説明

表示制御装置、印刷装置及び表示制御方法

【課題】ユーザーによる選択回数を少なくし、印刷装置を駆動させるための条件の設定を速やかに完了させることができる表示制御装置、印刷装置及び表示制御方法を提供する。
【解決手段】表示装置41を制御する表示用コントローラー部70は、表示装置41が各機能のうち何れか一つの機能を選択させるための機能選択用画面を表示する状態で、各機能のうち何れか一つの機能が選択された場合に、該選択された機能の選択回数を計数し、該計数した選択回数を機能毎に管理する回数管理部73と、基準画面を、機能選択用画面から回数管理部73によって管理される選択回数が最も多い機能に対応する画面に変更する基準変更部74と、電力供給が開始されたことを契機に初動処理を複合機が実行した場合には、基準画面を表示装置41に表示させる表示制御部75と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機能と該印刷機能以外の他の機能とを実行可能な印刷装置に搭載され、該印刷装置に設けられた表示装置を制御する表示制御装置及び表示制御方法に関する。また、本発明は、印刷機能と該印刷機能以外の他の機能とを実行可能であって且つ表示制御装置を備える印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷機能を実行可能な印刷装置を備えるシステムとして、例えば特許文献1に記載のシステムが提案されている。この特許文献1には、ユーザーからのヘルプ要求に対して、現在のシステムの状態だけではなく、過去のシステムの状態の履歴をも利用してディスプレイに表示させるヘルプメッセージを決定する旨が記載されている。
【0003】
ところで、近年では、印刷装置として、印刷機能と該印刷機能以外の他の機能とを実行可能な複合機の開発が進められている。こうした複合機には表示装置が設けられており、複合機のメモリーにはユーザーに選択を促すための複数の選択用画面のデータが用意されている。そして、ユーザーによる選択操作に応じて、表示装置に表示させる選択用画面が適切に変更されるようになっている。
【0004】
例えば、複合機への電力供給が開始されると、表示装置には複合機に実行させる機能の選択を促す第1画面が表示される。この状態で各機能のうち一の機能(例えば、印刷機能)が選択された場合、表示装置には、変更させる印刷条件(例えば、用紙サイズ、印刷品質)の選択を促す第2画面が表示される。そして、変更させる印刷条件(例えば、用紙サイズ)が選択された場合、表示装置には、印刷を施す用紙サイズ(例えば、A4サイズ、葉書サイズ)の選択を促す第3画面が表示される。すなわち、表示装置に表示させる画面は、階層的に用意されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−216516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ユーザーの中には、複合機に特定の機能(例えば、葉書への印刷)しか実行させないユーザーが存在している。こうしたユーザーにとって、複合機を利用する度に、各機能のうち印刷機能を選択したり、複合機で印刷可能な用紙サイズの中から葉書サイズを選択したりすることは非常に煩雑である。そこで、ユーザーによる選択回数を少なくし、複合機を駆動させるための条件を速やかに設定させることが可能な表示制御技術が希求されている。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザーによる選択回数を少なくし、印刷装置を駆動させるための条件の設定を速やかに完了させることができる表示制御装置、印刷装置及び表示制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、印刷機能と該印刷機能以外の他の機能とを実行可能な印刷装置に搭載され、該印刷装置に設けられた表示装置を制御する表示制御装置において、前記表示装置が前記各機能のうち何れか一つの機能を選択させるための機能選択用画面を表示する状態で、前記各機能のうち何れか一つの機能が選択された場合に、該選択された機能の選択回数を計数する計数手段と、前記計数手段によって計数された選択回数を機能毎に管理する回数管理手段と、基準画面を、前記機能選択用画面から前記回数管理手段によって管理される選択回数が最も多い機能に対応する画面に変更する基準変更手段と、電力供給が開始されたことを契機に初動処理を前記印刷装置が実行した場合には、前記基準画面を前記表示装置に表示させる表示制御手段と、を備える。
【0009】
上記構成によれば、印刷装置で実行可能な各機能のうち何れか一つの機能がユーザーによって選択されると、その選択回数が計数される。こうした選択回数は、機能毎に回数管理手段で管理される。そして、電力供給が開始されたことを契機に初動処理を印刷装置が実行した場合に表示装置が表示する基準画面は、回数管理手段によって管理される選択回数が最も多い機能に対応する画面に変更される。選択回数が最も多い機能とは、ユーザーが利用する可能性が最も高い機能である。そのため、ユーザーによって機能が改めて選択される可能性が低くなる。したがって、ユーザーによる選択回数を少なくし、印刷装置を駆動させるための条件の設定を速やかに完了させることができる。
【0010】
本発明の表示制御装置において、前記基準変更手段は、前記回数管理手段によって管理される選択回数が予め設定された回数基準値以上となる機能がある場合には、前記基準画面を当該機能に対応する画面に変更する。
【0011】
上記構成によれば、選択回数が回数基準値以上となる機能がある場合には、基準画面が、機能選択用画面から選択回数が回数基準値以上となる機能に対応する画面に変更される。その一方で、選択回数が回数基準値以上となる機能がない場合、基準画面は機能選択用画面で維持される。ここで、回数基準値を、ユーザーによる機能の選択の傾向を適切に把握するために設定された値とした場合には、ユーザーの意図に反して、基準画面が不用意に変更されることを回避することができる。
【0012】
本発明の表示制御装置において、前記機能に対応する画面は、該機能を前記印刷装置で実行させる際に必要な複数種類の条件のうち、変更する条件を選択させるための条件選択用画面であり、前記表示制御手段は、前記表示装置が条件選択用画面を表示する状態で前記各種条件のうち何れか一つの条件が選択された場合には、該選択された条件に対応する画面を前記表示装置に表示させる。
【0013】
上記構成によれば、機能に対応する画面として条件選択用画面を表示装置に表示させることにより、当該機能を印刷装置で実行させるために必要な各種条件のうち、内容を変更させる条件の選択がユーザーに促される。そして、ユーザーによって内容を変更させる条件が選択されると、該選択された条件に対応する画面が表示され、条件の内容の設定がユーザーに促される。すなわち、ユーザーが所望する機能を印刷装置に実行させる際における条件の設定を、適切に補助することができる。
【0014】
本発明の表示制御装置は、印刷機能を前記印刷装置に実行させるために必要な条件は、印刷される媒体のサイズを含み、時期を取得する時期取得手段と、時期に特有の媒体のサイズを記憶するサイズ記憶手段と、をさらに備え、前記表示制御手段は、前記時期取得手段によって取得された時期に特有の媒体のサイズが前記サイズ記憶手段に記憶されない場合において、前記表示装置が印刷機能に対応する条件選択用画面を表示する状態で、前記各種条件のうち、印刷する媒体のサイズが選択されたときには、媒体のサイズを設定させるための画面を前記表示装置に表示させ、その後、媒体のサイズが設定された場合には媒体の種類を設定させるための画面を前記表示装置に表示させる一方、前記時期取得手段によって取得された時期に特有の媒体のサイズが前記サイズ記憶手段に記憶される場合において、前記表示装置が印刷機能に対応する条件選択用画面を表示する状態で、前記各種条件のうち、印刷する媒体のサイズが選択されたときには、媒体の種類を設定させるための画面を前記表示装置に表示させる。
【0015】
上記構成によれば、時期特有の媒体のサイズとは、その時期に印刷でよく利用される媒体のサイズ(例えば、葉書サイズ、写真サイズ)のことを示している。本発明では、時期特有の媒体のサイズがサイズ記憶手段に記憶されている。そして、取得した時期に特有の媒体のサイズがサイズ記憶手段に記憶されていない場合において、印刷時の各種条件のうち、変更する条件として媒体のサイズをユーザーが選択したときには、媒体のサイズを設定するための画面が表示装置に表示される。この状態で、媒体のサイズの選択が完了すると、表示装置には、媒体の種類(例えば、普通紙、再生紙)を選択するための画面が表示される。すなわち、印刷機能を印刷装置に実行させるために、媒体のサイズをユーザーに選択させ、続いて、媒体の種類をユーザーに選択させる。
【0016】
その一方で、取得した時期に特有の媒体のサイズがサイズ記憶手段に記憶される場合において、印刷時の各種条件のうち、変更する条件として媒体のサイズをユーザーが選択したときには、表示装置は、媒体のサイズを選択するための画面ではなく、媒体の種類を選択するための画面を表示する。つまり、ユーザーによる選択操作がなされる前に、媒体のサイズは決定済みであるとされ、その次の条件の設定が促される。換言すると、印刷を施す媒体のサイズは、ユーザーによる選択がなされない状態で、取得した時期に特有の媒体のサイズに自動的に設定される。そのため、印刷を施す媒体のサイズとして時期に特有の媒体のサイズを選択して印刷を行う予定のユーザーにとっては、媒体のサイズを選択する手間を省ける分、条件設定時におけるユーザーによる選択回数を少なくすることができる。
【0017】
本発明は、印刷機能と該印刷機能以外の他の機能とを実行可能な印刷装置であって、上記表示制御装置と、前記表示制御装置によって表示態様が制御される表示装置と、を備える。
【0018】
上記構成によれば、表示装置に表示される画面を視認しつつ、ユーザーは、印刷装置に実行させる機能を選択することができる。
本発明の印刷装置において、前記印刷機能以外の他の機能は、画像読み取り機能及びファクシミリ機能のうち少なくとも一つの機能を含む。
【0019】
上記構成によれば、印刷装置は、印刷機能の他に、画像読み取り機能及びファクシミリ機能のうち少なくとも一つの機能を実行可能である。
本発明は、印刷機能と該印刷機能以外の他の機能とを実行可能な印刷装置に設けられた表示装置の表示制御方法において、前記各機能のうち何れか一つの機能を選択させるための機能選択用画面を前記表示装置に表示させた状態で、前記各機能のうち何れか一つの機能が選択された場合に、該選択された機能の選択回数を計数させる計数ステップと、基準画面を、前記機能選択用画面から前記計数ステップで計数した選択回数が最も多い機能に対応する画面に変更させる基準変更ステップと、を有し、電力供給が開始されたことを契機に初動処理を前記印刷装置に実行させた場合には、前記基準画面を前記表示装置に表示させる。
【0020】
上記構成によれば、上記表示制御装置と同等の作用・効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の表示制御装置を備える複合機の一実施形態を示す概略斜視図。
【図2】複合機の電気的構成を示すブロック図。
【図3】コンピューターの機能構成の要部を示すブロック図。
【図4】(a)(b)(c)(d)は表示装置に表示される画面を示す模式図。
【図5】時期及び仕向け国と用紙サイズとの対応関係を示すテーブル。
【図6】機能と選択回数との対応関係を示すテーブル。
【図7】基準変更処理ルーチンを説明するフローチャート。
【図8】印刷条件判定処理ルーチンを説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。
図1に示すように、印刷装置の一例としての複合機11は、媒体の一例としての用紙Pに対して印刷を施す印刷機能と、該印刷機能以外の他の機能の一例としての画像読み取り機能とを実行可能である。こうした複合機11の本体ケース12の上面は、画像読み取りを行う原稿(図示略)を設置する原稿台13となっている。また、本体ケース12には、原稿台13を覆うことが可能なカバー14が開閉可能に設けられている。こうした本体ケース12の下側部分は用紙Pに対して印刷を施す機能駆動部の一例としてのプリンター部20であると共に、本体ケース12の上側部分は原稿台13に設置された原稿の画像読み取りを行う機能駆動部の一例としてのスキャナー部30となっている。
【0023】
図1及び図2に示すように、プリンター部20は、用紙Pを本体ケース12内に給紙する自動給紙装置(ASF(Auto Sheet Feeder))21と、自動給紙装置21によって本体ケース12内に給紙された用紙Pに対して印刷を施すインク噴射部22とを備えている。自動給紙装置21には、本体ケース12の後面部に配置されると共に印刷前の用紙Pがセットされるサポート211と、本体ケース12の前面に配置されると共に該本体ケース12から排出された用紙Pを受け取る排出部212とが設けられている。インク噴射部22には、用紙Pに対してインク滴を吐出する記録ヘッド221が設けられている。そして、サポート211にセットされた用紙Pは、自動給紙装置21によって本体ケース12内に給紙されると、インク噴射部22によって印刷が施される。その後、印刷済みとなった用紙Pは、自動給紙装置21によって本体ケース12内から排出部212に排出される。
【0024】
スキャナー部30は、原稿台13にセットされた原稿に光を照射するランプ31と、原稿の画像を画像データとして取得するCCD(電荷結合素子)32と、CCD32を走査(移動)させるためのスキャナー駆動部33とを備えている。原稿台13上にセットされた原稿から画像データを取得するための画像読み取り動作(「スキャン動作」ともいう。)時には、ランプ31から原稿台13を通して原稿に光が照射され、該原稿からの反射光をCCD32にて検出することで原稿の画像が画像データとして読み取られる。そして、読み取られた画像データは制御装置50(図2参照)に転送される。
【0025】
本体ケース12の前面において排出部212の側方には、記憶媒体の一例としてのメモリーカードMCをセットするためのスロット15が設けられている。このスロット15にセットされたメモリーカードMCからは、該メモリーカードMCに記憶される画像データが制御装置50に読み取られる。すなわち、本実施形態の複合機11では、該複合機11のスロット15にセットされたメモリーカードMCに記憶された画像データに基づいた印刷を、外部装置などを介在させることなく行うことが可能である。もちろん、外部装置の一例としてのホスト装置が複合機11に接続された場合、該複合機11では、ホスト装置から受信した画像データに基づいた印刷を行うことが可能である。
【0026】
また、本体ケース12の前面において排出部212よりも上側には、複合機11の駆動条件などを設定する際にユーザーが設定操作する操作パネル40が設けられている。この操作パネル40の幅方向中央部には、ディスプレイを有する表示装置41が設けられている。この表示装置41には、制御装置50から指示された情報に基づいた画面が表示される。なお、ディスプレイとしては、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネル式のディスプレイが挙げられる。
【0027】
また、操作パネル40において表示装置41の側方には、電源ボタン、印刷/スキャンを開始するスタートボタン及び実行中の動作を中止するストップボタンなどの各種ボタンで構成される操作部42が設けられている。そして、操作部42からは、ユーザーによるボタン操作(即ち、入力操作)に応じた情報が制御装置50に入力される。
【0028】
次に、本実施形態の複合機11の電気的構成について図2を参照して説明する。なお、図2では、明細書の説明理解の便宜上、スロット15の図示を省略している。
図2に示すように、複合機11の制御装置50は、コンピューター60と各種ドライバー回路(図示略)とを備えている。コンピューター60には、プリンター部20、スキャナー部30及び操作パネル40が、プリンターI/F51、スキャナーI/F52及びユーザーI/F53を介して電気的に接続されている。また、コンピューター60には、スロット15にセットされたメモリーカードMCがメモリーカードI/F54を介して電気的に接続されている。
【0029】
コンピューター60は、CPU61、ROM62、不揮発性メモリー63、RAM64、ASIC((Application Specific IC(特定用途向けIC))65、及び図示しないリアルタイムクロックなどで構成されている。ROM62は、各種制御プログラム及び各種データなどを記憶している。不揮発性メモリー63は、ファームウェアプログラムを始めとする各種プログラム及び印刷処理に必要な各種データなどを記憶している。RAM64は、メモリーカードMCから入力された画像データやスキャナー部30で読み取った画像データなどを記憶する。
【0030】
こうしたコンピューター60は、図示しないドライバー回路を介してプリンター部20及びスキャナー部30を制御している。例えば、コンピューター60を備える制御装置50は、RAM64に一時記憶される印刷データに基づきプリンター部20を制御し、用紙Pに対して画像を印刷する。
【0031】
次に、本実施形態のコンピューター60について図3を参照して説明する。
図3に示すように、コンピューター60は、表示装置41の制御を司る表示制御装置の一例としての表示用コントローラー部70と、スキャナー部30の制御を司るスキャン用コントローラー部80と、プリンター部20の制御を司る印刷用コントローラー部90とを備えている。これら各コントローラー部70,80,90は、ハードウェア及びソフトウェアのうち少なくとも一方により実現される機能部である。
【0032】
表示用コントローラー部70は、機能部として、画面記憶部71、情報取得部72、回数管理部73、基準変更部74、表示制御部75、印刷指示部76及びスキャン指示部77を有している。画面記憶部71は、表示装置41に表示させる各種画面用の画面データを記憶している。
【0033】
ここで、画面記憶部71が記憶する画面データに基づいた画面の一部について、図4を参照して説明する。
図4(a)に示す画面は、複合機11で実行可能な各種機能のうち何れか一つの機能を選択させるための機能選択用画面である。この機能選択用画面を表示装置41が表示する状態で、各機能のうち何れか一つの機能がユーザーによって選択されると、該機能を複合機11に実行させるために必要な各種条件のうち、変更を希望する条件をユーザーに選択させるための条件選択用画面が機能に対応する画面として表示される。図4(b)に示す画面は、機能としてコピー機能が選択された場合における条件選択用画面である。なお、図4(b)に示す条件選択用画面を表示装置41が表示した状態で、「他機能へ」が選択されると、図4(a)に示す機能選択用画面が再び表示される。
【0034】
また、条件選択用画面を表示装置41が表示する状態で、各条件のうち何れか一つの条件がユーザーによって選択されると、当該条件の内容をユーザーに設定させるための内容設定用画面が条件に対応する画面として表示される。図4(c)に示す画面は、図4(b)に示す条件選択用画面を表示装置41が表示した状態で、変更する条件(印刷条件)として「用紙設定」が選択された場合における内容設定用画面である。なお、図4(c)に示す内容設定用画面を表示装置41が表示した状態で、「バック」が選択されると、図4(b)に示す条件選択用画面が再び表示される。
【0035】
また、図4(c)に示す内容設定用画面を表示装置41が表示した状態で、各用紙サイズのうち何れか一つのサイズ(例えば、はがき)がユーザーによって選択されると、図4(d)に示すように、表示装置41には、用紙の種類を選択させるための内容設定用画面が表示される。すなわち、本実施形態では、複数種類の画面が階層的に用意されており、ユーザーの選択結果に基づき、表示装置41に表示される画面が順次切り替るようになっている。
【0036】
なお、ここでは、表示装置41に表示させる画面の一例として、コピー機能が選択された画面を図4(a)〜(d)を参照して説明した。しかし、本実施形態の画面記憶部71には、コピー機能以外の他の機能を選択した際に表示装置41が表示する条件選択用画面に関する画面データなども記憶している。
【0037】
図3に戻り、情報取得部72は、時期を特定するための時期情報及び複合機11が出荷された出荷地域の一例としての仕向け国を特定するための国情報を取得する。時期情報は、例えば、制御装置50の図示しないリアルタイムクロックを有する計時部78から取得される。なお、時期情報は、複合機11にホスト装置HCが接続される場合には、該ホスト装置HCから取得してもよい。また、国情報は、複合機11が出荷される段階で用意された情報であって、情報取得部72の図示しないメモリーに記憶されている。なお、国情報は、複合機11にホスト装置HCが接続される場合には、該ホスト装置から送信されたデータに含まれる国情報であってもよい。
【0038】
また、情報取得部72には、時期や仕向け国に特有の用紙サイズ(媒体のサイズ)を管理する時期・国テーブルT1(図5参照)が設けられている。そして、情報取得部72は、複合機11の電源ボタンがオン操作されて制御装置50への電力供給が開始されると、時期情報及び国情報を取得する。続いて、情報取得部72は、取得した時期や仕向け国に対応する用紙サイズが時期・国テーブルT1にあるか否かを判定する。取得した時期や仕向け国に対応する用紙サイズが時期・国テーブルT1にある場合、情報取得部72は、取得した時期や仕向け国に対応する用紙サイズを表示制御部75に出力する。したがって、本実施形態では、情報取得部72が、時期取得手段として機能すると共に、サイズ記憶手段としても機能する。
【0039】
ここで、時期・国テーブルT1について図5を参照して説明する。
図5に示すように、時期・国テーブルT1は、時期及び仕向け国と用紙サイズとを対応付けて記憶している。例えば、「9月〜10月」の時期で仕向け国が「日本」である場合には、写真(L判)が対応付けられている。これは、「9月〜10月」という時期の日本では、運動会が開催されるために写真印刷で複合機11がよく利用されるためである。
【0040】
また、「11月〜1月」の時期で仕向け国が「日本」である場合には、写真(L判)が対応付けられている。これは、「11月〜1月」という時期の日本では、年賀状の作成に複合機11がよく利用されるためである。また、「10月〜12月」の時期で仕向け国が「米国」である場合には、写真(L判)が対応付けられている。これは、「10月〜12月」という時期の米国では、クリスマスカードの作成に複合機11がよく利用されるためである。
【0041】
図3に戻り、回数管理部73は、計数部731と回数テーブルT2(図6参照)とを有している。計数部731は、複合機11で実行可能な各機能(画像読み取り機能であるスキャン、印刷機能であるコピー、カード印刷、定型印刷)の選択回数を機能毎に計数している。そして、計数部731は、その計数結果を回数テーブルT2に保管させる。したがって、本実施形態では、計数部731が、各機能のうち何れか一つの機能が選択された場合に、該選択された機能の選択回数を計数する計数手段として機能する。また、回数テーブルT2を有する回数管理部73が、計数部(計数手段)731によって計数された選択回数を機能毎に管理する回数管理手段として機能する。
【0042】
ここで、回数テーブルT2について図6を参照して説明する。
図6に示すように、回数テーブルT2は、各機能とその選択回数とを対応付けて記憶している。例えば、コピー機能の選択回数は、「125回」とされている。これは、ユーザーによる操作部42の操作によってコピー機能が選択されて複合機11が駆動した回数が「125回」に達したことを示している。また、スキャン機能の選択回数は「30回」とされると共に、カード印刷機能の選択回数は「101回」とされ、さらに、定型印刷機能の選択回数は「30回」とされる。なお、機能毎の選択回数は、ユーザーが機能を選択して複合機11を駆動させる毎に適宜変更される値である。
【0043】
図3に戻り、基準変更部74は、基準画面がどういった画面であるのかを記憶する基準記憶部741を有している。基準画面とは、複合機11の電源ボタンがオン操作されて当該複合機11への電力供給が開始されたことを契機に、所定の初動処理を複合機11が実行した直後に表示装置41が表示する画面のことである。また、複合機11がスリーピングモードになって表示装置41が消灯された状態でスリーピングモードから通常モードに複合機11が復帰した場合には、基準画面に設定された画面が表示装置41に表示される。つまり、基準画面とは、ユーザーが複合機11を駆動させるべく機能や条件を選択操作する際に、最初に視認する画面であるといってもよい。なお、ここでいう「複合機11の初動処理」とは、複合機11を構成する各駆動源の動作確認するための処理などを含んでいる。
【0044】
なお、「スリーピングモード」とは、省電力の待機電源モードのことであり、「スタンバイモード」や「サスペンドモード」ともいう。
基準変更部74は、回数テーブルT2から各機能の選択回数を取得し、各機能のうち選択回数が予め設定された回数基準値(例えば100回)以上となる機能があるか否かを判定する。この回数基準値は、ユーザーによる機能の選択の傾向を適切に把握するために設定された判定値である。そして、基準変更部74は、選択回数が回数基準値以上となる機能がない場合には、図4(a)に示す機能選択用画面が基準画面である旨を基準情報として基準記憶部741に記憶させる。
【0045】
一方、基準変更部74は、選択回数が回数基準値以上となる機能がある場合には、当該機能に対応する画面、即ち条件選択用画面が基準画面である旨を基準情報として基準記憶部741に記憶させる。例えば、選択回数が回数基準値以上となる機能がコピー機能である場合、基準変更部74は、図4(b)に示す条件選択用画面が基準画面である旨を基準情報として基準記憶部741に記憶させる。なお、選択回数が回数基準値以上となる機能が複数ある場合もある。この場合、基準変更部74は、選択回数が回数基準値以上となる各機能のうち、選択回数が最も多い機能に対応する条件選択用画面が基準画面である旨を基準情報として基準記憶部741に記憶させる。したがって、本実施形態では、基準変更部74が、基準変更手段として機能する。
【0046】
表示制御部75は、情報取得部72、画面記憶部71及び基準変更部74から入力された情報に基づき表示装置41に表示される画面の表示態様を制御する。また、表示制御部75は、ユーザーによる操作部42の操作に応じた制御指令を受信した場合に、該受信した制御指令の内容を回数管理部73、印刷指示部76及びスキャン指示部77に適宜出力する。
【0047】
具体的には、表示制御部75は、基準画面を表示装置41に表示させるタイミングになった場合、基準変更部74に対して基準画面を特定するための基準情報を要求する。そして、表示制御部75は、要求に対する返答として基準変更部74から基準情報が入力されると、該基準情報が示す基準画面に対応する画面データを画面記憶部71から取得し、該取得した画面データに基づいた画面、即ち基準画面を表示装置41に表示させる。例えば、表示制御部75は、基準画面が機能選択用画面とされる場合には機能選択用画面を表示装置41に表示させる一方、基準画面がコピー機能に対応する条件選択用画面である場合には図4(b)に示す条件選択用画面を表示装置41に表示させる。したがって、本実施形態では、表示制御部75が、表示制御手段として機能する。
【0048】
また、表示制御部75は、ユーザーによって操作部42が操作された場合には、その操作内容に応じた画面データを画面記憶部71から取得し、該取得した画面データに基づいた画面を表示装置41に表示させる。例えば、表示装置41が機能選択用画面を表示した状態で各機能のうち何れか一つの機能(例えば、コピー機能)が選択された場合、表示制御部75は、選択された機能に対応する条件選択用画面に関する画面データを画面記憶部71から取得し、該取得した画面データに基づいた条件選択用画面を表示装置41に表示させる。また、表示装置41が図4(b)に示す条件選択用画面を表示した状態で各条件のうち何れか一つの条件(例えば、画質設定)が選択された場合、表示制御部75は、選択された条件に対応する内容設定用画面に関する画面データを画面記憶部71から取得し、内容設定用画面を表示装置41に表示させる。
【0049】
なお、コピー機能などに代表される印刷機能で、用紙設定を変更しようとすべくユーザーが操作部42を操作した場合、表示制御部75は、情報取得部72に対して、現在の時期及び複合機11の仕向け国に対応する用紙サイズが時期・国テーブルT1にあるか否かの判定結果を要求する。そして、表示制御部75は、情報取得部72から、現在の時期及び仕向け国に対応する用紙サイズが時期・国テーブルT1にない旨が入力された場合には、用紙サイズを選択させるための内容設定用画面(図4(c)参照)を表示装置41に表示させる。一方、表示制御部75は、情報取得部72から、現在の時期及び仕向け国に対応する用紙サイズが時期・国テーブルT1にある旨と共に、対応する用紙サイズ(例えば、葉書サイズ)が入力された場合には、用紙の種類を選択させるための内容設定用画面(図4(d)参照)を表示装置41に表示させる。ただし、図4(d)に示す内容設定用画面を表示装置41が表示した状態で「バック」が選択された場合、表示制御部75は、図4(c)に示す内容設定用画面を表示装置41に表示させ、ユーザーに用紙サイズを選択させる。
【0050】
そして、表示制御部75は、印刷機能をスタートさせる旨が操作部42から入力された場合には、印刷機能をプリンター部20に実行させるために必要な各種条件、即ち各種印刷条件と印刷指令を印刷指示部76に出力する。一方、表示制御部75は、画像読み取り機能をスタートさせる旨が操作部42から入力された場合には、画像読み取り機能をスキャナー部30に実行させるために必要な各種条件、即ち各種スキャン条件とスキャン指令をスキャン指示部77に出力する。
【0051】
なお、コピー機能とは、スキャナー部30で読み取った画像をプリンター部20で印刷する機能である。そのため、コピー機能が選択された状態でスタートボタンが操作されると、表示制御部75は、スキャン指示部77及び印刷指示部76にスキャン指令及び印刷指令を出力する。
【0052】
印刷指示部76は、表示制御部75から印刷指令が入力された場合、印刷指令及び各種印刷条件を印刷用コントローラー部90に出力する。同様に、スキャン指示部77は、表示制御部75からスキャン指令が入力された場合、スキャン指令及び各種スキャン条件をスキャン用コントローラー部80に出力する。
【0053】
スキャン用コントローラー部80は、初期値記憶部81、スキャン条件記憶部82、指示受付部83及びスキャン制御部84を有している。初期値記憶部81は、スキャナー部30を駆動させるために必要な各種スキャン条件(例えば、読み取る画像の解像度)の初期値を記憶している。原稿台13にセットされた原稿の画像読み取りを行う際にユーザーによる操作部42の操作によってスキャン条件が設定されなかった場合には、初期値記憶部81に記憶される各種スキャン条件の初期値に基づき、スキャナー部30が駆動することになる。
【0054】
スキャン条件記憶部82は、複合機11の電源ボタンがオン操作されると、初期値記憶部81から各種スキャン条件の初期値を読み出し、該各種スキャン条件の初期値を記憶する。
【0055】
指示受付部83は、表示用コントローラー部70のスキャン指示部77から、ユーザーによって設定されたスキャン条件が入力されると、該入力されたスキャン条件と、スキャン条件記憶部82に記憶されるスキャン条件とを比較する。この比較の結果、表示用コントローラー部70から入力されたスキャン条件とスキャン条件記憶部82に記憶されるスキャン条件とが異なる場合、指示受付部83は、表示用コントローラー部70から入力されたスキャン条件をスキャン条件記憶部82に記憶させる。
【0056】
スキャン制御部84は、表示用コントローラー部70のスキャン指示部77からスキャン指令が入力されると、スキャン条件記憶部82からスキャン条件を取得し、該スキャン条件に基づきスキャナー部30を制御する。そして、スキャン制御部84は、スキャナー部30の駆動によって取得した画像データをプリンター部20に出力(転送)する。
【0057】
印刷用コントローラー部90は、初期値記憶部91、印刷条件記憶部92、指示受付部93、画像データ記憶部94及び印刷制御部95を有している。初期値記憶部91は、プリンター部20を駆動させるために必要な各種印刷条件の初期値を記憶している。印刷指令が入力される前までにユーザーによる操作部42の操作によって印刷条件が設定されなかった場合には、初期値記憶部91に記憶される各種印刷条件の初期値に基づき、プリンター部20が駆動することになる。
【0058】
印刷条件記憶部92は、複合機11の電源ボタンがオン操作されると、初期値記憶部91から各種印刷条件の初期値を読み出し、該各種印刷条件の初期値を記憶する。
指示受付部93は、表示用コントローラー部70の印刷指示部76から、ユーザーによって設定された印刷条件が入力されると、該入力された印刷条件と、印刷条件記憶部92に記憶される印刷条件とを比較する。この比較の結果、表示用コントローラー部70から入力された印刷条件と印刷条件記憶部92に記憶される印刷条件とが異なる場合、指示受付部93は、表示用コントローラー部70から入力された印刷条件を印刷条件記憶部92に記憶させる。
【0059】
画像データ記憶部94は、用紙Pに印刷する画像に関する画像データを記憶するようになっている。例えば、スキャナー部30で画像データが取得された場合には、画像データが画像データ記憶部94に記憶される。また、スロット15にセットされたメモリーカードMCに記憶される画像データを用いて印刷を行う場合には、該画像データが画像データ記憶部94に記憶される。さらに、複合機11に接続されたホスト装置HCから画像データを受信した場合には、該画像データが画像データ記憶部94に記憶される。
【0060】
印刷制御部95は、表示用コントローラー部70の印刷指示部76から印刷指令が入力されると、印刷条件記憶部92から印刷条件を取得すると共に、画像データ記憶部94から画像データを取得する。そして、印刷制御部95は、取得した印刷条件及び画像データに基づきプリンター部20を制御する。
【0061】
次に、本実施形態の表示用コントローラー部70が実行する基準変更処理ルーチン及び印刷条件判定処理ルーチンについて、図7及び図8に示すフローチャートを参照して説明する。基準変更処理ルーチンは、上述した基準画面の設定を変更するための処理ルーチンである。また、印刷条件判定処理ルーチンは、実行する機能が印刷機能(例えば、コピー機能、カード印刷機能、定型印刷機能)であって、表示装置41が図4(b)に示す条件選択用画面を表示する際に実行される処理ルーチンである。
【0062】
まず始めに、基準変更処理ルーチンについて説明する。
さて、基準変更処理ルーチンは、表示装置41が機能選択用画面を表示する際に実行される。こうした基準変更処理ルーチンにおいて、表示用コントローラー部70は、複合機11で実行可能な機能のうち何れか一つの機能が選択されたか否かを判定する(ステップS10)。機能が未選択である場合(ステップS10:NO)、表示用コントローラー部70は、機能が選択されるまでステップS10の判定処理を繰り返し実行する。一方、機能が選択された場合(ステップS10:YES)、表示用コントローラー部70は、ユーザーによって選択された機能の選択回数を「1」だけインクリメントする(ステップS11)。例えば、ユーザーがカード印刷機能を選択した場合、表示用コントローラー部70は、回数テーブルT2(図6参照)に記憶されるカード印刷機能の選択回数を「101回」から「102回」とする。この点で、本実施形態では、ステップS11が、計数ステップに相当する。
【0063】
続いて、表示用コントローラー部70は、回数テーブルT2に、選択回数が回数基準値以上となる機能があるか否かを判定する(ステップS12)。選択回数が回数基準値以上となる機能がない場合(ステップS12:NO)、表示用コントローラー部70は、基準画面を変更せずに基準変更処理ルーチンを終了する。一方、選択回数が回数基準値以上となる機能がある場合(ステップS12:YES)、表示用コントローラー部70は、基準画面を変更する(ステップS13)。具体的には、表示用コントローラー部70は、選択回数が回数基準値以上となる機能が一つのみである場合には、当該機能に対応する条件設定用画面を基準画面とし、基準変更処理ルーチンを終了する。一方、表示用コントローラー部70は、選択回数が回数基準値以上となる機能が複数ある場合には、選択回数の最も多い機能に対応する条件設定用画面を基準画面とし、基準変更処理ルーチンを終了する。したがって、本実施形態では、ステップS13が、基準変更ステップに相当する。
【0064】
次に、印刷条件判定処理ルーチンについて説明する。
さて、印刷条件判定処理ルーチンは、図4(b)に示す条件選択用画面が表示装置41に表示される場合には所定周期毎に実行される。そして、印刷条件判定処理ルーチンにおいて、表示用コントローラー部70は、条件選択用画面で示す各印刷条件のうち、「用紙設定」が選択されたか否かを判定する(ステップS20)。「用紙設定」以外の他の印刷条件が選択された場合又は印刷条件が未選択である場合(ステップS20:NO)、表示用コントローラー部70は、印刷条件判定処理ルーチンを一旦終了する。一方、「用紙設定」が選択された場合(ステップS20:YES)、表示用コントローラー部70は、現在の時期及び複合機11の仕向け国を取得し(ステップS21)、取得した時期及び仕向け国に対応する用紙サイズが時期・国テーブルT1(図5参照)にあるか否かを判定する(ステップS22)。
【0065】
取得した時期及び仕向け国に対応する用紙サイズが時期・国テーブルT1にない場合(ステップS22:NO)、表示用コントローラー部70は、用紙サイズを選択させるための内容選択用画面(図4(c)参照)を表示装置41に表示させる(ステップS23)。続いて、表示用コントローラー部70は、用紙サイズがユーザーによって選択されたか否かを判定する(ステップS24)。用紙サイズが未選択である場合(ステップS24:NO)、表示用コントローラー部70は、用紙サイズが選択されるまでステップS24の判定処理を繰り返し実行する。一方、用紙サイズが選択された場合(ステップS24:YES)、表示用コントローラー部70は、その処理を後述するステップS26に移行する。なお、図4(c)に示す内容選択用画面を表示装置41が表示した状態でユーザーが「バック」を選択した場合、表示用コントローラー部70は、印刷条件判定処理ルーチンを一旦終了し、図4(a)に示す機能選択用画面を表示装置41に表示させる。
【0066】
その一方で、取得した時期及び仕向け国に対応する用紙サイズが時期・国テーブルT1にある場合(ステップS22:YES)、表示用コントローラー部70は、取得した時期及び仕向け国に対応する用紙サイズを時期・国テーブルT1から読み出して特定する(ステップS25)。例えば、時期が「10月」で仕向け国が「日本」である場合、表示用コントローラー部70は、用紙サイズを写真(L判)に特定する。その後、表示用コントローラー部70は、その処理を次のステップS26に移行する。
【0067】
ステップS26において、表示用コントローラー部70は、用紙の種類を選択させるための内容選択用画面を表示装置41に表示させる。なお、ここで表示装置41に表示させる内容選択用画面は、特定された用紙サイズに対応した内容選択用画面である。続いて、表示用コントローラー部70は、用紙の種類がユーザーによって選択されたか否かを判定する(ステップS27)。用紙の種類が未選択である場合(ステップS27:NO)、表示用コントローラー部70は、用紙の種類が選択されるまでステップS27の判定処理を繰り返し実行する。一方、用紙の種類が選択された場合(ステップS27:YES)、表示用コントローラー部70は、その処理を次のステップS28に移行する。なお、用紙の種類を選択させるための内容選択用画面(例えば、図4(c)に示す画面)を表示装置41が表示した状態でユーザーが「バック」を選択した場合、表示用コントローラー部70は、その処理を前述したステップS23に移行する。
【0068】
ステップS28において、表示用コントローラー部70は、条件選択用画面(例えば、図4(a)に示す画面)を表示装置41に表示させる。その後、表示用コントローラー部70は、印刷条件判定処理ルーチンを一旦終了する。
【0069】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)複合機11で実行可能な各機能のうち何れか一つの機能がユーザーによって選択されると、その選択回数が計数される。こうした選択回数は、機能毎に回数管理部73で管理される。そして、基準画面は、回数管理部73で管理される選択回数が最も多い機能に対応する条件選択用画面に変更される。選択回数が最も多い機能(以下、「最多機能」ともいう。)とは、ユーザーが利用する可能性が最も高い機能である。そのため、最多機能を複合機11に実行させようとするユーザーは、基準画面が最多機能に対応する条件選択用画面であるため、機能の選択を行わないで、当該最多機能を複合機11に実行させるための条件の設定を行えばよい。したがって、ユーザーによる選択回数を少なくし、複合機11を駆動させるための条件の設定を速やかに完了させることができる。
【0070】
(2)本実施形態では、基準画面を、ユーザーの過去の選択履歴に基づいた画面としている。そのため、特に、複合機11に特定の機能(例えば、葉書への印刷)しか実行させないユーザーにとっては、複合機11を利用する度に特定の機能を一々選択する手間を省くことができ、複合機11を非常に使い勝手のよい装置とすることができる。
【0071】
(3)選択回数が回数基準値以上となる機能がある場合、基準画面は、選択回数が回数基準値以上となる機能に対応する条件選択用画面に変更される。ここで、回数基準値は、ユーザーによる機能の選択の傾向を適切に把握するために設定された判定値である。そのため、ユーザーの意図に反して、基準画面が不用意に変更されることを回避することができる。
【0072】
(4)機能に対応する条件選択用画面を表示装置41が表示する場合には、当該機能を複合機11で実行させるために必要な各種条件のうち、内容を変更させる条件の選択がユーザーに促される。そして、ユーザーによって内容を変更させる条件が選択されると、該選択された条件に対応する画面として内容選択用画面が表示装置41に表示される。このように各種画面を階層的に用意しておくことにより、ユーザーに条件の内容を適切に選択させることができる。
【0073】
(5)時期特有の用紙サイズとは、その時期に印刷でよく利用される用紙サイズ(例えば、葉書サイズ、写真サイズ)のことを示している。本実施形態では、時期特有の用紙サイズが時期・国テーブルT1に記憶されている。そして、取得した時期に特有の用紙サイズが時期・国テーブルT1に記憶されていない場合において、印刷時の各種条件のうち、変更する条件として「用紙設定」をユーザーが選択したときには、用紙サイズを選択するための内容選択用画面が表示装置41に表示される。この状態で、用紙サイズの選択が完了すると、表示装置41には、用紙の種類(例えば、普通紙、再生紙)を選択するための内容選択用画面が表示される。すなわち、印刷機能を複合機11に実行させるために、用紙サイズ、用紙の種類の順に、印刷条件をユーザーに選択させている。
【0074】
その一方で、取得した時期に特有の用紙サイズが時期・国テーブルT1に記憶される場合において、印刷時の各種条件のうち、変更する条件として「用紙設定」をユーザーが選択したときには、表示装置41は、用紙サイズを選択するための内容選択用画面ではなく、用紙の種類を選択するための内容選択用画面を表示する。つまり、ユーザーによる選択操作がなされる前に、用紙サイズは決定済みであるとされ、その次の条件の設定が促される。そのため、印刷を施す用紙サイズとして時期に特有の用紙サイズを選択して印刷を行う予定のユーザーにとっては、用紙サイズを選択するための操作を省略できる分、条件設定時における選択回数を少なくすることができる。
【0075】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・実施形態において、表示用コントローラー部70は、情報取得部72を省略した構成であってもよい。この場合、時期特有の用紙サイズを自動的に設定できなくなる。こうした構成であっても、基準画面は、各機能の選択回数に基づいた画面に設定される。
【0076】
・実施形態において、回数基準値を設けなくてもよい。
・実施形態において、印刷機能を複合機11に実行させるための印刷条件として、用紙サイズ、縁あり印刷か縁なし印刷か、用紙品質(高詳細モード又はドラフトモード)、及び印刷時の色彩(カラー又はモノクロ)のうち少なくとも一つの条件を用意してもよい。
【0077】
・図4(b)に示す用紙サイズを決定するための内容設定用画面が表示された状態で、各サイズのうち何れか一つのサイズ(例えばA4サイズ)が選択された場合には、その選択回数をインクリメントさせてもよい。こうした選択回数の計数は、回数管理部73の計数部731で行ってもよいし、計数部731とは別途設けられた他の計数部によって行ってもよい。すなわち、ユーザーによって選択された用紙サイズの選択回数を個別に管理するようにしてもよい。そして、選択回数が予め設定された回数基準値以上となる用紙サイズがある場合には、図4(b)に示す内容設定用画面の代わりに、図4(c)に示す用紙の種類を決定するための内容設定用画面を表示装置41に表示させてもよい。すなわち、選択回数が回数基準値以上となるような用紙サイズ(例えば、A4サイズ)がある場合には、複合機11で印刷に用いられる用紙サイズをAサイズと決定し、用紙サイズの選択をユーザーに一々行わせなくてもよい。このように構成することにより、複合機11に印刷を行わせる際にユーザーが行う設定操作の回数を少なくすることができる。
【0078】
なお、選択回数が回数基準値以上となるような用紙サイズ(例えば、A4サイズと葉書サイズ)がある場合には、選択回数が最も多い用紙サイズ(例えば、葉書サイズ)を、印刷する用紙のサイズと自動的に設定してもよい。
【0079】
・表示装置41が機能選択用画面を表示した状態で「カード印刷」が選択された場合、複合機11にカード印刷(即ち、葉書への印刷)機能を実行させる際に変更させる条件をユーザーに選択させるための条件選択用画面を表示装置41に表示させる。しかし、カード印刷機能が選択された場合には、印刷条件を、カード印刷機能用として予め設定された印刷条件に決定し、印刷可能な氏名や住所などを示す住所録を表示装置41に表示させるようにしてもよい。つまり、使用する用紙のサイズや種類などの各種条件が一義的に決まるような機能が選択された場合には、変更する条件を選択させるような画面、即ち条件選択用画面を表示装置41に表示させないで、その代わりに、複合機11を駆動させるために必要な情報を設定又は選択させるための画面を表示装置41に表示させるようにしてもよい。このように構成することにより、複合機11を駆動させるためにユーザーが行う設定操作の回数を少なくすることができる。
【0080】
なお、複合機11を駆動させるために必要な情報を設定又は選択させるための画面としては、上記機能が葉書への印刷に関する機能である場合には、複合機11を駆動させるために必要な情報の一例として住所録を表示する画面であってもよい。また、上記機能がファクシミリ機能である場合には、複合機11を駆動させるために必要な情報の一例として送信先の電話番号を選択又は設定するための画面であってもよい。
【0081】
住所録を表示装置41に表示させるためには、複合機11に、住所録を記憶するメモリーを設ける必要がある。なお、こうしたメモリーは、書き換え可能なメモリーであることが好ましい。
【0082】
・実施形態において、複合機11は、印刷機能の他の機能としてファクシミリ機能を実行可能な装置であってもよい。ファクシミリ機能を実行可能な複合機11は、画像読み取り機能を実行不能な装置であってもよい。
【0083】
・実施形態において、プリンター部20は、ドットインパクト方式、レーザー方式などの他の印刷方式で媒体に印刷できる機能駆動部であってもよい。
・実施形態において、印刷される媒体は、布や樹脂フィルム、樹脂シート、金属シートなどの任意の媒体であってもよい。
【0084】
・実施形態において、印刷装置を、インク以外の他の流体を噴射したり吐出したりする流体噴射装置に具体化してもよい。また、印刷装置を、微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に具体化してもよい。この場合、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態を言い、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなどを含む。なお、流体は、トナーなどの粉粒体でもよい。また、ここでいう流体には、気体のみからなるものは含まないものとする。
【0085】
次に、上記実施形態及び別の実施形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)前記表示制御手段は、
前記表示装置が前記機能選択用画面を表示する状態で、前記各機能のうち、各種条件が予め設定された機能が選択された場合には、
前記印刷装置を駆動させるために必要な情報を設定又は選択させるための画面を前記表示装置に表示させることを特徴とする表示制御装置。
【0086】
上記構成によれば、各種条件が予め設定された機能をユーザーが選択した場合には、該機能を印刷装置に実行させるために各種条件をユーザーに設定させなくてもよいと判断され、条件選択用画面が表示装置に表示されない。つまり、ユーザーは、表示装置に表示される画面を、条件選択用画面から前記印刷装置を駆動させるために必要な情報を設定又は選択させるための画面に変更するための操作を行わなくてもよい。そのため、印刷装置を駆動させるためにユーザーが行う設定操作の回数を少なくすることができる。
【0087】
(ロ)前記計数手段は、前記表示装置が前記機能選択用画面を表示する状態で印刷機能が選択された場合において、印刷される媒体のサイズが選択されたときには、その選択回数を計数し、
前記表示制御手段は、
前記表示装置が前記機能選択用画面を表示する状態で印刷機能が選択された場合において、選択回数が予め設定された回数基準値以上となる媒体のサイズがないときには、
媒体のサイズを設定させるための画面を前記表示装置に表示させ、その後、媒体のサイズが設定された場合には媒体の種類を設定させるための画面を前記表示装置に表示させる一方、
前記表示装置が前記機能選択用画面を表示する状態で印刷機能が選択された場合において、選択回数が前記回数基準値以上となる媒体のサイズがあるときには、
媒体の種類を設定させるための画面を前記表示装置に表示させることを特徴とする表示制御装置。
【0088】
上記構成によれば、各媒体のサイズのうち何れか一つのサイズ(例えばA4サイズ)が選択された場合には、その選択回数が計数される。すなわち、ユーザーによって選択された媒体のサイズの選択回数は、媒体のサイズ毎に管理される。そして、選択回数が回数基準値以上となる媒体のサイズがない場合には、ユーザーに、媒体のサイズを設定させ、その後、媒体の種類を設定させる。
【0089】
その一方で、選択回数が回数基準値以上となる媒体のサイズがない場合には、ユーザーによる設定操作を行わせることなく、媒体のサイズを選択回数が回数基準値以上となる媒体のサイズ(例えばA4サイズ)に自動的に設定される。その結果、表示装置には、媒体の種類を設定させるための画面が表示される。選択回数が回数基準値以上となる媒体のサイズとは、ユーザーによって最も選択される可能性の高いサイズであると考えられる。そのため、媒体のサイズの設定操作をユーザーに行わせなくてもよい分、印刷装置に印刷機能を実行させる際にユーザーが行う設定操作の回数を少なくすることができる。
【符号の説明】
【0090】
11…印刷装置の一例としての複合機、41…表示装置、70…表示制御装置として機能する表示用コントローラー部、72…時期取得手段、サイズ記憶手段として機能する情報取得部、73…回数管理手段として機能する回数管理部、731…計数手段として機能する計数部、74…基準変更手段として機能する基準変更部、75…表示制御手段として機能する表示制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機能と該印刷機能以外の他の機能とを実行可能な印刷装置に搭載され、該印刷装置に設けられた表示装置を制御する表示制御装置において、
前記表示装置が前記各機能のうち何れか一つの機能を選択させるための機能選択用画面を表示する状態で、前記各機能のうち何れか一つの機能が選択された場合に、該選択された機能の選択回数を計数する計数手段と、
前記計数手段によって計数された選択回数を機能毎に管理する回数管理手段と、
基準画面を、前記機能選択用画面から前記回数管理手段によって管理される選択回数が最も多い機能に対応する画面に変更する基準変更手段と、
電力供給が開始されたことを契機に初動処理を前記印刷装置が実行した場合には、前記基準画面を前記表示装置に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記基準変更手段は、前記回数管理手段によって管理される選択回数が予め設定された回数基準値以上となる機能がある場合には、前記基準画面を当該機能に対応する画面に変更することを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記機能に対応する画面は、該機能を前記印刷装置で実行させる際に必要な複数種類の条件のうち、変更する条件を選択させるための条件選択用画面であり、
前記表示制御手段は、
前記表示装置が条件選択用画面を表示する状態で前記各種条件のうち何れか一つの条件が選択された場合には、
該選択された条件に対応する画面を前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
印刷機能を前記印刷装置に実行させるために必要な条件は、印刷される媒体のサイズを含み、
時期を取得する時期取得手段と、
時期に特有の媒体のサイズを記憶するサイズ記憶手段と、をさらに備え、
前記表示制御手段は、
前記時期取得手段によって取得された時期に特有の媒体のサイズが前記サイズ記憶手段に記憶されない場合において、前記表示装置が印刷機能に対応する条件選択用画面を表示する状態で、前記各種条件のうち、印刷する媒体のサイズが選択されたときには、
媒体のサイズを設定させるための画面を前記表示装置に表示させ、その後、媒体のサイズが設定された場合には媒体の種類を設定させるための画面を前記表示装置に表示させる一方、
前記時期取得手段によって取得された時期に特有の媒体のサイズが前記サイズ記憶手段に記憶される場合において、前記表示装置が印刷機能に対応する条件選択用画面を表示する状態で、前記各種条件のうち、印刷する媒体のサイズが選択されたときには、
媒体の種類を設定させるための画面を前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項3に記載の表示制御装置。
【請求項5】
印刷機能と該印刷機能以外の他の機能とを実行可能な印刷装置であって、
請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の表示制御装置と、
前記表示制御装置によって表示態様が制御される表示装置と、を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
前記印刷機能以外の他の機能は、画像読み取り機能及びファクシミリ機能のうち少なくとも一つの機能を含むことを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
印刷機能と該印刷機能以外の他の機能とを実行可能な印刷装置に設けられた表示装置の表示制御方法において、
前記各機能のうち何れか一つの機能を選択させるための機能選択用画面を前記表示装置に表示させた状態で、前記各機能のうち何れか一つの機能が選択された場合に、該選択された機能の選択回数を計数させる計数ステップと、
基準画面を、前記機能選択用画面から前記計数ステップで計数した選択回数が最も多い機能に対応する画面に変更させる基準変更ステップと、を有し、
電力供給が開始されたことを契機に初動処理を前記印刷装置に実行させた場合には、前記基準画面を前記表示装置に表示させることを特徴とする表示制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−135937(P2012−135937A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289493(P2010−289493)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】