側を通過することを示す通過予測情報を、ターゲットが自車の右側を通過することを示す通過予測情報に変更されるため、仮想センターライン再生成ステップS303に進む(通過予測情報変更判定ステップS302のYes)。
【0059】
なお、通過予測情報変更判定ステップS302は、例えば、自車とターゲットとが所定の距離に近接したタイミングで実行される。また、仮想センターライン生成ステップS301で仮想センターラインCL1が生成されてから所定の時間経過後、通過予測情報通知手段116から通過予測情報を変更した旨の通知がない場合、仮想センターライン生成手段121は、通過予測情報変更ステップS208で通過予測情報が変更されていないものと判定すればよい。
【0060】
仮想センターライン再生成ステップS303において、仮想センターライン生成手段121は、通過予測情報変更ステップS208で変更された通過予測情報に基づいて、仮想センターラインを再生成する。具体的には、図7Bに示すように、仮想センターライン生成手段121は、ターゲットが自車の右側を通過することを示す通過予測情報に変更された通過予測情報に基づいて、自車の車幅を考慮して自車位置P0から右側へ所定の距離を有する位置に、仮想センターラインCL2を生成する。
【0061】
仮想センターライン進入判定ステップS304において、進入判定手段122は、ターゲット相対位置監視ステップS206で監視されている相対位置の変化に基づいて、ターゲットが仮想センターラインを超えて自車の走行車線に進入するか否かを判定する。具体的には、図7Bに示すように、仮想センターライン再生成ステップS303で再生成した仮想センターラインCL2の右側にあるターゲットの自車に対する相対位置PL2が変化して、当該ターゲットが仮想センターラインCL2の左側に進入するか否かを判定する。進入すると判定された場合は、衝突可能性推定ステップS305に進む(仮想センターライン進入判定ステップS304のYes)。一方、進入しないと判定された場合は、衝突可能性推定方法300の処理を終了する(仮想センターライン進入判定ステップS304のNo)。
【0062】
なお、ターゲットが仮想センターラインCL2の左側に実際に進入した場合に、当該ターゲットが仮想センターラインCL2の左側に進入すると判定してもよい。また、実際に進入していなくても、当該ターゲットの自車に対する相対位置、および相対速度等に基づいて、当該ターゲットが仮想センターラインCL2の左側に進入すると予測できる場合にも、当該ターゲットが仮想センターラインCL2の左側に進入すると判定してもよい。
【0063】
衝突可能性推定ステップS305において、衝突可能性推定手段120は、自車とターゲットとの衝突可能性があると推定する。その後、当該推定に基づいて、例えば、車両に搭載されているプリクラッシュセーフティシステムが作動して、自車とターゲットとの衝突を回避する。
【0064】
以上のように、本発明の一実施形態に係る衝突予測装置100によれば、自車の前方に検出されたターゲットの自車に対するターゲット位置の座標の変化(PL1からPL2)を監視し、当該監視している相対位置軌跡TLが基準線BLを横断するか否かに応じて、当該ターゲットが自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを示す通過予測情報を変更するため、正確な通過予測情報を取得することができ、自車とターゲットとの衝突可能性を適切に推定することができる。
【0065】
さらに、衝突可能性推定手段120は、自車の前方に検出されたターゲット毎の通過予測情報に基づいて、自車と当該ターゲットとの衝突可能性を推定するため、対向車両の統計情報を取得する必要がない。つまり、対向車両の交通量に影響されず、また、統計情報を格納するためのメモリ等も必要ない。
【0066】
なお、本実施形態では、ターゲットは、対向車両としたが、これに限定されるものではない。例えば、走行中の自車が、停車している車両、または同一進行方向の車両を追い抜く場合において、当該車両を検出し、当該検出された車両と走行する自車との相対位置の変化を監視すれば、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0067】
さらに、ターゲットは自動車に限定されるものではなく、例えば、自転車等を含めてもよい。
【0068】
一方、本実施形態で説明したように、ターゲットを対向車両(自動車)に限定すれば、自車の走行車線が左側通行規制道路であるか、または右側通行規制道路であるかを判定することができる。なお、ターゲットを対向車両(自動車)に限定する方法としては、例えば、自車の走行速度が時速60kmの場合、ターゲットとの相対速度が時速100km以上であれば、ターゲットを対向車両(自動車)と判定できる。
【0069】
さらに、本実施形態では、ターゲットが自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを判定する基準となる基準線を、自車を起点として自車の進行方向に延ばした直線として説明したが、これに限定されるものではない。図10は、ターゲットが自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを判定する基準となる基準線を、曲線で規定する場合を示す図である。図10において、基準線BLは、自車両の左側面からターゲット検出手段111によって検出されたターゲット位置PL1の座標(初期座標)までを曲線を用いて生成されている。その後、ターゲット位置の座標変化である相対位置軌跡が、当該曲線で規定された基準線BLより、左側であるか、または右側であるかに基づいて、当該ターゲットが自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを判定すればよい。特に、自車に搭載されたレーダセンサの視野範囲が狭い場合に有効である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、自車と、自車の前方に検出したターゲットとの衝突を予測して、当該衝突の予測結果に基づいて自車とターゲットとの衝突を回避するプリクラッシュセーフティシステム等に有用である。
【符号の説明】
【0071】
100 衝突予測装置
110 通過予測手段
111 ターゲット検出手段
112 相対位置算出手段
113 通過予測情報設定手段
114 相対位置監視手段
115 通過予測情報変更手段
116 通過予測情報通知手段
120 衝突可能性推定手段
121 仮想センターライン生成手段
122 進入判定手段
200 通過予測方法
S201 ターゲット検出ステップ
S202 相対位置算出ステップ
S203 通過方向予測判定ステップ
S204 左側通過予測情報設定ステップ
S205 右側通過予測情報設定ステップ
S206 ターゲット相対位置監視ステップ
S207 通過方向変更判定ステップ
S208 通過予測情報変更ステップ
300 衝突可能性推定方法
S301 仮想センターライン生成ステップ
S302 通過予測情報変更判定ステップ
S303 仮想センターライン再生成ステップ
S304 仮想センターライン進入判定ステップ
S305 衝突可能性推定ステップ
A1、A2、A3 検出範囲
BL 基準線
CL、CL1、CL2 仮想センターライン
P0 自車位置
P1、PL1、PL2 ターゲット位置
TL 相対位置軌跡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車と、当該自車が検出したターゲットとの衝突の危険性を予測する衝突予測装置であって、
前記自車の前方にターゲットを検出するターゲット検出手段と、
前記ターゲット検出手段によって検出されたターゲットの前記自車に対する相対位置を算出する相対位置算出手段と、
前記相対位置算出手段によって算出された相対位置に基づいて、前記ターゲットが、前記自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを示す通過予測情報を設定する通過予測情報設定手段と、
前記相対位置の変化を監視する相対位置監視手段と、
前記相対位置監視手段によって監視されている前記相対位置の変化に基づいて、前記通過予測情報設定手段によって設定された通過予測情報を変更する通過予測情報変更手段と、
前記通過予測情報に基づいて、前記自車と前記ターゲットとの衝突可能性を推定する衝突可能性推定手段とを備える、衝突予測装置。
【請求項2】
前記通過予測情報設定手段は、前記ターゲットが、前記自車を起点として前記自車の進行方向に延ばした基準線の左側に存在するか、または右側に存在するかを判定し、当該判定結果に基づいて、前記通過予測情報を設定し、
前記通過予測情報変更手段は、前記相対位置監視手段によって監視されている前記相対位置の変化を示す相対位置軌跡が前記基準線を横断した場合、前記通過予測情報設定手段によって設定された通過予測情報を変更することを特徴とする、請求項1に記載の衝突予測装置。
【請求項3】
前記ターゲット検出手段は、前記自車に対向する車両をターゲットとして検出し、
前記通過予測情報設定手段は、前記通過予測情報に基づいて、前記自車の走行車線が左側通行規制道路であるか、または右側通行規制道路であるかを示す通行方向規制情報を設定し、
前記通過予測情報変更手段は、前記相対位置監視手段によって監視されている前記相対位置の変化に基づいて、前記通過予測情報設定手段によって設定された通行方向規制情報を変更することを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の衝突予測装置。
【請求項4】
前記衝突可能性推定手段は、
前記通過予測情報に基づいて、前記自車と前記ターゲットとの間に、前記自車の進行方向に沿った仮想の基準線である仮想センターラインを生成する仮想センターライン生成手段と、
前記相対位置監視手段によって監視されている前記相対位置の変化に基づいて、前記ターゲットが前記仮想センターラインを超えて前記自車の走行車線に進入するか否かを判定する進入判定手段とを含み、
前記進入判定手段によって前記ターゲットが前記仮想センターラインを超えて前記自車の走行車線に進入すると判定された場合、前記自車と前記ターゲットとの衝突可能性があると推定することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の衝突予測装置。
【請求項5】
前記仮想センターライン生成手段は、
前記通過予測情報設定手段によって通過予測情報が設定された後、予め設定された所定のタイミングで、前記仮想センターラインを生成し、
前記通過予測情報変更手段によって前記通過予測情報が変更された場合、当該変更された通過予測情報に基づいて、前記仮想センターラインを再生成することを特徴とする、請求項4に記載の衝突予測装置。
【請求項6】
自車が検出したターゲットが当該自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを予測する通過予測装置であって、
前記自車の前方にターゲットを検出するターゲット検出手段と、
前記ターゲット検出手段によって検出されたターゲットの前記自車に対する相対位置を算出する相対位置算出手段と、
前記相対位置算出手段によって算出された相対位置に基づいて、前記ターゲットが、前記自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを示す通過予測情報を設定する通過予測情報設定手段と、
前記相対位置の変化を監視する相対位置監視手段と、
前記相対位置監視手段によって監視されている前記相対位置の変化に基づいて、前記通過予測情報設定手段によって設定された通過予測情報を変更する通過予測情報変更手段と、
前記通過予測情報を通知する通過予測情報通知手段とを備える、通過予測装置。
【請求項7】
前記通過予測情報設定手段は、前記ターゲットが、前記自車を起点として前記自車の進行方向に延ばした基準線の左側に存在するか、または右側に存在するかを判定し、当該判定結果に基づいて、前記通過予測情報を設定し、
前記通過予測情報変更手段は、前記相対位置監視手段によって監視されている前記相対位置の変化を示す相対位置軌跡が前記基準線を横断した場合、前記通過予測情報設定手段によって設定された通過予測情報を変更することを特徴とする、請求項6に記載の通過予測装置。
【請求項8】
前記ターゲット検出手段は、前記自車に対向する車両をターゲットとして検出し、
前記通過予測情報設定手段は、前記通過予測情報に基づいて、前記自車の走行車線が左側通行規制道路であるか、または右側通行規制道路であるかを示す通行方向規制情報を設定し、
前記通過予測情報変更手段は、前記相対位置監視手段によって監視されている前記相対位置の変化に基づいて、前記通過予測情報設定手段によって設定された通行方向規制情報を変更することを特徴とする、請求項6〜7のいずれかに記載の通過予測装置。
【請求項9】
自車と、当該自車が検出したターゲットとの衝突の危険性を予測する衝突予測装置が実行する衝突予測方法であって、
前記自車の前方にターゲットを検出するターゲット検出ステップと、
前記ターゲット検出ステップで検出されたターゲットの前記自車に対する相対位置を算出する相対位置算出ステップと、
前記相対位置算出ステップで算出された相対位置に基づいて、前記ターゲットが、前記自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを予測する通過方向予測判定ステップと、
前記通過方向予測判定ステップで前記ターゲットが前記自車の左側を通過すると予測された場合、前記ターゲットが前記自車の左側を通過することを示す通過予測情報を設定する左側通過予測情報設定ステップと、
前記通過方向予測判定ステップで前記ターゲットが前記自車の右側を通過すると予測された場合、前記ターゲットが前記自車の右側を通過することを示す通過予測情報を設定する右側通過予測情報設定ステップと、
前記相対位置の変化を監視するターゲット相対位置監視ステップと、
前記相対位置監視ステップで監視されている前記相対位置の変化に基づいて、前記左側通過予測情報設定ステップまたは前記右側通過予測情報設定ステップで設定された通過予測情報を変更するか否かを判定する通過方向変更判定ステップと、
前記通過方向変更判定ステップで前記通過予測情報を変更すると判定された場合、前記通過予測情報を変更する通過予測情報変更ステップと、
前記通過予測情報に基づいて、前記自車と前記ターゲットとの衝突可能性を推定する衝突可能性推定ステップとを含む、衝突予測方法。
【請求項10】
自車が検出したターゲットが当該自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを予測する通過予測装置が実行する通過予測方法であって、
前記自車の前方にターゲットを検出するターゲット検出ステップと、
前記ターゲット検出ステップで検出されたターゲットの前記自車に対する相対位置を算出する相対位置算出ステップと、
前記相対位置算出ステップで算出された相対位置に基づいて、前記ターゲットが、前記自車の左側を通過するか、または右側を通過するかを予測する通過方向予測判定ステップと、
前記通過方向予測判定ステップで前記ターゲットが前記自車の左側を通過すると予測された場合、前記ターゲットが前記自車の左側を通過することを示す通過予測情報を設定する左側通過予測情報設定ステップと、
前記通過方向予測判定ステップで前記ターゲットが前記自車の右側を通過すると予測された場合、前記ターゲットが前記自車の右側を通過することを示す通過予測情報を設定する右側通過予測情報設定ステップと、
前記相対位置の変化を監視するターゲット相対位置監視ステップと、
前記相対位置監視ステップで監視されている前記相対位置の変化に基づいて、前記左側通過予測情報設定ステップまたは前記右側通過予測情報設定ステップで設定された通過予測情報を変更するか否かを判定する通過方向変更判定ステップと、
前記通過方向変更判定ステップで前記通過予測情報を変更すると判定された場合、前記通過予測情報を変更する通過予測情報変更ステップとを含む、通過予測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−237946(P2011−237946A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107650(P2010−107650)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】