説明

表示装置及び表示装置の作製方法

【課題】鮮明な多階調カラー表示の可能なアクティブマトリクス型のEL表示装置を提供
することを課題とする。特に、選択的にパターン形成することが可能な作製方法を用いて
低コストで大型なアクティブマトリクス型のEL表示装置を提供することを課題とする。
【解決手段】選択的にパターン形成することが可能な作製方法を用いて、画素部の電源供
給線をマトリクス状に配置する。また、選択的にパターン形成することが可能な作製方法
を用いて、隣接する配線間の距離を大きくして配線間容量を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はEL(エレクトロルミネッセンス)素子を基板上に作り込んで形成された電子
ディスプレイ(電気光学装置)に関する。特に半導体素子(半導体薄膜を用いた素子)を
用いた表示装置に関する。またEL表示装置を表示部に用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、基板上に薄膜トランジスタ(以下、本明細書中ではTFTと表記する)を形成す
る技術が大幅に進歩し、アクティブマトリクス型表示装置への応用開発が進められている
。特に、ポリシリコンなどの多結晶半導体膜を用いたTFTは、従来のアモルファスシリ
コン等の非晶質半導体膜を用いたTFTよりも電界効果移動度(モビリティともいう)が
高いので、高速動作が可能である。そのため、従来、基板外の駆動回路で行っていた画素
の制御を、画素と同一の基板上に形成した駆動回路で行うことが可能となっている。
【0003】
このような多結晶半導体膜を用いたアクティブマトリクス型表示装置では、同一基板上
に、様々な回路や素子を作り込むことが可能であり、製造コストの低減、表示装置の小型
化、歩留まりの上昇、スループットの改善など、様々な利点が得られる。
【0004】
そしてさらに、自発光型素子としてEL素子を有したアクティブマトリクス型のEL表
示装置の研究が活発化している。EL表示装置は、有機ELディスプレイ(OELD:O
rganic EL Display)又は有機ライトエミッティングダイオード(OL
ED:Organic Light Emitting Diode)とも呼ばれている

【0005】
EL素子は一対の電極(陽極と陰極)間にEL層が挟まれた構造となっているが、EL
層は通常、積層構造となっている。代表的には、コダック・イーストマン・カンパニーの
Tangらが提案した「正孔輸送層、発光層、電子輸送層」という積層構造が挙げられる
。この構造は非常に発光効率が高く、現在、研究開発が進められているEL表示装置はほ
とんどこの構造を採用している。
【0006】
また他にも、陽極上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、または正孔注入
層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の順に積層する構造でも良い。発光層
に対して蛍光性色素等をドーピングしても良い。
【0007】
本明細書において、陰極と陽極との間に設けられる全ての層を総称してEL層と呼ぶ。
よって上述した正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層等は、全てE
L層に含まれる。
【0008】
そして、上記構造でなるEL層に、一対の電極から所定の電圧をかけると、発光層にお
いてキャリアの再結合が起こって発光する。なお本明細書においてEL素子が発光するこ
とを、EL素子が駆動すると呼ぶ。また、本明細書中では、陽極、EL層及び陰極で形成
される発光素子をEL素子と呼ぶ。
【0009】
なお、本明細書中において、EL素子とは、一重項励起状態からの発光(蛍光)を利用
するものと、三重項励起状態からの発光(燐光)を利用するものの両方を含むものとする

【0010】
EL表示装置の駆動方法として、アナログ方式の駆動方法(アナログ駆動)と、デジタ
ル方式の駆動方法(デジタル駆動)が挙げられる。まず、EL表示装置のアナログ駆動に
ついて、図1及び図2を用いて説明する。
【0011】
図1に、アナログ駆動のEL表示装置の画素部100の構造を示す。ゲート信号線駆動
回路からの選択信号を入力するゲート信号線(G1〜Gy)は、各画素が有するスイッチ
ング用TFT101のゲート電極に接続されている。また各画素の有するスイッチング用
TFT101のソース領域とドレイン領域は、一方がアナログのビデオ信号を入力するソ
ース信号線(データ信号線ともいう)(S1〜Sx)に、もう一方が各画素が有する駆動
用TFT104のゲート電極及び各画素が有する保持容量108にそれぞれ接続されてい
る。
【0012】
各画素が有する駆動用TFT104のソース領域とドレイン領域はそれぞれ、一方は電
源供給線(V1〜Vx)に、もう一方はEL素子106に接続されている。電源供給線(
V1〜Vx)の電位を電源電位と呼ぶ。また電源供給線(V1〜Vx)は、各画素が有す
る保持容量108に接続されている。
【0013】
EL素子106は、陽極と、陰極と、陽極と陰極との間に設けられたEL層とを有する
。EL素子106の陽極が駆動用TFT104のソース領域またはドレイン領域と接続し
ている場合、EL素子106の陽極が画素電極、陰極が対向電極となる。逆にEL素子1
06の陰極が駆動用TFT104のソース領域またはドレイン領域と接続している場合、
EL素子106の陽極が対向電極、陰極が画素電極となる。
【0014】
なお本明細書において、対向電極の電位を対向電位と呼ぶ。なお対向電極に対向電位を
与える電源を対向電源と呼ぶ。画素電極の電位と対向電極の電位の電位差がEL駆動電圧
であり、このEL駆動電圧がEL層にかかる。
【0015】
図1で示したEL表示装置を、アナログ方式で駆動させた場合のタイミングチャートを
図2に示す。1つのゲート信号線が選択されてから、その次に別のゲート信号線が選択さ
れるまでの期間を1ライン期間(L)と呼ぶ。また1つの画像が表示されてから次の画像
が表示されるまでの期間が1フレーム期間(F)に相当する。図1のEL表示装置の場合
、ゲート信号線はy本あるので、1フレーム期間中にy個のライン期間(L1〜Ly)が
設けられている。
【0016】
まず電源供給線(V1〜Vx)は一定の電源電位に保たれている。そして対向電極の電
位である対向電位も一定の電位に保たれている。対向電位は、EL素子が発光する程度に
電源電位との間に電位差を有している。
【0017】
第1のライン期間(L1)において、ゲート信号線G1には、ゲート信号線駆動回路か
らの選択信号が入力される。そして、ソース信号線(S1〜Sx)に順にアナログのビデ
オ信号が入力される。ゲート信号線G1に接続された全てのスイッチング用TFTはオン
の状態になるので、ソース信号線に入力されたアナログのビデオ信号は、スイッチング用
TFTを介して駆動用TFTのゲート電極に入力される。
【0018】
駆動用TFTのチャネル形成領域を流れる電流の量は、そのゲート電圧によって制御さ
れる。
【0019】
ここで、駆動用TFTのソース領域が電源供給線に接続され、ドレイン領域がEL素子
に接続されている場合を例に説明する。
【0020】
駆動用TFTのソース領域は、電源供給線に接続されているため、画素部の各画素に同
じ電位が入力されている。このとき、ソース信号線にアナログの信号が入力されると、こ
の信号電圧の電位と、駆動用TFTのソース領域の電位との差がゲート電圧になる。EL
素子に流れる電流は、駆動用TFTのゲート電圧によって決まる。ここで、EL素子の発
光輝度は、EL素子の両電極間を流れる電流に比例する。こうしてEL素子はアナログの
ビデオ信号の電圧に制御されて発光を行う。
【0021】
上述した動作を繰り返し、ソース信号線(S1〜Sx)へのアナログのビデオ信号の入
力が終了すると、第1のライン期間(L1)が終了する。なお、ソース信号線(S1〜S
x)への、アナログのビデオ信号の入力が終了するまでの期間と水平帰線期間とを合わせ
て1つのライン期間としても良い。次に第2のライン期間(L2)となりゲート信号線G
2に選択信号が入力される。第1のライン期間(L1)と同様に、ソース信号線(S1〜
Sx)に順にアナログのビデオ信号が入力される。
【0022】
全てのゲート信号線(G1〜Gy)に選択信号が入力されると、全てのライン期間(L
1〜Ly)が終了する。全てのライン期間(L1〜Ly)が終了すると、1フレーム期間
が終了する。1フレーム期間中において全ての画素が表示を行い、1つの画像が形成され
る。なお全てのライン期間(L1〜Ly)と垂直帰線期間とを合わせて1フレーム期間と
しても良い。
【0023】
以上のように、アナログのビデオ信号によってEL素子の発光量が制御され、その発光
量の制御によって階調表示がなされる。この方式は、いわゆるアナログ駆動方法と呼ばれ
る駆動方式であり、ソース信号線に入力されるアナログのビデオ信号の電圧の変化で階調
表示が行われる。
【0024】
次に、EL表示装置のデジタル駆動について説明する。デジタル階調方式では、EL駆
動用TFT104のゲート・ソース間電圧Vgは、EL素子106に全く電流が流れない
範囲(点灯開始電圧以下)か、あるいは最大電流が流れる範囲(輝度飽和電圧以上)の2
段階でのみ動作する。すなわちEL素子は、点灯状態と消灯状態のみをとる。
【0025】
ELディスプレイにおいては、TFTのしきい値等の特性のばらつきが表示に影響しに
くいデジタル階調方式が主に用いられる。しかし、デジタル階調方式の場合、そのままで
は2階調表示しか出来ないため、別の方式と組み合わせて、多階調化を図る技術が複数提
案されている。
【0026】
そのうちの1つは、面積階調方式とデジタル階調方式を組み合わせる方式である。面積
階調方式とは、点灯している部分の面積を制御して、階調を出す方式である。つまり、1
つの画素を複数のサブ画素に分割し、点灯しているサブ画素の数や面積を制御して、階調
を表現している。この方式の欠点としては、サブ画素の数を多くすることが出来ないため
、高解像度化や、多階調化が難しいことである。面積階調方式については、非特許文献1
、非特許文献2などに報告がされている。
【0027】
もう1つの多階調化を図る方式として、時間階調方式とデジタル階調方式を組み合わせ
る方式がある。時間階調方式とは、点灯している時間の差を利用して、階調を出す方式で
ある。つまり、1フレーム期間を、複数のサブフレーム期間に分割し、点灯しているサブ
フレーム期間の数や長さを制御して、階調を表現している。(特許文献1参照)
【0028】
デジタル階調方式と面積階調方式と時間階調方式を組み合わせた場合については、非特
許文献3に報告されている。
【0029】
次に、デジタル階調を用いて階調表示する場合の、定電流駆動と定電圧駆動について説
明する。
【0030】
定電流駆動とは、EL素子106の点灯時に駆動用TFT104を飽和領域で動作させ
、全ての画素で一定の電流を供給する駆動方法である。この駆動方法は、EL素子106
が劣化して電圧−電流特性が変化しても、一定の電流をEL素子106に供給できるため
、EL表示装置の寿命を長くすることが出来るという利点がある。
【0031】
一方、定電圧駆動とは、EL素子106の点灯時に駆動用TFT104を線形領域で動
作させ、全ての画素で一定の電圧を供給する駆動方法である。この駆動方法は、駆動用T
FT104の特性がばらついても、全ての画素で一定の電圧をEL素子106に供給でき
るため、画素間の輝度にムラがなく、高い表示品位が得られるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】特開平2001−324958号公報
【非特許文献】
【0033】
【非特許文献1】Euro Display 99 Late News : P71 :”TFT−LEPDwith Image Uniformity by Area Ratio Gray Scale”
【非特許文献2】IEDM 99 : P107 :”Technology for Active Matrix Light Emitting Polymer Displays”
【非特許文献3】IDW’99 : P171 :”Low−Temperature Poly−Si TFT Driven Light−Emitting−Polymer Displays and Digital Gray Scale for Uniformity”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
本発明の目的は、歩留まりよく、かつ低コストで作製できる、大型で解像度の高いEL
表示装置を提供することである。そのためには、以下に挙げるような問題点が存在する。
【0035】
まず、EL表示装置の駆動方法として、デジタル階調と時間階調を組み合わせた場合の
問題点について述べる。デジタル階調と時間階調を組み合わせた場合、多階調を表現する
ために、1フレーム期間を、複数のサブフレーム期間に分割し、点灯しているサブフレー
ム期間の数や長さを制御して、階調を表現している。つまり、アナログ階調で1枚の画像
を表示させるのにかけることの出来る時間に比べて、デジタル階調と時間階調を組み合わ
せた場合では、1枚の絵を表示させるのにかけることの出来る時間はサブフレーム数分の
1となり、アナログ階調に比べて、駆動回路を非常に高速に動作させなければならない。
【0036】
また、駆動回路の動作周波数には限界があり、サブフレームをあまり多くしたり、解像
度が高くなったりすると、書き込み時間が不足する。すなわち、表示装置の駆動方法とし
て、デジタル階調と時間階調を組み合わせた場合の問題点の一つは、書き込み時間の不足
である。本発明における目的を達成するためには、書き込み時間を出来るだけ長く出来る
ようにしなければならない。
【0037】
次に、寄生容量の増大の問題について述べる。大型で解像度の高い表示装置ほど、画素
部における配線は長くなり、またその配線と交差する配線の数も多くなるため、画素部に
おける配線につく寄生容量は大きくなる。
【0038】
寄生容量が大きくなると、その配線に伝わる電気信号の波形のなまりの増大を引き起こ
す。波形のなまりは、信号の正しい伝達を妨げ、表示品位の低下をもたらす。すなわち、
大型で解像度の高いEL表示装置を得るための問題点の一つは、寄生容量の増大である。
本発明における目的を達成するためには、寄生容量を出来るだけ小さくしなければならな
い。
【0039】
次に、低コストで作製するための問題点について述べる。現在、TFT及びそれを用い
た電子回路は、半導体、絶縁体及び導電体などの各種薄膜を基板上に積層し、適宜フォト
リソグラフィ技術により所定のパターンを形成して製造されるのが一般的である。フォト
リソグラフィ技術とは、フォトマスクと呼ばれる透明な平板面上に光を通さない材料で形
成した回路等のパターンを、光を利用して目的とする基板上に転写する技術であり、半導
体集積回路等の製造工程において広く用いられている。
【0040】
フォトリソグラフィ技術を用いた製造工程は、フォトレジストと呼ばれる感光性の有
機樹脂材料を用いて形成されるマスクパターンの取り扱いだけでも、露光、現像、焼成、
剥離といった多段階の工程が必要になる。従って、フォトリソグラフィ工程の回数が増え
る程、製造コストは必然的に上がってしまうことになる。
【0041】
次に、配線抵抗の問題点について述べる。まず、EL表示装置の駆動方法として、アナ
ログ駆動を用いた場合について述べる。
【0042】
図3は、飽和領域 (Vds > Vg − Vth) における駆動用TFTの特性
を示すグラフである。ここで、Vdsはソース−ドレイン間電圧、Vgはゲート−ソース
間電圧、Vthは閾値電圧である。301はId−Vg特性(又はId−Vg曲線)と呼
ばれている。ここでIdはドレイン電流である。このグラフにより任意のゲート電圧に対
して流れる電流量を知ることができる。
【0043】
アナログ方式の駆動方法では、駆動用TFTにおいて、飽和領域を用い、そのゲート電
圧を変化させることによってドレイン電流を変化させる。
【0044】
スイッチング用TFTがオンとなり、画素内に、ソース信号線より入力されたアナログ
のビデオ信号は、駆動用TFTのゲート電極に印加される。こうして、駆動用TFTのゲ
ート電圧が変化する。このとき、図3に示したId−Vg特性に従い、ゲート電圧に対し
てドレイン電流が1対1で決まる。こうして、駆動用TFTのゲート電極に入力されるア
ナログのビデオ信号の電圧に対応して、所定のドレイン電流がEL素子に流れ、その電流
量に対応した発光量で前記EL素子が発光する。
【0045】
以上のように、アナログのビデオ信号によってEL素子の発光量が制御され、その発光
量の制御によって階調表示がなされる。
【0046】
ここで、各画素の駆動用TFTのゲート電圧は、たとえソース信号線から同じ信号が入
力されても、駆動用TFTのソース領域の電位が変化すると変化してしまう。ここで、駆
動用TFTのソース領域の電位は、電源供給線から与えられている。しかし、電源供給線
の電位は、配線抵抗による電位降下のために、画素部内部の位置によって変化する。
【0047】
また、電源供給線の配線抵抗が小さな場合や、表示装置が、比較的小さな場合、また、
電源供給線に流れる電流が比較的小さな場合は、それほど問題とならないが、そうでない
場合、特に表示装置が比較的大きな場合は、この配線抵抗による電源供給線の電位の変化
が大きくなる。
【0048】
特に、表示装置が大きくなるほど、外部入力端子から画素部の各電源供給線までの距離
のばらつきが大きくなるため、電源供給線引き回し部の配線の長さのばらつきが大きくな
る。そのため、電源供給線引き回し部の電位降下による電源供給線の電位の変化が大きく
なる。
【0049】
これらの要因による電源供給線の電位ばらつきは、各画素のEL素子の発光輝度に影響
を与え、表示輝度を変化させるため表示ムラの原因となる。
【0050】
以下に、電源供給線の電位のばらつきの具体的な例を示す。
【0051】
図4に示すように、表示画面中に白または黒のボックスを表示させたときには、クロス
トークと呼ばれる現象が発生していた。これはボックスの上方または下方にボックスの横
方向と輝度の違いが発生する現象である。
【0052】
クロストークは、ボックスの上方、下方と、横方向それぞれの画素において、駆動用T
FT104に流れる電流に、差分を生じることから起こるものである。この差分の原因は
、電源供給線V1、V2がソース信号線S1、S2に平行に配置されているために起こる

【0053】
例えば図4のように、表示画面の一部に白いボックスを表示した場合、このボックス表
示をする画素に対応する電源供給線において、ボックス表示画素の駆動用TFTのソース
とドレインの間を介してEL素子に電流が流れる分、この電源供給線の配線抵抗による電
位降下は、ボックスを表示しない画素のみにしか電源を供給しない電源供給線と比べて、
大きくなる。そのため、ボックスの上下で、ボックス表示をしない他の画素より暗い部分
が発生する。
ここで、表示装置の表示画面のサイズが小さい場合には、それでも、問題は発生しなか
ったが、表示装置の表示画面のサイズが大きくなると、表示画面の面積に比例して、EL
素子に流れる電流の総和が増加する。
【0054】
例えば、対角4インチの表示画面を有する表示装置と、対角20インチの表示画面を有
する表示装置におけるEL素子に流れる電流の総和を比較すると、後者の表示画面の面積
は前者の25倍であるので、EL素子に流れる電流の総和も、およそ25倍となる。
【0055】
そのため、表示画面のサイズが大きい表示装置では、前述の電位降下の問題が大きな課
題となる。
【0056】
例えば、20インチの表示装置において、配線長は700mm、配線幅10mm、シー
ト抵抗0.1オームとしても、電流が1A程度流れると電位降下は10Vになってしまい
、正常な表示が不可能となる。
【0057】
次に、EL表示装置の駆動方法として、デジタル駆動で定電圧駆動を用いた場合の配線
抵抗の問題点について述べる。
【0058】
定電圧駆動を用いると、EL素子106に供給される電圧が各画素で一定となるため、
各画素の輝度は駆動用TFT104の特性ばらつきの影響を受けず、非常に高い画質の表
示能力を備えるEL表示装置を得ることが出来る。しかしながら、配線抵抗が大きいと、
EL素子106に供給される電圧が各画素で一定であるという定電圧駆動を行うための必
要な条件を満たすことが出来なくなる。このことについて、図5(A)、(B)を用いて
説明する。
【0059】
図5の(A)は、全画素数に対し3分の1の画素が同時に点灯しているときを表してい
る。図5の(B)は、全画素数に対し3分の2の画素が同時に点灯しているときを表して
いる。
【0060】
図5の(A)と図5の(B)とでは、同時に点灯している画素数が違うので、点灯時に
画素部の電源供給線(V1〜Vx)に流れる電流値は、図5の(A)のときと図5の(B
)のときで異なる。ここで、画素部の電源供給線(V1〜Vx)に配線抵抗が存在すると
、電流値の大きさにしたがって、電圧が降下する。つまり、電流値の異なる図5の(A)
と図5の(B)とでは、1画素あたりに供給される電圧が異なっている。供給される電圧
が異なっているということは、EL素子の輝度が図5の(A)のように表示するときと、
図5の(B)のように表示するときとで異なってしまうということである。
【0061】
このように表示画像の点灯率によって1画素あたりの輝度が変化することは、時間階調
によって階調を表示するときに、悪影響を及ぼす。たとえば、図5の(A)と図5の(B
)を連続的に同じ時間表示して3つの階調を表示するときを考える。このとき、表示領域
503では階調0、表示領域504では階調2、表示領域505では階調1、が表示され
るはずである。しかし、配線抵抗が存在すると、図5の(A)と図5の(B)では1画素
あたりの輝度が図5の(A)のほうが大きいので、領域505に表示される階調は1より
も小さくなる。このように、配線抵抗が存在すると、デジタル駆動で定電圧駆動用いた場
合に、意図した階調が得られない。
【0062】
この輝度の差は、電源供給線(V1〜Vx)の配線抵抗が大きいほど大きくなる。そし
て、表示装置が大型になるほど電源供給線が長くなるので、配線抵抗は大きくなる。すな
わち、大型で解像度の高いEL表示装置を得るための問題点の一つは、配線抵抗の増大で
ある。本発明における目的を達成するためには、配線抵抗を出来るだけ小さくしなければ
ならない。
【0063】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、鮮明な多階調カラー表示の可能な
アクティブマトリクス型のEL表示装置を提供することを課題とする。そして、そのよう
なアクティブマトリクス型EL表示装置を用いた高性能な電子機器(電子デバイス)を提
供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0064】
本発明の目的は、歩留まりよく、かつ低コストで作製できる、大型で解像度の高いEL
表示装置を提供することである。そのための手段として、以下に、本発明の構成について
記載する。
【0065】
本発明の構成は、複数のソース信号線と、複数のゲート信号線と、行方向の複数の電源
供給線と列方向の複数の電源供給線とマトリクス状の複数の画素を有し、複数の画素のそ
れぞれは、スイッチング用薄膜トランジスタと、駆動用薄膜トランジスタと、発光素子と
を有し、複数の画素のそれぞれは、行方向の複数の電源供給線のうちの1つ及び列方向の
複数の電源供給線のうちの1つに接続され、絶縁性を有する薄膜が、複数のソース信号線
、複数のゲート信号線、行方向の複数の電源供給線、列方向の複数の電源供給線のうちの
少なくとも1つの下の一部に形成されていることを特徴とする。
【0066】
また、上記発明において、スイッチング用薄膜トランジスタの電極又は駆動用薄膜トラ
ンジスタの電極は、液滴吐出法又は印刷法によって形成してもよい。また、複数のソース
信号線、複数のゲート信号線、行方向の複数の電源供給線、列方向の複数の電源供給線の
いずれか一は、液滴吐出法又は印刷法によって形成してもよく、スパッタリング法又はC
VD法によって形成してもよい。ここでCVD法とは、プラズマCVD法(RFプラズマ
CVD法、マイクロ波CVD法、電子サイクロトロン共鳴CVD法、熱フィラメントCV
D法等)、LPCVD法、熱CVD法を含むものとする。
【0067】
また、絶縁性を有する薄膜は、液滴吐出法又は印刷法によって形成しても良い。
【0068】
また、本発明の他の構成は、複数のソース信号線を形成し、複数のゲート信号線を形成
し、マトリクス状の複数の画素を形成し、前記複数の画素のそれぞれはスイッチング用薄
膜トランジスタと、駆動用トランジスタと、発光素子を有し、行方向の複数の電源供給線
を形成し、列方向の複数の電源供給線を形成し、複数の画素のそれぞれは、液滴吐出法又
は印刷法によって、行方向の複数の電源供給線のうちの1つ及び列方向の複数の電源供給
線のうちの1つに接続することを特徴とする。
【0069】
また、上記発明において、絶縁性を有する薄膜を、液滴吐出法又は印刷法によって、ソ
ース信号線、ゲート信号線、行方向の複数の電源供給線、列方向の複数の電源供給線のう
ちの少なくとも1つの下の一部に形成してもよい。また、複数のソース信号線、複数のゲ
ート信号線、行方向の複数の電源供給線、前記列方向の複数の電源供給線のいずれか一を
、液滴吐出法又は印刷法で形成してもよく、スパッタリング法又はCVD法によって形成
してもよい。
【0070】
また、本発明の他の構成は、ソース信号線を形成し、ゲート信号線を形成し、電源供給
線を形成し、スイッチング用薄膜トランジスタ、駆動用薄膜トランジスタ、発光素子を含
む画素を形成し、絶縁性を有する薄膜を、ソース信号線、ゲート信号線、電源供給線のう
ちの少なくとも1つの下の一部に形成することを特徴とする。
【0071】
また、上記発明において、絶縁性を有する薄膜は、液滴吐出法又は印刷法によって形成
しても良い。また、ソース信号線、ゲート信号線、電源供給線のいずれか一は、液滴吐出
法又は印刷法で形成しても良く、スパッタリング法又はCVD法で形成してもよい。
【0072】
また、本発明は、上記発明に記載の表示装置を用いたパーソナルコンピュータ、テレビ
受像器、カメラ、画像表示装置、ヘッドマウントディスプレイ、携帯情報端末である。
【発明の効果】
【0073】
本発明によれば、歩留まりよく、かつ低コストで作製できる、大型で解像度の高いEL
表示装置を提供することが出来る。また、信号書き込み時間を多くとれるので、正確な信
号を画素へ入力することができ、きれいな画像を表示できる。また、配線抵抗の影響を小
さくできるので、配線抵抗による画質不良を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】EL表示装置の画素回路を説明する図。
【図2】アナログ駆動の駆動タイミングを説明する図。
【図3】駆動TFT特性を説明する図。
【図4】ボックス表示によるクロストークを説明する図。
【図5】電源供給線の配線抵抗による電位効果の影響を説明する図。
【図6】配線間の寄生容量を減少させる構成を説明する図。
【図7】配線抵抗ばらつきの起きる形状を説明する図。
【図8】本発明の実施の形態1を説明する図。
【図9】本発明の実施の形態2を説明する図。
【図10】本発明の実施の形態3を説明する図。
【図11】本発明の実施の形態4を説明する図。
【図12】本発明の実施の形態5を説明する図。
【図13】本発明の適用することのできる表示装置の作製方法を説明する図。
【図14】本発明の適用することのできる表示装置の作製方法を説明する図。
【図15】本発明に適用することのできる液滴吐出装置の構成を説明する図。
【図16】本発明に適用することのできる表示装置の画素回路の上面図。
【図17】本発明に適用することのできる表示装置を説明する図。
【図18】本発明の適用することのできる表示装置の作製方法を説明する図。
【図19】本発明の適用することのできる表示装置の作製方法を説明する図。
【図20】本発明の適用することのできる表示装置の作製方法を説明する図。
【図21】本発明の適用することのできる表示装置の作製方法を説明する図。
【図22】本発明の適用することのできる表示装置の作製方法を説明する図。
【図23】本発明の適用することのできる表示装置の作製方法を説明する図。
【図24】本発明の適用することのできる表示装置の作製方法を説明する図。
【図25】本発明の適用することのできる表示装置の作製方法を説明する図。
【図26】本発明の適用することのできる表示装置の作製方法を説明する図。
【図27】本発明の適用することのできる表示装置の作製方法を説明する図。
【図28】本発明の適用することのできる表示装置の作製方法を説明する図。
【図29】本発明の適用することのできる表示装置の作製方法を説明する図。
【図30】本発明の適用することのできる表示装置を説明する図。
【図31】本発明が適用された半導体装置の一形態であるパネルの上面図。
【図32】本発明の電子機器の主要な構成を示すブロック図。
【図33】本発明が適用される電子機器を示す図。
【図34】本発明が適用される電子機器を示す図。
【図35】本発明が適用される電子機器を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0075】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説
明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様
々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実
施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の
構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共
通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0076】
なお、本発明において、適用可能なトランジスタの種類に限定はなく、非晶質シリコン
や多結晶シリコンに代表される非単結晶半導体膜を用いた薄膜トランジスタ(TFT)、
半導体基板やSOI(Silicon On Insulator)基板を用いて形成さ
れるMOS型トランジスタ、接合型トランジスタ、バイポーラトランジスタ、有機半導体
やカーボンナノチューブを用いたトランジスタ、その他のトランジスタを適用することが
できる。また、トランジスタが配置されている基板の種類に限定はなく、単結晶基板、S
OI基板、ガラス基板などに配置することが出来る。
【0077】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態について、図13、図14、図15、図16、図8及び図6を用い
て説明する。まず、本発明においては低コストでEL表示装置を作製するのが克服すべき
課題の一つである。低コスト化を実現するために、フォトリソグラフィ工程を削減してT
FTを製造することが試みられている。
【0078】
フォトリソグラフィ工程を削減する方法として、配線層若しくは電極を形成する導電層
や、所定のパターンを形成するためのマスク層など表示パネルを作製するために必要なパ
ターンのうち、少なくとも一つ若しくはそれ以上を、選択的にパターンを形成可能な方法
により形成して、表示装置を作製する方法を考案した。選択的にパターンを形成可能な方
法として、特定の目的に調合された組成物の液滴を選択的に吐出して所定のパターンを形
成することが可能な、液滴吐出法(その方式によっては、インクジェット法とも呼ばれる
)を考案した。また、パターンが転写、または描写できる方法、例えば印刷法(スクリー
ン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)なども用いることで、低コスト
化を実現できる。すなわち、低コストでEL表示装置を得るための問題点の一つは、フォ
トリソグラフィ工程回数の多さである。本発明における目的を達成するためには、フォト
リソグラフィ工程回数を出来るだけ少なくしなければならない。その方法として、選択的
にパターン形成が可能な方法が有効である。
【0079】
したがって、本実施の形態では、以下に説明する、選択的にパターン形成が可能なEL
表示装置の作製方法の一つである、液滴吐出法によってEL表示装置を作製するものとす
る。ただし、これは一例であって、本実施の形態はこの方法のみに限定されるものではな
い。
【0080】
まず、ゲート電極とソース又はドレイン配線の作製に密着性を向上する手段を適用した
、チャネル保護型の薄膜トランジスタを有する表示装置の作製方法について、図13、図
14を用いて説明する。
【0081】
基板800の上に、下地前処理として密着性を向上させる下地膜801を形成する。基
板800は、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス等からなるガラス基
板、石英基板、シリコン基板、金属基板、ステンレス基板又は本作製工程の処理温度に耐
えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いる。また、基板800の表面が平坦化され
るようにCMP(Chemical Mechanical Polishing)法な
どによって、研磨しても良い。なお、基板800上に、絶縁層を形成してもよい。絶縁層
は、CVD法、プラズマCVD法、スパッタリング法、スピンコート法等の公知の方法に
より、珪素を含む酸化物材料、窒化物材料を用いて、単層又は積層して形成される。この
絶縁層は、形成しなくても良いが、基板800からの汚染物質などを遮断する効果がある
。ガラス基板よりの汚染を防ぐための下地層を形成する場合は、その上に液滴吐出法によ
って形成する導電層802、803の前処理として下地膜801を形成する。
【0082】
パターンの形成に用いる液滴吐出装置の一態様は図15に示されている。液滴吐出手段
903の個々のヘッド905は制御手段907に接続され、それがコンピュータ910で
制御することにより予めプログラミングされたパターンを描画することができる。描画す
るタイミングは、例えば、基板900上に形成されたマーカー911を基準に行えば良い
。或いは、基板900の縁を基準にして基準点を確定させても良い。これをCCDなどの
撮像手段904で検出し、画像処理手段909にてデジタル信号に変換したものをコンピ
ュータ910で認識して制御信号を発生させて制御手段907に送る。勿論、基板900
上に形成されるべきパターンの情報は記憶媒体908に格納されたものであり、この情報
を基にして制御手段907に制御信号を送り、液滴吐出手段903の個々のヘッド905
を個別に制御することができる。一つのヘッドで、導電材料や有機、無機材料などをそれ
ぞれ吐出し、描画することができ、層間膜のような広領域に描画する場合は、スループッ
トを向上させるため複数のノズルより同材料を同時に吐出し、描画することができる。大
型基板を用いる場合、ヘッド905は基板上を、自在に走査し、描画する領域を自由に設
定することができ、同じパターンを一枚の基板に複数描画することができる。
【0083】
本実施の形態では、密着性を向上させる機能を有する下地膜として、光触媒の機能を有
する物質を用いる。光触媒物質は、ゾルゲル法のディップコーティング法、スピンコーテ
ィング法、液滴吐出法、イオンプレーティング法、イオンビーム法、CVD法、スパッタ
リング法、RFマグネトロンスパッタリング法、プラズマ溶射法、プラズマスプレー法、
又は陽極酸化法により形成することができる。また物質は、その形成方法により膜として
の連続性を有さなくても良い。複数の金属を含む酸化物半導体からなる光触媒物質の場合
、構成元素の塩を混合、融解して形成することができる。ディップコーティング法、スピ
ンコーティング法等の塗布法により光触媒物質を形成する場合、溶媒を除去する必要があ
るとき、焼成したり、乾燥すればよい。具体的には、所定の温度(例えば、300℃以上
)で加熱すればよく、好ましくは酸素を有する雰囲気で行う。例えば、導電ペーストとし
てAgを用い、酸素及び窒素を有する雰囲気で焼成を行うと、熱硬化性樹脂などの有機物
が分解されるため、有機物を含まないAgを得ることができる。その結果、Ag表面の平
坦性を高めることができる。
【0084】
この加熱処理により、光触媒物質は所定の結晶構造を有することができる。例えば、ア
ナターゼ型やルチル−アナターゼ混合型を有する。低温相ではアナターゼ型が優先的に形
成される。そのため光触媒物質が所定の結晶構造を有していない場合も加熱すればよい。
また塗布法により形成する場合、所定の膜厚を得るために複数回にわたって光触媒物質を
形成することもできる。
【0085】
本実施の形態では、光触媒物質としてスパッタリング法により所定の結晶構造を有する
TiO(代表としてはTiO)結晶を形成する場合を説明する。ターゲットには金属
チタンチューブを用い、アルゴンガスと酸素を用いてスパッタリングを行う。更にHeガ
スを導入してもよい。光触媒活性の高いTiOを形成するためには、酸素を多く含む雰
囲気とし、形成圧力を高めにする。更に成膜室又は処理物が設けられた基板を加熱しなが
らTiOを形成すると好ましい。
【0086】
このように形成されるTiOXは非常に薄膜(1nm〜1μm程度)であっても光触媒
機能を有する。
【0087】
また他の下地前処理として、スパッタリング法や蒸着法などの方法により、Ti(チタ
ン)、W(タングステン)、Cr(クロム)、Ta(タンタル)、Ni(ニッケル)、M
o(モリブデン)などの金属材料若しくはその酸化物で形成される下地膜801を形成す
ることが好ましい。
【0088】
下地膜801は0.01〜10nmの厚さで形成すれば良いが、極薄く形成すれば良い
ので、必ずしも層構造を持っていなくても良い。下地膜として、高融点金属材料を用いる
場合、ゲート電極層となる導電層802、803を形成した後、表面に露出している下地
膜を下記の2つの工程のうちどちらかの工程を行って処理することが望ましい。
【0089】
第1の方法としては、導電層802、803と重ならない下地膜801を絶縁化して、
絶縁層を形成する工程である。つまり、導電層802、803と重ならない下地膜801
を酸化して絶縁化する。このように、下地膜801を酸化して絶縁化する場合には、当該
下地膜801を0.01〜10nmの厚さで形成しておくことが好適であり、そうすると
容易に酸化させることができる。なお、酸化する方法としては、酸素雰囲気下に晒す方法
を用いてもよいし、熱処理を行う方法を用いてもよい。
【0090】
第2の方法としては、導電層802、803をマスクとして、下地膜801をエッチン
グして除去する工程である。この工程を用いる場合には下地膜801の厚さに制約はない

【0091】
また、下地前処理の他の方法として、形成領域(被形成面)に対してプラズマ処理を行
う方法がある。プラズマ処理の条件は、空気、酸素又は窒素を処理ガスとして用い、圧力
を数十Torr〜1000Torr(133000Pa)、好ましくは100(1330
0Pa)〜1000Torr(133000Pa)、より好ましくは700Torr(9
3100Pa)〜800Torr(106400Pa)、つまり大気圧又は大気圧近傍の
圧力となる状態で、パルス電圧を印加する。このとき、プラズマ密度は、1×1010
1×1014−3、所謂コロナ放電やグロー放電の状態となるようにする。空気、酸素
又は窒素の処理ガスを用いプラズマ処理を用いることにより、材質依存性なく、表面改質
を行うことができる。その結果、あらゆる材料に対して表面改質を行うことができる。
【0092】
また、他の方法として、液滴吐出法によるパターンのその形成領域との密着性を上げる
ために、接着材として機能するような有機材料系の物質を形成してもよい。有機材料(有
機樹脂材料)(ポリイミド、アクリル)やシロキサンを用いても良い。なお、シロキサン
は、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少
なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基
として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基
と、フルオロ基とを用いてもよい。
【0093】
次に、導電性材料を含む組成物を吐出して、後にゲート電極として機能する導電層80
2、803を形成する。
【0094】
液滴吐出手段とは、組成物の吐出口を有するノズルや、1つ又は複数のノズルを具備し
たヘッド等の液滴を吐出する手段を有するものの総称とする。液滴吐出手段が具備するノ
ズルの径は、0.02〜100μm(好適には30μm以下)に設定し、該ノズルから吐
出される組成物の吐出量は0.001pl〜100pl(好適には10pl以下)に設定
する。吐出量は、ノズルの径の大きさに比例して増加する。また、被処理物とノズルの吐
出口との距離は、所望の箇所に滴下するために、出来る限り近づけておくことが好ましく
、好適には0.1〜3mm(好適には1mm以下)程度に設定する。
【0095】
吐出口から吐出する組成物は、導電性材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いる。
導電性材料とは、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al等の金属
、Cd、Znの金属硫化物、Fe、Ti、Zr、Baなどの酸化物、ハロゲン化銀の微粒
子又は分散性ナノ粒子に相当する。SiやGeの酸化物を含んでいても良い。また、透明
導電膜として用いられるインジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸
化物(ITSO)、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛、窒化チタン等に相当する。但
し、吐出口から吐出する組成物は、比抵抗値を考慮して、金、銀、銅のいずれかの材料を
溶媒に溶解又は分散させたものを用いることが好適であり、より好適には、低抵抗な銀、
銅を用いるとよい。但し、銀、銅を用いる場合には、不純物対策のため、合わせてバリア
膜を設けるとよい。バリア膜としては、窒化珪素膜やニッケルボロン(NiB)を用いる
とことができる。
【0096】
また、導電性材料の周りに他の導電性材料がコーティングされ、複数の層になっている
粒子でも良い。例えば、銅の周りにニッケルボロン(NiB)がコーティングされ、その
周囲に銀がコーティングされている3層構造の粒子などを用いても良い。溶媒は、酢酸ブ
チル、酢酸エチル等のエステル類、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアル
コール類、メチルエチルケトン、アセトン等の有機溶剤等を用いる。組成物の粘度は50
mPa・S(cps)以下が好適であり、これは、乾燥が起こることを防止したり、吐出
口から組成物を円滑に吐出できるようにしたりするためである。また、組成物の表面張力
は、40mN/m以下が好適である。但し、用いる溶媒や、用途に合わせて、組成物の粘
度等は適宜調整するとよい。一例として、ITOや、有機インジウム、有機スズを溶媒に
溶解又は分散させた組成物の粘度は5〜50mPa・S、銀を溶媒に溶解又は分散させた
組成物の粘度は5〜20mPa・S、金を溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は10
〜20mPa・Sに設定するとよい。
【0097】
また、導電層は、複数の導電性材料を積層しても良い。また、始めに導電性材料として
銀を用いて、液滴吐出法で導電層を形成した後、銅などでめっきを行ってもよい。めっき
は電気めっきや化学(無電界)めっき法で行えばよい。めっきは、めっきの材料を有する
溶液を満たした容器に基板表面を浸してもよいが、基板を斜め(または垂直)に立てて設
置し、めっきする材料を有する溶液を、基板表面に流すように塗布してもよい。基板を立
てて溶液を塗布するようにめっきを行うと、工程装置が小型化する利点がある。
【0098】
各ノズルの径や所望のパターン形状などに依存するが、ノズルの目詰まり防止や高精細
なパターンの作製のため、導電体の粒子の径はなるべく小さい方が好ましく、好適には粒
径0.1μm以下が好ましい。組成物は、電解法、アトマイズ法又は湿式還元法等の公知
の方法で形成されるものであり、その粒子サイズは、一般的に約0.01〜10μmであ
る。但し、ガス中蒸発法で形成すると、分散剤で保護されたナノ分子は約7nmと微細で
あり、またこのナノ粒子は、被覆剤を用いて各粒子の表面を覆うと、溶剤中に凝集がなく
、室温で安定に分散し、液体とほぼ同じ挙動を示す。従って、被覆剤を用いることが好ま
しい。
【0099】
組成物を吐出する工程は、減圧下で行うと、組成物を吐出して被処理物に着弾するまで
の間に、該組成物の溶媒が揮発し、後の乾燥と焼成の工程を省略することができる。また
、減圧下で行うと、導電体の表面に酸化膜などが形成されないため好ましい。また、組成
物を吐出後、乾燥と焼成の一方又は両方の工程を行う。乾燥と焼成の工程は、両工程とも
加熱処理の工程であるが、例えば、乾燥は100度で3分間、焼成は200〜350度で
15分間〜30分間で行うもので、その目的、温度と時間が異なるものである。乾燥の工
程、焼成の工程は、常圧下又は減圧下で、レーザ光の照射や瞬間熱アニール、加熱炉など
により行う。なお、この加熱処理を行うタイミングは特に限定されない。乾燥と焼成の工
程を良好に行うためには、基板を加熱しておいてもよく、そのときの温度は、基板等の材
質に依存するが、一般的には100〜800度(好ましくは200〜350度)とする。
本工程により、組成物中の溶媒の揮発、又は化学的に分散剤を除去するとともに、周囲の
樹脂が硬化収縮することで、ナノ粒子間を接触させ、融合と融着を加速する。
【0100】
レーザ光の照射は、連続発振またはパルス発振の気体レーザ又は固体レーザを用いれば
良い。前者の気体レーザとしては、エキシマレーザ等が挙げられ、後者の固体レーザとし
ては、Cr、Nd等がドーピングされたYAG、YVO等の結晶を使ったレーザ等が挙
げられる。なお、レーザ光の吸収率の関係から、連続発振のレーザを用いることが好まし
い。また、パルス発振と連続発振を組み合わせた所謂ハイブリッドのレーザ照射方法を用
いてもよい。但し、基板800の耐熱性に依っては、レーザ光の照射による加熱処理は、
該基板800が破壊しないように、数マイクロ秒から数十秒の間で瞬間的に行うとよい。
瞬間熱アニール(RTA)は、不活性ガスの雰囲気下で、紫外光乃至赤外光を照射する赤
外ランプやハロゲンランプなどを用いて、急激に温度を上昇させ、数分〜数マイクロ秒の
間で瞬間的に熱を加えて行う。この処理は瞬間的に行うために、実質的に最表面の薄膜の
みを加熱することができ、下層の膜には影響を与えない。つまり、プラスチック基板等の
耐熱性が弱い基板にも影響を与えない。
【0101】
また、液滴吐出法を用いて形成する導電層の下地前処理として、前述した下地膜801
を形成する工程を行ったが、この処理工程は、導電層を形成した後にも行っても良い。
【0102】
次に、導電層802、803の上にゲート絶縁層を形成する(図13(A)参照)。ゲ
ート絶縁層としては、珪素の酸化物材料又は窒化物材料等の公知の材料で形成すればよく
、積層でも単層でもよい。例えば、窒化珪素膜、酸化珪素膜、窒化珪素膜3層の積層でも
、またそれらや、酸化窒化珪素膜の単層、2層からなる積層でも良い。本実施の形態では
、絶縁層804に窒化珪素膜を、ゲート絶縁層805に窒化酸化珪素膜を用いる。好適に
は、緻密な膜質を有する窒化珪素膜を用いるとよい。また、液滴吐出法で形成される導電
層に銀や銅などを用いる場合、その上にバリア膜として窒化珪素膜やNiB膜を形成する
と、不純物の拡散を防ぎ、表面を平坦化する効果がある。なお、低い成膜温度でゲートリ
ーク電流の少ない緻密な絶縁膜を形成するには、アルゴンなどの希ガス元素を反応ガスに
含ませ、形成される絶縁膜中に混入させると良い。
【0103】
続いて、ゲート絶縁膜上に選択的に、導電性材料を含む組成物を吐出して、導電層(第
1の電極ともいう)806を形成する(図13(B)参照。)。導電層806は、基板8
00側から光を放射する場合、または透過型のEL表示パネルを作製する場合には、イン
ジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛
(ZnO)、酸化スズ(SnO2)などを含む組成物により所定のパターンを形成し、焼
成によって形成しても良い。
【0104】
また、好ましくは、スパッタリング法によりインジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素
を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)などで形成する。より好ま
しくは、ITOに酸化珪素が2〜10重量%含まれたターゲットを用いてスパッタリング
法で形成した、酸化珪素を含む酸化インジウムスズを用いる。この他、酸化珪素を含んだ
酸化インジウムに2〜20重量%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したターゲットを用いて形
成された酸化物導電性材料を用いても良い。スパッタリング法で導電層(第1の電極)8
06を形成した後は、液滴吐出法を用いてマスク層を形成しエッチングにより、所望のパ
ターンに形成すれば良い。本実施の形態では、導電層806は、透光性を有する導電性材
料により液滴吐出法を用いて形成し、具体的には、インジウム錫酸化物、ITOと酸化珪
素から構成されるITSOを用いて形成する。図示しないが、導電層806を形成する領
域に導電層802、803を形成する時と同様に、光触媒物質を形成してもよい。光触媒
物質によって、密着性が向上し、所望なパターンに細線化して導電層806を形成する事
ができる。この導電層806は画素電極として機能する第1の電極となる。
【0105】
本実施の形態では、ゲート絶縁層は窒化珪素からなる窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜(酸
化珪素膜)、窒化珪素膜の3層の例を前述した。好ましい構成として、酸化珪素を含む酸
化インジウムスズで形成される導電層(第1の電極)806は、ゲート絶縁層805に含
まれる窒化珪素からなる絶縁層と密接して形成され、それにより電界発光層で発光した光
が外部に放射される割合を高めることが出来る。
【0106】
また、発光した光を基板800側とは反対側に放射させる構造とする場合には、反射型
のEL表示パネルを作製する場合には、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅))、W(タ
ングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を用いること
ができる。他の方法としては、スパッタリング法により透明導電膜若しくは光反射性の導
電膜を形成して、液滴吐出法によりマスクパターンを形成し、エッチング加工を組み合わ
せて第1の電極層を形成しても良い。
【0107】
導電層(第1の電極)806は、その表面が平坦化されるように、CMP法、ポリビニ
ルアルコール系の多孔質体で拭浄し、研磨しても良い。またCMP法を用いた研磨後に、
導電層(第1の電極)806の表面に紫外線照射、酸素プラズマ処理などを行ってもよい

【0108】
半導体層は公知の手段(スパッタ法、LP(Low Pressure)CVD法、ま
たはプラズマCVD法等)により成膜すればよい。半導体層の材料に限定はないが、好ま
しくはシリコン又はシリコンゲルマニウム(SiGe)合金などで形成すると良い。
【0109】
半導体層は、アモルファス半導体(代表的には水素化アモルファスシリコン)、結晶性
半導体(代表的にはポリシリコン)を素材として用いている。ポリシリコンには、800
℃以上のプロセス温度を経て形成される多結晶シリコンを主材料として用いた所謂高温ポ
リシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成される多結晶シリコンを主材料として
用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを添加し結晶化させた結晶
シリコンなどを含んでいる。
【0110】
また、他の物質として、セミアモルファス半導体又は半導体層の一部に結晶相を含む半
導体を用いることもできる。セミアモルファス半導体とは、非晶質と結晶構造(単結晶、
多結晶を含む)の中間的な構造の半導体であり、自由エネルギー的に安定な第3の状態を
有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質なものである。典型的
にはシリコンを主成分として含み、格子歪みを伴って、ラマンスペクトルが520cm
よりも低波数側にシフトしている半導体層である。また、未結合手(ダングリングボン
ド)を終端させるために、水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ま
せている。ここでは、このような半導体をセミアモルファス半導体(以下「SAS」と呼
ぶ。)と呼ぶ。このSASは所謂微結晶(マイクロクリスタル)半導体(代表的には微結
晶シリコン)とも呼ばれている。
【0111】
このSASは珪化物気体をグロー放電分解(プラズマCVD)することにより得ること
ができる。代表的な珪化物気体としては、SiHであり、その他にもSi、Si
Cl、SiHCl、SiCl、SiFなどを用いることができる。また、G
eF、Fを混合してもよい。この珪化物気体を水素、若しくは水素とヘリウム、アル
ゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種又は複数種の希ガス元素で希釈して用いるこ
とでSASの形成を容易なものとすることができる。珪化物気体に対する水素の希釈率は
、例えば流量比で2倍〜1000倍とすることが好ましい。勿論、グロー放電分解による
SASの形成は、減圧下で行うことが好ましいが、大気圧における放電を利用しても形成
することができる。代表的には、0.1Pa〜133Paの圧力範囲で行えば良い。グロ
ー放電を形成するための電源周波数は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜
60MHzである。高周波電力は適宜設定すれば良い。基板加熱温度は300℃以下が好
ましく、100〜200℃の基板加熱温度でも形成可能である。ここで、主に成膜時に取
り込まれる不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分に由来する不純物は1×
1020cm−3以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019cm−3
下、好ましくは1×1019cm−3以下となるようにすることが好ましい。また、ヘリ
ウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長
させることで安定性が増し良好なSASが得られる。また半導体層としてフッ素系ガスよ
り形成されるSAS層に水素系ガスより形成されるSAS層を積層してもよい。
【0112】
半導体層に、結晶性半導体層を用いる場合、その結晶性半導体層の作製方法は、公知の
方法(レーザー結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの結晶化を助長する元素を用
いた熱結晶化法等)を用いれば良い。結晶化を助長する元素を導入しない場合は、非晶質
珪素膜にレーザ光を照射する前に、窒素雰囲気下500℃で1時間加熱することによって
非晶質珪素膜の含有水素濃度を1×1020atoms/cm以下にまで放出させる。
これは水素を多く含んだ非晶質珪素膜にレーザ光を照射すると膜が破壊されてしまうから
である。
【0113】
非晶質半導体層への金属元素の導入の仕方としては、当該金属元素を非晶質半導体層の
表面又はその内部に存在させ得る手法であれば特に限定はなく、例えばスパッタ法、CV
D法、プラズマ処理法(プラズマCVD法も含む)、吸着法、金属塩の溶液を塗布する方
法を使用することができる。このうち溶液を用いる方法は簡便であり、金属元素の濃度調
整が容易であるという点で有用である。また、このとき非晶質半導体層の表面の濡れ性を
改善し、非晶質半導体層の表面全体に水溶液を行き渡らせるため、酸素雰囲気中でのUV
光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等に
より、酸化膜を成膜することが望ましい。
【0114】
また、非晶質半導体層の結晶化は、熱処理とレーザ光照射による結晶化を組み合わせて
もよく、熱処理やレーザ光照射を単独で、複数回行っても良い。
【0115】
半導体として、有機材料を用いる有機半導体を用いてもよい。有機半導体としては、低
分子材料、高分子材料などが用いられ、有機色素、導電性高分子材料などの材料も用いる
ことが出来る。
【0116】
本実施の形態では、半導体として、非晶質半導体を用いる。非晶質半導体層である半導
体層807を形成し、チャネル保護膜809、810を形成するため、例えば、プラズマ
CVD法により絶縁膜を形成し、所望の領域に、所望の形状となるように選択的にエッチ
ングする。このとき、ゲート電極をマスクとして基板の裏面から露光することにより、チ
ャネル保護膜809、810を形成することができる。またチャネル保護膜は、液滴吐出
法を用いてポリイミド又はポリビニルアルコール等を滴下してもよい。その結果、露光工
程を省略することができる。その後、プラズマCVD法等により一導電型を有する半導体
層、例えばN型非晶質半導体層を用いてN型半導体層808を形成する(図13(C)参
照)。一導電型を有する半導体層は必要に応じて形成すればよい。
【0117】
チャネル保護膜としては、無機材料(酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪
素など)、感光性または非感光性の有機材料(有機樹脂材料)(ポリイミド、アクリル、
ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト、ベンゾシクロブテンなど)、低誘電率である
Low‐k材料などの一種、もしくは複数種からなる膜、またはこれらの膜の積層などを
用いることができる。また、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成さ
れ、置換基に少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)を用い
ても良い。置換基としては、フルオロ基を用いても良いし、少なくとも水素を含む有機基
とフルオロ基とを用いてもよい。チャネル保護膜として無機材料を用いる場合の作製法と
しては、プラズマCVD法や熱CVD法などの気相成長法やスパッタリング法を用いるこ
とができる。また、有機材料を用いる場合には液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷や
オフセット印刷などパターンが形成される方法)を用いることもできる。塗布法で得られ
る絶縁膜やSOG膜などもチャネル保護膜として用いることができる。
【0118】
続いて、レジストやポリイミド等の絶縁体からなるマスク層811、812を形成し、
該マスク層811、812を用いて、半導体層807、N型半導体層808を同時にパタ
ーン加工する。
【0119】
次に、レジストやポリイミド等の絶縁体からなるマスク層813、814を液滴吐出法
を用いて形成する(図13(D)参照)。そのマスク層813、814を用いて、エッチ
ング加工によりゲート絶縁層805、804の一部に貫通孔818を形成して、その下側
に配置されているゲート電極層として機能する導電層803の一部を露出させる。エッチ
ング加工はプラズマエッチング(ドライエッチング)又はウエットエッチングのどちらを
採用しても良いが、大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチ
ングガスとしては、CF、NF、Cl、BCl、などのフッ素系又は塩素系のガ
スを用い、HeやArなどの不活性ガスを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチ
ング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスク層を形成す
る必要はない。
【0120】
マスク層813、814を除去した後、導電性材料を含む組成物を吐出して、導電層8
15、816、817を形成し、該導電層815、816、817をマスクとして、N型
半導体層をパターン加工して、N型半導体層を形成する(図14(A)参照)。導電層8
15、816、817は配線層として機能する。なお、図示しないが、導電層815、8
16、817を形成する前に、導電層815、816、817がゲート絶縁層805と接
す部分に選択的に光触媒物質などを形成する、前述の下地前処理工程を行っても良い。そ
うすると、導電層は密着性よく形成できる。
【0121】
また、液滴吐出法を用いて形成する導電層の下地前処理として、前述した下地膜を形成
する工程を行い、かつ、この処理工程は、導電層を形成した後にも行っても良い。この工
程により、層間の密着性が向上するため、表示装置の信頼性も向上することができる。
【0122】
導電層817は、ソース、ドレイン配線層として機能し、前に形成された第1の電極に
電気的に接続するように形成される。また、ゲート絶縁層805に形成した貫通孔818
において、ソース又はドレイン配線層である導電層816とゲート電極層である導電層8
03とを電気的に接続させる。この配線層を形成する導電性材料としては、Ag(銀)、
Au(金)、Cu(銅)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を
主成分とした組成物を用いることができる。また、透光性を有するインジウム錫酸化物(
ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、有機インジウム、有機スズ
、酸化亜鉛、窒化チタンなどを組み合わせても良い。
【0123】
ゲート絶縁層805、804の一部に貫通孔818を形成する工程を、導電層815、
816、817形成後に、該導電層815、816、817をマスクとして用いて貫通孔
818を形成してもよい。そして貫通孔818に導電層を形成し導電層816とゲート電
極層である導電層803を電気的に接続する。この場合、工程が簡略化する利点がある。
【0124】
続いて、隔壁となる絶縁層820を形成する。また、図示しないが、絶縁層820の下
に薄膜トランジスタを覆うように全面に窒化珪素若しくは窒化酸化珪素の保護層を形成し
てもよい。絶縁層820は、スピンコート法やディップ法により全面に絶縁層を形成した
後、エッチング加工によって図14(B)に示すように開孔を形成する。また、液滴吐出
法により絶縁層820を形成すれば、エッチング加工は必ずしも必要ない。液滴吐出法を
用いて、絶縁層820など広領域に形成する場合、液滴吐出装置の複数のノズル吐出口か
ら組成物を吐出し、複数の線が重なるように描画し形成すると、スループットが向上する

【0125】
絶縁層820は、第1の電極である導電層806に対応して画素が形成される位置に合
わせて貫通孔の開口部を備えて形成される。この絶縁層820は、酸化珪素、窒化珪素、
酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウムその他の無機
絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(po
lyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzim
idazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン系材料を出発材料として形成され
た珪素、酸素、水素からなる化合物のうちSi−O−Si結合を含む無機シロキサン、珪
素上の水素がメチルやフェニルのような有機基によって置換された有機シロキサン系の絶
縁材料で形成することができる。アクリル、ポリイミド等の感光性、非感光性の材料を用
いて形成すると、その側面は曲率半径が連続的に変化する形状となり、上層の薄膜が段切
れせずに形成されるため好ましい。
【0126】
以上の工程により、基板800上にボトムゲート型(逆スタガ型ともいう。)のチャネ
ル保護型TFTと第1の電極(第1電極層)が接続されたEL表示パネル用のTFT基板
が完成する。
【0127】
電界発光層821を形成する前に、大気圧中で200℃の熱処理を行い絶縁層820中
若しくはその表面に吸着している水分を除去する。また、減圧下で200〜400℃、好
ましくは250〜350℃に熱処理を行い、そのまま大気に晒さずに電界発光層821を
真空蒸着法や、減圧下の液滴吐出法で形成することが好ましい。
【0128】
電界発光層821として、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光を示す材料を、
それぞれ蒸着マスクを用いた蒸着法等によって選択的に形成する。赤色(R)、緑色(G
)、青色(B)の発光を示す材料はカラーフィルター同様、液滴吐出法により形成するこ
ともでき(低分子または高分子材料など)、この場合マスクを用いずとも、RGBの塗り
分けを行うことができるため好ましい。電界発光層821上に第2の電極である導電層8
22を積層形成して、発光素子を用いた表示機能を有する表示装置が完成する(図14(
B)参照)。
【0129】
図示しないが、第2の電極を覆うようにしてパッシベーション膜を設けることは有効で
ある。パッシベーション膜としては、窒化珪素(SiN)、酸化珪素(SiO)、酸化
窒化珪素(SiO:x>y>0)、窒化酸化珪素(SiN:x>y>0)、
窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlO:x>y>0)、窒
素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム(AlN:x>y>0)ま
たは酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜(CN
)を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層を用いることがで
きる。例えば窒素含有炭素膜(CN)と窒化珪素(SiN)のような積層、また有機材
料を用いることも出来、スチレンポリマーなど高分子の積層でもよい。また、シロキサン
樹脂を用いることもできる。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨
格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、
芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換
基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。
【0130】
この際、カバレッジの良い膜をパッシベーション膜として用いることが好ましく、炭素
膜、特にDLC膜を用いることは有効である。DLC膜は室温から100℃以下の温度範
囲で成膜可能であるため、耐熱性の低い電界発光層の上方にも容易に成膜することができ
る。DLC膜は、プラズマCVD法(代表的には、RFプラズマCVD法、マイクロ波C
VD法、電子サイクロトロン共鳴(ECR)CVD法、熱フィラメントCVD法など)、
燃焼炎法、スパッタ法、イオンビーム蒸着法、レーザ蒸着法などで形成することができる
。成膜に用いる反応ガスは、水素ガスと、炭化水素系のガス(例えばCH、C
など)とを用い、グロー放電によりイオン化し、負の自己バイアスがかかったカ
ソードにイオンを加速衝突させて成膜する。また、CN膜は反応ガスとしてCガス
とNガスとを用いて形成すればよい。DLC膜は酸素に対するブロッキング効果が高く
、電界発光層の酸化を抑制することが可能である。そのため、この後に続く封止工程を行
う間に電界発光層が酸化するといった問題を防止できる。
【0131】
本実施の形態の表示装置の画素部上面図を図16(A)に、回路図を(B)に示す。1
001、1002はTFT、1003は発光素子、1004は容量素子、1005はソー
ス信号線、1006はゲート信号線、1007は電源供給線である。TFT1001は信
号線との接続状態を制御するトランジスタ(以下「スイッチング用トランジスタ」又は「
スイッチング用TFT」ともいう。)であり、TFT1002は発光素子へ流れる電流を
制御するトランジスタ(以下「駆動用トランジスタ」又は「駆動用TFT」ともいう。)
であり、駆動用TFTが発光素子と直列に接続されている。容量素子1004は駆動用T
FTであるTFT1002のソース、ゲート間の電圧を保持する。
【0132】
本実施の形態の表示装置の詳細な図17に示す。スイッチング用TFT1001と、発
光素子1003に接続する駆動用TFTであるTFT1002を有する基板800は、シ
ール材851によって封止基板850と固着されている。基板800上に形成された各回
路に供給される各種信号は、端子部で供給される。
【0133】
端子部には、導電層802、803と同工程でゲート配線層860が形成される。勿論
、ゲート配線層860の形成領域にも、導電層802、803と同様、光触媒物質が形成
されており、液滴吐出法によって形成する際、ゲート配線層860の下地の形成領域との
密着性を向上させることができる。ゲート配線層860を剥き出しにするエッチングは、
ゲート絶縁層805に貫通孔818を形成する際、同時に行うことができる。ゲート配線
層860に、異方性導電層861によってフレキシブル配線基板(FPC)862を接続
することができる。
【0134】
なお、上記表示装置では、ガラス基板で発光素子1003を封止した場合を示すが、封
止の処理とは、発光素子を水分から保護するための処理であり、カバー材で機械的に封入
する方法、熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂で封入する方法、金属酸化物や窒化物等の
バリア能力が高い薄膜により封止する方法のいずれかを用いる。カバー材としては、ガラ
ス、セラミックス、プラスチックもしくは金属を用いることができるが、カバー材側に光
を放射させる場合は透光性でなければならない。また、カバー材と上記発光素子が形成さ
れた基板とは熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂等のシール材を用いて貼り合わせられ、
熱処理又は紫外光照射処理によって樹脂を硬化させて密閉空間を形成する。この密閉空間
の中に酸化バリウムに代表される吸湿材を設けることも有効である。この吸湿材は、シー
ル材の上に接して設けても良いし、発光素子よりの光を妨げないような、隔壁の上や周辺
部に設けても良い。さらに、カバー材と発光素子の形成された基板との空間を熱硬化性樹
脂若しくは紫外光硬化性樹脂で充填することも可能である。この場合、熱硬化性樹脂若し
くは紫外光硬化性樹脂の中に酸化バリウムに代表される吸湿材を添加しておくことは有効
である。
【0135】
以上示したように、本実施の形態では、フォトマスクを利用した光露光工程を用いない
ことにより、工程を省略することができる。また、液滴吐出法を用いて基板上に直接的に
各種のパターンを形成することにより、1辺が1000mmを超える第5世代以降のガラ
ス基板を用いても、容易にEL表示パネルを製造することができる。
【0136】
また、密着性、耐剥離性が向上した信頼性の高い表示装置を作製することができる。
【0137】
本実施の形態における画素部全体の回路図を、図8と図16に示す。本実施の形態では
、縦の画素1列に対し複数のソース信号線を有していることを特徴とする。図8では、縦
の画素1列に対し3本のソース信号線を有している場合を例にとって説明する。
【0138】
なお、ソース信号線は3本に限定されず、何本でもよい。
【0139】
図8において、各画素の回路である854は、図16に示した回路であるとして説明す
る。しかし、これは一例であり、各画素の回路は図16に限定されない。
【0140】
画素部の1行1列目の画素は、ゲート信号線G1と、3本のソース信号線のうちの一つ
であるS1aと、電源供給線V1と、スイッチング用TFT1001と、駆動用TFT1
002と、EL素子1003と、容量素子1004と、を有している。
【0141】
画素の回路との接続を説明する。ゲート信号線G1はスイッチング用TFT1001の
ゲート電極に接続され、3本のソース信号線のうちの一つであるS1aはスイッチング用
TFT1001のソースまたはドレイン電極に接続され、電源供給線V1は駆動用TFT
1002のソースまたはドレイン電極および容量素子1004の一方の電極に接続され、
容量素子1004のもう一方の電極はスイッチング用TFT1001のもう一方のソース
またはドレイン電極および駆動用TFT1002のゲート電極に接続され、駆動用TFT
1002のもう一方のソースまたはドレイン電極はEL素子1003に接続されている。
【0142】
また、画素部の2行1列目の画素は、ゲート信号線G2と、3本のソース信号線のうち
の一つであるS1bと、電源供給線V1と、スイッチング用TFT1001と、駆動用T
FT1002と、EL素子1003と、容量素子1004と、を有している。
【0143】
画素部の2行1列目の画素は、上記1行1列目の画素の構成のうち、G1をG2に、S
1aをS1bに置き換えた構成であることを特徴とする。
【0144】
画素部の3行1列目の画素は、ゲート信号線G3と、3本のソース信号線のうちの一つ
であるS1cと、電源供給線V1と、スイッチング用TFT1001と、駆動用TFT1
002と、EL素子1003と、容量素子1004と、を有している。
【0145】
画素部の3行1列目の画素は、上記1行1列目の画素の構成のうち、G1をG3に、S
1aをS1cに置き換えた構成であることを特徴とする。
【0146】
また、上記3行の画素列において、G1、G2、G3は電気的に接続されている。
【0147】
また、1列目の画素列は、上記構成の繰り返しであることを特徴とする。
【0148】
また、2列目の画素列は、上記構成のうち、V1をV2に、S1aをS2aに、S1b
をS2bに、S1cをS2cに、置き換えた接続であることを特徴とする。
【0149】
また、n列目の画素列は、上記構成のうち、V1をVnに、S1aをSnaに、S1b
をSnbに、S1cをSncに、置き換えた接続であることを特徴とする。
【0150】
また、V1〜Vnは、すべて互いに電気的に接続されていることを特徴とする。
【0151】
次に、図8の回路をどのように動作させるかを説明する。まず、ゲート信号線G1、G
2、G3を同時にオンする。ゲート信号線G1、G2、G3がオンしている間に、ソース
信号線S1a、S1b、S1c、 〜 、Sna、Snb、Sncにより、画素に信号を
書き込む。その次に、ゲート信号線G4、G5、G6を同時にオンする。ゲート信号線G
4、G5、G6がオンしている間に、ソース信号線S1a、S1b、S1c、 〜 、S
na、Snb、Sncにより、画素に信号を書き込む。この動作をゲート信号線Gm−2
、Gm−1、Gmまで繰り返す。ここまでの動作で、一つの画像の信号書込みが完了する

【0152】
このように動作させると、ゲート信号線は3本一組で動作するため、信号線が1本の回
路に比べて、ゲート信号線がオンしている時間は3倍になる。すなわち、本発明の克服す
べき課題の一つである、書き込み時間を出来るだけ長く出来るようにしなければならない
、という課題を克服することが出来る。
【0153】
しかし、ただ図8のように接続した場合、配線間の寄生容量が増大することがある。
【0154】
そのために、本実施の形態では、図8の構成に加えて、選択的にパターン形成できる作
成方法の利点を生かした、プロセス上の工夫を行ってもよい。これを説明するために、線
分855で示す部分の断面を表した図として、図6を用いる。
【0155】
図6は、先に述べたTFT作成工程で、ゲート絶縁層805を成膜した状態(図13(
A))からのプロセスを示している。上記断面には、半導体層は存在しないため、ゲート
絶縁層605の形成後は、通常導電層を成膜する(図6(A))。しかし、本実施の形態
では、ゲート絶縁層605の成膜後、3本のソース信号線が配置される場所のうちの一部
の絶縁層をさらに液滴吐出法により選択的にパターン形成を行う(図6(B))。その後
は、先に述べた方法どおりに、導電層を成膜して(図6(C))パターン形成する。
【0156】
このようなプロセスを行うことにより、絶縁層606が下部に存在するソース信号線6
16と、絶縁層606が下部に存在しないソース信号線615、617の3本のソース信
号線が形成される。この構造は、絶縁層606がないときと比べて、配線同士の間の距離
が長くなり、配線間の寄生容量を小さくすることが出来る。すなわち、寄生容量は出来る
だけ小さくしなければならない、という課題を克服することが出来る。また、本実施の形
態の構成は、配線が長いほど効果は大きくなる。
【0157】
なお、本実施の形態において、絶縁層を形成する場所、数、形状などはいろいろな様態
を取りうるが、同層の配線間の距離を大きくとるために選択的に絶縁層を形成するという
趣旨から逸脱しない限り、どのようなものでもよい。
また、選択的に形成された絶縁層上の配線はソース信号線に限られない。ゲート信号線
や電源供給線についても同様の方法で絶縁層を形成することができ、寄生容量を低減する
ことができる。
【0158】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態について、図9と図16を用いて説明する。
【0159】
図9において、各画素の回路である954は、図16に示した回路であるとして説明す
る。しかし、これは一例であり、各画素の回路は図16に限定されない。
【0160】
画素部の1行1列目の画素は、ゲート信号線G1と、ソース信号線S1と、電源供給線
Vx1と、電源供給線Vy1と、スイッチング用TFT1001と、駆動用TFT100
2と、EL素子1003と、容量素子1004と、を有している。
【0161】
画素の回路との接続を説明する。ゲート信号線G1はスイッチング用TFT1001の
ゲート電極に接続され、ソース信号線S1はスイッチング用TFT1001のソースまた
はドレイン電極に接続され、電源供給線Vx1は駆動用TFT1002のソースまたはド
レイン電極および容量素子1004の一方の電極に接続され、電源供給線Vy1は電源供
給線Vx1と接続され、容量素子1004のもう一方の電極はスイッチング用TFT10
01のもう一方のソースまたはドレイン電極および駆動用TFT1002のゲート電極に
接続され、駆動用TFT1002のもう一方のソースまたはドレイン電極はEL素子10
03に接続されている。
【0162】
また、画素部の2行1列目の画素は、ゲート信号線G2と、ソース信号線S1と、電源
供給線Vx1と、電源供給線Vy2と、スイッチング用TFT1001と、駆動用TFT
1002と、EL素子1003と、容量素子1004と、を有している。
【0163】
画素部の2行1列目の画素は、上記1行1列目の画素の構成のうち、G1をG2に、V
y1をVy2に置き換えた構成であることを特徴とする。
【0164】
また、画素部のm行1列目の画素は、ゲート信号線Gmと、ソース信号線S1と、電源
供給線Vx1と、電源供給線Vymと、スイッチング用TFT1001と、駆動用TFT
1002と、EL素子1003と、容量素子1004と、を有している。
【0165】
また、画素部の1行n列目の画素は、上記1行1列目の画素の構成のうちS1をSnに
、Vx1をVxnに置き換えた構成であることを特徴とする。
【0166】
また、画素部のm行n列目の画素は、上記1行1列目の画素の構成のうちS1をSnに
、Vx1をVxnに、G1をGmに、Vy1をVymに置き換えた構成であることを特徴
とする。
【0167】
また、Vx1〜Vxn、Vy1〜Vynは、すべて互いに電気的に接続されていること
を特徴とする。
【0168】
本実施の形態では、図9において、画素部の電源供給線はソース信号線(S1〜Sn)
と平行に配置されている配線(Vx1〜Vxn)だけでなく、垂直方向もしくはほぼ垂直
方向にも配置(Vy1〜Vym)されて、それぞれの方向から画素の駆動用TFT100
2のソース領域もしくはドレイン領域に電圧が供給されている。また、垂直方向もしくは
ほぼ垂直方向に配置(Vy1〜Vym)されている電源供給線は、それぞれ電源供給線(
Vx1〜Vxn)と各画素ごとに接続され、電源供給線はマトリックス状に配置されてい
る。これによって、EL素子1003を流れる電流は、ソース信号線(S1〜Sn)と平
行方向からだけでなく、垂直方向からも供給されるので、本発明の克服すべき課題の一つ
である、配線抵抗を出来るだけ小さくしなければならない、という課題を克服することが
出来る。
【0169】
配線抵抗を小さくすることが出来るので、EL表示装置をアナログ駆動させたときのク
ロストークが軽減する。また、デジタル駆動と定電圧駆動を組み合わせてEL表示装置を
動作させるときの、階調表示不良が軽減する。
【0170】
ただし、本実施の形態も、実施の形態1と同じように、低コストでEL表示装置を作製
するのが克服すべき課題の一つであるので、選択的にパターン形成が可能なEL表示装置
の作製方法の一つである、液滴吐出法によるEL表示装置作製プロセスにより作製しても
よい。
【0171】
ここで、EL表示装置の作製方法として、低コスト化のために液滴吐出法を用いる場合
の問題点について述べる。
【0172】
図7は、液滴吐出法を用いて配線として導電層を形成したときの上面図((A)、(B
))と断面図((C)、(D))である。導電性材料を含む組成物を吐出して、導電層を
形成するとき、吐出される導電性材料の特性、下地の撥水性、吐出位置の誤差などにより
、意図した場所、形状に形成されない場合がある(図7(B)、(D))。
【0173】
ここで、配線の抵抗は、導電性材料が同じ物ならば、配線の長さ、断面積に依存する。
図7(B)、(D)のように、意図した形状にならない場合、その配線の抵抗値は、設計
値よりも大きくなってしまう。つまり、液滴吐出法で形成された配線は、フォトリソグラ
フィで形成された配線に比べて、配線抵抗のばらつきが大きい。
【0174】
配線抵抗値が大きいと、アナログ駆動の場合はクロストークをもたらし、デジタル駆動
で定電圧駆動を用いた場合は階調表示不良をもたらすことはすでに述べたとおりであるが
、配線抵抗値のばらつきは、これらの表示不良の程度が画素の電源供給線によって異なる
ということである。これは、表示のムラとして容易に観察され得る。
【0175】
すなわち、低コスト化のために液滴吐出法を用いる場合の問題点の一つは、配線抵抗の
ばらつきである。本発明における目的を達成するためには、配線抵抗のばらつきを出来る
だけ小さくしなければならない。
【0176】
ここで、本実施の形態をとることで、液滴吐出法による配線抵抗のばらつきも軽減する
ことが出来ることを説明する。
【0177】
これは、電源供給線がマトリックス状に配置されている場合は、配線の抵抗は全て並列
に接続されているとみなすことで説明することが出来る。すなわち、並列に接続されてい
れば、ある画素までの電源供給線の抵抗は、全ての電源供給線の抵抗値に依存し、マトリ
ックス状でない場合に存在した抵抗の位置依存性が小さくなるからである。
【0178】
すなわち、本実施の形態によれば、電源供給線の配線抵抗を低減するだけでなく、液滴
吐出法を用いた場合の配線抵抗のばらつきを出来るだけ小さくしなければならない、とい
う課題をも克服することが出来る。
【0179】
なお、本実施の形態において、配線は互いに平行である必要はなく、どんな方向でもよ
い。また、電源供給線は各画素につき1本である必要はなく、何本でもよい。また、画素
部全体で電源供給線がマトリックス状になっている必要はなく、一部分でもよい。
【0180】
また、本実施の形態は、実施の形態1と自由に組み合わせることができる。
【0181】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態について、図10と図16を用いて説明する。
【0182】
図10において、各画素の回路である1054は、図16に示した回路であるとして説
明する。しかし、これは一例であり、各画素の回路は図16に限定されない。
【0183】
画素部の1行1列目の画素は、ゲート信号線G1と、ソース信号線S1と、電源供給線
Vx1と、電源供給線Vy1Rと、スイッチング用TFT1001と、駆動用TFT10
02と、EL素子1003と、容量素子1004と、を有している。
【0184】
画素の回路との接続を説明する。ゲート信号線G1はスイッチング用TFT1001の
ゲート電極に接続され、ソース信号線S1はスイッチング用TFT1001のソースまた
はドレイン電極に接続され、電源供給線Vx1は駆動用TFT1002のソースまたはド
レイン電極および容量素子1004の一方の電極に接続され、電源供給線Vy1Rは電源
供給線Vx1と接続され、容量素子1004のもう一方の電極はスイッチング用TFT1
001のもう一方のソースまたはドレイン電極および駆動用TFT1002のゲート電極
に接続され、駆動用TFT1002のもう一方のソースまたはドレイン電極はEL素子1
003に接続されている。
【0185】
また、画素部の2行1列目の画素は、ゲート信号線G2と、ソース信号線S1と、電源
供給線Vx1と、電源供給線Vy2Rと、スイッチング用TFT1001と、駆動用TF
T1002と、EL素子1003と、容量素子1004と、を有している。
【0186】
2行1列目の画素は、上記1行1列目の画素の構成のうちG1をG2に、Vy1RをV
y2Rに置き換えた構成であることを特徴とする。
【0187】
また、画素部の3行1列目の画素は、上記1行1列目の画素の構成のうちG1をG3
に、Vy1RをVy3Rに置き換えた構成であることを特徴とする。
【0188】
また、画素部の1列目の画素は、上記3行の構成を繰り返した構成であることを特徴と
する。
【0189】
また、画素部の1行2列目の画素は、上記1行1列目の画素の構成のうちS1をS2に
、Vx1をVx2に、Vy1RをVy1Gに置き換えた構成であることを特徴とする。
【0190】
また、画素部の2行2列目の画素は、上記1行2列目の画素の構成のうちG1をG2に
、Vy1GをVy2Gに置き換えた構成であることを特徴とする。
【0191】
また、画素部の3行2列目の画素は、上記1行2列目の画素の構成のうちG1をG3に
、Vy1GをVy3Gに置き換えた構成であることを特徴とする。
【0192】
また、画素部の2列目の画素は、上記3行の構成を繰り返した構成であることを特徴と
する。
【0193】
また、画素部の1行3列目の画素は、上記1行1列目の画素の構成のうちS1をS3に
、Vx1をVx3に、Vy1RをVy1Bに置き換えた構成であることを特徴とする。
【0194】
また、画素部の2行3列目の画素は、上記1行3列目の画素の構成のうちG1をG2に
、Vy1BをVy2Bに置き換えた構成であることを特徴とする。
【0195】
また、画素部の3行3列目の画素は、上記1行3列目の画素の構成のうちG1をG3に
、Vy1BをVy3Bに置き換えた構成であることを特徴とする。
【0196】
また、画素部の3列目の画素は、上記3行の構成を繰り返した構成であることを特徴と
する。
【0197】
また、Vy1R〜VymRは全て互いに電気的に接続されていることを特徴とする。
【0198】
また、Vy1G〜VymGは全て互いに電気的に接続されていることを特徴とする。
【0199】
また、Vy1B〜VymBは全て互いに電気的に接続されていることを特徴とする。
【0200】
本実施の形態では、画素部の電源供給線はソース信号線(S1〜Sn)と平行に配置さ
れている配線(Vx1〜Vxn)だけでなく、垂直方向もしくはほぼ垂直方向にも配置(
Vy1R〜VymB)されて、それぞれの方向からR、G、B画素それぞれの駆動用TF
T1002のソース領域もしくはドレイン領域に電圧が供給されている。また、垂直方向
もしくはほぼ垂直方向に配置(Vy1〜Vym)されている電源供給線は、それぞれ電源
供給線(Vx1〜Vxn)とR、G、B画素ごとに接続され、電源供給線はマトリックス
状に配置されている。これによって、EL素子1003を流れる電流は、ソース信号線(
S1〜Sn)と平行方向からだけでなく、垂直方向からも供給されるので、本発明の克服
すべき課題の一つである、配線抵抗を出来るだけ小さくしなければならない、という課題
を克服することが出来る。また、R、G、Bごとに接続されているので、R、G、Bごと
に供給する電圧を変えてもよい。
【0201】
配線抵抗を小さくすることが出来るので、EL表示装置をアナログ駆動させたときのク
ロストークが軽減する。また、デジタル駆動と定電圧駆動を組み合わせてEL表示装置を
動作させるときの、階調表示不良が軽減する。
【0202】
ただし、本実施の形態も、実施の形態1や実施の形態2と同じように、低コストでEL
表示装置を作製するのが克服すべき課題の一つであるので、選択的にパターン形成が可能
なEL表示装置の作製方法の一つである、液滴吐出法によるEL表示装置作製プロセスに
より作製してもよい。
【0203】
液滴吐出法により配線を形成する場合に、配線抵抗のばらつきが発生する問題が存在す
ることはすでに述べたとおりである。本実施の形態をとることで、液滴吐出法による配線
抵抗のばらつきも軽減することが出来る。
【0204】
これは、電源供給線がマトリックス状に配置されている場合は、配線の抵抗は全て並列
に接続されているとみなすことで説明することが出来る。すなわち、並列に接続されてい
れば、ある画素までの電源供給線の抵抗は、全ての電源供給線の抵抗値に依存し、マトリ
ックス状でない場合に存在した抵抗の位置依存性が小さくなるからである。
【0205】
すなわち、本実施の形態によれば、電源供給線の配線抵抗を低減するだけでなく、液滴
吐出法を用いた場合の配線抵抗のばらつきを出来るだけ小さくしなければならない、とい
う課題をも克服することが出来る。
【0206】
なお、本実施の形態において、配線は互いに平行である必要はなく、どんな方向でもよ
い。また、電源供給線は各画素につき1本である必要はなく、何本でもよい。また、画素
部全体で電源供給線がマトリックス状になっている必要はなく、一部分でもよい。
【0207】
また、本実施の形態は、実施の形態1、実施の形態2と自由に組み合わせることができ
る。
【0208】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態について、図11と図16を用いて説明する。
【0209】
図11において、各画素の回路である1154は、図16に示した回路であるとして説
明する。しかし、これは一例であり、各画素の回路は図16に限定されない。
【0210】
画素部の1行1列目の画素は、ゲート信号線G1と、ソース信号線S1と、電源供給線
Vx1と、電源供給線Vy1と、スイッチング用TFT1001と、駆動用TFT100
2と、EL素子1003と、容量素子1004と、を有している。
【0211】
画素の回路との接続を説明する。ゲート信号線G1はスイッチング用TFT1001の
ゲート電極に接続され、ソース信号線S1はスイッチング用TFT1001のソースまた
はドレイン電極に接続され、電源供給線Vx1は駆動用TFT1002のソースまたはド
レイン電極および容量素子1004の一方の電極に接続され、電源供給線Vy1は電源供
給線Vx1と接続され、容量素子1004のもう一方の電極はスイッチング用TFT10
01のもう一方のソースまたはドレイン電極および駆動用TFT1002のゲート電極に
接続され、駆動用TFT1002のもう一方のソースまたはドレイン電極はEL素子10
03に接続されている。
【0212】
また、画素部の2行1列目の画素は、上記1行1列目の画素の構成のうちG1をG2に
置き換えた構成であり、RGBごとに電源供給線を電気的に分離するために、Vx1をも
う一つの電源供給線に接続しない構成であってもよい。
【0213】
また、画素部の3行1列目の画素は、上記1行1列目の画素の構成のうちG1をG3に
置き換えた構成であり、RGBごとに電源供給線を電気的に分離するために、Vx1をも
う一つの電源供給線に接続しない構成であってもよい。
【0214】
また、画素部の4行1列目の画素は、上記1行1列目の画素の構成のうちG1をG4に
、Vy1をVy4に置き換えた構成であることを特徴とする。
【0215】
また、画素部の5行1列目の画素は、上記4行1列目の画素の構成のうちG4をG5に
置き換えた構成であり、RGBごとに電源供給線を電気的に分離するために、Vx1をも
う一つの電源供給線に接続しない構成であってもよい。
【0216】
また、画素部の6行1列目の画素は、上記4行1列目の画素の構成のうちG4をG6に
置き換えた構成であり、RGBごとに電源供給線を電気的に分離するために、Vx1をも
う一つの電源供給線に接続しない構成であってもよい。
【0217】
また、画素部の1列目の画素は、上記3行分の構成を繰り返した構成であることを特徴
とする。
【0218】
また、画素部の1行2列目の画素は、上記1行1列目の画素の構成のうちS1をS2に
、Vx1をVx2に置き換えた構成であり、RGBごとに電源供給線を電気的に分離する
ために、Vx2をもう一つの電源供給線に接続しない構成であってもよい。
【0219】
また、画素部の2行2列目の画素は、上記1行2列目の画素の構成のうちG1をG2に
置き換えた構成であり、Vx2をもう一つの電源供給線Vy2に接続する構成であること
を特徴とする。
【0220】
また、画素部の3行2列目の画素は、上記1行2列目の画素の構成のうちG1をG3に
置き換えた構成であり、RGBごとに電源供給線を電気的に分離するために、Vx2をも
う一つの電源供給線に接続しない構成であってもよい。
【0221】
また、画素部の2列目の画素は、上記3行分の構成を繰り返した構成であることを特徴
とする。
【0222】
また、画素部の1行3列目の画素は、上記1行1列目の画素の構成のうちS1をS3に
、Vx1をVx3に置き換えた構成であり、RGBごとに電源供給線を電気的に分離する
ために、Vx3をもう一つの電源供給線に接続しない構成であってもよい。
【0223】
また、画素部の2行3列目の画素は、上記1行3列目の画素の構成のうちG1をG2に
置き換えた構成であり、Vx3をもう一つの電源供給線に接続しない構成であることを特
徴とする。
【0224】
また、画素部の3行3列目の画素は、上記1行3列目の画素の構成のうちG1をG3に
置き換えた構成であり、RGBごとに電源供給線を電気的に分離するために、Vx3をも
う一つの電源供給線Vy3に接続する構成であってもよい。
【0225】
また、画素部の3列目の画素は、上記3行分の構成を繰り返した構成であることを特徴
とする。
【0226】
また、画素部の残りの列は、上記1〜3列目の構成を繰り返した構成であることを特徴
とする。
【0227】
また、Vx1、Vx4、・・・、Vx(3i−2)、Vy1、Vy4、・・・、Vy(
3j−2)は、すべて互いに電気的に接続されていることを特徴とする(i、jは自然数
)。
【0228】
また、Vx2、Vx5、・・・、Vx(3i−1)、Vy2、Vy5、・・・、Vy(
3j−1)は、すべて互いに電気的に接続されていることを特徴とする(i、jは自然数
)。
【0229】
また、Vx3、Vx6、・・・、Vx(3i)、Vy3、Vy6、・・・、Vy(3j
)は、すべて互いに電気的に接続されていることを特徴とする(i、jは自然数)。
【0230】
本実施の形態では、画素部の電源供給線はソース信号線(S1〜Sn)と平行に配置さ
れている配線(Vx1〜Vxn)だけでなく、垂直方向もしくはほぼ垂直方向にも配置(
Vy1〜Vym)されて、それぞれの方向からR、G、B画素それぞれの駆動用TFT1
002のソース領域もしくはドレイン領域に電圧が供給されている。また、垂直方向もし
くはほぼ垂直方向に配置(Vy1〜Vym)されている電源供給線は、それぞれ電源供給
線(Vx1〜Vxn)とR、G、B画素ごとに接続され、電源供給線はマトリックス状に
配置されている。これによって、EL素子1003を流れる電流は、ソース信号線(S1
〜Sn)と平行方向からだけでなく、垂直方向からも供給されるので、本発明の克服すべ
き課題の一つである、配線抵抗を出来るだけ小さくしなければならない、という課題を克
服することが出来る。また、R、G、Bごとに接続されているので、R、G、Bごとに供
給する電圧を変えてもよい。
【0231】
また、各画素におけるゲート信号線と平行方向の電源供給線は1本なので、大幅な開口
率の低下や配線間の寄生容量を増やすことなく、配線抵抗を小さくすることが出来る。
【0232】
配線抵抗を小さくすることが出来るので、EL表示装置をアナログ駆動させたときのク
ロストークが軽減する。また、デジタル駆動と定電圧駆動を組み合わせてEL表示装置を
動作させるときの、階調表示不良が軽減する。
【0233】
ただし、本実施の形態も、実施の形態1や実施の形態2や実施の形態3と同じように、
低コストでEL表示装置を作製するのが克服すべき課題の一つであるので、選択的にパタ
ーン形成が可能なEL表示装置の作製方法の一つである、液滴吐出法によるEL表示装置
作製プロセスにより作製するものとする。
【0234】
液滴吐出法により配線を形成する場合に、配線抵抗のばらつきが発生する問題が存在す
ることはすでに述べたとおりである。本実施の形態をとることで、液滴吐出法による配線
抵抗のばらつきも軽減することが出来る。
【0235】
これは、電源供給線がマトリックス状に配置されている場合は、配線の抵抗は全て並列
に接続されているとみなすことで説明することが出来る。すなわち、並列に接続されてい
れば、ある画素までの電源供給線の抵抗は、全ての電源供給線の抵抗値に依存し、マトリ
ックス状でない場合に存在した抵抗の位置依存性が小さくなるからである。
【0236】
すなわち、本実施の形態によれば、電源供給線の配線抵抗を低減するだけでなく、液滴
吐出法を用いた場合の配線抵抗のばらつきを出来るだけ小さくしなければならない、とい
う課題をも克服することが出来る。
【0237】
なお、本実施の形態において、配線は互いに平行である必要はなく、どのような方向で
もよい。また、電源供給線は各画素につき1本である必要はなく、何本でもよい。また、
画素部全体で電源供給線がマトリックス状になっている必要はなく、一部分でもよい。
【0238】
また、本実施の形態は、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3と自由に組み合わ
せることができる。
【0239】
(実施の形態5)
本実施の形態は、実施の形態1と、実施の形態2または実施の形態3または実施の形態
4を組み合わせたものである。このときの構成を、図12と図16を用いて説明する。
【0240】
本実施の形態における画素部全体の回路図を、図12と図16に示す。本実施の形態で
は、縦の画素1列に対し複数のソース信号線を有していることを特徴とする。図8では、
縦の画素1列に対し3本のソース信号線を有している場合を例にとって説明する。
【0241】
なお、ソース信号線は3本に限定されず、何本でもよい。
【0242】
図12において、各画素の回路である1254は、図16に示した回路であるとして説
明する。しかし、これは一例であり、各画素の回路は図16に限定されない。
【0243】
画素部の1行1列目の画素は、ゲート信号線G1と、3本のソース信号線のうちの一つ
であるS1aと、電源供給線Vx1と、電源供給線Vy1Rと、スイッチング用TFT1
001と、駆動用TFT1002と、EL素子1003と、容量素子1004と、を有し
ている。
【0244】
画素の回路との接続を説明する。ゲート信号線G1はスイッチング用TFT1001の
ゲート電極に接続され、3本のソース信号線のうちの一つであるS1aはスイッチング用
TFT1001のソースまたはドレイン電極に接続され、電源供給線Vx1は駆動用TF
T1002のソースまたはドレイン電極および容量素子1004の一方の電極に接続され
、電源供給線Vy1Rは電源供給線Vx1と接続され、容量素子1004のもう一方の電
極はスイッチング用TFT1001のもう一方のソースまたはドレイン電極および駆動用
TFT1002のゲート電極に接続され、駆動用TFT1002のもう一方のソースまた
はドレイン電極はEL素子1003に接続されている。
【0245】
また、画素部の2行1列目の画素は、ゲート信号線G2と、3本のソース信号線のうち
の一つであるS1bと、電源供給線Vx1と、電源供給線Vy2Rと、スイッチング用T
FT1001と、駆動用TFT1002と、EL素子1003と、容量素子1004と、
を有している。
【0246】
画素部の2行1列目の画素は、上記1行1列目の画素の構成のうち、G1をG2に、S
1aをS1bに、Vy1RをVy2Rに置き換えた構成であることを特徴とする。
【0247】
画素部の3行1列目の画素は、ゲート信号線G3と、3本のソース信号線のうちの一つ
であるS1cと、電源供給線Vx1と、電源供給線Vy3Rと、スイッチング用TFT1
001と、駆動用TFT1002と、EL素子1003と、容量素子1004と、を有し
ている。
【0248】
画素部の3行1列目の画素は、上記1行1列目の画素の構成のうち、G1をG3に、S
1aをS1cに、Vy1RをVy3Rに置き換えた構成であることを特徴とする。
【0249】
また、上記3行の画素列において、G1、G2、G3は電気的に接続されている。
【0250】
また、1列目の画素列は、上記構成の繰り返しであることを特徴とする。
【0251】
また、2列目の画素列は、上記構成のうち、Vx1をVx2に、S1aをS2aに、S
1bをS2bに、S1cをS2cに、Vy1RをVy1Gに、Vy2RをVy2Gに、V
y3RをVy3Gに、置き換えた接続であることを特徴とする。
【0252】
また、3列目の画素列は、上記構成のうち、Vx1をVx3に、S1aをS3aに、S
1bをS3bに、S1cをS3cに、Vy1RをVynBに、Vy2RをVy2Bに、V
y3RをVy3Bに、置き換えた接続であることを特徴とする。
【0253】
また、3列目以降の画素列は、上記3列の構成の繰り返しであることを特徴とする。
【0254】
また、Vy1R〜VymRは全て互いに電気的に接続されていることを特徴とする。
【0255】
また、Vy1G〜VymGは全て互いに電気的に接続されていることを特徴とする。
【0256】
また、Vy1B〜VymBは全て互いに電気的に接続されていることを特徴とする。
【0257】
本実施の形態によれば、実施の形態1で説明した書き込み時間を出来るだけ長く出来る
ようにしなければならない、という課題を克服することが出来る。また、寄生容量は出来
るだけ小さくしなければならない、という課題を克服することが出来る。
【0258】
また、本実施の形態によれば、実施の形態2または実施の形態3または実施の形態4で
説明した配線抵抗を出来るだけ小さくしなければならない、という課題を克服することが
出来る。また、配線抵抗のばらつきを出来るだけ小さくしなければならない、という課題
をも克服することが出来る。
【0259】
また、本実施の形態によれば、選択的にパターン形成することの出来る液滴吐出法を用
いるため、低コストでEL表示装置を製造することが出来る。
【0260】
(実施の形態6)
本発明の実施の形態を、図18〜図19を用いて説明する。本実施の形態は、実施の形
態1において、薄膜トランジスタとしてチャネルエッチ型の薄膜トランジスタを用いるも
のである。よって、同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
【0261】
基板1200の上に、密着性を向上させる機能を有する下地膜1201を形成する(図
18(A)参照)。なお、基板1200上に、絶縁層を形成してもよい。この絶縁層は下
地膜として用い、形成しなくても良いが、基板1200からの汚染物質などを遮断する効
果がある。ガラス基板よりの汚染を防ぐための下地層を形成する場合は、その上に液滴吐
出法によって形成する導電層1202、1203の形成領域に前処理として下地膜120
1を形成する。
【0262】
本実施の形態では、密着性を向上させる機能を有する下地膜として、光触媒の機能を有
する物質を用いる。
【0263】
本実施の形態では、光触媒物質としてスパッタリング法により所定の結晶構造を有する
TiO結晶を形成する場合を説明する。ターゲットには金属チタンチューブを用い、ア
ルゴンガスと酸素を用いてスパッタリングを行う。更にHeガスを導入してもよい。光触
媒活性の高いTiOを形成するためには、酸素を多く含む雰囲気とし、形成圧力を高め
にする。更に成膜室又は処理物が設けられた基板を加熱しながらTiOを形成すると好
ましい。
【0264】
このように形成されるTiOは非常に薄い膜であっても光触媒機能を有する。
【0265】
また他の下地前処理として、スパッタリング法や蒸着法などの方法により、Ti(チタ
ン)、W(タングステン)、Cr(クロム)、Ta(タンタル)、Ni(ニッケル)、M
o(モリブデン)などの金属材料若しくはその酸化物で形成される下地膜1201を形成
することが好ましい。下地膜は0.01〜10nmの厚さで形成すれば良いが、極薄く形
成すれば良いので、必ずしも層構造を持っていなくても良い。下地膜として、高融点金属
材料を用いる場合、ゲート電極層となる導電層1202、1203を形成した後、表面に
露出している下地膜を下記の2つの工程のうちどちらかの工程を行って処理することが望
ましい。
【0266】
第一の方法としては、導電層1202、1203と重ならない下地膜1201を絶縁化
して、絶縁層を形成する工程である。つまり、導電層1202、1203と重ならない下
地膜1201を酸化して絶縁化する。このように、下地膜1201を酸化して絶縁化する
場合には、当該下地膜1201を0.01〜10nmの厚さで形成しておくことが好適で
あり、そうすると容易に酸化させることができる。なお、酸化する方法としては、酸素雰
囲気下に晒す方法を用いてもよいし、熱処理を行う方法を用いてもよい。
【0267】
第2の方法としては、導電層1202、1203をマスクとして、下地膜1201をエ
ッチングして除去する工程である。この工程を用いる場合には下地膜1201の厚さに制
約はない。
【0268】
また、下地前処理の他の方法として、形成領域(被形成面)に対してプラズマ処理を行
う方法がある。プラズマ処理の条件は、空気、酸素又は窒素を処理ガスとして用い、圧力
を数十Torr〜1000Torr(133000Pa)、好ましくは100(1330
0Pa)〜1000Torr(133000Pa)、より好ましくは700Torr(9
3100Pa)〜800Torr(106400Pa)、つまり大気圧又は大気圧近傍の
圧力となる状態で、パルス電圧を印加する。このとき、プラズマ密度は、1×1010
1×1014−3、所謂コロナ放電やグロー放電の状態となるようにする。空気、酸素
又は窒素の処理ガスを用いプラズマ処理を用いることにより、材質依存性なく、表面改質
を行うことができる。その結果、あらゆる材料に対して表面改質を行うことができる。
【0269】
また、他の方法として、液滴吐出法によるパターンとその形成領域との密着性を上げる
ために、接着材として機能するような有機材料系の物質を形成してもよい。有機材料(有
機樹脂材料)(ポリイミド、アクリル)やシリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格
構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む材料、もしくは置換基にフッ素、アルキ
ル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料を用いてもよい。
【0270】
次に、導電性材料を含む組成物を吐出して、後にゲート電極として機能する導電層12
02、1203を形成する。この導電層1202、1203の形成は、液滴吐出手段を用
いて行う。本実施の形態では、導電性材料として銀を用いるが、銀と銅などの積層体とし
ても良い。また銅単層でもよい。
【0271】
また、液滴吐出法を用いて形成する導電層の下地前処理として、前述した下地膜120
1を形成する工程を行ったが、この処理工程は、導電層を形成した後にも行っても良い。
【0272】
次に、導電層1202、1203の上にゲート絶縁膜を形成する(図18(A)参照)
。ゲート絶縁膜としては、珪素の酸化物材料又は窒化物材料等の公知の材料で形成すれば
よく、積層でも単層でもよい。
【0273】
続いて、ゲート絶縁膜上に選択的に、導電性材料を含む組成物を吐出して、導電層(第
1の電極ともいう)1206を形成する(図18(B)参照)。導電層1206は、基板
1200側から光を放射する場合、または透過型のEL表示パネルを作製する場合には、
インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化
亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)などを含む組成物により所定のパターンを形成し
、焼成によって形成しても良い。図示しないが、導電層1206を形成する領域に導電層
1202、1203を形成する時と同様に、光触媒物質を形成してもよい。光触媒物質に
よって、密着性が向上し、所望なパターンに細線化して導電層1206を形成する事がで
きる。この導電層1206は画素電極として機能する第1の電極となる。
【0274】
半導体層は公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)によ
り成膜すればよい。半導体層の材料に限定はないが、好ましくはシリコン又はシリコンゲ
ルマニウム(SiGe)合金などで形成すると良い。
【0275】
半導体層は、アモルファス半導体(代表的には水素化アモルファスシリコン)、セミア
モルファス半導体又は半導体層の一部に結晶相を含む半導体、結晶性半導体(代表的には
ポリシリコン)、有機半導体を用いることができる。
【0276】
本実施の形態では、半導体として、非晶質半導体を用いる。半導体層1207を形成し
、プラズマCVD法等により一導電型を有する半導体層、例えばN型半導体層1208を
形成する。(図12(C)参照)。一導電型を有する半導体層は必要に応じて形成すれば
よい。
【0277】
続いて、レジストやポリイミド等の絶縁体からなるマスク層1211、1212を形成
し、該マスク層1211、1212を用いて、半導体層1207、N型半導体層1208
を同時にパターン加工する。
【0278】
次に、レジストやポリイミド等の絶縁体からなるマスク層1213、1214を液滴吐
出法を用いて形成する(図18(D)参照。)。そのマスク層1213、1214を用い
て、エッチング加工によりゲート絶縁層1205、1204の一部に貫通孔1218を形
成して、その下層側に配置されているゲート電極層として機能する導電層1203の一部
を露出させる。
【0279】
マスク層1213、1214を除去した後、導電性材料を含む組成物を吐出して、導電
層1215、1216、1217を形成し、該導電層1215、1216、1217をマ
スクとして、N型半導体層をパターン加工して、N型半導体層を形成する(図19(A)
参照)。なお、図示しないが、導電層1215、1216、1217を形成する前に、導
電層1215、1216、1217がゲート絶縁層1205と接す部分に選択的に光触媒
物質を形成しても良い。そうすると、導電層は密着性よく形成できる。
【0280】
導電層1217は、ソース、ドレイン配線層として機能し、前に形成された第1の電極
である導電層1206に電気的に接続するように形成される。また、ゲート絶縁層120
5に形成した貫通孔1218において、ソース又はドレイン配線層である導電層1216
とゲート電極層である導電層1203とを電気的に接続させる。
【0281】
ゲート絶縁層1205、1204の一部に貫通孔1218を形成する工程を、導電層1
215、1216、1217形成後に、該配線層となる導電層1215、1216、12
17をマスクとして用いて貫通孔1218を形成してもよい。そして貫通孔1218に導
電層を形成し配線層である導電層1216とゲート電極層である導電層1203を電気的
に接続する。この場合、工程が簡略化する利点がある。
【0282】
続いて、隔壁となる絶縁層1220を形成する。絶縁層1220は、スピンコート法や
ディップ法により全面に絶縁層を形成した後、エッチング加工によって図19(B)に示
すように開孔を形成する。また、液滴吐出法により絶縁層1220を形成すれば、エッチ
ング加工は必ずしも必要ない。
【0283】
絶縁層1220は、第1の電極である導電層1206に対応して画素が形成される位置
に合わせて貫通孔の開口部を備えて形成される。
【0284】
以上の工程により、基板1200上にボトムゲート型(逆スタガ型ともいう。)のチャ
ネルエッチ型TFTと第1の電極である導電層1206が接続されたTFT基板が完成す
る。
【0285】
第1の電極である導電層1206上に、電界発光層1221、に導電層1222を積層
形成して、発光素子を用いた表示機能を有する表示装置が完成する(図19(B)参照)

【0286】
以上示したように、本実施の形態では、フォトマスクを利用した光露光工程を用いない
ことにより、工程を省略することができる。また、液滴吐出法を用いて基板上に直接的に
各種のパターンを形成することにより、1辺が1000mmを超える第5世代以降のガラ
ス基板を用いても、容易にEL表示パネルを製造することができる。
【0287】
また、密着性、耐剥離性が向上した信頼性の高い表示装置を作製することができる。
【0288】
(実施の形態7)
本発明の実施の形態について、図20〜図21を用いて説明する。本実施の形態は、実
施の形態1において、薄膜トランジスタとしてトップゲート(順スタガともいう)型の薄
膜トランジスタを用いるものである。よって、同一部分又は同様な機能を有する部分の繰
り返しの説明は省略する。
【0289】
基板1300の上に、密着性を向上させる機能を有する下地膜1301を形成する(図
20(A)参照)。なお、基板1300上に、絶縁層を形成してもよい。この絶縁層は形
成しなくても良いが、基板1300からの汚染物質などを遮断する効果がある。特に本実
施の形態のように順スタガ型の薄膜トランジスタであると、半導体層が基板に直接接する
ことになるので、下地層は必要である。ガラス基板よりの汚染を防ぐための下地層を形成
する場合は、その上に液滴吐出法によって形成する導電層1315、1316、1317
の形成領域に前処理として下地膜1301を形成する。
【0290】
本実施の形態では、密着性を向上させる機能を有する下地膜1301として、光触媒の
機能を有する物質を用いる。
【0291】
本実施の形態では、光触媒物質としてスパッタリング法により所定の結晶構造を有する
TiO結晶を形成する場合を説明する。ターゲットには金属チタンチューブを用い、ア
ルゴンガスと酸素を用いてスパッタリングを行う。更にHeガスを導入してもよい。光触
媒活性の高いTiOを形成するためには、酸素を多く含む雰囲気とし、形成圧力を高め
にする。更に成膜室又は処理物が設けられた基板を加熱しながらTiOを形成すると好
ましい。
【0292】
このように形成されるTiOは非常に薄い膜であっても光触媒機能を有する。
【0293】
また他の下地前処理として、スパッタリング法や蒸着法などの方法により、Ti(チタ
ン)、W(タングステン)、Cr(クロム)、Ta(タンタル)、Ni(ニッケル)、M
o(モリブデン)などの金属材料若しくはその酸化物で形成される下地膜1301を形成
することが好ましい。下地膜1301は0.01〜10nmの厚さで形成すれば良いが、
極薄く形成すれば良いので、必ずしも層構造を持っていなくても良い。下地膜として、高
融点金属材料を用いる場合、ソースドレイン配線層として機能する導電層1315、13
16、1317を形成した後、表面に露出している下地膜を下記の2つの工程のうちどち
らかの工程を行って処理することが望ましい。
【0294】
第一の方法としては、ソースドレイン配線層として機能する導電層1315、1316
、1317と重ならない下地膜1301を絶縁化して、絶縁層を形成する工程である。つ
まり、ソースドレイン配線層として機能する導電層1315、1316、1317と重な
らない下地膜1301を酸化して絶縁化する。このように、下地膜1301を酸化して絶
縁化する場合には、当該下地膜1301を0.01〜10nmの厚さで形成しておくこと
が好適であり、そうすると容易に酸化させることができる。なお、酸化する方法としては
、酸素雰囲気下に晒す方法を用いてもよいし、熱処理を行う方法を用いてもよい。
【0295】
第2の方法としては、ソースドレイン配線層として機能する導電層1315、1316
、1317をマスクとして、下地膜1301をエッチングして除去する工程である。この
工程を用いる場合には下地膜1301の厚さに制約はない。
【0296】
また、下地前処理の他の方法として、形成領域(被形成面)に対してプラズマ処理を行
う方法がある。プラズマ処理の条件は、空気、酸素又は窒素を処理ガスとして用い、圧力
を数十Torr〜1000Torr(133000Pa)、好ましくは100(1330
0Pa)〜1000Torr(133000Pa)、より好ましくは700Torr(9
3100Pa)〜800Torr(106400Pa)、つまり大気圧又は大気圧近傍の
圧力となる状態で、パルス電圧を印加する。このとき、プラズマ密度は、1×1010
1×1014−3、所謂コロナ放電やグロー放電の状態となるようにする。空気、酸素
又は窒素の処理ガスを用いプラズマ処理を用いることにより、材質依存性なく、表面改質
を行うことができる。その結果、あらゆる材料に対して表面改質を行うことができる。
【0297】
また、他の方法として、液滴吐出法によるパターンとその形成領域との密着性を上げる
ために、接着材として機能するような有機材料系の物質を形成してもよい。有機材料(有
機樹脂材料)(ポリイミド、アクリル)やシリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格
構造が構成され、置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香
族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基と
して、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。
【0298】
次に、導電性材料を含む組成物を吐出して、ソースドレイン配線層として機能する導電
層1315、1316、1317を形成する。この導電層1315、1316、1317
の形成は、液滴吐出手段を用いて行う。
【0299】
導電層1315、1316、1317層を形成する導電性材料としては、Ag(銀)、
Au(金)、Cu(銅)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を
主成分とした組成物を用いることができる。特に、ソース又はドレイン配線層は、低抵抗
化することが好ましのいで、比抵抗値を考慮して、金、銀、銅のいずれかの材料を溶媒に
溶解又は分散させたものを用いることが好適であり、より好適には、低抵抗な銀、銅を用
いるとよい。溶媒は、酢酸ブチル等のエステル類、イソプロピルアルコール等のアルコー
ル類、アセトン等の有機溶剤等に相当する。表面張力と粘度は、溶媒の濃度を調整したり
、界面活性剤等を加えたりして適宜調整する。
【0300】
続いて、選択的に導電性材料を含む組成物を吐出して、導電層(第1の電極ともいう)
1306を形成する(図20(A)参照)。導電層1306は、基板1300側から光を
放射する場合、または透過型のEL表示パネルを作製する場合には、インジウム錫酸化物
(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸
化スズ(SnO)などを含む組成物により所定のパターンを形成し、焼成によって形成
しても良い。図示しないが、導電層1306を形成する領域に導電層1315、1316
、1317を形成する時と同様に、光触媒物質を形成してもよい。光触媒物質によって、
密着性が向上し、所望なパターンに細線化して導電層1306を形成する事ができる。こ
の導電層1306は画素電極として機能する第1の電極となる。
【0301】
また、液滴吐出法を用いて形成する導電層の下地前処理として、前述した下地膜130
1を形成する工程を行ったが、この処理工程は、導電層1315、1316、1317を
形成した後にも行っても良い。例えば、図示しないが、酸化チタン膜を形成し、その上に
N型の半導体層を形成すると、導電層とN型の半導体層との密着性が向上する。
【0302】
導電層1315、1316、1317上にN型の半導体層を全面に形成した後、導電層
1315と導電層1316の間、導電層1316と導電層1317の間にあるN型の半導
体層を、レジストやポリイミド等の絶縁体からなるマスク層1311、1312、131
9を用いてエッチングして除去する。一導電型を有する半導体層は必要に応じて形成すれ
ばよい。そして、アモルファス半導体(以下ASと呼ぶ)若しくはSASからなる半導体
層1307を気相成長法若しくはスパッタリング法で形成する。プラズマCVD法を用い
る場合、ASは半導体材料ガスであるSiH若しくはSiHとHの混合気体を用い
て形成する。SASは、SiHとHで3倍〜1000倍に希釈して混合気体で形成す
る。このガス種でSASを形成する場合には、半導体層の表面側の方が結晶性が良好であ
り、ゲート電極を半導体層の上層に形成するトップゲート型のTFTとの組み合わせは適
している。
【0303】
次に、プラズマCVD法やスパッタリング法を用いて、ゲート絶縁層1305を単層又
は積層構造で形成する。特に好ましい形態としては、窒化珪素からなる絶縁層、酸化珪素
からなる絶縁層、窒化珪素からなる絶縁層の3層の積層体をゲート絶縁膜として構成させ
る。
【0304】
次に、ゲート電極層1302、1303を液滴吐出法で形成する。この層を形成する導
電性材料としては、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、W(タングステン)、Al(
アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を用いることができる。
【0305】
半導体層1307及びゲート絶縁層1305は、液滴吐出法により形成したマスク層1
313、1314を使って、ソース又はドレイン配線層(導電層1315、1316、1
317)に対応する位置に形成する。すなわち、導電層1315と導電層1316とを跨
ぐように半導体層を形成する。
【0306】
次に、導電層1330、1331を液滴吐出法で形成し、導電層1316とゲート電極
層1303、及び、導電層1317と第1の電極である導電層1306を電気的に接続す
る。
【0307】
ドレインまたはソース配線層とゲート電極層間を、導電層1330を用いずにゲート電
極層によって、直接接続してもよい。その場合、ゲート電極層1302、1303を形成
する前に、ゲート絶縁層1305に貫通孔を形成し、ソース又はドレイン配線である導電
層1316、1317の一部を露出させた後、ゲート電極層1302、1303、導電層
1331を液滴吐出法で形成する。このときゲート電極層1303は導電層1330を兼
ねた配線となり、導電層1316と接続する。エッチングはドライエッチングでもウェッ
トエッチングでもよいが、ドライエッチングであるプラズマエッチングが好ましい。
【0308】
続いて、隔壁となる絶縁層1320を形成する。また、図示しないが、絶縁層1320
の下に薄膜トランジスタを覆うように全面に窒化珪素若しくは窒化酸化珪素の保護層を形
成してもよい。絶縁層1320は、スピンコート法やディップ法により全面に絶縁層を形
成した後、エッチング加工によって図21に示すように開孔を形成する。また、液滴吐出
法により絶縁層1320を形成すれば、エッチング加工は必ずしも必要ない。液滴吐出法
を用いて、絶縁層1320など広領域に形成する場合、液滴吐出装置の複数のノズル吐出
口から組成物を吐出し、複数の線が重なるように描画し形成すると、スループットが向上
する。
【0309】
絶縁層1320は、第1の電極である導電層1306に対応して画素が形成される位置
に合わせて貫通孔の開口部を備えて形成される。
【0310】
以上の工程により、基板1300上にトップゲート型(逆スタガ型ともいう)TFTと
第1の電極層である導電層1306が接続されたTFT基板が完成する。
【0311】
電界発光層1321を形成する前に、大気圧中で200℃の熱処理を行い絶縁層132
0中若しくはその表面に吸着している水分を除去する。また、減圧下で200〜400℃
、好ましくは250〜350℃に熱処理を行い、そのまま大気に晒さずに電界発光層13
21を真空蒸着法や、減圧下の液滴吐出法で形成することが好ましい。
【0312】
第1の電極である導電層1306上に、電界発光層1321、導電層1322を積層形
成して、発光素子を用いた表示機能を有する表示装置が完成する(図21参照)。
【0313】
以上示したように、本実施の形態では、フォトマスクを利用した光露光工程を用いない
ことにより、工程を省略することができる。また、液滴吐出法を用いて基板上に直接的に
各種のパターンを形成することにより、1辺が1000mmを超える第5世代以降のガラ
ス基板を用いても、容易にEL表示パネルを製造することができる。
【0314】
また、密着性、耐剥離性が向上した信頼性の高い表示装置を作製することができる。
【0315】
(実施の形態8)
本発明の実施の形態について、図22〜図23を用いて説明する。本実施の形態は、実
施の形態1において、薄膜トランジスタと第1の電極との接続構造が異なるものである。
よって、同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
【0316】
基板1400の上に、下地前処理として密着性を向上させる下地膜1401を形成す
る。本実施の形態では、光触媒物質としてスパッタリング法により所定の結晶構造を有す
るTiO結晶を形成する場合を説明する。ターゲットには金属チタンチューブを用い、
アルゴンガスと酸素を用いてスパッタリングを行う。更にHeガスを導入してもよい。光
触媒活性の高いTiOを形成するためには、酸素を多く含む雰囲気とし、形成圧力を高
めにする。更に成膜室又は処理物が設けられた基板を加熱しながらTiOを形成すると
好ましい。
【0317】
このように形成されるTiOは非常に薄い膜であっても光触媒機能を有する。
【0318】
また他の下地前処理として、スパッタリング法や蒸着法などの方法により、Ti(チタ
ン)、W(タングステン)、Cr(クロム)、Ta(タンタル)、Ni(ニッケル)、M
o(モリブデン)などの金属材料若しくはその酸化物で形成される下地膜1401を形成
することが好ましい。下地膜1401は0.01〜10nmの厚さで形成すれば良いが、
極薄く形成すれば良いので、必ずしも層構造を持っていなくても良い。下地膜として、高
融点金属材料を用いる場合、ゲート電極層となる導電層1402、1403を形成した後
、表面に露出している下地膜を下記の2つの工程のうちどちらかの工程を行って処理する
ことが望ましい。
【0319】
第一の方法としては、導電層1402、1403と重ならない下地膜1401を絶縁化
して、絶縁層を形成する工程である。つまり、導電層1402、1403と重ならない下
地膜1401を酸化して絶縁化する。このように、下地膜1401を酸化して絶縁化する
場合には、当該下地膜1401を0.01〜10nmの厚さで形成しておくことが好適で
あり、そうすると容易に酸化させることができる。なお、酸化する方法としては、酸素雰
囲気下に晒す方法を用いてもよいし、熱処理を行う方法を用いてもよい。
【0320】
第2の方法としては、導電層1402、1403をマスクとして、下地膜1401をエ
ッチングして除去する工程である。この工程を用いる場合には下地膜1401の厚さに制
約はない。
【0321】
また、下地前処理の他の方法として、形成領域(被形成面)に対してプラズマ処理を行
う方法がある。プラズマ処理の条件は、空気、酸素又は窒素を処理ガスとして用い、圧力
を数十Torr〜1000Torr(133000Pa)、好ましくは100(1330
0Pa)〜1000Torr(133000Pa)、より好ましくは700Torr(9
3100Pa)〜800Torr(106400Pa)、つまり大気圧又は大気圧近傍の
圧力となる状態で、パルス電圧を印加する。このとき、プラズマ密度は、1×1010
1×1014−3、所謂コロナ放電やグロー放電の状態となるようにする。空気、酸素
又は窒素の処理ガスを用いプラズマ処理を用いることにより、材質依存性なく、表面改質
を行うことができる。その結果、あらゆる材料に対して表面改質を行うことができる。
【0322】
また、他の方法として、液滴吐出法によるパターンとその形成領域との密着性を上げる
ために、接着材として機能するような有機材料系の物質を形成してもよい。有機材料(有
機樹脂材料)(ポリイミド、アクリル)やシリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格
構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む材料、もしくは置換基にフッ素、アルキ
ル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料を用いてもよい。
【0323】
次に、導電性材料を含む組成物を吐出して、後にゲート電極として機能する導電層14
02、1403を形成する。この導電層1402、1403の形成は、液滴吐出手段を用
いて行う。本実施の形態では、導電性材料として銀を用いるが、銀と銅などの積層体とし
ても良い。また銅単層でもよい。
【0324】
また、液滴吐出法を用いて形成する導電層の下地前処理として、前述した下地膜140
1を形成する工程を行ったが、この処理工程は、導電層を形成した後にも行っても良い。
【0325】
次に、導電層1402、1403の上にゲート絶縁膜を形成する(図22(A)参照)
。ゲート絶縁膜としては、珪素の酸化物材料又は窒化物材料等の公知の材料で形成すれば
よく、積層でも単層でもよい。
【0326】
半導体層は公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)によ
り成膜すればよい。半導体層の材料に限定はないが、好ましくはシリコン又はシリコンゲ
ルマニウム(SiGe)合金などで形成すると良い。
【0327】
半導体層は、アモルファス半導体(代表的には水素化アモルファスシリコン)、セミア
モルファス半導体又は半導体層の一部に結晶相を含む半導体、結晶性半導体(代表的には
ポリシリコン)、有機半導体を用いることができる。
【0328】
本実施の形態では、半導体として、非晶質半導体を用いる。半導体層1407を形成し、
チャネル保護膜1409、1410を形成するため、例えば、プラズマCVD法により絶
縁膜を形成し、所望の領域に、所望の形状となるように選択的にエッチングする。またチ
ャネル保護膜は、液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターン
が形成される方法)を用いてポリイミド又はポリビニルアルコール等を形成してもよい。
その後、プラズマCVD法等により一導電型を有する半導体層、例えばN型半導体層14
08を形成する。一導電型を有する半導体層は必要に応じて形成すればよい。
【0329】
続いて、レジストやポリイミド等の絶縁体からなるマスク層1411、1412を形成
し、該マスク層1411、1412を用いて、半導体層1407、N型半導体層1408
を同時にパターン加工する。
【0330】
次に、レジストやポリイミド等の絶縁体からなるマスク層1413、1414を液滴吐
出法を用いて形成する(図22(C)参照。)。そのマスク層1413、1414を用い
て、エッチング加工によりゲート絶縁層1405、1404の一部に貫通孔1418を形
成して、その下層側に配置されているゲート電極層として機能する導電層1403の一部
を露出させる。エッチング加工はプラズマエッチング(ドライエッチング)又はウエット
エッチングのどちらを採用しても良いが、大面積基板を処理するにはプラズマエッチング
が適している。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可
能であり、基板の全面にマスク層を形成する必要はない。
【0331】
マスク層1413、1414を除去した後、導電性材料を含む組成物を吐出して、導電
層1415、1416、1417を形成し、該導電層1415、1416、1417をマ
スクとして、N型半導体層をパターン加工する(図22(D)参照)。なお、図示しない
が、導電層1415、1416、1417を形成する前に、導電層1415、1416、
1417がゲート絶縁層1405と接する部分に選択的に光触媒物質などを形成する、前
述の下地前処理工程を行っても良い。また形成後にもその表面に下地前処理を行っても良
い。この工程により、導電層は積層する上下の層と密着性よく形成できる。
【0332】
また、配線層である導電層1415、1416、1417は、図22(D)にように、
N型半導体層、半導体層を覆うように形成される。半導体層はエッチングされているので
、急激な段差のあるところで配線層が覆いきれず断線するおそれがある。よって、段差を
軽減するために、絶縁層1441、1442、1443を形成し、段差をなだらかにして
もよい。絶縁層1441、1442、1443は液滴吐出法を用いると選択的にマスク等
なしで形成することができる。この絶縁層1441、1442、1443により、段差は
軽減され、その上を覆う配線層も断線等の不良なく、カバレッジよく形成することが出来
る。この絶縁層1441、1442、1443は、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、
酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウムその他の無機絶縁性材料、又
はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide
)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole
)などの耐熱性高分子、又はシロキサン系材料を出発材料として形成された珪素、酸素、
水素からなる化合物のうちSi−O−Si結合を含む無機シロキサン、珪素上の水素がメ
チルやフェニルのような有機基によって置換された有機シロキサン系の絶縁材料で形成す
ることができる。
【0333】
続いて、ゲート絶縁膜上に選択的に、ソース、ドレイン配線層として機能する導電層1
417と接するように導電性材料を含む組成物を吐出して、導電層(第1の電極ともいう
)1406を形成する(図23(A)参照)。導電層1406は、基板1400側から光
を放射する場合、または透過型のEL表示パネルを作製する場合には、インジウム錫酸化
物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)、
酸化スズ(SnO2)などを含む組成物により所定のパターンを形成し、焼成によって形
成しても良い。図示しないが、導電層1406を形成する領域に導電層1402、140
3を形成する時と同様に、光触媒物質など形成等の下地前処理を行ってもよい。下地前処
理によって、密着性が向上し、所望なパターンに細線化して導電層1406を形成する事
ができる。この導電層1406は画素電極として機能する第1の電極となる。
【0334】
また、ゲート絶縁層1405に形成した貫通孔1418において、ソース又はドレイン
配線層である導電層1416とゲート電極層である導電層1403とを電気的に接続させ
る。この配線層を形成する導電性材料としては、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、
W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を用い
ることができる。また、透光性を有するインジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含む
インジウム錫酸化物(ITSO)、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛、窒化チタンな
どを組み合わせても良い。
【0335】
また、導電層1415、1416、1417、1406形成後に、導電層1415、1
416、1417、1406をマスクとして用いて貫通孔1418を形成してもよい。そ
して貫通孔1418に導電層を形成し導電層1416とゲート電極層である導電層140
3を電気的に接続する。
【0336】
続いて、隔壁となる絶縁層1420を形成する。また、図示しないが、絶縁層1420
の下に薄膜トランジスタを覆うように全面に窒化珪素若しくは窒化酸化珪素の保護層を形
成してもよい。絶縁層1420は、スピンコート法やディップ法により全面に絶縁層を形
成した後、エッチング加工によって図23(B)に示すように開孔を形成する。また、液
滴吐出法により絶縁層1420を形成すれば、エッチング加工は必ずしも必要ない。液滴
吐出法を用いて、絶縁層1420など広領域に形成する場合、液滴吐出装置の複数のノズ
ル吐出口から組成物を吐出し、複数の線が重なるように描画し形成すると、スループット
が向上する。
【0337】
絶縁層1420は、第1の電極である導電層1406に対応して画素が形成される位置
に合わせて貫通孔の開口部を備えて形成される。
【0338】
以上の工程により、基板1400上にボトムゲート型(逆スタガ型ともいう。)のチャ
ネル保護型TFTと導電層(第1の電極層)1406が接続されたEL表示パネル用のT
FT基板が完成する。
【0339】
第1の電極である導電層1406上に、電界発光層1421、導電層1422を積層形
成して、発光素子を用いた表示機能を有する表示装置が完成する(図23(B)参照)。
【0340】
以上示したように、本実施の形態では、フォトマスクを利用した光露光工程を用いない
ことにより、工程を省略することができる。また、液滴吐出法を用いて基板上に直接的に
各種のパターンを形成することにより、1辺が1000mmを超える第5世代以降のガラ
ス基板を用いても、容易にEL表示パネルを製造することができる。
【0341】
また、密着性、耐剥離性が向上した信頼性の高い表示装置を作製することができる。
【0342】
(実施の形態9)
本発明の実施の形態について、図24〜図25を用いて説明する。本実施の形態は、実
施の形態6において、薄膜トランジスタと第1の電極との接続構造が異なるものである。
よって、同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
【0343】
基板1500の上に、下地前処理として密着性を向上させる下地膜1501を形成する
。本実施の形態では、光触媒物質としてスパッタリング法により所定の結晶構造を有する
TiO結晶を形成する場合を説明する。ターゲットには金属チタンチューブを用い、ア
ルゴンガスと酸素を用いてスパッタリングを行う。更にHeガスを導入してもよい。光触
媒活性の高いTiOを形成するためには、酸素を多く含む雰囲気とし、形成圧力を高め
にする。更に成膜室又は処理物が設けられた基板を加熱しながらTiOを形成すると好
ましい。
【0344】
このように形成されるTiOは非常に薄い膜であっても光触媒機能を有する。
【0345】
また他の下地前処理として、スパッタリング法や蒸着法などの方法により、Ti(チタ
ン)、W(タングステン)、Cr(クロム)、Ta(タンタル)、Ni(ニッケル)、M
o(モリブデン)などの金属材料若しくはその酸化物で形成される下地膜1501を形成
することが好ましい。下地膜1501は0.01〜10nmの厚さで形成すれば良いが、
極薄く形成すれば良いので、必ずしも層構造を持っていなくても良い。下地膜として、高
融点金属材料を用いる場合、ゲート電極層となる導電層1502、1503を形成した後
、表面に露出している下地膜を下記の2つの工程のうちどちらかの工程を行って処理する
ことが望ましい。
【0346】
第一の方法としては、導電層1502、1503と重ならない下地膜1501を絶縁化
して、絶縁層を形成する工程である。つまり、導電層1502、1503と重ならない下
地膜1501を酸化して絶縁化する。このように、下地膜1501を酸化して絶縁化する
場合には、当該下地層01を0.01〜10nmの厚さで形成しておくことが好適であり
、そうすると容易に酸化させることができる。なお、酸化する方法としては、酸素雰囲気
下に晒す方法を用いてもよいし、熱処理を行う方法を用いてもよい。
【0347】
第2の方法としては、導電層1502、1503をマスクとして、下地膜1501をエ
ッチングして除去する工程である。この工程を用いる場合には下地膜1501の厚さに制
約はない。
【0348】
また、下地前処理の他の方法として、形成領域(被形成面)に対してプラズマ処理を行
う方法がある。プラズマ処理の条件は、空気、酸素又は窒素を処理ガスとして用い、圧力
を数十Torr〜1000Torr(133000Pa)、好ましくは100(1330
0Pa)〜1000Torr(133000Pa)、より好ましくは700Torr(9
3100Pa)〜800Torr(106400Pa)、つまり大気圧又は大気圧近傍の
圧力となる状態で、パルス電圧を印加する。このとき、プラズマ密度は、1×1010
1×1014−3、所謂コロナ放電やグロー放電の状態となるようにする。空気、酸素
又は窒素の処理ガスを用いプラズマ処理を用いることにより、材質依存性なく、表面改質
を行うことができる。その結果、あらゆる材料に対して表面改質を行うことができる。
【0349】
また、他の方法として、液滴吐出法によるパターンとその形成領域との密着性を上げる
ために、接着材として機能するような有機材料系の物質を形成してもよい。有機材料(有
機樹脂材料)(ポリイミド、アクリル)やシリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格
構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む材料、もしくは置換基にフッ素、アルキ
ル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料を用いてもよい。
【0350】
次に、導電性材料を含む組成物を吐出して、後にゲート電極として機能する導電層15
02、1503を形成する。この導電層1502、1503の形成は、液滴吐出手段を用
いて行う。本実施の形態では、導電性材料として銀を用いるが、銀と銅などの積層体とし
ても良い。また銅単層でもよい。
【0351】
また、液滴吐出法を用いて形成する導電層の下地前処理として、前述した下地膜150
1を形成する工程を行ったが、この処理工程は、導電層を形成した後にも行っても良い。
【0352】
次に、導電層1502、1503の上にゲート絶縁膜を形成する(図24(A)参照)
。ゲート絶縁膜としては、珪素の酸化物材料又は窒化物材料等の公知の材料で形成すれば
よく、積層でも単層でもよい。
【0353】
半導体層は公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)によ
り成膜すればよい。半導体層の材料に限定はないが、好ましくはシリコン又はシリコンゲ
ルマニウム(SiGe)合金などで形成すると良い。
【0354】
半導体層は、アモルファス半導体(代表的には水素化アモルファスシリコン)、セミア
モルファス半導体又は半導体層の一部に結晶相を含む半導体、結晶性半導体(代表的には
ポリシリコン)、有機半導体を用いることができる。
【0355】
本実施の形態では、半導体として、非晶質半導体を用いる。半導体層1507を形成し、
プラズマCVD法等により一導電型を有する半導体層、例えばN型半導体層1508を形
成する。一導電型を有する半導体層は必要に応じて形成すればよい。
【0356】
続いて、レジストやポリイミド等の絶縁体からなるマスク層1511、1512を形成
し、該マスク層1511、1512を用いて、半導体層1507、N型半導体層1508
を同時にパターン加工する(図24(B)参照)。
【0357】
次に、レジストやポリイミド等の絶縁体からなるマスク層1513、1514を液滴吐
出法を用いて形成する(図24(C)参照。)。そのマスク層1513、1514を用い
て、エッチング加工によりゲート絶縁層1505、1504の一部に貫通孔1518を形
成して、その下層側に配置されているゲート電極層として機能する導電層1503の一部
を露出させる。エッチング加工はプラズマエッチング(ドライエッチング)又はウエット
エッチングのどちらを採用しても良いが、大面積基板を処理するにはプラズマエッチング
が適している。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可
能であり、基板の全面にマスク層を形成する必要はない。
【0358】
マスク層1513、1514を除去した後、導電性材料を含む組成物を吐出して、導電
層1515、1516、1517を形成し、導電層1515、1516、1517をマス
クとして、N型半導体層をパターン加工する(図24(D)参照)。なお、図示しないが
、導電層1515、1516、1517を形成する前に、導電層1515、1516、1
517がゲート絶縁層1505と接する部分に選択的に光触媒物質などを形成する、前述
の下地前処理工程を行っても良い。また形成後にもその表面に下地前処理を行っても良い
。この工程により、導電層は積層する上下の層と密着性よく形成できる。
【0359】
続いて、ゲート絶縁膜上に選択的に、ソース、ドレイン配線層として機能する導電層1
517と接するように導電性材料を含む組成物を吐出して、導電層(第1の電極ともいう
)1506を形成する(図25(A)参照)。導電層1506は、基板1500側から光
を放射する場合、または透過型のEL表示パネルを作製する場合には、インジウム錫酸化
物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)、
酸化スズ(SnO)などを含む組成物により所定のパターンを形成し、焼成によって形
成しても良い。図示しないが、導電層1506を形成する領域に導電層1502、150
3を形成する時と同様に、光触媒物質の形成等の下地前処理を行ってもよい。下地前処理
によって、密着性が向上し、所望なパターンに細線化して導電層1506を形成する事が
できる。この導電層1506は画素電極として機能する第1の電極となる。
【0360】
また、ゲート絶縁層1505に形成した貫通孔1518において、ソース又はドレイン
配線層である導電層1516とゲート電極層である導電層1503とを電気的に接続させ
る。この導電層を形成する導電性材料としては、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、
W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を用い
ることができる。また、透光性を有するインジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含む
インジウム錫酸化物(ITSO)、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛、窒化チタンな
どを組み合わせても良い。
【0361】
また、導電層1515、1516、1517、1506形成後に、導電層1515、1
516、1517、1506をマスクとして用いて貫通孔1518を形成してもよい。そ
して貫通孔1518に導電層を形成し導電層1516とゲート電極層である導電層150
3を電気的に接続する。
【0362】
続いて、隔壁となる絶縁層1520を形成する。また、図示しないが、絶縁層1520
の下に薄膜トランジスタを覆うように全面に窒化珪素若しくは窒化酸化珪素の保護層を形
成してもよい。絶縁層1520は、スピンコート法やディップ法により全面に絶縁層を形
成した後、エッチング加工によって図25(B)に示すように開孔を形成する。また、液
滴吐出法により絶縁層1520を形成すれば、エッチング加工は必ずしも必要ない。液滴
吐出法を用いて、絶縁層1520など広領域に形成する場合、液滴吐出装置の複数のノズ
ル吐出口から組成物を吐出し、複数の線が重なるように描画し形成すると、スループット
が向上する。
【0363】
絶縁層1520は、第1の電極である導電層1506に対応して画素が形成される位置
に合わせて貫通孔の開口部を備えて形成される。
【0364】
以上の工程により、基板1500上にボトムゲート型(逆スタガ型ともいう。)のチャ
ネルエッチ型TFTと第1の電極(第1電極層)1506が接続されたEL表示パネル用
のTFT基板が完成する。
【0365】
第1の電極である導電層1506上に、電界発光層1521、に導電層1522を積層
形成して、発光素子を用いた表示機能を有する表示装置が完成する(図25(B)参照)

【0366】
以上示したように、本実施の形態では、フォトマスクを利用した光露光工程を用いない
ことにより、工程を省略することができる。また、液滴吐出法を用いて基板上に直接的に
各種のパターンを形成することにより、1辺が1000mmを超える第5世代以降のガラ
ス基板を用いても、容易にEL表示パネルを製造することができる。
【0367】
また、密着性、耐剥離性が向上した信頼性の高い表示装置を作製することができる
【0368】
(実施の形態10)
本発明の実施の形態について、図26〜図27を用いて説明する。本実施の形態は、実
施の形態7において、薄膜トランジスタと第1の電極との接続構造が異なるものである。
よって、同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
【0369】
基板1600の上に、密着性を向上させる機能を有する下地膜1601を形成する(図
26(A)参照)。なお、基板1600上に、絶縁層を形成してもよい。この絶縁層は形
成しなくても良いが、基板1600からの汚染物質などを遮断する効果がある。特に本実
施の形態のように順スタガ型の薄膜トランジスタであると、半導体層が基板に直接接する
ことになるので、下地層は効果的である。ガラス基板よりの汚染を防ぐための下地層を形
成する場合は、液滴吐出法によって形成する導電層1615、1616、1617の形成
領域に前処理として下地膜1601を形成する。
【0370】
本実施の形態では、密着性を向上させる機能を有する下地膜1601として、光触媒の
機能を有する物質を用いる。
【0371】
本実施の形態では、光触媒物質としてスパッタリング法により所定の結晶構造を有する
TiO結晶を形成する場合を説明する。ターゲットには金属チタンチューブを用い、ア
ルゴンガスと酸素を用いてスパッタリングを行う。更にHeガスを導入してもよい。光触
媒活性の高いTiOを形成するためには、酸素を多く含む雰囲気とし、形成圧力を高め
にする。更に成膜室又は処理物が設けられた基板を加熱しながらTiOを形成すると好
ましい。
【0372】
このように形成されるTiOは非常に薄い膜であっても光触媒機能を有する。
【0373】
また他の下地前処理として、スパッタリング法や蒸着法などの方法により、Ti(チタ
ン)、W(タングステン)、Cr(クロム)、Ta(タンタル)、Ni(ニッケル)、M
o(モリブデン)などの金属材料若しくはその酸化物で形成される下地膜1601を形成
することが好ましい。下地膜1601は0.01〜10nmの厚さで形成すれば良いが、
極薄く形成すれば良いので、必ずしも層構造を持っていなくても良い。下地膜として、高
融点金属材料を用いる場合、ソースドレイン配線層として機能する導電層1615、16
16、1617を形成した後、表面に露出している下地膜を下記の2つの工程のうちどち
らかの工程を行って処理することが望ましい。
【0374】
第一の方法としては、ソースドレイン配線層として機能する導電層1615、1616
、1617と重ならない下地膜1601を絶縁化して、絶縁層を形成する工程である。つ
まり、ソースドレイン配線層として機能する導電層1615、1616、1617と重な
らない下地膜1601を酸化して絶縁化する。このように、下地膜1601を酸化して絶
縁化する場合には、当該下地膜1601を0.01〜10nmの厚さで形成しておくこと
が好適であり、そうすると容易に酸化させることができる。なお、酸化する方法としては
、酸素雰囲気下に晒す方法を用いてもよいし、熱処理を行う方法を用いてもよい。
【0375】
第2の方法としては、ソースドレイン配線層として機能する導電層1615、1616
、1617をマスクとして、下地膜1601をエッチングして除去する工程である。この
工程を用いる場合には下地膜1601の厚さに制約はない。
【0376】
また、下地前処理の他の方法として、形成領域(被形成面)に対してプラズマ処理を行
う方法がある。プラズマ処理の条件は、空気、酸素又は窒素を処理ガスとして用い、圧力
を数十Torr〜1000Torr(133000Pa)、好ましくは100(1330
0Pa)〜1000Torr(133000Pa)、より好ましくは700Torr(9
3100Pa)〜800Torr(106400Pa)、つまり大気圧又は大気圧近傍の
圧力となる状態で、パルス電圧を印加する。このとき、プラズマ密度は、1×1010
1×1014−3、所謂コロナ放電やグロー放電の状態となるようにする。空気、酸素
又は窒素の処理ガスを用いプラズマ処理を用いることにより、材質依存性なく、表面改質
を行うことができる。その結果、あらゆる材料に対して表面改質を行うことができる。
【0377】
また、他の方法として、液滴吐出法によるパターンのその形成領域との密着性を上げる
ために、接着材として機能するような有機材料系の物質を形成してもよい。有機材料(有
機樹脂材料)(ポリイミド、アクリル)やシリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格
構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む材料、もしくは置換基にフッ素、アルキ
ル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料を用いてもよい。
【0378】
次に、導電性材料を含む組成物を吐出して、ソースドレイン配線層として機能する導電
層1615、1616、1617を形成する。この導電層1615、1616、1617
の形成は、液滴吐出手段を用いて行う。
【0379】
導電層1615、1616、1617層を形成する導電性材料としては、Ag(銀)、
Au(金)、Cu(銅)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を
主成分とした組成物を用いることができる。特に、ソース又はドレイン配線層は、低抵抗
化することが好ましのいで、比抵抗値を考慮して、金、銀、銅のいずれかの材料を溶媒に
溶解又は分散させたものを用いることが好適であり、より好適には、低抵抗な銀、銅を用
いるとよい。また、導電性材料の周りに他の導電性材料がコーティングされ、複数の層に
なっている粒子でも良い。例えば、銅の周りにニッケルボロン(NiB)がコーティング
され、その周囲に銀がコーティングされている3層構造の粒子などを用いても良い。溶媒
は、酢酸ブチル等のエステル類、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン等
の有機溶剤等に相当する。表面張力と粘度は、溶媒の濃度を調整したり、界面活性剤等を
加えたりして適宜調整する。
【0380】
また、液滴吐出法を用いて形成する導電層の下地前処理として、前述した下地膜160
1を形成する工程を行ったが、この処理工程は、導電層1615、1616、1617を
形成した後にも行っても良い。例えば、図示しないが、酸化チタン膜を形成し、その上に
N型の半導体層を形成すると、導電層とN型の半導体層との密着性が向上する。
【0381】
導電層1615、1616、1617上にN型の半導体層を全面に形成した後、導電層
1615と1616の間、導電層1616と1617の間にあるN型の半導体層を、レジ
ストやポリイミド等の絶縁体からなるマスク層1611、1612、1619を用いてエ
ッチングして除去する。一導電型を有する半導体層は必要に応じて形成すればよい。そし
て、AS若しくはSASからなる半導体層1607を気相成長法若しくはスパッタリング
法で形成する。プラズマCVD法を用いる場合、ASは半導体材料ガスであるSiH
しくはSiHとHの混合気体を用いて形成する。SASは、SiHをHで3倍〜
1000倍に希釈して混合気体で形成する。このガス種でSASを形成する場合には、半
導体層の表面側の方が結晶性が良好であり、ゲート電極を半導体層の上層に形成するトッ
プゲート型のTFTとの組み合わせは適している。
【0382】
次に、プラズマCVD法やスパッタリング法を用いて、ゲート絶縁層1605を単層又
は積層構造で形成する(図26(B)参照。)。特に好ましい形態としては、窒化珪素か
らなる絶縁層、酸化珪素からなる絶縁層、窒化珪素からなる絶縁層の3層の積層体をゲー
ト絶縁膜として構成させる。
【0383】
次に、ゲート電極層である導電層1602、1603を液滴吐出法で形成する(図26
(C)参照)。この層を形成する導電性材料としては、Ag(銀)、Au(金)、Cu(
銅)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物
を用いることができる。
【0384】
半導体層1607及びゲート絶縁層1605は、液滴吐出法により形成したマスク層1
613、1614を使って、ソース又はドレイン配線層(導電層1615、1616、1
617)に対応する位置に形成する。すなわち、ソース又はドレイン配線層である導電層
1615と1616とを跨ぐように半導体層を形成する。
【0385】
次に、導電層1630、1631を液滴吐出法で形成し、導電層1616、導電層16
03と電気的に接続する。
【0386】
続いて、選択的に、導電層1631と接するように、導電性材料を含む組成物を吐出し
て、導電層(第1の電極ともいう)1606を形成する。また、導電層1606は、導電
層1617と直接接する構造でも良い。導電層1606は、基板1600側から光を放射
する場合、または透過型のEL表示パネルを作製する場合には、インジウム錫酸化物(I
TO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ス
ズ(SnO)などを含む組成物により所定のパターンを形成し、焼成によって形成して
も良い。図示しないが、導電層1606を形成する領域に導電層1615、1616、1
617を形成する時と同様に、光触媒物質を形成してもよい。光触媒物質によって、密着
性が向上し、所望なパターンに細線化して導電層1606を形成する事ができる。この導
電層1606は画素電極として機能する第1の電極となる。
【0387】
ドレインまたはソース配線層とゲート電極層間を、導電層1630を用いずにゲート電
極層によって、直接接続してもよい。その場合、ゲート電極層である導電層1602、1
603を形成する前に、ゲート絶縁層1605に貫通孔を形成し、ソース又はドレイン配
線である導電層1616、1617の一部を露出させた後、ゲート電極層である導電層1
602、1603、導電層1631を液滴吐出法で形成する。このとき導電層1603は
導電層1630を兼ねた配線となり、導電層1616と接続する。エッチングはドライエ
ッチングでもウェットエッチングでもよいが、ドライエッチングであるプラズマエッチン
グが好ましい。
【0388】
続いて、隔壁となる絶縁層1620を形成する。また、図示しないが、絶縁層1620
の下に薄膜トランジスタを覆うように全面に窒化珪素若しくは窒化酸化珪素の保護層を形
成してもよい。絶縁層1620は、スピンコート法やディップ法により全面に絶縁層を形
成した後、エッチング加工によって図27に示すように開孔を形成する。また、液滴吐出
法により絶縁層1620を形成すれば、エッチング加工は必ずしも必要ない。液滴吐出法
を用いて、絶縁層1620など広領域に形成する場合、液滴吐出装置の複数のノズル吐出
口から組成物を吐出し、複数の線が重なるように描画し形成すると、スループットが向上
する。
【0389】
絶縁層1620は、第1の電極である導電層1606に対応して画素が形成される位置
に合わせて貫通孔の開口部を備えて形成される。
【0390】
以上の工程により、基板1600上にトップゲート型(順スタガ型ともいう。)TFT
と導電層(第1の電極層)1606が接続されたTFT基板が完成する。
【0391】
電界発光層1621を形成する前に、大気圧中で200℃の熱処理を行い絶縁層162
0中若しくはその表面に吸着している水分を除去する。また、減圧下で200〜400℃
、好ましくは250〜350℃に熱処理を行い、そのまま大気に晒さずに電界発光層16
21を真空蒸着法や、減圧下の液滴吐出法で形成することが好ましい。
【0392】
第1の電極である導電層1606上に、電界発光層1621、導電層1622を積層形
成して、発光素子を用いた表示機能を有する表示装置が完成する(図27参照)。
【0393】
以上示したように、本実施の形態では、フォトマスクを利用した光露光工程を用いない
ことにより、工程を省略することができる。また、液滴吐出法を用いて基板上に直接的に
各種のパターンを形成することにより、1辺が1000mmを超える第5世代以降のガラ
ス基板を用いても、容易にEL表示パネルを製造することができる。
【0394】
また、密着性、耐剥離性が向上した信頼性の高い表示装置を作製することができる。
【0395】
(実施の形態11)
本発明の実施の形態について、図28、図29を用いて説明する。本実施の形態は、実
施の形態1において、ゲート絶縁層805を貫通し、配線層である導電層816とゲート
電極層である導電層803との接続の方法が異なるものである。よって、同一部分又は同
様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
【0396】
基板1700の上に、密着性を向上させる下地膜1701を形成する(図28(A)参
照)。なお、基板1700上に、絶縁層を形成してもよい。
【0397】
本実施の形態では、密着性を向上させる機能を有する下地膜1701として、光触媒の
機能を有する物質を用いる。
【0398】
本実施の形態では、光触媒物質としてスパッタリング法により所定の結晶構造を有する
TiO結晶を形成する場合を説明する。ターゲットには金属チタンチューブを用い、ア
ルゴンガスと酸素を用いてスパッタリングを行う。更にHeガスを導入してもよい。光触
媒活性の高いTiOを形成するためには、酸素を多く含む雰囲気とし、形成圧力を高め
にする。更に成膜室又は処理物が設けられた基板を加熱しながらTiOを形成すると好
ましい。
【0399】
このように形成されるTiOは非常に薄い膜であっても光触媒機能を有する。
【0400】
また他の下地前処理として、スパッタリング法や蒸着法などの方法により、Ti(チタ
ン)、W(タングステン)、Cr(クロム)、Ta(タンタル)、Ni(ニッケル)、M
o(モリブデン)などの金属材料若しくはその酸化物で形成される下地膜1701を形成
することが好ましい。下地膜1701は0.01〜10nmの厚さで形成すれば良いが、
極薄く形成すれば良いので、必ずしも層構造を持っていなくても良い。下地膜として、高
融点金属材料を用いる場合、ゲート電極層となる導電層1702、1703を形成した後
、表面に露出している下地膜を下記の2つの工程のうちどちらかの工程を行って処理する
ことが望ましい。
【0401】
第1の工程は、導電層1702、1703と重ならない下地膜1701を絶縁化して、
絶縁層を形成する工程である。つまり、導電層1702、1703と重ならない下地膜1
701を酸化して絶縁化する。このように、下地膜1701を酸化して絶縁化する場合に
は、当該下地膜1701を0.01〜10nmの厚さで形成しておくことが好適であり、
そうすると容易に酸化させることができる。なお、酸化する方法としては、酸素雰囲気下
に晒す方法を用いてもよいし、熱処理を行う方法を用いてもよい。
【0402】
第2の工程は、導電層1702、1703をマスクとして、下地膜1701をエッチン
グして除去する工程である。この工程を用いる場合には下地膜1701の厚さに制約はな
い。
【0403】
また、下地前処理の他の方法として、形成領域(被形成面)に対してプラズマ処理を行
う方法がある。プラズマ処理の条件は、空気、酸素又は窒素を処理ガスとして用い、圧力
を数十Torr〜1000Torr(133000Pa)、好ましくは100(1330
0Pa)〜1000Torr(133000Pa)、より好ましくは700Torr(9
3100Pa)〜800Torr(106400Pa)、つまり大気圧又は大気圧近傍の
圧力となる状態で、パルス電圧を印加する。このとき、プラズマ密度は、1×1010
1×1014−3、所謂コロナ放電やグロー放電の状態となるようにする。空気、酸素
又は窒素の処理ガスを用いプラズマ処理を用いることにより、材質依存性なく、表面改質
を行うことができる。その結果、あらゆる材料に対して表面改質を行うことができる。
【0404】
また、他の方法として、液滴吐出法によるパターンのその形成領域との密着性を上げる
ために、接着材として機能するような有機材料系の物質を形成してもよい。有機材料(有
機樹脂材料)(ポリイミド、アクリル)やシリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格
構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む材料、もしくは置換基にフッ素、アルキ
ル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料を用いてもよい。
【0405】
次に、導電性材料を含む組成物を吐出して、後にゲート電極として機能する導電層17
02、1703を形成する。この導電層1702、1703の形成は、液滴吐出手段を用
いて行う。
【0406】
導電層1703を形成した後、導電性材料を含む組成物を局所的に吐出して、ピラーと
して機能する導電体1704を形成する。この導電体1704は、吐出された組成物を堆
積して形成するが、下層のパターンと上層のパターンとのコンタクトをとりやすくするた
めに、円柱状に形成することが好適である。導電体1704は、導電層1703と同じ材
料を用いても、異なる材料を用いてもよく、組成物を重ねて吐出し形成してもよい。
【0407】
また、導電層1703を形成したのち、再度密着性を高めるため、導電層1703上に
、前述した下地前処理を行っても良い。また、ピラーとなる導電体1704を形成した後
にも同様に下地膜処理を行うことが好ましい。TiOなどの光触媒物質の形成等、下地
前処理を行うと、膜層間を密着性よく形成することができる。
【0408】
次に、導電層1702、1703の上にゲート絶縁膜を形成する(図28(A)参照)

【0409】
続いて、ゲート絶縁膜上に選択的に、導電性材料を含む組成物を吐出して、導電層(第
1の電極ともいう)1706を形成する(図28(B)参照)。図示しないが、導電層1
706を形成する領域に導電層1702、1703を形成する時と同様に、光触媒物質を
形成してもよい。光触媒物質によって、密着性が向上し、所望なパターンに細線化して導
電層1706を形成する事ができる。この導電層1706は画素電極として機能する第1
の電極となる。
【0410】
本実施の形態では、半導体として、非晶質半導体を用いる。非晶質半導体層である半導
体層1707を形成し、チャネル保護膜1709、1710を形成するため、例えば、プ
ラズマCVD法により絶縁膜を形成し、所望の領域に、所望の形状となるように選択的に
エッチングする。このとき、ゲート電極をマスクとして基板の裏面から露光することによ
り、チャネル保護膜1709、1710を形成することができる。またチャネル保護膜は
、液滴吐出法を用いてポリイミド又はポリビニルアルコール等を滴下してもよい。その結
果、露光工程を省略することができる。その後、プラズマCVD法等により一導電型を有
する半導体層、例えばN型非晶質半導体層を用いてN型半導体層1708を形成する。(
図28(C)参照)。一導電型を有する半導体層は必要に応じて形成すればよい。
【0411】
続いて、レジストやポリイミド等の絶縁体からなるマスク層1711、1712を形成
し、該マスク層1711、1712を用いて、半導体層1707、N型半導体層1708
を同時にパターン加工する。
【0412】
本実施の形態では、ピラーとして機能する導電体1704によって既にゲート電極層で
ある導電層1703と接続される導電体が、ゲート絶縁層1705を貫通して、ゲート絶
縁層1705上に存在する。よって、ゲート絶縁層に貫通孔をあける工程を省く事ができ
る。
【0413】
導電性材料を含む組成物を吐出して、導電層1715、1716、1717を形成し、
該導電層1715、1716、1717をマスクとして、N型半導体層をパターン加工す
る。なお、図示しないが、導電層1715、1716、1717を形成する前に、導電層
1715、1716、1717がゲート絶縁層1705と接す部分に選択的に光触媒物質
を形成しても良い。そうすると、導電層は密着性よく形成できる。
【0414】
導電層1717は、ソース、ドレイン配線層として機能し、前に形成された第1の電極
に電気的に接続するように形成される。ソース又はドレイン配線層である導電層1716
は導電体1704を通して、ゲート電極層である導電層1703とを電気的に接続するこ
とができる(図29(A)参照)。また、ピラーとして機能する導電体1704上に、絶
縁層などが残ってしまった場合は、エッチング等で除去すればよい。
【0415】
続いて、隔壁となる絶縁層1720を形成する。
【0416】
絶縁層1720は、第1の電極である導電層1706に対応して画素が形成される位置
に合わせて貫通孔の開口部を備えて形成される。
【0417】
以上の工程により、基板1700上にボトムゲート型(逆スタガ型ともいう。)のチャ
ネル保護型TFTと第1の電極(第1電極層)が接続されたEL表示パネル用のTFT基
板が完成する。
【0418】
第1の電極である導電層1706上に、電界発光層1721、に導電層1722を積層
形成して、発光素子を用いた表示機能を有する表示装置が完成する(図29(B)参照)

【0419】
以上示したように、本実施の形態では、フォトマスクを利用した光露光工程を用いない
ことにより、工程を省略することができる。また、液滴吐出法を用いて基板上に直接的に
各種のパターンを形成することにより、1辺が1000mmを超える第5世代以降のガラ
ス基板を用いても、容易にEL表示パネルを製造することができる。
【0420】
また、密着性、耐剥離性が向上した信頼性の高い表示装置を作製することができる。本
実施の形態の貫通孔にピラーを用いる接続方法は、上記実施の形態と自由に組み合わせる
事ができる。
【0421】
(実施の形態12)
本発明を適用して薄膜トランジスタを形成し、該薄膜トランジスタを用いて表示装置を
形成することができるが、表示素子として発光素子を用いて、なおかつ、該発光素子を駆
動するトランジスタとしてN型トランジスタを用いた場合、該発光素子から発せられる光
は、下面射出、上面射出、両面射出のいずれかを行う。ここでは、それぞれの場合に応じ
た発光素子の積層構造について、図30を用いて説明する。
【0422】
また、本実施の形態では、本発明を適用し、実施の形態1で形成されるチャネル保護型
の薄膜トランジスタであるトランジスタ1851を用いる。
【0423】
まず、光が基板1850側に射出する場合、つまり下面射出を行う場合について、図3
0(A)を用いて説明する。この場合、トランジスタ1851に電気的に接続するように
、ソース又はドレイン配線1852、1853、第1の電極1854、電界発光層185
5、第2の電極1856が順に積層される。次に、光が基板1850と反対側に射出する
場合、つまり上面射出を行う場合について、図30(B)を用いて説明する。トランジス
タ1851に電気的に接続するソース又はドレイン配線1861、1862、第1の電極
1863、電界発光層1864、第2の電極1865が順に積層される。上記構成により
、第1の電極1863において光が透過しても、該光は配線において反射され、基板18
50と反対側に射出する。なお、本構成では、第1の電極1863には透光性を有する材
料を用いる必要はない。最後に、光が基板1850側とその反対側の両側に射出する場合
、つまり両面射出を行う場合について、図30(C)を用いて説明する。トランジスタ1
851に電気的に接続するソース又はドレイン配線1870、1871、第1の電極18
72、電界発光層1873、第2の電極1874が順に積層される。このとき、第1の電
極1872と第2の電極1874のどちらも透光性を有する材料、又は光を透過できる厚
さで形成すると、両面射出が実現する。
【0424】
発光素子は、電界発光層を第1の電極と第2の電極で挟んだ構成になっている。第1の
電極及び第2の電極は仕事関数を考慮して材料を選択する必要があり、そして第1の電極
及び第2の電極は、画素構成によりいずれも陽極、又は陰極となりうる。本実施の形態で
は、駆動用TFTの極性がNチャネル型であるため、第1の電極を陰極、第2の電極を陽
極とすると好ましい。また駆動用TFTの極性がpチャネル型である場合、第1の電極を
陽極、第2の電極を陰極とするとよい。
【0425】
また第1の電極が陽極であった場合、電界発光層は、陽極側から、HIL(ホール注入
層)、HTL(ホール輸送層)、EML(発光層)、ETL(電子輸送層)、EIL(電
子注入層)の順に積層するのが好ましい。また、第1の電極が陰極である場合はその逆と
なり、陰極側からEIL(電子注入層)、ETL(電子輸送層)、EML(発光層)、H
TL(ホール輸送層)、HIL(ホール注入層)、第2の電極である陽極の順に積層する
のが好ましい。なお電界発光層は、積層構造以外に単層構造、又は混合構造をとることが
でる。
【0426】
また、電界発光層として、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光を示す材料を、
それぞれ蒸着マスクを用いた蒸着法等によって選択的に形成する。赤色(R)、緑色(G
)、青色(B)の発光を示す材料はカラーフィルター同様、液滴吐出法により形成するこ
ともでき(低分子または高分子材料など)、この場合マスクを用いずとも、RGBの塗り
分けを行うことができるため好ましい。
【0427】
具体的には、HILとしてCuPcやPEDOT、HTLとしてα−NPD、ETLと
してBCPやAlq、EILとしてBCP:LiやCaFをそれぞれ用いる。また例
えばEMLは、R、G、Bのそれぞれの発光色に対応したドーパント(Rの場合DCM等
、Gの場合DMQD等)をドープしたAlqを用いればよい。
【0428】
なお、電界発光層は上記材料に限定されない。例えば、CuPcやPEDOTの代わり
に酸化モリブデン(MoO:x=2〜3)等の酸化物とα−NPDやルブレンを共蒸着
して形成し、ホール注入性を向上させることもできる。また電界発光層の材料は、有機材
料(低分子又は高分子を含む)、又は有機材料と無機材料の複合材料として用いることが
できる。
【0429】
また、図30には示していないが、基板1850の対向基板にカラーフィルターを形成
してもよい。カラーフィルターは液滴吐出法によって形成することができ、その場合、前
述の下地前処理として光プラズマ処理などを適用することができる。本発明の下地膜によ
り、所望なパターンに密着性よくカラーフィルターを形成することができる。カラーフィ
ルターを用いると、高精細な表示を行うこともできる。カラーフィルターにより、各RG
Bの発光スペクトルにおいてブロードなピークを鋭くなるように補正できるからである。
【0430】
以上、各RGBの発光を示す材料を形成する場合を説明したが、単色の発光を示す材料
を形成し、カラーフィルターや色変換層を組み合わせることによりフルカラー表示を行う
ことができる。例えば、白色又は橙色の発光を示す電界発光層を形成する場合、カラーフ
ィルター、又は、カラーフィルターと色変換層とを組み合わせたものを別途設けることに
よってフルカラー表示ができる。カラーフィルターや色変換層は、例えば第2の基板(封
止基板)に形成し、基板へ張り合わせればよい。また上述したように、単色の発光を示す
材料、カラーフィルター、及び色変換層のいずれも液滴吐出法により形成することができ
る。
【0431】
もちろん単色発光の表示を行ってもよい。例えば、単色発光を用いてエリアカラータイ
プの表示装置を形成してもよい。エリアカラータイプは、パッシブマトリクス型の表示部
が適しており、主に文字や記号を表示することができる。
【0432】
上記構成において、陰極としては、仕事関数が小さい材料を用いることが可能で、例え
ば、Ca、Al、CaF、MgAg、AlLi等が望ましい。電界発光層は、単層型、積
層型、また層の界面がない混合型のいずれでもよく、またシングレット材料、トリプレッ
ト材料、又はそれらを組み合わせた材料や、低分子材料、高分子材料及び中分子材料を含
む有機材料、電子注入性に優れる酸化モリブデン等に代表される無機材料、有機材料と無
機材料の複合材料のいずれを用いてもよい。第1の電極1854、1863、1872は
光を透過する透明導電膜を用いて形成し、例えばITO、ITSOの他、酸化インジウム
にさらに2〜20重量%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したターゲットを用いて形成された
透明導電膜等を用いる。なお、第1の電極1854、1863、1872形成前に、酸素
雰囲気中でのプラズマ処理や真空雰囲気下での加熱処理を行うとよい。隔壁は、珪素を含
む材料、有機材料及び化合物材料を用いて形成する。また、多孔質膜を用いても良い。但
し、アクリル、ポリイミド等の感光性、非感光性の材料を用いて形成すると、その側面は
曲率半径が連続的に変化する形状となり、上層の薄膜が段切れせずに形成されるため好ま
しい。本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることが可能である。
【0433】
(実施の形態13)
本発明が適用された表示装置の一形態であるパネルの外観について、図31を用いて説
明する。
【0434】
図31で示すパネルは、画素部1951の周辺に駆動回路が形成されたドライバICを
COG(Chip On Glass)方式で実装している。勿論、ドライバICは、T
AB(Tape Automated Bonding)方式で実装しても良い。
【0435】
基板1950は対向基板1953とシール材1952によって固着されている。画素部
1951は、EL素子を表示媒体として利用するものであっても良い。ドライバIC19
55a、1955b及びドライバIC1957a、1957b、1957cは、単結晶の
半導体を用いて形成した集積回路の他に、多結晶の半導体を用いたTFTで同様なものを
形成しても良い。ドライバIC1955a、1955b及びドライバIC1957a、1
957b、1957cには、FPC1954a、1954b、1954cまたはFPC1
956a、1956bを介して信号や電源が供給される。
【0436】
(実施の形態14)
本発明によって形成される表示装置によって、ELテレビ受像機を完成させることがで
きる。図32はELテレビ受像機の主要な構成を示すブロック図を示している。EL表示
パネルには、図31で示すような構成として画素部1951とその周辺に走査線側駆動回
路と信号線側駆動回路とがCOG方式により実装される場合と、画素部のみが形成されて
走査線側駆動回路と信号線側駆動回路とがTAB方式により実装される場合と、SASで
TFTを形成し、画素部と走査線側駆動回路を基板上に一体形成し信号線側駆動回路を別
途ドライバICとして実装する場合などがあるが、どのような形態としても良い。
【0437】
その他の外部回路の構成として、映像信号の入力側では、チューナ2004で受信した
信号のうち、映像信号を増幅する映像信号増幅回路2005と、そこから出力される信号
を赤、緑、青の各色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路2006と、その映像
信号をドライバICの入力仕様に変換するためのコントロール回路2007などからなっ
ている。コントロール回路2007は、走査線側と信号線側にそれぞれ信号を出力する。
デジタル駆動する場合には、信号線側に信号分割回路2008を設け、入力デジタル信号
をm個に分割して供給する構成としても良い。
【0438】
チューナ2004で受信した信号のうち、音声信号は、音声信号増幅回路2009に送
られ、その出力は音声信号処理回路2010を経てスピーカー2013に供給される。制
御回路2011は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部2012から受け、チ
ューナ2004や音声信号処理回路2010に信号を送出する。
【0439】
このような外部回路を組みこんで、ELモジュールを、図33に示すように、筐体21
01に組みこんで、テレビ受像機を完成させることができる。EL表示モジュールにより
表示画面2021が形成され、その他付属設備としてスピーカー2022、操作スイッチ
2024などが備えられている。このように、本発明によりテレビ受像機を完成させるこ
とができる。
【0440】
また、波長板や偏光板を用いて、外部から入射する光の反射光を遮断するようにしても
よい。波長板としてはλ/4、λ/2を用い、光を制御できるように設計すればよい。構
成としては、TFT素子基板、発光素子、封止基板(封止材)、波長板(λ/4、λ/2
)、偏光板となり、発光素子から放射された光は、これらを通過し偏光板側より外部に放
射される。この波長板や偏光板は光が放射される側に設置すればよく、両面放射される両
面放射型の表示装置であれば両方に設置することもできる。また、偏光板の外側に反射防
止膜を有していても良い。これにより、より高繊細で精密な画像を表示することができる

【0441】
筐体2101にEL素子を利用した表示用パネル2102が組みこまれ、受信機210
5により一般のテレビ放送の受信をはじめ、モデム2104を介して有線又は無線による
通信ネットワークに接続することにより一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者
と受信者間、又は受信者間同士)の情報通信をすることもできる。テレビ受像器の操作は
、筐体に組みこまれたスイッチ又は別体のリモコン装置2106により行うことが可能で
あり、このリモコン装置にも出力する情報を表示する表示部2107が設けられていても
良い。
【0442】
また、テレビ受像器にも、主画面2103の他にサブ画面2108を第2の表示用パネ
ルで形成し、チャネルや音量などを表示する構成が付加されていても良い。主画面210
3及びサブ画面2108をEL表示用パネルで形成しても良いし、この構成において、主
画面2103を視野角の優れたEL表示用パネルで形成し、サブ画面を低消費電力で表示
可能な液晶表示用パネルで形成しても良い。また、低消費電力化を優先させるためには、
主画面2103を液晶表示用パネルで形成し、サブ画面をEL表示用パネルで形成し、サ
ブ画面は点滅可能とする構成としても良い。本発明を用いると、このような大型基板を用
いて、多くのTFTや電子部品を用いても、信頼性の高い表示装置とすることができる。
【0443】
勿論、本発明はテレビ受像機に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをはじめ
、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など特に大面積の
表示媒体として様々な用途に適用することができる。
【0444】
(実施の形態15)
本発明を適用して、様々な表示装置を作製することができる。即ち、それら表示装置を
表示部に組み込んだ様々な電子機器に本発明を適用できる。
【0445】
その様な電子機器としては、ビデオカメラやデジタルカメラ等のカメラ、プロジェクタ
ー、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、カ
ーステレオ、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュー
タ、携帯電話または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigi
tal Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表
示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それらの例を図34に示す。
【0446】
図34(A)は、ノート型パーソナルコンピュータであり、本体2201、筐体220
2、表示部2203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマ
ウス2206等を含む。本発明は、表示部2203の作製に適用される。本発明を用いる
と、表示品位の高い表示部を有するノート型パーソナルコンピュータを、低コストで作製
できる。
【0447】
図34(B)は画像表示部を備えた記憶媒体再生装置(具体的にはDVD再生装置)で
あり、本体2301、筐体2302、表示部A2303、表示部B2304、記憶媒体(
DVD等)読み込み部2305、操作キー2306、スピーカー部2307等を含む。表
示部A2303は主として画像情報を表示し、表示部B2304は主として文字情報を表
示するが、本発明は、これら表示部A2303、表示部B2304の作製に適用される。
本発明を用いると、表示品位の高い画像表示部を備えた記憶媒体再生装置を、低コストで
作製できる。
【0448】
図34(C)は携帯電話であり、本体2401、音声出力部2402、音声入力部24
03、表示部2404、操作スイッチ2405、アンテナ2406等を含む。本発明によ
り作製される表示装置を表示部2404に適用することで、表示品位の高い表示部を有す
る携帯電話を、低コストで作製できる。
【0449】
図35(A)はビデオカメラであり、本体2501、表示部2502、筐体2503、
外部接続ポート2504、リモコン受信部2505、受像部2506、バッテリー250
7、音声入力部2508、操作キー2509、接眼部2510等を含む。本発明は、表示
部2502に適用することができ、両面放射型の表示装置である。図35(B)、(C)
に表示部2502が表示する画像を示す。図35(B)が撮影されている画像であり、図
35(C)が撮影されている車両から見える画像である。本発明の表示装置は、透過型で
あり、両面に画像を表示することができるので、被写体側からも撮影されている画像を見
ることが出来る。よって、自分自身を撮影するのにも便利である。また、ビデオカメラの
他にデジタルビデオカメラ等でも本発明は適用でき、同様の効果が得られる。本発明によ
り作製される表示装置を表示部2502に適用することで、表示品位の高い表示部を有す
るビデオカメラやデジタルビデオカメラ等を、低コストで作製できる。本実施の形態は、
上記の実施の形態、実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0450】
605 ゲート絶縁層
606 絶縁層
615 ソース信号線
616 ソース信号線
617 ソース信号線
800 基板
801 下地膜
802 導電層
803 導電層
804 絶縁層
805 ゲート絶縁層
806 導電層
807 半導体層
808 N型半導体層
809 チャネル保護膜
811 マスク層
813 マスク層
815 導電層
816 導電層
817 導電層
818 貫通孔
820 絶縁層
821 電界発光層
822 導電層
850 封止基板
851 シール材
854 各画素の回路
855 線分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のソース信号線と、
複数のゲート信号線と、
行方向の複数の電源供給線と
列方向の複数の電源供給線と
マトリクス状の複数の画素を有し、
前記複数の画素のそれぞれは、スイッチング用薄膜トランジスタと、
駆動用薄膜トランジスタと、
発光素子とを有し、
前記複数の画素のそれぞれは、前記行方向の複数の電源供給線のうちの1つ及び前記列方向の複数の電源供給線のうちの1つに接続され、
絶縁性を有する薄膜が、前記複数のソース信号線、前記複数のゲート信号線、前記行方向の複数の電源供給線、前記列方向の複数の電源供給線のうちの少なくとも1つの下の一部に形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
ソース信号線を形成し、
ゲート信号線を形成し、
電源供給線を形成し、
スイッチング用薄膜トランジスタ、駆動用薄膜トランジスタ、発光素子を含む画素を形成し、
絶縁性を有する薄膜を、前記ソース信号線、前記ゲート信号線、前記電源供給線のうちの少なくとも1つの下の一部に形成することを特徴とする表示装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2012−252351(P2012−252351A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−170755(P2012−170755)
【出願日】平成24年8月1日(2012.8.1)
【分割の表示】特願2005−351497(P2005−351497)の分割
【原出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】