説明

表示パネルの駆動装置

【課題】ノイズを低減させて誤動作の発生を抑制した表示パネルの駆動装置を提供することを目的とする。
【解決手段】表示パネルの列電極各々の内の1の列電極とパルス電源電圧が印加されている電源ラインとを画素データに応じて接続する第1スイッチと、かかる1の列電極と接地ラインとを画素データに応じて接続する第2スイッチとにより、この1の列電極上に上記画素データに応じた画素データパルスを印加する。この際、上記第2スイッチは、画素データにおける画面垂直方向での周波数が低い場合には高い場合に比して小なる電流を接地ラインに送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容量性発光素子がマトリクス状に配列されている表示パネルの駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、壁掛TVとして、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと称する)、又はエレクトロルミネセンスディスプレイパネル(以下、ELPと称する)等の如き容量性発光素子からなる表示パネルが製品化されている。
【0003】
図1は、かかる表示パネルとしてPDPを用いたプラズマディスプレイ装置の概略構成を示す図である(例えば、特許文献1の図3参照)。
【0004】
図1において、プラズマディスプレイパネルとしてのPDP10は、互いに隣接する一対の行電極X及びYにて画面の1表示ラインを為す行電極Y〜Y及びX〜Xを備えている。更に、PDP10には、上記行電極対に直交し、かつ図示せぬ誘電体層及び放電空間を挟んで1画面の各列(第1列〜第m列)に対応した列電極Z〜Zが形成されている。尚、1対の行電極対(X、Y)と1つの列電極Zとの交差部に画素を担う画素セルが形成される。
【0005】
行電極駆動回路30は、壁電荷の残留する画素セルのみを繰り返し放電させる維持パルスを生成してPDP10の行電極Y〜Yに印加する。行電極駆動回路40は、全画素セルの状態を初期化するリセットパルス、画素データの書込対象とする表示ラインを順次選択する走査パルス、壁電荷の残留する画素セルのみを繰り返し放電させる維持パルスを生成して上記行電極X〜Xに印加する。
【0006】
駆動制御回路50は、入力された映像信号を各画素毎の例えば8ビットの画素データに変換し、この画素データを各ビット桁毎に分割して画素データビットDBを得る。そして、駆動制御回路50は、各表示ライン毎に、その表示ラインに属する第1列〜第m列各々に対応した画素データビットDB1〜DBmを列電極駆動回路20に供給する。更に、この間、駆動制御回路50は、スイッチング信号SW1〜SW3を生成し、これらを列電極駆動回路20に供給する。
【0007】
列電極駆動回路20は、スイッチング信号SW1〜SW3に基づき、駆動制御回路50から1表示ライン分(m個)の画素データビットDBが供給される度に、これら画素データビットDB各々の論理レベルに対応したパルス電圧を有するm個の画素データパルスDPを生成し、夫々、列電極Z〜Zに印加する。すなわち、列電極駆動回路20は、第1〜第n表示ライン各々に対応した夫々m個の画素データパルスを1表示ライン分(m個)ずつ所定の画素データ周期毎に順次、列電極Z〜Zに印加して行くのである。例えば、列電極駆動回路20は、先ず、第1画素データ周期において第1表示ラインに対応したm個の画素データパルスを列電極Z〜Zに印加し、次の第2画素データ周期において第2表示ラインに対応したm個の画素データパルスを列電極Z〜Zに印加するのである。 図2は、かかる列電極駆動回路20の内部構成を示す図である。
【0008】
図2に示すように、列電極駆動回路20は、所定振幅のパルス電源電圧を発生して電源ライン2上に印加する電源回路21と、かかるパルス電源電圧に基づいて画素データパルスDPを発生する画素データパルス発生回路22から構成される。
【0009】
電源回路21は、図3に示す如く、画素データ周期CYC毎に駆動行程G1〜G3なるシーケンスにてスイッチング素子S1〜S3各々をオン・オフ制御すべく駆動制御回路50から供給されたスイッチング信号SW1〜SW3に応じて、ピーク電圧Vaを有するパルス電源電圧を発生し、これを電源ライン2に印加する。すなわち、駆動行程G1では、電源回路21のスイッチング素子S1がオン状態となり、コンデンサC1に蓄えられていた電荷が放電される。この際、画素データパルス発生回路22のスイッチング素子SWZ1〜SWZmの内のSWZがオン状態にあると、コンデンサC1の放電に伴う電流が、スイッチング素子S1、コイルL1、ダイオードD1、電源ライン2、及びこのスイッチング素子SWZを介してPDP10の列電極Zに流れ込む。すると、列電極Zに寄生する負荷容量Cが充電され、この負荷容量C内に電荷の蓄積が為される。かかるコンデンサC1の放電動作に伴って電源ライン2上の電圧は、コイルL1及び負荷容量Cによる共振作用により徐々に上昇し、コンデンサの一端の電位Vcの2倍の電圧に到る。次に、駆動行程G2が実施されると、スイッチング素子S1〜S3の内のスイッチング素子S3のみがオン状態となるので、直流電源B1が発生した直流の電圧Vaが、スイッチング素子S3を介して電源ライン2上に印加される。この際、上記電圧Vaが図3に示す如くパルス電源電圧のピーク電圧となる。電圧Vaが電源ライン2に印加されると、スイッチング素子SWZを介してPDP10の列電極Zに電流が流れ、この列電極Zに寄生する負荷容量Cが充電されて電荷の蓄積が為される。次に、駆動行程G3が実施されると、スイッチング素子S1〜S3の内のスイッチング素子S2のみがオン状態となり、PDP10の負荷容量Cが放電を開始する。かかる放電により、列電極Z、スイッチング素子SWZ、電源ライン2、コイルL2、ダイオードD2、及びスイッチング素子S2を介してコンデンサC1に電流が流れ込む。すなわち、PDP10の負荷容量C内に蓄積された電荷が、電源回路21内に形成されているコンデンサC1に回収されるのである。このとき、コイルL2及び負荷容量Cで決まる時定数により、電源ライン2上の電圧は図3に示す如く徐々に低下する。この際、上述した如き電源ライン2上での緩やかな電位下降部分が、上記パルス電源電圧のリアエッジ部となる。
【0010】
画素データパルス発生回路22のスイッチング素子SWZi(i:1〜m)は、供給された画素データビットDBが論理レベル「1」である場合にオン状態となり、電源ライン2上のパルス電源電圧を列電極Ziに印加する。これにより、高電圧の画素データパルスDPが列電極Ziに印加されることになる。又、画素データパルス発生回路22のスイッチング素子SWZi0(i:1〜m)は、供給された画素データビットDBが論理レベル「0」である場合にオン状態となり、列電極Ziに接地電位としての0ボルトを印加する。これにより、低電圧の画素データパルスDPが列電極Ziに印加されることになる。
【0011】
図4は、PDP10の列電極Zi(i:1〜m)を抜粋して、列電極駆動回路20が、第1〜第6表示ライン各々に対応した画素データパルスDP1i〜DP6i各々を列電極Ziに順次印加する際の動作を示す図である。尚、図4においては、第1〜第6表示ライン各々に対応した画素データビットDBのビット系列が、 [1、1、1、1、1、0]なる場合での動作を示している。
【0012】
この際、第1〜第5表示ライン各々に対応した画素データビットDBが連続して論理レベル1であるので、この間、図4に示すように、スイッチング素子SWZiはオン状態、スイッチング素子SWZi0はオフ状態固定となる。よって、画素データ周期CYC1〜CYC5に亘って図3に示す如き動作が繰り返し実行されると、これらCYC1〜CYC5各々の駆動行程G3で回収しきれなかった電荷が徐々にPDP10の負荷容量C内に蓄積されて行く。その結果、電源ライン2上に印加されたパルス電源電圧は、その最大電位Vaを維持しつつもその共振振幅V1が図4に示す如く徐々に小となる。これにより、上述した如き共振作用に伴う充放電動作が実施されなくなるので、無効電力の抑制が為される。
【0013】
そして、画素データ周期CYC5の次の画素データ周期CYC6にて、第6表示ラインに対応した論理レベル0の画素データビットDBが供給されると、上記スイッチング素子SWZiはオフ状態、スイッチング素子SWZi0はオン状態に切り替わる。スイッチング素子SWZi0がオン状態になることにより、列電極Ziは接地され、この列電極Zi上の電圧は0ボルトに推移する。ところが、図4のEGにて示す如く、列電極Z上の電圧が比較的高電位の状態から0ボルトまで急峻に変化するとノイズが多く発生し、駆動回路が誤動作する恐れが生じるという問題が生じた。
【特許文献1】特開2002−156941号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、かかる問題を解決すべく為されたものであり、ノイズを低減させて誤動作の発生を抑制した表示パネルの駆動装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1記載による表示パネルの駆動装置は、複数の行電極と複数の列電極との各交叉部に容量性の画素セルが形成された表示パネルを入力映像信号に基づく各画素毎の画素データに応じて駆動する表示パネルの駆動装置であって、所定ピーク電圧を有するパルス電源電圧を発生して電源ラインに印加する電源回路と、前記パルス電源電圧に基づいて前記画素データに応じた電圧を有する画素データパルスを発生して前記列電極に印加する画素データパルス発生回路と、を備え、前記画素データパルス発生回路は、前記画素データに応じて前記電源ラインと前記列電極各々の内の1の列電極とを接続する第1スイッチと、前記画素データに応じて前記1の列電極を接地ラインに接続する第2スイッチとを含み、前記第2スイッチは、駆動モードに応じて前記接地ラインに送出する電流量を変更する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明においては、表示パネルの列電極各々の内の1の列電極とパルス電源電圧が印加されている電源ラインとを画素データに応じて接続する第1スイッチと、かかる1の列電極と接地ラインとを画素データに応じて接続する第2スイッチとにより、この1の列電極上に上記画素データに応じた画素データパルスを印加する。この際、上記第2スイッチは、画素データにおける画面垂直方向での周波数が低い場合には高い場合に比して小なる電流を接地ラインに送出するようにしている。これにより、画素データにおける画面垂直方向での周波数が低いが故にパルス電源電圧の振幅がそのピーク電圧を維持したまま小となった際に、列電極上に印加される画素データパルスが連続して高電圧の状態から低電圧(0ボルト)に切り替わった場合にも、緩やかに列電極上の電圧が推移することになる。よって、列電極上の電圧が急峻に高電圧状態から低電圧(0ボルト)に推移する場合に比して、この電圧変動時に発生するノイズが低減される。
【実施例】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
図5は、表示パネルとしてPDPを搭載したプラズマディスプレイ装置の概略構成を示す図である。
【0019】
図5において、プラズマディスプレイパネルとしてのPDP10は、2次元表示画面の縦方向(垂直方向)に夫々伸長している列電極Z〜Z、横方向(水平方向)に夫々伸長しており、且つX及びY交互に配置されている行電極X〜X及び行電極Y〜Yが形成されている。尚、互いに隣接する一対の行電極X及びYにて、PDP10の1表示ライン分の表示を行う。すなわち、PDP10は、行電極X及びYからなる第1表示ライン、行電極X2及びY2からなる第2表示ライン、・・・、行電極Xn及びYnからなる第n表示ラインを備えるのである。これら第1〜第n表示ラインと、列電極Z〜Zとの間には放電ガスが封入された放電空間が設けられており、この放電空間を含む行電極と列電極との各交叉部に画素に対応した画素セルが形成される構造となっている。
【0020】
行電極駆動回路30は、後述する駆動制御回路150から供給された駆動制御信号に応じて、全画素セルの状態を初期化するリセットパルス、画素データの書込対象とする表示ラインを順次選択する走査パルス、壁電荷の残留する点灯モード状態の画素セルのみを繰り返しサスティン放電させるサスティンパルスを生成して、PDP10の行電極Y〜Yに印加する。行電極駆動回路40は、駆動制御回路150から供給された駆動制御信号に応じて、全画素セルの状態を初期化するリセットパルス、点灯モード状態の画素セルのみを繰り返しサスティン放電させるサスティンパルスを生成してPDP10の行電極X〜Xに印加する。
【0021】
画素データ変換回路100は、入力映像信号を各画素毎のNビットの画素データに変換して得た画素データPDを垂直方向周波数判定回路120及び駆動制御回路150に供給する。
【0022】
垂直周波数判定回路100は、Nビットの上記画素データPDにおける各ビット桁(第1〜第Nビット)毎に、画面垂直方向における画素データビット系列の周波数が所定周波数よりも低いか否かを判定して判定結果(以下、垂直周波数判定結果と称する)を得る。例えば、垂直周波数判定回路100は、各列毎の第1〜第n表示ライン各々に対応したn個の連続した画素データビットによる系列中において、画素データビットが所定回数(例えば4回)よりも多く連続して同一の論理レベルとなる区間に対しては、画素データビット系列における画面垂直方向での周波数が所定周波数よりも低いと判定する。一方、各列毎の第1〜第n表示ライン各々に対応したn個の連続した画素データビットによる系列中において、同一の論理レベルとなる画素データビットが連続する回数が所定回数(例えば4回)よりも少ない場合には、垂直周波数判定回路100は、画素データビット系列における画面垂直方向での周波数が所定周波数よりも高いと判定する。そして、垂直周波数判定回路100は、上記の如き第1〜第Nビット毎の垂直周波数判定結果を、後述するサブフィールドSF1〜SF(N)各々に対応した垂直周波数判定結果として示す垂直周波数判定信号VD1〜VDNを駆動制御回路150に供給する。例えば、垂直周波数判定回路100は、画素データPDの第1ビットからなる画素データビット群における画面垂直方向でのビット系列の周波数が所定周波数よりも低い場合には論理レベル0、高い場合には論理レベル1の垂直周波数判定結果を、サブフィールドSF1に対応した垂直周波数判定信号VD1として生成する。要するに、垂直周波数判定回路100は、入力映像信号(画素データPD)における画面垂直方向での周波数が所定周波数よりも低いか否かを判定し、その判定結果を駆動制御回路150に供給するのである。
【0023】
駆動制御回路150は、図6に示す如きサブフィールド法に基づく発光駆動シーケンスに従って、単位表示期間(1フィールド又は1フレーム表示期間)毎のN個のサブフィールドSF1〜SF(N)各々において、アドレス行程W及びサスティン行程Iを夫々実行する。この際、駆動制御回路150は、1フィールド(又は1フレーム)分の画素データPDの各々をビット桁毎に分離し、第1ビット桁の画素データビット群をサブフィールドSF1、第2ビット桁の画素データビット群をサブフィールドSF2、第3ビット桁の画素データビット群をサブフィールドSF3、・・・、第Nビット桁の画素データビット群をサブフィールドSF(N)に夫々割り当てる。ここで、各サブフィールドのアドレス行程Wにおいて、駆動制御回路150は、そのサブフィールドに割り当てられた画素データビット群中から第1〜第N表示ラインへ向けて1表示ライン分(m個)ずつ順次、画素データビットを取り出し、夫々画素データビットDB1〜DBmとして列電極駆動回路200に供給する。この間、駆動制御回路150は、図3に示すシーケンスにてスイッチング素子をオン・オフ制御すべきスイッチング信号SW1〜SW3を列電極駆動回路200に供給しつつ、各表示ライン毎の画素データビットDBの印加タイミングに同期させて上記走査パルスを行電極Y1〜Ynへと順次印加させるべき駆動制御信号を行電極駆動回路30に供給する。
【0024】
更に、駆動制御回路150は、サブフィールドSF1〜SF(N)の内のSFK(K:1〜N)のアドレス行程Wにおいて、垂直周波数判定信号VDKにて示される垂直周波数判定結果に応じた駆動モード指定信号GSを生成し、これを列電極駆動回路200に供給する。すなわち、垂直周波数判定信号VDKにて示される垂直周波数判定結果が論理レベル1、つまり画素データビット群による画面垂直方向での周波数が所定周波数よりも高い場合には、駆動制御回路150は、高駆動モードを指定すべき論理レベル1の駆動モード指定信号GSを列電極駆動回路200に供給する。一方、かかる画素データビット群による画面垂直方向での周波数が所定周波数よりも低い場合には、駆動制御回路150は、低駆動モードを指定すべき論理レベル0の駆動モード指定信号GSを列電極駆動回路200に供給する。
【0025】
列電極駆動回路200は、駆動制御回路150から供給された画素データビットDB1〜DBm各々の論理レベルに対応したパルス電圧を有するm個の画素データパルスを生成し、列電極D〜Dに夫々印加する。すなわち、列電極駆動回路200は、図6に示す如き各サブフィールドのアドレス行程Wにおいて、先ず、第1表示ラインに対応したm個の画素データパルスを列電極D〜Dに夫々印加し、次に、第2表示ラインに対応したm個の画素データパルスを列電極D〜Dに夫々印加する。以下、同様にして、列電極駆動回路200は、第3〜第n表示ライン各々に対応した画素データパルスを1表示ライン分(m個)ずつ順次、列電極D〜Dに印加してゆく。この際、上述した如き走査パルスが印加された表示ラインと、高電圧の画素データパルスが印加された列電極との交叉部の画素セルにのみアドレス放電が生起され、その画素セル内に壁電荷が形成される(又は残存していた壁電荷が消去される)。一方、走査パルスと同時に低電圧の画素データパルスが印加された画素セルにおいては、アドレス放電が生起されないので、その直前までの壁電荷形成状態を維持する。すなわち、アドレス行程Wでは、画素データに応じて画素セルの各々を選択的に放電させることにより、各画素セルを1表示ライン分ずつ順次、壁電荷の形成された点灯モード状態及び壁電荷が存在しない消灯モード状態の内の一方に設定する、いわゆる画素データの書込を行うのである。
【0026】
図7は、かかる列電極駆動回路200の内部構成を示す図である。
【0027】
図7において、列電極駆動回路200は、電源回路21及び画素データパルス発生回路220から構成される。
【0028】
電源回路21におけるコンデンサC1は、その一端がPDP10の接地電位としてのPDP接地電位Vsに設定されている接地ラインに接続されている。スイッチング素子S1は、上記駆動制御回路150から論理レベル0のスイッチング信号SW1が供給されている間はオフ状態にある。一方、かかるスイッチング信号SW1の論理レベルが1である場合にはオン状態となって、上記コンデンサC1の他端に生じた電圧をコイルL1及びダイオードD1を介して電源ライン2上に印加する。これによりコンデンサC1は放電を開始し、その放電により生じた電圧が電源ライン2上に印加される。スイッチング素子S2は、上記駆動制御回路150から論理レベル0のスイッチング信号SW2が供給されている間はオフ状態である一方、かかるスイッチング信号SW2が論理レベル1である場合にはオン状態となって上記電源ライン2上の電圧をコイルL2及びダイオードD2を介して上記コンデンサC1の他端に印加する。この際、コンデンサC1は、上記電源ライン2上の電圧によって充電される。スイッチング素子S3は、上記駆動制御回路150から論理レベル0のスイッチング信号SW3が供給されている間はオフ状態である一方、かかるスイッチング信号SW3が論理レベル1である場合にはオン状態となって直流電源B1が発生した電源電圧Vaを電源ライン2上に印加する。尚、この直流電源B1の負側端子は、上記PDP接地電位Vsに設定されている接地ラインに接続されている。
【0029】
電源回路21は、図3に示す如く、画素データ周期CYC毎に駆動行程G1〜G3なるシーケンスにてスイッチング素子S1〜S3をオン・オフ制御させるべきスイッチング信号SW1〜SW3に応じて、ピーク電圧Vaを有するパルス電源電圧を発生し、これを電源ライン2に印加する。尚、電源回路21は、上記画素データビットによる画面垂直方向での周波数が低いほど、つまり各列電極上において隣接する表示ライン各々に属する画素セルに対応した画素データビットが連続して同一の論理レベルとなる数が多いほど、上記パルス電源電圧のピーク電圧Vaを維持しつつもその振幅を小にする。
【0030】
画素データパルス発生回路220は、駆動制御回路150から供給された画素データビットDB〜DBに応じて、夫々個別に画素データパルスを発生してPDP10の列電極Z〜Z各々に供給する出力バッファBF〜BFからなる。例えば、出力バッファBFは、画素データビットDBが論理レベル1である場合には低電圧(PDP接地電位Vs)の画素データパルスを列電極Zに印加する。一方、画素データビットDBが論理レベル0である場合には、出力バッファBFは、電源ライン2上の上記パルス電源電圧を有する、いわゆる高電圧の画素データパルスを列電極Zに印加する。又、出力バッファBF2は、画素データビットDB2が論理レベル1である場合には低電圧(PDP接地電位Vs)の画素データパルスを列電極Z2に印加する。一方、画素データビットDB2が論理レベル0である場合には、出力バッファBF2は、上記パルス電源電圧を有する、いわゆる高電圧の画素データパルスを列電極Z2に印加する。
【0031】
尚、出力バッファBF〜BFの各々は、駆動制御回路150から供給された駆動モード指定信号GSに応じて、上記の如き低電圧の画素データパルス印加時における電流駆動能力(低駆動モード、高駆動モード)が設定される。
【0032】
図8は、出力バッファBF〜BF各々の内部構成の一例を示す図である。
【0033】
図8に示されるように、出力バッファBF〜BFの各々は、スイッチユニットSWZi及びSWZiOから構成されている。
【0034】
スイッチユニットSWZiは、夫々のソース端Sが上記電源ライン2に共通に接続されており、且つ夫々のドレイン端Dが1つの列電極Zに共通に接続されているpチャンネル型のMOSトランジスタQA1〜QA3を備える。これらトランジスタQA1〜QA3各々のゲート端Gには、駆動制御回路150から供給された画素データビットDBの論理レベルに対応した電圧が共通に供給される。トランジスタQA1〜QA3の各々は、この画素データビットDBが論理レベル1である場合には同時にオフ状態となる一方、論理レベル0である場合には同時にオン状態となり、夫々が電源ライン2上の電圧を列電極Zに印加する。この際、トランジスタQA1〜QA3各々は、同一の電流駆動能力を有する。つまり、スイッチユニットSWZiは、単一のトランジスタQAに比して3倍の電流を列電極Zに供給する電流駆動能力を有するのである。
【0035】
一方、スイッチユニットSWZiOは、夫々のソース端Sが上記列電極Zに共通に接続されており、且つ夫々のドレイン端Dが接地ラインに接続されているnチャンネル型のMOSトランジスタQB1〜QB3と、アンド回路AN1とを備える。トランジスタQB1のゲート端Gには、駆動制御回路150から供給された画素データビットDBの論理レベルに対応した電圧が供給される。よって、トランジスタQB1は、画素データビットDBが論理レベル0である場合にはオフ状態となる一方、論理レベル1である場合にはオン状態となって列電極Zを接地ラインに接続する。一方、トランジスタQB2及びQB3各々のゲート端Gには、アンド回路AN1から出力された電圧が印加される。この際、アンド回路AN1は、上記駆動モード指定信号GSが論理レベル1である場合には、画素データビットDBの論理レベルに対応した電圧をトランジスタQB2及びQB3各々のゲート端Gに供給する。一方、駆動モード指定信号GSが論理レベル0である場合には、アンド回路AN1は、上記画素データビットDBの論理レベルに拘わらず、論理レベル0に対応した電圧をトランジスタQB2及びQB3各々のゲート端Gに供給する。
【0036】
すなわち、スイッチユニットSWZiOは、論理レベル1の駆動モード指定信号GSが供給された場合には、トランジスタQB1〜QB3の全てがスイッチング動作可能な状態となる高駆動モードに設定されるのである。高駆動モードでは、スイッチユニットSWZiOは、そのオン状態時において、トランジスタQB1〜QB3の全てがオン状態となる。よって、PDP10の負荷容量Coに蓄積されている電荷に伴う電流は、3つのトランジスタQB1〜QB3各々を介して接地ラインに流れ込んでこれを消費させる。従って、高駆動モードにおいてスイッチユニットSWZiOは、比較的大電流を接地ラインに流すことになるので、列電極Z上の電圧は直ちに接地電位(0ボルト)に推移する。
【0037】
一方、論理レベル0の駆動モード指定信号GSが供給された場合、スイッチユニットSWZiOは、トランジスタQB1〜QB3の内のQB1のみがスイッチング動作可能な状態となる低駆動モードに設定される。よって、低駆動モードでは、スイッチユニットSWZiOは、そのオン状態時において、トランジスタQB1のみがオン状態となる。よって、PDP10の負荷容量Coに蓄積されている電荷に伴う電流は、トランジスタQB1のみを介して接地ラインに流れ込んでこれを消費させることになる。つまり、低駆動モードではスイッチユニットSWZiOが接地ラインに流す電流量が小となるので、高駆動モードで動作している場合に比して列電極Z上の電圧は緩やかに接地電位(0ボルト)に推移する。
【0038】
以上の如く、出力バッファBF〜BFの各々は、スイッチユニットSWZi及びSWZiOの内のSWZiOの電流駆動能力(低駆動モード、高駆動モード)を、駆動モード指定信号GSに応じて変更するようにしている。つまり、スイッチユニットSWZiOは、入力映像信号(画素データビットDB)の画面垂直方向での周波数が低い場合には高い場合に比して、列電極Zを接地ラインに接続した際に流すべき電流量を低くするように、その電流駆動能力が変更可能な構成となっているのである。
【0039】
以下に、図7及び図8に示される列電極駆動回路200の動作について図9及び図10を参照しつつ説明する。
【0040】
尚、図9は、画素データビットDBによる画面垂直方向での周波数が所定周波数よりも高い場合での動作を示し、図10は、画素データビットDBによる画面垂直方向での周波数が所定周波数よりも低い場合での動作を示すものである。又、図9及び図10は共に、列電極Z1〜Zmの内から列電極Z1のみを抜粋して、列電極Z上での電圧推移、電源ライン2上での電圧推移、及び出力バッファBF1のスイッチユニットSWZi及びSWZiO各々の内部動作を示している。
【0041】
先ず、画面垂直方向での周波数が高い画素データビットDBの系列として、図9に示す如き[1、0、1、0、1、0]を列電極駆動回路200に供給する場合、駆動制御回路150は、高駆動モードを指定すべき論理レベル1の駆動モード指定信号GSを列電極駆動回路200に供給する。すなわち、この際、画素データビットDB系列による同一論理レベルの連続回数は1回であり、これは所定回数4回よりも少ないので、駆動制御回路150は、高駆動モードを指定すべき駆動モード指定信号GSを列電極駆動回路200に供給するのである。かかる駆動モード指定信号GSに応じて、図8に示す如き出力バッファBFにおけるスイッチユニットSWZiOのトランジスタQB1〜QB3の全てが有効となり、このスイッチユニットSWZiOは高駆動モードとなる。更に、駆動制御回路150は、図9に示す如き各画素データビットDBの印加周期である画素データ周期CYC1〜CYC6各々毎に、駆動行程G1〜G3なるシーケンスにて電源回路21のスイッチング素子S1〜S3をオン・オフ制御すべきスイッチング信号SW1〜SW3を列電極駆動回路200に供給する。
【0042】
ここで、図9における画素データ周期CYC1、CYC3及びCYC5の各々では、論理レベル0の画素データビットDBに応じて、出力バッファBFのスイッチユニットSWZにおけるトランジスタQA1〜QA3の全てが同時にオン状態となる。よって、画素データ周期CYC1、CYC3及びCYC5各々では、駆動行程G1において電源回路21のスイッチング素子S1がオン状態になると、コンデンサC1に蓄えられていた電荷が放電され、その放電電流がスイッチング素子S1、コイルL1、ダイオードD1、電源ライン2及び出力バッファBFのトランジスタQA1〜QA3各々を介してPDP10の列電極Zに流れ込む。すると、列電極Zに寄生する負荷容量Cが充電され、この負荷容量C内に電荷の蓄積が為される。この際、コイルL1及び負荷容量Cの共振作用により、電源ライン2上の電圧は徐々に上昇し、この電圧上昇区間がパルス電源電圧の立ち上がりエッジ部となる。次に、駆動行程G2においてスイッチング素子S3がオン状態になると、電源B1による電圧Vaがスイッチング素子S3、電源ライン2、及び出力バッファBFのトランジスタQA1〜QA3各々を介してPDP10の列電極Zに印加される。この際、電源ライン2上に印加された電圧Vaがパルス電源電圧のピーク電圧となる。尚、かかる電圧印加により、電源ライン2に寄生する容量Ce及び列電極Zに寄生する負荷容量Cの各々において電荷の蓄積が為される。そして、駆動行程G3においてスイッチング素子S2がオン状態になると、PDP10の負荷容量Cが放電を開始して、その放電電流が、列電極Z、出力バッファBFのトランジスタQA1〜QA3、電源ライン2、コイルL2、ダイオードD2及びスイッチング素子S2を介してコンデンサC1に流れ、このコンデンサC1が充電される。すなわち、PDP10の負荷容量Cにて蓄積された電荷がコンデンサC1に回収されるのである。この際、コイルL2及び負荷容量Cにて決定する時定数により、電源ライン2及び列電極Z上の電圧は徐々に低下する。かかる電圧下降区間がパルス電源電圧の立ち下がりエッジ部となる。
【0043】
よって、図9における画素データ周期CYC1、CYC3及びCYC5の各々では、論理レベル0の画素データビットDBに応じて、電源ライン2上に生成されたパルス電源電圧に基づく高電圧の画素データパルスDPHが列電極Zに印加されることになる。
【0044】
一方、図9に示される画素データ周期CYC2、CYC4及びCYC6の各々では、論理レベル1の画素データビットDBに応じて、スイッチユニットSWZiOにおけるトランジスタQB1〜QB3の全てが同時にオン状態となる。よって、これら画素データ周期CYC2、CYC3及びCYC5各々では、図9に示す如く電源ライン2上にパルス電源電圧が生成されていても、列電極Zが接地電位(0ボルト)に設定されるので、図9に示す如き低電圧の画素データパルスDPLが列電極Zに印加されることになる。尚、列電極Zが接地電位(0ボルト)に設定されることにより、PDP10の負荷容量Cに蓄積されている電荷に伴う電流がスイッチユニットSWZiOのトランジスタQB1〜QB3各々に流れ込んで消費される。
【0045】
次に、画面垂直方向での周波数が低い画素データビットDBの系列として、図10に示す如き[1、1、1、1、1、0]を列電極駆動回路200に供給する場合、駆動制御回路150は、低駆動モードを指定すべき論理レベル0の駆動モード指定信号GSを列電極駆動回路200に供給する。すなわち、この際、論理レベル1の画素データビットDBの連続回数が5回であり、これは所定回数4回よりも多いので、駆動制御回路150は、低駆動モードを指定すべき駆動モード指定信号GSを列電極駆動回路200に供給するのである。かかる駆動モード指定信号GSに応じて、図8に示す如き出力バッファBFにおけるスイッチユニットSWZiOのトランジスタQB1〜QB3各々の内のQB2及びQB3が、オフ状態固定、つまり無効状態となる。すなわち、この際、スイッチユニットSWZiOは、そのオン状態時において、トランジスタQB1〜QB3各々の内のQB1のみが電流を出力する低駆動モードとなる。更に、駆動制御回路150は、図10に示す如き各画素データビットDBの印加周期である画素データ周期CYC1〜CYC6各々毎に、駆動行程G1〜G3なるシーケンスにて電源回路21のスイッチング素子S1〜S3をオン・オフ制御すべきスイッチング信号SW1〜SW3を列電極駆動回路200に供給する。
【0046】
ここで、図10における画素データ周期CYC1〜CYC5の各々では、論理レベル0の画素データビットDBに応じて、スイッチユニットSWZにおけるトランジスタQA1〜QA3の全てが同時にオン状態となる。よって、画素データ周期CYC1〜CYC5各々では、駆動行程G1にて電源回路21のスイッチング素子S1がオン状態になると、コンデンサC1に蓄えられていた電荷が放電され、その放電電流がスイッチング素子S1、コイルL1、ダイオードD1、電源ライン2及び出力バッファBFのトランジスタQA1〜QA3各々を介してPDP10の列電極Zに流れ込む。すると、列電極Zに寄生する負荷容量Cが充電され、この負荷容量C内に電荷の蓄積が為される。この際、コイルL1及び負荷容量Cの共振作用により、電源ライン2上の電圧は徐々に上昇する。この電圧上昇区間がパルス電源電圧の立ち上がりエッジ部となる。次に、駆動行程G2においてスイッチング素子S3がオン状態になると、電源B1による電圧Vaがスイッチング素子S3、電源ライン2、及び出力バッファBFのトランジスタQA1〜QA3各々を介してPDP10の列電極Zに印加される。この際、電源ライン2上に印加された電圧Vaがパルス電源電圧のピーク電圧となる。尚、かかる電圧印加により、電源ライン2に寄生する容量Ce及び列電極Zに寄生する負荷容量Cの各々において電荷の蓄積が為される。そして、駆動行程G3においてスイッチング素子S2がオン状態になると、PDP10の負荷容量Cが放電を開始して、その放電電流が、列電極Z、出力バッファBFのトランジスタQA1〜QA3、電源ライン2、コイルL2、ダイオードD2及びスイッチング素子S2を介してコンデンサC1に流れ、このコンデンサC1が充電される。すなわち、PDP10の負荷容量Cにて蓄積された電荷がコンデンサC1に回収されるのである。この際、コイルL2及び負荷容量Cにて決定する時定数により、電源ライン2及び列電極Z上の電圧は徐々に低下する。ところが、図10に示すように画素データ周期CYC1〜CYC5に亘り連続して画素データビットDBが論理レベル1となる場合、この間、スッチングユニットSWZiOのトランジスタQB1がオン状態になることはないので、PDP10の負荷容量Cに蓄積されている電荷の消費が為されなくなる。よって、画素データ周期CYC1〜CYC5各々の駆動行程G2において電源ライン2に印加された電圧Vaに伴う電荷が徐々に電源ライン2上の容量Ce及びPDP10の負荷容量Cに夫々蓄積されて行く。これにより、駆動行程G3において、電源ライン2上の容量Ce及びPDP10の負荷容量Cに夫々蓄積されている電荷をコンデンサC1に回収させるべき駆動が実施されても、コンデンサC1がこれを回収しきれなくなる。従って、図10に示す如く、電源ライン2上に印加されたパルス電源電圧は、そのピーク電圧Vaを維持しつつもその共振振幅V1が徐々に小となる。これにより、上述した如き共振作用に伴う充放電動作が実施されなくなるので、無効電力の抑制が為される。
【0047】
そして、画素データ周期CYC6において、論理レベル1の画素データビットDBに応じて、出力バッファBFのスイッチユニットSWZiOがオン状態となる。これにより、PDP10の負荷容量Coに蓄積されていた電荷に伴う電流が列電極Zを介してスイッチユニットSWZiOに流れ込んで消費され、列電極Z上の電圧が接地電位(0ボルト)に推移する。この際、スイッチユニットSWZiOは、低駆動モードに設定されているので、PDP10の負荷容量Coに蓄積されていた電荷に伴う電流はトランジスタQB1〜QB3の内のQB1のみに流れて消費される。
【0048】
よって、図10のEGにて示す如く、列電極Z上の電圧は、トランジスタQB1〜QB3の全てに電流が流れる高駆動モード時に比して緩やかに接地電位(0ボルト)に推移してゆく。従って、列電極Z上の電圧が高電圧状態から急峻に接地電位(0ボルト)に推移する場合に比して、この電圧変動時に発生するノイズが低減される。
【0049】
尚、上記実施例において、出力バッファBFにおけるスイッチユニットSWZiOは、低駆動モード時にはトランジスタQB1〜QB3の内のQB1のみを有効にするようにしているが、QB1及びQB2を有効にするようにしても良い。 図11は、かかる点に鑑みて為された出力バッファBF〜BF各々の他の内部構成の一例を示す図である。
【0050】
図11において、スイッチユニットSWZiがトランジスタQA1〜QA3にて構成され、スイッチユニットSWZiOがトランジスタQB1〜QB3と、アンド回路AN1とによって構成される点は、図8に示されるものと同一である。ただし、図11に示される構成では、スイッチユニットSWZiOのアンド回路1は、その出力信号をトランジスタQB1〜QB3の内のQB3のゲート端子のみに供給するようにしている。つまり、図11において、アンド回路AN1は、低駆動モードを示す論理レベル0の駆動モード指定信号GSに応じて、トランジスタQB1〜QB3の内のQB3のみをスイッチング動作不能状態に設定するのである。すなわち、スイッチユニットSWZiOは、低駆動モード時には、トランジスタQB1〜QB3の内のQB1及びQB2がスイッチング動作可能状態になるのである。
【0051】
又、上記実施例においては、入力映像信号(画素データビットDB)における画面垂直方向での周波数が所定周波数よりも低いか否かの判定を、画素データビットDBの系列自体で行うようにしているが、その他の方法で行うようにしても良い。
【0052】
例えば、電源ライン2上に生成された図10に示す如きパルス電源電圧の共振振幅V1の中心電圧Vc(一点鎖線にて示す)に基づいて、入力映像信号における画面垂直方向での周波数が所定周波数よりも低いか否かの判定を行う。すなわち、画面垂直方向での周波数が低い、つまり画素データビットDB系列による単位時間あたりの論理レベルの変化回数が少ないほど、図10に示す如くパルス電源電圧の共振振幅V1の中心電圧Vc(一点鎖線にて示す)が高くなる。そこで、中心電圧Vcが所定電圧よりも高くなった場合には入力映像信号における画面垂直方向での周波数が所定周波数よりも低いと判断するのである。
【0053】
図12は、かかる点に鑑みて為されたプラズマディスプレイ装置の他の構成を示す図である。
【0054】
尚、図12に示されるプラズマディスプレイ装置においては、垂直周波数判定回路121を除く他の構成については、図5に示されるものと同一であるので動作説明は省略する。
【0055】
図12における垂直周波数判定回路121は、図7に示す如き列電極駆動回路200の電荷回収用のコンデンサC1の一端に生じた電圧VCPが所定電圧よりも高いか否かの判定を行う。すなわち、コンデンサC1の一端の電圧VCPが、パルス電源電圧の共振振幅V1の中心電圧VC(図10の一点鎖線にて示す)と等しいことから、垂直周波数判定回路121は、この電圧VCPが所定電圧よりも高い場合には、入力映像信号における画面垂直方向での周波数が所定周波数よりも低いと判定する。一方、この電圧VCPが所定電圧よりも低い場合には、垂直周波数判定回路121は、入力映像信号における画面垂直方向での周波数が所定周波数よりも高いと判定する。垂直周波数判定回路121は、サブフィールドSF1〜SF(N)各々毎に上記の如き判定を行い、その判定結果を各サブフィールド毎に示す垂直周波数判定信号VD1〜VDNを駆動制御回路150に供給するのである。
【0056】
又、上述した如き入力映像信号(画素データビットDB)における画面垂直方向での周波数が所定周波数よりも低いか否かの判定を、図7に示す如き電源回路21の電源B1から送出される電流量に基づいて行うようにしても良い。
【0057】
図13は、かかる点に鑑みて為されたプラズマディスプレイ装置の更に他の構成を示す図である。
【0058】
尚、図13に示されるプラズマディスプレイ装置においては、垂直周波数判定回路122及び列電極駆動回路201を除く他の構成については、図5に示されるものと同一であるので動作説明は省略する。
【0059】
図14は、かかる列電極駆動回路201の内部構成を示す図である。
【0060】
尚、図14に示される列電極駆動回路201においては、電源回路21の電源B1及びスイッチング素子S3間に電流検出用のダミー抵抗DRを設けたものであり、その他の構成は図7に示されるものと同一である。
【0061】
この際、図13に示される垂直周波数判定回路122は、図14に示されるダミー抵抗DRの両端電圧に基づいて電源B1及びスイッチング素子S3間に流れる電流を測定する。そして、垂直周波数判定回路122は、測定した電流量に基づいて、入力映像信号における画面垂直方向での周波数が所定周波数よりも低いか否かの判定をサブフィールドSF1〜SF(N)各々毎に行い、その判定結果を各サブフィールド毎に示す垂直周波数判定信号VD1〜VDNを駆動制御回路150に供給する。
【0062】
又、上記実施例では、サブフィールドSF1〜SF(N)各々のアドレス行程Wにおいて各出力バッファBFの駆動能力を制御するようにしているが、サスティン行程Iにおいても出力バッファBFの駆動能力制御を実施するようにしても良い。
【0063】
この際、例えば、駆動制御回路150は、出力バッファBF1〜BFn各々のスイッチユニットSWZiOを全てオン状態に設定させるべき論理レベル1の画素データビットDB1〜DBmを、サスティン行程Iの実行期間中に亘り列電極駆動回路200に供給する。この間、サスティン行程Iでは、PDP10の行電極X及びYに交互に繰り返しサスティンパルスが印加され、このサスティンパルスの印加に伴い出力バッファBF1〜BFn各々のスイッチユニットSWZiOにも電流が流れ込む。よって、かかる電流の流れ込みにより、スイッチユニットSWZiOが発熱してしまう。そこで、駆動制御回路150は、かかるサスティン行程Iの実行期間に亘り出力バッファBF1〜BFn各々を高駆動モードに設定させるべく、論理レベル1の駆動モード指定信号GSを列電極駆動回路200に供給する。これにより、サスティン行程IでのスイッチユニットSWZiOの発熱が低減される。この際、サブフィールドSF1〜SF(N)各々のアドレス行程Wでは、入力映像信号(画素データビットDB)における画面垂直方向での周波数に拘わらず、出力バッファBF1〜BFn各々を低駆動モードに設定させるべく、論理レベル0の駆動モード指定信号GSを列電極駆動回路200に供給する。
【0064】
このように、アドレス行程Wでは、出力バッファBF1〜BFnを低駆動モードに設定することによりPDP10に印加されるパルスのエッジ部での電圧推移を緩やかにしてノイズ低減を図り、サスティン行程Iでは、全出力バッファBF1〜BFnを高駆動モードに設定することにより発熱量を抑えるのである。
【0065】
尚、この際、アドレス行程Wの実施期間内において常時、出力バッファBFを低駆動モードに設定しておくのではなく、少なくともアドレス行程Wにおいて最後に為される画素データ書込動作時、つまり第n表示ラインに属する画素セルに対する画素データ書込動作中だけ低駆動モードに設定するようにしても良い。すなわち、駆動制御回路150は、行電極Y1〜Yn-1各々に走査パルスが印加されている期間中は出力バッファBFを高駆動モードに設定すべき論理レベル0の駆動モード指定信号GSを列電極駆動回路200に供給し、最終の行電極Ynに走査パルスが印加されている時だけ、出力バッファBFを低駆動モードに設定すべき論理レベル0の駆動モード指定信号GSを列電極駆動回路200に供給するのである。
【0066】
又、上述した如くアドレス行程W及びサスティン行程Iの双方で出力バッファBFの駆動能力の切換制御を実施するにあたり、アドレス行程Wでは、入力映像信号における画面垂直方向の周波数に応じて出力バッファBFの駆動モードを設定し、サスティン行程Iでは、出力バッファBFを高駆動モードに固定設定するようにしても良い。すなわち、駆動制御回路150は、アドレス行程Wでは、入力映像信号における画面垂直方向での周波数に応じて、その周波数が所定周波数よりも高い場合には出力バッファBFを高駆動モードに設定し、低い場合には低駆動モードに設定させるべき駆動モード指定信号GSを列電極駆動回路200に供給するのである。そして、サスティン行程Iでは、駆動制御回路150は、出力バッファBF各々を高駆動モードに設定させるべき駆動モード指定信号GSを列電極駆動回路200に供給するのである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】プラズマディスプレイ装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示される列電極駆動回路20の内部構成の一例を示す図である。
【図3】電源ライン2上に生成されるパルス電源電圧の波形を示す図である。
【図4】図1に示される列電極駆動回路20にて列電極Zに印加される画素データパルスの波形の一例を示す図である。
【図5】本発明による表示パネルの駆動装置を搭載したプラズマディスプレイ装置の構成の一例を示す図である。
【図6】サブフィールド法に基づく発光駆動シーケンスを示す図である。
【図7】図5に示される列電極駆動回路200の内部構成の一例を示す図である。
【図8】図7に示される出力バッファBF1〜BFm各々の内部構成の一例を示す図である。
【図9】入力映像信号における画面垂直方向での周波数が高い場合での電源回路21及び出力バッファBF各々の内部動作を示す図である。
【図10】入力映像信号における画面垂直方向での周波数が低い場合での電源回路21及び出力バッファBF各々の内部動作を示す図である。
【図11】図7に示される出力バッファBF1〜BFm各々の内部構成の他の一例を示す図である。
【図12】本発明による表示パネルの駆動装置を搭載したプラズマディスプレイ装置の構成の他の一例を示す図である。
【図13】本発明による表示パネルの駆動装置を搭載したプラズマディスプレイ装置の構成の他の一例を示す図である。
【図14】図13に示される列電極駆動回路200の内部構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
10 PDP
120〜122 垂直周波数判定回路
150 駆動制御回路
200 列電極駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の行電極と複数の列電極との各交叉部に容量性の画素セルが形成された表示パネルを入力映像信号に基づく各画素毎の画素データに応じて駆動する表示パネルの駆動装置であって、
所定ピーク電圧を有するパルス電源電圧を発生して電源ラインに印加する電源回路と、前記パルス電源電圧に基づいて前記画素データに応じた電圧を有する画素データパルスを発生して前記列電極に印加する画素データパルス発生回路と、を備え、
前記画素データパルス発生回路は、前記画素データに応じて前記電源ラインと前記列電極各々の内の1の列電極とを接続する第1スイッチと、前記画素データに応じて前記1の列電極を接地ラインに接続する第2スイッチとを含み、
前記第2スイッチは、駆動モードに応じて前記接地ラインに送出する電流量を変更することを特徴とする表示パネルの駆動装置。
【請求項2】
前記電源回路は、前記画素データにおける前記表示パネルの画面垂直方向での周波数が低くなるほど前記パルス電源電圧の振幅を前記所定ピーク電圧を維持したまま小にすることを特徴とする請求項1記載の表示パネルの駆動装置。
【請求項3】
前記画素データにおける前記表示パネルの画面垂直方向での周波数に基づき前記駆動モードを指定する制御手段を、更に備えたことを特徴とする請求項1記載の表示パネルの駆動装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記画素データにおける前記画面垂直方向での周波数が低い場合には高い場合に比して小なる電流を送出させるべき前記駆動モードを指定することを特徴とする請求項3記載の表示パネルの駆動装置。
【請求項5】
前記第2スイッチは、前記1の列電極及び前記接地ライン間において夫々並列に接続された複数のトランジスタからなり、
前記駆動モードに応じて前記トランジスタ各々の内でスイッチング動作が可能となるトランジスタの数が変更されることを特徴とする請求項1記載の表示パネルの駆動装置。
【請求項6】
前記画素データにおける前記表示パネルの画面垂直方向での周波数が低い場合には高い場合に比してスイッチング動作を可能とするトランジスタの数を小とすべき前記駆動モードを指定する制御手段、を更に備えたことを特徴とする請求項5記載の表示パネルの駆動装置。
【請求項7】
前記入力映像信号の単位表示期間を夫々が、前記画素データに応じて1表示ライン分毎に前記画素セル各々を点灯モード状態及び消灯モード状態の内の一方に設定する画素データ書込動作を行うアドレス期間と、前記点灯モードに設定されている前記画素セルのみを繰り返し発光させるサスティン期間とを含む複数のサブフィールドで構成し、
前記アドレス期間と前記サスティン期間とで異なる電流量を送出させるべき前記駆動モードを指定する制御手段を、更に備えたことを特徴とする請求項1記載の表示パネルの駆動装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記サスティン期間に比して前記アドレス期間において小なる電流を送出させるべき前記駆動モードを指定することを特徴とする請求項7に記載の表示パネルの駆動装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記アドレス期間では前記画素データにおける前記表示パネルの画面垂直方向での周波数が高い場合には低い場合に比して高い高電流を送出させるべき前記駆動モードを指定し、
前記サスティン期間では前記高電流を送出させるべき前記駆動モードを指定することを特徴とする請求項7に記載の表示パネルの駆動装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記アドレス期間内において最後に為される前記画素データ書込動作時には前記アドレス期間内におけるその他の期間に比して低い電流を送出させるべき前記駆動モードを指定することを特徴とする請求項7に記載の表示パネルの駆動装置。
【請求項11】
前記電源回路は、コンデンサと、前記コンデンサに蓄積されている電荷を放電せしめてこれを選択的に第1コイルを介して前記電源ラインに供給する第1スイッチング電流路と、前記所定ピーク電圧と同一の直流電圧を選択的に前記電源ラインに印加する第2スイッチング電流路と、前記列電極上に蓄積された電荷を選択的に前記電源ライン及び第2コイルを介して前記コンデンサに充電せしめる第3スイッチング電流路と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の表示パネルの駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−163920(P2007−163920A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−361432(P2005−361432)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】