表示装置、映像信号補正装置、映像信号補正方法
【課題】表示パネルが持つ輝度ムラや色度ムラを補正してユニフォミティを改善する場合に、ハードウエアによる演算として除算演算を行わずに加算、減算、乗算のみで補正値を算出できるようにし、補正演算の高速化、構成の簡易化、テーブル間隔設定の自由度の向上を図る。
【解決手段】映像信号補正部は、ルックアップテーブルを備えたメモリテーブル部と、各種演算回路により構成される補正演算部を有して成るが、ルックアップテーブルには、補正データをあらかじめ除算計算した形式で格納しておく。これにより補正演算部では、除算演算を行わずに、加算、減算、乗算の範囲の演算で、補間を含む補正値算出が実現できるようにする。
【解決手段】映像信号補正部は、ルックアップテーブルを備えたメモリテーブル部と、各種演算回路により構成される補正演算部を有して成るが、ルックアップテーブルには、補正データをあらかじめ除算計算した形式で格納しておく。これにより補正演算部では、除算演算を行わずに、加算、減算、乗算の範囲の演算で、補間を含む補正値算出が実現できるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、映像信号補正装置、映像信号補正方法に関し、表示パネルの特性として輝度ムラや色度ムラを補正して表示の均一性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2005−195832号公報
【0003】
上記特許文献1にも見られるように、ディスプレイデバイス(または単に表示パネル)が持つ輝度ムラや色度ムラを補正してユニフォミティを改善する事を目的とした、パネルのX方向、Y方向、および階調方向(Z方向)の座標によって補正値が決定される3D−γシステムとよばれるムラ補正装置が実用化されている。
このムラ補正装置は、テレビジョン装置その他の映像表示装置において、表示パネル部に供給する映像信号に対して補正処理を行う回路部として搭載される。
【0004】
図8に、ムラ補正回路による信号補正の例を示す。これは、表示パネルに対して、均一輝度画像が入力された時に、出力すべき輝度補正画像の2Dマップ図である。
例えば輝度値としての階調値が0〜1023の1024段階であるとする。仮に画面全体、つまり画面を構成する全画素に、階調値「512」という輝度信号を与えれば、画面全体が階調値「512」の均一な画像となるはずであるが、表示パネル自体の持つ輝度ムラ等により、画面上には512より暗い部分や明るい部分が発生する。これが、画面のユニフォミティが悪い状態である。これを改善するには、各画素に与える映像信号値を、輝度ムラの特性に応じて補正すればよい。
即ち無調整パネルの輝度が低い部分は高い輝度信号に、無調整パネルの輝度が高い部分は低い輝度信号に変換し、これを補正された映像信号として表示パネルに与えることで、所望の均一輝度画像が出力される。
例えば階調値「512」を与えても、画面上には「512」より暗くなる部分の画素には、その輝度の差に応じて「512」より高い階調値に補正した信号値を与える。
また階調値「512」を与えても、画面上には「512」より明るくなる部分の画素には、その輝度の差に応じて「512」より低い階調値に補正した信号値を与える。
【0005】
図8はこのような補正値としての階調値を画面平面に相当するXY平面上で示しており、各画素の濃淡で、補正された階調値を示している。
このように補正することで、表示パネルでの輝度ムラ特性によるユニフォミティの低下を防止し、より品質の良い画像表示ができる。
【0006】
3D−γシステムとしての、ムラ補正回路では、このような2Dマップを、いろいろな輝度の均一画像に対して用意している。
3D−γシステムのZ方向(階調方向)に注目してグラフ化したのが、図9のパネル輝度補正の入出力関数である。
パネルのユニフォミティが全く均一であれば入力信号をそのまま出力する直線グラフとなるが、図9のグラフは画素毎のユニフォミティを補正するためにバラツキを持っている事が示されている。
例えば入力側(横軸)の階調値Ainについてみると、補正された階調値としての出力側(縦軸)は、Aout1からAout2の範囲となる。これは全画素に階調値Ainとしての映像信号を与えて均一画像を表示させようとしたときには、実際に均一画像を表示するには、画素毎に階調値を補正することが必要で、その結果、各画素に対する補正値はAout1からAout2の範囲となるということである。
そしてこのような補正値の範囲は、階調値毎に異なる。この階調値毎のバラツキのため、上記の2Dマップは、階調値毎に持たなくてはならないものとなる。
【0007】
ムラ補正回路は、図10のようにルックアップテーブル部100と、補正演算回路101で構成される。
ルックアップテーブル部100には、上記2Dマップとしてのルックアップテーブルが階調値毎に記憶されている。各ルックアップテーブルには、入力される階調値に対して補正値としての階調値(もしくは補正された階調値を得るための係数)が、画素毎に記憶されている。
補正演算回路は、入力された元の映像信号値に対して、演算に必要な数値をその都度ルックアップテーブル部100から読み出し、それらの数値を使ってパネルの輝度ムラや色度ムラを補正出来るような映像信号値を計算し、出力する。
【0008】
ここで、X方向、Y方向、Z方向の全てにムラ補正データを保有しようとすると、データ量は莫大なものになり非現実的である。したがって、代表的なZ座標(階調値)についての2Dマップで補正値を格納し、それ以外の座標では代表的な補正値から推測して代用する方法が適用されることが多い。
例えば図9では、階調値(Z方向)として「0」〜「1023」の1024段階の階調値を想定しているが、ここで、1024個の2Dマップ(ルックアップテーブル)を保有して3D−γシステムを構築するのは実際的ではない。
そのため、「0」〜「1023」のうちで、「0」「64」「128」・・・「1023」など、Z方向に補正値を何点かサンプリングしたn個の代表入力値を設定し、そのnこの各代表入力値に対するn個のルックアップテーブルを保有するようにする。
そして入力される映像信号値が、サンプリングされていない階調値であった場合、その前後の階調値のルックアップテーブルに記憶された補正値を用いて補間演算を行うようにする。例えば線形補間計算により補正値を得る。これを図11で説明する。
【0009】
図11(b)は、ルックアップテーブル部100に格納されているn個のルックアップテーブルTB1,TB2・・・TB(n)を示しているとする。
図11(a)は、横軸に入力階調値、縦軸に補正された出力階調値を示している。
今、入力された映像信号の階調値がZinであり、この場合の入力階調値Zinに対するルックアップテーブルは用意されていないとする。
ここで、入力階調値Zinは、図11(b)のルックアップテーブルTB(m)、TB(m−1)の入力階調値の間の値であるとする。
つまりルックアップテーブルTB(m)が対応する入力階調値をZin2U、ルックアップテーブルTB(m−1)が対応する入力階調値をZin2Lとしたとき、図11(a)のように、今回の入力階調値ZinはZ座標値としてサンプリングしている階調値Zin2LとZin2Uの間にあったとする。
ここで、ルックアップテーブルTB(m)、TB(m−1)から読み出される補正値をZout2U、Zout2Lとする。すると、補正演算回路101では、補正された出力階調値Zoutを得るために、次の演算を行えばよい。
Zout={Zout2U×(Zin−Zin2L)+Zout2L×(Zin2U−Zin)}/(Zin2U−Zin2L) ・・・(式1)
【0010】
この演算を行う補正演算回路101としては、具体的には図12の回路構成となる。
減算器110では、入力階調値Zinから、ルックアップテーブルTB(m−1)の入力階調値(Z座標値としての代表入力値)Zin2Lを減算する。(Zin−Zin2L)
減算器111では、ルックアップテーブルTB(m)の入力階調値(Z座標値としての代表入力値)Zin2Uから入力階調値Zinを減算する。(Zin2U−Zin)
乗算器112では、減算器110の出力(Zin−Zin2L)と、ルックアップテーブルTB(m)の補正値(出力階調値)Zout2Uを乗算する。(Zout2U×(Zin−Zin2L))
乗算器113では、減算器111の出力(Zin2U−Zin)と、ルックアップテーブルTB(m−1)の補正値(出力階調値)Zout2Lを乗算する。(Zout2L×(Zin2U−Zin))
加算器114では、乗算器112,113の出力を加算する。((Zout2U×(Zin−Zin2L)+(Zout2L×(Zin2U−Zin))
減算器115では、ルックアップテーブルTB(m)の入力階調値(Z座標値)Zin2Uから、ルックアップテーブルTB(m−1)の入力階調値(Z座標値)Zin2Lを減算する。(Zin2U−Zin2L)
除算器116では、加算器114の出力から減算器115の出力を除算する。この除算器116の出力が上記式の演算結果となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、この図12の構成では、除算器116が含まれているが、一般的に除算器をハードウェアで実現するのは困難であり、システムコストが高価になったり、高速化が難しいといった問題点がある。
【0012】
この問題を回避する方法としては、上記(式1)の分母の整数値(Zin2U−Zin2L)を2のべき乗に取って、除算器をシフト演算器に置き換える方法が考えられる。シフト演算器は除算器に比べて単純な回路で実現出来るからである。
ただし、その場合はZ軸(階調値)方向に、代表入力値としてサンプリングする間隔を必ず2のべき乗で行わなくてはならないので、代表入力値の設定の自由度を制限されることになる。
例えば、Z方向のサンプリングでは輝度の暗い範囲や明るい範囲を細かく取るような不等間隔サンプリングを行うなど、代表入力値について柔軟な設定を行いたいところであるが、シフト演算器のみでそれを実現しようとするのは不可能であった。
【0013】
そこで本発明では、表示パネルが持つ輝度ムラや色度ムラを補正してユニフォミティを改善する場合に、ハードウエアによる演算として除算演算を行わずに加算、減算、乗算のみで補正値を算出できるようにし、上記の問題を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の表示装置は、表示パネル上で、供給された映像信号による映像表示を行う表示部と、上記表示部に供給する映像信号について、上記表示パネルの特性に応じた補正処理として、入力される映像信号値に対し、除算演算を含む演算によって得られる補正された映像信号値を出力する映像信号補正部とを備える。
そして上記映像信号補正部は、 映像信号値としての複数の代表入力値にそれぞれ対応する複数の参照テーブルを有し、各参照テーブルには、上記除算演算の演算結果値が予め記憶されているメモリテーブル部と、入力された映像信号値と、上記メモリテーブル部における、上記入力された映像信号値に応じた参照テーブルから読み出した上記演算結果値を用い、加算、減算、乗算の全部又は一部を用いた演算により、補正された映像信号値を算出する補正演算部とを有する。
【0015】
また、上記除算演算を含む演算処理は、
Zout={Zout2U/(Zin2U−Zin2L)}×(Zin−Zin2L)+{Zout2L/(Zin2U−Zin2L)}×(Zin2U−Zin)
である。
但し、
Zoutは補正された映像信号値、
Zinは上記補正演算部に入力された映像信号値、
Zin2U、Zin2Lは、上記入力された映像信号値に応じた2つの上記参照テーブルについての代表入力値、
Zout2U、Zout2Lは、Zin2U、Zin2Lにそれぞれ対応する補正値、
Zout2U/(Zin2U−Zin2L)、Zout2L/(Zin2U−Zin2L)は、上記入力された映像信号値に応じた2つの上記参照テーブルから読み出される上記演算結果値である。
【0016】
この場合、上記補正演算部は、(Zin−Zin2L)の減算を行う第1の減算器と、
(Zin2U−Zin)の減算を行う第2の減算器と、上記第1の減算器の出力(Zin−Zin2L)と、上記演算結果値{Zout2U/(Zin2U−Zin2L)}の乗算を行う第1の乗算器と、上記第2の減算器の出力(Zin2U−Zin)と、上記演算結果値{Zout2L/(Zin2U−Zin2L)}の乗算を行う第2の乗算器と、上記第1,第2の乗算器の出力を加算する加算器とを備えて構成する。
【0017】
また、映像信号値としての最小値から最大値までを略等間隔に分割するように上記代表入力値を設定し、上記メモリテーブル部には、略等間隔の複数の上記代表入力値のそれぞれについての上記参照テーブルが用意されているようにする。
或いは、映像信号値としての最小値から最大値までを不等間隔に分割するように上記代表入力値を設定し、上記メモリテーブル部には、不等間隔の複数の上記代表入力値のそれぞれについての上記参照テーブルが用意されているようにする。
【0018】
本発明の映像信号補正装置は、表示パネル上で供給された映像信号による映像表示を行う表示部に対して供給する映像信号についての、上記表示パネルの特性に応じた補正処理として、入力される映像信号値に対して除算演算を含む演算によって得られる補正された映像信号値を出力する映像信号補正装置であって、 映像信号値としての複数の代表入力値にそれぞれ対応する複数の参照テーブルを有し、各参照テーブルには、上記除算演算の演算結果値が予め記憶されているメモリテーブル部と、入力された映像信号値と、上記メモリテーブル部における、上記入力された映像信号値に応じた参照テーブルから読み出した上記演算結果値を用いた、加減算演算及び/又は乗算演算により、補正された映像信号値を算出する補正演算部とを備える。
【0019】
本発明の映像信号補正方法は、表示パネル上で供給された映像信号による映像表示を行う表示部に対して供給する映像信号についての、上記表示パネルの特性に応じた補正処理として、入力される映像信号値に対して除算演算を含む演算によって得られる補正された映像信号値を出力する映像信号補正方法として、映像信号値としての複数の代表入力値にそれぞれ対応する複数の参照テーブルを有し、各参照テーブルには、上記除算演算の演算結果値が予め記憶されているメモリテーブル部を参照して、入力された映像信号値に応じた参照テーブルから上記演算結果値を読み出すステップと、入力された映像信号値と、上記演算結果値を用い、加算、減算、乗算の全部又は一部を用いた演算により、補正された映像信号値を算出するステップとを備える。
【0020】
即ち本発明では、表示パネルが持つ輝度ムラや色度ムラを補正してユニフォミティを改善する事を目的とした、表示パネルのX方向、Y方向、および階調方向(Z方向)の座標によって補正値が決定される3D−γシステムとしての映像信号補正装置構成に関する。そして映像信号補正部(映像信号補正装置)は、参照テーブル(ルックアップテーブル)を備えたメモリテーブル部と、各種演算回路により構成される補正演算部を有して成るが、参照テーブルには、補正データをあらかじめ除算計算した形式で格納しておく。これにより補正演算部では、除算演算を行わずに、加算、減算、乗算の範囲の演算で、補間を含む補正値算出が実現できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、3D−γの階調方向を線形補間演算する補正演算部の回路構成において、ハードウェアとして除算器を含まないで構成できる。
これによって、システムコストが高価になったり、高速化が難しいといった問題点を解消できる。
そしてさらに、除算器を用いないことで、除算器の簡易化のために、Z軸(階調値)方向に代表入力値としてサンプリングする間隔を必ず2のべき乗で行わなくてはならないという制限が無くなる。
つまり、代表入力値の設定を2のべき乗以外の任意の間隔を自由に選択でき、略等間隔、不等間隔の設定も可能となるし、補正演算部としての回路構成が固定された後からでも間隔を変更できるなど、代表入力値の設定の自由度を広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は実施の形態の表示装置の要部の構成のブロック図である。この表示装置は、テレビジョン受像器、モニタディスプレイ装置、各種情報機器の表示装置部などとして適用できるものである。
映像信号処理部2は、入力信号に応じて映像信号処理を行う。例えばテレビジョン受像器であれば、入力信号は受信放送信号となり、映像信号処理部2は受信信号から映像信号を抽出する処理を行う。また映像再生機器であれば、入力信号は記録媒体から読み出された信号であり、映像信号処理部2は映像信号の再生処理を行う。ネットワーク機器であれば、ネットワーク通信により得られた入力信号に対して、映像信号処理部2は通信データのデコード処理などを行う。
即ちここでは映像信号処理部2は、何らかの伝送路から入力されてくる映像信号を抽出し、必要な処理を行って、例えばRGB映像信号として出力する部位として示している。
【0023】
映像信号処理部2から出力されるR信号、G信号、B信号としての映像信号は、ムラ補正部3に供給される。ムラ補正部3は、表示パネル1のムラ特性(輝度ムラ、色度ムラ)に応じた補正処理として、入力されるR、G、Bの各映像信号値に対し、除算演算を含む演算により得られる、補正された映像信号値を出力する。詳しくは後述する。
タイミングコントローラ4は、ムラ補正部3で補正されたRGB映像信号を、所定のタイミング毎にデータドライバ5に与えると共に、所定のゲートドライバ6に走査タイミングを与える。
表示パネル1は、例えば有機EL(Electroluminescence)ディスプレイパネルや液晶パネルなどとされ、水平方向(X方向)、垂直方向(Y方向)に画素回路がマトリクス状に配列されて成る。そしてゲートドライバ6によるラインスキャンタイミング毎にデータドライバ5から供給される映像信号値によって、1ライン単位で画素回路が駆動されることで映像表示を行う。
【0024】
例えばこのような表示装置において本実施の形態ではムラ補正部3に特徴を有する。
ムラ補正部3の構成例を図2に示す。
ムラ補正部3は、R信号、G信号、B信号のそれぞれに対応して映像信号値のムラ補正を行う回路構成とされる。R信号に対応する構成として、R用LUT(ルックアップテーブル)部11R、補正演算回路10R、レジスタ12Rを備える。またG信号に対応する構成として、G用LUT部11G、補正演算回路10G、レジスタ12Gを備え、B信号に対応する構成として、B用LUT部11B、補正演算回路10B、レジスタ12Bを備える。
【0025】
R用LUT部11R、G用LUT部11G、B用LUT部11Bは、例えばD−RAM(Dynamic Random Access Memory)や、D−RAMの一種であるSD−RAM(Synchronous DRAM)を用いて用意される。本例では、R用LUT部11R、G用LUT部11G、B用LUT部11Bは、それぞれ、例えば図4に示すように17個のルックアップテーブルTB0、TB1・・・TB16を備えたものとされる。
図5(a)には、代表入力値として、階調値「0」〜「1023」を略等間隔に分割した例を示しているが、例えば図4のルックアップテーブルTB0〜TB16は、この等間隔分割した代表入力値に対応するものとされる。
すると、ルックアップテーブルTB0は、階調値「0」に対応するテーブルメモリとされ、ルックアップテーブルTB1は、階調値「64」に対応するテーブルメモリとされ、・・・ルックアップテーブルTB16は、階調値「1023」に対応するテーブルメモリとされる。
各ルックアップテーブルTB0〜TB16には、それぞれの代表入力値に応じて、表示パネルのXY方向の各画素に対応した補正演算用の値が格納されている。
そして特に本例の場合、ムラ補正部3は除算演算を含む演算処理で補正値を出力するが、各ルックアップテーブルTB0〜TB16に格納されている補正演算用の値とは、上記の除算演算の演算結果値とされる。
【0026】
図2に示すレジスタ12R、12G、12Bは、それぞれR用LUT部11R、G用LUT部11G、B用LUT部11Bの各ルックアップテーブルTB0〜TB16の代表入力値が記憶されている。例えば各ルックアップテーブルTB0〜TB16の代表入力値として図5(a)に示した「0」「64」「128」・・・「1023」の値が記憶されている。
なお、R用LUT部11R、G用LUT部11G、B用LUT部11Bのそれぞれにおいて、図4のようにルックアップテーブルTBの数や代表入力値が同一であれば、レジスタ12R、12G、12BとしてR、G、Bの各系統のそれぞれに対応して設けなくても、R、G、B系統に共通で1つのレジスタを用いるようにしてもよい。ただし、色毎にルックアップテーブルTBとしての数や代表入力値を変えることも想定する場合は、レジスタ12R、12G、12Bとして、R、G、Bの各系統のそれぞれに対応して設けることが適切となる。
【0027】
補正演算回路10R、10G、10Bは、それぞれ図3に示すように、減算器21,22、乗算器23,24,加算器25を有する構成とされる。
補正演算回路10Rは、R信号として映像信号値Zinが入力されると、R用LUT部11Rから映像信号値Zinに対応した2つのルックアップテーブルから補正演算用の値(除算演算の演算結果値)を読み出し、またレジスタ12Rから、該2つのルックアップテーブルについての代表入力値を読み出し、これらの値を用いて、加算、減算、乗算のみで補正値として映像信号値Zoutを算出し、出力する。
補正演算回路10Gも同様であり、補正演算回路10GはG信号としての映像信号値Zinと、G用LUT部11Gから読み出した値と、レジスタ12Gから読み出した値を用いて補正値として映像信号値Zoutを算出し、出力する。
補正演算回路10Bも同様に、B信号としての映像信号値Zinと、B用LUT部11Bから読み出した値と、レジスタ12Bから読み出した値を用いて補正値として映像信号値Zoutを算出し、出力する。
【0028】
このようなムラ補正部3の動作について説明する。
先に、図10、図12に示した従来の補正演算回路101で行う演算を(式1)として示したが、上記(式1)を展開すると次のような(式2)になる。
Zout={Zout2U/(Zin2U−Zin2L)}×(Zin−Zin2L)+{Zout2L/(Zin2U−Zin2L)}×(Zin2U−Zin) ・・・(式2)
この(式2)の各項は次のとおりである。
Zoutは補正された映像信号値であり、本例の場合、補正演算回路10(10R、10G、10B)の出力値となる。
Zinは補正演算回路10(10R、10G、10B)に入力された映像信号値である。
Zin2U、Zin2Lは、入力された映像信号値Zinに応じて選ばれる2つのルックアップテーブルTB(m)、TB(m−1)についての代表入力値である。図11で説明したように、線形補間のためには、入力映像信号値Zinに対して、代表入力値がその前後となる2つのルックアップテーブルTB(m)、TB(m−1)が選択される。
代表入力値が入力映像信号値Zinより大きい値の方のルックアップテーブルTB(m)の代表入力値をZin2U、代表入力値が入力映像信号値Zinより小さい値の方のルックアップテーブルTB(m)の代表入力値をZin2Lとしている。
図6に、入力された映像信号値Zinに応じて選ばれる2つのルックアップテーブルTB(m)、TB(m−1)を模式的に示しているが、例えば図5(a)の代表入力値によってルックアップテーブルTB0〜TB16が形成されている場合において、入力映像信号値Zin=500のときは、ルックアップテーブルTB(m)=TB8、ルックアップテーブルTB(m−1)=TB7となる。
【0029】
Zout2U/(Zin2U−Zin2L)は、代表入力値Zin2UのルックアップテーブルTB(m)に格納されている補正演算用の値である。
Zout2L/(Zin2U−Zin2L)は、代表入力値Zin2LのルックアップテーブルTB(m−1)に格納されている補正演算用の値である。
つまり、これらは、入力された映像信号値Zinに応じた2つのルックアップテーブルTB(m)、TB(m−1)から読み出される、除算演算結果としての演算結果値である。
【0030】
演算結果値Zout2U/(Zin2U−Zin2L)、及びZout2L/(Zin2U−Zin2L)は、予め各項の値が既知であるため、予め計算し、ルックアップテーブルTB0〜TB16に格納しておくことができる。
即ち(Zin2U−Zin2L)は、代表入力値が隣り合う二つのルックアップテーブルTBm、TB(m−1)の代表入力値の差分である。
例えばルックアップテーブルTBm、TB(m−1)が、ルックアップテーブルTB2、TB1である場合は、図5(a)の代表入力値の差分として(Zin2U−Zin2L)は(128−64)の値となる。
また、Zout2U、Zout2Lは、Zin2U、Zin2Lにそれぞれ対応する補正値であり、従来方式では、ルックアップテーブルに格納されていた値である。
従って演算結果値Zout2U/(Zin2U−Zin2L)、及びZout2L/(Zin2U−Zin2L)は、あらかじめ算出することができ、この値をルックアップテーブルTB0〜TB16に格納しておけばよく、ハードウェアでリアルタイム計算する必要はない。
【0031】
ルックアップテーブルTB0〜TB16に、このような演算結果値を格納しておくことで、補正演算回路10(10R、10G、10B)では、図3の構成により、補正された出力映像信号値Zoutを算出できる。
【0032】
減算器21では、入力映像信号値Zinから、入力映像信号値Zinに応じて選択された一方のルックアップテーブルTB(m−1)の代表入力値Zin2Lの減算を行う。(Zin−Zin2L)
なお代表入力値Zin2Lは、レジスタ12(12R、12G、12B)から読み出されて減算器21に供給される。
【0033】
乗算器23では、減算器21の出力と、ルックアップテーブルTB(m)から読み出される演算結果値Zout2U/(Zin2U−Zin2L)を乗算する。{Zout2U/(Zin2U−Zin2L)}×(Zin−Zin2L)
図6のように、入力映像信号値ZinがルックアップテーブルTB(m)、TB(m−1)のX、Y座標としての画素G1の信号値である場合、ルックアップテーブルTB(m)で、画素G1としてのX、Y座標値において記憶されている演算結果値が、Zout2U/(Zin2U−Zin2L)として読み出されて乗算器23に供給される。
【0034】
減算器22では、入力映像信号値Zinに応じて選択された他方のルックアップテーブルTB(m)の代表入力値Zin2Uから、入力映像信号値Zinの減算を行う。(Zin2U−Zin)
代表入力値Zin2Uは、レジスタ12(12R、12G、12B)から読み出されて減算器22に供給される。
【0035】
乗算器24では、減算器22の出力と、ルックアップテーブルTB(m−1)から読み出される演算結果値Zout2L/(Zin2U−Zin2L)を乗算する。{Zout2L/(Zin2U−Zin2L)}×(Zin2U−Zin)
図6のように、ルックアップテーブルTB(m−1)で、画素G1としてのX、Y座標値において記憶されている演算結果値が、Zout2L/(Zin2U−Zin2L)として読み出されて乗算器24に供給される。
【0036】
加算器25では、乗算器23,24の出力が加算される。この加算器25の出力は、上記(式2)の演算結果であり、出力映像信号値Zoutとなる。
これにより、線形補間によって入力映像信号値Zinに対するムラ補正を行った出力映像信号値Zoutを得ることができる。
【0037】
なお、入力映像信号値Zinが、或る代表入力値に一致する場合も、この図3の回路でそのまま出力映像信号値Zoutが算出される。
例えば入力映像信号値Zin=Zin2Lの場合を考えると、乗算器23の出力は「0」となる。
また(Zin2U−Zin2L)=(Zin2U−Zin)となり、乗算器24の出力はZout2Lとなる。従って、加算器25の出力映像信号値Zout=Zout2Lとなり、つまりZin(=Zin2L)に対応する補正値としての映像信号値が得られる。
【0038】
本実施の形態によれば、以上のように、3D−γの階調方向を線形補間演算する補正演算回路10を、ハードウェアとして除算器を含まない構成で実現できる。
これによって、システムコストが高価になったり、高速化が難しいといった問題点を解消できる。
【0039】
そしてさらに、除算器を用いないことで、除算器の簡易化のために、Z軸(階調値)方向に代表入力値としてサンプリングする間隔を必ず2のべき乗で行わなくてはならないという制限が無くなる。
階調分割は次の3つが考えられる。
(1)等間隔
(2)不等間隔(ただし間隔は固定で2のべき乗)
(3)不等間隔(間隔は任意)
本例のように、補正演算回路10に除算器を用いないことで、これらのいずれも対応可能である。
【0040】
上述してきたように図5(a)は等間隔に階調分割した例であるが、入力映像信号値Zinと補正された出力映像信号値Zoutの関係において、ルックアップテーブルTB0〜TB16は図7(a)のように、等間隔設定されるものとなる。
なお、この図7で各ルックアップテーブルTB0〜TB16を示す線は、その代表入力値に対して、補正された出力映像信号値Zoutとしての数値の範囲、即ち全画面均一輝度入力を考えた場合の、補正された階調値のバラツキ範囲を示している。
一方、図5(b)は、不等間隔に階調分割した例を示している。この図5(b)の代表入力値の設定の場合を図7(b)に示す。
この図7(b)のように、輝度の暗い範囲や明るい範囲を細かく取るような不等間隔サンプリングを行うなど、代表入力値について柔軟な設定を行うことも容易に可能となる。
このように、代表入力値の設定を2のべき乗以外の任意の間隔を自由に選択でき、略等間隔、不等間隔の設定も可能となるし、補正演算部としての回路構成が固定された後からでも間隔を変更できるなど、代表入力値の設定の自由度を広げることができる。
【0041】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、上記例以外にも、各種の変形例が考えられることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態の表示装置のブロック図である。
【図2】実施の形態のムラ補正部のブロック図である。
【図3】実施の形態のムラ補正部の補正演算回路の回路図である。
【図4】実施の形態のルックアップテーブルの説明図である。
【図5】実施の形態のルックアップテーブルの代表入力値の説明図である。
【図6】実施の形態のルックアップテーブルからの演算結果値読み出しの説明図である。
【図7】実施の形態の代表入力値の等間隔設定と不等間隔設定の説明図である。
【図8】ムラ補正のための2Dマップの説明図である。
【図9】補正テーブルの入力値と補正値の関係の説明図である。
【図10】補正回路構成の説明図である。
【図11】補正演算における線形補間の説明図である。
【図12】従来の補正演算回路の回路図である。
【符号の説明】
【0043】
1 表示パネル、3 ムラ補正部、10,10R,10G,10B 補正演算回路、11R R用LUT部、11G G用LUT部、11B B用LUT部、12,12R,12G,12B レジスタ、21,22 減算器、23,24 乗算器、25 加算器、TB0〜TB16 ルックアップテーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、映像信号補正装置、映像信号補正方法に関し、表示パネルの特性として輝度ムラや色度ムラを補正して表示の均一性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2005−195832号公報
【0003】
上記特許文献1にも見られるように、ディスプレイデバイス(または単に表示パネル)が持つ輝度ムラや色度ムラを補正してユニフォミティを改善する事を目的とした、パネルのX方向、Y方向、および階調方向(Z方向)の座標によって補正値が決定される3D−γシステムとよばれるムラ補正装置が実用化されている。
このムラ補正装置は、テレビジョン装置その他の映像表示装置において、表示パネル部に供給する映像信号に対して補正処理を行う回路部として搭載される。
【0004】
図8に、ムラ補正回路による信号補正の例を示す。これは、表示パネルに対して、均一輝度画像が入力された時に、出力すべき輝度補正画像の2Dマップ図である。
例えば輝度値としての階調値が0〜1023の1024段階であるとする。仮に画面全体、つまり画面を構成する全画素に、階調値「512」という輝度信号を与えれば、画面全体が階調値「512」の均一な画像となるはずであるが、表示パネル自体の持つ輝度ムラ等により、画面上には512より暗い部分や明るい部分が発生する。これが、画面のユニフォミティが悪い状態である。これを改善するには、各画素に与える映像信号値を、輝度ムラの特性に応じて補正すればよい。
即ち無調整パネルの輝度が低い部分は高い輝度信号に、無調整パネルの輝度が高い部分は低い輝度信号に変換し、これを補正された映像信号として表示パネルに与えることで、所望の均一輝度画像が出力される。
例えば階調値「512」を与えても、画面上には「512」より暗くなる部分の画素には、その輝度の差に応じて「512」より高い階調値に補正した信号値を与える。
また階調値「512」を与えても、画面上には「512」より明るくなる部分の画素には、その輝度の差に応じて「512」より低い階調値に補正した信号値を与える。
【0005】
図8はこのような補正値としての階調値を画面平面に相当するXY平面上で示しており、各画素の濃淡で、補正された階調値を示している。
このように補正することで、表示パネルでの輝度ムラ特性によるユニフォミティの低下を防止し、より品質の良い画像表示ができる。
【0006】
3D−γシステムとしての、ムラ補正回路では、このような2Dマップを、いろいろな輝度の均一画像に対して用意している。
3D−γシステムのZ方向(階調方向)に注目してグラフ化したのが、図9のパネル輝度補正の入出力関数である。
パネルのユニフォミティが全く均一であれば入力信号をそのまま出力する直線グラフとなるが、図9のグラフは画素毎のユニフォミティを補正するためにバラツキを持っている事が示されている。
例えば入力側(横軸)の階調値Ainについてみると、補正された階調値としての出力側(縦軸)は、Aout1からAout2の範囲となる。これは全画素に階調値Ainとしての映像信号を与えて均一画像を表示させようとしたときには、実際に均一画像を表示するには、画素毎に階調値を補正することが必要で、その結果、各画素に対する補正値はAout1からAout2の範囲となるということである。
そしてこのような補正値の範囲は、階調値毎に異なる。この階調値毎のバラツキのため、上記の2Dマップは、階調値毎に持たなくてはならないものとなる。
【0007】
ムラ補正回路は、図10のようにルックアップテーブル部100と、補正演算回路101で構成される。
ルックアップテーブル部100には、上記2Dマップとしてのルックアップテーブルが階調値毎に記憶されている。各ルックアップテーブルには、入力される階調値に対して補正値としての階調値(もしくは補正された階調値を得るための係数)が、画素毎に記憶されている。
補正演算回路は、入力された元の映像信号値に対して、演算に必要な数値をその都度ルックアップテーブル部100から読み出し、それらの数値を使ってパネルの輝度ムラや色度ムラを補正出来るような映像信号値を計算し、出力する。
【0008】
ここで、X方向、Y方向、Z方向の全てにムラ補正データを保有しようとすると、データ量は莫大なものになり非現実的である。したがって、代表的なZ座標(階調値)についての2Dマップで補正値を格納し、それ以外の座標では代表的な補正値から推測して代用する方法が適用されることが多い。
例えば図9では、階調値(Z方向)として「0」〜「1023」の1024段階の階調値を想定しているが、ここで、1024個の2Dマップ(ルックアップテーブル)を保有して3D−γシステムを構築するのは実際的ではない。
そのため、「0」〜「1023」のうちで、「0」「64」「128」・・・「1023」など、Z方向に補正値を何点かサンプリングしたn個の代表入力値を設定し、そのnこの各代表入力値に対するn個のルックアップテーブルを保有するようにする。
そして入力される映像信号値が、サンプリングされていない階調値であった場合、その前後の階調値のルックアップテーブルに記憶された補正値を用いて補間演算を行うようにする。例えば線形補間計算により補正値を得る。これを図11で説明する。
【0009】
図11(b)は、ルックアップテーブル部100に格納されているn個のルックアップテーブルTB1,TB2・・・TB(n)を示しているとする。
図11(a)は、横軸に入力階調値、縦軸に補正された出力階調値を示している。
今、入力された映像信号の階調値がZinであり、この場合の入力階調値Zinに対するルックアップテーブルは用意されていないとする。
ここで、入力階調値Zinは、図11(b)のルックアップテーブルTB(m)、TB(m−1)の入力階調値の間の値であるとする。
つまりルックアップテーブルTB(m)が対応する入力階調値をZin2U、ルックアップテーブルTB(m−1)が対応する入力階調値をZin2Lとしたとき、図11(a)のように、今回の入力階調値ZinはZ座標値としてサンプリングしている階調値Zin2LとZin2Uの間にあったとする。
ここで、ルックアップテーブルTB(m)、TB(m−1)から読み出される補正値をZout2U、Zout2Lとする。すると、補正演算回路101では、補正された出力階調値Zoutを得るために、次の演算を行えばよい。
Zout={Zout2U×(Zin−Zin2L)+Zout2L×(Zin2U−Zin)}/(Zin2U−Zin2L) ・・・(式1)
【0010】
この演算を行う補正演算回路101としては、具体的には図12の回路構成となる。
減算器110では、入力階調値Zinから、ルックアップテーブルTB(m−1)の入力階調値(Z座標値としての代表入力値)Zin2Lを減算する。(Zin−Zin2L)
減算器111では、ルックアップテーブルTB(m)の入力階調値(Z座標値としての代表入力値)Zin2Uから入力階調値Zinを減算する。(Zin2U−Zin)
乗算器112では、減算器110の出力(Zin−Zin2L)と、ルックアップテーブルTB(m)の補正値(出力階調値)Zout2Uを乗算する。(Zout2U×(Zin−Zin2L))
乗算器113では、減算器111の出力(Zin2U−Zin)と、ルックアップテーブルTB(m−1)の補正値(出力階調値)Zout2Lを乗算する。(Zout2L×(Zin2U−Zin))
加算器114では、乗算器112,113の出力を加算する。((Zout2U×(Zin−Zin2L)+(Zout2L×(Zin2U−Zin))
減算器115では、ルックアップテーブルTB(m)の入力階調値(Z座標値)Zin2Uから、ルックアップテーブルTB(m−1)の入力階調値(Z座標値)Zin2Lを減算する。(Zin2U−Zin2L)
除算器116では、加算器114の出力から減算器115の出力を除算する。この除算器116の出力が上記式の演算結果となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、この図12の構成では、除算器116が含まれているが、一般的に除算器をハードウェアで実現するのは困難であり、システムコストが高価になったり、高速化が難しいといった問題点がある。
【0012】
この問題を回避する方法としては、上記(式1)の分母の整数値(Zin2U−Zin2L)を2のべき乗に取って、除算器をシフト演算器に置き換える方法が考えられる。シフト演算器は除算器に比べて単純な回路で実現出来るからである。
ただし、その場合はZ軸(階調値)方向に、代表入力値としてサンプリングする間隔を必ず2のべき乗で行わなくてはならないので、代表入力値の設定の自由度を制限されることになる。
例えば、Z方向のサンプリングでは輝度の暗い範囲や明るい範囲を細かく取るような不等間隔サンプリングを行うなど、代表入力値について柔軟な設定を行いたいところであるが、シフト演算器のみでそれを実現しようとするのは不可能であった。
【0013】
そこで本発明では、表示パネルが持つ輝度ムラや色度ムラを補正してユニフォミティを改善する場合に、ハードウエアによる演算として除算演算を行わずに加算、減算、乗算のみで補正値を算出できるようにし、上記の問題を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の表示装置は、表示パネル上で、供給された映像信号による映像表示を行う表示部と、上記表示部に供給する映像信号について、上記表示パネルの特性に応じた補正処理として、入力される映像信号値に対し、除算演算を含む演算によって得られる補正された映像信号値を出力する映像信号補正部とを備える。
そして上記映像信号補正部は、 映像信号値としての複数の代表入力値にそれぞれ対応する複数の参照テーブルを有し、各参照テーブルには、上記除算演算の演算結果値が予め記憶されているメモリテーブル部と、入力された映像信号値と、上記メモリテーブル部における、上記入力された映像信号値に応じた参照テーブルから読み出した上記演算結果値を用い、加算、減算、乗算の全部又は一部を用いた演算により、補正された映像信号値を算出する補正演算部とを有する。
【0015】
また、上記除算演算を含む演算処理は、
Zout={Zout2U/(Zin2U−Zin2L)}×(Zin−Zin2L)+{Zout2L/(Zin2U−Zin2L)}×(Zin2U−Zin)
である。
但し、
Zoutは補正された映像信号値、
Zinは上記補正演算部に入力された映像信号値、
Zin2U、Zin2Lは、上記入力された映像信号値に応じた2つの上記参照テーブルについての代表入力値、
Zout2U、Zout2Lは、Zin2U、Zin2Lにそれぞれ対応する補正値、
Zout2U/(Zin2U−Zin2L)、Zout2L/(Zin2U−Zin2L)は、上記入力された映像信号値に応じた2つの上記参照テーブルから読み出される上記演算結果値である。
【0016】
この場合、上記補正演算部は、(Zin−Zin2L)の減算を行う第1の減算器と、
(Zin2U−Zin)の減算を行う第2の減算器と、上記第1の減算器の出力(Zin−Zin2L)と、上記演算結果値{Zout2U/(Zin2U−Zin2L)}の乗算を行う第1の乗算器と、上記第2の減算器の出力(Zin2U−Zin)と、上記演算結果値{Zout2L/(Zin2U−Zin2L)}の乗算を行う第2の乗算器と、上記第1,第2の乗算器の出力を加算する加算器とを備えて構成する。
【0017】
また、映像信号値としての最小値から最大値までを略等間隔に分割するように上記代表入力値を設定し、上記メモリテーブル部には、略等間隔の複数の上記代表入力値のそれぞれについての上記参照テーブルが用意されているようにする。
或いは、映像信号値としての最小値から最大値までを不等間隔に分割するように上記代表入力値を設定し、上記メモリテーブル部には、不等間隔の複数の上記代表入力値のそれぞれについての上記参照テーブルが用意されているようにする。
【0018】
本発明の映像信号補正装置は、表示パネル上で供給された映像信号による映像表示を行う表示部に対して供給する映像信号についての、上記表示パネルの特性に応じた補正処理として、入力される映像信号値に対して除算演算を含む演算によって得られる補正された映像信号値を出力する映像信号補正装置であって、 映像信号値としての複数の代表入力値にそれぞれ対応する複数の参照テーブルを有し、各参照テーブルには、上記除算演算の演算結果値が予め記憶されているメモリテーブル部と、入力された映像信号値と、上記メモリテーブル部における、上記入力された映像信号値に応じた参照テーブルから読み出した上記演算結果値を用いた、加減算演算及び/又は乗算演算により、補正された映像信号値を算出する補正演算部とを備える。
【0019】
本発明の映像信号補正方法は、表示パネル上で供給された映像信号による映像表示を行う表示部に対して供給する映像信号についての、上記表示パネルの特性に応じた補正処理として、入力される映像信号値に対して除算演算を含む演算によって得られる補正された映像信号値を出力する映像信号補正方法として、映像信号値としての複数の代表入力値にそれぞれ対応する複数の参照テーブルを有し、各参照テーブルには、上記除算演算の演算結果値が予め記憶されているメモリテーブル部を参照して、入力された映像信号値に応じた参照テーブルから上記演算結果値を読み出すステップと、入力された映像信号値と、上記演算結果値を用い、加算、減算、乗算の全部又は一部を用いた演算により、補正された映像信号値を算出するステップとを備える。
【0020】
即ち本発明では、表示パネルが持つ輝度ムラや色度ムラを補正してユニフォミティを改善する事を目的とした、表示パネルのX方向、Y方向、および階調方向(Z方向)の座標によって補正値が決定される3D−γシステムとしての映像信号補正装置構成に関する。そして映像信号補正部(映像信号補正装置)は、参照テーブル(ルックアップテーブル)を備えたメモリテーブル部と、各種演算回路により構成される補正演算部を有して成るが、参照テーブルには、補正データをあらかじめ除算計算した形式で格納しておく。これにより補正演算部では、除算演算を行わずに、加算、減算、乗算の範囲の演算で、補間を含む補正値算出が実現できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、3D−γの階調方向を線形補間演算する補正演算部の回路構成において、ハードウェアとして除算器を含まないで構成できる。
これによって、システムコストが高価になったり、高速化が難しいといった問題点を解消できる。
そしてさらに、除算器を用いないことで、除算器の簡易化のために、Z軸(階調値)方向に代表入力値としてサンプリングする間隔を必ず2のべき乗で行わなくてはならないという制限が無くなる。
つまり、代表入力値の設定を2のべき乗以外の任意の間隔を自由に選択でき、略等間隔、不等間隔の設定も可能となるし、補正演算部としての回路構成が固定された後からでも間隔を変更できるなど、代表入力値の設定の自由度を広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は実施の形態の表示装置の要部の構成のブロック図である。この表示装置は、テレビジョン受像器、モニタディスプレイ装置、各種情報機器の表示装置部などとして適用できるものである。
映像信号処理部2は、入力信号に応じて映像信号処理を行う。例えばテレビジョン受像器であれば、入力信号は受信放送信号となり、映像信号処理部2は受信信号から映像信号を抽出する処理を行う。また映像再生機器であれば、入力信号は記録媒体から読み出された信号であり、映像信号処理部2は映像信号の再生処理を行う。ネットワーク機器であれば、ネットワーク通信により得られた入力信号に対して、映像信号処理部2は通信データのデコード処理などを行う。
即ちここでは映像信号処理部2は、何らかの伝送路から入力されてくる映像信号を抽出し、必要な処理を行って、例えばRGB映像信号として出力する部位として示している。
【0023】
映像信号処理部2から出力されるR信号、G信号、B信号としての映像信号は、ムラ補正部3に供給される。ムラ補正部3は、表示パネル1のムラ特性(輝度ムラ、色度ムラ)に応じた補正処理として、入力されるR、G、Bの各映像信号値に対し、除算演算を含む演算により得られる、補正された映像信号値を出力する。詳しくは後述する。
タイミングコントローラ4は、ムラ補正部3で補正されたRGB映像信号を、所定のタイミング毎にデータドライバ5に与えると共に、所定のゲートドライバ6に走査タイミングを与える。
表示パネル1は、例えば有機EL(Electroluminescence)ディスプレイパネルや液晶パネルなどとされ、水平方向(X方向)、垂直方向(Y方向)に画素回路がマトリクス状に配列されて成る。そしてゲートドライバ6によるラインスキャンタイミング毎にデータドライバ5から供給される映像信号値によって、1ライン単位で画素回路が駆動されることで映像表示を行う。
【0024】
例えばこのような表示装置において本実施の形態ではムラ補正部3に特徴を有する。
ムラ補正部3の構成例を図2に示す。
ムラ補正部3は、R信号、G信号、B信号のそれぞれに対応して映像信号値のムラ補正を行う回路構成とされる。R信号に対応する構成として、R用LUT(ルックアップテーブル)部11R、補正演算回路10R、レジスタ12Rを備える。またG信号に対応する構成として、G用LUT部11G、補正演算回路10G、レジスタ12Gを備え、B信号に対応する構成として、B用LUT部11B、補正演算回路10B、レジスタ12Bを備える。
【0025】
R用LUT部11R、G用LUT部11G、B用LUT部11Bは、例えばD−RAM(Dynamic Random Access Memory)や、D−RAMの一種であるSD−RAM(Synchronous DRAM)を用いて用意される。本例では、R用LUT部11R、G用LUT部11G、B用LUT部11Bは、それぞれ、例えば図4に示すように17個のルックアップテーブルTB0、TB1・・・TB16を備えたものとされる。
図5(a)には、代表入力値として、階調値「0」〜「1023」を略等間隔に分割した例を示しているが、例えば図4のルックアップテーブルTB0〜TB16は、この等間隔分割した代表入力値に対応するものとされる。
すると、ルックアップテーブルTB0は、階調値「0」に対応するテーブルメモリとされ、ルックアップテーブルTB1は、階調値「64」に対応するテーブルメモリとされ、・・・ルックアップテーブルTB16は、階調値「1023」に対応するテーブルメモリとされる。
各ルックアップテーブルTB0〜TB16には、それぞれの代表入力値に応じて、表示パネルのXY方向の各画素に対応した補正演算用の値が格納されている。
そして特に本例の場合、ムラ補正部3は除算演算を含む演算処理で補正値を出力するが、各ルックアップテーブルTB0〜TB16に格納されている補正演算用の値とは、上記の除算演算の演算結果値とされる。
【0026】
図2に示すレジスタ12R、12G、12Bは、それぞれR用LUT部11R、G用LUT部11G、B用LUT部11Bの各ルックアップテーブルTB0〜TB16の代表入力値が記憶されている。例えば各ルックアップテーブルTB0〜TB16の代表入力値として図5(a)に示した「0」「64」「128」・・・「1023」の値が記憶されている。
なお、R用LUT部11R、G用LUT部11G、B用LUT部11Bのそれぞれにおいて、図4のようにルックアップテーブルTBの数や代表入力値が同一であれば、レジスタ12R、12G、12BとしてR、G、Bの各系統のそれぞれに対応して設けなくても、R、G、B系統に共通で1つのレジスタを用いるようにしてもよい。ただし、色毎にルックアップテーブルTBとしての数や代表入力値を変えることも想定する場合は、レジスタ12R、12G、12Bとして、R、G、Bの各系統のそれぞれに対応して設けることが適切となる。
【0027】
補正演算回路10R、10G、10Bは、それぞれ図3に示すように、減算器21,22、乗算器23,24,加算器25を有する構成とされる。
補正演算回路10Rは、R信号として映像信号値Zinが入力されると、R用LUT部11Rから映像信号値Zinに対応した2つのルックアップテーブルから補正演算用の値(除算演算の演算結果値)を読み出し、またレジスタ12Rから、該2つのルックアップテーブルについての代表入力値を読み出し、これらの値を用いて、加算、減算、乗算のみで補正値として映像信号値Zoutを算出し、出力する。
補正演算回路10Gも同様であり、補正演算回路10GはG信号としての映像信号値Zinと、G用LUT部11Gから読み出した値と、レジスタ12Gから読み出した値を用いて補正値として映像信号値Zoutを算出し、出力する。
補正演算回路10Bも同様に、B信号としての映像信号値Zinと、B用LUT部11Bから読み出した値と、レジスタ12Bから読み出した値を用いて補正値として映像信号値Zoutを算出し、出力する。
【0028】
このようなムラ補正部3の動作について説明する。
先に、図10、図12に示した従来の補正演算回路101で行う演算を(式1)として示したが、上記(式1)を展開すると次のような(式2)になる。
Zout={Zout2U/(Zin2U−Zin2L)}×(Zin−Zin2L)+{Zout2L/(Zin2U−Zin2L)}×(Zin2U−Zin) ・・・(式2)
この(式2)の各項は次のとおりである。
Zoutは補正された映像信号値であり、本例の場合、補正演算回路10(10R、10G、10B)の出力値となる。
Zinは補正演算回路10(10R、10G、10B)に入力された映像信号値である。
Zin2U、Zin2Lは、入力された映像信号値Zinに応じて選ばれる2つのルックアップテーブルTB(m)、TB(m−1)についての代表入力値である。図11で説明したように、線形補間のためには、入力映像信号値Zinに対して、代表入力値がその前後となる2つのルックアップテーブルTB(m)、TB(m−1)が選択される。
代表入力値が入力映像信号値Zinより大きい値の方のルックアップテーブルTB(m)の代表入力値をZin2U、代表入力値が入力映像信号値Zinより小さい値の方のルックアップテーブルTB(m)の代表入力値をZin2Lとしている。
図6に、入力された映像信号値Zinに応じて選ばれる2つのルックアップテーブルTB(m)、TB(m−1)を模式的に示しているが、例えば図5(a)の代表入力値によってルックアップテーブルTB0〜TB16が形成されている場合において、入力映像信号値Zin=500のときは、ルックアップテーブルTB(m)=TB8、ルックアップテーブルTB(m−1)=TB7となる。
【0029】
Zout2U/(Zin2U−Zin2L)は、代表入力値Zin2UのルックアップテーブルTB(m)に格納されている補正演算用の値である。
Zout2L/(Zin2U−Zin2L)は、代表入力値Zin2LのルックアップテーブルTB(m−1)に格納されている補正演算用の値である。
つまり、これらは、入力された映像信号値Zinに応じた2つのルックアップテーブルTB(m)、TB(m−1)から読み出される、除算演算結果としての演算結果値である。
【0030】
演算結果値Zout2U/(Zin2U−Zin2L)、及びZout2L/(Zin2U−Zin2L)は、予め各項の値が既知であるため、予め計算し、ルックアップテーブルTB0〜TB16に格納しておくことができる。
即ち(Zin2U−Zin2L)は、代表入力値が隣り合う二つのルックアップテーブルTBm、TB(m−1)の代表入力値の差分である。
例えばルックアップテーブルTBm、TB(m−1)が、ルックアップテーブルTB2、TB1である場合は、図5(a)の代表入力値の差分として(Zin2U−Zin2L)は(128−64)の値となる。
また、Zout2U、Zout2Lは、Zin2U、Zin2Lにそれぞれ対応する補正値であり、従来方式では、ルックアップテーブルに格納されていた値である。
従って演算結果値Zout2U/(Zin2U−Zin2L)、及びZout2L/(Zin2U−Zin2L)は、あらかじめ算出することができ、この値をルックアップテーブルTB0〜TB16に格納しておけばよく、ハードウェアでリアルタイム計算する必要はない。
【0031】
ルックアップテーブルTB0〜TB16に、このような演算結果値を格納しておくことで、補正演算回路10(10R、10G、10B)では、図3の構成により、補正された出力映像信号値Zoutを算出できる。
【0032】
減算器21では、入力映像信号値Zinから、入力映像信号値Zinに応じて選択された一方のルックアップテーブルTB(m−1)の代表入力値Zin2Lの減算を行う。(Zin−Zin2L)
なお代表入力値Zin2Lは、レジスタ12(12R、12G、12B)から読み出されて減算器21に供給される。
【0033】
乗算器23では、減算器21の出力と、ルックアップテーブルTB(m)から読み出される演算結果値Zout2U/(Zin2U−Zin2L)を乗算する。{Zout2U/(Zin2U−Zin2L)}×(Zin−Zin2L)
図6のように、入力映像信号値ZinがルックアップテーブルTB(m)、TB(m−1)のX、Y座標としての画素G1の信号値である場合、ルックアップテーブルTB(m)で、画素G1としてのX、Y座標値において記憶されている演算結果値が、Zout2U/(Zin2U−Zin2L)として読み出されて乗算器23に供給される。
【0034】
減算器22では、入力映像信号値Zinに応じて選択された他方のルックアップテーブルTB(m)の代表入力値Zin2Uから、入力映像信号値Zinの減算を行う。(Zin2U−Zin)
代表入力値Zin2Uは、レジスタ12(12R、12G、12B)から読み出されて減算器22に供給される。
【0035】
乗算器24では、減算器22の出力と、ルックアップテーブルTB(m−1)から読み出される演算結果値Zout2L/(Zin2U−Zin2L)を乗算する。{Zout2L/(Zin2U−Zin2L)}×(Zin2U−Zin)
図6のように、ルックアップテーブルTB(m−1)で、画素G1としてのX、Y座標値において記憶されている演算結果値が、Zout2L/(Zin2U−Zin2L)として読み出されて乗算器24に供給される。
【0036】
加算器25では、乗算器23,24の出力が加算される。この加算器25の出力は、上記(式2)の演算結果であり、出力映像信号値Zoutとなる。
これにより、線形補間によって入力映像信号値Zinに対するムラ補正を行った出力映像信号値Zoutを得ることができる。
【0037】
なお、入力映像信号値Zinが、或る代表入力値に一致する場合も、この図3の回路でそのまま出力映像信号値Zoutが算出される。
例えば入力映像信号値Zin=Zin2Lの場合を考えると、乗算器23の出力は「0」となる。
また(Zin2U−Zin2L)=(Zin2U−Zin)となり、乗算器24の出力はZout2Lとなる。従って、加算器25の出力映像信号値Zout=Zout2Lとなり、つまりZin(=Zin2L)に対応する補正値としての映像信号値が得られる。
【0038】
本実施の形態によれば、以上のように、3D−γの階調方向を線形補間演算する補正演算回路10を、ハードウェアとして除算器を含まない構成で実現できる。
これによって、システムコストが高価になったり、高速化が難しいといった問題点を解消できる。
【0039】
そしてさらに、除算器を用いないことで、除算器の簡易化のために、Z軸(階調値)方向に代表入力値としてサンプリングする間隔を必ず2のべき乗で行わなくてはならないという制限が無くなる。
階調分割は次の3つが考えられる。
(1)等間隔
(2)不等間隔(ただし間隔は固定で2のべき乗)
(3)不等間隔(間隔は任意)
本例のように、補正演算回路10に除算器を用いないことで、これらのいずれも対応可能である。
【0040】
上述してきたように図5(a)は等間隔に階調分割した例であるが、入力映像信号値Zinと補正された出力映像信号値Zoutの関係において、ルックアップテーブルTB0〜TB16は図7(a)のように、等間隔設定されるものとなる。
なお、この図7で各ルックアップテーブルTB0〜TB16を示す線は、その代表入力値に対して、補正された出力映像信号値Zoutとしての数値の範囲、即ち全画面均一輝度入力を考えた場合の、補正された階調値のバラツキ範囲を示している。
一方、図5(b)は、不等間隔に階調分割した例を示している。この図5(b)の代表入力値の設定の場合を図7(b)に示す。
この図7(b)のように、輝度の暗い範囲や明るい範囲を細かく取るような不等間隔サンプリングを行うなど、代表入力値について柔軟な設定を行うことも容易に可能となる。
このように、代表入力値の設定を2のべき乗以外の任意の間隔を自由に選択でき、略等間隔、不等間隔の設定も可能となるし、補正演算部としての回路構成が固定された後からでも間隔を変更できるなど、代表入力値の設定の自由度を広げることができる。
【0041】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、上記例以外にも、各種の変形例が考えられることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態の表示装置のブロック図である。
【図2】実施の形態のムラ補正部のブロック図である。
【図3】実施の形態のムラ補正部の補正演算回路の回路図である。
【図4】実施の形態のルックアップテーブルの説明図である。
【図5】実施の形態のルックアップテーブルの代表入力値の説明図である。
【図6】実施の形態のルックアップテーブルからの演算結果値読み出しの説明図である。
【図7】実施の形態の代表入力値の等間隔設定と不等間隔設定の説明図である。
【図8】ムラ補正のための2Dマップの説明図である。
【図9】補正テーブルの入力値と補正値の関係の説明図である。
【図10】補正回路構成の説明図である。
【図11】補正演算における線形補間の説明図である。
【図12】従来の補正演算回路の回路図である。
【符号の説明】
【0043】
1 表示パネル、3 ムラ補正部、10,10R,10G,10B 補正演算回路、11R R用LUT部、11G G用LUT部、11B B用LUT部、12,12R,12G,12B レジスタ、21,22 減算器、23,24 乗算器、25 加算器、TB0〜TB16 ルックアップテーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネル上で、供給された映像信号による映像表示を行う表示部と、
上記表示部に供給する映像信号について、上記表示パネルの特性に応じた補正処理として、入力される映像信号値に対し、除算演算を含む演算によって得られる補正された映像信号値を出力する映像信号補正部とを備え、
上記映像信号補正部は、
映像信号値としての複数の代表入力値にそれぞれ対応する複数の参照テーブルを有し、各参照テーブルには、上記除算演算の演算結果値が予め記憶されているメモリテーブル部と、
入力された映像信号値と、上記メモリテーブル部における、上記入力された映像信号値に応じた参照テーブルから読み出した上記演算結果値を用い、加算、減算、乗算の全部又は一部を用いた演算により、補正された映像信号値を算出する補正演算部と、
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
上記除算演算を含む演算処理は、
Zout={Zout2U/(Zin2U−Zin2L)}×(Zin−Zin2L)+{Zout2L/(Zin2U−Zin2L)}×(Zin2U−Zin)
であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
但し、
Zoutは補正された映像信号値、
Zinは上記補正演算部に入力された映像信号値、
Zin2U、Zin2Lは、上記入力された映像信号値に応じた2つの上記参照テーブルについての代表入力値、
Zout2U、Zout2Lは、Zin2U、Zin2Lにそれぞれ対応する補正値、
Zout2U/(Zin2U−Zin2L)、Zout2L/(Zin2U−Zin2L)は、上記入力された映像信号値に応じた2つの上記参照テーブルから読み出される上記演算結果値である。
【請求項3】
上記補正演算部は、
(Zin−Zin2L)の減算を行う第1の減算器と、
(Zin2U−Zin)の減算を行う第2の減算器と、
上記第1の減算器の出力(Zin−Zin2L)と、上記演算結果値{Zout2U/(Zin2U−Zin2L)}の乗算を行う第1の乗算器と、
上記第2の減算器の出力(Zin2U−Zin)と、上記演算結果値{Zout2L/(Zin2U−Zin2L)}の乗算を行う第2の乗算器と、
上記第1,第2の乗算器の出力を加算する加算器と、
を備えて構成されることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
映像信号値としての最小値から最大値までを略等間隔に分割するように上記代表入力値を設定し、上記メモリテーブル部には、略等間隔の複数の上記代表入力値のそれぞれについての上記参照テーブルが用意されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
映像信号値としての最小値から最大値までを不等間隔に分割するように上記代表入力値を設定し、上記メモリテーブル部には、不等間隔の複数の上記代表入力値のそれぞれについての上記参照テーブルが用意されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
表示パネル上で供給された映像信号による映像表示を行う表示部に対して供給する映像信号についての、上記表示パネルの特性に応じた補正処理として、入力される映像信号値に対して除算演算を含む演算によって得られる補正された映像信号値を出力する映像信号補正装置であって、
映像信号値としての複数の代表入力値にそれぞれ対応する複数の参照テーブルを有し、各参照テーブルには、上記除算演算の演算結果値が予め記憶されているメモリテーブル部と、
入力された映像信号値と、上記メモリテーブル部における、上記入力された映像信号値に応じた参照テーブルから読み出した上記演算結果値を用いた、加減算演算及び/又は乗算演算により、補正された映像信号値を算出する補正演算部と、
を備えることを特徴とする映像信号補正装置。
【請求項7】
表示パネル上で供給された映像信号による映像表示を行う表示部に対して供給する映像信号についての、上記表示パネルの特性に応じた補正処理として、入力される映像信号値に対して除算演算を含む演算によって得られる補正された映像信号値を出力する映像信号補正方法として、
映像信号値としての複数の代表入力値にそれぞれ対応する複数の参照テーブルを有し、各参照テーブルには、上記除算演算の演算結果値が予め記憶されているメモリテーブル部を参照して、入力された映像信号値に応じた参照テーブルから上記演算結果値を読み出すステップと、
入力された映像信号値と、上記演算結果値を用い、加算、減算、乗算の全部又は一部を用いた演算により、補正された映像信号値を算出するステップと、
を備えることを特徴とする映像信号補正方法。
【請求項1】
表示パネル上で、供給された映像信号による映像表示を行う表示部と、
上記表示部に供給する映像信号について、上記表示パネルの特性に応じた補正処理として、入力される映像信号値に対し、除算演算を含む演算によって得られる補正された映像信号値を出力する映像信号補正部とを備え、
上記映像信号補正部は、
映像信号値としての複数の代表入力値にそれぞれ対応する複数の参照テーブルを有し、各参照テーブルには、上記除算演算の演算結果値が予め記憶されているメモリテーブル部と、
入力された映像信号値と、上記メモリテーブル部における、上記入力された映像信号値に応じた参照テーブルから読み出した上記演算結果値を用い、加算、減算、乗算の全部又は一部を用いた演算により、補正された映像信号値を算出する補正演算部と、
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
上記除算演算を含む演算処理は、
Zout={Zout2U/(Zin2U−Zin2L)}×(Zin−Zin2L)+{Zout2L/(Zin2U−Zin2L)}×(Zin2U−Zin)
であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
但し、
Zoutは補正された映像信号値、
Zinは上記補正演算部に入力された映像信号値、
Zin2U、Zin2Lは、上記入力された映像信号値に応じた2つの上記参照テーブルについての代表入力値、
Zout2U、Zout2Lは、Zin2U、Zin2Lにそれぞれ対応する補正値、
Zout2U/(Zin2U−Zin2L)、Zout2L/(Zin2U−Zin2L)は、上記入力された映像信号値に応じた2つの上記参照テーブルから読み出される上記演算結果値である。
【請求項3】
上記補正演算部は、
(Zin−Zin2L)の減算を行う第1の減算器と、
(Zin2U−Zin)の減算を行う第2の減算器と、
上記第1の減算器の出力(Zin−Zin2L)と、上記演算結果値{Zout2U/(Zin2U−Zin2L)}の乗算を行う第1の乗算器と、
上記第2の減算器の出力(Zin2U−Zin)と、上記演算結果値{Zout2L/(Zin2U−Zin2L)}の乗算を行う第2の乗算器と、
上記第1,第2の乗算器の出力を加算する加算器と、
を備えて構成されることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
映像信号値としての最小値から最大値までを略等間隔に分割するように上記代表入力値を設定し、上記メモリテーブル部には、略等間隔の複数の上記代表入力値のそれぞれについての上記参照テーブルが用意されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
映像信号値としての最小値から最大値までを不等間隔に分割するように上記代表入力値を設定し、上記メモリテーブル部には、不等間隔の複数の上記代表入力値のそれぞれについての上記参照テーブルが用意されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
表示パネル上で供給された映像信号による映像表示を行う表示部に対して供給する映像信号についての、上記表示パネルの特性に応じた補正処理として、入力される映像信号値に対して除算演算を含む演算によって得られる補正された映像信号値を出力する映像信号補正装置であって、
映像信号値としての複数の代表入力値にそれぞれ対応する複数の参照テーブルを有し、各参照テーブルには、上記除算演算の演算結果値が予め記憶されているメモリテーブル部と、
入力された映像信号値と、上記メモリテーブル部における、上記入力された映像信号値に応じた参照テーブルから読み出した上記演算結果値を用いた、加減算演算及び/又は乗算演算により、補正された映像信号値を算出する補正演算部と、
を備えることを特徴とする映像信号補正装置。
【請求項7】
表示パネル上で供給された映像信号による映像表示を行う表示部に対して供給する映像信号についての、上記表示パネルの特性に応じた補正処理として、入力される映像信号値に対して除算演算を含む演算によって得られる補正された映像信号値を出力する映像信号補正方法として、
映像信号値としての複数の代表入力値にそれぞれ対応する複数の参照テーブルを有し、各参照テーブルには、上記除算演算の演算結果値が予め記憶されているメモリテーブル部を参照して、入力された映像信号値に応じた参照テーブルから上記演算結果値を読み出すステップと、
入力された映像信号値と、上記演算結果値を用い、加算、減算、乗算の全部又は一部を用いた演算により、補正された映像信号値を算出するステップと、
を備えることを特徴とする映像信号補正方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図8】
【公開番号】特開2009−151042(P2009−151042A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328181(P2007−328181)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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