表層欠陥検出装置
【課題】金属被検体の地合ノイズとヘゲ欠陥に起因する検出信号とを精度良く弁別する。
【解決手段】金属被検体4の搬送方向に直交する方向に配列された、複数のE型センサ5を備え、金属被検体4の搬送方向とE型センサ5の配列方向とを含む2次元平面に各渦流探傷センサの検出信号をマッピングすることによって、検出信号の2次元マップを作成する2次元画像化手段18と、2次元マップにおける検出信号の2次元パターンに基づいて、金属被検体4の表層にヘゲ欠陥が存在するか否かを判別する判別手段17とを備える。
【解決手段】金属被検体4の搬送方向に直交する方向に配列された、複数のE型センサ5を備え、金属被検体4の搬送方向とE型センサ5の配列方向とを含む2次元平面に各渦流探傷センサの検出信号をマッピングすることによって、検出信号の2次元マップを作成する2次元画像化手段18と、2次元マップにおける検出信号の2次元パターンに基づいて、金属被検体4の表層にヘゲ欠陥が存在するか否かを判別する判別手段17とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属被検体の表層に形成された欠陥を検出する表層欠陥検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
厚板などの金属被検体の表層には、耳ヘゲ、トーチヘゲ、およびコーナーヘゲなどと呼ばれる表層欠陥が発生し得る(以下これら表層欠陥をヘゲ欠陥と総称する)。これらヘゲ欠陥の発生要因は、製鋼性の要因および圧延性の要因などがあり、表面から目視で確認出来るものもあれば、非開口のため目視では確認出来ないものもある。このため、非開口の形態のヘゲ欠陥は、目視では発見が難しく、通常の検査では見逃されてしまうこともある。そこで、渦流探傷方式の表層欠陥検出方法がヘゲ欠陥の検出に利用されている(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
渦流探傷方式の表層欠陥検出方法は、励磁コイルにより金属被検体の表層に渦電流を発生させ、その渦電流によって誘起される検出コイルの誘導電圧を検出することにより、金属被検体の表層の表層欠陥を検出するものである。被検出体の表層に欠陥があった場合には、渦電流の流れに変化が起き、それに伴って検出コイルに発生する励磁電圧が変化するので、この励磁電圧の変化により表層欠陥を検出することができる。
【0004】
例えば、特許文献1に開示されている渦流探傷装置では、E型の渦流センサを脚部が搬送方向へ並ぶように設置し、かつ複数の当該渦流センサを搬送方向と垂直方向(すなわち金属被検体の幅方向)へ設置する構成とし、各渦流センサまたは各渦流センサの検出コイルの検出信号の差分処理によって、金属被検体の表層の疵を検出する。この渦流探傷装置によれば、搬送方向と幅方向の差分処理により、金属被検体の表層の疵が縦方向へ長い疵であるか又は横方向へ長い疵であるか等の、疵の形状の判別が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−89843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、厚板などの金属被検体には幅方向に広い分布の地合ノイズが存在し、従来の渦流探傷装置では、ヘゲ欠陥に起因する検出信号がこの地合ノイズに埋没してしまい、ヘゲ欠陥に起因する検出信号を精度良く弁別することができなかった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、金属被検体の地合ノイズとヘゲ欠陥に起因する検出信号とを精度良く弁別可能な表層欠陥検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる表層欠陥検出装置は、金属被検体の搬送方向に直行する方向に配列された複数の渦流探傷センサを備え、前記金属被検体の搬送方向と前記渦流探傷センサの配列方向とを含む2次元平面に各渦流探傷センサの検出信号をマッピングすることによって、該検出信号の2次元マップを作成する2次元画像化手段と、前記2次元マップにおける前記検出信号の2次元パターンに基づいて、前記金属被検体の表層にヘゲ欠陥が存在するか否かを判別する判別手段とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる表層欠陥検出装置によれば、金属被検体の地合ノイズとヘゲ欠陥に起因する検出信号とを精度良く弁別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、搬送ラインにおける表層欠陥検出装置の配置の概略図である。
【図2】図2は、センサBoxの構成を説明する概略図である。
【図3】図3は、E型センサの厚み方向の感度特性を示すグラフである。
【図4】図4は、信号処理部の構成を説明する概略図である。
【図5】図5は、信号処理部の位相調整を説明する図である。
【図6】図6は、ヘゲ欠陥の概略図である。
【図7】図7は、ヘゲ欠陥を含む厚板の検出データの2次元マップである。
【図8】図8は、ヘゲ欠陥に起因する検出信号とノイズの2次元マップである。
【図9】図9は、デジタル信号処理を説明するブロック図である。
【図10】図10は、検出値の領域重心を直線で結んだ検出信号の2次元マップである。
【図11】図11は、トーチヘゲおよび耳ヘゲを検出した検出信号の2次元マップである。
【図12】図12は、デジタル信号処理を説明するブロック図である。
【図13】図13は、ノイズとヘゲ欠陥の周波数解析のグラフである。
【図14】図14は、一つのバンドパスフィルタを通した検出信号の図である。
【図15】図15は、低周波用バンドパスフィルタおよび高周波用バンドパスフィルタを通した検出信号の図である。
【図16】図16は、デジタル信号処理を説明するブロック図である。
【図17】図17は、平均差分処理をした場合の検出信号を2次元画像化した図である。
【図18】図18は、隣接差分処理をした場合の検出信号を2次元画像化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
(第1実施形態)
まず、図1及び図2を用いて、本発明の第1実施形態に係る表層欠陥検出装置の概略構成を説明する。図1は、本発明の第1実施形態にかかる表層欠陥検出装置の、金属被検体の搬送ラインにおける配置について説明する概略図である。また、図2は、本発明の第1実施形態にかかる表層欠陥検出装置のセンサBoxの構成を説明する概略図である。
【0013】
図1に示されるように、本発明の第1実施形態にかかる表層欠陥検出装置1は、表層欠陥検出装置1の検出部であるセンサBox2を、搬送ラインのロール3の間に配置する構成である。検査対象となる厚板などの金属被検体4は、ロール3の上を搬送される。この際、センサBox2の上面は金属被検体4のパスラインより5mm〜30mm程度離れるように、センサBox2を配置する。なお金属被検体4の振動が大きい場合には20mm程度離れるようにセンサBox2を配置することが好ましい。また、図1に示される構成は、金属被検体4の裏面のエッジ部の検出用の構成であるが、表層欠陥検出装置1を金属被検体4の表面の検出用の構成または全幅検出用の構成などに設計変更することも可能である。
【0014】
図2に示されるように、センサBox2の内部において、8個のE型センサ5が金属被検体4の搬送方向と垂直方向に配列されている。つまり、本実施形態にかかる表層欠陥検出装置1は、金属被検体4の幅方向に対して8ch検出である。なお、E型センサ5とは、コアが「E」字形をしており、中央を励磁コイルAのコアとして用い、両端を検出コイルB,B’のコアとして用いた渦流探傷センサのことをいう(以下同様)。そして、図2に示されるように、励磁コイルAのコアと両端の検出コイルB,B’のコアとは、金属被検体4の搬送方向に配列している。なお、本実施形態では、E型センサ5の脚の間隔(つまり励磁コイルAのコアと両端の検出コイルB,B’のコアとの間隔)を20mmとし、E型センサ5の厚みを20mmとし、E型センサ5の間隔を6mmとしている。さらに、センサBox2の上面には保護用の樹脂板が設置され、センサBox2がエアパージされている。
【0015】
ここで、センサBox2内のE型センサ5の配置間隔は、E型センサ5の厚み方向の感度特性によって以下のように決定する。図3は、E型センサ5の厚み方向の感度特性を示すグラフである。同グラフは、E型センサ5の厚み方向のある相対位置に存在する自然欠陥に対するE型センサ5の単体での出力を示している。
【0016】
同グラフに示されるように、欠陥の位置がE型センサ5の真下からずれると、E型センサ5の出力は低下する。そこで、出力がピーク値の半分となる位置に、隣接するセンサの出力値がピーク値の半分となるように間隔を設定すれば、例えば隣接センサの出力を加算することで、欠陥の検出信号レベル低下を防ぐことが出来る。図3の例では、出力がピーク値の半分となる位置は±13mmであり、この位置で隣接するセンサの出力値がピーク値の半分となるように配置すると、隣り合うE型センサ5の中心間隔は26mmとなる。よって、E型センサ5の厚みが20mmなので、E型センサ5の間隔は6mmとすればよい。
【0017】
次に、図4および図5を参照して、本発明の第1実施形態にかかる表層欠陥検出装置1の信号処理部6の説明を行う。図4は、信号処理部6の構成を説明する概略図であり、図5は、信号処理部6の位相調整を説明する図である。
【0018】
本発明の第1実施形態にかかる表層欠陥検出装置1の信号処理部6は、図4に示されるように、発振器7と差動増幅器8と位相器9と検波器10とA/Dコンバータ12と計算機13とを備える。
【0019】
発振器7は、所定の電流値Iと周波数Fの励磁信号を発振する局部発振器であり、ここでは電流値I=10mA,周波数F=64kHzとしている。発振器7で発振した励磁信号は、励磁信号ケーブルを介してE型センサ5の中央のコアに巻かれた励磁コイルAに流れ、励磁コイルAの周囲に交流磁界を発生する。そして、交流磁界は、検査対象となる金属被検体4の表層部に渦電流を誘起する。
【0020】
E型センサ5の外側のコアに巻かれた検出コイルB,B’は、この渦電流によって発生した磁束による誘起電圧を検出する。このとき、検出コイルB,B’は、互いに一方の端子を接続し、当該誘起電圧が相殺するように構成する。また、検出コイルB,B’の他方の接続しなかった端子は、出力ケーブルを介して、信号処理部6に入力する。
【0021】
信号処理6に入力された検出コイルB,B’の端子は、差動増幅器8に接続され、差動増幅される。すなわち、差動増幅器8は、検出コイルB,B’にて検出される誘起電圧の差分が増幅されることとなる。なお、差動増幅器8の増幅度は、使用する電流値I、周波数F、およびセンサと金属被検体との距離などによって適切に設定すべきであるが、本実施形態では20倍としている。
【0022】
差動増幅器8にて差動増幅された信号は位相器9を通り、位相器9が位相を調整する。位相器9は、振動等によって生じるガタの信号と欠陥信号との弁別性を向上させるためのものであり、ガタの信号出力が零になるようにインピーダンスを調整する。例えば、図5に示す様にガタの信号が励磁電流120°であれば、120°位相を回して、ガタ信号がX軸と一致するように調整する。
【0023】
位相器9の出力信号は、検波器10に入力され、発振器7からの励磁信号にて検波される。すなわち、検波器10は、位相器9の出力信号と発振器7からの励磁信号とを乗算することによって同期検波をする。
【0024】
検波器10によって検波された検出信号は、A/Dコンバータ12を介して計算機13へ入力される。計算機13は、検出信号を適切なデジタル信号処理して、検出信号のデータからヘゲ欠陥を弁別する。
【0025】
ここで、本発明の実施形態にかかる表層欠陥検出装置1により検出した検出データについて検討する。
【0026】
図6は、ヘゲと呼ばれる表層欠陥を概略的に表した図であり、本発明の実施形態にかかる表層欠陥検出装置1はこれらヘゲ欠陥を検出するためのものである。図6に示されるように、厚板上のヘゲ欠陥には耳ヘゲ、トーチヘゲ、およびコーナーヘゲなどと呼ばれるものがある。図7および図8は、表層欠陥検出装置1にて上記ヘゲ欠陥を含む厚板を欠陥検出したときの、検出データを2次元画像化して示した例であり、特に図8は、ヘゲ欠陥に起因する検出信号とノイズが近接している部分を抜き出して拡大したものである。
【0027】
図7に示される検出データから読み取れるように、幅方向の差分処理前における検出信号の2次元マップには、幅方向に広い検出信号(つまりノイズ)が一定周期で出現している。また、図8に示される検出データから読み取れるように、このノイズのために、ヘゲ欠陥に起因する検出信号が埋没してしまい、ヘゲ欠陥を弁別することが困難である。
【0028】
しかしながら、図8に示される検出データから読み取れるように、地合ノイズは幅方向に直線的分布をしているが、コーナーヘゲに起因する検出信号の分布は、搬送方向にばらつきが生じている(つまり金属被検体4の幅方向にズレがある)。
【0029】
したがって、本発明の実施形態1にかかる計算機13のデジタル信号処理は、以下のような処理を行う。
【0030】
図9は、本発明の実施形態1にかかる計算機13のデジタル信号処理を示すブロック図である。図9に示されるように、各E型センサ5の検出信号は、A/Dコンバータ12を介して計算機13に取り込まれたのち、補正手段14が、各E型センサ5の感度個体差を補正する。なお、この補正には、事前に設定しておく設定値を用いる。
【0031】
その後、2次元画像化手段18が検出信号を2次元画像化する。すなわち、金属被検体4の幅方向(つまり各E型センサ5のチャンネル)を縦軸とし、金属被検体4の搬送方向を横軸とした2次元平面に、各検出信号の検出値を対応させるマッピングを行う。
【0032】
その後、領域重心算出手段19が、ヘゲ欠陥を有する領域の候補を抽出し、その領域の搬送方向(つまり横軸)ごとの検出信号の領域重心の位置を算出する。ここで、検出信号の領域重心位置とは、検出値で重み付けした2次元マップにおける検出信号の重心位置のことをいう。例えば上記領域重心の求め方としては、ある閾値で2値化して検出信号をエリア化した後に、搬送方向のエリア幅を求めてその幅の中心をそのエリアの領域重心とする、またはローパスフィルタなどにより搬送方向の一定エリアを平均化した後エリア内のピーク位置を領域重心とする方法などが考えられる。
【0033】
そして、判別手段17が、算出された各領域重心を結んだ折線に基づいて、当該領域がヘゲ欠陥を有するか否かの判別を行う。この判別には、例えば、当該折線が幅方向に対する角度が5°未満であればヘゲの候補から外し、5°以上であればヘゲ欠陥と判断するようにすることが考えられる。
【0034】
図10は、上記信号処理により検出信号の領域重心を折線で結んだ検出信号の2次元マップである。図10から読み取れるように、地合ノイズの場合は領域重心を結んだ折線は直線的であるが、コーナーヘゲ欠陥に起因した検出信号の領域重心を結んだ折線は、金属被検体4の幅方向に対して傾き(2次元パターン全体としては屈折)を有している。したがって、上記の信号処理によれば、ヘゲ欠陥と判断するようにすればヘゲ欠陥の弁別が高精度になることが解る。
【0035】
なお、図11(a)および(b)は、それぞれトーチヘゲおよび耳ヘゲを検出した検出信号を2次元画像化したものである。図11(a)および(b)から読み取れるように、本発明の実施形態1にかかる判別方法は、トーチヘゲおよび耳ヘゲにおいても有効であることが解る。
【0036】
また、上記実施形態では2次元パターンとして、領域重心位置を結んだ折線を用いたが、本発明はこれに限定されず、例えば、欠陥候補領域の検出信号の幅方向の長さ、および欠陥候補にかかる検出信号の周期性の有無などで判別することも可能である。
【0037】
以上より、本発明の第1実施形態にかかる表層欠陥検出装置は、金属被検体4の搬送方向に直交する方向に配列された、複数のE型センサ5を備え、金属被検体4の搬送方向とE型センサ5の配列方向とを含む2次元平面に各E型センサ5の検出信号をマッピングすることによって、検出信号の2次元マップを作成する2次元画像化手段18と、2次元マップにおける検出信号の2次元パターンに基づいて金属被検体4の表層にヘゲ欠陥が存在するか否かを判別する判別手段17とを備えるので、金属被検体4の地合ノイズとヘゲ欠陥に起因する検出信号とを精度良く弁別することができる。
【0038】
さらに、本発明の第1実施形態にかかる表層欠陥検出装置は、各E型センサ5について検出信号の領域重心位置を2次元マップ上に算出し、算出された領域重心位置を結ぶ折線を2次元パターンとして生成する領域重心算出手段を更に備えるので、ヘゲ欠陥に起因した検出信号の特徴を効果的に利用することができる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態にかかる表層欠陥検出装置1について説明する。第2実施形態にかかる表層欠陥検出装置1は、第1実施形態における計算機13のデジタル信号処理において、さらに低周波用のバンドパスフィルタ15’と高周波用のバンドパスフィルタ15”とを追加したものである。したがって、本実施形態の説明では、第1実施形態と同じ符号を参照することにより表層欠陥検出装置1の全体構成についての説明を省略し、デジタル信号処理部分(図4における計算機13の処理)のみ説明をする。
【0040】
図12は、計算機13に取り込まれた検出信号のデジタル信号処理を説明するブロック図である。検波器10からの検出信号は、A/Dコンバータ12を介して計算機13に取り込まれたのち、補正手段14が、各E型センサ5の感度個体差を補正する。この補正には、事前に設定しておく設定値を用いる。
【0041】
次に、検出信号を2つに分岐し、一方を低周波用のバンドパスフィルタ15’が周波数制限をし、他方を高周波用のバンドパスフィルタ15”が周波数制限をする。その後、低周波用のバンドパスフィルタ15’および高周波用のバンドパスフィルタ15”の出力を、それぞれ2次元画像化手段18’,18”が2次元画像化し、さらに、領域重心算出手段19’,19”がヘゲ欠陥の候補となる領域の領域重心を算出する。ここで、2次元画像化手段18’,18”および領域重心算出手段19’,19”の具体的処理内容は、それぞれ第1実施形態における2次元画像化手段18および領域重心算出手段19と同じなので、ここでは説明を省略する。
【0042】
また、表層欠陥検出装置1を取り付けた製造ラインのライン搬送速度が1.5m/sであり、表層欠陥検出装置1のA/Dコンバータ12サンプリングピッチを3mmとすれば、サンプリング速度は500Hzとなる。このとき、低周波用バンドパスフィルタ15’の設定周波数を例えば5Hz〜30Hzとし、高周波用バンドパスフィルタ15”の周設定波数を例えば30Hz〜60Hzとすることが好ましい。
【0043】
判別手段17は、2つの領域重心算出手段19’,19”によって算出した検出値の重心を結んだ直線に基づき、当該領域がヘゲ欠陥を含むか否かを判定する。具体的には、領域重心算出手段19’,19”によって算出した検出値の重心を結んだ各直線に基づき判別を行い、両判定によりヘゲ欠陥を含むと判定された場合に当該領域がヘゲ欠陥を含むと判定する。
【0044】
次に、図13〜15を参照して、上記のように低周波用のバンドパスフィルタ15’と高周波用のバンドパスフィルタ15”とを備えることの効果について説明する。
【0045】
図13はノイズとヘゲ欠陥の周波数解析を行ったグラフである。図13に示される周波数解析は、E型センサ5の脚間隔が20mmであり、E型センサ5と金属被検体4との間隔が20mmとした場合の例である。図13から読み取れるように、ヘゲ欠陥に起因する検出信号は10Hz〜50Hzまでの周波数帯域であることが分かる。
【0046】
一方、例えば、細かいスケール剥がれに起因する検出信号、または品質上問題とならない直径数mm程度の小さい欠陥に起因する検出信号(つまり本発明の目的におけるノイズ)は高周波側40Hz〜100Hzに分布する。また、搬送ロールやピンチロールなどによる歪みから生じる信号は5Hz〜20Hz程度である。
【0047】
したがって、ヘゲ欠陥に起因する検出信号のピーク周波数である30Hzを中心にしたバンドパスフィルタ(例えば10Hz〜60Hz)を通しても、SN比が2以下であり弁別が困難である。図14は、10Hz〜60Hzのバンドパスフィルタを通した検出信号を示すものであり、同図からはヘゲ欠陥に起因する検出信号とノイズを弁別することが困難であることが理解できる。
【0048】
一方、図15(a)および(b)は、それぞれ5Hz〜30Hzおよび30Hz〜60Hzのバンドパスフィルタを通した検出信号を示すものであり、同図からはヘゲ欠陥に起因する検出信号が、両方のバンドパスフィルタを透過して検出されることが理解できる。
【0049】
以上の議論から、低周波用バンドパスフィルタ15’と高周波用バンドパスフィルタ15”により検出信号を処理し、低周波用バンドパスフィルタ15’および高周波用バンドパスフィルタ15”の両方を透過した検出信号を用いて欠陥判定したときに、そのヘゲ欠陥候補をヘゲ欠陥であると判別することにより、ヘゲ欠陥の弁別能力を向上させることが解る。
【0050】
以上より、本発明の第2実施形態にかかる表層欠陥検出装置は、金属被検体4の搬送方向に直交する方向に配列された、複数のE型センサ5を備え、金属被検体4の搬送方向とE型センサ5の配列方向とを含む2次元平面に各E型センサ5の検出信号をマッピングすることによって、検出信号の2次元マップを作成する2次元画像化手段18’,18”と、2次元マップにおける検出信号の2次元パターンに基づいて金属被検体4の表層にヘゲ欠陥が存在するか否かを判別する判別手段17とを備えるので、金属被検体4の地合ノイズとヘゲ欠陥に起因する検出信号とを精度良く弁別することができる。
【0051】
さらに、本発明の第2実施形態にかかる表層欠陥検出装置は、検出信号を一方の検出信号と他方の検出信号とに分岐する分岐手段と、一方の検出信号の低周波成分を透過させる低周波用バンドパスフィルタ15’と、他方の検出信号の高周波成分を透過させる高周波用バンドパスフィルタ15”とを備え、低周波用バンドパスフィルタ15’を透過した検出信号及び高周波バンドパスフィルタ15”を透過した検出信号それぞれについて2次元マップを作成するので、ヘゲ欠陥の弁別能力が向上する。
【0052】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態にかかる表層欠陥検出装置1について説明する。第3実施形態にかかる表層欠陥検出装置1は、第2実施形態における計算機13のデジタル信号処理において、さらに差分処理手段16’と差分処理手段16”とを追加したものである。したがって、本実施形態の説明においても、同符号を参照することにより表層欠陥検出装置1の全体構成についての説明を省略し、デジタル信号処理部分(図4における計算機13の処理)のみ説明をする。
【0053】
図16は、本発明の第2実施形態にかかるデジタル信号処理を説明するブロック図である。各E型センサ5の検出信号は、A/Dコンバータ12を介して計算機13に取り込まれたのち、補正手段14が、各E型センサ5の感度個体差を補正する。なお、この補正には、事前に設定しておく設定値を用いる。
【0054】
次に、検出信号を2つに分岐し、一方を低周波用のバンドパスフィルタ15’が周波数制限をし、他方を高周波用のバンドパスフィルタ15”が周波数制限をする。その後、低周波用のバンドパスフィルタ15’および高周波用のバンドパスフィルタ15”の出力を、それぞれ差分処理手段16’,16”が金属被検体4の幅方向の差分処理を行う。
【0055】
ここで、差分処理手段16’,16”が行う差分処理としては、平均差分と隣接差分とが考えられる。平均差分とは、検出信号の平均化信号と各検出信号との差分処理のことをいい、隣接差分とは、隣接した各々の検出信号間の差分処理のことをいう。
【0056】
差分処理手段16’,16”により差分処理された検出信号は、それぞれ2次元画像化手段18’,18”が2次元画像化し、さらに、領域重心算出手段19’,19”がヘゲ欠陥の候補となる領域の領域重心を算出する。その後、判別手段17は、2つの領域重心算出手段19’,19”によって算出した検出値の重心を結んだ直線に基づき、当該領域がヘゲ欠陥を含むか否かを判定する。なお、判別手段17、2次元画像化手段18’,18”および領域重心算出手段19’,19”の具体的処理内容は、それぞれ第2実施形態における対応部分と同じなので、ここでは説明を省略する。
【0057】
次に、図17および図18を参照して、本発明の第3実施形態における差分処理の効果について検討する。図17および図18は、差分処理手段16’,16”の差分処理として、それぞれ隣接差分および平均差分の処理をした場合の差分処理前後の検出信号を2次元画像化したものである。
【0058】
図17に示される検出信号の2次元マップより解るように、(a)隣接差分処理前では、コーナーヘゲに起因する以外の検出信号(つまりノイズ)も検出されているが、(b)隣接差分処理後では、ノイズが低減され、ヘゲ欠陥の判別が容易になっている。また、図18に示される検出信号の2次元マップより同様に解るように、(a)平均差分処理前では、ノイズも検出されているが、(b)平均差分処理後では、ノイズが低減されている。したがって、上記の差分処理によってノイズを低減した後に検出信号の領域重心を算出することは、より精度の高いヘゲ欠陥検出に効果的であることがわかる。
【0059】
以上より、本発明の第3実施形態にかかる表層欠陥検出装置は、金属被検体4の搬送方向に直交する方向に配列された、複数のE型センサ5を備え、金属被検体4の搬送方向とE型センサ5の配列方向とを含む2次元平面に各E型センサ5の検出信号をマッピングすることによって、検出信号の2次元マップを作成する2次元画像化手段18’,18”と、2次元マップにおける検出信号の2次元パターンに基づいて金属被検体4の表層にヘゲ欠陥が存在するか否かを判別する判別手段17とを備えるので、金属被検体4の地合ノイズとヘゲ欠陥に起因する検出信号とを精度良く弁別することができる。
【0060】
さらに、本発明の第3実施形態にかかる表層欠陥検出装置は、複数のE型センサ5間における検出信号の差分値を算出し、算出された差分値を示す信号を差分信号として出力する差分処理手段16’,16”を更に備え、2次元画像化手段18’,18”は、差分信号を2次元平面にマッピングすることによって2次元マップを作成するので、金属被検体4の地合ノイズを低減することができ、ヘゲ欠陥の弁別精度がより向上する。
【符号の説明】
【0061】
1 表層欠陥検出装置
2 センサBox
3 ロール
4 金属被検体
5 E型センサ
6 信号処理部
7 発振器
8 差動増幅器
9 位相器
10 検波器
12 A/Dコンバータ
13 計算機
14 補正手段
15 バンドパスフィルタ
16 差分処理手段
17 判別手段
18 2次元画像化手段
19 領域重心算出手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属被検体の表層に形成された欠陥を検出する表層欠陥検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
厚板などの金属被検体の表層には、耳ヘゲ、トーチヘゲ、およびコーナーヘゲなどと呼ばれる表層欠陥が発生し得る(以下これら表層欠陥をヘゲ欠陥と総称する)。これらヘゲ欠陥の発生要因は、製鋼性の要因および圧延性の要因などがあり、表面から目視で確認出来るものもあれば、非開口のため目視では確認出来ないものもある。このため、非開口の形態のヘゲ欠陥は、目視では発見が難しく、通常の検査では見逃されてしまうこともある。そこで、渦流探傷方式の表層欠陥検出方法がヘゲ欠陥の検出に利用されている(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
渦流探傷方式の表層欠陥検出方法は、励磁コイルにより金属被検体の表層に渦電流を発生させ、その渦電流によって誘起される検出コイルの誘導電圧を検出することにより、金属被検体の表層の表層欠陥を検出するものである。被検出体の表層に欠陥があった場合には、渦電流の流れに変化が起き、それに伴って検出コイルに発生する励磁電圧が変化するので、この励磁電圧の変化により表層欠陥を検出することができる。
【0004】
例えば、特許文献1に開示されている渦流探傷装置では、E型の渦流センサを脚部が搬送方向へ並ぶように設置し、かつ複数の当該渦流センサを搬送方向と垂直方向(すなわち金属被検体の幅方向)へ設置する構成とし、各渦流センサまたは各渦流センサの検出コイルの検出信号の差分処理によって、金属被検体の表層の疵を検出する。この渦流探傷装置によれば、搬送方向と幅方向の差分処理により、金属被検体の表層の疵が縦方向へ長い疵であるか又は横方向へ長い疵であるか等の、疵の形状の判別が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−89843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、厚板などの金属被検体には幅方向に広い分布の地合ノイズが存在し、従来の渦流探傷装置では、ヘゲ欠陥に起因する検出信号がこの地合ノイズに埋没してしまい、ヘゲ欠陥に起因する検出信号を精度良く弁別することができなかった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、金属被検体の地合ノイズとヘゲ欠陥に起因する検出信号とを精度良く弁別可能な表層欠陥検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる表層欠陥検出装置は、金属被検体の搬送方向に直行する方向に配列された複数の渦流探傷センサを備え、前記金属被検体の搬送方向と前記渦流探傷センサの配列方向とを含む2次元平面に各渦流探傷センサの検出信号をマッピングすることによって、該検出信号の2次元マップを作成する2次元画像化手段と、前記2次元マップにおける前記検出信号の2次元パターンに基づいて、前記金属被検体の表層にヘゲ欠陥が存在するか否かを判別する判別手段とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる表層欠陥検出装置によれば、金属被検体の地合ノイズとヘゲ欠陥に起因する検出信号とを精度良く弁別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、搬送ラインにおける表層欠陥検出装置の配置の概略図である。
【図2】図2は、センサBoxの構成を説明する概略図である。
【図3】図3は、E型センサの厚み方向の感度特性を示すグラフである。
【図4】図4は、信号処理部の構成を説明する概略図である。
【図5】図5は、信号処理部の位相調整を説明する図である。
【図6】図6は、ヘゲ欠陥の概略図である。
【図7】図7は、ヘゲ欠陥を含む厚板の検出データの2次元マップである。
【図8】図8は、ヘゲ欠陥に起因する検出信号とノイズの2次元マップである。
【図9】図9は、デジタル信号処理を説明するブロック図である。
【図10】図10は、検出値の領域重心を直線で結んだ検出信号の2次元マップである。
【図11】図11は、トーチヘゲおよび耳ヘゲを検出した検出信号の2次元マップである。
【図12】図12は、デジタル信号処理を説明するブロック図である。
【図13】図13は、ノイズとヘゲ欠陥の周波数解析のグラフである。
【図14】図14は、一つのバンドパスフィルタを通した検出信号の図である。
【図15】図15は、低周波用バンドパスフィルタおよび高周波用バンドパスフィルタを通した検出信号の図である。
【図16】図16は、デジタル信号処理を説明するブロック図である。
【図17】図17は、平均差分処理をした場合の検出信号を2次元画像化した図である。
【図18】図18は、隣接差分処理をした場合の検出信号を2次元画像化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
(第1実施形態)
まず、図1及び図2を用いて、本発明の第1実施形態に係る表層欠陥検出装置の概略構成を説明する。図1は、本発明の第1実施形態にかかる表層欠陥検出装置の、金属被検体の搬送ラインにおける配置について説明する概略図である。また、図2は、本発明の第1実施形態にかかる表層欠陥検出装置のセンサBoxの構成を説明する概略図である。
【0013】
図1に示されるように、本発明の第1実施形態にかかる表層欠陥検出装置1は、表層欠陥検出装置1の検出部であるセンサBox2を、搬送ラインのロール3の間に配置する構成である。検査対象となる厚板などの金属被検体4は、ロール3の上を搬送される。この際、センサBox2の上面は金属被検体4のパスラインより5mm〜30mm程度離れるように、センサBox2を配置する。なお金属被検体4の振動が大きい場合には20mm程度離れるようにセンサBox2を配置することが好ましい。また、図1に示される構成は、金属被検体4の裏面のエッジ部の検出用の構成であるが、表層欠陥検出装置1を金属被検体4の表面の検出用の構成または全幅検出用の構成などに設計変更することも可能である。
【0014】
図2に示されるように、センサBox2の内部において、8個のE型センサ5が金属被検体4の搬送方向と垂直方向に配列されている。つまり、本実施形態にかかる表層欠陥検出装置1は、金属被検体4の幅方向に対して8ch検出である。なお、E型センサ5とは、コアが「E」字形をしており、中央を励磁コイルAのコアとして用い、両端を検出コイルB,B’のコアとして用いた渦流探傷センサのことをいう(以下同様)。そして、図2に示されるように、励磁コイルAのコアと両端の検出コイルB,B’のコアとは、金属被検体4の搬送方向に配列している。なお、本実施形態では、E型センサ5の脚の間隔(つまり励磁コイルAのコアと両端の検出コイルB,B’のコアとの間隔)を20mmとし、E型センサ5の厚みを20mmとし、E型センサ5の間隔を6mmとしている。さらに、センサBox2の上面には保護用の樹脂板が設置され、センサBox2がエアパージされている。
【0015】
ここで、センサBox2内のE型センサ5の配置間隔は、E型センサ5の厚み方向の感度特性によって以下のように決定する。図3は、E型センサ5の厚み方向の感度特性を示すグラフである。同グラフは、E型センサ5の厚み方向のある相対位置に存在する自然欠陥に対するE型センサ5の単体での出力を示している。
【0016】
同グラフに示されるように、欠陥の位置がE型センサ5の真下からずれると、E型センサ5の出力は低下する。そこで、出力がピーク値の半分となる位置に、隣接するセンサの出力値がピーク値の半分となるように間隔を設定すれば、例えば隣接センサの出力を加算することで、欠陥の検出信号レベル低下を防ぐことが出来る。図3の例では、出力がピーク値の半分となる位置は±13mmであり、この位置で隣接するセンサの出力値がピーク値の半分となるように配置すると、隣り合うE型センサ5の中心間隔は26mmとなる。よって、E型センサ5の厚みが20mmなので、E型センサ5の間隔は6mmとすればよい。
【0017】
次に、図4および図5を参照して、本発明の第1実施形態にかかる表層欠陥検出装置1の信号処理部6の説明を行う。図4は、信号処理部6の構成を説明する概略図であり、図5は、信号処理部6の位相調整を説明する図である。
【0018】
本発明の第1実施形態にかかる表層欠陥検出装置1の信号処理部6は、図4に示されるように、発振器7と差動増幅器8と位相器9と検波器10とA/Dコンバータ12と計算機13とを備える。
【0019】
発振器7は、所定の電流値Iと周波数Fの励磁信号を発振する局部発振器であり、ここでは電流値I=10mA,周波数F=64kHzとしている。発振器7で発振した励磁信号は、励磁信号ケーブルを介してE型センサ5の中央のコアに巻かれた励磁コイルAに流れ、励磁コイルAの周囲に交流磁界を発生する。そして、交流磁界は、検査対象となる金属被検体4の表層部に渦電流を誘起する。
【0020】
E型センサ5の外側のコアに巻かれた検出コイルB,B’は、この渦電流によって発生した磁束による誘起電圧を検出する。このとき、検出コイルB,B’は、互いに一方の端子を接続し、当該誘起電圧が相殺するように構成する。また、検出コイルB,B’の他方の接続しなかった端子は、出力ケーブルを介して、信号処理部6に入力する。
【0021】
信号処理6に入力された検出コイルB,B’の端子は、差動増幅器8に接続され、差動増幅される。すなわち、差動増幅器8は、検出コイルB,B’にて検出される誘起電圧の差分が増幅されることとなる。なお、差動増幅器8の増幅度は、使用する電流値I、周波数F、およびセンサと金属被検体との距離などによって適切に設定すべきであるが、本実施形態では20倍としている。
【0022】
差動増幅器8にて差動増幅された信号は位相器9を通り、位相器9が位相を調整する。位相器9は、振動等によって生じるガタの信号と欠陥信号との弁別性を向上させるためのものであり、ガタの信号出力が零になるようにインピーダンスを調整する。例えば、図5に示す様にガタの信号が励磁電流120°であれば、120°位相を回して、ガタ信号がX軸と一致するように調整する。
【0023】
位相器9の出力信号は、検波器10に入力され、発振器7からの励磁信号にて検波される。すなわち、検波器10は、位相器9の出力信号と発振器7からの励磁信号とを乗算することによって同期検波をする。
【0024】
検波器10によって検波された検出信号は、A/Dコンバータ12を介して計算機13へ入力される。計算機13は、検出信号を適切なデジタル信号処理して、検出信号のデータからヘゲ欠陥を弁別する。
【0025】
ここで、本発明の実施形態にかかる表層欠陥検出装置1により検出した検出データについて検討する。
【0026】
図6は、ヘゲと呼ばれる表層欠陥を概略的に表した図であり、本発明の実施形態にかかる表層欠陥検出装置1はこれらヘゲ欠陥を検出するためのものである。図6に示されるように、厚板上のヘゲ欠陥には耳ヘゲ、トーチヘゲ、およびコーナーヘゲなどと呼ばれるものがある。図7および図8は、表層欠陥検出装置1にて上記ヘゲ欠陥を含む厚板を欠陥検出したときの、検出データを2次元画像化して示した例であり、特に図8は、ヘゲ欠陥に起因する検出信号とノイズが近接している部分を抜き出して拡大したものである。
【0027】
図7に示される検出データから読み取れるように、幅方向の差分処理前における検出信号の2次元マップには、幅方向に広い検出信号(つまりノイズ)が一定周期で出現している。また、図8に示される検出データから読み取れるように、このノイズのために、ヘゲ欠陥に起因する検出信号が埋没してしまい、ヘゲ欠陥を弁別することが困難である。
【0028】
しかしながら、図8に示される検出データから読み取れるように、地合ノイズは幅方向に直線的分布をしているが、コーナーヘゲに起因する検出信号の分布は、搬送方向にばらつきが生じている(つまり金属被検体4の幅方向にズレがある)。
【0029】
したがって、本発明の実施形態1にかかる計算機13のデジタル信号処理は、以下のような処理を行う。
【0030】
図9は、本発明の実施形態1にかかる計算機13のデジタル信号処理を示すブロック図である。図9に示されるように、各E型センサ5の検出信号は、A/Dコンバータ12を介して計算機13に取り込まれたのち、補正手段14が、各E型センサ5の感度個体差を補正する。なお、この補正には、事前に設定しておく設定値を用いる。
【0031】
その後、2次元画像化手段18が検出信号を2次元画像化する。すなわち、金属被検体4の幅方向(つまり各E型センサ5のチャンネル)を縦軸とし、金属被検体4の搬送方向を横軸とした2次元平面に、各検出信号の検出値を対応させるマッピングを行う。
【0032】
その後、領域重心算出手段19が、ヘゲ欠陥を有する領域の候補を抽出し、その領域の搬送方向(つまり横軸)ごとの検出信号の領域重心の位置を算出する。ここで、検出信号の領域重心位置とは、検出値で重み付けした2次元マップにおける検出信号の重心位置のことをいう。例えば上記領域重心の求め方としては、ある閾値で2値化して検出信号をエリア化した後に、搬送方向のエリア幅を求めてその幅の中心をそのエリアの領域重心とする、またはローパスフィルタなどにより搬送方向の一定エリアを平均化した後エリア内のピーク位置を領域重心とする方法などが考えられる。
【0033】
そして、判別手段17が、算出された各領域重心を結んだ折線に基づいて、当該領域がヘゲ欠陥を有するか否かの判別を行う。この判別には、例えば、当該折線が幅方向に対する角度が5°未満であればヘゲの候補から外し、5°以上であればヘゲ欠陥と判断するようにすることが考えられる。
【0034】
図10は、上記信号処理により検出信号の領域重心を折線で結んだ検出信号の2次元マップである。図10から読み取れるように、地合ノイズの場合は領域重心を結んだ折線は直線的であるが、コーナーヘゲ欠陥に起因した検出信号の領域重心を結んだ折線は、金属被検体4の幅方向に対して傾き(2次元パターン全体としては屈折)を有している。したがって、上記の信号処理によれば、ヘゲ欠陥と判断するようにすればヘゲ欠陥の弁別が高精度になることが解る。
【0035】
なお、図11(a)および(b)は、それぞれトーチヘゲおよび耳ヘゲを検出した検出信号を2次元画像化したものである。図11(a)および(b)から読み取れるように、本発明の実施形態1にかかる判別方法は、トーチヘゲおよび耳ヘゲにおいても有効であることが解る。
【0036】
また、上記実施形態では2次元パターンとして、領域重心位置を結んだ折線を用いたが、本発明はこれに限定されず、例えば、欠陥候補領域の検出信号の幅方向の長さ、および欠陥候補にかかる検出信号の周期性の有無などで判別することも可能である。
【0037】
以上より、本発明の第1実施形態にかかる表層欠陥検出装置は、金属被検体4の搬送方向に直交する方向に配列された、複数のE型センサ5を備え、金属被検体4の搬送方向とE型センサ5の配列方向とを含む2次元平面に各E型センサ5の検出信号をマッピングすることによって、検出信号の2次元マップを作成する2次元画像化手段18と、2次元マップにおける検出信号の2次元パターンに基づいて金属被検体4の表層にヘゲ欠陥が存在するか否かを判別する判別手段17とを備えるので、金属被検体4の地合ノイズとヘゲ欠陥に起因する検出信号とを精度良く弁別することができる。
【0038】
さらに、本発明の第1実施形態にかかる表層欠陥検出装置は、各E型センサ5について検出信号の領域重心位置を2次元マップ上に算出し、算出された領域重心位置を結ぶ折線を2次元パターンとして生成する領域重心算出手段を更に備えるので、ヘゲ欠陥に起因した検出信号の特徴を効果的に利用することができる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態にかかる表層欠陥検出装置1について説明する。第2実施形態にかかる表層欠陥検出装置1は、第1実施形態における計算機13のデジタル信号処理において、さらに低周波用のバンドパスフィルタ15’と高周波用のバンドパスフィルタ15”とを追加したものである。したがって、本実施形態の説明では、第1実施形態と同じ符号を参照することにより表層欠陥検出装置1の全体構成についての説明を省略し、デジタル信号処理部分(図4における計算機13の処理)のみ説明をする。
【0040】
図12は、計算機13に取り込まれた検出信号のデジタル信号処理を説明するブロック図である。検波器10からの検出信号は、A/Dコンバータ12を介して計算機13に取り込まれたのち、補正手段14が、各E型センサ5の感度個体差を補正する。この補正には、事前に設定しておく設定値を用いる。
【0041】
次に、検出信号を2つに分岐し、一方を低周波用のバンドパスフィルタ15’が周波数制限をし、他方を高周波用のバンドパスフィルタ15”が周波数制限をする。その後、低周波用のバンドパスフィルタ15’および高周波用のバンドパスフィルタ15”の出力を、それぞれ2次元画像化手段18’,18”が2次元画像化し、さらに、領域重心算出手段19’,19”がヘゲ欠陥の候補となる領域の領域重心を算出する。ここで、2次元画像化手段18’,18”および領域重心算出手段19’,19”の具体的処理内容は、それぞれ第1実施形態における2次元画像化手段18および領域重心算出手段19と同じなので、ここでは説明を省略する。
【0042】
また、表層欠陥検出装置1を取り付けた製造ラインのライン搬送速度が1.5m/sであり、表層欠陥検出装置1のA/Dコンバータ12サンプリングピッチを3mmとすれば、サンプリング速度は500Hzとなる。このとき、低周波用バンドパスフィルタ15’の設定周波数を例えば5Hz〜30Hzとし、高周波用バンドパスフィルタ15”の周設定波数を例えば30Hz〜60Hzとすることが好ましい。
【0043】
判別手段17は、2つの領域重心算出手段19’,19”によって算出した検出値の重心を結んだ直線に基づき、当該領域がヘゲ欠陥を含むか否かを判定する。具体的には、領域重心算出手段19’,19”によって算出した検出値の重心を結んだ各直線に基づき判別を行い、両判定によりヘゲ欠陥を含むと判定された場合に当該領域がヘゲ欠陥を含むと判定する。
【0044】
次に、図13〜15を参照して、上記のように低周波用のバンドパスフィルタ15’と高周波用のバンドパスフィルタ15”とを備えることの効果について説明する。
【0045】
図13はノイズとヘゲ欠陥の周波数解析を行ったグラフである。図13に示される周波数解析は、E型センサ5の脚間隔が20mmであり、E型センサ5と金属被検体4との間隔が20mmとした場合の例である。図13から読み取れるように、ヘゲ欠陥に起因する検出信号は10Hz〜50Hzまでの周波数帯域であることが分かる。
【0046】
一方、例えば、細かいスケール剥がれに起因する検出信号、または品質上問題とならない直径数mm程度の小さい欠陥に起因する検出信号(つまり本発明の目的におけるノイズ)は高周波側40Hz〜100Hzに分布する。また、搬送ロールやピンチロールなどによる歪みから生じる信号は5Hz〜20Hz程度である。
【0047】
したがって、ヘゲ欠陥に起因する検出信号のピーク周波数である30Hzを中心にしたバンドパスフィルタ(例えば10Hz〜60Hz)を通しても、SN比が2以下であり弁別が困難である。図14は、10Hz〜60Hzのバンドパスフィルタを通した検出信号を示すものであり、同図からはヘゲ欠陥に起因する検出信号とノイズを弁別することが困難であることが理解できる。
【0048】
一方、図15(a)および(b)は、それぞれ5Hz〜30Hzおよび30Hz〜60Hzのバンドパスフィルタを通した検出信号を示すものであり、同図からはヘゲ欠陥に起因する検出信号が、両方のバンドパスフィルタを透過して検出されることが理解できる。
【0049】
以上の議論から、低周波用バンドパスフィルタ15’と高周波用バンドパスフィルタ15”により検出信号を処理し、低周波用バンドパスフィルタ15’および高周波用バンドパスフィルタ15”の両方を透過した検出信号を用いて欠陥判定したときに、そのヘゲ欠陥候補をヘゲ欠陥であると判別することにより、ヘゲ欠陥の弁別能力を向上させることが解る。
【0050】
以上より、本発明の第2実施形態にかかる表層欠陥検出装置は、金属被検体4の搬送方向に直交する方向に配列された、複数のE型センサ5を備え、金属被検体4の搬送方向とE型センサ5の配列方向とを含む2次元平面に各E型センサ5の検出信号をマッピングすることによって、検出信号の2次元マップを作成する2次元画像化手段18’,18”と、2次元マップにおける検出信号の2次元パターンに基づいて金属被検体4の表層にヘゲ欠陥が存在するか否かを判別する判別手段17とを備えるので、金属被検体4の地合ノイズとヘゲ欠陥に起因する検出信号とを精度良く弁別することができる。
【0051】
さらに、本発明の第2実施形態にかかる表層欠陥検出装置は、検出信号を一方の検出信号と他方の検出信号とに分岐する分岐手段と、一方の検出信号の低周波成分を透過させる低周波用バンドパスフィルタ15’と、他方の検出信号の高周波成分を透過させる高周波用バンドパスフィルタ15”とを備え、低周波用バンドパスフィルタ15’を透過した検出信号及び高周波バンドパスフィルタ15”を透過した検出信号それぞれについて2次元マップを作成するので、ヘゲ欠陥の弁別能力が向上する。
【0052】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態にかかる表層欠陥検出装置1について説明する。第3実施形態にかかる表層欠陥検出装置1は、第2実施形態における計算機13のデジタル信号処理において、さらに差分処理手段16’と差分処理手段16”とを追加したものである。したがって、本実施形態の説明においても、同符号を参照することにより表層欠陥検出装置1の全体構成についての説明を省略し、デジタル信号処理部分(図4における計算機13の処理)のみ説明をする。
【0053】
図16は、本発明の第2実施形態にかかるデジタル信号処理を説明するブロック図である。各E型センサ5の検出信号は、A/Dコンバータ12を介して計算機13に取り込まれたのち、補正手段14が、各E型センサ5の感度個体差を補正する。なお、この補正には、事前に設定しておく設定値を用いる。
【0054】
次に、検出信号を2つに分岐し、一方を低周波用のバンドパスフィルタ15’が周波数制限をし、他方を高周波用のバンドパスフィルタ15”が周波数制限をする。その後、低周波用のバンドパスフィルタ15’および高周波用のバンドパスフィルタ15”の出力を、それぞれ差分処理手段16’,16”が金属被検体4の幅方向の差分処理を行う。
【0055】
ここで、差分処理手段16’,16”が行う差分処理としては、平均差分と隣接差分とが考えられる。平均差分とは、検出信号の平均化信号と各検出信号との差分処理のことをいい、隣接差分とは、隣接した各々の検出信号間の差分処理のことをいう。
【0056】
差分処理手段16’,16”により差分処理された検出信号は、それぞれ2次元画像化手段18’,18”が2次元画像化し、さらに、領域重心算出手段19’,19”がヘゲ欠陥の候補となる領域の領域重心を算出する。その後、判別手段17は、2つの領域重心算出手段19’,19”によって算出した検出値の重心を結んだ直線に基づき、当該領域がヘゲ欠陥を含むか否かを判定する。なお、判別手段17、2次元画像化手段18’,18”および領域重心算出手段19’,19”の具体的処理内容は、それぞれ第2実施形態における対応部分と同じなので、ここでは説明を省略する。
【0057】
次に、図17および図18を参照して、本発明の第3実施形態における差分処理の効果について検討する。図17および図18は、差分処理手段16’,16”の差分処理として、それぞれ隣接差分および平均差分の処理をした場合の差分処理前後の検出信号を2次元画像化したものである。
【0058】
図17に示される検出信号の2次元マップより解るように、(a)隣接差分処理前では、コーナーヘゲに起因する以外の検出信号(つまりノイズ)も検出されているが、(b)隣接差分処理後では、ノイズが低減され、ヘゲ欠陥の判別が容易になっている。また、図18に示される検出信号の2次元マップより同様に解るように、(a)平均差分処理前では、ノイズも検出されているが、(b)平均差分処理後では、ノイズが低減されている。したがって、上記の差分処理によってノイズを低減した後に検出信号の領域重心を算出することは、より精度の高いヘゲ欠陥検出に効果的であることがわかる。
【0059】
以上より、本発明の第3実施形態にかかる表層欠陥検出装置は、金属被検体4の搬送方向に直交する方向に配列された、複数のE型センサ5を備え、金属被検体4の搬送方向とE型センサ5の配列方向とを含む2次元平面に各E型センサ5の検出信号をマッピングすることによって、検出信号の2次元マップを作成する2次元画像化手段18’,18”と、2次元マップにおける検出信号の2次元パターンに基づいて金属被検体4の表層にヘゲ欠陥が存在するか否かを判別する判別手段17とを備えるので、金属被検体4の地合ノイズとヘゲ欠陥に起因する検出信号とを精度良く弁別することができる。
【0060】
さらに、本発明の第3実施形態にかかる表層欠陥検出装置は、複数のE型センサ5間における検出信号の差分値を算出し、算出された差分値を示す信号を差分信号として出力する差分処理手段16’,16”を更に備え、2次元画像化手段18’,18”は、差分信号を2次元平面にマッピングすることによって2次元マップを作成するので、金属被検体4の地合ノイズを低減することができ、ヘゲ欠陥の弁別精度がより向上する。
【符号の説明】
【0061】
1 表層欠陥検出装置
2 センサBox
3 ロール
4 金属被検体
5 E型センサ
6 信号処理部
7 発振器
8 差動増幅器
9 位相器
10 検波器
12 A/Dコンバータ
13 計算機
14 補正手段
15 バンドパスフィルタ
16 差分処理手段
17 判別手段
18 2次元画像化手段
19 領域重心算出手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属被検体の搬送方向に直交する方向に配列された、複数の渦流探傷センサを備える表層欠陥検出装置であって、
前記金属被検体の搬送方向と前記渦流探傷センサの配列方向とを含む2次元平面に各渦流探傷センサの検出信号をマッピングすることによって、該検出信号の2次元マップを作成する2次元画像化手段と、
前記2次元マップにおける前記検出信号の2次元パターンに基づいて、前記金属被検体の表層にヘゲ欠陥が存在するか否かを判別する判別手段と、
を備えることを特徴とする表層欠陥検出装置。
【請求項2】
各渦流探傷センサについて検出信号の領域重心位置を前記2次元マップ上に算出し、算出された領域重心位置を結ぶ折線を前記2次元パターンとして生成する領域重心算出手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の表層欠陥検出装置。
【請求項3】
前記判別手段は、前記折線を構成する直線の傾きに基づいて前記金属被検体の表層にヘゲ欠陥が存在するか否かを判別することを特徴とする請求項2に記載の表層欠陥検出装置。
【請求項4】
前記第2の差分手段から出力された検出信号を一方の検出信号と他方の検出信号とに分岐する分岐手段と、
前記一方の検出信号の低周波成分を透過させる低周波用バンドパスフィルタと、
前記他方の検出信号の高周波成分を透過させる高周波用バンドパスフィルタとを備え、
前記判別手段は、前記低周波用バンドパスフィルタを透過した検出信号及び前記高周波バンドパスフィルタを透過した検出信号それぞれについて前記2次元マップを作成することを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか1項に記載の表層欠陥検出装置。
【請求項5】
複数の渦流探傷センサ間における検出信号の差分値を算出し、算出された差分値を示す信号を差分信号として出力する差分手段を更に備え、
前記2次元画像化手段は、前記差分信号を前記2次元平面にマッピングすることによって前記2次元マップを作成することを特徴とする請求項1〜4のうち、いずれか1項に記載の表層欠陥検出装置。
【請求項1】
金属被検体の搬送方向に直交する方向に配列された、複数の渦流探傷センサを備える表層欠陥検出装置であって、
前記金属被検体の搬送方向と前記渦流探傷センサの配列方向とを含む2次元平面に各渦流探傷センサの検出信号をマッピングすることによって、該検出信号の2次元マップを作成する2次元画像化手段と、
前記2次元マップにおける前記検出信号の2次元パターンに基づいて、前記金属被検体の表層にヘゲ欠陥が存在するか否かを判別する判別手段と、
を備えることを特徴とする表層欠陥検出装置。
【請求項2】
各渦流探傷センサについて検出信号の領域重心位置を前記2次元マップ上に算出し、算出された領域重心位置を結ぶ折線を前記2次元パターンとして生成する領域重心算出手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の表層欠陥検出装置。
【請求項3】
前記判別手段は、前記折線を構成する直線の傾きに基づいて前記金属被検体の表層にヘゲ欠陥が存在するか否かを判別することを特徴とする請求項2に記載の表層欠陥検出装置。
【請求項4】
前記第2の差分手段から出力された検出信号を一方の検出信号と他方の検出信号とに分岐する分岐手段と、
前記一方の検出信号の低周波成分を透過させる低周波用バンドパスフィルタと、
前記他方の検出信号の高周波成分を透過させる高周波用バンドパスフィルタとを備え、
前記判別手段は、前記低周波用バンドパスフィルタを透過した検出信号及び前記高周波バンドパスフィルタを透過した検出信号それぞれについて前記2次元マップを作成することを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか1項に記載の表層欠陥検出装置。
【請求項5】
複数の渦流探傷センサ間における検出信号の差分値を算出し、算出された差分値を示す信号を差分信号として出力する差分手段を更に備え、
前記2次元画像化手段は、前記差分信号を前記2次元平面にマッピングすることによって前記2次元マップを作成することを特徴とする請求項1〜4のうち、いずれか1項に記載の表層欠陥検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−141250(P2012−141250A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−851(P2011−851)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
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