説明

表示装置

【課題】TFTの閾値の変動が生じても信頼性ある動作を実現するレベルシフト回路を備える表示装置の提供。
【解決手段】多結晶半導体層のTFTからなるレベルシフト回路を基板上に形成する表示装置であり、前記レベルシフト回路は、複数のソース入力レベルシフト回路と選択回路とから構成され、入力レベルシフト回路は、ドレイン抵抗が異なる複数の単位レベルシフト回路と、各単位レベルシフト回路に対応させて設けられる第1、第2レベルシフト回路を備え、第1、第2の各レベルシフト回路は対応するレベルシフト回路のドレイン抵抗と同じ値のドレイン抵抗を有し、第1レベルシフト回路はソース端子にハイレベルの入力信号が入力され、第2レベルシフト回路はソース端子にロウレベルの入力信号が入力する構成で、選択回路は第1、第2レベルシフト回路からの各出力がハイレベルおよびロウレベルの場合によって選択するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に係り、特に、表示領域が形成された同じ基板上に駆動回路(周辺回路)が形成されたアクティブマトリックス型の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の表示装置は、いわゆる駆動回路一体型の表示装置と称され、小型化に有効な構造となっている。
【0003】
該表示装置の表示領域には、スイッチング素子を備えた各画素がマトリックス状に配置され、行方向に配列された各画素を選択するために当該画素のスイッチング素子をオンさせ、選択された前記各画素に前記各スイッチング素子を介して画素データを供給させるための各信号を前記駆動回路から供給するように構成している。
【0004】
前記スイッチング素子は薄膜トランジスタによって形成され、前記駆動回路においても多数の薄膜トランジスタによって構成されている。画素における薄膜トランジスタおよび駆動回路における薄膜トランジスタはそれぞれ並行して形成されるのが通常となっている。
【0005】
そして、前記駆動回路には、たとえば下記特許文献1にも見られるように、レベルシフト回路を備えたものが知られ、当該表示装置における回路の電圧レベルと外部装置からの入力信号の電圧レベルとの相異による不都合を前記レベルシフト回路によって解消するようにしたものがある。
【特許文献1】特開2004−242084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、近年において、前記薄膜トランジスタは、その半導体層として多結晶半導体層(たとえばPoly-Si)を用いたものが知られ、これにより電荷移動度を向上させた薄膜トランジスタを得るようにしている。
【0007】
この場合、多結晶半導体層からなる薄膜トランジスタは、一般にしきい値電圧が大きく、また、そのばらつきも大きいことから、たとえば単結晶半導体層からなる薄膜トランジスタからなるレベルシフト回路で動作していた回路が、多結晶半導体層からなる薄膜トランジスタでは充分に動作しないという不都合が生じる。
【0008】
すなわち、該薄膜トランジスタに流れる電流により入力信号がロウレベルのときでも出力電圧がハイレベルのままや、逆に入力信号がハイレベルの場合でも、出力電圧がハイレベルにまで上がらずにロウレベルとなることがある。
【0009】
本発明の目的は、多結晶半導体層からなる薄膜トランジスタで構成されるレベルシフト回路であって、該薄膜トランジスタのしきい値の変動が生じても信頼性ある動作を実現するレベルシフト回路を備える表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0011】
(1)本発明による表示装置は、たとえば、多結晶半導体層の薄膜トランジスタからなるレベルシフト回路を基板上に形成する表示装置であって、
前記レベルシフト回路は、複数のソース入力レベルシフト回路と選択回路とから構成され、
前記各ソース入力レベルシフト回路は、そのドレイン抵抗が異なる複数の単位レベルシフト回路と、前記各単位レベルシフト回路にそれぞれ対応させて設けられる第1レベルシフト回路と第2レベルシフト回路とを備え、
前記第1レベルシフト回路は、対応する前記単位レベルシフト回路のドレイン抵抗と同じ値のドレイン抵抗を有し、そのソース端子にハイレベルの入力信号が入力され、
前記第2レベルシフト回路は、対応する前記単位レベルシフト回路のドレイン抵抗と同じ値のドレイン抵抗を有し、そのソース端子にロウレベルの入力信号が入力されて構成され、
前記選択回路は、複数のうちの一の単位レベルシフト回路からの出力を、対応する前記第1レベルシフト回路および第2レベルシフト回路からのそれぞれの出力がハイレベルおよびロウレベルの場合によって選択するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
(2)本発明による表示装置は、たとえば、(1)の構成を前提とし、第1レベルシフト回路のドレイン抵抗と第2レベルシフト回路のドレイン抵抗は、前記第1レベルシフト回路および第2レベルシフト回路と対応する単位レベルシフト回路のドレイン抵抗と近接させて基板上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【0013】
(3)本発明による表示装置は、たとえば、多結晶半導体層の薄膜トランジスタからなるレベルシフト回路を基板上に形成する表示装置であって、
前記レベルシフト回路は、複数のソース入力レベルシフト回路と選択回路とから構成され、
前記各ソース入力レベルシフト回路は、そのドレイン抵抗が異なる2個の単位レベルシフト回路と、前記各単位レベルシフト回路のうちドレイン抵抗が大きい方の単位レベルシフト回路に対応させて設けられる第1レベルシフト回路とを備え、
前記第1レベルシフト回路は、対応する前記単位レベルシフト回路のドレイン抵抗と同じ値のドレイン抵抗を有し、そのソース端子にはハイレベルの入力信号が入力され、
前記選択回路は、 前記第1レベルシフト回路からの出力がハイレベルの場合に対応する一方の単位レベルシフト回路からの出力を選択し、前記第1レベルシフト回路からの出力がロウレベルの場合に他方の単位レベルシフト回路からの出力を選択するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
(4)本発明による表示装置は、たとえば、多結晶半導体層の薄膜トランジスタからなるレベルシフト回路を基板上に形成する表示装置であって、
前記レベルシフト回路は、複数のソース入力レベルシフト回路と選択回路とから構成され、
前記各ソース入力レベルシフト回路は、そのドレイン抵抗が異なる2個の単位レベルシフト回路と、前記各単位レベルシフト回路のうちドレイン抵抗が小さい方の単位レベルシフト回路に対応させて設けられる第1レベルシフト回路とを備え、
前記第1レベルシフト回路は、対応する前記単位レベルシフト回路のドレイン抵抗と同じ値のドレイン抵抗を有し、そのソース端子にはロウレベルの入力信号が入力され、
前記選択回路は、 前記第1レベルシフト回路からの出力がロウレベルの場合に対応する一方の単位レベルシフト回路からの出力を選択し、前記第1レベルシフト回路からの出力がハイレベルの場合に他方の単位レベルシフト回路からの出力を選択するように構成されていることを特徴とする。
【0015】
(5)本発明による表示装置は、たとえば、(1)ないし(5)の何れかの構成を前提とし、単位レベルシフト回路のトランジスタは制御信号の入力によってオン状態およびオフ状態を切り換えられることを特徴とする。
【0016】
なお、本発明は以上の構成に限定されず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【発明の効果】
【0017】
このような構成からなる表示装置は、多結晶半導体層からなる薄膜トランジスタで構成されるレベルシフト回路を備え、該レベルシフト回路は前記薄膜トランジスタのしきい値の変動が生じも信頼性ある動作を実現させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明による表示装置の実施例を図面を用いて説明する。
【0019】
〈実施例1〉
図1は、本発明による表示装置に組み込まれて形成されるレベルシフト回路の一実施例を示す回路図である。このレベルシフト回路はたとえば駆動回路内に他の回路とともに形成されるようになっている。
【0020】
このレベルシフト回路には複数のトランジスタTrが形成され、これらトランジスタTrのそれぞれは多結晶半導体層(たとえばPoly-Si)を備える薄膜トランジスタとなっている。
【0021】
図1に示すレベルシフト回路LSは、図中点線枠で囲まれるレベルシフト回路uLS(説明の便宜上、単位レベルシフト回路と称する)を複数個(n個)用い、これらのレベルシフト回路uLSからの出力のうちの一つを選択する回路を備えて構成されている。
【0022】
ここで、図1に示すレベルシフト回路LSの説明に先立ち、前記単位レベルシフト回路uSLの構成および動作を図2を用いて説明する。
【0023】
図2に示すように、単位レベルシフト回路uLSは、たとえばn型トランジスタTrとたとえば2段接続されたインバータINV1、INV2から構成されている。
【0024】
トランジスタTrのドレイン端子Dには、ドレイン抵抗Rdが接続され、該ドレイン抵抗Rdを介して電源電圧Vddが供給されるようになっている。
【0025】
トランジスタTrのゲート端子Gには、たとえば前記電源電圧Vdd(トランジスタTrのしきい値以上の電圧)が印加され、該トランジスタTrはオン状態となっている。
【0026】
トランジスタTrのソース端子Sには、ソース抵抗Rsが接続され、該ソース抵抗Rsの一方の端部は接地電位となっている。前記ソース端子Sには入力信号INが入力されるようになっている。このことから、図2に示す単位レベルシフト回路uSLはソース入力レベルシフト回路と称される。
【0027】
トランジスタTrの前記ドレイン端子Dにはインバータ回路INV1、INV2が接続され、該トランジスタTrからの出力を電力増幅させている。
【0028】
このように構成される単位レベルシフト回路uSLは、その入力信号INがロウレベルの場合はトランジスタTrに電流が流れ、ドレイン抵抗Rdの電圧降下により出力信号はロウレベルとなる。入力信号INがハイレベルの場合はトランジスタTrのソースが上がり電流が減少して出力信号OUTはハイレベルとなる。これにより、たとえばハイレベルが内部回路のしきい値電圧よりも低電圧の入力信号が入力される場合でも、該内部回路を駆動可能に電圧レベルを変換できるようになる。
【0029】
ここで、該単位レベルシフト回路uSLの動作点は、ドレイン抵抗Rdの値によって設定できるようになっている。入力信号INがロウレベルの時に出力信号OUTの電圧がハイレベルのままの時にはドレイン抵抗Rdを大きくしてやれば出力電圧はロウレベルに落ちることになる。また、入力信号INがハイレベルでも出力信号OUTの電圧がロウレベルとなる時はドレイン抵抗Rdを小さくしてやれば出力電圧はハイレベルとなる。
【0030】
再び図1に戻り、図1示すレベルシフト回路LSにおいて、図中上段から下段にかけて、n個からなる各単位レベルシフト回路uSLは、それぞれの動作点をn個に分割させて構成され、これにともない、各単位レベルシフト回路のドレイン抵抗Rdの値は分割された各動作点に対応して設定されるようになっている。
【0031】
ここで、図中上段から下段へ配置される各単位レベルシフト回路uLSを、uSL(1)、uSL(2)、……、uSL(n)の符号で付し、それらの各ドレイン抵抗RdをRd1、Rd2、……、Rdnの符号で付している。
【0032】
すなわち、単位レベルシフト回路uLS(1)にあってはドレイン抵抗Rd1を備え、単位レベルシフト回路uLS(2)にあってはドレイン抵抗Rd2、……、単位レベルシフト回路uLS(n)にあってはドレイン抵抗Rdnを有するようになっている。
【0033】
これらの単位レベルシフト回路uLS(1)、uLS(2)、……、uLS(n)の出力は、それぞれ、クロックインバータCIN(1)、ICIN(2)、……、CIN(n)に入力されるようになっている。
【0034】
そして、前記単位レベルシフト回路uLS(1)には、第1レベルシフト回路pLS(1)、第2レベルシフト回路dLS(1)、それに続くロジック回路からなる切換回路が設けられる。
【0035】
同様に、前記単位レベルシフト回路uLS(2)に、第1レベルシフト回路pLS(2)、第2レベルシフト回路dLS(2)、それに続くロジック回路からなる切換回路が設けられ、順次、それ以降に及ぶ前記単位レベルシフト回路uLS(n)にも、第1レベルシフト回路pLS(n)、第2レベルシフト回路dLS(n)、それに続くロジック回路からなる切換回路が設けられている。
【0036】
前記第1レベルシフト回路pLS(1)は、単位レベルシフト回路uLS(1)とほぼ同様の構成(ドレイン抵抗Rd1を有する)からなり、そのソース端子Sにはハイレベルからなる入力信号HINが入力されていることにおいて前記単位レベルシフト回路uLS(1)と異なっている。
【0037】
前記第1レベルシフト回路pLS(1)は、その出力電圧としてハイレベルを出力することになるが、動作点がしきい値を超えないドレイン抵抗Rd1を有する場合、ロウレベルの電圧を出力するようになる。
【0038】
このことから、前記第1レベルシフト回路pLS(1)において、その動作が良好の場合にはハイレベルを出力し、動作が良好の場合にはロウレベルを出力するようになる。
【0039】
前記第2レベルシフト回路dLS(1)は、単位レベルシフト回路uLS(1)とほぼ同様の構成(ドレイン抵抗Rd1を有する)からなり、そのソース端子Sにはロウレベルからなる入力信号LINが入力されていることにおいて前記単位レベルシフト回路uLS(1)と異なっている。このため、前記ソース抵抗Rsに相当する抵抗は接続されていない構成となっている。
【0040】
前記第2レベルシフト回路dLS(1)は、その出力電圧としてロウレベルを出力するこことになるが、動作点がしきい値を超えるドレイン抵抗Rd1を有する場合、ハイレベルの電圧を出力するようになる。
【0041】
このことから、前記第2レベルシフト回路dLS(1)において、その動作が良好の場合にはロウレベルを出力し、動作が良好の場合にはハイレベルを出力するようになる。
【0042】
そして、前記第1レベルシフト回路pLS(1)からの出力と前記第2レベルシフト回路dLS(1)からの出力は、排他的論理和回路EXOR(1)に入力されるようになっている。前記排他的論理和回路XEXOR(1)は、動作の良好な前記第1レベルシフト回路(1)からのハイレベルの出力を、動作の良好な前記第2レベルシフト回路(1)からのロウレベルの出力を得ることによって、その出力はハイレベルとなり、動作点の良好な単位レベルシフト回路uLS(1)を選別することができる。
【0043】
また、前記単位レベルシフト回路uLS(2)と、それに続く第1レベルシフト回路pLS(2)、第2レベルシフト回路dLS(2)、排他的論理和回路EXOR(1)の関係、……、前記単位レベルシフト回路uLS(n)と、それに続く第1レベルシフト回路pLS(n)、第2レベルシフト回路dLS(n)、排他的論理和回路EXOR(n)の関係も、上述した関係と同様となっている。
【0044】
そして、たとえば、前記単位レベルシフト回路uLS(1)、前記第1レベルシフト回路pLS(1)、前記第2レベルシフト回路dLS(1)には、上述したようにそれらのドレイン抵抗Rd1が同一の値として形成され、各ドレイン抵抗Rd1を基板上の近接した位置に形成して前記各回路の特性を揃えるようになっている。このような構成は、前記単位レベルシフト回路uLS(2)およびそれに対応する前記各回路、前記単位レベルシフト回路uLS(3)およびそれに対応する前記各回路等においても同様となっている。これにより、各単位レベルシフト回路uLS(1)、uLS(2)、……、uLS(n)のうち、正しく動作しているものを選別することができる。
【0045】
図3に示す実施例では、上段側の排他的論理和回路XEOR(たとえばXEOR(1))の反転出力と次段側の排他的論理回路XEOR(たとえばXEOR(2))の出力をアンド回路AND(たとえばAND(1,2))を入力させることによって、正しく動作している単位レベルシフト回路uLS(たとえばuLS(1)あるいはULS(2))を選別するようにしている。上段の出力を反転しているので、上段側から下段側にかけてドレイン抵抗Rdの値を減少させている場合、第1レベルシフト回路pLS、第2レベルシフト回路dLSが初めに良好動作となるドレイン抵抗Rdを有する単位レベルシフト回路uLSを選別することとなる。
【0046】
単位レベルシフト回路uLS(1)の出力が入力される前記クロックインバータCIN(1)には、前記排他的論理和回路XEOR(1)からの出力が入力されるようになっている。また、単位レベルシフト回路uLS(2)、……、uLS(n)から出力されるそれぞれの前記クロックインバータCIN(2)、……、CIN(n)には、前記アンド回路AND(1,2)、……、(n−1,n)からの出力が入力されるようになっている。
【0047】
クロックインバータCIN(1)、……、CIN(n)は、それぞれ、前記排他的論理和回路XEOR(1)、アンド回路AND(1,2)、……、(n−1,n)からの出力がハイレベルの場合にインバータとして動作し、ロウレベルの場合にはハイインピーダンスとなる。
【0048】
そして、各クロックインバータCIN(1)、……、CIN(n)からの出力はインバータINVを介して出力できるようになっている。
【0049】
このように構成したレベルシフト回路LSは、n個の単位レベルシフト回路uLSをそれぞれその動作点を異ならしめて構成しており、しきい値電圧や電源の変動によって動作点が移動するようなことがあっても、それに合った適切な動作領域の単位シフトレベル回路ULSを選択でき、選択された該単位シフトレベル回路uLSの出力を用いるようにしている。このため、しきい値電圧や電源電圧のばらつきにも対応させて動作させることができるレベルシフト回路LSを得ることができる。
【0050】
図1ではn個の単位レベルシフト回路uLSを備えた構成としたものであるが、2個あるいは3個であっても充分実用的なものとして構成することができる。単位レベルシフト回路uLSを3個備えるものは、設定した動作領域に対して、上側にずれた場合と、下側にずれた場合の3つの動作点の回路を設けることになる。
【0051】
〈実施例2〉
図3(a)、(b)は、それぞれ、本発明によるレベルシフト回路の他の実施例を示す回路図である。
【0052】
図3(a)、(b)に示すそれぞれのレベルシフト回路LSは、いずれも、2個の単位レベルシフト回路を備えたものとなっている。この場合、設定した動作領域に対して、しきい値が上側にずれる場合を対策する回路と、しきい値が下側にずれる場合を対策する回路とを構成することができる。
【0053】
図3(a)は、しきい値が低圧側にずれる場合の対策回路を示している。
【0054】
図3(a)において、一方の単位レベルシフト回路uLS(1)のドレイン抵抗Rd1の抵抗値は大きく、他方の単位レベルシフト回路uLS(2)のドレイン抵抗Rd2の抵抗値は小さく設定されている。
【0055】
また、第1レベルシフト回路pLS(1)があり、その構成は前記単位レベルシフト回路uLS(1)の構成とほぼ同様となっており、そのソース端子Sにハイレベルの入力信号HINが入力されることにおいて相異を有するのみとなっている。したがって、第1レベルシフト回路pLS(1)のドレイン抵抗Rd1の抵抗値は単位レベルシフト回路uLS(1)のドレイン抵抗Rd1の抵抗値と同じになっている。
【0056】
第1レベルシフト回路pLS(1)がその入力信号によって正常動作する際は、該第1レベルシフト回路pLS(1)の出力はハイレベルとなるため、クロックインバータCIN(1)によって前記単位レベルシフト回路uLS(1)が選択されるようになる。
【0057】
一方、トランジスタTrのしきい値が低電圧側に変動した場合、該トランジスタTrに流れる電流が増大し、前記第1レベルシフト回路pLS(1)はその出力がロウレベルとなり、クロックインバータCIN(2)によって前記単位レベルシフト回路uLS(2)が選択されるようになる。
【0058】
選択された単位レベルシフト回路uLS(2)は、ドレイン抵抗Rd2が小さく動作点が高く設定されているため、トランジスタTrのしきい値が低電圧側に変動した場合でも、ハイレベルを出力させることができる。
【0059】
図3(b)は、しきい値が高圧側にずれる場合の対策回路を示している。
【0060】
図3(b)において、図3(a)と同符号の部材は、同一の機能を有しており、図3(a)の場合と比較して異なる構成は、まず、単位レベルシフト回路uLS(1)のドレイン抵抗Rd1の抵抗値は小さく、単位レベルシフト回路uLS(2)のドレイン抵抗Rd2の抵抗値は大きく設定されていることにある。なお、第1レベルシフト回路pLS(1)のドレイン抵抗Rd1の抵抗値は単位レベルシフト回路uLS(1)のドレイン抵抗Rd1の抵抗値と同じになっていることは、図3(a)の場合と同様である。
【0061】
そして、第1レベルシフト回路pLS(1)のソース端子Sにはロウレベルの入力信号が入力されるようになっている。
【0062】
このような構成において、第1レベルシフト回路pLS(1)がその入力信号のロウレベルで正常に動作する場合は、単位レベルシフト回路uLS(1)が選択され、しきい値が高く変動した場合、単位レベルシフト回路uLS(2)が選択されるようになる。
【0063】
〈実施例3〉
図5は、本発明によるレベルシフト回路の他の実施例を示し、たとえば、図3に示した実施例に対応させて描いた図になっている。
【0064】
図3の場合と比較して異なる構成は、単位レベルシフト回路uLS(1)のトランジスタTr、および単位レベルシフト回路uLS(2)のトランジスタTrをオフ動作させる制御信号ENBが入力されるように構成していることにある。
【0065】
このように構成することによって、レベルシフト回路LSを使用していないスタンバイ時に、各ドレイン抵抗Rdを通して電流が流れてしまうことによる消費電力の増大を抑制でるようになる。
【0066】
このような構成は、上述した図1、図4に示した構成においても適用することができる。
【0067】
なお、前記制御信号は内部回路で生成しても、あるいは外部から入力させるようにしてもよい。
【0068】
上述した各実施例はそれぞれ単独に、あるいは組み合わせて用いても良い。それぞれの実施例での効果を単独であるいは相乗して奏することができるからである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明によるレベルシフト回路の一実施例を示す全体回路図である。
【図2】本発明によるレベルシフト回路を構成する単位レベルシフト回路の一実施例を示す回路図である。
【図3】本発明によるレベルシフト回路の他の実施例を示す全体回路図である。
【図4】本発明によるレベルシフト回路の他の実施例を示す全体回路図である。
【図5】本発明によるレベルシフト回路の他の実施例を示す全体回路図である。
【符号の説明】
【0070】
LS……レベルシフト回路、uLS……単位レベルシフト回路、pLS……第1レベルシフト回路、dLS……第2レベルシフト回路、XEOR……排他的論理和回路、AND……アンド回路、CIN……クロックインバータ、INV1、INV2、INV……インバータ、Vdd……電源電圧、Tr……トランジスタ、Rd……ドレイン抵抗、ENB……制御信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多結晶半導体層の薄膜トランジスタからなるレベルシフト回路を基板上に形成する表示装置であって、
前記レベルシフト回路は、複数のソース入力レベルシフト回路と選択回路とから構成され、
前記各ソース入力レベルシフト回路は、そのドレイン抵抗が異なる複数の単位レベルシフト回路と、前記各単位レベルシフト回路にそれぞれ対応させて設けられる第1レベルシフト回路と第2レベルシフト回路とを備え、
前記第1レベルシフト回路は、対応する前記単位レベルシフト回路のドレイン抵抗と同じ値のドレイン抵抗を有し、そのソース端子にハイレベルの入力信号が入力され、
前記第2レベルシフト回路は、対応する前記単位レベルシフト回路のドレイン抵抗と同じ値のドレイン抵抗を有し、そのソース端子にロウレベルの入力信号が入力されて構成され、
前記選択回路は、複数のうちの一の単位レベルシフト回路からの出力を、対応する前記第1レベルシフト回路および第2レベルシフト回路からのそれぞれの出力がハイレベルおよびロウレベルの場合によって選択するように構成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
第1レベルシフト回路のドレイン抵抗と第2レベルシフト回路のドレイン抵抗は、前記第1レベルシフト回路および第2レベルシフト回路と対応する単位レベルシフト回路のドレイン抵抗と近接させて基板上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
多結晶半導体層の薄膜トランジスタからなるレベルシフト回路を基板上に形成する表示装置であって、
前記レベルシフト回路は、複数のソース入力レベルシフト回路と選択回路とから構成され、
前記各ソース入力レベルシフト回路は、そのドレイン抵抗が異なる2個の単位レベルシフト回路と、前記各単位レベルシフト回路のうちドレイン抵抗が大きい方の単位レベルシフト回路に対応させて設けられる第1レベルシフト回路とを備え、
前記第1レベルシフト回路は、対応する前記単位レベルシフト回路のドレイン抵抗と同じ値のドレイン抵抗を有し、そのソース端子にはハイレベルの入力信号が入力され、
前記選択回路は、 前記第1レベルシフト回路からの出力がハイレベルの場合に対応する一方の単位レベルシフト回路からの出力を選択し、前記第1レベルシフト回路からの出力がロウレベルの場合に他方の単位レベルシフト回路からの出力を選択するように構成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
多結晶半導体層の薄膜トランジスタからなるレベルシフト回路を基板上に形成する表示装置であって、
前記レベルシフト回路は、複数のソース入力レベルシフト回路と選択回路とから構成され、
前記各ソース入力レベルシフト回路は、そのドレイン抵抗が異なる2個の単位レベルシフト回路と、前記各単位レベルシフト回路のうちドレイン抵抗が小さい方の単位レベルシフト回路に対応させて設けられる第1レベルシフト回路とを備え、
前記第1レベルシフト回路は、対応する前記単位レベルシフト回路のドレイン抵抗と同じ値のドレイン抵抗を有し、そのソース端子にはロウレベルの入力信号が入力され、
前記選択回路は、 前記第1レベルシフト回路からの出力がロウレベルの場合に対応する一方の単位レベルシフト回路からの出力を選択し、前記第1レベルシフト回路からの出力がハイレベルの場合に他方の単位レベルシフト回路からの出力を選択するように構成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
単位レベルシフト回路のトランジスタは制御信号の入力によってオン状態およびオフ状態を切り換えられることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−204637(P2009−204637A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43795(P2008−43795)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】