説明

表示装置

【課題】温度センサや外光センサに用いるTFT素子の閾値電圧Vthが変動するために、温度や外光を精度良く測定することができない。
【解決手段】外光検出用TFT素子3と温度検出用TFT素子4とを直列に接続し、期間TAにおいては、スイッチ素子SWAをOFF、スイッチ素子SWBをhi側にしてTFT素子4の閾値電圧Vthを検出し、期間TBにおいては、スイッチ素子SWAをON、スイッチ素子SWBをlow側にして温度を検出し、期間TCにおいては、スイッチ素子SWAをON、スイッチ素子SWBをhi側にして外光を検出する。TFT素子3,4への入力電圧と制御電圧は、閾値電圧Vthに基づいて、駆動回路5内に設けた電圧制御部7が設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルの温度や表示装置の周辺外光を検出して良好な画像を表示する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置としての液晶表示装置は、そのバックライト調光で必要となる光センサを実用化する上で、光センサ特性の温度バラツキを補正するために温度センサが必要となる。下記特許文献1には、ガラス基板上に2つのTFT素子(温度検出用と電流/電圧変換用)を設け、温度を電圧信号として取り出し、その際に、電流/電圧変換用TFT素子のゲート電圧(制御電圧)を、TFT素子の閾値電圧Vthの3倍以上とすることで、温度を電圧に線形変換して、バックライト調光制御や液晶の応答特性を改善するオーバードライブ回路を制御することが記載されている。
【特許文献1】特開2006−71564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の温度センサにおける温度に対する出力電圧変化率(mV/K)は制御信号/閾値電圧の比で異なる。ここで、温度を検出する場合の制御電圧/閾値電圧の比を固定とした場合、代表的な閾値電圧Vthに基づいて制御電圧を決めても、量産時に閾値電圧Vthが変動した場合には、制御電圧/閾値電圧の比が変動するため、温度に対する出力電圧変化率も変り、温度を精度良く測定することができない。
【0004】
そこで、本発明は、温度検出用TFT素子の閾値電圧Vthを検出し、この閾値電圧Vthに基づいて、温度検出と外光検出を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、2つのTFT素子を直列接続して、一方のTFT素子を温度検出用、他方のTFT素子を外光検出用とし、温度検出用TFT素子の閾値電圧Vthを検出することを特徴とする。
【0006】
このように検出した閾値電圧Vthに基づいて、温度を精度良く測定することができる。すなわち、表示パネルの温度変動に応じて、バックライトの調光制御や液晶の応答特性を改善するためのオーバードライブ回路を精度良く制御できるので、良好な画像を表示装置に表示することができる。また、検出した閾値電圧Vthに基づいて、外光を精度良く測定することができるので、表示装置の周辺外光に応じて、表示画像の輝度やコントラストを精度良く制御できる。
【発明の効果】
【0007】
以上、本発明によると、次の(1)ないし(4)の効果を奏する。
(1)センサとして使用されるTFT素子の閾値電圧Vthを測定することができるため、TFT素子のゲート電圧(制御電圧)を、制御電圧/閾値電圧の比から設定でき、温度を精度良く検出することができる。
(2)閾値電圧Vthを測定するためのドレイン電流をデジタル信号に変換するデジタル変換回路として積分型回路を用い、温度に応じた電圧をデジタル信号に変換するデジタル変換回路として2重積分型回路を用いることで、回路を増やすことなく2種類のデジタル変換を実施できるため、低コストとなる。
(3)直列接続された2つのTFT素子において、TFT素子の制御信号を制御するだけで温度と外光の2種類の特性を測定できるため、新たにセンサを増やすことなく、温度の外に外光も検出することができる。
(4)センサとして使用されるTFT素子により、外光を検出する場合、同時に温度も検出できるため、外光検出特性の温度バラツキを補正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を用いて、本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、本実施例の表示装置の概略図である。図1において、表示パネル1の表示領域2には複数の画素をマトリックス状に配置する。この表示領域2の周辺に、表示パネル1の温度を検知する際に、温度対出力特性を線形に変換するための電流/電圧変換部3と、表示パネル1の温度を検知する温度検知部4を配置する。電流/電圧変換部3と温度検知部4のサイズ(幅W/長さL)は、ほぼ同じに設定する。表示領域2の周辺に配置された駆動回路5は、電流/電圧変換部3と温度検知部4を制御する制御信号と表示領域2の画素を駆動する駆動信号を生成する。
【0010】
図2は、図1に示す電流/電圧変換部3と温度検知部4の回路構成図である。図2において、電流/電圧変換部3及び温度検知部4は、直列接続された2つのTFT素子で構成され、以後、これらをTFT素子3とTFT素子4ともいう。TFT素子4には、外光を遮蔽するための遮光部6’を設けている。なお、図示していないが各TFT素子は、図1に示すバックライト6からの光が影響しないようにしている。例えば、表示パネル1の裏面を遮光したり、表示領域2の画素を駆動するTFT素子をボトムゲート構造としたりする。TFT素子3,4以外の回路は、駆動回路5に内蔵される。なお、駆動回路5に内蔵せず外部にディスクリートで構成してもよい。
【0011】
まず、TFT素子4の閾値電圧Vthを検出するために、スイッチ素子SWAを制御信号SLAにてオフ状態にしてTFT素子3をオープンにし、TFT素子4のSBに接続されている端子には、ドレイン電流を測定するための電圧VSB_dを印加して、ドレイン電流を測定する。この電流を測定する場合には、切り替えスイッチ素子SWBを制御信号SLBにてhi側に切り替えて、TFT素子4からの出力信号OUTを電流/デジタル変換回路AiDCに接続する。電流/デジタル変換回路AiDCは、アナログ電流をデジタル信号に変換する回路である。
【0012】
次に、TFT素子4により温度を検出する場合には、スイッチ素子SWAを制御信号SLAにてオン状態、切り替えスイッチ素子SWBを制御信号SLBにてlow側に切り替えて、TFT素子4からの出力信号OUTを電圧/デジタル変換回路AvDCに接続する。電圧/デジタル変換回路AvDCは、アナログ電圧をデジタル信号に変換する回路である。
【0013】
最後に、電圧制御部7は、TFT素子4のドレイン電流を測定して求めた閾値電圧Vthに基づいて、温度測定用の制御信号GA,GBをTFT素子3,4のゲートに出力し、温度を検知する。このほかにもTFT素子3,4への入力信号SA,SBや、図示していないが、デジタル変換回路AiDC,AvDCへの基準電圧VREFを生成して出力する。温度信号生成部8は、デジタル信号Dvを補正処理して温度信号DTに変換する回路である。
【0014】
図3は、上記動作のタイミングチャートである。図3において、TFT素子4の閾値電圧Vthを測定する期間がTA、温度を測定する期間がTBである。
【0015】
期間TAにおいて、スイッチ素子SWAとSWBへの制御信号SLAとSLBは前述したとおりである。また、バックライト制御信号BL_CTLにより、閾値電圧Vthの測定時は、バックライトを消灯する。なお、前述したようにバックライト遮光の状態がよければ、この必要はない。期間TAでは、TFT素子3がオープン状態であるため、このTFT素子3への入力信号SAの電圧VSA_dと制御信号GAの電圧VGA_dは、特に規定しなくともよい。
【0016】
一方、期間TAにおけるTFT素子4への入力信号SBの電圧VSB_dは、TFT素子4の閾値電圧Vthを測定するためのドレイン・ソース間電圧Vdsとなるように設定する。なお、ドレイン・ソース間電圧Vdsは、電流/デジタル変換回路AiDC回路が積分型の場合には基準電圧との差分で調整可能である。また、TFT素子4への制御信号GBの電圧VGB_dは、TFT素子4の閾値電圧Vthバラツキを含む範囲(例えば、VGB_dmaxからVGB_dminまで)を期間TCのステップで変化させて、逐次ドレイン電流(OUT:Di)を測定する。
【0017】
このように、遮光部により外光を遮蔽し、さらに、バックライトの影響もなくしているため、フォトコンの影響を排除したTFT素子のドレイン電流を測定して、TFT素子の閾値電圧Vthを検出することができる。
【0018】
次に、期間TBにおいて、温度を測定する場合のスイッチ素子SWAとSWBへの制御信号SLAとSLBは前述したとおりである。温度測定時は、期間TAで測定した閾値電圧Vthに基づいて、TFT素子3と4への制御信号GAとGBの電圧VGA_tとVGB_tを設定する。ここで、VGA_tは、特許文献1にも記述してあるとおり、制御信号/閾値電圧の比が3倍以上となるように設定する。また、VGB_tは、温度に対するドレイン電流の変化が大きくなるようにTFT素子4がオン状態となるように設定する。
【0019】
例えば、TFT素子3と4への入力信号SAとSBの電圧VSA_tとVSB_tをそれぞれ5Vと0Vとし、制御電圧/閾値電圧の比を3.5倍とすると、検出した閾値電圧Vthが1.0Vの場合には、VGA_tをVSA_t(5V)よりも1.0V×3.5倍高い電圧である8.5Vに設定する。なお、他の表示装置で検出した閾値電圧Vthが1.4Vの場合、制御電圧/閾値電圧の比を3.5倍としてVGA_tを9.9Vに設定する。また、TFT素子4への制御信号GBの電圧VGB_tを、例えば、閾値Vthより一定電位高い電圧(例えば2V)に設定することにすれば、前者(Vth=1.0V)の場合は3Vになり、後者(Vth=1.4V)の場合は3.4Vとなる。
【0020】
このように、どの表示装置においても、それに内蔵されているTFT素子の閾値電圧に基づいて制御電圧(VGA_t、VGB_t)を設定できるため、温度に対する出力電圧変化率が一定となり、精度良く温度を検出することができる。また、温度に比例して変化する出力信号(OUT:Dv)を得ることができる。
【0021】
図4は、図3に示す期間TAにおけるTFT素子4のドレイン電流Diと制御電圧VGBの測定結果の概略図である。図4において、閾値電圧Vthにおけるドレイン電流をDi1(ドレイン・ソース間電圧Vds)とすると、期間TAで制御電圧VGB_dを変化させた結果、そのドレイン電流がDi1となる電圧が閾値電圧Vthとなる。図2に示す電圧制御部7は、期間TAにおいて制御電圧VGB(TFT素子4のゲート電圧)を前述した範囲で変化させ、その際のドレイン電流Diを記憶しておくことで、閾値電圧Vthを検出することが可能となる。また、図示していないが、制御電圧VGBを変化させていき、ドレイン電流がDi1となった電圧VGBを閾値電圧Vthとして記憶し、制御電圧VGBのスキャンを中止してもかまわない。なお、ドレイン電流がDi1は、予め定められた値である。
【0022】
図5は、上記設定により期間TBで、温度に対し線形な出力信号Dvが得られる様子を示したものである。
【実施例2】
【0023】
本実施例は、実施例1において使用されている2つのデジタル変換回路(AiDC、AvDC)を、1つのデジタル変換回路(AviDC)で構成している。これにより、回路数が減少するために、低コストで閾値電圧Vthの検出を行うことができる。
【0024】
図6は、図1に示す電流/電圧変換部3と温度検知部4の回路構成図である。図6において、電流及び電圧/デジタル変換回路AviDCは、図2に示す電流/デジタル変換回路AiDCと電圧/デジタル変換回路AvDCとを1つにしたものである。そのため、図2に示す切り替えスイッチ素子SWBは不要となる。
【0025】
図7は、図6の回路動作を説明するタイミングチャートである。その動作は、図3と同様であるが、異なるのは電流及び電圧/デジタル変換回路AviDCが、期間TAではドレイン電流をデジタル変換し、期間TBでは検出電圧をデジタル変換して、変換出力DSを出力する。
【0026】
図8は、図6に示す電流及び電圧/デジタル変換回路AviDCの回路構成図である。図8において、電流及び電圧/デジタル変換回路AviDCは、切り替えスイッチ素子SWC、コンデンサを備えたオペアンプからなる積分回路と、積分回路のリセット用スイッチ素子SWD、オペアンプからなる比較回路、カウンタ9で構成される。なお、各基準電圧REFA、REFB、REFCは、電圧制御部7から供給される。
【0027】
VXは積分回路の出力信号、VYは比較回路の出力信号、CLKはカウンタ10用のクロック、SLDはリセット信号(Hiでリセット)、ESELはイネーブル信号の極性選
択信号である。
【0028】
カウンタ9は、ESELに応じてイネーブル信号の極性が選択され、ESELがHiの場合には、VYがHiの期間でカウントし、ESELがLowの場合には、VYがLowの期間でカウントする。よって、カウンタ9は、図9に示すように、ESELがHiの場合には、比較回路の出力信号VYをイネーブル信号として、このVYがHiでクロックC
LKのカウントを開始する。また、図10に示すように、ESELがLowの場合には、比較回路の出力信号VYをイネーブル信号として、このVYがLowの時に、クロックCLKのカウントを開始する。
【0029】
図9は、図8に示す電流及び電圧/デジタル変換回路AviDCがドレイン電流をデジタル変換する場合のタイミングチャートである。図9において、リセット信号SLDがHi
になると、積分回路の出力VXは、基準電圧VREFAにリセットされ、同時にカウンタ9も0にリセットされる。
【0030】
スイッチ素子SWCは、TFT素子4の出力OUTに接続されているため、リセット後は、この出力OUTからの電流が積分回路に入力され、この積分回路の出力VXが変動する。例えば、期間TAにおいては、図2及び図3で説明したように、TFT素子4のソース電圧VSB_dとこの基準電圧VREFAにより決まるTFT素子4のソース・ドレイン間電圧Vdsと、TFT素子4の制御電圧VGB_dとにより、TFT素子4に流れるドレイン電流に応じて積分回路の出力VXが変動する。
【0031】
ここで、比較回路の基準電圧VREFCを積分回路の基準電圧VREFAよりも低い電位に固定しておく。すると、ドレイン電流が大きいと積分回路の出力VXの傾きが大きくなり、比較回路の基準電圧VREFCと交差するまでの時間が短くなる。一方、電流が小さいと積分回路の出力VXの傾きが小さくなり、比較回路の基準電圧VREFCと交差するまでの時間が長くなる。これにより、カウンタ9のカウンタの値が電流に応じて変化するため、電流を検出することが可能となる。ちなみに、図9に示す左側の期間TCではドレイン電流が小さく、右側の期間TCではドレイン電流が大きい場合である。
【0032】
図10は、図8に示す電流及び電圧/デジタル変換回路AviDCが検出電圧をデジタル変換する場合のタイミングチャートである。図10において、期間TDは検出電圧を測定する期間(すなわち、温度を測定する期間)である。また、期間TEは、TFT素子4の出力電圧OUTを検知する一定の期間である。
【0033】
この期間TEでは、図8に示すスイッチ素子SWCにより積分回路がTFT素子4の出力OUTに接続され、その出力OUTの電圧値により積分回路に流れる電流が変化して、積分回路の出力VXの傾きが変化する。
【0034】
例えば、図10の左側に示す期間TEにおいて、TFT素子4の出力OUTが大きい場合には、この出力OUTと積分回路の基準電圧VREFAとの差分で決まる電流値が大きくなるために、積分回路の出力VXの傾きが大きくなり、この期間TEでの積分回路の出力VXが到達する電位差が大きくなり、電位は低くなる。一方、右側に示す期間TEにおいて、TFT素子4の出力OUTが小さい場合には、この出力OUTと積分回路の基準電圧VREFAとの差分で決まる電流値が小さくなるために、積分回路の出力VXの傾きが小さくなり、この期間TEでの積分回路の出力VXが到達する電位差が小さくなり、電位は高くなる。ここでは、例えば、OUT≧VREFAとしている。
【0035】
期間TE後は、スイッチ素子SWCにより基準電圧REFBが積分回路に接続される。ここでは、例えば、VREFB<VREFAとしている。一定の基準電圧VREFBが積分回路に入力されるために、期間TE後の積分回路の出力VXの傾きは一定となる。この積分回路の出力VXが、比較回路の基準電圧VRFEC(例えば、VREFAと同じ電位に設定)と一致するまでの期間は、期間TEにおいて到達する電位に依存する。
【0036】
例えば、図10左側に示す期間TEでの到達電圧が低い場合には、カウントする期間が長く(カウント値が大きく)なり、一方、右側に示す期間TEでの到達電位が高い場合には、カウントする期間が短く(カウント値が小さく)なる。このようにして、検出電圧をデジタル変換して測定することが可能となる。
【実施例3】
【0037】
本実施例は、実施例1,2で用いたTFT素子3,4を用いて、表示装置の周辺外光を検出すると共に表示装置の温度を検出する。図11は、外光検出を行うTFT素子3と温度検出を行うTFT素子4の回路構成図である。なお、図2及び図6に示すTFT素子3にて外光検出を行わせることもできる。
【0038】
図11において、図2と異なるのは、外光信号生成部10を設けたことである。外光を検知する場合は、スイッチ素子SWAをオン状態とする。また、外光に応じて変化する信号を、TFT素子3から電流として検出するために、切り替えスイッチ素子SWBを電流/デジタル変換回路AiDC側に切り替える。このようにして、電流/デジタル変換回路AiDCから出力される出力信号Diは、外光に連動して変化するデジタル信号なので、外光信号生成部10により補正処理などを行い、外光信号DLとして出力する。なお、外光を検出するために、TFT素子3とTFT素子4をオフ領域で使用する。
【0039】
図12に示す外光を検出する期間TLにおいて、TFT素子3,4への電圧設定の一例は以下のとおりである。例えば、入力信号SAの電圧VSA_lを5Vとし、入力信号SBの電圧VSB_lを0Vとした場合、出力OUTの電位は、VSA_lとVSB_lの中間付近(2.5V)になるように、電流/デジタル変換回路AiDCの基準電圧VREFA(電流/デジタル変換回路AiDCが図8に示すような積分型回路の場合)を設定する。ここで、TFT素子3とTFT素子4のそれぞれのソース・ドレイン間電圧Vdsは略等しくなり、Vds=(VSA_l−VSB_l)/2となる。
【0040】
また、TFT素子3がオフ状態になるように制御信号GAの電圧VGA_lを設定する。ここでは、例えば、VGA_l=2.5Vとした。同様に制御信号GBの電圧VGB_lもTFT素子4がオフ状態となるように設定する。ここでは、例えば、VGB_l=0Vとした。
【0041】
外光検出は、以下のような原理で行われる。外光がTFT素子3に照射されていない場合のドレイン電流Iaは、外光を遮蔽されているTFT素子4のドレイン電流Ibと略等しくなるため、出力電流Icは流れない。一方、外光がTFT素子3に照射され始めると外光強度に応じてTFT素子3のオフ電流(Ia)が増加するが、TFT素子4のドレイン電流Ibは変化しないため、その差分(Ia−Ib)が出力電流Icとなる。このように、出力OUT=Icとなり、外光強度に応じて変動する信号をデジタル変換することで、外光を検出することが可能となる。
【0042】
図12は、図11に示す外光を検出するTFT素子3と温度を検出するTFT素子4の動作を説明するためのタイミングチャートである。図12において、閾値電圧Vthを検出する期間TAと、温度を検出する期間TBの動作は、前述の実施例1と2で説明したとおりである。本実施例では、外光を検出する期間TLにおいて、スイッチ素子SWAとSWBを制御するための制御信号SLAとSLBは、前述したとおりスイッチ素子SWAをオン状態にし、切り替えスイッチ素子SWBを電流/デジタル変換回路AiDC側に切り替える。期間TLにおける各種電圧設定(VSA_l、VSB_l、VGA_l、VGB_l)は、図11で説明したとおりである。期間TLにおいて、電流/デジタル変換回路AiDCの出力信号Diは外光に連動して変動するデジタル信号となり、このデジタル信
号を外光信号生成部10にて、外光信号DLとする。
【実施例4】
【0043】
図13は、図11に示す実施例3の回路構成を変更したものである。本実施例の回路構成では、TFT素子3,4を、ダイオード接続にするためのスイッチ素子SWE1とSWF1、制御信号GAとGBをオープンにするためのスイッチ素子SWE2とSWF2が新設される。
【0044】
スイッチ素子SWE1とSWE2は制御信号SLEで制御され、この制御信号SLEがHiの時には、スイッチ素子SWE1がオン状態でスイッチ素子SWE2がオフ状態とな
る。一方、この制御信号SLEがLowの時には、スイッチ素子SWE1がオフ状態でスイッチ素子SWE2がオン状態となる。スイッチ素子SWF1とSWF2も制御信号SLFにより、同様に制御される。
【0045】
これまで説明した閾値電圧Vthの測定期間TAや温度検出期間TBの場合には、制御信号SLEとSLFをLowとすることで、図2に示す回路構成と同じ接続状態とする。外光検出期間TLの場合には、制御信号SLEとSLFをHiとすることで、TFT素子
3とTFT素子4をダイオード接続にする。
【0046】
ここで、例えば、実施例3と同様に、VSA_lを5V、VSB_lを0V、VREFA_lを2.5Vとすることで、それぞれのダイオード接続されたTFT素子に印加される電圧は等しくなるため、ダイオード接続での差分電流Icが外光に連動して変化する。これにより、実施例3と同様に外光を検出することが可能となる。
【0047】
また、外光と温度を検出することができるため、外光センサ特性の温度依存性や温度センサ特性の外光依存性も補正することが可能になる。
なお、外光を検出する回路構成を図2に示す回路構成を基に説明してきたが、デジタル変換回路の構成を図6に示すように構成した場合でも、期間TLにおいて電流を検知するようにすれば、同様の効果が得られる。
また、図2、図6、図11において、入力信号SAをオフ状態にするためにスイッチ素子SWAを用いており、さらに、図13において、入力信号SAと制御信号GA,GBをオフ状態にするためにスイッチ素子SWA,SWE2,SWF2を用いているが、電圧制御部7が、これらの入力信号と制御信号をしかるべきタイミングでハイインピーダンスにすることができれば、これらのスイッチ素子を省略した回路構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る表示装置の全体構成図
【図2】図1に示す電流/電圧変換部3と温度検知部4の回路構成図
【図3】図2に示すTFT素子3,4の動作のタイミングチャート
【図4】図3に示す期間TAにおいて閾値電圧Vthを求めるグラフ
【図5】図3に示す期間TBにおいて線形な温度検出信号Dvを示すグラフ
【図6】図1に示す電流/電圧変換部3と温度検知部4の実施例2の回路構成図
【図7】図6に示すTFT素子3,4の動作のタイミングチャート
【図8】図6に示す電流及び電圧/デジタル変換回路AviDCの回路構成図
【図9】図8に示す電流及び電圧/デジタル変換回路AviDCがドレイン電流をデジタル変換する場合のタイミングチャート
【図10】図8に示す電流及び電圧/デジタル変換回路AviDCが検出電圧をデジタル変換する場合のタイミングチャート
【図11】外光検出を行うTFT素子3と温度検出を行うTFT素子4の実施例3の回路構成図
【図12】図11に示す外光を検出するTFT素子3と温度を検出するTFT素子4の動作を説明するためのタイミングチャート
【図13】実施例4の回路構成図
【符号の説明】
【0049】
1…表示パネル、2…表示領域、3…電流/電圧変換部(TFT素子)、4…温度検知部(TFT素子)、5…駆動回路、6…バックライト、7…電圧制御部、8…温度信号生成部、9…カウンタ、10…外光信号生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素がマトリックス状に配置された表示パネルと、前記表示パネルの周辺に配置された電流/電圧変換部及び温度検知部と、前記電流/電圧変換部及び温度検知部に制御信号を供給すると共に前記画素を駆動する駆動回路とを備えた表示装置において、
前記駆動回路に電圧制御部を設け、前記電圧制御部は、前記温度検知部の閾値電圧を検出すると共に、前記閾値電圧に基づいて、前記電流/電圧変換部及び温度検知部への入力電圧と制御電圧を設定することを特徴とする表示装置
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記温度検知部に、外光を遮光する遮光部を設けることを特徴とする表示装置
【請求項3】
請求項1に記載の表示装置において、
前記電流/電圧変換部及び温度検知部は、直列接続された2つのTFT素子からなることを特徴とする表示装置
【請求項4】
請求項1に記載の表示装置において、
前記電圧制御部は、前記電流/電圧変換部をオープン状態にして、前記温度検知部の閾値電圧を検出することを特徴とする表示装置
【請求項5】
請求項1に記載の表示装置において、
前記駆動回路に、前記電流/電圧変換部及び温度検知部の出力をデジタル変換するデジタル変換回路を設けることを特徴とする表示装置
【請求項6】
請求項5に記載の表示装置において、
前記デジタル変換回路は、前記温度検知部からの出力電流をデジタル変換する電流/デジタル変換回路と、前記電流/電圧変換部及び温度検知部からの出力電圧をデジタル変換する電圧/デジタル変換回路とからなることを特徴とする表示装置
【請求項7】
請求項6に記載の表示装置において、
前記電流/デジタル変換回路は積分型回路であり、前記電圧/デジタル変換回路は2重積分型回路であることを特徴とする表示装置
【請求項8】
請求項1に記載の表示装置において、
前記電流/電圧変換部が、外光を検出することを特徴とする表示装置
【請求項9】
複数の画素がマトリックス状に配置された表示パネルと、前記表示パネルの周辺に配置された外光検知部及び温度検知部と、前記外光検知部及び温度検知部に制御信号を供給すると共に前記画素を駆動する駆動回路とを備えた表示装置において、
前記駆動回路に電圧制御部を設け、前記電圧制御部は、前記温度検知部の閾値電圧を検出すると共に、前記閾値電圧に基づいて、前記外光検知部及び温度検知部への入力電圧と制御電圧を決めることを特徴とする表示装置
【請求項10】
請求項9に記載の表示装置において、
前記温度検知部に、外光を遮光する遮光部を設けることを特徴とする表示装置
【請求項11】
請求項9に記載の表示装置において、
前記外光検知部及び温度検知部は、直列接続された2つのTFT素子からなることを特徴とする表示装置
【請求項12】
請求項11に記載の表示装置において、
前記2つのTFT素子を、オン状態にして温度を検出し、オフ状態にして外光を検出することを特徴とする表示装置
【請求項13】
請求項11に記載の表示装置において、
前記2つのTFT素子の各々に、TFT素子をダイオード接続するスイッチ素子を設けることを特徴とする表示装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−25535(P2009−25535A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−188260(P2007−188260)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】