説明

表示装置

【課題】表示画素毎に表示データを記憶する表示装置において、1表示画素を構成するトランジスタ数を削減する。
【解決手段】複数の表示画素と、前記表示画素に映像データを印加する映像線と、前記表示画素に走査電圧を印加する走査線とを有する表示パネルを備える表示装置であって、前記表示画素は、前記映像データの値に応じた電圧を保持する容量素子と、画素電極と、第1電源線と前記画素電極との間に接続され、制御電極に前記容量素子に保持された電圧が印加される第1導電型の第1トランジスタと、第2電源線と前記画素電極との間に接続され、制御電極に前記容量素子に保持された電圧が印加される前記第1導電型とは導電型が異なる第2導電型の第2トランジスタとを有し、前記第1電源線には、第1の電圧が供給され、前記第2電源線には、第2の電圧が供給され、前記第2電圧は、前記第1の電圧を反転した電圧である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置や、EL表示装置などの表示装置に係り、特に、各表示画素毎に表示データを記憶するようにした表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本願の発明者らは、液晶表示パネル内の各表示画素にメモリを配置し、当該メモリに表示データを記憶しておき、外部からの入力信号がない場合でも、液晶表示パネルに画像が表示可能な、低消費電力で高機能の液晶表示装置を提案している。(下記、特許文献1参照)
図8は、前述の特許文献1に記載された1表示画素構成を示す等価回路図である。
同図において、n型トランジスタ(TR3)は、ノード(node1)の電圧がHレベルの時にオンとなり、画素電極(ITO1)に、VCOMの電圧を印加する。n型トランジスタ(TR4)は、ノード(node2)がHレベルの時にオンとなり、画素電極(ITO1)に、VCOMの電圧を反転したバーVCOMの電圧を印加する。
走査線(G)に選択走査電圧(例えば、Hレベル)が印加されると、n型トランジスタ(TR1)がオン、p型トランジスタ(TR2)がオフとなり、ノード1(node1)に映像線(D)に印加されるデータ(「1」か「0」)が書き込まれる。すなわち、書き込み動作が行われる。
また、走査線(G)に非選択走査電圧(例えば、Lレベル)が印加されると、n型トランジスタ(TR1)がオフ、p型トランジスタ(TR2)がオンとなり、ノード1(node1)に書き込まれたデータ値が、インバータ回路(INV1,INV2)とから成るメモリ部に保持される。すなわち、保持動作が行われる。これにより、画像入力がない期間内にも表示部に画像が表示される。
例えば、ノーマリホワイトの液晶表示パネルの場合、ノード1(node1)に「1」(ノード2(node2)は「0」)が書き込まれたときに「白」、ノード1(node1)に「0」(ノード2(node2)は「1」)が書き込まれた時に「黒」となる。
【0003】
なお、本願発明に関連する先行技術文献としては以下のものがある。
【特許文献1】特願2005−108329号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図8に示す構成では、1表示画素を構成するトランジスタとして8個のトランジスタが必要であり、1表示画素を構成するトランジスタの素子数が多く、液晶表示パネルの画素数をあまり多くすることができないという問題点があった。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、表示画素毎に表示データを記憶する表示装置において、1表示画素を構成するトランジスタ数を削減することが可能となる技術を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
(1)複数の表示画素と、前記表示画素に映像データを印加する映像線と、前記表示画素に走査電圧を印加する走査線とを有する表示パネルを備える表示装置であって、前記表示画素は、前記映像データの値に応じた電圧を保持する容量素子と、画素電極と、第1電源線と前記画素電極との間に接続され、制御電極に前記容量素子に保持された電圧が印加される第1導電型の第1トランジスタと、第2電源線と前記画素電極との間に接続され、制御電極に前記容量素子に保持された電圧が印加される前記第1導電型とは導電型が異なる第2導電型の第2トランジスタとを有し、前記第1電源線には、第1の電圧が供給され、
前記第2電源線には、第2の電圧が供給され、前記第2電圧は、前記第1の電圧を反転した電圧であること特徴とする。
【0006】
(2)(1)において、前記走査線に非選択走査電圧が印加された時にオフ、選択走査電圧が印加された時にオンとなるアクティブ素子を有し、前記容量素子には、前記アクティブ素子を介して前記映像線から前記映像データの値に応じた電圧が印加される。
(3)(1)または(2)において、前記映像データが「1」の時に、前記第1トランジスタがオン、前記第2トランジスタがオフとなり、前記映像データが「0」の時に、前記第1トランジスタがオフ、前記第2トランジスタがオンとなる。
(4)(1)ないし(3)の何れかにおいて、前記画素電極と対向する共通電極を有し、前記共通電極には、前記第1の電圧が印加される。
(5)(1)ないし(4)の何れかにおいて、前記第1の電圧は、所定の反転周期で、電圧レベルがHighレベルからLowレベルへ、あるいは、前記Lowレベルから前記Highレベルへ反転する。
【0007】
(6)複数の表示画素と、前記表示画素に映像データを印加する映像線と、前記表示画素に走査電圧を印加する走査線とを有する表示パネルを備える表示装置であって、前記表示画素は、画素電極と、第1電源線と前記画素電極との間に接続され、制御電極に前記映像データの値に応じた電圧が印加される第1導電型の第1トランジスタと、第2電源線と前記画素電極との間に接続され、制御電極に前記映像データの値に応じた電圧が印加される前記第1導電型とは導電型が異なる第2導電型の第2トランジスタとを有し、前記第1電源線には、第1の電圧と第2の電圧とのうち一方が供給され、前記第2電源線には、前記第1の電圧と前記第2の電圧とのうち他方が供給され、前記第2電圧は、前記第1の電圧を反転した電圧であることを特徴とする。
(7)(6)において、前記走査線に非選択走査電圧が印加された時にオフ、選択走査電圧が印加された時にオンとなるアクティブ素子を有し、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタの前記制御電極には、前記アクティブ素子を介して前記映像線から前記映像データの値に応じた電圧が印加される。
(8)(6)または(7)において、前記映像データが「1」の時に、前記第1トランジスタがオン、前記第2トランジスタがオフとなり、前記映像データが「0」の時に、前記第1トランジスタがオフ、前記第2トランジスタがオンとなる。
【0008】
(9)(6)ないし(8)の何れかにおいて、前記第1トランジスタは、オン状態となった後で前記制御電極に前記映像データの値に応じた電圧が印加されなくなったときに、前記第1トランジスタの第1電極と前記制御電極との間の第1の寄生容量に保持された電圧によりオン状態を維持し、前記第2トランジスタは、オン状態となった後で前記制御電極に前記映像データの値に応じた電圧が印加されなくなったときに、前記第2トランジスタの第1電極と前記制御電極との間の第2の寄生容量に保持された電圧によりオン状態を維持する。
(10)(6)ないし(9)の何れかにおいて、前記画素電極と対向する共通電極を有し、前記共通電極には前記第1の電圧が印加される。
(11)(6)ないし(10)の何れかにおいて、前記第1の電圧は、所定の反転周期で、電圧レベルがHighレベルからLowレベルへ、あるいは、前記Lowレベルから前記Highレベルへ反転する。
(12)(6)ないし(11)の何れかにおいて、前記第1の電圧の電圧レベルがLowレベルのときに、前記第1電源線に前記第1の電圧が供給されるとともに、前記第2電源線に前記第2の電圧が供給され、前記第1の電圧の電圧レベルがHighレベルのときに、前記第1電源線に前記第2の電圧が供給されるとともに、前記第2電源線に前記第1の電圧が供給される。
【0009】
(13)(12)において、前記第1の電圧の電圧レベルに応じて、前記第1電源線および前記第2電源線に供給する電圧として、前記第1の電圧、あるいは、前記第2の電圧を選択する選択回路を有する。
(14)(6)ないし(13)の何れかにおいて、前記第1の電圧の電圧レベルに応じて、前記映像データを反転するデータ反転回路を有する。
(15)(14)において、前記データ反転回路は、前記第1の電圧の電圧レベルがLowレベルのときに、前記映像データを反転せず、前記第1の電圧の電圧レベルがHighレベルのときに、前記映像データを反転する。
(16)(1)ないし(15)の何れかにおいて、M個の前記表示画素で、1つのサブピクセルを構成する。
(17)(16)において、前記1つのサブピクセルを構成する前記M個の前記表示画素のそれぞれの前記画素電極の面積が互いに異なる。
(18)(17)において、前記映像データが、m(m≧2)ビットの映像データであり、前記Mは、前記mであり、前記1つのサブピクセルを構成する前記M個の前記表示画素のそれぞれの前記画素電極の前記面積は、実質的に2:2:...:2(m−1)の比率で重み付けされている。
(19)(1)ないし(18)の何れかにおいて、前記表示装置は液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0010】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明によれば、表示画素毎に表示データを記憶する表示装置において、1表示画素を構成するトランジスタ数を削減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を液晶表示装置に適用した実施例図面を参照して詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1の液晶表示装置の概略構成を示すブロック図である。
図1において、100は表示部、110は水平シフトレジスタ回路(映像線シフトレジスタ回路ともいう)、120は垂直シフトレジスタ回路(走査線シフトレジスタ回路ともいう)、130はインターフェイス回路、140はデータラッチ回路、10は表示画素である。
表示部100は、マトリクス状に配置される複数個の表示画素10と、各表示画素10に表示データを供給する映像線(ドレイン線ともいう)D(D1,D2,D3...)と、各表示画素10に走査信号を供給する走査線(ゲート線ともいう)G(G1,G2,G3,...)とを有する。
インターフェイス回路130は、入力される水平同期信号(HSYNC)と、垂直同期信号(VSYNC)とに基づき、水平シフトレジスタ回路110を駆動するための駆動パルス、および、垂直シフトレジスタ回路120を駆動するための駆動パルスを生成する。
データラッチ回路140は、入力される表示データ(Data)を、1表示ライン分蓄積する。
【0012】
図2は、本実施例の表示画素10の等価回路を示す図である。
同図において、n型トランジスタ(TR1)は、アクティブ素子を構成するトランジスタである。n型トランジスタ(TR1)のソースは映像線(D)に接続され、n型トランジスタ(TR1)のゲートは走査線(G)に接続される。さらに、n型トランジスタ(TR1)のドレインと、基準電位(GND)との間には、容量素子(C)が接続される。
また、n型トランジスタ(TR1)のドレインは、n型トランジスタ(TR12)と、p型トランジスタ(TR13)のゲートに接続される。
n型トランジスタ(TR12)のソース(または、ドレイン)は、第1電源線(V1)に接続され、n型トランジスタ(TR12)のドレイン(または、ソース)は、画素電極(ITO1)に接続される。
p型トランジスタ(TR13)のソース(または、ドレイン)は、第2電源線(V2)に接続され、p型トランジスタ(TR13)のドレイン(または、ソース)は、画素電極(ITO1)に接続される。
ここで、第1電源線(V1)には、共通電極(コモン電極、対向電極ともいう)(ITO2)に印加されるVCOMの電圧が印加され、第2電源線(V2)には、VCOMの電圧を反転したVCOMBの電圧が印加される。
画素電極(ITO1)と、これに対向して配置される共通電極(ITO2)との間に発生する電界によって、液晶(LC)が駆動され、表示部100に画像が表示される。なお、共通電極(ITO2)は、画素電極(ITO1)が形成された基板と同じ基板に形成されていても良いし、異なる基板に形成されていても良い。
【0013】
表示データ(Data)は、データラッチ回路140に入力され、水平シフトレジスタ回路110により、1表示ライン分データラッチ回路140に蓄積され、蓄積された表示データ(Data)は、それぞれの映像線(D1,D2...)に読み出される。
垂直シフトレジスタ回路120は、1H期間(走査期間)毎に、順次各走査線(G)に対して、走査線選択信号を出力し、これにより、各走査線(G)にゲートが接続されているトランジスタ(TR1)がオンとなる。
垂直シフトレジスタ120により選択された走査線(G)にゲートが接続されたn型トランジスタ(TR1)がオンとなると、映像線(D)から供給された表示データ(Data)が、n型トランジスタ(TR12)と、p型トランジスタ(TR13)のゲートに、それぞれ印加されるとともに、容量素子(C)に保持される。
ここで、表示データ(Data)は、「1」あるいは「0」であり、容量素子(C)には、「1」を表すHighレベル(以下、Hレベル)の電圧、あるいは、「0」を表すLowレベル(以下、Lレベル)の電圧が保持される。
【0014】
図2において、表示データ(Data)が「1」の場合、n型トランジスタ(TR12)がオン、p型トランジスタ(TR13)がオフとなるので、画素電極(ITO1)と対向電極(ITO2)とには、ともにVCOMの電圧が印加される。
即ち、表示データ(Data)が「1」の場合、液晶(LC)の両端に印加される電圧は同一となり、液晶間の電位差がなくなるため、ノーマリホワイトの液晶表示パネルの場合は「白」表示となる。
また、表示データ(Data)が「0」の場合、n型トランジスタ(TR12)がオフ、p型トランジスタ(TR13)がオンとなるので、画素電極(ITO1)にはVCOMBの電圧が印加され、対向電極(ITO2)には、VCOMの電圧が印加される。
即ち、表示データ(Data)が「0」の場合、液晶(LC)の両端に、(|VCOM−VCOMB|)の電圧が印加されるので、ノーマリホワイトの液晶表示パネルの場合は「黒」表示となる。
表示データ(Data)のHレベル、あるいは、Lレベルは、容量素子(C)に保持されるので、画像入力がない期間内にも表示部100に画像が表示される。
そして、画像を書き換える必要がない場合には水平シフトレジスタ回路110や垂直シフトレジスタ回路120の動作を停止できるため、消費電力の低減が可能である。
【0015】
本実施例においても、液晶表示パネルの交流駆動方法としてコモン反転駆動方法が採用されるが、本実施例では、図3に示すように、VCOMの電圧と、VCOMの電圧を反転したVCOMBの電圧とを、コモン反転周期に応じて変化させるだけよい。
VCOMの電圧は、コモン反転周期に応じてLレベル(例えば、0V)とHレベル(例えば、5V)との間で反転する。VCOMBの電圧は、VCOMの電圧をインバータで反転して生成することができる。
VCOMの電圧がLレベルの時、VCOMBの電圧はHレベルであり、VCOMの電圧がHレベルの時、VCOMBの電圧はLレベルである。即ち、所定の周期でVCOMの電圧の電圧レベルと、VCOMBの電圧の電圧レベルとが互いに入れ替わる。
このように、前述の特許文献1に記載された液晶表示装置では、従来、1表示画素当たり8個のトランジスタが必要であったが、本実施例では、前述の特許文献1に記載された液晶表示装置のメモリ部分を削除することにより、3個のトランジスタで構成することができるので、液晶表示パネルの画素数を従来よりも多くすることが可能となる。
【0016】
[実施例2]
前述の実施例1の表示画素10では、表示データ(Data)を保持する容量素子(C)が必要となる。本実施例では、図5に示すように、容量素子(C)に代えて、n型トランジスタ(TR12)と、p型トランジスタ(TR13)のゲート−ソース間の寄生容量(Cn,Cp)を使用するものである。
図4は、本発明の実施例2の液晶表示装置の概略構成を示すブロック図である。
本実施例では、表示部100の表示画素10として、図5に示す表示画素を使用する。
図4に示す液晶表示装置は、垂直シフトレジスタ回路120の後段に、VCOMセレクタ回路160が挿入される点と、データラッチ回路140の前段に、コモン反転周期に同期したデータ反転回路150が挿入される点で、図1に示す液晶表示装置と異なっている。
VCOMの電圧は、図3に示すように、例えば、フレーム毎に反転する電圧であり、図4に示すデータ反転回路150は、VCOMの反転周期に同期してデータを反転させる回路である。
図6は、VCOMセレクタ回路160の回路構成を示す図である。図6に示すように、VCOMセレクタ回路160は、フリップ・フロップ回路(Dラッチ回路)161と、セレクタ回路162とで構成される。
図6に示すセレクタ回路162の真理値表を、下記表1に示す。
【0017】
[表1]


【0018】
次に、本実施例の動作を説明する。
VCOMの電圧がLレベルのフレームでは、ある1表示ラインが選択された場合、図6に示すフリップ・フロップ回路161のD入力はLレベルなので、フリップ・フロップ回路161の出力(Q)はLレベルとなる。
したがって、セレクタ回路162のS入力は「0」となるので、第1電源線(V1)にはVCOMの電圧が出力され、第2電源線(V2)には、VCOMの電圧を反転したVCOMBの電圧が出力される。
そのため、VCOMの電圧がLレベルのフレームでは、n型トランジスタ(TR12)のソースには、LレベルのVCOMの電圧が印加され、p型トランジスタ(TR13)のソースには、HレベルのVCOMBの電圧が印加される。
この時、データ反転回路150は、入力されるデータを反転しないので、そのままの表示データ(Data)がデータラッチ回路140に入力され、1表示ライン分データラッチ回路140に蓄積された後、映像線(D)に出力される。
【0019】
図5に示す映像線(D)からn型トランジスタ(TR1)を介して、n型トランジスタ(TR12)のゲートと、p型トランジスタ(TR13)のゲートに、「1」の表示データが印加されると、n型トランジスタ(TR12)がオン、p型トランジスタ(TR13)がオフとなるので、画素電極(ITO1)にはVCOMの電圧が印加される。
即ち、表示データ(Data)が「1」の場合、液晶(LC)の両端に印加される電圧は同一となり、液晶間の電位差がなくなるため、ノーマリホワイトの液晶表示パネルの場合は「白」表示となる。
この時、n型トランジスタ(TR12)のゲート寄生容量(Cn)の両端には、(Hdata−VCOM)の電位差が印加されるので、ゲート寄生容量(Cn)の両端には、(Hdata−VCOM)の電位差がチャージされる。なお、Hdataは、表示データ(Data)が「1」の時の電圧レベルである。
この状態で、コモン反転周期に応じて、VCOMの電圧が、LレベルからHレベルになると、ゲート−ソース間はその電位差を保ち、n型トランジスタ(TR12)のゲートは、Hレベルより高電圧となるので、n型トランジスタ(TR12)のオン状態は維持され、p型トランジスタ(TR13)のオフ状態も維持される。
【0020】
また、図5に示す映像線(D)からn型トランジスタ(TR1)を介して、n型トランジスタ(TR12)のゲートと、p型トランジスタ(TR13)のゲートに、「0」の表示データが印加されると、n型トランジスタ(TR12)がオフ、p型トランジスタ(TR13)がオンとなるので、画素電極(ITO1)にはVCOMBの電圧が印加される。
即ち、表示データ(Data)が「0」の場合、画素電極(ITO1)にはVCOMBの電圧が印加され、対向電極(ITO2)には、VCOMの電圧が印加されるので、表示データ(Data)が「0」の場合、液晶(LC)の両端に、(|VCOM−VCOMB|)の電圧が印加されるため、ノーマリホワイトの液晶表示パネルの場合は「黒」表示となる。
この時、p型トランジスタ(TR13)のゲート寄生容量(Cp)の両端には、(VCOMB−Ldata)の電位差が印加されるので、ゲート寄生容量(Cp)の両端には、(VCOMB−Ldata)の電位差がチャージされる。なお、Ldataは、表示データ(Data)が「0」の時の電圧レベルである。
この状態で、コモン反転周期に応じて、VCOMBの電圧が、HレベルからLレベルになると、ゲート−ソース間はその電位差を保ち、p型トランジスタ(TR13)のゲートは、Lレベルより低電圧となるので、p型トランジスタ(TR13)のオン状態は維持され、n型トランジスタ(TR12)のオフ状態も維持される。
【0021】
VCOMの電圧がHレベルのフレームでは、ある1表示ラインが選択された場合、図6に示すフリップ・フロップ回路161のD入力はHレベルなので、フリップ・フロップ回路161の出力(Q)はHレベルとなる。
したがって、セレクタ回路162のS入力は「1」となるので、第1電源線(V1)にはVCOMBの電圧が出力され、第2電源線(V2)にはVCOMの電圧が印加される。
そのため、VCOMの電圧がHレベルのフレームでは、n型トランジスタ(TR12)のソースには、LレベルのVCOMBの電圧が印加され、p型トランジスタ(TR13)のソースには、HレベルのVCOMの電圧が印加される。
この時、データ反転回路150は、入力されるデータを反転して出力するので、反転された表示データ(Data)がデータラッチ回路140に入力され、1表示ライン分データラッチ回路140に蓄積された後、映像線(D)に出力される。
【0022】
したがって、表示データ(Data)が「1」の時には、図5に示す映像線(D)からn型トランジスタ(TR1)を介して、n型トランジスタ(TR12)のゲートと、p型トランジスタ(TR13)のゲートに、「0」の表示データが印加され、n型トランジスタ(TR12)がオフ、p型トランジスタ(TR13)がオンとなるので、画素電極(ITO1)にはVCOMの電圧が印加される。
即ち、表示データ(Data)が「1」の場合、液晶(LC)の両端に印加される電圧は同一となり、液晶間の電位差がなくなるため、ノーマリホワイトの液晶表示パネルの場合は「白」表示となる。
この時、p型トランジスタ(TR13)のゲート寄生容量(Cp)の両端には、(VCOM−Ldata)の電位差が印加されるので、ゲート寄生容量(Cp)の両端には、(VCOM−Ldata)の電位差がチャージされる。
この状態で、コモン反転周期に応じて、VCOMの電圧が、HレベルからLレベルになると、ゲート−ソース間はその電位差を保ち、p型トランジスタ(TR13)のゲートは、Lレベルより低電圧となるので、p型トランジスタ(TR13)のオン状態は維持され、n型トランジスタ(TR12)のオフ状態も維持される。
【0023】
また、表示データ(Data)が「0」の時には、図5に示す映像線(D)からn型トランジスタ(TR1)を介して、n型トランジスタ(TR12)のゲートと、p型トランジスタ(TR13)のゲートに、「1」の表示データが印加され、n型トランジスタ(TR12)がオン、p型トランジスタ(TR13)がオフとなるので、画素電極(ITO1)にはVCOMBの電圧が印加される。
即ち、表示データ(Data)が「0」の場合、液晶(LC)の両端に、|VCOM−VCOMB|)の電圧が印加され、液晶間に電位差ができるため、ノーマリホワイトの液晶表示パネルの場合は「黒」表示となる。
この時、n型トランジスタ(TR12)のゲート寄生容量(Cn)の両端には、(Hdata−VCOMB)の電位差が印加されるので、ゲート寄生容量(Cn)の両端には、(Hdata−VCOMB)の電位差がチャージされる。
この状態で、コモン反転周期に応じて、VCOMBの電圧が、LレベルからHレベルになると、ゲート−ソース間はその電位差を保ち、n型トランジスタ(TR12)のゲートは、Hレベルより高電圧となるので、n型トランジスタ(TR12)のオン状態は維持され、p型トランジスタ(TR13)のオフ状態も維持される。
【0024】
[実施例3]
図7は、本発明の実施例3の液晶表示装置の表示画素の構成を示す図である。
本実施例は、面積階調を採用した実施例であり、図7(a)に示すように、本実施例では、4つの表示画素(11〜14)で、1つのサブピクセル(Subpix)を構成する。
ここで、図7(b)に示すように、1つのサブピクセル(Subpix)を構成する4つの表示画素(11〜14)では、画素電極(ITO1)の面積に、所定の重み付けが成されている。
図7(b)に示す例では、表示データは4ビットの表示データ(D0,D1,D2,D3)であり、4つの表示画素(11〜14)の画素電極(ITO1)の面積は、実質的に1(=2):2(=2):4(=2):8(=2)の比率とされる。
ここで、4ビットの表示データ(D0,D1,D2,D3)の中のD0のデータは表示画素11に入力され、同様に、4ビットの表示データの中のD1のデータは表示画素12に入力され、4ビットの表示データの中のD2のデータは表示画素13に入力され、4ビットの表示データの中のD3のデータは表示画素14に入力される。
図7に示す例では、4つの表示画素(11〜14)の等価回路は、図2、あるいは、図5に示す等価回路と同じであるので再度の説明は省略する。
【0025】
なお、前述の説明では、表示データが4ビットの場合について説明したが、表示データがm(m≧2)ビットの場合は、1つのサブピクセル(Subpix)を構成する表示画素の数は、m個となり、その場合の、画素電極の面積の重み付けは、実質的に2:2:,...,:2(m−1)の比率とすればよい。
また、前述の各実施例では、周辺回路(例えばシフトレジスタなどを有する駆動回路)を、表示パネルに内蔵(表示パネルの基板上に一体に形成)した場合について説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、周辺回路の一部の機能を半導体チップを用いて構成しても良い。
さらに、前述の各実施例では、アクティブ素子としてトランジスタを用い、トランジスタとして薄膜トランジスタを用い、薄膜トランジスタとしてMOSトランジスタを用いた場合について説明しているが、MOSトランジスタよりも広い概念であるMISトランジスタを用いても良い。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例1の液晶表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例1の液晶表示装置の表示画素の等価回路を示す図である。
【図3】本発明の実施例1の液晶表示装置のVCOMの電圧と、VCOMの電圧を反転したバーVCOMの電圧との関係を示す図である。
【図4】本発明の実施例2の液晶表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施例2の液晶表示装置の表示画素の等価回路を示す図である。
【図6】図4に示すVCOMセレクタ回路の回路構成を示す図である。
【図7】本発明の実施例3の液晶表示装置の表示画素の構成を示す図である。
【図8】本発明者らによって提案済みの液晶表示装置の1表示画素構成を示す等価回路図である。
【符号の説明】
【0027】
10〜14 表示画素
100 表示部
110 水平シフトレジスタ回路
120 垂直シフトレジスタ回路
130 インターフェース回路
140 データラッチ回路
150 データ反転回路
160 VCOMセレクタ回路
161 フリップ・フロップ回路
162 セレクタ回路
D 映像線(ドレイン線)
G 走査線(ゲート線)
V1,V2 電源線
INV1,INV2 インバータ回路
node1,node2 ノード
TR1,TR3,TR4,TR12 n型MOSトランジスタ
TR2,TR13 p型MOSトランジスタ
ITO1 画素電極
ITO2 共通電極
LC 液晶
C 容量素子
Cn,Cp ゲート寄生容量
Subpix サブピクセル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示画素と、
前記表示画素に映像データを印加する映像線と、
前記表示画素に走査電圧を印加する走査線とを有する表示パネルを備える表示装置であって、
前記表示画素は、前記映像データの値に応じた電圧を保持する容量素子と、
画素電極と、
第1電源線と前記画素電極との間に接続され、制御電極に前記容量素子に保持された電圧が印加される第1導電型の第1トランジスタと、
第2電源線と前記画素電極との間に接続され、制御電極に前記容量素子に保持された電圧が印加される前記第1導電型とは導電型が異なる第2導電型の第2トランジスタとを有し、
前記第1電源線には、第1の電圧が供給され、
前記第2電源線には、第2の電圧が供給され、
前記第2電圧は、前記第1の電圧を反転した電圧であること特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記走査線に非選択走査電圧が印加された時にオフ、選択走査電圧が印加された時にオンとなるアクティブ素子を有し、
前記容量素子には、前記アクティブ素子を介して前記映像線から前記映像データの値に応じた電圧が印加されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記映像データが「1」の時に、前記第1トランジスタがオン、前記第2トランジスタがオフとなり、前記映像データが「0」の時に、前記第1トランジスタがオフ、前記第2トランジスタがオンとなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記画素電極と対向する共通電極を有し、
前記共通電極には、前記第1の電圧が印加されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1の電圧は、所定の反転周期で、電圧レベルがHighレベルからLowレベルへ、あるいは、前記Lowレベルから前記Highレベルへ反転することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
複数の表示画素と、
前記表示画素に映像データを印加する映像線と、
前記表示画素に走査電圧を印加する走査線とを有する表示パネルを備える表示装置であって、
前記表示画素は、画素電極と、
第1電源線と前記画素電極との間に接続され、制御電極に前記映像データの値に応じた電圧が印加される第1導電型の第1トランジスタと、
第2電源線と前記画素電極との間に接続され、制御電極に前記映像データの値に応じた電圧が印加される前記第1導電型とは導電型が異なる第2導電型の第2トランジスタとを有し、
前記第1電源線には、第1の電圧と第2の電圧とのうち一方が供給され、
前記第2電源線には、前記第1の電圧と前記第2の電圧とのうち他方が供給され、
前記第2電圧は、前記第1の電圧を反転した電圧であることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
前記走査線に非選択走査電圧が印加された時にオフ、選択走査電圧が印加された時にオンとなるアクティブ素子を有し、
前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタの前記制御電極には、前記アクティブ素子を介して前記映像線から前記映像データの値に応じた電圧が印加されることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記映像データが「1」の時に、前記第1トランジスタがオン、前記第2トランジスタがオフとなり、前記映像データが「0」の時に、前記第1トランジスタがオフ、前記第2トランジスタがオンとなることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1トランジスタは、オン状態となった後で前記制御電極に前記映像データの値に応じた電圧が印加されなくなったときに、前記第1トランジスタの第1電極と前記制御電極との間の第1の寄生容量に保持された電圧によりオン状態を維持し、
前記第2トランジスタは、オン状態となった後で前記制御電極に前記映像データの値に応じた電圧が印加されなくなったときに、前記第2トランジスタの第1電極と前記制御電極との間の第2の寄生容量に保持された電圧によりオン状態を維持することを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記画素電極と対向する共通電極を有し、
前記共通電極には前記第1の電圧が印加されることを特徴とする請求項6ないし請求項9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第1の電圧は、所定の反転周期で、電圧レベルがHighレベルからLowレベルへ、あるいは、前記Lowレベルから前記Highレベルへ反転することを特徴とする請求項6ないし請求項10のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1の電圧の電圧レベルがLowレベルのときに、前記第1電源線に前記第1の電圧が供給されるとともに、前記第2電源線に前記第2の電圧が供給され、
前記第1の電圧の電圧レベルがHighレベルのときに、前記第1電源線に前記第2の電圧が供給されるとともに、前記第2電源線に前記第1の電圧が供給されることを特徴とする請求項6ないし請求項11のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第1の電圧の電圧レベルに応じて、前記第1電源線および前記第2電源線に供給する電圧として、前記第1の電圧、あるいは、前記第2の電圧を選択する選択回路を有することを特徴とする請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記第1の電圧の電圧レベルに応じて、前記映像データを反転するデータ反転回路を有することを特徴とする請求項6ないし請求項13のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項15】
前記データ反転回路は、前記第1の電圧の電圧レベルがLowレベルのときに、前記映像データを反転せず、前記第1の電圧の電圧レベルがHighレベルのときに、前記映像データを反転することを特徴とする請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
M個の前記表示画素で、1つのサブピクセルを構成することを特徴とする請求項1ないし請求項15のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項17】
前記1つのサブピクセルを構成する前記M個の前記表示画素のそれぞれの前記画素電極の面積が互いに異なることを特徴とする請求項16に記載の表示装置。
【請求項18】
前記映像データが、m(m≧2)ビットの映像データであり、
前記Mは、前記mであり、前記1つのサブピクセルを構成する前記M個の前記表示画素のそれぞれの前記画素電極の前記面積は、実質的に2:2:...:2(m−1)の比率で重み付けされていることを特徴とする請求項17に記載の表示装置。
【請求項19】
前記表示装置は液晶表示装置であることを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−218974(P2007−218974A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−36348(P2006−36348)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】