説明

表示装置、電子機器および支持基板

【課題】物理的形状変化を伴うユーザ操作に基づいて表示内容の切り替えを行う際に、優れた操作性を実現することが可能な表示装置および支持基板を提供する。
【解決手段】表示装置は、可撓性を有する支持基板と、支持基板上に設けられた表示部とを備え、支持基板は、その面内における端部側の少なくとも一部の第1領域において、端縁に向かって徐々に柔らかくなるように構成されている。表示装置全体のうち、端部側の局所的な部分をユーザが曲げたり捻ったりし易くなり、そのような曲げ動作を伴う入力操作を行い易くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、いわゆる電子ペーパー等の薄型かつフレキシブルな表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子ペーパー(e−paper)と称される超薄型の表示装置について、各社様々な開発を行っている(例えば、特許文献1,2)。例えば、特許文献1では、そのような表示装置を書籍として利用した、いわゆる電子ブック(e−book)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−218102号公報
【特許文献2】特開2010−157060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような表示装置では、薄くフレキシブル性が高いため、物理的に曲げたり捻ったりすることができる。このため、ユーザ(利用者)による曲げ等を検出するセンサを搭載し、そのようなユーザ操作に応じて表示内容を切り替える、といった様々なユーザインターフェース(User Interface)を実現可能である。このような表示装置では、ユーザ操作と実際の表示変更内容との関連性が高く、それらが直感的に結びつき易いことが、操作性を高める上で望ましい。
【0005】
本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、物理的形状変化を伴うユーザ操作に基づいて表示内容の切り替えを行う際に、優れた操作性を実現することが可能な表示装置、電子機器およびそのような表示装置に用いられる支持基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の表示装置は、可撓性を有する支持基板と、支持基板上に設けられた表示部とを備え、支持基板は、その面内における端部側の少なくとも一部の第1領域において、端縁に向かって徐々に柔らかくなるように構成されているものである。
【0007】
本開示の電子機器は、上記本開示の表示装置を備えたものである。
【0008】
本開示の支持基板は、表示部を支持し、可撓性を有すると共に、面内における端部側の少なくとも一部の第1領域において、端縁に向かって徐々に柔らかくなるように構成されているものである。
【0009】
本開示の表示装置および電子機器では、支持基板が可撓性を有し、面内における端部側の少なくとも一部の第1領域において、端縁に向かって徐々に柔らかくなるように構成されていることにより、表示装置全体のうち、端部側の局所的な部分をユーザが曲げたり捻ったりし易くなる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の表示装置および電子機器によれば、支持基板が可撓性を有し、面内における端部側の少なくとも一部の第1領域において、端縁に向かって徐々に柔らかくなるように構成されているので、表示装置全体のうち端部側の局所的な部分をユーザが容易に曲げたり捻ったりすることができる。よって、物理的形状変化を伴うユーザ操作に基づいて表示内容の切り替えを行う際に、優れた操作性を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示の一実施形態に係る表示装置(電子ブック)の概略構成を模式的に表す斜視図であり、(A)は開いた状態、(B)は閉じた状態(折り畳んだ状態)を示す。
【図2】図1に示した表示装置の分解斜視図である。
【図3】図1に示した表示装置の平面図である。
【図4】図1に示した表示装置の底面図である。
【図5】図1に示した表示装置の正面図(または背面図)である。
【図6】図1に示した表示装置の側面図(右側面図、左側面図)である。
【図7】図1に示したヒンジ部の一構成例(多関節連結機構)を表す図である。
【図8】支持基板の厚み変化を説明するための領域区分を表す模式図である。
【図9】支持基板の厚み変化を模式的に表すものである。
【図10】支持基板の各領域の境界付近における拡大断面図である。
【図11】図1に示した表示装置の機能ブロック図である。
【図12】ユーザ操作の一例を模式的に表すものである。
【図13】第1領域の他のレイアウト例を模式的に表すものである。
【図14】他の電子機器の例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示における実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。尚、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態(所定の厚み変化を有する支持基板を備えた電子ブックの例)
2.変形例(支持基板における第1領域(薄肉部分)のレイアウトの他の例)
【0013】
<実施の形態>
図1は、本開示における一の実施の形態に係る表示装置(電子ブック1)の斜視構成を模式的に表したものである。図2は、電子ブック1の分解斜視図(片側一部)である。図3は、電子ブック1の平面図、図4は底面図、図5は正面図(背面図も同様)、図6は右側面図(左側面図も同様)である。但し、図3〜図6では、ヒンジ部12の図示については省略している。
【0014】
電子ブック1は、柔らかい素材をコンポーネント化して形成された薄型のフレキシブルディスプレイである。この電子ブック1では、複数枚の紙(頁)を綴じて作られる実際の本のように、装置全体を閉じたり(折り畳んだり)、あるいは開いたりすることができるようになっている。ユーザは実際に本を読んでいるかのような感覚で、電子ブック1に表示された内容(例えば書籍の頁等)を閲覧することが可能である。
【0015】
[構造]
電子ブック1は、支持基板10上に、表示部15を含む積層体11を備えたものであり、本における「背」の部分(背1a)には、ヒンジ部12を有している。この電子ブック1の下面(閉じたときに外側になる面)側にはカバー13が設けられ、上面(閉じたときに内側になる面)側は、保護シート14により覆われている。
【0016】
支持基板10は、電子ブック1の基材として積層体11を支持すると共に、可撓性を有するものである。この支持基板10は、柔らかさが領域によって異なっている。本実施の形態では、この支持基板10の厚みが、面内において変化しており、これにより柔らかさが変化するようになっている。この支持基板10の具体的な構成については後述する。
【0017】
(積層体11)
積層体11は、図2に示したように、例えば、支持基板10の側から順に、システムボード層、TFT層18、検出部16および表示部15を積層した構成を有する。これらは、いずれも柔らかい素材を用いて構成されており、積層させた状態においてフレキシブル性が得られるようになっている。尚、本実施の形態では、積層体11が、電子ブック1を開いた状態での左右2面の両方に設けられた例を示すが、この積層体11は、左右どちらか一方の面にのみ設けられていてもよい。
【0018】
表示部15は、画像信号に基づいて画像を表示する表示パネルであり、例えば有機EL(Electro Luminescence)素子、液晶表示素子あるいは電気泳動素子等をプラスチック等の樹脂フィルムで挟み込んだ構造を有している。
【0019】
検出部16は、ユーザによる曲げ、押動等による操作(主にZ方向に沿ってなされる操作)を検出するものであり、具体的には、ベンディングセンサ16bにより構成されている。ベンディングセンサ16bとしては、例えば加速度センサ、力センサ、圧力センサ、歪みセンサ、あるいはジャイロセンサ等が挙げられる。
【0020】
この検出部16はまた、ベンディングセンサ16bの他にも、位置センサ16aを有しており、ユーザによるタッチ入力(指、手、スタイラス等を用いた入力)を検出可能となっている。位置センサ16aは、ユーザのタッチ位置をX方向およびY方向の2次元位置座標として検出するものである。位置センサ16aとしては、例えば感圧センサ、2次元トラッキングセンサ、2次元タッチセンサ、メッシュ・センサまたは静電容量方式によるものが挙げられる。但し、この位置センサ16aは、例えば表示部15の上層に設けられていることが望ましい。これらの位置センサ16aおよびベンディングセンサ16bを用いたX,Y,Zの3軸方向のセンシングにより、ユーザによる曲げ操作の位置および曲げ具合等を検出可能となっている。但し、検出部16の構成は、これらの位置センサ16aおよびベンディングセンサ16bの組合せに限らず、任意の3軸センサを用いることができる。
【0021】
システムボード層17には、例えば電子部品が実装されたシステムボード、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)および冷却ファン等が配設されている。システムボードには、例えばCPU(Central Processing Unit)、メインメモリ、チップセット及び各種ドライブ用の制御回路等の電子部品が実装されている。ハードディスクドライブは、システムボードのコネクタ端子に接続され、内部にハードディスクを有し、このハードディスクに対して情報の読み書きを行うものである。冷却ファンは、システムボードに実装されたCPUや、その他の発熱素子を冷却するものである。
【0022】
駆動回路部18は、表示部15および検出部16をそれぞれ駆動するためのTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)を含む回路部である。TFTとしては、例えば有機TFTが用いられる。
【0023】
カバー13は、電子ブック1の外装部材であり、柔らかい樹脂フィルムにより構成されている。本実施の形態では、このカバー13が、例えば支持基板10の全面を覆わずに、背1aの凸部分(折り山の頂点付近)を露出させるように、支持基板10に装着されている。即ち、図5に示したように、支持基板10の背1aにおけるテーパ面から両側に張り出すように一対のカバー13が取り付けられている。これらのカバー13はそれぞれ、支持基板10に対面する領域のうちの一部、具体的にはY方向に沿った2辺に対応する両端部においてのみ接着されており、それらの間の領域では支持基板10に非接着となっている。このような構成において、カバー13は、電子ブック1を開き、支持基板10を折り曲げずに伸ばした状態(支持基板10が略180°の面をなす状態)において、適度なテンションを保つように(弛み過ぎないように)、取り付けられている。
【0024】
保護シート14は、表示部15を保護すると共に、電子ブック1の表示面を形成するものである。この保護シート14は、支持基板10にその全面を覆うように貼り合わせられており、柔らかく、かつ表示光に対して透明性を有する樹脂フィルムにより構成されている。
【0025】
(ヒンジ部12)
ヒンジ部12は、支持基板10の背1aに対応する部分(後述の第2領域D2)に設けられ、例えば、支持基板10(あるいは電子ブック1)の折り曲げ角度に拘わらず一定の曲率を維持可能な曲率規制ヒンジであることが望ましい。以下、このヒンジ部12の構成の一例について説明する。
【0026】
図7は、ヒンジ部12の一部を拡大したものである。このように、ヒンジ部12は、例えば、ヒンジ部12を支持基板10上へ固定するための枠体5Aの端部に、多関節連結機構4を備えたものである。多関節連結機構4は、電子ブック1の背1aの両端(第2領域D2の長手方向の両端)において互いに対向する一対の連結機構4Aを複数有している。各連結機構4Aは、その回動軸と同軸に沿って設けられた中空連結部材4Bに嵌合されている。尚、簡便化のため、図8には、一対の多関節の連結機構4Aのうち、一方の側のみを示している。これらの連結機構4Aには、互いに回動自在に連結された連結プレート21〜28が取り付けられている。
【0027】
連結プレート21は、ネジ30により枠体5Aにネジ止めされている。連結プレート21は、回動軸X1を備える。連結プレート21の回動軸X1周りでの軸径は、例えば3mm〜5mmである。連結プレート22は、その両端部にそれぞれ回動軸X1、X2を備え、その回動軸X1と連結プレート22の回動軸X1とを一致させた状態で、連結プレート21の内側に重なっている。連結プレート21と連結プレート22とは、連結プレート21と連結プレート22とのそれぞれの外側に設けられた一対のリング31を介して、連結ピン32により回動自在に連結されている。連結プレート23〜27は、連結プレート22と同様の形状を有する。
【0028】
連結プレート23は、その両端部にそれぞれ回動軸X2、X3を備える。連結プレート23は、連結プレート22の回動軸X2と連結プレート23の回動軸X2とを一致させた状態で、連結プレート22の外側に重なっている。連結プレート22と連結プレート23とは、連結プレート22と連結プレート23とのそれぞれの外側に設けられた一対のリング33を介して、連結ピン34により回動自在に連結されている。連結プレート24〜28についても同様に回動自在に連結されている。このように、連結プレート21、23、25及び27が、それぞれ連結プレート22、24、26、及び28の外側に位置するように連結されている。つまり、多関節の連結機構4Aは、各連結プレート21〜28が千鳥状に連結して2列に配置されている。1列目の連結プレート21、23、25及び27は本体部3の幅方向外側に配置され、2列目の連結プレート22、24、26及び28は本体部3の幅方向内側に配置されている。なお、リング31、33、35を備える例を示したがこのようなリングは適宜配置しないようにしてもよい。この多関節連結機構4は、これらの連結プレート21〜28を連動させるための連動機構(ギア)を有している。
【0029】
連結プレート21は、連結プレート23側に向けて突出する複数のギア41をその回動方向に沿った周面に備える。ギア41の外面41Aは面取りされている。連結プレート23は、連結プレート21のギア41に噛み合うギア42をその回動方向に沿った周面に備える。つまり、互いに隣り合う連結部材21、23は、それぞれ回動方向に沿った周面を有し、それぞれの周面には、互いに係合するギア41、42が形成されている。同様に、連結プレート22のギア43と連結プレート24のギア44とは互いに噛み合う。連結プレート23のギア45と連結プレート25のギア46とは互いに噛み合う。連結プレート24のギア47と連結プレート26のギア48とが互いに噛み合う。連結プレート25のギア49と連結プレート27のギア50とが互いに噛み合う。連結プレート26の不図示のギアが連結プレート28のギア51と互いに噛み合う。これらのギア41〜51は、連動機構として機能し、連結プレート21〜連結プレート28を連動させる。
【0030】
ヒンジ部12では、上記のような連結機構4Aおよび連動機構を有する多関節連結機構4を用いることにより、電子ブック1の折り曲げ角度(開き具合)に拘わらず、背1aを一定の曲率の湾曲形状に維持することができ、また、負荷のない滑らかな開閉動作を実現できる。以下に説明する支持基板10では、このようなヒンジ部12に当接する部分(第2領域D2に相当する部分)において、ヒンジ部12の湾曲形状に倣った湾曲形状(後述の湾曲形状10B)に予め成形されている。
【0031】
(支持基板10)
支持基板10は、上述のように面内において厚みが変化しており、主に厚みの異なる3つの領域(第1領域D1,第2領域D2,第3領域D3)に区分することができる。具体的には、支持基板10は、図8に示したように、その面形状(XY面形状)が矩形状を有しており、第1領域D1は、その矩形状の端縁側の領域のうちの少なくとも一部(ここでは、後述の第2領域に重なる部分を除く端部領域全域)に対応している。第2領域D2は、矩形状の面形状を分断(ここでは2分)するように延在した領域であり、かつ背1aに対応する領域である。第3領域D3は、これらの第1領域D1と第2領域D2によって挟まれた(囲まれた)領域である。
【0032】
これらの第1領域D1,第2領域D2,第3領域D3において、具体的には、図9に示したように、第2領域D2から第3領域D3に向かって徐々に厚みが大きくなり、第3領域D3から第1領域D1に向かって徐々に厚みが小さくなっている。ここで、図10(A),(B)に、各領域間の境界付近の拡大図を示す。尚、図10(A)は、図8のI−I線における断面図であり、図10(B)は、図8のII−II線における断面図である。図10(A)に示したように、第2領域D2では、その厚みt2が、隣接する第3領域D3の厚みt3よりも小さくなっており(t2<t3)、かつ第2領域D2から第3領域D3に向かって厚みが連続的に変化している。一方、図10(B)に示したように、第1領域D3では、その厚みt1が、隣接する第3領域D3の厚みt3よりも小さくなっており(t1<t3)、かつ第3領域D3から第1領域D1に向かって厚みが連続的に変化している。例えば、厚みt1〜t3は、例えば数十mm以下の範囲内で、厚みが変化するように設定されるとよい。また、第1領域D1の幅S1は、例えば数mm以上、具体的には50mm程度に設定されている。
【0033】
このように、支持基板10は、段差のない滑らかな曲面形状または平面形状を保ちつつ、第1領域D1および第2領域D2において局所的に厚みが薄くなる構造を有している。尚、第1領域D1,第2領域D2,第3領域D3の各領域内においては、厚みが徐々に変化していてもよいし、一定の厚みが保持されていてもよい。
【0034】
但し、第1領域D1では、より望ましくは、図10(B)に示したように、端縁近傍の領域D1eには、テーパe1が形成されており、端縁に向かってより厚みが薄くなるようになっている。この領域D1eの幅S2は、例えば数mm程度以下である。
【0035】
上記のような厚み変化を有する支持基板10は、例えば熱可塑性または熱硬化性のエラストマーを用いて一体的に成形されている。エラストマーとしては、例えばウレタン系、スチレン系、オレフィン系、エステル系、アミド系、シリコーン系またはフッ素系の様々な樹脂材料が挙げられる。これらのエラストマーのうち、熱可塑性のものを用いる場合には、例えば射出成型法により、上記のような支持基板10を容易に成形可能である。
【0036】
(機能構成)
電子ブック1の機能構成について図11を参照して説明する。電子ブック1は、信号取得部111、判定部112、表示切替部113及び画像信号処理部114を有している。信号取得部111は、コンポーネント化された位置センサ16aおよびベンディングセンサ16bに接続されている。
【0037】
信号取得部111は、位置センサ16aにより検出された2次元の位置情報を示す信号を取得する。信号取得部111はまた、ベンディングセンサ16bにより検出された曲げ情報(Z方向)を示す信号を取得する。
【0038】
判定部112は、各センサの検出結果に基づいて電子ブック1が局所的な部分において曲げられているかどうかを判定する。
【0039】
表示切替部113は、各センサの検出結果に基づいて表示部15の表示内容を切り替える。具体的には、表示切替部113は、判定部112により電子ブック1の所定の領域が曲げられていると判定された場合、表示部15において、ページ送り(ページめくり)、スクロール等を表す画像が表示されるようにする。
【0040】
画像信号処理部114は、表示部15に表示する画像(画像信号)を生成する。例えば、電子ブック1は、ネットワークを介してダウンロードされたコンテンツの所望のページを表示部15に表示する。
【0041】
尚、上記信号取得部111、判定部112、表示切替部113及び画像信号処理部114の各機能は、専用の制御デバイスあるいはプログラムを実行する図示しないプロセッサ(CPU)により実現される。プロセッサにより実行される手順を示したプログラムやデータは、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶デバイスを含むハードウエア資源に記憶されている。
【0042】
[作用・効果]
電子ブック1では、支持基板10、積層体11、カバー13および保護シート14が柔らかい素材により構成され(可撓性を有し)、背1aに所定のヒンジ部12が設けられていることにより、ユーザは、実際の紙からなる本を扱かうときと同じように、電子ブック1を開いたり、閉じたりすることができる。例えば、図1(A)に示した開いた状態において、表示部15に画像(例えば書籍の1ページを示す画像)が表示されると、ユーザはユ電子ブック1を両手または片手に持ちながら、あるいは台等の上に広げ(置き)ながら、そのページを読むことができる。
【0043】
このように、表示部15にある内容を表示している状態で、ユーザが、電子ブック1の物理的形状変化を伴う所定の動作を行うと、そのような動作が検出部16により検出され、表示切り替え部113が表示内容を切り替える。具体的には、検出部16により支持基板10(電子ブック1)の局部的な撓み(曲げ(捩り、押動等も含む))が検出された場合、表示切り替え部113が表示内容を切り替え、例えばページ送り動作やスクロール動作を表す内容を表示する。換言すると、ユーザによる入力操作(例えばページ送り動作あるいはスクロール動作)を感知して、それに応じた内容を表示する(他のページを表示する、あるいは他の行を表示する等)。
【0044】
詳細には、信号取得部111が、位置センサ16aからXY位置座標情報を取得すると共に、ベンディングセンサ16bから、Z方向の変位を曲げ(撓み)情報として取得し、これらを判定部112へ出力する。判定部112は、取得したXY位置座標情報に基づいてユーザ入力がなされているXY平面内での位置(指等の接触位置)を特定すると共に、取得した曲げ情報に基づいて、電子ブック1がユーザによって曲げられているか否かを判定する。尚、この判定は、例えば予め保持された曲げ量の閾値との比較により行い、例えば取得された曲げ情報に応じた曲げ量が閾値を下回る場合には“曲げられていない”と判定し、閾値以上の場合には“曲げられている”と判定する。これにより、例えば図12(A)〜(C)に示したようなユーザの入力操作を感知することができる。
【0045】
即ち、図12(A)に示したように、電子ブック1の角部分等の端部領域を手前に曲げる動作Aを感知可能である。また、図12(B)に示したように、電子ブック1の端部を捩って奥側に曲げる動作B、あるいは図12(C)に示したように、電子ブック1の端部を押しながら動かす(押動する)動作Cを感知することができる。これらのうち、例えば図12(A),(B)に示したような動作は、ページを送る(めくる)際になされる一般的な動作である。一方、図12(C)に示したような動作は、スクロールする際にユーザが一般的に行う動作の1つである。尚、スクロール動作については、XY平面内での移動を伴うため、曲げ状態の判定に際し、XY位置座標が移動しているか否かについても同時に判定するとよい。但し、これらの動作は一例であり、本のページを送ったり(めくったり)、あるいはスクロールする際にユーザが一般的に行う動作の代表例として挙げている。
【0046】
そして、検出部16が感知したユーザ入力操作が例えば図12(A),(B)に示したようなページ送り動作である場合、表示切り替え部113は、表示内容を、例えば、それまで表示していたページの前のページあるいは次のページを表す内容に切り替える。この際、表示部15には、現ページからその前後のページに瞬時に切り替わるような表示を行ってもよいし、あるいは、実際の本でのページめくりのように、めくられた箇所から次のページ内容が見えてくる様子を表示するような演出表示を行ってもよい。一方、検出部16が感知したユーザ入力操作が例えば図12(C)に示したようなスクロール動作である場合には、表示切り替え部113は、表示内容を、例えば、それまで表示していたページ内の所定の行(または段落)よりも前の行あるいは次の行を表す内容に切り替える。
【0047】
このように、ユーザは、電子ブック1を局部的に曲げるという動作によって、ページ送りやスクロールといった操作を行うことが可能になる。つまり、実空間での本と同じような操作を電子ブック1に対して行えばよいので、入力操作とこれに応じて生じる変更表示内容との関連性が高く、ユーザにとって直感的に結びつきやすい。
【0048】
特に、本実施の形態では、支持基板10の厚みに変化を持たせ、局部的にその柔らかさを変化させている。具体的には、支持基板10の端縁側の領域に相当する第1領域D1において、これに隣接する第3領域D3よりも厚みが薄くなるように成形されている。これにより、上述したユーザによる入力操作において、より実際の本と似た操作感が得られる。即ち、ユーザが、ページ送りあるいはスクロール等を想定した図12(A)〜(C)に示したような動作を行う場合、第1領域D1がより薄く成形されていることで、実際の紙のページのように曲げ易くなる。また、柔らかくなることで曲げ量が大きくなり、検出感度も向上する。よって、物理的形状変化を伴うユーザ操作に基づいて表示内容の切り替えを行う際に、優れた操作性を実現することが可能となる。
【0049】
また、電子ブック1の背1aに対応する部分では、支持基板10は第2領域D2において、これに隣接する第3領域D3よりも厚みが薄くなるように成形されており、更に、ヒンジ部12の湾曲形状に倣った湾曲形状に成形されている。これにより、ヒンジ部12を被覆してデザイン性を保ちつつ、電子ブック1の開閉動作をスムーズに行うことができる。
【0050】
更に、支持基板10において、第1領域D1,第2領域D2および第3領域D3の各境界付近において、段差がなく、厚みが連続的に変化していることにより、全体が滑らかな曲面または平面によって成形されるため、デザイン的に美しく、またユーザが愛着を持つような形状を実現できる。
【0051】
加えて、支持基板10の第1領域D1において、端縁近傍に端縁に向かってより厚みが薄くなるように傾斜するテーパe1を有することにより、最端部を極めて薄く形成することができる。尚、通常このような端縁近傍は、表示部15等を含む積層体が形成されていない(積層体から露出している)ため、そのように極めて薄く形成しても特に問題はない。支持基板10の最端部を超薄型とすることにより、より紙の薄さに近づき、操作性が向上する。
【0052】
以上のように本実施の形態では、支持基板10が可撓性を有し、面内における端部側の第1領域D1において、端縁に向かって徐々に厚みが小さくなっているので、電子ブック1全体のうち端部側の局所的な部分をユーザが容易に曲げたり捻ったりすることができる。よって、物理的形状変化を伴うユーザ操作に基づいて表示内容の切り替えを行う際に、優れた操作性を実現することが可能となる。
【0053】
<変形例>
尚、上記実施の形態では、支持基板10を、その厚み変化を説明するために3つの領域に区分したが、これらの3つの領域は、上述のものに限定されない。例えば、図13(A)に示したように、第1領域D1は、矩形状の2つの短辺に沿った領域のみであってもよいし、図13(B)に示したように、矩形状の4つの角部に対応する領域であってもよい。あるいは、図13(C)に示したように、第1領域D1は、矩形状の2つの長辺に沿った領域(第2領域D2に対応する部分を除く)のみであってもよい。尚、ここには図示しないが、第1領域D1は、必ずしも左右対称に設けられなくともよい。ユーザが入力操作に使用する部位が予め決まっている場合には、その部位のみを第1領域D1として局部的に薄くすればよい。
【0054】
以上、実施の形態および変形例を挙げて説明したが、本開示内容はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態等では、支持基板10の厚みを面内において変化させた構成を例示したが、面内において柔らかさが変化するような構成であれば、必ずしも厚み変化を伴わなくともよい。例えば、支持基板を領域毎に硬度の異なる素材を用いて形成することで、上記実施の形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0055】
また、上記実施の形態等では、支持基板10の面形状が矩形状である場合を例示したが、支持基板10の面形状はこれに限らず、他の形状、例えば正方形状や他の多角形状、円形状、楕円形状等様々な形状を取り得る。
【0056】
更に、上記実施の形態等では、電子ブック1の背1aに対応する領域(支持基板10の第2領域D2)が、支持基板10を2分するように延在形成されている場合を例示したが、第2領域D2の形成領域はこれに限定されるものではない。例えば、第2領域D2が支持基板10の右寄りまたは左寄りの領域に延在して形成されていてもよい。即ち、折り畳み時において、支持基板の一方の側が他方の側から露出するような構成であってもよい。また、第2領域D2の数も1つに限らず複数であってもよい。
【0057】
加えて、上記実施の形態等では、本開示の表示装置または電子機器の一例として、電子ブックを例に挙げたが、本開示の表示装置または電子機器は、他にも、各種モバイル機器(ノート型PC(Personal computer),携帯オーディオプレーヤ,携帯電話,PDA(Personal Digital Assistant)等の電子機器に用いられてもよい。また、ブックリーダとしてだけでなく、音楽プレーヤ,動画プレーヤ,写真ビューア,地図アプリ,ウエブブラウザなどを閲覧可能な表示装置および電子機器全般に使用することができる。
【0058】
また、電子ブック1では、支持基板の一部に当接してヒンジ部を設け、折り畳み可能となるようにしたが、このヒンジ部12は必ずしも設けられていなくともよい。支持基板10が上記のように第2領域D2において局部的に薄く形成されていれば、他の部分よりも折り曲げ易くなり、第2領域を電子ブックの背部分として開閉可能である。但し、ヒンジ部12を用いた方がスムーズな開閉動作を行うことができる。
【0059】
更に、本開示の支持基板は、必ずしも折り畳み可能である必要はなく、例えば図14(A)に示したように、支持基板10が1枚の板状に成形された、いわゆるタブレット型の表示装置または電子機器であってもよい。この場合には、その端部側の少なくとも一部が中央部よりも薄膜化された構造であればよい。また、例えば図14(B)に示したように、腕等に装着可能なバンド型に成形されていてもよく、この場合、例えば側面に画像が表示され、例えば支持基板10の幅方向の両端部が薄膜化されていればよい(I−I線における断面図参照)。これにより、支持基板10の幅方向の両端を指で押さえる(つまむ)ようにして、入力操作を行う際に、操作性が向上する。更には、図示はしないが、上述したような折り畳み型あるいはタブレット型の表示装置または電子機器に、他の機器、例えばキーボード等を接続可能に構成してもよい。
【0060】
尚、本開示の表示装置および電子機器は、以下の(1)〜(18)に記載したような構成であってもよい。
(1)可撓性を有する支持基板と、前記支持基板上に設けられた表示部とを備え、前記支持基板は、その面内における端縁側の少なくとも一部の第1領域において、端縁に向かって徐々に柔らかくなるように構成されている表示装置。
(2)前記支持基板は、前記第1領域において、端縁に向かって厚みが徐々に小さくなっている上記(1)に記載の表示装置。
(3)前記支持基板は、面内を分断するように一方向に延在する第2領域において曲折されることにより、全体が折り畳み可能となっており、かつ前記第2領域では、その近傍領域よりも厚みが小さくなっている上記(1)または(2)に記載の表示装置。
(4)前記支持基板は、前記第1領域と前記第2領域との間に第3領域を有し、前記第2領域および前記第3領域の境界付近では、前記第2領域から前記第3領域にわたって徐々に厚みが大きくなり、かつ前記第3領域および前記第1領域の境界付近では、前記第3領域から前記第1領域にわたって徐々に厚みが小さくなっている上記(3)に記載の表示装置。
(5)前記支持基板は、前記第1領域の端縁近傍に、より厚みが小さくなるように端縁に 向かって傾斜するテーパを有する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の表示装置。
(6)前記支持基板の前記第2領域に接してヒンジ部を備えた上記(3)または(4)に記載の表示装置。
(7)前記ヒンジ部は、前記支持基板の折り曲げ角度に拘わらず一定の曲率で湾曲する湾曲形状を有し、前記支持基板は、前記第2領域において、前記ヒンジ部の湾曲形状に倣った湾曲形状に成形されている上記(6)に記載の表示装置。
(8)前記支持基板は一体成型されたものである上記(1)〜(7)のいずれかに記載の表示 装置。
(9)前記支持基板はエラストマーにより構成されている上記(8)に記載の表示装置。
(10)前記支持基板の面形状は方形状であり、前記第1領域は、前記方形状の少なくと も一辺に対応する領域である上記(1)〜(9)のいずれかに記載の表示装置。
(11)前記支持基板の面形状は方形状であり、前記第1領域は、前記方形状の少なくと も一つの角部に対応する領域である上記(1)〜(10)のいずれかに記載の表示装置。
(12)前記支持基板の面形状は方形状であり、前記第2領域は、前記方形状を二分する ように延在した領域である上記(3),(4),(6)のいずれかに記載の表示装置。
(13)前記支持基板上に、前記表示部と共に積層され、前記支持基板における局部的な撓みを検出する検出部を備えた上記(1)〜(12)のいずれかに記載の表示装置
(14)前記検出部の検出結果に基づいて、前記表示部における表示内容を切り替える表示切り替え部を備え、前記表示切り替え部は、前記検出部が前記支持基板の前記第1領域における撓みを検出した場合には、前記表示部においてページ送りまたはスクロールに対応した画像表示を行う上記(13)に記載の表示装置。
(15)表示部は、有機電界発光素子、液晶素子または電気泳動素子を含むものである上記(1)〜(14)のいずれかに記載の表示装置。
(16)前記支持基板上に、前記表示部の駆動素子としての有機薄膜トラジスタを有する上記(1)〜(15)のいずれかに記載の表示装置。
(17)可撓性を有する支持基板と、前記支持基板上に設けられた表示部と、前記支持基板は、その面内における端縁側の少なくとも一部の第1領域において、端縁に向かって徐々に柔らかくなるように構成されている表示装置を備えた電子機器。
(18)表示部を支持し、可撓性を有すると共に、面内における端部側の少なくとも一部の第1領域において、端縁に向かって徐々に柔らかくなるように構成されている支持基板。
【符号の説明】
【0061】
1…電子ブック、10…支持基板、11…積層体、12…ヒンジ部、13…カバー、14…保護シート、15…表示部、16…検出部、16a…位置センサ、16b…ベンディングセンサ、17…システムボード層、18…回路部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する支持基板と、
前記支持基板上に設けられた表示部とを備え、
前記支持基板は、その面内における端縁側の少なくとも一部の第1領域において、端縁に向かって徐々に柔らかくなるように構成されている
表示装置。
【請求項2】
前記支持基板は、前記第1領域において、端縁に向かって厚みが徐々に小さくなっている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記支持基板は、
面内を分断するように一方向に延在する第2領域において曲折されることにより、全体が折り畳み可能となっており、かつ
前記第2領域では、その近傍領域よりも厚みが小さくなっている
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記支持基板は、
前記第1領域と前記第2領域との間に第3領域を有し、
前記第2領域および前記第3領域の境界付近では、前記第2領域から前記第3領域にわたって徐々に厚みが大きくなり、かつ
前記第3領域および前記第1領域の境界付近では、前記第3領域から前記第1領域にわたって徐々に厚みが小さくなっている
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記支持基板は、前記第1領域の端縁近傍に、より厚みが小さくなるように端縁に向かって傾斜するテーパを有する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記支持基板の前記第2領域に接してヒンジ部を備えた
請求項3に記載の表示装置。
【請求項7】
前記ヒンジ部は、前記支持基板の折り曲げ角度に拘わらず一定の曲率で湾曲する湾曲形状を有し、
前記支持基板は、前記第2領域において、前記ヒンジ部の湾曲形状に倣った湾曲形状に成形されている
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記支持基板は一体成型されたものである
請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記支持基板はエラストマーにより構成されている
請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記支持基板の面形状は方形状であり、
前記第1領域は、前記方形状の少なくとも一辺に対応する領域である
請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
前記支持基板の面形状は方形状であり、
前記第1領域は、前記方形状の少なくとも一つの角部に対応する領域である
請求項1に記載の表示装置。
【請求項12】
前記支持基板の面形状は方形状であり、
前記第2領域は、前記方形状を二分するように延在した領域である
請求項3に記載の表示装置。
【請求項13】
前記支持基板上に、前記表示部と共に積層され、前記支持基板における局部的な撓みを検出する検出部を備えた
請求項1に記載の表示装置
【請求項14】
前記検出部の検出結果に基づいて、前記表示部における表示内容を切り替える表示切り替え部を備え、
前記表示切り替え部は、
前記検出部が前記支持基板の前記第1領域における撓みを検出した場合には、前記表示部においてページ送りまたはスクロールに対応した画像表示を行う
請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
表示部は、有機電界発光素子、液晶素子または電気泳動素子を含むものである
請求項1に記載の表示装置。
【請求項16】
前記支持基板上に、前記表示部の駆動素子としての有機薄膜トラジスタを有する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項17】
可撓性を有する支持基板と、
前記支持基板上に設けられた表示部と、
前記支持基板は、その面内における端縁側の少なくとも一部の第1領域において、端縁に向かって徐々に柔らかくなるように構成されている
表示装置を備えた電子機器。
【請求項18】
表示部を支持し、可撓性を有すると共に、面内における端部側の少なくとも一部の第1領域において、端縁に向かって徐々に柔らかくなるように構成されている支持基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−68719(P2013−68719A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205986(P2011−205986)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】