説明

表示装置および撮像装置

【課題】疲労感の少ない自然な立体像を提供する。
【解決手段】異なる複数の視点に対応する複数の視差画像を表示する表示部と、複数の視差画像を表示する表示面のそれぞれの虚像を生成し、複数の視差画像の光のそれぞれを対応する視点に応じた位置に合成して観察者の片眼に与える光学系と、観察者が注視している表示対象物を検出する検出部と、複数の視差画像を表示する表示面のそれぞれの虚像を、観察者が注視している表示対象物の視点からの距離に応じた位置に制御して、観察者の片眼の焦点に対応する位置に制御する制御部と、を備える表示装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察者に立体像を表示するための表示装置および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、観察者の注視点を検出し、注視点に表示された物体の距離を取得し、取得した距離に応じて光学系の焦点距離を制御する立体表示システムが記載されている。この立体表示システムでは、眼の焦点の距離と、観察者が注視している表示物体の距離とを一致させ、立体視に伴う観察者の疲労感を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平6−85590号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、表示画面内には、注視点に表示された物体とは異なる距離の物体も表示されている。このような表示物体については、眼の焦点距離と異なり、観察者に疲労感を与えてしまう。
【0005】
そこで、上述の立体表示システムでは、表示画像に対して、注視点に表示された物体との距離差に比例したぼかし処理を加える。しかし、このような処理を行った場合には、注視点が変わる毎にぼかしの状態を変化させなければならず、演算量が多くなってしまっていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の1つの態様においては、異なる複数の視点に対応する複数の視差画像を表示する表示部と、前記複数の視差画像を表示する表示面のそれぞれの虚像を生成し、前記複数の視差画像の光のそれぞれを対応する視点に応じた位置に合成して観察者の片眼に与える光学系と、前記複数の視差画像を表示する表示面のそれぞれの虚像を、前記観察者の片眼の焦点に対応する位置に制御する制御部と、を備える表示装置を提供する。
【0007】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る表示装置10の構成を示す。
【図2】本実施形態の表示装置10において、観察者の注視点が立体像30上の点Pである場合、当該点Pが観察者の片眼40にどのように見えるかを示す。
【図3】本実施形態の表示装置10において、観察者の注視点が、点Pよりも視点側に位置する立体像30上の点Pである場合、当該点Pが観察者の片眼40にどのように見えるかを示す。
【図4】本実施形態の表示装置10において、観察者の注視点が立体像30上の点Pである場合、点Pが観察者の片眼40にどのように見えるかを示す。
【図5】本実施形態の表示装置10において、観察者の注視点が立体像30上の点Pである場合、点Pが観察者の片眼40にどのように見えるかを示す。
【図6】本実施形態の第1例に係る表示装置10における、表示部14および光学系16の構成を示す。
【図7】本実施形態の第2例に係る表示装置10における、表示部14および光学系16の構成を示す。
【図8】本実施形態の第3例に係る表示装置10における、表示部14および光学系16の構成を示す。
【図9】本実施形態の第3例に係る表示面22の構成の一例を示す。
【図10】本実施形態の第4例に係る表示装置10における、表示部14および光学系16の構成を示す。
【図11】本実施形態に係る偏光ビームスプリッターアレイ60の構成を示す。
【図12】本実施形態の第5例に係る表示装置10における、表示部14および光学系16の構成を示す。
【図13】本実施形態の第5例に係る光学素子66を反射する光の経路の一例を示す。
【図14】本実施形態の第5例に係る光学系16により片眼40に与えられる像の一例を示す。
【図15】本実施形態に係る第1の撮像方法において、右眼用の第1の視差画像を撮像する場合の撮像装置72の位置を示す。
【図16】本実施形態に係る第1の撮像方法において、右眼用の第2の視差画像を撮像する場合の撮像装置72の位置を示す。
【図17】本実施形態に係る第1の撮像方法において、左眼用の第1の視差画像を撮像する場合の撮像装置72の位置を示す。
【図18】本実施形態に係る第1の撮像方法において、左眼用の第2の視差画像を撮像する場合の撮像装置72の位置を示す。
【図19】本実施形態に係る第1の撮像方法により撮像された視差画像を観察者に提供する場合における、表示部14および光学系16の配置例を示す。
【図20】本実施形態に係る第2の撮像方法において、右眼用の第1の視差画像を撮像する場合の撮像装置72の位置を示す。
【図21】本実施形態に係る第2の撮像方法において、右眼用の第2の視差画像を撮像する場合の撮像装置72の位置を示す。
【図22】本実施形態に係る第2の撮像方法において、左眼用の第1の視差画像を撮像する場合の撮像装置72の位置を示す。
【図23】本実施形態に係る第2の撮像方法において、左眼用の第2の視差画像を撮像する場合の撮像装置72の位置を示す。
【図24】本実施形態に係る第2の撮像方法により撮像された視差画像を観察者に提供する場合における、表示部14および光学系16の配置例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、本実施形態に係る表示装置10の構成を示す。表示装置10は、観察者の右眼および左眼に別個の画像を与えて、観察者に立体的に認識される画像を提供する。表示装置10は、出力部12と、右眼用の表示部14−Rと、左眼用の表示部14−Lと、右眼用の光学系16−Rと、左眼用の光学系16−Lと、検出部18と、制御部20とを備える。
【0011】
出力部12は、右眼用の複数の視差画像および左眼用の複数の視差画像を出力する。より詳しくは、出力部12は、異なる複数の視点に対応する右眼用の複数の視差画像および左眼用の複数の視差画像を出力する。出力部12は、このような視差画像として、例えば、異なる複数の視点から表示対象物を見た複数の視差画像を、右眼用および左眼用のそれぞれについて出力する。
【0012】
出力部12は、一例として、観察者の眼幅距離よりも十分短い距離(例えば、観察者の瞳の径と同等またはそれよりも短い距離)ずれた異なる複数の視点から撮像した複数の視差画像を、右眼用および左眼用のそれぞれについて出力する。複数の視差画像のずれの方向は、どの方向であってもよく、例えば、水平方向にずれていても、垂直方向にずれていてもよい。これにより、出力部12は、表示対象物の表示位置を視点から当該表示対象物までの距離に応じてずらした右眼用の複数の視差画像、および、左眼用の複数の視差画像を出力することができる。
【0013】
更に、出力部12は、右眼用および左眼用の複数の視差画像に含まれるそれぞれの表示対象物の距離情報を出力する。出力部12は、一例として、画面領域毎に距離情報を出力する。当該距離情報は、一例として、撮像時に生成される。
【0014】
右眼用の表示部14−Rは、出力部12から出力された右眼用の複数の視差画像を表示する。左眼用の表示部14−Lは、出力部12から出力された左眼用の複数の視差画像を表示する。
【0015】
右眼用の表示部14−Rおよび左眼用の表示部14−Lは、複数の視差画像のそれぞれを表示する表示面22を有する。なお、右眼用の表示部14−Rおよび左眼用の表示部14−Lは、右眼用または左眼用である点において相違するが、他の点においては互いに同一の機能および構成を有するので、以下、両者を合わせて説明する場合には、単に表示部14と称する。
【0016】
右眼用の光学系16−Rは、右眼用の表示部14−Rにおける右眼用の複数の視差画像を表示する表示面22のそれぞれの虚像を生成し、右眼用の複数の視差画像の光のそれぞれを対応する視点に応じた位置に合成して観察者の右眼に与える。左眼用の光学系16−Lは、左眼用の表示部14−Lにおける左眼用の複数の視差画像を表示する表示面22のそれぞれの虚像を生成し、左眼用の複数の視差画像の光のそれぞれを対応する視点に応じた位置に合成して観察者の左眼に与える。
【0017】
なお、右眼用の光学系16−Rおよび左眼用の光学系16−Lは、右眼用または左眼用である点において相違するが、他の点においては互いに同一の機能および構成を有するので、以下、両者を合わせて説明する場合には、単に光学系16と称する。
【0018】
ここで、光学系16は、複数の視差画像を表示する表示面22の虚像を生成する虚像生成光学系と、虚像生成光学系より射出した複数の視差画像の光を互いに異なる光軸にずらして観察者の片眼に与える光学素子とを有する。虚像生成光学系は、一例として、レンズまたは反射光学系であってよい。
【0019】
本実施形態においては、光学系16は、虚像生成光学系として、複数の視差画像のそれぞれに対応して設けられた複数のレンズ24を有する。それぞれのレンズ24は、観察者の片眼(右眼または左眼)と、表示部14における複数の視差画像を表示する表示面22のそれぞれとの間に、互いに光軸をずらして設けられる。これにより、光学系16は、観察者の片眼に対して、複数の視差画像を表示する表示面22のそれぞれの虚像を見せることができる。
【0020】
また、虚像生成光学系より射出した複数の視差画像の光を互いに異なる光軸にずらして観察者の片眼に与える光学素子は、一例として、ビームスプリッター等であってよい。このような光学素子を有することにより、光学系16は、観察者の片眼に対して、複数の視差画像の光を同時に与えることができる。なお、表示部14および光学系16の具体的な構成例については、詳細を後述する。
【0021】
さらに、光学系16は、虚像生成光学系が作る表示面22の虚像の位置を、光軸方向に前後に移動させることができる。光学系16は、一例として、レンズ24と表示面22との間の相対距離を変化させることにより、表示面22の虚像の位置を移動させる。また、レンズ24は、一例として、ズームレンズであってよい。この場合、光学系16は、レンズ24の焦点位置を変化させることにより、表示面22の虚像の位置を移動させることができる。
【0022】
検出部18は、表示部14が表示している複数の視差画像内における、観察者が注視している表示対象物を検出する。検出部18は、一例として、観察者が注視している表示面22上の位置を検出する構成であってよい。
【0023】
制御部20は、観察者が注視している表示対象物および出力部12により出力された距離情報に基づき、観察者の注視点に表示された表示対象物における視点からの距離を取得する。そして、制御部20は、複数の視差画像を表示する表示面22のそれぞれの虚像を、観察者の片眼の焦点に対応する位置に制御する。
【0024】
制御部20は、一例として、光学系16が作る表示面22の虚像の位置を、観察者が注視している表示対象物における視点から当該表示対象物までの距離に応じた位置に制御する。これにより、制御部20は、観察者の注視点に表示された表示対象物と同一距離にある表示対象物のそれぞれの像を、観察者の片眼の焦点に一致させることができる。
【0025】
さらに、制御部20は、観察者の眼に与えられる像を予め定められた倍率に制御する。制御部20は、一例として、表示される視差画像の倍率を変更したり、レンズ24をズームレンズとすることで、観察者の眼に与えられる像を予め定められた倍率に制御する。
【0026】
図2は、本実施形態の表示装置10において、観察者の注視点が立体像30上の表示対象物P(以下、点P)である場合、当該点Pが観察者の片眼40にどのように見えるかを示す。本例において、表示部14は、第1の表示面22−1と、第2の表示面22−2とを有する。第1の表示面22−1は、所定の視点から撮像された第1の視差画像を表示する。第2の表示面22−2は、第1の視差画像を撮像した視点に対して、微小距離ずれた異なる視点から撮像された第2の視差画像を表示する。なお、図2から図4では、説明上、第1の表示面22−1および第2の表示面22−2を重ねて描いている。
【0027】
また、本例において、光学系16は、第1の視差画像の光を、当該第1の視差画像を撮像した視点に対応する位置から観察者の片眼40に与える。また、光学系16は、第2の視差画像の光を、当該第2の視差画像を撮像した視点に対応する位置から観察者の片眼40に与える。例えば、光学系16は、第1の視差画像の撮像位置と第2の視差画像の撮像位置とが水平方向に所定距離ずれていれば、第1の視差画像の光と第2の視差画像の光とを水平方向に同距離ずらした視点からの光束として合成して、観察者の片眼40に与える。
【0028】
また、本例において、光学系16は、第1のレンズ24−1と、第2のレンズ24−2とを有する。第1のレンズ24−1は、第1の表示面22−1と片眼40との間の光路中に設けられる。また、第2のレンズ24−2は、第2の表示面22−2と片眼40との間における、第1のレンズ24−1とは異なる光路中に設けられる。
【0029】
このような表示装置10では、第1の表示面22−1に表示された第1の視差画像の光は、第1のレンズ24−1を透過して片眼40に与えられる。これとともに、第2の表示面22−2に表示された第2の視差画像の光は、第2のレンズ24−2を透過して片眼40に与えられる。
【0030】
ここで、観察者の注視点が、立体像30上の点Pにあるとする。また、距離情報に示された、点Pにおける視点からの距離はHであるとする。
【0031】
この場合、観察者の片眼40は、距離H上の面で、第1の視差画像による点Pと第2の視差画像による点Pとが一致するように、水晶体42の厚みを調整する。更に、制御部20は、第1の表示面22−1の虚像を距離H上の面に生成するように、例えば、第1の表示面22−1および第1のレンズ24−1の何れか一方または両方の位置を制御する。これとともに、制御部20は、第2の表示面22−2の虚像を距離H上の面に生成するように、例えば、第2の表示面22−2および第2のレンズ24−2の何れか一方または両方の位置を制御する。
【0032】
以上により、表示装置10は、観察者の片眼40に対して、第1の視差画像による点Pと第2の視差画像による点Pとを、距離H上の面において合致させ、且つ、ピントが合った状態で見せることができる。
【0033】
図3は、本実施形態の表示装置10において、観察者の注視点が、点Pよりも視点側に位置する立体像30上の表示対象物P(以下、点P)である場合、当該点Pが観察者の片眼40にどのように見えるかを示す。観察者の注視点が、立体像30上の点Pにあるとする。また、距離情報に示された、点Pにおける視点からの距離はHであるとする。
【0034】
この場合、観察者の片眼40は、距離H2上の面で、第1の視差画像による点P2と第2の視差画像による点P2とが合致するように、水晶体42の厚みを調整する。更に、制御部20は、第1の表示面22−1の虚像を距離H上の面に生成するように、例えば、第1の表示面22−1および第1のレンズ24−1の何れか一方または両方の位置を制御する。これとともに、制御部20は、第2の表示面22−2の虚像を距離H上の面に生成するように、例えば、第2の表示面22−2および第2のレンズ24−2の何れか一方または両方の位置を制御する。
【0035】
以上により、表示装置10は、観察者の片眼40に対して、第1の視差画像による点P2と第2の視差画像による点P2とを、距離H2上の面において合致させ、且つ、ピントが合った状態で見せることができる。
【0036】
図2および図3に示されるように、表示装置10は、観察者が注視している表示対象物の像の距離と、観察者の片眼40のピントの距離とを一致させることができる。これにより、表示装置10によれば、観察者に対して、不快感および疲労等の少ない自然な立体像を提供することができる。
【0037】
図4は、本実施形態の表示装置10において、観察者の注視点が立体像30上の点Pである場合、点Pが観察者の片眼40にどのように見えるかを示す。片眼40から第1のレンズ24−1を通り点Pに向かう光束の主光線、および、片眼40から第2のレンズ24−2を通り点Pに向かう光束の主光線は、距離H上の面では一致するが、距離H上の面ではずれる。
【0038】
ここで、観察者の注視点が立体像30上の点Pにある場合、第1の表示面22−1の虚像および第2の表示面22−2の虚像は、距離H上の面に生成される。従って、この場合、第1のレンズ24−1が作る点Pに対応する虚像と、第2のレンズ24−2が作る点Pに対応する虚像とは、位置がずれた像となる。
【0039】
このように、表示装置10は、観察者の注視点が立体像30上の点Pにある場合、点Pとは距離が異なる点Pについては、観察者の片眼40に対して、位置ずれして重ねられた二重の像を与えることができる。この場合において、第1のレンズ24−1が作る点Pに対応する虚像の位置と、第2のレンズ24−2が作る点Pに対応する虚像の位置とのずれ量sは、距離Hと距離Hとの間隔dに比例した値となる。
【0040】
図5は、本実施形態の表示装置10において、観察者の注視点が立体像30上の点Pである場合、点Pが観察者の片眼40にどのように見えるかを示す。片眼40から第1のレンズ24−1を通り点Pに向かう光束の主光線と、片眼40から第2のレンズ24−2を通り点Pに向かう光束の主光線とは、距離H上の面では一致するが、距離H上の面ではずれる。
【0041】
ここで、観察者の注視点が立体像30上の点Pにある場合、第1の表示面22−1の虚像および第2の表示面22−2の虚像は、距離H上の面に生成される。従って、この場合、第1のレンズ24−1が作る点Pに対応する虚像と、第2のレンズ24−2が作る点Pに対応する虚像とは、位置がずれた像となる。
【0042】
このように、表示装置10は、観察者の注視点が立体像30上の点Pにある場合、点Pとは距離が異なる点Pについては、観察者の片眼40に対して、位置ずれして重ねられた二重の像を与えることができる。この場合において、第1のレンズ24−1が作る点Pに対応する虚像の位置と、第2のレンズ24−2が作る点Pに対応する虚像の位置とのずれ量sは、距離Hと距離Hとの間隔dに比例した値となる。
【0043】
図4および図5に示されるように、表示装置10は、注視点に表示された表示対象物と異なる距離の表示対象物を、注視点に表示された表示対象物からの距離に応じたずれ量分、表示面内方向にずらして、観察者の片眼40に与える。このずれ量により、観察者には擬似的にぼけが生じたように感じられるので、表示装置10は、注視点に表示された表示対象物からの距離に応じてぼけ量が大きくなる立体像を観察者に提供することができる。
【0044】
このような状態は、3次元物体を直接観察する場合とほぼ等価な状態である。従って、2台の表示装置10により左右両眼に立体像を供給することで、両眼視差による表示対象物上の注視点に、眼のピントを合わせることができるので、不快感および疲労等の少ない自然な立体像を観察者に与えることができる。
【0045】
更に、表示装置10によれば、複数の視差画像のずれによりぼけを生じさせるので、観察者の注視点が変わった場合にも、ぼかしの状態を容易に変化させることができる。これにより、表示装置10によれば、複雑な演算を必要とせず、リアルタイムで簡易にぼかしの状態を変化させることができる。
【0046】
図6は、本実施形態の第1例に係る表示装置10における、表示部14および光学系16の構成を示す。なお、第1例に係る表示装置10は、図1から図5に示した表示装置10と略同一の構成および機能を有するので、図1から図5までに説明した構成要素と略同一の構成要素については同一の符号を付けて相違点を除き説明を省略する。
【0047】
第1例に係る表示部14は、複数の視差画像のうちの第1の視差画像を表示する第1の表示面22−1と、複数の視差画像のうちの第2の視差画像を表示する第2の表示面22−2とを有する。第1の表示面22−1および第2の表示面22−2は、互いに異なる位置に配置される。
【0048】
第1例に係る光学系16は、第1のレンズ24−1と、第2のレンズ24−2と、部分透過ミラー50とを有する。第1のレンズ24−1は、第1の表示面22−1により表示された第1の視差画像の光を透過する。第2のレンズ24−2は、第2の表示面22−2により表示された第2の視差画像の光を透過する。
【0049】
部分透過ミラー50は、第1のレンズ24−1を透過した第1の視差画像の光および第2のレンズ24−2を透過した第2の視差画像の光を異なる方向(例えば、互いに直交する方向)から入射する。そして、部分透過ミラー50は、第1の視差画像の光の一部を透過して第2の視差画像の光の一部を反射して、第1の視差画像の光および第2の視差画像の光を、光軸をずらして出射する。この場合において、部分透過ミラー50は、第1の視差画像の光と第2の視差画像の光とを、撮像位置のずれの方向およびずれ量に対応して光軸をずらして出射する。部分透過ミラー50は、例えば、片眼40に対して水平方向に光軸がずれた光を射出してもよいし、片眼40に対して垂直方向にずれた光を射出してもよい。
【0050】
このような第1例に係る光学系16は、異なる複数の視点から撮像された第1の視差画像および第2の視差画像を、対応する視点に応じた位置に光学的に合成して観察者の片眼40に与えることができる。そして、このような第1例に係る光学系16は、第1のレンズ24−1および第2のレンズ24−2を機械的に干渉させずに配置することができる。
【0051】
図7は、本実施形態の第2例に係る表示装置10における、表示部14および光学系16の構成を示す。なお、本実施形態に係る第2例に係る表示部14および光学系16は、図6に示された第1例に係る表示部14および光学系16と略同一の構成を有するので、同一の構成要素については図面中に同一の符号を付け、以下、相違点を除き説明を省略する。
【0052】
第2例に係る光学系16は、部分透過ミラー50に代えて、偏光ビームスプリッター54を有する。偏光ビームスプリッター54は、第1のレンズ24−1を透過した第1の視差画像の光および第2のレンズ24−2を透過した第2の視差画像の光を異なる方向から入射する。そして、偏光ビームスプリッター54は、第1の視差画像の光の第1偏光成分(例えばP偏光成分)を透過して第2の視差画像の光の第2偏光成分(S偏光成分)を反射して、第1の視差画像および第2の視差画像の光を、光軸をずらして出射する。このような第2例に係る光学系16は、第1例と同様の作用効果を有する。
【0053】
図8は、本実施形態の第3例に係る表示装置10における、表示部14および光学系16の構成を示す。なお、第3例に係る表示装置10は、図1から図5に示した表示装置10と略同一の構成および機能を有するので、図1から図5までに説明した構成要素と略同一の構成要素については同一の符号を付けて相違点を除き説明を省略する。
【0054】
第3例に係る表示部14は、1つの表示面22を有する。表示面22は、第1の視差画像を第1偏光成分(例えば垂直方向の直線偏光成分)の光で表示し、第2の視差画像を第1偏光成分と異なる第2偏光成分(例えば第1偏光成分と直交する水平方向の直線偏光成分)の光で表示する。
【0055】
第3例に係る光学系16は、1つのレンズ24と、光学素子56とを有する。レンズ24は、表示部14から出力された第1の視差画像の光(第1偏光成分の光)および第2の視差画像の光(第2偏光成分の光)を透過する。
【0056】
光学素子56は、レンズ24を透過した光を入射する。そして、光学素子56は、入射した光の第1偏光成分と第2偏光成分とを、光軸をずらして平行に出射する。光学素子56は、一例として、複屈折を利用したビームディスプレーサであってよい。
【0057】
このような第3例に係る光学系16は、異なる複数の視点から撮像された第1の視差画像および第2の視差画像を、対応する視点に応じた位置に光学的に合成して観察者の片眼40に与えることができる。さらに、このような第3例に係る光学系16は、第1の視差画像の光および第2の視差画像の光を光学素子56に対して同一方向から入射することができる。従って、第3例に係る光学系16は、表示装置10全体を小型にすることができる。
【0058】
図9は、本実施形態の第3例に係る表示面22の構成の一例を示す。表示面22は、一例として、第1の視差画像を第1偏光成分の光で表示する表示領域と、第2の視差画像を第2偏光成分の光で表示する表示領域とを含む構成であってよい。
【0059】
例えば、表示面22は、図9に示されるように、第1偏光成分の光を出力する複数の第1画素22−1と、第2偏光成分の光を出力する複数の第2画素22−2とが、行方向または列方向に交互に配置された構成であってよい。また、例えば、表示面22は、第1画素22−1と第2画素22−2とが千鳥状に配置された構成であってもよい。
【0060】
このような表示面22は、1枚の面内に第1の視差画像および第2の視差画像を表示することができる。表示装置10は、このような表示面22を備えることにより、全体を小型にすることができる。
【0061】
図10は、本実施形態の第4例に係る表示装置10における、表示部14および光学系16の構成を示す。なお、本実施形態に係る第4例に係る表示部14および光学系16は、図8に示された第3例に係る表示部14および光学系16と略同一の構成を有するので、同一の構成要素については図面中に同一の符号を付け、以下、相違点を除き説明を省略する。
【0062】
第4例に係る表示面22は、表示面22と、切替部58とを有する。表示面22は、第1の視差画像と第2の視差画像とを時間的に交互に切り替えて表示する。切替部58は、表示面22の切り替えに同期して第1の視差画像の光と第2の視差画像の光の偏光方向を光学素子56に対して切り替えて透過する。
【0063】
このような第4例に係る表示部14は、第1の視差画像を第1偏光成分の光で出力し、第2の視差画像を第1偏光成分と異なる第2偏光成分の光で出力することができる。表示装置10は、このような表示部14を備えることによっても、全体を小型にすることができる。
【0064】
図11は、本実施形態に係る偏光ビームスプリッターアレイ60の構成を示す。本実施形態の第3例および第4例に係る光学素子56は、一例として、偏光ビームスプリッターアレイ60であってよい。偏光ビームスプリッターアレイ60は、所定の間隔毎に平行に配置された複数の分離面62を含む。それぞれの分離面62は、レンズ24を透過した光を入射する。そして、それぞれの分離面62は、入射した光の第1偏光成分を透過して第2偏光成分を反射する。
【0065】
図11に示されるような、所定の間隔毎に配置された3つの分離面(第1の分離面62−1、第2の分離面62−2および第3の分離面62−3)を含む偏光ビームスプリッターアレイ60の場合であれば、例えば、次のように光が通過する。
【0066】
第1の分離面62−1には、レンズ24を透過した光束Lが入射される。第1の分離面62−1は、入射した光束LのP偏光成分L11を透過し、光束LのS偏光成分L12を反射する。そして、第1の分離面62−1は、光束LのP偏光成分L11を外部へと出射する。
【0067】
また、第1の分離面62−1を反射したS偏光成分L12は、第1の分離面62−1と隣接する第2の分離面62−2の裏面側に入射する。第2の分離面62−2は、裏面側に入射したS偏光成分L12を反射する。そして、第2の分離面62−2は、光束LのS偏光成分L12を、光束LのP偏光成分L11とは異なる位置から平行に外部へと出射する。
【0068】
第2の分離面62−2および第3の分離面62−3のそれぞれに入射される光束も、同様に、P偏光成分およびS偏光成分に分離され、それぞれ異なる位置から平行に外部へと出射される。このように偏光ビームスプリッターアレイ60は、レンズ24から入射した光のS偏光成分とP偏光成分とを分離して、光軸をずらして平行に出射することができる。
【0069】
なお、分離面62は、ワイヤグリッドで構成されることが好ましい。これにより、分離面62は、様々な波長および入射角度を有する光束を、S偏光成分およびP偏光成分に分離することができる。
【0070】
また、偏光ビームスプリッターアレイ60は、一例として、遮光部64を含む構成であってもよい。遮光部64は、複数の分離面62によって予め定められた数の反射がされる偏光成分(例えば2回反射される偏光成分)を含む光束のみを通過させるように、当該偏光ビームスプリッターアレイ60に入射される光束を遮光する。即ち、遮光部64は、予め定められた数以外の回数分反射がされる偏光成分(例えば0回、1回、3回以上の反射がされる偏光成分)を含む光束を遮断する。
【0071】
これにより、偏光ビームスプリッターアレイ60は、例えば何れの分離面62も透過することなく出射されてしまう光束L13を遮断することができる。また、偏光ビームスプリッターアレイ60は、分離面62において1回のみまたは3回以上反射して偏光ビームスプリッターアレイ60から出射されてしまう光束L14を遮断することができる。
【0072】
図12は、本実施形態の第5例に係る表示装置10における、表示部14および光学系16の構成を示す。図13は、本実施形態の第5例に係る光学素子66を反射する光の経路の一例を示す。図14は、本実施形態の第5例に係る光学系16により片眼40に与えられる像の一例を示す。なお、本実施形態に係る第5例に係る表示部14および光学系16は、図8に示された第3例に係る表示部14および光学系16と略同一の構成を有するので、同一の構成要素については図面中に同一の符号を付け、以下、相違点を除き説明を省略する。
【0073】
第5例に係る光学系16は、1つのレンズ24と、光学素子66とを有する。レンズ24は、表示部14から出力された第1の視差画像の光(第1偏光成分の光)および第2の視差画像の光(第2偏光成分の光)を透過する。
【0074】
光学素子66は、図13に示されるように、第1面67と、第2面68とを有する。第1面67は、レンズ24を透過した光を入射し、入射した光の第1偏光成分Lpを透過して第2偏光成分Lsを反射する。第2面68は、第1面67を透過した第1偏光成分Lpの光を少なくとも反射して、第1面67へ出射する。第2面68は、一例として、第1面67と平行に配置される。
【0075】
このような光学素子66は、入射した光の第1偏光成分と第2偏光成分とを、光軸をずらして出射することができる。光学素子66は、一例として、第1偏光成分と第2偏光成分とを平行に出射することができる。これにより、光学素子66は、第1の視差画像の光および第2の視差画像の光のそれぞれを、対応する視点への光として観察者の片眼に与えることができる。
【0076】
第1面67および第2面68は、一例として、ガラス等の表面および裏面に形成されたワイヤグリッド等であってよい。また、第2面68は、偏光に依存せずに反射をする反射面であってもよい。
【0077】
また、図14に示されるように、第2面68は、半透明な面であってもよい。これにより、表示部14から射出された光に、外部から入射される光を合成して片眼40に与えることができる。従って、このような表示装置10は、実在の物体に立体像を重ねて表示することができる。
【0078】
図15および図16は、本実施形態に係る第1の撮像方法において、右眼用の第1の視差画像および第2の視差画像を撮像する場合の撮像装置72の位置を示す。図17および図18は、本実施形態に係る第1の撮像方法において、左眼用の第1の視差画像および第2の視差画像を撮像する場合の撮像装置72の位置を示す。
【0079】
表示装置10は、第1の視差画像の光と第2の視差画像の光とを、水平方向に距離rずらして合成して観察者の片眼40に与えるとする。この場合、本実施形態に係る撮像装置72は、一例として、図15から図18に示されるように、右眼用および左眼用のそれぞれの第1の視差画像および第2の視差画像を撮像する。
【0080】
ここで、被写体70上の撮像したい範囲の中心にある表示対象物Oから撮像者の方向に延ばした線を、中心線Cとする。また、表示対象物Oから撮像装置72の瞳位置までの距離をRとする。
【0081】
また、中心線Cから水平方向に右側にW/2にずれた線を、右眼用画像の基準撮像位置を表す右眼基準線Cとする。また、中心線Cから水平方向に左側にW/2にずれた線を、左眼用画像の基準撮像位置を表す左眼基準線Cとする。なお、Wは、観察者の眼幅距離に応じた長さである。
【0082】
まず、図15に示されるように、撮像装置72は、レンズの光軸を、右眼基準線Cから水平方向の右側にr/2平行移動した軸上に配置して、右眼用の第1の視差画像を撮像素子74により記録する。続いて、図16に示されるように、撮像装置72は、レンズの光軸を、右眼基準線Cから水平方向の左側にr/2平行移動した軸上に配置して、右眼用の第2の視差画像を撮像素子74により記録する。
【0083】
続いて、図17に示されるように、撮像装置72は、レンズの光軸を、左眼基準線Cから水平方向の右側にr/2平行移動した軸上に配置して、左眼用の第1の視差画像を撮像素子74により記録する。続いて、図18に示されるように、撮像装置72は、レンズの光軸を、左眼基準線Cから水平方向の左側にr/2平行移動した軸上に配置して、左眼用の第2の視差画像を撮像素子74により記録する。
【0084】
以上の各位置から撮像することにより、撮像装置72は、右眼用の第1の視差画像および第2の視差画像、並びに、左眼用の第1の視差画像および第2の視差画像を生成することができる。なお、撮像装置72は、表示装置10が水平方向以外にずらして第1の視差画像と第2の視差画像とを合成して観察者の片眼40に与える場合には、右眼基準線Cまたは左眼基準線Cを中心として、対応する方向に距離r離間した2つの位置で第1の視差画像および第2の視差画像を撮像すればよい。
【0085】
以上のように、撮像装置72は、表示装置10により合成される複数の視差画像のずれ量および方向に応じて設定された複数の異なる撮影位置から、表示対象物を撮像して複数の視差画像を生成する。これにより、撮像装置72は、光学的に合成して観察者の片眼に与えることができる複数の視差画像を生成することができる。なお、本変形例においては、1台の撮像装置72をずらすことにより4枚の視差画像を撮像するが、前述の撮像位置に4台のカメラを配置して4枚の視差画像を同時に撮像してもよい。
【0086】
図19は、本実施形態に係る第1の撮像方法により撮像された視差画像を観察者に提供する場合における、表示部14および光学系16の配置例を示す。図15から図18に示された方法で撮像した画像を表示する場合、表示装置10の右眼用の光学系16−Rおよび左眼用の光学系16−Lは、それぞれが有する光軸の中心軸が、互いに平行に距離W離間する位置に配置される。
【0087】
そして、このような表示装置10は、観察者が、撮像した範囲の中心に位置する表示対象物Oを注視している場合、右眼用の表示部14−Rの虚像52−Rおよび左眼用の表示部14−Lの虚像52−Lのそれぞれを、視点から距離R離れた位置に見えるように調整する。これにより、表示装置10は、図15から図18に示された方法により撮像された右眼用および左眼用の視差画像を表示して、観察者に立体像を与えることができる。
【0088】
図20および図21は、本実施形態に係る第2の撮像方法において、右眼用の第1の視差画像および第2の視差画像を撮像する場合の撮像装置72の位置を示す。図22および図23は、本実施形態に係る第2の撮像方法において、左眼用の第1の視差画像および第2の視差画像を撮像する場合の撮像装置72の位置を示す。
【0089】
被写体70上の撮像したい範囲の中心にある表示対象物Oを中心として、中心線Cから水平方向に右側に角度φ回転させた線を、右眼用画像の基準撮像位置を表す第2の右眼基準線Dとする。また、表示対象物Oを中心として、中心線Cから水平方向に左側に角度φ回転させた線を、左眼用画像の基準撮像位置を表す第2の左眼基準線Dとする。
【0090】
なお、φは、下記の式(1)の関係が成り立つ角度である。
W/2=R×tanφ …(1)
【0091】
まず、図20に示されるように、撮像装置72は、レンズの光軸を、第2の右眼基準線Dから水平方向の右側にr/2平行移動した軸上に配置して、右眼用の第1の視差画像を撮像素子74により記録する。続いて、図21に示されるように、撮像装置72は、レンズの光軸を、第2の右眼基準線Dから水平方向の左側にr/2平行移動した軸上に配置して、右眼用の第2の視差画像を撮像素子74により記録する。
【0092】
続いて、図22に示されるように、撮像装置72は、レンズの光軸を、第2の左眼基準線Dから水平方向の右側にr/2平行移動した軸上に配置して、左眼用の第1の視差画像を撮像素子74により記録する。続いて、図23に示されるように、撮像装置72は、レンズの光軸を、第2の左眼基準線Dから水平方向の左側にr/2平行移動した軸上に配置して、左眼用の第2の視差画像を撮像素子74により記録する。
【0093】
これにより撮像装置72は、右眼用の第1および第2の視差画像および左眼用の第1および第2の視差画像を生成することができる。なお、撮像装置72は、表示装置10が水平方向以外にずらして第1の視差画像と第2の視差画像とを合成して観察者の片眼40に与える場合には、第2の右眼基準線Dまたは第2の左眼基準線Dを中心として、対応する方向に距離r離間した2つの位置で第1の視差画像および第2の視差画像を撮像すればよい。
【0094】
以上のように、撮像装置72は、表示装置10により合成される複数の視差画像のずれ量および方向に応じて設定された複数の異なる撮影位置から、表示対象物を撮像して複数の視差画像を生成する。これにより、撮像装置72は、表示装置10が、光学的に合成して観察者の片眼に与えることができる複数の視差画像を生成することができる。
【0095】
特に、第2の撮像方法により撮像することにより、撮像装置72は、表示対象物Oが撮影者の近くである場合であっても、右眼用の視差画像および左眼用の視差画像により撮像される空間領域をほぼ一致させることができ、より良好な立体感を観察者に与えることができる。
【0096】
図24は、本実施形態に係る第2の撮像方法により撮像された視差画像を観察者に提供する場合における、表示部14および光学系16の配置例を示す。観察者の右眼と左眼との中間点から奥行き方向に延ばした線を、線Eとする。また、線E上における、観察者の右眼と左眼との中間点から距離Rの点を、点Xとする。
【0097】
図20から図23に示された方法で撮像した画像を表示する場合、表示装置10の右眼用の光学系16−Rは、当該右眼用の光学系16−Rが有する2つの光軸の中心軸が、線Eを点Xを中心として水平方向の右側に角度φ回転させた線上に位置するように、配置される。また、左眼用の光学系16−Lは、当該左眼用の光学系16−Lが有する2つの光軸の中心軸が、線Eを点Xを中心として水平方向の左側に角度φ回転させた線上に位置するように、配置される。
【0098】
そして、このような表示装置10は、観察者が、撮像した範囲の中心に位置する表示対象物Oを注視している場合、右眼用の表示部14−Rの虚像52−Rおよび左眼用の表示部14−Lの虚像52−Lのそれぞれを、視点から距離R離れた位置に見えるように調整する。これにより、表示装置10は、図20から図23に示された方法により撮像された右眼用および左眼用の視差画像を表示して、観察者に立体像を与えることができる。
【0099】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0100】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0101】
10 表示装置、12 出力部、14 表示部、16 光学系、18 検出部、20 制御部、22 表示面、24 レンズ、30 立体像、40 片眼、42 水晶体、50 部分透過ミラー、52 虚像、54 偏光ビームスプリッター、56 光学素子、58 切替部、60 偏光ビームスプリッターアレイ、62 分離面、64 遮光部、66 光学素子、70 被写体、72 撮像装置、74 撮像素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる複数の視点に対応する複数の視差画像を表示する表示部と、
前記複数の視差画像を表示する表示面のそれぞれの虚像を生成し、前記複数の視差画像の光のそれぞれを対応する視点に応じた位置に合成して観察者の片眼に与える光学系と、
前記複数の視差画像を表示する表示面のそれぞれの虚像を、前記観察者の片眼の焦点に対応する位置に制御する制御部と、
を備える表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の視差画像を表示する表示面のそれぞれの虚像を、前記観察者が注視している表示対象物の視点からの距離に応じた位置に制御する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記光学系は、
前記複数の視差画像を表示する表示面の虚像を生成する虚像生成光学系と、
前記虚像生成光学系により射出される前記複数の視差画像の光を、互いに異なる光軸にずらして前記観察者の片眼に与える光学素子と、
を有する
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記観察者の眼に与えられる像を予め定められた倍率に制御する
請求項2から3の何れかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記観察者が注視している表示対象物を検出する検出部を更に備え、
前記制御部は、前記検出部により検出された表示対象物の距離に基づき前記光学系を制御する
請求項2から4の何れかに記載の表示装置。
【請求項6】
異なる複数の視点に対応する右眼用の複数の視差画像を表示する右眼用の表示部と、
異なる複数の視点に対応する左眼用の複数の視差画像を表示する左眼用の表示部と、
前記右眼用の複数の視差画像を表示する表示面のそれぞれの虚像を生成し、前記右眼用の複数の視差画像の光のそれぞれを対応する視点に応じた位置に合成して前記観察者の右眼に与える右眼用の光学系と、
前記左眼用の複数の視差画像を表示する表示面のそれぞれの虚像を生成し、前記左眼用の複数の視差画像の光のそれぞれを対応する視点に応じた位置に合成して前記観察者の左眼に与える左眼用の光学系と、
前記右眼用の複数の視差画像を表示する表示面のそれぞれの虚像を、前記観察者の右眼の焦点に対応する位置に制御し、前記左眼用の複数の視差画像を表示する表示面のそれぞれの虚像を、前記観察者の左眼の焦点に対応する位置に制御する制御部と、
を備える請求項1から5の何れかに記載の表示装置。
【請求項7】
前記光学系は、
前記複数の視差画像のうちの第1の視差画像の光を透過する第1のレンズと、
前記複数の視差画像のうちの第2の視差画像の光を透過する第2のレンズと、
前記第1のレンズを透過した第1の視差画像の光および前記第2のレンズを透過した第2の視差画像の光を異なる方向から入射し、前記第1の視差画像の光の一部を透過して前記第2の視差画像の光の一部を反射して、前記第1の視差画像の光および前記第2の視差画像の光を光軸をずらして出射する部分透過ミラーと、
を有する
請求項1から6の何れかに記載の表示装置。
【請求項8】
前記光学系は、
前記複数の視差画像のうちの第1の視差画像の光を透過する第1のレンズと、
前記複数の視差画像のうちの第2の視差画像の光を透過する第2のレンズと、
前記第1のレンズを透過した第1の視差画像の光および前記第2のレンズを透過した第2の視差画像の光を異なる方向から入射し、前記第1の視差画像の光の第1偏光成分を透過して前記第2の視差画像の光の第2偏光成分を反射して、前記第1の視差画像および前記第2の視差画像を光軸をずらして出射する偏光ビームスプリッターと、
を有する
請求項1から6の何れかに記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示部は、前記複数の視差画像のうちの第1の視差画像を第1偏光成分の光で表示し、前記複数の視差画像のうちの第2の視差画像を第2偏光成分の光で表示し、
前記光学系は、
前記表示部から出力された第1の視差画像の光および第2の視差画像の光を透過するレンズと、
前記レンズを透過した光を入射し、入射した光の第1偏光成分と第2偏光成分とを光軸をずらして出射する光学素子と、
を有する
請求項1から6の何れかに記載の表示装置。
【請求項10】
前記光学素子は、入射した光の前記第1偏光成分を透過して前記第2偏光成分を反射する複数の分離面であって、所定の間隔毎に平行に配置された前記複数の分離面を含む偏光ビームスプリッターアレイである
請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記偏光ビームスプリッターアレイは、前記複数の分離面によって予め定められた数の反射がされる偏光成分を含む光束のみを通過させるように、当該偏光ビームスプリッターアレイに入射される光束を遮光する遮光部を有する請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記光学素子は、
入射した光の前記第1偏光成分を透過して前記第2偏光成分を反射する第1面と、
前記第1面が透過した前記第1偏光成分を少なくとも反射して、反射した光を前記第1面へ出射する第2面と、
を有する
請求項9に記載の表示装置。
【請求項13】
前記表示部は、前記第1の視差画像を第1偏光成分の光で表示する表示領域と、前記第2の視差画像を第2偏光成分の光で表示する表示領域とを含む表示面を有する
請求項9から12の何れかに記載の表示装置。
【請求項14】
前記表示部は、前記2つの画像を切り替えて表示する表示面と、前記表示面の切り替えに同期して第1偏光成分の光および第2偏光成分の光を切り替えて透過する切替部とを有する
請求項9から12の何れかに記載の表示装置。
【請求項15】
表示対象物を異なる複数の撮像位置から撮像して、請求項1から14の何れかに記載の表示装置により観察者の片眼に与えられる複数の視差画像を生成する撮像装置。
【請求項16】
異なる複数の視点に対応する複数の視差画像を表示する表示部と、
前記複数の視差画像の光のそれぞれを対応する視点に応じた位置に合成して観察者の片眼に与える光学系と、
を備える表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−53564(P2011−53564A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204052(P2009−204052)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】