説明

表示装置

【課題】 従来のドライバICは、対向する長辺のうち一辺に基板外部からの配線が接続される端子部と接続される第1パッド、他方の辺に基板内に配置された回路と接続される第2パッドが配置されていた。そのため、端子部と第1パッドを接続するための配線の引き回しに必要な幅が、表示装置の狭額縁化を困難にしていた。
【解決手段】 ドライバICのそれぞれの長辺上に沿って第1パッドおよび第2パッドを設け、かつそれぞれの長辺において第1パッドを第2パッドよりも前記端子部側に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を画像表示に使用したアクティブマトリクス型表示装置に関するものである。特に外部からの配線と発光素子を駆動する回路との接続に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリックス型表示装置の狭額縁化が進むにつれ、表示装置を駆動するドライバICをなるべく小さな実装面積で配置する工夫がなされている。
【0003】
例えば特許文献1では、図3に示すように基板の辺と表示領域との間のスペースに、FPC基板と表示領域との間を避けて複数のドライバICを配置することが提案されている。
【特許文献1】特開平11−065471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図2に従来の表示装置におけるドライバIC実装周辺部の概略上面図を示す。COGタイプのドライバIC4とFPC基板3が接続された端子部7、従来のドライバIC4と表示領域2に配置される発光素子を駆動するための回路、をそれぞれ接続する配線のレイアウトを示す。
【0005】
ドライバIC4はその長辺が基板の一辺に沿うように基板上に実装されており、端子部7は前記ドライバICの長辺の延長線に沿って設けられ、FPC基板が接続されている。
【0006】
従来のドライバIC4には、図2に示すように上面からみて対向する長辺のうち一辺に沿って第1パッド6、もう一方の辺に沿って第2パッド9が設けられている。このようなドライバICを用いる場合、第2パッド9が設けられた側の長辺が表示領域側となるように基板上に実装されていた。
【0007】
そして、表示領域2と基板端との間(以下、額縁と記述する)には、FPC基板3と第1パッドとを接続する配線群5、第2パッドと基板上に設けられた回路とを接続する配線群10aおよび10bが引き回されている。ここで基板上に設けられた回路とは、具体的には発光素子を駆動するために設けられた回路のことである。
【0008】
なお、第1パッドとは、FPC基板等の基板外部からの配線が接続される端子部7とドライバIC4とを接続するために設けられるパッドのことである。第1パッドおよび端子部を介して、基板外部とドライバIC4との間で信号の出入力が行われる。
【0009】
また、第2パッドとは、基板上に設けられた回路とドライバICとを接続するために設けられるパッドである。表示領域内に配置された発光素子を駆動するために、第2パッドを介してドライバICと基板上に設けられた回路との間で信号の出入力が行われる。
【0010】
従来のドライバIC4を用いる場合、対向する長辺のうち一辺に第1パッド、他方の辺に第2パッドが配置されているため、図2のように配線群5を、端子部7からドライバIC4の第1パッドが配置された辺まで引き回さなければならない。
【0011】
額縁の幅は、主に配線群5の引き回しに必要な距離C2によって決まり、距離C2は配線の本数で決まるため、従来のドライバICでは距離C2を縮めること、すなわち額縁の幅を狭めること(狭額縁化)が困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、表示素子が配置された表示領域を有する基板と、
前記基板上に実装された矩形のドライバICと、
前記基板上に設けられ、基板外部からの配線が接続される端子部と、
前記ドライバICの第1パッドと前記端子部とを接続する配線と、
前記ドライバICの第2パッドと前記基板上に設けられた回路とを接続する配線と、を有する表示装置であって、
前記ドライバICは、その長辺が前記基板の一辺に沿うように前記表示領域と前記基板の一辺との間に実装され、
前記端子部は前記ドライバICの長辺の延長線に沿って設けられ、
前記ドライバICのそれぞれの長辺に沿って前記第1パッドおよび前記第2パッドが設けられており、かつ、それぞれの長辺において前記第1パッドは前記第2パッドよりも前記端子部の近くに設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、端子部とドライバICの第1パッドとを接続する配線を分割して引き回すことができるため、より狭額縁化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明するが、従来技術を適用することができる部分については、説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明にかかる表示装置におけるドライバIC実装周辺部の概略上面図である。ドライバIC4は矩形をしており、その長辺が基板の一辺に沿うように基板上に実装されており、基板外部からの配線が接続される端子部は、前記ドライバICの長辺の延長線に沿って設けられている。
【0016】
ドライバIC4には、第1パッド6および第2パッド9がその長辺に沿って設けられており、それぞれの長辺において第1パッドは第2パッドよりも端子部7の近くに設けられている。図1では第1パッド6の数と第2パッド9の数がそれぞれの長辺において等しく書かれているが、それぞれの数は配線レイアウトや配線本数によって決まるものである。
【0017】
基板1に実装されたFPC基板3とドライバIC4の第1パッド6とを接続する配線群5は、途中で2つの配線群5aと配線群5bとに分割されている。また、ドライバIC4の第2パッド9と基板上に設けられた回路とを接続する配線群も、表示領域の列方向の発光素子へ信号を送る配線群10aと、行方向の発光素子へ信号を送る配線群10bに分割されている。
【0018】
(額縁について)
図2の従来のドライバICを実装する辺(ドライバIC実装辺)の額縁の幅は、A2に相当する。その内訳はドライバIC4から基板の端までの距離C2と、ドライバIC4から表示領域までの距離D2と、ドライバIC4の短辺の長さとの合計になる。
【0019】
図1の本発明にかかる表示装置においても、ドライバIC実装辺の額縁の幅はA1に相当し、その内訳はドライバIC4から基板の端までの距離C1と、ドライバIC4から表示領域部までの距離D1と、ドライバIC4の短辺の長さとの合計になる。
【0020】
本発明(図1)では、FPC基板3が接続された端子部7とドライバIC4の第1パッドとを接続する配線群5は、途中で配線群5aと配線群5bとに等分されている。端子部7から延びる配線群5aはドライバIC4の表示領域2から遠い方の長辺の第1パッドに接続され、配線群5bはドライバIC4の表示領域2に近い方の長辺の第1パッドに接続される。このように配線群5を2分して引き回すことにより、ドライバIC4の表示領域2から遠い方の辺の第1パッドに接続される配線の本数、すなわち距離C1の中で引き回される配線本数は、従来の半分となる。その結果、ドライバIC4から基板の端までの距離C1は、図1の距離C2の半分にすることができる。
【0021】
また、図1と図2を比べると、本発明にかかる図1の配線群の方が、配線群10aの引き回しの分だけ従来例の図2に比べて幅が広がっている。従来技術を示す図2では、ドライバIC4の第2パッド9と表示素子を駆動する回路とを接続する配線群10はすべてドライバIC4の表示領域に近い長辺の第2パッド9と接続されている。一方、本発明の一例を示す図1では、ドライバIC4の第2パッド9と表示素子を駆動する回路とを接続する一部の配線群10aが、ドライバIC4の表示領域から遠い長辺から引き回されているからである。
【0022】
しかし、配線群10aの引き回しが、配線群5aの引き回しに必要な距離C1に収まるように第2パッドを配置をすれば、額縁幅が広がるのを防止することができる。つまり、ドライバICの表示領域から遠い長辺には、第2パッドの数が第1パッドの数よりも少なくなるように設ければ良い。
【0023】
上記理由から、ドライバIC4から表示領域までの距離D1と距離D2は、図1と図2で変わらないが、距離C1が距離C2の1/2になる。すなわち、ドライバIC実装辺における額縁の幅を、従来の3/4に狭めることが可能となる。
【0024】
(ドライバIC内部ブロック)
図5はドライバIC4の内部ブロックの一例を示したものである。ドライバICは、デジタル信号処理ブロック11とアナログ変換ブロック12とを有している。以下、説明をわかりやすくするために、第1パッドからドライバICに信号が入力され、第2パッドから基板上に設けられた回路へ信号が出力される場合について記述する。ただし、前述したように第1パッドおよび第2パッドは、それぞれ入力、出力に限定されるものではない。
【0025】
ドライバIC4に基板外部から入力されたデジタル信号は、表示装置の表示状況を最適化するため、デジタル信号処理部11にて信号処理される。信号処理されたデジタル信号はアナログ変換ブロック12へ伝送され、D/Aにてアナログ信号変換された後、AMPにて増幅され第2パッド9から出力される。
【0026】
FPC基板から入力されるデジタル信号は、電源信号、グランド信号、NビットRGBシリアルデータ信号、(水平/垂直)同期信号、クロック信号、システム設定信号などである。図5では信号の伝送経路を省略しているが、クロック信号はドライバIC4内にあるクロック信号を必要とする全てのブロックに入力される。
【0027】
デジタル信号処理ブロック11に入力されるNビットのRGBシリアルデータ信号は、R、G、Bそれぞれのデジタル情報を、時系列に伝送する。解像度変換部13では、これらのR、G、Bそれぞれのシリアルデータ信号を検出し、表示装置の解像度に応じた変換処理を行い、パラレルデータ分離部14へと伝送する。RGBシリアルデータ信号は、パラレルデータ分離部14でRデータ、Gデータ、Bデータの色ごとの信号に分離される。R、G、Bの各信号はそれぞれγ補正部15およびコントラスト調整部16にて、発光素子の特性に応じたホワイトバランスに設定される。ホワイトバランス設定された各色の信号は、ロジックパルス生成部20から送られる記憶のタイミングを指示するパルス信号に応じて、表示装置の列数×原色数の数設けられたメモリ17に順次記憶される。メモリ17で記憶された各色の信号は、アナログ信号変換ブロック12に伝送され、D/A変換器18にてアナログ電圧に変換された後、AMP19にて増幅される。そしてdata_r1、data_g1、data_b1、data_r2、data_g2、data_b2、・・・data_rn、data_gn、data_bnのデータ信号として発光素子を含む画素列を制御する配線群(列制御配線群B1)へと出力される。この例では、一列ごとに色別のデータ線を有する場合を示しているが、別の方法として一列あたりのデータ線を1本とし、時分割で色別信号を供給するようにしてもよい。
【0028】
水平同期信号および垂直同期信号は、デジタル信号処理部11のロジックパルス生成部20において、表示素子に対応して設けられた画素回路を駆動するロジックパルスを生成する。例えば、画素行を制御する回路をTFTで構成する場合は、シフトレジスタのリセットパルス、クロックパルス、開始トリガなどを生成する。
【0029】
デジタル信号処理部11からアナログ変換ブロック12へと送られた各種パルスは、AMP19にてTFTが動作する振幅信号まで増幅され、画素行を制御する配線群(行制御配線群B2)へと出力される。ここではメモリ17をデジタル信号処理部11に配置しているが、D/A変換器18の一部としてアナログ変換ブロック12に配置しても良い。
【0030】
ドライバIC内部での入力、処理、出力の信号の流れに対応して、デジタル信号処理ブロックは前記アナログ信号変換ブロックよりも前記ドライバICの第1パッドの近くに設けるのが好ましい。これにより、ドライバIC内部の配線の引き回しを簡略化することができ、ドライバICの小型化が可能となる。なお、図5はドライバICにおける第1パッドおよび第2パッドの配置に対応して描いていない。
【0031】
ここで、3インチのVGAパネルの例について説明する。ドライバICとしては、1mm×8.6mmサイズのものを用いることができ、そのときの入出力パッドの総数は150である。その内訳は、第1パッドの合計は32で、ビデオデータが8、レジスタ設定が3、水平、同期信号が1、垂直同期信号が1、クロックが1、チップテスト機能などその他が6、電源が6、グランド(Gnd)が6である。また、第2パッドの合計は92で、内訳はデータ信号線が24、ビデオ制御線が54、水平/垂直制御線が14となる。
【0032】
このようなドライバICの第1および第2パッドの配置例を簡略化したものを図4に示す。図示していないが、紙面向かって、ドライバICの右側に端子部、下側に表示領域という位置関係にある。
【0033】
図4には数が正確に示されていないが、ドライバICの表示領域から遠い方の長辺には第1パッド6が16個、第2パッド9が16個ずつ設けられている。ドライバICのもう一方の長辺には第1のパッド6が16個、第2のパッド9が16個設けられている。さらに、それぞれの長辺において第1パッドは第2パッドよりも端子部に近くなるように設けられている。
【0034】
この例のように第2パッドに接続される配線の本数が第1パッドに接続される配線の本数よりも多い場合は、ドライバICの表示領域から遠い長辺に設ける第2パッドの数を第1パッドの数と同数以下にするとよい。なお、図4には、必要な第1パッドと第2パッドしか示していないが、それ以外のパッドが設けられていても良い。
【0035】
以上、本発明にかかる表示装置は、配線パターン引き回しによる額縁増加分を最小限に抑えることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明にかかるドライバICを用いた配線レイアウトの例
【図2】従来のドライバICを用いた配線レイアウトの例
【図3】表示装置の部品配置
【図4】3インチVGA用の本発明のドライバICのパッド配置
【図5】本発明にかかるドライバIC内部ブロックの例
【符号の説明】
【0037】
1 基板
2 表示領域
3 FPC基板
4 ドライバIC
5 第1配線群
6 第1パッド(入力パッド)
7 端子部
9 第2パッド(出力パッド)
10 第2配線群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示素子が配置された表示領域を有する基板と、
前記基板上に実装された矩形のドライバICと、
前記基板上に設けられ、基板外部からの配線が接続される端子部と、
前記ドライバICの第1パッドと前記端子部とを接続する配線と、
前記ドライバICの第2パッドと前記基板上に設けられた回路とを接続する配線と、を有する表示装置であって、
前記ドライバICは、その長辺が前記基板の一辺に沿うように前記表示領域と前記基板の一辺との間に実装され、
前記端子部は前記ドライバICの長辺の延長線に沿って設けられ、
前記ドライバICのそれぞれの長辺に沿って前記第1パッドおよび前記第2パッドが設けられており、かつ、それぞれの長辺において前記第1パッドは前記第2パッドよりも前記端子部の近くに設けられていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記ドライバICは、デジタル信号処理ブロックと、
前記デジタル信号処理ブロックから出力されたデジタル信号をアナログ変換するアナログ信号変換ブロックと、を有し、
前記デジタル信号処理ブロックは前記アナログ信号変換ブロックよりも前記ドライバICの第1パッドの近くに設けられることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記ドライバICの前記基板の一辺に近い側の長辺に沿って設けられる第2パッドの数が、もう一方の長辺に設けられる第1パッドの数よりも少ないことを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−175972(P2010−175972A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20228(P2009−20228)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】