説明

表示装置

【課題】表示装置における輝度の低下やコントラストの低下、発光に要する電力の増加を抑制ししつつ、動画ぼやけを低減すること。
【解決手段】 本発明は、1フレーム期間を2フィールド期間に分け、明フィールドで高階調の表示データDlightを表示し、暗フィールドで低階調の表示データDdarkを表示することにより、入力表示データDinの階調を擬似的に表示し、そして、入力表示データDinの階調が低階調側である場合に、暗フィールドの表示データDdarkを最小輝度Tminに対応する最小階調とし、入力表示データDinの階調が高階調側である場合に、明フィールドの表示データDlightを最大輝度Tmaxに対応する最大階調とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやLCOS(Liquid Crystal On Silicon)ディスプレイのようなホールド型の表示装置に係り、特に動画の表示に適した表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示ディスプレイを特に動画表示の観点で分類した場合、インパルス応答型ディスプレイとホールド応答型ディスプレイに大別される。インパルス応答型ディスプレイとは、ブラウン管の残光特性のように、輝度応答が走査直後から低下するタイプであり、ホールド応答型ディスプレイとは、液晶ディスプレイのように、表示データに基づく輝度を次の走査まで保持し続けるタイプである。
【0003】
ホールド応答型ディスプレイの特徴としては、静止画の場合はちらつきのない良好な表示品質を得ることができるが、動画の場合には移動する物体の周囲がぼやけて見える、所謂動画ぼやけが発生し、著しく表示品質が低下するという課題がある。この動画ぼやけの発生要因は、物体の移動に伴い視線を移動する際、輝度のホールドされた表示画像に対して移動前後の表示イメージを観測者が補間する、所謂網膜残像に起因するため、表示ディスプレイの応答速度をどれだけ向上させても動画ぼやけは完全に解消しない。これを解決するためには、より短い周波数で表示画像を更新するか、黒画面などの挿入によって一旦網膜残像をキャンセルすることで、インパルス応答型ディスプレイに近づける方法が有効である(非特許文献1参照)。
【0004】
一方、動画が求められるディスプレイとしてはテレビ受像機が代表的なものであり、その走査周波数は例えばNTSC信号では60Hzの飛び越し走査、PAL信号では50Hzの順次走査といったように規格化された信号であり、この周波数に基づき生成した表示画像のフレーム周波数を60Hz乃至50Hzとした場合、周波数は高くないために動画ぼやけを生じてしまう。
【0005】
この動画ぼやけを改善するための手段として、上記のより短い周波数で画像を更新する技術としては、走査周波数を高めると共に、フレーム間の表示データに基づき補間フレームの表示データを生成し、画像の更新速度を高める手法(以下、補間フレーム生成方法と略す)がある(特許文献1参照)。
【0006】
黒フレーム(黒画像)を挿入する技術としては、表示データの間で黒表示データを挿入する技術(以下、黒表示データ挿入方式と略す)(特許文献2参照)や、バックライトの点灯および消灯の繰返しを行う技術(以下、ブリンクバックライト方式と略す)がある(特許文献3参照)。
【0007】
また、黒画像を挿入する技術として、1フレーム期間を第1期間と第2期間に分割し、フレーム期間において画素に書き込むべき画素データを、映像全体の輝度が下がらないよう、第1期間において2倍して、集中的に書き込み、2倍にした値が表示可能レンジを超えた場合にかぎり、第2期間に残余の画素データを書き込み、これにより表示輝度の変化がインパルス型表示装置に近づき、動画像の視認性が改善する(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−6275号公報
【特許文献2】特開2003−280599号公報
【特許文献3】特開2003−50569号公報
【特許文献4】特開2004−240317号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Moving Picture Quality Improvement for Hold-type AM-LCDs, Taiichirokurita, SID 01 DIGEST
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記技術を適用することで、動画ぼやけを改善できるものの、それに伴い次の課題を含有することが知られている。
【0011】
特許文献1に記載された補間フレーム生成方法に関しては、本来存在しない表示データを生成することになるため、より正確なデータを生成しようとすると回路規模が増大してしまい、逆に回路規模を抑えると補間生成ミスが発生し、表示品質の点では著しく低下する恐れがある。
【0012】
一方、特許文献2や特許文献3に記載された黒フレームを挿入する手法では、原理的に補間生成ミスは発生せず、又、回路規模の点でも補間フレーム生成方法と比較して有利である。しかしながら、黒表示データ挿入方式とブリンクバックライト方式は何れにおいても黒フレームの分だけ全階調における表示輝度が低下してしまう。この輝度低下分を補償するために、黒表示データ挿入方式に対してバックライトの輝度を上昇させると、その分だけ消費電力の増大を招くと共に、発熱対策に多大な労力を必要とする。更に、黒表示における光漏れの絶対値が増大することによってコントラストの低下を招いてしまう。一方ブリンクバックライト方式では、非点灯状態から点灯状態に移行するために大電流を要したり、蛍光材料の違いによって可視光の応答速度が波長毎に異なることによる着色が生じる。
【0013】
また、特許文献4に記載された黒挿入方式では、黒挿入によるインパルス型応答の効果はあるものの、1フレーム2分割であれば第1期間の表示データを2倍、1フレームN分割であれば第1記載の表示データをN倍にするだけであるため、液晶印加電圧と輝度の特性、液晶応答速度の特性が考慮されていないため、ディスプレイの所望の階調特性(γ特性)が得られずに画質が劣化してしまう。さらに、表示周波数を高速化、つまり、1フレームを2フィールド以上に分割してそれぞれ表示するため、表示周波数が2倍以上に高速化するだけで、液晶応答速度の高速化に関しては考慮されていないため、輝度低下、所望の階調特性(γ特性)が得られずに画質が劣化してしまう。さらには表示データを保持するフレームメモリの容量を削減する点も考慮されていないため、表示装置の低コスト化が困難となる。
【0014】
本発明の目的は、輝度の低下やコントラストの低下、階調特性の劣化、発光に要する電力の増加、フレームメモリ等の回路の増加を抑制ししつつ、動画ぼやけを低減した表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、各画素が複数の階調を表示することにより外部システムから要求される階調を擬似的に表示する。そして、外部システムから要求される階調が中間低階調である場合に、複数の階調の少なくとも1つの階調は最小階調(最小輝度)とし、外部システムから要求された階調が中間高階調である場合に、複数の階調の他の少なくとも1つの階調は最大階調(最大輝度)とする。つまり、外部システムから要求された階調が低階調側である場合に、所定の階調と最小階調とを切り替えて表示することにより、外部システムから要求された階調を擬似的に表示する。
【0016】
一方、外部システムから要求された階調が高階調側である場合に、所定の階調と最大階調とを切り替えて表示することにより、外部システムから要求された階調を擬似的に表示する。また、複数の階調は、画素の印加電圧と輝度の特性、画素の応答速度の特性を考慮した表示データ変換手段を設ける。また、画素の応答を高速化するデータ補正手段を設ける。また、走査の動作を複数のフィールドの表示データが交互に選択できる走査選択手段を設ける。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、外部システムから要求された階調に依らず黒階調を挿入するのではなく、外部システムから要求された階調が低階調側である場合に、所定の階調と最小階調とを切り替えて表示することにより、外部システムから要求された階調を擬似的に表示し、一方、外部システムから要求された階調が高階調側である場合に、所定の階調と最大階調とを切り替えて表示することにより、外部システムから要求された階調を擬似的に表示するため、輝度の低下やコントラストの低下、発光に要する電力の増加を抑制ししつつ、動画ぼやけを低減できる。つまり、輝度が低い場合(低階調側)は、動画ぼやけを認識し易いため、最小階調を挿入することにより、動画ぼやけを低減し、一方、輝度が高い場合(高階調側)は、動画ぼやけを認識し難いため、挿入すべき低階調を高くすることにより、輝度の低下やコントラストの低下を低減する。
【0018】
また、本発明によれば、階調特性の劣化、発光に要する電力の増加、フレームメモリ等の回路の増加を抑制ししつつ、動画ぼやけを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】明フィールド、暗フィールド及び表示輝度のイメージを示す図である。
【図2】実施例1〜3における液晶表示装置の構成を示す図である。
【図3】変換テーブルの構成を示す図である。
【図4】変換テーブルの一例を示す図である。
【図5】入出力タイミング仕様を示す図である。
【図6】2フィールド交流方式における液晶駆動波形を示す図である。
【図7】2フィールド交流方式と3フィールド交流方式を組み合わせた図である。
【図8】2フィールド交流方式と1フィールド交流方式を組み合わせた図である。
【図9】液晶表示パネルの液晶印加電圧Vと静的輝度Tの関係を示す図である。
【図10】液晶駆動データDと液晶印加電圧Vの関係を示す図である。
【図11】第1の実施例におけるデータ変換特性を示す図である。
【図12】液晶表示パネルの輝度応答波形を示す図である。
【図13】MPRT測定結果を示す表である。
【図14】実施例2におけるデータ変換特性を示す図である。
【図15】実施例3におけるデータ変換特性を示す図である。
【図16】実施例4〜6における液晶表示装置の構成を示す図である。
【図17】実施例4におけるデータ変換特性を示す図である。
【図18】実施例4の高階調側中間調表示における輝度応答波形を示す図である。
【図19】実施例5におけるデータ変換特性を示す図である。
【図20】実施例6におけるデータ変換特性を示す図である。
【図21】実施例7における液晶表示装置の構成を示す図である。
【図22】実施例7におけるデータ変換特性を示す図である。
【図23】実施例7における明フィールド変換テーブル、暗フィールド変換テーブルの変換特性の具体例である。
【図24】実施例7におけるタイミング仕様を示す図である。
【図25】実施例7における輝度応答波形を示す図である。
【図26】従来技術の走査選択を示す図。
【図27】実施例1から7の走査選択を示す図。
【図28】実施例1から6のメモリ制御タイミングを示す図。
【図29】実施例7のメモリ制御タイミングを示す図。
【図30】実施例8の走査選択を示す図。
【図31】実施例8の走査選択タイミングを示す図。
【図32】実施例8のメモリ制御タイミングを示す図。
【図33】実施例8のメモリ制御タイミングを示す図。
【図34】実施例8の駆動回路構成を示す図。
【図35】実施例8の走査ドライバ回路構成を示す図。
【図36】実施例8の走査ドライバ制御タイミングを示す図。
【図37】実施例9の走査選択タイミングを示す図。
【図38】実施例9の走査ドライバ回路構成を示す図。
【図39】実施例9の走査ドライバ制御タイミングを示す図。
【図40】実施例10の水平タイミングを示す図。
【図41】実施例10の走査選択を示す図。
【図42】実施例10の走査選択を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本明細書においては、外部システムから入力する1画面分の期間を1フレーム期間とし、表示パネルに対して全ての走査ラインを選択する期間を1フィールド期間と定義する。従って一般的な表示装置では1フレーム期間と1フィールド期間は等しくなる。
【0021】
表示装置において、表示データが一定の状態で走査を繰り返すことで得られる輝度を静的輝度、1フィールド期間での平均輝度を動的輝度、観測者が視認する輝度を目視輝度とする。従って一般的なホールド型の表示装置では表示データが変化しない場合、静的輝度と動的輝度と目視輝度はほぼ等しくなる。
【0022】
本発明では、外部システムから入力される1フレーム期間に対して複数フィールド期間(例えば、2フィールド期間)を割り当てると共に、複数フィールドの動的輝度から得られる目視輝度が外部システムが期待する表示輝度と一致するよう表示データの変換を行う。この場合、目視輝度は複数フィールド期間における動的輝度の平均値とほぼ一致する。
【0023】
上記における表示データの変換は、一方のフィールドの動的輝度が他方のフィールドの動的輝度と比較して全ての階調において高いか若しくは等しくなるよう変換を行う。以下ではこのように変換した場合、他方と比較して輝度が高いフィールドを明フィールドと呼び、輝度が低いフィールドを暗フィールドと呼ぶ。
【0024】
外部システムから入力される1フレーム期間に対して2フィールドを割り当てた場合、本発明のホールド型表示装置は、少なくとも1画面分の表示データを記憶するフレームメモリと、2種類のデータ変換回路を具備する。フレームメモリに書き込まれた表示データは同じデータを書き込んだ2倍の速度で2回に分けて読み出すと共に、1回目と2回目では異なるデータ変換回路によって表示データの変換が行われ、変換の行われたデータを表示パネルへの入力データとして、表示パネルに転送する。
【0025】
そして本発明の実施例によれば、静的輝度が0から1の範囲を取るとすれば、例えば明フィールドの動的輝度を0.5、暗フィールドの動的輝度を0とした場合、これをフィールド毎に切り替えることで0.25なる目視輝度を得る。同様に明フィールドの動的輝度を1、暗フィールドの動的輝度を0とすれば0.5の目視輝度を得る。このように暗フィールドの動的輝度が0であれば黒フレーム挿入方式と同様の効果が得られることで、動画ぼやけを改善することができる。更に実施例1で示すMPRTの測定結果で示すように、暗フィールドは必ずしも最小の輝度である0である必要はなく、表示したい目視輝度以下となるフィールドを挿入することで動画ぼやけを低減できる。これに基づき、明フィールドの動的輝度を1、暗フィールドの動的輝度を0.5とした場合、目視輝度は0.75となるが、この場合であっても通常の駆動方式よりも動画ぼやけを改善できる。更に、明フィールド、暗フィールド共に動的輝度を1とした場合、目視輝度も1となり輝度低下をすることはない。若しくは明フィールドの動的輝度を1に、暗フィールドの動的輝度最大値を0.9とすれば、目視輝度は0.95となり、通常駆動よりも若干輝度が低下するものの、それに応じて動画ぼやけを低減することができる。以上で示される本発明の場合、暗フィールドの動的輝度を上昇させればそれに応じて動画ぼやけの改善効果が減少していくが、特許文献3の表示面の輝度と動画視認性関係を示した被検者テストの結果を示すグラフ(図10)に示すように、輝度が高い領域での動画ぼやけは認識し難いため、本発明を適用することでMPRTで示される数値以上に十分な効果を得ることができる。
【0026】
尚、本発明に類似する技術として、所謂FRC(Frame Rate Control)方式と呼ばれる多階調化方式が一般に知られている。FRC方式とは、フレーム毎に異なる階調表示を繰り返すことで、データドライバの有する以上の多階調化を実現する方式である。これに対し、本発明は動画ぼやけの改善とそれを実現する装置の提供であり、それを実現するため、1フレーム期間を暗フィールドと明フィールドに分けると共に、外部システムから入力されるフレーム周波数に対して2倍の周波数で駆動する点が異なる。
【0027】
実施例1では、液晶駆動電圧を通常の駆動方式と本発明の駆動方式で同じとした上で、目視輝度の最大値(白輝度)が通常の駆動方式と同等となり、且つ動画ぼやけを改善し、MPRTが最小となるよう、暗フィールドでの動的輝度が最小となるようデータ変換を行った表示装置を提供する。
【0028】
実施例2では、液晶駆動電圧を通常の駆動方式と本発明の駆動方式で同じとした上で、白輝度をやや下げる代わりに動画ぼやけがより小さくなるようデータ変換を行った表示装置を提供する。
【0029】
実施例3では、液晶駆動電圧を通常の駆動方式と本発明の駆動方式で同じとした上で、目視輝度の最大値が通常の駆動方式と同等となり、且つ周波数が低い場合でもフリッカの少なくなるようデータ変換を行った表示装置を提供する。
【0030】
実施例4では、液晶駆動電圧を通常の駆動方式と本発明の駆動方式で変えることで、白輝度は通常の駆動方式と同等とし、且つ応答速度の比較的遅い液晶表示装置に対しても安定した特性を示すようデータ変換を行った表示装置を提供する。
【0031】
実施例5では、液晶駆動電圧を通常の駆動方式と本発明の駆動方式で変えることで、白輝度をやや下げる代わりに動画ぼやけがより小さくなくなり、応答速度の遅い液晶表示装置に対しても安定した特性を示すようデータ変換を行った表示装置を提供する。
【0032】
実施例6では、液晶駆動電圧を通常の駆動方式と本発明の駆動方式で変えることで、白輝度は通常の駆動方式と同等とし、且つ応答速度の遅い液晶表示装置にて低い周波数で駆動した場合でも安定した特性を示すようデータ変換を行った表示装置を提供する。
【0033】
実施例7では、1フレーム前の表示データを参照することで、表示データの補正を行い、これによって更なる動画ぼやけを改善した表示装置を提供する。
実施例8では、実施例1〜7に示した動画ぼやけを改善する本発明の駆動回路システムにおいて、フレームメモリのデータ容量を削減し、駆動回路システムの低コスト化を実現可能な表示装置を提供する。
実施例9では、実施例8の低コスト駆動回路システムにおいて、液晶駆動電圧の液晶表示パネルへの書き込み特性を改善し、高画質化を実現する表示装置を提供する。
実施例10では、実施例1〜9に示した動画ぼやけを改善する本発明の明フィールド期間と暗フィールド期間の割合を制御し、液晶表示パネル特性や動画性能の要求に対応して動画ぼやけ性能を最適に設定可能な表示装置を提供する。
【実施例1】
【0034】
以下、1フレームを2フィールドで駆動した場合の本発明の実施例について、図1〜12を用いて説明する。
【0035】
図1は4×3画素で構成した表示装置の各フィールドの動的輝度及び目視輝度のイメージを示す図である。本実施例は1フレームを2フィールドで構成し、そのうち何れの画素に対しても、一方のフィールドの動的輝度は他方のフィールドの動的輝度よりも常に明るいか、若しくは等しくなるような表示を行い、これをフレーム毎に繰り返すことで目的とする目視輝度を得る。従って、何れの画素に対しても(明フィールドの動的輝度)≧(目視輝度)≧(暗フィールドの動的輝度)となる。尚、1フレームあたり2フィールドの代わりに、1フレームあたり3フィールドや4フィールドであってもよい。この場合でも、少なくとも1フィールドが暗フィールドである。
【0036】
図2は液晶表示装置の構成を示す図である。本装置は、RGB各色256階調で計1677万色の表示に対応したものとする。201はRGB各8ビットで計24ビットで構成される入力表示データ、202は入力制御信号群である、入力制御信号群202は、1フレーム期間(1画面分を表示する期間)を規定する垂直同期信号Vsync、1水平走査期間(1ライン分を表示する期間)を規定する水平同期信号Hsync、表示データの有効期間を規定するディスプレイタイミング信号DISP、及び表示データと同期した基準クロック信号DCLKで構成されるものとする。203は駆動選択信号である。この駆動選択信号203に基づき、従来の駆動方式か動画ぼやけを改善した駆動方式かの選択を行う。入力表示データ201、入力制御信号群202、駆動選択信号203は外部システム(例えば、TV本体やPC本体、携帯電話本体)から転送される。204はタイミング信号生成回路、205はメモリ制御信号群、206はテーブルイニシャライズ信号、207はデータ選択信号、208はデータドライバ制御信号群、209は走査ドライバ制御信号群である。データドライバ制御信号群208は表示データに基づく階調電圧の出力タイミングを規定する出力タイミング信号CL1とソース電圧の極性を決定する交流化信号M、表示データと同期したクロック信号PCLKで構成され、走査ドライバ制御信号群209は1ラインの走査期間を規定するシフト信号CL3、先頭ラインの走査開始を規定する垂直スタート信号FLMで構成されるものとする。210は少なくとも表示データの1フレーム分の容量を有するフレームメモリであり、メモリ制御信号群205に基づき表示データのリード、ライト処理を行う。211はメモリ制御信号群205に基づき、フレームメモリ210から読み出されたメモリリードデータ、212はテーブルイニシャライズ信号に基づき、内部に格納されたデータを出力するROM(Read Only Memory)、213はROMから出力されるテーブルデータ、214は明フィールド変換テーブル、215は暗フィールド変換テーブルである。各テーブルの値は電源投入時にテーブルデータ213に基づく設定がなされると共に、読み出されたメモリリードデータ211は各々のテーブルに設定された値に基づき変換がなされる。明フィールド変換テーブル214は、明フィールドのためのデータ変換回路の機能を有し、暗フィールド変換テーブル215は、暗フィールドのためのデータ変換回路の機能を有する。216は明フィールド変換テーブル214で変換された明フィールド表示データ、217は暗フィールド変換テーブル215で変換された暗フィールド表示データである。218は表示データ選択回路であり、データ選択信号207に基づき、明フィールド表示データ216、若しくは暗フィールド表示データ217の何れか一方を選択し出力する。219は選択されたフィールド表示データである。220は階調電圧生成回路、221は階調電圧である。222はデータドライバであり、データドライバ222は、階調電圧221から正極性、負極性各々2^8(2の8乗)=256レベル、合計512レベルの電位を生成すると共に、各色8ビットのフィールド表示データ219と極性信号Mに対応した1レベルの電位を選択し、液晶表示パネル226へのデータ電圧として印加する。223はデータドライバ222にて生成されたデータ電圧である。224は走査ドライバ、225は走査ライン選択信号である。走査ドライバ224は走査ドライバ制御信号群209に基づき走査ライン選択信号225を生成し、液晶表示パネルの走査ラインへ出力する。226は液晶表示パネル、227は液晶表示パネル226の1画素の模式図である。液晶表示パネル226の1画素は、ソース電極、ゲート電極、ドレイン電極からなるTFT(Thin Film Transistor)と、液晶層、対向電極から構成される。走査信号をゲート電極に印加することでにTFTのスイッチング動作を行い、TFTが開状態ではデータ電圧がドレイン電極を介して液晶層の一方と接続したソース電極に書き込まれ、閉状態ではソース電極に書き込まれた電圧が保持される。このソース電極の電圧をVsとし、対向電極電圧をVCOMとする。液晶層は、ソース電極電圧Vsと対向電極電圧VCOMの電位差に基づき偏光方向を変えると共に、液晶層の上下に配置された偏光板を介することで、裏面に配置されたバックライトからの透過光量が変化し階調表示を行う。
【0037】
図3は明フィールド変換テーブル214、暗フィールド変換テーブル215、及び表示データ選択回路218の構成を示す図である。明フィールド変換テーブル214はRGB各色毎の変換テーブル301-R、301-G、301-Bで構成され、暗フィールド変換テーブル215はRGB各色毎の変換テーブル302-R、302-G、302-Bで構成される。RGB各変換テーブルへの入力表示データDinr、Ding、Dinbに対して、明フィールド変換テーブル214では、Dlr=flr(Dinr)、Dlg=flg(Ding)、Dlb=flb(Dinb)、と変換され、暗フィールド変換テーブル211では、Ddr=fdr(Dinr)、Ddg=fdg(Ding)、Ddb=fdb(Dinb)、と変換される。表示データ選択回路218では、RデータDinrに基づき変換されたDlr、Ddrの何れか一方を、GデータDgに基づき変換されたDlg、Ddgの何れか一方を、BデータDbに基づき変換されたDlb、Ddbの何れか一方をデータ選択信号207に基づき選択する。
【0038】
図4は変換テーブルの一例を示す図であり、0~255の離散値からなる入力データに対して明フィールド、暗フィールドに対して、マトリックスに示すフィールド表示データに変換する。
【0039】
以下、実施例1の動作について詳細に説明する。
【0040】
本実施例の表示装置では従来の駆動方式と以下で開示される実施例の駆動方式を外部システムからの要求に応じた切替が実現できるものとする。ここで、従来の駆動方式とは明フィールドと暗フィールドを用いない駆動方式、つまり、外部システムからの表示データに応じたデータ電圧を画素に印加する方式のことである、例えばPC等静止画が中心となる場合は従来の駆動方式を適用し、TV等動画が中心となる場合は本実施例を適用するのが好ましい。
【0041】
この駆動方式の切替は駆動選択信号203に基づき行われる。駆動選択信号203に基づき、本実施例の駆動方式を適用する指示がなされると、タイミング信号生成回路204はROM212に対してテーブルイニシャライズ信号206を転送する。ROM212は内部に図4に示すようなテーブルデータが格納されており、その値をテーブルデータ213として明フィールド変換テーブル214、暗フィールド変換テーブル215に転送する。尚、従来の駆動方式を適用する指示がなされた場合は変換は行われないため、明フィールド変換テーブル214、暗フィールド変換テーブル215に入力したメモリリードデータ211に対して何ら変換を行わない値を設定する。これはROM212にそのデータを持っても、或いは変換テーブル215、216の初期値として設定してもよい。又、従来の駆動方式としては変換を行わず1フレームを2フィールドで駆動しても(これは各画素に対して1フレームで2回同じデータを書き込むことに相当する)、1フィールドで駆動してもよい(これは各画素に対して1フレームで1回データを書き込むことに当する)。以下では動画ぼやけ改善を目的とし、明フィールドと暗フィールドからなる駆動方式が選ばれた場合について説明する。
【0042】
図5は本発明を適用した場合のタイミング仕様を示す図である。
【0043】
外部システムから入力された制御信号群202に基づき、タイミング信号生成回路204はメモリ制御信号群205、データ選択信号207、データドライバ制御信号群208、走査ドライバ制御信号群209を生成する。表示データ201は、メモリ制御信号群205に基づき、一旦フレームメモリ210にライトされた後、図5のタイミング図に示すように、N(Nは。0以上の整数とする)フレーム目のデータが2Nフィールド目(偶数フィールド目)と(2N+1)フィールド目(奇数フィールド目)の2回に渡ってメモリリードデータ211としてリードされる。尚、1フレーム分の表示データを2回に渡ってリードするため、1ライン分の表示データのリードに要する期間は水平同期信号Hsyncの略半分となるが、これはフレームメモリから2倍の速度でリードするか、若しくはバス幅を2倍とすると共に、垂直同期信号Vsync、水平同期信号Hsyncの2逓倍の周期を持つ信号を生成することで容易に実現できる。
【0044】
このように読み出されたメモリリードデータ211は明フィールド変換テーブル214、暗フィールド変換テーブル215に転送され、表示データに応じた変換がなされる。この変換はカラーフィルタやバックライト、液晶表示素子の波長分散特性等液晶表示装置の特性に応じて、図3に示すようにRGB各色に応じて変えることが可能である。逆に液晶表示装置の特性によっては、変換テーブルを1種類とし各色同じ変換テーブルとしても良く、この場合変換テーブルのサイズを1/3とすることが可能となる。
【0045】
より具体的な変換テーブルは、図4に示すようなマトリックス構成からなり、例えばメモリリードデータ211のR(赤)データDinr=4である場合、R用明フィールド変換テーブル301-RはDlr=6に変換し、R用暗フィールド変換テーブル302-RはDdr=0に変換する。同様に、メモリリードデータ211のG(緑)が253である場合、G用明フィールド変換テーブル301-GはDlg=255に変換し、G用暗フィールド変換テーブル302-GはDdg=249に変換する。尚、これらの変換自体は高々数クロックで実現できる。このようにテーブルを用いて変換された明フィールド表示データ216、暗フィールド表示データ217は表示データ選択回路218においてデータ選択信号207に基づき何れか一方のデータがフィールド表示データ219として選択される。データ選択信号207は図5に示すように、メモリリードデータ211が1回目の読み出しデータであるか2回目の読み出しデータであるかで極性が変化する。従って、本実施例のデータ選択信号207は垂直同期信号Vsyncに同期して、垂直同期信号Vsyncと同一周波数で信号のハイ期間とロー期間が略同一となる。
【0046】
以上のように変換、選択されたフィールド表示データ219はデータドライバ制御信号群208と共にデータドライバ222に転送される。データドライバ222はフィールド表示データ219に基づき階調電圧221を分圧して生成される、正極性、負極性各々256レベルの階調電圧のうち、フィールド表示データ219と極性信号Mに対応した1レベルの電圧を選択し、データドライバ制御信号群208に含有される出力タイミング信号CL1に基づき液晶表示パネル226に出力される。同時に走査ドライバ224は走査ドライバ制御信号群209に基づき、液晶表示パネル226の走査ラインが選択され、選択された走査ラインの各画素に対して、TFTを介しドレイン電極の電位がソース電極にソース電圧Vsとして書き込まれる。これによって液晶層に対しては対向電極電圧VCOMとソース電圧Vsの差電圧が書き込まれることになる。
【0047】
図6は液晶表示パネルの1画素に印加される駆動電圧波形を示す図である。
【0048】
液晶表示素子に対しては、直流成分が比較的長い(数10〜数100秒以上)期間に渡って印加されると短期の焼き付きが発生したり、更に長い期間(数10〜数100日以上)に渡って印加されると元の状態に戻らない素子破壊が発生する恐れがある。これを防ぐため、液晶表示装置では、ドット反転方式やライン反転方式等と呼ばれる極性反転駆動方式が採用されている。ここで極性とは対向電極電圧VCOMからみたソース電圧Vsの電位レベルを示すものであり、以下、ソース電圧Vsが対向電極電圧VCOMよりも高ければ正極性、低ければ負極性と呼ぶ。これらの駆動方式はある画素に対して隣接する画素の極性は反転方式によって異なるものの、各画素を見た場合、書き込まれる毎に極性を変化させている。
【0049】
これに対して本発明を適用して中間調表示を行う場合、明フィールド変換テーブルと暗フィールド変換テーブルの値が異なれば、明フィールドのソース電圧と暗フィールドのソース電圧の絶対値が異なり、且つ明フィールドと暗フィールドを交互に表示するため、従来の交流周期では液晶表示素子に直流成分が印加されることとなる。
【0050】
これを防止するため、本実施例では図6に示すように、2フィールド毎に交流周期を変化させる。即ち、ある明フィールドでの印加電圧を正極性とした場合、次の明フィールドでは負極性とし、更に次の明フィールドでは正極性とする。暗フィールドに関しても同様に液晶表示素子に印加される電圧の極性が正極性と負極性で交互に印加されるようにする。但し隣接する明フィールドと暗フィールドでは極性の条件はない。以下、この2フィールド毎に極性を反転させる駆動方式を2フィールド反転方式と呼び、同様にnフィールド毎に反転する駆動方式をnフィールド反転方式と呼ぶ。尚、本実施例では1フレーム期間を2フィールド期間に分割しているため、2フィールド毎とは1フレーム毎となる。
【0051】
以上のような2フィールド反転方式を適用することで、入力表示データが一定である場合、明フィールド、暗フィールド各々での直流成分をキャンセルすることが可能となる。
【0052】
図7は1画素に印加される交流周期の一例を示す図であり、2フィールド毎に極性反転させると共に必要に応じて3フィールド毎に極性反転させた場合を示している。
【0053】
放送波の映像信号によっては、外部システムからの入力信号によっては2フレーム乃至4フレームといった周期で表示パターンで常に変化する場合がある。これに起因して発生する直流成分のキャンセル方法について図7を用いて説明する。
【0054】
図7はある画素に着目した場合の極性を示す図であり、括弧内のx、yは入力表示データで、2フレーム毎に表示パターンが変化することを示している。図7において、パターン1では、明フィールド:正極性(x)、暗フィールド:正極性(x)、明フィールド:負極性(y)、暗フィールド:負極性(y)、と順に変化し、パターン2では、明フィールド:負極性(x)、暗フィールド:正極性(x)、明フィールド:正極性(y)、暗フィールド:負極性(y)、と順に変化し、パターン3では、明フィールド:負極性(x)、暗フィールド:負極性(x)、明フィールド:正極性(y)、暗フィールド:正極性(y)、と順に変化し、パターン4では、明フィールド:正極性(x)、暗フィールド:負極性(x)、明フィールド:負極性(y)、暗フィールド:正極性(y)、と順に変化する。表示データが固定である、即ちx=yの場合、何れのパターンにおいても2フィールド反転方式であるため、液晶素子に直流成分は印加されない。これに対し、x≠yにおいて各パターンのみで交流化を行う場合には、何れにおいても正極性と負極性での液晶印加電圧(液晶層に作用する電圧)の絶対値が異なるために直流成分が印加されるが、パターン1からパターン2へ、パターン2からパターン3へといったように別のパターンに移行する矢印の如く交流パターンを変え、4つのパターンを同じ比率で組み合わせた場合、何れのフィールドでも正極性と負極性の比率が等しくなり、結果として直流成分は印加されない。この4パターン全て組み合わせるのに要するのに最低限必要なフレームは、各パターン内で暗フィールド(y)から明フィールド(x)へ移行する矢印を経由しない場合であり、この場合、8フレーム16フィールドが必要である。ここで、1フレームをNTSC信号に基づく60Hzとした場合、8フレームに要する期間は133ms程度であり、これは短期の焼き付きが発生する数10秒よりもはるかに短い。逆に短期の焼き付きが40秒で発生するとした場合、パターン1を20秒繰り返し、次にパターン2に移行してこれを20秒繰り返し、次にパターン3に移行してこれを20秒繰り返し、次にパターン4に移行してこれを20秒繰り返し、再びパターン1に移行して20秒繰り返すことで、連続した直流成分の印加は最大でも40秒となり、短期の焼き付きを防止できる。尚、通常の駆動方式における中間調表示で途中で交流周期を変化させた場合、その前後で僅かながら輝度が変化し、それが目視でちらつきとして観測される場合があるが、本駆動方式における中間調表示では、明フィールドと暗フィールドでは印加電圧が異なることと、それに伴い液晶表示素子は常に応答中であるため、ちらつきを十分抑えることが可能となる。 図8は図7とは異なる1画素に印加される交流周期の一例を示す図であり、2フィールド毎に極性反転させると共に必要に応じて1フィールド毎に極性反転させた場合を示している。図8に示すように2フィールド反転方式と1フィールド反転方式を組み合わせた場合においても、図7と同様に最低8フレーム16フィールドで2フレーム単位となる表示データに起因する直流成分をキャンセルすることが可能となる。
【0055】
以上、本実施例の動作の流れについて説明した。次に明フィールド変換テーブル214、暗フィールド変換テーブル215の変換アルゴリズムについて、図9〜図13を用いてより詳細に説明する。尚、図3において、変換テーブルはRGB毎に別のテーブルを容易したが、これは前説したように、カラーフィルタやバックライトの特性を適切に設定することで、各色同様のテーブルを用いることができ、又、説明を容易とするため、以下の説明において変換テーブルは各色毎に共通の値を用いることとする。
【0056】
図9は横軸をソース電極電圧Vsと対向電極電圧VCOMの電位差の絶対値である液晶印加電圧Vとし、縦軸を液晶表示パネルの静的輝度TとしたV-T特性を示す図である。
【0057】
液晶表示パネルは一般に、液晶印加電圧Vに対して静的輝度Tが図9のV-T特性に示すように変化し、その輝度が最小となるTminと、最大となるTmaxを有する。従って、ノーマリブラックで256階調表示の場合、Tminを得る液晶印加電圧Vminを液晶駆動データDが0階調の場合に対応させ、Tmaxを得る液晶印加電圧Vmaxを液晶駆動データDが255階調の場合に対応させる。尚、実際の液晶ディスプレイではばらつきを考慮し、必ずしもTmin、Tmaxを0階調、2555階調と設定しておらず、ここでいうTmin、Tmaxは各々最低、最高の静的輝度を得る前後5%程度の範囲を含んでいる。また、ノーマリホワイトの場合は、輝度と液晶印加電圧の関係は、逆になる。
【0058】
表示ディスプレイは人間の目視で各階調間の輝度差が等間隔に近いことが望ましく、一般に256階調の場合、液晶駆動データDと静的輝度Tの間には、
(静的輝度T)=(液晶駆動データD/255)^γ ・・・ (式1)
となる、所謂ガンマカーブを満足するよう設計される。尚、γ=2.2が用いられることが一般的であることから、以下γ=2.2として説明する。
【0059】
図9の静的輝度特性を有し、(式1)で示すガンマ特性を有する液晶表示パネルにおいては、液晶駆動データDと液晶印加電圧Vの関係は一意的に決まる、
図10は横軸をデータドライバ222に入力される表示データ、縦軸をデータドライバ222から出力されるデータ電圧の絶対値としたのD-T特性を示す図である。図10で示すように、低階調や高階調側では、D-T特性の傾きが急になり、液晶駆動データDの変化に対して液晶印加電圧Vの変化が大きくなる特性となる。
【0060】
図11Aは横軸を入力表示データ、縦軸を明フィールド表示データ及び暗フィールド表示データとし、入力表示データからフィールド表示データへの変換特性を示す図であり、図11Bは上図に伴うより具体的な変換特性を示す。
【0061】
本実施例における変換アルゴリズムは、明フィールドと暗フィールドを合わせて入力表示データに対応した目視輝度を実現し、且つ暗フィールドはできるだけTminとなる動的輝度を得ること、入力表示データが最も明るくなる255階調の場合の静的輝度はTmaxと同等であることを条件(以下、本条件を条件1とする)とする。暗フィールドの動的輝度が小さいほど、暗フィールドの動的輝度が小さい範囲が大きいほど動画ぼやけを低減できる。よって、暗フィールドはTminであるのが好ましいが、Tminよりも少し高い輝度であってもよい。暗フィールドの動的輝度がTminである範囲は、0階調から明フィールドの動的輝度がTmaxとし暗フィールドの動的輝度をTminとして得られる目視輝度に対応する入力表示データの階調までの範囲である。但し、明フィールドの動的輝度がTmaxとし暗フィールドの動的輝度をTminとして得られる目視輝度に対応する入力表示データの階調よりも少し小さい階調までであってもよい。また、明フィールドの動的輝度をTmaxである範囲は、明フィールドの動的輝度をTmaxとし暗フィールドの動的輝度をTminとして得られる目視輝度に対応する入力表示データの階調から256階調までの範囲である。但し、明フィールドの動的輝度をTmaxとし暗フィールドの動的輝度をTminとして得られる目視輝度に対応する入力表示データの階調よりも少し小さい階調からであってもよい。
【0062】
液晶表示素子の立上り時間Tr、立下り時間Tfが共に0と仮定すると、
(表示輝度)=(明フィールドの静的輝度T)/2+(暗フィールドの静的輝度T)/2 ・・・ (式2)
と近似できる。入力表示データをDin、明フィールド表示データをDlight、暗フィールド表示データをDdarkとすると、(式1)(式2)からγ=2.2において、
【0063】
【数1】

【0064】
となり、図11Aの実線で示される特性を得る。図11Aによれば、明フィールドの階調と明フィールドの階調との差分は、最大でも255階調分程度である。理論値で240階調分程度であり、実測値で247階調分程度である。これに対して256階調のデータドライバを有する32型IPS方式の液晶表示パネルに対して条件1で示した変換アルゴリズムを適用して実測データを得た結果、実線に示すように、明フィールドでの変換データが255階調以外となる領域と、暗フィールドでの変換データが0階調以外となる領域において、理論値の特性に対して上に凸となる特性を得た。このように、入力表示データと変換表示データの関係は、条件1に基づいた場合でも適用する液晶表示素子の応答特性に起因して異なるものとなる。尚、変換テーブルは必ずしも全ての入力表示データに対するテーブル値を持つ必要はなく、階調間でのリニアリティが十分満足されれば、例えば図11Bに示すように、16階調毎のテーブルを用意しておき、その間の階調に関しては、線形補間等といった補間によって変換表示データを生成してもよい。これによって変換テーブルのサイズを小さくすることが可能となる。このような変換テーブルを用いた場合における液晶パネルの輝度応答波形を図12に示す。図11Bによれば、明フィールドの階調と明フィールドの階調との差分は、最大でも理論値で240階調分程度であり、実測値で247階調分程度である。明フィールド表示データDlightは、入力表示データDinを単純に2倍した値を常にとるわけではない。
【0065】
図12は黒表示(入力表示データ:0階調)の場合、低階調(入力表示データ:63階調)の場合、高階調(入力表示データ:191階調)の場合、白表示(入力表示データ:255階調)の場合における、複数フィールドに渡る輝度応答波形を示す図である。図12においては、入力表示データが0階調で静的輝度がTminとなる場合、入力表示データが63階調である低輝度中間調表示の場合、入力表示データが191階調である高輝度中間調表示の場合、入力表示データが255階調で最大輝度がTmaxとなる場合を示している。変換テーブルとして、図11Bの実測データを用いた場合、入力表示データが0階調の場合は明フィールド、暗フィールド共にフィールド表示データは0階調となるため、フィールドに関わらず最小の輝度Tminとなる。入力表示データが63階調の場合は、明フィールド表示データは124階調に、暗フィールド表示データは0階調に変換され、それらに基づきフィールド毎に輝度が変化するが、得られる目視輝度は63階調とした場合と同等となる。入力表示データが191階調の場合は、明フィールド表示データは255階調に、暗フィールド表示データは8階調に変換され、それらに基づきフィールド毎に輝度が変化するが、得られる目視輝度は191階調とした場合と同等となる。入力表示データが255階調の場合は、明フィールド表示データ、暗フィールド表示データ共に255階調に変換されるため、得られる静的輝度は最大値であるTmaxを得る。
【0066】
尚、実測データにおいて、明フィールド表示データが255階調、暗フィールド表示データが0階調となる入力表示データは188であった。従って、188階調以下では明フィールド表示データとして256階調から188階調を選択し、189階調以上では暗フィールドデータとして256階調から66階調を選択することとなり、階調数が不足することはない。1フレーム期間の第1期間を明フィールド期間、第2期間を暗フィールド期間としてもよいし、逆に、1フレーム期間の第1期間を暗フィールド期間、第2期間を明フィールド期間としてもよい。
【0067】
以上のような構成及び変換アルゴリズムによって本実施例は実現できるが、その効果について、図13にN-BET及びMPRTの測定結果を示す。ここで、N-BET(Normalized Blurred Edge Time)とは動画ぼやけ幅を移動速度で規格化した数値であり、MPRT(Moving Picture Response Time)とは各階調間のN-BETの平均値であり、何れも単位はmsで、値が小さい程、動画ぼやけが改善されていることになる。
【0068】
図13は従来の駆動方式と本実施例に基づく駆動方式に対して、動画ぼやけの指標であるN-BET及びMPRTを計測した値である。図13Aは前説した32型IPS方式の液晶表示パネルを用いて、フレーム周波数60Hzである入力表示データに対して、フィールド周波数60Hzである通常の駆動方式を適用した場合であり、図13Bは同じくフレーム周波数60Hzに対して本実施例の駆動方式を適用し、フィールド周波数120Hzにて明フィールドと暗フィールドにて駆動した場合である。ここで通常の駆動方式とは、入力表示データに基づき、例えば前フレームの表示データと現フレームの表示データを比較し、波形をシュートさせる所謂オーバードライブ駆動方式やブリンクバックライト方式といった既存の動画ぼやけ改善技術を適用していない場合であり、本実施例を適用した値も同様にそれ以外の動画ぼやけ改善技術を適用していない。評価の結果、MPRTは18.2msから11.0msと大幅な改善を示し、特に中間調低輝度側において高い改善効果を示した。
【実施例2】
【0069】
次に実施例1とは異なる明フィールドと暗フィールドに係る表示データの変換アルゴリズムについて、図14に示す入力表示データ201と、明フィールド表示データ216及び暗フィールド表示データ217の関係を用いて説明する。
【0070】
実施例1で示したフィールド変換においては、条件1に基づき変換を行ったが、本実施例では、明フィールドと暗フィールドを合わせて入力表示データに対応した目視輝度を実現し、且つ暗フィールドはできるだけTminとなる動的輝度を得ること、且つ白輝度(255階調)へ階調が変化する場合においても動画性能の向上を図ること、を条件(以下、条件2)とする。条件2を実現するために、本実施例では暗フィールドにおける静的輝度の最大値を図14に示すようにTmax以下としている。ここで、図13で示したように暗フィールドデータが0でない場合でもN-BETは低減していることから、255階調において、明フィールドと暗フィールドの静的輝度を変えることで、目視輝度は低下するものの、それに応じて動画性能の向上を図ることが可能である。この場合、動画ぼやけを改善すべく図14に示すように、入力表示データが255階調に対する暗フィールド表示データを低下させる程、(式1)で示されるガンマ特性に応じて全体の輝度特性を低減させる必要があるのに対し、明フィールド表示データが255階調での(動的輝度は前フィールドである暗フィールドから応答するために低下するが)静的輝度は変化しないため、暗フィールド表示データの最大値を下げる程、明フィールド表示データを255階調となる入力表示データの最小値は小さくなる。
【0071】
以上のアルゴリズムに基づき変換を行うことで、実施例1と比較して、白輝度は低下するものの、それに応じて高輝度側に対しても動画ぼやけを改善することが可能となる。
【実施例3】
【0072】
次に、実施例1、2とは異なる変換パターンについて、図15に示す入力表示データ201と、明フィールド表示データ216及び暗フィールド表示データ217の関係を用いて説明する。
【0073】
ここで、放送波のフレーム周波数としてはNTSC方式、PAL方式、SECAM方式が知られている。NTSC方式における1画面走査周波数(所謂飛び越し走査方式におけるフィールド周波数であるが、本明細書で用いているフィールド周波数とは異なる意味を有する)は約60Hzであり、これを2フィールドで駆動した場合、1フィールド周波数は約120Hzとなる。これに対し、PAL方式やSECAM方式における1画面走査周波数は約50Hzであり、これを2フィールドで駆動した場合、1フィールド周波数は約100Hzとなる。実施例1、2の変換アルゴリズムを用いることで暗フィールドにおける動的輝度を下げる程、網膜残像がリセットされるために動画ぼやけは低減するが、フィールド周波数が約110Hzを下回るとフリッカ(ちらつき)が目視で観測され始める。これに対し、図15に示すように、明フィールド表示データが255階調となる前に暗フィールド表示データを0階調から変化させる。つまり暗フィールド表示データを0階調から除々に大きくする、これにより、目視輝度を維持したまま、明フィールドでの動的輝度と暗フィールドでの動的輝度の差を減少させることができる。明フィールドの階調と暗フィールドの階調の差分は、最大でも140階調分程度となる。これによって実施例1と比較した場合に動画ぼやけの改善効果はやや劣るものの、外部システムからの入力周波数が低い場合にもフリッカを低減することが可能となる。
【0074】
更に、256階調に対応したデータドライバに対して、実施例1に示した条件1の変換アルゴリズムを適用した場合、得られる階調数は、暗フィールドを0階調とし、明フィールドを1階調から255階調とした結果得られる255階調と、明フィールドを255階調とし、暗フィールドを1階調から254階調とした254階調の合計509階調であり、これから入力表示データにおける0階調と255階調を除いた254階調を選択するのに対し、条件3では暗フィールドを0階調とした場合に明フィールドを0〜255階調とした256通り、暗フィールドを1階調とした場合に明フィールドを1〜255階調とした255通り、暗フィールドを2階調とした場合に明フィールドを2〜255階調とした254通り、・・・暗フィールドを254階調とした場合に明フィールドを254、255階調とした2通り、暗フィールドを255階調とした場合に明フィールドを255階調とした1通り、の合計約9.9万通りの階調から白表示、黒表示を含む256階調を選べばよく、それだけガンマ特性が良好な階調表示を実現できる。
【実施例4】
【0075】
次に、図2とは異なる構成について、図9、及び図16〜図18を用いて説明する。
【0076】
実施例4では実施例1、2と比較して通常の駆動方式と本実施例の駆動方式で階調電圧の値を変えることによって、液晶表示素子の立上り時間を改善すると共に、これによって中間調高階調側における暗フィールドの輝度を低減せしめ、動画ぼやけを更に改善した表示装置を提供するものである。
【0077】
図16は本実施例の構成を示す図であり、図2と同等の機能を有する場合は同等の符号としている。1601は階調電圧制御信号であり、本実施例では通常の駆動方式と明フィールドと暗フィールドからなる2フィールドにて駆動した本発明の駆動方式で階調電圧の設定を変え、それによって応答速度が比較的遅い液晶表示パネルに対しても、より広い範囲で動画性能の向上を図る実施例である。尚、図16においては、図2で示したROM212とそれに付随したテーブルイニシャライズ信号206、テーブルデータ213を記していないが、これは実施例を制限するものではない。又、図2における表示データ選択回路218は2入力からの選択するのに対し、図16では入力表示データ201を含めた3データから選択している。つまり、入力表示データ201は、フレームメモリ210及び明フィールド変換テーブル214及び暗フィールド変換テーブル215をバイパスして、表示データ選択回路218に入力される。表示データ選択回路218からの出力データとして入力表示データ201を選択した場合、1フレームを1フィールドにて駆動する、所謂通常の駆動方式となる。
【0078】
駆動選択信号203に基づき通常の駆動方式を選択した場合、入力表示データにそのまま対応するデータ電圧が直接液晶表示パネル226に転送されると共に、タイミング生成回路204は入力制御信号群202に基づき表示パネルに適したデータドライバ制御信号群208、走査ドライバ制御信号群209を生成する。この場合、制御信号群202の垂直同期信号Vsyncが60Hzであれば、液晶表示パネルに転送される垂直スタート信号FLMも略60Hzとなる。階調電圧生成回路220は通常の駆動方式に応じたガンマ特性となるよう階調電圧を出力し、これに基づき表示を行う。
【0079】
同様に、動画ぼやけを改善する駆動方式が選択された場合、階調電圧生成回路220は階調電圧制御信号1501に基づき、本実施例に適したデータ電圧を出力する。
【0080】
図17は本実施例における変換アルゴリズムに基づく、入力表示データ201と、明フィールド表示データ216及び暗フィールド表示データ217の関係を示す図であり、本実施例では、明フィールド表示データとしてTmaxを超える範囲の電圧を印加すると共に、高階調側では、暗フィールド表示データ217が大きくなるにつれて明フィールド表示データを減少させ、入力表示データが255階調の場合、明フィールド、暗フィールド共にTmaxとなるよう設定している。
【0081】
図18は本実施例の表示装置を適用することで、液晶駆動電圧をVmax以上に上昇させた場合におけるの輝度応答波形を示す図である。
【0082】
以上の図面に基づき、実施例4について、特に動画ぼやけを改善すべく2フィールドで駆動した場合の動作について説明する。
【0083】
一般に液晶表示素子の立上り応答時間は液晶印加電圧を高くするにつれて短くなる特性を有する。従って、図9にて示したようにTmaxを得る電圧Vmaxを印加した場合、静的輝度は最大となるが、本発明の動画ぼやけ改善駆動を適用した場合、表示データが変化しない限り、中間調における明フィールドは、常にそれよりも輝度の低い暗フィールドから立ち上げるため、Tmax以上の電位を印加した方が立上り時間を短縮できる。その結果、図18に示すように輝度応答が安定した領域により速く移行することができるため、液晶表示パネルの温度や液晶層の厚みといった応答速度の他のパラメータへの依存度を減少せしめることが可能となる。
【0084】
更に、明フィールドの動的輝度が上昇することは、その分暗フィールドの動的輝度を低下させることが可能となる。暗フィールドの輝度を低下させれば、その分動画ぼやけを改善することに繋がり、これによって中間調高輝度側においても動画ぼやけを低減することが可能となる。
【0085】
更に暗フィールドのデータ変換が0以外の領域に対して、目視輝度が設定されたガンマ設定となるべく、暗フィールドの変換データを上げていくと共に、明フィールドの変換データを下げていく。これによって、入力表示データの高階調側においても明フィールドの輝度低下を抑え、入力表示データが白輝度を指定する255階調において、明フィールドの駆動電圧がTmaxを取るよう変換すれば、明フィールドで最大輝度を得ることができる。従ってある値以上の高階調における明フィールド表示データは、表示輝度が上がるにつれて図17に示すように低下することとなる。同時に、入力表示データが255階調の場合において、暗フィールドの変換データを図17に示すようにTmaxとなるように設定すれば、白輝度は最大となり、Tmax以下に抑えれば白輝度は低下するものの、高階調側でも動画ぼやけを改善できる。
【実施例5】
【0086】
次に図16で示した表示装置を用いた場合において、実施例4とは異なる明フィールド表示データと暗フィールド表示データの変換アルゴリズムについて、図19を用いて説明する。
【0087】
図19に示す変換アルゴリズムにおいて、明フィールド表示データは、中間調においてTmaxを超える電圧を印加するよう変換すると共に、実施例4と異なり、入力表示データがそれ以上の階調表示を示す場合においても、同じ変換データとする。つまり、明フィールド表示データを一定とする。暗フィールド表示データはこのように変換された明フィールド表示データによって得られる動的輝度との組み合わせによって表示装置の目的とするガンマ特性が得られるよう変換を行う。この場合において、入力表示データが255階調である場合の目視輝度を最大とするには、暗フィールド表示データをTmax近辺となるよう変換を行えばよく、目視輝度を若干犠牲にする代わりに動画ぼやけを改善するには、暗フィールド表示データの値を下げればよい。
【0088】
ここで図19に示すように、入力表示データが255階調に対する暗フィールド表示データを低下させる程、(式1)で示されるガンマ特性に応じて全体の輝度特性を低減させる必要があるのに対し、入力表示データが255階調に対する明フィールド表示データの静的輝度は変化しないため、暗フィールド表示データの最大値を下げる程、明フィールド表示データを255階調とする入力表示データの階調設定は大きくなる。
【0089】
以上で示された変換アルゴリズムを適用した場合、実施例4と比較して、白輝度は低下するものの、各階調に対して、明フィールド表示データ若しくは暗フィールド表示データの一方は255階調、若しくは0階調の固定された設定となり、入力表示データと輝度の関係が階調間で逆転することがなく、設定が容易となる。
【実施例6】
【0090】
次に図16で示した、通常駆動方式と本発明の駆動方式で液晶駆動電圧を変えた場合における、実施例4、実施例5とは異なる明フィールド表示データと暗フィールド表示データの変換アルゴリズムについて、図20を用いて説明する。
【0091】
図20に示す変換アルゴリズムにおいて、明フィールド表示データは、中間調においてTmaxを超える電圧を印加するよう変換すると共に、暗フィールド表示データは暗フィールドの静的輝度を最大とした状態に対する、明フィールドの動的輝度が最大となる状態まで、暗フィールド表示データを最小値である0階調に変換したが、本実施例6では、明フィールドの動的輝度が最大となる階調よりも低い階調において暗フィールド表示データを0階調より大きい階調に変換する。
【0092】
このように変換した場合は、実施例3で示した場合と同じように、明フィールドの動的輝度と暗フィールドの動的輝度の輝度差の最大値が実施例4よりも小さくなり、これによって入力フレーム周波数が50Hz以下の場合においてもフリッカを感じ難くすることが可能となり、更に実施例3における記載と同じ理由によって、ガンマ特性が良好な表示装置を提供することが可能となる。
【実施例7】
【0093】
次に1フレーム前の表示データを参照することで、更なる動画ぼやけの改善を図る方法について、図21〜25を用いて説明する。
【0094】
図21は本実施例の構成を示す図であり、図2と同等の機能を有する場合は同等の符号としている。2101はフレームメモリAであり、図2で示したフレームメモリ210と同じく、少なくとも1フレーム期間分の表示データを格納する容量を有すると共に、メモリ制御信号群205に基づきライト、リード動作を行う。2102はフレームメモリAからメモリ制御信号群205に基づき読み出されたメモリリードデータA。2103はフレームメモリB、2104はメモリリードデータBである。フレームメモリB2103はメモリ制御信号群205に基づきメモリリードデータA2102が書き込まれると共に、1フレーム期間経過後に、メモリリードデータB2104として読み出される。2105は明フィールド変換テーブル、2106は暗フィールド変換テーブルである。実施例6までに記載された明フィールド変換テーブル及び暗フィールド変換テーブルは該当画素に係る現フレームの表示データのみから変換を行っていたが、本実施例における明フィールド変換テーブル2105及び暗フィールド変換テーブル2106は該当画素に係る現フレームの表示データを示すメモリリードデータA2102とは該当画素に係る前フレームの表示データを示すメモリリードデータB2104に基づき変換が行われる。
【0095】
図22は実施例7における変換アルゴリズムを示す図であり、実線は前フレーム(Nフレーム)の入力表示データと現フレーム((N+1)フレーム)の入力表示データが等しい場合の入力表示データに対する明フィールド表示データと暗フィールド表示データの関係を示す図である。
【0096】
図23は図22に示した変換アルゴリズムにおける、具体的な変換テーブルの値の一部を示す図である。
【0097】
図24は特にフレームメモリA2101、フレームメモリB2103に係る表示データの入出力タイミングの関係を示す図である。
【0098】
図25は本実施例を適用した場合の輝度応答波形を示す図である。
【0099】
以上の図面に基づき第7の実施例について説明する。
【0100】
外部システムから入力された表示データ201は、図24に示すように、フレームメモリA2102に書き込まれることで、1フレーム期間に2回の読み出し動作がメモリリードデータA2102として行われる。読み出されたメモリリードデータA2102は、明フィールド変換テーブル2102に転送されると共に、フレームメモリB2104に転送される。フレームメモリB2103はフレームメモリA2102と同様に、1フレーム期間で2回の読み出し動作が行われ、メモリリードデータA2102は、明フィールド変換テーブル2102に転送される。この際、メモリリードデータA2102とメモリリードデータB2104は同一の画素領域の情報となるようにする。このように転送されたメモリリードデータA2102及びメモリリードデータB2104に基づき、明フィールド変換テーブル2105、暗フィールド変換テーブル2106は変換を行う。
【0101】
本実施例において、メモリリードデータA2102と、メモリリードデータB2104の値に基づき、表示データが前フレームと比較して変化しない静止画像の場合、図22の実線で示すような変換を行う。ここで明フィールド表示データは高階調領域(図22では入力表示データが183階調以上の領域)においても255階調とせず、それよりも下の階調(図22では230階調)に変換し、この値でTmaxとなる階調電圧を液晶表示パネルへの印加電圧とし、暗フィールド表示データは、上記変換の結果得られる明フィールドの動的輝度と暗フィールドの動的輝度の結果得られる表示輝度が目的とするガンマ設定に適合するようにする。
【0102】
次に前フレームから現フレームへ表示輝度が上昇するよう表示データが変化した場合について説明する。
【0103】
本実施例7は2フィールドで表示を行うが、輝度が上昇する場合、比較結果に基づいて、明フィールド表示データが255階調となるまでは、静止画像における明フィールド表示データよりも大となるよう、明フィールド表示データへ変換を行うと共に、その場合の目視輝度が静止画像時の目視輝度と同様になるように暗フィールド表示データへ変換する。又、明フィールド表示データを255階調とした場合に輝度が足りない場合は、暗フィールド表示データは静止画像の場合よりも大となるよう、暗フィールド表示データへ変換する。逆に表示輝度が前フレームと比較して低下する場合、暗フィールド表示データを静止画像の場合よりも小となるよう、暗フィールド表示データへ変換すると共に、暗フィールド表示データを最小値となる0階調としても、目視輝度が静止画像よりも明るい場合は、明フィールド表示データを静止画像の場合よりも小となるよう、明フィールド表示データへ変換する。
【0104】
以上のような変換アルゴリズムを適用した場合の具体例を図23を用いて説明する。例えば前フレームと現フレームの入力表示データ201が共に191階調である場合、明フィールド表示データは図23Aに示すようにTmaxとなる230階調とし、暗フィールド表示データは図23Bに示すようにそれに合致した66階調とする。前フレームの入力表示データ201が0階調で現フレームの入力表示データ201が191階調となる、つまり表示輝度が上昇する場合においては、明フィールド表示データは図23Aに示すように液晶印加電圧が最大となる255階調とし、この場合に不足する目視輝度を補正すべく、暗フィールド表示データは図23Bに示すように68階調とする。前フレームの入力表示データ201が255階調で現フレームの入力表示データ201が191階調となる、つまり表示輝度が低下する場合においては、明フィールド表示データを図23Aに示すように230階調のままとし、暗フィールド表示データを図23Bに示すように53階調とする。
【0105】
以上のように前フレームの表示データを用いて補正した場合の効果について、図25を用いて説明する。図25はNフレーム目から(N+1)フレーム目に移行する際に表示データの示す階調が低下したとした場合の輝度応答波形であり、実線はNフレームの表示データを参照して補正を行った場合、点線は補正を行わない場合である。図25のような輝度応答に対して、目視輝度は図中斜線部の面積と近似できる。従って、静止画では(N+2)フレーム目に示した面積Aが目視輝度となるが、補正を行わない場合、Nフレーム目の暗フィールドの輝度に影響されて、(N+1)フレーム目の面積はB+Cとなり、これは面積Aと異なることから目視輝度が異なってくる。これに対し、本実施例で示したように前フレームの表示データを参照することで、(N+1)フレーム目の面積をBとすることができ、B=Aとするべく明フィールド表示データと暗フィールド表示データを変換することで動画ぼやけを更に低減することが可能となる。
【0106】
尚、B=Aとなる明フィールド表示データと暗フィールド表示データを変換アルゴリズムは本実施例7の方法が唯一ではなく、例えば明フィールド変換テーブルのみ、或いは暗フィールド変換テーブルのみで変換することも可能となる。又フレームメモリB2103に係る表示データは必ずしも全ビット分の表示データを格納する必要はなく、例えば表示データの下位ビットのみを削減、つまり上位ビットのみを格納することもでき、これによってフレームメモリBの容量を小さくすることが可能となる。更に、本実施例7で静止画時の変換アルゴリズムとして図22を示したが、この形に限定することはなく、例えば図15で示したように明フィールド表示データが最大値を得る前に暗フィールド表示データを0階調以外の設定としてもよい。
【実施例8】
【0107】
次に、実施例1〜7に示した動画ぼやけを改善する駆動システムのフレームメモリのデータ容量を削減可能な駆動回路について、図26〜図29を用いて説明する。本実施例8では、液晶表示パネルの解像度を水平解像度1366×RGB、垂直解像度768ラインのWXGAとして、説明する。
【0108】
図26は、従来の液晶駆動装置の走査動作を示しており、1フレーム期間に液晶表示パネルのゲート線をG1からG768を順次選択する。ゲート線の先頭ラインG1を選択し、G1ラインの表示データに対応した液晶駆動電圧を書き込む、次にG2を選択し、以降順次1ラインづつゲート線を選択し、最終ラインのG768を選択し、G768ラインの表示データに対応した液晶駆動電圧を書き込む。これにより、1フレーム期間に全ラインの選択を行い全画面の表示を行う。次のフレームでも同様に、ゲート線の先頭ラインG1を選択し、順次1ラインづつ選択し、最終ラインのG768を選択し、1フレーム期間に全ラインの選択を行う。
【0109】
これに対して、図27に示す本発明の実施例1〜7に示した駆動方式では、動画ぼやけを改善するため1フレーム期間を明フィールドと暗フィールドの2つのフィールドに分割し、各フィールドで全ラインの選択を行うため、1フレーム期間に各ラインの選択を2回行うことになる。図27に示した、明フィールド期間では、ゲート線の先頭ラインG1を選択し、G1ラインの明フィールドデータに変換した表示データに基づいた液晶駆動電圧を書き込む、次にG2を選択し、以降順次1ラインづつゲート線を選択し、最終ラインのG768を選択し、G768ラインの表示データに対応した液晶駆動電圧を書き込む。さらに、暗フィールド期間では、ゲート線の先頭ラインG1を選択し、G1ラインの暗フィールドデータに変換した表示データに基づいた液晶駆動電圧を書き込む、次にG2を選択し、以降順次1ラインづつゲート線を選択し、最終ラインのG768を選択し、G768ラインの表示データに対応した液晶駆動電圧を書き込む。このように、表示データを液晶表示パネルに書き込む周波数が、入力される表示データの周波数と異なるため、表示データをフレームメモリに一旦保持し、書き込みを行うタイミングに合わせて表示データを読み出す必要がある。従って、駆動回路システムには、図2、図16、図21に示すようにフレームメモリが必要となる。
【0110】
次に、図28を用いて、実施例1〜6の場合のフレームメモリの制御タイミング、最小必要メモリ容量について説明する。図28に示すように、1フレーム分の入力データD1、D2、D3、D4が順次入力され、そのデータをフレームメモリにライトする。ライトされた表示データは1フレーム期間保持され、次のフレームで2倍の周波数でリードし表示データをそれぞれ明フィールドデータ、暗フィールドデータに変換し、それに基づいた液晶駆動電圧を液晶表示パネルに書き込む。従って、最小必要メモリ容量は画面解像度の1フレーム分の容量となる。
【0111】
図29は、実施例7に示した、1フレーム前の表示データを参照することで、表示データの補正を行い、これによって更なる動画ぼやけを改善する場合のフレームメモリの制御タイミング、最小必要メモリ容量について説明する。図29に示すように、1フレーム分の入力データD1、D2、D3、D4が順次入力され、そのデータをフレームメモリにライトする。ライトされた表示データは1フレーム期間保持され、次のフレーム期間でフレーム周期(垂直同期信号)に従ってリードし、入力データとメモリからリードした前フレームデータからフレーム間の応答を補正する補正表示データ(D1’、D2’、D3’、D4’)を生成し、フレームメモリに一旦ライトする。そして、半フレーム後に補正表示データ(D1’、D2’、D3’、D4’)を2倍の周波数でリードし、明フィールドデータに変換し、それに基づいた液晶駆動電圧を液晶表示パネルに書き込む。また、次の暗フィールドでは、表示データを半フレーム周期遅れでリードし、暗フィールドデータに変換し、それに基づいた液晶駆動電圧を液晶表示パネルに書き込む。従って、最小必要メモリ容量は画面解像度の1.5フレーム分の容量となる。
【0112】
次に、実施例1〜7に示した動画ぼやけを改善する駆動システムのフレームメモリのデータ容量を削減可能な駆動回路について、図30〜図36を用いて説明する。
【0113】
図30は、本発明の実施例1〜7の駆動方式をさらにメモリを削減可能とした駆動方式である。動画ぼやけを改善するため1フレーム期間を明フィールド期間と暗フィールド期間の2つのフィールド期間に分割するが、各フィールドを交互に選択し全ラインの選択を行うため、1フレーム期間に各ラインの選択を2回行うことになる。図30において、明フィールドの走査選択Aと暗フィールドの走査選択Bをライン毎に交互に行う。この駆動動作を図31を用いて詳細に説明する。
【0114】
図31において、G1〜G768は垂直解像度768ラインの液晶表示パネルのゲート線を示しており、明フィールドの走査選択Aでゲート線G1を選択した次に暗フィールドの走査選択Bでゲート線G385を選択し、明フィールドの走査選択Aでゲート線G2を選択し、暗フィールドの走査選択Bでゲート線G385を選択する。つまり、液晶表示パネルの上半分(ゲート線G1〜ゲート線G384までの第1のライングループ)と下半分(ゲート線G385〜ゲート線G768までの第2のライングループ)を交互に1ライン(1ゲート線)毎に順次選択する。さらに、1フレーム期間の第1期間で液晶表示パネルの上半分に明フィールドデータを表示しかつ液晶表示パネルの下半分に暗フィールドデータを表示し、1フレーム期間の第2期間で液晶表示パネルの上半分に暗フィールドデータを表示しかつ液晶表示パネルの下半分に明フィールドデータを表示する。この動作を順次行うことで1フレーム期間に各ゲート線は、明フィールドの走査選択A、暗フィールドの走査選択Bで2回選択されることになる。ここで、ゲート線G1に着目すると、明フィールドの走査選択Aで選択された後、暗フィールドの走査選択Bで選択されるのはフレーム周期の約1/2の期間後となり、次のフレームの明フィールドの走査選択Aがさらにフレーム周期の約1/2の期間後となり、これを繰り返す。同様に他のゲート線においても、明フィールドの走査選択Aで選択された後、暗フィールドの走査選択Bで選択されるのはフレーム周期の約1/2の期間後となり、次のフレームの明フィールドの走査選択Aがさらにフレーム周期の約1/2の期間後となり、これを繰り返す。従って、図27に示した2倍速駆動と同様に、1フレーム期間に明フィールド期間と暗フィールド期間を実現することができる。
【0115】
図31に示すように、1フレーム期間の先頭で、明フィールドの走査選択Aでは、ゲート線の先頭ラインG1を選択し、G1ラインの明フィールドデータに変換した表示データに基づいた液晶駆動電圧を書き込む、次に暗フィールドの走査選択Bでゲート線のG385を選択し、G385ラインの暗フィールドデータに変換した表示データに基づいた液晶駆動電圧を書き込む。次に、明フィールドの走査選択AでG2を選択し、以降順次1ラインづつ明フィールドの走査選択Aと暗フィールドの走査選択Bによるゲート線選択を繰り返す。このように、表示データを液晶表示パネルに書き込む周波数が、入力される表示データの周波数と位相が異なるため、表示データをフレームメモリに一旦保持し、書き込みを行うタイミングに合わせて表示データを読み出す必要がある。従って、駆動回路システムには、図2、図16、図21に示すようにフレームメモリが必要となる。
【0116】
次に、図32を用いて、実施例1〜6の場合のフレームメモリの制御タイミング、最小必要メモリ容量について説明する。図32に示すように、1フレーム分の入力データD1、D2、D3、D4が順次入力され、そのデータをフレームメモリにライトする。ライトされた表示データは1/2フレーム期間保持され、1/2フレーム期間後にフレーム周波数に従ってリードし、表示データをそれぞれ明フィールドデータ、暗フィールドデータに変換し、それに基づいた液晶駆動電圧を液晶表示パネルに書き込む。従って、最小必要メモリ容量は画面解像度の0.5フレーム分、つまり半分の容量となる。
【0117】
図33は、実施例7に示した、1フレーム前の表示データを参照することで、表示データの補正を行い、これによって更なる動画ぼやけを改善する場合のフレームメモリの制御タイミング、最小必要メモリ容量について説明する。図33に示すように、1フレーム分の入力データD1、D2、D3、D4が順次入力され、そのデータをフレームメモリにライトする。ライトされた表示データは1フレーム保持され、次のフレームでフレーム周期に従ってリードし、入力データとメモリからリードした前フレームデータからフレーム間の応答を補正する補正表示データ(D1’、D2’、D3’、D4’)を生成し、明フィールドデータに変換し、それに基づいた液晶駆動電圧(液晶駆動データA)を液晶表示パネルに書き込む。また、半フレーム周期後の暗フィールドでは、メモリの表示データを半フレーム周期遅れでリードし、暗フィールドデータに変換し、それに基づいた液晶駆動電圧(液晶駆動データB)を液晶表示パネルに書き込む。従って、最小必要メモリ容量は画面解像度の1.0フレーム分の容量となる。
【0118】
以上のように、実施例8で示した明フィールド走査選択と暗フィールド走査選択をライン毎に交互に行うことで、フレームメモリ容量を削減可能とし、低コストな駆動回路システムを構成することができる。
【0119】
次に、本実施例の回路動作を図34〜36を用いて詳細に説明する。
【0120】
図34は液晶表示パネルの駆動回路の詳細構成図で、図2、図16、図21で示した構成と同様である。図34において、222は、表示データに基づいた液晶駆動電圧を液晶表示パネルに印加するデータドライバ、224はゲート線を選択走査する走査ドライバ、226はガラス基板上にデータ線D1〜Dn及びゲート線G1〜Gnがマトリックス状に配置された液晶表示パネル、227はデータ線D1〜Dn及びゲート線G1〜Gnに接続されTFTスイッチで構成された画素である。209は走査ドライバ224の制御信号である。
【0121】
図35は走査ドライバ224をさらに詳細に示した構成図である。224−1から224−3は、1LSIの走査ドライバの256個の出力に対応している。3個の走査ドライバの構成とすることで垂直解像度768ラインに対応できる。本実施例では、液晶表示パネルの垂直解像度を768ラインとして説明することとする。走査ドライバの制御信号209は、フレームの先頭を示すフレーム同期信号FLM、走査ドライバが選択動作する走査タイミング信号CL3、走査ドライバの出力を非選択状態にする非選択信号DOFF−1〜DOFF−3で構成されている。フレーム同期信号FLMのハイレベルを走査タイミング信号CL3の立上りで取り込み、走査タイミング信号CL3の立上りで順次選択動作を順次シフトする。DOFF−1からDOFF−3は、3個の走査ドライバで個別制御し、走査ドライバの出力を、ハイレベルで非選択(ロウレベル)、ロウレベルで選択(ハイレベル)とする。
【0122】
図36は走査選択動作のタイミング図を示しており、次に走査選択動作について説明する。フレーム同期信号FLMのハイレベルを走査タイミング信号CL3の1の立ち上がりで取り込み、走査ドライバ224−1でゲート線G1を選択する。非選択信号DOFF−1は、CL3の周期の前半1/2でロウレベル、後半1/2でハイレベルとし、ゲート線G1はCL3周期の前半1/2期間選択される。このとき、走査ドライバ224−2では、非選択信号DOFF−2信号は、CL3の周期の前半1/2でハイレベル、後半1/2でロウレベルなので、CL3の周期の後半1/2期間にゲート線G385が選択される。次の走査タイミング信号CL3の2の立上りでゲート線G2がCL3の周期の前半1/2周期に選択され、ゲート線G386がCL3の周期の後半1/2周期に選択される。以降同様に走査選択動作をゲート線G3、G387、G4、G388の順番に繰り返して行く。この時、図30に示した明フィールド選択走査Aがゲート線G1、G2、G3、G4の走査選択に対応しており、暗フィールド選択走査Bがゲート線G385、G386、G387、G388の走査選択に対応している。
【0123】
さらに、フレーム期間の約1/2期間のタイミングである、走査タイミング信号CL3の385の立上りタイミングでFLMのハイレベルを取り込みゲート線G1を選択する。非選択信号DOFF−1は、CL3の周期の前半1/2でハイレベル、後半1/2でロウレベルとし、ゲート線G1はCL3周期の後半1/2期間選択される。このとき、走査ドライバ224−2では、非選択信号DOFF−2信号は、CL3の周期の前半1/2でロウレベル、後半1/2でハイレベルなので、CL3の周期の前半1/2期間にゲート線G385が選択される。次の走査タイミング信号CL3の386の立上りでゲート線G386がCL3の周期の前半1/2周期に選択され、ゲート線G2がCL3の周期の後半1/2周期に選択される。以降同様に走査選択動作をゲート線G387、G3、G388、G4の順番に繰り返して行く。この時、図30に示した明フィールド選択走査Aがゲート線G385、G386、G387、G388の走査選択に対応しており、暗フィールド選択走査Bがゲート線G1、G2、G3、G4の走査選択に対応している。
【0124】
このように、走査ドライバの走査タイミング信号CL3に同期して、フレーム同期信号FLM、非選択信号DOFF−1、DOFF−2、DOFF−3を制御することで図30、図31、図36に示した明フィールド選択走査A、暗フィールド選択走査Bをライン毎に交互に行うことが可能となる。
【0125】
尚、液晶表示パネルの上半分と下半分を交互に複数ライン(例えば、2ライン、3ライン、4ライン)毎に順次選択、つまり、上半分の複数ラインをまとめて選択した後に下半分の複数ラインをまとめて選択してもよい。液晶表示パネルの選択領域は、上下(データ線に沿った方向)2分割にだけでなく、上下3分割、上下4分割であってもよい。
【0126】
また、液晶表示パネルの全ライン(全ゲート線)をL(Lは2以上で液晶表示パネルの全ライン数よりも小さい整数)個に分割した場合は、1フレーム期間もL個の期間に分割するのが好ましく、1つの表示データをL個のフィールドデータに変換するのが好ましい。L個のフィールドデータの少なくとも1つは、暗フィールドデータである。また、当該分割は、等分割であってもよいし、等分割でなくてもよい。
【実施例9】
【0127】
次に、実施例8で示した明フィールドと暗フィールドの走査選択を交互に行う際に、4ライン毎に明フィールドと暗フィールドの走査選択を交互に行うことで、液晶駆動電圧の液晶表示パネルへの書き込み特性を改善し、高画質化を実現する駆動方式について、図37〜図40を用いて説明する。図37において、フレームの先頭から、明フィールドの走査選択Aでは隣接するゲート線G1からG2、G3、G4を順次4ラインを連続して選択し、次に暗フィールドの走査選択Bでは液晶表示パネルの中央部付近のゲート線385からG386、G387、G388を順次4ラインを連続して選択する。さらに、明フィールドの走査選択Aではゲート線G5からG6、G7、G8を順次4ラインを連続して選択し、暗フィールドの走査選択Bではゲート線G389からG390、G391、G392を順次4ラインを連続して選択する。このように、隣接した4ライン毎に順次選択し、図30に示した明フィールドAの走査選択、暗フィールドBの走査選択を行う。
【0128】
次に図34、図38を用いて走査ドライバの構成について説明する。本実施例では、実施例8と同様に、図34の回路構成で液晶表示パネルを駆動する。本実施例では、実施例8に比べ走査ドライバ224の構成が異なるため、図38を用いて走査ドライバの構成について説明する。図35は走査ドライバ224をさらに詳細に示した構成図で、224−1から224−3は、走査ドライバは1LSIで256出力に対応しており、3個の構成とすることで垂直解像度768ラインに対応できる。本実施例では、液晶表示パネルの垂直解像度を768ラインとして説明することとする。走査ドライバの制御信号209は、フレームの先頭を示すフレーム同期信号FLM、走査ドライバが選択動作する走査タイミング信号CL3−1〜CL3−3、走査ドライバの出力を非選択状態にする非選択信号DOFF−1〜DOFF−3で構成されている。CL3−1からCL3−3は3個の走査ドライバ224−1〜224−3を個別に制御するため、3系統とする。フレーム同期信号FLMのハイレベルを走査タイミング信号CL3−1の立上りで取り込み、走査タイミング信号CL3−1〜CL3−3の立上りで順次選択動作を順次シフトする。DOFF−1からDOFF−3は、3個の走査ドライバで個別制御し、走査ドライバの出力を、ハイレベルで非選択(ロウレベル)、ロウレベルで選択(ハイレベル)とする。
【0129】
図39は走査選択動作のタイミング図を示しており、次に走査選択動作について説明する。フレーム同期信号FLMのハイレベルを走査タイミング信号CL3−1の1の立ち上がりで取り込み、走査タイミング信号CL3−1の2の立ち上がりでシフト動作を行い、走査ドライバ224−1でゲート線G2を選択する。さらに、走査タイミング信号CL3−1の3の立ち上がりでシフト動作を行い、走査ドライバ224−1でゲート線G3を選択し、走査タイミング信号CL3−1の4の立ち上がりでシフト動作を行い、走査ドライバ224−1でゲート線G4を選択する。この時、非選択信号DOFF−1は、CL3の4周期期間ロウレベルであり、走査ドライバ224−1の出力が有効となる。このように、隣接する4ラインのゲート線を連続して順次選択する。次に走査タイミング信号CL3−2の立上りで、走査ドライバ224−2でゲート線G385を選択し、走査タイミング信号CL3−2の次の立ち上がりでシフト動作を行い、走査ドライバ224−2でゲート線G386を選択し、同様に走査ドライバ224−2でゲート線G387を選択し、同様に走査ドライバ224−2でゲート線G388を連続して順次選択する。この時、非選択信号DOFF−2は、CL3の4周期期間ロウレベルであり、走査ドライバ224−2の出力が有効となる。以降同様に走査選択動作をゲート線G5、G6、G7、G8、G389、G390、G391、G392の順番に繰り返して行く。この時、図30に示した明フィールド選択走査Aがゲート線G1、G2、G3、G4の走査選択に対応しており、暗フィールド選択走査Bがゲート線G385、G386、G387、G388の走査選択に対応している。
【0130】
さらに、フレーム期間の約1/2期間のタイミングである、走査タイミング信号CL3の385の立上りタイミングでFLMのハイレベルを取り込みを走査タイミング信号CL3−1の1の立ち上がりで取り込み、走査タイミング信号CL3−1の386の立ち上がりでシフト動作を行い、走査ドライバ224−1でゲート線G2を選択する。さらに、走査タイミング信号CL3−1の387の立ち上がりでシフト動作を行い、走査ドライバ224−1でゲート線G3を選択し、走査タイミング信号CL3−1の4の立ち上がりでシフト動作を行い、走査ドライバ224−1でゲート線G4を選択する。この時、非選択信号DOFF−1は、CL3の4周期期間ロウレベルであり、走査ドライバ224−1の出力が有効となる。このように、隣接する4ラインのゲート線を連続して順次選択する。次に走査タイミング信号CL3−2の立上りで、走査ドライバ224−2でゲート線G385を選択し、走査タイミング信号CL3−2の次の立ち上がりでシフト動作を行い、走査ドライバ224−2でゲート線G386を選択し、同様に走査ドライバ224−2でゲート線G387を選択し、同様に走査ドライバ224−2でゲート線G388を連続して順次選択する。この時、非選択信号DOFF−2は、CL3の4周期期間ロウレベルであり、走査ドライバ224−2の出力が有効となる。以降同様に走査選択動作をゲート線G5、G6、G7、G8、G389、G390、G391、G392の順番に繰り返して行く。この時、図30に示した明フィールド選択走査Aがゲート線G1、G2、G3、G4の走査選択に対応しており、暗フィールド選択走査Bがゲート線G385、G386、G387、G388の走査選択に対応している。
【0131】
このように、走査ドライバの走査タイミング信号CL3−1からCL3−3に同期して、フレーム同期信号FLM、非選択信号DOFF−1、DOFF−2、DOFF−3を制御することで図30、図37、図39に示した明フィールド選択走査A、暗フィールド選択走査Bを4ライン毎に交互に行うことが可能となる。
【0132】
本実施例では、実施例8では1ライン毎の走査選択だったのに対し、4ライン毎に走査選択することで、液晶駆動電圧の書き込み特性を改善する。図40は図39に示したゲート線G1〜G4、G385〜G388の走査選択の詳細を示したもので、ゲート線G1〜G4及びG385〜G388の4ラインの選択期間を第1選択期間から第4選択期間とし、第1選択期間を他の選択期間に比べて長くしている。例えば、ゲート線G385を選択する場合、液晶表示パネルのデータ線に前のラインであるゲート線G1の液晶駆動電圧の影響のためゲート線G385の液晶駆動電圧の書きみ電圧がずれる場合がある。この場合、ゲート線G1の表示がゲート線G385の付近に薄く見えるゴースト表示として現れる、つまり画質劣化が生じることとなる。従って、その影響を受ける第1選択期間は、他の第2から第4の選択期間に比べて長くすることで、前ラインの液晶駆動電圧の影響を低減し、高画質化を実現できる。通常の順次走査選択の場合と同様に、第2〜第4選択期間では、前ラインは隣接ラインであるため、前ラインの液晶駆動電圧の影響を受けても画質に影響は少ない。このように、実施例9では、明フィールドと暗フィールドの走査選択を交互に行う際に、4ライン毎に明フィールドと暗フィールドの走査選択を交互に行うことで、液晶駆動電圧の液晶表示パネルへの書き込み特性を改善し、高画質化を実現する。
【0133】
尚、本実施例では、4ライン毎の走査選択動作を示したが、これは4ラインに限定したものではなく、複数ライン毎、例えば2ライン毎や3ライン毎等でも同様な効果を得ることができる。
【実施例10】
【0134】
次にフレーム期間中の明フィールド期間と暗フィールド期間の割合を変えることで、動画ぼやけ性能を向上する実施例10について説明する。
【0135】
図41は、実施例1から実施例7で示した2倍速スキャンによる明フィールド期間と暗フィールド期間の割合を約50%と50%から明フィールド期間約33%(約1/3)、暗フィールド期間約67%(約2/3)とした場合の走査選択を示した図である。このように暗フィールド期間を長くすることで、インパルス型応答の効果を高め動画ボヤケをより改善できる。
【0136】
図42は、実施例8、実施例9で示した明フィールド走査選択と暗フィールド走査選択を交互に行う走査選択による明フィールド期間と暗フィールド期間の割合を約50%と50%から明フィールド期間約33%、暗フィールド期間約67%とした場合の走査選択を示した図である。その結果、1フレーム期間に対する明フィールド期間の割合が小さくなるに従って(暗フィールド期間の割合が大きくなるに従って)、明フィールド期間で明フィールドデータに応じた電圧を書き込むラインの数が多くなる(明フィールド期間で暗フィールドデータに応じた電圧を書き込むラインの数が少なくなる)。そして、明フィールド期間と暗フィールド期間の比率は、明フィールド期間で暗フィールドデータに応じた電圧を書き込むラインの数と明フィールドデータに応じた電圧を書き込むラインの数の比率に等しく、同様に、暗フィールド期間で明フィールドデータに応じた電圧を書き込むラインの数と暗フィールドデータに応じた電圧を書き込むラインの数の比率に等しい。このように暗フィールド期間を長くすることで、インパルス型応答の効果を高め動画ボヤケをより改善できる。暗フィールド期間は、1/2フレーム期間より長く1フレーム期間よりも短い。よって、明フィールド期間は、0より長く1/2フレーム期間より短い。
【0137】
図41の場合、明フィールド、暗フィールドそれぞれで全ラインを走査選択するのフレーム期間の約33%の期間であるため、1ライン当りの選択期間は、フレーム期間を60Hzつまり約16.7msとすると、16.7ms×0.33÷768ライン=約7.2μsとなる。これに対して、図42の場合、明フィールド、暗フィールドは交互に選択するため、それぞれで全ラインを走査選択する期間は、1フレーム期間の約半分の期間となる。このため、1ライン当りの選択期間は、フレーム期間を60Hzつまり約16.7msとすると、16.7ms×0.50÷768ライン=約10.9μsとなる。つまり、図41に示した2倍速スキャンでは、明フィールド期間を短くすると、それに伴い1ラインの走査選択時間も短くなる。一方、図42に示す明フィールドと暗フィールドの交互のスキャンでは、明フィールド期間を短くしても、1ラインの走査選択時間は変化しない。従って、実施例8、9で示した明フィールドと暗フィールドの交互のスキャンの場合、インパルス型応答の効果を高めるため明フィールドの期間を短くしても、液晶駆動電圧の書き込み特性に影響する1ラインの選択時間を長くすることができ、表示むら等の影響の少ない高画質化を実現可能である。尚、以上の1ラインの選択時間の計算では、説明簡素化のため帰線期間の影響を省いている。
【0138】
また、実施例8、9、10においては液晶表示パネルの垂直解像度を768ラインで説明したが、垂直解像度はこれに限定したものでなく、ハイビジョン規格の1920ドット×1080ライン等各種解像度においても同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明によれば、液晶表示装置、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやLCOS(Liquid Crystal On Silicon)ディスプレイのようなホールド型表示装置において、特に低階調での動画ぼやけを低減せしめることが可能となる。従って、本発明は、液晶表示パネルを用いたTV受像機や、PC等の表示モニタ、更に携帯電話やゲーム機等に対しても適用することが可能である。
【符号の説明】
【0140】
201…入力表示データ、202…制御信号群、203…駆動選択信号、204…タイミング信号生成回路、205…メモリ制御信号群、206…テーブルイニシャライズ信号、207…データ選択信号、208…データドライバ制御信号群、209…走査ドライバ制御信号群、210…フレームメモリ、211…メモリリードデータ、212…ROM、213…テーブルデータ、214…明フィールド変換テーブル、215…暗フィールド変換テーブル、216…明フィールド表示データ、217…暗フィールド表示データ、218…表示データ選択回路、219…フィールド表示データ、220…階調電圧生成回路、221…階調電圧、222…データドライバ、223…データ電圧、224…走査ドライバ、225…走査ライン選択信号、226…液晶表示パネル、227…液晶表示パネルの1画素の模式図、301-R…R用明フィールド変換テーブル、301-G…G用明フィールド変換テーブル、301-B…B用明フィールド変換テーブル、302-R…R用暗フィールド変換テーブル、302-G…G用暗フィールド変換テーブル、302-B…B用暗フィールド変換テーブル、1601…階調電圧制御信号、2101…フレームメモリA、2102…メモリリードデータA、2103…フレームメモリB、2104…メモリリードデータB、2105…明フィールド変換テーブル、2106…暗フィールド変換テーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部システムから入力される表示データに応じた階調又は輝度を表示する表示装置において、
マトリックス状に配列された複数の画素を有する表示パネルと、
前記外部システムから入力される表示データを保持可能なメモリと、
前記表示データを第1の表示データ及び第2の表示データへ変換する変換回路と、
前記表示データに対応する電圧を前記画素へ出力する第1のドライバと、
前記電圧を供給すべき画素のラインを走査する第2のドライバとを具備し、
前記外部システムから入力される表示データが中間階調である場合に、前記第1の表示データと前記第2の表示データの何れか一方の階調又は輝度は、前記外部システムから入力される表示データの階調又は輝度よりも高く、何れか他方の階調又は輝度は、前記外部システムから入力される表示データの階調又は輝度よりも低く、
前記第2のドライバは、前記第1の表示データに対応する第1の電圧を供給すべき画素のラインとして、互いに隣接する第1のnライン(nは1以上の整数)を1ラインづつ順次選択し、次に、前記第2の表示データに対応する第2の電圧を供給すべき画素のラインとして、前記第1のnラインとはmライン(mは2以上の整数)の間隔離れかつ互いに隣接する第2のnラインを1ラインづつ順次選択し、再び、前記第1の表示データに対応する第1の電圧を供給すべき画素のラインとして、前記第2のnラインとはmラインの間隔離れかつ互いに隣接する第3のnラインを1ラインづつ順次選択し、次に、前記第2の表示データに対応する第1の電圧を供給すべき画素のラインとして、前記第3のnラインとはmラインの間隔離れかつ互いに隣接する第4のnラインを1ラインづつ順次選択する動作を繰り返すことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1の表示装置において、
前記nは、1又は2又は4であることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1の表示装置において、
1フレーム前の表示データを保持するフレームメモリを具備し、
前記第1の変換回路は、前記外部システムから入力される表示データと前記フレームメモリから読み出した1フレーム前の表示データの関係に基づいて前記外部システムから入力される表示データを第1の表示データに変換し、
前記第2の変換回路は、前記メモリから読み出した表示データと前記フレームメモリから読み出した1フレーム前の表示データの関係に基づいて前記メモリから読み出した表示データを前記第2の表示データに変換する電圧を前記画素に出力することを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1の表示装置において、
前記第1の表示データに応じた階調又は輝度及び前記第2の表示データに応じた階調又は輝度を前記表示パネルに表示する速度は、前記表示データを前記外部システムから入力する速度よりも大きいことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかの表示装置において、
前記第2のドライバは、1フレーム期間内の第1の期間に、前記表示パネルの画素のラインの第1のグループの選択と前記表示パネルの画素のラインの第2のグループの選択とを交互に繰り返し、前記1フレーム期間内の第2の期間に、前記表示パネルの画素のラインの第1のグループの選択と前記表示パネルの画素のラインの第2のグループの選択とを交互に繰り返し、
前記第1のドライバは、前記第1の期間で前記第2のドライバが前記第1のグループを選択する場合に、前記第1の表示データに対応する第1の電圧を出力し、前記第1の期間で前記第2のドライバが前記第2のグループを選択する場合に、前記第2の表示データに対応する第2の電圧を出力し、前記第2の期間で前記第2のドライバが前記第1のグループを選択する場合に、前記第2の表示データに対応する第2の電圧を出力し、前記第2の期間で前記第2のドライバが前記第1のグループを選択する場合に、前記第1の表示データに対応する第1の電圧を出力し、
前記第1のグループは、前記第1のnライン及び前記第3のnラインを含み、
前記第2のグループは、前記第2のnライン及び前記第4のnラインを含むことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
外部システムから入力される表示データに応じた階調を表示する表示装置において、
マトリックス状に配列された複数の画素を有する表示パネルと、
前記外部システムから入力される表示データを保持可能なメモリと、
前記表示データを第1の表示データ及び第2の表示データへ変換する変換回路と、
前記表示データに対応する電圧を前記画素へ出力する第1のドライバと、
前記電圧を供給すべき画素のラインを走査する第2のドライバとを具備し、
前記外部システムから入力される表示データが中間階調である場合に、前記第1の表示データと前記第2の表示データの何れか一方の階調又は輝度は、前記外部システムから入力される表示データの階調又は輝度よりも高く、何れか他方の階調又は輝度は、前記外部システムから入力される表示データの階調又は輝度よりも低く、
1フレーム期間は、第1の期間と第2の期間を含み、
前記表示パネルの画素のラインは、N(Nは2以上で前記表示パネルの全ライン数よりも小さい整数)ラインを含む第1のグループとM(Mは2以上で前記表示パネルの全ライン数よりも小さい整数)ラインを含む第2のグループを含み、
前記第2のドライバは、前記第1の期間に、前記第1のグループのNラインのうちのn(nは1以上で前記Nよりも小さい整数)ラインごとの走査と前記第2のグループのMラインのうちのm(mは1以上で前記Mよりも小さい整数)ラインごとの走査とを交互に繰り返して、前記第1のグループと前記第2のグループを走査し、前記第2の期間に、前記第1のグループのNラインのうちのnラインごとの走査と前記第2のグループのMラインのうちのmラインごとの走査とを交互に繰り返して、前記第1のグループと前記第2のグループを走査し
前記第1のドライバは、前記第1の期間で前記第2のドライバが前記第1のグループを走査する場合に、前記第1の表示データに対応する第1の電圧を出力し、前記第1の期間で前記第2のドライバが前記第2のグループを走査する場合に、前記第2の表示データに対応する第2の電圧を出力し、前記第2の期間で前記第2のドライバが前記第1のグループを走査する場合に、前記第2の表示データに対応する第2の電圧を出力し、前記第2の期間で前記第2のドライバが前記第1のグループを走査する場合に、前記第1の表示データに対応する第1の電圧を出力することを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項6の表示装置において、
前記第2のドライバは、前記nラインに含まれるラインを1ラインごとに順次選択して前記nラインを走査し、前記mラインに含まれるラインを1ラインごとに順次選択して前記mラインを走査することを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項6又は7の表示装置において、
前記nと前記mは等しく、
前記n及び前記mは、1又は2又は3又は4であることを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項6〜8の何れかの表示装置において、
前記Nは、前記表示パネルの全ライン数の1/2であり、
前記Mは、前記表示パネルの全ライン数の1/2であることを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項6〜8の何れかの表示装置において、
前記第1の期間の長さと前記第2の期間の長さとは異なることを特徴とする表示装置。
【請求項11】
請求項10の表示装置において、
前記Nと前記Mとは異なることを特徴とする表示装置。
【請求項12】
請求項11の表示装置において、
前記第1の期間の長さと前記第2の期間の長さの比率は、前記Mと前記Nの比率に等しいことを特徴とする表示装置。
【請求項13】
外部システムから入力される表示データに応じた階調又は輝度を表示する表示装置において、
マトリックス状に配列された複数の画素を有する表示パネルと、
前記外部システムから入力される表示データを保持可能なメモリと、
中間階調の前記表示データを異なる値に変換する第1及び第2の変換回路と、
前記外部システムからの入力信号に基づき前記表示パネルを駆動するための制御信号を生成する信号生成回路と、
前記表示データに対応する電圧を前記画素へ出力する第1のドライバと、
前記電圧を供給すべき画素を走査する第2のドライバとを具備し、
前記メモリは、1フレーム期間に1回前記表示データを書き込まれ、1フレーム期間に2回前記表示データを読み出され、
前記第1の変換回路は、前記メモリから第1回目に読み出された第1の表示データを変換し、
前記第2の変換回路は、前記メモリから第2回目に読み出された第2の表示データを変換し、
前記外部システムから入力される表示データが中間階調である場合に、変換後の前記第2の表示データによる輝度は、変換後の前記第1の表示データによる輝度よりも低く、
前記第2のドライバは、前記制御信号に従って1フレーム期間内に2回前記画素を走査し、
前記第1のドライバは、前記第2のドライバによる第1回目の走査に応じて、変換後の第1の表示データに対応する第1の電圧を前記画素へ出力し、前記第2のドライバによる第2回目の走査に応じて、変換後の第2の表示データに対応する第2の電圧を前記画素へ出力し、
前記外部システムからの要求に応じて、前記第1の変換回路の変換設定値及び前記第2の変換回路の変換設定値とを変更することを特徴とする表示装置。
【請求項14】
請求項13に記載の表示装置において、
前記第1及び第2の変換回路は、1フレーム期間前の表示データに応じて現在のフレーム期間の表示データを変換し、
前記現在のフレーム期間の表示データと前記1フレーム期間前の表示データとが等しい場合にも、前記現在のフレーム期間の変換後の前記第1の表示データによる輝度は、前記現在のフレーム期間の変換後の前記第2の表示データによる輝度に比較して等しい若しくは大きく、
前記第1のドライバは、前記現在のフレーム期間の表示データが等しい場合の表度が前記1フレーム期間前の表示データに関わらず略等しくなるよう変換された第1及び第2の表示データに基づき前記第1の電圧及び前記第2の電圧を前記画素へ出力することを特徴とする表示装置。
【請求項15】
請求項13に記載の表示装置において、
前記第1及び第2の変換回路は、1フレーム期間前の表示データに応じて現在のフレーム期間の表示データを変換し、
前記現在のフレーム期間の表示データによる輝度が前記1フレーム期間前の表示データによる輝度より大きい場合は、前記第1の変換回路は、変換後の前記第1の表示データを大きくし、その結果得られる輝度が低い場合は、前記第2の変換回路は、変換後の前記第2の表示データを大きくし、
前記現在のフレーム期間の表示データによる輝度が前記1フレーム期間前の表示データによる輝度より小さい場合は、前記第2の変換回路は、変換後の前記第2の表示データを小さくし、その結果得られる輝度が高い場合は、前記第1の変換回路は、変換後の前記第1の表示データも小さくする、ことを特徴とする表示装置。
【請求項16】
請求項13に記載の表示装置において、
前記第1及び第2の変換回路の何れか一方は、1フレーム期間前の表示データに応じて現在のフレーム期間の表示データを変換することを特徴とする表示装置。
【請求項17】
請求項13に記載の表示装置において、
前記各画素は、数100秒以内の期間において、前記第1の電圧により正極性の電位が印加される回数と、前記第1の電圧により負極性の電位が印加される回数と、前記第2の電圧により正極性の電位が印加される回数と、前記第2の電圧により負極性の電位が印加される回数とが等しいことを特徴とする表示装置。
【請求項18】
請求項13に記載の表示装置において、
前記第2のドライバの前記第2回目の走査による画素の選択期間は、前記第2のドライバの前記第1回目の走査による画素の選択期間よりも長いことを特徴とする表示装置。
【請求項19】
1フレーム期間階調の表示を保持するホールド型の表示装置において、
各画素は、1フレーム期間内に2つの階調を表示することにより、外部システムから要求された1つの階調を表示し、
前記外部システムから要求された階調が最大階調と最小階調との間の中間階調のうちの低階調側に含まれる場合に、前記1フレーム期間内の2つの階調の一方は前記最小階調であり、前記1フレーム期間内の2つの階調の他方は前記外部システムから要求された階調に応じて変化し、
前記外部システムから要求された階調が前記中間階調のうちの高階調側に含まれる場合に、前記1フレーム期間内の2つの階調の一方は前記外部システムから要求された階調に応じて変化し、前記1フレーム期間内の2つの階調の他方は前記最大階調であることを特徴とする表示装置。
【請求項20】
請求項19の表示装置において、
前記外部システムから要求された階調が最大階調である場合に、前記1フレーム期間内の2つの階調は共に前記最大階調であることを特徴とする表示装置。
【請求項21】
請求項19の表示装置において、
前記外部システムから要求された階調の前記低階調側と前記高階調側の境界は、前記1フレーム期間内の2つの階調の一方を前記最小階調とし他方を前記最大階調として得られる階調であることを特徴とする表示装置。
【請求項22】
請求項19の表示装置において、
前記1フレーム期間内の2つの階調の輝度差に起因するフリッカが目視観測される場合に、前記1フレーム期間内の2つの階調の一方を高くし、又は/及び、前記1フレーム期間内の2つの階調の他方を低くすることを特徴とする表示装置。
【請求項23】
1フレーム期間階調の表示を保持するホールド型の表示装置において、
各画素は、1フレーム期間内に2つの階調を表示することにより、外部システムから要求された1つの階調を表示し、
1フレーム期間内に2つの階調の輝度差が前記外部システムから要求された階調の輝度以下である場合に、前記1フレーム期間内の2つの階調の一方をできるだけ低くすることを特徴とする表示装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2011−141557(P2011−141557A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28417(P2011−28417)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【分割の表示】特願2005−219899(P2005−219899)の分割
【原出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】