説明

表示装置及びこの表示装置を用いたデータ処理方法並びにデータ処理システム

【課題】電子クーポンといった特典データをPOSシステムに適用するに当たって、POSシステムの変更を最小限にすることができる。
【解決手段】ICカードのメモリに格納されたカード識別子IDを読み取る非接触通信手段3aと、非接触通信手段3aで読み取ったカード識別子IDに関連付いた特典データの二次元コードを生成するバーコード生成部22と、バーコード生成部22で生成された特典データの二次元コードで表示する表示部13とを備える。そして、表示部13に表示された二次元コードで表示された特典データを、POS端末2のバーコードリーダ2aで読み取れるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードを利用して特典データを取得することができる表示装置及びこの表示装置を用いたデータ処理方法並びにデータ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ICカードに蓄積した電子クーポンを使い、支払い時に割引を受けるためには、次のような方法がある。第1に、電子クーポンの内容を表示できる端末を用意し、その内容をレジ係が見て確認し、割引を実施する。第2に、電子クーポンの割引内容をバーコードで印刷した紙を出力する装置を用意し、その紙をPOSのバーコードリーダでレジ係が読み取り、割引を実施する。第3に、電子クーポンを読み取る装置とPOS端末を接続し、連動させて割引を実施する。
【0003】
しかしながら、第1の方法は、人為的な確認が必要なため、不正に割引を発生される可能性がある。第2の方法は、紙をコピーすることで不正が可能である。第3の方法は、POSシステムに大きな変更が必要となる。本件出願に関連する特許文献としては下記のものがある。
【0004】
【特許文献1】特開2006−23864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電子クーポンといった特典データをPOSシステムに適用するに当たって、POSシステムの変更を最小限にすることができる表示装置及びこの表示装置を用いたデータ処理方法並びにデータ処理システムを提供することにある。
【0006】
また、本発明の目的は、特典データの不正利用を防止することができる表示装置及びこの表示装置を用いたデータ処理方法並びにデータ処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る表示装置は、ICカードのメモリに格納されたカード識別子を読み取る非接触通信手段と、上記非接触通信手段で読み取ったカード識別子に関連付いた特典データの一次元又は二次元的なシンボルを生成する生成手段と、上記生成手段で生成された特典データのシンボルを表示する表示手段とを備える。そして、上記表示手段に表示されたシンボルで表示された特典データを、POS端末の読取手段で読み取れるようにする。
【0008】
本発明に係るデータ処理方法は、ICカードのメモリに格納されたカード識別子を非接触通信手段で読み取るステップと、上記非接触通信手段で読み取ったカード識別子に関連付いた特典データの一次元又は二次元的なシンボルを生成手段で生成するステップと、上記生成手段で生成された特典データをシンボルで表示手段に表示するステップと、上記表示手段に表示されたシンボルで表示された特典データを、POS端末の読取手段で読み取るステップとを有する。
【0009】
更に、本発明に係るデータ処理システムは、POS端末とこのPOS端末の近傍に配設される表示装置とを備える。上記POS端末は、商品の一次元又は二次元的なシンボルを読み取る読取手段が接続されており、上記表示装置は、ICカードのメモリに格納されたカード識別子を読み取る非接触通信手段と、この非接触通信手段で読み取ったカード識別子に関連付いた特典データの一次元又は二次元的なシンボルを生成する生成手段と、この生成手段で生成された特典データのシンボルを表示する表示手段とを有している。上記POS端末の読取手段は、更に、上記表示装置とリッピング手段を介して接続され、上記読取手段で上記商品のシンボルを読み取ったとき、上記表示手段は、上記非接触通信手段で読み取ったカード識別子に関連付いた特典データの中で上記読取手段で読み取られた商品に付されている商品情報と一致する特典データのシンボルを表示する。
【0010】
本発明に係るデータ処理方法は、ICカードのメモリに格納されたカード識別子を非接触通信手段で読み取るステップと、表示装置とリッピング手段を介して接続された上記POS端末の読取手段で商品の一次元又は二次元的なシンボルを読み取るステップと、上記非接触通信手段で読み取ったカード識別子に関連付いた特典データの中で上記読取手段で読み取られた商品に付されている商品情報と一致する特典データのシンボルを生成手段で生成するステップと、上記生成手段で生成された特典データをシンボルで表示手段に表示するステップと、上記表示手段に表示されたシンボルで表示された特典データを、上記読取手段で読み取るステップとを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、例えば、本発明の表示装置をPOS端末の近傍に設置し、ICカードで特定される特典データを一次元又は二次元のシンボルで表示できるようにしたので、既存のPOS端末を設計変更することが無くなる。したがって、容易に、ICカードを利用したクーポンのサービスを容易に開始できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を適用した表示装置10を図面を参照して説明する。
【0013】
図1に示すように、本発明が適用された表示装置10が用いられる販売システム1は、スーパーマーケット等の店舗に設置されたPOS端末2と、このPOS端末2の設置場所の近傍に設置される本発明が適用された表示装置10とを備える。この表示装置10は、筐体を構成する装置本体11に、ICカード3と通信を行うための装置側非接触通信部12が設けられていると共に、表示部13が設けられている。装置側非接触通信部12は、ICカード3と通信を行うことによって、ICカードのカード識別子IDを取得して、取得したICカードのカード識別子IDに関連付いたクーポンデータCDのバーコードを生成し、表示部13に一次元シンボルであるバーコードを表示する。装置本体11には、更に操作部14が設けられており、表示部13に表示された複数のバーコードの中から一又は複数のバーコードを選択できるようになっている。
【0014】
POS端末2は、図1に示すように、バーコードリーダ2aを備えており、このバーコードリーダ2aで表示部13に表示されたバーコード13cを読み取り、更に、ICカード3のカードホルダである客が購入しようとする商品4のバーコード4aを読み取り、精算を行うことができるようになっている。これにより、POS端末2では、商品4の購入代金にクーポンを反映させて割引後の値段で精算を行うことができる。バーコードリーダ2aは、光源と、光源から出射されバーコード面で反射された光を検出する検出器とを備えていて、バーコードに記録された信号を検出する。また、バーコードリーダ2aは、CCD(Charge-Coupled Devices)等の撮像素子でバーコードを撮像してバーコードに記録された信号を検出する。
【0015】
ここで、図2を参照して、本発明が適用された表示装置10の回路構成について説明する。本発明が適用された表示装置10は、図1の装置側非接触通信部12と、装置側非接触通信部12で取得したICカード3に格納されていたICカード3のカード識別子IDに基づいてクーポンデータCDを管理しているクーポン管理サーバ31や時刻を管理する時刻サーバ32にアクセスする通信I/F21と、クーポン管理サーバ31より取得したクーポンデータCDに基づいてバーコードを生成するバーコード生成部22と、バーコードを表示する上述の表示部13と、POS端末2の操作者である店員又は客によって操作され操作に応じた操作信号を発生する操作部14と、店舗で取り扱う商品やその店舗の識別子等を管理するメモリ23と、商品4のバーコード4aを読み取るバーコードリーダ24と、全体の動作を制御する制御部25とを備えている。
【0016】
装置側非接触通信部12は、ICカード3との間でRFID(Radio Frequency Identification System)、NFC(Near Field Communication)等の短距離又は近距離の非接触無線通信でICカード40と通信を行う。ここで、ICカード3は、図2に示すように、装置側非接触通信部12と通信を行うためのカード側非接触通信部3aと、各種情報を格納するカードメモリ3bとを備えている。ICカード3は、カードメモリ3bに、ICカード3の固有のカード識別子ID等の管理データが格納されており、これらの管理データのやり取りをカード側非接触通信部3aを介して表示装置10の装置側非接触通信部12と行うことができるようになっている。具体的に、装置側非接触通信部12、カード側非接触通信部3aのそれぞれは、アンテナコイルを有しており、各々のアンテナコイルが誘導結合によって磁気的に結合し、ICカードとリーダライタとの間で非接触データ通信を行う。装置側非接触通信部12は、ICカード3がかざされると、ICカード3と通信を行うことによって、ICカード3のカードメモリ3bに格納されているICカード3のカード識別子IDを取得する。
【0017】
通信I/F21は、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介してクーポン管理サーバ31にアクセスし、クーポン管理サーバ31に対して装置側非接触通信部12で取得したICカード3のカード識別子IDを送信し、クーポン管理サーバ31より、ICカード3のカード識別子IDと関連付けられたクーポンデータCDを取得する。なお、この際、クーポンデータCDデータとして、カードホルダがクーポンを取得した場所等クーポン管理サーバ31で管理されているカード識別子IDで特定されるカードホルダの履歴データ等を取得するようにしても良い。すなわち、図3に示すように、特典内容(割引額、割引率等)、利用条件(有効期限・利用日の限定、回数制限、利用できる場所)、発行者の情報(会社名・電話番号・URL・住所・地図情報・営業日・時間)、クーポンの種別(商品・サービスカテゴリー)、クーポン個別識別をするためのクーポン識別子、クーポンの配布日時、クーポンの配布場所を特定できる識別子等である。
【0018】
また、通信I/F21は、NTP(Network Time Protocol)と言ったプロトコルに従って正確な時刻を計時する時刻サーバ32から時刻データを取得する。
【0019】
バーコード生成部22は、通信I/F21で取得したクーポンデータCDに基づいてバーコード生成し、表示部13に出力する。そして、表示部13では、バーコード及びカードホルダが可読できるバーコードの関連情報を表示する。例えば、表示部13は、図4(A)に示すように、商品の外観写真13aと商品の名称と割引値段13bとバーコード13cとを一の組としたクーポンの一覧表示を行い、カーソル13dで一の欄を選択できるようにする。また、表示部13は、図4(B)に示すように、商品の外観写真13aと商称と割引値段13bとを一の組としたクーポンの一覧表示を行い、カーソル13dで一の欄を選択できるようにし、選択された欄の商品のバーコード13cを表示する。なお、図3に示した内容のように、バーコードで表示する内容が多岐に亘る場合には、図4(B)に示すように、複数のバーコードで表示するようにしても良い。この場合、POS端末2は、バーコードリーダ2aによって、複数のバーコードから割引の情報のみならず、図3の情報を取得することができ、これにより、その店舗は、得た顧客情報をマーケティングに利用することができる。
【0020】
図1及び図2に示すように、操作部14は、例えば表示部13の近傍に配設されるものであって、十字キー、押し釦等で構成されており、例えば、表示部13に表示されたクーポンの中からユーザの操作に応じてカーソル13dを移動させることによって、表示部13に表示されたクーポンの中から一又は複数を選択する。なお、操作部14は、表示部13と一体的なタッチパネルによって実現されても良い。
【0021】
メモリ23は、その店舗の店舗識別子やその店舗で取り扱う商品種別識別子等のその店舗の管理データが格納されている。なお、このメモリ23は、装置本体11の内蔵メモリであっても良く、また、店舗内のネットワークを介して接続された例えばPOS端末2ともLAN等のネットワークを介して接続された管理サーバであっても良い。
【0022】
バーコードリーダ24は、装置本体11に取り付けられるものであって、光源と、光源から出射されバーコード面で反射された光を検出する検出器とを備えていて、バーコードに記録された信号を検出する。また、CCD(Charge-Coupled Devices)等の撮像素子でバーコードを撮像してバーコードに記録された信号を検出する。装置本体11に取り付けられたここでのバーコードリーダ24は、商品4のバーコード4aを読み取ることによって、商品4の種類を特定できるようにする。この点で、POS端末2のバーコードリーダ2aは、構造的には同じであるが、精算時に商品の値段等を読み取る目的で使用される点で相違している。なお、POS端末2と装置本体11とを接続することによって、POS端末2のバーコードリーダ2aで、バーコードリーダ24の機能を実現するようにしても良い。
【0023】
制御部25は、装置本体11の全体の動作を制御するものであり、CPU、ROM、RAM等を備えている。制御部25は、例えば操作部14からの操作信号に応じて表示部13等の表示を制御する。
【0024】
次に、図5を参照して、表示装置10の一つ目の動作を説明する。
【0025】
ステップS1において、商品を購入しようとする客であるカードホルダによって、自らが所持するICカード3が装置本体11の装置側非接触通信部12にかざされると、制御部25は、装置側非接触通信部12を介して、ICカード3のカードメモリ3bに格納されているICカード3のカード識別子ID等の管理データを読み出し取得する。
【0026】
ここで、カードホルダによっては、カードケースに種類の異なるICカード3を重ね合わせるようにして複数枚所持していることがある。このように、通信可能な状態にあるICカード3が複数枚あるとき、装置側非接触通信部12は、全てのICカード3からカード識別子ID等の管理データを読み出し取得する。
【0027】
ステップS2において、制御部25は、通信I/F21を介してクーポン管理サーバ31にアクセスして、取得したICカード3のカード識別子ID等の管理データを送信し、ICカード3から読み出したICカード3のカード識別子IDに関連付いた図3に示したようなクーポンデータCDを取得する。すなわち、クーポン管理サーバ31では、表示装置10から送信されたICカード3のカード識別子IDに基づいて、このカード識別子IDに関連付いたクーポンデータCDを抽出し、抽出したクーポンデータCDを表示装置32に送信する。なお、クーポン管理サーバ31では、更に有効期限切れや利用回数制限を超えるクーポンデータCDを除外してクーポンデータCDを表示装置32に送信するようにしても良い。
【0028】
ステップS3において、制御部25は、メモリ23にアクセスし、メモリ23に格納された商品種別と、取得したクーポンデータCDに含まれる商品種別とを照合して、一致する商品を抽出し、一致した商品のクーポンデータCDを、バーコードで表示できるようにする。すなわち、制御部25は、バーコード生成部22でクーポンデータCDからバーコードを生成し、表示部13に、図4に示したような、その店舗で使用可能なバーコードを含む商品の一覧表示を行う。かくして、表示部13での一覧からは、使用不能なクーポンが除外されることになり、操作部14を用いて一覧表示されたクーポンの中から容易に使用するクーポンを選択できる。
【0029】
ステップS4において、表示部13に表示され客によって選択された商品のバーコードは、POS端末2のバーコードリーダ2aによって読み取られることになる。そして、店員が操作部14よりクーポンを使用済みにする操作信号を入力すると、制御部25は、ステップS5において、使用済みのデータを、通信I/F21を介してクーポン管理サーバ31に送信する。クーポン管理サーバ31では、使用されたクーポンデータCDを使用済みにする等の失効処理を行って、このクーポンデータCDが重複利用されないようにする。
【0030】
次に、図6を参照して、表示装置10の動作の他の例を説明する。
【0031】
ステップS11において、商品を購入しようとする客であるカードホルダによって、自らが所持するICカード3が装置本体11の装置側非接触通信部12にかざされると、制御部25は、装置側非接触通信部12を介して、ICカード3のカードメモリ3bに格納されているICカード3のカード識別子ID等の管理データを読み出し取得する。なお、ここで、通信可能なICカード3が複数あるときは、複数のICカード3からカード識別子ID等の管理データを読み出し取得するようにしても良い。
【0032】
ステップS12において、制御部25は、ステップS2と同様に、通信I/F21を介してクーポン管理サーバ31にアクセスして、ICカード3から読み出したカード識別子IDに関連付いた図3に示したようなクーポンデータCDを取得する。なお、クーポン管理サーバ31では、更に有効期限切れや利用回数制限を超えるクーポンデータCDを除外してクーポンデータCDを表示装置32に送信するようにしても良い。
【0033】
装置本体11のバーコードリーダ24でこれから精算しようとする商品4のバーコード4aを読み取ると、制御部25は、ステップS13において、当該商品4の商品種別等の識別子を取得する。制御部25は、クーポン管理サーバ31から取得したクーポンデータCDの中に商品4のバーコード4aから取得した商品種別が存在するかを判断し、存在するとき、ステップS14において、その商品4のクーポンデータCDからクーポンのバーコード13cを生成し表示部13に表示する。なお、存在しないときは、処理を終了する。かくして、ユーザは、購入しようとする商品のクーポンがあるかどうかを一目で判断することができ、その使用の有無を決断することができる。なお、これから精算しようとする商品4のバーコード4bを読み取るステップS13の操作は、ステップS12の前に行っても良い。
【0034】
ステップS15において、表示部13に表示された商品4のバーコード4aは、POS端末2のバーコードリーダ2aによって読み取られることになる。そして、店員が操作部14よりクーポンを使用済みにする操作信号を入力すると、制御部25は、ステップS16において、使用済みのデータを、通信I/F21を介してクーポン管理サーバ31に送信する。クーポン管理サーバ31では、使用されたクーポンデータCDを使用済みにする等の失効処理を行って、このクーポンデータCDが重複利用されないようにする。
【0035】
更に、図7を参照して、表示装置10の動作の他の例を説明する。
【0036】
ステップS21において、商品を購入しようとするカードホルダによって、自らが所持するICカード3が装置本体11の装置側非接触通信部12にかざされると、制御部25は、装置側非接触通信部12を介して、ICカード3のカードメモリ3bに格納されているカード識別子ID等の管理データを読み出し取得する。なお、ここで、通信可能なICカード3が複数あるときは、複数のICカード3からカード識別子ID等の管理データを読み出し取得するようにしても良い。
【0037】
ステップS22において、制御部25は、メモリ23より店舗の識別子を読み出し、通信I/F21を介してクーポン管理サーバ31にアクセスして、カード識別子IDと共に店舗の識別子をクーポン管理サーバ31に送信し、ICカード3から読み出したカード識別子IDと店舗識別子に関連付いていた図3に示したようなクーポンデータCDを取得する。すなわち、クーポン管理サーバ31では、表示装置10から送信されたカード識別子ID及び店舗識別子に基づいて、これら識別子に関連付いたクーポンデータCDを抽出し、抽出したクーポンデータCDを表示装置32に送信する。なお、クーポン管理サーバ31では、更に有効期限切れや利用回数制限を超えるクーポンデータCDを除外してクーポンデータCDを表示装置32に送信するようにしても良い。
【0038】
ステップS23において、制御部25は、受信したクーポンデータCDをバーコードで表示できるようにする。すなわち、制御部25は、バーコード生成部22でクーポンデータCDからバーコードを生成し、表示部13に、図4に示したような、その店舗で使用可能なバーコード13cを含む商品の一覧表示を行う。かくして、表示部13での一覧からは、その店舗で使用不能なクーポンが除外されることになり、操作部14を用いて一覧表示されたクーポンの中から容易に使用するクーポンを選択できる。
【0039】
なお、表示部13にバーコードを表示する前に、上述したステップS3のようにメモリ23を参照して、その店舗で更に利用可能な条件に合致するものだけを表示部13に表示するようにして、客の使い勝手を向上させるようにしても良い。
【0040】
ステップS24において、表示部13に表示され客によって選択された商品のバーコードは、POS端末2のバーコードリーダ2aによって読み取られることになる。そして、店員が操作部14よりクーポンを使用済みにする操作信号を入力すると、制御部25は、ステップS25において、使用済みのデータを、通信I/F21を介してクーポン管理サーバ31に送信する。クーポン管理サーバ31では、使用されたクーポンデータCDを使用済みにする等の失効処理を行って、このクーポンデータCDが重複利用されないようにする。
【0041】
以上のような表示装置10は、POS端末2の近傍に設置され、ICカード3で特定されるクーポンデータCDをバーコードで表示できるようにしたので、既存のPOS端末2を設計変更することが無くなる。したがって、容易に、ICカード3を利用したクーポンのサービスを開始できるようになる。
【0042】
以上の例では、表示装置10のバーコードリーダ24を、商品4のバーコード4aを読み取ることによって、商品4の種類を特定できるようにするために用い、POS端末2のバーコードリーダ2aを、精算時に商品の値段等を読み取り、表示装置10の表示部13に表示されたバーコード13cを読み取りクーポンを適用して精算を行うために用いる場合を説明したが、次に説明するように、本発明では、表示装置10のバーコードリーダ24を省略し、POS端末2のバーコードリーダ2aにバーコードリーダ24の機能を付加するようにしても良い。
【0043】
この場合、図8及び図9に示すように、POS端末2とバーコードリーダ2aとを接続する接続コード2bにリッピングボックス40を設け、このリッピングボックス40を介してバーコードリーダ2aと表示装置10の制御部25とを接続コード41で接続するようにする。
【0044】
具体的に、図10に示すように、POS端末2とバーコードリーダ2aとは、POS端末2よりバーコードリーダ2aに電力を供給する電源線Pと、バーコードリーダ2aで読み取ったバーコードの情報をPOS端末2に送信するセンド線Sと、POS端末2からバーコードリーダ2aへバーコード読取開始コマンド等を送信するリターン線Rとで接続されている。センド線Sは、具体的に、バーコード4aの情報として、商品コード番号、価格データ等の商品情報をPOS端末2に送信するものであり、リターン線Rは、バーコード読取開始コマンド、POS端末2が商品情報の取得を失敗したときの再要求コマンド等の制御コマンドをバーコードリーダ2aに送信する。
【0045】
リッピングボックス40では、バーコードリーダ2aで読み取ったバーコードの情報をPOS端末2に送信するセンド線Sを分岐し、分岐線Bを表示装置10の制御部25と接続し、また、POS端末2からバーコードリーダ2aへバーコード読取開始コマンド等を送信するリターン線Rを分岐し、分岐線Bを表示装置10の制御部25と接続している。これにより、リッピングボックス40は、バーコードリーダ2aで読み取ったバーコードの情報を、POS端末2の他、制御部25にも入力できるようにしている。
【0046】
このようなシステムは、上記図6に示した処理に適用することができる。すなわち、図6の例では、ステップS13において、装置本体11のバーコードリーダ24でこれから精算しようとする商品4のバーコード4aを読み取るようにしている。この例では、このバーコードリーダ24に代わって表示装置10の制御部25とを接続されたバーコードリーダ2aで、これから精算しようとする商品4のバーコード4aを読み取る。これによって、ステップS14において、制御部25は、商品4のクーポンデータCDからクーポンのバーコード13cを生成し表示部13に表示することができ、更に、ステップS15及びステップS16の処理を行うことができる。
【0047】
このように、図8乃至図10に示した例では、リッピングボックス40を設けることによって、POS端末2そのものの設計変更を行う必要が無くなり、容易に表示装置10を用いたシステムを導入することができる。
【0048】
ところで、表示部13に表示されるクーポンデータCDのバーコードが不正に複写され悪用されることを防止するため、クーポンデータCDのバーコードを表示部13に表示する際には、暗号技術を利用するようにしても良い。
【0049】
ここでは、表示部13に表示されたクーポンデータCDのバーコード13cに対して、クーポンの有効期限とは概念の異なる可視情報としてのバーコードの有効期限情報を設けるようにする。例えば、表示部13に表示されたバーコード13cの有効期限情報を、表示から10分、20分と設定する。ここで、有効期限の起算点は、通信I/F21を介して時間サーバ32から取得した時刻情報で特定される表示部13での表示開始時間、終了時間等とする。そして、この有効期限を過ぎたバーコード13cは、無効とする。これにより、表示部13にバーコード13cを表示してから何時までもそのバーコード13cが有効であり続けることを防止することができ、例えば、バーコード13cが表示の際に複製されて不正利用されることを防止することができる。
【0050】
例えば、表示部13に表示されるクーポンデータCDのバーコード13cの有効期限情報を、POS端末2と表示装置10で共有される秘密共通鍵で暗号化して、暗号化データをクーポンデータCDからバーコード13cを生成する際に付加する。この場合、表示装置10は、メモリ23に、秘密共通鍵を格納しておき、クーポンデータCDのバーコード13cを生成する際に、メモリ23の秘密共通鍵で有効情報を暗号化し、この暗号化データを付加したバーコード13cを生成し、表示部13に表示する。そして、POS端末2では、バーコード13cを読み取った後、自身のメモリに格納してある秘密共通鍵で有効情報を復号し、読み取ったバーコード13cが正規であることを認証した後、商品4の精算処理を行う。これにより、正規なPOS端末2でのみ表示部13に表示されたクーポンデータCDのバーコード13cを利用できるようになる。なお、有効期限情報に加え、又は、有効期限情報に代わって、バーコード13cが示すクーポンデータCDそのものを秘密共通鍵で暗号化するようにしても良い。
【0051】
また、変形例としては、次のようなものがある。この変形例では、POS端末2に秘密鍵を格納し、表示装置10のメモリ23に、POS端末2の秘密鍵に対応した公開鍵を格納しておく。そして、表示装置10では、上記有効期限情報を公開鍵で暗号化してバーコードを表示部13に表示する。そして、POS端末2では、バーコード13cを読み取った後、自身のメモリに格納してある秘密鍵で有効情報を復号し、読み取ったバーコード13cが正規であることを認証した後、商品4の精算処理を行う。この場合、他のPOS端末2では、秘密鍵を有していないことから、クーポンを利用できないようにすることができる。また、POS端末2では、有効期限情報を復号し、有効期限が経過していることを判別することによって、秘密鍵を有するPOS端末2で繰り返し同じクーポンが利用されることを防止することができる。
【0052】
更に、以上の例では、公開鍵を表示装置10のメモリ23に格納している例を説明したが、この公開鍵は、クーポン管理サーバ31が有しているようにしても良い。この場合、クーポン管理サーバ31は、表示装置10に対して暗号化されたクーポンデータCDを送信する。これにより、POS端末2の近くには、クーポンデータCDの復号可能な公開鍵が存在しなくなり、これにより、より安全にクーポンデータCDのやり取りを行うことができるようになる。
【0053】
なお、使用するシンボルは、バーコードと言った一次元シンボルの他に、QRコードといった二次元シンボルであっても良い。また、本発明では、一次元又は二次元であらわされるシンボルの内容は、客に対する特典であれば、割引のクーポンのほか、ノベルティ等であっても良い。また、ICカード3は、携帯型電話機に内蔵され、その機能が実現されるものであっても良い。また、以上の例では、クーポンデータCDを取得するに当たって、ICカード3の固有のカード識別子IDを用いた場合を説明したが、この代わりに、ICカード3の発券事業者の識別子を用いても良く、更に、ICカード3の固有のカード識別子IDとICカード3の発券事業者の識別子の両方を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明を適用した表示装置が用いられる販売システムの構成を示す図である。
【図2】本発明が適用された表示装置のブロック図である。
【図3】クーポンデータの詳細を示す図である。
【図4】表示部の表示内容を説明する図である。
【図5】本発明が適用された表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】上記表示装置の他の例の動作を示すフローチャートである。
【図7】上記表示装置の他の例の動作を示すフローチャートである。
【図8】リッピングボックスを用いた本発明の他の構成例を示す図である。
【図9】リッピングボックスを用いた本発明の他の構成例のブロック図である。
【図10】リッピングボックスの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
1 販売システム、2 POS端末、2a バーコードリーダ、3 ICカード、3a カード側非接触通信部、3b カードメモリ、4 商品、4a バーコード、10 表示装置、11 装置本体、12 装置側非接触通信部、13 表示部、14 操作部、21 通信I/F、22 バーコード生成部、23 メモリ、24 バーコードリーダ、25 制御部、31 クーポン管理サーバ、32 時刻サーバ、40 リッピングボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカードのメモリに格納されたカード識別子を読み取る非接触通信手段と、
上記非接触通信手段で読み取ったカード識別子に関連付いた特典データの一次元又は二次元的なシンボルを生成する生成手段と、
上記生成手段で生成された特典データのシンボルを表示する表示手段とを備え、
上記表示手段に表示されたシンボルで表示された特典データを、POS端末の読取手段で読み取れるようにした表示装置。
【請求項2】
更に、上記特典データの管理手段を備え、
上記生成手段は、上記非接触通信手段で取得したカード識別子に基づいて、利用可能な特典データを上記管理手段から取得し、上記表示手段に特典データをシンボルで表示できるようにする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
更に、上記POS端末が設置された店舗の取り扱い商品を管理する管理メモリを備え、
上記表示手段は、上記管理手段で取得した特典データの中で上記管理メモリに管理されている商品の特典データを表示する請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
更に、シンボルの読取手段を備え、
上記表示手段は、上記管理手段で取得した特典データの中で上記読取手段で読み取られた商品に付されている商品情報と一致する特典データのシンボルを表示する請求項2記載の表示装置。
【請求項5】
上記生成手段は、上記表示手段に表示される特典データを暗号化することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項6】
ICカードのメモリに格納されたカード識別子を非接触通信手段で読み取るステップと、
上記非接触通信手段で読み取ったカード識別子に関連付いた特典データの一次元又は二次元的なシンボルを生成手段で生成するステップと、
上記生成手段で生成された特典データをシンボルで表示手段に表示するステップと、
上記表示手段に表示されたシンボルで表示された特典データを、POS端末の読取手段で読み取るステップとを有するデータ処理方法。
【請求項7】
POS端末とこのPOS端末の近傍に配設される表示装置とを備え、
上記POS端末は、商品の一次元又は二次元的なシンボルを読み取る読取手段が接続されており、
上記表示装置は、ICカードのメモリに格納されたカード識別子を読み取る非接触通信手段と、この非接触通信手段で読み取ったカード識別子に関連付いた特典データの一次元又は二次元的なシンボルを生成する生成手段と、この生成手段で生成された特典データのシンボルを表示する表示手段とを有し、
上記POS端末の読取手段は、更に、上記表示装置とリッピング手段を介して接続され、
上記読取手段で上記商品のシンボルを読み取ったとき、上記表示手段は、上記非接触通信手段で読み取ったカード識別子に関連付いた特典データの中で上記読取手段で読み取られた商品に付されている商品情報と一致する特典データのシンボルを表示するデータ処理システム。
【請求項8】
ICカードのメモリに格納されたカード識別子を非接触通信手段で読み取るステップと、
表示装置とリッピング手段を介して接続された上記POS端末の読取手段で商品の一次元又は二次元的なシンボルを読み取るステップと、
上記非接触通信手段で読み取ったカード識別子に関連付いた特典データの中で上記読取手段で読み取られた商品に付されている商品情報と一致する特典データのシンボルを生成手段で生成するステップと、
上記生成手段で生成された特典データをシンボルで表示手段に表示するステップと、
上記表示手段に表示されたシンボルで表示された特典データを、上記読取手段で読み取るステップとを有するデータ処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−299369(P2007−299369A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−268430(P2006−268430)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】