説明

表示装置および表示装置の制御方法

【課題】光源の光量を変更しても予め設定された色温度および輝度に制御される技術の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、映像信号により光を変調する光変調部10と、光変調部10に光を供給する光源20と、光源20の光量を検出する検出部30と、検出部30で検出した光量から予め設定された色温度および輝度になるよう映像信号を補正する制御を行う制御部40とを有する表示装置1である。ここで、光源20は、例えば冷陰極管(CCFL)が用いられる。また、光変調部10は、例えば液晶によって光を変調するものが用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および表示装置の制御方法に関する。詳しくは、光変調部に光を供給する光源の色温度および輝度を制御する表示装置および表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置の光源であるバックライトとして、一般的に冷陰極管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)が用いられている。CCFLはHCFL(Hot Cathode Fluorescent Lamp)に比べて管径を細くできるとともに長寿命であることから、液晶表示装置のバックライトに適している。ここで、バックライトを備えた表示装置の制御について、特許文献1〜5が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−265296号公報
【特許文献2】特開2002−149135号公報
【特許文献3】特開2006−31977号公報
【特許文献4】特開平7−294889号公報
【特許文献5】特開平10−49074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、輝度の変更によって色域が変化する光源では、ユーザが光源の輝度を任意に変更した場合、光源のRGBの色度点が変化し、色温度もずれてしまうという問題が生じる。
【0005】
本発明は、光源の光量を変更しても予め設定された色温度および輝度に制御される技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、映像信号により光を変調する光変調部と、光変調部に光を供給する光源と、光源の光量を検出する検出部と、検出部で検出した光量から予め設定された色温度および輝度になるよう映像信号を補正する制御を行う制御部とを有する表示装置である。
【0007】
また、本発明は、光源から供給した光を映像信号により変調して表示するにあたり、光源の光量を検出する工程と、検出した光量から予め設定された色温度および輝度になるよう映像信号を補正する制御を行う工程とを有する表示装置の制御方法である。
【0008】
このような本発明では、光源の光量を検出し、予め設定された色温度および輝度になるよう映像信号に補正を施すことから、光源の輝度の変更による色度の変化が生じても予め設定された色温度を維持できるようになる。
【0009】
ここで、検出部は、光源の光量をR(赤)、G(緑)、B(青)の各々について検出するものである。これにより、制御部は、検出部で検出したRGBの各々の光量から予め設定された色温度および輝度になるよう映像信号のRGBの調整値を算出し、この調整値によって映像信号を補正する。
【0010】
制御部は、検出部で検出したRGBの各々の光量を色度情報および輝度情報に変換し、この変換されたRGBの各々の色度情報および輝度情報から予め設定された色温度および輝度となるよう映像信号のRGB各々の調整値を算出する。
【0011】
光源は、例えば冷陰極管(CCFL)のように、輝度の変動で色度が変化するものが用いられる。光変調部は、例えば液晶によって光を変調するものが用いられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光源の光量を変更して色度が変化しても、予め設定された色温度および輝度を合わせることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」と言う。)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.表示装置の概略構成(各部構成の配置状態、ブロック構成、表示動作(制御方法))
2.第1実施形態(ブロック構成、動作)
3.第2実施形態(ブロック構成、動作)
4.第3実施形態(ブロック構成、動作)
5.具体例
【0014】
<1.表示装置の概略構成>
[各部構成の配置状態]
図1は、本実施形態に係る表示装置の概略構成を説明する分解斜視図である。本実施形態に係る表示装置1は、光変調部10、光源20、検出部30および制御部40を備えている。
【0015】
光変調部10は、映像信号により光を変調する。例えば、液晶パネルから成り、映像信号に応じて光源20の光を画素単位で変調し、映像表示を行う。
【0016】
光源20は、光変調部に光を供給する。例えば、例えば冷陰極管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)が用いられる。本実施形態では、特に、輝度の変動によって色度が変化する光源20を用いる場合に有効である。
【0017】
検出部30は、光源20から出射される光の量を検出する部分である。制御部40は、検出部30で検出した光量から輝度を求め、予め設定された色温度および輝度になるよう光変調部10へ供給する映像信号を補正する制御を行う。
【0018】
表示装置1において、光変調器10は複数の画素がマトリクス状に配置されたパネル形状となっている。また、光源20も光変調器10の大きさに対応したパネル形状となっている。光源20としてCCFLを適用する場合、複数本のCCFLがパネル面に所定ピッチで配列され、光変調部10の全面について光を供給できるようになっている。光源20は、光変調部10の背面(映像表示面と反対側)に配置され、光変調部10の背面から光を供給する。
【0019】
検出部30は、光源20の背面(光変調部10が配置される面と反対側)に配置され、光源20の光量を検出する。また、光源20の背面には制御部40が設けられている。制御部40は各種回路を基板に備えた構成となっている。
【0020】
これら光変調部10、光源20、検出部30および制御部40は、図示しない筐体内に組み込まれている。
【0021】
[ブロック構成]
図2は、表示装置のブロック構成を説明する図である。先に説明した光変調部10と光源20とは重ね合わせて配置されることで表示ユニットを構成している。表示ユニットにおける光源20の背面側に検出部30が配置され、光源20の背面側に照射される光の量を検出する。光源20の背面側に照射される光は、光変調部10が配置される表面側に照射される光と同様な光であり、背面側の光量を検出することで光変調部10への光量を検出することと等しくなる。なお、光源20の背面側に反射膜が設けられている場合には、反射膜を透過した光を検出するか、検出器30の受光部分だけ反射膜に穴を開けておき、この穴を介して光源20から照射される光を検出することになる。
【0022】
制御部40は、光源制御部41と映像制御部42とを備えている。検出部30で検出した信号は光源制御部41の演算部41aに送られ、色温度や輝度への変換、調整値等の算出など、各種の演算が行われる。光源制御部41は、光源20に対して制御信号を送り、光源20の発光量(輝度)を制御する。制御信号は、例えばPWM(Pulse Width Modulation)による信号である。
【0023】
光源制御部40は、演算部41aで演算した調整値を映像制御部42へ送り、映像信号を補正する制御を行う。映像制御部42は、外部の映像入力端子(例えば、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)、DVI(Digital Visual Interface)、拡張スロット)から入力される映像信号に基づき光変調器10の画素ごとの変調を制御する。
【0024】
光源制御部41および映像制御部42には電源制御部43から電源が供給される。電源制御部43から送られる電源電位は光源制御部41を介して光源10に与えられ、映像制御部42を介して光変調部10に与えられる。
【0025】
[表示動作(制御方法)]
図1、図2に示す表示装置1の表示動作を説明する。先ず、外部の映像入力端子(HDMI/DVI、拡張スロット等)から映像信号が入力されると、これを受けた映像制御部42はR(赤)、G(緑)、B(青)に対応した画素に対して駆動のための信号を与える。
【0026】
一方、光源制御部41は、光源20に制御信号を与えて所定の輝度で光源20から光変調部10に光を供給する。光変調部10に供給された光は、映像信号に応じて駆動される画素ごと変調が行われ、RGBの各色に応じた強度となって出力される。これにより映像が表示されることになる。
【0027】
また、本実施形態の表示装置1では、光源20の光量を検出部30で検出し、光源制御部41の演算部41aで予め設定された色温度および輝度になるよう映像信号の調整値を算出している。この調整値は映像制御部42に送られ、映像制御部42から光変調部10に送られる映像信号に調整が加えられる。これにより、光源20の輝度が変更された場合でも、その輝度の変更によるRGBの色度のずれを調整し、予め定められた色温度および輝度に設定することが可能となる。
【0028】
以下、本実施形態の表示装置1における具体的な実施形態を説明する。
【0029】
<2.第1実施形態>
[ブロック構成]
図3は、第1実施形態に係る表示装置を説明するブロック図である。第1実施形態では、光変調部として液晶パネル100、光源としてCCFL200、検出部として光センサ300、制御部として制御ユニット400を用いている。
【0030】
この表示装置では、CCFL200をバックライトとして液晶パネル100に光を供給する。液晶パネル100は制御ユニット400から送られる映像信号に基づく駆動信号によって画素毎の液晶が駆動される。これにより、CCFL200から供給された光を変調し、映像出力を行う。
【0031】
光センサ300は、CCFL200の光量を検出し、制御ユニット400に送る。制御ユニット400には、光源制御部41および映像制御部42(図2参照)が設けられている。これにより、光センサ300で検出した光量から色度情報および輝度情報を算出し、予め設定された色温度および輝度になるよう映像信号を補正する。また、この補正によってCCFL200の輝度が変化した分、CCFL200の輝度を補正する制御を行う。
【0032】
[動作]
第1実施形態に係る表示装置は、次のような動作となる。先ず、制御ユニット400は、外部から映像信号が与えられると、この映像信号に基づき液晶パネル100の各画素を駆動する。これにより、液晶パネル100に映像を表示される。
【0033】
映像表示を行うにあたり、液晶パネル100のバックライトとして用いられるCCFL200は、制御ユニット400から送られる制御信号(例えば、PWMによる信号)によって光量が制御される。
【0034】
CCFL200から液晶パネル100に光を供給する際、光センサ300でCCFL200の光量を検出する。光センサ300で検出した光量は、制御ユニット400に送られる。制御ユニット400は、光センサ300から送られた検出光量から色度情報および輝度情報を算出する。
【0035】
制御ユニット400は、予め設定された色温度(例えば、D65、D50といったホワイトバランス)および輝度と、検出光量から算出した色度情報および輝度情報とから調整値を算出する。また、制御ユニット400は、算出した調整値によって映像信号を補正し、液晶パネル100に与える。さらに、制御ユニット400は、調整値による映像信号の補正分で変化する輝度を補うため、CCFL200の輝度を補正する。
【0036】
このCCFL200の補正後の輝度を光センサ300で検出し、制御ユニット400へ帰還する。このようなCCFL200の光量検出、色度調整、輝度補正を繰り返し実施することで、CCFL200を予め設定された色温度および輝度に合わせることができる。
【0037】
<3.第2実施形態>
[ブロック構成]
図4は、第2実施形態に係る表示装置を説明するブロック図である。第2実施形態では、光変調部として液晶パネル100、光源としてCCFL200、検出部としてRGBセンサ301、制御部として制御ユニット400を用いている。
【0038】
この表示装置では、CCFL200をバックライトとして液晶パネル100に光を供給する。液晶パネル100は制御ユニット400から送られる映像信号に基づく駆動信号によって画素毎の液晶が駆動される。これにより、CCFL200から供給された光を変調し、映像出力を行う。
【0039】
RGBセンサ301は、CCFL200の光量をR(赤)、G(緑)、B(青)の各色ごとに検出し、制御ユニット400に送る。制御ユニット400には、検出値/色度・輝度変換部401と、RGBゲイン値算出部402と、RGBアンプ部403と、CCFL輝度制御部404とが設けられている。
【0040】
これにより、CCFL輝度制御部404から送られる制御信号によってCCFL200の輝度が調整される。また、RGBセンサ301で検出したRGB各色の光量が、検出値/色度・輝度変換部401でRGB各色の色度情報および輝度情報に変換される。このRGB各色の色度情報および輝度情報が予め設定された色温度および輝度になるようRGB映像信号のゲイン値がRGBゲイン値算出部402で算出される。このゲイン値によりRGBアンプ部403でRGB映像信号が調整され、調整後の映像信号が液晶パネル100に送られる。
【0041】
[動作]
第2実施形態に係る表示装置は、次のような動作となる。先ず、制御ユニット400のRGBアンプ部403は、外部からRGB各色の映像信号が与えられると、このRGB映像信号に基づき液晶パネル100のRGBに対応した各画素を駆動する。これにより、液晶パネル100に映像を表示される。
【0042】
映像表示を行うにあたり、液晶パネル100のバックライトとして用いられるCCFL200は、制御ユニット400のCCFL輝度制御部404から送られる制御信号(例えば、PWMによる信号)によって光量が制御される。
【0043】
CCFL200から液晶パネル100に光を供給する際、RGBセンサ301でCCFL200の光量をRGB各色ごとに分けて検出する。RGBセンサ301で検出したRGB各色の光量は、制御ユニット400の検出値/色度・輝度変換部401に送られる。
【0044】
検出値/色度・輝度変換部401は、RGBセンサ301から送られたRGBの各検出光量からRGB各々についての色度情報(例えば、xy表色系における単色色度の座標(x,y))および輝度情報(例えば、単色輝度の値Y)を算出する。RGB各色ごとの色度情報および輝度情報はRGBゲイン値算出部402に送られる。
【0045】
RGBゲイン値算出部402は、検出値/色度・輝度変換部401から送られてきたRGB各色の色度情報および輝度情報と、予め設定された色温度(例えば、D65、D50といったホワイトバランス)および輝度との相違からRGB各色の映像信号のレベルを補正するゲイン(調整値)を算出する。このゲインはRGBアンプ部403に送られる。
【0046】
RGBアンプ部403は、RGBゲイン値算出部402から送られたRGB各色のゲインを入力されるRGB各色の映像信号に各々与え、映像信号に補正を施す。補正後のRGB映像信号は液晶パネル100に送られ、これによって予め設定された色温度および輝度の映像表示が行われる。
【0047】
<4.第3実施形態>
[ブロック構成]
図5は、第3実施形態に係る表示装置を説明するブロック図である。第3実施形態では、光変調部として液晶パネル100、光源としてCCFL200、検出部としてRGBセンサ301、制御部として制御ユニット400を用いている。
【0048】
この表示装置では、CCFL200をバックライトとして液晶パネル100に光を供給する。液晶パネル100は制御ユニット400から送られる映像信号に基づく駆動信号によって画素毎の液晶が駆動される。これにより、CCFL200から供給された光を変調し、映像出力を行う。
【0049】
RGBセンサ301は、CCFL200の光量をR(赤)、G(緑)、B(青)の各色ごとに検出し、制御ユニット400に送る。制御ユニット400には、検出値/色度・輝度変換部401と、RGBゲイン値算出部402と、RGBアンプ部403と、CCFL輝度制御部404と、輝度補正率算出部405とが設けられている。
【0050】
これにより、CCFL輝度制御部404から送られる制御信号によってCCFL200の輝度が調整される。また、RGBセンサ301で検出したRGB各色の光量が、検出値/色度・輝度変換部401でRGB各色の色度情報および輝度情報に変換される。このRGB各色の色度情報および輝度情報が予め設定された色温度および輝度になるようRGB映像信号のゲイン値がRGBゲイン値算出部402で算出される。
【0051】
このゲイン値によりRGBアンプ部403でRGB映像信号が調整され、調整後の映像信号が液晶パネル100に送られる。さらに、映像信号の調整によって輝度が変動する分を補うよう輝度補正率算出部405が輝度の補正率を算出する。この補正率を用いてCCFL輝度制御部404がCCFL200の輝度を制御する。
【0052】
[動作]
第3実施形態に係る表示装置は、次のような動作となる。先ず、制御ユニット400のRGBアンプ部403は、外部からRGB各色の映像信号が与えられると、このRGB映像信号に基づき液晶パネル100のRGBに対応した各画素を駆動する。これにより、液晶パネル100に映像を表示される。
【0053】
映像表示を行うにあたり、液晶パネル100のバックライトとして用いられるCCFL200は、制御ユニット400のCCFL輝度制御部404から送られる制御信号(例えば、PWMによる信号)によって光量が制御される。
【0054】
CCFL200から液晶パネル100に光を供給する際、RGBセンサ301でCCFL200の光量をRGB各色ごとに分けて検出する。RGBセンサ301で検出したRGB各色の光量は、制御ユニット400の検出値/色度・輝度変換部401に送られる。検出値/色度・輝度変換部401は、RGBセンサ301から送られたRGBの各検出光量からRGB各々についての色度情報(例えば、xy表色系における単色色度の座標(x,y))および輝度情報(例えば、単色輝度の値Y)を算出する。RGB各色ごとの色度情報および輝度情報はRGBゲイン値算出部402に送られる。
【0055】
RGBゲイン値算出部402は、検出値/色度・輝度変換部401から送られてきたRGB各色の色度情報および輝度情報と、予め設定された色温度(例えば、D65、D50といったホワイトバランス)および輝度との相違からRGB各色の映像信号のレベルを補正するゲイン(調整値)を算出する。このゲインはRGBアンプ部403に送られる。
【0056】
RGBアンプ部403は、RGBゲイン値算出部402から送られたRGB各色のゲインを入力されるRGB各色の映像信号に各々与え、映像信号に補正を施す。補正後のRGB映像信号は液晶パネル100に送る。
【0057】
また、RGBゲイン値算出部402で算出したゲインは、輝度補正率算出部405にも送られる。輝度補正率算出部405は、RGBゲイン値算出部402から送られたRGB各色のゲインから調整後のRGB映像信号より輝度の変化分を求め、これを補うよう補正率を算出する。この補正率を用いて、CCFL輝度制御部404はCCFL200の輝度を制御する。
【0058】
CCFL200の光量は、逐次RGBセンサ301によって検出される。したがって、CCFL輝度制御部404によるCCFL200の輝度の補正が行われた後も、補正後の光量をRGBセンサ301で検出する。この検出値は再度制御ユニット400に送られる。そして、検出値/色度・輝度変換部401による変換演算、RGBゲイン値算出部402によるゲイン値算出、RGBアンプ部403によるRGB映像信号の調整が繰り返し行われることになる。これによって予め設定された色温度および輝度の映像表示が行われる。
【0059】
<5.具体例>
[ブロック構成]
図6は、本実施形態に係る表示装置の具体例を説明する機能ブロック図である。この図6では、主として図5に示す第3実施形態に係る表示装置の制御ユニット400内での各部の動作を機能ブロック(括弧内符号参照)として示したものである。
【0060】
[各部の機能の説明]
(1)…外部からの映像信号を赤色(R)映像信号、緑色(G)映像信号、青色(B)映像信号に変換する処理を行う。
(2)…デガンマにより、映像信号のγカーブをリニアな信号に変換する処理を行う。
(3)…RGB映像信号にゲインをかけて、RGB各色の信号レベルを補正する処理を行う。
(4)…液晶パネルのγカーブを加味して、リニアな映像信号をγカーブの信号に変換する処理を行う。
(5)…液晶パネルの表示におけるユニフォミティ(均一性)を補正する処理を行う。
(6)…設定色度輝度とRGBセンサからの色度輝度情報より、映像信号を補正するためのRGB各色のゲインを各々算出する処理を行う。
(7)…RGB各色のゲインにより変化する輝度量およびRGBセンサからの輝度情報により、輝度を補正するためのゲインを算出する処理を行う。
(8)…RGBセンサからの輝度情報を色度情報に変換する処理を行う。
(9)…(7)で算出されたゲインにより、目標輝度値を求める処理を行う。
(10)…(7)で算出されたゲインにより、目標PWM値を求める処理を行う。
(11)…目標輝度値とRGBセンサからの輝度値との比率より、フィードバック係数を算出する処理を行う。
(12)…発振防止のため、フィードバック係数のフィルタを施す。
(13)…目標PWM値にフィードバック係数を掛けて、CCFLへのPWM値を算出する処理を行う。
(14)…RGB各色の輝度を合成して白輝度を算出する処理を行う。
(15)…RGBセンサの出力値をRGB各色の輝度情報に変換する処理を行う。
【0061】
上記の機能のうち(8)、(14)、(15)は図5に示す検出値/色度・輝度変換部401で行われる。また、上記の機能うち(6)は図5に示すRGBゲイン値算出部402で行われる。また、上記の機能のうち(3)は図5に示すRGBアンプ部403で行われる。また、上記の機能のうち(9)、(10)は図5に示すCCFL輝度制御部404で行われる。また、上記の機能のうち(7)は図5に示す輝度補正率算出部405で行われる。
【0062】
[動作]
次に、図6に示す表示装置の具体例における動作を説明する。
【0063】
(動作1)
RGBセンサで検出した値を(15)にて、RGB3原色の各色の輝度情報に変換する。変換は予め色毎に用意した定数aおよびbを使用し、以下の一次式より算出する。なお、ここで、赤色についての定数a、bをそれぞれar、br、緑色についての定数a、bをそれぞれag、bg、青色についての定数a、bをそれぞれab、bbとする。
【0064】
赤色輝度情報=赤色輝度定数ar×赤色センサ値+赤色輝度定数br
緑色輝度情報=緑色輝度定数ag×緑色センサ値+緑色輝度定数bg
青色輝度情報=青色輝度定数ab×青色センサ値+青色輝度定数bb
【0065】
ここで、定数の求め方を図7を用いて説明する。図7は、横軸がRGBセンサの検出値(「RGBセンサ値」とも言う。)、縦軸が輝度を示している。先ず、表示装置の組立調整時にCCFLのPWM値を20%と39%、55%の3ポイントに設定し、各ポイントでのRGBセンサ値を求める。ここで、PWM39%は、白基準D65、光量100nitでのおおよそのPWM値である。
【0066】
そして、RGB各単色の映像信号を液晶パネルに入力した際の液晶パネルの映像表示面での輝度を測定する。図7には、3ポイントにおけるRGBセンサ値と液晶パネル表示面での輝度との関係がプロットされている。この3ポイントのプロットのうち、PWM値20%と55%との値を直線で結び、この直線から傾きを求めて定数aとする。また、この傾きでPWM39%の値を通過する直線の輝度軸上での切片をオフセット値の定数bとする。
【0067】
このような定数aおよびbをRGB各色について求めておき、不揮発性メモリ等に記憶しておく。RGB各色についての定数a、bはCCFLと液晶パネルとの組み合わせ(図2に示す表示ユニット)ごとに求められるもので、求められたRGB各色の定数a、bは、例えば図2に示す構成における光源制御部41の演算部41a内に設けられる不揮発性メモリに記憶される。したがって、表示ユニットが交換された場合には、不揮発性メモリの内容を予め求めておいたその表示ユニットに対応した定数a、bに書き替えるようにする。なお、不揮発性メモリが表示ユニット内に設けられており、その表示ユニットに対応した定数a、bが記憶されている場合には、表示ユニットの交換のみでよい。
【0068】
(動作2)
次に、動作1で算出したRGB各色の輝度を合成して白色の輝度を算出する。すなわち、算出した値は、RGBセンサによって検出した光量より得たCCFLの輝度情報となる。
【0069】
(動作3)
次に、動作2で求めた白色輝度から(8)によってRGB各色の色度座標(x、y)に変換する。変換は予め色毎に用意した定数AおよびBを使用し、以下の一次式より算出する。なお、ここで、赤色色度xについての定数A、BをそれぞれAxr、Bxr、赤色色度yについての定数A、BをそれぞれAyr、Byr、緑色色度xについての定数A、BをそれぞれAxg、Bxg、緑色色度yについての定数A、BをそれぞれAyg、Byg、青色色度xについての定数A、BをそれぞれAxb、Bxb、青色色度yについての定数A、BをそれぞれAyb、Bybとする。
【0070】
赤色色度x=赤色色度x定数Axr×白色輝度値+赤色色度x定数Bxr
赤色色度y=赤色色度y定数Ayr×白色輝度値+赤色色度y定数Byr
緑色色度x=緑色色度x定数Axg×白色輝度値+緑色色度x定数Bxg
緑色色度y=緑色色度y定数Ayg×白色輝度値+緑色色度y定数Byg
青色色度x=青色色度x定数Axb×白色輝度値+青色色度x定数Bxb
青色色度y=青色色度y定数Ayb×白色輝度値+青色色度y定数Byb
【0071】
ここで、定数の求め方を図8を用いて説明する。図8は、横軸が白色輝度、縦軸が色度を示している。先ず、表示装置の組立調整時にCCFLのPWM値を20%と39%、55%の3ポイントに設定し、各ポイントでのRGBセンサ値を求める。ここで、PWM39%は、白基準D65、光量100nitでのおおよそのPWM値である。
【0072】
そして、RGB各単色の映像信号を液晶パネルに入力した際の液晶パネルの映像表示面での色度を測定する。また、各ポイントで求めたRGBセンサ値から上記動作1〜2の処理によって、各ポイントでの白色輝度を算出する。図8には、3ポイントにおける白色輝度と液晶パネル表示面での色度との関係がプロットされている。この3ポイントのプロットのうち、PWM値20%と55%との値を直線で結び、この直線から傾きを求めて定数Aとする。また、この傾きでPWM39%の値を通過する直線の色度軸上での切片をオフセット値の定数Bとする。
【0073】
このような定数AおよびBをRGB各色のx、y各色度について求めておき、不揮発性メモリ等に記憶しておく。定数A、Bは、定数a、bと同様、CCFLと液晶パネルとの組み合わせ(図2に示す表示ユニット)ごとに求められるもので、例えば図2に示す演算部41a内や表示ユニット内に設けられる不揮発性メモリに記憶される。
【0074】
(動作4)
次に、算出したRGB各色の色度情報および輝度情報より、(6)にてCCFLが変動したことによる色度・輝度を補正するため、映像信号へ掛けるゲインを算出する。このゲインはRGBの各映像信号にそれぞれに掛けるため、Rゲイン、Gゲイン、Bゲインとして3種類を求める。RGBの各ゲインは次のような手順で求める。
【0075】
図9は、RGBの各ゲインの算出を説明する図で、xy色空間上での設定色度とRGBセンサの検出値による各色の色度との関係を示している。
「1」…目標とする色度xと赤色色度xとの距離Aを算出する。
距離A=設定色度x−RGBセンサからの赤色色度x
「2」…目標とする色度xと緑色色度xとの距離Bを算出する。
距離B=設定色度x−RGBセンサからの緑色色度x
「3」…目標とする色度xと青色色度xとの距離Cを算出する。
距離C=設定色度x−RGBセンサからの青色色度x
【0076】
「4」…目標とする色度yと赤色色度yとの距離Dを算出する。
距離D=RGBセンサからの赤色色度y−設定色度y
「5」…目標とする色度yと緑色色度yとの距離Eを算出する。
距離E=RGBセンサからの緑色色度y−設定色度y
「6」…目標とする色度yと青色色度yとの距離Fを算出する。
距離F=RGBセンサからの青色色度y−設定色度y
【0077】
「7」…赤と青との色度yの差Gを算出する。
差G=RGBセンサからの青色色度y−RGBセンサからの赤色色度y
「8」…赤と緑との色度yの差Hを算出する。
差H=RGBセンサからの緑色色度y−RGBセンサからの赤色色度y
「9」…青と緑との色度yの差Iを算出する。
差I=RGBセンサからの青色色度y−RGBセンサからの緑色色度y
【0078】
「10」…RGB3原色を合成した際に設定色度になるような赤の輝度Yrを算出する。
輝度Yr=−1×RGBセンサからの赤色色度y×(C×E−B×F)÷(設定色度y×(B×G−C×H−A×I))
「11」…RGB3原色を合成した際に設定色度になるような緑の輝度Ygを算出する。
輝度Yg=1×RGBセンサからの緑色色度y×(C×D−A×F)÷(設定色度y×(B×G−C×H−A×I))
「12」…RGB3原色を合成した際に設定色度になるような青の輝度Ybを算出する。
輝度Yb=1−Yr−Yg
【0079】
「13」…RGBセンサから取得した現在のRGB各色の輝度と、「10」〜「12」で計算より求めた輝度と比率から、R、G、Bの各ゲインを求める。
Rゲイン=Yr×RGBセンサ値から求めた白色輝度÷RGBセンサ値から求めた赤色輝度
Gゲイン=Yg×RGBセンサ値から求めた白色輝度÷RGBセンサ値から求めた緑色輝度
Bゲイン=Yb×RGBセンサ値から求めた白色輝度÷RGBセンサ値から求めた青色輝度
【0080】
その後、算出されたRGB各色のゲインが上限で1倍となるようにRGB3つのゲイン値を同じ比率で調整する。図10はRGBゲインの比率調整を説明する図である。この図では、算出されたRGB3つのゲインのうち、最も大きいRのゲインに合わせている例を示している。すなわち、Rのゲインを1倍にする際の比率をGおよびBのゲインにも掛けて、最大のゲインが1倍となるよう調整する。
【0081】
(動作5)
次に、外部から入力された映像信号は(1)にてRGBに変換され、(2)にてデガンマされる。そのRGBの各映像信号に対して、先に算出したRGBゲインをRGBそれぞれの映像信号に対して(3)にて掛け合わせる。その後、(4)のガンマ補正、(5)のユニフォーミティ補正を行い液晶パネルに出力する。
【0082】
(動作6)
この時、RGBゲインにより表示パネルの映像表示面での輝度が変化することになる。そこで、(7)にてその輝度の変化率を求め、輝度の補正量(輝度補正ゲイン)を求める。実際には、映像信号に最大で1倍のゲインを掛けているので、輝度は下がる方向に働く。低下した輝度および輝度補正ゲインは次の式によって計算する。
【0083】
低下した赤色輝度=RGBセンサでの検出値に基づく赤色輝度×Rゲイン
低下した緑色輝度=RGBセンサでの検出値に基づく緑色輝度×Gゲイン
低下した青色輝度=RGBセンサでの検出値に基づく青色輝度×Bゲイン
低下した白色輝度=低下した赤色輝度+低下した緑色輝度+低下した青色輝度
輝度補正ゲイン=輝度補正ゲイン×設定輝度÷低下した白色輝度
(但し、輝度補正ゲインの初期値は1とする)
【0084】
(動作7)
次に、輝度補正ゲインを(9)にて基準輝度値と掛け合わせ、目標輝度値を算出する。また、これと同時に(10)にて基準PWM値と掛け合わせ、目標PWM値を算出する。
【0085】
(動作8)
次に、目標輝度値と(14)からの白色輝度値の比率を(11)で求め、その値を輝度フィードバック係数とする。
【0086】
(動作9)
次に、(13)にて目標PWM値に輝度フィードバック係数を掛けて、CCFLへ与えるPWM値を算出する。ここで、CCFLの輝度が上がり、それによりCCFLの色度も変わるが、その情報は白色輝度として反映され、それによりRGB各色の色度情報が変わることで自動的に補正されることになる。
【0087】
(動作10)
以上の動作をリアルタイムに繰り返し行うことにより、CCFLの色度や輝度が変動しても液晶パネルから出力される映像には影響を与えず、安定した色温度および輝度を実現することが可能となる。
【0088】
<他の適用例>
上記説明した実施形態では、いずれの表示装置の例を示したが、図1および図2に示す光変調部10、光源20、検出器30および制御部40が全て表示ユニット内に組み込まれた構成であっても適用可能である。また、光源20のパネル内に検出器30および制御部40が組み込まれた表示装置用光源を構成してもよい。
【0089】
また、上記説明した各種計算式では色空間としてxy色空間による座標値を用いているが、他の色空間の座標値(例えば、La**におけるa**座標)を用いるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本実施形態に係る表示装置の概略構成を説明する分解斜視図である。
【図2】表示装置のブロック構成を説明する図である。
【図3】第1実施形態に係る表示装置を説明するブロック図である。
【図4】第2実施形態に係る表示装置を説明するブロック図である。
【図5】第3実施形態に係る表示装置を説明するブロック図である。
【図6】本実施形態に係る表示装置の具体例を説明する機能ブロック図である。
【図7】定数a、bの求め方を説明する図である。
【図8】定数A、Bの求め方を説明する図である。
【図9】RGBの各ゲインの算出を説明する図である。
【図10】RGBゲインの比率調整を説明する図である。
【符号の説明】
【0091】
1…表示装置、10…光変調器、20…光源、30…検出部、40…制御部、41…光源制御部、41a…演算部、42…映像制御部、43…電源制御部、100…液晶パネル、200…CCFL、300…光センサ、301…RGBセンサ、400…制御ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号により光を変調する光変調部と、
前記光変調部に光を供給する光源と、
前記光源の光量を検出する検出部と、
前記検出部で検出した光量から予め設定された色温度および輝度になるよう前記映像信号を補正する制御を行う制御部と
を有する表示装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記光源の光量をR(赤)、G(緑)、B(青)の各々について検出し、
前記制御部は、前記検出部で検出したRGBの各々の光量から前記予め設定された色温度および輝度になるよう前記映像信号のRGBの調整値を算出し、当該調整値によって前記映像信号を補正する制御を行う
請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記検出部で検出したRGBの各々の光量を色度情報および輝度情報に変換する変換部と、
前記変換部で変換されたRGBの各々の色度情報および輝度情報から前記予め設定された色温度および輝度となるようRGB各々の前記調整値を算出する算出部とを有する
請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記映像信号を補正した後の映像信号による映像出力についての輝度の変動分と前記予め設定された輝度との差から輝度の補正値を算出する輝度補正値算出部と、
前記輝度補正値算出部で算出した前記輝度の補正値により前記光源の輝度を制御する光源輝度制御部と
を有する請求項1から3のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記光源輝度制御部によって制御された前記光源の光量を前記検出部で検出し、前記制御部へ帰還させる構成を備える
請求項4記載の表示装置。
【請求項6】
前記光源は、輝度の変動で色度が変化するものである
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記光源は、冷陰極管である
請求項6記載の表示装置。
【請求項8】
前記光変調部は、液晶によって光を変調するものである
請求項1から7のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
光源から供給した光を映像信号により変調して表示するにあたり、前記光源の光量を検出する工程と、
検出した前記光量から予め設定された色温度および輝度になるよう前記映像信号を補正する制御を行う工程と
を有する表示装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−145773(P2010−145773A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323366(P2008−323366)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】