表示装置
【課題】 表示装置において、水分による劣化を防止し、製造時に下側の配線がエッチングによってダメージを受ける程度を軽減する。
【解決手段】 表示装置は、基板1と、有機平坦化膜8と、画素電極9と、発光層11と、発光層11の上側を覆うように配置され、さらに対向電極接続領域75にまで延在する対向電極12と、画素電極9に対して電気的に接続された状態で基板1の表面に配置されたトランジスタ素子2と、対向電極接続領域75に形成された外部端子引出用導電層14とを備える。対向電極接続領域75においては、対向電極12は、対向電極12の下側を覆う仲介導電層15を介して外部端子引出用導電層14と電気的に接続されている。有機平坦化膜8は、対向電極接続領域75の少なくとも表示領域73寄りの辺に沿って分断された箇所を有する。
【解決手段】 表示装置は、基板1と、有機平坦化膜8と、画素電極9と、発光層11と、発光層11の上側を覆うように配置され、さらに対向電極接続領域75にまで延在する対向電極12と、画素電極9に対して電気的に接続された状態で基板1の表面に配置されたトランジスタ素子2と、対向電極接続領域75に形成された外部端子引出用導電層14とを備える。対向電極接続領域75においては、対向電極12は、対向電極12の下側を覆う仲介導電層15を介して外部端子引出用導電層14と電気的に接続されている。有機平坦化膜8は、対向電極接続領域75の少なくとも表示領域73寄りの辺に沿って分断された箇所を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関するものである。特に、発光層を2枚の電極で挟み込んで電圧を印加することによって発光層を発光させる方式の表示装置に関する。このような方式の表示装置には、たとえば、有機EL(Electro Luminescence)表示装置が該当する。
【背景技術】
【0002】
発光層を2枚の電極で挟み込んで電圧を印加することによって発光層を発光させる方式の表示装置においては、一般的に、基板から近い順に、画素電極、発光層、対向電極の順に積層されている。画素電極は各画素に対応してそれぞれ配置されており、TFT(Thin Film Transistor)素子で制御されている。対向電極は、複数の画素に共通して一体的に延在し、表示領域ではない領域において入力端子に接続されている。対向電極を引き出して入力端子に接続する部分としてはいく通りかの構造が知られている。
【0003】
たとえば、特開2003−229250号公報の図1(特許文献1)では、陰極層131を引出し配線に接続する接続部130においては、第1有機絶縁層115の上面に第3無機絶縁層116が形成され、さらにその上側に金属配線が配置されており、この金属配線に対して、対向電極に相当する陰極層131が、第2有機絶縁層128を貫通するコンタクトホールによって接続されている。
【0004】
特開2001−52864号公報の図17、図18および段落0185〜0189(特許文献2)では、有機樹脂からなる第2層間絶縁膜347を除去して入力配線1709を露出させた開孔部1802において、対向電極に相当する保護電極352が入力配線1709に電気的に接続されている。
【0005】
特開2002−151253号公報の図7(特許文献3)では、隔壁709の上側に配置され、対向電極に相当する陰極708から入力端子705への接続は、隔壁709に設けられた開口部を介して直接行なわれている。
【特許文献1】特開2003−229250号公報(図1)
【特許文献2】特開2001−52864号公報(図17、図18、段落0185〜0189)
【特許文献3】特開2002−151253号公報(図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発光層が有機EL層である場合、発光層は水分の浸入により劣化する。特許文献1の構造では、無機絶縁層にピンホールなどの欠陥が生じると、そこから水分が画素領域まで伝播し、素子劣化が発生するという問題点がある。
【0007】
特許文献2の構造では、有機樹脂からなる層間絶縁膜に開口部を設ける際に、その開口部の底面の導電層を除去しているので、開口部の底面に位置する入力配線は導電層除去時のエッチングによってもダメージを受けないものであることが必要となる。そのため、選択できる材料の組合せに制約が生じるという問題点がある。
【0008】
そこで、本発明は、水分による劣化を防止でき、下側の配線がエッチングによってダメージを受ける程度を軽減した表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に基づく表示装置は、平面的に見て表示領域および対向電極接続領域を有する基板と、上記基板の上側に配置された有機平坦化膜と、上記有機平坦化膜の上側において上記表示領域内に配置された画素電極と、上記画素電極の上側の少なくとも一部を覆うように配置された発光層と、上記発光層が上記画素電極の上側に重なっている領域において上記発光層の上側を覆うように配置され、さらに上記対向電極接続領域にまで延在する対向電極と、上記画素電極に対して電気的に接続された状態で上記基板の表面に配置されたトランジスタ素子と、上記トランジスタ素子のソース・ドレイン領域に電気的に接続するSD配線と同じ材質で上記対向電極接続領域に形成された外部端子引出用導電層とを備え、上記対向電極接続領域においては、上記対向電極は、上記対向電極の下側を覆う仲介導電層を介して上記外部端子引出用導電層と電気的に接続され、上記有機平坦化膜は、上記対向電極接続領域の少なくとも上記表示領域寄りの辺に沿って分断された箇所を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、表示装置では、対向電極接続領域75の少なくとも表示領域73寄りの辺に沿って水分を含有しやすい有機平坦化膜8がない構造となっているので、この対向電極接続領域75から発光層11へと至る水分を無くすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(実施の形態1)
(構成)
図1、図2を参照して、本発明に基づく実施の形態1における表示装置について説明する。この表示装置は、有機EL表示装置である。図1に示すように、この表示装置は、平面的に見て表示領域73および対向電極接続領域75を有する基板1を備える。さらに、この表示装置は、基板1の上側に層間絶縁膜6および第1無機絶縁膜7を介して配置された有機平坦化膜8と、有機平坦化膜8の上側において表示領域73内に配置された画素電極9と、画素電極9の上側の少なくとも一部を覆うように配置された発光層11と、発光層11が画素電極9の上側に重なっている領域において発光層11の上側を覆うように配置され、さらに対向電極接続領域75にまで延在する対向電極12とを備える。発光層11は有機EL層である。
【0012】
さらに、この表示装置は、画素電極9に対して電気的に接続された状態で基板1の表面に配置されたトランジスタ素子2と、トランジスタ素子2のソース・ドレイン領域に電気的に接続するSD配線32とを備える。さらにこのSD配線32と同じ材質で対向電極接続領域75に形成された外部端子引出用導電層14を備える。画素電極9は、表示領域73の外にまで延在していてもよい。
【0013】
対向電極接続領域75は、対向電極12から外部端子への電気的引出しを中継する領域である。この領域に配置されている外部端子引出用導電層14は、外部端子への電気的接続を担う導電体部分である。対向電極接続領域75においては、対向電極12は、対向電極12の下側を覆う仲介導電層15を介して外部端子引出用導電層14と電気的に接続されている。対向電極12と仲介導電層15とは直接接している。仲介導電層15と外部端子引出用導電層14とは第1無機絶縁膜7を貫通するように設けられたコンタクト部21を介して接続されている。
【0014】
有機平坦化膜8は、対向電極接続領域75の少なくとも表示領域73寄りの辺に沿って分断された箇所を有する。図1の例では、有機平坦化膜8は対向電極接続領域75を避けて配置されている。すなわち、対向電極接続領域75の表示領域73寄りの辺だけでなく対向電極接続領域75の内部も有機平坦化膜8がない状態となっているが、このような状態のものも、有機平坦化膜8が対向電極接続領域75の少なくとも表示領域73寄りの辺に沿って分断された箇所を有する状態に該当するものとする。
【0015】
仲介導電層15の一部は有機平坦化膜を覆っているがそのオーバラップ量dはデバイス形成における製造マージン以下であることが望ましい。各部の重なり具合をわかりやすく表示した平面図を図2に示す。
【0016】
(作用・効果)
本実施の形態における表示装置では、有機平坦化膜8は対向電極接続領域75を避けて配置されている、すなわち、対向電極接続領域75に位置する仲介導電層15の下側から水分を含有しやすい有機平坦化膜8がない構造となっているので、この対向電極接続領域75から発光層11へと至る水分を無くすことができる。さらに、基板1周辺から有機平坦化膜8を経路として伝播する水分を遮断することができる。したがって、発光層11が水分浸入によって劣化することによる輝度減少を防ぐことができるので表示装置としての信頼性が向上する。
【0017】
また、外部端子への電気的接続を担う導電体部分である外部端子引出用導電層14に対して対向電極12から直接接続されるのではなく仲介導電層15を介して接続される構造となっているので、外部端子引出用導電層14と仲介導電層15との材質の組合せの自由度が増す。また、対向電極接続領域75内では、仲介導電層15は複数箇所において外部端子引出用導電層14と電気的に接続されているが、このようになっていることにより、複数の接続箇所のうちのいずれかが何らかのトラブルで断線しても全体として接続が維持できるという利点がある。
【0018】
(実施の形態2)
(構成)
図3を参照して、本発明に基づく実施の形態2における表示装置について説明する。この表示装置のように、有機平坦化膜8と仲介導電層15とは重なり合う部分なく完全に隔離されていてもよい。他の部分の構成は、実施の形態1で示したものと同様である。
【0019】
(作用・効果)
本実施の形態における表示装置では、対向電極接続領域75に位置する仲介導電層15の下側から水分を含有しやすい有機平坦化膜8がない構造となっているので、この対向電極接続領域75から発光層11へと至る水分を無くすことができる。したがって、発光層11が水分浸入によって劣化することによる輝度減少を防ぐことができるので、表示装置としての信頼性が向上する。
【0020】
(実施の形態3)
(構成)
図4を参照して、本発明に基づく実施の形態3における表示装置について説明する。
この表示装置のように、仲介導電層15の真下で外部端子引出用導電層14の真上となる領域にかさ上げ層を配置してもよい。この場合のかさ上げ層とは、第1無機絶縁膜7を局所的に厚くしたものであり、図4の中でかさ上げ部7aとして示されるものである。他の部分の構成は、実施の形態1で示したものと同様である。
【0021】
(作用・効果)
本実施の形態における表示装置では、有機平坦化膜8と第1無機絶縁膜7との境界での段差が小さくなるので段差による対向電極12の段切れを防止できる。したがって、さらに良好な表示特性を得ることができる。なお、図4では有機平坦化膜8と第1無機絶縁膜7の上面はほぼ一致しているが必ずしも一致する必要はない。
【0022】
本実施の形態では、かさ上げ層が第1無機絶縁膜7を局所的に厚くしたものである旨を説明したが、この場合の「局所的に厚くした」とは、第1無機絶縁膜7を形成する際に単一層として局所的に厚くなった構造を形成する場合に限らず、第1無機絶縁膜7を形成する際に複数層の積層によって形成することとして局所的に積層する数を増やすことによって厚みを増したものであってもよい。すなわち、その場合、かさ上げ層は、第1無機絶縁膜7が局所的に積層されて厚みを増した部分ということになる。
【0023】
(実施の形態4)
(構成)
図5を参照して、本発明に基づく実施の形態4における表示装置について説明する。この表示装置のように、外部端子引出用導電層14の真下の領域に他の領域の絶縁膜より厚い絶縁膜をかさ上げ層として配置してもよい。図5の例では、外部端子引出用導電層14の真下に第1無機絶縁膜7とは別の第2無機絶縁膜16をかさ上げ層として配置しているが、かさ上げ層は、第1無機絶縁膜7と同じ材質であっても異なる材質であってもよい。また、層間絶縁膜6と第2無機絶縁膜16とは、別の工程で形成するものであっても同一工程で形成するものであってもよい。他の部分の構成は、実施の形態1で示したものと同様である。
【0024】
(作用・効果)
本実施の形態における表示装置では、有機平坦化膜8と第1無機絶縁膜7との境界での段差が小さくなるので段差による対向電極12の段切れを防止できる。さらに、コンタクト部21が接続すべき高低差を小さくできるので、コンタクト部21を形成する際の仲介導電層15の段切れを防止できる。したがって、さらに良好な表示特性を得ることができる。なお、第1無機絶縁膜7と層間絶縁膜6とは同じ材質であっても異なる材質であってもよい。異なる材質としては、たとえばSiNとSiO2の組合せであってもよい。
【0025】
第2無機絶縁膜16は、層間絶縁膜6と同じ材質として同一工程で形成することとしてもよい。その場合、言い換えれば、かさ上げ層は、対向電極接続領域75において外部端子引出用導電層14の下側の層が局所的に突出した部分ということになる。あるいは、第2無機絶縁膜16は、第1無機絶縁膜7と同じ材質であってもよい。
【0026】
(実施の形態5)
(構成)
図6を参照して、本発明に基づく実施の形態5における表示装置について説明する。この表示装置のように、仲介導電層15の上側に段切れ防止膜18が形成された構造としてもよい。段切れ防止膜18は、表示領域73(図1参照)において画素領域同士を分離するのに用いられる画素分離膜17を形成する際に、同じ材質で同時に形成するようにすれば好都合である。他の部分の構成は、実施の形態1で示したものと同様である。
【0027】
(作用・効果)
本実施の形態における表示装置では、各層の端面の段差に起因する対向電極12の段切れを防止できるのでさらに良好な表示特性を得ることができる。なお、この構造を用いる場合、段切れ防止膜18自体が水分の拡散経路となって発光層11などに水分が浸入してしまうことを防止するために、十分に脱水処理を行なった後に発光層11や対向電極12を形成することが望ましい。
【0028】
(実施の形態6)
(構成)
図7を参照して、本発明に基づく実施の形態6における表示装置について説明する。この表示装置のように、仲介導電層15は外部端子引出用導電層14より幅が狭くてもよい。他の部分の構成は、実施の形態1で示したものと同様である。
【0029】
(作用・効果)
本実施の形態における表示装置では、仲介導電層15と有機平坦化膜8との上から見たときの位置関係のクリアランスを大きく確保できるので製造が容易となる。
【0030】
(実施の形態7)
(構成)
図8を参照して、本発明に基づく実施の形態7における表示装置について説明する。これまでの実施の形態では、仲介導電層15と外部端子引出用導電層14との接続は複数の開口部を介して複数のコンタクト部21が並行するようにして接続されていたが、本実施の形態における表示装置のように、仲介導電層15と外部端子引出用導電層14との間は大きな開口部のみとして、この開口部に配置されるコンタクト部21cによって一括して接続される構造であってもよい。他の部分の構成は、実施の形態1で示したものと同様である。
【0031】
(作用・効果)
小さな面積の開口部によるコンタクト部では接続に不安がある場合であっても、本実施の形態における表示装置によれば、比較的大きな面積の開口を通じてコンタクト部21cによって接続されるので確実に仲介導電層15と外部端子引出用導電層14とを接続できる。なお、この場合仲介導電層15の応力には留意する必要がある。
【0032】
なお、図8に示した構造の代わりに、図9に示すような構造であってもよい。図9に示す構造では、仲介導電層15が外部端子引出用導電層14より狭くなっている。
【0033】
(実施の形態8)
(構成)
図10を参照して、本発明に基づく実施の形態8における表示装置について説明する。この表示装置では、外部端子引出用導電層14はコンタクト部22を介してゲート導電層33と接続されている。ゲート導電層33は層間絶縁膜6の下側に配置されているものであり、コンタクト部22は、層間絶縁膜6を貫通して形成されている。外部端子引出用導電層14は島状となっており、外部端子引出用導電層14同士の間にSD配線32が形成されている。なお、他の部分の構成は、実施の形態1で示したものと同様である。
【0034】
(作用・効果)
本実施の形態における表示装置によれば、画素内の配線から画素外への回路への電気的抵抗を低減することができるので信号遅延を低減できる。なお、この配置の場合、配線同士の交差領域に生じる容量を低減するために仲介導電層15およびゲート導電層33と外部端子引出用導電層14とが交差する領域においては両者の間に厚い絶縁膜を形成することが望ましい。
【0035】
なお、図10では、コンタクト部22は、仲介導電層15と外部端子引出用導電層14とを接続するコンタクト部21と同じ位置に重なって見えているが、必ずしもこのように同じ位置になっていなくてもよい。
【0036】
(実施の形態9)
(構成)
図11を参照して、本発明に基づく実施の形態9における表示装置について説明する。この表示装置では、図11に示すように、対向電極接続領域75に隣接する分断領域76の有機平坦化膜は除去されている。対向電極接続領域75においては有機平坦化膜が完全に除去されているのではなく有機平坦化膜8rとして残っている。対向電極接続領域75においては、対向電極12は、仲介導電層15を介して有機平坦化膜8rの上側を覆うように形成されている。対向電極12と仲介導電層15とは直接接続されており、仲介導電層15と外部端子引出用導電層14とは第1無機絶縁膜7および有機平坦化膜8rを貫通するように形成された開口部を通じてコンタクト部21dを介して接続されている。したがって、対向電極12は仲介導電層15を介して外部端子引出用導電層14に電気的に接続されている。
【0037】
この表示装置は、図11に示すように、対向電極接続領域75を取り囲む分断領域76において、有機平坦化膜がない状態となっている。しかし、分断領域76は対向電極接続領域75を取り囲んでいることは必須ではなく、分断領域76は対向電極接続領域75の少なくとも表示領域73寄りの辺に沿って存在すればよい。すなわち、この表示装置においては、有機平坦化膜8は、対向電極接続領域75の少なくとも表示領域73寄りの辺に沿って分断された箇所を有する。なお、他の部分の構成は、実施の形態1で示したものと同様である。
【0038】
(作用・効果)
本実施の形態における表示装置では、対向電極接続領域75において対向電極12の仲介導電層15の下側に水分を含有しやすい有機平坦化膜を残していることになるが、対向電極接続領域75の周囲を取り囲む、あるいは対向電極接続領域75の少なくとも表示領域73寄りの辺に沿った、分断領域76において有機平坦化膜を除去しているので、対向電極接続領域75から発光層11(図1参照)へ至る水分浸入経路を遮断することができる。さらに、基板1周辺から有機平坦化膜8を経路として伝播する水分を遮断することができる。したがって、発光層11が水分浸入によって劣化することによる輝度減少を防ぐことができるので表示装置としての信頼性が向上する。
【0039】
(実施の形態10)
(構成)
図12を参照して、本発明に基づく実施の形態10における表示装置について説明する。この表示装置のように、対向電極接続領域75の仲介導電層15は有機平坦化膜8rの上面の途中で途切れていてもよい。他の部分の構成は、実施の形態1で示したものと同様である。
【0040】
(作用・効果)
本実施の形態における表示装置では、仲介導電層15、有機平坦化膜8r、表示領域73(図1参照)の有機平坦化膜8の配置に余裕ができる。
【0041】
なお、図11、図12の例では、有機平坦化膜8rの内部において複数箇所をコンタクト部21dの形成のために除去して開口しているが、有機平坦化膜8rの除去領域は対向電極接続領域75の内部にどのように形成されていてもよい。すなわち、図8、図9に示したコンタクト部21cのように大きな面積の開口部を設けて接続してもよい。
【0042】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に基づく実施の形態1における表示装置の断面図である。
【図2】本発明に基づく実施の形態1における表示装置の平面図である。
【図3】本発明に基づく実施の形態2における表示装置の断面図である。
【図4】本発明に基づく実施の形態3における表示装置の断面図である。
【図5】本発明に基づく実施の形態4における表示装置の断面図である。
【図6】本発明に基づく実施の形態5における表示装置の断面図である。
【図7】本発明に基づく実施の形態6における表示装置の断面図である。
【図8】本発明に基づく実施の形態7における表示装置の断面図である。
【図9】本発明に基づく実施の形態7における表示装置の変形例の断面図である。
【図10】本発明に基づく実施の形態8における表示装置の平面図である。
【図11】本発明に基づく実施の形態9における表示装置の断面図である。
【図12】本発明に基づく実施の形態10における表示装置の断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 基板、2 TFT、6 層間絶縁膜、7 第1無機絶縁膜、7a かさ上げ部、8 有機平坦化膜、8r (対向電極接続領域に残った)有機平坦化膜、9 画素電極、11 発光層、12 対向電極、14 外部端子引出用導電層、15 仲介導電層、16 第2無機絶縁膜、17 画素分離膜、18 段切れ防止膜、21,21c,21d (仲介導電層と外部端子引出用導電層との)コンタクト部、22 (ゲート導電層と外部端子引出用導電層との)コンタクト部、31 ゲート配線、32 SD配線、33 ゲート導電層、73 表示領域、75 対向電極接続領域、76 (有機平坦化膜が分断された)分断領域。
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関するものである。特に、発光層を2枚の電極で挟み込んで電圧を印加することによって発光層を発光させる方式の表示装置に関する。このような方式の表示装置には、たとえば、有機EL(Electro Luminescence)表示装置が該当する。
【背景技術】
【0002】
発光層を2枚の電極で挟み込んで電圧を印加することによって発光層を発光させる方式の表示装置においては、一般的に、基板から近い順に、画素電極、発光層、対向電極の順に積層されている。画素電極は各画素に対応してそれぞれ配置されており、TFT(Thin Film Transistor)素子で制御されている。対向電極は、複数の画素に共通して一体的に延在し、表示領域ではない領域において入力端子に接続されている。対向電極を引き出して入力端子に接続する部分としてはいく通りかの構造が知られている。
【0003】
たとえば、特開2003−229250号公報の図1(特許文献1)では、陰極層131を引出し配線に接続する接続部130においては、第1有機絶縁層115の上面に第3無機絶縁層116が形成され、さらにその上側に金属配線が配置されており、この金属配線に対して、対向電極に相当する陰極層131が、第2有機絶縁層128を貫通するコンタクトホールによって接続されている。
【0004】
特開2001−52864号公報の図17、図18および段落0185〜0189(特許文献2)では、有機樹脂からなる第2層間絶縁膜347を除去して入力配線1709を露出させた開孔部1802において、対向電極に相当する保護電極352が入力配線1709に電気的に接続されている。
【0005】
特開2002−151253号公報の図7(特許文献3)では、隔壁709の上側に配置され、対向電極に相当する陰極708から入力端子705への接続は、隔壁709に設けられた開口部を介して直接行なわれている。
【特許文献1】特開2003−229250号公報(図1)
【特許文献2】特開2001−52864号公報(図17、図18、段落0185〜0189)
【特許文献3】特開2002−151253号公報(図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発光層が有機EL層である場合、発光層は水分の浸入により劣化する。特許文献1の構造では、無機絶縁層にピンホールなどの欠陥が生じると、そこから水分が画素領域まで伝播し、素子劣化が発生するという問題点がある。
【0007】
特許文献2の構造では、有機樹脂からなる層間絶縁膜に開口部を設ける際に、その開口部の底面の導電層を除去しているので、開口部の底面に位置する入力配線は導電層除去時のエッチングによってもダメージを受けないものであることが必要となる。そのため、選択できる材料の組合せに制約が生じるという問題点がある。
【0008】
そこで、本発明は、水分による劣化を防止でき、下側の配線がエッチングによってダメージを受ける程度を軽減した表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に基づく表示装置は、平面的に見て表示領域および対向電極接続領域を有する基板と、上記基板の上側に配置された有機平坦化膜と、上記有機平坦化膜の上側において上記表示領域内に配置された画素電極と、上記画素電極の上側の少なくとも一部を覆うように配置された発光層と、上記発光層が上記画素電極の上側に重なっている領域において上記発光層の上側を覆うように配置され、さらに上記対向電極接続領域にまで延在する対向電極と、上記画素電極に対して電気的に接続された状態で上記基板の表面に配置されたトランジスタ素子と、上記トランジスタ素子のソース・ドレイン領域に電気的に接続するSD配線と同じ材質で上記対向電極接続領域に形成された外部端子引出用導電層とを備え、上記対向電極接続領域においては、上記対向電極は、上記対向電極の下側を覆う仲介導電層を介して上記外部端子引出用導電層と電気的に接続され、上記有機平坦化膜は、上記対向電極接続領域の少なくとも上記表示領域寄りの辺に沿って分断された箇所を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、表示装置では、対向電極接続領域75の少なくとも表示領域73寄りの辺に沿って水分を含有しやすい有機平坦化膜8がない構造となっているので、この対向電極接続領域75から発光層11へと至る水分を無くすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(実施の形態1)
(構成)
図1、図2を参照して、本発明に基づく実施の形態1における表示装置について説明する。この表示装置は、有機EL表示装置である。図1に示すように、この表示装置は、平面的に見て表示領域73および対向電極接続領域75を有する基板1を備える。さらに、この表示装置は、基板1の上側に層間絶縁膜6および第1無機絶縁膜7を介して配置された有機平坦化膜8と、有機平坦化膜8の上側において表示領域73内に配置された画素電極9と、画素電極9の上側の少なくとも一部を覆うように配置された発光層11と、発光層11が画素電極9の上側に重なっている領域において発光層11の上側を覆うように配置され、さらに対向電極接続領域75にまで延在する対向電極12とを備える。発光層11は有機EL層である。
【0012】
さらに、この表示装置は、画素電極9に対して電気的に接続された状態で基板1の表面に配置されたトランジスタ素子2と、トランジスタ素子2のソース・ドレイン領域に電気的に接続するSD配線32とを備える。さらにこのSD配線32と同じ材質で対向電極接続領域75に形成された外部端子引出用導電層14を備える。画素電極9は、表示領域73の外にまで延在していてもよい。
【0013】
対向電極接続領域75は、対向電極12から外部端子への電気的引出しを中継する領域である。この領域に配置されている外部端子引出用導電層14は、外部端子への電気的接続を担う導電体部分である。対向電極接続領域75においては、対向電極12は、対向電極12の下側を覆う仲介導電層15を介して外部端子引出用導電層14と電気的に接続されている。対向電極12と仲介導電層15とは直接接している。仲介導電層15と外部端子引出用導電層14とは第1無機絶縁膜7を貫通するように設けられたコンタクト部21を介して接続されている。
【0014】
有機平坦化膜8は、対向電極接続領域75の少なくとも表示領域73寄りの辺に沿って分断された箇所を有する。図1の例では、有機平坦化膜8は対向電極接続領域75を避けて配置されている。すなわち、対向電極接続領域75の表示領域73寄りの辺だけでなく対向電極接続領域75の内部も有機平坦化膜8がない状態となっているが、このような状態のものも、有機平坦化膜8が対向電極接続領域75の少なくとも表示領域73寄りの辺に沿って分断された箇所を有する状態に該当するものとする。
【0015】
仲介導電層15の一部は有機平坦化膜を覆っているがそのオーバラップ量dはデバイス形成における製造マージン以下であることが望ましい。各部の重なり具合をわかりやすく表示した平面図を図2に示す。
【0016】
(作用・効果)
本実施の形態における表示装置では、有機平坦化膜8は対向電極接続領域75を避けて配置されている、すなわち、対向電極接続領域75に位置する仲介導電層15の下側から水分を含有しやすい有機平坦化膜8がない構造となっているので、この対向電極接続領域75から発光層11へと至る水分を無くすことができる。さらに、基板1周辺から有機平坦化膜8を経路として伝播する水分を遮断することができる。したがって、発光層11が水分浸入によって劣化することによる輝度減少を防ぐことができるので表示装置としての信頼性が向上する。
【0017】
また、外部端子への電気的接続を担う導電体部分である外部端子引出用導電層14に対して対向電極12から直接接続されるのではなく仲介導電層15を介して接続される構造となっているので、外部端子引出用導電層14と仲介導電層15との材質の組合せの自由度が増す。また、対向電極接続領域75内では、仲介導電層15は複数箇所において外部端子引出用導電層14と電気的に接続されているが、このようになっていることにより、複数の接続箇所のうちのいずれかが何らかのトラブルで断線しても全体として接続が維持できるという利点がある。
【0018】
(実施の形態2)
(構成)
図3を参照して、本発明に基づく実施の形態2における表示装置について説明する。この表示装置のように、有機平坦化膜8と仲介導電層15とは重なり合う部分なく完全に隔離されていてもよい。他の部分の構成は、実施の形態1で示したものと同様である。
【0019】
(作用・効果)
本実施の形態における表示装置では、対向電極接続領域75に位置する仲介導電層15の下側から水分を含有しやすい有機平坦化膜8がない構造となっているので、この対向電極接続領域75から発光層11へと至る水分を無くすことができる。したがって、発光層11が水分浸入によって劣化することによる輝度減少を防ぐことができるので、表示装置としての信頼性が向上する。
【0020】
(実施の形態3)
(構成)
図4を参照して、本発明に基づく実施の形態3における表示装置について説明する。
この表示装置のように、仲介導電層15の真下で外部端子引出用導電層14の真上となる領域にかさ上げ層を配置してもよい。この場合のかさ上げ層とは、第1無機絶縁膜7を局所的に厚くしたものであり、図4の中でかさ上げ部7aとして示されるものである。他の部分の構成は、実施の形態1で示したものと同様である。
【0021】
(作用・効果)
本実施の形態における表示装置では、有機平坦化膜8と第1無機絶縁膜7との境界での段差が小さくなるので段差による対向電極12の段切れを防止できる。したがって、さらに良好な表示特性を得ることができる。なお、図4では有機平坦化膜8と第1無機絶縁膜7の上面はほぼ一致しているが必ずしも一致する必要はない。
【0022】
本実施の形態では、かさ上げ層が第1無機絶縁膜7を局所的に厚くしたものである旨を説明したが、この場合の「局所的に厚くした」とは、第1無機絶縁膜7を形成する際に単一層として局所的に厚くなった構造を形成する場合に限らず、第1無機絶縁膜7を形成する際に複数層の積層によって形成することとして局所的に積層する数を増やすことによって厚みを増したものであってもよい。すなわち、その場合、かさ上げ層は、第1無機絶縁膜7が局所的に積層されて厚みを増した部分ということになる。
【0023】
(実施の形態4)
(構成)
図5を参照して、本発明に基づく実施の形態4における表示装置について説明する。この表示装置のように、外部端子引出用導電層14の真下の領域に他の領域の絶縁膜より厚い絶縁膜をかさ上げ層として配置してもよい。図5の例では、外部端子引出用導電層14の真下に第1無機絶縁膜7とは別の第2無機絶縁膜16をかさ上げ層として配置しているが、かさ上げ層は、第1無機絶縁膜7と同じ材質であっても異なる材質であってもよい。また、層間絶縁膜6と第2無機絶縁膜16とは、別の工程で形成するものであっても同一工程で形成するものであってもよい。他の部分の構成は、実施の形態1で示したものと同様である。
【0024】
(作用・効果)
本実施の形態における表示装置では、有機平坦化膜8と第1無機絶縁膜7との境界での段差が小さくなるので段差による対向電極12の段切れを防止できる。さらに、コンタクト部21が接続すべき高低差を小さくできるので、コンタクト部21を形成する際の仲介導電層15の段切れを防止できる。したがって、さらに良好な表示特性を得ることができる。なお、第1無機絶縁膜7と層間絶縁膜6とは同じ材質であっても異なる材質であってもよい。異なる材質としては、たとえばSiNとSiO2の組合せであってもよい。
【0025】
第2無機絶縁膜16は、層間絶縁膜6と同じ材質として同一工程で形成することとしてもよい。その場合、言い換えれば、かさ上げ層は、対向電極接続領域75において外部端子引出用導電層14の下側の層が局所的に突出した部分ということになる。あるいは、第2無機絶縁膜16は、第1無機絶縁膜7と同じ材質であってもよい。
【0026】
(実施の形態5)
(構成)
図6を参照して、本発明に基づく実施の形態5における表示装置について説明する。この表示装置のように、仲介導電層15の上側に段切れ防止膜18が形成された構造としてもよい。段切れ防止膜18は、表示領域73(図1参照)において画素領域同士を分離するのに用いられる画素分離膜17を形成する際に、同じ材質で同時に形成するようにすれば好都合である。他の部分の構成は、実施の形態1で示したものと同様である。
【0027】
(作用・効果)
本実施の形態における表示装置では、各層の端面の段差に起因する対向電極12の段切れを防止できるのでさらに良好な表示特性を得ることができる。なお、この構造を用いる場合、段切れ防止膜18自体が水分の拡散経路となって発光層11などに水分が浸入してしまうことを防止するために、十分に脱水処理を行なった後に発光層11や対向電極12を形成することが望ましい。
【0028】
(実施の形態6)
(構成)
図7を参照して、本発明に基づく実施の形態6における表示装置について説明する。この表示装置のように、仲介導電層15は外部端子引出用導電層14より幅が狭くてもよい。他の部分の構成は、実施の形態1で示したものと同様である。
【0029】
(作用・効果)
本実施の形態における表示装置では、仲介導電層15と有機平坦化膜8との上から見たときの位置関係のクリアランスを大きく確保できるので製造が容易となる。
【0030】
(実施の形態7)
(構成)
図8を参照して、本発明に基づく実施の形態7における表示装置について説明する。これまでの実施の形態では、仲介導電層15と外部端子引出用導電層14との接続は複数の開口部を介して複数のコンタクト部21が並行するようにして接続されていたが、本実施の形態における表示装置のように、仲介導電層15と外部端子引出用導電層14との間は大きな開口部のみとして、この開口部に配置されるコンタクト部21cによって一括して接続される構造であってもよい。他の部分の構成は、実施の形態1で示したものと同様である。
【0031】
(作用・効果)
小さな面積の開口部によるコンタクト部では接続に不安がある場合であっても、本実施の形態における表示装置によれば、比較的大きな面積の開口を通じてコンタクト部21cによって接続されるので確実に仲介導電層15と外部端子引出用導電層14とを接続できる。なお、この場合仲介導電層15の応力には留意する必要がある。
【0032】
なお、図8に示した構造の代わりに、図9に示すような構造であってもよい。図9に示す構造では、仲介導電層15が外部端子引出用導電層14より狭くなっている。
【0033】
(実施の形態8)
(構成)
図10を参照して、本発明に基づく実施の形態8における表示装置について説明する。この表示装置では、外部端子引出用導電層14はコンタクト部22を介してゲート導電層33と接続されている。ゲート導電層33は層間絶縁膜6の下側に配置されているものであり、コンタクト部22は、層間絶縁膜6を貫通して形成されている。外部端子引出用導電層14は島状となっており、外部端子引出用導電層14同士の間にSD配線32が形成されている。なお、他の部分の構成は、実施の形態1で示したものと同様である。
【0034】
(作用・効果)
本実施の形態における表示装置によれば、画素内の配線から画素外への回路への電気的抵抗を低減することができるので信号遅延を低減できる。なお、この配置の場合、配線同士の交差領域に生じる容量を低減するために仲介導電層15およびゲート導電層33と外部端子引出用導電層14とが交差する領域においては両者の間に厚い絶縁膜を形成することが望ましい。
【0035】
なお、図10では、コンタクト部22は、仲介導電層15と外部端子引出用導電層14とを接続するコンタクト部21と同じ位置に重なって見えているが、必ずしもこのように同じ位置になっていなくてもよい。
【0036】
(実施の形態9)
(構成)
図11を参照して、本発明に基づく実施の形態9における表示装置について説明する。この表示装置では、図11に示すように、対向電極接続領域75に隣接する分断領域76の有機平坦化膜は除去されている。対向電極接続領域75においては有機平坦化膜が完全に除去されているのではなく有機平坦化膜8rとして残っている。対向電極接続領域75においては、対向電極12は、仲介導電層15を介して有機平坦化膜8rの上側を覆うように形成されている。対向電極12と仲介導電層15とは直接接続されており、仲介導電層15と外部端子引出用導電層14とは第1無機絶縁膜7および有機平坦化膜8rを貫通するように形成された開口部を通じてコンタクト部21dを介して接続されている。したがって、対向電極12は仲介導電層15を介して外部端子引出用導電層14に電気的に接続されている。
【0037】
この表示装置は、図11に示すように、対向電極接続領域75を取り囲む分断領域76において、有機平坦化膜がない状態となっている。しかし、分断領域76は対向電極接続領域75を取り囲んでいることは必須ではなく、分断領域76は対向電極接続領域75の少なくとも表示領域73寄りの辺に沿って存在すればよい。すなわち、この表示装置においては、有機平坦化膜8は、対向電極接続領域75の少なくとも表示領域73寄りの辺に沿って分断された箇所を有する。なお、他の部分の構成は、実施の形態1で示したものと同様である。
【0038】
(作用・効果)
本実施の形態における表示装置では、対向電極接続領域75において対向電極12の仲介導電層15の下側に水分を含有しやすい有機平坦化膜を残していることになるが、対向電極接続領域75の周囲を取り囲む、あるいは対向電極接続領域75の少なくとも表示領域73寄りの辺に沿った、分断領域76において有機平坦化膜を除去しているので、対向電極接続領域75から発光層11(図1参照)へ至る水分浸入経路を遮断することができる。さらに、基板1周辺から有機平坦化膜8を経路として伝播する水分を遮断することができる。したがって、発光層11が水分浸入によって劣化することによる輝度減少を防ぐことができるので表示装置としての信頼性が向上する。
【0039】
(実施の形態10)
(構成)
図12を参照して、本発明に基づく実施の形態10における表示装置について説明する。この表示装置のように、対向電極接続領域75の仲介導電層15は有機平坦化膜8rの上面の途中で途切れていてもよい。他の部分の構成は、実施の形態1で示したものと同様である。
【0040】
(作用・効果)
本実施の形態における表示装置では、仲介導電層15、有機平坦化膜8r、表示領域73(図1参照)の有機平坦化膜8の配置に余裕ができる。
【0041】
なお、図11、図12の例では、有機平坦化膜8rの内部において複数箇所をコンタクト部21dの形成のために除去して開口しているが、有機平坦化膜8rの除去領域は対向電極接続領域75の内部にどのように形成されていてもよい。すなわち、図8、図9に示したコンタクト部21cのように大きな面積の開口部を設けて接続してもよい。
【0042】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に基づく実施の形態1における表示装置の断面図である。
【図2】本発明に基づく実施の形態1における表示装置の平面図である。
【図3】本発明に基づく実施の形態2における表示装置の断面図である。
【図4】本発明に基づく実施の形態3における表示装置の断面図である。
【図5】本発明に基づく実施の形態4における表示装置の断面図である。
【図6】本発明に基づく実施の形態5における表示装置の断面図である。
【図7】本発明に基づく実施の形態6における表示装置の断面図である。
【図8】本発明に基づく実施の形態7における表示装置の断面図である。
【図9】本発明に基づく実施の形態7における表示装置の変形例の断面図である。
【図10】本発明に基づく実施の形態8における表示装置の平面図である。
【図11】本発明に基づく実施の形態9における表示装置の断面図である。
【図12】本発明に基づく実施の形態10における表示装置の断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 基板、2 TFT、6 層間絶縁膜、7 第1無機絶縁膜、7a かさ上げ部、8 有機平坦化膜、8r (対向電極接続領域に残った)有機平坦化膜、9 画素電極、11 発光層、12 対向電極、14 外部端子引出用導電層、15 仲介導電層、16 第2無機絶縁膜、17 画素分離膜、18 段切れ防止膜、21,21c,21d (仲介導電層と外部端子引出用導電層との)コンタクト部、22 (ゲート導電層と外部端子引出用導電層との)コンタクト部、31 ゲート配線、32 SD配線、33 ゲート導電層、73 表示領域、75 対向電極接続領域、76 (有機平坦化膜が分断された)分断領域。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面的に見て表示領域および対向電極接続領域を有する基板と、
前記基板の上側に配置された有機平坦化膜と、
前記有機平坦化膜の上側において前記表示領域内に配置された画素電極と、
前記画素電極の上側の少なくとも一部を覆うように配置された発光層と、
前記発光層が前記画素電極の上側に重なっている領域において前記発光層の上側を覆うように配置され、さらに前記対向電極接続領域にまで延在する対向電極と、
前記画素電極に対して電気的に接続された状態で前記基板の表面に配置されたトランジスタ素子と、
前記トランジスタ素子のソース・ドレイン領域に電気的に接続するSD配線と同じ材質で前記対向電極接続領域に形成された外部端子引出用導電層とを備え、
前記対向電極接続領域においては、前記対向電極は、前記対向電極の下側を覆う仲介導電層を介して前記外部端子引出用導電層と電気的に接続され、
前記有機平坦化膜は、前記対向電極接続領域の少なくとも前記表示領域寄りの辺に沿って分断された箇所を有する、表示装置。
【請求項2】
前記対向電極接続領域内では、前記仲介導電層は複数箇所において前記外部端子引出用導電層と電気的に接続されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記有機平坦化膜は、前記対向電極接続領域を避けて配置されている、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記対向電極接続領域においては、前記基板より上側かつ前記仲介導電層の上面より下側の位置にかさ上げ層が配置されることによって、前記有機平坦化膜の上面と前記かさ上げ層の上面とがほぼ同じ高さとなっている、請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記有機平坦化膜と前記基板との間に第1無機絶縁膜が介在しており、前記かさ上げ層は、前記第1無機絶縁膜が延在して厚みを増した部分である、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記有機平坦化膜と前記基板との間に第1無機絶縁膜が介在しており、前記かさ上げ層は、前記第1無機絶縁膜が局所的に積層されて厚みを増した部分である、請求項4に記載の表示装置。
【請求項7】
前記かさ上げ層は、前記対向電極接続領域において前記外部端子引出用導電層と前記基板との間に介在する第2無機絶縁膜である、請求項4に記載の表示装置。
【請求項8】
前記かさ上げ層は、前記対向電極接続領域において前記外部端子引出用導電層の下側の層が局所的に突出した部分である、請求項4に記載の表示装置。
【請求項9】
前記仲介導電層の端部の上側および前記有機平坦化膜の端部の上側を連続的に覆うように段切れ防止膜が配置されている、請求項1から4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項1】
平面的に見て表示領域および対向電極接続領域を有する基板と、
前記基板の上側に配置された有機平坦化膜と、
前記有機平坦化膜の上側において前記表示領域内に配置された画素電極と、
前記画素電極の上側の少なくとも一部を覆うように配置された発光層と、
前記発光層が前記画素電極の上側に重なっている領域において前記発光層の上側を覆うように配置され、さらに前記対向電極接続領域にまで延在する対向電極と、
前記画素電極に対して電気的に接続された状態で前記基板の表面に配置されたトランジスタ素子と、
前記トランジスタ素子のソース・ドレイン領域に電気的に接続するSD配線と同じ材質で前記対向電極接続領域に形成された外部端子引出用導電層とを備え、
前記対向電極接続領域においては、前記対向電極は、前記対向電極の下側を覆う仲介導電層を介して前記外部端子引出用導電層と電気的に接続され、
前記有機平坦化膜は、前記対向電極接続領域の少なくとも前記表示領域寄りの辺に沿って分断された箇所を有する、表示装置。
【請求項2】
前記対向電極接続領域内では、前記仲介導電層は複数箇所において前記外部端子引出用導電層と電気的に接続されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記有機平坦化膜は、前記対向電極接続領域を避けて配置されている、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記対向電極接続領域においては、前記基板より上側かつ前記仲介導電層の上面より下側の位置にかさ上げ層が配置されることによって、前記有機平坦化膜の上面と前記かさ上げ層の上面とがほぼ同じ高さとなっている、請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記有機平坦化膜と前記基板との間に第1無機絶縁膜が介在しており、前記かさ上げ層は、前記第1無機絶縁膜が延在して厚みを増した部分である、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記有機平坦化膜と前記基板との間に第1無機絶縁膜が介在しており、前記かさ上げ層は、前記第1無機絶縁膜が局所的に積層されて厚みを増した部分である、請求項4に記載の表示装置。
【請求項7】
前記かさ上げ層は、前記対向電極接続領域において前記外部端子引出用導電層と前記基板との間に介在する第2無機絶縁膜である、請求項4に記載の表示装置。
【請求項8】
前記かさ上げ層は、前記対向電極接続領域において前記外部端子引出用導電層の下側の層が局所的に突出した部分である、請求項4に記載の表示装置。
【請求項9】
前記仲介導電層の端部の上側および前記有機平坦化膜の端部の上側を連続的に覆うように段切れ防止膜が配置されている、請求項1から4のいずれかに記載の表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−66206(P2006−66206A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−246960(P2004−246960)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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