説明

表示特性の測定方法、測定システム、及び画像表示装置

【課題】画像表示装置の表示状態を適切に測定することが可能な表示特性の測定方法、測定システム、及び画像表示装置を提供する。
【解決手段】パッチ画像の分光特性の測定、及び基準画像の輝度の測定を複数回繰り返し、すべて色のパッチ画像について分光特性の測定が終了すると、CPUは、基準画像の測定結果(輝度)がばらついているか否かを判断する(ステップS110)。そして、測定結果がばらついていない場合には、測定中に画像表示装置の表示状態が変化しておらず、分光特性の測定結果がすべて有効であるとみなす。一方、測定結果がばらついている場合には、CPUは、測定の途中で画像表示装置の表示状態が変化しており、分光特性の測定結果に関して、少なくとも一部は有効ではないとみなす。そして、この場合には、CPUは、再測定処理を行う(ステップS111)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示特性の測定方法、測定システム、及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクター等の画像表示装置を製造するメーカー等は、画像表示装置が表示する色の調整(キャリブレーション)を行う場合や、表示環境等に応じた色変換処理を行うための変換テーブルを作成する場合等において、画像表示装置の表示特性(例えば、表示色や分光特性等)を測定する必要がある。表示特性を測定する際には、画像表示装置に表示させる色を順次切り替えながら、複数回の測定が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−242061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の複数回の測定を行っている途中で、画像表示装置の表示状態が不安定になると、その影響により適切な測定を行うことができなくなってしまう。例えば、放電型のランプを光源とするプロジェクターにおいて、ランプ内での放電位置(アーク位置)が変化すると、表示(投写)する画像の色や明るさが変化してしまう。また、画像表示装置に対する電源の供給状態が不安定な場合にも、表示状態が変動する恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係る測定方法は、画像表示装置の表示特性を測定する測定方法であって、前記画像表示装置に所定のテスト画像を表示させて、当該テスト画像に関する第1の特性値を測定する第1の測定ステップと、前記画像表示装置に所定の基準画像を表示させて、当該基準画像に関する第2の特性値を測定する第2の測定ステップと、前記第1の測定ステップ及び前記第2の測定ステップを、前記テスト画像の色を変えて複数回繰り返した後に、複数回分の前記第2の特性値に基づいて、前記第1の特性値の有効性を判断する判断ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この測定方法によれば、所定のテスト画像を表示させて第1の特性値を測定する第1の測定ステップと、所定の基準画像を表示させて第2の特性値を測定する第2の測定ステップとを備えている。そして、第1の測定ステップ及び第2の測定ステップを、テスト画像の色を変えて複数回繰り返した後に、複数回分の第2の特性値に基づいて、第1の特性値の有効性を判断している。つまり、複数の色のテスト画像に関して、それぞれの第1の特性値を測定する際に、共通の基準画像に関する第2の特性値をも測定するため、この第2の特性値の変化に基づいて、第1の測定値の有効性を適切に判断することが可能となる。
【0008】
[適用例2]上記適用例に係る測定方法において、前記判断ステップにおいて、前記第1の特性値が有効ではないと判断された場合に、前記第1の測定値及び前記第2の測定値を再度測定する再測定ステップをさらに備えるようにしてもよい。
【0009】
この測定方法によれば、第1の特性値が有効ではないと判断された場合に、第1の測定値及び第2の測定値を再度測定するため、途中で画像表示装置の表示状態が変化した場合であっても、適切な測定結果を得ることが可能となる。
【0010】
[適用例3]上記適用例に係る測定方法において、前記判断ステップにおいて、前記第1の特性値が有効ではないと判断された場合に、前記第2の測定値に基づいて前記第1の特性値を補正する補正ステップをさらに備えるようにしてもよい。
【0011】
この測定方法によれば、第1の特性値が有効ではないと判断された場合に、第2の測定値に基づいて第1の測定値を補正するため、途中で画像表示装置の表示状態が変化した場合であっても、適切な測定結果を得ることが可能となる。
【0012】
[適用例4]本適用例に係る測定システムは、画像表示装置の表示特性を測定する測定システムであって、前記画像表示装置の表示を制御する表示制御部と、前記表示制御部が前記画像表示装置に所定のテスト画像を表示させている状態で、当該テスト画像に関する第1の特性値を測定するとともに、前記表示制御部が前記画像表示装置に所定の基準画像を表示させている状態で、当該基準画像に関する第2の特性値を測定する測定部と、前記第1の測定値及び前記第2の測定値の測定を、前記テスト画像の色を変えて複数回繰り返した後に、複数回分の前記第2の特性値に基づいて、前記第1の特性値の有効性を判断する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
この測定システムによれば、所定のテスト画像を表示させた状態で行う第1の特性値の測定と、所定の基準画像を表示させた状態で行う第2の特性値の測定とを、テスト画像の色を変えて複数回繰り返した後で、複数回分の第2の特性値に基づいて、第1の特性値の有効性を判断している。つまり、複数の色のテスト画像に関して、それぞれの第1の特性値を測定する際に、共通の基準画像に関する第2の特性値をも測定するため、この第2の特性値の変化に基づいて、第1の測定値の有効性を適切に判断することが可能となる。
【0014】
[適用例5]上記適用例に係る測定システムにおいて、前記測定部は、前記制御部によって前記第1の特性値が有効ではないと判断された場合に、前記第1の測定値及び前記第2の測定値を再度測定するようにしてもよい。
【0015】
この測定システムによれば、第1の特性値が有効ではないと判断された場合に、測定部は、第1の測定値及び第2の測定値を再度測定するため、途中で画像表示装置の表示状態が変化した場合であっても、適切な測定結果を得ることが可能となる。
【0016】
[適用例6]上記適用例に係る測定システムにおいて、前記制御部によって前記第1の特性値が有効ではないと判断された場合に、前記第2の測定値に基づいて前記第1の特性値を補正する補正部をさらに備えるようにしてもよい。
【0017】
この測定システムによれば、第1の特性値が有効ではないと判断された場合に、第2の測定値に基づいて第1の測定値を補正する補正部を備えているため、途中で画像表示装置の表示状態が変化した場合であっても、適切な測定結果を得ることが可能となる。
【0018】
[適用例7]本適用例に係る画像表示装置は、画像を表示する表示部を有する画像表示装置であって、前記表示部の表示を制御する表示制御部と、前記表示制御部が前記表示部に所定のテスト画像を表示させている状態で、当該テスト画像に関する第1の特性値を測定するとともに、前記表示制御部が前記表示部に所定の基準画像を表示させている状態で、当該基準画像に関する第2の特性値を測定する測定部と、前記第1の測定値及び前記第2の測定値の測定を、前記テスト画像の色を変えて複数回繰り返した後に、複数回分の前記第2の特性値に基づいて、前記第1の特性値の有効性を判断する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
この画像表示装置によれば、所定のテスト画像を表示させた状態で行う第1の特性値の測定と、所定の基準画像を表示させた状態で行う第2の特性値の測定とを、テスト画像の色を変えて複数回繰り返した後で、複数回分の第2の特性値に基づいて、第1の特性値の有効性を判断している。つまり、複数の色のテスト画像に関して、それぞれの第1の特性値を測定する際に、共通の基準画像に関する第2の特性値をも測定するため、この第2の特性値の変化に基づいて、第1の測定値の有効性を適切に判断することが可能となる。
【0020】
また、上述した表示特性の測定方法、測定システム、及び画像表示装置が、コンピューターを用いて構築されている場合には、上記形態及び上記適用例は、その機能を実現するためのプログラム、或いは当該プログラムを前記コンピューターで読み取り可能に記録した記録媒体等の態様で構成することも可能である。記録媒体としては、フレキシブルディスクやハードディスク、CDやDVD等の光ディスク、光磁気ディスク、不揮発性の半導体メモリーを搭載したメモリーカードやUSBメモリー、測定システムや画像表示装置の内部記憶装置(RAMやROM等の半導体メモリー)等、前記コンピューターが読み取り可能な種々の媒体を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】測定システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】画像表示装置の概略構成を示すブロック図。
【図3】パッチ画像を示す説明図。
【図4】第1実施形態の表示特性測定プログラムに基づく制御装置の動作を説明するためのフローチャート。
【図5】表示特性測定プログラムに基づく制御装置の動作を説明するための説明図。
【図6】再測定処理を行う際の制御装置の動作を説明するためのフローチャート。
【図7】第2実施形態の表示特性測定プログラムに基づく制御装置の動作を説明するためのフローチャート。
【図8】補正処理を行う際の制御装置の動作を説明するためのフローチャート。
【図9】測定システムを内部に包含した画像表示装置の概略構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係る測定システムについて、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る測定システムの概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、測定システム1は、測定装置2と制御装置3とを備えて構成されており、測定対象である画像表示装置4(例えば、プロジェクター)の表示特性を測定するものである。
【0023】
まず、画像表示装置4について説明する。
図2は、画像表示装置4の概略構成を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態の画像表示装置4は、外部から入力される画像情報に基づく画像を投写するプロジェクターであり、表示部41、画像情報入力部46、画像処理部47等を備えている。
【0024】
表示部41は、光源としての光源装置42、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ43R,43G,43B、投写光学系としての投写レンズ44、液晶駆動部45等で構成されている。表示部41は、画像投写部に相当するものであり、光源装置42から射出された光を液晶ライトバルブ43R,43G,43Bで変調して画像(画像光)を形成し、この画像を投写レンズ44から拡大投写して、スクリーンSC等に表示する。
【0025】
光源装置42は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ42aと、光源ランプ42aが放射した光を所定の方向に反射するリフレクター42bとを含んで構成されている。光源装置42から射出された光は、図示しないインテグレーター光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ43R,43G,43Bに入射する。
【0026】
液晶ライトバルブ43R,43G,43Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ43R,43G,43Bには、マトリクス状に配列された複数の画素が形成されており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。そして、液晶駆動部45が、入力される画像情報に応じた駆動電圧を各画素に印加すると、各画素は、画像情報に応じた光透過率に設定される。このため、光源装置42から射出された光は、この液晶ライトバルブ43R,43G,43Bを透過することによって変調され、画像情報に応じた画像光が色光毎に形成される。形成された各色の画像光は、図示しない色合成光学系によって画素毎に合成されてカラーの画像光となった後、投写レンズ44から拡大投写される。
【0027】
画像情報入力部46には、各種映像再生装置やパーソナルコンピューター等、外部の画像出力機器が接続され、画像出力機器から画像情報が入力される。本実施形態の画像情報入力部46には、制御装置3から画像情報が入力されるようになっており、画像情報入力部46は、入力された画像情報を画像処理部47に出力する。
【0028】
画像処理部47は、画像情報入力部46から入力される画像情報を、液晶ライトバルブ43R,43G,43Bの各画素の階調を表す画像情報に変換する。ここで、変換された画像情報は、R,G,Bの色光別になっており、各液晶ライトバルブ43R,43G,43Bのすべての画素に対応する複数の画素値によって構成されている。画素値とは、対応する画素の光透過率を定めるものであり、この画素値によって、各画素から射出する光の強弱(階調)が規定される。さらに、画像処理部47は、変換した画像情報に対して、明るさ、コントラスト、シャープネス、色合い等を調整するための画質調整処理や、投写する画像上に設定メニューやメッセージ等を重畳表示させるためのOSD(オンスクリーンディスプレイ)処理等を必要に応じて行い、処理後の画像情報を表示部41の液晶駆動部45に出力する。
【0029】
液晶駆動部45は、画像処理部47から入力される画像情報に従って液晶ライトバルブ43R,43G,43Bを駆動し、液晶ライトバルブ43R,43G,43Bに、画像情報に応じた画像光を形成させる。これにより、画像情報に基づく画像光が投写レンズ44から外部に投写される。
【0030】
次に、測定システム1を構成する測定装置2について説明する。
測定装置2は、画像表示装置4の表示特性を測定する機器であり、図1に示すように、測定部21と、測定制御部22と、通信部23とを備えている。
【0031】
測定部21は、画像表示装置4から射出される画像光を受光して、画像表示装置4の表示特性を測定する。本実施形態の測定部21は、図示しない回折格子で入射光(画像光)を分光し、図示しないセンサーアレイで波長領域毎に受光強度を検出することにより、分光強度(分光特性)、各種色彩値(例えば、三刺激値XYZやCIELAB等)、輝度等を測定することができる。そして、測定部21は、測定結果を測定制御部22に出力する。
【0032】
なお、本実施形態のように、画像表示装置4がプロジェクターの場合には、測定装置2は、画像表示装置4からスクリーンSCに投写された画像光を測定部21が受光できるように配置される。つまり、スクリーンSCが反射型のスクリーンである場合には、測定部21は、スクリーンSCで反射した画像光を受光し、スクリーンSCが透過型のスクリーンである場合には、測定部21は、スクリーンSCを透過した画像光を受光する。
【0033】
また、測定部21は、分光特性、色彩値、輝度等を個別に測定可能な構成にしてもよいが、分光特性を測定し、この測定結果から色彩値や輝度を導出(算出)する構成にしてもよい。また、色彩値として三刺激値XYZを測定(導出)する場合には、Yの値を輝度として利用することが可能である。
【0034】
測定制御部22は、CPU等によって構成される制御回路であり、測定装置2の動作を制御する。また、通信部23は、例えば、RS−232C等の規格に基づいて通信を行うインターフェイス回路である。本実施形態の通信部23には、制御装置3が接続されており、測定制御部22は、通信部23を経由して、制御装置3との間でデータ通信を行うことができる。具体的には、測定制御部22は、制御装置3から通信部23を経て入力される制御情報に基づいて測定部21による測定を制御するとともに、測定部21の測定結果を、通信部23から制御装置3に出力する。
【0035】
次に、測定システム1を構成する制御装置3について説明する。
制御装置3は、測定装置2による画像表示装置4の表示特性の測定を制御するための装置であり、例えば、パーソナルコンピューターによって構成することができる。図1に示すように、制御装置3は、CPU31、メモリー32、ビデオコントローラー33、SATA(Serial ATA)インターフェイス(I/F)34、シリアル通信コントローラー35、キーボード・マウスコントローラー36等を備えて構成されており、これらは、バス37を介して互いに接続されている。
【0036】
CPU31は、制御部に相当するものであり、メモリー32に読み出された各種プログラムに従って動作することによって、制御装置3の動作を制御する。メモリー32は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等によって構成され、上述したプログラムを記憶するとともに、プログラム実行中における各種データの一時記憶等に用いられる。
【0037】
ビデオコントローラー33は、表示制御部に相当するものであり、画像表示装置4に対する画像表示を制御する。ビデオコントローラー33は、図示しないVRAM(Video RAM)を備えており、プログラムを実行するCPU31の指示に基づいて、VRAM上にフレーム単位で順次画像情報を生成する。そして、生成した画像情報を画像表示装置4に出力して、画像情報に基づく画像を画像表示装置4の画面上に表示させる。なお、測定対象の画像表示装置4に加えて、別の画像表示装置(図示せず)もビデオコントローラー33に接続し、表示特性を測定する際にモニターとして利用するようにしてもよい。
【0038】
SATAインターフェイス34は、SATA規格に基づいて高速なデータ転送を行うためのインターフェイス回路であり、本実施形態のSATAインターフェイス34には、ハードディスクドライブ34aが接続されている。ハードディスクドライブ34aには、インストールされたOSやアプリケーションプログラム、各種データ等が記憶される。
【0039】
本実施形態のハードディスクドライブ34aには、画像表示装置4の表示特性を測定装置2で測定するためのアプリケーションプログラム(表示特性測定プログラムMP)がインストールされている。表示特性測定プログラムMPは、画像表示装置4に所定の色のテスト画像(「パッチ画像」とも呼ぶ。)を表示させるとともに、表示された色を測定装置2に測定させるプログラムであり、パッチ画像の色を順次切り替えながら、複数回の測定を行うようになっている。
【0040】
図3は、パッチ画像を示す説明図である。
図3に示すように、パッチ画像Ptは、中央に配置された矩形の領域(パッチ領域Ap)と、パッチ領域Apを囲む黒色の背景領域Abとを有している。ここで、背景領域Abが常に黒色であるのに対して、パッチ領域Apは、様々な色に設定される領域であり、本明細書では、パッチ領域Apに設定された色のことを、「パッチ画像の色」とも表現する。表示特性測定プログラムMPには、複数色のパッチ画像Ptに対応する複数の画像情報が含まれており、CPU31は、これらの画像情報をビデオコントローラー33に出力することにより、画像表示装置4に様々な色のパッチ画像Ptを表示させることができる。
【0041】
図1に戻って、シリアル通信コントローラー35は、例えば、RS−232C規格に基づいて、外部の入出力機器との間でデータ通信を行う。本実施形態のシリアル通信コントローラー35は、測定装置2の通信部23と接続されており、CPU31は、シリアル通信コントローラー35により、制御情報を測定装置2に出力したり、測定装置2から測定結果を取得したりすることができる。
【0042】
キーボード・マウスコントローラー36には、キーボード36a及びマウス36bが接続されている。キーボード36aは、キー操作によって文字や制御コード等を入力するための入力装置であり、マウス36bは、画像表示装置4の画面上に表示されるポインターの移動操作やクリック操作等を行うための入力装置(ポインティングデバイス)である。キーボード36a及びマウス36bになされた入力操作は、キーボード・マウスコントローラー36を介してCPU31に伝達される。
【0043】
次に、測定システム1の動作について説明する。
制御装置3が起動した状態で、ユーザーがキーボード36a又はマウス36bを操作して表示特性測定プログラムMPの実行を指示すると、CPU31は、ハードディスクドライブ34aから表示特性測定プログラムMPを読み出してメモリー32に記憶させ、この表示特性測定プログラムMPの実行を開始する。
【0044】
図4は、表示特性測定プログラムMPに基づく制御装置3の動作を説明するためのフローチャートである。表示特性測定プログラムMPがメモリー32に読み出され、CPU31がこのプログラムの実行を開始すると、制御装置3は、図4に示すフローに従って動作する。
【0045】
なお、本実施形態の表示特性測定プログラムMPは、白色及び黒色を含む8色のパッチ画像を画像表示装置4に表示させ、それぞれの分光特性を測定装置2に測定させるものである。また、表示特性測定プログラムMPは、すべてのパッチ画像の測定が終わるまでの間に、画像表示装置4の表示状態(光源ランプ42aのアーク位置等)が変化したか否かを検知できるよう、各パッチ画像の分光特性を測定する前後に、所定の基準画像を画像表示装置4に表示させ、その輝度を測定するようになっている。
【0046】
図4に示すように、ステップS101では、CPU31は、測定装置2を初期化するための制御情報を、シリアル通信コントローラー35から測定装置2に出力する。測定装置2の測定制御部22は、制御装置3から入力されるこの制御情報に基づいて、各種初期化処理(例えば、測定結果の単位の設定等)を行う。
【0047】
ステップS102では、CPU31は、ビデオコントローラー33に指示をして、画像表示装置4に所定の基準画像を表示させる。本実施形態では、白色のパッチ画像を基準画像として表示させるようになっており、ビデオコントローラー33は、この指示を受けると、白色のパッチ画像に対応する画像情報を画像表示装置4に出力する。この結果、画像表示装置4の3つの液晶ライトバルブ43R,43G,43Bは、パッチ領域Apに対応する画素の光透過率が最大になるように設定されるとともに、背景領域Abに対応する画素の光透過率が最小となるように設定され、投写レンズ44から白色のパッチ画像が投写される。
【0048】
ステップS103では、CPU31は、輝度の測定を指示するための制御情報を、シリアル通信コントローラー35から測定装置2に出力する。測定装置2の測定制御部22は、制御装置3からこの指示を受けると、測定部21に輝度の測定を行わせる。この結果、画像表示装置4が表示する基準画像、即ち白色のパッチ画像の輝度が測定され、測定結果が制御装置3に出力される。そして、制御装置3は、入力された測定結果をハードディスクドライブ34aに記憶する。
【0049】
ステップS104では、CPU31は、ビデオコントローラー33に指示をして、分光特性の測定を行う8つ(8色)のパッチ画像のうちの1つを画像表示装置4に表示させる。
【0050】
ステップS105では、CPU31は、分光特性の測定を指示するための制御情報を、シリアル通信コントローラー35から測定装置2に出力する。測定装置2の測定制御部22は、制御装置3からこの指示を受けると、測定部21に分光特性の測定を行わせる。この結果、画像表示装置4が表示するパッチ画像の分光特性が測定され、測定結果が制御装置3に出力される。そして、制御装置3は、入力された測定結果をハードディスクドライブ34aに記憶する。
【0051】
ステップS106では、CPU31は、ビデオコントローラー33に指示をして、画像表示装置4に再び基準画像(白色のパッチ画像)を表示させ、ステップS107では、CPU31は、輝度の測定を指示するための制御情報を測定装置2に出力する。この結果、画像表示装置4が表示する基準画像の輝度が再び測定され、測定結果が制御装置3に出力される。そして、制御装置3は、入力された測定結果をハードディスクドライブ34aに記憶する。
【0052】
ステップS108では、CPU31は、すべて(8つ)のパッチ画像について分光特性の測定が終了したか否かを判断する。そして、すべてのパッチ画像の測定が終了した場合にはステップS110に移行し、すべてのパッチ画像の測定が終了していない場合にはステップS109に移行する。
【0053】
ステップS109に移行した場合には、CPU31は、パッチ画像の色を変更してステップS104に戻る。そして、新たな色のパッチ画像を画像表示装置4に表示させて(ステップS104)、分光特性を測定し(ステップS105)、その後、基準画像を画像表示装置4に表示させて(ステップS106)、輝度を測定する(ステップS107)。
【0054】
上記の動作の繰り返しにより、すべて(8つ)のパッチ画像について分光特性の測定が終了すると、ステップS110に移行した時点で、基準画像の輝度は、ステップS103での測定を含めて9回測定されていることになる(図5参照)。そこで、ステップS110では、CPU31は、9回測定された基準画像の測定結果(輝度)がばらついているか否かを判断する。例えば、9回測定された輝度の最大値と最小値との差が所定の値よりも大きい場合には、測定結果がばらついているとみなし、所定の値以下の場合には、測定結果がばらついていないものとみなすことができる。そして、測定結果がばらついていない場合には、8つのパッチ画像の分光特性を測定している間、画像表示装置4の表示状態が変化していないものと判断する。つまり、8つのパッチ画像について行った分光特性の測定結果がすべて有効であると判断して、フローを終了する。一方、測定結果がばらついている場合には、CPU31は、8つのパッチ画像の分光特性を測定している途中で、画像表示装置4の表示状態が変化したものと判断する。つまり、分光特性の測定結果に関して、少なくとも一部は有効ではないと判断する。そして、この場合には、CPU31は、ステップS111で再測定処理を行った後でフローを終了する。
【0055】
図6は、再測定処理を行う際の制御装置3の動作を説明するためのフローチャートである。
図6に示すように、ステップS201では、CPU31は、9回測定された基準画像の測定結果に基づいて、8つのパッチ画像の中から再測定の対象となるパッチ画像を抽出する。例えば、CPU31は、9回測定された基準画像の測定結果(輝度)を複数の輝度範囲に分類させたヒストグラムを作成し、度数が最多となるグループ(輝度範囲)に属する測定結果と、それ以外のグループ(輝度範囲)に属する測定結果とに区分する。そして、後者の測定結果が測定されたときの直前及び直後に分光特性が測定されたパッチ画像を再測定の対象として抽出する。一方、これら以外のパッチ画像は、再測定の対象外となり、ステップS105で測定された分光特性の測定結果は有効となる。例えば、9回行われた基準画像の輝度測定のうち、1〜6回目の6つの測定結果が1つのグループに属し、7〜9回目の3つの測定結果が他のグループに属する場合には、7〜9回目の基準画像の測定の直前及び直後に測定が行われたパッチ画像、即ち6〜8回目に測定された3つのパッチ画像が再測定の対象となる(図5参照)。
【0056】
ステップS202では、CPU31は、ビデオコントローラー33に指示をして、画像表示装置4に基準画像を表示させ、ステップS203では、CPU31は、輝度の測定を指示するための制御情報を、シリアル通信コントローラー35から測定装置2に出力する。この結果、画像表示装置4が表示する基準画像の輝度が測定され、測定結果が制御装置3に出力される。
【0057】
ステップS204では、CPU31は、ステップS203で測定された基準画像の測定結果(輝度)に基づいて、画像表示装置4の表示状態が測定に適した状態であるか否か、即ち既に有効と判断された測定結果が測定されたときと略同一の表示状態であるか否かを判断する。例えば、CPU31は、ステップS203で測定された基準画像の測定結果(輝度)と、上述した度数が最多のグループに属する測定結果(輝度)の平均値との差を算出し、この差が所定の値より大きいか否かを判断する。そして、所定の値以下である場合には、略同一の表示状態であって測定に適した状態であると判断してステップS206に移行する。一方、所定の値よりも大きい場合には、表示状態が変化していて測定に適した状態ではないと判断してステップS205に移行し、所定時間待機する。その後、CPU31は、ステップS203に戻って、再び輝度を測定し、測定に適した状態となるまでこれを繰り返す。
【0058】
ステップS206に移行すると、CPU31は、ビデオコントローラー33に指示をして、再測定の対象のパッチ画像のうちの1つを画像表示装置4に表示させ、ステップS207では、CPU31は、分光特性の測定を指示するための制御情報を、シリアル通信コントローラー35から測定装置2に出力する。測定装置2の測定制御部22は、制御装置3からこの指示を受けると、測定部21に分光特性の測定を行わせる。この結果、画像表示装置4が表示するパッチ画像の分光特性が測定され、測定結果が制御装置3に出力される。そして、制御装置3は、入力された測定結果をハードディスクドライブ34aに記憶する。
【0059】
ステップS208では、CPU31は、ビデオコントローラー33に指示をして、画像表示装置4に再び基準画像を表示させ、ステップS209では、CPU31は、輝度の測定を指示するための制御情報を、シリアル通信コントローラー35から測定装置2に出力する。この結果、画像表示装置4が表示する基準画像の輝度が測定され、測定結果が制御装置3に出力される。
【0060】
ステップS210では、CPU31は、ステップS204と同様、ステップS209で測定された基準画像の測定結果(輝度)に基づいて、画像表示装置4の表示状態が測定に適した状態であるか否か、即ち既に有効と判断された測定結果が測定されたときと略同一の表示状態であるか否かを判断する。そして、測定に適した状態であると判断した場合には、ステップS212に移行する。一方、測定に適した状態ではないと判断した場合には、CPU31は、ステップS211に移行して、所定時間待機した後、ステップS203に戻る。このように、CPU31は、分光特性の測定の直前と直後において、画像表示装置4の表示状態が測定に適した状態となるまで、基準画像の輝度の測定と、パッチ画像の分光特性の測定とをやり直す。
【0061】
ステップS212に移行した場合には、CPU31は、測定結果を更新する。つまり、ステップS105で測定されてハードディスクドライブ34aに記憶されている測定結果(分光特性)に、ステップS207での再測定結果を反映させる。
【0062】
ステップS213では、CPU31は、再測定の対象として抽出されたすべてのパッチ画像について分光特性の再測定が終了したか否かを判断する。そして、すべての再測定が終了した場合には、メインのルーチン(図4参照)に復帰してフローを終了する。一方、すべての再測定が終了していない場合には、CPU31は、ステップS214に移行して、再測定の対象を次のパッチ画像に変更する。その後、ステップS206に戻り、このパッチ画像を画像表示装置4に表示させて分光特性を再測定する。
【0063】
以上説明したように、本実施形態の測定システム1によれば、以下の効果を得ることができる。
【0064】
(1)本実施形態の測定システム1によれば、パッチ画像を表示させて行う分光特性の測定と、基準画像を表示させて行う輝度の測定とを、パッチ画像の色を変えて複数回繰り返した後に、複数回分の輝度の測定結果に基づいて、分光特性の測定結果の有効性を判断している。つまり、複数の色のパッチ画像に関して、それぞれの分光特性を測定する際に、共通の基準画像の輝度を都度測定しているため、この輝度の変化に基づいて、分光特性の有効性を適切に判断することが可能となる。
【0065】
(2)本実施形態の測定システム1によれば、ステップS110において基準画像の輝度がばらついている場合には、ステップS111で分光特性を再測定するようにしている。このため、複数のパッチ画像の分光特性を測定している途中で、光源ランプ42aのアーク位置が変化したり、電源の供給状態が不安定になったりして、画像表示装置4の表示状態が変化した場合であっても、適切な測定結果を得ることが可能となる。
【0066】
なお、本実施形態において、パッチ画像の分光特性(分光強度)が、テスト画像に関する第1の測定値に相当し、基準画像の輝度が、基準画像に関する第2の測定値に相当する。また、パッチ画像の分光特性を測定するステップS105が第1の測定ステップに相当し、基準画像の輝度を測定するステップS103,S107が第2の測定ステップに相当する。また、測定された分光特性の有効性を、基準画像の測定結果(輝度)のばらつきに基づいて判断するステップS110が判断ステップに相当し、測定された分光特性が有効でなかった場合に再度測定を行うステップS111が再測定ステップに相当する。
【0067】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態の測定システムについて、図面を参照して説明する。
第1実施形態では、基準画像の測定結果(輝度)がばらついていた場合に、パッチ画像の分光特性を再測定するようにしていたが、本実施形態の測定システムは、基準画像の測定結果がばらついていた場合でも再測定は行わず、基準画像の測定結果(輝度)に基づいて、パッチ画像の測定結果(分光特性)を補正するようにしている。これ以外の構成、動作については第1実施形態と同一である。
【0068】
図7は、本実施形態の表示特性測定プログラムMPに基づく制御装置3の動作を説明するためのフローチャートである。表示特性測定プログラムMPがメモリー32に読み出され、CPU31がこのプログラムの実行を開始すると、制御装置3は、図7に示すフローに従って動作する。なお、本実施形態の表示特性測定プログラムMPも、8色のパッチ画像を画像表示装置4に表示させ、それぞれの分光特性を測定装置2に測定させるものである。
【0069】
図7に示すように、ステップS101〜S110は、第1実施形態と同一のステップである(図4参照)。ただし、ステップS110で基準画像の測定結果がばらついている場合には、第1実施形態における再測定処理(ステップS111)の代わりに、補正処理(ステップS112)を行うようになっている。
【0070】
図8は、補正処理を行う際の制御装置3の動作を説明するためのフローチャートである。
図8に示すように、ステップS301では、CPU31は、9回測定された基準画像の測定結果に基づいて、8つのパッチ画像の中から補正の対象となるパッチ画像を抽出する。例えば、第1実施形態におけるステップS201と同様、CPU31は、9回測定された基準画像の測定結果(輝度)を複数の輝度範囲に分類させたヒストグラムを作成し、度数が最多となるグループ(輝度範囲)に属する測定結果と、それ以外のグループ(輝度範囲)に属する測定結果とに区分する。そして、後者の測定結果が測定されたときの直前及び直後に分光特性が測定されたパッチ画像を補正の対象として抽出する。一方、これら以外のパッチ画像は、補正の対象外となり、ステップS105で測定された分光特性の測定結果は有効となる。
【0071】
ステップS302では、CPU31は、補正の対象として抽出されたパッチ画像の1つに対して、測定結果(分光特性)の補正を実施する。例えば、CPU31は、このパッチ画像の分光特性の測定(ステップS105)の直前及び直後に測定された基準画像の測定結果(輝度)の平均値A1を導出するとともに、上述した度数が最多のグループに属する測定結果(輝度)の平均値A2を導出する。そして、平均値A1に対する平均値A2の比(A2/A1)を、パッチ画像の測定結果に乗じることによって、補正を行う。
【0072】
ステップS303では、CPU31は、測定結果を更新する。つまり、ステップS105で測定されてハードディスクドライブ34aに記憶されている測定結果(分光特性)に、ステップS302での補正結果を反映させる。
【0073】
ステップS304では、CPU31は、補正の対象として抽出されたすべてのパッチ画像について分光特性の補正が終了したか否かを判断する。そして、すべての補正が終了した場合には、メインのルーチン(図7参照)に復帰してフローを終了する。一方、すべての補正が終了していない場合には、CPU31は、ステップS305に移行して、補正の対象を次のパッチ画像に変更する。その後、ステップS302に戻り、このパッチ画像の測定結果(分光特性)を補正する。
【0074】
以上説明したように、本実施形態の測定システム1によれば、第1実施形態の測定システム1と同様の効果とともに、以下の効果を得ることが可能となる。
【0075】
(1)本実施形態の測定システム1によれば、ステップS110において基準画像の輝度がばらついている場合には、測定された輝度に基づいて、ステップS112で分光特性を補正するようにしている。このため、複数のパッチ画像の分光特性を測定する際に、途中で画像表示装置4の表示状態が変化した場合であっても、適切な測定結果を得ることが可能となる。
【0076】
なお、本実施形態では、分光特性の補正を行うステップS112が補正ステップに相当する。
【0077】
また、本実施形態では、平均値A1と平均値A2との比(A2/A1)を乗じることによって、測定結果を補正する態様を示したが、補正の態様はこれに限定されない。例えば、パッチ画像の測定結果(分光特性)を補正するための補正量と、基準画像の測定結果(輝度)とを実験結果等に基づいて対応付けたテーブルを保持するようにして、測定された基準画像の輝度に対応する補正量をテーブルから読み出し、読み出した補正量に応じた補正を施すようにしてもよい。
【0078】
(変形例)
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0079】
上記実施形態では、基準画像の輝度の測定を9回行っており、これらの測定の間にパッチ画像の分光特性を測定している(図5参照)。つまり、基準画像の輝度の測定は、パッチ画像の分光特性の測定の前後双方で行われている。ただし、この態様に限定されるものではなく、基準画像の輝度の測定を、パッチ画像の分光特性の測定の前又は後のいずれか一方にのみ行うようにしてもよい。なお、この場合には、8色のパッチ画像について分光特性を測定するためには、基準画像の輝度を8回測定することになる。
【0080】
上記実施形態において、測定装置2と制御装置3とを一体的に構成することも可能である。また、上記実施形態の測定システム1を、測定対象である画像表示装置4の内部に包含させた態様にすることも可能である(例えば、図9参照)。このような態様では、測定システム1が画像表示装置4に内蔵されているため、表示特性の測定を容易に行うことが可能となる。なお、この態様では、外部から入力される画像情報に基づく画像を表示する状態と、内部の制御装置3(ビデオコントローラー33)から入力される画像情報に基づく画像(テスト画像)を表示する状態とを、画像表示装置4が切り替えできるようにして、表示特性の測定を行う際に後者(テスト画像)に切り替えるようにすればよい。
【0081】
上記実施形態では、画像表示装置4の表示特性の1つとして分光特性を測定しているが、測定すべき表示特性は、分光特性に限られず、色彩値等、他の特性であってもよい。
【0082】
上記実施形態では、パッチ画像の分光特性の測定に際して基準画像の輝度を測定し、輝度のばらつきにより、分光特性の測定結果の有効性を判断するようにしているが、基準画像について測定すべき測定値は輝度に限定されず、例えば、色彩値等であってもよい。或いは、基準画像についても分光特性を測定するようにしてもよい。ただし、測定や通信に要する時間を低減するためには、上記実施形態(輝度のみの測定)のように、測定すべき項目数は少ないほうが望ましい。
【0083】
上記実施形態では、基準画像として白色のパッチ画像を用いているが、基準画像はこれに限定されず、他の色のパッチ画像を用いてもよいし、パッチ画像以外の画像を用いてもよい。ただし、測定に要する時間を短縮するため、基準画像は、白色等、明るい色とするほうが望ましい。
【0084】
上記実施形態において、測定装置2と制御装置3との通信は、RS−232C規格に基づく通信に限定されない。例えば、USB(Universal Serial Bus)規格に基づく通信であってもよいし、パラレル通信であってもよい。また、無線通信を採用することも可能である。
【0085】
上記実施形態において、制御装置3は、キーボード36aやマウス36b等が外付けで接続されるデスクトップ型のパーソナルコンピューターを用いてもよいし、キーボード36a、ポインティングデバイス、モニター等が一体的に接続されるノート型のパーソナルコンピューターを用いることもできる。また、制御装置3は、パーソナルコンピューターに限定されず、専用の装置であってもよい。
【0086】
上記実施形態では、光変調装置として3つの液晶ライトバルブ43R,43G,43Bを用いた3板式のプロジェクターについて説明したが、これに限定されない。例えば、各画素の中にそれぞれR光、G光、B光を透過可能なサブ画素を含んだ1つの液晶パネルによって画像を形成する態様とすることも可能である。
【0087】
上記実施形態では、光変調装置として、透過型の液晶ライトバルブ43R,43G,43Bを用いているが、反射型の液晶パネル等、反射型の光変調装置を用いることも可能である。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、光源から射出された光を変調する微小ミラーアレイデバイス等を用いることもできる。
【0088】
上記実施形態では、光源装置42は、放電型の光源ランプ42aを備えて構成されているが、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)光源等の固体光源や、その他の光源を用いることもできる。
【0089】
上記実施形態では、画像表示装置4がプロジェクターの場合を例にして説明しているが、画像表示装置4はプロジェクターに限定されない。例えば、透過型のスクリーンを一体的に備えたリアプロジェクター、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、SED(Surface-conduction Electron-emitter Display)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等、他の画像表示装置に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0090】
1…測定システム、2…測定装置、3…制御装置、4…画像表示装置、21…測定部、22…測定制御部、23…通信部、31…CPU、32…メモリー、33…ビデオコントローラー、34…SATAインターフェイス、34a…ハードディスクドライブ、35…シリアル通信コントローラー、36…キーボード・マウスコントローラー、36a…キーボード、36b…マウス、37…バス、41…表示部、42…光源装置、42a…光源ランプ、42b…リフレクター、43R,43G,43B…液晶ライトバルブ、44…投写レンズ、45…液晶駆動部、46…画像情報入力部、47…画像処理部、SC…スクリーン、MP…表示特性測定プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示装置の表示特性を測定する測定方法であって、
前記画像表示装置に所定のテスト画像を表示させて、当該テスト画像に関する第1の特性値を測定する第1の測定ステップと、
前記画像表示装置に所定の基準画像を表示させて、当該基準画像に関する第2の特性値を測定する第2の測定ステップと、
前記第1の測定ステップ及び前記第2の測定ステップを、前記テスト画像の色を変えて複数回繰り返した後に、複数回分の前記第2の特性値に基づいて、前記第1の特性値の有効性を判断する判断ステップと、
を備えたことを特徴とする測定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の測定方法であって、
前記判断ステップにおいて、前記第1の特性値が有効ではないと判断された場合に、前記第1の測定値及び前記第2の測定値を再度測定する再測定ステップをさらに備えたことを特徴とする測定方法。
【請求項3】
請求項1に記載の測定方法であって、
前記判断ステップにおいて、前記第1の特性値が有効ではないと判断された場合に、前記第2の測定値に基づいて前記第1の特性値を補正する補正ステップをさらに備えたことを特徴とする測定方法。
【請求項4】
画像表示装置の表示特性を測定する測定システムであって、
前記画像表示装置の表示を制御する表示制御部と、
前記表示制御部が前記画像表示装置に所定のテスト画像を表示させている状態で、当該テスト画像に関する第1の特性値を測定するとともに、前記表示制御部が前記画像表示装置に所定の基準画像を表示させている状態で、当該基準画像に関する第2の特性値を測定する測定部と、
前記第1の測定値及び前記第2の測定値の測定を、前記テスト画像の色を変えて複数回繰り返した後に、複数回分の前記第2の特性値に基づいて、前記第1の特性値の有効性を判断する制御部と、
を備えたことを特徴とする測定システム。
【請求項5】
請求項4に記載の測定システムであって、
前記測定部は、前記制御部によって前記第1の特性値が有効ではないと判断された場合に、前記第1の測定値及び前記第2の測定値を再度測定することを特徴とする測定システム。
【請求項6】
請求項4に記載の測定システムであって、
前記制御部によって前記第1の特性値が有効ではないと判断された場合に、前記第2の測定値に基づいて前記第1の特性値を補正する補正部をさらに備えたことを特徴とする測定システム。
【請求項7】
画像を表示する表示部を有する画像表示装置であって、
前記表示部の表示を制御する表示制御部と、
前記表示制御部が前記表示部に所定のテスト画像を表示させている状態で、当該テスト画像に関する第1の特性値を測定するとともに、前記表示制御部が前記表示部に所定の基準画像を表示させている状態で、当該基準画像に関する第2の特性値を測定する測定部と、
前記第1の測定値及び前記第2の測定値の測定を、前記テスト画像の色を変えて複数回繰り返した後に、複数回分の前記第2の特性値に基づいて、前記第1の特性値の有効性を判断する制御部と、
を備えたことを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−123320(P2011−123320A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281296(P2009−281296)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】