表示制御装置、表示制御プログラム及び表示制御方法
【課題】斜め方向からの視認性を低下させて覗き見防止機能を得ることにある。
【解決手段】パターンデータ生成部(10)と、データ合成部(12、28)とを備える。前記パターンデータ生成部(10)は、単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部(例えば、白データW)と暗部(例えば、黒データB)とを分布させたパターンデータ(6)を生成する。前記データ合成部(12、28)は、表示部(8)の表示データ(4)に前記パターンデータを合成する。
【解決手段】パターンデータ生成部(10)と、データ合成部(12、28)とを備える。前記パターンデータ生成部(10)は、単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部(例えば、白データW)と暗部(例えば、黒データB)とを分布させたパターンデータ(6)を生成する。前記データ合成部(12、28)は、表示部(8)の表示データ(4)に前記パターンデータを合成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示器を備える携帯端末装置等の携帯装置の画像表示制御に関し、例えば、画像処理によって覗き見防止(ベールビュー)機能を備えた表示制御装置、表示制御プログラム及び表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末装置等の携帯装置では、情報表示に液晶表示器(LCD:Liquid Crystal Display)が用いられている。携帯装置の使用シーンは様々であり、表示内容が他人の目に晒されることを避けることができない。このため、画像表示側で表示内容を周囲に視認されないような工夫が施されている。覗き見の視認性を低下させるためのいわゆる覗き見防止の機能強化である。
【0003】
このような画像表示に関し、表示画像が正面からは見易く周囲からは見え難い表示形態として新ベールビュー機能が知られている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】第3回 新ベールビューやスマートリンク辞書など、数々の新機能を搭載−「SH906i」の進化
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の覗き見防止では、LCDの狭視野化、表示画面にフィルムの添付、メッシュパターンの重合等が実用化されている。画像表示の覗き見防止は、表示画像の質や面積と関係し、覗き見防止の目的のため、解像度の劣化、輝度むら、斜め方向からの視点でコントラストが上昇する等の、画質的な変化が生じるという課題がある。
【0006】
そこで、本開示の表示制御装置及び表示制御方法の目的は、斜め方向からの視認性を低下させて覗き見防止機能を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本開示の表示制御装置は、パターンデータ生成部と、データ合成部とを備える。前記パターンデータ生成部は、単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを分布させたパターンデータを生成すればよい。前記データ合成部は、表示部の表示データに前記パターンデータを合成する。
【0008】
上記課題を解決する本開示の表示制御プログラムは、コンピュータによって実行される表示制御プログラムであって、パターンデータ生成機能と、データ合成機能とを含む。前記パターンデータ生成機能は、単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを配置したパターンデータを生成する。前記データ合成機能は、表示部の表示データに前記パターンデータを合成する。
【0009】
上記課題を解決する本開示の表示制御方法は、パターンデータ生成ステップと、データ合成ステップと、表示ステップとを含む。パターンデータ生成ステップでは、単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを配置したパターンデータを生成する。前記データ合成ステップでは、表示部の表示データに前記パターンデータを合成する。そして、前記表示ステップでは、パターンデータが合成された表示データを表示部に表示する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の表示制御装置、表示制御プログラム及び表示制御方法によれば、次のような効果が得られる。
【0011】
(1) 表示データにパターンデータを合成して画像表示をするので、斜め方向からの視認性を低下させ、覗き見防止機能を実現できる。
【0012】
(2) 表示された画像の見かけ上のコントラストを低下させて覗き見防止機能を得ているので、フィルム貼着の煩瑣な作業は不要である。
【0013】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態に係る携帯装置の表示制御装置の一例を示す図である。
【図2】表示制御の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】第2の実施の形態に係る携帯端末装置の表示制御装置の一例を示す図である。
【図4】携帯端末装置のハードウェアの一例を示す図である。
【図5】携帯端末装置の外観構成の一例を示す図である。
【図6】表示データ生成部の一例を示す図である。
【図7】表示部の一例を示す図である。
【図8】パターンデータの一例を示す図である。
【図9】パターンデータの一例を示す図である。
【図10】パターンデータの一例を示す図である。
【図11】パターンデータ生成部の一例を示す図である。
【図12】データ合成部の一例を示す図である。
【図13】覗き見防止機能の設定画面の一例を示す図である。
【図14】覗き見防止機能のパターン選択表示画面の一例を示す図である。
【図15】覗き見防止機能の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図16】データ合成処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図17】データ合成の処理過程を示す図である。
【図18】表示データの画像処理過程の一例を示す図である。
【図19】図18の一部のデータ処理の一例を示す図である。
【図20】覗き見防止機能の処理前後の画像推移の一例を示す図である。
【図21】覗き見防止処理前の表示画面の一例を示す図である。
【図22】覗き見防止機能の表示画面の一例を示す図である。
【図23】覗き見防止機能の表示画面の一例を示す図である。
【図24】覗き見防止機能の表示画面の一例を示す図である。
【図25】覗き見防止機能の表示画面の一例を示す図である。
【図26】覗き見防止機能の表示画面の一例を示す図である。
【図27】覗き見防止機能の表示画面の一例を示す図である。
【図28】LCDの構成例を示す図である。
【図29】LCDの動作を示す図である。
【図30】LCDの動作を示す図である。
【図31】従前の映像レベルに対するコントラスト比率を示す図である。
【図32】視野角に対するコントラスト比率を示す図である。
【図33】ベールビュー機能の特性を示す図である。
【図34】覗き見防止機能を説明するための図である。
【図35】他の実施の形態に係る携帯情報端末機の一例を示す図である。
【図36】他の実施の形態に係るパーソナルコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔第1の実施の形態〕
【0016】
第1の実施の形態は、単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを分布させたパターンデータを生成し、このパターンデータを表示データに合成し、表示画像の見掛け上のコントラストを低下させる構成である。
【0017】
この第1の実施の形態について、図1を参照する。図1は、第1の実施の形態に係る表示制御装置の一例を示している。
【0018】
携帯装置2は、本開示の表示制御装置を適用した電子機器の一例であって、表示データ4にパターンデータ6を合成して見掛け上の低コントラスト化により、覗き見防止機能の実現ないし強化をしている。
【0019】
そこで、この携帯装置2は、図1に示すように、表示制御装置3と、表示部8とを備えている。表示制御装置3は、本開示の表示制御装置の一例であって、表示データ4を表示部8に表示する機能部としてパターンデータ生成部10と、データ合成部12とを備えている。
【0020】
表示データ4は、表示部8に表示可能なデータであって、文字、図形、写真の何れでもよいし、これらが混合されていてもよい。この表示データ4は、パターンデータ6や合成表示データ14に対し、原データである。
【0021】
表示部8は、表示データ4や合成表示データ14を表示する表示処理手段の一例であって、例えば、LCD表示器に表示データ4や合成表示データ14の表示処理を行う。
【0022】
パターンデータ生成部10は、表示データ4に合成するためのパターンデータ6を生成する。パターンデータ6は、単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを分布させたデータであり、明部は例えば、白データ、暗部は例えば、黒データである。この場合、単一ドットは、表示部8の表示単位であり、画素である。複数ドットは単一ドットの集合体である。
【0023】
データ合成部12は、表示データ4にパターンデータ6を合成する合成手段の一例であって、表示データ4にパターンデータ6を合成して合成表示データ14に変換する機能を備える。合成表示データ14は、表示部8に提供され、表示部8に画像として表示させる。覗き見防止機能を必要としない場合には、データ合成部12が何らの処理を施すことなく、表示データ4を通過させる。
【0024】
斯かる構成によれば、表示データ4にパターンデータ生成部10からのパターンデータ6が合成され、その合成表示データ14を表示部8に表示させることができる。表示データ4は原データであるのに対し、パターンデータ6は、既述の通り、単一ドット又は複数ドットの単位で明部と暗部とを分布させたデータである。このようなパターンデータ6と表示データ4との合成により、合成表示データ14が得られる。
【0025】
このように、表示データ4に既述のパターンデータ6を合成すれば、その合成表示データ14では、表示データ4の暗部分に単一ドット又は複数ドットの単位でパターンデータ6の明部をドット単位又は複数ドット単位で分布させた画像が得られる。このような画像表示では、表示データ4による画像に比較して見掛け上のコントラストを低下させることができる。コントラストの低下により正面から見た視認性も低下してしまうが、斜めから見た画像もより低下するので、覗き見防止機能を強化することができる。
【0026】
この表示制御機能の処理手順について、図2を参照する。図2は、表示制御機能の処理手順の一例を示している。
【0027】
この表示制御機能の処理手順は、本開示の表示制御プログラム及び表示制御方法の一例であって、図2に示すように、パターンデータの生成やデータ合成等の処理を含んでいる。
【0028】
表示データ4の表示画像に対する覗き見防止動作を開始すると、パターンデータ6が生成される(ステップS1)。このパターンデータ6は、既述の通り、単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを分布させたデータである。
【0029】
このパターンデータ6を表示データ4に合成し(ステップS2)、表示データ4を合成表示データ14に変換する。
【0030】
そして、合成表示データ14を表示部8に表示する(ステップS3)。この合成表示データ14では、表示データ4にパターンデータ6を合成することにより、見掛け上、低コントラスト化した画像が得られる。この結果、既述の通り、画像表示の覗き見防止機能が強化されている。
【0031】
この実施の形態では、覗き見防止動作の開始を契機にパターンデータ6の生成を開始しているが、パターンデータ6の生成を常態とし、覗き見防止動作の開始を契機にパターンデータ6を表示データ4に合成させる構成としてもよい。また、覗き見防止動作が停止している場合には、データ合成部12のデータ合成機能を停止し、表示データ4の通過により通常の高コントラスト表示とすればよい。
【0032】
〔第2の実施の形態〕
【0033】
第2の実施の形態は、携帯装置として携帯端末装置の覗き見防止機能を強化し、例えば、メール文等の画像表示を低コントラスト化表示とした構成である。
【0034】
この第2の実施の形態について、図3を参照する。図3は、第2の実施の形態に係る表示制御装置の一例を示している。図3において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0035】
携帯端末装置22は、本開示の表示制御装置を適用した電子機器の一例であって、図3に示すように、既述の表示制御装置3と、表示部8とを備え、表示制御装置3は、パターンデータ生成部10と、データ源24と、表示データ生成部26と、データ合成部28と、制御部30とを備える。
【0036】
表示データ4、パターンデータ6、表示部8及びパターンデータ生成部10は、第1の実施の形態で述べた通りであるので、その説明を省略する。
【0037】
データ源24は、既述の表示データ4を生成させるための原データを出力する出力源であって、例えば、データを記憶するデータ記憶部で構成される。この実施の形態では、携帯端末装置22にデータ源24が設置されているが、携帯端末装置22の外部に設置されて携帯端末装置22にデータを提供するデータ源であってもよい。
【0038】
表示データ生成部26は、データ源24からデータを受け、このデータから表示部8で表示する表示データ4(画像データ)を生成する。
【0039】
データ合成部28は、既述のデータ合成部12(図1)に対応し、表示データ生成部26で生成した表示データ4にパターンデータ生成部10で生成したパターンデータ6を合成し、合成表示データ14を生成させる手段である。パターンデータ6が白部分と黒部分とを交互に備える例えば、メッシュパターンデータであれば、このメッシュパターンデータが表示データ4に合成される。この合成表示データ14は、メッシュパターンデータとの合成により、表示データ4を低コントラスト化したデータである。即ち、表示データ4とメッシュパターンデータとの合成により、表示データ4を低コントラスト化したデータである合成表示データ14に変換する。
【0040】
制御部30は、パターンデータ生成部10及びデータ合成部28の制御手段であって、覗き見防止機能の動作として、パターンデータ生成部10の動作及びパターンデータの選択、データ合成部28の動作を切り替える。例えば、パターンデータ生成部10がONの場合には、データ合成部28ではデータ合成部28のデータ合成(画像合成)を実行させる。また、パターンデータ生成部10がOFFの場合にはデータ合成部28は表示データ4の通過動作に切り替える。
【0041】
そして、表示部8は、覗き見防止動作(パターンデータ生成部10のON)では合成表示データ14の提供を受け、この合成表示データ14を表示する。覗き見防止動作の解除(パターンデータ生成部10のOFF)では表示データ4の提供を受け、原データである表示データ4を表示する。
【0042】
この携帯端末装置22のハードウェアについて、図4及び図5を参照する。図4は携帯端末装置のハードウェアの一例を示し、図5は、その外観構成の一例を示している。
【0043】
この携帯端末装置22は、上記機能部(図3)を実現するためのハードウェアを備えている。そこで、この携帯端末装置22では、通信部32と、液晶表示器(LCD)34と、入力操作部36と、機能切替部38と、プロセッサ40と、記憶部42とを備えている。
【0044】
通信部32は、アンテナ44を備え、プロセッサ40の制御により、図示しない基地局と無線により通信する手段であって、通信先とメール等の交換や音声通話を行う。
【0045】
LCD34は、既述の表示部8の表示機能を液晶表示するものであって、プロセッサ40によって制御され、表示データ4や合成表示データ14を表示し、図示しないバックライト用の光源を備えている。
【0046】
入力操作部36は、カーソルキーや記号キー等を備える操作手段であって、ユーザによって操作され、この操作によって選択された文字情報や選択情報がプロセッサ40に取り込まれる。
【0047】
機能切替部38は、覗き見防止機能を有効にするか無効にするかの機能選択手段の一例であって、ユーザにより操作される例えば、スイッチで構成する。この機能切替部38に代え、LCD34の表示画面に表示されたソフトウェアキーによって機能切替えを行うようにしてもよく、この機能切替部38はハードウェアキー及びソフトウェアキーの双方を包含している。また、この機能切替部38には、このような機能切替えに加え、パターンデータの選択機能を割り付けてもよい。この場合、機能切替部38の操作により、メニュー選択モードに移行させ、メニュー選択モードに明示された覗き見防止機能を動作させ、合成に用いるパターンデータの選択を行うようにしてもよい。
【0048】
プロセッサ40は、通信制御、メール作成制御、覗き見防止制御等の各種制御等を実行する制御手段の一例であって、記憶部42にあるOS(Operating System)やアプリケーションプログラムを実行する。
【0049】
記憶部42は、OS等のプログラムの記憶手段であるとともに、データ記憶手段の一例であって、例えば、Flashメモリで構成される。この記憶部42には、プログラム記憶部46と、データ記憶部48と、RAM(Random-Access Memory)50とが備えられている。プログラム記憶部46は、既述のOS52、データ合成プログラム54等が格納されている。データ合成プログラム54は覗き見防止用のプログラムの一例である。データ記憶部48には、パターンデータ記憶部56、表示データ記憶部57が設定されている。パターンデータ記憶部56には複数種のメッシュパターンが格納されている。このメッシュパターンが表示データ4に合成されるデータである。表示データ記憶部57は、既述のデータ源24(図3)の一例であって、表示データ生成部26に提供するための原データを記憶する手段である。また、RAM50は、データ処理のワークエリアを構成する。
【0050】
そして、この携帯端末装置22は、図5に示すように、操作側筐体部58と、表示側筐体部60とを備え、これら筐体部58、60は摺動機構を備えて表示側筐体部60が操作側筐体部58の上面側を上下方向に摺動可能である。
【0051】
操作側筐体部58には、入力操作部36として例えば、カーソルキーや文字キーが備えられるとともに、機能切替部38が備えられている。機能切替部38は押しボタンスイッチ、摺動スイッチで構成すればよい。表示側筐体部60には、LCD34の液晶表示画面62が設けられている。
【0052】
このような携帯端末装置22では、LCD34の液晶表示画面62に文字や図形等の画像が表示されている際に、機能切替部38の操作により、覗き見防止モード又は覗き見防止解除モードを選択的に設定することができる。
【0053】
次に、表示データ生成部及び表示部について、図6及び図7を参照する。図6は、表示データ生成部の一例を示し、図7は、表示部の一例を示している。
【0054】
表示データ生成部26(図3)には、図6に示すように、画像生成部64が備えられ、この画像生成部64は複数のデータから例えば、単一の画面に画像を表示する表示データ4を生成する手段である。
【0055】
この実施の形態では、データ源24として例えば、複数のデータ源241、242、243が含まれ、データ源241は場所A、データ源242は場所B、データ源243は場所Cに存在する。各データ源241、242、243からデータa、b、cが画像生成部64に個別に提供されている。即ち、画像生成部64では、指定された場所に送られてきた各データa、b、cを液晶表示画面62に表示するようにする。
【0056】
画像生成部64では、これらのデータa、b、cを合成し、表示データ4(=a+b+c)が生成され、LCD34(表示部8)に提供される。LCD34の液晶表示画面62には表示データ4が表示され、この実施の形態では、データa、b、cからなる画像66a、66b、66cが表示され、一つの液晶表示画面62に画像66a、66b、66cの合成画像が表示されている。
【0057】
また、表示部8は、LCD34に表示データを表示する手段であって、この実施の形態では、図7に示すように、データ変換処理部68と、液晶駆動パルス生成部70とを備えている。データ変換処理部68は、表示データ生成部26(図3)から提供される表示データ4を液晶表示画面62に発色させるためのデータ変換処理を実行する。この場合、表示データ4の原データは、輝度信号(Y)、輝度信号と青色成分の差(U)、輝度信号と赤色成分の差(V)の情報で構成されたYUVフォーマットで送られてくる画像データである。そこで、データ変換処理部68では、YUVフォーマットの画像データを3原色RGBのRGBフォーマットに変換し、液晶表示画面62に表示できる表示データに変換する。ここで、Rは赤(Red )、Gは緑(Green )、Bは青(Blue)である。
【0058】
液晶駆動パルス生成部70は、液晶表示画面62に既述の表示データ4の各データa、b、cを画像66a、66b、66cとして生成するため、LCD34を制御する駆動パルスを生成する。この結果、液晶表示画面62には、液晶駆動パルス生成部70が出力する駆動パルス72により、表示データ4の画像66a、66b、66cが表示される。
【0059】
次に、パターンデータ6について、図8、図9及び図10を参照する。図8、図9及び図10はパターンデータの一例を示している。
【0060】
パターンデータ6は既述の通り、単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを分布させたデータであって、例えば、メッシュパターン74、76(図8)、78、80(図9)、82、84(図10)で構成すればよい。
【0061】
メッシュパターン74では、図8の(A)に示すように、単一ドットの単位で即ち、1〔dot 〕毎に黒データBと、白データWとをn行n列に交互に配置したチェックデータである。
【0062】
メッシュパターン76では、図8の(B)に示すように、単一ドットの単位で即ち、1ドット〔dot 〕毎に黒データBと白データWを形成し、奇数行では、黒データBと、白データWとを交互に配置している。偶数行では、3つの白データWと、1つの黒データBとを交互に配置し、行数の増加に応じて黒データBの位置又は白データWの位置を2ドットずつ変位させている。
【0063】
メッシュパターン78では、図9の(A)に示すように、単一ドットの単位で即ち、1ドット〔dot 〕毎に黒データBと白データWを形成し、各行は、1つの黒データBと、3つの白データWとを交互に配置し、行数の増加に応じて黒データBの位置又は白データWの位置を1ドットずつ変位させている。
【0064】
メッシュパターン80では、図9の(B)に示すように、単一ドットの単位で即ち、1ドット〔dot 〕毎に黒データBと白データWを形成し、各行は、1つの黒データBと、3つの白データWとを交互に配置している。4行を単位とし、奇数行にあっては行数の増加に応じて黒データBの位置又は白データWの位置を1ドットずつ変位させ、偶数行にあっては行数の増加に応じて黒データBの位置又は白データWの位置を3ドットずつ変位させている。4行毎に同一パターンを配置しているので、黒データBの配置に規則性はあるものの、ランダム性が向上している。
【0065】
メッシュパターン82では、図10の(A)に示すように、単一ドットの単位で即ち、1ドット〔dot 〕毎に黒データBと白データWを形成し、各行は、8ドット中に1つの黒データBと、7つの白データWとを備え、黒データBの位置を行間で同一位置にならないように規則的に変化させている。白データWが支配的に配置されているが、黒データBの位置が規則性を持つものの、黒データBのランダム性が向上している。
【0066】
メッシュパターン84では、図10の(B)に示すように、単一ドットの単位で即ち、1ドット〔dot 〕毎に黒データBと白データWを形成し、各行及び各列を8行8列とし、列又は行中に2つの黒データBを配置している。各黒データBは、行の増加に応じて左右1ドットずつ接近させ、4行目で隣接状態となり、この隣接状態から行の増加に応じて左右1ドットずつ離間させている。この結果、8行8列の64ドットを単位とし、白地に黒データBでXを表すパターンを構成している。白データWが面積的には支配的であるが、その白地に文字様のXが表示され、Xに注視させるパターンデータを構成している。
【0067】
次に、パターンデータ生成部10について、図11を参照する。図11は、パターンデータ生成部の一例を示している。図11において、図3と同一部分には同一符号を付してある。
【0068】
このパターンデータ生成部10では、既述のパターンデータ記憶部56と、記憶制御部86とを備える。パターンデータ記憶部56は、記憶部42のデータ記憶部48(図4)に設定されているが、記憶部42とは別のメモリに構成してもよい。そして、このパターンデータ記憶部56には、既述のメッシュパターン74、76、78、80、82、84等のパターンが例えば、パターン1、パターン2・・・として格納されている。
【0069】
記憶制御部86は、パターンデータ記憶部56のパターンデータの読込みや読出しを制御する手段であって、制御部30からのON/OFF制御信号により動作を開始し、パターン選択入力により、所望のパターンを選択可能である。
【0070】
斯かる構成によれば、制御部30からのON/OFF制御信号により、記憶制御部86を動作状態又は動作停止状態に切り替えることができる。動作状態に設定された記憶制御部86にパターン選択入力が制御部30から加えられると、選択されたパターン1又はパターン2等のパターンデータが選択される。このパターンデータはデータ合成部28に提供され、表示データ4との合成に用いられる。
【0071】
次に、データ合成部28について、図12を参照する。図12は、データ合成部の一例を示している。図12において、図3と同一部分には同一符号を付してある。
【0072】
このデータ合成部28は、既述のデータ合成部12(図1)及びデータ合成部28(図3)の一例であって、図12に示すように、加算部88と、クリップ処理部90とを備えている。
【0073】
加算部88は、表示データ4とパターンデータ6とを加算する加算手段の一例であって、表示データ4とパターンデータ6とを例えば、1対1の比率で加算する。この加算比率を任意に変更する構成としてもよい。加算部88で得た加算データ92はクリップ処理部90に提供される。
【0074】
クリップ処理部90は、加算データ92に所定レベルのクリップ処理を施す手段の一例であって、所定レベルとして例えば、白データより高いレベルでクリップ処理を施す。
【0075】
このようなデータ合成部28を用いて加算データ92に例えば、白レベルより高いレベルでクリップ処理を施した合成表示データ14が得られる。この合成表示データ14には、表示データ4の解像度を低下させることなく、白データで支配され、表示データ4を低コントラスト化したデータが得られる。
【0076】
次に、覗き見防止機能の設定の処理手順について、図13及び図14を参照する。図13は、覗き見防止機能の設定画面の一例を示し、図14は、覗き見防止機能のパターン選択表示画面の一例を示している。
【0077】
この携帯端末装置22では、図示しない待受け画面から覗き見防止機能設定に移行すると、図13に示すように、覗き見防止機能の設定画面94が液晶表示画面62に展開される。この設定画面94には、タイトルバー96と、選択表示部98と、ソフトウェアキー100とが表示される。タイトルバー96には、実行中の機能モードを表す情報として“覗き見防止機能設定”が表示されている。
【0078】
選択表示部98には、選択設定の内容の一例として、「覗き見防止機能を設定しますか?」の表示とともに、選択情報として「する」及び「しない」が表示されている。この「する」及び「しない」から「する」を選択すれば、覗き見防止機能設定となり、「しない」を選択すれば、覗き見防止機能設定から他のモード例えば、初期画面に戻すことができる。
【0079】
そして、覗き見防止機能を設定する場合には、既述の「する」の選択により、図14に示すように、パターン選択表示画面102が表示される。このパターン選択表示画面102にはタイトルバー96と、選択表示部98と、ソフトウェアキー100とが表示される。選択表示部98には、「パターン選択」の表示とともに、選択対象である複数のパターン1、パターン2、パターン3・・・の選択情報が表示される。これらのパターン情報からパターンを選択することにより、表示データ4に加算すべきパターンデータ6を選択することができる。
【0080】
次に、覗き見防止機能の処理手順について、図15を参照する。図15は、覗き見防止機能の処理手順の一例を示している。
【0081】
この処理手順は、本開示の表示制御プログラム及び表示制御方法の一例であって、GUI(Graphical User Interface)操作に基づき、機能実行の処理、機能停止の処理の何れかが選択され、各処理が実行される。
【0082】
そこで、この処理手順においては、図15に示すように、覗き見防止機能の実行又は停止に際し、機能の実行又は停止のための入力を監視し(ステップS11)、機能実行か否か(機能停止か)を判定する(ステップS12)。
【0083】
機能実行であれば(ステップS12のYES)、GUI操作から機能実行を選択する(ステップS13)。この選択により、実行コマンドを受け取り(ステップS14)、関連モジュールを有効にする(ステップS15)。ここで、関連モジュールとは、既述のパターンデータ生成部10及びデータ合成部28である。そこで、パターンデータ生成部10の動作を有効にし、データ合成部28のデータ合成動作を有効にする。
【0084】
機能停止であれば(ステップS12のNO)、GUI操作から機能停止を選択する(ステップS16)。この選択により、実行コマンドを受け取り(ステップS17)、関連モジュールを停止させる(ステップS18)。ここで、関連モジュールとは既述の通りであり、そこで、パターンデータ生成部10の動作を停止し、データ合成部28のデータ合成動作を停止させる。
【0085】
次に、データ合成(変換)の処理手順について、図16を参照する。図16は、データ合成処理の処理手順の一例を示している。
【0086】
この処理手順は、本開示の表示制御プログラム及び表示制御方法の一例であって、GUI操作に基づき、覗き見防止機能の選択から合成表示データの表示までの処理を含んでいる。
【0087】
そこで、この処理手順では、図16に示すように、覗き見防止機能をONにすれば(ステップS21)、パターンの選択指定に移行する(ステップS22)。パターンを選択すると、選択されたパターンのパターンデータがパターンデータ記憶部56(図4、図11)から読み出される(ステップS23)。
【0088】
このパターンデータが記憶制御部86(図11)からデータ合成部28(図3)に出力され(ステップS24)、データ合成部28では、パターンデータ6と表示データ4とが合成される(ステップS25)。この合成処理によって得られた合成表示データ14(図3)が表示部8に加えられ、この合成表示データ14が表示部8の液晶表示画面62に表示される(ステップS26)。この合成表示データ14の画像は、パターンデータ6との合成によって低コントラスト化された表示データ4の画像である。これによって画像データの覗き見防止が図られている。
【0089】
次に、データ合成(変換)の処理手順について、図17を参照する。図17は、データ合成の処理過程を示している。
【0090】
このデータ合成(変換)の処理について、図17は、表示データ(A)に、白及び黒のメッシュパターンデータ(B)を加算し、クリップ処理後の合成表示データ(D)が得られ、表示データ(A)が低コントラスト化される状態遷移を表している。
【0091】
この場合、表示データ4は、図17のAに示すように、画像の幅方向位置の明度レベルを示し、1ドット毎の明度レベルが幅方向の位置で変化し、そのレベル変化が黒データ(レベル0〔%〕)Bと、白データ(レベル100〔%〕)Wとの間で分布している。黒データBは黒レベルのピーク、白データWは白レベルのピークを示している。
【0092】
メッシュパターンデータを表すパターンデータ6では、図17のBに示すように、画面の横方向に1ドット毎に交互に白データWと黒データBが分布している。白データWはパターンデータ6の明部、黒データBはパターンデータ6の暗部の一例である。
【0093】
表示データ4にパターンデータ6を加算すると、図17のCに示すように、表示データ4のドット毎のピーク点のレベル上にパターンデータ6の白データWと黒データBとが1対1の割合で加算されている。この加算データ92では、表示データ4の各ドット毎のレベルに応じてパターンデータ6の白データWのレベルが、表示可能な白レベルを超えることとなる。
【0094】
そこで、このデータ合成処理では、加算データ92(図17のC)に対し、クリップ(clip)処理を施す。即ち、加算データ92が持つ白レベル側のデータに対し、液晶表示画面62に表示可能な白レベルをクリップレベルとするクリップ(clip)処理を施すと、加算データ92から白データWのレベルを超えるデータ分が切り取られて合成表示データ14が得られる。
【0095】
この合成表示データ14は、図17のDに示すように、図17のAの表示データ4の白データ側のレベル部C1 、C2 、C3 ・・・と白データWとの間に図17のBのパターンデータ6が補完されている。この結果、表示データ4が低コントラスト化した合成表示データ14に変換されている。具体的には、表示データ4のうち明度が低いレベル部分に白データがドット単位で合成されるので、表示データ4の暗い部分のレベル部C1 、C2 、C3 ・・・(黒又は色相)にドット単位で白抜き部W1 、W2 、W3 ・・・が形成されている。これら白抜き部W1 、W2 、W3 ・・・による表示データ4の白抜きが表示データ4を低コントラスト化している。
【0096】
この実施の形態では、白黒データのパターンデータ6を用いているが、カラー表示で単一又は異なる色相を用いてパターンデータ6を生成し、表示データ4の色相による低コントラスト化を図ってもよい。
【0097】
次に、表示データの画像処理について、図18を参照する。図18は、表示データの画像処理過程を示している。
【0098】
表示データ4を例えば、文字“F”の部分を黒データB、背景部を白データWとすれば、この表示データ4は、図18のAに示すように、液晶表示画面62に表示される。この場合、1つの枡目を1ドットと仮定する。
【0099】
また、この表示データ4に対するパターンデータ6を1ドット毎に白データW及び黒データBを配置したチェック模様データ(メッシュパターンデータ)とすれば、このパターンデータ6は、図18のBに示すように、液晶表示画面62に表示される。
【0100】
そこで、表示データ4にパターンデータ6を合成し、即ち、既述の加算及びクリップ処理を行えば、黒データBからなる文字“F”が白抜きされた合成表示データ14に変換される。この合成表示データ14は、図18のCに示すように、文字“F”の背景部の白データWはクリップされて依然として白データWのままとなる。これに対し、文字“F”の黒データBの部分はパターンデータ6による1ドット毎の白抜き部W1 、W2 、W3 ・・・が得られ、表示データ4の低コントラスト化、文字“F”の低コントラスト化が図られる。この場合、合成表示データ14のドット構成は原データである表示データ4と同一であり、解像度は同一である。
【0101】
図18に示す例では、説明を容易にするため、単一レベルの黒データBを用いているが、色相や明度が異なる表示データ4に対してパターンデータ6を加算すれば、色相や白レベルの異なる低コントラスト化が得られる。
【0102】
この画像処理のデータ処理について、図19を参照する。図19は、図18のAのP−Q部分のデータ処理を示している。
【0103】
既述の図18のAにおいて、背景部が白データWであり、文字“F”の部分が黒データBであるから、図19のAに示すように、P−Q部分には、白データWの部分A1 、A2 と、黒データBの部分A3 とを含んでいる。
【0104】
図19のBはパターンデータ6であり、単一ドットで白データWと黒データBとが交互に規則正しく分布している。このパターンデータ6を図19のAに示す表示データに加算すると、図19のCに示すように、白データW(A1 、A2 )及び黒データB(A3 )にパターンデータ6が加算され、重畳した状態を呈する。この加算データ92では、白データWのレベルを超える加算部分C1 、C2 と、黒データBに白データWの加算部分C3 とが含まれている。即ち、加算部分C3 は、表示データ4の暗部分に対応し、ドット単位で白データWによる白抜き部分が生じている。
【0105】
そこで、この加算データ92に白レベルをクリップレベルCLとしたクリップ処理を施すと、図19のDに示すように、クリップされた部分D1 、D2 は、白データWの部分であり、表示データ4の暗部分D3 は、白データWによるドット単位の白抜き部分となる。D1 、D2 では、原データである表示データ4の白データWの部分A1 、A2 と同様であり、パターンデータ6の表出はない。
【0106】
そこで、覗き見防止機能について、図20を参照する。図20は覗き見防止機能の処理前後の画像推移の一例を示している。
【0107】
図20の(A)は図18のAに対応し、図20の(B)は図18のCに対応している。図20の(A)では、背景部を白データW、文字“F”の部分を黒データBで示している。LCD34上の画像表示では、ドット間の境界は表出しない。そして、表示データ4がパターンデータ6との合成及び白レベルのクリップ処理後では、図20の(B)に示すように、黒で表示された文字“F”部分にパターンデータ6の明部即ち、白データWでの抜け部分103をドット単位で生じている。パターンデータ6の白データWが複数ドットであれば、複数ドットを単位として抜け部分103が生じ、ドット数に比例して抜け部分103の面積が広がる。このような抜け部分103は背景部と同様の白データWで表され、斜めから見た場合に白く浮き上がり、斜め方向からの文字“F”の視認性を低下させる。即ち、覗き見防止機能が発揮されることになる。
【0108】
次に、覗き見防止機能の表示画面について、図21、図22、図23、図24、図25、図26及び図27を参照する。図21は、覗き見防止を施していない画面表示を示し、図22、図23、図24、図25、図26及び図27は、覗き見防止を施した画面表示を示している。これらの表示は一例であって、係る表示に本開示の覗き見防止機能が限定されるものではない。
【0109】
既述の覗き見防止機能を動作させていない場合には、図21に示すように、表示データ4のみによる表示画面104が生成される。これに対し、表示データ4(図21)に図8の(A)に示す既述のパターンデータ6(メッシュパターン1/2)を合成すれば、図22に示すように、合成表示データ14による表示画面106が表示される。表示データ4(図21)に図8の(B)に示す既述のパターンデータ6(メッシュパターン3/4)を合成すれば、図23に示すように、合成表示データ14による表示画面108が表示される。表示データ4(図21)に図9の(A)に示す既述のパターンデータ6(メッシュパターン1/4)を合成すれば、図24に示すように、合成表示データ14による表示画面110が表示される。表示データ4(図21)に図9の(B)に示す既述のパターンデータ6(メッシュパターン1/4)を合成すれば、図25に示すように、合成表示データ14による表示画面112が表示される。表示データ4(図21)に図10の(A)に示す既述のパターンデータ6(メッシュパターン1/8)を合成すれば、図26に示すように、合成表示データ14による表示画面114が表示される。また、表示データ4(図21)に図10の(B)に示す既述のパターンデータ6(メッシュパターン1/8)を合成すれば、図27に示すように、合成表示データ14による表示画面116が表示される。
【0110】
次に、覗き見防止機能及び動作特性について、図28、図29、図30、図31、図32及び図33を参照する。図28、図29及び図30は液晶分子の動きと透過光の様子、図31はコントラスト比率、図32は黒レベルを上昇させた場合の特性、図33は本開示のベールビュー機能の特性差分を示している。
【0111】
既述の覗き見防止機能の原理として、IPS(In-Plane-Switching)液晶の視野角とコントラストの関係に言及する。そこで、IPS液晶を用いたLCD34では、図28に示すように、最上層から偏光板118、液晶部120、電極基板122及び偏光板124が配置され、偏光板124の背面側には光源126が配置されている。電極基板122は画素電極を構成する。液晶部120には複数の液晶分子128を備える。
【0112】
このようなLCD34では、液晶分子128を電極基板122に対して水平に動かすことにより、偏光板124を通過した一定の向きを持つ光130を通過させ(図30の液晶分子128a)又は遮断(図30の液晶分子128b)している。IPS方式では従来のSTN(Super-Twisted Nematic )方式に比較して液晶分子128にねじれが無いため、通過した光130が放射線状に広がり、広い視野角が得られる。但し、液晶分子128は水平方向に回転させるため、その向き(即ち、データの輝度レベル)に応じて視野角特性(コントラスト)が異なる。そこで、IPS液晶を用いた場合には例えば、図31に示すような特性が得られる。この図31では、正面に対して左右45〔度〕の角度から見た場合の正面に対するコントラスト比率〔%〕を示している。液晶の種類によりコントラスト比率は異なるものの、この例では、映像レベル〔%〕が10〔%〕から40〔%〕の範囲で大幅に低下し、40〔%〕を超えると、コントラスト比率〔%〕が0.25以下で安定していることが判る。
【0113】
LCD34を通過する光130は、液晶分子128の完全なON状態(液晶分子128a:図30)では放射線状に広がるのに対し、液晶分子128がOFF(液晶分子128b:図30)方向に回転することにより、放射状に広がることが妨げられる。即ち、偏光板124からの光130の出方が変化する。これが輝度によって視野角特性が異なる理由である。
【0114】
そこで、表示画像のコントラストを抑えるため、データ処理によって表示画像全体の黒レベルを持ち上げれば、正面から見たコントラスト比率は低下することになる。しかし、図31に示すような広視野角特性を持つIPS液晶等で黒レベルを強調すると、図32に示す特性となり、横方向側のコントラスト比率が高くなり、特性が劣化してしまう。
【0115】
そこで、本開示の覗き見防止機能では、表示データ4に既述の通り、単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを分布させたパターンデータ6を合成し、白レベルでクリップさせ、表示データ4の暗部に白データWを分布させている。この白データWは、ドット単位(画素単位)で形成されている。
【0116】
LCD34(図28)は、画素単位で液晶分子128をONさせ、斜めから見た場合にデータ部分に対して左右の完全にONしている液晶分子128の部分から通過した光130が広視野角を持っている。このため、表示データ4の暗部に白データWを分布させた合成表示データ14を表示する液晶表示画面62では、正面から見た場合に比較し、横方向から見た方が、左右のONしている画素から受ける影響が顕著となる。
【0117】
このような液晶表示画面62の画像表示では、図33において、L1 に示すベールビュー特性が得られ、図33のL2 は、比較のための黒レベルを強調した場合の特性である。特性L1 では正面を中心にして左右45〔度〕の方向の視野角(−45〔度〕〜45〔度〕)範囲でコントラストが一様に低下している。
【0118】
このような本開示のベールビュー特性が付与された画像表示では、図34に示すように、正面側の視点132で視認される画像に比較し、角度θだけ変位させた斜め方向の視点134では、表示データ4の表示部分136より全白部分138が白く浮き上がって見え、見掛け上、低コントラスト化が図られることになる。これにより、覗き見防止機能が達成されている。
【0119】
〔上記実施の形態の利点及び変形例等〕
【0120】
上記実施の形態から利点や特徴を以下に列挙し、他の実施の形態に言及する。
【0121】
(1) 交通機関や公共の場等、人目に触れる場所で使われる携帯端末装置22にLCD34が備えられているが、斯かるLCD34の表示制御によって表示内容の覗き見防止(ベールビュー)の機能を高めることができる。
【0122】
(2) LCD34に超ねじれネマティック(STN)方式や、視野角の広いTFT(Thin Film Transister)方式が使用されても、上記実施の形態の表示制御を用いれば、覗き見防止機能を高めることができる。本開示の覗き見防止機能は何れの液晶パネルにも適応できる。
【0123】
(3) 本開示の覗き見防止機能では、LCD34自体に何ら変更することなく、表示データ4を処理することで、覗き見防止の機能を高めている。従来の例えば、2方向から別々の画像を見ることのできる液晶等の特殊加工をする方法では液晶パネルのコストを増加させる。これに対し、上記実施の形態では、液晶パネルのコスト増加はなく、低コストで覗き見防止機能を実現している。また、パターンデータの合成により表示データを加工しているが、表示画面では正面からの視認性を抑え、覗き見防止を図ることができ、表示データの加工技術の特性改善を図ることができる。
【0124】
(4) 既述のように、黒レベルの強調によるデータ処理では、斜めから見るとコントラストが上がるという現象が見られるが、これは、斜めから見たときの輝度特性が、暗い方の減衰率が高いために生じる。このような不都合は、上記実施の形態即ち、本開示の覗き見防止機能によって改善することができる。
【0125】
(5) LCD34の視野角を制限させるため、図8ないし図10に例示したメッシュパターンの全白のデータを用いて表示データ4に合成し、クリップ処理によって表示データ4を覗き見防止が図られた合成表示データ14に置換することができる。
【0126】
(6) メッシュパターンを重ねることにより、単純メッシュであれば解像度が1/2となってしまうが、このような課題は、メッシュのパターンバリエーションでOFF部分を間引くことにより、極端な解像度の劣化を抑制できる。
【0127】
(7) 上記実施の形態では、データ源24のデータから表示データ生成部26で表示データ4を生成し、この表示データ4にパターンデータ6を合成する。このデータによる画像合成では、表示データ4に白データと黒データとからなるパターンデータ6を合成し、白データ部分は白データにクリップされる。また、黒データ部分は、画像データとしては“0”であるため、表示データ4の黒部分はそのまま表示部8に送られる。そして、データ合成のON/OFF制御は制御部30で行われる。
【0128】
(8) パターンデータ生成部10では、パターンデータをメモリ(例えば、パターンデータ記憶部56)に格納し、そのメモリから任意に読み出され、データ合成に用いられるが、覗き見防止の機能を停止する場合には、パターンデータの読出しを停止する。その場合、表示データ4のみが表示部8に供給される。
【0129】
(9) LCD34の表示データ即ち、点灯パターンを制御するので、制御ソフトの変更のみであり、従前のフィルム貼付や特殊なLCDパネルを用いる必要がない。LCDパネルについては、従来のLCDパネルを用いて覗き見防止機能が実現できる。
【0130】
(10) メッシュパターンの重合した場合には、画素を白くした比率によって解像度の低下や、パターンによっても見た目が大きく変わる。これに対し、図8ないし図10に例示するように、メッシュパターンデータを格子状として見た目の画質を向上させることができる。また、パターンデータは、ストライプ状模様のパターンを構成してもよい。
【0131】
(11) メッシュパターンを重合すると、パターンによっては局所的な輝度むらが生じるが、これは、画面全体を既述のように、格子状にすることで改善できる。
【0132】
(12) 上記実施の形態では、斜めから輝度特性によるコントラスト特性を改善することができる。即ち、広視野角のLCD34において、斜めから見たときの輝度特性が暗い程、劣化量が大きくなる傾向にある。例えば、正面からのコントラストを犠牲にして斜めからのコントラストを落とそうとした場合に、斜め方向からのコントラストの上昇に対し、本開示の覗き見防止機能では、斜めから見た場合の隣の画素(白ないし明部)の影響を利用し、斜めから見たときにコントラストが上がってしまう現象を低減させることができる。
【0133】
(13) 上記実施の形態では、表示データ4がYUVフォーマットのデータであれば、RGBフォーマットに変換し、LCD34に表示可能なデータに変換した後、パターンデータ6を合成し、液晶表示を制御し、その画像を表示している。
【0134】
(14) 上記実施の形態では、本開示の表示制御装置を適用した電子機器として、携帯装置2(図1)や、携帯端末装置22(図3)を例示したが、本開示の表示制御装置はこれに限定されない。本開示の表示制御装置は、LCD34等の表示器や表示機能を備えた電子機器であればよく、携帯情報端末機(PDA:Personal Digital Assistant)200(図35)や、パーソナルコンピュータ(PC)300(図36)であってもよく、既述の覗き見防止機能を実現することができる。PDA200及びPC300において、上記実施の形態と共通部分には共通符号を付し、その説明を省略する。
【0135】
(15) 上記実施の形態では、パターンデータの白データと黒データとを単一ドット単位又は複数ドット単位で形成しているが、これに限定されない。例えば、図8ないし図10に例示したパターンデータにおいて、白データ部と黒データ部とを複数ドット単位で形成し、白データ部と黒データ部、又は明部データ部と暗部データ部とを仕切る格子状の輪郭線を形成してもよい。この輪郭線は例えば、単一ドット又は複数ドット単位で形成すればよい。
【0136】
(16) 上記実施の形態では、明部データとして白データ、暗部データとして黒データを例示しているが、このような無着色データに限定されない。例えば、明部データとして白データ以外の黄色等の着色データ、暗部データとしてブルー等の着色データを使用してもよく、同様に低コントラスト化による覗き見防止機能を実現できる。
【0137】
(17) 上記実施の形態では、パターンデータとしてチェック模様を用いているが、これに限定されない。チェック模様に代え、文字情報を用いてもよい。
【0138】
(18) 上記実施の形態において、データ源24が既述の表示データ4を生成する構成であれば、上記実施の形態の表示データ生成部26を省略してもよい。この場合、表示データ記憶部57に表示データ4を記憶させ、この表示データ4をデータ合成部28に対して提供すればよい。
【0139】
〔比較例〕
【0140】
従前のLCD表示の覗き見防止には、プライバシーフィルムを貼る簡易的なもの、LCDの表示面にスイッチパネルを重ねて横からの視角を電気的に制限して実現するもの、LCD表示にグレー表示を重ねて表示を全体的に見え難くするものがある。
【0141】
プライバシーフィルムを貼る簡易的なものでは、プライバシーフィルムの劣化や貼着等の手間がある等、何れのものも覗き見防止機能が得られないという課題がある。斯かる課題は、上記実施の形態に述べた覗き見防止機能によって解決されている。
【0142】
次に、以上述べた実施例を含む実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。以下の付記に本発明が限定されるものではない。
【0143】
(付記1) 単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを分布させたパターンデータを生成するパターンデータ生成部と、
表示部の表示データに前記パターンデータを合成するデータ合成部と、
を備えることを特徴とする表示制御装置。
【0144】
(付記2) 前記データ合成部は、前記パターンデータとの合成により前記表示データを該表示データの暗部分に前記パターンデータの前記明部を分布させた合成表示データに変換することを特徴とする付記1に記載の表示制御装置。
【0145】
(付記3) 前記パターンデータは、前記明部と前記暗部とを交互に配置したデータであることを特徴とする付記1に記載の表示制御装置。
【0146】
(付記4) 前記パターンデータ生成部は、複数の異なるパターンデータを格納する記憶部と、
この記憶部からパターンデータを選択して読み出す記憶制御部と、
を備えることを特徴とする付記1に記載の表示制御装置。
【0147】
(付記5) 前記データ合成部は、
前記表示データに前記パターンデータを加算する加算部と、
前記加算部で得た加算データの明部側を所定のクリップレベルでクリップさせるクリップ処理部と、
を備えることを特徴とする付記1に記載の表示制御装置。
【0148】
(付記6) 更に、前記パターンデータの生成、又は前記表示データに対する前記パターンデータの合成の何れか一方又は双方を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする付記1に記載の表示制御装置。
【0149】
(付記7) 更に、前記表示データに前記パターンデータを合成し、又は前記表示データに合成する前記パターンデータを選択するスイッチと、
を備えることを特徴とする付記1に記載の表示制御装置。
【0150】
(付記8) コンピュータによって実行される表示制御プログラムであって、
単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを配置したパターンデータを生成する機能と、
表示部の表示データに前記パターンデータを合成する機能と、
を前記コンピュータに実行させる表示制御プログラム。
【0151】
(付記9) 更に、前記表示データに前記パターンデータの合成後、所定のクリップレベルでクリップさせて合成データを得る機能を含むことを特徴とする付記8に記載の表示制御プログラム。
【0152】
(付記10) 単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを配置したパターンデータを生成するステップと、
表示部の表示データに前記パターンデータを合成するステップと、
前記パターンデータが合成された表示データを表示部に表示するステップと、
を含むことを特徴とする表示制御方法。
【0153】
(付記11) 更に、前記表示データに前記パターンデータの合成後、所定のクリップレベルでクリップさせて合成データを得るステップを含むことを特徴とする付記10に記載の表示制御方法。
【0154】
以上説明したように、表示制御装置、表示制御プログラム及び表示制御方法の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0155】
2 表示制御装置
4 表示データ
6 パターンデータ
8 表示部
10 パターンデータ生成部
12 データ合成部
14 合成表示データ
24 データ源
26 表示データ生成部
30 制御部
38 機能切替部
56 パターンデータ記憶部
62 液晶表示画面
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示器を備える携帯端末装置等の携帯装置の画像表示制御に関し、例えば、画像処理によって覗き見防止(ベールビュー)機能を備えた表示制御装置、表示制御プログラム及び表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末装置等の携帯装置では、情報表示に液晶表示器(LCD:Liquid Crystal Display)が用いられている。携帯装置の使用シーンは様々であり、表示内容が他人の目に晒されることを避けることができない。このため、画像表示側で表示内容を周囲に視認されないような工夫が施されている。覗き見の視認性を低下させるためのいわゆる覗き見防止の機能強化である。
【0003】
このような画像表示に関し、表示画像が正面からは見易く周囲からは見え難い表示形態として新ベールビュー機能が知られている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】第3回 新ベールビューやスマートリンク辞書など、数々の新機能を搭載−「SH906i」の進化
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の覗き見防止では、LCDの狭視野化、表示画面にフィルムの添付、メッシュパターンの重合等が実用化されている。画像表示の覗き見防止は、表示画像の質や面積と関係し、覗き見防止の目的のため、解像度の劣化、輝度むら、斜め方向からの視点でコントラストが上昇する等の、画質的な変化が生じるという課題がある。
【0006】
そこで、本開示の表示制御装置及び表示制御方法の目的は、斜め方向からの視認性を低下させて覗き見防止機能を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本開示の表示制御装置は、パターンデータ生成部と、データ合成部とを備える。前記パターンデータ生成部は、単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを分布させたパターンデータを生成すればよい。前記データ合成部は、表示部の表示データに前記パターンデータを合成する。
【0008】
上記課題を解決する本開示の表示制御プログラムは、コンピュータによって実行される表示制御プログラムであって、パターンデータ生成機能と、データ合成機能とを含む。前記パターンデータ生成機能は、単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを配置したパターンデータを生成する。前記データ合成機能は、表示部の表示データに前記パターンデータを合成する。
【0009】
上記課題を解決する本開示の表示制御方法は、パターンデータ生成ステップと、データ合成ステップと、表示ステップとを含む。パターンデータ生成ステップでは、単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを配置したパターンデータを生成する。前記データ合成ステップでは、表示部の表示データに前記パターンデータを合成する。そして、前記表示ステップでは、パターンデータが合成された表示データを表示部に表示する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の表示制御装置、表示制御プログラム及び表示制御方法によれば、次のような効果が得られる。
【0011】
(1) 表示データにパターンデータを合成して画像表示をするので、斜め方向からの視認性を低下させ、覗き見防止機能を実現できる。
【0012】
(2) 表示された画像の見かけ上のコントラストを低下させて覗き見防止機能を得ているので、フィルム貼着の煩瑣な作業は不要である。
【0013】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態に係る携帯装置の表示制御装置の一例を示す図である。
【図2】表示制御の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】第2の実施の形態に係る携帯端末装置の表示制御装置の一例を示す図である。
【図4】携帯端末装置のハードウェアの一例を示す図である。
【図5】携帯端末装置の外観構成の一例を示す図である。
【図6】表示データ生成部の一例を示す図である。
【図7】表示部の一例を示す図である。
【図8】パターンデータの一例を示す図である。
【図9】パターンデータの一例を示す図である。
【図10】パターンデータの一例を示す図である。
【図11】パターンデータ生成部の一例を示す図である。
【図12】データ合成部の一例を示す図である。
【図13】覗き見防止機能の設定画面の一例を示す図である。
【図14】覗き見防止機能のパターン選択表示画面の一例を示す図である。
【図15】覗き見防止機能の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図16】データ合成処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図17】データ合成の処理過程を示す図である。
【図18】表示データの画像処理過程の一例を示す図である。
【図19】図18の一部のデータ処理の一例を示す図である。
【図20】覗き見防止機能の処理前後の画像推移の一例を示す図である。
【図21】覗き見防止処理前の表示画面の一例を示す図である。
【図22】覗き見防止機能の表示画面の一例を示す図である。
【図23】覗き見防止機能の表示画面の一例を示す図である。
【図24】覗き見防止機能の表示画面の一例を示す図である。
【図25】覗き見防止機能の表示画面の一例を示す図である。
【図26】覗き見防止機能の表示画面の一例を示す図である。
【図27】覗き見防止機能の表示画面の一例を示す図である。
【図28】LCDの構成例を示す図である。
【図29】LCDの動作を示す図である。
【図30】LCDの動作を示す図である。
【図31】従前の映像レベルに対するコントラスト比率を示す図である。
【図32】視野角に対するコントラスト比率を示す図である。
【図33】ベールビュー機能の特性を示す図である。
【図34】覗き見防止機能を説明するための図である。
【図35】他の実施の形態に係る携帯情報端末機の一例を示す図である。
【図36】他の実施の形態に係るパーソナルコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔第1の実施の形態〕
【0016】
第1の実施の形態は、単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを分布させたパターンデータを生成し、このパターンデータを表示データに合成し、表示画像の見掛け上のコントラストを低下させる構成である。
【0017】
この第1の実施の形態について、図1を参照する。図1は、第1の実施の形態に係る表示制御装置の一例を示している。
【0018】
携帯装置2は、本開示の表示制御装置を適用した電子機器の一例であって、表示データ4にパターンデータ6を合成して見掛け上の低コントラスト化により、覗き見防止機能の実現ないし強化をしている。
【0019】
そこで、この携帯装置2は、図1に示すように、表示制御装置3と、表示部8とを備えている。表示制御装置3は、本開示の表示制御装置の一例であって、表示データ4を表示部8に表示する機能部としてパターンデータ生成部10と、データ合成部12とを備えている。
【0020】
表示データ4は、表示部8に表示可能なデータであって、文字、図形、写真の何れでもよいし、これらが混合されていてもよい。この表示データ4は、パターンデータ6や合成表示データ14に対し、原データである。
【0021】
表示部8は、表示データ4や合成表示データ14を表示する表示処理手段の一例であって、例えば、LCD表示器に表示データ4や合成表示データ14の表示処理を行う。
【0022】
パターンデータ生成部10は、表示データ4に合成するためのパターンデータ6を生成する。パターンデータ6は、単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを分布させたデータであり、明部は例えば、白データ、暗部は例えば、黒データである。この場合、単一ドットは、表示部8の表示単位であり、画素である。複数ドットは単一ドットの集合体である。
【0023】
データ合成部12は、表示データ4にパターンデータ6を合成する合成手段の一例であって、表示データ4にパターンデータ6を合成して合成表示データ14に変換する機能を備える。合成表示データ14は、表示部8に提供され、表示部8に画像として表示させる。覗き見防止機能を必要としない場合には、データ合成部12が何らの処理を施すことなく、表示データ4を通過させる。
【0024】
斯かる構成によれば、表示データ4にパターンデータ生成部10からのパターンデータ6が合成され、その合成表示データ14を表示部8に表示させることができる。表示データ4は原データであるのに対し、パターンデータ6は、既述の通り、単一ドット又は複数ドットの単位で明部と暗部とを分布させたデータである。このようなパターンデータ6と表示データ4との合成により、合成表示データ14が得られる。
【0025】
このように、表示データ4に既述のパターンデータ6を合成すれば、その合成表示データ14では、表示データ4の暗部分に単一ドット又は複数ドットの単位でパターンデータ6の明部をドット単位又は複数ドット単位で分布させた画像が得られる。このような画像表示では、表示データ4による画像に比較して見掛け上のコントラストを低下させることができる。コントラストの低下により正面から見た視認性も低下してしまうが、斜めから見た画像もより低下するので、覗き見防止機能を強化することができる。
【0026】
この表示制御機能の処理手順について、図2を参照する。図2は、表示制御機能の処理手順の一例を示している。
【0027】
この表示制御機能の処理手順は、本開示の表示制御プログラム及び表示制御方法の一例であって、図2に示すように、パターンデータの生成やデータ合成等の処理を含んでいる。
【0028】
表示データ4の表示画像に対する覗き見防止動作を開始すると、パターンデータ6が生成される(ステップS1)。このパターンデータ6は、既述の通り、単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを分布させたデータである。
【0029】
このパターンデータ6を表示データ4に合成し(ステップS2)、表示データ4を合成表示データ14に変換する。
【0030】
そして、合成表示データ14を表示部8に表示する(ステップS3)。この合成表示データ14では、表示データ4にパターンデータ6を合成することにより、見掛け上、低コントラスト化した画像が得られる。この結果、既述の通り、画像表示の覗き見防止機能が強化されている。
【0031】
この実施の形態では、覗き見防止動作の開始を契機にパターンデータ6の生成を開始しているが、パターンデータ6の生成を常態とし、覗き見防止動作の開始を契機にパターンデータ6を表示データ4に合成させる構成としてもよい。また、覗き見防止動作が停止している場合には、データ合成部12のデータ合成機能を停止し、表示データ4の通過により通常の高コントラスト表示とすればよい。
【0032】
〔第2の実施の形態〕
【0033】
第2の実施の形態は、携帯装置として携帯端末装置の覗き見防止機能を強化し、例えば、メール文等の画像表示を低コントラスト化表示とした構成である。
【0034】
この第2の実施の形態について、図3を参照する。図3は、第2の実施の形態に係る表示制御装置の一例を示している。図3において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0035】
携帯端末装置22は、本開示の表示制御装置を適用した電子機器の一例であって、図3に示すように、既述の表示制御装置3と、表示部8とを備え、表示制御装置3は、パターンデータ生成部10と、データ源24と、表示データ生成部26と、データ合成部28と、制御部30とを備える。
【0036】
表示データ4、パターンデータ6、表示部8及びパターンデータ生成部10は、第1の実施の形態で述べた通りであるので、その説明を省略する。
【0037】
データ源24は、既述の表示データ4を生成させるための原データを出力する出力源であって、例えば、データを記憶するデータ記憶部で構成される。この実施の形態では、携帯端末装置22にデータ源24が設置されているが、携帯端末装置22の外部に設置されて携帯端末装置22にデータを提供するデータ源であってもよい。
【0038】
表示データ生成部26は、データ源24からデータを受け、このデータから表示部8で表示する表示データ4(画像データ)を生成する。
【0039】
データ合成部28は、既述のデータ合成部12(図1)に対応し、表示データ生成部26で生成した表示データ4にパターンデータ生成部10で生成したパターンデータ6を合成し、合成表示データ14を生成させる手段である。パターンデータ6が白部分と黒部分とを交互に備える例えば、メッシュパターンデータであれば、このメッシュパターンデータが表示データ4に合成される。この合成表示データ14は、メッシュパターンデータとの合成により、表示データ4を低コントラスト化したデータである。即ち、表示データ4とメッシュパターンデータとの合成により、表示データ4を低コントラスト化したデータである合成表示データ14に変換する。
【0040】
制御部30は、パターンデータ生成部10及びデータ合成部28の制御手段であって、覗き見防止機能の動作として、パターンデータ生成部10の動作及びパターンデータの選択、データ合成部28の動作を切り替える。例えば、パターンデータ生成部10がONの場合には、データ合成部28ではデータ合成部28のデータ合成(画像合成)を実行させる。また、パターンデータ生成部10がOFFの場合にはデータ合成部28は表示データ4の通過動作に切り替える。
【0041】
そして、表示部8は、覗き見防止動作(パターンデータ生成部10のON)では合成表示データ14の提供を受け、この合成表示データ14を表示する。覗き見防止動作の解除(パターンデータ生成部10のOFF)では表示データ4の提供を受け、原データである表示データ4を表示する。
【0042】
この携帯端末装置22のハードウェアについて、図4及び図5を参照する。図4は携帯端末装置のハードウェアの一例を示し、図5は、その外観構成の一例を示している。
【0043】
この携帯端末装置22は、上記機能部(図3)を実現するためのハードウェアを備えている。そこで、この携帯端末装置22では、通信部32と、液晶表示器(LCD)34と、入力操作部36と、機能切替部38と、プロセッサ40と、記憶部42とを備えている。
【0044】
通信部32は、アンテナ44を備え、プロセッサ40の制御により、図示しない基地局と無線により通信する手段であって、通信先とメール等の交換や音声通話を行う。
【0045】
LCD34は、既述の表示部8の表示機能を液晶表示するものであって、プロセッサ40によって制御され、表示データ4や合成表示データ14を表示し、図示しないバックライト用の光源を備えている。
【0046】
入力操作部36は、カーソルキーや記号キー等を備える操作手段であって、ユーザによって操作され、この操作によって選択された文字情報や選択情報がプロセッサ40に取り込まれる。
【0047】
機能切替部38は、覗き見防止機能を有効にするか無効にするかの機能選択手段の一例であって、ユーザにより操作される例えば、スイッチで構成する。この機能切替部38に代え、LCD34の表示画面に表示されたソフトウェアキーによって機能切替えを行うようにしてもよく、この機能切替部38はハードウェアキー及びソフトウェアキーの双方を包含している。また、この機能切替部38には、このような機能切替えに加え、パターンデータの選択機能を割り付けてもよい。この場合、機能切替部38の操作により、メニュー選択モードに移行させ、メニュー選択モードに明示された覗き見防止機能を動作させ、合成に用いるパターンデータの選択を行うようにしてもよい。
【0048】
プロセッサ40は、通信制御、メール作成制御、覗き見防止制御等の各種制御等を実行する制御手段の一例であって、記憶部42にあるOS(Operating System)やアプリケーションプログラムを実行する。
【0049】
記憶部42は、OS等のプログラムの記憶手段であるとともに、データ記憶手段の一例であって、例えば、Flashメモリで構成される。この記憶部42には、プログラム記憶部46と、データ記憶部48と、RAM(Random-Access Memory)50とが備えられている。プログラム記憶部46は、既述のOS52、データ合成プログラム54等が格納されている。データ合成プログラム54は覗き見防止用のプログラムの一例である。データ記憶部48には、パターンデータ記憶部56、表示データ記憶部57が設定されている。パターンデータ記憶部56には複数種のメッシュパターンが格納されている。このメッシュパターンが表示データ4に合成されるデータである。表示データ記憶部57は、既述のデータ源24(図3)の一例であって、表示データ生成部26に提供するための原データを記憶する手段である。また、RAM50は、データ処理のワークエリアを構成する。
【0050】
そして、この携帯端末装置22は、図5に示すように、操作側筐体部58と、表示側筐体部60とを備え、これら筐体部58、60は摺動機構を備えて表示側筐体部60が操作側筐体部58の上面側を上下方向に摺動可能である。
【0051】
操作側筐体部58には、入力操作部36として例えば、カーソルキーや文字キーが備えられるとともに、機能切替部38が備えられている。機能切替部38は押しボタンスイッチ、摺動スイッチで構成すればよい。表示側筐体部60には、LCD34の液晶表示画面62が設けられている。
【0052】
このような携帯端末装置22では、LCD34の液晶表示画面62に文字や図形等の画像が表示されている際に、機能切替部38の操作により、覗き見防止モード又は覗き見防止解除モードを選択的に設定することができる。
【0053】
次に、表示データ生成部及び表示部について、図6及び図7を参照する。図6は、表示データ生成部の一例を示し、図7は、表示部の一例を示している。
【0054】
表示データ生成部26(図3)には、図6に示すように、画像生成部64が備えられ、この画像生成部64は複数のデータから例えば、単一の画面に画像を表示する表示データ4を生成する手段である。
【0055】
この実施の形態では、データ源24として例えば、複数のデータ源241、242、243が含まれ、データ源241は場所A、データ源242は場所B、データ源243は場所Cに存在する。各データ源241、242、243からデータa、b、cが画像生成部64に個別に提供されている。即ち、画像生成部64では、指定された場所に送られてきた各データa、b、cを液晶表示画面62に表示するようにする。
【0056】
画像生成部64では、これらのデータa、b、cを合成し、表示データ4(=a+b+c)が生成され、LCD34(表示部8)に提供される。LCD34の液晶表示画面62には表示データ4が表示され、この実施の形態では、データa、b、cからなる画像66a、66b、66cが表示され、一つの液晶表示画面62に画像66a、66b、66cの合成画像が表示されている。
【0057】
また、表示部8は、LCD34に表示データを表示する手段であって、この実施の形態では、図7に示すように、データ変換処理部68と、液晶駆動パルス生成部70とを備えている。データ変換処理部68は、表示データ生成部26(図3)から提供される表示データ4を液晶表示画面62に発色させるためのデータ変換処理を実行する。この場合、表示データ4の原データは、輝度信号(Y)、輝度信号と青色成分の差(U)、輝度信号と赤色成分の差(V)の情報で構成されたYUVフォーマットで送られてくる画像データである。そこで、データ変換処理部68では、YUVフォーマットの画像データを3原色RGBのRGBフォーマットに変換し、液晶表示画面62に表示できる表示データに変換する。ここで、Rは赤(Red )、Gは緑(Green )、Bは青(Blue)である。
【0058】
液晶駆動パルス生成部70は、液晶表示画面62に既述の表示データ4の各データa、b、cを画像66a、66b、66cとして生成するため、LCD34を制御する駆動パルスを生成する。この結果、液晶表示画面62には、液晶駆動パルス生成部70が出力する駆動パルス72により、表示データ4の画像66a、66b、66cが表示される。
【0059】
次に、パターンデータ6について、図8、図9及び図10を参照する。図8、図9及び図10はパターンデータの一例を示している。
【0060】
パターンデータ6は既述の通り、単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを分布させたデータであって、例えば、メッシュパターン74、76(図8)、78、80(図9)、82、84(図10)で構成すればよい。
【0061】
メッシュパターン74では、図8の(A)に示すように、単一ドットの単位で即ち、1〔dot 〕毎に黒データBと、白データWとをn行n列に交互に配置したチェックデータである。
【0062】
メッシュパターン76では、図8の(B)に示すように、単一ドットの単位で即ち、1ドット〔dot 〕毎に黒データBと白データWを形成し、奇数行では、黒データBと、白データWとを交互に配置している。偶数行では、3つの白データWと、1つの黒データBとを交互に配置し、行数の増加に応じて黒データBの位置又は白データWの位置を2ドットずつ変位させている。
【0063】
メッシュパターン78では、図9の(A)に示すように、単一ドットの単位で即ち、1ドット〔dot 〕毎に黒データBと白データWを形成し、各行は、1つの黒データBと、3つの白データWとを交互に配置し、行数の増加に応じて黒データBの位置又は白データWの位置を1ドットずつ変位させている。
【0064】
メッシュパターン80では、図9の(B)に示すように、単一ドットの単位で即ち、1ドット〔dot 〕毎に黒データBと白データWを形成し、各行は、1つの黒データBと、3つの白データWとを交互に配置している。4行を単位とし、奇数行にあっては行数の増加に応じて黒データBの位置又は白データWの位置を1ドットずつ変位させ、偶数行にあっては行数の増加に応じて黒データBの位置又は白データWの位置を3ドットずつ変位させている。4行毎に同一パターンを配置しているので、黒データBの配置に規則性はあるものの、ランダム性が向上している。
【0065】
メッシュパターン82では、図10の(A)に示すように、単一ドットの単位で即ち、1ドット〔dot 〕毎に黒データBと白データWを形成し、各行は、8ドット中に1つの黒データBと、7つの白データWとを備え、黒データBの位置を行間で同一位置にならないように規則的に変化させている。白データWが支配的に配置されているが、黒データBの位置が規則性を持つものの、黒データBのランダム性が向上している。
【0066】
メッシュパターン84では、図10の(B)に示すように、単一ドットの単位で即ち、1ドット〔dot 〕毎に黒データBと白データWを形成し、各行及び各列を8行8列とし、列又は行中に2つの黒データBを配置している。各黒データBは、行の増加に応じて左右1ドットずつ接近させ、4行目で隣接状態となり、この隣接状態から行の増加に応じて左右1ドットずつ離間させている。この結果、8行8列の64ドットを単位とし、白地に黒データBでXを表すパターンを構成している。白データWが面積的には支配的であるが、その白地に文字様のXが表示され、Xに注視させるパターンデータを構成している。
【0067】
次に、パターンデータ生成部10について、図11を参照する。図11は、パターンデータ生成部の一例を示している。図11において、図3と同一部分には同一符号を付してある。
【0068】
このパターンデータ生成部10では、既述のパターンデータ記憶部56と、記憶制御部86とを備える。パターンデータ記憶部56は、記憶部42のデータ記憶部48(図4)に設定されているが、記憶部42とは別のメモリに構成してもよい。そして、このパターンデータ記憶部56には、既述のメッシュパターン74、76、78、80、82、84等のパターンが例えば、パターン1、パターン2・・・として格納されている。
【0069】
記憶制御部86は、パターンデータ記憶部56のパターンデータの読込みや読出しを制御する手段であって、制御部30からのON/OFF制御信号により動作を開始し、パターン選択入力により、所望のパターンを選択可能である。
【0070】
斯かる構成によれば、制御部30からのON/OFF制御信号により、記憶制御部86を動作状態又は動作停止状態に切り替えることができる。動作状態に設定された記憶制御部86にパターン選択入力が制御部30から加えられると、選択されたパターン1又はパターン2等のパターンデータが選択される。このパターンデータはデータ合成部28に提供され、表示データ4との合成に用いられる。
【0071】
次に、データ合成部28について、図12を参照する。図12は、データ合成部の一例を示している。図12において、図3と同一部分には同一符号を付してある。
【0072】
このデータ合成部28は、既述のデータ合成部12(図1)及びデータ合成部28(図3)の一例であって、図12に示すように、加算部88と、クリップ処理部90とを備えている。
【0073】
加算部88は、表示データ4とパターンデータ6とを加算する加算手段の一例であって、表示データ4とパターンデータ6とを例えば、1対1の比率で加算する。この加算比率を任意に変更する構成としてもよい。加算部88で得た加算データ92はクリップ処理部90に提供される。
【0074】
クリップ処理部90は、加算データ92に所定レベルのクリップ処理を施す手段の一例であって、所定レベルとして例えば、白データより高いレベルでクリップ処理を施す。
【0075】
このようなデータ合成部28を用いて加算データ92に例えば、白レベルより高いレベルでクリップ処理を施した合成表示データ14が得られる。この合成表示データ14には、表示データ4の解像度を低下させることなく、白データで支配され、表示データ4を低コントラスト化したデータが得られる。
【0076】
次に、覗き見防止機能の設定の処理手順について、図13及び図14を参照する。図13は、覗き見防止機能の設定画面の一例を示し、図14は、覗き見防止機能のパターン選択表示画面の一例を示している。
【0077】
この携帯端末装置22では、図示しない待受け画面から覗き見防止機能設定に移行すると、図13に示すように、覗き見防止機能の設定画面94が液晶表示画面62に展開される。この設定画面94には、タイトルバー96と、選択表示部98と、ソフトウェアキー100とが表示される。タイトルバー96には、実行中の機能モードを表す情報として“覗き見防止機能設定”が表示されている。
【0078】
選択表示部98には、選択設定の内容の一例として、「覗き見防止機能を設定しますか?」の表示とともに、選択情報として「する」及び「しない」が表示されている。この「する」及び「しない」から「する」を選択すれば、覗き見防止機能設定となり、「しない」を選択すれば、覗き見防止機能設定から他のモード例えば、初期画面に戻すことができる。
【0079】
そして、覗き見防止機能を設定する場合には、既述の「する」の選択により、図14に示すように、パターン選択表示画面102が表示される。このパターン選択表示画面102にはタイトルバー96と、選択表示部98と、ソフトウェアキー100とが表示される。選択表示部98には、「パターン選択」の表示とともに、選択対象である複数のパターン1、パターン2、パターン3・・・の選択情報が表示される。これらのパターン情報からパターンを選択することにより、表示データ4に加算すべきパターンデータ6を選択することができる。
【0080】
次に、覗き見防止機能の処理手順について、図15を参照する。図15は、覗き見防止機能の処理手順の一例を示している。
【0081】
この処理手順は、本開示の表示制御プログラム及び表示制御方法の一例であって、GUI(Graphical User Interface)操作に基づき、機能実行の処理、機能停止の処理の何れかが選択され、各処理が実行される。
【0082】
そこで、この処理手順においては、図15に示すように、覗き見防止機能の実行又は停止に際し、機能の実行又は停止のための入力を監視し(ステップS11)、機能実行か否か(機能停止か)を判定する(ステップS12)。
【0083】
機能実行であれば(ステップS12のYES)、GUI操作から機能実行を選択する(ステップS13)。この選択により、実行コマンドを受け取り(ステップS14)、関連モジュールを有効にする(ステップS15)。ここで、関連モジュールとは、既述のパターンデータ生成部10及びデータ合成部28である。そこで、パターンデータ生成部10の動作を有効にし、データ合成部28のデータ合成動作を有効にする。
【0084】
機能停止であれば(ステップS12のNO)、GUI操作から機能停止を選択する(ステップS16)。この選択により、実行コマンドを受け取り(ステップS17)、関連モジュールを停止させる(ステップS18)。ここで、関連モジュールとは既述の通りであり、そこで、パターンデータ生成部10の動作を停止し、データ合成部28のデータ合成動作を停止させる。
【0085】
次に、データ合成(変換)の処理手順について、図16を参照する。図16は、データ合成処理の処理手順の一例を示している。
【0086】
この処理手順は、本開示の表示制御プログラム及び表示制御方法の一例であって、GUI操作に基づき、覗き見防止機能の選択から合成表示データの表示までの処理を含んでいる。
【0087】
そこで、この処理手順では、図16に示すように、覗き見防止機能をONにすれば(ステップS21)、パターンの選択指定に移行する(ステップS22)。パターンを選択すると、選択されたパターンのパターンデータがパターンデータ記憶部56(図4、図11)から読み出される(ステップS23)。
【0088】
このパターンデータが記憶制御部86(図11)からデータ合成部28(図3)に出力され(ステップS24)、データ合成部28では、パターンデータ6と表示データ4とが合成される(ステップS25)。この合成処理によって得られた合成表示データ14(図3)が表示部8に加えられ、この合成表示データ14が表示部8の液晶表示画面62に表示される(ステップS26)。この合成表示データ14の画像は、パターンデータ6との合成によって低コントラスト化された表示データ4の画像である。これによって画像データの覗き見防止が図られている。
【0089】
次に、データ合成(変換)の処理手順について、図17を参照する。図17は、データ合成の処理過程を示している。
【0090】
このデータ合成(変換)の処理について、図17は、表示データ(A)に、白及び黒のメッシュパターンデータ(B)を加算し、クリップ処理後の合成表示データ(D)が得られ、表示データ(A)が低コントラスト化される状態遷移を表している。
【0091】
この場合、表示データ4は、図17のAに示すように、画像の幅方向位置の明度レベルを示し、1ドット毎の明度レベルが幅方向の位置で変化し、そのレベル変化が黒データ(レベル0〔%〕)Bと、白データ(レベル100〔%〕)Wとの間で分布している。黒データBは黒レベルのピーク、白データWは白レベルのピークを示している。
【0092】
メッシュパターンデータを表すパターンデータ6では、図17のBに示すように、画面の横方向に1ドット毎に交互に白データWと黒データBが分布している。白データWはパターンデータ6の明部、黒データBはパターンデータ6の暗部の一例である。
【0093】
表示データ4にパターンデータ6を加算すると、図17のCに示すように、表示データ4のドット毎のピーク点のレベル上にパターンデータ6の白データWと黒データBとが1対1の割合で加算されている。この加算データ92では、表示データ4の各ドット毎のレベルに応じてパターンデータ6の白データWのレベルが、表示可能な白レベルを超えることとなる。
【0094】
そこで、このデータ合成処理では、加算データ92(図17のC)に対し、クリップ(clip)処理を施す。即ち、加算データ92が持つ白レベル側のデータに対し、液晶表示画面62に表示可能な白レベルをクリップレベルとするクリップ(clip)処理を施すと、加算データ92から白データWのレベルを超えるデータ分が切り取られて合成表示データ14が得られる。
【0095】
この合成表示データ14は、図17のDに示すように、図17のAの表示データ4の白データ側のレベル部C1 、C2 、C3 ・・・と白データWとの間に図17のBのパターンデータ6が補完されている。この結果、表示データ4が低コントラスト化した合成表示データ14に変換されている。具体的には、表示データ4のうち明度が低いレベル部分に白データがドット単位で合成されるので、表示データ4の暗い部分のレベル部C1 、C2 、C3 ・・・(黒又は色相)にドット単位で白抜き部W1 、W2 、W3 ・・・が形成されている。これら白抜き部W1 、W2 、W3 ・・・による表示データ4の白抜きが表示データ4を低コントラスト化している。
【0096】
この実施の形態では、白黒データのパターンデータ6を用いているが、カラー表示で単一又は異なる色相を用いてパターンデータ6を生成し、表示データ4の色相による低コントラスト化を図ってもよい。
【0097】
次に、表示データの画像処理について、図18を参照する。図18は、表示データの画像処理過程を示している。
【0098】
表示データ4を例えば、文字“F”の部分を黒データB、背景部を白データWとすれば、この表示データ4は、図18のAに示すように、液晶表示画面62に表示される。この場合、1つの枡目を1ドットと仮定する。
【0099】
また、この表示データ4に対するパターンデータ6を1ドット毎に白データW及び黒データBを配置したチェック模様データ(メッシュパターンデータ)とすれば、このパターンデータ6は、図18のBに示すように、液晶表示画面62に表示される。
【0100】
そこで、表示データ4にパターンデータ6を合成し、即ち、既述の加算及びクリップ処理を行えば、黒データBからなる文字“F”が白抜きされた合成表示データ14に変換される。この合成表示データ14は、図18のCに示すように、文字“F”の背景部の白データWはクリップされて依然として白データWのままとなる。これに対し、文字“F”の黒データBの部分はパターンデータ6による1ドット毎の白抜き部W1 、W2 、W3 ・・・が得られ、表示データ4の低コントラスト化、文字“F”の低コントラスト化が図られる。この場合、合成表示データ14のドット構成は原データである表示データ4と同一であり、解像度は同一である。
【0101】
図18に示す例では、説明を容易にするため、単一レベルの黒データBを用いているが、色相や明度が異なる表示データ4に対してパターンデータ6を加算すれば、色相や白レベルの異なる低コントラスト化が得られる。
【0102】
この画像処理のデータ処理について、図19を参照する。図19は、図18のAのP−Q部分のデータ処理を示している。
【0103】
既述の図18のAにおいて、背景部が白データWであり、文字“F”の部分が黒データBであるから、図19のAに示すように、P−Q部分には、白データWの部分A1 、A2 と、黒データBの部分A3 とを含んでいる。
【0104】
図19のBはパターンデータ6であり、単一ドットで白データWと黒データBとが交互に規則正しく分布している。このパターンデータ6を図19のAに示す表示データに加算すると、図19のCに示すように、白データW(A1 、A2 )及び黒データB(A3 )にパターンデータ6が加算され、重畳した状態を呈する。この加算データ92では、白データWのレベルを超える加算部分C1 、C2 と、黒データBに白データWの加算部分C3 とが含まれている。即ち、加算部分C3 は、表示データ4の暗部分に対応し、ドット単位で白データWによる白抜き部分が生じている。
【0105】
そこで、この加算データ92に白レベルをクリップレベルCLとしたクリップ処理を施すと、図19のDに示すように、クリップされた部分D1 、D2 は、白データWの部分であり、表示データ4の暗部分D3 は、白データWによるドット単位の白抜き部分となる。D1 、D2 では、原データである表示データ4の白データWの部分A1 、A2 と同様であり、パターンデータ6の表出はない。
【0106】
そこで、覗き見防止機能について、図20を参照する。図20は覗き見防止機能の処理前後の画像推移の一例を示している。
【0107】
図20の(A)は図18のAに対応し、図20の(B)は図18のCに対応している。図20の(A)では、背景部を白データW、文字“F”の部分を黒データBで示している。LCD34上の画像表示では、ドット間の境界は表出しない。そして、表示データ4がパターンデータ6との合成及び白レベルのクリップ処理後では、図20の(B)に示すように、黒で表示された文字“F”部分にパターンデータ6の明部即ち、白データWでの抜け部分103をドット単位で生じている。パターンデータ6の白データWが複数ドットであれば、複数ドットを単位として抜け部分103が生じ、ドット数に比例して抜け部分103の面積が広がる。このような抜け部分103は背景部と同様の白データWで表され、斜めから見た場合に白く浮き上がり、斜め方向からの文字“F”の視認性を低下させる。即ち、覗き見防止機能が発揮されることになる。
【0108】
次に、覗き見防止機能の表示画面について、図21、図22、図23、図24、図25、図26及び図27を参照する。図21は、覗き見防止を施していない画面表示を示し、図22、図23、図24、図25、図26及び図27は、覗き見防止を施した画面表示を示している。これらの表示は一例であって、係る表示に本開示の覗き見防止機能が限定されるものではない。
【0109】
既述の覗き見防止機能を動作させていない場合には、図21に示すように、表示データ4のみによる表示画面104が生成される。これに対し、表示データ4(図21)に図8の(A)に示す既述のパターンデータ6(メッシュパターン1/2)を合成すれば、図22に示すように、合成表示データ14による表示画面106が表示される。表示データ4(図21)に図8の(B)に示す既述のパターンデータ6(メッシュパターン3/4)を合成すれば、図23に示すように、合成表示データ14による表示画面108が表示される。表示データ4(図21)に図9の(A)に示す既述のパターンデータ6(メッシュパターン1/4)を合成すれば、図24に示すように、合成表示データ14による表示画面110が表示される。表示データ4(図21)に図9の(B)に示す既述のパターンデータ6(メッシュパターン1/4)を合成すれば、図25に示すように、合成表示データ14による表示画面112が表示される。表示データ4(図21)に図10の(A)に示す既述のパターンデータ6(メッシュパターン1/8)を合成すれば、図26に示すように、合成表示データ14による表示画面114が表示される。また、表示データ4(図21)に図10の(B)に示す既述のパターンデータ6(メッシュパターン1/8)を合成すれば、図27に示すように、合成表示データ14による表示画面116が表示される。
【0110】
次に、覗き見防止機能及び動作特性について、図28、図29、図30、図31、図32及び図33を参照する。図28、図29及び図30は液晶分子の動きと透過光の様子、図31はコントラスト比率、図32は黒レベルを上昇させた場合の特性、図33は本開示のベールビュー機能の特性差分を示している。
【0111】
既述の覗き見防止機能の原理として、IPS(In-Plane-Switching)液晶の視野角とコントラストの関係に言及する。そこで、IPS液晶を用いたLCD34では、図28に示すように、最上層から偏光板118、液晶部120、電極基板122及び偏光板124が配置され、偏光板124の背面側には光源126が配置されている。電極基板122は画素電極を構成する。液晶部120には複数の液晶分子128を備える。
【0112】
このようなLCD34では、液晶分子128を電極基板122に対して水平に動かすことにより、偏光板124を通過した一定の向きを持つ光130を通過させ(図30の液晶分子128a)又は遮断(図30の液晶分子128b)している。IPS方式では従来のSTN(Super-Twisted Nematic )方式に比較して液晶分子128にねじれが無いため、通過した光130が放射線状に広がり、広い視野角が得られる。但し、液晶分子128は水平方向に回転させるため、その向き(即ち、データの輝度レベル)に応じて視野角特性(コントラスト)が異なる。そこで、IPS液晶を用いた場合には例えば、図31に示すような特性が得られる。この図31では、正面に対して左右45〔度〕の角度から見た場合の正面に対するコントラスト比率〔%〕を示している。液晶の種類によりコントラスト比率は異なるものの、この例では、映像レベル〔%〕が10〔%〕から40〔%〕の範囲で大幅に低下し、40〔%〕を超えると、コントラスト比率〔%〕が0.25以下で安定していることが判る。
【0113】
LCD34を通過する光130は、液晶分子128の完全なON状態(液晶分子128a:図30)では放射線状に広がるのに対し、液晶分子128がOFF(液晶分子128b:図30)方向に回転することにより、放射状に広がることが妨げられる。即ち、偏光板124からの光130の出方が変化する。これが輝度によって視野角特性が異なる理由である。
【0114】
そこで、表示画像のコントラストを抑えるため、データ処理によって表示画像全体の黒レベルを持ち上げれば、正面から見たコントラスト比率は低下することになる。しかし、図31に示すような広視野角特性を持つIPS液晶等で黒レベルを強調すると、図32に示す特性となり、横方向側のコントラスト比率が高くなり、特性が劣化してしまう。
【0115】
そこで、本開示の覗き見防止機能では、表示データ4に既述の通り、単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを分布させたパターンデータ6を合成し、白レベルでクリップさせ、表示データ4の暗部に白データWを分布させている。この白データWは、ドット単位(画素単位)で形成されている。
【0116】
LCD34(図28)は、画素単位で液晶分子128をONさせ、斜めから見た場合にデータ部分に対して左右の完全にONしている液晶分子128の部分から通過した光130が広視野角を持っている。このため、表示データ4の暗部に白データWを分布させた合成表示データ14を表示する液晶表示画面62では、正面から見た場合に比較し、横方向から見た方が、左右のONしている画素から受ける影響が顕著となる。
【0117】
このような液晶表示画面62の画像表示では、図33において、L1 に示すベールビュー特性が得られ、図33のL2 は、比較のための黒レベルを強調した場合の特性である。特性L1 では正面を中心にして左右45〔度〕の方向の視野角(−45〔度〕〜45〔度〕)範囲でコントラストが一様に低下している。
【0118】
このような本開示のベールビュー特性が付与された画像表示では、図34に示すように、正面側の視点132で視認される画像に比較し、角度θだけ変位させた斜め方向の視点134では、表示データ4の表示部分136より全白部分138が白く浮き上がって見え、見掛け上、低コントラスト化が図られることになる。これにより、覗き見防止機能が達成されている。
【0119】
〔上記実施の形態の利点及び変形例等〕
【0120】
上記実施の形態から利点や特徴を以下に列挙し、他の実施の形態に言及する。
【0121】
(1) 交通機関や公共の場等、人目に触れる場所で使われる携帯端末装置22にLCD34が備えられているが、斯かるLCD34の表示制御によって表示内容の覗き見防止(ベールビュー)の機能を高めることができる。
【0122】
(2) LCD34に超ねじれネマティック(STN)方式や、視野角の広いTFT(Thin Film Transister)方式が使用されても、上記実施の形態の表示制御を用いれば、覗き見防止機能を高めることができる。本開示の覗き見防止機能は何れの液晶パネルにも適応できる。
【0123】
(3) 本開示の覗き見防止機能では、LCD34自体に何ら変更することなく、表示データ4を処理することで、覗き見防止の機能を高めている。従来の例えば、2方向から別々の画像を見ることのできる液晶等の特殊加工をする方法では液晶パネルのコストを増加させる。これに対し、上記実施の形態では、液晶パネルのコスト増加はなく、低コストで覗き見防止機能を実現している。また、パターンデータの合成により表示データを加工しているが、表示画面では正面からの視認性を抑え、覗き見防止を図ることができ、表示データの加工技術の特性改善を図ることができる。
【0124】
(4) 既述のように、黒レベルの強調によるデータ処理では、斜めから見るとコントラストが上がるという現象が見られるが、これは、斜めから見たときの輝度特性が、暗い方の減衰率が高いために生じる。このような不都合は、上記実施の形態即ち、本開示の覗き見防止機能によって改善することができる。
【0125】
(5) LCD34の視野角を制限させるため、図8ないし図10に例示したメッシュパターンの全白のデータを用いて表示データ4に合成し、クリップ処理によって表示データ4を覗き見防止が図られた合成表示データ14に置換することができる。
【0126】
(6) メッシュパターンを重ねることにより、単純メッシュであれば解像度が1/2となってしまうが、このような課題は、メッシュのパターンバリエーションでOFF部分を間引くことにより、極端な解像度の劣化を抑制できる。
【0127】
(7) 上記実施の形態では、データ源24のデータから表示データ生成部26で表示データ4を生成し、この表示データ4にパターンデータ6を合成する。このデータによる画像合成では、表示データ4に白データと黒データとからなるパターンデータ6を合成し、白データ部分は白データにクリップされる。また、黒データ部分は、画像データとしては“0”であるため、表示データ4の黒部分はそのまま表示部8に送られる。そして、データ合成のON/OFF制御は制御部30で行われる。
【0128】
(8) パターンデータ生成部10では、パターンデータをメモリ(例えば、パターンデータ記憶部56)に格納し、そのメモリから任意に読み出され、データ合成に用いられるが、覗き見防止の機能を停止する場合には、パターンデータの読出しを停止する。その場合、表示データ4のみが表示部8に供給される。
【0129】
(9) LCD34の表示データ即ち、点灯パターンを制御するので、制御ソフトの変更のみであり、従前のフィルム貼付や特殊なLCDパネルを用いる必要がない。LCDパネルについては、従来のLCDパネルを用いて覗き見防止機能が実現できる。
【0130】
(10) メッシュパターンの重合した場合には、画素を白くした比率によって解像度の低下や、パターンによっても見た目が大きく変わる。これに対し、図8ないし図10に例示するように、メッシュパターンデータを格子状として見た目の画質を向上させることができる。また、パターンデータは、ストライプ状模様のパターンを構成してもよい。
【0131】
(11) メッシュパターンを重合すると、パターンによっては局所的な輝度むらが生じるが、これは、画面全体を既述のように、格子状にすることで改善できる。
【0132】
(12) 上記実施の形態では、斜めから輝度特性によるコントラスト特性を改善することができる。即ち、広視野角のLCD34において、斜めから見たときの輝度特性が暗い程、劣化量が大きくなる傾向にある。例えば、正面からのコントラストを犠牲にして斜めからのコントラストを落とそうとした場合に、斜め方向からのコントラストの上昇に対し、本開示の覗き見防止機能では、斜めから見た場合の隣の画素(白ないし明部)の影響を利用し、斜めから見たときにコントラストが上がってしまう現象を低減させることができる。
【0133】
(13) 上記実施の形態では、表示データ4がYUVフォーマットのデータであれば、RGBフォーマットに変換し、LCD34に表示可能なデータに変換した後、パターンデータ6を合成し、液晶表示を制御し、その画像を表示している。
【0134】
(14) 上記実施の形態では、本開示の表示制御装置を適用した電子機器として、携帯装置2(図1)や、携帯端末装置22(図3)を例示したが、本開示の表示制御装置はこれに限定されない。本開示の表示制御装置は、LCD34等の表示器や表示機能を備えた電子機器であればよく、携帯情報端末機(PDA:Personal Digital Assistant)200(図35)や、パーソナルコンピュータ(PC)300(図36)であってもよく、既述の覗き見防止機能を実現することができる。PDA200及びPC300において、上記実施の形態と共通部分には共通符号を付し、その説明を省略する。
【0135】
(15) 上記実施の形態では、パターンデータの白データと黒データとを単一ドット単位又は複数ドット単位で形成しているが、これに限定されない。例えば、図8ないし図10に例示したパターンデータにおいて、白データ部と黒データ部とを複数ドット単位で形成し、白データ部と黒データ部、又は明部データ部と暗部データ部とを仕切る格子状の輪郭線を形成してもよい。この輪郭線は例えば、単一ドット又は複数ドット単位で形成すればよい。
【0136】
(16) 上記実施の形態では、明部データとして白データ、暗部データとして黒データを例示しているが、このような無着色データに限定されない。例えば、明部データとして白データ以外の黄色等の着色データ、暗部データとしてブルー等の着色データを使用してもよく、同様に低コントラスト化による覗き見防止機能を実現できる。
【0137】
(17) 上記実施の形態では、パターンデータとしてチェック模様を用いているが、これに限定されない。チェック模様に代え、文字情報を用いてもよい。
【0138】
(18) 上記実施の形態において、データ源24が既述の表示データ4を生成する構成であれば、上記実施の形態の表示データ生成部26を省略してもよい。この場合、表示データ記憶部57に表示データ4を記憶させ、この表示データ4をデータ合成部28に対して提供すればよい。
【0139】
〔比較例〕
【0140】
従前のLCD表示の覗き見防止には、プライバシーフィルムを貼る簡易的なもの、LCDの表示面にスイッチパネルを重ねて横からの視角を電気的に制限して実現するもの、LCD表示にグレー表示を重ねて表示を全体的に見え難くするものがある。
【0141】
プライバシーフィルムを貼る簡易的なものでは、プライバシーフィルムの劣化や貼着等の手間がある等、何れのものも覗き見防止機能が得られないという課題がある。斯かる課題は、上記実施の形態に述べた覗き見防止機能によって解決されている。
【0142】
次に、以上述べた実施例を含む実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。以下の付記に本発明が限定されるものではない。
【0143】
(付記1) 単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを分布させたパターンデータを生成するパターンデータ生成部と、
表示部の表示データに前記パターンデータを合成するデータ合成部と、
を備えることを特徴とする表示制御装置。
【0144】
(付記2) 前記データ合成部は、前記パターンデータとの合成により前記表示データを該表示データの暗部分に前記パターンデータの前記明部を分布させた合成表示データに変換することを特徴とする付記1に記載の表示制御装置。
【0145】
(付記3) 前記パターンデータは、前記明部と前記暗部とを交互に配置したデータであることを特徴とする付記1に記載の表示制御装置。
【0146】
(付記4) 前記パターンデータ生成部は、複数の異なるパターンデータを格納する記憶部と、
この記憶部からパターンデータを選択して読み出す記憶制御部と、
を備えることを特徴とする付記1に記載の表示制御装置。
【0147】
(付記5) 前記データ合成部は、
前記表示データに前記パターンデータを加算する加算部と、
前記加算部で得た加算データの明部側を所定のクリップレベルでクリップさせるクリップ処理部と、
を備えることを特徴とする付記1に記載の表示制御装置。
【0148】
(付記6) 更に、前記パターンデータの生成、又は前記表示データに対する前記パターンデータの合成の何れか一方又は双方を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする付記1に記載の表示制御装置。
【0149】
(付記7) 更に、前記表示データに前記パターンデータを合成し、又は前記表示データに合成する前記パターンデータを選択するスイッチと、
を備えることを特徴とする付記1に記載の表示制御装置。
【0150】
(付記8) コンピュータによって実行される表示制御プログラムであって、
単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを配置したパターンデータを生成する機能と、
表示部の表示データに前記パターンデータを合成する機能と、
を前記コンピュータに実行させる表示制御プログラム。
【0151】
(付記9) 更に、前記表示データに前記パターンデータの合成後、所定のクリップレベルでクリップさせて合成データを得る機能を含むことを特徴とする付記8に記載の表示制御プログラム。
【0152】
(付記10) 単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを配置したパターンデータを生成するステップと、
表示部の表示データに前記パターンデータを合成するステップと、
前記パターンデータが合成された表示データを表示部に表示するステップと、
を含むことを特徴とする表示制御方法。
【0153】
(付記11) 更に、前記表示データに前記パターンデータの合成後、所定のクリップレベルでクリップさせて合成データを得るステップを含むことを特徴とする付記10に記載の表示制御方法。
【0154】
以上説明したように、表示制御装置、表示制御プログラム及び表示制御方法の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0155】
2 表示制御装置
4 表示データ
6 パターンデータ
8 表示部
10 パターンデータ生成部
12 データ合成部
14 合成表示データ
24 データ源
26 表示データ生成部
30 制御部
38 機能切替部
56 パターンデータ記憶部
62 液晶表示画面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを分布させたパターンデータを生成するパターンデータ生成部と、
表示部の表示データに前記パターンデータを合成するデータ合成部と、
を備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記データ合成部は、前記パターンデータとの合成により前記表示データを該表示データの暗部分に前記パターンデータの前記明部を分布させた合成表示データに変換することを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記データ合成部は、
前記表示データに前記パターンデータを加算する加算部と、
前記加算部で得た加算データの明部側を所定のクリップレベルでクリップさせるクリップ処理部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項4】
コンピュータによって実行される表示制御プログラムであって、
単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを配置したパターンデータを生成する機能と、
表示部の表示データに前記パターンデータを合成する機能と、
を前記コンピュータに実行させる表示制御プログラム。
【請求項5】
単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを配置したパターンデータを生成するステップと、
表示部の表示データに前記パターンデータを合成するステップと、
前記パターンデータが合成された表示データを表示部に表示するステップと、
を含むことを特徴とする表示制御方法。
【請求項1】
単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを分布させたパターンデータを生成するパターンデータ生成部と、
表示部の表示データに前記パターンデータを合成するデータ合成部と、
を備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記データ合成部は、前記パターンデータとの合成により前記表示データを該表示データの暗部分に前記パターンデータの前記明部を分布させた合成表示データに変換することを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記データ合成部は、
前記表示データに前記パターンデータを加算する加算部と、
前記加算部で得た加算データの明部側を所定のクリップレベルでクリップさせるクリップ処理部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項4】
コンピュータによって実行される表示制御プログラムであって、
単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを配置したパターンデータを生成する機能と、
表示部の表示データに前記パターンデータを合成する機能と、
を前記コンピュータに実行させる表示制御プログラム。
【請求項5】
単一ドット又は複数ドットを単位として複数の明部と暗部とを配置したパターンデータを生成するステップと、
表示部の表示データに前記パターンデータを合成するステップと、
前記パターンデータが合成された表示データを表示部に表示するステップと、
を含むことを特徴とする表示制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【公開番号】特開2011−203683(P2011−203683A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73394(P2010−73394)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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