説明

表示装置

【課題】製造が容易なスイッチング素子およびそれを備える表示装置を提供する。
【解決手段】本発明による表示装置は、マトリクス状に配列された複数の画素と、前記複数の画素毎に設けられたスイッチング素子であって、互いの間に放電電流が流れるように間隔をおいて設けられた第1電極および第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方との電位差が可変であり、且つ、該電位差を変化させることによって前記第1電極と前記第2電極との間を流れる放電電流の大きさを制御するように構成された第3電極とを有するスイッチング素子と、前記スイッチング素子の前記第1電極および前記第2電極の一方に電気的に接続された走査配線と、前記スイッチング素子の前記第3電極に電気的に接続された信号配線と、前記スイッチング素子の前記第1電極および前記第2電極の他方に電気的に接続された画素電極と、前記画素電極に対向する対向電極と、前記画素電極と前記対向電極との間に設けられた表示媒体層と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング素子およびそれを備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置は、コンピュータやテレビジョンなどの表示部として、現在広く用いられている。画像表示装置の代表例としては、例えば、陰極線管(CRT;cathode ray tube)ディスプレイや液晶ディスプレイあるいは有機蛍光(EL;electro luminescence)ディスプレイが知られている。
【0003】
近年では、従来非常に広く用いられてきたCRTディスプレイにかわり、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(FPD)が幅広く利用されるようになってきている。その理由は、FPDが軽量・薄型であるため携帯性や省スペース性に優れるからである。
【0004】
FPDの基幹部品としては、これまで、アクティブマトリクス駆動を実現するスイッチング素子として薄膜トランジスタ(TFT)が広く用いられてきており、アクティブマトリクス駆動を実現するアクティブマトリクス基板としてTFT基板が広く用いられてきた。
【0005】
TFT基板は、微小なTFTが基板上に多数配列されたものである。典型的にはマトリクス状に配列されたTFTは、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極を備え、ゲート電極およびソース電極にそれぞれゲート信号およびアドレス信号を供給することによって、TFTを線順次走査し、画像の2次元情報を正確に表現する。
【0006】
TFT基板は、絶縁性基板上に、半導体膜や絶縁膜あるいは導体膜などをプラズマ励起化学蒸着装置、スパッタリング装置、ドライエッチング装置等の真空装置を用いて堆積・パターニングすることによって製造される。TFT基板は、このように複雑で多くの製造工程を経て製造されるので、高価である。特に、大型の基板を作製するためには、大型の真空装置が必要とされるが、上述の真空装置は高価であり、特に大型の真空装置は非常に高価であるため、製造コストがさらに高くなる。
【0007】
ここで、大型の基板とは、主に対角20インチ以上の大きさの基板を指すものとし、このような大型の基板を備えるディスプレイを大型のディスプレイとよぶ。近年、大型(対角20インチ以上)且つ薄型のテレビジョンを実現するために、大型のFPDの開発が望まれている。
【0008】
このように高価で大型化が困難なTFT基板に代わるものとして、ブザクらは、特許文献1において、放電プラズマスイッチを利用するアドレス装置を提案している。
【0009】
図20を参照しながら、特許文献1に開示されているアドレス装置700について簡単に説明する。図20は、アドレス装置700を模式的に示す斜視図であり、図20中の参照符号701は、放電が発生している様子を模式的に示している。アドレス装置700は、第1基板および第2基板(いずれも不図示)と、第1基板と第2基板との間に設けられた誘電体層44とを有する。
【0010】
第2基板は、互いに平行なストライプ状の複数の溝を有し、溝の各々と誘電体層44とによって、密封されたプラズマチャネル(放電チャネル)が規定される。このプラズマチャネル内には放電によりイオン化可能なガスが封入されており、溝の底部には1対の放電発生用電極41および42が設けられている。一対の電極の一方をアノード(A)、他方をカソード(K)として、プラズマチャネルに封入されたガスに電圧を印加し、ガスをイオン化させて放電プラズマを発生させる。プラズマ放電を発生させ、プラズマチャネル内のガスをイオン化することを、プラズマチャネルを「活性化」するということもある。
【0011】
一方、第1基板の誘電体層44に対向する表面には、互いに平行なストライプ状の複数の透明電極49が設けられている。ストライプ状の透明電極49は、第2基板に設けられたストライプ状の溝(すなわち、プラズマチャネル)と交差するように配列されており、それぞれの交差部がマトリクス状に配列された個々のアドレス領域を規定する。
【0012】
このアドレス装置においては、例えば、プラズマチャネルが行走査単位となり、透明電極49が列駆動単位となる。選択的なプラズマ放電により、それぞれのプラズマチャネルを逐次活性化し、1行毎の線順次走査を実行する。これに同期して、列駆動単位である透明電極49のそれぞれに駆動信号を印加する。プラズマ放電によりプラズマチャネルを活性化すると、プラズマチャネル内がほぼ一様にアノード電位となり、各アドレス領域の誘電体層44の一端が誘電体層表面44’を介してアノード電位に接続される。このようにして、プラズマチャネルは、いわゆるプラズマスイッチを構成する。スイッチが導通した時点に同期して駆動信号が各アドレス領域の誘電体層44の他端に印加され、誘電体層44に電位差相当の電荷が蓄積される。印加された駆動信号はプラズマスイッチが非導通状態になった後にも保持され、いわゆるサンプルホールドが行われる。
【特許文献1】特開平9−120270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上述のように放電プラズマスイッチを利用するアドレス装置700は、TFT基板に比べて大型化が容易であり、製造コストが安いものの、以下のような問題を有している。
【0014】
このアドレス装置700においては、上述したように、プラズマ放電によりプラズマチャネルを活性化するとプラズマチャネル内がほぼ一様にアノード電位となることを利用してスイッチングを行っているが、実際には、プラズマに起因するシース電圧が存在するので、誘電体層表面44’の電位はアノード電位と同じにはならない。
【0015】
そのため、誘電体層表面44’の電位とアノード電位との差に相当する電圧を、透明電極49に印加される駆動信号の電圧にバイアスとして加える必要がある。このバイアス電圧は、放電電極41および42やプラズマチャネルの形状に依存して変化するので、アドレス装置ごとに個々にバイアス電圧設定を行わなければならない。さらに、1つのアドレス装置において場所ごとに放電電極41および42やプラズマチャネルの形状などにばらつきが大きい場合には、1つのアドレス装置において場所ごとにバイアス電圧を変化させる必要がある。
【0016】
また、このアドレス装置700においては、誘電体層表面44’に電荷を蓄積することによって、データの書き込み・蓄積を行うが、プラズマチャネル内において発生するプラズマは放電発生用電極41および42を中心に不均一に分布しているので、誘電体層表面44’に蓄積される電荷も不均一に分布する。そのため、個々のアドレス領域に蓄積されるデータ(すなわち電荷)は、そのアドレス領域内において不均一になり、このアドレス装置700を表示装置として用いる場合には、各アドレス領域に対応する画素領域のそれぞれにおいて、表示が不均一になる。
【0017】
さらに、このアドレス装置700においては、プラズマチャネル内に発生するプラズマの荷電粒子を用いてデータの書き込み・蓄積を行うが、プラズマチャネル内に封入された放電ガスの種類や圧力によっては、アノード電位が0Vとなった後も荷電粒子がプラズマチャネル内に比較的長時間残存することがあり、この荷電粒子の残存によってデータの書き込み・蓄積に悪影響が及ぼされることがある。
【0018】
荷電粒子の残存時間は放電ガスの種類および封入圧力に依存するので、スイッチング速度を速くするためには、放電ガスの種類および封入圧力を最適化する必要があり、最適化がなされていない場合には、遅いスイッチング速度しか実現されないことがある。また、速いスイッチング速度が実現されるような放電ガスを用いた場合にも、放電電圧が高くなってしまうなどの問題が生じることもある。
【0019】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造が容易なスイッチング素子およびそれを備える表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明によるスイッチング素子は、互いの間に放電電流が流れるように間隔をおいて設けられた第1電極および第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方との電位差が可変であり、且つ、該電位差を変化させることによって前記第1電極と前記第2電極との間を流れる放電電流の大きさを制御するように構成された第3電極とを有し、そのことによって上記目的が達成される。
【0021】
あるいは、本発明によるスイッチング素子は、互いの間で放電を発生させる第1電極および第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間での放電を制御する第3電極とを有し、そのことによって上記目的が達成される。
【0022】
前記第1電極および前記第2電極の一方から他方に流れる放電電流の大きさが、前記第3電極の電位に応じて制御される構成を有することが好ましい。
【0023】
前記第1電極と前記第2電極との間と、前記第1電極および前記第2電極の一方と前記第3電極との間とに放電ガスを備え、前記放電ガスの圧力は、前記第1電極と前記第2電極との間における放電開始電圧よりも、前記第1電極および前記第2電極の前記一方と前記第3電極との間における放電開始電圧が高くなるように設定されていることが好ましい。
【0024】
あるいは、本発明によるスイッチング素子は、互いの間に放電電流が流れるように間隔をおいて設けられた第1電極および第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方との電位差が可変であり、且つ、該電位差を変化させることによって前記第1電極と前記第2電極との間を流れる放電電流の大きさを制御するように構成された第3電極とを有し、前記第1電極と前記第2電極との間と、前記第1電極および前記第2電極の一方と前記第3電極との間とに放電ガスを備え、前記放電ガスの圧力は、前記第1電極と前記第2電極との間における放電開始電圧よりも、前記第1電極および前記第2電極の前記一方と前記第3電極との間における放電開始電圧が高くなるように設定されており、そのことによって上記目的が達成される。
【0025】
あるいは、本発明によるスイッチング素子は、互いの間に放電電流が流れるように間隔をおいて設けられた第1電極および第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方との電位差が可変であるように構成された第3電極とを有し、前記第1電極と前記第2電極との間と、前記第1電極および前記第2電極の一方と前記第3電極との間とに放電ガスを備え、前記第3電極は、前記第1電極と前記第2電極との間に発生する放電に起因した等電位面の分布を変化させる構成を有し、そのことによって上記目的が達成される。
【0026】
前記放電ガスの圧力は、前記第1電極と前記第2電極との間における放電開始電圧よりも、前記第1電極および前記第2電極の前記一方と前記第3電極との間における放電開始電圧が高くなるように設定されていることが好ましい。
【0027】
前記第3電極は、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられていることが好ましい。
【0028】
前記第3電極は、前記第1電極と前記第2電極との間に位置しないように設けられていてもよい。
【0029】
前記第1電極と、前記第2電極と、前記第3電極とが同一平面上に設けられていることが好ましい。
【0030】
前記第3電極は、前記第1電極および前記第2電極とは異なる平面上に位置するように設けられていてもよい。
【0031】
前記第1電極と前記第2電極とは互いに対向するように設けられており、前記第3電極は、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられていてもよい。
【0032】
前記第1電極および前記第2電極の一方に電気的に接続された配線と前記第3電極に電気的に接続された配線とを含む複数の配線をさらに有し、前記複数の配線のうちの少なくとも一つは、前記第1電極、前記第2電極および前記第3電極によって規定される平面に対して平行でないように配置されていてもよい。
【0033】
本発明による表示装置は、マトリクス状に配列された複数の画素と、前記複数の画素毎に設けられ、上記の構成を有するスイッチング素子と、前記スイッチング素子の前記第1電極および前記第2電極の一方に電気的に接続された走査配線と、前記スイッチング素子の前記第3電極に電気的に接続された信号配線と、前記スイッチング素子の前記第1電極および前記第2電極の他方に電気的に接続された画素電極と、前記画素電極に対向する対向電極と、前記画素電極と前記対向電極との間に設けられた表示媒体層とを有し、そのことによって上記目的が達成される。
【0034】
本発明による他の表示装置は、マトリクス状に配列された複数の画素と、前記複数の画素毎に設けられ、上記の構成を有するスイッチング素子と、前記スイッチング素子の前記第3電極に電気的に接続された走査配線と、前記スイッチング素子の前記第1電極および前記第2電極の一方に電気的に接続された信号配線と、前記スイッチング素子の前記第1電極および前記第2電極の他方に電気的に接続された画素電極と、前記画素電極に対向する対向電極と、前記画素電極と前記対向電極との間に設けられた表示媒体層とを有し、そのことによって上記目的が達成される。
【0035】
前記表示媒体層は液晶層である構成としてもよい。
【0036】
前記表示媒体層は有機エレクトロルミネッセンス材料層である構成としてもよい。
【発明の効果】
【0037】
本発明によると、製造が容易なスイッチング素子が提供される。本発明によるスイッチング素子は、各種電子デバイスに好適に用いることができ、特に表示装置に好適に用いることができる。そのため、表示装置の大型化および製造コストの低減が容易に実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
まず、本発明によるスイッチング素子の基本的な構成とその作用・効果を説明する。
【0039】
本発明によるスイッチング素子は、互いの間で放電を発生させる第1電極および第2電極と、これらの間での放電を制御する第3電極とを有する。
【0040】
第1電極と第2電極との間に所定の電位差が与えられると、これらの間で放電が発生し、これらの間に放電電流が流れる。この放電は、第3電極によって制御されるので、第1電極と第2電極とが導通している状態(これらの間に放電電流が流れている状態)と、導通していない状態(これらの間に放電電流が流れていない状態)とを切り替えることができる。典型的には、第3電極の電位に応じて、放電電流の大きさが制御される。
【0041】
第1電極および第2電極の一方は、被スイッチング部に電気的に接続され、本発明によるスイッチング素子は、この被スイッチング部への電荷や電流の供給を制御するスイッチング素子として機能する。
【0042】
本発明によるスイッチング素子は、上述の構成を有しているので、第1電極、第2電極および第3電極のそれぞれを別々のプロセスを用いて形成する必要がなく、スイッチング素子の製造を簡略化することができる。また、上述したように、放電を制御することによってスイッチングを行うので、薄膜トランジスタ(TFT)のようにオフ電流が発生することがない。さらに、第1電極、第2電極および第3電極が、絶縁膜を介して互いに重畳しない構成とすることができ、重畳した部分に形成される容量に起因する電気信号の遅延やなまりの発生を防止することができる。そのため、スイッチング素子を備えたアドレス装置や表示装置の大型化が容易に実現される。
【0043】
なお、上述した「放電」とは、電極間に電圧を印加することによってガスが充満している空間に生ずる絶縁破壊現象であり、放電発生後はこの空間には正イオンと電子とがほぼ等量存在するプラズマ状態が現れる。そして、「放電電流」とは、そのようなプラズマ状態(放電状態)において、正電荷をもつ正イオンおよび負電荷をもつ電子がキャリアとしての役割を果たす電流のことである。
【0044】
以下、放電現象(プラズマ現象)をより詳しく説明する。
【0045】
ガスが充満している空間の電界値(通常、電界値/ガス圧力という値が用いられる)が大きくなり、空間に存在する電子が加速されてガス原子(分子)に衝突することによって正イオンと電子とが生じる現象と、空間に存在する正イオンが負電位側の電極(カソード電極)表面に衝突して2次電子が発生する現象とが組合わされることによって、正イオンと電子とが生成され、それぞれの粒子は空間に存在する電界によって互いに逆方向に移動する。粒子の移動(電流のキャリアの移動)の形態としては、このような電界によるドリフト現象の他、粒子の不均一分布に起因する拡散現象も存在する。
【0046】
上述したような放電電流の流れ方は、同じように空間に電流を流す真空管や電界放出ディスプレイ(FED)とは異なる機構である。真空管では、熱せられたフィラメントから放出された電子が電流のキャリアとなる。また、FEDでは、鋭利なカソード電極から電界放出を利用して引き出された電子が電流のキャリアとなる。
【0047】
真空管やFEDと比較して、放電(プラズマ)が異なる点は他にもあり、その例として、電流が流れる空間に存在する電気力線や等電位面の分布の様子が挙げられる。真空管やFEDでは、電子流の引き出し用電極近傍を除いてはカソード電極とアノード電極(正電位側の電極)との間を電気力線はほぼ直線状に存在する必要があり、そのような電気力線に沿って電子が移動する。従って、カソード電極およびアノード電極は基本的には互いに対向するように設けられている必要がある。また、等電位面は、カソード電極とアノード電極との間の空間にほぼ等間隔で存在している。
【0048】
これに対して、放電(プラズマ)の場合は、電気力線はカソード電極とアノード電極との間を結ぶものの、その形状が直線状である必要はなく、例えばアーチ状(後述する図1などを参照)であってもよい。また、等電位面はカソード近傍に偏って多く、すなわち、等電位面の間隔がカソード近傍で短く、その部分で電位勾配が急で電界が強いという放電特有の分布となる。
【0049】
放電(プラズマ)の場合には、上述したような独特の電位構造が形成されるので、逆に言うと、そのような電位構造が維持できなければ放電は発生しない。このような放電現象の特性を利用すると、外部からの外乱電位の印加によって放電を制御することが可能になる。なお、真空管やFEDでは、電極間の電位構造が多少変化しても電流は依然として流れる。
【0050】
また、放電(プラズマ)状態では、正電荷をもつ正イオンと負電荷をもつ電子とが等量存在するので、巨視的に見た場合には電気的に中性の状態となっている。つまり、電気的に安定な状態が実現されている。これに対して、真空管やFEDでは、電子のみが存在するので、適切に電子の流れを制御しないと電子同士の負電荷が反発し合って電子流が膨張してしまう。つまり、真空管やFEDでは、電子が流れている状態は、電気的に不安定な状態であり、電流を十分に得るためには、高電圧で電子を加速する必要が生じてしまう。
【0051】
以下、図面を参照しながら本発明による実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0052】
(実施形態1)
まず、図1(a)および(b)を参照しながら本発明による実施形態1のスイッチング素子100を説明する。図1(a)は、スイッチング素子100を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は、スイッチング素子100を模式的に示す断面図である。
【0053】
スイッチング素子100は、互いの間で放電を発生させる第1電極(第1放電発生用電極)1および第2電極(第2放電発生用電極)2と、放電を制御する第3電極(放電制御用電極)3とを有する。なお、図1(a)および(b)において参照符号101は、第1電極1と第2電極2との間で放電が発生している様子を模式的に示している。
【0054】
第1電極1と第2電極2とは、これらの間で放電電流が流れるように間隔をおいて設けられており、第3電極3は、第1電極1と第2電極との間に設けられている。本実施形態においては、第1電極1、第2電極2および第3電極3は、絶縁性表面を有する基板(不図示)上に形成されている。
【0055】
スイッチング素子100は、さらに、第1電極1と第2電極2との間に放電ガス(不図示)を備えている。放電ガスは、基板上に形成されたガス封入構造(不図示)の内部に封入されている。
【0056】
上述の構成を有するスイッチング素子100は、例えば、以下のようにして製造される。
【0057】
まず、基板上に、第1電極1、第2電極2および第3電極3を形成する。ここでは、基板として、厚さ3mmのソーダガラスからなるガラス基板を用いる。勿論、基板の材質や厚さはこれに限定されず、スイッチング素子100の製造プロセスに耐え得る基板であればよい。スイッチング素子100の用途によっては、透明性を有する基板を用いる。例えば、バックライトからの光を表示に用いる透過型液晶表示装置や透過反射両用型液晶表示装置に用いる場合には、透明性を有する基板を用いる。反射型液晶表示装置や有機EL表示装置に用いる場合には、金属や樹脂等の材料からなる不透明性の基板であってもよい。
【0058】
また、ここでは、電極の材料としてニッケルを用い、スクリーン印刷法によって第1電極1、第2電極2および第3電極3を形成する。まず、ニッケル粉末やバインダー材料などを含んで構成されるニッケルペーストを、所定のパターンを有するスクリーン版のメッシュ部を通過させて基板上に塗布する。次に、基板上に塗布されたニッケルペーストを約300℃で乾燥・固化させる。その後、約600℃で焼成を行うことによって導電性が得られる。本実施形態においては、第1電極1、第2電極2および第3電極3は、横方向に沿ってこの順で、約40μmの間隔で形成されており、それぞれの電極の寸法は、以下の通りである。
第1電極1:縦約50μm×横約50μm、厚さ約15μm
第2電極2:縦約80μm×横約50μm、厚さ約15μm
第3電極3:縦約100μm×横約50μm、厚さ約15μm
【0059】
上述の電極の材料としては、ニッケルに限定されず、導電性があり、適当な2次電子放出係数をもつ金属を用いることができ、銀やアルミニウムなどを用いてもよい。また、電極の形成方法もスクリーン印刷法に限定されず、サンドブラスト法や感光性ペースト法などを用いて厚さ1μm以上の厚膜として形成してもよい。さらに、スパッタ法や電子ビーム蒸着法を用いて厚さ1μm以下の薄膜を形成し、ドライエッチングまたはウエットエッチングプロセスによって所定の電極パターン(形状)に形成してもよい。本実施形態のようにスクリーン印刷法を用いると、簡便に電極の形成を実行することができ、基板上に多数のスイッチング素子が形成された装置の大型化が容易に実現される。
【0060】
さらに、上述のようにして形成された電極の表面に、六ホウ化ランタンや六ホウ化ガドリニウムあるいは酸化マグネシウムなどの、2次電子放出係数が高く、高い耐スパッタ性を有する材料からなる被覆膜を形成してもよい。このような被覆膜は、例えば、電着法やスパッタ法あるいは電子ビーム蒸着法などを用いて形成することができる。
【0061】
次に、上述のようにして電極が形成された基板上に、ガス封入構造を形成する。まず、第1電極1、第2電極2および第3電極3を取り囲むように、ガラスを主成分とするフリット材を塗布する。続いて、ガス封入構造の高さを規定するスペーサ(高さ約300μm)と、ガラス板とを所定の位置に配置し、約600℃で焼成することによって、電極が形成された基板と、ガラス板とがフリット材によって接着されたガス封入構造が形成される。その後、ガス封入構造の内部を真空引きし、放電ガスとしてのヘリウムを約300Torr(約40kPa)の圧力で封入・封止する。基板上にスイッチング素子を複数個形成する場合には、それらを取り囲むようにガス封入構造を形成すればよい。また、放電ガスとしては、ヘリウムに限定されず、電極が腐食されたり、電極に付着したりすることがないガスであればよい。ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノンなどの希ガスや、これらの混合物を用いると、比較的低い電圧で放電を発生させることができる。
【0062】
以下、上述のようにして形成された本実施形態のスイッチング素子100の特性と動作原理を説明する。
【0063】
スイッチング素子100を用いて被スイッチング部4を駆動する場合、例えば、図1に示すように、第1電極1と、放電発生電圧Vgenを供給する電源6とを電気的に接続し、第3電極3と、放電制御電圧Vconを供給する電源7とを電気的に接続し、第2電極2と被スイッチング部4とを電気的に接続する。被スイッチング部4が等価的に容量である場合、例えば、一対の電極(画素電極および対向電極)とこれらの間に挟持された液晶層とからなる液晶容量である場合には、スイッチング素子100がオンとされると、被スイッチング部4に電荷が蓄積される。また、被スイッチング部4が等価的に抵抗である場合、例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子である場合には、スイッチング素子100がオンとされると、被スイッチング部4に電流が流れる。
【0064】
本実施形態のスイッチング素子100の特性を図2(a)および(b)を参照しながら説明する。図2(a)および(b)は、第1電極1に印加する放電発生電圧Vgenおよび第3電極3に印加する放電制御電圧Vconの一方を一定とし、他方を変化させたときの、被スイッチング部4に供給される電流Iの変化を示すグラフである。なお、ここでは、被スイッチング部4を短絡させてスイッチング素子100の特性を測定している。また、図2(a)および(b)においては、縦軸および横軸に、放電発生電圧Vgen、放電制御電圧Vconおよび電流Iの正負を逆転させた−Vgen、−Vconおよび−Iを示している。
【0065】
図2(a)に示すように、第1電極1に印加する放電発生電圧Vgenを一定(Vgen=−250VまたはVgen=−300V)とし、第3電極3に印加する放電制御電圧Vconを変化させると、被スイッチング部4に供給される電流Iの大きさがゼロから所定の大きさまで変化する。
【0066】
また、図2(b)に示すように、第3電極3に印加する放電制御電圧Vconを一定(Vcon=0VまたはVcon=−20V)とし、第1電極1に印加する放電発生電圧Vgenを変化させると、被スイッチング部4に供給される電流Iの大きさがゼロから所定の大きさまで変化する。
【0067】
このように、本発明によるスイッチング素子100においては、被スイッチング部4に供給される電流Iの大きさを制御することができる。これは、第1電極1、第2電極2および第3電極3のそれぞれの電位の相対的な高低関係によって、第1電極1と第2電極2との間に流れる放電電流の大きさが変化するためである。以下、図3(a)〜(c)を参照しながらさらに詳しく説明する。図3(a)〜(c)は、スイッチング素子100において、電極間の電位差に応じて発生する電気力線(電界)Eを模式的に示す図である。
【0068】
まず、第3電極3の電位V3が、第1電極1の電位V1と第2電極2の電位V2との間にあって、第2電極2の電位V2よりも十分に低いとき(V2>V3>V1であるとき)には、図3(a)に示すように、電気力線Eは、第1電極1と第2電極2との間に主に存在する。従って、このような電位になるようにそれぞれの電極に電圧を印加したときには、第1電極1と第2電極2との間で放電が発生し、これらの間に放電電流が流れる。
【0069】
また、第3電極3の電位V3が、第1電極1の電位V1と第2電極2の電位V2との間になく、第2電極2の電位V2よりも十分に高いとき(V3>V2>V1であるとき)には、図3(b)に示すように、電気力線Eは、第1電極1と第3電極3との間に主に存在し、第1電極1と第2電極2との間には存在しない。従って、このような電位になるようにそれぞれの電極に電圧を印加したときには、第1電極1と第2電極2との間で放電が発生せず、これらの間には放電電流が流れない。
【0070】
そして、第3電極3の電位V3が、第2電極2の電位V2の近傍であるときには、図3(c)に示すように、電気力線Eは、第1電極1と第2電極2との間に存在するものの、図3(a)に示した場合よりもその数は少なく、第3電極3の電位V3に応じて増減する。従って、第1電極1と第2電極2との間では放電は発生するが、強い放電ではなく、放電電流の大きさは、第3電極3の電位V3に応じて変化する。
【0071】
上述したように、本発明によるスイッチング素子100においては、第1電極1に印加される放電発生電圧Vgenおよび第3電極3に印加される放電制御電圧Vconの一方の大きさを一定とし、他方の大きさを変化させることによって、第1電極1と第2電極2との間に流れる放電電流の大きさを変化させることができ、そのことによって、被スイッチング部4に供給される電流Iの大きさを制御することができる。すなわち、本発明によるスイッチング素子100は、プラズマ放電部をチャネルとした3端子能動素子(トランジスタ)であるとも言える。
【0072】
以下、第1電極1、第2電極2および第3電極3の配置について説明する。
【0073】
図4に示すように、第3電極3を、第1電極1および第2電極2間に所定の電位差を与えたときに電気力線Eが存在する位置に設けることによって、第1電極1と第2電極2との間で発生する放電を制御することができる。
【0074】
さらに、図1に示したように、第3電極3が、第1電極1と第2電極2との間に設けられていると、第1電極1および第2電極2間の放電経路上に第3電極3が存在するので、放電の制御(放電電流の大きさの制御)が容易となり、第3電極3に印加する放電制御電圧Vconとして比較的低い電圧を印加することによって放電電流の大きさを制御することができる。
【0075】
また、図1(a)および(b)に示したように、第1電極1と第2電極2と第3電極3とが同一平面上に設けられている構成を採用すると、同一の基板上に同一のプロセスでこれらの電極を形成することができる。従って、これらの電極を同一のマスクや同一のスクリーン板を用いて同時に形成することができ、スイッチング素子100の製造を簡略化することができる。
【0076】
勿論、第1電極1、第2電極2および第3電極3は、同一の平面上に設けられていなくてもよいし、それぞれが別々の支持体(例えば基板)上に設けられていてもよい。第1電極1と第2電極2とが、これらの間で放電が発生するように設けられており、第3電極3がこの放電を制御できる位置に設けられてさえいれば、スイッチング素子として機能する。
【0077】
また、本実施形態のスイッチング素子100は、第1電極1と第2電極2との間に放電ガスを備えている。この放電ガスの圧力は、第1電極1と第2電極2との間における放電開始電圧よりも、第1電極1と第3電極3との間における放電開始電圧が高くなるように設定されていることが好ましい。放電開始電圧とは、所定の条件下において放電が発生する電圧の最小値である。この理由を図5を参照しながら説明する。図5は、スイッチング素子100における放電開始電圧の圧力依存性を示す図であり、図中の実線103は第1電極1と第2電極2との間(電極間距離は約130μm)における放電開始電圧を示し、実線104は第1電極1と第3電極との間(電極間距離は約40μm)における放電開始電圧を示している。
【0078】
放電ガスの圧力が、例えば、図5に示す破線で囲まれた領域102に対応するように設定されていると、第1電極1と第2電極2との間では放電が発生するが、第1電極1と第3電極3との間では放電が発生しない。従って、第1電極1と第3電極3との間に放電電流が流れることがなく、第1電極1と第2電極2との間での放電を制御するために消費する電力をほとんどゼロとすることができる。そのため、放電ガスの圧力が上述のように設定されたスイッチング素子100は、低消費電力性に優れている。勿論、図5中に例示した領域102に限定されず、第1電極1と第2電極2との間における放電開始電圧よりも、第1電極1と第3電極3との間における放電開始電圧が高くなるように、放電ガスの圧力を設定することによって、低消費電力性に優れたスイッチング素子が得られる。
【0079】
なお、本実施形態においては、放電ガスとしてヘリウムを備えているスイッチング素子100について説明したが、放電ガスとして大気(窒素および酸素)を大気圧で用いてもよい。大気を大気圧で利用する場合には、ガス封入構造を形成する工程および放電ガスを封入する工程を省略することができ、製造コストを下げることができる。
【0080】
上記の説明では、スイッチング素子100の動作原理を、第1電極1、第2電極2および第3電極3のそれぞれの電位の相対的な高低関係と、これらの間に発生する電気力線とを用いて説明した。ここで、図6(a)〜(f)を参照しながら、スイッチング素子100の動作原理を別の観点から説明する。なお、以下では、第1電極1および第2電極2には、第2電極2の電位V2が第1電極1の電位V1よりも十分に高くなる(V2>>V1)ように電圧が印加されているものとして説明する。
【0081】
第3電極3が存在しない場合には、放電が発生すると、図6(a)に示すように、負電位側の電極(第1電極1)近傍で等電位面EQが集中した(等電位面の間隔が狭い)強い電界が発生する一方、その他の部分では弱い電界が発生し、放電空間には安定な電位構造が形成される。
【0082】
一方、第3電極3が存在する場合には、第3電極3に与えられる電位に応じて、放電空間の電位構造(放電空間の等電位面EQの分布)は図6(b)〜(f)に示すように変化する。
【0083】
まず、第3電極3の電位V3が第2電極2の電位V2よりも高い(V3>V2>>V1)と、図6(b)に示したように、放電空間の電位構造が第3電極3の電位V3によって著しく乱されるので、放電経路に沿って放電維持に好ましい電位構造が存在せず、そのため、放電電流は流れない。
【0084】
第3電極3の電位V3が第2電極2の電位V2とほぼ同じである(V3=V2>>V1)と、図6(c)に示したように、放電空間の電位構造は第3電極3の電位V3によって若干乱され、等電位面EQが主に第1電極1と第3電極3との間に存在するような電位構造が形成される。そのため、放電電流は流れるものの、その大きさは図6(a)に示した場合に比べて小さい。
【0085】
第3電極3の電位V3が第1電極1の電位V1と第2電極2の電位V2との間にあり、第2電極2の電位V2よりも少し低い(V2>V3>>V1)と、図6(d)に示したように、放電空間の電位構造は、図6(a)に示した場合(第3電極3が存在しない場合)に近い安定な電位構造であり、放電経路101が太く確保されるので、放電電流がもっとも大きく流れる。
【0086】
第3電極3の電位が第1電極1の電位V1と第2電極2の電位V2との間にあり、第2電極2の電位V2よりも十分低い(V2>>V3>>V1)と、図6(e)に示したように、放電空間の電位構造は第3電極3の電位V3によって若干乱されるので、放電経路101が第3電極3から離れて細くなり放電電流が減少する。第3電極3の電位V3をさらに低くすると、図6(f)に示したように、放電空間の電位構造は第3電極3の電位V3によって著しく乱されるので、放電経路に沿って放電維持に好ましい電位構造が存在せず、ぞのため、放電電流が流れない。
【0087】
上述したように、スイッチング素子100が有する第3電極3は、第1電極1と第2電極2との間に発生する放電の電位構造を乱す機能、すなわち、第1電極1と第2電極2との間に発生する放電に起因した等電位面EQの分布を変化させる機能を有しており、そのことによって、第1電極1と第2電極2との間での放電を制御することが可能になる。
【0088】
スイッチング素子100の素子特性を図7に示す。図7は、図2(a)において横軸に示した放電制御電圧Vcomをより大きな値まで示したものに相当する。また、図7においては、図6(b)〜(f)の状態に相当する点を参照符号(b)〜(f)を用いて示している。
【0089】
図7に示したように、スイッチング素子100は、図6(b)および(f)に示した状態をオフ状態、図6(c)、(d)および(e)に示した状態をオン状態として機能する。
【0090】
第3電極3の大きさや配置は、必要とされる素子特性に応じて選択される。第1電極1と第2電極2との間に発生する放電の電位構造を乱すために必要な第3電極3への印加電圧の大きさ(あるいは第3電極3の電位V3)は、第3電極3の大きさ(サイズ)や配置に応じて変化するので、第3電極3の大きさ(サイズ)や配置を適宜選択することによって、必要とされる第3電極3への印加電圧の大きさを変えることができる。
【0091】
例えば、第3電極3の大きさを大きくすることによって、放電の電位構造を乱すために必要な第3電極3への印加電圧の大きさを小さくすることができるし、第3電極3を第1電極1と第2電極2と間あるいはこれらの近傍に配置することによっても、第3電極3への印加電圧の大きさを小さくすることができる。
【0092】
放電の電位構造を乱すために必要な第3電極3への印加電圧の大きさが小さいと、第3電極3を駆動するために外部接続されたドライバの耐圧を低くすることができる。第3電極3への印加電圧の大きさを小さくするには、上述したように、第3電極3の大きさを大きく(例えば第3電極3の面積を大きく)したり、第3電極3を第1電極1と第2電極2との間あるいはこれらの近傍に精度よく配置したりすればよい。
【0093】
(実施形態2)
図8、図9(a)および(b)を参照しながら、本発明による実施形態2の表示装置200を説明する。図8は、表示装置200を模式的に示す上面図であり、図9(a)および(b)は、それぞれ表示装置200の1画素に対応する領域を模式的に示す斜視図および断面図である。
【0094】
表示装置200は、行および列を有するマトリクス状に配列された複数の画素を有し、複数の画素ごとに、実施形態1のスイッチング素子100を有している。スイッチング素子100が有する第1電極1、第2電極2および第3電極3は、基板13上に形成されており、基板13と、基板13に対向する対向基板14との間に放電ガスが封入されている。
【0095】
また、表示装置200は、スイッチング素子100が有する第1電極1に電気的に接続された走査配線(ゲート配線)8と、第3電極3に電気的に接続された信号配線(データ配線)9と、第2電極2に接続された被スイッチング部としての有機EL素子4’とを有している。
【0096】
走査配線8および信号配線9は、それぞれ行ごとおよび列ごとに設けられている。走査配線8は、表示領域外に設けられたゲートドライバ12に電気的に接続され、ゲートドライバ12から走査電圧(ゲート電圧)を供給される。また、信号配線9は、表示領域外に設けられたデータドライバ11に電気的に接続され、データドライバ11から信号電圧(データ電圧)を供給される。さらに、表示装置200は、対向電極6に電気的に接続された接地配線10を有し、この接地配線10は、表示領域外において接地されている。
【0097】
有機EL素子4’は、第2電極2に電気的に接続された画素電極5と、画素電極5に対向する対向電極6と、画素電極5と対向電極6との間に設けられた表示媒体層としての有機EL(エレクトロルミネッセンス)材料層7とを有し、電流を供給されることによって発光する。
【0098】
図10(a)、(b)および(c)を参照しながら、本実施形態の表示装置200の駆動方法を説明する。図10(a)に模式的に示すように、表示装置200は、マトリクス状に配列された複数の画素を有する。図10(a)においては、n行目m列目の画素を(n,m)と表記している。
【0099】
まず、ゲートドライバ12から、行ごとに設けられた走査配線8に、1行目から順に走査電圧(ゲート電圧)Vgn(Vg1、Vg2、Vg3、・・・)が供給され、スイッチング素子100の第1電極1に走査配線8を介して走査電圧Vgnが供給される。ゲートドライバ12は、図10(b)に示すように、振幅(電圧の大きさ)が一定(ここでは−250V)でパルス幅が一定(ここでは10μs)のパルス電圧を発生させる。
【0100】
これと同期して、データドライバ11から、列ごとに設けられた信号配線9に所定のタイミングで信号電圧(データ電圧)Vdnm(Vdn1、Vdn2、Vdn3、・・・)が供給され、画素ごとに設けられたスイッチング素子100の第3電極3に信号配線8を介して信号電圧Vdnmが供給される。データドライバ11は、図10(c)に示すように、パルス幅が一定で、個々のデータに対応した振幅(電圧の大きさ;Vd11、Vd21、Vd31・・・)のパルス電圧を発生させる。勿論、データドライバ11は、振幅が一定で、パルス幅が個々のデータに対応して変化するようなパルス電圧を発生させてもよい。
【0101】
各画素は、第3電極3に印加された放電制御電圧としての信号電圧Vdnmに応じて、所定の表示状態となる。第3電極3に印加された放電制御電圧が、第1電極1および第2電極2間で放電が発生しないような電圧、すなわちオフ電圧である場合には、被スイッチング部としての有機EL素子4’に電流が供給されず、有機EL素子4’は発光状態とならない。また、第3電極3に印加された放電制御電圧が、第1電極1および第2電極2間で放電が発生するような電圧、すなわちオン電圧である場合には、有機EL素子4’に電流が供給され、有機EL素子4’が発光状態となる。このとき、有機EL素子4’に供給される電流の大きさは、放電制御電圧に応じて変化するので、有機EL素子4’の発光輝度を変化させることができ、多階調表示が実現される。
【0102】
上述のようにして、本実施形態の表示装置200において、アクティブマトリクス駆動が実現される。
【0103】
本発明による実施形態2の表示装置200においては、画素ごとに設けられたスイッチング素子100が、上述の構成を有しているので、第1電極1、第2電極2および第3電極3のそれぞれを別々のプロセスを用いて形成する必要がなく、表示装置200の製造を簡略化することができる。また、上述したように、放電を制御することによってスイッチングを行うので、薄膜トランジスタ(TFT)のようにオフ電流が発生することがない。さらに、第1電極、第2電極および第3電極が、絶縁膜を介して互いに重畳しない構成とすることができ、重畳した部分に形成される容量に起因する電気信号の遅延やなまりの発生を防止することができる。そのため、表示装置の大型化が容易に実現される。
【0104】
また、表示装置200は、特許文献1に開示されているような従来のアドレス装置に比較して、以下の点で優れている。
【0105】
まず、第2電極2と画素電極5とが、放電空間を介して短絡しているのではなく、配線によって直結されているので、プラズマ起因のシース電圧の影響は無く、バイアス電圧を追加する必要はない。また、画素電極5には配線を介して電荷あるいは電流を供給するので、被スイッチング部の内部部位による不均一性も存在しない。さらに、被スイッチング部に対して配線を介して放電電流により電荷あるいは電流を供給するので、放電発生電圧をオフした後は、その供給はすぐに止まり、高速のスイッチング動作を行うことができる。
【0106】
本実施形態の表示装置200は、例えば以下のようにして製造される。本実施形態の表示素子200は、1画素の大きさが486μm×162μmであり、この大きさの画素が42インチパネル相当の大きさに配列された、「High Definition」対応の表示装置である。
【0107】
まず、絶縁性表面を有する基板13上に、第1電極1、第2電極2、第3電極3、対向電極6、走査配線(ゲート配線)8および接地配線10を形成する。ここでは基板13として、ソーダガラスからなり、厚さが約3mm、大きさが約650mm×約1050mmの基板13を用いる。また、上述の電極および配線の材料としてニッケルを用い、スクリーン印刷法によってこれらを形成する。まず、ニッケル粉末やバインダー材料などを含んで構成されるニッケルペーストを、所定のパターンを有するスクリーン版のメッシュ部を通過させて基板上に塗布する。次に、基板上に塗布されたニッケルペーストを約300℃で乾燥・固化させる。その後、約600℃で焼成を行うことによって導電性が得られる。
【0108】
第1電極1、第2電極2および第3電極3のそれぞれの寸法およびこれらの間隔は、実施形態1のスイッチング素子100と同じである。走査配線8および接地配線10の線幅は約30μmであり、厚さは約15μmである。また、対向電極6の大きさは約140μm×約80μmであり、厚さは約15μmである。
【0109】
上述の電極および配線の形成方法はスクリーン印刷法に限定されず、サンドブラスト法や感光性ペースト法などを用いて厚さ1μm以上の厚膜として形成してもよい。さらに、スパッタ法や電子ビーム蒸着法を用いて厚さ1μm以下の薄膜を形成し、ドライエッチングまたはウエットエッチングプロセスによって所定の電極パターン(形状)に形成してもよい。本実施形態のようにスクリーン印刷法を用いると、簡便に電極および配線の形成を実行することができる。また、上述のようにして形成された電極の表面に、六ホウ化ランタンや六ホウ化ガドリニウムあるいは酸化マグネシウムなどの、2次電子放出係数が高く、高い耐スパッタ性を有する材料からなる被覆膜を形成してもよい。このような被覆膜は、例えば、電着法やスパッタ法あるいは電子ビーム蒸着法などを用いて形成することができる。
【0110】
次に、対向電極6の少なくとも一部を覆うように、有機EL材料層7を形成する。ここでは、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウムを真空蒸着法によって塗布し、メタルマスク法を用いてパターニングすることによって、大きさが約180μm×約110μm、厚さが約0.1μmの有機EL材料層7を形成する。
【0111】
続いて、信号配線9を形成する。ここでは、信号配線9の材料としてニッケルを用い、スクリーン印刷法によって、線幅が約30μm、厚さが約15μmの信号配線9を形成する。なお、信号配線9と走査配線8とは、互いが交差する部分に形成された感光性アクリル樹脂からなる絶縁膜(不図示)によって絶縁されている。
【0112】
次に、有機EL材料層7を介して対向電極6に対向する画素電極5を形成する。まず、有機EL材料層7を覆うようにスパッタ法を用いてITO(酸化インジウムスズ)を堆積する。次に、レジスト材をITO上にスクリーン印刷法を用いて所定のパターンに塗布し、レジスト材が塗布されていない部分のITOをエッチングによって除去する。その後、レジスト材を除去することによって、大きさが約140μm×約80μm、厚さが約15μmの画素電極5を形成する。
【0113】
その後、ガス封入構造を形成し、放電ガスを封入・封止する。まず、基板上に、複数の画素領域からなる表示領域を囲むように、ガラスを主成分とするフリット材を塗布する。次に、ガス封入構造の高さを規定するスペーサ(高さ約300μm)と、対向基板14とを所定の位置に配置し、約600℃で焼成することによって、電極が形成された基板13と、対向基板14とがフリット材によって接着されたガス封入構造が形成される。その後、ガス封入構造の内部を真空引きし、放電ガスとしてのヘリウムを約300Torr(約40kPa)の圧力で封入・封止する。
【0114】
上述のようにして、本実施形態の表示装置200が形成される。ここで例示した製造方法においては、第1電極1、第2電極2、第3電極3、対向電極6、走査配線8、信号配線9および接地配線10は、スクリーン印刷法によって同時に形成され、走査配線8と信号配線9との交差部に設けられた絶縁膜はフォトリソグラフィによって形成され、画素電極5はスクリーン印刷法によりパターニングされる。そのため、スイッチング素子として例えばTFTを備える従来の表示装置を製造する場合に比べて、マスク枚数、フォトリソグラフィ工程などが大幅に削減され、製造コストが低減される。
【0115】
なお、本実施形態においては、被スイッチング部として、有機EL素子4’を備えている場合について説明したが、これに限定されず、自発光型素子や光変調型素子などを好適に用いることできる。また、有機EL素子4’のような抵抗性の素子であってもよいし、一対の電極に挟持された液晶層のような容量性の素子であってもよい。
【0116】
図11(a)および(b)を参照しながら、被スイッチング部として、画素電極5および対向電極6とこれらに挟持された液晶層17とからなる液晶容量4’’を備える表示装置200’について説明する。図11(a)および(b)は、それぞれ表示装置200’の1画素に対応する領域を模式的に示す斜視図および断面図である。表示装置200’は、被スイッチング部として液晶容量4’’を備えている点以外は、表示装置200と同じ構成を有している。以下の説明においては、表示装置200と異なる点を中心に説明する。また、図11(a)および(b)においては、表示装置200と実質的に同じ機能を有する構成要素を同じ参照符号を用いて示している。
【0117】
表示装置200’は、被スイッチング部として、液晶容量4’’を有しており、液晶容量4’’は、スイッチング素子100を用いて駆動される。表示装置200’が備える被スイッチング部は、光変調型素子であるので、表示装置200’においては、バックライトからの光を用いて表示を行うか、あるいは周囲光(外光)を反射板(あるいは反射電極)により反射させて表示を行う。
【0118】
液晶容量4’’が有する液晶層17は、基板13上に設けられた液晶封止壁16と、基板13と、対向基板14とによって囲まれた領域に封入されている。ここでは、基板13と対向基板14との間隔を約5μmとする。
【0119】
基板13の液晶層17側に画素電極5が設けられており、対向基板14の液晶層17側にITOからなる対向電極6が設けられている。また、基板13および対向基板14上には、液晶層17に接するように設けられ、ラビング処理が施された配向層が形成されている。さらに、対向基板14は、液晶層17側とは反対側に偏光制御層およびカラーフィルタ層(いずれも不図示)を有する。
【0120】
液晶層17に液晶封止壁16を隔てて設けられた空間15に放電ガスが封入されており、この空間15の高さが約100μmとなるように、対向基板14はダイシング加工されている。
【0121】
上述の構成を有する表示装置200’においても、表示装置200と同様にアクティブマトリクス駆動が実現され、表示装置200と同様の利点が得られる。
【0122】
(実施形態3)
図12、図13(a)および(b)を参照しながら、本発明による実施形態3の表示装置300を説明する。図12は、表示装置300を模式的に示す上面図であり、図13(a)および(b)は、それぞれ表示装置300の1画素に対応する領域を模式的に示す斜視図および断面図である。
【0123】
実施形態3の表示装置300は、スイッチング素子100が有する第1電極1が信号配線(データ配線)9に電気的に接続され、第3電極3が走査配線(ゲート配線)8に電気的に接続されている点において、実施形態2の表示装置200と異なる。以下の説明においては、表示装置200と異なる点を中心に説明する。また、以降の図面においては、表示装置200と実質的に同じ機能を有する構成要素を同じ参照符号を用いて示している。
【0124】
上述したように、表示装置300においては、第1電極1が信号配線(データ配線)9に電気的に接続され、第3電極3が走査配線(ゲート配線)8に電気的に接続されている。以下、このような構造を有する表示装置300の駆動方法を、図14(a)、(b)および(c)を参照しながら説明する。図14(a)に模式的に示すように、表示装置300は、マトリクス状に配列された複数の画素を有する。図14(a)においては、n行目m列目の画素を(n,m)と表記している。
【0125】
まず、ゲートドライバ12から、行ごとに設けられた走査配線8に、1行目から順に走査電圧(ゲート電圧)Vgn(Vg1、Vg2、Vg3、・・・)が供給され、スイッチング素子100の第3電極3に走査配線8を介して走査電圧Vgnが供給される。ゲートドライバ12は、図12(b)に示すように、振幅(電圧の大きさ)が一定(ここでは−100V)でパルス幅が一定(ここでは15μs)のパルス電圧を発生させる。
【0126】
これと同期して、データドライバ11から、列ごとに設けられた信号配線9に所定のタイミングで信号電圧(データ電圧)Vdnm(Vdn1、Vdn2、Vdn3、・・・)が供給され、画素ごとに設けられたスイッチング素子100の第1電極1に信号配線8を介して信号電圧Vdnmが供給される。データドライバ11は、図14(c)に示すように、振幅(電圧の大きさ)が一定で、個々のデータに対応したパルス幅のパルス電圧を発生させる。勿論、データドライバ11は、パルス幅が一定で振幅が個々のデータに対応して変化するようなパルス電圧を発生させてもよい。
【0127】
各画素は、第1電極1と第2電極2との間での放電の状態に応じて、所定の表示状態となる。表示装置300においては、第3電極3に印加される放電制御電圧(走査電圧Vgn)が一定であり、第1電極1に印加される放電発生電圧(信号電圧Vdnm)が変化するが、放電制御電圧は、放電発生電圧の大きさに応じてオン電圧に相当したりオフ電圧に相当したりする。放電制御電圧がオフ電圧に相当するような大きさの放電発生電圧が印加されたときには、被スイッチング部としての有機EL素子4’に電流が供給されず、有機EL素子4’は発光状態とならない。また、放電制御電圧がオン電圧に相当するような大きさの放電発生電圧が印加されたときには、有機EL素子4’に電流が供給され、有機EL素子4’が発光状態となる。このとき、有機EL素子4’に供給される電流の大きさは、放電発生電圧に応じて変化するので、有機EL素子4’の発光輝度を変化させることができ、多階調表示が実現される。
【0128】
本実施形態の表示装置300においては、上述のようにしてアクティブマトリクス駆動が実現され、実施形態2の表示装置200と同様の利点が得られる。
【0129】
(実施形態4)
図15(a)および(b)を参照しながら、本発明による実施形態4の表示装置400を説明する。図15(a)および(b)は、それぞれ表示装置400の1画素に対応する領域を模式的に示す斜視図および断面図である。以下の説明においては、実施形態2の表示装置200と異なる点を中心に説明する。
【0130】
表示装置400は、図15(a)および(b)に示すように、互いに対向するように設けられた第1電極1および第2電極2と、第1電極1と第2電極2との間に設けられた第3電極3とを有するスイッチング素子100aを備えている点において、図1などに示したようなスイッチング素子100を備える表示装置200とは異なる。
【0131】
上述したように、スイッチング素子100aの第1電極1と第2電極2とは、互いに対向するように、つまり、それぞれの主面が互いに向き合うように配置されており、第3電極3は、これらの間に位置するように設けられている。従って、スイッチング素子100aは、スイッチング素子100よりもサイズを小さく構成することができる。そのため、画素におけるスイッチング素子100aの占有面積を小さくすることができ、開口率の向上などの利点が得られる。
【0132】
例えば、第1電極1、第2電極2および第3電極3の寸法およびこれらの間隔をスイッチング素子100と同様にした場合について比較する。実施形態1(あるいは2)では、スイッチング素子100のサイズは、100μm(縦)×230μm(横)×約50μm(放電経路101の高さ)である。これに対して、スイッチング素子100aのサイズは、100μm×160μm×50μmであり、スイッチング素子100aは、スイッチング素子100よりもコンパクトに構成されているといえる。スイッチング素子100aにおいては、第1電極1と第2電極2とが対向するように設けられているので、放電経路101はアーチ状にはならず、図15(a)に示すようにほぼ直線状となり、そのため、放電経路101は上記寸法内におさまる。
【0133】
なお、実施形態2の表示装置200においては、スイッチング素子100が被スイッチング部4と同一平面上に形成されているのに対して、本実施形態の表示装置400においては、スイッチング素子100aは、被スイッチング部4と同一平面上には位置していないが、スイッチング素子100aと被スイッチング部4とが同一平面上にあってもなくても表示装置としての機能に変わるところはない。
【0134】
また、本実施形態では、第1電極1に接続された走査配線8、第3電極に接続された信号配線9および対向電極6に接続された接地配線10のうち、走査配線8が、第1電極1、第2電極2および第3電極3によって規定される平面(第1電極1と第2電極2と第3電極3とを結ぶ直線群の一部を含む仮想平面)Pに対して平行でないように配置されている。従って、本実施形態の表示装置400では、配線相互の重なりが存在しないので、配線間の絶縁性を確保する必要がなく、そのため、本実施形態の表示装置400は製造が容易である。勿論、本実施形態のように走査配線8が平面Pに対して平行でない構成に限定されず、走査配線8、信号配線9および接地配線10のうち少なくとも1つが平面Pに対して平行でない構成を採用すると、同様の利点が得られる。
【0135】
スイッチング素子100aは、例えば、以下のようにして製造することができる。まず、第1電極1と第2電極2とをそれぞれ別々の基板上にスクリーン印刷法などを用いて形成する。次に、いずれかの基板上に、第3電極3と信号配線9とを含んでスペーサとしても機能する誘電体壁をサンドブラスト法などを用いて形成する。その後、それぞれの基板をフリット材を用いて貼り合わせることによって、図15(a)および(b)に示したスイッチング素子100aが得られる。
【0136】
(実施形態5)
図16(a)および(b)を参照しながら、本発明による実施形態5の表示装置500を説明する。図16(a)および(b)は、それぞれ表示装置500の1画素に対応する領域を模式的に示す斜視図および断面図である。以下の説明においては、実施形態2の表示装置200と異なる点を中心に説明する。
【0137】
表示装置500は、図16(a)および(b)に示すように、第1電極1および第2電極2とは異なる平面上に位置するように設けられた第3電極3を有するスイッチング素子100bを備えている点において、図9などに示したように、第1電極1、第2電極2および第3電極3が同一平面上に設けられたスイッチング素子100を備える表示装置200とは異なる。
【0138】
各電極が同一平面上に設けられたスイッチング素子100においては、各電極間の絶縁性を確保し、放電特性を素子間で一定とするために電極間隔を精度よく制御する必要がある。これに対して、スイッチング素子100bでは、第3電極3が第1電極1および第2電極2とは異なる平面上に設けられている、言い換えると、第3電極3が第1電極1および第2電極2とは同一平面上には位置しないように設けられているので、各電極間の絶縁性を確保しやすく、各電極間の間隔を精度良く制御する必要がなくなる。そのため、例えば、各電極間の間隔をより狭くすることもでき、スイッチング素子100bは、スイッチング素子100よりもサイズが小さくなるように構成され得る。従って、第3電極3が第1電極1および第2電極2とは異なる平面上に設けられている構成を採用すると、スイッチング素子をよりコンパクトに構成できるので、開口率の向上などを図ることができる。
【0139】
スイッチング素子100bは、例えば、以下のようにして製造することができる。まず、第1電極1と第2電極2とを同じ基板上にスクリーン印刷法などを用いて形成する。次に、第1電極1と第2電極2とが形成された基板上に、ストライプ状の誘電体層をサンドブラスト法などを用いて形成する。その後、誘電体層上に第3電極3と信号配線9とをスクリーン印刷法などを用いて形成することによって、図16(a)および(b)に示したスイッチング素子100bが得られる。
【0140】
(実施形態6)
図17(a)および(b)を参照しながら、本発明による実施形態6のスイッチング素子100cを説明する。図17(a)および(b)は、それぞれスイッチング素子100cを模式的に示す斜視図および断面図である。以下の説明においては、実施形態1のスイッチング素子100と異なる点を中心に説明する。
【0141】
スイッチング素子100cは、第1電極1と第2電極2との間に位置しないように設けられた第3電極3を有している。第3電極3は、具体的には、第2電極2に対して第1電極1とは反対側に位置している。つまり、第1電極1、第2電極2および第3電極3がこの順に並んで配置されており、第1電極1と第3電極3との間に第2電極2が位置している。
【0142】
スイッチング素子100cにおける電位構造の変化(等電位面の分布の変化)を図18(a)〜(d)に示す。
【0143】
第3電極3が存在しない場合には、放電が発生すると、図18(a)に示すように、負電位側の電極(第1電極1)近傍で等電位面EQが集中した(等電位面EQの間隔が狭い)強い電界が発生する一方、その他の部分では弱い電界が発生し、放電空間には安定な電位構造が形成される。
【0144】
一方、第3電極3が存在する場合には、第3電極3に与えられる電位に応じて、放電空間の電位構造(放電空間の等電位面EQの分布)は図18(b)〜(d)に示すように変化する。
【0145】
第3電極3の電位V3が第2電極2の電位V2よりも高い(V3>V2>>V1)と、図18(b)に示したように、第3電極3の電位V3によって第2電極2上部の等電位面EQが歪められるので、放電特有の電位構造を維持できない。そのため、第1電極1と第2電極2との間で放電が発生せず、放電電流は流れない。
【0146】
第3電極3の電位V3が第2電極2の電位V2とほぼ同じである(V3=V2>>V1)と、図18(c)に示したように、放電空間の電位構造は第3電極3の電位V3によってやや乱されるものの、放電電流は流れる。放電電流の大きさは図18(a)に示した場合に比べて小さい。
【0147】
第3電極3の電位V3が第1電極1の電位V1と第2電極2の電位V2との間にあり、第2電極2の電位V2よりも低い(V2>V3>>V1)と、図18(d)に示したように、第3電極3の電位V3により第2電極2周辺の等電位面EQが歪められることはない。そのため、放電空間の電位構造は、図18(a)に示した場合(第3電極3が存在しない場合)に近い安定な電位構造であり、放電経路101が太く確保されるので、放電電流がもっとも大きく流れる。
【0148】
本実施形態のスイッチング素子100cの特性を図19(a)および(b)に示す。図19(a)および(b)は、第1電極1に印加する放電発生電圧Vgenおよび第3電極3に印加する放電制御電圧Vconの一方を一定とし、他方を変化させたときの、被スイッチング部4に供給される電流Iの変化を示すグラフである。
【0149】
図19(a)および(b)に示したように、スイッチング素子100cは、スイッチング素子100を駆動する場合よりも放電発生電圧Vgenを約50V低下させて駆動したときに、スイッチング素子100の素子特性(図2)とほぼ同様の特性を示す。このように、第3電極3が第1電極1と第2電極2との間に位置しない構成を採用すると、スイッチング素子の駆動電圧を低電圧化することができる。
【0150】
上述の配置を採用することによって低電圧化が可能になるのは、第3電極3を第1電極1と第2電極2との間に位置しないように設けると、第1電極1と第2電極2との間隔をより狭くできるため、より低電圧で放電を発生させることができるからであると考えられる。放電の制御によるスイッチングを好適に行うためには、第1電極1と第3電極3との絶縁性が確保されていることが好ましく、第1電極1と第3電極3とがある程度の間隔をおいて設けられていることが好ましいが、第3電極3が第1電極1と第2電極2との間にある場合には、第1電極1と第2電極2との間隔は、必然的に、第1電極1と第3電極3との間隔よりも長くなる。これに対して、第3電極3が第1電極1と第2電極2との間に位置しない場合には、第1電極1と第3電極3とをある程度の間隔をおいて設けて絶縁性を確保しつつ第1電極1と第2電極2との間隔を短くすることが可能となる。
【0151】
また、第3電極3を第1電極1と第2電極2との間に位置しないように設けると、第3電極3を第1電極1からより離れた位置に設けることができるので、放電空間に存在する正イオンの衝撃により第1電極1から飛散する金属材料の第3電極3への付着を抑制・防止できる。そのため、長時間にわたって第3電極の絶縁性を確保できるので、長時間にわたって良好な特性を示す信頼性が高いスイッチング素子が提供される。
【0152】
例えば、各電極の寸法および各電極間の間隔を実施形態1のスイッチング素子100と同様にすると、第1電極1と第3電極3との間の絶縁抵抗が1MΩとなるのは、実施形態1のスイッチング素子100においては約15000時間後であるのに対して、実施形態6のスイッチング素子100cにおいては約25000時間後である。
【0153】
なお、本発明によるスイッチング素子は、例示した表示装置だけでなく、有機EL表示装置や液晶表示装置などの表示装置、アドレス装置、半導体装置、回路基板等の、スイッチング機能あるいはアドレス機能を備える各種電子デバイスに好適に用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明によると、製造が容易なスイッチング素子が提供される。本発明によるスイッチング素子は、各種電子デバイスに好適に用いることができ、特に表示装置に好適に用いることができる。そのため、表示装置の大型化および製造コストの低減が容易に実現される。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】(a)は、本発明による実施形態1のスイッチング素子100を模式的に示す斜視図であり、(b)は、本発明による実施形態1のスイッチング素子100を模式的に示す断面図である。
【図2】(a)および(b)は、本実施形態1のスイッチング素子100において、第1電極1に印加する放電発生電圧Vgenおよび第3電極3に印加する放電制御電圧Vconの一方を一定とし、他方を変化させたときの、被スイッチング部4に供給される電流Iの変化を示すグラフである。
【図3】(a)〜(c)は、本発明による実施形態1のスイッチング素子100において、電極間の電位差に応じて発生する電気力線(電界)Eを模式的に示す図である。
【図4】本発明による実施形態1のスイッチング素子100における第3電極3の配置例を模式的に示す図である。
【図5】本発明による実施形態1のスイッチング素子100における放電開始電圧の圧力依存性を示す図である。
【図6】(a)〜(f)は、放電空間に存在する電位構造(等電位面の分布)を模式的に示す図である。
【図7】スイッチング素子100の素子特性を示すグラフである。
【図8】本発明による実施形態2の表示装置200を模式的に示す上面図である。
【図9】(a)は、本発明による実施形態2の表示装置200の1画素に対応する領域を模式的に示す斜視図であり、(b)は、本発明による実施形態2の表示装置200の1画素に対応する領域を模式的に示す断面図である。
【図10】(a)、(b)および(c)は、本発明による実施形態2の表示装置200の駆動方法を説明するための図である。
【図11】(a)は、本発明による実施形態2の他の表示装置200’の1画素に対応する領域を模式的に示す斜視図であり、(b)は、本発明による実施形態2の他の表示装置200’の1画素に対応する領域を模式的に示す断面図である。
【図12】本発明による実施形態3の表示装置300を模式的に示す上面図である。
【図13】(a)は、本発明による実施形態3の表示装置300の1画素に対応する領域を模式的に示す斜視図であり、(b)は、本発明による実施形態3の表示装置300の1画素に対応する領域を模式的に示す断面図である。
【図14】(a)、(b)および(c)は、本発明による実施形態3の表示装置300の駆動方法を説明するための図である。
【図15】(a)は、本発明による実施形態4の表示装置400の1画素に対応する領域を模式的に示す斜視図であり、(b)は、本発明による実施形態4の表示装置400の1画素に対応する領域を模式的に示す断面図である。
【図16】(a)は、本発明による実施形態5の表示装置500の1画素に対応する領域を模式的に示す斜視図であり、(b)は、本発明による実施形態5の表示装置500の1画素に対応する領域を模式的に示す断面図である。
【図17】(a)は、本発明による実施形態6のスイッチング素子100cを模式的に示す斜視図であり、(b)は、本発明による実施形態6のスイッチング素子100cを模式的に示す断面図である。
【図18】(a)〜(d)は、スイッチング素子100cの放電空間に存在する電位構造を模式的に示す図である。
【図19】(a)および(b)は、実施形態6のスイッチング素子100cにおいて、第1電極1に印加する放電発生電圧Vgenおよび第3電極3に印加する放電制御電圧Vconの一方を一定とし、他方を変化させたときの、被スイッチング部4に供給される電流Iの変化を示すグラフである。
【図20】従来のアドレス装置700を模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0156】
1 第1電極
2 第2電極
3 第3電極
4 被スイッチング部
4’ 有機EL素子
4’’ 液晶容量
5 画素電極
6 対向電極
7 有機EL材料層
8 走査配線(ゲート配線)
9 信号配線(データ配線)
10 接地配線
11 データドライバ
12 ゲートドライバ
13 基板
14 対向基板
17 液晶層
100、100a、100b、100c スイッチング素子
200、200’、300、400、500 表示装置
700 アドレス装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に配列された複数の画素と、
前記複数の画素毎に設けられたスイッチング素子であって、互いの間に放電電流が流れるように間隔をおいて設けられた第1電極および第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方との電位差が可変であり、且つ、該電位差を変化させることによって前記第1電極と前記第2電極との間を流れる放電電流の大きさを制御するように構成された第3電極とを有するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子の前記第1電極および前記第2電極の一方に電気的に接続された走査配線と、
前記スイッチング素子の前記第3電極に電気的に接続された信号配線と、
前記スイッチング素子の前記第1電極および前記第2電極の他方に電気的に接続された画素電極と、
前記画素電極に対向する対向電極と、
前記画素電極と前記対向電極との間に設けられた表示媒体層と、を有する表示装置。
【請求項2】
マトリクス状に配列された複数の画素と、
前記複数の画素毎に設けられたスイッチング素子であって、互いの間で放電を発生させる第1電極および第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間での放電を制御する第3電極とを有するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子の前記第1電極および前記第2電極の一方に電気的に接続された走査配線と、
前記スイッチング素子の前記第3電極に電気的に接続された信号配線と、
前記スイッチング素子の前記第1電極および前記第2電極の他方に電気的に接続された画素電極と、
前記画素電極に対向する対向電極と、
前記画素電極と前記対向電極との間に設けられた表示媒体層と、を有する表示装置。
【請求項3】
マトリクス状に配列された複数の画素と、
前記複数の画素毎に設けられたスイッチング素子であって、互いの間に放電電流が流れるように間隔をおいて設けられた第1電極および第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方との電位差が可変であり、且つ、該電位差を変化させることによって前記第1電極と前記第2電極との間を流れる放電電流の大きさを制御するように構成された第3電極とを有するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子の前記第1電極および前記第2電極の一方に電気的に接続された走査配線と、
前記スイッチング素子の前記第3電極に電気的に接続された信号配線と、
前記スイッチング素子の前記第1電極および前記第2電極の他方に電気的に接続された画素電極と、
前記画素電極に対向する対向電極と、
前記画素電極と前記対向電極との間に設けられた表示媒体層と、を有する表示装置であって、
前記スイッチング素子は、前記第1電極と前記第2電極との間と、前記第1電極および前記第2電極の一方と前記第3電極との間とに放電ガスを備え、
前記放電ガスの圧力は、前記第1電極と前記第2電極との間における放電開始電圧よりも、前記第1電極および前記第2電極の前記一方と前記第3電極との間における放電開始電圧が高くなるように設定されている、表示装置。
【請求項4】
マトリクス状に配列された複数の画素と、
前記複数の画素毎に設けられたスイッチング素子であって、互いの間に放電電流が流れるように間隔をおいて設けられた第1電極および第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方との電位差が可変であるように構成された第3電極とを有するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子の前記第1電極および前記第2電極の一方に電気的に接続された走査配線と、
前記スイッチング素子の前記第3電極に電気的に接続された信号配線と、
前記スイッチング素子の前記第1電極および前記第2電極の他方に電気的に接続された画素電極と、
前記画素電極に対向する対向電極と、
前記画素電極と前記対向電極との間に設けられた表示媒体層と、を有する表示装置であって、
前記スイッチング素子は、前記第1電極と前記第2電極との間と、前記第1電極および前記第2電極の一方と前記第3電極との間とに放電ガスを備え、
前記第3電極は、前記第1電極と前記第2電極との間に発生する放電に起因した等電位面の分布を変化させる、表示装置。
【請求項5】
マトリクス状に配列された複数の画素と、
前記複数の画素毎に設けられたスイッチング素子であって、互いの間に放電電流が流れるように間隔をおいて設けられた第1電極および第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方との電位差が可変であり、且つ、該電位差を変化させることによって前記第1電極と前記第2電極との間を流れる放電電流の大きさを制御するように構成された第3電極とを有するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子の前記第3電極に電気的に接続された走査配線と、
前記スイッチング素子の前記第1電極および前記第2電極の一方に電気的に接続された信号配線と、
前記スイッチング素子の前記第1電極および前記第2電極の他方に電気的に接続された画素電極と、
前記画素電極に対向する対向電極と、
前記画素電極と前記対向電極との間に設けられた表示媒体層と、を有する表示装置。
【請求項6】
マトリクス状に配列された複数の画素と、
前記複数の画素毎に設けられたスイッチング素子であって、互いの間で放電を発生させる第1電極および第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間での放電を制御する第3電極とを有するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子の前記第3電極に電気的に接続された走査配線と、
前記スイッチング素子の前記第1電極および前記第2電極の一方に電気的に接続された信号配線と、
前記スイッチング素子の前記第1電極および前記第2電極の他方に電気的に接続された画素電極と、
前記画素電極に対向する対向電極と、
前記画素電極と前記対向電極との間に設けられた表示媒体層と、を有する表示装置。
【請求項7】
マトリクス状に配列された複数の画素と、
前記複数の画素毎に設けられたスイッチング素子であって、互いの間に放電電流が流れるように間隔をおいて設けられた第1電極および第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方との電位差が可変であり、且つ、該電位差を変化させることによって前記第1電極と前記第2電極との間を流れる放電電流の大きさを制御するように構成された第3電極とを有するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子の前記第3電極に電気的に接続された走査配線と、
前記スイッチング素子の前記第1電極および前記第2電極の一方に電気的に接続された信号配線と、
前記スイッチング素子の前記第1電極および前記第2電極の他方に電気的に接続された画素電極と、
前記画素電極に対向する対向電極と、
前記画素電極と前記対向電極との間に設けられた表示媒体層と、を有する表示装置であって、
前記スイッチング素子は、前記第1電極と前記第2電極との間と、前記第1電極および前記第2電極の一方と前記第3電極との間とに放電ガスを備え、
前記放電ガスの圧力は、前記第1電極と前記第2電極との間における放電開始電圧よりも、前記第1電極および前記第2電極の前記一方と前記第3電極との間における放電開始電圧が高くなるように設定されている、表示装置。
【請求項8】
マトリクス状に配列された複数の画素と、
前記複数の画素毎に設けられたスイッチング素子であって、互いの間に放電電流が流れるように間隔をおいて設けられた第1電極および第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方との電位差が可変であるように構成された第3電極とを有するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子の前記第3電極に電気的に接続された走査配線と、
前記スイッチング素子の前記第1電極および前記第2電極の一方に電気的に接続された信号配線と、
前記スイッチング素子の前記第1電極および前記第2電極の他方に電気的に接続された画素電極と、
前記画素電極に対向する対向電極と、
前記画素電極と前記対向電極との間に設けられた表示媒体層と、を有する表示装置であって、
前記スイッチング素子は、前記第1電極と前記第2電極との間と、前記第1電極および前記第2電極の一方と前記第3電極との間とに放電ガスを備え、
前記第3電極は、前記第1電極と前記第2電極との間に発生する放電に起因した等電位面の分布を変化させる、表示装置。
【請求項9】
前記表示媒体層は液晶層である請求項1から8のいずれかに記載の表示装置。
【請求項10】
前記表示媒体層は有機エレクトロルミネッセンス材料層である請求項1から8のいずれかに記載の表示装置。
【請求項11】
前記第3電極は、前記第1電極および前記第2電極とは異なる平面上に位置するように設けられている、請求項1から10のいずれかに記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1電極と前記第2電極とは互いに対向するように設けられており、前記第3電極は、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられている、請求項1から11のいずれかに記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−241313(P2007−241313A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147351(P2007−147351)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【分割の表示】特願2002−60412(P2002−60412)の分割
【原出願日】平成14年3月6日(2002.3.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】