表示装置,電子機器および駆動コード生成回路
【課題】圧縮コードのデータ量を削減する。
【解決手段】表示パネル10は、電圧の印加で駆動される複数の液晶素子24を含む。記憶回路52は、指示値Xの個数を指定する第1部S1と識別子Dを指定する第2部S2とを含む圧縮コードC0を階調毎に記憶し、オン電圧およびオフ電圧の何れかを指定する指示値Xが配列された既定コードCBを識別子D毎に記憶する。展開部54は、圧縮コードC0の第1部S1が指定する個数n1だけオン電圧を指定する指示値Xを配列した連続コードCAと、圧縮コードC0の第2部S2が指定する識別子Dに対応した既定コードCBとに応じた駆動コードCDRを生成する。駆動回路30は、展開部54が液晶素子24の指定階調について生成した駆動コードCDRに基づいて、オン電圧およびオフ電圧の何れかをフィールドF内のサブフィールドSF毎に当該液晶素子24に印加する。
【解決手段】表示パネル10は、電圧の印加で駆動される複数の液晶素子24を含む。記憶回路52は、指示値Xの個数を指定する第1部S1と識別子Dを指定する第2部S2とを含む圧縮コードC0を階調毎に記憶し、オン電圧およびオフ電圧の何れかを指定する指示値Xが配列された既定コードCBを識別子D毎に記憶する。展開部54は、圧縮コードC0の第1部S1が指定する個数n1だけオン電圧を指定する指示値Xを配列した連続コードCAと、圧縮コードC0の第2部S2が指定する識別子Dに対応した既定コードCBとに応じた駆動コードCDRを生成する。駆動回路30は、展開部54が液晶素子24の指定階調について生成した駆動コードCDRに基づいて、オン電圧およびオフ電圧の何れかをフィールドF内のサブフィールドSF毎に当該液晶素子24に印加する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブフィールド駆動で階調を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
フィールドを区分した複数のサブフィールドの各々においてオン電圧またはオフ電圧を選択的に表示素子(例えば液晶素子)に印加するサブフィールド駆動が従来から提案されている(例えば特許文献1)。また、特許文献2には、オン電圧またはオフ電圧をサブフィールド毎に指示するコード(以下「駆動コード」という)を圧縮した状態で階調毎に記憶回路に記憶する技術が開示されている。
【0003】
特許文献2における圧縮済のコード(以下「圧縮コード」という)は、オン電圧を印加するサブフィールドがフィールド内で連続する個数を指定する第1部と、当該フィールド内の残余のサブフィールド毎にオン電圧またはオフ電圧を指定する第2部とを含んで構成される。したがって、駆動コードを非圧縮のままで記憶する構成と比較して、記憶回路に必要な容量が削減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−114661号公報
【0005】
【特許文献2】特開2008−241975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2における圧縮コードの第2部はサブフィールド毎に電圧(オン電圧/オフ電圧)を指定するから、多階調化の実現のためにフィールド内のサブフィールドの総数を増加させると、第2部のデータ量がサブフィールドの総数に比例して増加する。したがって、記憶回路に必要な容量を充分に削減できない場合がある。以上の事情を背景として、本発明は、駆動コードを圧縮した圧縮コードのデータ量を有効に削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、本発明に係る表示装置は、フィールドを区分した複数のサブフィールドの各々において表示素子に第1電圧または第2電圧を印加することで階調を表示する表示装置であって、第1電圧および第2電圧の何れかを指定する指示値が配列された既定コードを識別子毎に記憶する既定コード記憶手段と、指示値の個数(サブフィールドの個数)を指定する第1部と既定コードの識別子を指定する第2部とを含む圧縮コードを階調毎に記憶する圧縮コード記憶手段と、圧縮コードの第1部が指定する個数だけ第1電圧を指定する指示値を配列した連続コードと、圧縮コードの第2部が指定する識別子に対応した既定コードとに応じた駆動コードを生成する展開手段と、展開手段が表示素子の指定階調について生成した駆動コードに基づいて、第1電圧および第2電圧の何れかをフィールド内のサブフィールド毎に当該表示素子に印加する駆動回路とを具備する。本発明の表示装置は、各種の電子機器(例えばパーソナルコンピュータや携帯電話機)に利用される。
【0008】
以上の構成においては、駆動コードを圧縮した圧縮コードが圧縮コード記憶手段に格納されるから、駆動コードを非圧縮のままで記憶する構成と比較して、圧縮コード記憶手段に必要な容量を削減できる。また、圧縮コードの第2部は既定コードの識別子であるから、圧縮コードの第2部がサブフィールド毎の電圧を指定する特許文献2の構成と比較して、圧縮コードのデータ量(さらには圧縮コード記憶手段に必要な容量)を有効に削減できるという利点もある。以上の効果は、多階調化の実現のためにフィールド内のサブフィールドの総数を増加させた場合に格別に顕著となる。
【0009】
なお、圧縮コード記憶手段および既定コード記憶手段は、別個の記憶回路として実装され得るが、単一の記憶回路に設定された別個の記憶領域としても構成され得る。また、階調の指定(階調データの供給)のたびに展開部が当該階調に対応する圧縮コードを順次に展開する構成(例えば後述の第1実施形態)と、各階調に対応する圧縮コードを事前(例えば表示素子の駆動の開始前)に展開部が展開しておく構成(例えば後述の第2実施形態)の双方が以上の発明の範囲に含まれる。
【0010】
本発明の好適な態様において、展開手段は、圧縮コードの第1部が指定する個数が所定値を上回る場合に、連続コードと既定コードの一部分とを配列することで、所定個の指示値で構成される駆動コードを生成する。また、別の好適な態様において、展開手段は、圧縮コードの第1部が指定する個数が所定値を下回る場合に、連続コードおよび既定コードと第2電圧を指定する1以上の指示値とを配列することで、所定個の指示値で構成される駆動コードを生成する。以上の態様においては、圧縮コードのデータ量を低減しながら、所期の個数の指示値で構成される駆動コードを生成できるという利点がある。また、第2電圧を指定する指示値を連続コードと既定コードとの間に配置することで展開手段が駆動コードを生成する構成も好適である。
【0011】
本発明の好適な態様において、圧縮コード記憶手段が記憶する2以上の圧縮コードの第2部は共通の識別子を指定する。以上の態様においては、2以上の階調の駆動コードの生成に共通の既定コードが利用されるから、階調数よりも少ない個数の既定コードで駆動コードを生成することが可能である。したがって、各階調について既定コードが必要な構成と比較して、既定コード記憶手段に必要な容量が削減されるという利点がある。
【0012】
本発明の好適な態様において、圧縮コード記憶手段は、階調毎に圧縮コードが設定された複数の第1テーブルを記憶し、既定コード記憶手段は、識別子毎に既定コードが設定された複数の第2テーブルを記憶し、複数の第1テーブルの何れかと複数の第2テーブルの何れかとを選択する選択手段を具備し、展開手段は、選択手段が選択した第1テーブルおよび第2テーブルを利用して駆動コードを生成する。以上の態様においては、複数の第1テーブルの何れかと複数の第2テーブルの何れかとが駆動コードの生成のために選択されるから、指定階調と駆動コードとの関係を適宜に変更することが可能である。例えば、表示パネルの動作温度(表示パネルの温度や表示パネルの周囲の温度)を検出する温度検出体が設置され、選択手段は、温度検出体が検出した温度に応じて第1テーブルと第2テーブルとを選択する。
【0013】
本発明は、表示素子に印加される電圧として第1電圧および第2電圧の何れかを指定する指示値をフィールド内の各サブフィールドについて配列した駆動コードを生成する回路(駆動コード生成回路)としても特定される。本発明の駆動コード生成回路は、第1電圧および第2電圧の何れかを指定する指示値が配列された既定コードを識別子毎に記憶する既定コード記憶手段と、指示値の個数を指定する第1部と既定コードの識別子を指定する第2部とを含む圧縮コードを階調毎に記憶する圧縮コード記憶手段と、圧縮コードの第1部が指定する個数だけ第1電圧を指定する指示値を配列した連続コードと、圧縮コードの第2部が指定する識別子に対応した既定コードとに応じた駆動コードを生成する展開手段とを具備する。以上の駆動コード生成回路によれば、本発明の表示装置と同様の効果が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係る表示装置のブロック図である。
【図2】各サブフィールドと駆動コードの各指示値との関係を示す概念図である。
【図3】図1における駆動コード生成回路のブロック図である。
【図4】第1テーブルの模式図である。
【図5】駆動コードと圧縮コードとの関係を例示する概念図である。
【図6】第2テーブルの模式図である。
【図7】図3における展開部のブロック図である。
【図8】第2実施形態における駆動コード生成回路のブロック図である。
【図9】電子機器(パーソナルコンピュータ)の斜視図である。
【図10】電子機器(携帯電話機)の斜視図である。
【図11】電子機器(携帯情報端末)の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<A:第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る表示装置100のブロック図である。図1に示すように、表示装置100は、表示パネル10と制御回路40と駆動コード生成回路50とを具備する。制御回路40および駆動コード生成回路50は、例えば、表示パネル10を構成する基板の面上や、液晶パネルに接合された配線基板の面上に実装される。なお、制御回路40と駆動コード生成回路50とは単一の集積回路としても構成され得る。
【0016】
表示パネル10は、複数の画素回路22が配列する画素部(表示領域)20と、各画素回路22を駆動する駆動回路30とを含んで構成される。画素部20には、相互に交差する方向に延在するM本の走査線26とN本の信号線28とが形成される(M,Nは自然数)。各画素回路22は、走査線26と信号線28との各交差に対応した位置に配置されて縦M行×横N列の行列状に配列する。各画素回路22は、両端間の電圧(画素電極と対向電極との電位差)に応じて液晶の透過率が変化する液晶素子24を含む。液晶素子24の両端間の電圧は、走査線26が選択されたときの信号線28の電圧に応じて設定される。
【0017】
駆動回路30は、複数の画素回路22の各々を駆動することで各液晶素子24の透過率(反射率)を制御する。駆動回路30による各画素回路22(液晶素子24)の駆動にはサブフィールド駆動が採用される。すなわち、駆動回路30は、図2に示すように、所定長の各フィールドFを分割した48個のサブフィールドSF(SF1〜SF48)の各々において各画素回路22の液晶素子24にオン電圧およびオフ電圧の何れかを選択的に印加する。オン電圧は、液晶素子24の透過率を変化させる電圧(例えば液晶素子24を点灯させる電圧)であり、オフ電圧は、液晶素子24の両端間の電圧がオン電圧の印加時を下回るように設定された電圧(例えば液晶素子24を消灯させる電圧)である。なお、フィールドF内のサブフィールドSFの個数は適宜に変更され得る。
【0018】
図2に示すように、各サブフィールドSF(SF1〜SF48)の時間長は共通する。具体的には、各サブフィールドSFは、液晶素子24にオン電圧またはオフ電圧を印加し始めてから液晶素子24の透過率(反射率)が飽和するまでの時間よりも短い時間長に設定される。以上のようなサブフィールドSFの設定については特許文献1に詳細に開示されている。
【0019】
図1の制御回路40は、各種の信号を生成および出力することで表示装置100の全体の動作を制御する。制御回路40には上位装置(図示略)から映像信号VIDが供給される。制御回路40は、例えば、フィールドFや各サブフィールドSFを規定する制御信号(同期信号)を生成して駆動回路30や駆動コード生成回路50に供給する。また、制御回路40は、各画素回路22の階調を指定する階調データGを映像信号VIDから生成して駆動コード生成回路50に順次に供給する。階調データGは、例えば、映像信号VIDが指定する階調に所定の補正処理(例えばガンマ補正)を実行することで生成される。本実施形態の階調データGは、256段階の階調の何れかを指定する8ビットのデータである。
【0020】
駆動コード生成回路50は、制御回路40から順次に供給される階調データGを駆動コードCDRに変換する。図2の部分(A)から部分(E)に例示されるように、駆動コードCDRは、フィールドF内の48個のサブフィールドSF1〜SF48の各々に対応する48個の指示値Xの系列である。各サブフィールドSFに対応する指示値Xは、当該サブフィールドSFにて液晶素子24に印加される電圧をオン電圧およびオフ電圧の何れか(液晶素子24の点灯および消灯の何れか)に指定する数値である。具体的には、指示値Xは、オン電圧を指定する数値“1”とオフ電圧を指定する数値“0”との何れかに設定される。したがって、駆動コードCDRは48ビットで構成され得る。図2や後掲の図5においては、斜線を付した矩形が数値“1”を意味し、斜線のない矩形が数値“0”を意味する。駆動コード生成回路50が生成した駆動コードCDRは駆動回路30に順次に供給される。
【0021】
階調データGが示す階調と1個のフィールドFにおける液晶素子24からの出射光量(透過率の時間積分値)とが所望の関係(階調−輝度特性)を満たすように駆動コードCDRの内容は実験的に選定される。すなわち、1個のフィールドFのうちオン電圧を印加するサブフィールドSFとオフ電圧を印加するサブフィールドSFとの個数比や各々の配列(以下では「電圧印加パターン」と総称する)を変化させた複数の場合の各々について液晶素子24からの出射光量(透過率の時間積分値)を順次に測定し、複数の電圧印加パターンのうち階調データGが示す各階調に対応した出射光量が得られる256種類の電圧印加パターンを抽出したうえで、抽出後の各電圧印加パターンに対応した駆動コードCDR(階調データGが指定し得る各階調に対応した256種類の駆動コードCDR)が決定される。
【0022】
具体的には、1個のフィールドFのうち液晶素子24にオン電圧(またはオフ電圧)を印加する時間の割合が各画素回路22の階調データGに応じた割合となるように、階調データGが示す階調毎に駆動コードCDRの各指示値Xが決定される。例えば、液晶素子24をノーマリーホワイトモードに設定した構成では、階調データGの階調が高いほど、液晶素子24にオン電圧を印加するサブフィールドSFの個数が少なくなる(すなわち、オン電圧の印加で液晶素子24の透過率が低下する時間長が短くなる)ように駆動コードCDRが決定される。他方、液晶素子24をノーマリーブラックモードに設定した構成では、階調データGの指定する階調が高いほど、液晶素子24にオン電圧を印加するサブフィールドSFの個数が多くなるように駆動コードCDRが生成される。
【0023】
図2に例示された駆動コードCDRの各指示値XにフィールドFの各サブフィールドSFを便宜的に対応させて併記したように、1個のフィールドFは、概略的には第1区間f1と第2区間f2と第3区間f3とに区分される。第1区間f1は、液晶素子24にオン電圧を印加するサブフィールドSFがフィールドFの先頭(サブフィールドSF1)から連続する区間である。第1区間f1を構成するサブフィールドSFの個数n1は、ゼロ以上かつ48(フィールドF内のサブフィールドSFの総数)以下の範囲内で階調データGに応じて可変に設定される。第1区間f1がフィールドFの全部にわたる場合(第1区間f1を構成するサブフィールドSFが48個である場合)を除き、第1区間f1の直後のサブフィールド(以下では特に「境界サブフィールド」と表記する場合がある)SFは、液晶素子24にオフ電圧を印加するサブフィールドSFとなる。
【0024】
第2区間f2は、液晶素子24にオン電圧を印加するサブフィールドSFとオフ電圧を印加するサブフィールドSFとが階調データGに応じた個数比および配列で混在する区間である。図2の部分(A)から部分(C)の例示のように、第2区間f2は、基本的には、境界サブフィールドSFの直後のn2個(本実施形態では12個)のサブフィールドSFで構成される。個数n2は固定値である。ただし、図2の部分(D)および部分(E)の例示のように、1個のフィールドFのうち第1区間f1のn1個のサブフィールドSFと1個の境界サブフィールドSFとを除外したサブフィールドSFの個数(48−n1−1)がn2個を下回る場合(48−n1−1<n2)、すなわち、第1区間f1内のサブフィールドSFの個数n1が所定の閾値Nth(Nth=47−n2)を上回る場合には、境界サブフィールドSFに後続する残余の各サブフィールドSF(n2個を下回る個数のサブフィールドSF)で第2区間f2が構成される。
【0025】
第3区間f3は、液晶素子24にオフ電圧を印加するサブフィールドSFが第2区間f2の直後から連続する区間である。図2の部分(A)から部分(C)の例示のように、第3区間f3は、基本的には、1個のフィールドFのうち第1区間f1と境界サブフィールドSFと第2区間f2とを除外した残余のサブフィールドSF((48−n1−1−n2)個のサブフィールドSF)で構成される。したがって、第1区間f1の個数n1と境界サブフィールドSFの個数(1個)と第2区間f2の個数n2との合計(n1+1+n2)がフィールドF内のサブフィールドSFの総数以上である場合、すなわち、第1区間f1内のサブフィールドSFの個数n1が所定の閾値Nth(Nth=47−n2)以上である場合には、フィールドF内に第3区間f3は設定されない。つまり、個数n1が閾値Nthを下回る場合に第3区間f3が設定される。
【0026】
図1の駆動回路30は、駆動コード生成回路50が生成する駆動コードCDRを利用して各画素回路22(液晶素子24)を駆動する。すなわち、駆動回路30は、各画素回路22の駆動コードCDRにて指示値Xが数値“1”に設定されたサブフィールドSFでは当該画素回路22の液晶素子24にオン電圧を印加し、指示値Xが数値“0”に設定されたサブフィールドSFでは液晶素子24にオフ電圧を印加する。
【0027】
図1に示すように、駆動回路30は、走査線駆動回路32と信号線駆動回路34とを含んで構成される。走査線駆動回路32は、各フィールドF内のサブフィールドSF毎にM本の走査線26の各々(各行のN個の画素回路22の集合)を順次に選択する。すなわち、1本の走査線26について1個のフィールドF内に48回の選択が実行される。
【0028】
信号線駆動回路34は、走査線駆動回路32による各走査線26の選択に同期して駆動コードCDRの各指示値Xに応じた電圧(オン電圧/オフ電圧)を各信号線28に出力する。具体的には、1個のサブフィールドSFのうち第i行(i=1〜M)の走査線26が選択される期間において、信号線駆動回路34は、第i行の第j列(j=1〜N)に位置する画素回路22の階調データGを変換した駆動コードCDRのうち当該サブフィールドSFの指示値Xが示す電圧を第j列の信号線28に出力する。第i行の走査線26の選択時に第j列の信号線28に出力された電圧は、第i行の第j列に位置する画素回路22の液晶素子24に印加される。したがって、各画素回路22の液晶素子24は、フィールドFを単位として階調データGに応じた階調(透過率)に制御される。
【0029】
図3は、図1の駆動コード生成回路50の具体的なブロック図である。図3に示すように、駆動コード生成回路50は、記憶回路52と展開部54とを含んで構成される。記憶回路52は、第1テーブルL1と第2テーブルL2とを記憶するメモリ(例えばROM)である。
【0030】
図4は、第1テーブルL1の模式図である。図4に示すように、第1テーブルL1は、各階調の駆動コードCDRを所定の規則で圧縮した圧縮コードC0を階調データGの階調毎に配列したルックアップテーブル(すなわち、階調データGと圧縮コードC0とを対応させるテーブル)である。階調データは256段階の階調(0〜255)の何れかを指定するから、各階調に対応する256種類の圧縮コードC0が第1テーブルL1に格納される。
【0031】
図4に示すように、圧縮コードC0は、第1部S1と第2部S2とを含んで構成される。第1部S1は、第1区間f1を構成するサブフィールドSFの個数n1を指定する。第1区間f1を構成するサブフィールドSFの個数n1の最大値(n1=48)を指定し得るように、圧縮コードC0の第1部S1は6ビット(固定長)で構成される。
【0032】
図5は、図2の部分(A)から部分(E)に例示した駆動コードCDRと各々を圧縮した圧縮コードC0とを併記した模式図である。図5の部分(A)の駆動コードCDRのように第1区間f1内のサブフィールドSFが1個である階調の圧縮コードC0における第1部S1は、十進数の1を示す“000001”に設定される。また、図5の部分(B)のように第1区間f1内のサブフィールドSFが10個である階調の圧縮コードC0の第1部S1は、十進数の10を示す“001010”に設定される。他の階調に対応する圧縮コードC0の第1部S1も同様の規則で設定される。
【0033】
次に、図6は、第2テーブルL2の模式図である。図6に示すように、第2テーブルL2は、複数種の既定コードCBを識別子D毎に配列したルックアップテーブル(すなわち、識別子Dと既定コードCBとを対応させるテーブル)である。識別子Dは、複数の既定コードCBの何れかを識別するために各既定コードCBに固有に付与された符号(番号)である。図4における圧縮コードC0の第2部S2は、第2テーブルL2内の複数の既定コードCBの何れかの識別子Dを指定する。
【0034】
既定コードCBは、第2区間f2内のn2個のサブフィールドSFの各々についてオン電圧およびオフ電圧を指定するn2個の指示値Xの系列である。既定コードCBの各指示値Xは、駆動コードCDRについて前述したように、オン電圧を指定する数値“1”とオフ電圧を指定する数値“0”との何れかに設定される。したがって、既定コードCBはn2ビット(本実施形態は12ビット)で構成され得る。
【0035】
既定コードCBは、駆動コードCDRのうち第2区間f2内の各サブフィールドSFに対応する部分として利用される。例えば、図6において識別子Dが25に設定された既定コードCBは、図5の部分(A)の駆動コードCDRのうち第2区間f2に対応する部分として利用される。また、識別子Dが62に設定された既定コードCBは、図5の部分(B)の駆動コードCDRのうち第2区間f2に対応する部分として利用される。
【0036】
図5の部分(B)の駆動コードCDRと部分(C)の駆動コードCDRとで例示されるように、相異なる階調を表示する場合であっても第2区間f2内の電圧印加パターンは共通する場合がある。すなわち、1個の既定コードCBは、相異なる階調に対応する複数の駆動コードCDRにて第2区間f2に対応する部分として共用され得る。つまり、第1テーブルL1における2以上の圧縮コードC0の第2部S2は共通の識別子Dを指定する。以上のように各既定コードCBは複数の駆動コードCDRにて共用されるから、第2テーブルL2に格納される既定パターンCBの個数は、階調データGが指定し得る階調の総数よりも少ない。具体的には、階調データGが指定する階調数は256種類であるのに対し、第2テーブルL2に格納される既定パターンCBの総数は128種類である。以上の128種類の既定パターンCBの各々を区別できるように、圧縮コードC0の第2部S2(識別子D)は7ビット(固定長)で構成される。すなわち、1個の圧縮コードC0は13ビット(固定長)で構成される。
【0037】
また、第2テーブルL2は、数値“1”の指示値Xの個数は共通するが当該指示値Xの位置(オン電圧を印加するサブフィールドSFの位置)が相違する複数の既定コードCBを含む。例えば、図6において識別子Dが1ないし3に設定された各既定コードCBは、数値“1”の指示値Xの個数は共通に1個であるが当該指示値Xの位置が相違する。前述のように各サブフィールドSFの時間長は液晶素子24の透過率が飽和するまでの時間を下回るから、第2区間f2のうちオン電圧を印加するサブフィールドSFの個数が共通する場合でも、当該サブフィールドSFの位置が相違するならば、フィールドF内の液晶素子24の出射光量(階調)は相違する。したがって、第2テーブルL2のうち数値“1”の個数が共通して位置が相違する複数の既定コードCBは、相異なる階調を表示するために利用され得る。
【0038】
図3の展開部54は、制御回路40から順次に供給される階調データGに対応する駆動コードCDRを、第1テーブルL1と第2テーブルL2とを利用して生成する。図7は、展開部54の具体的なブロック図である。図7に示すように、展開部54は、選択部62と第1処理部64と第2処理部66と合成部68とを含んで構成される。選択部62は、第1テーブルL1に格納された256種類の圧縮コードC0のうち制御回路40から供給される階調データGに対応する圧縮コードC0を選択する。
【0039】
第1処理部64は、図7に示すように、選択部62が選択した圧縮コードC0のうち第1部S1が指定する個数n1の数値“1”(オン電圧を指定する指示値X)を配列した連続コードCAを生成する。他方、第2処理部66は、第2テーブルL2に格納された128種類の既定コードCBのうち選択部62が選択した圧縮コードC0の第2部S2が指定する識別子Dに対応した既定コードCBを選択する。合成部68は、図7に示すように、第1処理部64が生成した連続コードCAと第2処理部66が選択した既定コードCBとから駆動コードCDRを生成する。駆動コードCDRの生成の方法を以下に詳述する。
【0040】
圧縮コードC0の第1部S1で指定される個数n1が閾値Nth(Nth=47−n2)を下回る場合、合成部68は、境界サブフィールドSFに対応する数値“0”の指示値Xを連続コードCAと既定コードCBとの間に介挿するとともに既定コードCBの直後に(48−n1−1−n2)個の数値“0”の指示値Xを付加することで、48個の指示値Xで構成される駆動コードCDRを生成する。既定コードCBの直後に付加される数値“0”の指示値Xは、第3区間f3の各サブフィールドSFにおけるオフ電圧の印加を指示する。
【0041】
例えば、図5の部分(B)に示すように、階調データGに対応する圧縮コードC0の第1部S1が“001010”(n1=10)であり、第2部S2が“0111110”(D=62)である場合、数値“1”の10個の指示値Xが配列された連続コードCAを第1処理部64が生成し、識別子Dが62である既定コードCBを第2処理部66が図6の第2テーブルL2から特定する。そして、合成部68は、連続コードCAと既定コードCBとの間に数値“0”の指示値Xを挿入するとともに既定コードCBの直後に数値“0”の25(=48−10−1−12)個の指示値Xを付加することで、図5の部分(B)の駆動コードCDRを生成する。
【0042】
他方、圧縮コードC0の第1部S1で指定される個数n1が閾値Nthを上回る場合、合成部68は、境界サブフィールドSFに対応する数値“0”の指示値Xを連続コードCAと既定コードCBとの間に介挿するとともに既定コードCBのうち後方の(n1+1+n2−48)個の指示値Xを破棄することで、48個の指示値Xで構成される駆動コードCDRを生成する。すなわち、個数n1が閾値Nthを上回る場合の駆動コードCDRは、第3区間f3に対応する指示値Xを含まない。
【0043】
例えば、図5の部分(D)に示すように、階調データGに対応する圧縮コードC0の第1部S1が“101000”(n1=40)であり、第2部S2が“0011000”(D=24)である場合、数値“1”の40個の指示値Xが配列された連続コードCAを第1処理部64が生成し、識別子Dが24である既定コードCBを第2処理部66が図6の第2テーブルL2から特定する。そして、合成部68は、連続コードCAと既定コードCBとの間に数値“0”の指示値Xを挿入するとともに既定コードCBのうちの後方の5(=40+1+12−48)個の指示値Xを破棄することで、図5の部分(D)の駆動コードCDRを生成する。
【0044】
なお、以上のように個数n1が閾値Nthを上回る場合には既定コードCBが部分的に破棄されるから、既定コードCBのうち破棄される部分の内容は任意である。例えば、図5の部分(E)のように個数n1が44個である場合には既定コードCBのうち後方の9個の指示値Xが破棄されるから、圧縮コードC0の第2部S2で指定される既定コードCBは、最初の3個の指示値Xが“100”であれば、残余の指示値Xの内容は不問である。したがって、例えば、図5の部分(E)においては、圧縮コードC0の第2部S2を、十進数の24を意味する“0011000”に設定したが、最初の3個の指示値Xが同じく“100”である既定コードCBの識別子D“0000001”(D=1)に設定した場合でも、駆動コード生成回路50が生成する駆動コードCDRの内容は共通する。
【0045】
また、圧縮コードC0の第1部S1で指定される個数n1が閾値Nthに合致する場合(n1+1+n2=48)、合成部68は、第1処理部64が生成した連続コードCAと第2処理部66が生成した既定コードCBとの間に数値“0”の指示値Xを挿入することで、48個の指示値Xで構成される駆動コードCDRを生成する。すなわち、既定コードCBに後続する指示値X(数値“0”)の付加や既定コードCBの部分的な破棄は実行されない。
【0046】
以上の形態においては、駆動コードCDRを圧縮した圧縮コードC0が記憶回路52に格納されるから、駆動コードCDRを非圧縮のままで記憶回路52に格納して階調データDの変換に利用する構成と比較して、記憶回路52に必要な容量が削減されるという利点がある。さらに、圧縮コードC0の第2部S2は既定コードCBの識別子Dであるから、圧縮コードC0の第2部S2が第2区間f2内の電圧印加パターンを指定する特許文献2の構成と比較して、圧縮コードC0のデータ量(さらには記憶回路52に必要な容量)が削減されるという利点がある。圧縮コードC0のデータ量の削減の効果は、第2区間f2を構成するサブフィールドSFの個数が増加するほど顕著となる。階調の刻み幅を縮小して階調数を増加させるためには第2区間f2内のサブフィールドSFの個数を増加させる必要があるから、第1実施形態によれば、記憶回路52に必要な容量を削減しながら多階調化を有効に実現できるという利点がある。
【0047】
また、個数n1が閾値Nthを下回る場合には数値“0”の指示値Xが付加され、個数n1が閾値Nthを上回る場合には既定コードCBが部分的に破棄(無視)されるから、数値“0”の付加や既定コードCBの部分の破棄を圧縮コードC0にて規定する必要はない。したがって、数値“0”の付加や既定コードCBの部分的な破棄を圧縮コードC0にて指定する構成と比較して圧縮コードC0のデータ量が削減されるという効果がある。また、連続コードCAと既定コードCBとの間には境界サブフィールドSFに対応する数値“0”の指示値Xが自動的に付加されるから、境界サブフィールドSFの電圧を圧縮コードC0にて指定する構成と比較して圧縮コードC0のデータ量を削減することが可能である。
【0048】
<B:第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態においては、表示パネル10の動作中に制御回路40が出力する階調データGを展開部76が順次に駆動コードCDRに展開した。第2実施形態においては、表示パネル10の動作の開始前(例えば表示装置100の電源の投入の直後)に各階調の駆動コードCDRが展開される。なお、以下の各形態において作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、以上と同じ符号を付して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0049】
第2実施形態では、第1実施形態の駆動コード生成回路50に代えて図8の駆動コード生成回路70が採用される。図8に示すように、駆動コード生成回路70には温度検出体15が接続される。温度検出体15は、表示パネル10の各部(理想的には液晶素子24)や表示パネル10の周囲の温度Tを検出するセンサであり、表示パネル10を構成する要素(例えば基板)や表示パネル10を収容する筐体に設置される。例えば、周囲の温度Tに応じて抵抗値が変化する抵抗体(サーミスタ)が温度検出体15として採用される。
【0050】
図8に示すように、駆動コード生成回路70は、記憶回路72と選択部74と展開部76と記憶部82と変換部84とを含んで構成される。記憶回路72は、温度T毎(実際には温度Tの範囲毎)に複数のテーブルLを記憶するメモリ(例えばROM)である。1個のテーブルLは、図4と同様の構造の第1テーブルL1と図6と同様の構造の第2テーブルL2とで構成される。すなわち、記憶回路72は、複数の第1テーブルL1と複数の第2テーブルL2とを記憶する。
【0051】
液晶素子24の挙動は温度Tに依存するから、階調データGの各階調と液晶素子24からの出射光量とが所期の関係を満たすための電圧印加パターン(駆動コードCDR)は温度Tに応じて変化する。特定の温度Tに対応するテーブルLの第1テーブルL1および第2テーブルL2は、当該温度Tのもとで決定された256種類の駆動コードCDRを生成できる内容に設定される。したがって、第1テーブルL1および第2テーブルL2の内容はテーブルL毎(すなわち温度T毎)に相違する。
【0052】
図8の選択部74は、表示パネル10の動作の開始前(例えば電源の投入の直後)に、記憶回路72内の複数のテーブルLのうち温度検出体15が検出した温度Tに対応したテーブルLを選択する。展開部76は、選択部74が選択したテーブルLの第1テーブルL1に格納された256種類の圧縮コードC0の各々を展開する。圧縮コードC0の展開には、第1実施形態と同様の方法が採用される。すなわち、展開部76は、圧縮コードC0の第1部S1が指定する個数n1だけ数値“1”の指示値Xを配列した連続コードCAと、第2テーブルL2のうち圧縮コードC0の第2部S2が指定する識別子Dに対応した既定コードCBとから駆動コードCDRを生成する。
【0053】
記憶部82は、展開部76による展開後の256種類の駆動コードCDRを記憶する。すなわち、駆動コードCDRを階調毎に配列したテーブル(すなわち、階調データGと駆動コードCDRとを対応させるルックアップテーブル)L3が表示パネル10の動作の開始前に記憶部82に生成される。変換部84は、表示パネル10の動作の開始後に制御回路40から順次に供給される階調データGを駆動コードCDRに変換する。すなわち、変換部84は、階調データGに対応する駆動コードCDRを記憶部82のテーブルL3から検索して順次に信号線駆動回路34に出力する。
【0054】
以上の構成においては、相異なる温度Tに対応する複数のテーブルLのうち実際の温度Tに対応したテーブルLのみが展開されるから、複数のテーブルLの各々が階調毎の駆動コードCDRを非圧縮のままで格納する構成と比較して、記憶回路72に必要な容量が削減されるという利点がある。さらに、圧縮コードC0の第2部S2は既定コードCBの識別子Dであるから、第1実施形態と同様に、圧縮コードC0のデータ量を効果的に削減できるという利点がある。第2実施形態においては複数のテーブルLが記憶回路72に格納されるから、圧縮コードC0のデータ量の削減の効果は格別に顕著である。
【0055】
<C:変形例>
以上の各形態は様々に変形される。各形態に対する変形の具体的な態様を以下に例示する。なお、以下の例示から任意に選択された2以上の態様は適宜に併合され得る。
【0056】
(1)変形例1
以上の各形態における第1区間f1と第2区間f2と第3区間f3との順番(さらには連続コードCAと既定コードCBとの先後)は適宜に変更される。例えば、第3区間f3が第2区間f2に先行するとともに第2区間f2が第1区間f1に先行する構成も採用される。展開部(54,76)は、連続コードCAの直前に境界サブフィールドSFに対応する“0”の指示値Xを付加し、当該指示値Xの直前に既定コードCBを連結し、既定コードCBの直前に“0”の指示値X(第3区間f3に対応する指示値X)を付加することで、48個の指示値Xで構成される駆動コードCDRを生成する。また、第1区間f1と第2区間f2との間に第3区間f3が介挿された構成においては、連続コードCAと既定コードCBとの間に適切な個数の数値“0”が配置される。
【0057】
(2)変形例2
以上の各形態においては、個数n1が閾値Nthを上回る場合に既定コードCBを部分的に破棄したが、閾値Nthを上回る個数n1に対応した個数((48−n1−1)個)の指示値Xで構成される既定コードCBを第2テーブルL2に格納して駆動コードCDRの生成に利用する構成(すなわち、指示値Xの個数が相異なる複数の既定コードCBを記憶した構成)も採用される。また、以上の形態においては、個数n1が閾値Nthを下回る場合に、指示値Xの個数が48個となるように数値“0”の指示値Xを補填したが、指示値Xの不足分(補填される数値“0”の個数)を圧縮コードC0にて指定する構成も採用される。
【0058】
(3)変形例3
第2実施形態においては温度Tに応じてテーブルLを選択したが、テーブルLの選択の基準は温度Tに限定されない。例えば、表示パネル10の周囲の照度に応じて複数のテーブルLの何れかを選択する構成も採用される。また、液晶素子24の表示色毎(例えばRGBの各色毎)に第1テーブルL1と第2テーブルL2を用意した構成や、相異なるテーブルLから生成された複数のテーブルL3を駆動コードCDRの生成に選択的に利用することで擬似輪郭を抑制する構成も採用される。以上の各構成においては、記憶回路(52,72)に多数のテーブルを格納する必要があるから、圧縮コードC0のデータ量が削減されるという本発明の効果は格別に有効である。
【0059】
(4)変形例4
以上の各形態においては圧縮コードC0の第1部S1がオン電圧を印加するサブフィールドSFの個数n1を指定したが、オフ電圧を印加するサブフィールドSFの個数を第1部S1が指定する構成も採用される。
【0060】
(5)変形例5
画像の表示に利用される表示素子は液晶素子24に限定されない。本発明の表示装置に適用される表示素子について、自身が発光する自発光型と外光の透過率や反射率を変化させる非発光型(例えば液晶素子24)との区別や、電流の供給によって駆動される電流駆動型と電界(電圧)の印加によって駆動される電圧駆動型との区別は不問である。例えば、有機EL素子,無機EL素子,電界電子放出素子(FE(Field-Emission)素子),表面伝導型電子放出素子(SE(Surface conduction Electron emitter)素子),弾道電子放出素子(BS(Ballistic electron Emitting)素子),LED(Light Emitting Diode)素子,電気泳動素子,エレクトロクロミック素子など様々な表示素子を利用した表示装置に本発明は適用される。すなわち、表示素子は、電気的な作用(電流の供給や電圧の印加)に応じて光学的な特性(階調)が変化する電気光学素子として包括される。
【0061】
<D:応用例>
次に、以上の各態様に係る表示装置100を利用した電子機器について説明する。図9は、表示装置100を採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、各種の画像を表示する表示装置100と、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具備する。
【0062】
図10は、表示装置100を適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画像を表示する表示装置100とを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、表示装置100に表示される画面がスクロールされる。
【0063】
図11は、表示装置100を適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す斜視図である。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002と、各種の画像を表示する表示装置100とを備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった様々な情報が表示装置100に表示される。
【0064】
なお、本発明に係る表示装置100が適用される電子機器としては、図9から図11に例示した機器のほか、デジタルスチルカメラ,テレビ,ビデオカメラ,カーナビゲーション装置,ページャ,電子手帳,電子ペーパー,電卓,ワードプロセッサ,ワークステーション,テレビ電話,POS端末,プリンタ,スキャナ,複写機,ビデオプレーヤ,タッチパネルを備えた機器などが挙げられる。
【符号の説明】
【0065】
100……表示装置、10……表示パネル、15……温度検出体、20……画素部、22……画素回路、24……液晶素子、26……走査線、28……信号線、30……駆動回路、32……走査線駆動回路、34……信号線駆動回路、40……制御回路、50,70……駆動コード生成回路、52,72……記憶回路、54,76……展開部、62,74……選択部、64……第1処理部、66……第2処理部、68……合成部、82……記憶部、84……変換部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブフィールド駆動で階調を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
フィールドを区分した複数のサブフィールドの各々においてオン電圧またはオフ電圧を選択的に表示素子(例えば液晶素子)に印加するサブフィールド駆動が従来から提案されている(例えば特許文献1)。また、特許文献2には、オン電圧またはオフ電圧をサブフィールド毎に指示するコード(以下「駆動コード」という)を圧縮した状態で階調毎に記憶回路に記憶する技術が開示されている。
【0003】
特許文献2における圧縮済のコード(以下「圧縮コード」という)は、オン電圧を印加するサブフィールドがフィールド内で連続する個数を指定する第1部と、当該フィールド内の残余のサブフィールド毎にオン電圧またはオフ電圧を指定する第2部とを含んで構成される。したがって、駆動コードを非圧縮のままで記憶する構成と比較して、記憶回路に必要な容量が削減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−114661号公報
【0005】
【特許文献2】特開2008−241975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2における圧縮コードの第2部はサブフィールド毎に電圧(オン電圧/オフ電圧)を指定するから、多階調化の実現のためにフィールド内のサブフィールドの総数を増加させると、第2部のデータ量がサブフィールドの総数に比例して増加する。したがって、記憶回路に必要な容量を充分に削減できない場合がある。以上の事情を背景として、本発明は、駆動コードを圧縮した圧縮コードのデータ量を有効に削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、本発明に係る表示装置は、フィールドを区分した複数のサブフィールドの各々において表示素子に第1電圧または第2電圧を印加することで階調を表示する表示装置であって、第1電圧および第2電圧の何れかを指定する指示値が配列された既定コードを識別子毎に記憶する既定コード記憶手段と、指示値の個数(サブフィールドの個数)を指定する第1部と既定コードの識別子を指定する第2部とを含む圧縮コードを階調毎に記憶する圧縮コード記憶手段と、圧縮コードの第1部が指定する個数だけ第1電圧を指定する指示値を配列した連続コードと、圧縮コードの第2部が指定する識別子に対応した既定コードとに応じた駆動コードを生成する展開手段と、展開手段が表示素子の指定階調について生成した駆動コードに基づいて、第1電圧および第2電圧の何れかをフィールド内のサブフィールド毎に当該表示素子に印加する駆動回路とを具備する。本発明の表示装置は、各種の電子機器(例えばパーソナルコンピュータや携帯電話機)に利用される。
【0008】
以上の構成においては、駆動コードを圧縮した圧縮コードが圧縮コード記憶手段に格納されるから、駆動コードを非圧縮のままで記憶する構成と比較して、圧縮コード記憶手段に必要な容量を削減できる。また、圧縮コードの第2部は既定コードの識別子であるから、圧縮コードの第2部がサブフィールド毎の電圧を指定する特許文献2の構成と比較して、圧縮コードのデータ量(さらには圧縮コード記憶手段に必要な容量)を有効に削減できるという利点もある。以上の効果は、多階調化の実現のためにフィールド内のサブフィールドの総数を増加させた場合に格別に顕著となる。
【0009】
なお、圧縮コード記憶手段および既定コード記憶手段は、別個の記憶回路として実装され得るが、単一の記憶回路に設定された別個の記憶領域としても構成され得る。また、階調の指定(階調データの供給)のたびに展開部が当該階調に対応する圧縮コードを順次に展開する構成(例えば後述の第1実施形態)と、各階調に対応する圧縮コードを事前(例えば表示素子の駆動の開始前)に展開部が展開しておく構成(例えば後述の第2実施形態)の双方が以上の発明の範囲に含まれる。
【0010】
本発明の好適な態様において、展開手段は、圧縮コードの第1部が指定する個数が所定値を上回る場合に、連続コードと既定コードの一部分とを配列することで、所定個の指示値で構成される駆動コードを生成する。また、別の好適な態様において、展開手段は、圧縮コードの第1部が指定する個数が所定値を下回る場合に、連続コードおよび既定コードと第2電圧を指定する1以上の指示値とを配列することで、所定個の指示値で構成される駆動コードを生成する。以上の態様においては、圧縮コードのデータ量を低減しながら、所期の個数の指示値で構成される駆動コードを生成できるという利点がある。また、第2電圧を指定する指示値を連続コードと既定コードとの間に配置することで展開手段が駆動コードを生成する構成も好適である。
【0011】
本発明の好適な態様において、圧縮コード記憶手段が記憶する2以上の圧縮コードの第2部は共通の識別子を指定する。以上の態様においては、2以上の階調の駆動コードの生成に共通の既定コードが利用されるから、階調数よりも少ない個数の既定コードで駆動コードを生成することが可能である。したがって、各階調について既定コードが必要な構成と比較して、既定コード記憶手段に必要な容量が削減されるという利点がある。
【0012】
本発明の好適な態様において、圧縮コード記憶手段は、階調毎に圧縮コードが設定された複数の第1テーブルを記憶し、既定コード記憶手段は、識別子毎に既定コードが設定された複数の第2テーブルを記憶し、複数の第1テーブルの何れかと複数の第2テーブルの何れかとを選択する選択手段を具備し、展開手段は、選択手段が選択した第1テーブルおよび第2テーブルを利用して駆動コードを生成する。以上の態様においては、複数の第1テーブルの何れかと複数の第2テーブルの何れかとが駆動コードの生成のために選択されるから、指定階調と駆動コードとの関係を適宜に変更することが可能である。例えば、表示パネルの動作温度(表示パネルの温度や表示パネルの周囲の温度)を検出する温度検出体が設置され、選択手段は、温度検出体が検出した温度に応じて第1テーブルと第2テーブルとを選択する。
【0013】
本発明は、表示素子に印加される電圧として第1電圧および第2電圧の何れかを指定する指示値をフィールド内の各サブフィールドについて配列した駆動コードを生成する回路(駆動コード生成回路)としても特定される。本発明の駆動コード生成回路は、第1電圧および第2電圧の何れかを指定する指示値が配列された既定コードを識別子毎に記憶する既定コード記憶手段と、指示値の個数を指定する第1部と既定コードの識別子を指定する第2部とを含む圧縮コードを階調毎に記憶する圧縮コード記憶手段と、圧縮コードの第1部が指定する個数だけ第1電圧を指定する指示値を配列した連続コードと、圧縮コードの第2部が指定する識別子に対応した既定コードとに応じた駆動コードを生成する展開手段とを具備する。以上の駆動コード生成回路によれば、本発明の表示装置と同様の効果が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係る表示装置のブロック図である。
【図2】各サブフィールドと駆動コードの各指示値との関係を示す概念図である。
【図3】図1における駆動コード生成回路のブロック図である。
【図4】第1テーブルの模式図である。
【図5】駆動コードと圧縮コードとの関係を例示する概念図である。
【図6】第2テーブルの模式図である。
【図7】図3における展開部のブロック図である。
【図8】第2実施形態における駆動コード生成回路のブロック図である。
【図9】電子機器(パーソナルコンピュータ)の斜視図である。
【図10】電子機器(携帯電話機)の斜視図である。
【図11】電子機器(携帯情報端末)の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<A:第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る表示装置100のブロック図である。図1に示すように、表示装置100は、表示パネル10と制御回路40と駆動コード生成回路50とを具備する。制御回路40および駆動コード生成回路50は、例えば、表示パネル10を構成する基板の面上や、液晶パネルに接合された配線基板の面上に実装される。なお、制御回路40と駆動コード生成回路50とは単一の集積回路としても構成され得る。
【0016】
表示パネル10は、複数の画素回路22が配列する画素部(表示領域)20と、各画素回路22を駆動する駆動回路30とを含んで構成される。画素部20には、相互に交差する方向に延在するM本の走査線26とN本の信号線28とが形成される(M,Nは自然数)。各画素回路22は、走査線26と信号線28との各交差に対応した位置に配置されて縦M行×横N列の行列状に配列する。各画素回路22は、両端間の電圧(画素電極と対向電極との電位差)に応じて液晶の透過率が変化する液晶素子24を含む。液晶素子24の両端間の電圧は、走査線26が選択されたときの信号線28の電圧に応じて設定される。
【0017】
駆動回路30は、複数の画素回路22の各々を駆動することで各液晶素子24の透過率(反射率)を制御する。駆動回路30による各画素回路22(液晶素子24)の駆動にはサブフィールド駆動が採用される。すなわち、駆動回路30は、図2に示すように、所定長の各フィールドFを分割した48個のサブフィールドSF(SF1〜SF48)の各々において各画素回路22の液晶素子24にオン電圧およびオフ電圧の何れかを選択的に印加する。オン電圧は、液晶素子24の透過率を変化させる電圧(例えば液晶素子24を点灯させる電圧)であり、オフ電圧は、液晶素子24の両端間の電圧がオン電圧の印加時を下回るように設定された電圧(例えば液晶素子24を消灯させる電圧)である。なお、フィールドF内のサブフィールドSFの個数は適宜に変更され得る。
【0018】
図2に示すように、各サブフィールドSF(SF1〜SF48)の時間長は共通する。具体的には、各サブフィールドSFは、液晶素子24にオン電圧またはオフ電圧を印加し始めてから液晶素子24の透過率(反射率)が飽和するまでの時間よりも短い時間長に設定される。以上のようなサブフィールドSFの設定については特許文献1に詳細に開示されている。
【0019】
図1の制御回路40は、各種の信号を生成および出力することで表示装置100の全体の動作を制御する。制御回路40には上位装置(図示略)から映像信号VIDが供給される。制御回路40は、例えば、フィールドFや各サブフィールドSFを規定する制御信号(同期信号)を生成して駆動回路30や駆動コード生成回路50に供給する。また、制御回路40は、各画素回路22の階調を指定する階調データGを映像信号VIDから生成して駆動コード生成回路50に順次に供給する。階調データGは、例えば、映像信号VIDが指定する階調に所定の補正処理(例えばガンマ補正)を実行することで生成される。本実施形態の階調データGは、256段階の階調の何れかを指定する8ビットのデータである。
【0020】
駆動コード生成回路50は、制御回路40から順次に供給される階調データGを駆動コードCDRに変換する。図2の部分(A)から部分(E)に例示されるように、駆動コードCDRは、フィールドF内の48個のサブフィールドSF1〜SF48の各々に対応する48個の指示値Xの系列である。各サブフィールドSFに対応する指示値Xは、当該サブフィールドSFにて液晶素子24に印加される電圧をオン電圧およびオフ電圧の何れか(液晶素子24の点灯および消灯の何れか)に指定する数値である。具体的には、指示値Xは、オン電圧を指定する数値“1”とオフ電圧を指定する数値“0”との何れかに設定される。したがって、駆動コードCDRは48ビットで構成され得る。図2や後掲の図5においては、斜線を付した矩形が数値“1”を意味し、斜線のない矩形が数値“0”を意味する。駆動コード生成回路50が生成した駆動コードCDRは駆動回路30に順次に供給される。
【0021】
階調データGが示す階調と1個のフィールドFにおける液晶素子24からの出射光量(透過率の時間積分値)とが所望の関係(階調−輝度特性)を満たすように駆動コードCDRの内容は実験的に選定される。すなわち、1個のフィールドFのうちオン電圧を印加するサブフィールドSFとオフ電圧を印加するサブフィールドSFとの個数比や各々の配列(以下では「電圧印加パターン」と総称する)を変化させた複数の場合の各々について液晶素子24からの出射光量(透過率の時間積分値)を順次に測定し、複数の電圧印加パターンのうち階調データGが示す各階調に対応した出射光量が得られる256種類の電圧印加パターンを抽出したうえで、抽出後の各電圧印加パターンに対応した駆動コードCDR(階調データGが指定し得る各階調に対応した256種類の駆動コードCDR)が決定される。
【0022】
具体的には、1個のフィールドFのうち液晶素子24にオン電圧(またはオフ電圧)を印加する時間の割合が各画素回路22の階調データGに応じた割合となるように、階調データGが示す階調毎に駆動コードCDRの各指示値Xが決定される。例えば、液晶素子24をノーマリーホワイトモードに設定した構成では、階調データGの階調が高いほど、液晶素子24にオン電圧を印加するサブフィールドSFの個数が少なくなる(すなわち、オン電圧の印加で液晶素子24の透過率が低下する時間長が短くなる)ように駆動コードCDRが決定される。他方、液晶素子24をノーマリーブラックモードに設定した構成では、階調データGの指定する階調が高いほど、液晶素子24にオン電圧を印加するサブフィールドSFの個数が多くなるように駆動コードCDRが生成される。
【0023】
図2に例示された駆動コードCDRの各指示値XにフィールドFの各サブフィールドSFを便宜的に対応させて併記したように、1個のフィールドFは、概略的には第1区間f1と第2区間f2と第3区間f3とに区分される。第1区間f1は、液晶素子24にオン電圧を印加するサブフィールドSFがフィールドFの先頭(サブフィールドSF1)から連続する区間である。第1区間f1を構成するサブフィールドSFの個数n1は、ゼロ以上かつ48(フィールドF内のサブフィールドSFの総数)以下の範囲内で階調データGに応じて可変に設定される。第1区間f1がフィールドFの全部にわたる場合(第1区間f1を構成するサブフィールドSFが48個である場合)を除き、第1区間f1の直後のサブフィールド(以下では特に「境界サブフィールド」と表記する場合がある)SFは、液晶素子24にオフ電圧を印加するサブフィールドSFとなる。
【0024】
第2区間f2は、液晶素子24にオン電圧を印加するサブフィールドSFとオフ電圧を印加するサブフィールドSFとが階調データGに応じた個数比および配列で混在する区間である。図2の部分(A)から部分(C)の例示のように、第2区間f2は、基本的には、境界サブフィールドSFの直後のn2個(本実施形態では12個)のサブフィールドSFで構成される。個数n2は固定値である。ただし、図2の部分(D)および部分(E)の例示のように、1個のフィールドFのうち第1区間f1のn1個のサブフィールドSFと1個の境界サブフィールドSFとを除外したサブフィールドSFの個数(48−n1−1)がn2個を下回る場合(48−n1−1<n2)、すなわち、第1区間f1内のサブフィールドSFの個数n1が所定の閾値Nth(Nth=47−n2)を上回る場合には、境界サブフィールドSFに後続する残余の各サブフィールドSF(n2個を下回る個数のサブフィールドSF)で第2区間f2が構成される。
【0025】
第3区間f3は、液晶素子24にオフ電圧を印加するサブフィールドSFが第2区間f2の直後から連続する区間である。図2の部分(A)から部分(C)の例示のように、第3区間f3は、基本的には、1個のフィールドFのうち第1区間f1と境界サブフィールドSFと第2区間f2とを除外した残余のサブフィールドSF((48−n1−1−n2)個のサブフィールドSF)で構成される。したがって、第1区間f1の個数n1と境界サブフィールドSFの個数(1個)と第2区間f2の個数n2との合計(n1+1+n2)がフィールドF内のサブフィールドSFの総数以上である場合、すなわち、第1区間f1内のサブフィールドSFの個数n1が所定の閾値Nth(Nth=47−n2)以上である場合には、フィールドF内に第3区間f3は設定されない。つまり、個数n1が閾値Nthを下回る場合に第3区間f3が設定される。
【0026】
図1の駆動回路30は、駆動コード生成回路50が生成する駆動コードCDRを利用して各画素回路22(液晶素子24)を駆動する。すなわち、駆動回路30は、各画素回路22の駆動コードCDRにて指示値Xが数値“1”に設定されたサブフィールドSFでは当該画素回路22の液晶素子24にオン電圧を印加し、指示値Xが数値“0”に設定されたサブフィールドSFでは液晶素子24にオフ電圧を印加する。
【0027】
図1に示すように、駆動回路30は、走査線駆動回路32と信号線駆動回路34とを含んで構成される。走査線駆動回路32は、各フィールドF内のサブフィールドSF毎にM本の走査線26の各々(各行のN個の画素回路22の集合)を順次に選択する。すなわち、1本の走査線26について1個のフィールドF内に48回の選択が実行される。
【0028】
信号線駆動回路34は、走査線駆動回路32による各走査線26の選択に同期して駆動コードCDRの各指示値Xに応じた電圧(オン電圧/オフ電圧)を各信号線28に出力する。具体的には、1個のサブフィールドSFのうち第i行(i=1〜M)の走査線26が選択される期間において、信号線駆動回路34は、第i行の第j列(j=1〜N)に位置する画素回路22の階調データGを変換した駆動コードCDRのうち当該サブフィールドSFの指示値Xが示す電圧を第j列の信号線28に出力する。第i行の走査線26の選択時に第j列の信号線28に出力された電圧は、第i行の第j列に位置する画素回路22の液晶素子24に印加される。したがって、各画素回路22の液晶素子24は、フィールドFを単位として階調データGに応じた階調(透過率)に制御される。
【0029】
図3は、図1の駆動コード生成回路50の具体的なブロック図である。図3に示すように、駆動コード生成回路50は、記憶回路52と展開部54とを含んで構成される。記憶回路52は、第1テーブルL1と第2テーブルL2とを記憶するメモリ(例えばROM)である。
【0030】
図4は、第1テーブルL1の模式図である。図4に示すように、第1テーブルL1は、各階調の駆動コードCDRを所定の規則で圧縮した圧縮コードC0を階調データGの階調毎に配列したルックアップテーブル(すなわち、階調データGと圧縮コードC0とを対応させるテーブル)である。階調データは256段階の階調(0〜255)の何れかを指定するから、各階調に対応する256種類の圧縮コードC0が第1テーブルL1に格納される。
【0031】
図4に示すように、圧縮コードC0は、第1部S1と第2部S2とを含んで構成される。第1部S1は、第1区間f1を構成するサブフィールドSFの個数n1を指定する。第1区間f1を構成するサブフィールドSFの個数n1の最大値(n1=48)を指定し得るように、圧縮コードC0の第1部S1は6ビット(固定長)で構成される。
【0032】
図5は、図2の部分(A)から部分(E)に例示した駆動コードCDRと各々を圧縮した圧縮コードC0とを併記した模式図である。図5の部分(A)の駆動コードCDRのように第1区間f1内のサブフィールドSFが1個である階調の圧縮コードC0における第1部S1は、十進数の1を示す“000001”に設定される。また、図5の部分(B)のように第1区間f1内のサブフィールドSFが10個である階調の圧縮コードC0の第1部S1は、十進数の10を示す“001010”に設定される。他の階調に対応する圧縮コードC0の第1部S1も同様の規則で設定される。
【0033】
次に、図6は、第2テーブルL2の模式図である。図6に示すように、第2テーブルL2は、複数種の既定コードCBを識別子D毎に配列したルックアップテーブル(すなわち、識別子Dと既定コードCBとを対応させるテーブル)である。識別子Dは、複数の既定コードCBの何れかを識別するために各既定コードCBに固有に付与された符号(番号)である。図4における圧縮コードC0の第2部S2は、第2テーブルL2内の複数の既定コードCBの何れかの識別子Dを指定する。
【0034】
既定コードCBは、第2区間f2内のn2個のサブフィールドSFの各々についてオン電圧およびオフ電圧を指定するn2個の指示値Xの系列である。既定コードCBの各指示値Xは、駆動コードCDRについて前述したように、オン電圧を指定する数値“1”とオフ電圧を指定する数値“0”との何れかに設定される。したがって、既定コードCBはn2ビット(本実施形態は12ビット)で構成され得る。
【0035】
既定コードCBは、駆動コードCDRのうち第2区間f2内の各サブフィールドSFに対応する部分として利用される。例えば、図6において識別子Dが25に設定された既定コードCBは、図5の部分(A)の駆動コードCDRのうち第2区間f2に対応する部分として利用される。また、識別子Dが62に設定された既定コードCBは、図5の部分(B)の駆動コードCDRのうち第2区間f2に対応する部分として利用される。
【0036】
図5の部分(B)の駆動コードCDRと部分(C)の駆動コードCDRとで例示されるように、相異なる階調を表示する場合であっても第2区間f2内の電圧印加パターンは共通する場合がある。すなわち、1個の既定コードCBは、相異なる階調に対応する複数の駆動コードCDRにて第2区間f2に対応する部分として共用され得る。つまり、第1テーブルL1における2以上の圧縮コードC0の第2部S2は共通の識別子Dを指定する。以上のように各既定コードCBは複数の駆動コードCDRにて共用されるから、第2テーブルL2に格納される既定パターンCBの個数は、階調データGが指定し得る階調の総数よりも少ない。具体的には、階調データGが指定する階調数は256種類であるのに対し、第2テーブルL2に格納される既定パターンCBの総数は128種類である。以上の128種類の既定パターンCBの各々を区別できるように、圧縮コードC0の第2部S2(識別子D)は7ビット(固定長)で構成される。すなわち、1個の圧縮コードC0は13ビット(固定長)で構成される。
【0037】
また、第2テーブルL2は、数値“1”の指示値Xの個数は共通するが当該指示値Xの位置(オン電圧を印加するサブフィールドSFの位置)が相違する複数の既定コードCBを含む。例えば、図6において識別子Dが1ないし3に設定された各既定コードCBは、数値“1”の指示値Xの個数は共通に1個であるが当該指示値Xの位置が相違する。前述のように各サブフィールドSFの時間長は液晶素子24の透過率が飽和するまでの時間を下回るから、第2区間f2のうちオン電圧を印加するサブフィールドSFの個数が共通する場合でも、当該サブフィールドSFの位置が相違するならば、フィールドF内の液晶素子24の出射光量(階調)は相違する。したがって、第2テーブルL2のうち数値“1”の個数が共通して位置が相違する複数の既定コードCBは、相異なる階調を表示するために利用され得る。
【0038】
図3の展開部54は、制御回路40から順次に供給される階調データGに対応する駆動コードCDRを、第1テーブルL1と第2テーブルL2とを利用して生成する。図7は、展開部54の具体的なブロック図である。図7に示すように、展開部54は、選択部62と第1処理部64と第2処理部66と合成部68とを含んで構成される。選択部62は、第1テーブルL1に格納された256種類の圧縮コードC0のうち制御回路40から供給される階調データGに対応する圧縮コードC0を選択する。
【0039】
第1処理部64は、図7に示すように、選択部62が選択した圧縮コードC0のうち第1部S1が指定する個数n1の数値“1”(オン電圧を指定する指示値X)を配列した連続コードCAを生成する。他方、第2処理部66は、第2テーブルL2に格納された128種類の既定コードCBのうち選択部62が選択した圧縮コードC0の第2部S2が指定する識別子Dに対応した既定コードCBを選択する。合成部68は、図7に示すように、第1処理部64が生成した連続コードCAと第2処理部66が選択した既定コードCBとから駆動コードCDRを生成する。駆動コードCDRの生成の方法を以下に詳述する。
【0040】
圧縮コードC0の第1部S1で指定される個数n1が閾値Nth(Nth=47−n2)を下回る場合、合成部68は、境界サブフィールドSFに対応する数値“0”の指示値Xを連続コードCAと既定コードCBとの間に介挿するとともに既定コードCBの直後に(48−n1−1−n2)個の数値“0”の指示値Xを付加することで、48個の指示値Xで構成される駆動コードCDRを生成する。既定コードCBの直後に付加される数値“0”の指示値Xは、第3区間f3の各サブフィールドSFにおけるオフ電圧の印加を指示する。
【0041】
例えば、図5の部分(B)に示すように、階調データGに対応する圧縮コードC0の第1部S1が“001010”(n1=10)であり、第2部S2が“0111110”(D=62)である場合、数値“1”の10個の指示値Xが配列された連続コードCAを第1処理部64が生成し、識別子Dが62である既定コードCBを第2処理部66が図6の第2テーブルL2から特定する。そして、合成部68は、連続コードCAと既定コードCBとの間に数値“0”の指示値Xを挿入するとともに既定コードCBの直後に数値“0”の25(=48−10−1−12)個の指示値Xを付加することで、図5の部分(B)の駆動コードCDRを生成する。
【0042】
他方、圧縮コードC0の第1部S1で指定される個数n1が閾値Nthを上回る場合、合成部68は、境界サブフィールドSFに対応する数値“0”の指示値Xを連続コードCAと既定コードCBとの間に介挿するとともに既定コードCBのうち後方の(n1+1+n2−48)個の指示値Xを破棄することで、48個の指示値Xで構成される駆動コードCDRを生成する。すなわち、個数n1が閾値Nthを上回る場合の駆動コードCDRは、第3区間f3に対応する指示値Xを含まない。
【0043】
例えば、図5の部分(D)に示すように、階調データGに対応する圧縮コードC0の第1部S1が“101000”(n1=40)であり、第2部S2が“0011000”(D=24)である場合、数値“1”の40個の指示値Xが配列された連続コードCAを第1処理部64が生成し、識別子Dが24である既定コードCBを第2処理部66が図6の第2テーブルL2から特定する。そして、合成部68は、連続コードCAと既定コードCBとの間に数値“0”の指示値Xを挿入するとともに既定コードCBのうちの後方の5(=40+1+12−48)個の指示値Xを破棄することで、図5の部分(D)の駆動コードCDRを生成する。
【0044】
なお、以上のように個数n1が閾値Nthを上回る場合には既定コードCBが部分的に破棄されるから、既定コードCBのうち破棄される部分の内容は任意である。例えば、図5の部分(E)のように個数n1が44個である場合には既定コードCBのうち後方の9個の指示値Xが破棄されるから、圧縮コードC0の第2部S2で指定される既定コードCBは、最初の3個の指示値Xが“100”であれば、残余の指示値Xの内容は不問である。したがって、例えば、図5の部分(E)においては、圧縮コードC0の第2部S2を、十進数の24を意味する“0011000”に設定したが、最初の3個の指示値Xが同じく“100”である既定コードCBの識別子D“0000001”(D=1)に設定した場合でも、駆動コード生成回路50が生成する駆動コードCDRの内容は共通する。
【0045】
また、圧縮コードC0の第1部S1で指定される個数n1が閾値Nthに合致する場合(n1+1+n2=48)、合成部68は、第1処理部64が生成した連続コードCAと第2処理部66が生成した既定コードCBとの間に数値“0”の指示値Xを挿入することで、48個の指示値Xで構成される駆動コードCDRを生成する。すなわち、既定コードCBに後続する指示値X(数値“0”)の付加や既定コードCBの部分的な破棄は実行されない。
【0046】
以上の形態においては、駆動コードCDRを圧縮した圧縮コードC0が記憶回路52に格納されるから、駆動コードCDRを非圧縮のままで記憶回路52に格納して階調データDの変換に利用する構成と比較して、記憶回路52に必要な容量が削減されるという利点がある。さらに、圧縮コードC0の第2部S2は既定コードCBの識別子Dであるから、圧縮コードC0の第2部S2が第2区間f2内の電圧印加パターンを指定する特許文献2の構成と比較して、圧縮コードC0のデータ量(さらには記憶回路52に必要な容量)が削減されるという利点がある。圧縮コードC0のデータ量の削減の効果は、第2区間f2を構成するサブフィールドSFの個数が増加するほど顕著となる。階調の刻み幅を縮小して階調数を増加させるためには第2区間f2内のサブフィールドSFの個数を増加させる必要があるから、第1実施形態によれば、記憶回路52に必要な容量を削減しながら多階調化を有効に実現できるという利点がある。
【0047】
また、個数n1が閾値Nthを下回る場合には数値“0”の指示値Xが付加され、個数n1が閾値Nthを上回る場合には既定コードCBが部分的に破棄(無視)されるから、数値“0”の付加や既定コードCBの部分の破棄を圧縮コードC0にて規定する必要はない。したがって、数値“0”の付加や既定コードCBの部分的な破棄を圧縮コードC0にて指定する構成と比較して圧縮コードC0のデータ量が削減されるという効果がある。また、連続コードCAと既定コードCBとの間には境界サブフィールドSFに対応する数値“0”の指示値Xが自動的に付加されるから、境界サブフィールドSFの電圧を圧縮コードC0にて指定する構成と比較して圧縮コードC0のデータ量を削減することが可能である。
【0048】
<B:第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態においては、表示パネル10の動作中に制御回路40が出力する階調データGを展開部76が順次に駆動コードCDRに展開した。第2実施形態においては、表示パネル10の動作の開始前(例えば表示装置100の電源の投入の直後)に各階調の駆動コードCDRが展開される。なお、以下の各形態において作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、以上と同じ符号を付して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0049】
第2実施形態では、第1実施形態の駆動コード生成回路50に代えて図8の駆動コード生成回路70が採用される。図8に示すように、駆動コード生成回路70には温度検出体15が接続される。温度検出体15は、表示パネル10の各部(理想的には液晶素子24)や表示パネル10の周囲の温度Tを検出するセンサであり、表示パネル10を構成する要素(例えば基板)や表示パネル10を収容する筐体に設置される。例えば、周囲の温度Tに応じて抵抗値が変化する抵抗体(サーミスタ)が温度検出体15として採用される。
【0050】
図8に示すように、駆動コード生成回路70は、記憶回路72と選択部74と展開部76と記憶部82と変換部84とを含んで構成される。記憶回路72は、温度T毎(実際には温度Tの範囲毎)に複数のテーブルLを記憶するメモリ(例えばROM)である。1個のテーブルLは、図4と同様の構造の第1テーブルL1と図6と同様の構造の第2テーブルL2とで構成される。すなわち、記憶回路72は、複数の第1テーブルL1と複数の第2テーブルL2とを記憶する。
【0051】
液晶素子24の挙動は温度Tに依存するから、階調データGの各階調と液晶素子24からの出射光量とが所期の関係を満たすための電圧印加パターン(駆動コードCDR)は温度Tに応じて変化する。特定の温度Tに対応するテーブルLの第1テーブルL1および第2テーブルL2は、当該温度Tのもとで決定された256種類の駆動コードCDRを生成できる内容に設定される。したがって、第1テーブルL1および第2テーブルL2の内容はテーブルL毎(すなわち温度T毎)に相違する。
【0052】
図8の選択部74は、表示パネル10の動作の開始前(例えば電源の投入の直後)に、記憶回路72内の複数のテーブルLのうち温度検出体15が検出した温度Tに対応したテーブルLを選択する。展開部76は、選択部74が選択したテーブルLの第1テーブルL1に格納された256種類の圧縮コードC0の各々を展開する。圧縮コードC0の展開には、第1実施形態と同様の方法が採用される。すなわち、展開部76は、圧縮コードC0の第1部S1が指定する個数n1だけ数値“1”の指示値Xを配列した連続コードCAと、第2テーブルL2のうち圧縮コードC0の第2部S2が指定する識別子Dに対応した既定コードCBとから駆動コードCDRを生成する。
【0053】
記憶部82は、展開部76による展開後の256種類の駆動コードCDRを記憶する。すなわち、駆動コードCDRを階調毎に配列したテーブル(すなわち、階調データGと駆動コードCDRとを対応させるルックアップテーブル)L3が表示パネル10の動作の開始前に記憶部82に生成される。変換部84は、表示パネル10の動作の開始後に制御回路40から順次に供給される階調データGを駆動コードCDRに変換する。すなわち、変換部84は、階調データGに対応する駆動コードCDRを記憶部82のテーブルL3から検索して順次に信号線駆動回路34に出力する。
【0054】
以上の構成においては、相異なる温度Tに対応する複数のテーブルLのうち実際の温度Tに対応したテーブルLのみが展開されるから、複数のテーブルLの各々が階調毎の駆動コードCDRを非圧縮のままで格納する構成と比較して、記憶回路72に必要な容量が削減されるという利点がある。さらに、圧縮コードC0の第2部S2は既定コードCBの識別子Dであるから、第1実施形態と同様に、圧縮コードC0のデータ量を効果的に削減できるという利点がある。第2実施形態においては複数のテーブルLが記憶回路72に格納されるから、圧縮コードC0のデータ量の削減の効果は格別に顕著である。
【0055】
<C:変形例>
以上の各形態は様々に変形される。各形態に対する変形の具体的な態様を以下に例示する。なお、以下の例示から任意に選択された2以上の態様は適宜に併合され得る。
【0056】
(1)変形例1
以上の各形態における第1区間f1と第2区間f2と第3区間f3との順番(さらには連続コードCAと既定コードCBとの先後)は適宜に変更される。例えば、第3区間f3が第2区間f2に先行するとともに第2区間f2が第1区間f1に先行する構成も採用される。展開部(54,76)は、連続コードCAの直前に境界サブフィールドSFに対応する“0”の指示値Xを付加し、当該指示値Xの直前に既定コードCBを連結し、既定コードCBの直前に“0”の指示値X(第3区間f3に対応する指示値X)を付加することで、48個の指示値Xで構成される駆動コードCDRを生成する。また、第1区間f1と第2区間f2との間に第3区間f3が介挿された構成においては、連続コードCAと既定コードCBとの間に適切な個数の数値“0”が配置される。
【0057】
(2)変形例2
以上の各形態においては、個数n1が閾値Nthを上回る場合に既定コードCBを部分的に破棄したが、閾値Nthを上回る個数n1に対応した個数((48−n1−1)個)の指示値Xで構成される既定コードCBを第2テーブルL2に格納して駆動コードCDRの生成に利用する構成(すなわち、指示値Xの個数が相異なる複数の既定コードCBを記憶した構成)も採用される。また、以上の形態においては、個数n1が閾値Nthを下回る場合に、指示値Xの個数が48個となるように数値“0”の指示値Xを補填したが、指示値Xの不足分(補填される数値“0”の個数)を圧縮コードC0にて指定する構成も採用される。
【0058】
(3)変形例3
第2実施形態においては温度Tに応じてテーブルLを選択したが、テーブルLの選択の基準は温度Tに限定されない。例えば、表示パネル10の周囲の照度に応じて複数のテーブルLの何れかを選択する構成も採用される。また、液晶素子24の表示色毎(例えばRGBの各色毎)に第1テーブルL1と第2テーブルL2を用意した構成や、相異なるテーブルLから生成された複数のテーブルL3を駆動コードCDRの生成に選択的に利用することで擬似輪郭を抑制する構成も採用される。以上の各構成においては、記憶回路(52,72)に多数のテーブルを格納する必要があるから、圧縮コードC0のデータ量が削減されるという本発明の効果は格別に有効である。
【0059】
(4)変形例4
以上の各形態においては圧縮コードC0の第1部S1がオン電圧を印加するサブフィールドSFの個数n1を指定したが、オフ電圧を印加するサブフィールドSFの個数を第1部S1が指定する構成も採用される。
【0060】
(5)変形例5
画像の表示に利用される表示素子は液晶素子24に限定されない。本発明の表示装置に適用される表示素子について、自身が発光する自発光型と外光の透過率や反射率を変化させる非発光型(例えば液晶素子24)との区別や、電流の供給によって駆動される電流駆動型と電界(電圧)の印加によって駆動される電圧駆動型との区別は不問である。例えば、有機EL素子,無機EL素子,電界電子放出素子(FE(Field-Emission)素子),表面伝導型電子放出素子(SE(Surface conduction Electron emitter)素子),弾道電子放出素子(BS(Ballistic electron Emitting)素子),LED(Light Emitting Diode)素子,電気泳動素子,エレクトロクロミック素子など様々な表示素子を利用した表示装置に本発明は適用される。すなわち、表示素子は、電気的な作用(電流の供給や電圧の印加)に応じて光学的な特性(階調)が変化する電気光学素子として包括される。
【0061】
<D:応用例>
次に、以上の各態様に係る表示装置100を利用した電子機器について説明する。図9は、表示装置100を採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、各種の画像を表示する表示装置100と、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具備する。
【0062】
図10は、表示装置100を適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画像を表示する表示装置100とを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、表示装置100に表示される画面がスクロールされる。
【0063】
図11は、表示装置100を適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す斜視図である。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002と、各種の画像を表示する表示装置100とを備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった様々な情報が表示装置100に表示される。
【0064】
なお、本発明に係る表示装置100が適用される電子機器としては、図9から図11に例示した機器のほか、デジタルスチルカメラ,テレビ,ビデオカメラ,カーナビゲーション装置,ページャ,電子手帳,電子ペーパー,電卓,ワードプロセッサ,ワークステーション,テレビ電話,POS端末,プリンタ,スキャナ,複写機,ビデオプレーヤ,タッチパネルを備えた機器などが挙げられる。
【符号の説明】
【0065】
100……表示装置、10……表示パネル、15……温度検出体、20……画素部、22……画素回路、24……液晶素子、26……走査線、28……信号線、30……駆動回路、32……走査線駆動回路、34……信号線駆動回路、40……制御回路、50,70……駆動コード生成回路、52,72……記憶回路、54,76……展開部、62,74……選択部、64……第1処理部、66……第2処理部、68……合成部、82……記憶部、84……変換部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィールドを区分した複数のサブフィールドの各々において表示素子に第1電圧または第2電圧を印加することで階調を表示する表示装置であって、
第1電圧および第2電圧の何れかを指定する指示値が配列された既定コードを識別子毎に記憶する既定コード記憶手段と、
指示値の個数を指定する第1部と既定コードの識別子を指定する第2部とを含む圧縮コードを階調毎に記憶する圧縮コード記憶手段と、
前記圧縮コードの前記第1部が指定する個数だけ第1電圧を指定する指示値を配列した連続コードと、前記圧縮コードの前記第2部が指定する識別子に対応した既定コードとに応じた駆動コードを生成する展開手段と、
前記展開手段が前記表示素子の指定階調について生成した駆動コードに基づいて、前記第1電圧および前記第2電圧の何れかをフィールド内のサブフィールド毎に当該表示素子に印加する駆動回路と
を具備する表示装置。
【請求項2】
前記展開手段は、前記圧縮コードの前記第1部が指定する個数が所定値を上回る場合に、前記連続コードと前記既定コードの一部分とを配列することで、所定個の指示値で構成される前記駆動コードを生成する
請求項1の表示装置。
【請求項3】
前記展開手段は、前記圧縮コードの前記第1部が指定する個数が所定値を下回る場合に、前記連続コードおよび前記既定コードと前記第2電圧を指定する1以上の指示値とを配列することで、所定個の指示値で構成される前記駆動コードを生成する
請求項1または請求項2の表示装置。
【請求項4】
前記展開手段は、前記第2電圧を指定する指示値を前記連続コードと前記既定コードとの間に配置することで前記駆動コードを生成する
請求項1から請求項3の何れかの表示装置。
【請求項5】
前記圧縮コード記憶手段が記憶する2以上の前記圧縮コードの前記第2部は共通の識別子を指定する
請求項1から請求項4の何れかの表示装置。
【請求項6】
前記圧縮コード記憶手段は、階調毎に前記圧縮コードが設定された複数の第1テーブルを記憶し、
前記既定コード記憶手段は、識別子毎に前記既定コードが設定された複数の第2テーブルを記憶し、
前記複数の第1テーブルの何れかと前記複数の第2テーブルの何れかとを選択する選択手段を具備し、
前記展開手段は、前記選択手段が選択した前記第1テーブルおよび前記第2テーブルを利用して前記駆動コードを生成する
請求項1から請求項5の何れかの表示装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れかの表示装置を具備する電子機器。
【請求項8】
表示素子に印加される電圧として第1電圧および第2電圧の何れかを指定する指示値をフィールド内の各サブフィールドについて配列した駆動コードを生成する回路であって、
第1電圧および第2電圧の何れかを指定する指示値が配列された既定コードを識別子毎に記憶する既定コード記憶手段と、
指示値の個数を指定する第1部と既定コードの識別子を指定する第2部とを含む圧縮コードを階調毎に記憶する圧縮コード記憶手段と、
前記圧縮コードの前記第1部が指定する個数だけ第1電圧を指定する指示値を配列した連続コードと、前記圧縮コードの前記第2部が指定する識別子に対応した既定コードとに応じた前記駆動コードを生成する展開手段と
を具備する駆動コード生成回路。
【請求項1】
フィールドを区分した複数のサブフィールドの各々において表示素子に第1電圧または第2電圧を印加することで階調を表示する表示装置であって、
第1電圧および第2電圧の何れかを指定する指示値が配列された既定コードを識別子毎に記憶する既定コード記憶手段と、
指示値の個数を指定する第1部と既定コードの識別子を指定する第2部とを含む圧縮コードを階調毎に記憶する圧縮コード記憶手段と、
前記圧縮コードの前記第1部が指定する個数だけ第1電圧を指定する指示値を配列した連続コードと、前記圧縮コードの前記第2部が指定する識別子に対応した既定コードとに応じた駆動コードを生成する展開手段と、
前記展開手段が前記表示素子の指定階調について生成した駆動コードに基づいて、前記第1電圧および前記第2電圧の何れかをフィールド内のサブフィールド毎に当該表示素子に印加する駆動回路と
を具備する表示装置。
【請求項2】
前記展開手段は、前記圧縮コードの前記第1部が指定する個数が所定値を上回る場合に、前記連続コードと前記既定コードの一部分とを配列することで、所定個の指示値で構成される前記駆動コードを生成する
請求項1の表示装置。
【請求項3】
前記展開手段は、前記圧縮コードの前記第1部が指定する個数が所定値を下回る場合に、前記連続コードおよび前記既定コードと前記第2電圧を指定する1以上の指示値とを配列することで、所定個の指示値で構成される前記駆動コードを生成する
請求項1または請求項2の表示装置。
【請求項4】
前記展開手段は、前記第2電圧を指定する指示値を前記連続コードと前記既定コードとの間に配置することで前記駆動コードを生成する
請求項1から請求項3の何れかの表示装置。
【請求項5】
前記圧縮コード記憶手段が記憶する2以上の前記圧縮コードの前記第2部は共通の識別子を指定する
請求項1から請求項4の何れかの表示装置。
【請求項6】
前記圧縮コード記憶手段は、階調毎に前記圧縮コードが設定された複数の第1テーブルを記憶し、
前記既定コード記憶手段は、識別子毎に前記既定コードが設定された複数の第2テーブルを記憶し、
前記複数の第1テーブルの何れかと前記複数の第2テーブルの何れかとを選択する選択手段を具備し、
前記展開手段は、前記選択手段が選択した前記第1テーブルおよび前記第2テーブルを利用して前記駆動コードを生成する
請求項1から請求項5の何れかの表示装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れかの表示装置を具備する電子機器。
【請求項8】
表示素子に印加される電圧として第1電圧および第2電圧の何れかを指定する指示値をフィールド内の各サブフィールドについて配列した駆動コードを生成する回路であって、
第1電圧および第2電圧の何れかを指定する指示値が配列された既定コードを識別子毎に記憶する既定コード記憶手段と、
指示値の個数を指定する第1部と既定コードの識別子を指定する第2部とを含む圧縮コードを階調毎に記憶する圧縮コード記憶手段と、
前記圧縮コードの前記第1部が指定する個数だけ第1電圧を指定する指示値を配列した連続コードと、前記圧縮コードの前記第2部が指定する識別子に対応した既定コードとに応じた前記駆動コードを生成する展開手段と
を具備する駆動コード生成回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−204602(P2010−204602A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53054(P2009−53054)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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