説明

表示撮像装置および電子機器

【課題】使用状況によらず、物体を安定して検出することが可能な表示撮像装置を提供する。
【解決手段】各々が複数種類の受光センサ115R,115G,115Bに対応する互いに異なる波長領域の光となるように、互いに異なるタイミングにおいて照射された複数種類の照射光を利用した受光信号に基づいて、物体情報を検出する。これにより、例えば外部近接物体8が入出力パネル11上で動いているような場合であっても、偽信号による誤判定が回避される(強外光下での誤動作が防止される)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルに接触または近接する物体の位置などの情報を取得する表示撮像装置、およびそのような表示撮像装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、表示装置の表示面に接触あるいは近接する物体の位置などを検出する技術が知られている。その中でも代表的で一般に広く普及している技術として、タッチパネルを備えた表示装置が挙げられる。
【0003】
このタッチパネルも種々のタイプのものが存在するが、一般に普及しているものとして、静電容量を検知するタイプのものが挙げられる。このタイプのものは、指でタッチパネルに接触することでパネルの表面電荷の変化を捕らえ、物体の位置などを検出するようになっている。したがってこのようなタッチパネルを用いることで、ユーザは直感的に操作することが可能である。
【0004】
また、本出願人は例えば特許文献1および特許文献2において、画像を表示する表示機能と、物体を撮像(検出)する撮像機能(検出機能)とを有する表示部(表示撮像パネル)を備えた表示装置を提案している。
【0005】
【特許文献1】特開2004−127272号公報
【特許文献2】特開2006−276223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載されている表示装置を利用すれば、例えば表示撮像パネル上に指などの物体を接触または近接させた場合、この物体で反射された表示撮像パネルからの照射光による反射光を利用することで、撮像した画像に基づいて物体の位置などを検出することも可能である。したがって、この表示装置を利用することで、表示撮像パネル上にタッチパネルなどの部品を別途設けることなく、簡易な構成で物体の位置などを検出することが可能となる。
【0007】
しかしながら、上記のように物体で反射された反射光を利用する場合、外光や、受光素子の特性ばらつきなどが問題となることがあった。具体的には、受光する光の輝度が外光の明るさに応じて変化することから、撮像した画像に基づいて物体の位置などを検出するのが困難となってしまうことがあった。また、受光素子の特性ばらつきなどが固定ノイズとなり、やはり撮像した画像に基づいて物体の位置などを検出するのが困難となってしまうことがあった。
【0008】
そこで、上記特許文献2では、発光状態で得られた画像(照射光による反射光を利用して得られた画像)と、消灯状態で得られた画像との差分を取ることにより、上記した外光や固定ノイズによる影響が除去されるようにしている。これにより、外光や固定ノイズの影響を受けずに、物体の位置などを検出することが可能となると考えられる。
【0009】
ところが、実際の使用状況下では、上記の発光状態で得られた画像と消灯状態で得られた画像との間には、時間差が存在する。したがって、例えば表示撮像パネル上で物体が高速に移動している場合などには、この時間差のため、発光状態で得られた画像と消灯状態で得られた画像との間で位置ずれが生じることになる。そしてこのような位置ずれが生じると、これら2つの画像の差分を取ったときに、物体の位置に対応する本来の信号の他に、別の位置に偽信号が生じてしまう。よって、このような偽信号の存在により、安定した物体の検出が困難となってしまう場合があった。なお、この偽信号は、物体の動きが速いときに発生する面積が大きくなり、また外光が強いほど、偽信号も強くなる傾向がある。
【0010】
このように従来の技術では、そのときの使用状況によらずにパネルに接触または近接する物体を安定して検出するのは困難であり、改善の余地があった。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、使用状況によらず、物体を安定して検出することが可能な表示撮像装置および物体の検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の表示撮像装置は、発光素子および受光素子を有する入出力パネルと、この入出力パネルから照射される照射光による反射光が受光素子によって受光されることにより得られる受光信号に基づいて、外部近接物体の位置、形状または大きさの少なくとも1つを含む物体情報を検出する検出部とを備えたものである。ここで、上記受光素子は、互いに波長領域の異なる光を受光可能な複数種類の受光素子により構成されている。また、上記検出部は、各々が複数種類の受光素子に対応した互いに異なる波長領域の光となるように互いに異なるタイミングにおいて照射された複数種類の照射光を利用した受光信号に基づいて、上記物体情報を検出するようになっている。
【0013】
本発明の電気機器は、上記表示撮像装置を備えたものである。
【0014】
本発明の表示撮像装置および電子機器では、入出力パネルから照射される照射光による反射光が受光素子によって受光されることにより得られる受光信号に基づいて、外部近接物体の位置、形状または大きさの少なくとも1つを含む物体情報が検出される。この際、各々が複数種類の受光素子に対応した互いに異なる波長領域の光となるように、互いに異なるタイミングにおいて照射された複数種類の照射光を利用した受光信号に基づいて、上記物体情報が検出される。これにより、得られた受光信号に対して、反射光による受光信号であるのかまたは外光による受光信号であるのかの判定が可能となるため、例えば外部近接物体が入出力パネル上で動いているような場合であっても、偽信号による誤判定が回避される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の表示撮像装置および電子機器によれば、各々が複数種類の受光素子に対応した互いに異なる波長領域の光となるように、互いに異なるタイミングにおいて照射された複数種類の照射光を利用した受光信号に基づいて、上記物体情報を検出するようにしたので、例えば外部近接物体が入出力パネル上で動いているような場合であっても、偽信号による誤判定を回避することができる。よって、使用状況によらず、物体を安定して検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(RGBのLEDを用いた場合の基本構成例)
2.第2の実施の形態(表示領域にカラーフィルタを配置した場合の例)
3.第3の実施の形態(赤外LEDおよびIRフィルタを用いた場合の例)
4.第4の実施の形態(青色,黄色,赤外LEDを用いた場合の例)
5.第5の実施の形態(白色,赤外LEDを用いた場合の例)
6.第6の実施の形態(IR吸収フィルタを用いた場合の例)
7.適用例(電子機器への適用例)
8.変形例
【0017】
<1.第1の実施の形態>
[表示撮像装置全体の概略構成例]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る表示撮像装置(表示撮像装置1)の概略構成を表すものである。また、図2は、本実施の形態に係る表示撮像装置1の詳細構成を表すものである。本実施の形態に係る表示撮像装置1は、図1に示すように、ディスプレイ10と、このディスプレイ10を利用する電子機器本体20とを備えたものである。ディスプレイ10は、入出力パネル11、表示信号処理部12、受光信号処理部13および画像処理部14を有し、電子機器本体20は、制御部21を有する。
【0018】
入出力パネル11は、図2に示すように、複数の画素16がマトリクス状に配列された液晶ディスプレイパネルで構成されたものであり、表示要素11aおよび受光要素11bを備えている。表示要素11aは、光源となるバックライト(後述するバックライト110)から出射された光を利用して、図形や文字等の画像を表示面に表示する液晶素子である。受光要素11bは、光を受光して電気信号として出力する、例えばフォトダイオード等の受光素子(後述する受光センサ115)である。受光要素11bは、バックライトの出射光が入出力パネル11の外部の指等の外部近接物体によって反射されて戻ってきた反射光を受光して、受光信号(検出信号)を出力するものである。受光要素11bは、本実施の形態の場合、画素16毎に配置されて、面内に複数配列されている。
【0019】
入出力パネル11は、図2に示したように、複数の発光受光セルCWRをマトリクス状に配列して構成されている。各発光受光セルCWRは、発光セルCWと、これらの発光セルCWに内包された複数の受光セルCRとを備えている。発光セルCWは、表示要素11aとしての液晶セルからなり、受光セルCRは、受光要素11bとしての受光素子を含む。なお、この入出力パネル11の詳細構成については、後述する(図3および図4)。
【0020】
図1に示す表示信号処理部12は、入出力パネル11の前段に接続され、入出力パネル11が表示データに基づいて画像を表示するように、入出力パネル11の駆動を行う回路である。
【0021】
表示信号処理部12は、図2に示すように、表示信号保持制御部40、発光側スキャナ41、表示信号ドライバ42および受光側スキャナ43を備えている。表示信号保持制御部40は、表示信号生成部44から出力される表示信号を1画面毎(1フィールドの表示ごと)に、例えばSRAM(Static Random Access Memory)等で構成されるフィールドメモリに格納して保持すると共に、各発光セルCWを駆動する発光側スキャナ41および表示信号ドライバ42、および各受光セルCRを駆動する受光側スキャナ43を連動して動作するように制御する機能を有する。具体的には、発光側スキャナ41には発光タイミング制御信号を、受光側スキャナ43には受光タイミング制御信号を、表示信号ドライバ42には制御信号およびフィールドメモリに保持されている表示信号に基づいて、1水平ライン分の表示信号を出力する。これらの制御信号および表示信号により、線順次動作が行われるようになっている。
【0022】
発光側スキャナ41は、表示信号保持制御部40から出力される発光タイミング制御信号に応じて駆動対象の発光セルCWを選択する機能を有する。具体的には、入出力パネル11の各画素16に接続された発光用ゲート線を介して発光用選択信号を供給し、発光素子選択スイッチを制御する。つまり、発光用選択信号によりある画素16の発光素子選択スイッチがオン状態となる電圧が印加されると、その画素16では表示信号ドライバ42から供給された電圧に対応した輝度の発光動作がなされるようになっている。
【0023】
表示信号ドライバ42は、表示信号保持制御部40から出力される1水平ライン分の表示信号に応じて駆動対象の発光セルCWに表示データを供給する機能を有する。具体的には、入出力パネル11の各画素16に接続されたデータ供給線を介して前述の発光側スキャナ41により選択された画素16に表示データに対応する電圧を供給する。この発光側スキャナ41および表示信号ドライバ42が連動して線順次動作することにより、任意の表示データに対応する画像が入出力パネル11に表示される。
【0024】
受光側スキャナ43は、表示信号保持制御部40から出力される受光タイミング制御信号に応じて駆動対象の受光セルCRを選択する機能を有する。具体的には、入出力パネル11の各画素16に接続された受光用ゲート線を介して受光用選択信号を供給し、受光素子選択スイッチを制御する。つまり、前述の発光側スキャナ41の動作と同様に、受光用選択信号によりある画素16の受光素子選択スイッチがオン状態となる電圧が印加されると、その画素16から検出された受光信号が受光信号レシーバ45に出力されるようになっている。これにより、例えばある発光セルCWからの出射光に基づいて接触あるいは近接する物体において反射した光を、受光セルCRが受光し、検出することが可能となる。また、この受光側スキャナ43からは、受光信号レシーバ45および受光信号保持部46へ受光ブロック制御信号が出力され、これら受光動作に寄与するブロックを制御する機能も有する。なお、本実施の形態の表示撮像装置1においては、前述の発光用ゲート線および受光用ゲート線は各発光受光セルCWRに対して別個に接続され、発光側スキャナ41および受光側スキャナ43はそれぞれ、独立して動作することが可能となっている。
【0025】
図1に示す受光信号処理部13は、入出力パネル11の後段に接続され、受光要素11bからの受光信号を取り込んで増幅等を行うものである。この受光信号処理部13は、図2に示すように、受光信号レシーバ45および受光信号保持部46を備えている。
【0026】
受光信号レシーバ45は、受光側スキャナ43から出力される受光ブロック制御信号に応じて、各受光セルCRから出力された1水平ライン分の受光信号を取得する機能を有する。この受光信号レシーバ45において取得された1水平ライン分の受光信号は、受光信号保持部46へ出力される。
【0027】
受光信号保持部46は、受光側スキャナ43から出力される受光ブロック制御信号に応じて、受光信号レシーバ45から出力される受光信号を1画面ごと(1フィールドの表示ごと)の受光信号に再構成し、例えば、SRAMなどから構成されるフィールドメモリに格納して保持する機能を有する。受光信号保持部46において格納された受光信号のデータは、画像処理部14(図1)内の位置検出部47へ出力される。なお、この受光信号保持部46はメモリ以外の記憶素子から構成されていてもよく、例えば受光信号をアナログデータ(電荷)として容量素子に保持しておくことも可能である。
【0028】
画像処理部14(図1)は、検出信号処理部13の後段に接続され、検出信号処理部13から検出画像を取り込んで、2値化やノイズ除去、ラベリング等の処理を行い、外部近接物体の点情報、すなわち外部近接物体の重心や中心座標、および外部近接物体の領域(サイズや形状)を示す情報を得る回路である。具体的には、画像処理部14におけるラベリング処理部(図示せず)は、ラベリング処理を行うことにより、検出画像全体についてのラベル情報(検出画像内における連結領域ごとの識別番号を示す情報)、連結領域ごとの位置情報および面積情報をそれぞれ取得するようになっている。
【0029】
また、画像処理部14における位置検出部47(図2)は、ラベリング処理部より得られた上記ラベル情報、位置情報および面積情報に基づいて信号処理を行い、検出された物体が存在する位置等を特定するようになっている。これにより、接触あるいは近接する指等の位置を特定することが可能となる。
【0030】
電子機器本体20(図1)は、ディスプレイ10の表示信号処理部12に対して表示データを出力すると共に、画像処理部14から点情報を入力するようになっている。制御部21は、点情報を用いて表示画像を変化させるものである。
【0031】
制御部21(図1)は、点情報を用いて表示画像を変化させるものであり、例えばCPU(Central Processing Unit)などにより構成されている。制御部21は、図2に示すように、表示信号生成部44を備えている。表示信号生成部44は、図示しないCPU(Central Processing Unit)などにより生成され、供給された画像データに基づいて、例えば、1画面ごと(1フィールドの表示ごと)に表示するための表示信号を生成し、それを表示信号保持制御部40に出力するようになっている。
【0032】
[入出力パネルの詳細構成例]
次に、図3および図4を参照して、本実施の形態の入出力パネル11の詳細構成について説明する。図3は、入出力パネル11の概略構成例を平面図で表したものであり、図4は、入出力パネル11の概略構成例を断面図で表したものである。
【0033】
この入出力パネル11では、例えば図3に示したように、表示領域31上には、RGBのカラーフィルタが配置されず、受光領域32上にのみ、RGBのカラーフィルタがそれぞれ配置されるようになっている。これにより、受光領域32は、赤色光を受光可能な赤色受光領域32Rと、緑色光を受光可能な緑色受光領域32Gと、青色光を受光可能な青色受光領域32Bとにより構成されている。
【0034】
また、例えば図4に示したように、入出力パネル11は、バックライト110と、一対の偏光板111A,111Bと、一対の透明基板111A,111Bと、平坦化膜113A,1113Bと、液晶層114とを含んで構成されている。バックライト110は、赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDを含んでいる。また、液晶層114は、平坦化膜113A,1113Bの間に設けられている。また、透明基板112Aと平坦化膜113Aとの間には、受光センサ115が配置され、透明基板112Bと平坦化膜113Bとの間には、カラーフィルタ116およびブラックマトリクスBMが配置されている。このカラーフィルタ116は、赤色用のカラーフィルタ116Rと、緑色用のカラーフィルタ116Gと、青色用のカラーフィルタ116Bとにより構成されている。これにより、受光センサ115は、互いに波長領域の異なる光を受光可能な複数種類の受光センサ115R,115G,115Bを含んで構成されている。具体的には、受光センサ115Rは、赤色光を受光可能であり、受光センサ115Gは、緑色光を受光可能であり、受光センサ115Bは、青色光を受光可能である。なお、受光センサ115Dは、ダミーセンサである。このような構成により、詳細は後述するが、入出力パネル11においてフィールドシーケンシャル駆動が行われることにより、複数種類の照射光が照射されるようになっている。
【0035】
なお、バックライト110における赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDはそれぞれ、例えば図5(A)〜図5(C)に示したような、発光スペクトルとなっている。
【0036】
また、カラーフィルタ116R,116G,116Bはそれぞれ、例えば図6に示したような、分光透過特性となっている。
【0037】
[表示撮像装置の動作説明]
次に、図1〜図6に加えて図7〜図12を参照して、本実施の形態の表示撮像装置1の作用および効果について説明する。
【0038】
まず、図7および図8を参照して、表示撮像装置1の基本動作(物体検出の基本動作)について説明する。図7は、表示撮像装置1における物体検出の基本動作について説明するための概略断面図である。また、図8は、表示撮像装置1による画像処理全体の流れを表すものである。
【0039】
電子機器本体20から出力された表示データは、表示信号処理部12に入力される。表示信号処理部12は、表示データに基づいて入出力パネル11に画像が表示されるように、入出力パネル11を駆動させる。
【0040】
入出力パネル11は、バックライトからの出射光を用いて画像を表示要素11aに表示する一方、受光要素11bを駆動している。そして、例えば図7に示したように、表示要素11aに指等の外部近接物体8が接触または近接すると、表示要素11aに表示された画像による光(表示光Lout)が外部近接物体8で反射されて、この反射光(検出光)Lrが受光要素11bで検出される。この検出によって、受光要素11bからは受光信号が出力される。そして受光信号処理部13は、この受光信号を入力して増幅等の処理を行い、受光信号を処理する(図8のステップS10)。このようにして、受光信号処理部13において、撮像画像が得られる。
【0041】
次に、画像処理部14は、受光信号処理部13から撮像画像を入力し、この撮像画像に対し2値化処理を行う(ステップS11)。すなわち、画像処理部14は、予め設定された閾値を記憶しており、例えば、撮像画像データの信号強度が閾値よりも小さいか、または閾値以上であるかを比較して、それぞれ「0」または「1」に設定する2値化処理を行う。これにより外部近接物体で反射された光を受光した部分が「1」に設定され、他の部分が「0」に設定される。
【0042】
そして、画像処理部14は、2値化された撮像画像から、孤立点を除去する(ステップS12)。すなわち、画像処理部14は、上記のように2値化されている場合、外部近接物体から孤立している「1」に設定された部分を除去することにより、ノイズ除去を行う。
【0043】
この後、画像処理部14は、ラベリング処理部(図示せず)において、ラベリング処理を行う(ステップS13)。すなわち、ラベリング処理部は、上記のように2値化されている場合、「1」に設定された部分に対してラベリング処理を行う。そして、ラベリング処理部は、「1」に設定された領域を外部近接物体の領域として検出し、上記ラベル情報、位置情報および面積情報をそれぞれ取得する。そしてこのようなデータは、点情報として制御部21に出力される。
【0044】
次に、制御部21は、画像処理部14から入力した点情報を用いて、表示画像を変化させる等の必要な処理を行う。例えば、画面に何らかの操作メニューを表示した場合を仮定すると、その操作メニューの中のどのボタンがユーザの指によって選択されたのかを検知し、その選択されたボタンに対応する命令を実行する。以上により、表示撮像装置1における基本動作(物体検出の基本動作)が終了となる。
【0045】
次に、図9〜図12を参照して、本発明の特徴的部分の動作について、比較例と比較しつつ詳細に説明する。ここで、図9は、比較例に係る従来の表示撮像装置における偽信号の発生現象についてタイミング図で表したものである。また、図10は、本実施の形態に係る物体の検出動作の一例をタイミング図で表したものである。また、図11は、本実施の形態に係る物体の検出動作の際の受光信号の一覧を表したものである。また、図12は、本実施の形態に係る物体の検出動作の際の外光および検出光の判定処理を流れ図で表したものである。
【0046】
まず、図9に示した比較例では、図中の符号P100で示したように、発光状態で得られた画像(照射光による反射光を利用して得られた受光信号;図中の「ON」)と、消灯状態で得られた画像(図中の「OFF」)との差分を取ることにより、外光LOや固定ノイズによる影響が除去されるようにしている。これにより、外光LOや固定ノイズの影響を受けずに、物体の位置などを検出することが可能となる。
【0047】
しかしながら、例えば図中の符号P101,P102で示したように、入出力パネル11上で外部近接物体(ここでは、指)8が高速に移動している場合などには、時間差のため、「ON」のときの受光信号と、「OFF」のときの受光信号との間で、位置ずれが生じることになる。そしてこのような位置ずれが生じると、これら2つの受光信号の差分を取ったときに、物体の位置に対応する本来の信号の他に、別の位置に偽信号が生じてしまう(図中の符号P101,P102参照)。よって、このような偽信号の存在により、安定した物体の検出が困難となってしまう。なお、この偽信号は、物体の動きが速いときに発生する面積が大きくなり、また外光が強いほど、偽信号も強くなる傾向がある。
【0048】
これに対し、本実施の形態では、例えば図10に示したようにして、入出力パネル11においてフィールドシーケンシャル駆動が行われることにより、複数種類の照射光が照射されるようになっている。具体的には、図中の発光期間(点灯期間)ΔTR,ΔTG,ΔTBで示したように、各々が複数種類の受光センサ115R,115G,115Bに対応した互いに異なる波長領域の光となるように、互いに異なるタイミングにおいて複数種類の照射光が照射される。なお、表示のためには、バックライト110が発光していないタイミングに、表示の書き込みが行われる。そして、複数種類の受光センサ115R,115G,115Bではそれぞれ、同じタイミングで受光動作が行われる(図中の各撮像期間)。なお、図中のΔTは、駆動動作の1周期期間を示している。
【0049】
これにより、例えば図11に示したように、(A)外部近接物体8が存在しない場合および(B)外部近接物体8が存在する場合のそれぞれについて、外光LOの有無や種類、各色の照射光に応じて、各受光センサ115R,115G,115Bにおいて図中に示したような受光信号が得られることとなる。ここで、図11(A),(B)に示した表において、一番左側の「外光」の欄は、外光LOの有無や色の種類を示している。また、「表示」の欄は、入出力パネル11における表示光の色の種類を示している。また、「LED」の欄は、バックライト110に含まれるLEDの種類を示している。また、「R sensor」,「G sensor」,「B sensor」の欄は、各受光センサ115R,115G,115Bにおいて受光信号が得られるか否かを示している。また、「判定」の欄は、判定結果を示しており、「なし」は検出動作を行わないと判定する場合を、「あり」は検出動作を行うと判定する場合を示している。これらの欄により示される内容については、以下同様である。なお、本実施の形態では、照射光として可視光を用いると共に、可視光のみを受光しているため、黒表示時には、以下説明する判定処理が実行されないようになっている。
【0050】
そして、位置検出部47は、例えば図12に示したような、外光LOおよび検出光(反射光)Lrの判定処理(ステップS20〜S25)を行うことにより、複数種類の照射光を利用した受光信号に基づいて、物体情報を検出する。具体的には、複数種類の照射光を利用した受光信号に基づいて、その受光信号が、反射光Lrによる受光信号であるのか、または外光LOによる受光信号であるのか、を判定することにより、物体情報を検出する。より具体的には、時分割でRGBの各LED110R,110G,110Bを点灯させて各受光センサ115R,115G,115Bで受光することにより得られた受光信号(ステップS20)において、以下の判定処理を行う。すなわち、各LED110R,110G,110Bの点灯時に、その色に対応する受光センサ115において受光信号が得られると共に他の色に対応する受光センサ115において受光信号が得られなかった場合(ステップS21〜S23:Y)、検出動作を行う。これは、その受光信号が反射光Lrによる受光信号であると判定し、検出動作を行うというものである(ステップS25)。一方、それ以外の場合(ステップS21〜S23:N)、その受光信号が外光LOによる受光信号であると判定し、検出動作を行わない(ステップS24)。言い換えると、各波長領域の光の点灯時に、対応する波長領域の光のみからなる受光信号が得られた場合には、その受光信号が反射光Lrによる受光信号であると判定し、検出動作を行う。一方、各波長領域の光の点灯時に、対応する波長領域以外の光を含む受光信号が得られた場合には、その受光信号が外光LOによる受光信号であると判定し、検出動作を行わない。これは、検出用の照射光を照射しているときに、外光LOの場合には、検出対象の受光センサおよび他の受光センサの両方から受光信号が得られる一方、反射光Lrの場合には、検出対象の受光センサのみから受光信号が得られるためである。
【0051】
このようにして、本実施の形態では、各々が複数種類の受光センサ115R,115G,115Bに対応する互いに異なる波長領域の光となるように、互いに異なるタイミングにおいて照射された複数種類の照射光を利用した受光信号に基づいて、物体情報が検出される。これにより、得られた受光信号に対して、反射光Lrによる受光信号であるのかまたは外光LOによる受光信号であるのかの判定が可能となるため、例えば外部近接物体8が入出力パネル11上で動いているような場合であっても、偽信号による誤判定が回避される。
【0052】
以上のように本実施の形態では、以下の効果が得られる。すなわち、本実施の形態では、各々が複数種類の受光センサ115R,115G,115Bに対応する互いに異なる波長領域の光となるように、互いに異なるタイミングにおいて照射された複数種類の照射光を利用した受光信号に基づいて、物体情報を検出している。これにより、例えば外部近接物体8が入出力パネル11上で動いているような場合であっても、偽信号による誤判定を回避することができる(強外光下での誤動作を防ぐことができる。)。よって、使用状況によらず、物体を安定して検出することが可能となる。
【0053】
また、受光センサ115のダイナミックレンジを強外光(例えば太陽)で飽和しないように設計する必要がなく、外部近接物体8からの反射光Lrで受光センサ115が飽和しない限り、検出することが可能である。
【0054】
<2.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、上記第1の実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0055】
[入出力パネルの概略構成例]
図13は、本実施の形態に係る入出力パネルの概略構成例を平面図で表したものであり、図14は、本実施の形態に係る入出力パネルの概略構成例を断面図で表したものである。
【0056】
本実施の形態の入出力パネルでは、例えば図13(A),図13(B)および図14に示したように、第1の実施の形態とは異なり、入出力パネルにおいて、表示領域31において、各画素に対応してカラーフィルタ116R,116G,116Bが設けられている。これにより、表示領域31は、赤色光を照射可能な赤色表示領域31Rと、緑色光を照射可能な緑色表示領域31Gと、青色光を照射可能な青色表示領域31Bとにより構成されている。
【0057】
[表示撮像装置の動作説明]
これにより、本実施の形態の表示撮像装置では、第1の実施の形態と同様に、例えば図15(A)〜図15(D)に示したようにして、物体の検出動作が行われる。なお、ここでは、表示輝度を稼ぐため、表示のみを行う期間が設けられている。
【0058】
以上のように本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の作用により、同様の効果を得ることができる。すなわち、偽信号による誤判定を回避することができ、使用状況によらず、物体を安定して検出することが可能となる。
【0059】
また、第1の実施の形態で説明したフィールドシーケンシャル駆動とは異なるため、表示の書き込みを高速で行う必要がなくなり、液晶の応答の追従性の問題を回避することができる。また、発光期間を長くすることができるため、表示の輝度を上げるためにLEDのパワーを挙げる必要もなくなる。
【0060】
なお、例えば図16(A)〜図16(D)に示したように、表示期間を変更することにより、応答速度が速くない液晶モードを用いることが可能となる。また、例えば図17(A)〜図17(D)に示したように、表示輝度を上げるため、各色LEDが全て発光している期間を、最大限にとるようにしてもよい。
【0061】
<3.第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、上記第1,第2の実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0062】
[入出力パネルの概略構成例]
図18は、本実施の形態に係る入出力パネルの概略構成例を断面図で表したものである。本実施の形態の入出力パネルでは、バックライト110−1に、非可視光である赤外光を発する赤外LED110IRを含んでいると共に、非可視光である赤外光を受光する受光センサ115IRを含んでいる。また、この受光センサ115IR上には、可視光をカットすると共に赤外光のみを透過するIRフィルタ116IRが配置されている。
【0063】
赤外LED110IRは、例えば図19に示したような発光スペクトル特性となっている。また、IRフィルタ116IRは、例えば図20(A),図20(B)に示したような分光透過特性となっている。ここで、IRフィルタ116IRは、カラーフィルタのRBもしくはRGBを積層することにより実現することが可能である。ここでは、RB積層よりもRGB積層のほうが可視光をカットする性能が高く、本実施例ではRGBフィルタを用いている。
【0064】
[表示撮像装置の動作説明]
これにより、本実施の形態の表示撮像装置では、第1の実施の形態と同様に、例えば図21(A)〜図21(E)に示したようにして、物体の検出動作が行われる。そして、第1の実施の形態と同様に、例えば図22に示したように、(A)外部近接物体8が存在しない場合および(B)外部近接物体8が存在する場合のそれぞれについて、外光LOの有無や種類、各色の照射光に応じて、各受光センサ115R,115G,115B,115IRにおいて、図中に示したような受光信号が得られることとなる。
【0065】
これにより、位置検出部47は、第1の実施の形態と同様に、例えば図23に示したような判定処理(ステップS30〜S34)を行うことにより、複数種類の照射光を利用した受光信号に基づいて、物体情報を検出する。
【0066】
以上のように本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の作用により、同様の効果を得ることができる。すなわち、偽信号による誤判定を回避することができ、使用状況によらず、物体を安定して検出することが可能となる。
【0067】
また、黒表示した際にも、赤外線を出射することにより、外部近接物体8からの反射光Lrを得ることができ、検出することが可能となる。
【0068】
なお、図23に示したステップS32において、受光センサ115R,115G,115Bのうちの1つだけで判定するようにしてもよい。
【0069】
<4.第4の実施の形態>
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、上記第1〜第3の実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0070】
[入出力パネルの概略構成例]
図24は、本実施の形態に係る入出力パネルの概略構成例を平面図で表したものであり、図25は、本実施の形態に係る入出力パネルの概略構成例を断面図で表したものである。本実施の形態の入出力パネルでは、本実施の形態では、バックライト110−2に、LED110R,110G,110B,110IRの代わりに、青色および黄色のLED110B,110Yと、赤外LED110IRとが含まれている。また、受光センサ115として、受光センサ115B,115IR,115Dが設けられている。
【0071】
なお、青色LED110Bおよび黄色LED110Yはそれぞれ、例えば図26(A),図26(B)に示したような発光スペクトル特性となっている。
【0072】
[表示撮像装置の動作説明]
これにより、本実施の形態の表示撮像装置では、第1の実施の形態と同様に、例えば図27(A)〜図27(D)に示したようにして、物体の検出動作が行われる。なお、ここでは、黄色のLED110Yの発光時は、撮像しておらず、LED110B,110IRの発光時のみ撮像している。そして、第1の実施の形態と同様に、例えば図28に示したように、(A)外部近接物体8が存在しない場合および(B)外部近接物体8が存在する場合のそれぞれについて、図中に示したような受光信号が得られる。すなわち、外光LOの有無や種類、各色の照射光に応じて、各受光センサ115B,115IRにおいて、図中に示したような受光信号が得られることとなる。
【0073】
これにより、位置検出部47は、第1の実施の形態と同様に、例えば図29に示したような判定処理(ステップS40〜S44)を行うことにより、複数種類の照射光を利用した受光信号に基づいて、物体情報を検出する。
【0074】
以上のように本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の作用により、同様の効果を得ることができる。すなわち、偽信号による誤判定を回避することができ、使用状況によらず、物体を安定して検出することが可能となる。
【0075】
なお、例えば図30(A)〜図30(D)に示したように、表示のタイミングを変更するようにしてもよい。
【0076】
<5.第5の実施の形態>
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。なお、上記第1〜第4の実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0077】
[入出力パネルの概略構成例]
図31は、本実施の形態に係る入出力パネルの概略構成例を平面図で表したものであり、図32は、本実施の形態に係る入出力パネルの概略構成例を断面図で表したものである。本実施の形態の入出力パネルでは、白色LEDによる白色表示領域32Wが設けられると共に、白色光を受光可能な受光センサ115Wが設けられている。
【0078】
[表示撮像装置の動作説明]
これにより、本実施の形態の表示撮像装置では、第1の実施の形態と同様に、例えば図33(A)〜図33(C)に示したようにして、物体の検出動作が行われる。
【0079】
なお、表示のタイミングを変更することにより、例えば図33(D)〜図33(F)に示したように、白色LEDの消灯時に書き込むようにし、残像感の少ない表示を得ることができる。また、例えば図34(A)〜図33(C)に示したようにしてもよい。また、例えば図35(A)〜図33(C)および図35(D)〜図35(F)に示したように、撮像期間を短くして、表示輝度を上げるため、白色LEDが発光している期間を最大限にとるようにしてもよい。
【0080】
そして、第1の実施の形態と同様に、例えば図36に示したように、(A)外部近接物体8が存在しない場合および(B)外部近接物体8が存在する場合のそれぞれについて、外光LOの有無や種類、各色の照射光に応じて、各受光センサ115W,115IRにおいて、図中に示したような受光信号が得られることとなる。
【0081】
これにより、位置検出部47は、第1の実施の形態と同様に、例えば図37に示したような判定処理(ステップS50〜S54)を行うことにより、複数種類の照射光を利用した受光信号に基づいて、物体情報を検出する。
【0082】
以上のように本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の作用により、同様の効果を得ることができる。すなわち、偽信号による誤判定を回避することができ、使用状況によらず、物体を安定して検出することが可能となる。
【0083】
<6.第6の実施の形態>
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。なお、上記第1〜第5の実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0084】
[入出力パネルの概略構成例]
図38は、本実施の形態に係る入出力パネルの概略構成例を断面図で表したものである。本実施の形態の入出力パネルでは、受光センサ115W上に、IR吸収材料からなるIR吸収フィルタ117IRが配置されている。
【0085】
なお、このIR吸収フィルタ117IRは、例えば図39に示したような分光透過スペクトルとなっている。
【0086】
[表示撮像装置の動作説明]
これにより、本実施の形態の表示撮像装置では、LED110IRの発光時に、受光センサ115Wに、赤外光が入射することが回避される。
【0087】
以上のように本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の作用により、同様の効果を得ることができる。すなわち、偽信号による誤判定を回避することができ、使用状況によらず、物体を安定して検出することが可能となる。
【0088】
また、LED110IRの発光時に、受光センサ115Wに、赤外光が入射することが回避されるため、上記第5の実施の形態における以下の問題を回避することができる。すなわち、受光センサ115Wの閾値を高く設定する必要がなくなり、受光センサ115Wのみで検出する外光環境範囲を小さくし、LED110IRのパワーを高くする必要がなくなる。
【0089】
<7.適用例>
(モジュールおよび適用例)
次に、図40〜図44を参照して、上記実施の形態で説明した表示撮像装置の適用例について説明する。上記実施の形態の表示撮像装置は、テレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、上記実施の形態の表示撮像装置は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0090】
(適用例1)
図40は、上記実施の形態の表示撮像装置が適用されるテレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル511およびフィルターガラス512を含む映像表示画面部510を有しており、この映像表示画面部510は、上記実施の形態に係る表示撮像装置により構成されている。
【0091】
(適用例2)
図41は、上記実施の形態の表示撮像装置が適用されるデジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部521、表示部522、メニュースイッチ523およびシャッターボタン524を有しており、その表示部522は、上記実施の形態に係る表示撮像装置により構成されている。
【0092】
(適用例3)
図42は、上記実施の形態の表示撮像装置が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体531,文字等の入力操作のためのキーボード532および画像を表示する表示部533を有しており、その表示部533は、上記実施の形態に係る表示撮像装置により構成されている。
【0093】
(適用例4)
図43は、上記実施の形態の表示撮像装置が適用されるビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部541,この本体部541の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ542,撮影時のスタート/ストップスイッチ543および表示部544を有しており、その表示部544は、上記実施の形態に係る表示撮像装置により構成されている。
【0094】
(適用例5)
図44は、上記実施の形態の表示撮像装置が適用される携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そのディスプレイ740またはサブディスプレイ750は、上記実施の形態に係る表示撮像装置により構成されている。
【0095】
<8.変形例>
以上、第1〜第6の実施の形態および適用例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0096】
例えば、図2に示した例では、1つの発光セルに対応して1つの受光セルを設けるようにしたが、複数の発光セルに対応して1つの受光セルを設けるようにしてもよい。
【0097】
また、上記実施の形態等で説明した表示撮像装置では、入出力パネルとして、液晶ディスプレイパネルを用いた構成について説明した。しかしながら、本発明の表示撮像装置は、入出力パネルとして、有機エレクトロルミネッセンス(EL)パネル等を用いた構成にすることもできる。有機EL素子は、順方向バイアス電圧を印加すると発光動作をし、逆方向バイアス電圧を印加すると受光して電流を発生する性質を有する。このため、有機EL素子は、表示要素11aと受光要素11bとを有することになる。
【0098】
具体的には、例えば図45(断面構成例)および図46(平面構成例)に示した入出力パネル61のように、トップエミッション構造であると共に、カラーフィルタ116が配置されたものが挙げられる。ここでは、IR発光層613IR上にもIRフィルタ116IRが配置され、外光LOによる駆動配線などの反射が抑えられるようになっている。なお、発光層613R,613G,613B,613IR、受光センサ115W,115IR,115D等の配置位置については、特に限定されない。
【0099】
また、本発明の表示撮像装置は、上記実施の形態等で説明した表示撮像装置1だけでなく、例えば図47に示したような表示撮像装置2にも適用することが可能である。この表示撮像装置2は、上記実施の形態等に係る表示撮像装置1と比較して、画像処理部14が電子機器本体20に設けられた点が異なっている。すなわち、この表示撮像装置2は、表示信号処理部12、入出力パネル11および受光信号処理部13がディスプレイ10に設けられ、制御部21および画像処理部14が電子機器本体20に設けられたものである。このような表示撮像装置2であっても、上記実施の形態に係る表示撮像装置1と同様の効果を奏することができる。
【0100】
また、これまでは、制御部21が電子機器本体20内に設けられている場合について説明したが、制御部21をディスプレイ10内に設けるようにしてもよい。
【0101】
さらに、上記実施の形態等において説明した一連の処理は、ハードウェアにより行うこともできるし、ソフトウェアにより行うこともできる。一連の処理をソフトウェアによって行う場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、汎用のコンピュータ等にインストールされるようになっている。このようなプログラムは、コンピュータに内蔵されている記録媒体に予め記録してさせておくようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る表示撮像装置の構成を表すブロック図である。
【図2】図1の表示撮像装置の構成をより詳細に表すブロック図である。
【図3】第1の実施の形態に係る入出力パネルの概略構成例を表す平面図である。
【図4】図3に示した入出力パネルの概略構成例を表す断面図である。
【図5】各色LEDの発光スペクトル特性の一例を表す特性図である。
【図6】カラーフィルタの分光透過率特性の一例を表す特性図である。
【図7】表示撮像装置における物体検出の基本動作について説明するための概略断面図である。
【図8】表示撮像装置による画像処理全体の流れ図である。
【図9】比較例に係る表示撮像装置における偽信号の発生現象について説明するためのタイミング図である。
【図10】第1の実施の形態に係る物体の検出動作の一例を表すタイミング図である。
【図11】第1の実施の形態に係る物体の検出動作の際の受光信号の一覧を表す図である。
【図12】第1の実施の形態に係る物体の検出動作の際の外光および検出光の判定処理を表す流れ図である。
【図13】第2の実施の形態に係る入出力パネルの概略構成例を表す平面図である。
【図14】図13に示した入出力パネルの概略構成例を表す断面図である。
【図15】第2の実施の形態に係る物体の検出動作の一例を表すタイミング図である。
【図16】第2の実施の形態に係る物体の検出動作の他の例を表すタイミング図である。
【図17】第2の実施の形態に係る物体の検出動作の他の例を表すタイミング図である。
【図18】第3の実施の形態に係る入出力パネルの概略構成例を表す断面図である。
【図19】赤外線LEDの発光スペクトル特性の一例を表す特性図である。
【図20】IRフィルタの分光透過率特性の一例を表す特性図である。
【図21】第3の実施の形態に係る物体の検出動作の一例を表すタイミング図である。
【図22】第3の実施の形態に係る物体の検出動作の際の受光信号の一覧を表す図である。
【図23】第3の実施の形態に係る物体の検出動作の際の外光および検出光の判定処理を表す流れ図である。
【図24】第4の実施の形態に係る入出力パネルの概略構成例を表す平面図である。
【図25】図24に示した入出力パネルの概略構成例を表す断面図である。
【図26】青色LEDおよび黄色LEDの発光スペクトル特性の一例を表す特性図である。
【図27】第4の実施の形態に係る物体の検出動作の一例を表すタイミング図である。
【図28】第4の実施の形態に係る物体の検出動作の際の受光信号の一覧を表す図である。
【図29】第4の実施の形態に係る物体の検出動作の際の外光および検出光の判定処理を表す流れ図である。
【図30】第4の実施の形態に係る物体の検出動作の他の例を表すタイミング図である。
【図31】第5の実施の形態に係る入出力パネルの概略構成例を表す平面図である。
【図32】図31に示した入出力パネルの概略構成例を表す断面図である。
【図33】第5の実施の形態に係る物体の検出動作の一例を表すタイミング図である。
【図34】第5の実施の形態に係る物体の検出動作の他の例を表すタイミング図である。
【図35】第5の実施の形態に係る物体の検出動作の他の例を表すタイミング図である。
【図36】第5の実施の形態に係る物体の検出動作の際の受光信号の一覧を表す図である。
【図37】第5の実施の形態に係る物体の検出動作の際の外光および検出光の判定処理を表す流れ図である。
【図38】第6の実施の形態に係る入出力パネルの概略構成例を表す断面図である。
【図39】IR吸収フィルタの分光透過率特性の一例を表す特性図である。
【図40】本発明の表示撮像装置の適用例1の外観を表す斜視図である。
【図41】(A)は適用例2の表側から見た外観を表す斜視図であり、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図42】適用例3の外観を表す斜視図である。
【図43】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図44】(A)は適用例5の開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【図45】本発明の変形例に係る入出力パネルの概略構成例を表す断面図である。
【図46】図45に示した入出力パネルの概略構成例を表す平面図である。
【図47】本発明の変形例に係る表示撮像装置の構成を表すブロック図である。
【符号の説明】
【0103】
1,2…表示撮像装置、10…ディスプレイ、11,61…入出力パネル、11a…表示要素、11b…受光要素、110,110−1,110−2…バックライト、110R,110G,110B,110IR,110Y…LED、115…受光センサ、116…カラーフィルタ、116IR…IRフィルタ、117IR…IR吸収フィルタ、12…表示信号処理部、13…受光信号処理部、14…画像処理部、16…画素、20…電子機器本体、21…制御部、31…表示領域、32…受光領域、510…映像表示画面部、511…フロントパネル、512…フィルターガラス、521…発光部、522…表示部、523…メニュースイッチ、524…シャッターボタン、531…本体、532…キーボード、533…表示部、541…本体部、542…レンズ、543…スタート/ストップスイッチ、544…表示部、710…上部筐体、720…下部筐体、730…連結部、740…ディスプレイ、750…サブディスプレイ、760…ピクチャーライト、770…カメラ、613R,613G,613B,613IR…発光層、8…外部近接物体(指)、BM…ブラックマトリクス、Lout…表示光、Lr…反射光(検出光)、LO…外光、LR,LG,LB…各色光、ΔT…動作周期、ΔTR,ΔTG,ΔTB,ΔTIR,ΔTW…発光期間(点灯期間)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子および受光素子を有する入出力パネルと、
前記入出力パネルから照射される照射光による反射光が前記受光素子によって受光されることにより得られる受光信号に基づいて、外部近接物体の位置、形状または大きさの少なくとも1つを含む物体情報を検出する検出部と
を備え、
前記受光素子は、互いに波長領域の異なる光を受光可能な複数種類の受光素子により構成され、
前記検出部は、各々が前記複数種類の受光素子に対応した互いに異なる波長領域の光となるように互いに異なるタイミングにおいて照射された複数種類の照射光を利用した受光信号に基づいて、前記物体情報を検出する
表示撮像装置。
【請求項2】
前記複数種類の受光素子はそれぞれ、前記照射光よる反射光を、同じタイミングにおいて受光する
請求項1に記載の表示撮像装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記複数種類の照射光を利用した受光信号に基づいて、その受光信号が、前記反射光による受光信号であるのか、または外光による受光信号であるのか、を判定することにより、前記物体情報を検出する
請求項1に記載の表示撮像装置。
【請求項4】
前記検出部は、
各波長領域の照射光の照射時に、対応する波長領域の光のみからなる受光信号が得られた場合には、その受光信号が前記反射光による受光信号であると判定し、
各波長領域の照射光の照射時に、対応する波長領域以外の光を含む受光信号が得られた場合には、その受光信号が外光による受光信号であると判定する
請求項3に記載の表示撮像装置。
【請求項5】
前記発光素子が、可視光を発する発光素子と、非可視光である赤外光を発する発光素子とを含み、
前記受光素子が、可視光を受光する受光素子と、非可視光である赤外光を受光する受光素子とを含む
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の表示撮像装置。
【請求項6】
前記入出力パネルにおいて、各発光素子に対応してカラーフィルタが設けられている
請求項1に記載の表示撮像装置。
【請求項7】
前記入出力パネルにおいて、前記発光素子に対してフィールドシーケンシャル駆動が行われることにより、前記複数種類の照射光が照射されるようになっている
請求項1に記載の表示撮像装置。
【請求項8】
前記発光素子が、液晶素子を用いて構成されている
請求項1に記載の表示撮像装置。
【請求項9】
前記発光素子が、有機EL素子を用いて構成されている
請求項1に記載の表示撮像装置。
【請求項10】
画像表示機能および撮像機能を有する表示撮像装置を備え、
前記表示撮像装置は、
表示素子および受光素子を有する入出力パネルと、
前記入出力パネルから照射される照射光による反射光が前記受光素子によって受光されることにより得られる受光信号に基づいて、外部近接物体の位置、形状または大きさの少なくとも1つを含む物体情報を検出する検出部と
を有し、
前記受光素子は、互いに波長領域の異なる光を受光可能な複数種類の受光素子により構成され、
前記検出部は、各々が前記複数種類の受光素子に対応した互いに異なる波長領域の光となるように互いに異なるタイミングにおいて照射された複数種類の照射光を利用した受光信号に基づいて、前記物体情報を検出する
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【公開番号】特開2010−97420(P2010−97420A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267784(P2008−267784)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】