説明

表示画面付き電子装置

【課題】自動的にユーザが個別に好ましいと感じる輝度に自動調整されるパネルコンピュータを提供すること。
【解決手段】常駐アプリケーションにより、データベースに表示画面の輝度変更操作履歴を記憶させておき、次に電源起動させると、表示画面の輝度をデータベースに記憶している上記の輝度変更操作履歴に従い自動変更させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルコンピュータ等の表示画面付き電子装置にかかり、特には、その表示画面の輝度を制御することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、パネルコンピュータは、一般に、タッチパネルと、タッチパネル下部に配置される液晶表示画面と、この液晶表示画面を背部から照明するバックライトと、を備えており、タッチパネル操作することでキーボードやマウスが不要なコンピュータとして広く利用されている(特許文献1)。このようなパネルコンピュータにおいて、液晶表示画面は、使用環境の明るさにより、その見えやすさが変わる。使用環境が明るければ、低輝度では画面が暗くなるから輝度を高くする必要があり、使用環境が暗ければ、高輝度では画面が明るくなりすぎるため、輝度を低くする必要がある。そこで、液晶表示画面の輝度調整は、上記バックライトの輝度を当該パネルコンピュータに付属されている物理的な操作ボタン、または輝度変更ソフトウエアに対するユーザ操作を通じて調整することで行われる。あるいは、そのようなユーザによる手動操作ではなく、バックライト輝度を明るさ検出センサのセンサ入力信号により調整することで自動的に輝度調整することも行われる。
【0003】
ところで、パネルコンピュータの設置ないし使用の環境は、例えば屋外、屋内、など様々である。また、パネルコンピュータの使用時刻、例えば日中、夜間などによって、同一輝度でも、表示画面が輝度不足であったり、その逆であったりする。また、同一の使用環境であっても、時間帯によっては輝度調整が必要となる場合がある。このようにパネルコンピュータでは、異なる使用環境はもちろんのこと、同一使用環境下であっても、使用時間帯の変化、等々により、画面の輝度調整が必要となる場合がある。
【0004】
しかしながら、このような輝度調整を手動で行うことはユーザにとりわずらわしいし、また、手動ではなく、センサで自動で一律に輝度調整するとしても、センサで自動調整された輝度が、個別のユーザにとり最適とする輝度とは相違する場合がある。
【特許文献1】再表00/073889
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明により解決すべき課題は、使用時刻、使用環境によって、ユーザが個別に好ましいと感じる輝度に変更操作した以降は、自動的にその輝度に自動調整される使用勝手に優れたパネルコンピュータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による表示画面付き電子装置は、電源起動すると常駐アプリケーションにより、表示画面の輝度変更操作履歴を記憶させる処理を行ない、また、表示画面の輝度を上記記憶している輝度変更操作履歴に従い自動変更させる処理を行う、ようになっていることを特徴とするものである。
【0007】
表示画面付き電子装置とはパネルコンピュータに限定されるものではなく、表示画面を備えた装置であれば含む。
【0008】
表示画面は液晶表示などその表示形態に特に限定しない。
【0009】
表示画面はタッチパネル付きであってもなくてもよい。
【0010】
上記記憶が行われる形式は特に限定しない。例えば、データベース形式でもよい。
【0011】
輝度変更操作履歴は、輝度変更の操作内容とその変更操作時の時刻とを関連付けした履歴である。この時刻は一日のうちの決まった時刻(デイリー)であってもよいし、一週間のうちの曜日(ウィークリー)であってもよい。そのための電子装置内部の時計が示す時刻が好ましい。また、例えば、毎週の決まった特定曜日に第1の輝度変更が行われ、他の曜日に第2の輝度変更が行われる場合では、その曜日に合わせて輝度が自動変更されるようにしてもよい。
【0012】
本発明では、ユーザが或る時刻では表示画面が見づらくなったので輝度調整した場合、次回からはその輝度調整が行われた時刻になれば、表示画面の輝度が自動変更され、ユーザは表示画面を見やすい状態で見ることができるようになる。よって、本発明では、次回以降は、手動で輝度調整する必要がなくなり、またセンサ等で一律に輝度調整するのではないから、ユーザ個々にとり最適な輝度で表示画面を見ることができる。
【0013】
好ましくは、上記輝度操作履歴をリセットまたは更新可能とすることである。
【0014】
好ましくは、上記常駐アプリケーションは、輝度調整が行われた使用環境の情報を関連付けて記憶させる処理を行い、上記情報の入力操作により上記情報対応の輝度調整内容で表示画面の輝度を自動変更させる処理を行うことである。
【0015】
この態様では、使用環境が同一であれば、同一時刻になると、輝度が自動変更されるので都合がよいが、使用環境が相違すれば、同一時刻でも好ましい輝度が相違してくることが考えられる。このような場合、使用環境と関連付けて輝度調整内容を記憶しておけば、或る使用環境で同一時刻での必要とする輝度と、別の使用環境で同一時刻で必要とする輝度とをそれぞれに自動変更され、ユーザにとり、使い勝手も優れたものとなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、表示画面の輝度を自動的にユーザが個別に好ましい感じる輝度に自動調整され、使用勝手に優れたパネルコンピュータを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係る表示画面付き電子装置を説明する。実施の形態では表示画面付き電子装置としてパネルコンピュータに適用する。図1にパネルコンピュータの概略構成を示す。図1において、1はCPU、2は操作部、3はデータベース、4は時計部、5は記憶部、6は輝度調整部、7はLCD(液晶表示装置)、8はタッチパネルである。
【0018】
操作部2は、輝度調整操作、パネルコンピュータの使用環境情報の入力操作、履歴情報のリセット操作、等を行うことができるようになっている。操作部2は、ハードウエアボタンで構成することができる。操作部2は、タッチパネル8とは別構成として図1に示されているが、タッチパネル8で構成してもよい。
【0019】
データベース3には、輝度変更の操作履歴が記憶されている。
【0020】
時計部4は、コンピュータ内部の時計であり、特に限定しないが、実施の形態では一日における時刻情報を提供するものである。
【0021】
記憶部5は、パネルコンピュータ用OS(パネルコンピュータ全体を管理する基本ソフトウエア:Windows、Linux、μITRON、等)、制御用ソフトウエア、各種アプリケーションのソフトウエア、データ等の格納に用いると共に、CPU1の作業、その他に用いる。この記憶部5としては、RAM、ROM、フラッシュROMなどがある。
【0022】
記憶部5に記憶されるアプリケーションには、実施の形態が特徴とする輝度変更操作記憶処理と輝度自動変更処理とを実行するアプリケーションがある。前者のアプリケーションは、輝度変更の内容と輝度変更時刻とを関連させ輝度変更操作履歴として記憶させる処理(以下、輝度変更操作履歴記憶処理という)を行うためのものであり、後者のアプリケーションは、液晶表示画面輝度を輝度変更操作履歴に従って自動変更させる処理(以下、輝度自動変更処理という)を行うためのものである。そしてこれら処理のためのアプリケーションはパネルコンピュータで常駐されており、電源起動と同時に実行されるようになっている。
【0023】
輝度調整部6はCPU1により制御されてLCD7の輝度を変更する。
【0024】
LCD7は、バックライトと液晶表示画面とを含めた液晶表示装置であり、LCD7の輝度変更とはこの液晶表示画面を照明するバックライトの輝度変更のことである。CPU1によりLCD7は制御される。
【0025】
タッチパネル8は液晶表示画面上に配置されてユーザの手指等による直接操作を可能としたものであり、特に詳細することを略する。タッチパネル8の操作はCPU1に入力され、LCD7にその操作に対応した画像が表示される一方、タッチパネル8の操作に対応した動作が行われる。
【0026】
図2を参照して電源起動した後、ステップn1で、ユーザによる操作部2を通じての操作によりLCD7の輝度が変更される。この変更した輝度はユーザにとり表示画面が周囲環境の明るさに合わせて見やすいとされる輝度である。
【0027】
ステップn2で、CPU1は、上記操作部2の操作入力から、輝度調整部6を制御してLCD7の輝度を変更する。
【0028】
ステップn3で、CPU1は、LCD7の起動変更操作時刻情報を時計部4から入手すると共に、ステップn4で、データベース3には輝度変更操作の内容と輝度変更操作が行われた時刻とを関連付けし、ステップn5で、それを輝度変更操作履歴としてデータベース3に記憶させる。
【0029】
以上のステップn1からn5までの輝度変更操作履歴記憶処理は上記したように常駐アプリケーションにより行われるようになっている。
【0030】
このLCD7の輝度変更操作時刻は、年月日、季節、一日でも午前、午後、深夜などさまざまである。実施の形態では1日24時間とし、例えば、1日のうち、輝度変更操作された時刻が午前7時、午後1時、午後5時の3回であったと仮定する。そうすると、CPU1は、輝度変更が午前7時−午後1時までの第1輝度、午後1時−午後5時までの第2輝度、午後5時から翌日午前7時までの第3輝度でそれぞれ行われたのでそれをデータベース3に記憶させる。そして、パネルコンピュータの電源が午前8時に入れられた場合、常駐アプリケーションが起動すると共に、CPU1は時計部4の時刻情報が午前8時であり、データベース3からは、午前7時−午後1時までの第1輝度で輝度を制御し、時刻が進み、午後1時になると、CPU1は、時計部4の時刻情報が午後1時であり、データベース3からは、午後1時−午後5時までの第2輝度で輝度を制御し、時刻が進み、午後5時になると、CPU1は、時計部4の時刻情報が午後5時であり、データベース3からは、午後5時から翌日午前7時までの第3輝度で輝度を制御する。
【0031】
次に、上記輝度調整は室内にパネルコンピュータが設置されていたが晴天での輝度調整であった。しかし、数日して曇りのため、以前の輝度変更では輝度不足であったのでユーザが例えば午前9時に輝度変更操作を行った場合、CPU1は、データベース3の記憶内容をリセットして書き換えるなどの更新処理をする。すなわち、1日のうち、輝度変更操作された時刻が以前では午前7時、午後1時、午後5時の3回で、輝度変更が午前7時−午後1時までの第1輝度、午後1時−午後5時までの第2輝度、午後5時から翌日午前7時までの第3輝度でそれぞれ行われたが、次では、午前9時の輝度変更操作が加わり、都合4回となる。しかし、前回では晴天での調整であったのに対して、今回は曇りであり、ユーザはそれまでデータベース3に記憶されていた晴天時での履歴情報をリセットし、曇天時での輝度変更操作を行うことができる。このリセット操作を行うと、輝度は午前9時の1回のみとなり、1日24時間この午前9時で行った輝度変更でLCD7を表示動作させる。そして、ユーザがまた、午後3時ごろに輝度変更を行うと、輝度変更は1日2回となり、午前9時−午後3時までの輝度と、午前3時から翌日午前9時までの輝度となる。この場合も、午後3時で行った輝度に合わせる場合は、再度、それまでデータベース3に記憶されていた履歴情報をリセットする操作を行うことができる。
【0032】
以上において、さらに、ユーザは、図3で示すように、ステップn6で、パネルコンピュータの使用環境情報を操作部2の操作を通じてCPU1に入力することができる。この使用環境情報は、例えば、室内、室外、晴天、曇天、などの情報であり、ステップn7で、CPU1は、操作部2の操作を通じて、輝度変更操作が行われた使用環境情報とそのときの輝度変更操作とをデータベース3に記憶させる。操作部2にはそのような使用環境情報を直接入力できる操作スイッチを設け、その操作スイッチの操作情報を使用環境情報としてCPU1に入力させる形式としてもよいし、タッチパネル8から入力させる形式でもよい。そして、CPU1は使用環境情報とその情報に対応した輝度変更操作情報とを関連付けしてデータベース3に記憶させる。
【0033】
例えば、ユーザのパネルコンピュータの常時使用環境が室内であり、その室内での輝度変更操作が上記のように行われた場合、また、使用環境が室外であり、その室外での輝度変更操作が上記のように行われた場合、それぞれ、輝度変更操作の内容は相違してくる。そこで、パネルコンピュータに使用環境情報を入力できる簡単な操作部2を設けておけば、使用環境情報をユーザがその操作部2の操作で選択すると、CPU1は、データベース3からその使用環境情報に見合う輝度とその使用環境での時刻とに対応した輝度履歴を読み出し、LCD7の輝度を調整することができる。
【0034】
次に上記各ステップによる輝度変更操作履歴記憶処理でデータベース3に輝度変更操作履歴が記憶されるので、次にパネルコンピュータの電源を入れると、図4で示すように、ステップn8で、CPU1は、記憶部5に記憶してある常駐アプリケーションを自動実行し、データベース3から輝度変更操作履歴を読み出し、その履歴に従い、輝度調整部6を制御してLCD7の輝度を自動変更する。
【0035】
以上説明したように本実施の形態では、輝度調整操作内容とその輝度調整が行われたコンピュータ内部時計での輝度調整操作時刻とを関連して輝度操作履歴として記憶する処理と、上記表示画面の輝度を上記記憶してある輝度操作履歴に従い自動変更する処理と、を実行するソフトウエアを常駐させてあるので、ユーザが或る時刻で表示画面が見づらくなったので輝度調整した場合、次回からはその輝度調整が行われた時刻になれば、表示画面の輝度が自動変更されて、ユーザにとり見やすい表示画面になる。よって、本発明では、一度、輝度変更操作すれば、次の電源起動以降は、手動で輝度調整する必要がなくなり、またセンサ等で一律に輝度調整するのではないから、ユーザ個々にとり最適な輝度で表示画面を見ることができる。
【0036】
なお、1台のパネルコンピュータを複数のユーザが共用する場合では、ユーザごとに行われた輝度調整を記憶しておき、ユーザごとに対応して輝度調整が自動的に行われるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は本発明の実施の形態によるパネルコンピュータの概略構成を示す図である。
【図2】図2は常駐アプリケーションにより輝度変更操作と時刻とを関連付けする履歴記憶処理を示すフローチャートである。
【図3】図3は常駐アプリケーションによる輝度変更操作と使用環境とを関連付けする履歴記憶処理を示すフローチャートである。
【図4】図4は常駐アプリケーションによる輝度自動調整処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
1 CPU
2 操作部
3 データベース
4 時計部
5 記憶部
6 輝度調整部
7 LCD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源起動すると常駐アプリケーションにより、
表示画面の輝度変更操作履歴を記憶させる処理を行ない、また、
表示画面の輝度を上記記憶している輝度変更操作履歴に従い自動変更させる処理を行う、
ようになっていることを特徴とする表示画面付きの電子装置。
【請求項2】
上記輝度操作履歴をリセットまたは更新可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記常駐アプリケーションは、
輝度調整が行われた使用環境の情報を関連付けて記憶させる処理を行い、
上記情報の入力操作により上記情報対応の輝度調整内容で表示画面の輝度を自動変更させる処理を行う、ことを特徴とする請求項1または2に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−107805(P2010−107805A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280905(P2008−280905)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
2.Linux
【出願人】(000167288)光洋電子工業株式会社 (354)
【Fターム(参考)】