説明

表示装置の表示画面の縦および横に配列されたキー列を用いるカーソル移動機能を有する数値制御装置

【課題】簡単な操作で画面上の釦を選択できるようにした表示装置のカーソル移動機能を提供すること。
【解決手段】表示装置118の表示画面の下側または上側に横方向に配置された横列のソフトウェアキー119Sと、該表示画面の右側または左側に縦方向に配置された縦列のソフトウェアキー119Lと、横のキー列119Sと縦のキー列119Lの個々のキーに対応する仮想上の境界線により表示装置118の表示画面を格子状に分割するための仮想上の境界線の起点となる境界データを記憶し、横のキー列119Sの1つのキーと縦のキー列119Lの1つのキーを同時に押し下げた時、同時に押し下げたキーに対応する仮想上の境界線に囲まれる領域に中心座標が存在する釦の中から1つの釦を特定し、特定された釦にカーソルを移動させることが可能な表示装置の表示画面の縦および横に配列されたキー列を用いるカーソル移動機能を有する数値制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は数値制御装置に関し、特に、表示装置の表示画面の縦および横に配列されたキー列を用いるカーソル移動機能を有する数値制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
数値制御装置付き工作機械が設置された工場のような製造現場では、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されるように、入力作業が容易で比較的高価なタッチパネルを装備した表示装置を数値制御装置に採用し、画面上の釦(ボタン)に直接タッチすることで数値制御装置を操作している。
【0003】
特許文献1には、オペレータがタッチパネルの接触領域を所定範囲内の圧力で押すと、第1の入力機構部がこれを検知するとともに、入力された接触領域に対応する表示装置の表示領域が特徴的に表示され、これにより、オペレータが押した接触領域が画面のどの位置に対応しているかが一目でわかる表示装置の技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、ドット単位の位置を指すポインティング用カーソルにおいては、更にカーソルの移動に時間がかかるという問題があり、これを解決するために、各画面のポインティング領域毎にポインティング領域の始点座標、x方向、y方向の長さを記憶しておき、記憶したポインティング領域の情報からポインティング領域の中心座標を生成し、カーソルキーによりポインティング領域の中心部を通過するタブ罫線の交点を自由に動作するようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−189110号公報
【特許文献2】特開平6−103020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術では、タッチパネルを装着していない表示装置や、タッチパネルを装着している装置でタッチパネルが故障した場合、表示装置の画面上に配置された釦(ボタン)を容易に選択できず、煩雑なカーソルキーの操作によって釦や操作アイテム間を移動させて目的とする釦や操作アイテムを選択する必要がある。
【0007】
図7を用いて説明する。釦D5を選択する場合、表示装置の表示画面が表示された直後の初期状態では、釦A1が選択され釦A1を囲む矩形の破線のカーソルが表示される。右方向にカーソルを移動させるカーソルキー(図示せず)を押すと、釦B1に選択された釦が変更され、カーソルも釦B1に移動する。さらに、右方向にカーソルを移動させるカーソルキーを2回押すと、釦D1に選択された釦が変更される。次に、カーソルを下方向に移動させるカーソルキーを4回押すと、選択された釦が釦D5に変更される。そして、選択を決定するEnterキーやインプットキー(図示せず)を押す。
【0008】
上述したように、カーソルの移動は釦や操作アイテム単位であるため、対象とする釦や操作アイテムを選択するためには、何度もカーソルを移動させる煩雑な操作が必要であった。
【0009】
そこで本発明の目的は、簡単な操作で画面上の釦を選択できるようにした表示装置の表示画面の縦および横に配列されたキー列を用いるカーソル移動機能を有する数値制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の請求項1に係る発明は、工作機械を操作するための複数の釦を有する操作画面を表示する表示装置と、該表示装置の表示画面の下側または上側に横方向に配置された横のキー列と、該表示画面の右側または左側に縦方向に配置された縦のキー列と、表示画面に表示された操作画面の複数の釦間を移動するカーソルを操作するカーソル移動キーと、を備えた数値制御装置において、前記表示装置の表示画面に表示された操作画面の複数の釦のそれぞれの中心座標を記憶した釦中心座標記憶手段と、前記横のキー列と縦のキー列の個々のキーに対応する仮想上の境界線により前記表示装置の表示画面を格子状に分割するための仮想上の境界線の起点となる境界データを記憶する境界データ記憶手段と、前記横のキー列の1つのキーと前記縦のキー列の1つのキーを同時に押し下げた時、同時に押し下げたキーに対応する仮想上の境界線に囲まれる領域に中心座標が存在する釦の中から1つの釦を特定する特定手段と、前記特定手段により特定された釦に前記カーソルを移動させるカーソル移動手段と、を備えた表示装置の表示画面の縦および横に配列されたキー列を用いるカーソル移動機能を有する数値制御装置である。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記特定手段によって特定された釦が複数存在する時、複数の釦の中から1つを前記カーソル移動キーによって選択することを特徴とする請求項1に記載の表示装置の表示画面の縦および横に配列されたキー列を用いるカーソル移動機能を有する数値制御装置である。
【0012】
請求項3に係る発明は、工作機械を操作するための複数の釦を有する操作画面を表示する表示装置と、該表示装置の表示画面の下側または上側に横方向に配置された横のキー列と、該表示画面の右側または左側に縦方向に配置された縦のキー列と、表示画面のドット単位で移動するカーソルを操作するカーソル移動キーと、を備えた数値制御装置において、前記横のキー列の1つのキーと前記縦のキー列の1つのキーを同時に押下した際に、横のキーの横方向のいずれかの位置を通る垂直な直線と縦のキーの縦方向のいずれかの位置を通る水平な直線の前記表示画面内での交点の位置を取得する位置取得手段と、前記位置取得手段により取得された交点の位置にカーソルを移動させるカーソル移動手段と、を備えた表示装置の表示画面の縦および横に配列されたキー列を用いるカーソル移動機能を有する数値制御装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、簡単な操作で画面上の釦を選択できるようにした表示装置の表示画面の縦および横に配列されたキー列を用いるカーソル移動機能を有する数値制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】表示装置を備えた工作機械を制御する数値制御装置の概略ブロック図である。
【図2】図1に説明した表示装置/MDIパネルの一例である。
【図3】表示装置の縦のキー列と横のキー列で操作対象の釦を選択する本発明の第1の実施形態を説明する図である。
【図4−1】本発明の第1の実施形態に係る処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図4−2】図4−1の続きである。
【図5】表示装置の縦のキー列と横のキー列で操作対象の釦を選択する本発明の第2の実施形態を説明する図である。
【図6−1】本発明の第2の実施形態に係る処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図6−2】図6−1の続きである。
【図7】従来の釦選択の技術を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明を適用した工作機械を制御する数値制御装置100の構成を概略で示すブロック図である。プロセッサであるCPU111は、ROM112に格納されたシステムプログラムに従って数値制御装置100全体を制御する。RAM113は、各種のデータあるいは入出力信号が格納される。不揮発性メモリ114に格納された各種のデータは電源切断後もそのまま保存される。数値制御装置100は、インタフェース115を介して外部機器とのデータの授受を行う。
【0016】
グラフィック制御回路117は、デジタル信号を表示用の信号に変換し、表示装置118に与える。キーボード120は、数値キー、文字キーなどを有する各種設定データを入力する手段である。CPU111により、前記各情報を処理することによって、工作機械200に取り付けられている工具の工具軌跡、その軌跡に対応した前記各情報を表示装置118に表示する。バス124には、グラフィック制御回路117、システムプログラム等によって機能が変化するソフトウェアキー119、キーボード120が接続されている。ソフトウェアキー119は、表示装置118、キーボード120と共に、表示装置/MDIパネル116に設けられている。ソフトウェアキー119は後述するように、縦列のソフトウェアキー119Lと横列のソフトウェアキー119Sとを有する。
【0017】
軸制御回路121は、CPU111から、各軸の移動指令を受けて、軸の指令をサーボアンプ122に出力する。このサーボアンプ122は、この移動指令を受けて、工作機械200に設置されているサーボモータ(図示せず)を駆動する。これらの構成要素はバス124で互いに結合されている。
【0018】
PMC(プログラマブル・マシン・コントローラ)123は、加工プログラムの実行時に、バス124経由でT機能信号(工具選択指令)などを受け取る。そして、この信号を、シーケンス・プログラムで処理して、動作指令として信号を出力し、工作機械200を制御する。
【0019】
図2は、図1に説明した表示装置/MDIパネル116の一例である。表示装置/MDIパネル116には、表示装置118、ソフトウェアキー119L,119S、キーボード120と共に、表示装置の表示画面に表示されるカーソルを上下左右の移動を指示するためのカーソル移動キー125、表示装置の表示画面に表示された釦(ボタン)により設定された機能の動作を起動させるためのEnterキー126が配置されている。ソフトウェアキー119は、表示装置118の画面の横(左または右)に複数のソフトウェアキーが配設された縦列のソフトウェアキー119Lと、表示装置118の画面の縦(上または下)に複数のソフトウェアキーが配設された横列のソフトウェアキー119Sとから構成される。縦列のソフトウェアキー119Lの長さは、表示装置118の表示画面の縦方向の長さと同じか長い。横列のソフトウェアキー119Sの長さは、表示装置118の表示画面の横方向の長さと同じか長い。
【0020】
次に、図3を用いて本発明の第1の実施形態を説明する。図3は、表示装置の縦のキー列と横のキー列で操作対象の釦を選択する本発明の第1の実施形態を説明する図である。
【0021】
表示装置118の表示画面には、種々の機能を選択するための釦(ボタン)が複数個適宜に配置されている。表示画面には、釦(ボタン)の例として、釦A,釦B,釦Cが横一列に並んで表示されており、また、釦D,釦E,釦F,釦Gが接して配置されている。
【0022】
第1の実施形態では、縦列のソフトウェアキー119Lと横列のソフトウェアキー119Sの各ソフトウェアキーに関連した仮想上の境界線を対応させる。なお、図3には格子状に破線が記載されているが、実際の数値制御装置の表示装置に破線が格子状に表示されるわけではない。
【0023】
まず、縦列のソフトウェアキー119Lに対応した仮想上の境界線は、縦列のソフトウェアキー119Lの隣接するキー間の画面上の位置を起点として、表示画面横方向に延びる仮想上の線である。そうすると図3に示されるように、ソフトウェアキー「FA」には仮想上の境界線の起点として(Y1とY2)が対応する。ソフトウェアキー「FB」には仮想上の境界線の起点として(Y2とY3)が対応する。ソフトウェキー「FC」には仮想上の境界線の起点として(Y3とY4)が対応する。ソフトウェアキー「FD」には仮想上の境界線の起点として(Y4とY5)が対応する。以下同様に、ソフトウェアキー「FH」まで仮想上の境界線の起点が対応付けられる。なお、表示画面では、横方向をX軸、縦方向をY軸としている。
【0024】
横列のソフトウェアキー119Sに対しても仮想上の境界線を対応させる。この仮想上の境界線は、表示画面縦方向に延びる仮想上の境界線である。縦列のソフトウェアキー119Lと同様に隣接するキー間の画面上の位置を起点として、表示画面縦方向に延びる仮想線である。
【0025】
そうすると図3に示されるように、ソフトウェアキー「F1」には仮想上の境界線の起点として(X1とX2)が対応する。ソフトウェアキー「F2」には仮想上の境界線の起点として(X2とX3)が対応する。ソフトウェキー「F3」には仮想上の境界線の起点として(X3とX4)が対応する。ソフトウェアキー「F4」には仮想上の境界線の起点として(X4とX5)が対応する。・・・ソフトウェアキー「F7」には仮想上の境界線の起点として、(X7とX8)が対応する。以下同様にソフトウェアキー「F10」まで仮想上の境界線の起点が対応付けられる。
【0026】
ここで、表示装置118の表示画面の釦(ボタン)を選択する場合を例として説明する。釦Bを選択するには、オペレータは、横列のソフトウェアキー119Sのソフトウェアキー「F3」と、縦列のソフトウェアキー119Lのソフトウェアキー「FD」とを同時に押す。
【0027】
上述したように、ソフトウェアキー「F3」には、起点を(X3とX4)とする2本の仮想上の境界線が対応し、ソフトウェアキー「FD」には、起点を(Y4とY5)とする2本の仮想上の境界線が対応する。これら4本の仮想上の境界線に囲まれた領域内に釦Bの中心位置が存在するので、釦Bには現在選択されていることを示すカーソルと呼ばれる選択枠が釦Bに表示される。このように、現在選択されている釦は、カーソルと呼ばれる選択枠が釦上に表示されるので、工作機械のオペレータはこの枠の表示の有無で判断することができる。そして、Enterキー126により釦Bの選択を確定し、釦Bに割り当てられた機能を実行することができる。
【0028】
釦Gを選択するには、オペレータは、横列のソフトウェアキー119Sのソフトウェアキー「F7」と、縦列のソフトウェアキー119Lのソフトウェアキー「FC」とを同時に押す。そうすると、これらのソフトウェアキーに対応した仮想上の境界線で囲まれた領域内に、釦D、釦E、釦F、および釦Gのそれぞれの中心位置が存在する。各釦の中心位置のデータが各釦に対応して記憶されており、また、予め、各釦には順番を表す指標が割り当てられており、例えば、前記領域内の複数の釦で一番順番が若い釦を現在選択されている釦とすることができる。あるいは、各釦の中心位置が4本の仮想上の境界線で囲まれた前記領域の中心位置にいちばん近い釦を現在選択されている釦としてもよい。
【0029】
なお、領域内の一番若い釦が釦Dである場合には、一旦、釦Dにカーソルが表示される。工作機械のオペレータは、カーソル移動キー125(図2参照)を用いて、釦Gにカーソルを移動させることができる。
【0030】
上述したように、本実施形態では、縦列のソフトウェアキー119Lと横列のソフトウェアキー119Sの各ソフトウェアキーに対して、表示装置118の表示画面上の仮想上の境界線を設定するための起点となる境界位置データを予め設定し、数値制御装置内にテーブル形式に記憶しておく。例えば、縦列のソフトウェアキー119Lでは、ソフトウェアキー「FA」には、境界位置データ(Y1、Y2)、・・・ソフトウェアキー「FH」には、境界位置データ(Y8、Y9)として記憶する。また、横列のソフトウェアキー119Sでは、ソフトウェアキー「F1」には、境界位置データ(X1、X2)、・・・ソフトウェアキー「F10」には、境界位置データ(X10、X11)として記憶する。
【0031】
また、表示装置118の表示画面内に表示される各釦(ボタン)に対して、順番を特定する指標を割り当てて、数値制御装置内にテーブル形式に記憶しておく。
【0032】
上述したように、本発明の第1の実施形態は、表示装置118の表示画面の横(右または左)と縦(上または下)に複数のソフトウェアキーを配置し、そのソフトウェアキーの位置に関連する情報を元に、縦横の格子状の枡に画面を分割した時、操作対象の釦(ボタン)がある枡の縦列にあるキーと枡の横列にあるキーとを同時に押すことで、ポインティングデバイスに替えて釦を選択可能にできる。
【0033】
図4−1および図4−2は、本発明の第1の実施形態に係る処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。なお、このアルゴリズムの処理は所定周期毎に実行される。以下、各ステップに従って説明する。なお、フローチャートにおいて「ソフトウェアキー」を単に「キー」と称する。
●[ステップSA100]KA=KB=0とする。換言すると、縦列のキーも横列のキーも選択されていない状態に初期化する。
●[ステップSA101]縦列のキーの状態K1を取得して記憶する。
●[ステップSA102]横列のキーの状態K2を取得して記憶する。
●[ステップSA103](K1=K3)かつ(K2=K4)であるか否か判断し、YESの場合ステップSA104へ移行し、NOの場合にはステップSA108に移行する。
●[ステップSA104]K1≠K5であるか否か判断し、YESの場合ステップSA105へ移行し、NOの場合にはステップSA106に移行する。
●[ステップSA105]KAに、K5からK1で1に変わったキー番号を記憶し、K5=K1とする。
●[ステップSA106]K2≠K6であるか否か判断し、YESの場合ステップSA107へ移行し、NOの場合にはステップSA108に移行する。
●[ステップSA107]KBに、K6からK2で1に変わったキー番号を記憶し、K6=K2とする。
●[ステップSA108]K3=K1にする。
●[ステップSA109]K4=K2にする。
●[ステップSA110](KA≠0)かつ(KB≠0)であるか否か判断し、YESの場合ステップSA111へ移行し、NOの場合、この回の処理を終了する。なお、(KA≠0)かつ(KB≠0)であることは、縦列と横列のキーが同時に押されたことを意味する。
●[ステップSA111]押された横列のキーの横の境界位置データ(Xl、Xr)を読み込む。
●[ステップSA112]押された縦列のキーの縦の境界位置データ(Yup,Ydown)を読み込む。
●[ステップSA113]釦(ボタン)番号nを0に初期化する。
●[ステップSA114]釦番号nに1つ加算する。
●[ステップSA115]釦番号nが釦の個数を超えたか否か判断し、超えていればこの回の処理を終了し、超えていなければステップSA116へ移行する。
●[ステップSA116]画面上に表示されているn番目の釦の中心点データ(Xc,Yc)を読み込む。
●[ステップSA117](Xc>Xl)かつ(Xc<Xr)であるか否か判断し、YESの場合には、ステップSA118へ移行し、NOの場合には、ステップSA114に戻る。
●[ステップSA118](Yc>Ydown)かつ(Yc<Yup)であるか否か判断し、YESの場合はステップSA119へ移行する。また、NOの場合はステップSA114に戻る。
●[ステップSA119]n番目の釦を選択状態にし、処理を終了する。
【0034】
補足して説明すると、キーの状態は、特定のアドレスの1ビット単位で示される。つまり、特定のアドレスに1キー1ビットでキーの状態が記憶される。縦列のキーと横列のキーは各々番号が付与され、特定のアドレスの1ビットと対応させるためのテーブルを予め記憶しておく。
K1は現在の縦のキー状態、K2は現在の横のキー状態を表す。
K3は前回の周期での縦のキー状態、K4は前回の周期での横のキー状態を表す。
K5は認知された縦のキー状態、K6は認知された横のキー状態を表す。認知は、キー入力があったと判断することで、(K1=K3)かつ(K2=K4)で縦のキーと横のキーが前回から変化がなければ状態が安定したとみなしてキー状態を認知する。
K1〜K6は、初回は全て0(ゼロ)になっている。
KAは押された縦のキー番号であり、KBは押された横のキー番号である。
【0035】
ここで、図3を用いて、図4−1,図4−2に示されるフローチャートを説明する。
今回の周期でキーFDとキーF3が同時に押されると、縦列のキー状態がK1として取得され、特定のアドレスの予め定められたビットが1となった状態で記憶される。同様に、横列のキー状態がK2として取得され、他の特定のアドレスの予め定められたビットが1となった状態で記憶される(SA101、SA102)。
今回の周期での縦のキー状態K1と前回の周期でのキー状態K3が等しく、かつ、横のキー状態K2と前回の周期でのキー状態K4が等しい場合、キー状態が安定したと判断し(SA103)、段落「0036」および段落「0037」に記載される処理を行う。
【0036】
今回の周期での縦のキー状態K1と認知された縦のキー状態K5が等しくない場合、押された縦のキー番号KAに、K1で1に変わったビットに対応するキー番号を記憶し、K5をK1にする(SA104、SA105)。キー番号はキーFDに対応する。
【0037】
同様に、今回の周期での横のキー状態K2と認識された横のキー状態K6が等しくない場合、押された横のキー番号KBに、K2で1に変わったビットに対応するキー番号を記憶し、K6をK2にする(SA106、SA107)。キー番号はキーF3に対応する。
【0038】
前回の周期での縦のキー状態K3と横のキー状態K4を、今回の周期での縦のキー状態K1と横のキー状態K2に置き換える(SA108、SA109)。縦列と横列のキーが同時に押された時には、押された横列のキーの横の境界位置データ(X3,X4)を読み込み、同様に、押された縦列のキーの縦の境界位置データ(Y4,Y5)を読み込む(SA110〜SA112)。
【0039】
表示装置118に表示されている操作画面に配置されている釦(ボタン)が、X3からX4、Y4からY5で囲まれた領域に存在するかを、各釦の中心点の座標が前記領域内に存在するかで判断し、領域内の釦を選択状態にする(SA113〜SA119)。
このようにして、キーF3とキーFDを同時に押すことにより釦Bの選択できる。
【0040】
次に、図5を用いて本発明の第2の実施形態を説明する。図5は、表示装置の縦のキー列と横のキー列で操作対象の釦を選択する本発明の第2の実施形態を説明する図である。
この実施形態では、縦列のソフトウェアキー119Lの各ソフトウェアキーを起点とする仮想上の線を表示装置の表示画面の横方向に延ばす。同様に、横列のソフトウェアキー119Sの各ソフトウェアキーを起点とする仮想上の線を表示装置の表示画面の縦方向に延ばす。
【0041】
そして、表示画面上の縦の仮想線と横の仮想線の交差した位置(仮想線の交点)にカーソルが移動して表示される。縦列のソフトウェアキー119Lのソフトウェアキー「FD」と横列のソフトウェアキー119Sのソフトウェアキー「F3」とを同時に押すと、釦Aと釦Bの間で縦と横の仮想線が交差している。この位置にカーソルは移動することになる。
【0042】
左方向に移動させるカーソル移動キー125を押すとカーソルが左に移動するので、操作対象の釦A上にカーソルを移動することができる。また、右方向に移動させるカーソル移動キー125を押すとカーソルが右に移動するので、操作対象の釦B上にカーソルを移動させることができる。あるいは、上下に移動させるカーソル移動キー125を押すと、カーソルはその方向に移動し、交点の上下に位置する釦を選択することができる。
そして、選択を決定するEnterキー126を押すと、カーソル下にある釦(ボタン)に割り当てられた動作が実行される。
【0043】
上述したように、本実施形態では、縦列のソフトウェアキー119Lと横列のソフトウェアキー119Sの各ソフトウェアキーに対して、表示装置118の表示画面上の仮想線を設定するための起点となる位置データを予め設定し、数値制御装置内にテーブル形式に記憶しておく。例えば、縦列のソフトキー119Lでは、ソフトウェアキー「FA」には、位置データ(y1)、・・・ソフトウェアキー「FH」には、位置データ(y8)として数値制御装置内の記憶装置に記憶する。また、横列のソフトキウェアキー119Sでは、ソフトウェアキー「F1」には、位置データ(x1)、・・・ソフトウェアキー「F10」には、位置データ(x10)として記憶する。
【0044】
上述したように、本発明の第2の実施形態は、表示装置118の表示画面の縦のソフトウェアキーと横のソフトウェアキーとを同時に押すと、それぞれのソフトウェアキーを通る縦と横の延長線の交点にカーソルを表示し、上下左右のカーソル移動キーでカーソル位置を微調整することによって、操作対象の釦を選択することができる。
【0045】
図6−1および図6−2は、本発明の第2の実施形態に係る処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。なお、このアルゴリズムの処理は所定周期毎に実行される。以下、各ステップに従って説明する。なお、「ソフトウェアキー」を単に「キー」と称する。
●[ステップSB100]KA=KB=0とする。換言すると、縦列のキーも横列のキーも選択されていない状態に初期化する。
●[ステップSB101]縦列のキーの状態K1を取得して記憶する。
●[ステップSB102]横列のキーの状態K2を取得して記憶する。
●[ステップSB103](K1=K3)かつ(K2=K4)であるか否か判断し、YESの場合ステップSB104へ移行し、NOの場合にはステップSB108に移行する。
●[ステップSB104]K1≠K5であるか否か判断し、YESの場合ステップSB105へ移行し、NOの場合にはステップSB106に移行する。
●[ステップSB105]KAに、K5からK1で1に変わったキー番号を記憶し、K5=K1とする。
●[ステップSB106]K2≠K6であるか否か判断し、YESの場合ステップSB107へ移行し、NOの場合にはステップSB108に移行する。
●[ステップSB107]KBに、K6からK2で1に変わったキー番号を記憶し、K6=K2とする。
●[ステップSB108]K3=K1にする。
●[ステップSB109]K4=K2にする。
●[ステップSB110](KA≠0)かつ(KB≠0)であるか否か判断し、YESの場合ステップSB111へ移行し、NOの場合、ステップSB113へ移行する。なお、(KA≠0)かつ(KB≠0)であることは、縦列と横列のキーが同時に押されたことを意味する。
●[ステップSB111]押された横列のキーに対応する位置データxpと、押された縦列のキーに対応する位置データypを読み込む。
●[ステップSB112]現在位置(xp,yp)にカーソルを表示する。
●[ステップSB113]カーソル移動キーの状態KCを取得する。KC=0の場合には、カーソル移動キーは押されていないことを意味する。
●[ステップSB114]カーソルKC≠0の場合にはステップSB115に移行し、KC=0の場合にはステップSB116へ移行する。
●[ステップSB115]押されたカーソル移動キーの方向に現在位置(xp,yp)とカーソルを1ドット移動する。
●[ステップSB116]決定キーの状態KDを取得する。KD=0は決定キーが押されていないことを意味する。
●[ステップSB117]KD≠0であるか否か判断し、YESの場合にはステップSB118へ移行し、NOの場合には今回の周期の処理を終了する。
●[ステップSB118]釦(ボタン)番号n=0とする。
●[ステップSB119]釦番号nに1つ加算する。
●[ステップSB120]釦番号nは釦の個数より大きいか否か判断し、大きい場合には今回の周期の処理を終了し、大きくない場合にはステップSB121へ移行する。
●[ステップSB121]カーソル位置である現在位置(xp,yp)がn番目の釦の枠内にあるか否か判断し、NOの場合にはステップSB119へ戻り、YESの場合にはステップSB122へ移行する。
●[ステップSB122]n番目の釦を選択状態にし、今回の周期の処理を終了する。
【0046】
補足して説明すると、キーの状態は、特定のアドレスの1ビット単位で示される。つまり、特定のアドレスに1キー1ビットでキーの状態が記憶される。縦列のキーと横列のキーは各々番号が付与され、特定のアドレスの1ビットと対応させるためのテーブルを予め記憶しておく。
K1は現在の縦のキー状態、K2は現在の横のキー状態を表す。
K3は前回の周期での縦のキー状態、K4は前回の周期での横のキー状態を表す。
K5は認知された縦のキー状態、K6は認知された横のキー状態を表す。認知は、キー入力があったと判断することで、(K1=K3)かつ(K2=K4)で縦のキーと横のキーが前回から変化がなければ状態が安定したとみなしてキー状態を認知する。
K1〜K6は初回は全て0(ゼロ)になっている。
KAは押された縦のキー番号であり、KBは押された横のキー番号である。
【0047】
ここで、図5を用いて、図6―1,図6−2に示されるフローチャートを説明する。縦列と横列のキー番号の取り込みは図4−1と同様であるので、記載を省略する。
キーF3とキーFDとが同時に押されると、仮想線x3と仮想線y4の交点の位置にカーソルが移動して表示される(SB112)。釦Aが選択したい釦であることから、左方向にカーソルを移動させるカーソル移動キー(図2の125参照)を押すと、押されたキーの方向に現在位置とカーソルが1ドットづつ移動する(SB115)。
【0048】
オペレータは、表示画面内でカーソルが釦Aに重なったと判断したら、カーソル移動キーを押すのを止め、図示しないEnterキーなどの決定キーを押す。数値制御装置は、決定キーの状態KDを取得し、決定キーが押された場合には、決定キーにより決定されたカーソルの位置が、表示画面に表示された操作画面にある釦の枠内にあるものを探し、探し出された釦を選択状態にする。
【符号の説明】
【0049】
100 数値制御装置
116 表示装置/MDIパネル
118 表示装置
119 ソフトウェアキー
119L 縦列のソフトウェアキー
119S 横列のソフトウェアキー
125 カーソル移動キー
126 Enterキー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械を操作するための複数の釦を有する操作画面を表示する表示装置と、該表示装置の表示画面の下側または上側に横方向に配置された横のキー列と、該表示画面の右側または左側に縦方向に配置された縦のキー列と、表示画面に表示された操作画面の複数の釦間を移動するカーソルを操作するカーソル移動キーと、を備えた数値制御装置において、
前記表示装置の表示画面に表示された操作画面の複数の釦のそれぞれの中心座標を記憶した釦中心座標記憶手段と、
前記横のキー列と縦のキー列の個々のキーに対応する仮想上の境界線により前記表示装置の表示画面を格子状に分割するための仮想上の境界線の起点となる境界データを記憶する境界データ記憶手段と、
前記横のキー列の1つのキーと前記縦のキー列の1つのキーを同時に押し下げた時、同時に押し下げたキーに対応する仮想上の境界線に囲まれる領域に中心座標が存在する釦の中から1つの釦を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された釦に前記カーソルを移動させるカーソル移動手段と、
を備えた表示装置の表示画面の縦および横に配列されたキー列を用いるカーソル移動機能を有する数値制御装置。
【請求項2】
前記特定手段によって特定された釦が複数存在する時、複数の釦の中から1つを前記カーソル移動キーによって選択することを特徴とする請求項1に記載の表示装置の表示画面の縦および横に配列されたキー列を用いるカーソル移動機能を有する数値制御装置。
【請求項3】
工作機械を操作するための複数の釦を有する操作画面を表示する表示装置と、該表示装置の表示画面の下側または上側に横方向に配置された横のキー列と、該表示画面の右側または左側に縦方向に配置された縦のキー列と、表示画面のドット単位で移動するカーソルを操作するカーソル移動キーと、を備えた数値制御装置において、
前記横のキー列の1つのキーと前記縦のキー列の1つのキーを同時に押下した際に、横のキーの横方向のいずれかの位置を通る垂直な直線と縦のキーの縦方向のいずれかの位置を通る水平な直線の前記表示画面内での交点の位置を取得する位置取得手段と、
前記位置取得手段により取得された交点の位置にカーソルを移動させるカーソル移動手段と、を備えた表示装置の表示画面の縦および横に配列されたキー列を用いるカーソル移動機能を有する数値制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−44000(P2011−44000A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191907(P2009−191907)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】