説明

表示装置

【課題】 表示機においてホワイトバランスを任意時間に自動調節する制御手段を提供することを目的とする。
【解決手段】 白色発光可能な表示部1と、前記表示部の一部として、白色を点灯するモニター表示部2と、色度値を外部出力可能な色度計3と、前記色度計のデータを入力して、補正された表示データをアナログRGB信号形式で出力できるパーソナルコンピュータ6と、前記表示部と前記パーソナルコンピュータとのインターフェースに合う信号に変換する信号変換部8とを備え、これにより、随時に、表示部のホワイトバランスを一定に保つことができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、白色表示が可能な表示装置に関し、詳しくは、赤、緑及び青の少なくとも3色系でなる各表示体でもって、それぞれの色表示を表示単位(ドットもしくは画素)に用い、ホワイトバランス及び再現色バランスを自動調整できる表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、屋内あるいは屋外での情報表示の分野における表示装置として、赤、緑及び青の3色系でなる各表示体に、発光ダイオード(以下、LEDと称す)を用いた、いわゆるフルカラーLED表示システムが急速に普及し始めており、また、近い将来には、ハイビジョンテレビ(HDTV)規格の高画質映像表示への要求も高まると予想できる。
【0003】このようなフルカラーLED表示システムでは、従来から、テレビ、ビデオデッキ、レーザーディスクプレイヤー、ビデオカメラ等の各映像機器からのNTSC方式の画像信号(R、G及びB信号)形式の表示データ信号を映像ソースとして使用することが多い。
【0004】しかしながら、前記映像ソースによると、前記各映像機器からのNTSC方式の画像信号(R、G及びB信号)形式の表示データ信号の出力値の差により、色再現に相違があり、とりわけ、一般的に前記映像ソースを、各映像機器間で、切り替えることが頻繁に行われる屋外表示装置においては、かかる色再現の相違の問題を解決することが必須の課題となってくる。
【0005】また、この種の屋外表示装置は、設置場所により表示装置周辺の照度等の外光条件が各々異なり、また時間帯、天候等によって、観測者(人)の比視感度特性がシフトし、再現色バランス、特にホワイトバランスを一定に保つことができないという問題があり、高画質が要求されるにつれて、この問題がクローズアップされてくる。
【0006】従来のフルカラ−LED表示システムでは、発色光の基本原色である赤色、緑色及び青色の三色が、所定の設定値に固定されており、再現色バランス、特にホワイトバランスの随時補正には、対応困難であった。
【0007】さらに、通常のフルカラーLED表示システムに用いられる赤色系LED、緑色系LED及び青色系LEDは、その各劣化特性が、それぞれ異なっており、表示時間の経過、つまり、積算表示時間が増すにつれて、再現色バランスが初期の所定の状態から漸次崩れ、表示色品質が落ちるという問題があり、それを補正するには、定期的に全ユニットの輝度再調整を行う必要がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、フルカラー表示システムにおいて、基本原色の赤色、緑色及び青色の三色が、所定の設定値から漸次変化したり、あるいは、映像ソースの違いや周辺照度の変化により、再現色バランス、特にホワイトバランスが変化して、色再現が崩れることに対応可能な表示装置を実現することにある。
【0009】また、本発明の目的は、特に、フルカラーLED表示システムにおいて、三色を構成する赤色LED、緑色LED及び青色LEDのそれぞれの輝度経時(劣化)特性が相違するため、ホワイトバランスが徐々に崩れることに対応可能な表示装置を実現することにある。
【0010】さらに、本発明の目的は、フルカラー表示システムに装備して有用なホワイトバランスあるいはカラーバランスを任意時間に自動調節する制御手段を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため、本発明の表示装置は、赤、緑及び青の少なくとも3色系でなる各表示体を互いに近接させて配設した白色表示の可能な表示部と、前記表示部のホワイトバランスを自動調整することの可能な制御部とを備えて、これにより、任意の時間に表示部の色度、ここではCIE(国際照明委員会)の色度図上で定義された色度(以下、単に色度という)、もしくは表示部周辺の照度を検出し、設定色度値からのずれを制御部で所定の設定値に戻す補正を行い、随時にホワイトバランスを一定に保つことができるようになしたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の発明は、赤、緑及び青の少なくとも3色系でなる各表示体を互いに近接させて配設した白色表示の可能な表示部と、前記表示部のホワイトバランスを自動調整することの可能な制御部とを備えたものであり、設定色度値からのずれを制御部で所定の設定値に戻す補正を行い、隋時にホワイトバランスを一定に保つことができるという作用を有する。
【0013】請求項2に記載の発明は、所定の白色表示の色度及び表示部周辺照度のうち、少なくとも一つを検出し、その検出値により、赤、緑及び青の少なくとも3色系でなる各表示体の任意色系の出力を制御して、ホワイトバランスを自動調整する手段を備えたものであり、設定色度値からのずれを制御部で所定の設定値に戻す補正を行い、隋時にホワイトバランスを一定に保つことができるという作用を有する。
【0014】請求項3に記載の発明は、赤、緑及び青の少なくとも3色系でなる各表示体の任意色系の出力を制御する手段として、前記各表示体の各々がもつ独立したガンマ補正値の変更により調整する手段を有するもので、即時に設定色度値からのずれを制御部で所定の設定値に戻す補正を行い、ホワイトバランスを一定に保つことができるという作用を有する。
【0015】請求項4に記載の発明は、赤、緑及び青の少なくとも3色系でなる各表示体の任意色系の出力を制御する手段として、前記各表示体からの出力に応じて、色再現範囲を2つ以上のエリアに分け、前記各エリアに設定されている色変換能を変更させることで、任意の表示色に調整する手段を有するもので、表示装置本体以外に、白色発光モニターを用いて白色色度を任意の時間に検出し、ホワイトバランスを任意時間に自動調整する制御手段を備えたことにより、随時に、表示部のホワイトバランスを一定に保つことができるという作用を有する。
【0016】請求項5に記載の発明は、ホワイトバランスを自動調整する手段として、所定のソフトウェア所蔵のパーソナルコンピュータを有するものであり、これにより、随時に、表示部のホワイトバランスを一定に保つことができるという作用を有する。
【0017】請求項6に記載の発明は、所定の白色表示の色度を、赤、緑及び青の少なくとも3色系でなる各表示体を互いに近接させて配設した白色表示のモニター部により検出し、ホワイトバランスを自動調整することを特徴としたものであり、これにより、随時に、表示部のホワイトバランスを一定に保つことができるという作用を有する。
【0018】請求項7に記載の発明は、各表示体に発光ダイオードを用いたものであり、随時に、表示部のホワイトバランスを一定に保つことができるという作用を有する。
【0019】請求項8に記載の発明は、表示部の各表示体に供給される駆動信号が、NTSC方式の画像信号(R、G及びB信号)形式の表示データ信号により形成されているものであり、加えて、随時に、表示部のホワイトバランスを一定に保つことができるという作用を有する。
【0020】請求項9に記載の発明は、白色発光可能な表示部と、前記表示部の一部として、常に白色を点灯するモニター表示部と、色度値を外部出力可能な色度計と、前記色度計のデータを入力してNTSC方式の画像信号(R、G及びB信号)形式で表示データを出力できる所定のソフトウェア所蔵のパーソナルコンピュータと、前記表示部と前記コンピュータとの間の信号変換用インターフェース回路とを備えたものであり、これにより、随時に、表示部のホワイトバランスを一定に保つことができるという作用を有する。
【0021】請求項10に記載の発明は、白色発光可能な表示部と、前記表示部の周辺の照度を測定してデータ出力する照度計と、前記照度計のデータを入力して、NTSC方式の画像信号(R、G及びB信号)形式で表示データ信号を出力でき、かつ、色変換能の変更ができる所定のソフトウェア所蔵のコンピュータと、前記表示部と前記コンピュータとの間の信号変換用インターフェース回路とを備えたものであり、これにより、随時に、表示部のホワイトバランスを一定に保つことができるという作用を有する。
【0022】以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0023】図1、図2、図3及び図4は、本発明の実施の形態1〜4のそれぞれの表示装置のブロック構成図である。これらの各図で、各表示装置の各々の構成要素を、共通に符号を付し、表示部1、モニター部2、色度計3、照度計4、測定値処理部5、制御回路部(コンピュータ)6、映像ソース部7、信号変換部8、表示インターフェース部9、通信インターフェース部9a、ガンマ補正回路9b、記憶回路(RAM)9c、色変換処理回路9d、パネルインターフェース9e、外部データ処理部10として示し、また、信号(データ)処理の経路を線及び矢印で表している。
【0024】(実施の形態1)本発明の第1の実施の形態の表示装置を図1のブロック構成図により述べる。
【0025】表示部1は、赤色、緑色及び青色の三色でもって、白色を表示する表示体、例えば、赤色LED、緑色LED及び青色LEDを備えたものである。
【0026】モニター部2は、表示部1の1ユニット分の白色を表示する表示体でなるモニター用表示機である。このモニター部2は、表示部1が点灯しているときには常に白色が点灯表示され、また、表示部1の1ユニット分の点灯時平均電力に見合うように、点灯率を設定する。このことにより、その輝度経時特性、即ち、輝度劣化を表示部1の各表示体と同等にすることができる。
【0027】色度計3は、モニター部2の白色表示中の色度(x,y)を計測し、かつその色度値を、外部信号により、任意の時間に外部出力できるものである。また、任意の時間に電源をオン,オフできるタイマーを備えている。
【0028】測定値処理部5は、色度計3の出力信号を変換し、制御回路部(コンピュータ)6のインターフェースと合う信号に変換する変換機である。また、制御回路部6は、ビデオディスク、光ディスク等でなる映像ソース部7からの映像ソース信号を入力し、内部で表示部1の表示駆動に合うNTSC方式の画像信号(R、G及びB信号、以下、アナログRGB信号という)等に変換して出力することができるインターフェースを備えている。
【0029】信号変換部8は、制御回路部6からの出力信号(アナログRGB信号)を、インターフェースに合うデジタル信号(以下、デジタルRGB信号という)に変換する変換機(A/Dコンバータ等)を備えている。
【0030】表示インターフェース部9は、信号変換部8からの出力信号(デジタルRGB信号)を表示部1の表示駆動に合う信号形式の信号に変換する装置を備えたものである。
【0031】表示部1が表示している間、モニター部2は、常に所定の点灯率で白色となるように点灯している。例えば、表示部1が映像表示している場合は点灯率40%に設定される。
【0032】色度計3は、スケジュールされた時間に合せ、色度値を逐次測定する。この時の色度値は、測定値処理部5に入力され、制御回路部6のインターフェースに合うデータ形式に変換され、制御回路部6に送信される。制御回路部6では、色度値に対し、最適な色変換能(テーブル)の所蔵された処理用ソフトウェアで対応して、表示インターフェース部9の通信インターフェース部9aに送信される。
【0033】通信インターフェース部9aに入力された色度値データ信号は、表示インターフェース部9内のRAM9cに記憶され、色変換処理の際、このデータが参照される。
【0034】制御回路部6から出力されたアナログRGB信号等は、表示インターフェース部9内のガンマ補正回路9bに入力される。その後、色変換処理回路9dで現時点における最適な色変換が行われ、さらに、色変換後、パネルインターフェース9eを通して、パネル表示用の信号に変換され、パネルにそのデータが出力され、表示が行われる。
【0035】(実施の形態2)本発明の第2の実施の形態の表示装置を、図2のブロック構成図により説明する。
【0036】照度計4は、表示部1周辺の照度を計測し、かつその照度値を外部信号により任意の時間に外部出力できるものである。また、任意の時間に電源をオン,オフできるタイマーを備えている。
【0037】表示部1が表示状態に駆動されている間、パネル表示部1の正面に設置された照度計4は、スケジュールされた時間に合せ照度を測定する。
【0038】この時の照度値は、測定値処理部5に入力され、制御回路部6のインターフェースに合うデータ形式に変換され、制御回路部6に送信される。
【0039】照度値に対し、最適なガンマ補正能(テーブル)が制御回路部6内に内蔵の所定のある処理用ソフトウェアで対応して、表示インターフェース部9の通信インターフェース部9aに送信される。
【0040】通信インターフェース部9aに入力されたガンマ補正能(テーブル)は、表示インターフェース部9内のRAM9cに記憶され、ガンマ補正処理の際、このデータが参照される。
【0041】制御回路部6から出力されたアナログRGB信号等は、表示インターフェース部9内のガンマ補正回路9bに入力される。この際、RAM9cに記憶されたガンマ補正能が参照され、アナログRGB信号等に最適な重み付け処理がなされる。その後、色変換処理回路9dで、色変換が行われ、さらに、この色変換後、パネルインターフェース9eを通して、パネル表示駆動用の信号に変換され、表示部1に、そのデータが出力され、表示が行われる。
【0042】(実施の形態3)本発明の第3の実施の形態の表示装置を、図3のブロック構成図により説明する。
【0043】表示部1が表示状態に駆動されている間、モニター部2は、常に所定の点灯率、例えば、表示部1が映像表示している場合は、点灯率40%に設定されて、白色となるように点灯している。
【0044】色度計3は、スケジュールされた時間に合せ、各時の色度値を逐次測定する。この時の色度値は、表示インターフェース部9内にある外部データ処理部10に入力され、通信インターフェース部9aを通して、制御回路部6に送信される。
【0045】色度値に対し、最適な色変換能(テーブル)が、制御回路部6内にある処理用ソフトウェアで対応処理され、表示インターフェース部9内の通信インターフェース部9aに送信される。
【0046】通信インターフェース部9aに入力された色変換能(テーブル)は、表示インターフェース部9内のRAM9cに記憶され、色変換処理の際、このデータが参照される。
【0047】制御回路部6から出力されたアナログRGB信号等は、表示インターフェース部9内のガンマ補正回路9bに入力され、その後、色変換処理回路9dで、現時点における最適な色変換が行われ、さらに、色変換後、パネルインターフェース9eを通して、パネル表示駆動用の信号に変換され、表示部1にそのデータが出力され、表示が行われる。
【0048】(実施の形態4)本発明の第4の実施の形態の表示装置を図4のブロック構成図により説明する。
【0049】表示部1が表示状態に駆動されている間、表示部1の正面側に設置された照度計4は、スケジュールされた時間に合せ照度値を測定する。
【0050】この時の照度値は、表示インターフェース部9内にある外部データ処理部10に入力され、そのデータ値が、通信インターフェース部9aを通して、制御回路部6に送信される。
【0051】照度値に対し、最適なガンマ補正能(テーブル)が、制御回路部6内にある処理用ソフトウェアで、表示インターフェース部9内の通信インターフェース部9aに送信される。
【0052】通信インターフェース部9aに受信されたガンマ補正能(テーブル)は、表示インターフェース部9内のRAM9cに記憶され、ガンマ補正処理の際、このデータが参照される。
【0053】制御回路部6から出力されたアナログRGB信号等は、表示インターフェース部9のガンマ補正回路9bに入力される。この際、RAM9cに記憶されたガンマ補正能(テーブル)のガンマ補正値が参照され、RGBの各出力に最適な重み付けがなされ、その後、色変換処理回路9dで、色変換が行われ、さらに、色変換後、パネルインターフェース9eを通して、パネル表示駆動用の信号に変換され、表示部1にそのデータが出力され、表示が行われる。
【0054】次に、色変換アルゴリズムについて、その概要を述べる。
【0055】まず、ガンマ補正方式による色変換アルゴリズムについて説明する。
【0056】パネル表示部1に最も適した理想的な白色の色度を、図5(a)に示しているように、赤色、緑色、青色の各表示体の出力がそれぞれ、R=a・|R|/max,G=b・|G|/max,B=c・|B|/maxとして、色度(x,y)に設定する。
【0057】ここで、R,G,Bは、それぞれ、白色の色度(x,y)を基準とした赤色、緑色、青色の各ベクトルであり、|R|,|G|,|B|は、それぞれ、赤色、緑色、青色の各ベクトルの絶対値であり、a,b,c,maxは任意の正の整数である。つまり、色度(x,y)は、3つのベクトルR,G,Bにより表現できるという概念に基づくものである。
【0058】次に、任意のある時間Tでは、表示部1のホワイトバランスが変化し、その時の測定値が色度(x’,y’)であったとする。図5(b)に示すように、同様に、時間Tでの色度(x’,y’)を3つのベクトルR’,G’,B’により表現すると、色度(x,y)の場合と異なり、ベクトルの絶対値は R’=dR,G’=eG,B’=fBとなる。ここで、d,e,fは任意の正の実数である。そこで、このときの出力値が、(1/d)R’=a・|R|/max,(1/e)G’=b・|G|/max,(1/f)B’=c・|B|/max、となるように演算を行えば、図5(c)に示すように、ベクトルR”,G”,B”が、設定値R,G,Bと同じになり、色度(x’,y’)を設定値色度(x,y)に戻すことができる。
【0059】
【表1】


【0060】表1は、4種のLED、すなわち、赤色発光(R−LED),純緑色発光(PG−LED),青色発光(B−LED),黄緑色発光(YG−LED)の各LEDを用いて、各々のLEDがその典型的輝度にあるとき、CIE色度図上に点示される色度座標(x,y)を表示したものである。
【0061】
【表2】


【0062】また、表2は、上記4種のLEDを用いて、赤,緑,青,黄,シアン,マゼンタ及び白の基本7色を初期設定する場合の輝度比率(ここでの数値は、パネル自身が持つ階調とは別のもので、重みとして、256階調(0〜255)を持つ。重みは255で規格化されているので、実際のパネルの輝度は、(階調・輝度比率)/255となる。)、色度座標(x,y)及び典型輝度を表示したものである。
【0063】図6は、表2の色度及び輝度の初期設定値から赤色系出力値及び青色系出力値をそれぞれ10%ダウン並びに20%ダウンしたときの各色度座標のシフトの様子を示すものである。
【0064】図中■印は基本となる初期設定値、▲印は赤色系出力値を10%ダウンしたときの色度座標、△印は赤色系出力値を20%ダウンしたときの色度座標、●印は青色系出力値を10%ダウンしたときの色度座標、○印は青色系出力値を20%ダウンしたときの色度座標を示す。
【0065】白色(ホワイト,点Wで表示)のシフトについて注目してみると、白色は青色(ブルー,点Bで表示)から見た点Wの方向と赤色(レッド,点Rで表示)から見た点Wの方向とに少しシフトしていることがわかる。同様に、緑色(グリーン,点Gで表示)から見た点Wの方向にもシフトが可能である。即ち、赤色系、緑色系及び青色系の各出力値を調節することで、外部状況に合わせ、ホワイトバランスを設定値に保つことができる。
【0066】また、輝度比率にあらかじめマージンを持たせ、最大性能に対して、全体的に輝度を下げた状態で使用すること(最大値255に対し、それ以下の値、例えば220の値を用いる)で、点Wから点R、点G、点Bの方向にシフトさせることも可能である。
【0067】また、マゼンタ(点Mで表示)のシフトについて注目してみると、青色系出力値及び赤色系出力値を変化させることで、点Bと点Rによって作られる,線分上を任意に設定することができる。同様に、緑色系出力値を調整に付け加えることにより、混色の色相を自在に設定できる。
【0068】次に、色変換能(テーブル)方式による色変換アルゴリズムについて説明する。
【0069】フルカラーLED表示システムの画像再生を高めるため、線形演算による色補正を実行することが従来知られている(例えば、特開平9−98443号公報参照)。
【0070】外部色度値もしくは照度値により、色変換能を変更することで、赤,緑,青,黄,シアン,マゼンタ及び白の基本7色の表示色度を自由に設定できる。
【0071】
【表3】


【0072】表3に色変換能(テーブル)を変更した場合の値を示している。また、これらの値を図7の色度図上に示している。
【0073】各LEDの輝度配合比率を変えることで、色度値の微調整が可能となり、映像ソースの違いによる色度ずれや表示部1付近の時間帯や天候の違いによる色度ずれを補正し、設定値を保つことができる。
【0074】また、各LEDの輝度にマージン(最大輝度100%に対し、通常は80%の輝度で発光させる等する。)を持たせることで、点Wから点R、点G、点Bの方向にシフトさせることも可能である。
【0075】さらに、基本7色の設定点を変えることで、色相シフト等も自在に設定することが可能である。
【0076】表示部1の正面側に対して、垂直方向の照度を測定し、その時の色度と照度基本設定テーブルとの関係を表4に示している。またこれらの値を図8の色度図上に示している。
【0077】
【表4】


【0078】照度値を参照パラメータとして幾種類かのテーブル及び、幾種類かのガンマ補正値をあらかじめ用意することで、表示部1のホワイトバランス及びカラーバランスを随時に補正し、設定値を常に一定に保つことができる。また、映像ソースの違い(テレビ、ビデオデッキ、レーザーディスクプレイヤー、ビデオカメラ、DVD等の機器の出力特性の違い)、さらには赤色LED、緑色LED及び青色LEDのそれぞれの輝度経時(劣化)特性の違い等についても、各々の特性をあらかじめ設定することにより、自動調整にも対応することができる。
【0079】以上に示した本発明の実施の形態ないし実施例は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は、これら例示のものに特定されず、屋内外のすべての表示装置に適用可能である。
【0080】
【発明の効果】以上のように、本発明の表示装置は、赤、緑及び青の少なくとも3色系でなる各表示体を互いに近接させて配設した白色表示の可能な表示部と、前記表示部のホワイトバランスを自動調整することの可能な制御部とを備えることにより、随時に、表示部のホワイトバランスを一定に保つことができる。
【0081】また、本発明によれば、任意の時間に、表示部の色度もしくは照度を測定して、設定色度値からのずれを検出し、設定値に戻す演算を行い、ホワイトバランスを一定に保つことができるので、映像ソースの違いまたは周囲照度変化または赤色、緑色、青色の発光素子の輝度劣化の違いによる色再現性のずれがなく、映像品質の高い表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における表示装置のブロック構成図
【図2】本発明の実施の形態2における表示装置のブロック構成図
【図3】本発明の実施の形態3における表示装置のブロック構成図
【図4】本発明の実施の形態4における表示装置のブロック構成図
【図5】ガンマ補正を用いたホワイトバランスの演算アルゴリズムの概念図
【図6】ガンマ補正方式による色度シフトを説明するCIE色度図
【図7】色変換能(テーブル)方式による色度シフトを説明するCIE色度図
【図8】外部照度値に対する色度シフトを説明するCIE色度図
【符号の説明】
1 表示部
2 モニター部
3 色度計
4 照度計
5 測定値処理部
6 制御回路部(コンピュータ)
7 映像ソース部
8 信号変換部
9 表示インターフェース部
9a 通信インターフェース部
9b ガンマ補正回路
9c RAM
9d 色変換処理回路
9e パネルインターフェース
10 外部データ処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 赤、緑及び青の少なくとも3色系でなる各表示体を互いに近接させて配設した白色表示の可能な表示部と、前記表示部のホワイトバランスを自動調整することの可能な制御部とを備えた表示装置。
【請求項2】 所定の白色表示の色度及び表示部周辺照度のうち、少なくとも一つを検出し、その検出値により、赤、緑及び青の少なくとも3色系でなる各表示体の任意色系の出力を制御して、ホワイトバランスを自動調整する手段を備えた表示装置。
【請求項3】 赤、緑及び青の少なくとも3色系でなる各表示体の任意色系の出力を制御する手段として、前記各表示体の各々がもつ独立したガンマ補正値の変更により調整する手段を有する請求項2記載の表示装置。
【請求項4】 赤、緑及び青の少なくとも3色系でなる各表示体の任意色系の出力を制御する手段として、前記各表示体からの出力に応じて、色再現範囲を2つ以上のエリアに分け、前記各エリアに設定されている色変換能を変更させることで、任意の表示色に調整する手段を有する請求項2記載の表示装置。
【請求項5】 ホワイトバランスを自動調整する手段として、所定のソフトウェア所蔵のパーソナルコンピュータを有する請求項2記載の表示装置。
【請求項6】 所定の白色表示の色度を、赤、緑及び青の少なくとも3色系でなる各表示体を互いに近接させて配設した白色表示のモニター部により検出し、ホワイトバランスを自動調整することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項7】 各表示体が発光ダイオードで成る請求項6記載の表示装置。
【請求項8】 表示部の各表示体に供給される駆動信号が、NTSC方式の画像信号(R、G及びB信号)形式の表示データ信号により形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項9】 白色発光可能な表示部と、常に白色点灯されるモニター表示部と、色度値を外部出力可能な色度計と、前記色度計のデータを入力してNTSC方式の画像信号(R、G及びB信号)形式で表示データ信号を出力できる所定のソフトウェア所蔵のパーソナルコンピュータと、前記表示部と前記コンピュータとの間の信号変換用インターフェース回路とを備えた表示装置。
【請求項10】 白色発光可能な表示部と、前記表示部の周辺の照度を測定してデータ出力する照度計と、前記照度計のデータを入力して、NTSC方式の画像信号(R、G及びB信号)形式で表示データ信号を出力でき、かつ、色変換能の変更ができる所定のソフトウェア所蔵のコンピュータと、前記表示部と前記コンピュータとの間の信号変換用インターフェース回路とを備えた表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2000−293133(P2000−293133A)
【公開日】平成12年10月20日(2000.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−97321
【出願日】平成11年4月5日(1999.4.5)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】